JP6909574B2 - 形状測定装置の制御方法 - Google Patents
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Description
倣い測定にあたっては、倣い測定の経路を生成しておく必要がある。
特許文献1に記載の装置では、CADデータ等に基づいた設計値(例えばNURBS(Non−UniformRationalB−Spline:非一様有理Bスプライン)データ)を所定次数の多項式曲線群に変換する。
ここでは、多項式として三次関数を用い、PCC曲線群(Parametric Cubic Curves)とする。このPCC曲線を元にワークを測定する経路を生成する。さらに、PCC曲線を分割して分割PCC曲線群とする。
このように算出された移動速度に基づいてプローブを移動させ、測定対象物の表面に倣って測定子を移動させる(パッシブ設計値倣い測定)。
「アクティブ設計値倣い測定」では、次の(式1)で表わされる合成ベクトルVをプローブの移動指令とする。プローブが合成ベクトルVに基づく移動を行うと、プローブ(測定子)はPCC曲線に沿うように移動しつつ、押込み量を一定としたワーク表面倣い測定、つまり、「アクティブ設計値倣い測定」が実現される。
図1において、設計データ(輪郭点データ)から所定量(測定子半径r―基準押込み量E0)オフセットしたところにPCC曲線(つまり、倣い経路)がある。
また、図1においては、実際のワークが設計データから少しずれている。
経路速度ベクトルVfは、PCC曲線上の補間点(i)から次の補間点(i+1)に向かう方向をもつ。なお、経路速度ベクトルVfの大きさは、例えば、補間点(i)におけるPCC曲線の曲率に基づいて決定される(例えば特許文献3)。
点P1から点P7まで一続きのPCC曲線L_PCCがあり、このPCC曲線L_PCCは、点Pにより複数のセグメントに分割されている。(各セグメントもPCC曲線である。)各セグメントの終了点は、次のセグメント(PCC曲線)の開始点となっている。セグメントの開始点の座標を(KX0、KY0、KZ0)と表わし、そのPCC曲線における始点と終点との間の直線の長さをDとする。このように定義すると、PCC曲線上の任意の位置における座標{X(S)、Y(S)、Z(S)}は、3次曲線を表わすための係数(KX3、KX2・・・・KZ1、KZ0)を用い、次の式で表される。
Y(S)=KY3S3+KY2S2+KY1S+KY0
Z(S)=KZ3S3+KZ2S2+KZ1S+KZ0
しかし、ワークの測定部位が複雑な形状をしており、かつ、このような測定部位に精度良く追随しながら高精度の倣い測定を行うためには、PCC曲線を細かく分割してセグメント数を増やさなければならない。例えば、図3のような曲線の輪郭形状を倣い測定するとなると、図4に例示するように例えば曲率が変化するところでセグメントに分割しなければならない。
この場合、次のような問題が生じていた。
形状測定機の制御装置(モーションコントローラ)の記憶容量にも上限があり、一続きの倣い測定経路であったとしても、膨大な情報(係数)が含まれた測定指令をまとめて一回で受け取れないし、処理もできない。したがって、制御装置(モーションコントローラ)の記憶容量を超えないように測定指令を分割しなければならない。
リトラクションしたあとで制御装置が次の測定指令を受け取り、それから、各セグメントの曲率に応じて速度計画を作成する。この演算時間が待ち時間となっている。
制御装置(モーションコントローラ)の記憶容量の上限に近い大きなデータを受け取ったり演算したりするとなると、待ち時間がかなり長くなる。
しかし、このような繋ぎ合わせの処理は煩雑な処理である。また、停止処理が間に入ると、減速や加速の影響を受け、測定精度が低下する要因となる。
先端に測定子を有するプローブと、
前記プローブを移動させる移動機構と、を備え、
前記測定子とワーク表面との接触を検知して前記ワークの形状を測定する形状測定装置の制御方法であって、
前記ワークの設計データに基づいて前記測定子を移動させる倣い経路を求め、前記プローブの前記ワークへの押込み量を基準押込み量に保つように制御しながら前記測定子を前記倣い経路に沿って移動させるにあたって、
前記倣い経路を所定数のセグメントごとに分割して、前記所定数のセグメントごとにひとまとまりの測定指令Ci(iは1からn+1の整数)とし、
測定指令Ciを実行している間に、その次の測定指令Ci+1の速度パターン計画を作成し、
このとき、前記測定指令Ciの速度パターン計画Pviの終速度と、前記測定指令Ci+1の速度パターン計画Pvi+1の初速度と、が同じになるように計画し、
前記測定指令Ciの最後と前記測定指令Ci+1の最初とを連続させて、前記プローブを停止させずに移動させる
ことを特徴とする。
ただし、前記測定指令Ciの速度パターン計画Pviの終速度と、前記測定指令Ci+1の速度パターン計画Pvi+1の初速度と、は0mm/secではない。
前記測定指令Ciの速度パターン計画Pviの終速度は、1mm/sec〜5mm/secの低速に設定される
ことが好ましい。
一の測定指令Ciに対応した速度パターン計画を生成するのに要する時間を計画演算時間Tpとするとき、
測定指令Ciを実行している間に、現在時刻からこの測定指令Ciの終了予定時刻までのギャップタイムを時々刻々算出し、
前記ギャップタイムが前記計画演算時間Tpよりも長い場合には、前記測定指令Ci+1の速度パターン計画Pvi+1の初速度を前記測定指令Ciの速度パターン計画Pviの終速度と同じにする連結用速度計画を生成し、
前記ギャップタイムが前記計画演算時間Tpよりも短い場合には、前記測定指令Ci+1の速度パターン計画Pvi+1の初速度はゼロとする個別用速度計画を生成する
ことが好ましい。
前記測定指令Cnに含まれるセグメントの数と前記測定指令Cn+1に含まれるセグメントの数とを平均化する
ことが好ましい。
(第1実施形態)
図8は、形状測定システム100の全体構成を示す図である。
形状測定システム100は、三次元測定機200と、三次元測定機200の駆動を制御するモーションコントローラ300と、モーションコントローラ300を制御すると共に必要なデータ処理を実行するホストコンピュータ500と、を備える。
モーションコントローラ300からの駆動制御信号によって各駆動モータが駆動制御される。
エンコーダは、Yスライダ221、Xスライダ222およびZスピンドル224それぞれの移動量を検出し、検出値をモーションコントローラ300に出力する。
Zスピンドル224の下端にプローブ230が取り付けられている。
さらに、支持部233は、スタイラス231の各軸方向の位置をそれぞれ検出するためのプローブセンサー(不図示)を備える。
プローブセンサは検出値をモーションコントローラ300に出力する。
図9は、モーションコントローラ300およびホストコンピュータ500の機能ブロック図である。
モーションコントローラ300は、測定指令取得部310と、カウンタ部330と、移動指令生成部340と、駆動制御部350と、を備える。
測定指令取得部310の構成を図10に示す。
測定指令取得部310は、メモリコントローラ311と、第1バッファ321と、第2バッファ322と、メモリフラグ情報格納部312と、を有する。
測定指令取得部310は、メモリ装置なのであるが、敢えて、メモリを複数(ここでは2つ)に分離している。測定指令取得部310の全容量として、例えば、セグメント2000個分の測定指令を格納できるとすると、第1バッファ321と第2バッファ322とはそれぞれセグメント1000個分ずつの測定指令を格納できる。
図12は、第1バッファ321と第2バッファ322とに測定指令Ci、Ci+1が格納された状態を模式的に表わす図である。
後の説明のため、一のバッファに格納できるセグメント数の最大値をPとおく。
メモリフラグ情報格納部312には、バッファ識別フラグBと、バッファステータスフラグSB(1)、SB(2)と、が格納される。
バッファ識別フラグBは、第1バッファ321と第2バッファと322を交互に使用するため、次に使用するバッファを示すフラグであって、値が1と2とで交互に切り替わる。
第1バッファ321のステータスフラグである第1ステータスフラグSB(1)と、
第2バッファ322のステータスフラグである第2ステータスフラグSB(2)と、がある。
第1ステータスフラグSB(1)も第2ステータスフラグSB(2)も値が0と1とで交互に切り替わる。本実施形態では、"0"は書き込み可能状態を表わし、"1"は書き込み不可状態を表わすとする。
計測されたスライダおよびプローブ230の変位から測定子232の座標位置PP(以下、プローブ位置PP)が得られる。また、カウンタ部330にて計測されたスタイラス231の変位(プローブセンサの検出値(Px,Py,Pz))から、測定子232の押込み量(ベクトルEpの絶対値)が得られる。
移動指令生成部340の構成を図11に示す。
移動指令生成部340は、速度パターン計画部341と、ベクトル指令生成部344と、連結判定部345と、中央処理装置(CPU)348と、を備える。また、連結判定部345には、連結判定フラグ格納部346と、時間計測部347と、が付設されている。
各機能部の動作についてはフローチャートを参照しながら後述する。
手動コントローラ400は、ジョイスティックおよび各種ボタンを有し、ユーザからの手動入力操作を受け付け、ユーザの操作指令をモーションコントローラ300に送る。
この場合、モーションコントローラ300(駆動制御部350)は、ユーザの操作指令に応じて各スライダを駆動制御する。
ホストコンピュータ500は、CPU511(CentralProcessingUnit)やメモリ等を備えて構成され、モーションコントローラ300を介して三次元測定機200を制御する。
ホストコンピュータ500は、さらに、記憶部520と、形状解析部530と、を備える。
記憶部520は、測定対象物(ワーク)Wの形状に関する設計データ(CADデータや、NURBSデータ等)、測定で得られた測定データ、および、測定動作全体を制御する測定制御プログラムを格納する。
また、形状解析部530は、設計データ(CADデータや、NURBSデータ等)からPCC曲線への変換等の演算処理も担う。
図13および図14を参照しながら、ホストコンピュータ500の動作を説明する。図13および図14の動作は、記憶部520に格納された制御プログラムおよび形状解析部530により実現されるものである。
まず、形状解析部530が外部から与えられたCADデータ等を利用して倣い測定経路となるPCC曲線を生成する(ST110)。この動作については背景技術で説明済みである。(例えば、図1−図3を参照されたい。)
さらに、PCC曲線の全セグメント数をMとおく(ST120)。
この場合、形状解析部530は、全セグメントの係数情報を1つの測定指令C1として生成し(ST131)、モーションコントローラ300の測定指令取得部310に送信する(ST132)。
この動作自体は従来技術と同じである。
基本的には、従来と同じように、1つの測定指令に含まれるセグメント数がバッファの容量以下になるようにすればよい。
本実施形態では、さらに、各測定指令に含まれるセグメント数が平均化するように工夫も加えているので、図14で順を追って紹介する。
まず、全セグメント数Mとバッファ容量Pとの関係から、分割数(n+1)を決定する(ST141)。つまり、M=P×n+mを満たす最大の商nを決定し、残りを余りmとする。
ここでは、最後の余りmが"1"であり、これは、P/4=1であるので(ST142:NO)、平均化処理(ST143)はせずに(ST144)、P(=4)ずつにPCC曲線を分割して、最後の測定指令Cn+1のセグメント数は1である。
なお、図14中では、Ns(Ci)は、測定指令Ciに含まれるセグメント数Nsを表わすと解釈されたい。
測定指令取得部310のバッファ321、322が受信可能か否かはバッファステータスフラグSB(1)、SB(2)の値("0"か"1"か)で表わされ、ホストコンピュータ500は常にバッファステータスフラグSB(1)、SB(2)をモニタしている。
バッファステータスフラグSB(1)、SB(2)の値がどういうタイミングで更新されるかについては、後述する(図16のST214、ST224、図20のST441)。
図16は、測定指令取得部310の第1バッファ321と第2バッファ322とに交互に測定指令を格納する動作を説明するためのフローチャートである。
図16の制御動作はメモリコントローラ311によって実行される。
メモリコントローラ311は、メモリフラグ情報格納部312に格納されているバッファ識別フラグB、および、バッファステータスフラグSB(1)、SB(2)の状態を参照することによってどちらのバッファにいつデータを格納するかを判断する。
バッファ識別フラグBの値は"1"と"2"とで交互に切り替わるのであるが、どのタイミングで切り替わるかについては後述する(図20のST402)。
ステータスフラグSB(1)、SB(2)は、バッファに書き込み可能なステータスならば"0"であり、バッファに書き込みできないステータスであれば"1"である。
(ステータスフラグSB(1)、SB(2)がどのタイミングで"0"に更新されるかについては後述する(図16のST214、ST224、図20のST441)。)
このように送信された測定指令Ciは、メモリコントローラ311により第1バッファ321に格納される(ST213)。
メモリコントローラ311は、第1バッファ321に測定指令Ciが新たに格納されたら、第1バッファ321のステータスフラグSB(1)を"1"(=書き込み不可)に更新しておく。
このあとの動作は、第1バッファ321にデータを書き込む動作に対応しているので、冗長な説明は割愛する。
速度パターン計画部341は、測定指令取得部310の各バッファ321、322に格納された測定指令Ciを順次読み出し、その測定指令Ciに合った速度パターンを生成する。速度パターンの一例は例えば背景技術の図7を参照されたい。
速度パターンは、例えば、PCC曲線(セグメント)の各点における曲率や、要求されている測定精度、許容される測定時間などを考慮して適切に生成される。与えられた各PCC曲線(セグメント)に合った個々の速度パターンを作成すること自体は既知である。
SB(B)の"B"は、そのときのバッファ識別フラグBの値("1"か"2")のことである。したがって、詳しく言うと、速度パターン計画部341は、まずバッファ識別フラグBの値(1か2か)を確認し、続いて、バッファ識別フラグBが示すバッファ321、322のステータス(SB(B))を確認する。
バッファステータスフラグSB(B)が"1"になるタイミングについては図16で説明した通り、第Bバッファ321、322に新たに測定指令Ciが格納されたらバッファステータスフラグSB(B)は"1"になる(ST214、ST224)。
連結判定フラグLFは、連結判定フラグ格納部346に格納されたフラグLFであり、実行中の測定指令Ci−1とその次の測定指令Ciとを連続して実行できるか否かを示すフラグLFである。
連結判定フラグLFは連結判定部345の判断によって随時更新されるものであるが、連結判定部345がどのような判断で連結判定フラグLFの値(1か0か)を決定するかは図22のフローチャートを参照しながら後ほど詳述する。
ここでは、連結判定フラグLFの値が"1"のときには「実行中の測定指令Ci−1とその次の測定指令Ciとが連結可能」と判断されており、逆に、連結判定フラグLFの値が"0"のときには「実行中の測定指令Ci−1とその次の測定指令Ciとが連結できない」と判断されている、として次の説明に進む。
この場合、速度パターン計画部341は、測定指令Ciに基づき、「個別用速度計画」を作成する。
個別用速度計画というのは、一点を除けば、従来の速度計画と同じである。
測定指令Ciは、その前の測定指令Ci−1と連結せず、個別に処理される。
この場合、測定指令Ciを実行する速度パターンは、測定開始点にアプローチし、測定開始点で速度ゼロからスタートである。そして、最初のセグメントからはじまって各セグメントの曲率等に応じて各セグメント(PCC曲線)を倣い移動する移動速度を決定していく。
ここまでの処理は従来通りである。
低速移動領域の長さ(L)は例えば3mm程度にする。
仮に測定指令Ciの最後のセグメントが3mmに満たない場合には、その前方のセグメントへ順次遡って低速移動領域を確保する。
仮に測定指令Ciの全長が3mmに満たなければ、「低速移動領域」を適用しない。
作成された速度パターン計画PViは、速度パターン格納部343に格納される(ST370)。
後の説明のため、速度パターン計画PViに基づき測定指令Ciを実行する開始時刻を"tsi"で表わし、終了時刻teiで表わすこととする。
後の説明のため、一の測定指令に対応した速度パターン計画を生成するのに要する時間を計画演算時間Tpで表わす。
計画演算時間Tpとしては、速度パターン計画を生成するのに必要な正味の時間に設定してもよいが、少し余裕をみて、その1.3倍ぐらいを計画演算時間Tpに設定しておくとよい。
この場合、速度パターン計画部341は、連結用速度計画を作成する。
測定指令Ciに対応する連結用速度計画の生成にあたっては、初速度を3mm/secとする(図19参照)。
したがって、測定指令Ci−1の最後に続いて、間髪入れずにすぐに測定指令Ciの先頭に移行すれば、プローブ230は止まることなく連続して移動できることになる。そして、連結用速度計画が作成される場合(つまり連結判定フラグLFの値が"1"である場合(ST340:YES))、測定指令Ci−1の最後に続けて測定指令Ciの先頭に移行することが必ずできる。
その理由は、図22のフローチャートの説明のなかで明らかになる。
図20−図22は、測定指令Ciと速度パターン計画Pviとに基づき、プローブ230を倣い移動させる手順を示すフローチャートである。
また、このなかでバッファ識別フラグBおよびバッファステータスフラグSB(1)、SB(2)がプローブ移動制御の進行に連動して更新されることも説明する。
図20−図22の制御動作は、移動指令生成部340、より具体的には、移動指令生成部340のCPU348、ベクトル指令生成部344および連結判定部345の協働で実行される。
順を追って説明していく。
その後は、図20−図22のフローチャートに従って動作を進めていけばよい。
その一方、移動指令生成部340がアクセスしない方のバッファ(2か1)は、待機状態にある。
したがって、この待機状態にあるバッファ(2か1)に次の測定指令Ci+1を受け入れてしまい、速度パターン計画部341によって速度パターンの生成をやってしまえばよいのである。そこで、バッファ識別フラグBの値を更新(1→2か、あるいは、2→1)しておき、前述のメモリ制御動作(図16)により待機状態のバッファの方に次の測定指令Ci+1を受け入れるようにする(ST213、ST223)。
ここから、測定指令Ciを先頭から順番に処理してプローブ230の倣い移動制御を実行していくのであるが、その前に、時間計測部347の内部時刻tに測定指令Ciの実行開始時間tsiを入れる(ST404)。
以後、時間計測部347は1制御周期ごとに内部時刻tに制御周期(Δt)を加算していき(ST420)、測定指令Ciの実行中にリアルタイムで時間を計測する。
ベクトル指令生成部344で合成ベクトルVを生成し、合成ベクトルVに従って駆動制御部350がモータ駆動等をしてプローブを移動させる。
これ自体はよく知られた処理である。
図21のフローチャートに従い、ベクトル指令生成部344は、第kバッファに格納された測定指令Ciを順に読み出し(ST411)、次の補間点に向けた合成ベクトルVを算出する(ST412)。
駆動制御部350はこの合成ベクトルVに従って各モータを駆動制御し、プローブ230の移動を実行する(ST413)。
図22を参照しながら、連結判定(ST430)を説明する。
連結判定部345は、測定指令Ciの速度計画Pviから測定指令Ciの終了時刻teiを取得しておく。そして、時間計測部347の内部時刻tとこの終了時刻teiとを対比して、現時点から測定指令Ciの終了時刻teiまでのギャップタイム(tei−t)を求める。
次の測定指令Ciの速度パターンの生成が完了してしまえば、現在実行中の測定指令Ciのあとすぐに次の測定指令Ci+1に移行でき、これはすなわち、現在実行中の測定指令Ciと次の測定指令Ci+1とが連結できることを意味する。したがって、速度パターン計画部341は、連結用速度計画を生成する。
連結判定フラグLFの値が"0"に設定されているときに、速度パターン計画部341が連結判定フラグLFを読みにいくことになった場合(ST310−ST330)、速度パターン計画部341は、個別用速度計画を生成する。
このとき、測定指令Ciを格納していた第kバッファの測定指令は実行済みということであるから、第kバッファにはさらに次の測定指令Ci+2の書き込みを行ってもよいわけである。そこで、第kバッファのバッファステータスフラグSB(k)の値を"0"に更新しておく。
あとは冗長なので繰り返さないが、このようにして各機能部が自身に割り当たられた制御ループを回すことでプローブ移動(ST410)が順番に実行されることが理解されるであろう。
本発明の大事な工夫はその他の部分、すなわち、PCC曲線を(細かく)分割すること、バッファの分割、メモリ制御、速度パターン計画、などにあり、ST410自体は従来通りなのである。
ただし、ST410で得られるプローブ移動の様子は従来と違ったものになる。
このことは、測定効率やその後のデータ処理にとって大きなマイナス要因であった。
もし、次の速度パターン計画(連結用速度計画)が間に合わなかったとしても、十分に速度が落ちているので(低速移動領域Lの手前で減速は完了済み)、そのままモータを停止し、その後リトラクション等の処理を行えばよい。
理想を言えば、測定指令Ciの最後のセグメントと次の測定指令Ci+1の最初のセグメントとを合わせて考えて、測定指令Ciの最後と測定指令Ci+1の最初とで最適な速度を割り出し、繋ぎ部分を最適速度で通過するのがよいのかもしれない。
このようなことはリングバッファを用いたりすれば可能と思われるかもしれないが、現状、速度パターン計画を生成するにあたってはセグメントを小出しに処理することはできず、あるまとまった区間ごと(測定指令Ciごと)に速度パターンの計画を行っている。
測定指令Ciの最後と測定指令Ci+1の最初とを繋ぐ部分の最適速度を毎回求めるには、速度パターンの生成法を大がかりに変える必要がある。
また、途中で計算が間に合わなくなれば、やはりプローブ230を一時停止してリトラクションとアプローチを挿入することになるが、この場合、後のデータ処理でデータの繋ぎ目を処理するのが難しくなるだろう。
(どこで止まったかはメモリアドレスを追跡することによってわかるかもしれないが、かなり複雑な処理になるだろう。)
このような理由を考慮して、本実施形態では、バッファを分割すること、分割された測定指令同士の繋ぎ目は決まった低速で通過すること(停止はしない)と、したわけである。
実際のところ、本実施形態では、測定指令Ciの実行中に次の測定指令Ci+1の速度計画を行っているのであるから、必ず低速領域が入るとしても、従来方式に比べて測定時間を相当に短縮できるのは明らかであるし、プローブが一時停止しないのでその後のデータ処理も簡単かつ高速で済む。
上記実施形態ではアクティブ設計値倣い測定を例にしているが、パッシブ設計値倣い測定でもよいことはもちろんである。
200…三次元測定機、210…定盤、220…移動機構、
221…Yスライダ、222…Xスライダ、223…Z軸コラム、224…Zスピンドル、
230…プローブ、231…スタイラス、232…測定子、233…支持部、
300…モーションコントローラ、
310…測定指令取得部、311…メモリコントローラ、312…メモリフラグ情報格納部、312…バッファフラグ情報格納部、321…第1バッファ、322…第2バッファ、
330…カウンタ部、
340…移動指令生成部、
341…速度パターン計画部、343…速度パターン格納部、344…ベクトル指令生成部、
345…連結判定部、
346…連結判定フラグ格納部、347…時間計測部、
348…CPU、
350…駆動制御部、
400…手動コントローラ、
500…ホストコンピュータ、
520…記憶部、530…形状解析部。
Claims (4)
- 先端に測定子を有するプローブと、
前記プローブを移動させる移動機構と、を備え、
前記測定子とワーク表面との接触を検知して前記ワークの形状を測定する形状測定装置の制御方法であって、
前記ワークの設計データに基づいて前記測定子を移動させる倣い経路を求め、前記プローブの前記ワークへの押込み量を基準押込み量に保つように制御しながら前記測定子を前記倣い経路に沿って移動させるにあたって、
前記倣い経路を所定数のセグメントごとに分割して、前記所定数のセグメントごとにひとまとまりの測定指令Ci(iは1からn+1の整数)とし、
測定指令Ciを実行している間に、その次の測定指令Ci+1の速度パターン計画を作成し、
このとき、前記測定指令Ciの速度パターン計画Pviの終速度と、前記測定指令Ci+1の速度パターン計画Pvi+1の初速度と、が同じになるように計画し、
前記測定指令Ciの最後と前記測定指令Ci+1の最初とを連続させて、前記プローブを停止させずに移動させ、
このとき、さらに、1からnのすべてのiについて、前記測定指令Ciの速度パターン計画Pviの終速度は、1mm/sec〜5mm/secの低速に設定される
ことを特徴とする形状測定装置の制御方法。 - 請求項1に記載の形状測定装置の制御方法において、
一の測定指令Ciに対応した速度パターン計画を生成するのに要する時間を計画演算時間Tpとするとき、
測定指令Ciを実行している間に、現在時刻からこの測定指令Ciの終了予定時刻までのギャップタイムを時々刻々算出し、
前記ギャップタイムが前記計画演算時間Tpよりも長い場合には、前記測定指令Ci+1の速度パターン計画Pvi+1の初速度を前記測定指令Ciの速度パターン計画Pviの終速度と同じにする連結用速度計画を生成し、
前記ギャップタイムが前記計画演算時間Tpよりも短い場合には、前記測定指令Ci+1の速度パターン計画Pvi+1の初速度はゼロとする個別用速度計画を生成する
ことを特徴とする形状測定装置の制御方法。 - 請求項1または請求項2に記載の形状測定装置の制御方法において、
前記測定指令Cnに含まれるセグメントの数と前記測定指令Cn+1に含まれるセグメントの数とを平均化する
ことを特徴とする形状測定装置の制御方法。 - 先端に測定子を有するプローブと、
前記プローブを移動させる移動機構と、を備え、
前記測定子とワーク表面との接触を検知して前記ワークの形状を測定する形状測定装置の制御方法であって、
前記ワークの設計データに基づいて前記測定子を移動させる倣い経路を求め、前記プローブの前記ワークへの押込み量を基準押込み量に保つように制御しながら前記測定子を前記倣い経路に沿って移動させるにあたって、
前記倣い経路を所定数のセグメントごとに分割して、前記所定数のセグメントごとにひとまとまりの測定指令Ci(iは1からn+1の整数)とし、
測定指令Ciを実行している間に、その次の測定指令Ci+1の速度パターン計画を作成し、
このとき、前記測定指令Ciの速度パターン計画Pviの終速度と、前記測定指令Ci+1の速度パターン計画Pvi+1の初速度と、が同じになるように計画し、
前記測定指令Ciの最後と前記測定指令Ci+1の最初とを連続させて、前記プローブを停止させずに移動させ、
このとき、
前記測定指令Ciの速度パターン計画Pviの終速度と、前記測定指令Ci+1の速度パターン計画Pvi+1の初速度と、は0mm/secではなく
さらに、
前記測定指令Cnに含まれるセグメントの数と前記測定指令Cn+1に含まれるセグメントの数とを平均化する
ことを特徴とする形状測定装置の制御方法。
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