実施の形態1.
<虚像表示装置100の構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る虚像表示装置100の構成の一例を模式的に示す図である。
図2は、図1の制御部130の構成を概略的に示すブロック図である。
図3は、図2のスクリーン駆動部142の構成を概略的に示すブロック図であり、図4は、図2の拡大ミラー駆動部141の構成を概略的に示すブロック図である。
図5(a)は、映像投射部である光源部111から映像光がスクリーン部120に向けて出射されている状態における光源部111、スクリーン121、及びスクリーン122(図5(a)に示される例ではスクリーン122L)の位置関係を示す図である。図5(a)は、光源部111及びスクリーン部120をx軸方向に見た図である。
図5(b)は、光源部111から映像光がスクリーン部120に向けて出射されている状態における光源部111、スクリーン121、及びスクリーン122の位置関係を示す図である。図5(b)は、光源部111及びスクリーン部120をy軸方向に見た図である。
本実施の形態において各図に示されるx軸は、虚像表示装置100のユーザとしての運転者500が車両600(「自車」ともいう)内からウインドシールド300を通して前方を見た場合の左右方向の軸を示し、右側(すなわち、右方向)は正方向を示す。本実施の形態において各図に示されるy軸は、運転者500が車両600内からウインドシールド300を通して前方を見た場合の上下方向の軸を示し、上側(すなわち、上方向)は正方向を示す。本実施の形態において各図に示されるz軸は、運転者500が車両600内からウインドシールド300を通して前方を見た場合の奥行方向(前後方向)の軸を示し、奥側(前側)は正方向を示す。本実施の形態では、x軸方向及びz軸方向は水平方向であり、y軸方向は鉛直方向である。ただし、車両600の状態によっては、必ずしもx軸方向及びz軸方向は水平方向と一致していなくてもよく、同様に、y軸方向も鉛直方向と一致していなくてもよい。虚像表示装置100のユーザは運転者500に限らない。虚像表示装置100のユーザは、例えば同乗者などの乗車している人を含む。
虚像表示装置100は、車両600の運転者500によって視認される虚像(図1における虚像エリア401及び402に形成される)を風景に重畳させて表示する。虚像表示装置100は、例えば、車両600のダッシュボード610に搭載されている。ただし、虚像表示装置100は、ヘッドアップディスプレイに限るものではなく、設置場所もダッシュボードに限るものではない。
虚像表示装置100は、映像表示部110と、映像表示部110を制御する制御部130(スクリーン制御部)と、反射ミラーとしての拡大ミラー140とを備える。映像表示部110は、映像投射部としての光源部111と、スクリーン121及び位置を変更することができるスクリーン122を含むスクリーン部120とを有する。また、虚像表示装置100は、スクリーンの位置を変更するスクリーン駆動部142(図2、図3)を備える。また、虚像表示装置100は、拡大ミラーの位置を変更する拡大ミラー駆動部141(図2、図4)を備えてもよい。
スクリーン駆動部142は、スクリーン部120のスクリーン122の位置及び傾きを変更するための手段としてモーター、その駆動回路、及び駆動機構等を有してもよい。図1に示される例では、光源部111は、映像表示部110内に備えられているが、映像表示部110の外部に備えられていてもよい。
図1に示されるように、本実施の形態では、スクリーン部120は、第1のスクリーンとしてのスクリーン122R(「右側スクリーン」又は「第1の可動スクリーン」ともいう)と、第2のスクリーンとしてのスクリーン122L(「左側スクリーン」又は「第2の可動スクリーン」ともいう)と、第3のスクリーンとしてのスクリーン121(「上側スクリーン」又は「基準スクリーン」ともいう)とを有する。本実施の形態では、スクリーン122R及び122Lの一組を「スクリーン122」又は「可動スクリーン122」と称する。本実施の形態では、スクリーン121に形成された像は、拡大ミラー140によってウインドシールド300に向けて投影され、その結果、運転者500に近い一定の位置(虚像エリア401)に虚像が表示される。また、スクリーン122に形成された像は、拡大ミラー140によってウインドシールド300に向けて投影され、その結果、運転者500から遠く且つ変更可能な位置(虚像エリア402)に虚像が表示される。このように、拡大ミラー140は、スクリーン121,122上に形成された像をウインドシールド300に向けて投影するので、「投影部」ともいう。
光源部111は、光出射口111aを有し、スクリーン部120に向けて光出射口111aから映像光を出射する。光源部111は、例えば、プロジェクターのように、映像光を出射する。「映像光」とは、映像情報を有する光、すなわち、映像情報に基づいて変調された光のことである。光源部111が出射する映像光は、虚像として映し出される映像の情報を有している。なお、映像光は、例えば、静止している画像の情報を含むことができる。
図5(a)に示されるように、y軸方向において投射方向M(すなわち、映像光の中心光線の投射方向)を中心として、上側の投射方向Uと下側の投射方向Bとの間の範囲で、光源部111から映像光が出射され、スクリーン部120に投射される。
図5(b)に示されるように、x軸方向において投射方向C(すなわち、映像光の中心光線の投射方向)を中心として、右側の投射方向Rと左側の投射方向Lとの間の範囲で、光源部111から映像光が出射され、スクリーン部120に投射される。ここで、映像光の投射方向Cは、映像光の中心光線の方向としている。
光源部111から出射された映像光は、スクリーン部120内のスクリーン(例えば、スクリーン121若しくは122、又はそれらの全て)に投射される。その映像光に基づく映像は、スクリーン部120内のスクリーン上に結像される。光源部111側からスクリーン部120に入射した映像光は、スクリーン部120内のスクリーンを透過する。
上述のように、スクリーン部120には、映像光が投射される。スクリーン121及び122は、透過型のスクリーンである。「投射」とは、映像光を出射すること、又は映像光によって映像を表示することである。ここで、映像は虚像を含む。そのため「投射」は、出射された映像光、又は映像光によって表示される映像(虚像を含む)に対して用いられる。
スクリーン部120内のスクリーン121は、近距離に(すなわち、運転者500に近い位置に)虚像を表示するための虚像用スクリーンである。スクリーン122は、遠距離に(すなわち、運転者500から遠い位置に)虚像を表示するための虚像用スクリーンである。
スクリーン駆動部142は、スクリーン部120内において、スクリーン122を映像光の投射方向Sに移動(スライド)させるスクリーン駆動手段である。スクリーン駆動部142は、モーター、その駆動回路、及び駆動機構などを有することができる。図3に示されるように、スクリーン駆動部142は、スクリーン(第1の可動スクリーン)122Rを投射方向Sに沿って移動させる第1のスクリーン移動部145Rと、スクリーン(第2の可動スクリーン)122Lを投射方向Sに沿って移動させる第2のスクリーン移動部145Lとを有する。第1のスクリーン移動部145R及び第2のスクリーン駆動部145Lの各々は、例えば、スクリーン122R又は122Lを投射方向Sに移動可能(スライド可能)に支持する支持機構であるスクリーン支持部と、スクリーン122R又は122Lを移動させる駆動力を発生するモーターなどの駆動力発生手段と、この駆動力をスクリーン122R又は122Lに伝達するギヤなどの駆動力伝達機構とを有する。
また、図3に示されるように、スクリーン駆動部142は、スクリーン122Rをx軸に平行な中心軸を中心にして回転させることでスクリーン122Rの傾きを変える第1のスクリーン回転部146Rと、スクリーン122Lをx軸に平行な中心軸を中心にして回転させることでスクリーン122Lの傾きを変える第2のスクリーン回転部146Lとを有してもよい。第1のスクリーン回転部146R及び第2のスクリーン回転部145Lの各々は、例えば、スクリーン122R又は122Lをx軸に平行な中心軸を中心にして回転可能に支持する支軸(図5(a)における1221)と、スクリーン122R又は122Lを回転させる駆動力を発生するモーターなどの駆動力発生手段と、この駆動力をスクリーン122R又は122Lに伝達するギヤなどの駆動力伝達機構とを有する。
また、拡大ミラー駆動部141は、駆動機構と駆動回路などを有することができる。図4に示されるように、拡大ミラー駆動部141は、拡大ミラー140を支軸を中心に回転させることで拡大ミラー140の傾きを変える拡大ミラー回転部144と、拡大ミラー140を投射方向Sに沿って移動させる拡大ミラー移動部143とを有してもよい。拡大ミラー回転部144は、例えば、拡大ミラー140をx軸に平行な中心軸を中心にして回転可能に支持する支軸と、拡大ミラー140を回転させる駆動力を発生するモーターなどの駆動力発生手段と、この駆動力を拡大ミラー140に伝達するギヤなどの駆動力伝達機構とを有する。拡大ミラー移動部143は、例えば、拡大ミラー140を投射方向に移動可能(スライド可能)に支持する支持機構である拡大ミラー支持部と、拡大ミラー140を移動させる駆動力を発生するモーターなどの駆動力発生手段と、この駆動力を拡大ミラー140に伝達するギヤなどの駆動力伝達機構とを有する。
図5(a)において、スクリーン122は投射方向Sに移動可能である。投射方向Sは、スクリーン122のスクリーン121側の端部1220における映像光の投射方向である。スクリーン122は、投射方向Sに平行に移動する。投射方向Sは、映像光の光束の中心光線の投射方向Mに対して傾斜している。ここで、中心光線とは、光束の中心を通る光線である。図5(a)では、投射方向Sは、例えば、投射方向Mに対して+y軸方向に傾斜している。
拡大ミラー140は、負のパワーを有する反射面(具体的には、凹面)を備える。拡大ミラー140は、スクリーン122Rを透過した映像光を反射することで(すなわち、スクリーン122R上に形成された像を投影することで)虚像エリア402に第1の虚像を形成し、スクリーン122Lを透過した映像光を反射することで(すなわち、スクリーン122L上に形成された像を投影することで)虚像エリア402に第2の虚像を形成し、スクリーン121を透過した映像光を反射することで(すなわち、スクリーン121上に形成された像を投影することで)虚像エリア401に第3の虚像を形成する。
拡大ミラー140は、スクリーン部120を透過した映像光を拡大させ、ウインドシールド300に向けて投射する。ウインドシールド300は、例えば、車両600のフロントガラスである。ウインドシールド300は、拡大ミラー140からの映像光を反射して虚像表示装置100のユーザとしての運転者500へ導く。
言い換えれば、拡大ミラー140は、スクリーン部120を透過した映像光を投射する。つまり、拡大ミラー140は、スクリーン部120に形成された像を虚像として投影する。このように、拡大ミラー140は、スクリーン部120に形成された像を投影する機能を有する投影部である。投影部は、複数のミラーを備えることができる。つまり、拡大ミラー140は、複数のミラーを有することができる。
なお、本実施の形態では、一例として、虚像表示装置100がフロントガラス型のヘッドアップディスプレイである場合を説明する。しかし、虚像表示装置100は、コンバイナー型のヘッドアップディスプレイへの適用も可能である。コンバイナー型のヘッドアップディスプレイの場合は、コンバイナーが、拡大ミラー140とフロントガラス(例えば、ウインドシールド300)の代わりとなり、スクリーン部120のスクリーンに結像された映像を拡大すると共に、反射し、運転者500へ導く。
スクリーン部120のスクリーン122及び122上に結像された映像は、虚像エリア401、402を含む虚像形成領域400内に虚像として表示される。虚像形成領域400は、運転者500から見てウインドシールド300の前方に位置している。なお、虚像エリア401,402とは、虚像が表示される面状のエリアである。
スクリーン121上の映像は、虚像エリア401に虚像として表示される。また、スクリーン部120内のスクリーン(例えば、スクリーン122R若しくは122L、又はそれらの両方)が第1の位置122aに位置するとき、そのスクリーン上の映像は、虚像エリア402内の虚像エリア402aに虚像として表示される。虚像エリア402は、スクリーン122(例えば、スクリーン122R若しくは122L、又はそれらの両方)を透過した映像光に基づく虚像の表示位置(例えば、虚像エリア402a,402b,又は402c)である。
図1の構成においては、スクリーン部120のスクリーン上に結像された映像は、上下が反転されて虚像形成領域400内に虚像として表示される。そのため、光源部111からスクリーン部120に投射された映像光によってスクリーン121及び122上に形成された映像は、拡大ミラー140によって上下反転した映像となり、この上下反転した映像に基づく虚像が虚像形成領域400内に形成される。
スクリーン部120内のスクリーンが第1の位置122aから第2の位置122bに移動(光源部111に向けて投射方向Sに平行な方向に移動)した場合、虚像エリア402aよりも遠方の虚像エリア402bに虚像が移動する。すなわち、第1の位置122aは虚像エリア402aに対応し、第2の位置122bは虚像エリア402bに対応する。
スクリーン122R及び122Lは回転可能であり、例えば、スクリーン部120内のスクリーン(スクリーン122R若しくは122L、又はそれらの両方)の下側が第2の位置122bに位置するようにスクリーンを傾けた場合、虚像エリア402cの位置に、傾いた虚像が表示される。ここで、虚像エリア402cの虚像は、まっすぐに傾く(すなわち、平面のまま傾く)のではなく、図1に示されるように、運転者500に向かう距離方向に凸状部を向けるカーブした状態(すなわち、曲面の状態)で傾く。
図5(a)及び(b)に示したスクリーン構成においては、スクリーン121に結像された映像は、図1に示される虚像エリア401に表示される。すなわち、図1に示されるように、スクリーン121に結像された映像は、虚像形成領域400内の下側の位置で、且つ虚像エリア402よりも運転者500に近い位置に表示される。スクリーン121は移動しないため、虚像エリア401の位置は変わらない。虚像エリア401には、例えば、速度情報など、運転者500が適時確認する情報が表示される。ただし、本発明は、スクリーン121が移動又は回転できるように構成された虚像表示装置にも適用可能である。
図5(b)に示されるように、スクリーン部120は、左右に分割されたスクリーン122R及びスクリーン122Lを有する。スクリーン122R及びスクリーン122Lは、互いに独立して位置及び傾きが変更される。したがって、虚像エリア402も、運転者500から前方を見た場合に左右に分割されている。虚像エリア402では、スクリーン122Rの位置及び傾きに応じた虚像距離及び虚像の傾きを持つ第1の虚像及びスクリーン122Lの位置及び傾きに応じた虚像距離及び虚像の傾きを持つ第2の虚像が表示される。ただし、本発明は、スクリーン122が分割されていない虚像表示装置、又は、スクリーン122が3つ以上に分割されている虚像表示装置にも適用可能である。
虚像エリア402に表示する虚像の表示方法として、例えば、AR(Augmented Reality;拡張現実)技術が用いられる。AR技術は、現実の風景にデジタル情報を重ね合わせて表示する技術である。AR表示は、AR技術を用いて、現実の風景にデジタル情報を重ね合わせた表示方法である。
本実施の形態で用いられるAR表示では、運転者500の視線の先に、背景(すなわち、現実の風景)に重畳された虚像を表示する。具体的には、x軸方向及びy軸方向における虚像の位置のみではなく、虚像の距離(z軸方向)も背景と合わせる(すなわち、背景の位置又は形状に応じて、虚像の位置及び形状、並びに運転者から虚像までの距離を設定する)ことで、運転者500は虚像が示す情報を認識し易くなる。例えば、車外カメラ又はセンサー(例えば、図3におけるカメラ151)などで検知した歩行者又は障害物などの対象物の距離に応じて、左右の虚像の虚像距離を別々に調整することが可能である。
虚像距離L1、すなわち、運転者500の目から虚像形成領域400内の虚像エリア402a、402b又は402cの位置までの距離は、拡大ミラー140の焦点距離f及び、拡大ミラー140からスクリーン部120内のスクリーンまでの投射距離Dにより決定される。虚像距離L1はz軸に平行な方向における距離である。
虚像距離L1、拡大ミラー140の焦点距離f、及び投射距離Dの関係は、式(1)で近似的に表すことができる。
1/f = 1/D + 1/L1 (1)
ここで、投射距離Dと虚像距離L1との関係は線形ではないため、スクリーン部120内のスクリーン(例えば、スクリーン122R若しくは122L、又はそれらの両方)を傾けた場合、図1に示される虚像エリア402cのようにカーブした虚像が表示される。
運転者500は、ウインドシールド300の前方の風景と、その風景に重畳された虚像とを同時に視認できる。
拡大ミラー140の反射面は、自由曲面で形成されてもよい。拡大ミラー140の反射面をウインドシールド300の曲率に応じた適切な形状の曲面で形成すれば、拡大ミラー140によって、ウインドシールド300の曲率による映像の歪みを補正することができる。
制御部130は、拡大ミラー駆動部141を制御することで、拡大ミラー140の傾き(すなわち、映像光の反射角度)及び位置を変更(例えば、移動及び回転)することができる。制御部130は、スクリーン駆動部142を制御することで、スクリーン部120内のスクリーン(具体的には、スクリーン122R及び122L)の位置及び傾きを変更(例えば、移動及び回転)することができる。具体的には、制御部130は、スクリーン122Rの位置及び傾きの少なくとも一方を制御することができ、スクリーン122Lの位置及び傾きの少なくとも一方を制御することができる。制御部130の構成に関しては後述する。
光源部111から出射された映像光が、運転者500に到達するまでの間の装置の構成は、図1に示す構成に限らない。例えば、映像光は、拡大ミラー140又はウインドシールド300以外の反射面で反射される構成でもよい。また、スクリーン部120内のスクリーンは、透過型に限られず、反射型であってもよい。ダッシュボード610の空きスペース及び拡大ミラー140などの光学部品の大きさを考慮して、装置の構成は変更することができる。
<制御部130の構成>
図2に示されるように、制御部130は、映像データ変換部131、光源制御部132、虚像制御部133、及び投射位置制御部134を備える。制御部130は、スクリーン駆動部142(スクリーン駆動回路を含む)、及び拡大ミラー駆動部141(拡大ミラー駆動回路を含む)を備えても良い。
映像データ変換部131は、虚像として表示される映像の元となる映像信号データを、光源制御部132及び虚像制御部133で扱える形式に変換する。映像信号データは、例えば、虚像用の映像、映像の拡大率、及び虚像の表示方向若しくは遠近方向の虚像の表示距離を示す距離データなどのデータを含む。
映像データ変換部131は、虚像表示装置100の内部で生成された映像信号データを受け取ることができる。また、例えば、映像データ変換部131は、制御部130で生成された映像信号データを受け取ることができる。
虚像表示装置100又は制御部130は、例えば、車両600の走行速度の情報又は外気温度の情報などを外部の機器から受け取る。虚像表示装置100又は制御部130は、それらの情報を基にして虚像用の映像などを含む映像信号データを生成する。虚像表示装置100又は制御部130は、生成した映像信号データを、映像データ変換部131に渡す。
また、例えば、映像データ変換部131は、虚像表示装置100の外部の機器で生成された映像信号データを受け取ることができる。虚像表示装置100の外部の機器は、例えば、車両600を制御する部分又はナビゲーションシステムなどである。
また、映像データ変換部131は、車両600の外部から映像信号データを受け取ることができる(例えば、通信装置によって映像信号データなどを受信することができる)。車両600の外部から受け取る映像信号データは、例えば、インターネットを介して受信した情報などを基に生成されるデータである。
映像データ変換部131は、光源制御部132と虚像制御部133とに映像信号データS1及びS2を送る。
光源制御部132は、光源部111からの映像光の出射を制御する。光源制御部132は、映像データ変換部131から映像信号データS1を受け取る。光源制御部132は、映像信号データS1に基づき、光源部111から出射される映像光の基となる映像データを生成する。光源制御部132が映像データを生成するとき、表示される虚像の方向又は奥行き又はこれらの両方を考慮して、映像のサイズ又は映像の表示される位置などが決定される。これにより、映像データが生成される。光源制御部132は、生成された映像データを制御信号S3として光源部111に送る。
光源部111は、映像光を出射する。光源部111は、制御信号S3に基づき、映像光を出射する。光源部111は、制御信号S3を光源制御部132から受け取る。制御信号S3は、映像データを基にして光源部111を制御する信号である。
虚像制御部133は、スクリーン122の位置又は傾き(すなわち、位置又は傾き又はそれらの両方)を制御するための制御信号S4(位置又は傾き又はそれらの両方を示す指示情報)を生成する。虚像制御部133は、映像データ変換部131から映像信号データS2を受け取る。虚像制御部133は、映像信号データS2に基づき、制御信号S4をスクリーン駆動部142に送る。
例えば、図1において、遠距離の虚像を表示するため、第2の位置122bに、スクリーン部120内のスクリーン(例えば、スクリーン122R若しくは122L、又はそれらの両方)を移動することで、虚像は遠距離の虚像エリア402bの位置に表示される。これによって運転者500には、虚像が遠方に表示されているように見える。
運転者500から虚像までの虚像距離L1は、拡大ミラー140からスクリーン122までの光路長、及び拡大ミラー140の拡大率などによって決まる。遠距離用の第2の位置122bから拡大ミラー140までの光路長は、近距離用の第1の位置122aから拡大ミラー140までの光路長よりも長い。このため、遠距離の虚像エリア402bは、近距離の虚像エリア402aよりも、運転者500から遠い位置にある。
虚像制御部133は、映像データ変換部131からの映像信号データS2に基づき、運転者500から虚像エリア402aまでの距離及び運転者500から虚像エリア402bまでの距離を決定する。運転者500から虚像エリア402a及び402bまでの距離の決定は、映像信号データS2以外の情報(例えば、カメラ151が撮影した画像情報又はセンサーが検出した検出情報などの風景情報S7)に基づいて行われても良い。ただし、この場合には、虚像表示装置100で表示する映像と、距離の情報とを互いに関連付ける処理が必要である。
スクリーン駆動部142は、スクリーン部120内のスクリーン(例えば、スクリーン122R若しくは122L、又はそれらの両方)の位置を調整する。図2に示される例では、スクリーン駆動部142は、制御部130の内部に備えられているが、スクリーン駆動部142の一部(例えば、モーターの駆動回路)は、制御部130又は映像表示部110の内部などの他の場所に備えられてもよい。スクリーン駆動部142は、制御部130の外部に備えられてもよい。
スクリーン駆動部142は、制御信号S4に基づき、スクリーン122の位置及び傾きを調整する。これにより、虚像は、スクリーン部120内のスクリーン(例えば、スクリーン122R若しくは122L、又はそれらの両方)の位置又は傾き又はそれらの両方に応じて、運転者の目の位置を基準とする遠近の方向(例えば、虚像エリア402aと虚像エリア402bとの間の任意の位置)又は傾き(例えば、虚像エリア402cの角度)が変化する。ここで「遠近の方向」とは、図1に示される例では、車両600の進行方向(z軸方向)である。スクリーン駆動部142は、制御信号S4を、虚像制御部133から受け取る。制御信号S4は、スクリーン122の位置を調整する位置情報又はスクリーン122の傾きを調整する傾き情報である。
投射位置制御部134は、拡大ミラー140の位置又は傾き(すなわち、反射角度)を変更するための制御信号S5(すなわち、位置又は傾き又はそれらの両方を示す指示情報)を生成する。投射位置制御部134は、入力器150から、拡大ミラー140を調整するための信号S6を受け取る。
入力器150は、例えば、入力ボタン、スイッチ、又はダイアル等のようなユーザー操作装置である。入力器150は、車両600に、虚像の投射位置の制御用として設けられている。入力器150は、例えば、運転者500によって操作される。
投射位置制御部134は、信号S6を制御信号S5に変換する。制御信号S5は、拡大ミラー140の位置又は傾きを変更するための信号である。投射位置制御部134は、制御信号S5を拡大ミラー駆動部141に送る。
拡大ミラー駆動部141は、拡大ミラー140の位置又は傾きを調整する。図2に示される例では、拡大ミラー駆動部141は、制御部130の内部に備えられているが、拡大ミラー駆動部141の一部(例えば、モーターの駆動回路)は、制御部130又は映像表示部110の内部などの他の場所に備えられてもよい。拡大ミラー駆動部141は、制御部130の外部に備えられてもよい。
拡大ミラー駆動部141は、制御信号S5に基づき、拡大ミラー140の位置又は傾きを調整する。制御信号S5に応じて、虚像が表示される位置又は傾き(例えば、虚像エリア402a,402b,又は402c)が変化する。これにより、運転者500の体格の違い又は座席位置設定などによって運転者500の視点が変わった場合でも、虚像を視認できるように、虚像の位置及び傾きを調整することができる。運転者500は、虚像を確認しながら、最適な虚像位置を入力器150を用いて調整することができる。拡大ミラー駆動部141は、制御信号S5を、投射位置制御部134から受け取る。制御信号S5は、拡大ミラー140の位置又は傾きを調整するための信号である。ただし、本発明は、拡大ミラー駆動部141を備えておらず拡大ミラー140の位置が固定されている虚像表示装置にも適用可能である。
<スクリーンの構成>
図5(a)に示されるように、スクリーン121は、y軸方向においてスクリーン122と隣接している。具体的には、スクリーン121は、y軸方向におけるスクリーン122の上側に備えられている。図5(b)に示されるように、スクリーン121は、投射方向Rから投射方向Lまでの範囲でx軸方向に延在している。スクリーン121は、スクリーン部120内で固定されている。
スクリーン122は、y軸方向におけるスクリーン121の下側に備えられている。具体的には、図5(a)に示されるように、スクリーン部120では、投射方向Sを境として、上側にスクリーン121が配置されており、下側にスクリーン122が配置されている。投射方向Sは、スクリーン121の下端と光出射口111aとを通る直線に平行な方向である。また、投射方向Sは、光源部111から出射された映像光の内のスクリーン122のスクリーン121側の端部1220を通過する光束の方向でもある。さらに、図5(b)に示されるように、スクリーン部120では、投射方向Cを境として、右側にスクリーン122Rが配置されており、左側にスクリーン122Lが配置されている。投射方向Cは、z軸方向と同じである。
スクリーン122は、スクリーン121よりも光源部111の近くに位置する。y軸方向におけるスクリーン121の下端は、投射方向Sの延長線上に位置する。
y軸方向におけるスクリーン122の上端(端部1220)は、スクリーン121の下端と光出射口111aとを通る直線に略一致又はこの直線よりも下側に位置することが望ましい。図5(a)では、スクリーン122の上端は、投射方向Sの延長線上に位置している。
スクリーン122は、第1の位置122aと第2の位置122bとの間で移動可能である。図5(b)に示される例では、スクリーン122Rは、第1の位置122Raと第2の位置122Rbとの間を移動可能である。図5(b)に示される第1の位置122Raは、図5(a)に示される第1の位置122aに対応し、図5(b)に示される第2の位置122Rbは、図5(a)に示される第2の位置122bに対応する。
同様に、図5(b)に示される例では、スクリーン122Lは、第1の位置122Laと第2の位置122Lbとの間を移動可能である。図5(b)に示される第1の位置122Laは、図5(a)に示される第1の位置122aに対応し、図5(b)に示される第2の位置122Lbは、図5(a)に示される第2の位置122bに対応する。
スクリーン122R及び122Lは、互いに独立して移動可能である。
スクリーン122の移動方向は、図5(a)において矢印で示されるように、投射方向Sと平行である。具体的には、スクリーン122Rは、y軸方向におけるスクリーン121の下端と光出射口111aとを通る直線(図5(a)においては、y軸方向におけるスクリーン122Rの上側の端部1220と光出射口111aとを通る直線)と平行に移動する。同様に、スクリーン122Lは、y軸方向におけるスクリーン121の下端と光出射口111aとを通る直線(図5(a)においては、y軸方向におけるスクリーン122Lの上側の端部1220と光出射口111aとを通る直線)と平行に移動する。したがって、スクリーン122の上端側に投影される映像光の位置は、スクリーン122の位置が変更された場合でも、スクリーン122の上端側に投影される。ただし、スクリーン122R及び122Lの移動方向は、スクリーン121の下端と光出射口111aとを通る直線よりも下側を移動することが望ましく、投射方向Sと厳密に平行でなくてもよい。スクリーン122がスクリーン121の下端と光出射口111aとを通る直線よりも下側を移動すれば、スクリーン122R又は122Lが移動しているとき、光源部111からスクリーン121に投射される映像光が、スクリーン122R又は122Lによって遮られることを防止することができる。
さらに、スクリーン122Rの移動方向は、図5(b)において矢印で示されるように投射方向Cと平行である。投射方向Cは、z軸方向と平行である。ただし、スクリーン122Rの移動方向は、投射方向Cと厳密に平行でなくてもよい。同様に、スクリーン122Lの移動方向は、図5(b)において矢印で示されるように投射方向Cと平行である。ただし、スクリーン122Lの移動方向は、投射方向Cと厳密に平行でなくてもよい。
スクリーン122は、y軸方向における上端近傍に位置する支軸1221を回転中心として回転する。すなわち、スクリーン122Rは、y軸方向における上端近傍の支軸を回転中心として回転する。同様に、スクリーン122Lは、y軸方向における上端近傍の支軸を回転中心として回転する。スクリーン122R及び122Lは、互いに独立して回転可能である。これにより、スクリーン122R及び122Lは、互いに独立して傾きを変更することができる。
スクリーン122R及び122Lは、上端側を回転中心として回転することで、例えば、第3の位置122cなどに位置するように傾くことができる。これにより、スクリーン122R及び122Lは、y軸方向における下側が光源部111に近づくように傾く。スクリーン122の上端側が回転中心であるので、スクリーン122の上端側に投影される映像光は、スクリーン122の傾きが変更された場合でも、スクリーン122の上端側に投影される。
制御部130は、スクリーン122Rの位置を移動させるようにスクリーン駆動部142を制御することによりスクリーン122Rから拡大ミラー140までの距離を変更し、第1の虚像(虚像エリア402内における虚像)の位置を変更する。同様に、制御部130は、スクリーン122Lの位置を移動させるようにスクリーン駆動部142を制御することによりスクリーン122Lから拡大ミラー140までの距離を変更し、第2の虚像(虚像エリア402内における虚像)の位置を変更する。制御部130は、スクリーン部120内のスクリーン122R及び122Lの位置を別々に制御することができる。これにより、制御部130は、運転者500の目の位置から第1の虚像の位置までの虚像距離(第1の虚像距離)と運転者500の目の位置から第2の虚像の位置までの虚像距離(第2の虚像距離)とが互いに異なるようにスクリーン122Rの位置及びスクリーン122Lの位置を制御することができる。
制御部130は、運転者500に案内する情報(例えば、運転者500に提供される注意情報などの内容)に応じて、運転者500の目の位置から第1の虚像の位置までの第1の虚像距離と運転者500の目の位置から第2の虚像の位置までの第2の虚像距離との差を制御することができる。
制御部130は、スクリーン部120内のスクリーン122R及び122Lの傾きを別々に制御することができる。これにより、制御部130は、第1の虚像の傾きと第2の虚像の傾きとが互いに異なるようにスクリーン122Rの傾き及びスクリーン122Lの傾きを制御することができる。
制御部130は、運転者500に案内する情報に応じて、第1の虚像と第2の虚像とが成す角度を制御することができる。第1の虚像と第2の虚像とが成す角度は、例えば、図1において、虚像エリア402aの位置に第1の虚像が表示され、虚像エリア402cの位置に第2の虚像が表示される場合には、虚像エリア402aの面と虚像エリア402cの面とが成す角度である。運転者500からは、言い換えれば、第1の虚像と第2の虚像とが成す角度の調整によって、運転者500からは、第1の虚像が表示されている面の傾斜と第2の虚像が表示されている面の傾斜との違いを視覚的に認識することができる。
次に、虚像表示装置100の動作についていくつかの例を説明する。
<虚像表示例1;注意喚起>
図6は、虚像表示装置100によって表示される虚像の一例を示す図である。
図6に示される例は、前方の歩行者及び車両などに対する注意喚起の表示を行う例である。図6に示されるように、運転者500が前方方向を見た場合の風景に、虚像表示装置100によって生成された虚像が重畳されている。
図6では、車両600(自車)から近い距離の位置において、道路の右端700Rから、対象物である歩行者701が道路を横断しようとしている状態を示している。同時に、図6では、車両600(自車)から遠い距離の位置において、道路の左端700Lから、他の対象物である車両702(他車)が道路に進入しようとしている状態を示している。
図6では、歩行者701及び車両702に対して走行中の進路に進入する可能性がある注意喚起の対象として、虚像表示装置100は注意喚起のための虚像表示を行っている。具体的には、歩行者701に対しては、近い距離である虚像エリア402Ra上に、虚像である注意喚起マーク410を表示している。車両702に対しては、遠い距離である虚像エリア402Lbに、虚像である注意喚起マーク411を表示している。
すなわち、制御部130は、スクリーン駆動部142を制御することによって、運転者500の目の位置から第1の虚像の位置(図6に示される例では、虚像エリア402Ra)までの第1の虚像距離と運転者500の目の位置から第2の虚像の位置(図6に示される例では、虚像エリア402Lb)までの第2の虚像距離とが互いに異なるようにスクリーン122Rの位置(図5(b)に示される例では、第1の位置122Ra)及びスクリーン122Lの位置(図5(b)に示される例では、第2の位置122Lb)を制御する。
さらに図6に示される例では、制御部130は、運転者500に案内する情報(図6に示される例では、前方の歩行者701及び車両702などに対する注意喚起)に応じて、運転者500の目の位置から第1の虚像の位置(すなわち、虚像エリア402Ra)までの第1の虚像距離と運転者500の目の位置から第2の虚像の位置(すなわち、虚像エリア402Lb)までの第2の虚像距離との差を制御する。
虚像エリア402Raが表示される虚像距離は、例えば、車両600に搭載されたカメラ又はセンサー(例えば、図2のカメラ151)などによる画像データ又は検出データから測定又は推定(算出)した歩行者701までの距離に基づいて決定する。同様に、虚像エリア402Lbが表示される虚像距離も、車両702までの距離に基づいて決定する。
注意喚起マーク410及び411の表示サイズは、距離及び対象物(図6に示される例では、歩行者701及び車両702)の距離及び大きさに基づいて決定し、注意喚起マーク410及び411の表示位置(対象物を基準にして上下左右の方向)については、運転者500が対象物を見た場合の視線方向において対象物に近い位置に決定する。
運転者500から近い距離である虚像エリア401には、車両600の走行速度又は走行道路の情報(図6に示される例では道路名)などが表示される。なお、運転者500が見ている対象物(視線上にある対象物)と虚像の表示位置とを完全に合わせる(一致させる)必要はなく、むしろ対象物の下側など、対象物から少しずらした位置に虚像を表示することで、運転者500にとって対象物の視認を容易にすることができる。
上述のように、対象物に近い位置に虚像である注意喚起マーク410及び411を表示することで、運転者500は対象物及び注意喚起マーク410及び411を同時に視認しやすくなり、対象物及び注意喚起マーク410及び411の認識率が向上する。また、虚像表示装置100は、左右の虚像エリアで互いに異なる距離に虚像を表示することが可能なため、互いに異なる距離に位置する対象物に関する注意喚起を適切な表示位置で行うことが可能となる。
なお、虚像表示装置100で表示できる最大の虚像距離が対象物までの距離(すなわち、z軸方向における距離)よりも短い場合、対象物までの距離に合わせた表示位置に虚像を表示することが困難である。この場合、例えば、虚像表示装置100が表示可能な虚像距離の範囲において、虚像エリア402Raから歩行者701までの距離A1と、虚像エリア402Lbから車両702までの距離A2との間の相似関係が維持されるように、虚像エリア402Raの虚像距離と虚像エリア402Lbの虚像距離とを設定し、注意喚起マーク410及び411を表示する。つまり、図6において、虚像エリア402Lbから虚像エリア402Raまでの距離A3と、車両702から歩行者701までの距離A4との間の相似関係が維持されるようにする。
虚像に対応した対象物とは、虚像を表示する対象となるものである。この例では、歩行者701及び車両702が、虚像に対応した対象物となる。
また、虚像表示装置100で表示できる最小の虚像距離が、自車の運転者500の目から対象物までの距離より大きい場合についても、同様に対応する。この場合には、例えば、虚像エリア402Lbを、虚像表示装置100で表示可能な虚像距離の範囲内に移動する。例えば、図6において、虚像エリア402Lbから虚像エリア402Raまでの距離A3と、車両702から歩行者701までの距離A4との間の相似関係が維持されるようにする。つまり、虚像エリア402Raから歩行者701までの虚像距離A1と、虚像エリア402Lbから車両702までの虚像距離A2との間の相似関係が維持されるように、虚像エリア402Raの虚像距離を決定する。
つまり、虚像距離の異なる2つの虚像のどちらかが虚像表示装置100の表示可能な範囲外にある場合、虚像表示装置100は次のように動作する。虚像表示装置100は、2つの虚像の虚像距離の差(図6における距離A3に対応)を確保しながら、虚像表示装置100の表示可能な範囲に2つの虚像の虚像距離を変更して表示する。言い換えれば、制御部130は、図6における虚像エリア402Lbから虚像エリア402Raまでの距離(2つの位置座標の差)A3を確保しながら、虚像エリア402Lbと虚像エリア402Raの両方を表示可能な位置に、虚像エリア402Lbと虚像エリア402Raを移動させるように、スクリーン駆動部142を制御する。こうすることで、2つの虚像の虚像距離の差(図6におけるA3)を確保しながら2つの虚像を同時に表示することができる。
なお、2つより多い対象物がある場合には、例えば、優先される2つの対象物(例えば、危険度の高い2つの対象物、或いは車両600に近い2つの対象物など)を選択して表示するようにしても良い。
また、注意喚起すべき対象物が1つだけである場合、対象物に近い位置に注意喚起マークを表示可能であれば、注意喚起マークを表示するのみで良い。対象物に近い位置に注意喚起マークを表示することができない場合は、注意喚起マーク以外に、目印となる対象物マーク(例えば、交差点位置又は特定の距離を示すマークなど)を表示し、注意喚起マークの距離と目印となる対象物マークとの距離差により、対象物までの距離感を運転者500に認識しやすくすることができる。
<虚像表示例2;交差点での経路案内>
図7は、虚像表示装置100によって表示される虚像の他の例を示す図である。
図7に示される例は、対象物である交差点での右折時に経路案内を表示する例である。図7に示されるように、車両600(自車)の運転者500が前方方向を見た場合の風景に、虚像表示装置100によって生成された虚像が重畳されている。
道路700では、車両600に近い位置で右折可能であり、車両600から遠い位置に交差点がある。この場合において、虚像表示装置100は、遠い位置の交差点で右折を行うための経路案内として虚像の表示を行う。図7に示される例では、運転者500が前方方向を見た場合の路面の傾斜と虚像エリア402Lcの傾斜とは互いに同じである。
図7に示される例では、車両600が進むべき経路(図7に示される例では、左車線)を案内する虚像である経路案内矢印421が、傾いて視認されるように虚像エリア402Lcに表示されている。虚像エリア402Rbには、車両600から交差点までの距離と同じ距離の位置に虚像である案内矢印422が表示されている。
すなわち、制御部130は、スクリーン駆動部142を制御することによって、第1の虚像(図7に示される例では、案内矢印422)の傾きと第2の虚像(図7に示される例では、経路案内矢印421)の傾きとが互いに異なるようにスクリーン122Rの傾き及びスクリーン122Lの傾きを制御する。
<虚像表示例3;交差点での経路案内>
図8は、虚像表示装置100によって表示される虚像のさらに他の例を示す図である。
図8は、図7と同様に対象物である交差点での右折時に経路案内を表示する例である。図8に示されるように、車両600(自車)の運転者500が前方方向を見た場合の風景に、虚像表示装置100によって生成された虚像が重畳されている。図8に示される例では、左側の虚像エリア402Lcに表示する内容が図7に示される例と異なる。
虚像エリア402Lcには、前景の右折交差点を含めた簡略化した略地図である地図情報423aと、経路案内矢印423bと、車両600の現在位置を表す自車マーク423cとを含む表示内容423が虚像で表示されている。表示内容423を傾斜させて表示することで、運転者500は、前方背景と対比しやすくなる。
右側の虚像エリア402Rb内の案内矢印422は、右折交差点までの距離が虚像表示装置100で表示可能な虚像距離範囲(虚像を表示できる距離範囲)内となった場合に、右折交差点までの距離に合わせて虚像距離が調整され、表示される。なお、右折交差点までの距離が虚像表示装置100で表示可能な虚像距離範囲内となるまでは、虚像距離は最長の状態で、表示サイズを小さくし、表示位置を運転者500の視線に合わせて変更するようにすれば良い。また、虚像距離範囲外か虚像距離範囲内かによって、画像の鮮明さ及び表示色などを変えることで、運転者500に、対象物(交差点)と案内矢印422との距離が合っているか否かを認識させるようにしても良い。
<虚像表示例4>
図9(a)及び(b)は、虚像表示装置100によって表示される虚像のさらに他の例を示す図である。図9(a)及び(b)は、図8と同様に、左車線を走行する車両600(自車)が交差点427で右折する際に経路案内を表示する例を示している。ここで、交差点427は対象物である。図9(a)及び(b)に示される例では、車両600の現在位置を表す自車マーク424が右側の虚像エリア402Rd、402Reに虚像として表示されている点が、図8に示される例と異なる。
図9(a)及び(b)に示される例では、制御部130は、運転者500の目から虚像が表示される虚像エリア402Lcまでの距離である虚像距離B1(又はB1′)の縮尺を示す指示情報に基づいて、運転者500の目から虚像が表示される虚像エリア402Rd、402Reまでの距離である第2の虚像距離B2(又はB2′)を決定する。
図9(a)及び(b)は、交差点427の右折を案内する場合の表示例である。図9(a)及び(b)の左側の虚像エリア402Lcには、案内する交差点427の略地図425が傾斜した(すなわち、遠距離の点が近距離の点より高い位置に見えるように傾斜した)虚像として表示されている。略地図425の下側が近距離の位置として表示され、上側が遠距離の位置として表示されている。図9(a)及び(b)の右側の虚像エリア402Rd、402Reには、自車の位置を表す自車マーク424が虚像として表示されている。
図9(a)は、自車が、案内する交差点427から離れている場合を示す。この場合には、自車マーク424は、案内する交差点427よりも近距離の位置に虚像として表示される。図9(b)は、自車が案内する交差点427に近づいた場合を示す。この場合には、自車マーク424は、左側の略地図425の案内矢印426が虚像として表示されたときの案内矢印426の虚像距離B1′の位置の付近(すなわち、虚像距離B1′にほぼ等しい虚像距離B2′の位置の付近)に表示される。
さらに、図9(b)では、自車マーク424の先端を右側に向けて、交差点427が右折するポイントであることを示している。
なお、自車マーク424の形状は、図示の形状に限定されず、車の形状に似たアイコン又は矢印などの他の形状であっても良い。また、案内交差点に近づいた場合には、自車マーク424の形状を変更して(例えば、右折を示す右方向の矢印変更して)又は自車マーク424を強調表示して(例えば、輝度を上げる、色を変えて)、運転者500に右折するポイントであることを確実に通知するようにしても良い。
図9(a)及び(b)では、略地図425は、傾斜して表示されている。そのため、略地図425は、近距離の位置425aから遠距離の位置425bまで連続した形状の虚像である。また、図9(a)及び(b)では、略地図425は移動しない。このため、略地図425上の任意の点の虚像距離(すなわち、運転者の目から虚像上の点までの距離)は、図9(a)と図9(b)との間で変化していない。
なお、略地図425の下側(近距離)の位置425aの虚像距離と上側(遠距離)の位置425bの虚像距離との間の差である距離差は、実際の距離差と異なってもよい。そのため、略地図425上の点の虚像距離は、実際の距離とは異なる。図9(a)及び(b)では、自車マーク424は、虚像エリア402Reにおいて、略地図425上の自車の位置424aの虚像距離に合わせた位置に表示される。つまり、自車マーク424の虚像距離B2(又はB2′)は、略地図425上で自車の位置424aの虚像距離B1(又はB1′)と同じである。
つまり、この虚像表示例では、経路案内矢印426で示される案内表示のポイントの虚像距離B1(又はB1′)と、自車を示す表示である自車マーク424の虚像距離B2(又はB2′)とを合わせる、すなわち、一致させる。ここで、案内表示のポイントは、自車が曲がる位置である。そして、経路案内矢印426は、傾斜させて示した左画面の虚像エリア402Lc内に虚像で表示されている。左画面の虚像は、近距離の位置425aから遠距離の位置425bにわたって表示されている。そして、自車を示す自車マーク424は、右画面の虚像エリア402Re内に表示されている。これによって、案内位置に対する距離感を虚像エリア402Lc内の虚像で把握しやすくなる効果があり、運転者500に分かりやすく経路案内を行うことができる。
また、虚像表示装置100において、虚像を表示できる距離範囲(z軸方向の範囲)は限られた狭い範囲である。例えば、装置の仕様又は設計によって、虚像を表示できる距離範囲は決まる。そのため、例えば、虚像を表示する2つの対象物の間の距離に応じて、虚像を表示できる距離範囲内で、2つの虚像(例えば、略地図425と自車マーク424)の間の距離を決定してもよい。この処理は、例えば、以下のように行われる。
最初に、2つの対象物の内の一方の対象物(例えば、交差点427)に対する虚像(例えば、略地図425)の虚像距離を、虚像を表示できる距離範囲内で決定する。次に、2つの対象物の内の他方の対象物(例えば、自車)に対する虚像(例えば、自車マーク424)の虚像距離を、例えば、2つの対象物の距離と2つの虚像の間の距離との相似関係が維持されるように、虚像距離を決定する。
或いは、以下のように2つの虚像の距離を決定してもよい。図9(a)及び(b)の例では、左画面の経路案内の虚像の虚像距離B1(又はB1′)が、傾斜状況と表示位置に応じて決定される。右画面の自車マーク424の虚像の虚像距離B2(又はB2′)は、虚像距離B1(又はB1′)に応じて制御される。つまり、自車から交差点427までの距離に応じて、図9(a)における自車マーク424の位置と図9(b)における自車マーク424の位置との間の距離が設定される。
このように、制御部130は、左画面における略地図425の虚像距離の縮尺に応じて、自車マーク424の虚像距離を決定し、決定された虚像距離を持つ位置に虚像を表示する。
<虚像表示例5;傾斜差による経路案内>
図10は、虚像表示装置100によって表示される虚像のさらに他の例を示す図である。
図10に示される例は、高速道路の入口などのように、傾いている道路に対する案内を表示する例である。図10に示されるように、車両600(自車)の運転者500が前方方向を見た場合の風景に、虚像表示装置100によって生成された虚像が重畳されている。
図10に示される対象物である道路700は、右側の登りの(すなわち、上り勾配の)道路と左側の平坦な(すなわち、ほぼ水平な)道路とに分岐している。虚像エリア402Rc及び虚像エリア402Lcは、背景の道路700(すなわち、路面)に合わせて傾いている。具体的には、虚像エリア402Rcよりも、虚像エリア402Lcの方が大きく傾いている。
すなわち、制御部130は、スクリーン駆動部142を制御することで、第1の虚像(図10に示される例では、経路案内矢印432の虚像)の傾きと第2の虚像(図10に示される例では、略地図である地図情報431の虚像)の傾きとが互いに異なるように、スクリーン122Rの傾き及びスクリーン122Lの傾きを制御する。
さらに、図10に示される例では、制御部130は、スクリーン駆動部142を制御することで、運転者500に案内する情報(図10に示される例では、傾いている道路に対する案内)に応じて、第1の虚像(すなわち、経路案内矢印432の虚像)と第2の虚像(すなわち、地図情報431の虚像)とが成す角度を制御する。具体的には、制御部130は、スクリーン駆動部142を制御することで、スクリーン122Lを、スクリーン122Rよりも、鉛直方向に対して大きく傾くように制御している。
第2の虚像は、左側の水平な路面上に表示される。第1の虚像は、左側の水平な路面に対して角度(上り勾配)を有する右側の路面上に表示される。経路案内矢印432は、右側の路面に対応させるように傾斜して表示するための傾き情報を有する。左側の路面は、例えば、水平である。地図情報431は、左側の路面に対応させるように虚像を傾斜して表示するための傾き情報を有さない、もしくは傾きがないことを示す傾き情報、若しくは傾きが第1の虚像の傾きよりも小さいことを示す傾き情報を有する。
虚像表示装置100では、傾き情報に基づき、左側の路面上の第2の虚像の傾きよりも右側の路面上の第1の虚像の傾きを大きくする。虚像表示装置100では、地図情報431を路面に沿って表示するために、スクリーン122Lを所定の角度に傾斜させる。虚像表示装置100の制御部130は、スクリーン駆動部142を制御することで、経路案内矢印432の傾き情報に基づき、スクリーン122Rを傾ける。スクリーン122Rの傾き量は、スクリーン122Lの傾き量よりも大きい。つまり、虚像表示装置100の制御部130は、は、傾き情報の差に基づき、スクリーン122Rとスクリーン122Lとの傾きの差を制御する。
この例では、虚像に対応した対象物は、左右の路面である。制御部130は、虚像に対応した対象物の位置及び傾きに対応して、スクリーン122R及びスクリーン122Lの位置又は傾きを制御する。つまり、制御部130は、左右の路面の位置及び傾きに、虚像の位置及び傾きを対応させている。
虚像エリア402Lcには、左側の平坦な道路に関する簡略化した地図情報431が表示されている。虚像エリア402Rcには、右側の登りの道路に関する簡略化した地図情報と経路案内矢印432とが表示されている。
経路案内矢印432の虚像距離及び傾きが、道路700の右側の登り部分の距離及び傾きと等しく、且つ運転者500の視線と合致する場所に経路案内矢印432を表示できる場合、虚像エリア402Rc内の簡略化した地図情報及び虚像エリア402Lcの簡略化した地図情報431の表示を省略しても良い。
虚像表示装置100の制約で、道路700とずれた距離又は位置で虚像を表示せざるを得ない場合、上述の簡略化した地図情報も矢印と共に表示するのが望ましい。特に、虚像エリア402Lcの地図情報431を経路案内矢印432と同時に表示することで、虚像エリア402Lc内の虚像と虚像エリア402Rc内の虚像との傾斜差から、一方の経路案内(図10に示される例では、道路700の右側)が登りを示すことを認識しやすくなる。そのため、右側と左側とで異なる傾きの虚像を表示する場合、必ずしも背景の傾斜の角度と合わせる必要はなく、運転者500にとって右側と左側とでどちらかの傾斜の方が急であるかが認識可能であれば良い。
<虚像表示例6;高速道路情報>
図11(a)及び(b)は、虚像表示装置100によって表示される虚像の他の例を示す図である。
図11(a)及び(b)に示される例は、高速道路を走行中にSA(サービスエリア)又はPA(パーキングエリア)などの情報を表示する例である。図11(a)及び(b)に示されるように、運転者500が前方方向を見た場合の風景に、虚像表示装置100によって生成された虚像が重畳されている。
図11(a)及び(b)に示される例は、3車線の高速道路において、中央の車線を走行している場合の風景を示す。傾いている虚像エリア402Rcには、SA及びPAを示す虚像であるリスト表示441が表示されている。リスト表示441では、上下3段にSAとPAを表示しており、傾斜させて表示しているため、上段に示したSAが遠くに表示され、下段に示したPAが近くに表示される。虚像エリア402Rc内のリスト表示441の位置関係と、実際のSA及びPAの位置関係とを合わせている。すなわち、車両600から近い位置にあるSA又はPAを近距離の位置(すなわち、手前側の位置)に表示し、車両600から遠い位置にあるSA又はPAを遠距離の位置(すなわち、奥側の位置)に表示する。これにより、運転者500は、実際のSA及びPAが、現在の位置から遠いか近いかを把握しやすくなる。
図11(a)では、上段のSAの表示を、中段のSA及び下段のPAに比べて濃く表示(すなわち、強調表示)している。具体的には、上段の虚像表示を中段及び下段の虚像表示よりも明るく表示したり、上段の虚像表示を中段及び下段よりも目立つ色(例えば、より原色に近い色など)で表示したりする。これにより、立ち寄り予定であるSA(すなわち、目標地)であることを示すことができ、情報を必要として選択されたSAであることを示すことができる。
虚像エリア402Lbは、リスト表示441の上段に示したSAが表示される虚像距離と同じ虚像距離に表示される。従って、虚像エリア402Lbの虚像距離は遠くに設定されている。虚像エリア402Lb内の詳細情報442は、SAの情報を示している。具体的には、詳細情報442は、現在の車両600の位置からのSAまでの距離情報と、SAの施設情報とを表示している。
図11(b)では、車両600が走行により、図11(a)の位置よりも目標地であるSAに近づいた位置における背景が示されている。この場合、SAに近づいた状態のリスト表示441bが虚像エリア402Rcに表示される。図11(b)の位置では、図11(a)の中段及び下段で示していたPAを通り過ぎているため、目標地であるSAが下段に表示され、目標地であるSAよりも遠方に位置するPA及びSAが新たに中段及び上段に表示されている。虚像エリア402Laでは、目標地であるSAが表示された下段の虚像距離に対応する虚像距離に詳細情報442bが表示される。
<虚像距離からスクリーン設定を決定する方法>
上述のいくつかの表示例においては、虚像表示装置100によって生成される虚像の虚像距離を、背景の対象物までの距離と同じになるように調整している。この様な表示を行うためには、スクリーン122の位置を適切に設定する必要がある。以下に、この方法について説明する。
虚像距離L1と投射距離D(拡大ミラー140からスクリーン122までの距離)との関係は、上記式(1)で近似的に示される。ただし、上記式(1)は、拡大ミラー140の形状を球形として近似的に表した式である。したがって、実際には拡大ミラー140又はこれに代わるコンバイナーなどは、球面ではなく自由曲面の形状であるため、式(1)をそのまま利用することはできない。
したがって、虚像距離L1と投射距離Dとの関係は、拡大ミラー140の形状を考慮した光学シミュレーションにより予め関係を導出しておくか、又は実測により関係を求めておく必要がある。導出した虚像距離L1と投射距離Dとの関係を近似し、予め関係式を求める。虚像表示装置100は、必要とする虚像距離L1から、予め求められた関係式を使って、投射距離Dを求め、その投射距離Dになるようにスクリーン122の位置及び傾きを制御する。
図12は、虚像距離L1と投射距離Dとの関係の一例を示す図である。
投射距離Dが長くなるにつれ、虚像距離L1の変化量が大きくなる。この特性は、式(1)の関係と似ているが、式(1)の関係と同一にはならない。そのため、虚像距離L1と投射距離Dとの関係をそのまま多項式などで近似した場合、特に虚像距離L1の変化量が大きい範囲では、近似誤差が大きくなってしまう。
そのため、近似誤差をできるだけ小さくする為に、例えば以下のように近似を行う。
図13は、虚像距離L1の逆数(すなわち、1/虚像距離L1)と、投射距離Dの逆数(すなわち、1/投射距離D)との関係を示す図である。
図13に示されるように、虚像距離L1の逆数と、投射距離Dの逆数との関係は比例に近い関係である。この関係を、例えば、3次又は4次の多項式で近似することで、両者の関係を精度良く近似することが可能となる。多項式の次数は、予め求めた虚像距離L1と投射距離Dとによって適時選定すれば良い。同様に、多項式以外の近似式を使うかどうかは、予め求めた虚像距離L1と投射距離Dとによって適時選定すれば良い。
なお、虚像距離L1と投射距離Dとの関係をテーブルで保持して使用するようにしても良い。この場合、投射距離Dの変化に対して、虚像距離L1の変化が大きくなる(すなわち、感度が高くなる)範囲においては、両者の関係を細かくテーブル化するのが望ましい。
<スクリーン設定のフロー>
図14は、虚像距離L1の位置に虚像を表示するためのスクリーン122の制御方法の一例を示すフローチャートである。
虚像表示装置100によって生成される虚像の虚像距離L1は、例えば、制御部130で決定される。
ステップS10では、映像データ変換部131は、虚像の表示位置を虚像距離L1に変更する。
ステップS20では、虚像制御部133は、映像データ変換部131からの映像信号データS2に基づき、虚像距離L1を設定する。
ステップS30では、虚像制御部133は、ステップS20で設定された虚像距離L1と上述の式(1)などを用いて、投射距離Dを算出する。
ステップS40では、虚像制御部133は、ステップS30で算出された投射距離Dに基づき、スクリーン122の位置及び傾きの設定値を算出する。
ステップS50では、虚像制御部133は、ステップS40で得られた設定値に基づいて、スクリーン駆動部142を通してスクリーン122の位置及び傾きを制御する。これにより、虚像表示装置100によって生成される虚像は、虚像距離L1に表示される。
なお、ステップS40におけるスクリーン122の設定値の算出では、スクリーン122の傾斜及び光源部111からの映像光の投射角度などを考慮する必要がある。例えば、スクリーン122の設定値は、例えば光源部111からの映像光の投射角度、スクリーン122から光源部111までの距離、スクリーン122の傾き、スクリーン122の位置の移動量及び方向などの設計情報を用いて求めることができる。なお、制御部130は、投射距離Dとスクリーン122の位置及び傾きとの関係を、テーブルとして保持しても良い。
<実施の形態1の変形例>
図15(a)及び(b)は、スクリーン部120の他の例を示す図である。
実施の形態1の変形例では、上述の実施の形態1に係る虚像表示装置100におけるスクリーン部120の構成及び動作と異なる構成及び動作について以下に説明する。
図15(a)及び(b)に示されるスクリーン部120aでは、投射方向Cではなく投射方向C1を境として、スクリーン122R及びスクリーン122Lが配置されている点で、図5(a)及び(b)に示されるスクリーン部120と異なる。投射方向C1は、xz平面上において投射方向Cに対して傾斜している。スクリーン部120aは、スクリーン部120の代わりに図1に示される映像表示部110に適用可能である。
さらに、図15(b)に示されるスクリーン122R及び122Lは、x軸方向における長さが互いに異なる点で、図5(b)に示されるスクリーン122R及び122Lと異なる。具体的には、x軸方向においてスクリーン122Rは、スクリーン122Lよりも長い。
スクリーン122の移動方向は、図15(b)において矢印で示されるように、投射方向C1と平行である。具体的には、スクリーン122Rは、スクリーン122Rとスクリーン122Lとの境界と光出射口111aとを通る直線と平行に移動する。同様に、スクリーン122Lは、スクリーン122Rとスクリーン122Lとの境界と光出射口111aとを通る直線と平行に移動する。したがって、光源部111からの映像光は、分割されたスクリーン(すなわち、スクリーン122R及び122L)の移動及び傾きに影響されない。
図5(b)に示される例では、運転者500から見た正面(例えば、中央を境界にして)で虚像の映像が分割される。これに対して、図15(a)及び(b)に示される例では、2つのスクリーンの分割位置(すなわち、スクリーン122Rとスクリーン122Lとの境界)を左右(すなわち、x軸方向)のどちらかにオフセットさせることで、運転者500から見て虚像が分割されないようにすることができる。そのため、例えば、運転者500の正面には、傾斜させた案内矢印を表示し、スクリーン122Lにより補足情報、距離差、又は傾斜差が分かるような比較情報を表示するようにすれば良い。
なお、図15(a)及び(b)の例では、2つのスクリーンの分割位置を左側にオフセットさせた位置としているが、右側にオフセットさせた位置としても良い。オフセット量は任意の量とすることができる。スクリーン121とスクリーン122との間、及びスクリーン122Rとスクリーン122Lとの間などのスクリーンの分割位置では、隙間が少なからず発生するため、スクリーンの分割位置に相当する領域は、光源部111からの映像光が出力されないように、映像情報で制限するのが望ましい。
<実施の形態1及びその変形例の効果>
以上に説明したように、スクリーン部120内のスクリーンを3分割に配置し、虚像として表示する情報に応じて、その内の2つのスクリーン(すなわち、スクリーン122R及び122L)の位置及び傾きを変更できるようにしたため、虚像表示装置100によって生成される第1の虚像と第2の虚像との間に距離差及び傾斜差を設けることができる。これにより、案内表示などをわかり易く表示することができる。
また、スクリーン122の移動方向を、光源部111からの映像光の投射方向を考慮した方向とすることで、スクリーン122を移動させた場合に、映像光が別のスクリーンによって遮られることを防ぐことができる。
また、映像光が別のスクリーンによって遮られることを防ぐことができるため、1個の光源部111からの映像光を複数に分割したスクリーンに投影できる。これにより、少ない光源部で複数の虚像距離及び傾きに虚像を表示することができる。
車載用途においては、信頼性などの点で、可動機構部品は避けられがちであるが、本実施の形態では、スクリーンのような軽い部品の位置及び傾きを変更するので、虚像表示装置を動かすような方式に比べ、信頼性を確保しやすい。
また、虚像距離L1と投射距離Dとの関係を予め近似しておくことで、所望の虚像距離L1に精度良く虚像を表示できる。
虚像表示装置で表示する距離差及び傾斜差が表現できるようになるため、虚像距離及び虚像の傾きが背景と完全に一致していなくても、スクリーン122Rとスクリーン122Lとの間における距離差及び傾斜差により、背景と虚像との関連性を運転者にわかり易く伝えることができる。そのため、虚像表示装置100の設置位置調整及び虚像の表示位置調整が簡易になり、運転者により好みの位置に表示するようにしても、わかり易く表示することができる。
実施の形態2.
図16(a)及び(b)は、本発明の実施の形態2に係る虚像表示装置の映像表示部の構成を概略的に示す図である。
具体的には、図16(a)は、光源部111から映像光がスクリーン部120bに向けて出射されている状態における光源部111、スクリーン121、及びスクリーン122の位置関係を示す図である。
具体的には、図16(b)は、光源部111から映像光がスクリーン部120bに向けて出射されている状態における光源部111、第1のスクリーンとしてのスクリーン122R(右側スクリーンともいう)、第2のスクリーンとしてのスクリーン122L(左側スクリーンともいう)、第3のスクリーンとしてのスクリーン121(上側スクリーンともいう)、及び第4のスクリーンとしてのスクリーン123(傾斜スクリーンともいう)の位置関係を示す図である。
本実施の形態において各図に示されるx軸は、運転者500が前方を見た場合の左右方向の軸を示し、右側(すなわち、右方向)は正方向を示す。本実施の形態において各図に示されるy軸は、運転者500が前方を見た場合の上下方向の軸を示し、上側(すなわち、上方向)は正方向を示す。本実施の形態において各図に示されるz軸は、運転者500が前方を見た場合の奥行方向(前後方向)の軸を示し、奥側(前側)は正方向を示す。本実施の形態では、x軸方向及びz軸方向は水平方向であり、y軸方向は鉛直方向である。ただし、車両600の状態によっては、必ずしもx軸方向及びz軸方向は水平方向と一致していなくてもよく、同様に、y軸方向も鉛直方向と一致していなくてもよい。
実施の形態2では、実施の形態1に係る虚像表示装置100の構成及び動作と異なる構成及び動作について以下に説明する。実施の形態2に係る虚像表示装置において、映像表示部以外の構成は、実施の形態1と同じである。実施の形態2に係る虚像表示装置の映像表示部は、図1に示される映像表示部110に適用可能である。
図16(a)及び(b)に示されるように、実施の形態2に係る虚像表示装置の映像表示部は、光源部111と、スクリーン部120bとを有する。
図16(a)及び(b)に示されるスクリーン部120bは、第1のスクリーンとしてのスクリーン122R、第2のスクリーンとしてのスクリーン122L、及び第3のスクリーンとしてのスクリーン121に加えて、第4のスクリーンとしてのスクリーン123(傾斜スクリーンともいう)を有する点で、図5(a)及び(b)に示されるスクリーン部120と異なる。スクリーン部120bは、スクリーン部120の代わりに図1に示される映像表示部110に適用可能である。
本実施の形態では、スクリーン122R、スクリーン122L、及びスクリーン123の一組を「スクリーン122」と称する。
図16(a)に示されるように、y軸方向において投射方向Mを中心として、上側の投射方向Uと下側の投射方向Bとの間の範囲で、光源部111から映像光が出射され、スクリーン部120bに投射される。
図16(b)に示されるように、x軸方向において投射方向Cを中心として、右側の投射方向Rと左側の投射方向Lとの間の範囲で、光源部111から映像光が出射され、スクリーン部120bに投射される。スクリーン121は、投射方向Rから投射方向Lまでの範囲でx軸方向に延在している。
スクリーン122は、y軸方向においてスクリーン121と隣接している。具体的には、スクリーン122は、y軸方向におけるスクリーン121の下側に備えられている。図16(a)に示されるように、スクリーン部120bでは、投射方向Sを境として、上側にスクリーン121が配置されており、下側にスクリーン122が配置されている。さらに、図16(b)に示されるように、スクリーン部120bでは、投射方向Cを境として、右側にスクリーン122Rが配置されており、左側にスクリーン122Lが配置されており、スクリーン123は、スクリーン122Rとスクリーン122Lとの間に配置されている。さらに、スクリーン122R、スクリーン122L、及びスクリーン123は、x軸方向に配列されている。
スクリーン部120bをx軸方向に見たとき、スクリーン123は、スクリーン122R及び122Lに対して傾斜した状態で固定されている。ただし、スクリーン部120bをx軸方向に見たとき、スクリーン122R及び122Lは、スクリーン123と平行になるように傾くことができる。
拡大ミラー140は、スクリーン122Rを透過した映像光を第1の虚像として反射し、スクリーン122Lを透過した映像光を第2の虚像として反射し、スクリーン121を透過した映像光を第3の虚像として反射し、スクリーン123を透過した映像光を第4の虚像として反射する。
スクリーン123は、台形形状である。これにより、光源部111から出射される映像光のxy平面上の形状に合わせることができる。
スクリーン123の上側は、運転者500から見て近距離側である下側の虚像表示に対応し、スクリーン123の下側は、運転者500から見て遠距離側である上側の虚像表示に対応している。遠近表示を行う場合、一般的に遠距離を小さく表示することが自然であるため、遠距離側の表示エリアに相当するスクリーン123の下側のサイズ(具体的には、x軸方向における長さ)は、スクリーン123の上側のサイズ(具体的には、x軸方向における長さ)に比べて小さい。光源部111からの投射方向に応じてスクリーン123の形状を決定することで、スクリーン123の両側に設置されたスクリーン122R及び122Lの移動方向を、投射方向に合わせることができる。これにより、スクリーン123に投射される映像光がスクリーン122R又は122Lによって遮られることを防ぐことができる。
スクリーン122Rは、第1の位置122Raと第2の位置122Rbとの間を移動可能である。具体的には、制御部130が、スクリーン122Rの位置を移動させることによりスクリーン122Rから拡大ミラー140までの距離を制御し、第2の虚像の位置を変更する。この場合、スクリーン122Rの移動方向は、図16(a)に示される投射方向Sと平行である。具体的には、スクリーン122Rは、y軸方向におけるスクリーン121の下端と光出射口111aとを通る直線と平行に移動する。ただし、スクリーン122Rの移動方向は、スクリーン121の下端と光出射口111aとを通る直線よりも下側を移動すれば、投射方向Sと厳密に平行でなくてもよい。
さらに、スクリーン122Rの移動方向は、図16(b)において矢印で示されるように投射方向C3と平行である。投射方向C3は、スクリーン123の側面(具体的には、+x軸方向の側面)と平行である。ただし、スクリーン122Rの移動方向は、投射方向C3と厳密に平行でなくてもよい。
スクリーン122Lも、第1の位置122Laと第2の位置122Lbとの間を移動可能である。具体的には、制御部130が、スクリーン122Lの位置を移動させることによりスクリーン122Lから拡大ミラー140までの距離を制御し、第3の虚像の位置を変更する。この場合、スクリーン122Lの移動方向は、図16(a)に示される投射方向Sと平行である。具体的には、スクリーン122Lは、y軸方向におけるスクリーン121の下端と光出射口111aとを通る直線と平行に移動する。ただし、スクリーン122Lの移動方向は、スクリーン121の下端と光出射口111aとを通る直線よりも下側を移動すれば、投射方向Sと厳密に平行でなくてもよい。
さらに、スクリーン122Lの移動方向は、図16(b)において矢印で示されるように投射方向C2と平行である。投射方向C2は、スクリーン123の側面(具体的には、−x軸方向の側面)と平行である。ただし、スクリーン122Lの移動方向は、投射方向C2と厳密に平行でなくてもよい。
スクリーン122Rは、y軸方向における上端を回転中心として回転する。スクリーン122Rは上端側を回転中心として回転することで、図16(a)に示される第3の位置122cに位置するように傾斜することができる。これにより、スクリーン122Rが回転した場合においても、スクリーン122Rの上端側に投影される映像光は、スクリーン122Rの傾きが変更された場合でも、スクリーン122Rの上端側に投影される。
スクリーン122Rと同様に、スクリーン122Lは、y軸方向における上端を回転中心として回転する。スクリーン122Lは上端側を回転中心として回転することで、図16(a)に示される第3の位置122cに位置するように傾斜することができる。すなわち、図16(b)に示される例では、スクリーン122Lは上端側を回転中心として回転することで、第3の位置122Lcに位置するように傾くことができる。図16(b)に示される第3の位置122Lcは、図16(a)に示される第3の位置122cに対応する。これにより、スクリーン122Lが回転した場合においても、スクリーン122Lの上端側に投影される映像光は、スクリーン122Lの傾きが変更された場合でも、スクリーン122Lの上端側に投影される。
スクリーン122R及び122Lは、互いに独立して回転する。これにより、スクリーン122R及び122Lは、互いに独立して傾きを変更することができる。
スクリーン122Rを傾ける場合、スクリーン122Rの回転によってスクリーン122Rの下側は投射方向C3から離れ、スクリーン122Rとスクリーン123との間に大きな隙間が生じる。したがって、その隙間には、映像光を投影しないように、光源部111を制御することが望ましい。同様に、スクリーン122Lを傾ける場合、スクリーン122Lの回転によってスクリーン122Lの下側は投射方向C2から離れ、スクリーン122Lとスクリーン123との間に大きな隙間が生じる。したがって、その隙間には、映像光を出射しないように、光源部111を制御することが望ましい。
<実施の形態2の変形例>
図17(a)及び(b)は、図16(a)及び(b)に示されるスクリーン部120bの他の例を示す図である。
実施の形態2の変形例では、上述の実施の形態2に係る虚像表示装置におけるスクリーン部120bの構成及び動作と異なる構成及び動作について以下に説明する。
図17(a)及び(b)に示されるスクリーン部120cでは、スクリーン122R及び122Lの配置が図16(a)及び(b)に示されるスクリーン122R及び122Lと異なる。スクリーン部120cは、スクリーン部120の代わりに図1に示される映像表示部110に適用可能である。
図17(b)に示されるように、スクリーン122Rは、投射方向C3と垂直に配置されている。言い換えると、スクリーン123は、スクリーン122Rに面する側面123R(第1の側面)を有し、スクリーン122Rは、スクリーン123の側面123Rと垂直に配置されている。これにより、スクリーン122Rが傾いたときに、スクリーン122Rとスクリーン123との間の隙間が大きくならないので、その隙間に映像光が入りにくくなる。したがって、スクリーン122Rの傾きに応じて光源部111からの映像光がその隙間に入らないように制御する必要がない。ただし、スクリーン122Rは、投射方向C3及び側面123Rと厳密に垂直に配置されていなくてもよい。
図17(b)に示されるように、スクリーン122Lは、投射方向C2と垂直に配置されている。言い換えると、スクリーン123は、スクリーン122Lに面する側面123L(第2の側面)を有し、スクリーン122Lは、スクリーン123の側面123Lと垂直に配置されている。これにより、スクリーン122Lが傾いたときに、スクリーン122Lとスクリーン123との間の隙間が大きくならないので、その隙間に映像光が入りにくくなる。したがって、スクリーン122Lの傾きに応じて光源部111からの映像光がその隙間に入らないように制御する必要がない。ただし、スクリーン122Lは、投射方向C2及び側面123Lと厳密に垂直に配置されていなくてもよい。スクリーン122R及び122Lの移動方向は、図16(a)及び(b)に示される例と同じである。
スクリーン122R及び122Lが傾いているとき、運転者から視認される虚像の左右(すなわち、x軸方向における外側)の領域が遠くに視認される。したがって、虚像の内容を運転者にとって見やすい内容にすることが望ましい。
<実施の形態2及びその変形例の効果>
以上に説明したように、スクリーン部120内のスクリーンを4分割に配置し、虚像として表示する情報に応じて、その内の2つのスクリーン(すなわち、スクリーン122R及び122L)の位置及び傾きを変更できるようにしたため、虚像表示装置100によって生成される第1の虚像と第2の虚像との間に距離差及び傾斜差を設けることができる。これにより、案内表示などをわかり易く表示することができる。
また、スクリーン122Rとスクリーン122Lとの間にスクリーン123を設けているため、運転者500から見てx軸方向における画像が途切れることがなく、傾斜した経路案内矢印を運転者500の正面に表示することができ、視認性を向上できる。
また、スクリーン123を投射方向に合わせた台形形状とし、スクリーン122の移動方向を、光源部111からの映像光の投射方向を考慮した方向に設定することで、スクリーン122を移動させた場合に、スクリーン123に投射される映像光がスクリーン122R又は122Lによって遮られることを防ぐことができる。
また、映像光が別のスクリーンによって遮られることを防ぐことができるため、1個の光源部111からの映像光を複数に分割したスクリーンに投影できる。これにより、少ない光源部で複数の虚像距離及び傾きに虚像を表示することができ、虚像表示装置を小型化することができる。
車載用途においては、信頼性などの点で、可動機構部品は避けられがちであるが、本実施の形態では、スクリーンのような軽い部品の位置及び傾きを変更するので、虚像表示装置を動かすような方式に比べ、信頼性を確保しやすい。
また、虚像距離L1と投射距離Dとの関係を予め近似しておくことで、所望の虚像距離L1に精度良く虚像を表示できる。
虚像表示装置で表示する距離差及び傾斜差が表現できるようになるため、虚像距離及び虚像の傾きが背景と完全に一致していなくても、スクリーン122Rとスクリーン122Lとの間における距離差及び傾斜差により、背景と虚像との関連性を運転者にわかり易く伝えることができる。そのため、虚像表示装置100の設置位置調整及び虚像の表示位置調整が簡易になり、運転者により好みの位置に表示するようにしても、わかり易く表示することができる。
上述の各実施の形態及び各変形例では、スクリーン部の構成例を示したが、スクリーン部の構成は、これらの限りではない。例えば、2つのスクリーンを左右に分割するのではなく、上下に分割するようにしても良い。また、左右対称なスクリーン構成とするのではなく、非対称なスクリーン構成としても良く、様々なスクリーンの組み合わせが可能である。
なお、上述の各実施の形態及び各変形例においては、「平行」又は「垂直」などの部品間の位置関係又は部品の形状を示す用語を用いており、「平行」及び「垂直」の表現は、製造上の公差又は組み立て上のばらつきなどを考慮した範囲を含む。
また、以上に本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限るものではない。
以上に説明した各実施の形態における特徴及び各変形例における特徴は、互いに適宜組み合わせることができる。
<実施の形態1及び2の変形例>
図18は、実施の形態1及び2に係る虚像表示装置100の変形例の制御部130を示すハードウェア構成図である。図2に示される制御部130は、ソフトウェアとしてのプログラムを格納する記憶装置としてのメモリ91と、メモリ91に格納されたプログラムを実行する情報処理部としてのプロセッサ92とを用いて(例えば、コンピュータにより)実現することができる。この場合には、図2に示される制御部130は、図18に示されるメモリ91と、プログラムを実行するプロセッサ92とによって実現されることができる。また、図18に示される制御部130の一部を、図18に示されるメモリ91と、プログラムを実行するプロセッサ92とによって実現してもよい。
以上の各実施の形態を基にして、以下に発明の内容を付記として記載する。
<付記1>
第1のスクリーン及び第2のスクリーンを有するスクリーン部と、
前記スクリーン部に向けて映像光を出射する映像投射部と、
前記第1のスクリーンを透過した前記映像光を第1の虚像として反射し、前記第2のスクリーンを透過した前記映像光を第2の虚像として反射する反射ミラーと、
前記第1のスクリーンの位置及び傾きの少なくとも一方を制御し、前記第2のスクリーンの位置及び傾きの少なくとも一方を制御するスクリーン制御部と
を備える虚像表示装置。
<付記2>
前記スクリーン制御部は、前記第1のスクリーンの位置を移動させることにより前記第1のスクリーンから前記反射ミラーまでの距離を制御し、前記第1の虚像の位置を変更することを特徴とする付記1に記載の虚像表示装置。
<付記3>
前記スクリーン制御部は、前記第2のスクリーンの位置を移動させることにより前記第2のスクリーンから前記反射ミラーまでの距離を制御し、前記第2の虚像の位置を変更することを特徴とする付記1又は2に記載の虚像表示装置。
<付記4>
前記スクリーン部は、鉛直方向における前記第1のスクリーン及び前記第2のスクリーンの上側に備えられた第3のスクリーンを有し、
前記反射ミラーは、前記第3のスクリーンを透過した前記映像光を第3の虚像として反射する
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の虚像表示装置。
<付記5>
前記映像投射部は光出射口を有し、
前記第1のスクリーンは、鉛直方向における前記第3のスクリーンの下端と前記光出射口とを通る直線と平行に移動することを特徴とする付記4に記載の虚像表示装置。
<付記6>
前記第2のスクリーンは、鉛直方向における前記第3のスクリーンの下端と前記光出射口とを通る直線と平行に移動することを特徴とする付記5に記載の虚像表示装置。
<付記7>
前記第1のスクリーンは、鉛直方向における上端を回転中心として回転することを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の虚像表示装置。
<付記8>
前記第2のスクリーンは、鉛直方向における上端を回転中心として回転することを特徴とする付記1から7のいずれか1つに記載の虚像表示装置。
<付記9>
前記スクリーン制御部は、ユーザの目の位置から前記第1の虚像の位置までの第1の虚像距離と前記ユーザの目の位置から前記第2の虚像の位置までの第2の虚像距離とが互いに異なるように前記第1のスクリーンの位置及び前記第2のスクリーンの位置を制御することを特徴とする付記1から8のいずれか1つに記載の虚像表示装置。
<付記10>
前記スクリーン制御部は、ユーザに案内する情報に応じて、前記ユーザの目の位置から前記第1の虚像の位置までの第1の虚像距離と前記ユーザの目の位置から前記第2の虚像の位置までの第2の虚像距離との差を制御することを特徴とする付記1から9のいずれか1つに記載の虚像表示装置。
<付記11>
前記スクリーン制御部は、前記第1の虚像の傾きと前記第2の虚像の傾きとが互いに異なるように前記第1のスクリーンの傾き及び前記第2のスクリーンの傾きを制御することを特徴とする付記1から10のいずれか1つに記載の虚像表示装置。
<付記12>
前記スクリーン制御部は、ユーザに案内する情報に応じて、前記第1の虚像と前記第2の虚像とが成す角度を制御することを特徴とする付記1から11のいずれか1つに記載の虚像表示装置。
<付記13>
前記スクリーン部は、第4のスクリーンを有し、
前記反射ミラーは、前記第4のスクリーンを透過した前記映像光を第4の虚像として反射する
ことを特徴とする付記1から12のいずれか1つに記載の虚像表示装置。
<付記14>
前記第1のスクリーン、前記第2のスクリーン、及び前記第4のスクリーンは、水平方向に配列されており、
前記第4のスクリーンは、前記第1のスクリーンと前記第2のスクリーンとの間に配置されている
ことを特徴とする付記13に記載の虚像表示装置。
<付記15>
前記第4のスクリーンは、前記第1のスクリーンに面する第1の側面を有し、
前記第1のスクリーンは、前記第1の側面と垂直に配置されている
ことを特徴とする付記13又は14に記載の虚像表示装置。
<付記16>
前記第4のスクリーンは、前記第2のスクリーンに面する第2の側面を有し、
前記第2のスクリーンは、前記第2の側面と垂直に配置されている
ことを特徴とする付記13から15のいずれか1つに記載の虚像表示装置。
<付記17>
前記第4のスクリーンは、前記第1のスクリーン及び前記第2のスクリーンに対して傾斜していることを特徴とする付記13から16のいずれか1つに記載の虚像表示装置。