以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、下記実施形態において、前述したものと同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は適宜省略することがある。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るダイレクトドライブモータの構成例を示す断面図である。図2は、実施形態1に係るダイレクトドライブモータの構成例を示す平面図である。図2をX1−X2線で切断した図が、図1に示す断面図である。ダイレクトドライブモータ(以下、DDモータという)100は、減速機構(例えば、減速ギア、伝動ベルトなど)を介在させること無く被回転体(例えば、後述のステージ80など)に回転力をダイレクトに伝達し、被回転体を所定方向に回転させることができるモータである。DDモータ100は、出力軸と被回転体とを直結したモータである。
なお、実施形態1では、DDモータ100の各構成部において、図1における左右方向をX方向で示し、図1における上下方向をZ方向で示し、図1のX−Z平面に垂直な方向をY方向で示す。後述する実施形態2のDDモータ200(図18参照)の各構成部においても、実施形態1と同様にX方向、Y方向及びZ方向を示す。Z方向は、後述するロータハウジング2の回転軸(仮想軸)Axの方向と一致する。Z方向において、ボルト穴23が開口している側を上側といい、その反対側を下側という。後述するロータハウジング2において、Z方向の上側に位置する部位を上部といい、Z方向の下側に位置する部位を下部という。
実施形態1のDDモータ100は、ロータ25の外周側にステータ15を配した、いわゆるアウターステータタイプである。図1及び図2に示すように、実施形態1のDDモータ100は、ステータハウジング1と、ロータハウジング2と、軸受3と、軸受3の固定輪31をステータハウジング1に取り付けるための第1取付部品4と、軸受3の回転輪32をロータハウジング2に取り付けるための第2取付部品5と、角度検出部6と、モータ部10と、を備える。軸受3は、ステータハウジング1とロータハウジング2との間に介在し、ステータハウジング1に対してロータハウジング2を回転可能に支持している。また、モータ部10は、ステータ15及びロータ25を有する。
ステータハウジング1は、第1部位11と、ステータハウジング1の基台となる第2部位12と、第1部位11に第2部位12を取り付けるためのボルト13と、ステータ15を支持する支持部16と、支持部16を第2部位12に取り付けるためのボルト161と、ステータ15を覆うカバー部17と、カバー部17を支持部16に取り付けるためのボルト171と、を有する。第1部位11は、円筒状に形成されている。第2部位12は、平面視で円環状に形成されている。これにより、ステータハウジング1は、その中央部に開口部H1を有する。
ステータハウジング1の第1部位11の外周側に、ロータハウジング2が配置されている。ロータハウジング2の外周面2cにロータ25が固定されている。ロータハウジング2は円筒状に形成されており、その中央部に開口部H2を有する。平面視で、第1部位11の開口部H1と、ロータハウジング2の開口部H2の形状は互いに同一(例えば、正円形)である。第1部位11の開口部H1の直径R1よりも、ロータハウジング2の開口部H2の直径R2の方が大きい。開口部H1、H2は、同心状に配置されている。
ロータハウジング2の上側の端面(以下、上端面)2aには、ステージ80等を取り付けることが可能となっている。例えば、ロータハウジング2の上部には、上端面2aに開口したボルト穴23が設けられている。ボルト802を、ステージ80の貫通孔801に通して、ボルト穴23に締結することにより、ロータハウジング2の上端面2aにステージ80が固定される。ロータハウジング2の上端面2aにステージ80が固定された状態で、ロータハウジング2が回転すると、ロータハウジング2と共にステージ80も回転する。ロータハウジング2の回転軸Axは、開口部H1、H2の中心と重なっている。ロータハウジング2は、モータ部10の動作によって回転するため、DDモータ100の出力軸として機能する。また、ロータハウジング2の上端面2aには、角度検出部6が検出する回転角度の基準位置を示す第1マークM1が設けられている。上端面2aは、ロータハウジング2の第2端側の一例である。回転角度の基準位置及び第1マークM1については、後述する。
軸受3は、固定輪(内輪)31と、回転輪(外輪)32と、固定輪31と回転輪32との間に設けられた複数の転動体33とを備える。軸受3は、1つでアキシアル荷重とモーメント荷重の両方を負荷することが可能なものであることが好ましく、例えば、4点接触玉軸受、3点接触玉軸受、深溝玉軸受、あるいはクロスローラ軸受などを採用することができる。クロスローラ軸受を採用する場合には、一般的な内輪もしくは外輪が分割構造となるものではなく、内外輪とも一体構造のものを使用することが望ましい。
ステータハウジング1の第1部位11の外周面11cには、軸受3の固定輪31を支持するための第1突起部111が設けられている。第1突起部111は、外周面11cの全周に亘って設けられている。ロータハウジング2の回転軸方向において、第1突起部111は第1取付部品4と対向している。第1取付部品4はナットであり、例えば、緩み止め効果に優れたロックナットである。ロックナットは、2つのナットを使用したダブルナットでもよい。ナットは、内周面に雌ねじが切られている部品である。ナットは、ボルトなどの、外周面に雄ねじが切られている部品と組み合わせて使用される。
第1取付部品4は、第1部位11の外周面11cに螺合している。具体的には、第1部位11の外周面11cにおいて、軸受3が取り付けられる領域よりも上側の領域に、ねじ山が形成されている。第1取付部品4の内周面4dにもねじ山が形成されている。第1部位11の外周面11cのねじ山と第1取付部品4の内周面4dのねじ山は互いに噛合うように形成されており、第1部位11に第1取付部品4が嵌め込まれている。
第1取付部品4と第1突起部111との間に軸受3の固定輪31が配置されている。第1取付部品4は第1突起部111に近づく方向に締められており、第1取付部品4は固定輪31を第1突起部111側に押圧している。これにより、第1取付部品4と第1突起部111とが固定輪31を挟持している。固定輪31は、第1取付部品4と第1突起部111とに挟持されることによって、第1部位11の外周面11cに固定されている。
ロータハウジング2の内周面2dには、軸受3の回転輪32を支持するための第2突起部211が設けられている。第2突起部211は、内周面2dの全周に亘って設けられている。ロータハウジング2の回転軸方向において、第2突起部211は第2取付部品5と対向している。第2取付部品5は円環状の部品である。第2取付部品5と第2突起部211との間に軸受3の回転輪32が配置されている。第2取付部品5は回転輪32を第2突起部211側に押圧しており、第2取付部品5と第2突起部211とが回転輪32を挟持している。これにより、回転輪32は、ロータハウジング2の内周面2dに固定されている。
モータ部10は、ロータハウジング2の外周側に配置されたステータ15と、ロータハウジング2の外周面2cに固定されたロータ25と、を備える。ステータ15は、ロータハウジング2の回転方向に沿って所定間隔(例えば、等間隔)で同心状に配列された複数個のコア151と、各コア151に素線が多重に巻回されてなるコイル152と、を有する。ステータ15には、電力を供給するための配線(図示せず)が接続されており、配線を通じてコイル152に電力が供給される。ロータ25は、ロータハウジング2の回転方向に沿って所定間隔(例えば、等間隔)で同心状に配列された複数個の永久磁石を有する。ステータ15のコイル152に通電されると、フレミングの左手の法則に従ってロータ25に回転力が与えられ、ロータ25が取り付けられているロータハウジング2は所定方向に回転する。
角度検出部6は、エンコーダドラム61と、エンコーダ基板62と、エンコーダ基板62に接続する配線621と、を有する。エンコーダドラム61は被着磁体の一例である。ロータハウジング2の回転軸方向において、ロータハウジング2の下部の端面(以下、下端面)2bに、エンコーダドラム61が取り付けられている。下端面2bは、ロータハウジング2の第1端側の一例である。エンコーダ基板62は、磁気センサを有する。磁気センサは、例えば、ホール素子と、ホール素子の出力信号に基づいて磁束密度等を検出する検出回路とを有する。エンコーダ基板62は、ステータハウジング1の第1部位11に取り付けられており、エンコーダドラム61と対向している。また、エンコーダドラム61には、角度検出部6が検出する回転角度の基準位置を示す第2マークM2(図4A参照)が設けられている。第2マークM2については、後述する。
図3Aは、ロータハウジングの上端面を示す図である。図3Bは、ロータハウジングの下端面を示す図である。図3Aに示すように、ロータハウジング2の上端面2aはリング状である。ロータハウジング2の上端面2aには、複数のボルト穴23と、1つの第1マークM1とが設けられている。上述したように、ボルト穴23には、ロータハウジング2の上端面2aにステージ80(図1参照)等が取り付けられる際に、ボルト802(図1参照)が締結される。複数のボルト穴23は、上端面2aの円周方向に等間隔で配置されている。例えば、複数のボルト穴23は、回転軸Axを中心に30°の間隔で配置されている。ボルト穴23は、回転軸Axを通り且つX方向若しくはY方向に平行な直線上の位置、又は、回転軸Axを通り且つX方向若しくはY方向に対して30°傾いている直線上の位置に配置されている。
第1マークM1は、ロータハウジング2の上端面2aに1つだけ設けられている。第1マークM1は、例えばピン孔である。第1マークM1(ピン孔)の内周面は平滑であり、ねじ山は設けられていない。第1マークM1の直径は、ボルト穴23の直径よりも小さい。また、回転軸Axを中心とする円周上において、第1マークM1とボルト穴23との間隔は、ボルト穴23同士の間隔と異なる。ロータハウジング2の回転軸方向から見て、第1マークM1はボルト穴23と大きさが異なり、第1マークM1とボルト穴23との間隔はボルト穴23同士の間隔とも異なる。このため、第1マークM1とボルト穴23とを識別することが容易となっている。第1マークM1は、ロータハウジング2の回転軸方向から見て、角度検出部6が検出する回転角度の基準位置OR(図5参照)と重なる位置に設けられている。
図3Bに示すように、ロータハウジング2の下端面2bもリング状である。ロータハウジング2の下端面2bには、複数のボルト穴27が設けられている。ボルト穴27の内周面には、ねじ山が設けられている。ロータハウジング2の下端面2bにエンコーダドラム61が取り付けられる際に、後述の貫通孔615(図4B参照)を通して、ボルト穴27にボルト(図示せず)が締結される。図3Bに示すように、複数のボルト穴27は、下端面2bの円周方向に等間隔で配置されている。例えば、複数のボルト穴27は、回転軸Axを中心に45°の間隔で配置されている。ボルト穴27は、回転軸Axを通りX方向若しくはY方向に平行な直線上の位置、又は、回転軸Axを通り且つX方向に対して45°傾いている直線上の位置に配置されている。
図4Aは、エンコーダドラムの上面を示す図である。図4Bは、エンコーダドラムの下面を示す図である。図4A及び図4Bに示すように、エンコーダドラム61の平面視による形状は、リング状である。エンコーダドラム61の下面61bには、着磁部611と、着磁部611の外周側に位置する非着磁部612とが設けられている。着磁部611及び非着磁部612はそれぞれリング状である。着磁部611のリングの中心と、非着磁部612のリングの中心は互いに同じ位置にある。また、エンコーダドラム61は、着磁部611の内周側に位置する開口部613を有する。開口部613には、上述したステータハウジング1の第1部位11(図1参照)が配置される。エンコーダドラム61は、着磁部611と非着磁部612の各リングの中心を回転軸Axが通るように、ロータハウジング2に取り付けられている。非着磁部612には、複数の貫通孔615と、1つの第2マークM2とが設けられている。
複数の貫通孔615は、非着磁部612の円周方向に等間隔で配置されている。例えば、複数の貫通孔615は、回転軸Axを中心に45°の間隔で配置されている。一例を挙げると、貫通孔615は、回転軸Axを通りX方向若しくはY方向に平行な直線上の位置、又は、回転軸Axを通り且つX方向に対して45°傾いている直線上の位置に配置されている。貫通孔615は、エンコーダドラム61の上面61aと下面61bとの間を貫いている。貫通孔615の内周面は平滑であり、ねじ山は設けられていない。上述したように、貫通孔615を通して、ボルト穴27(図3B参照)にボルト(図示せず)が締結されることによって、エンコーダドラム61はロータハウジング2の下端面2bに取り付けられる。
また、貫通孔615と同様に、第2マークM2も、エンコーダドラム61の上面61aと下面61bとの間を貫く貫通孔である。第2マークM2(貫通孔)の内周面も平滑であり、ねじ山は設けられていない。回転軸Axを中心とする円周上において、第2マークM2と貫通孔615との間隔は、貫通孔615同士の間隔と異なる。このため、第2マークM2と貫通孔615と識別することが容易となっている。第2マークM2は、角度検出部6が検出する回転角度の基準位置OR(図5参照)と重なる位置に設けられている。
図5は、着磁部の一例を模式的に示す平面図である。図5に示すように、着磁部611は、円周方向に沿って極性が交互に変化するよう磁化された信号パターンを有する。例えば、着磁部611は、信号パターンとして、第1着磁列C1と、第1着磁列C1の内周側に配置された第2着磁列C2と、を有する。第1着磁列C1及び第2着磁列C2はそれぞれ、円周方向に極性が交互に変化する着磁列である。第1着磁列C1は第2着磁列C2よりも径が大きい。第1着磁列C1と第2着磁列C2とは、互いの着磁列が重複しない。
図5では、磁極対W1の数が磁極対W2の数よりも多い場合を例示しているが、数の多少関係は逆であってもよい。磁極対W1、W2はそれぞれ、N極とS極を1つずつ含む。着磁部611の円周方向の一か所において、第1着磁列C1の磁極対W1の端部W1Eと、第2着磁列C2の磁極対W2の端部W2Eとが、同一直線上で並ぶ。
実施形態における回転角度の基準位置ORとは、上述した信号パターンの所定位置に対して、エンコーダドラム61の回転角度が既知となっている位置のことである。一例を挙げると、信号パターンの所定位置は、上記の端部W1Eと端部W2Eとが同一直線上で並ぶ位置である。実施形態では、端部W1Eと端部W2Eとが同一直線上で並ぶ位置に対してエンコーダドラム61の回転角度は0°に定められており、この位置を基準位置ORとしている。
第2マークM2は、非着磁部612(図4B参照)であって、基準位置ORの延長線上に位置する。第2マークM2と回転軸Axを結ぶ直線が、基準位置ORと一致している。また、ロータハウジング2(図1参照)にエンコーダ基板61(図1参照)が取り付けられている状態では、ロータハウジング2の回転軸方向において、第1マークM1は第2マークM2と重なっている。
次に、図1及び図6を参照しながら、DDモータ100の製造方法を説明する。図6は、実施形態1のDDモータの製造方法を工程順に示すフローチャートである。DDモータ100を製造するための製造装置(図示せず)は、図1及び図6に示すように、ロータハウジング2の外周面2cにロータ25を取り付ける(ステップST1)。例えば、ロータ25の被取付面には接着剤が塗布されている。製造装置は、ロータ25の接着剤が塗布されている被取付面を、ロータハウジング2の外周面2cに接触させる。接着剤が硬化すると、ロータ25は外周面2cに固定される。
次に、製造装置は、ロータハウジング2に軸受3を取り付ける(ステップST2)。例えば、製造装置は、ロータハウジング2の下端面2bの側から開口部H2内に軸受3を挿入する。そして、製造装置は、軸受3の回転輪32を下側から上側へ移動させ、ロータハウジング2の第2突起部211に接触させる。次に、製造装置は、ロータハウジング2の下端面2bの側から、ロータハウジング2内側の開口部H2内に第2取付部品5を嵌めて、軸受3側に押圧する。これにより、軸受3の回転輪32は、第2取付部品5と第2突起部211とに挟持されて、ロータハウジング2の内周面2dに固定される。
次に、製造装置は、ステータハウジング1に軸受3を取り付ける(ステップST3)。例えば、製造装置は、ロータハウジング2の下端面2bの側から固定輪31の内側の開口部H3内に、第1部位11を挿入する。そして、製造装置は、第1部位11を下側から上側へ移動させ、第1部位11の第1突起部111を固定輪31に接触させる。次に、製造装置は、第1部位11の上端面11aの側から、第1部位11に第1取付部品4を嵌める。上述したように、第1取付部品4は例えばロックナットである。製造装置は、第1取付部品4を第1部位11に嵌め、第1取付部品4を締まる方向に回転させる。これにより、製造装置は、第1部位11を上側から下側へ移動させ、第1取付部品4を軸受3側に押圧する。第1取付部品4が軸受3側に押圧されると、軸受3の固定輪31は、第1取付部品4と第1突起部111とに挟持されて、第1部位11の外周面11cに固定される。
実施形態1では、上述のステップST1からST3と並行して、ステップST4が行われる。ステップST4では、製造装置は、エンコーダドラム61の着磁部611(図4B参照)に信号パターンを着磁する(着磁工程)。信号パターンは、例えば図5に示した第1着磁列C1及び第2着磁列C2である。ステップST4の着磁工程及び、着磁工程で用いられる製造装置(着磁装置)については、後で図7を参照しながら説明する。
次に、製造装置は、信号パターンが着磁されたエンコーダドラム61をロータハウジング2に取り付ける(ステップST5)。例えば、製造装置は、ロータハウジング2の下端面2bにエンコーダドラム61を取り付ける。この取り付けには接着剤が用いられる。一例を挙げると、エンコーダドラム61の上面61a(図4A参照)に接着剤が塗布されている。製造装置は、エンコーダドラム61の上面61aを、ロータハウジング2の下端面2b及び第2取付部品5に接触させる。接着剤が硬化すると、エンコーダドラム61は、ロータハウジング2の下端面2b及び第2取付部品5に固定される。ステップST5では、図5に示したように、ロータハウジング2の回転軸方向において第1マークM1と第2マークM2とが重なるように、第1マークM1に対して第2マークM2が位置合わせされる。
次に、製造装置は、ステータハウジング1にエンコーダ基板62を取り付ける(ステップST6)。例えば、製造装置は、第1部位11の下部にエンコーダ基板62を取り付けて、エンコーダドラム61の下面61b(図4B参照)と対向させる。この取り付けには、ねじ63が用いられる。なお、エンコーダ基板62の平面視による形状は例えば矩形である。エンコーダ基板62は、着磁部611の全部ではなく、一部のみを覆う。
次に、製造装置(図示せず)は、ステータハウジング1にステータ15を取り付ける(ステップST7)。例えば、製造装置は、ステータハウジング1の第2部位12にステータ15を取り付ける。製造装置は、ステータ15を支持する支持部16と第2部位12とにボルト161を通すことで、支持部16を介してステータ15を第2部位12に固定する。また、製造装置は、ステータ15を覆うカバー部17と支持部16とにボルト171を通すことで、支持部16を介してカバー部17を第2部位12に固定する。次に、製造装置は、第1部位11と第2部位12とにボルト13を通すことで、第1部位11と第2部位12とを互いに固定する。これにより、ステータハウジング1にステータ15が取り付けられて、DDモータ100が完成する。
次に、ステップST4の着磁工程及び着磁装置について説明する。図7は、実施形態1の着磁装置の構成例を示す模式図である。図7に示すように、実施形態1の着磁装置500は、エンコーダドラム61が載置されるステージ510と、ステージ510の中心部に取り付けられた回転軸511と、回転軸511を回転させるモータ512と、ステージ510の上方に配置された着磁ヘッド520と、ステージ510の上方に配置された撮像装置525と、着磁ヘッド520を昇降動作させるアクチュエータ531と、を備える。着磁ヘッド520及び撮像装置525は、ステージ510の外周部の上方に配置されている。なお、ステージ510は、エンコーダドラム61をステージ510に固定するためのチャック機構(図示せず)を備えてもよい。
また、着磁装置500は、電源装置540と、制御部550と、記憶部560と、表示部570と、磁気検出部580と、を備える。電源装置540は、着磁ヘッド520に電流を与える装置であり、例えばスイッチング素子を用いたインバータ回路である。スイッチング素子のON/OFF周期を制御することで、任意の周波数の交流電流を得ることができる。
制御部550は、その機能として、アクチュエータ531の動作を制御するアクチュエータ制御部551と、エンコーダドラム61が有する第2マークM2(図4B参照)を検出するマーク検出部552と、電源装置540を制御する電源制御部553と、エンコーダドラム61に対する着磁処理が正常に行われたか否かの判断を行う磁気データ判断部554と、モータ512を制御するモータ制御部555と、を有する。例えば、アクチュエータ制御部551は、アクチュエータ531の駆動を制御して、着磁ヘッド520をステージ510に近づけたり、ステージ510から遠ざけたりする。マーク検出部552は、撮像装置525が撮像する画像に基づいて、第2マークM2を検出する。電源制御部553は、電源装置540が着磁ヘッド520に供給する交流電流の周期を制御する。磁気データ判断部554は、着磁されたエンコーダドラム61の磁束密度等に関するデータを磁気検出部580から取得し、取得したデータに基づいて着磁処理が正常に行われたか否かの判断を行う。
記憶部560は、その機能として、着磁処理のプログラム等を格納するプログラム格納部561と、各種のデータを格納するデータ格納部562とを有する。例えば、データ格納部562は、磁気データ判断部554から出力される判断結果等を含むデータを格納する。また、表示部570は、動作中のハードウエアやプログラムの状態、磁気データ判断部554から出力される判断結果等を表示する。表示部570は、例えば、液晶ディスプレイ等で構成されている。磁気検出部580は、例えば、ホール素子と、ホール素子の出力信号に基づいて磁束密度等を検出する検出回路とを有する。磁気検出部580は、ステージ510の外周部の上方に配置されている。
なお、着磁装置500は、演算処理装置としてのCPU(中央演算処理装置)と、記憶装置としてのハードディスク、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)と、等を備える。制御部550の上述した各機能は、例えばCPUの演算処理によって実現される。記憶部560の上述した各機能は、例えばハードディスク、RAM、ROM等によって実現される。
図6に示した着磁工程(ステップST4)では、エンコーダドラム61は、着磁部611を撮像装置525側に向けた状態でステージ510上に載置される。次に、モータ制御部555はモータ512を駆動制御して、ステージ510を所定の角速度で回転させる。これにより、ステージ510と共に、エンコーダドラム61が回転する。また、エンコーダドラム61の回転前又は回転中に、マーク検出部552は第2マークM2を検出する。アクチュエータ制御部551は、着磁ヘッド520をステージ510に近づける。
次に、エンコーダドラム61が回転している間、電源制御部553は電源装置540を駆動制御して、着磁ヘッド520からエンコーダドラム61に磁界を印加させる。これにより、エンコーダドラム61の着磁部611は、円周方向に沿って極性が交互に変化するように着磁される。例えば図5に示したように、着磁部611に第1着磁列C1及び第2着磁列C2が形成される。実施形態では、第2マークM2が示す位置が、回転角度の基準位置となるように、第1着磁列C1及び第2着磁列C2が形成される。第2マークM2が示す位置とは、例えば、回転軸Ax及び第2マークM2を結ぶ線分と、着磁部611とが重なる位置である。
着磁工程(ステップST4)では、着磁ヘッド520とは異なる位置で、エンコーダドラム61と対向している磁気検出部580が、着磁されたエンコーダドラム61の磁気(例えば、磁束密度)を検出する。磁気データ判断部554は、磁気検出部580が検出した磁気に関するデータ(以下、磁気データ)を取得し、取得した磁気データに基づいて着磁処理が正常に行われたか否かの判断を行う。着磁工程の後、アクチュエータ制御部551はアクチュエータ531を駆動制御して、着磁ヘッド520をステージ510の上方に移動させる。これにより、着磁後のDDモータ100は着磁装置500から取り外される。
以上説明したように、実施形態1のDDモータ100は、ステータ15と、ステータ15に対して回転可能なロータ25とを有するモータ部10と、ステータ15が取り付けられるステータハウジング1と、ロータ25が取り付けられるロータハウジング2と、ステータハウジング1に対してロータハウジング2を回転可能に支持する軸受3と、ステータハウジング1に対するロータハウジング2の回転角度を検出する角度検出部6と、を備える。ロータハウジング2は、角度検出部6が検出する回転角度の基準位置ORを示す第1マークM1を有する。
これによれば、作業者が第1マークM1を目視したり、撮像装置525が第1マークM1を撮像したりすることによって、基準位置ORを把握することができる。DDモータ100の外観から、回転角度の基準位置ORを把握することができる。これにより、ロータハウジング2にステージ510を取り付けるときに、ステージ510の所定位置を基準位置ORに合わせることが容易となる。例えば、ステージ510の所定位置を回転角度の基準位置に合わせるために、角度検出部6に計測機を接続して、信号パターン(例えば、第1着磁列C1及び第2着磁列C2)の位相を調べる必要はない。このため、DDモータ100にステージ510を効率良く取付けることが可能である。
また、角度検出部6は、ロータハウジング2の回転軸方向において、ロータハウジング2の下端面2bに取り付けられるエンコーダドラム61と、ステータハウジング1に取り付けられ、エンコーダドラム61と対向する位置に配置されるエンコーダ基板62と、を有する。第1マークM1は、ロータハウジング2の上端面2aに設けられている。これによれば、エンコーダドラム61の周囲にエンコーダ基板62やステータハウジング1等が配置され、これらに遮られてエンコーダドラム61を見ることが難しい場合でも、作業者が第1マークM1を目視したり、撮像装置525が第1マークM1を撮像したりすることができる。
また、エンコーダドラム61は、回転角度の基準位置ORを示す第2マークM2を有する。これによれば、ステップST4の着磁工程(図6参照)では、第2マークM2が示す位置が回転角度の基準位置となるように、エンコーダドラム61に信号パターンを着磁することができる。また、ステップST5のロータハウジング2にエンコーダドラム61を取り付ける工程(図6参照)では、第1マークM1と第2マークM2とを位置合わせすることによって、第1マークM1を基準位置ORに合わせることができる。例えば、ロータハウジング2の回転軸方向において、第1マークM1と第2マークM2とが重なっていれば、第1マークM1は基準位置ORを精度良く示すことができる。
(実施形態1の変形例)
実施形態1は、例えば、変形例1から7に示す態様であってもよい。図8は、実施形態1の変形例1のロータハウジングの上端面を示す図である。図8に示すように、ロータハウジング2は、図3Aに示した第1マークM1に代えて、基準位置ORを示す第1マークM1Aを備えてもよい。第1マークM1Aは、上端面2aに開口したボルト穴である。第1マークM1Aは、ボルト穴23と同じ形状で、且つ同じ大きさである。実施形態1の変形例1は、図3Aに示した態様と比較して、ボルト穴23が1つ少ない。このため、時計周りの方向で隣り合う他のボルト穴との間隔よりも、反時計周りの方向で隣り合う他のボルト穴との配置間隔の方が大きい特定のボルト穴が1つだけ存在する。この特定のボルト穴が第1マークM1Aである。実施形態1の変形例1では、ボルト穴23の配置間隔に基づいて第1マークM1Aを特定することができる。
図9は、実施形態1の変形例2のロータハウジングの上端面を示す図である。図9に示すように、ロータハウジング2は、図3Aに示した第1マークM1に代えて、基準位置ORを示す第1マークM1Bを備えてもよい。第1マークM1Bは、上端面2aに開口したボルト穴である。第1マークM1Bは、ボルト穴23と同じ形状で、且つ同じ大きさである。実施形態1の変形例2では、図3Aに示した態様と比較して、ボルト穴の1つがX方向からずれて配置されている。このX方向からずれて配置されているボルト穴が、第1マークM1Bである。第1マークM1Bは、時計周りの方向で隣り合うボルト穴23に対して30°の配置間隔ではなく、反時計周りの方向で隣り合うボルト穴23に対しても30°の配置間隔ではない。図9に示すロータハウジング2において、第1マークM1Bと同じ配置間隔のボルト穴23は存在しない。このため、実施形態1の変形例2においても、ボルト穴23の配置間隔に基づいて第1マークM1Bを特定することができる。
図10は、実施形態1の変形例3のロータハウジングの上端面を示す図である。図10に示すように、ロータハウジング2は、図3Aに示した第1マークM1に代えて、基準位置ORを示す第1マークM1Cを備えてもよい。第1マークM1Cは、上端面2aに開口したボルト穴である。第1マークM1Cは、ボルト穴23と同じ形状で、且つボルト穴23よりも直径が大きい。実施形態1の変形例3では、ボルト穴23の大きさに基づいて第1マークM1Cを特定することができる。
図11Aは、実施形態1の変形例4のエンコーダドラムの上面を示す図である。図11Bは、実施形態1の変形例4のエンコーダドラムの下面を示す図である。図11A及び図11Bに示すように、エンコーダドラム61は、図4A及び図4Bに示した第2マークM2に代えて、基準位置ORを示す第2マークM2Aを備えてもよい。第2マークM2Aは、例えば貫通孔である。第2マークM2Aは、貫通孔615と同じ形状で、且つ同じ大きさである。実施形態1の変形例4は、図4A及び図4Bに示した態様と比較して、貫通孔615が1つ少ない。このため、時計周りの方向で隣り合う他の貫通孔615との間隔よりも、反時計周りの方向で隣り合う他の貫通孔615との配置間隔の方が大きい特定の貫通孔が1つだけ存在する。この特定の貫通孔が第2マークM2Aである。実施形態1の変形例4では、貫通孔615の配置間隔に基づいて第2マークM2Aを特定することができる。
図12Aは、実施形態1の変形例5のエンコーダドラムの上面を示す図である。図12Bは、実施形態1の変形例5のエンコーダドラムの下面を示す図である。図12A及び図12Bに示すように、エンコーダドラム61は、図4A及び図4Bに示した第2マークM2に代えて、基準位置ORを示す第2マークM2Bを備えてもよい。第2マークM2Bは例えば貫通孔である。第2マークM2Bは、貫通孔615と同じ形状で、且つ同じ大きさである。実施形態1の変形例5は、図4A及び図4Bに示した態様と比較して、貫通孔の1つがX方向からずれて配置されている。このX方向からずれて配置されている貫通孔が第2マークM2Bである。第2マークM2Bは、時計周りの方向で隣り合う貫通孔615に対して30°の配置間隔ではなく、反時計周りの方向で隣り合う貫通孔615に対しても30°の配置間隔ではない。図12A及び図12Bに示すエンコーダドラム61において、第2マークM2Bと同じ配置間隔の貫通孔615は存在しない。このため、実施形態1の変形例5においても、貫通孔615の配置間隔に基づいて第2マークM2Bを特定することができる。
図13Aは、実施形態1の変形例6のエンコーダドラムの上面を示す図である。図13Bは、実施形態1の変形例6のエンコーダドラムの下面を示す図である。図13A及び13Bに示すように、エンコーダドラム61は、図4A及び図4Bに示した第2マークM2に代えて、基準位置ORを示す第2マークM2Cを備えてもよい。第2マークM2Cは貫通孔である。第2マークMC2は、貫通孔615と同じ形状で、且つ貫通孔615よりも直径が大きい。実施形態1の変形例6では、貫通孔615の大きさに基づいて、第2マークM2Cを特定することができる。
また、ロータハウジング2は、第1マークM1に加えて、基準位置ORを示す第3マークを備えてもよい。図14は、実施形態1の変形例7のロータハウジングの下端面を示す図である。図14に示すように、ロータハウジング2は、下端面2bに設けられた第3マークM3を備えてもよい。第3マークM3は、例えばボルト穴であり、基準位置ORを示している。ロータハウジング2の回転軸方向において、第3マークM3は第1マークM1(図3A参照)と重なる位置に設けられている。
実施形態1の変形例7によれば、ロータハウジング2の下端面2bにエンコーダドラム61を取り付けるときに、第2マークM2と第3マークM3とを位置合わせすることで、第1マークM1を基準位置ORに合わせることができる。第2マークM2及び第3マークM3は同じ側(例えば、図1の下側)に位置するため、第2マークM2を第1マークM1に位置合わせするよりも、第2マークM2を第3マークM3に位置合わせする方が容易となる場合がある。その場合は、ロータハウジング2にエンコーダドラム61を取り付ける工程(ステップST5)を、より容易に実施できる可能性がある。
実施形態では、実施形態1と変形例1から7とを任意に組み合わせてよい。例えば、実施形態1のDDモータ100は、第1マークM1、M1A、M1B、M1Cのいずれか1つを有するロータハウジング2と、第2マークM2、M2A、M2B、M2Cのいずれか1つを有するエンコーダドラム61とを備えてもよい。また、ロータハウジング2は、第1マークM1、M1A、M1B、M1Cのいずれか1つと、第3マークM3とを備えてもよい。
また、実施形態において、基準位置ORに対応する、エンコーダドラム61の回転角度は0°に限定されるものではない。基準位置ORに対応する回転角度は任意の角度に設定することができ、例えば、90°、180°又は270°に設定してもよい。
(実施形態2)
実施形態1では、ステータハウジング1の第2部位12にステータ15が取り付けられる前に、エンコーダドラム61が着磁されることについて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されない。実施形態では、第2部位12にステータ15が取り付けられ、第1部位11と第2部位12とがボルト13で互いに固定された後で、エンコーダドラム61が着磁されてもよい。その場合は、ステータハウジング1に、着磁ヘッド520を挿入するための窓部が設けられていてもよい。
また、実施形態1では、第1部位11と第2部位12とがボルト13で互いに固定されることについて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されない。実施形態では、第1部位11と第2部位12とが別部品ではなく、一つの部品として一体に形成されていてもよい。この場合も、ステータハウジング1に、着磁ヘッド520を挿入するための窓部が設けられていてもよい。
図15は、実施形態2のDDモータの構成例を示す断面図である。図15は、図1と異なり、DDモータ100Aを上下逆さまに示している。図15に示すように、実施形態2のDDモータ100Aでは、着磁ヘッド520を挿入するための窓部121が第2部位12に設けられている。窓部121は、第2部位12をZ軸方向に貫通する開口部である。窓部121はエンコーダドラム61と対向する位置にある。これによれば、ステータハウジング1に軸受3やステータ15が取り付けられた後でも、着磁装置500(図7参照)は、窓部121を介してエンコーダドラム61に着磁することができる。
また、DDモータ100Aは、窓部121を閉じるための蓋体を有してもよい。着磁工程の後で、製造装置は、窓部121を蓋体で閉じてもよい。その場合、窓部121は、第1開口部121aと、第1開口部121aに連通する第2開口部121bとを有することが好ましい。図16は、実施形態2の窓部と蓋体とを示す図である。図17は、実施形態2の窓部が蓋体で閉じられている状態を示す図である。図16及び図17は、図15と同様に、DDモータ100Aを上下逆さまに示している。第1開口部121aは第2部位12の上端面12a側に開口し、第2開口部121bは第2部位12の下面12b側に開口している。第1開口部121a及び第2開口部121bの平面視による形状は任意であるが、一例を挙げると、円形である。第1開口部121aよりも第2開口部121bの方が、直径が大きい。第2開口部121bの周縁部の底部には、ねじ穴122が設けられている。
エンコーダドラム61が着磁された後、製造装置は、蓋体123を第2開口部121b内に配置する。そして、製造装置は、蓋体123に設けられた貫通孔124にねじ125を通した状態で、ねじ125をねじ穴122に嵌めて、蓋体123をステータハウジング1に固定する。これによれば、着磁工程の後、窓部121は蓋体123で閉じられるので、窓部121を介してDDモータ100Aの外部から内部に異物等が侵入することを防ぐことができる。
(実施形態3)
実施形態のDDモータは、ロータの内周側にステータを配した、いわゆるインナーステータタイプであってもよい。図18は、実施形態3に係るDDモータの構成例を示す断面図である。実施形態3のDDモータ200は、ロータ25の内周側にステータ15を配した、インナーステータタイプである。図18に示すように、実施形態3のDDモータ200は、ステータハウジング1と、ロータハウジング2と、軸受3と、軸受3の固定輪31をステータハウジング1に取り付けるための第1取付部品4と、軸受3の回転輪32をロータハウジング2に取り付けるための第2取付部品5と、角度検出部6と、モータ部10と、を備える。軸受3は、ステータハウジング1とロータハウジング2との間に介在し、ステータハウジング1に対してロータハウジング2を回転可能に支持している。また、モータ部10は、ステータ15及びロータ25を有する。
実施形態3のDDモータ200においても、ロータハウジング2は第1マークM1(図3A参照)を有し、エンコーダドラム61は第2マークM2(図4B参照)を有する。実施形態1と同様に、第1マークM1は、例えばピン孔又はボルト穴である。第1マークM1は、ボルト穴23が開口している側の面(上端面)に設けられている。第2マークM1は例えば貫通穴である。第2マークM2は、エンコーダドラム61の非着磁部612に設けられている。DDモータ200では、エンコーダドラム61は、第2取付部品5を介して、ロータハウジング2の上部210に取り付けられている。エンコーダ基板62は、ステータハウジング1に取り付けられており、エンコーダドラム61と対向している。
図19は、実施形態3のDDモータの製造方法を工程順に示すフローチャートである。図19において、ロータハウジング2にロータ25を取り付ける工程(ステップST11)と、ロータハウジング2に軸受3を取り付ける工程(ステップST12)は、実施形態1で説明したステップST1、ステップST2とそれぞれ同じである。図19に示すように、実施形態3では、ステップST12の後で、ステータハウジング1にステータ15を取り付ける工程(ステップST13)が行われる。例えば、製造装置はステータハウジング1の外周面1c(図18参照)にステータ15を取り付ける。外周面1cに対するステータ15の取り付けには、接着剤が用いられてもよいし、ねじ等が用いられてもよい。次に、ステータハウジング1に軸受3を取り付ける工程(ステップST14)が行われる。ステップST14は、実施形態1で説明したステップST3と同じである。
実施形態3では、上述のステップST11からST14と並行して、ステップST15(着磁工程)が行われる。ステップST15は、実施形態1で説明したステップST4と同じである。ステップST15では、製造装置は、エンコーダドラム61の着磁部611(図4B参照)に信号パターンを着磁する。
次に、ロータハウジング2にエンコーダドラム61を取り付ける工程(ステップST16)と、ステータハウジング1にエンコーダ基板62を取り付ける工程(ステップST17)とが、この順番で行われる。ステップST16、ST17は、実施形態1で説明したステップST5、ST6とそれぞれ同じである。実施形態3では、ステップST17の後で、エンコーダドラム61やエンコーダ基板62を覆うカバー部17が第1取付部品4に取り付けられる。以上により、DDモータ200が完成する。
以上説明したように、実施形態3のDDモータ200においても、ロータハウジング2は、回転角度の基準位置ORを示す第1マークM1を有する。これによれば、DDモータ200の外観から、回転角度の基準位置ORを把握することができる。また、エンコーダドラム61は、基準位置ORを示す第2マークM2を有する。これによれば、ロータハウジング2にエンコーダドラム61を取り付けるときに、第1マークM1と第2マークM2とを位置合わせすることによって、第1マークM1を基準位置ORに合わせることができる。このため、DDモータ200にステージ510(図1参照)を効率良く取付けることが可能である。
(実施形態4)
図20は、実施形態4に係る検査装置の構成例を示す模式図である。実施形態4の検査装置300は、処理装置の一例であり、実施形態1で説明したDDモータ100と、ステージ80と、カメラ82とを備える。カメラ82は、ロータハウジング2の回転により移動する対象物に予め設定された処理を施す処理部の一例である。DDモータ100のロータハウジング2の上端面2aには、ステージ80が取り付けられている。検査装置300では、ロータハウジング2と共に、ステージ80が回転する。DDモータ100とステージ80は、搬送装置を構成している。ステージ80の縁部には、複数の検査対象物81が等間隔で配置される。検査対象物81は、DDモータ100の運転により、ステージ80と共に回転して搬送される。また、ステージ80の縁部の上方には、ステージ80と共に回転する検査対象物81を撮影するためのカメラ82が配置されている。検査装置300は、カメラ82が撮影する画像に基づいて、検査対象物81の外観等を検査する。
実施形態4によれば、第1マークM1を目印に、DDモータ100にステージ80を効率良く取り付けることができるため、取付けの効率がよい。これにより、組立性に優れた検査装置300を提供することができる。
なお、実施形態4の検査装置300は、実施形態1で説明したアウターステータタイプのDDモータ100の代わりに、第2実施形態で説明したアウターステータタイプのDDモータ100Aを備えてもよいし、実施形態3で説明したインナーステータタイプのDDモータ200を備えていてもよい。
(実施形態5)
図21は、実施形態5に係る工作機械の構成例を示す模式図である。実施形態5の工作機械400は、処理装置の一例であり、実施形態1で説明したDDモータ100と、ステージ80と、ロボットアーム85、86とを備える。ロボットアーム85、86は、ロータハウジング2の回転により移動する対象物に予め設定された処理を施す処理部の一例である。DDモータ100のロータハウジング2の上端面2aには、ステージ80が取り付けられている。工作機械400では、ロータハウジング2と共に、ステージ80が回転する。DDモータ100とステージ80は、搬送装置を構成している。ステージ80の縁部には、複数の加工対象物91が等間隔で配置される。また、ステージ80の縁部の上方には、ロボットアーム85、86が配置されている。ロボットアーム85は、加工対象物91に部品92を積載する。ロボットアーム86は、部品92上に部品93を積載する。ロボットアーム85、86は、アームの先端部で部品92、93を吸着してもよいし、把持してもよい。
実施形態5の工作機械400によれば、第1マークM1を目印にDDモータ100にステージ80を取り付けることができるため、取付けの効率がよい。これにより、組立性に優れた検査装置300を提供することができる。
なお、実施形態5の工作機械400は、実施形態1で説明したアウターステータタイプのDDモータ100の代わりに、第2実施形態で説明したアウターステータタイプのDDモータ100Aを備えてもよいし、実施形態3で説明したインナーステータタイプのDDモータ200を備えていてもよい。