JP6872966B2 - 圧電膜を有する積層基板、圧電膜を有するデバイスおよび圧電膜を有するデバイスの製造方法 - Google Patents

圧電膜を有する積層基板、圧電膜を有するデバイスおよび圧電膜を有するデバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、圧電膜を有する積層基板、圧電膜を有するデバイスおよび圧電膜を有するデバイスの製造方法に関する。
圧電体は、センサやアクチュエータ等の機能性電子部品に広く利用されている。圧電体の材料としては、例えばニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)が用いられている(例えば特許文献1,2参照)。近年、より汎用性が高い圧電体が強く求められるようになっている。
特開2007−184513号公報 特開2008−159807号公報
本発明の目的は、汎用性を高めた圧電膜を有する積層基板およびその関連技術を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
基板と、
前記基板上に製膜された圧電膜と、
所定の粒子を捕獲するトラップ部と、を備え、
前記基板および前記圧電膜は、所定の電圧が印加されると所定の周波数で撓み振動する共振部を有し、
前記共振部を撓み振動させた状態で、前記トラップ部が粒子を捕獲すると、前記共振部の周波数が変化する圧電膜を有する積層基板およびその関連技術が提供される。
本発明によれば、汎用性を高めた圧電膜を有する積層基板およびその関連技術を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態にかかる積層基板の断面構造を示す図である。 本発明の一実施形態の変形例にかかる積層基板の断面構造を示す図である。 (a)は本発明の一実施形態の変形例にかかる積層基板の断面構造を示す図であり、(b)〜(d)は、それぞれ、積層基板が有する圧電膜の開口から露出した基板の領域を示す平面図である。 本発明の一実施形態にかかる圧電膜を有するデバイスの概略構成を示す図である。 従来の積層基板の断面構造を示す図である。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
(1)積層基板の構成
図1に示すように、本実施形態にかかる積層基板10は、基板1と、基板1上に製膜された下部電極膜2と、下部電極膜2上に製膜された圧電膜(圧電薄膜)3と、圧電膜3上に製膜された上部電極膜4と、を備えた積層体として構成されている。
基板1としては、熱酸化膜やCVD(Chemical Vapor Deposition)酸化膜等の表面酸
化膜(SiO膜)1bが形成された単結晶シリコン(Si)基板1a、すなわち、表面酸化膜を有するSi基板を好適に用いることができる。また、基板1としては、図2に示すように、その表面にSiO以外の絶縁性材料により形成された絶縁膜1dを有するSi基板1aを用いることもできる。また、基板1としては、表面にSi(100)面やSi(111)面等が露出したSi基板1a、すなわち、表面酸化膜1bや絶縁膜1dを有さないSi基板を用いることもできる。また、基板1としては、SOI(Silicon On Insulator)基板、石英ガラス(SiO)基板、ガリウム砒素(GaAs)基板、サファイア(Al)基板、ステンレス等の金属材料により形成された金属基板を用いることもできる。単結晶Si基板1aの厚さは例えば300〜1000μm、表面酸化膜1bの厚さは例えば5〜3000nmとすることができる。
基板1の裏面(圧電膜3が設けられる面とは反対側の面)に、裏面側から表面側に向かって、所定深さDの凹部7が形成されることで、基板1は、その厚さが薄くなっている領域(以下、薄肉領域とも称する)を有している。薄肉領域の平面形状、すなわち凹部7の平面形状は円形である。凹部7の平面形状は、矩形等種々の形状であってもよい。凹部7は、Deep−RIEやウエットエッチング等の手法を用いて基板1の一部を除去することで形成することができる。
下部電極膜2は、例えば、白金(Pt)を用いて製膜することができる。下部電極膜2は、単結晶膜や多結晶膜(以下、これらをPt膜とも称する)となる。Pt膜を構成する結晶は、基板1の表面に対して(111)面方位に優先配向していることが好ましい。すなわち、Pt膜の表面(圧電膜3の下地となる面)は、主にPt(111)面により構成されていることが好ましい。Pt膜は、スパッタリング法、蒸着法等の手法を用いて製膜することができる。下部電極膜2は、Pt以外に、金(Au)やルテニウム(Ru)やイリジウム(Ir)等の各種金属、これらを主成分とする合金、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO)やニッケル酸ランタン(LaNiO)等の金属酸化物等を用いて製膜することもできる。なお、基板1と下部電極膜2との間には、これらの密着性を高めるため、例えば、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、酸化チタン(TiO)、ニッケル(Ni)等を主成分とする密着層6が設けられている。密着層6は、スパッタリング法、蒸着法等の手法を用いて製膜することができる。下部電極膜2の厚さは例えば100〜400nm、密着層6の厚さは例えば1〜200nmとすることができる。
圧電膜3は、例えば、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、ニオブ(Nb)を含み、組成式(K1−xNa)NbOで表されるアルカリニオブ酸化物、すなわち、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を用いて製膜することができる。上述の組成式中の係数x[=Na/(K+Na)]は、0<x<1、好ましくは0.4≦x≦0.7の範囲内の大きさとする。圧電膜3は、KNNの多結晶膜(以下、KNN膜(KNN薄膜)3とも称する)となる。KNNの結晶構造は、ペロブスカイト構造となる。
KNN膜3を構成する結晶は、基板1の表面に対して(001)面方位に優先配向していることが好ましい。すなわち、KNN膜3の表面(上部電極膜4の下地となる面)は、主にKNN(001)面により構成されていることが好ましい。基板1の表面に対して(
111)面方位に優先配向させたPt膜上にKNN膜3を直接製膜することで、KNN膜3を構成する結晶を、基板1の表面に対して(001)面方位に優先配向させることが容易となる。例えば、KNN膜3を構成する結晶群のうち80%以上の結晶を基板1の表面に対して(001)面方位に配向させ、KNN膜3の表面のうち80%以上の領域をKNN(001)面とすることが可能となる。KNN膜3の厚さは例えば0.5〜5μmとすることができる。
KNN膜3は、スパッタリング法、PLD(Pulsed Laser Deposition)法、ゾルゲル
法等の手法を用いて製膜することができる。KNN膜3の組成比は、例えば、スパッタリング製膜時に用いるターゲット材の組成を制御することで調整可能である。ターゲット材は、例えば、KCO粉末、NaCO粉末、Nb粉末等を混合させて焼成すること等により作製することができる。この場合、ターゲット材の組成は、KCO粉末、NaCO粉末、Nb粉末等の混合比率を調整することで制御することができる。
KNN膜3は、銅(Cu)、マンガン(Mn)、リチウム(Li)、Ta、アンチモン(Sb)等のK、Na、Nb以外の元素を、5at%以下の範囲内で含んでいてもよい。
上部電極膜4は、例えば、Pt、Au、アルミニウム(Al)、Cu等の各種金属やこれらの合金を用いて製膜することができる。上部電極膜4は、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法、金属ペースト法等の手法を用いて製膜することができる。上部電極膜4は、下部電極膜2のようにKNN膜3の結晶構造に大きな影響を与えるものではない。そのため、上部電極膜4の材料、結晶構造、製膜手法は特に限定されない。なお、KNN膜3と上部電極膜4との間には、これらの密着性を高めるため、例えば、Ti、Ta、TiO、Ni等を主成分とする密着層が設けられていてもよい。上部電極膜4の厚さは例えば100〜5000nm、密着層を設ける場合にはその厚さは例えば1〜200nmとすることができる。
積層基板10は、所定の粒子(微粒子)Pを捕獲(トラップ、確保)するトラップ部を備えている。所定の粒子Pの一例として、におい粒子や、PM2.5、花粉等の粉塵が挙げられる。
トラップ部は、基板1の薄肉領域の上部に位置するKNN膜3上に感応膜(粘着膜)9を設けることにより構成されている。感応膜9は、その直径が凹部7の直径よりも小さくなるように形成されており、感応膜9の周縁が基板1の薄肉領域の上部に位置している。感応膜9の平面形状は、凹部7の平面形状と相似形状であることが好ましく、例えば円形である。感応膜9は、例えばその中心が基板1の薄肉領域の中心とほぼ一致するように配置されている。感応膜9としては、捕獲対象の粒子Pに応じて種々の材料により形成した膜を用いることができる。感応膜9は、貼り付け等の手法を用いて製膜することができる。
捕獲対象がPM2.5である場合、図3(a)に例示するように、基板1の薄肉領域に、基板1を厚さ方向に貫通する1つまたは複数の貫通孔8を形成し、下部電極膜2およびKNN膜3のそれぞれに、貫通孔8を露出させる開口2a,3aを形成することで、トラップ部を構成してもよい。密着層6を設ける場合には密着層6にも貫通孔8を露出させる開口6aを形成する。
貫通孔8は、基板1の薄肉領域の一部、例えば薄肉領域の少なくとも中心部に形成されている。貫通孔8を形成する場合、図3(b)に例示するように、貫通孔8の平面形状を円形とし、貫通孔8がドットパターンを構成するように複数形成することが好ましい。ま
た、図3(c)に例示するように、貫通孔8の平面形状を矩形とし、貫通孔8がメッシュパターンを構成するように複数形成してもよい。また、複数の貫通孔8の平面形状は円形、矩形の他、楕円、長円、三角形等であってもよく、上述の形状が混在していてもよい。図3(b)(c)に例示する場合、複数の貫通孔8は、それぞれ、平面形状における差し渡し最大幅(直径)が捕獲対象である粒子Pのサイズよりも小さい。また、貫通孔8は、図3(d)に例示するようにストライプパターンを構成するように複数形成されていてもよい。貫通孔8が図3(d)に例示するパターンを構成する場合、複数の貫通孔8として、差し渡し最小幅が捕獲対象である粒子Pのサイズよりも小さい貫通孔を形成する。貫通孔8は、レーザ光の照射(レーザ光による打ち抜き)やエッチング等の手法を用いて形成することができる。
貫通孔8の差し渡し最大幅または差し渡し最小幅(以下、これらをまとめて「貫通孔8の幅」とも称する)は、捕獲対象である粒子Pによって適宜設定される。捕獲対象がPM2.5である場合、貫通孔8の幅は例えば2μm以下、好ましくは1μm程度とすることができる。
下部電極膜2、KNN膜3および密着層6に形成される開口2a,3a,6a(以下、これらを総称して開口3a等とも称する)の平面形状は、それぞれ、同一形状であり、例えば円形である。これらの開口3a等は、これらの直径がそれぞれ凹部7の直径よりも小さくなるように形成されており、開口3a等の周縁が薄肉領域の上部に位置している。開口3a等の平面形状は、上述の凹部7の平面形状と相似形状であることが好ましい。開口3a等は、エッチング等の手法を用いて形成することができる。
積層基板10は、後述の圧電膜デバイス30において電圧印加手段11aにより下部電極膜2と上部電極膜4との間に電圧が印加されると、KNN膜3が撓み振動する(撓みモードで振動する)ように構成されている。KNN膜3は下部電極膜2を介して基板1上に固定されているため、KNN膜3が撓み振動することで、基板1、特に基板1の薄肉領域および薄肉領域の周辺部も、KNN膜3と一緒に撓み振動する。このように、積層基板10は、電圧印加手段11aによる電圧の印加により振動する共振部を有している。主に、KNN膜3、基板1の薄肉領域およびその周辺部により共振部(振動部)が構成される。下部電極膜2および上部電極膜4を共振部に含めて考えてもよい。
本実施形態では、共振部は撓み振動することから、共振部の周波数設計は、共振部(の振動の伝搬方向)の長さおよび共振部の厚さのうち少なくともいずれかを調整することで行うことができる。後述の電圧印加手段11aにより印加される電圧の大きさを一定とする場合、共振部の長さを長くしたり、共振部の厚さを厚くしたりすることで、共振部の周波数(以下、共振周波数とも称する)を低くでき、共振部の長さを短くしたり、共振部の厚さを薄くしたりすることで、共振周波数を高くできる。共振部の長さは、例えば薄肉領域の直径、すなわち凹部7の直径Lを調整することで行うことができる。共振部の厚さは、例えば薄肉領域における基板1の厚さT、すなわち上述の凹部7の深さDを調整することで行うことができる。凹部7の深さDは、例えば凹部7を形成する際のエッチング条件(エッチング量)を制御することで調整可能である。共振部の周波数は例えば10kHzより高く1GHz未満、好ましくは100kHz程度とすることができる。
上述の積層基板10の製造方法の一例について説明する。まず、基板1のいずれかの主面上に下部電極膜2を製膜する。いずれかの主面上に下部電極膜2が予め製膜された基板1を用意してもよい。下部電極膜2上に、KNN膜3を例えばスパッタリング法を用いて製膜する。そして、基板1の裏面に、例えばウエットエッチングにより所定深さDおよび所定直径Lを有する凹部7を形成し、基板1に薄肉領域を形成する。続いて、基板1の薄肉領域の上部に位置するKNN膜3上に感応膜を貼り付け等により製膜し、トラップ部を
形成する。なお、下部電極膜2、KNN膜3および密着層6の所定箇所を例えばエッチングによりそれぞれ除去して開口3a等を形成し、基板1の薄肉領域の一部の表面を露出させた後、開口3a等から露出した基板1の薄肉領域に例えばレーザ光を照射して貫通孔8を形成することでトラップ部を形成してもよい。その後、KNN膜3上に上部電極膜4を製膜することで、積層基板10が得られる。
(2)圧電膜素子および圧電膜デバイスの構成
上述の積層基板10を所定の形状に成形することで、圧電膜を有する素子(以下、圧電膜素子とも称する)20が得られる。そして、圧電膜素子20に電圧印加手段11aおよび周波数検出手段11bを接続することで、圧電膜デバイス30が得られる。図4に、本実施形態における圧電膜を有するデバイス(以下、圧電膜デバイスとも称する)30の概略構成図を示す。圧電膜デバイス30は、圧電膜素子20と、圧電膜素子20に接続される電圧印加手段11aおよび周波数検出手段11bと、を少なくとも備えて構成される。
電圧印加手段11aを、圧電膜素子20の下部電極膜2と上部電極膜4との間に接続し、電圧印加手段11aにより下部電極膜2と上部電極膜4との間に電圧を印加することで、圧電膜素子20(積層基板10)の共振部を所定の周波数で撓み振動させることができる。
周波数検出手段11bを、圧電膜素子20の下部電極膜2と上部電極膜4との間に接続することで、圧電膜デバイス30をセンサとして機能させることができる。電圧印加手段11aにより下部電極膜2と上部電極膜4との間に一定の電圧を印加して共振部を撓み振動させた状態で、トラップ部が粒子Pを捕獲すると、共振部の周波数(共振周波数)が変化する。この共振周波数の変化を周波数検出手段11bによって検出することで、トラップ部による粒子Pの捕獲を検出することができる。周波数検出手段11bは、共振部のうち少なくともKNN膜3の共振部の周波数の変化を検出する。周波数検出手段11bとして、インピーダンス測定により周波数を検出する手段等の公知の種々の手段を用いることができる。
以下では、上述の圧電膜デバイス30を用いた粒子Pの検出方法について説明する。まず、電圧印加手段11aにより下部電極膜2と上部電極膜4との間に所定の電圧を印加し、圧電膜素子20の共振部を所定の周波数で撓み振動させる。電圧印加手段11aによる一定の電圧の印加を維持した状態で、すなわち共振部を撓み振動させた状態で、トラップ部が粒子Pを捕獲すると、上述のように共振部の周波数が変化する。この共振周波数の変化を周波数検出手段11bが検出することで、トラップ部による粒子Pの捕獲を検出することができる。なお、トラップ部が捕獲した粒子Pは、電圧印加手段11aにより所定の電圧を印加して、共振部の振動を大きくする(共振部を大振幅で振動させる)ことで吹き飛ばすことができる。これにより、トラップ部の粒子Pの捕獲による上述の共振周波数の変化をリセットすることができる。
(3)本実施形態により得られる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
(a)本実施形態では、共振部が撓み振動(屈曲振動)するように構成されていることから、共振部の周波数設計を、KNN膜3の設計(例えば厚さや長さ)を変更することなく、上述のように凹部7の直径Lや、薄肉領域の基板1の厚さT、すなわち凹部7の深さDを変更するだけで行うことができる。このため、本実施形態では、例えば厚み振動する共振部よりも周波数設計を容易に行うことができる。
本実施形態に対し、図5に示すような、水晶振動子や、いわゆるFBAR(Film
Bulk Acoustic Resonator)と呼ばれる圧電膜共振子を用いて作製したセンサがある。これらのセンサでは、水晶振動子やFBARのセンシング領域に検出対象が付着すると、水晶振動子が備える水晶片や、FBARが備える圧電膜が厚み振動する。一般的な水晶振動子の共振周波数は10kHz程度であり、一般的なFBARの共振周波数は1GHz程度である。水晶振動子やFBARの周波数設計は、水晶片や圧電膜の厚さを変更することで行われ、水晶片や圧電膜の厚さが厚くなると、共振周波数が低くなり、水晶片や圧電膜の厚さが薄くなると、共振周波数が高くなる。
例えば、水晶振動子の共振周波数を100kHzにしようとすると、水晶片の厚さを50〜100μm程度まで薄くする必要がある。水晶片の厚さが薄いと、水晶振動子を作製する際や、水晶振動子をデバイスに実装する際あるいは実装後に、水晶片に衝撃や振動が加わることで、水晶片が破損しやすい。このように、水晶振動子を用いる場合、水晶片の厚さを充分に薄くすることが難しいことから、周波数設計が行いにくい。
一方、FBARでは、圧電膜の厚さを1μm程度と充分に薄くすることができ、上述のように共振周波数を充分に高くすることができる。しかしながら、一般的なFBARでは共振周波数が高すぎるため、共振周波数の変化をとらえる周辺回路が高価になり、汎用性が低くなる。このため、FBARにおいて共振周波数を例えば100kHz程度まで低くしようとすると、圧電膜の厚さを厚くする必要があり、FBARの製造コストが高くなったり、生産性が低下したりすることがある。このように、FBARを用いる場合、圧電膜の厚さを適切に厚くすることが難しいことから、周波数設計が行いにくい。
(b)本実施形態によれば、上述のように共振部の周波数設計を容易に行うことができることから、例えば一般的な水晶振動子の共振周波数(10kHz)と一般的なFBARの共振周波数(1GHz)との間の共振周波数を有する共振部を容易に形成することができる。その結果、圧電膜3を有する積層基板10を加工することで作製される圧電膜デバイス30の汎用性を高めることができる。
(c)本実施形態によれば、共振部の周波数を例えば100kHz程度にすることができる。本実施形態にかかる積層基板10を加工することで、圧電膜デバイス30として例えばセンサが作製される場合、センサの感度は、共振周波数に依存し、共振周波数が高いほど、高感度のセンサとなる。共振周波数が100kHz程度であると、充分に高感度なセンサとすることができ、上述の周辺回路も安価にできる点で、特に好ましい。
(d)感応膜9を設けたり、基板1に所定の貫通孔8を設けたりすることでフィルタ部を形成し、粒子Pを捕獲することから、粒子Pのふるい分けをすることができ、複数種類の粒子のうち、捕獲対象である所定の粒子Pのみを選別することできる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。但し、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
(付記1)
本発明の一態様によれば、
基板と、
前記基板上に製膜された圧電膜と、
所定の粒子を捕獲するトラップ部と、を備え、
前記基板および前記圧電膜は、所定の電圧が印加されると所定の周波数で撓み振動する共振部を有し、
前記共振部を撓み振動させた状態で、前記トラップ部が粒子を捕獲すると、前記共振部の周波数が変化する圧電膜を有する積層基板が提供される。
(付記2)
付記1の基板であって、好ましくは、
前記トラップ部は、前記圧電膜上に所定の粒子を捕獲する感応膜を設けることで形成されている。
(付記3)
付記1の基板であって、好ましくは、
前記トラップ部は、前記基板に、前記基板を厚さ方向に貫通し、差し渡し最大幅又は差し渡し最小幅の少なくともいずれかが捕獲対象である粒子のサイズよりも小さい貫通孔を設け、前記圧電膜に、前記貫通孔を露出させる開口を設けることで形成されている。
(付記4)
付記3の基板であって、好ましくは、
前記貫通孔はドットパターンを構成するように複数形成されており、前記貫通孔の差し渡し最大幅が捕獲対象である粒子のサイズよりも小さい。
(付記5)
付記3の基板であって、好ましくは、
前記貫通孔はストライプパターンを構成するように複数形成されているか、または、格子パターンを構成するように形成されており、前記貫通孔の差し渡し最小幅が捕獲対象である粒子のサイズよりも小さい。
(付記6)
付記1〜5のいずれかの基板であって、好ましくは、
前記共振部の周波数の調整は、前記基板の厚さを調整することで行う。
(付記7)
付記1〜5のいずれかの基板であって、好ましくは、
前記基板の裏面には、裏面側から表面側に向かって所定深さの凹部が形成されており、
前記共振部の周波数の調整は、前記凹部の深さおよび前記共振部の振動の伝搬方向における前記凹部の長さのうち少なくともいずれかを調整することで行う。
(付記8)
付記1〜7のいずれかの基板であって、好ましくは、
前記共振部の周波数は10kHzより高く1GHz未満である。
(付記9)
付記1〜8のいずれかの基板であって、好ましくは、
前記粒子は、におい粒子、粉塵(PM2.5、花粉等)である。
(付記10)
付記1〜9のいずれかの基板であって、好ましくは、
前記圧電膜は、組成式(K1−xNa)NbO(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造のアルカリニオブ酸化物からなる膜である。
(付記11)
本発明の他の態様によれば、
基板と、
前記基板上に製膜された電極膜と、
前記電極膜上に製膜された圧電膜と、
所定の粒子を捕獲するトラップ部と、を備え、
前記基板および前記圧電膜は、所定の電圧が印加されると所定の周波数で撓み振動する共振部を有し、
前記共振部を撓み振動させた状態で、前記トラップ部が粒子を捕獲すると、前記共振部の周波数が変化する圧電膜を有する素子が提供される。
(付記12)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板と、
前記基板上に製膜された下部電極膜と、
前記下部電極膜上に製膜された圧電膜と、
前記圧電膜上に製膜された上部電極膜と、
所定の粒子を捕獲するトラップ部と、
前記下部電極膜と前記上部電極膜との間に接続され、前記下部電極膜と前記上部電極膜との間に電圧を印加することで、前記基板および前記圧電膜が有する共振部を所定の周波数で撓み振動させる電圧印加手段と、
前記下部電極膜と前記上部電極膜との間に接続され、少なくとも前記共振部の周波数を検出する周波数検出手段と、を備え、
前記電圧印加手段により一定の電圧を印加して前記共振部を撓み振動させた状態で、前記トラップ部が粒子を捕獲した際、前記共振部の周波数(共振周波数)の変化を前記周波数検出手段により検出する圧電膜を有するデバイスが提供される。
(付記13)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板上に下部電極膜を製膜する工程と、
前記下部電極膜上に圧電膜を製膜する工程と、
前記圧電膜上に上部電極膜を製膜する工程と、
所定の粒子を捕獲するトラップ部を形成する工程と、
前記下部電極膜と前記上部電極膜との間に電圧を印加して前記基板および前記圧電膜が有する共振部を撓み振動させる電圧印加手段を、前記下部電極膜と前記上部電極膜との間に接続する工程と、
前記電圧印加手段により一定の電圧を印加して前記共振部を撓み振動させた状態で、前記トラップ部が粒子を捕獲した際、前記共振部の周波数(共振周波数)の変化を検出する周波数検出手段を前記下部電極膜と前記上部電極膜との間に接続する工程と、を備える圧電膜を有するデバイスの製造方法が提供される。
1 基板
3 圧電膜(KNN膜)
10 (圧電膜を有する)積層基板
20 圧電膜素子
30 圧電膜デバイス

Claims (6)

  1. 基板と、
    前記基板上に製膜された圧電膜と、
    所定の粒子を捕獲するトラップ部と、を備え、
    前記圧電膜は、組成式(K 1−x Na )NbO (0<x<1)で表されるペロブスカイト構造のアルカリニオブ酸化物からなり、
    前記圧電膜を構成する結晶群のうち80%以上の結晶が前記基板の表面に対して(001)面方位に配向してなり、
    少なくとも前記基板の一部および前記圧電膜により共振部が構成され
    前記共振部は、所定の電圧が印加されると所定の周波数で撓み振動するように構成されており
    前記トラップ部は、前記共振部に設けられており、
    前記共振部を撓み振動させた状態で、前記トラップ部が粒子を捕獲すると、前記共振部の周波数が変化する圧電膜を有する積層基板。
  2. 前記トラップ部は、前記圧電膜上に所定の粒子を捕獲する感応膜を設けることで形成されている請求項1に記載の圧電膜を有する積層基板。
  3. 前記トラップ部は、前記基板に、前記基板を厚さ方向に貫通し、差し渡し最大幅又は差し渡し最小幅の少なくともいずれかが捕獲対象である粒子のサイズよりも小さい貫通孔を設け、前記圧電膜に、前記貫通孔を露出させる開口を設けることで形成されている請求項1に記載の圧電膜を有する積層基板。
  4. 前記共振部の周波数は10kHzより高く1GHz未満である請求項1〜3のいずれかに記載の圧電膜を有する積層基板。
  5. 基板と、
    前記基板上に製膜された下部電極膜と、
    前記下部電極膜上に製膜された圧電膜と、
    前記圧電膜上に製膜された上部電極膜と、
    所定の粒子を捕獲するトラップ部と、
    前記下部電極膜と前記上部電極膜との間に接続される電圧印加手段と、
    前記下部電極膜と前記上部電極膜との間に接続される周波数検出手段と、を備え、
    前記圧電膜は、組成式(K 1−x Na )NbO (0<x<1)で表されるペロブスカイト構造のアルカリニオブ酸化物からなり、
    前記圧電膜を構成する結晶群のうち80%以上の結晶が前記基板の表面に対して(001)面方位に配向してなり、
    少なくとも前記基板の一部および前記圧電膜により共振部が構成され、
    前記共振部は、前記電圧印加手段により前記下部電極膜と前記上部電極膜との間に所定の電圧が印加されると、所定の周波数で撓み振動するように構成されており、
    前記トラップ部は、前記共振部に設けられており、
    前記電圧印加手段により一定の電圧を印加して前記共振部を撓み振動させた状態で、前記トラップ部が粒子を捕獲した際、前記共振部の周波数の変化を前記周波数検出手段により検出する圧電膜を有するデバイス。
  6. 基板上に下部電極膜を製膜する工程と、
    前記下部電極膜上に、圧電膜を製膜する工程と、
    前記圧電膜上に上部電極膜を製膜する工程と、
    所定の粒子を捕獲するトラップ部を形成する工程と、
    前記下部電極膜と前記上部電極膜との間に電圧を印加して少なくとも前記基板の一部および前記圧電膜により構成され、撓み振動するように構成された共振部を撓み振動させる電圧印加手段を、前記下部電極膜と前記上部電極膜との間に接続する工程と、
    前記電圧印加手段により一定の電圧を印加して前記共振部を撓み振動させた状態で、前記トラップ部が粒子を捕獲した際、前記共振部の周波数の変化を検出する周波数検出手段を前記下部電極膜と前記上部電極膜との間に接続する工程と、を備え、
    前記圧電膜を製膜する工程では、前記圧電膜として、組成式(K 1−x Na )NbO (0<x<1)で表されるペロブスカイト構造のアルカリニオブ酸化物からなり、前記圧電膜を構成する結晶群のうち80%以上の結晶が前記基板の表面に対して(001)面方位に配向してなる膜を製膜する、
    圧電膜を有するデバイスの製造方法。
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