以下、本発明の実施例によるマグネット挿入機を説明する。実施例1乃至実施例4によると、マグネット挿入機が単体で実施される。実施例5によると、実施例1及び実施例4によるマグネット挿入機のローター台の構造が変更される。また、実施例6及び実施例7によると、実施例1または実施例4によるマグネット挿入機を複数台組み合わせて、マグネット挿入システムを構築するのに有用なローター台が提供される。
図1乃至図7を参照して、本発明の実施例1によるマグネット挿入機100を説明する。図1乃至図4は、マグネット挿入機100が、磁石800をローター鉄心900のスリット902に挿入していく様子を、順を追って示している。また、図5は、マグネット挿入機100が、次の磁石801を挿入する準備に取り掛かっている状態を示す。マグネット挿入機100は、保持ヘッド110と、押圧板120と、挿入ヘッド122と、ローター台130と、案内板140と、支持台142と、本体フレーム150と、芯合わせ機構160と、第一のロック機構170と、第二のロック機構180とを備えている。
挿入ヘッド122には、押圧板120の、上下方向への並進運動を制御する駆動機構が備えられている。この駆動機構は、空気圧シリンダにより構成されている。挿入ヘッド122は、背面板155を介して芯合わせ機構160と一体化され、更に第一のロック機構170を介して本体フレーム150に取り付けられている。ローター台130は、本体フレーム150と一体化されている。支持台142には、案内板140の、上下方向への並進運動を制御する駆動機構が備えられている。この駆動機構も、空気圧シリンダにより構成されている。支持台142は、第二のロック機構180を介して本体フレーム150に取り付けられている。図示されていないが、保持ヘッド110も間接的に本体フレーム150に取り付けられている。
保持ヘッド110は、断面がL字状の磁性体板112の内側表面を、PEEK(登録商標)材114で覆うことにより形成されている。PEEK材114は、硬質で、表面が滑らかなプラスチック(ポリエーテルエーテルケトン)である。PEEK材114の、直角を挟んで向き合う2つの滑らかな面が、板状の磁石800の表裏面の一方と側面の一方とに、各々同時に当接した状態では、磁石800と磁性体板112との間に働く磁力によって、磁石800は、保持ヘッド110に保持される。
第一のロック機構170と第二のロック機構180は、求心機構を備えたXYテーブルである。ロック機構が作動していないときは、水平方向に力が加わるとその方向にテーブルが動く。ただし、求心機構によって、テーブルには常に所定位置に戻ろうとする力が働いている。ロック機構が作動すると、XYテーブルは、その時点の位置に固定される。
図1及び図2において、保持ヘッド110は、磁石800を第一の位置に保持している。一方、ローター台130の上に、ローター鉄心900が載置され、空気圧シリンダで駆動されるローター保持機構134及び135によって、その位置に固定されている。ローター鉄心900は、複数のスリット901、902、903・・・を有するが、そのうちの1つのスリット902内の空間が、磁石の第二の位置と一致している。また、案内板140は、ローター台130の下から、ローター台130に設けられたスリット132と、その真上に位置する、ローター鉄心900のスリット902とを突き抜けて、先端が、芯合わせ機構160の中間の高さに至っている。図1及び図2に示される状態では、第二のロック機構180が作動していて、支持台142が本体フレーム150に固定されているため、外力が加わっても案内板140は水平方向に動かない。
図2乃至図4を参照すると、挿入ヘッド122の働きで、押圧板120が下がってきて、第一の位置に保持された磁石800に上端から当接するが、押圧板120は更に下がって、磁石800を、第二の位置まで押し下げ、すなわち、ローター鉄心900のスリット902に挿入する。磁石800は、PEEK材114表面を滑らかに摺動し、少なくとも、図3に示されるように、その下端が案内板140の先端に当接するまでは、磁力によって保持ヘッド110に保持されている。
案内板140は、先端が磁石800の下端に当接したまま、押圧板120と連動して下降することで、磁石800を、第一の位置から第二の位置まで案内する。なお、磁石800の下端がローター鉄心900のスリット902内に入ると、磁石800をスリット902内に引き込もうとする強力な磁力が働くが、案内板140が下降する速度は、支持台142によって制御され続ける。
芯合わせ機構160は、一対の芯合わせ板161及び162を備えていて、その一対の芯合わせ板161及び162を開閉する駆動装置を内蔵している。図6Aに示されるように、芯合わせ板161及び162は、それぞれ、誘い込み傾斜面163及び164を有している。
図3に示されるように、ローター台130に載置されているローター鉄心900の上方で、磁石800の下端に案内板140が当接すると、その当接面付近において、芯合わせ板161及び162は、磁石800及び案内板140の各一部を、表裏から同時に挟んで閉じる。これによって、磁石800の下端面と案内板140の上端面とが相互に水平方向に滑って、磁石800と案内板140が整列する。図6B及び図6Cに示されるように、誘い込み傾斜面163及び164によって、磁石800及び案内板140は、左右方向のみならず、前後方向にも整列させられる。この整列は、精度と確実性が極めて高い。
芯合わせ板161及び162が閉じた時点では、磁石800のかなり広い面が保持ヘッド110の表面と接触しているため、磁力によって、両者は、水平方向に相互に強固に張り付いている。また、このとき、第一のロック機構170は作動しておらず、芯合わせ機構160は、水平面内に遊びを持って本体フレーム150に取り付けられている。そうすると、磁石800と案内板140とを挟み付けることによって、整列した磁石800と案内板140に対して、挿入ヘッド122ごと、芯合わせ機構160も位置決めされる。なお、芯合わせ板161及び162の内側は、表面が滑らかなので、芯合わせ板161及び162の間に磁石800や案内板140が強く挟まれても、上下方向から力が加わると、それらは滑らかに摺動する。
芯合わせ板161及び162が閉じた状態で、第一のロック機構170が作動すると、磁石800が案内板140に対して整列している状態が固定される。ここで、磁石800は、押圧板120と案内板140との間に、上下から挟まれている。この状態を保ったまま、案内板140に案内されつつ、押圧板120によって押し下げられると、磁石800は、芯合わせ板161及び162の内側を滑りながら第二の位置まで下降する。このとき、第一のロック機構170の作動によって、芯合わせ機構160が保持ヘッド110に対して遊びのない状態に固定されているため、案内板140によって案内される磁石800の軌道が揺らぐことはない。
押圧板120がローター鉄心900の上面まで下降するまでに、その先端の角が芯合わせ板161または162に引っ掛からないよう、押圧板120の断面は、磁石800の断面より一回り小さくなっている。また、押圧板120の先端の角がわずかに丸められ、先端が先細りになっている。
磁石800が下降して、ローター鉄心900に近付けば近付く程、磁石800とローター鉄心900との間に働く磁力は強くなり、一定ではない力が常に磁石800に働いている。また、両者の位置関係が変わるにつれて磁力線の方向も変化するし、ローター鉄心900の他のスリットにどれだけ磁石が挿入済みであるのかにもよって、磁力線の形も異なってしまう。そうすると、スリット902への挿入に至るまで、多様な力が、多様な方向から磁石800に加わることになるが、マグネット挿入機100においては、磁石800は、所定の軌道からずれたり、傾いたりすることなく、確実にスリット902内に案内される。
保持ヘッド110は、アーム116の先端に取り付けられているが、そのアーム116が根元を中心に回転することで、2つの位置の間で可動となっている。図5に示されるように、アーム116が水平になっているとき、保持ヘッド110は、磁石受け取り位置にある。その位置で、保持ヘッド110は、その正面の磁石供給機構190から磁石を受け取る。そうして、アーム116が90度下方に回転して垂直になると、図2に示されるように、保持ヘッド110が、その磁石を第一の位置に保持した状態になる。
磁石供給機構190において、ベルトコンベア192の上に、着磁済みの磁石801、802、803・・・が、横積みになっている。隣合う磁石801と802、802と803、803と804・・・の間には、スペーサ811、812、813・・・がそれぞれ挟まれている。スペーサ811、812、813・・・は、ナイロン製で、表面は、硬くて滑らかである。そうすると、磁石801、802、803・・・は、相互に、磁力によってくっつき合っているが、横から力を受けると、容易に滑り合う。したがって、空気圧シリンダによって押し出し棒194が駆動され、一番端にある磁石801を、前方から後方に向けて押すと、磁石801は、滑らかに保持ヘッド110の方に押し出される。
図4に示されるように、磁石800が、ローター鉄心900のスリット902内に完全に挿入されると、磁石800とローター鉄心900との間に働く磁力による両者間の吸引力が最大となるため、磁石800は、この位置で安定する。そうして、ローター鉄心900を固定するローター保持機構134及び135の作動が解除され、マグネット挿入機100は、次の磁石の挿入を開始するための準備を始める。
図5に示されるように、押圧板120が上昇し、芯合わせ機構160は、芯合わせ板161及び162を開き、第一のロック機構170及び第二のロック機構180は、共にロックを解除する。そして、アーム116が90度上方に回転して、保持ヘッド110を磁石受け取り位置で待機させる。この状態で、押し出し棒194を駆動すると、保持ヘッド110が磁石801を受け取る。その後、押し出し棒194が元の位置に戻ると、ベルトコンベア192が駆動され、次の磁石802が一番端まで送り出される。磁石801が磁石供給機構190の後方に押し出されると、スペーサ811を磁石802の表面に留める力がなくなってしまうので、スペーサ811は、少なくとも、磁石802が一番端に送り出されるまでには、下に落ち、回収される。
一方、マグネット挿入機100が図5に示される状態にあるとき、次の磁石を挿入するローター鉄心のスリットが選択される。すなわち、ローター鉄心900を回転させたり、平行移動させたりして、磁石が未挿入のスリットを第二の位置に合わせるか、次のローター鉄心910と取り替えて、そのスリットの1つを第二の位置に合わせるかする。図5では、ローター台130上にローター鉄心910が載置されている。
どういう順番でスリットに磁石が挿入されるかは、マグネット挿入機100の両側(場合によっては片側)に据え付けられるローター供給機(図示略)との関わりで決められる。例えば、ローター鉄心のスリットの数と同じ台数だけマグネット挿入機100を用意し、これらのマグネット挿入機を横一列に並べて、それぞれのマグネット挿入機が、ローター鉄心の異なるスリットに磁石を挿入する場合は、ローター供給機は、ローター鉄心を単純に横送りするもので良い。
マグネット挿入機100が1台しかなく、磁石をスリットに挿入するごとに、ローター鉄心を動かして、全てのスリットに磁石が挿入されてから、次のローター鉄心と入れ替えるようにする場合は、ローター供給機が、ロボットアームまたはそれと同等の機能を有する装置を備えていなければならない。いずれにせよ、ローター供給機が、ローター鉄心をローター台130上に載置すると、ローター保持機構134及び135が作動して、そのローター鉄心をローター台130上に固定する。
次の磁石801を挿入する動作が始まると、まず、アーム116が90度下方に回転して、保持ヘッド110が、磁石801を第一の位置に保持した状態となる。また、支持体142の駆動により、案内板140が上昇し、その先端が、ローター鉄心910のスリットに入り込む。案内板140の先端は、角が丸められ、厚み方向、幅方向とも、先細りになっている。そうすると、磁石801が挿入されるスリットと、案内板140とが、平面的に多少位置ずれしていても、案内板140の先端は、スリット内に入り込む。このとき、第二のロック機構180は、ロックが解除されているので、そのまま案内板140が上昇を続けると、水平面内でずれをなくす方向に支持台142が摺動し、ローター鉄心910に対して、案内板140の位置合わせが行われる。
案内板140がスリットを突き抜け、先端が、芯合わせ機構160の中間の高さに達したところで、案内板140は停止し、第二のロック機構180が作動して、支持台142を本体フレーム150に固定する。こうして、マグネット挿入機100は、図2に示されるのと同じ状態となり、次の磁石801を次のローター鉄心910のスリットに挿入する準備が整う。
図7は、挿入ヘッド122と本体フレーム150との間に介在する第一のロック機構170を概念的に示す側面図であり、一部が断面図になっている。図7において、各部材の尺度は、説明の便宜上、実物と必ずしも一致するものではない。第一のロック機構170は、基盤171と、第一の可動板172と、第二の可動板173と、球体押圧器174と、押圧柱175と、XYテーブル固定機構176とを備えて構成される。
基盤171は、本体フレーム150の水平な平面の上に載置されてその位置に固定されている。第一の可動板172は、基盤171の主表面上に、レールを挟んで載置され、基盤171に対してX軸方向に摺動可能である。第二の可動板173は、第一の可動板172上にレールを挟んで載置され、第一の可動板172に対してY軸方向に摺動可能である。また、第二の可動板173は、その側面の1つが垂直な板と一体になっており、その垂直な板を介して背面板155と接合されている。このように、第一のロック機構170は、XYテーブルを構成しており、挿入ヘッド122を本体フレーム150に対して、平面内で滑らせることが可能である。ただし、球体押圧器174によって、このXYテーブルには、常に所定位置に戻ろうとする力が働いている。
球体押圧器174は、第二の可動板173の上面に設けられた窪みを利用して構成されており、球体182と、球体受け183と、コイルバネ185と、バネ圧調整ネジ186とを備えている。第二の可動板173の窪みは、深いところほど開口が狭くなる円錐形で、球体182は、この窪みの側面の全周に対して、均等に滑らかに接触する状態で、この窪みの中に載置されている。球体受け183も円錐形の窪みを有していて、その窪みの側面を介して、球体182の上から、球体182に接触している。この接触も、窪みの側面の全周を介していて、均等で滑らかである。球体受け183は、上下方向に摺動可動な状態で、球体押圧器174の内部に保持されている。
球体押圧器174は、本体フレーム150の一部を介して基盤171に固定されている。そうして、内部に備わったコイルバネ185の弾性によって、球体182を、基盤171に押し付けている。第二の可動板173に水平方向から力が働くと、XYテーブルとしての働きで、第二の可動板173はその方向に動くが、同時に、窪みの側面で、球体182を上方に押し上げる。一方、球体182は、球体押圧器174によって、下方に押し下げられようとするので、水平方向から第二の可動板173に加わる力に対して反作用が生じる。そうして、球体押圧器174によって、第一の可動板172及び第二の可動板173には、それらの中心が基盤171の中心から遠ざからないような力が常時働いている。
また、バネ圧調整ネジ186によって、コイルバネ185の上端の位置を調節できるので、球体182に働くコイルバネ185の力を調整できる。すなわち、第一のロック機構170においては、球体押圧器174による、XYテーブルの求心力の大きさが調整可能である。なお、図7において、球体押圧器174は、第二の可動板173の中央に設けられているが、実際は、第二の可動板173の後方の側面に近いところに、XYテーブル固定機構176と横並びで設けられている。また、XYテーブル固定機構176とは連結されず、本体フレームの一部を介して直接、基盤171に固定されている。
押圧柱175は、上下方向に摺動可能で、第二の可動板173の上面と滑りのない面で接触することが可能であり、XYテーブル固定機構176に取り付けられている。XYテーブル固定機構176は、本体フレーム150の一部を介して基盤171に固定されており、空気圧シリンダにより構成される、押圧柱175の駆動機構を備えている。そうして、XYテーブル固定機構176は、押圧柱175を第二の可動板173に押し当てることで、第一の可動板172及び第二の可動板173を基盤171との間に挟んで、その位置に固定することが可能である。
第一のロック機構170は、以上のように構成されるので、ロックが解除されている状態、すなわち、XYテーブル固定機構176が作動せず、押圧柱175が第二の可動板173に接触していない状態では、求心機構を有するXYテーブルとして機能する。そして、挿入ヘッド122と本体フレーム150との間に水平方向に力が加わると、その力に応じて、その力の方向に挿入ヘッド122が摺動する。
第一のロック機構170が作動すると、XYテーブル固定機構176が、押圧柱175を駆動して、第二の可動板173を上方から押圧柱175で押圧し、第一の可動板172ともども基盤171に垂直に押し付けて、これら双方の可動板をその位置に固定する。そうすると、第一のロック機構170が作動していないときに、挿入ヘッド122が本体フレーム150に対して所定の位置に移動しておれば、その状態でロックを作動させ、挿入ヘッド122をその位置に固定することができる。
第二のロック機構180は、第一のロック機構170と同一の構造及び機能を有している。もちろん、第一のロック機構170においては、第二の可動板173が背面板155と接合されているのに対し、第二のロック機構180は、第二の可動板の上面に支持台142が載置されて固定されているという、接続される部材の違いがある。また、それらの部材に掛かる力の大きさの違いに応じた、各構成部材の大きさや、強度や、力の調整具合の違いは存在するが、基本的な構造や動作に違いはない。
図8乃至図11を参照して、本発明の実施例2によるマグネット挿入機200を説明する。図8乃至図10は、マグネット挿入機200が、磁石820をローター鉄心920のスリット922に挿入していく様子を、順を追って示しており、実施例1のマグネット挿入機100の動作を示す図2乃至図4にそれぞれ対応している。また、図11は、マグネット挿入機200が、次の磁石821を挿入する準備に取り掛かっている状態を示しており、実施例1のマグネット挿入機100の同じ状態を示す図5に対応している。
マグネット挿入機200は、保持ヘッド210と、押圧板220と、挿入ヘッド222と、ローター台230と、ローター保持機構236と、基台238と、案内板240と、支持台242と、本体フレーム250と、芯合わせ機構260と、芯合わせ機構保持体266と、第一のロック機構270と、第二のロック機構280とを備えている。
挿入ヘッド222には、押圧板220の、上下方向への並進運動を制御する駆動機構が備えられている。また、芯合わせ機構保持体266には、芯合わせ機構260の、上下方向への並進運動を制御する駆動機構が備えられている。この駆動機構は、空気圧シリンダにより構成されている。挿入ヘッド222は、背面板255を介して芯合わせ機構保持体266と一体化され、更に第一のロック機構270を介して本体フレーム250に取り付けられている。ローター台230は、本体フレーム250と一体化されている。ローター台230の下方において、本体フレーム250に直接固定されている支持台242には、案内板240の、上下方向への並進運動を制御する駆動機構が備えられている。
ローター保持機構236には、一対の鉤爪と、その一対の鉤爪を開閉するための駆動機構が備えられている。図8乃至図11の各図において、ローター保持機構236は、その一対の鉤爪で、ローター鉄心920を側方から挟んで水平に保持している。図8乃至図10では、ローター鉄心920が、ローター台230の上に載置されているので、ローター保持機構236は、ローター鉄心920をその位置に固定している。ローター保持機構236は、第二のロック機構280を介して、基台238に取り付けられている。基台238は、本体フレーム250に直接固定されている。ローター保持機構236は、第二のロック機構280と共に、水平に保ったまま、回転及び上下移動させることが可能であり、そのための駆動機構が、基台238に備えられている。
保持ヘッド210は、実施例1における保持ヘッド110と同様の構造を有している。すなわち、直角を挟んで向き合う2つの滑らかな面に、板状の磁石の表裏面の一方と側面の一方とを、各々同時に当接させると、保持ヘッド210は、磁力によって、その磁石を保持する。図示されていないが、保持ヘッド210は、間接的に本体フレーム250に取り付けられている。
第一のロック機構270と第二のロック機構280は、実施例1における第一のロック機構170及び第二のロック機構180と同様、求心機構を備えたXYテーブルである。ロック機構が作動していないときは、水平方向に力が加わるとその方向にテーブルが動く。また、求心機構によって、テーブルには常に所定位置に戻ろうとする力が働いている。ロック機構が作動すると、XYテーブルは、その時点の位置に固定される。
ただし、第二のロック機構280は、実施例1における第一のロック機構170とは求心機構の構造が異なっている。第二のロック機構280には、求心機構を構成するための球体押圧器が備わっておらず、代わりに、X軸に沿って配置される2つの空気圧シリンダで第一の可動板を両側から挟み、かつY軸に沿って配置される2つの空気圧シリンダで第二の可動板を両側から挟んでいる。そうすると、第一の可動板がX軸に沿っていずれの方向に動こうとしても、空気圧シリンダから反対方向に押されるため、第一の可動板は、X軸上の所定の位置に向かう力を受け続け、同様に、第二の可動板も、Y軸上の所定の位置に向かう力を受け続ける。これにより、第二のロック機構280の求心機構が構成されている。
さらに、第二のロック機構280においては、X軸に沿った空気圧シリンダ内の空気の量をそれぞれ調節して、力が加わっていない状態での、第一の可動板の位置を、X軸に沿って移動させることが可能となる。同様に、力が加わっていないときの第二の可動板の位置も、Y軸に沿って調節できるので、第二のロック機構280は、第二の可動板を平面内で任意の位置に移動できる通常のXYテーブルとしても機能し得る。さらに、第二の可動板を新たな位置に移動させたところで、各空気圧シリンダ内の空気の量を固定すれば、これらの空気圧シリンダを、その第二の可動板の新たな位置を中心とする求心機構として機能させることが可能となる。
図8において、保持ヘッド210は、磁石820を第一の位置に保持している。一方、ローター台230の上に、ローター鉄心920が載置され、ローター保持機構236によって保持されている。図8に示される状態では、第二のロック機構280が作動していて、ローター台230の上に載置されているローター鉄心920は、その位置に固定されている。ローター鉄心920は、複数のスリットを有するが、そのうちの1つのスリット922内の空間が、磁石の第二の位置と一致している。また、案内板240は、ローター台230の下から、ローター台に設けられたスリット232と、その真上に位置する、ローター鉄心920のスリット922とを突き抜けて、先端が、芯合わせ機構260の中間の高さに至っている。
図8乃至図10を参照すると、挿入ヘッド222の働きで、押圧板220が下がってきて、第一の位置に保持された磁石820に上端から当接するが、押圧板220は更に下がって、磁石820を、第二の位置まで押し下げ、すなわち、ローター鉄心920のスリット922に挿入する。磁石820は、保持ヘッド210表面を滑らかに摺動し、少なくとも、図9に示されるように、その下端が案内板240の先端に当接するまでは、磁力によって保持ヘッド210に保持されている。
案内板240は、先端が磁石820の下端に当接したまま、押圧板220と連動して下降することで、磁石820を、第一の位置から第二の位置まで案内する。なお、磁石820の下端がローター鉄心920のスリット922内に入ると、磁石820をスリット922内に引き込もうとする強力な磁力が働くが、案内板240が下降する速度は、支持台242によって制御され続ける。
芯合わせ機構260は、実施例1における芯合わせ機構160と同様、一対の芯合わせ板と、その一対の芯合わせ板を開閉する駆動装置を有している。この一対の芯合わせ板の構造も、芯合わせ機構160の芯合わせ板161及び162と同じである。図9に示されるように、ローター台230に載置されているローター鉄心920の上方で、磁石820の下端に案内板240が当接すると、その当接面付近において、芯合わせ機構260の一対の芯合わせ板が、磁石820及び案内板240の各一部を、表裏から同時に挟んで閉じる。これによって、磁石820の下端面と案内板240の上端面とが相互に水平方向に滑って、磁石820と案内板240が整列する。
芯合わせ板が閉じた時点では、磁石820のかなり広い面が保持ヘッド210の表面と接触しているため、磁力によって、両者は、水平方向に相互に強固に張り付いている。また、このとき、第一のロック機構270は作動しておらず、芯合わせ機構260は、水平面内に遊びを持って本体フレーム250に取り付けられている。そうすると、磁石820と案内板240とを挟み付けることによって、それらに対して、挿入ヘッド222ごと、芯合わせ機構260も位置決めされる。そうして、第一のロック機構270を作動させ、磁石820と案内板240とを相互に整列した状態に保つ。押圧板220と案内板240との間に、上下から挟んだまま、磁石820を第二の位置まで押し下げる。そうすると、案内板240によって案内される磁石820の軌道が揺らぐことはない。
押圧板220がローター鉄心920の上面まで下降するまでに、その先端の角が芯合わせ板に引っ掛からないよう、押圧板220の断面は、磁石820の断面より一回り小さくなっている。また、押圧板220の先端の角がわずかに丸められ、先端が先細りになっている。
磁石820が下降して、ローター鉄心920に近付くときに両者間に働く磁力の影響も、実施例1のマグネット挿入機100におけるものと同様である。が、マグネット挿入機200においても、マグネット挿入機100においてと同様、磁石820は、所定の軌道からずれたり、傾いたりすることなく、確実にスリット922内に案内される。
保持ヘッド210も、実施例1における保持ヘッド110と同様に構成されている。すなわち、保持ヘッド210は、アーム216の先端に取り付けられているが、そのアーム216が根元を中心に回転することで、2つの位置の間で可動となっている。アーム216が水平になっているとき、保持ヘッド210は、磁石受け取り位置にあり、その位置で、正面の磁石供給機構から磁石を受け取る。そうして、アーム216が90度下方に回転して垂直になると、保持ヘッド210は、その磁石を第一の位置に保持した状態になる。このときの磁石供給機構も、実施例1における磁石供給機構190と同様の構造を有しており、ベルトコンベア292と押し出し棒294とを備えている。
図10に示されるように、磁石820が、ローター鉄心920のスリット922内に完全に挿入されると、磁石820とローター鉄心920との間に働く磁力による両者間の吸引力が最大となるため、磁石820は、この位置で安定する。そうすると、マグネット挿入機200は、次の磁石の挿入を開始するための準備を始める。
まず、押圧板220が上方に引き上げられ、磁石を挿入する動作の開始位置に戻される。続いて、アーム216が回転して保持ヘッド210が水平になる。さらに、芯合わせ機構保持体266によって、芯合わせ機構260が上方に引き上げられる。それとほぼ同期して、基台238によって、第二のロック機構280とローター保持機構236とが上方に持ち上げられる。また、支持台242によって、案内板240も、ローター台230から突き出るよう上方に持ち上げられ、磁石を挿入する動作の開始位置に戻される。
ローター保持機構236により、ローター鉄心920は、案内板240の先端よりほんの少しだけ高い位置に水平に保持されている。そして、次に磁石が挿入されるスリットが、案内板240の真上に整列するように、水平を保ったまま、ローター鉄心920を位置決めする。すなわち、基台238によって、第二のロック機構280と共にローター保持機構236を水平面内で回転させ、かつ、第二のロック機構280に内在するXYテーブルを駆動して、ローター保持機構236を水平面内で平行移動させる。ただし、磁石820がスリット922に挿入された段階で、ローター鉄心920の全てのスリットに磁石が挿入されている場合には、ローター鉄心920を搬出用のコンベアに流し、ローター保持機構236は、供給用のコンベアから供給されてくる新たなローター鉄心930を受け取る。
案内板240の先端より高い位置に水平にローター鉄心920を保持した状態から、ローター保持機構236を水平面内で約120度回転させ、ローター搬出コンベア(図示略)の上にローター鉄心920をかざす。そうして、ローター保持機構236は、その一対の鉤爪を開いて、ローター鉄心920をローター搬出コンベアの上に落とす。続いて、ローター保持機構236を水平面内で同じ方向に約120度回転させ、その鉤爪を、ローター供給コンベア(図示略)の上にかざす。そのローター供給コンベアには、次のローター鉄心930が供給されてきている。
ローター保持機構236を、鉤爪を開いたまま下降させてから、鉤爪を閉じることによって、ローター保持機構236に、ローター鉄心930を保持させる。そうして、ローター保持機構236を元の高さに戻して再度約120度回転させ、ローター鉄心930のスリット932が、案内板240の真上に整列する位置まで、ローター鉄心930を移動させる。ローター鉄心920をローター鉄心930に持ち替えるまでの各段階において、ローター保持機構236の位置決めには、必要であれば、第二のロック機構280をXYテーブルとして駆動させることによるものも含まれている。
ローター鉄心920の次のスリットもしくはローター鉄心930の最初のスリットが案内板240の真上に整列されるまでに、ベルトコンベア292の上に、横積みになっている着磁済みの磁石のうち、一番端にある磁石821が、押し出し棒294によって押し出され、保持ヘッド210に保持された状態になっている。このとき、芯合わせ機構260は、芯合わせ板を開いており、第一のロック機構270及び第二のロック機構280は、共にロックを解除している。この状態が、図11に示されている。ただし、図11においては、ローター保持機構236はローター鉄心930を保持している。
図11に示される状態から、基台238の駆動によって、ローター保持機構236が、第二のロック機構280と共に垂直に下降する。ローター保持機構236は、下降しながらも、ローター鉄心930を水平に保持している。そうすると、案内板240の先端がローター鉄心930のスリット932に入り込む。これは、案内板240の先端は、角が丸められ、厚み方向、幅方向とも、先細りになっているためである。すなわち、スリット932と、案内板240とが、平面的に多少位置ずれしていても、案内板240の先端は、スリット932内に入り込む。
第二のロック機構280は、ロックが解除されているので、そのままローター保持機構236が下降を続けると、スリット932と案内板240との間のずれをなくす方向に水平面内でローター保持機構236が摺動し、案内板240に対して、ローター鉄心930の位置合わせが行われる。そうしてローター鉄心930がローター台230の上に載置されると、案内板240は、スリット932を突き抜けている。この状態で、第二のロック機構280が作動して、ローター鉄心930がローター台230の上に固定される。
ローター保持機構236の下降にほぼ同期するように、芯合わせ機構保持体266は、芯合わせ機構260を下降させる。そうして、案内板240の先端が、芯合わせ機構260の中間の高さに達したところで、芯合わせ機構260を停止させる。続いて、アーム216が90度下方に回転して、保持ヘッド210が、磁石821を第一の位置に保持した状態となる。こうして、マグネット挿入機200は、図8に示されるのと同じ状態となり、次の磁石821を次のローター鉄心930のスリットに挿入する準備が整う。
図12を参照して、本発明の実施例3によるマグネット挿入機300を説明する。図12に示されるマグネット挿入機300は、磁石の挿入動作について、実施例1のマグネット挿入機100の図2に示されている状態、及び実施例2のマグネット挿入機200の図8に示されている状態に対応している。マグネット挿入機300は、保持ヘッド310と、押圧板320と、挿入ヘッド322と、ローター台330と、案内板340と、支持台342と、本体フレーム350と、芯合わせ機構360と、第一のロック機構370と、第二のロック機構380とを備えている。
押圧板320と、挿入ヘッド322と、案内板340と、支持台342と、芯合わせ機構360は、実施例1及び実施例2によるマグネット挿入機100及び200の、押圧板120及び220と、挿入ヘッド122及び222と、案内板140及び240と、支持台142及び242と、芯合わせ機構160及び260とに、各々対応しており、部品単位で見ると、それぞれの動作や機能も同じである。が、挿入ヘッド322と、支持台342と、芯合わせ機構360は、本体フレーム350に直接固定されている。
保持ヘッド310も、実施例1及び実施例2によるマグネット挿入機100及び200の保持ヘッド110及び210と同様に構成されている。すなわち、保持ヘッド310は、磁石を保持する部分の構造が保持ヘッド110及び210と同じであり、かつ、実施例1及び実施例2におけるアーム116及び216に対応するアーム316の先端に取り付けられていて、2つの位置の間で可動となっている。ただし、実施例3においては、アーム316を回動させる装置が、第一のロック機構370の上に載置され、保持ヘッド310は、第一のロック機構370を介して本体フレーム350に取り付けられている。
第一のロック機構370と第二のロック機構380は、それぞれ、実施例1及び実施例2における第一のロック機構170及び270並びに第二のロック機構180及び280と同様、求心機構を備えたXYテーブルであり、これらのロック機構と同じように作動し、同じように機能する。また、芯合わせ機構360は、実施例1及び実施例2における芯合わせ機構160及び260と同様、一対の芯合わせ板と、その一対の芯合わせ板を開閉する駆動装置を有している。この一対の芯合わせ板の構造も、図6A乃至図6Cに示される芯合わせ機構160の芯合わせ板161及び162と同じである。
ローター台330は、その上面にローター保持機構334及び335を有しており、これらは、実施例1のマグネット挿入機100におけるローター保持機構134及び135と同じように作動する。が、ローター台330は、第二のロック機構380の上に載置され、水平に保たれた状態で、第二のロック機構380を介して本体フレーム350に取り付けられている。図12において、ローター鉄心940が、ローター台330の上に載置され、ローター保持機構334及び335によってその位置に保持されている。案内板340が、ローター鉄心940のスリットの1つを突き抜けて、先端が、芯合わせ機構360の中間の高さに至っている。この状態において、第二のロック機構380が作動しており、案内板340に対して、ローター鉄心940が固定されている。
図12において、保持ヘッド310は、磁石830を第一の位置に保持している。この状態から、磁石830をローター鉄心940に挿入するマグネット挿入機300の動作は、実施例1及び実施例2によるマグネット挿入機100及び200の動作と同じである。すなわち、挿入ヘッド322の働きで、押圧板320が下がってきて、第一の位置に保持された磁石830に上端から当接するが、押圧板320は更に下がって、磁石830を、第二の位置まで押し下げる。このとき、案内板340は、先端が磁石830の下端に当接したまま、押圧板320と連動して下降することで、磁石830を第二の位置まで案内する。
ローター鉄心940の上方で、磁石830の下端に案内板340が当接すると、その当接面付近において、芯合わせ機構360の一対の芯合わせ板が、磁石830及び案内板340の各一部を、表裏から同時に挟んで閉じる。これによって、磁石830の下端面と案内板340の上端面とが相互に水平方向に滑って、磁石830と案内板340が整列する。
一対の芯合わせ板が閉じた時点では、磁石830のかなり広い面が保持ヘッド310の表面と接触しているため、磁力によって、両者は、水平方向に相互に強固に張り付いている。また、このとき、第一のロック機構370は作動しておらず、保持ヘッド310は、水平方向に遊びを持って本体フレーム350に取り付けられている。そうすると、芯合わせ機構360の一対の芯合わせ板が、磁石830と案内板340とを挟み付けることによって、磁石830と共に保持ヘッド310も案内板340に対して位置決めされる。そうして、第一のロック機構370を作動させ、磁石830と案内板340とを相互に整列した状態に保つ。
挿入ヘッド322による押圧板320の下降と、支持台342による案内板340の下降とを連動させ、磁石830を、押圧板320と案内板340との間に上下から挟んだまま、第二の位置まで押し下げる。このとき、第一のロック機構370の作動によって、保持ヘッド310が芯合わせ機構360に対して遊びのない状態に固定されているため、案内板340によって案内される磁石830の軌道が揺らぐことはない。
磁石830が、ローター鉄心940のスリット内に完全に挿入されると、ローター鉄心940を固定するローター保持機構334及び335の作動が解除され、マグネット挿入機300は、次の磁石の挿入を開始するための準備を始める。まず、芯合わせ機構360が芯合わせ板を開いて、押圧板320が上昇する。続いて、アーム316が回転して保持ヘッド310が水平になる。このとき、第一のロック機構370は、ロックが一旦解除され、水平になった保持ヘッド310が所定の磁石受け取り位置に戻る。その時点で再度、第一のロック機構370を作動させる。
この状態で、押し出し棒394を駆動すると、磁石受け取り位置で待機している保持ヘッド110が磁石831を受け取る。押し出し棒394とベルトコンベア392とを含む、マグネット挿入機300の磁石供給機構は、押し出し棒194及び294とベルトコンベア192及び292とをそれぞれ含む、実施例1及び実施例2によるマグネット挿入機100及び200の磁石供給機構と同じ構造を有し、かつ動作や機能も同じである。
一方、ローター台330の上では、次の磁石を挿入するローター鉄心のスリットが選択される。すなわち、ローター鉄心940を回転させたり、平行移動させたりして、磁石が未挿入のスリットを第二の位置に合わせるか、次のローター鉄心と取り替えて、そのスリットの1つを第二の位置に合わせるかする。このときのスリットの選択の仕方は、実施例1によるマグネット挿入機100におけるものと同様である。そうして、次のスリットが定まると、ローター保持機構334及び335が作動して、ローター鉄心をローター台330の上に固定する。なお、第二のロック機構380は、新たなスリットの位置決めのためにXYテーブルとして使用する場合もある。ローター保持機構334及び335によってローター鉄心を固定した後、第二のロック機構380は、ロックを解除する。
次の磁石831を挿入する動作が始まると、まず、アーム316が90度下方に回転して、保持ヘッド310が、磁石831を第一の位置に保持した状態となる。この状態において、第一のロック機構370は、ロックを解除している。また、支持体342の駆動により、案内板340が上昇し、その先端が、新たなスリットに入り込む。案内板340の先端は、角が丸められ、厚み方向、幅方向とも、先細りになっている。そうすると、そのスリットと、案内板340とが、平面的に多少位置ずれしていても、案内板340の先端は、スリット内に入り込む。このとき、第二のロック機構380は、ロックが解除されているので、そのまま案内板140が上昇を続けると、水平面内でずれをなくす方向にローター台330が摺動し、案内板340に対して、ローター鉄心940のスリットの位置合わせが行われる。
案内板340がスリットを突き抜け、先端が、芯合わせ機構360の中間の高さに達したところで、案内板340は停止し、第二のロック機構380が作動して、ローター台330を本体フレーム350に固定する。こうして、マグネット挿入機300は、次の磁石831を次のスリットに挿入する準備が整う。
図13には、本発明の実施例4によるマグネット挿入機400が示されている。マグネット挿入機400は、保持ヘッド410と、押圧板420と、挿入ヘッド422と、ローター台430と、案内板440と、支持台442と、本体フレーム450と、芯合わせ板駆動部460と、芯合わせ補助板駆動部465と、第一のロック機構470と、第二のロック機構480とを備えているが、マグネット挿入機400の構成も動作も、実施例1によるマグネット挿入機100と基本的には同じである。以下、マグネット挿入機400の各部材を、マグネット挿入機100の対応する部材と対比させながら、マグネット挿入機400の構成と動作を説明する。
図13には、保持ヘッド410が、磁石840を第一の位置に保持した状態が示されているが、これは、マグネット挿入機100の、図2に示されている状態に対応している。マグネット挿入機400における、保持ヘッド410と、押圧板420と、挿入ヘッド422と、支持台442と、第一のロック機構470と、第二のロック機構480とは、マグネット挿入機100における、保持ヘッド110と、押圧板120と、挿入ヘッド122と、支持台142と、第一のロック機構170と、第二のロック機構180とに、各々対応していて、構成も、機能も、動作も同じである。また、マグネット挿入機400においては、芯合わせ板駆動部460と、芯合わせ補助板駆動部465とが同期して作動することで、芯合わせ機構を構成しており、これが、マグネット挿入機100における芯合わせ機構160に対応している。
案内板440は、案内板140より長く構成され、図13において、上端は、図2における案内板140と同じ位置にあるが、下端は、ローター台430の下から更に下方に延びている。芯合わせ板駆動部460と芯合わせ補助板駆動部465は、共に、芯合わせ機構160と構成が同一で、一対の芯合わせ板または芯合わせ補助板を開閉する駆動機構を内蔵している。そうして、芯合わせ板駆動部460と芯合わせ補助板駆動部465とで構成される芯合わせ機構は、背面板455を介して、挿入ヘッド422と一体化され、更に第一のロック機構470を介して本体フレーム450に取り付けられている。また、図13に示されるように、案内板440が、芯合わせ板駆動部460の中間の高さまで上昇しているとき、芯合わせ補助板駆動部465は、芯合わせ補助板が、ローター台430の下で、案内板440の下部を両面から挟める位置に配置されている。
ローター台430は、ローター台130と同様、本体フレーム450と一体化されている。芯合わせ補助板駆動部465が加えられている関係で、本体フレーム450は、本体フレーム150と、形状が異なっており、ローター台430が本体フレーム450に接続される位置も、ローター台130が本体フレーム150に接続される位置とは異なっているが、これらの部材の機能は同じである。また、ローター台430は、その上面にローター保持機構434及び435を備えているが、ローター保持機構434及び435も、ローター台130の上面のローター保持機構134及び135と、構造及び機能は同じである。
保持ヘッド410は、実施例1における保持ヘッド110と同様、アーム416が90度回動することで、水平に保持され、その位置で、磁石供給機から次の磁石841を受け取ることができるよう構成されている。この磁石供給機のベルトコンベア492と押し出し棒494も、実施例1における磁石供給機190のベルトコンベア192と押し出し棒194に、各々対応していて、構成も、機能も、動作も同じである。
以上の通りに構成されるマグネット挿入機400の各部材は、マグネット挿入機100の対応する部材と同じように作動するので、磁石840がローター鉄心950のスリットに挿入されるまでの各段階における状態は、図2乃至図5に示される、マグネット挿入機100の、対応する各部材の状態と同じである。ただし、マグネット挿入機100において、芯合わせ機構160が一対の芯合わせ板を閉じる動きに対応する、マグネット挿入機400の動きは、芯合わせ板駆動部460と芯合わせ補助板駆動部465とが同期して一対の芯合わせ板と一対の芯合わせ補助板とを同時に閉じるというものである。すなわち、磁石840が、押圧板420に押し下げられて、下端が案内板440の上端に当接した状態で、芯合わせ板駆動部460がその一対の芯合わせ板を閉じるとき、芯合わせ補助板駆動部465もその一対の芯合わせ補助板を閉じる。
芯合わせ板駆動部460は、芯合わせ機構160と同様に、磁石840の下端と案内板440の上端を一対の芯合わせ板で挟んで、幅方向、厚み方向とも中心が合致するように、磁石840と案内板440とを整列させる。このとき、第一のロック機構470が作動しておらず、芯合わせ板駆動部460は、挿入ヘッド422ごと平面内を摺動している。同様に、芯合わせ補助板駆動部465も、平面内を摺動している。芯合わせ板駆動部460が作動するのと同時に、芯合わせ補助板駆動部465が、案内板440の下端を一対の芯合わせ補助板で挟むことで、挿入ヘッド422が案内板440にならって垂直に保持され、押圧板420も、案内板440と正確に整列される。
実施例1においては、芯合わせ機構160が、案内板140の先端を挟むことにより、この部分に加わる力が背面板155を介して挿入ヘッド122に伝わって、挿入ヘッド122を案内板140に対して整列させている。が、押圧板120とその駆動機構を備えた挿入ヘッド122は相当に重く、また、案内板140の先端は、挿入ヘッド122から距離的に離れている。そうすると、案内板140の先端のみを介して伝わる力で、挿入ヘッド122を、水平面内で摺動させるとしても、その際、挿入ヘッド122が、姿勢を垂直に保ったままとするのは困難である。すなわち、芯合わせ機構160が案内板140の先端と位置合わせされると、挿入ヘッド122が、垂直から傾いてしまうことがあった。
本実施例においては、芯合わせ板駆動部460が案内板440の先端を挟むとともに、芯合わせ補助板駆動部465が案内板440の下部を挟むことで、案内板440に沿った2点からの力により、挿入ヘッド422が位置決めされる。そうすると、挿入ヘッド422を平面内で摺動させつつ、その間、挿入ヘッド422を確実に垂直に保つことが可能となる。これにより、マグネット挿入機400は、磁石の挿入精度が、実施例1のマグネット挿入機100より更に向上している。
以上の通り、マグネット挿入機400は、マグネット挿入機100と類似した構成で、同様に作動するが、案内板440に対して磁石を位置決めする際に、押圧板420と案内板440とをより正確に整列させ、磁石の、ローター鉄心のスリットへの挿入を、より確実に行うことができる。
図14には、本発明の実施例5によるマグネット挿入機を提供するためのローター台ユニット500が示されている。実施例1及び実施例4によるマグネット挿入機100及びマグネット挿入機400においては、ローター台130及びローター台430は、本体フレーム150及び本体フレーム450に直接固定されているのに対し、本発明の実施例5によるマグネット挿入機においては、ローター台530が、ローター台ユニット500を介して本体フレームに取り付けられている。本発明の実施例5によるマグネット挿入機の、それ以外の部分は全て、実施例1または実施例4によるマグネット挿入機100またはマグネット挿入機400と同一の構造を有するので、以下、ローター台ユニット500のみについて説明する。
図14を参照すると、ローター台ユニット500は、回転軸532と、ベルト536と、モーター537と、XYテーブル539とからなり、回転軸532を介してローター台530と接続されている。ローター台530は、その上面にローター保持機構534及び535を備え、ローター鉄心960をローター台530上の所定位置に保持している。ローター保持機構534及び535は、実施例1及び実施例4におけるローター保持機構134及び135並びにローター保持機構434及び435と同一の構造及び機能を有する。また、ローター台ユニット500に隣接して配置されている、案内板540と、支持台542と、第二のロック機構580とは、実施例1及び実施例4における案内板140及び440と、支持台142及び442と、第二のロック機構180及び480とそれぞれ同一の構造及び機能を有する。
回転軸532は、XYテーブル539の上面に起立して、ローター台530を回転可能に支える。また、XYテーブル539の上面には、回転軸532の隣にモーター537が取り付けられている。そうして、回転軸532の一部と、モーター537の回転部とは、周囲に共通のベルト536が巻かれ、モーター537を駆動することによって回転軸532を回転させ、すなわち、ローター台530を回転することが可能となっている。以上の構成により、XYテーブル539の駆動により、ローター台530の、平面内での並進運動が、また、モーター537の駆動により、ローター台530の、平面内での回転運動が、それぞれ可能となっている。これにより、ローター台530上に保持されているローター鉄心960の、全てのスリットを順次、案内板540の真上で、案内板540と整列させることが可能となる。
ところで、実施例1及び実施例4によるマグネット挿入機100及びマグネット挿入機400においては、ローター鉄心の1つのスリットに磁石が挿入された後、次のスリットが第二の位置に来るようにローター鉄心を動かすか、次のローター鉄心と置き替えるかする作業は、手作業で行うか、ロボットアームが行うかしている。このとき、ローター台上に載置したローター鉄心を、ローター保持機構でその位置に固定するという作業は、ローター保持機構を解除するという作業と共に、1つのスリットに磁石が挿入されるごとに繰り返し行われている。
実施例5におけるローター台ユニット500によると、一度ローター台上にローター鉄心が保持されると、全てのスリットに磁石が挿入されるまで、ローター保持機構を解除する必要がない。ローター鉄心の置き換えを、手作業で行うにしろ、ロボットアームその他の装置で行うにしろ、ローター鉄心の取り扱いが極めて簡素化される。すなわち、磁石がスリットに挿入される度に、ローター保持機構を解除するという手間が省かれ、また、スリットごとの位置合わせを別途行うという手間も省かれるので、マグネット挿入機の作業効率を格段に高めることができる。また、1台のマグネット挿入機で、連続して、全てのスリットに磁石を挿入することが可能となる。
図15には、本発明によるマグネット挿入機を複数台、直列に配置して構成されるマグネット挿入システムを提供するための、ローター横送り機構600が示されている。ローター横送り機構600の中心には、1列に並べた複数のローター鉄心を載置できるローター台630が備わっていて、床(本体フレーム650)に固定されている。ローター台630上のローター鉄心は、ローター供給機から供給された位置にあるものと、ローター回収機によって回収される位置にあるものとを含めて、等間隔に保持されている。マグネット挿入機は、一斉に作動して、ローター鉄心の、それぞれ異なるスリットに同時に磁石を挿入する。そのため、マグネット挿入機の台数は、作製されるローターが有する磁石の本数と同じである。図15のマグネット挿入システムは、磁石を4枚有するローターを作製するもので、マグネット挿入機が4台配置されている。
図15においては、簡略化のため、各マグネット挿入機の全体ではなく、第二のロック機構681、682、683及び684が、その上に取り付けられる支持台及び案内板と共に示されている。また、各々の案内板の上方には、各マグネット挿入機において第一の位置に保持されている磁石861、862、863及び864も示されている。これらの磁石は、それぞれ対応する磁石供給機構691、692、693及び694から送り出される。ただし、各磁石供給機構も詳細は示されておらず、概念的に磁石列のみが図示されている。
ローター鉄心は、ローター供給機620から、ローター台630上に供給され、後述するローター保持機構対640及び641の間に位置決めされる。図15においては、ローター鉄心970が、この位置にある。その後、ローター鉄心は、順次横送りされ、ローター鉄心971の位置で1枚目の磁石が挿入され、ローター鉄心972の位置で2枚目の磁石が挿入され、ローター鉄心973の位置で3枚目の磁石が挿入され、ローター鉄心974の位置で4枚目の磁石が挿入される。そうして全てのスリットに磁石が挿入されたローター鉄心は、ローター鉄心975の位置まで送出されて、ローター回収機(図示略)によって回収される。
このシステムにおける各マグネット挿入機は、ローター台とローター保持機構を除けば、実施例1または実施例4によるマグネット挿入機100またはマグネット挿入機400と、全く同じ構造及び機能を有している。詳細が図示されていない磁石供給機構691、692、693及び694についても同様である。ただし、各ローター鉄心は、磁石が挿入される全ての位置において、全く同じ向きに配置されるが、そのようなローター鉄心に対し、異なるスリットに磁石を挿入できるよう、押圧板と案内板の位置や向きは、マグネット挿入機ごとに個別に調整されている。そして、それらのマグネット挿入機が、各々ローター台を有する代わりに、ローター横送り機構600に備わるローター台630を共有している。
ローター横送り機構600には、それぞれ対になったローター保持機構632及び633、ローター保持機構634及び635、ローター保持機構636及び637、並びにローター保持機構638及び639が、等間隔で備わっている。これらのローター保持機構は、実施例1または実施例4におけるローター保持機構134及び135または434及び435と基本的には同一の構造を有する。ただし、これらのローター保持機構の各対は、ローター鉄心971、972、973及び974を真ん中よりも高い位置で、両側から挟んで保持できるよう構成されており、全てのマグネット挿入機に共通の本体フレーム650に固定されている。そうして、これらのローター保持機構が各々ローター鉄心を保持している状態で、全てのマグネット挿入機が一斉に作動するようシステムが構成されている。
ローター横送り機構600には、さらに、それぞれ対になったローター保持機構640及び641、ローター保持機構642及び643、ローター保持機構644及び645、ローター保持機構646及び647、並びにローター保持機構648及び649も、等間隔で備わっている。ローター保持機構640乃至649は、ローター保持機構632乃至639と基本的には同一の構造を有するが、各対が、ローター鉄心970、971、972、973及び974を真ん中よりも低い位置で、両側から挟んで保持できるものとなっている。すなわち、これらローター保持機構は、2段重ねに配置されていて、上段のローター保持機構632乃至639と、下段のローター保持機構642乃至649とは、ローター鉄心971、972、973及び974を全く同じ位置に保持できる。
ローター横送り機構600において、下段のローター保持機構640乃至649は全て、共通の移動フレーム671に取り付けられている。移動フレーム671は、少なくとも隣合うローター保持機構の間隔と同じ距離だけ、レール672及び673上を滑るように構成されている。また、シリンダを用いた駆動機構675が、ローター台630の下において床(本体フレーム650)に据え付けられており、移動フレーム671と連結されている。そうすると、下段のローター保持機構640乃至649が、ローター鉄心970、971、972、973及び974を同時に保持した状態で、これらを一斉に横送りすることが可能となる。
ローター鉄心の横送りについて、図15に加えて図16を参照して、より詳しく説明する。図16は、ローター保持機構632及び633が、その間にローター鉄心971を保持している状態を示す図である。図中、上部に上面図が描かれており、下部に描かれている断面図と対応している。図16において、ローター鉄心971を保持している上段のローター保持機構632及び633は、本体フレーム650(床)に固定されている。第二のロック機構681も、床(本体フレーム650)に固定されている。そうして、上段のローター保持機構632及び633がローター鉄心971を保持している状態で、マグネット挿入機が作動して、磁石861がローター鉄心971のスリットの1つに挿入される。
ローター鉄心971に磁石861が挿入されると、移動フレーム671に固定されている下段のローター保持機構642及び643が作動して、両側からローター鉄心971を保持する。そして、上段のローター保持機構632及び633の方は開いて、ローター鉄心971を解放する。この状態で駆動機構675を作動させ、移動フレーム671をレール672及び673に沿って滑らせることにより、ローター鉄心971を隣のマグネット挿入機に送り出すことができる。このとき、ローター鉄心970乃至974は、下段のローター保持機構640乃至649の各対に保持された状態で、一斉にローター台630上を滑って各々隣の位置に移動している。
ローター保持機構632及び633の位置においては、送り出したローター鉄心971と入れ替わりに、隣にあったローター鉄心970が、ローター保持機構640及び641に保持されて送り込まれてくるので、次に、ローター保持機構632及び633を作動させて、ローター鉄心970を両側から挟んで固定する。そうして、ローター保持機構640及び641を開き、駆動機構675を作動させて、移動フレーム671を元の位置に戻す。再度マグネット挿入機が作動すると、ローター鉄心970に磁石が挿入される。以上のシステムの作動において、上段及び下段のローター保持機構とマグネット挿入機は、各々、全てが同期しており、ローター鉄心の横送りと磁石の挿入は、共に一斉に行われる。
実施例6によるローター横送り機構600においては、供給機から、ローター保持機構対640及び641の間に供給されるローター鉄心が、次々と隣のローター保持機構対に横送りされ、最後のローター保持機構対648及び649で横送りされるときには、ローター鉄心の全てのスリットに磁石が挿入されている。そうして、磁石を挿入済みのローター鉄心を回収することになるので、ローターを作製する際の作業効率を格段に高めることができる。このようなローター横送り機構のマグネット挿入システムへの導入は、ローターの大量生産に極めて有効であり、また、マグネット挿入機が横一列に配置されるため、メンテナンスも容易である。
図17には、本発明によるマグネット挿入機を複数台、円弧に沿って整列させて構成されるマグネット挿入システムを提供するための、ローター回転送り機構700が示されている。ローター回転送り機構700には、円形のローター台730が備わるが、ローター台730上において、ローター鉄心は、ローター供給機から供給された位置にあるものと、ローター回収機によって回収される位置にあるものとを含めて、全てが等間隔に保持されている。マグネット挿入機は、一斉に作動して、ローター鉄心の、それぞれ異なるスリットに同時に磁石を挿入する。そのため、マグネット挿入機の台数は、作製されるローターが有する磁石の本数と同じである。図17のマグネット挿入システムは、磁石を4枚有するローターを作製するもので、マグネット挿入機が4台配置されている。
図17においては、簡略化のため、各マグネット挿入機の全体ではなく、第二のロック機構781、782、783及び784が、その上に取り付けられる支持台及び案内板と共に示されている。また、各々の案内板の上方には、各マグネット挿入機において第一の位置に保持されている磁石871、872、873及び874も示されている。これらの磁石は、それぞれ対応する磁石供給機構791、792、793及び794から送り出される。ただし、各磁石供給機構も詳細は図示されておらず、概念的に磁石列のみが示されている。一方、ローター台730の下には、割り出しユニット(図示略)が備えられており、その駆動によって、ローター台730は、反時計回りに、60度ずつの回転が可能なように構成されている。
ローター供給機720からローター台730上に供給されたばかりのローター鉄心980は、後述するローター保持機構対740及び741の間に位置決めされる。ローター鉄心を正確な位置に供給し、あるいは更に位置決めするために、ローター供給機720は、ロボットアーム(図示略)を備えている。ローター保持機構対の間に保持されたローター鉄心は、そのまま順次回転送りされ、ローター鉄心981の位置で1枚目の磁石が挿入され、ローター鉄心982の位置で2枚目の磁石が挿入され、ローター鉄心983の位置で3枚目の磁石が挿入され、ローター鉄心984の位置で4枚目の磁石が挿入される。そうして全てのスリットに磁石が挿入されたローター鉄心は、後述するローター保持機構対750及び751の間の位置まで送出された後、ローター回収機(図示略)によって、ローター鉄心985のように回収される。
このシステムにおける各マグネット挿入機は、ローター台とローター保持機構を除けば、実施例1または実施例4によるマグネット挿入機100またはマグネット挿入機400と、全く同じ構造及び機能を有している。詳細が図示されていない磁石供給機構791、792、793及び794についても同様である。ただし、各ローター鉄心に対し、異なるスリットに磁石を挿入できるよう、押圧板と案内板の位置や向きは、マグネット挿入機ごとに個別に調整されている。そして、それらのマグネット挿入機が、各々ローター台を有する代わりに、ローター台730を共有している。
ローター回転送り機構700に備わる6対のローター保持機構、すなわち、ローター保持機構740及び741、ローター保持機構742及び743、ローター保持機構744及び745、ローター保持機構746及び747、ローター保持機構748及び749、並びにローター保持機構750及び751は、それぞれ、実施例1または実施例4におけるローター保持機構134及び135または434及び435と基本的には同一の構造を有しており、ローター台730の半径に沿う方向にローター鉄心を挟んで保持するように配置されている。また、隣合うローター保持機構対がなす角度は、全て等しく、本実施例においては、各ローター保持機構対は、両隣のローター保持機構対と60度の角度をなしている。
図17において、ローター鉄心980は、ローター供給機720からローター台730上に供給された直後の位置にあり、ローター保持機構740及び741の間に保持されている。また、全てのスリットに磁石が挿入済みであるローター鉄心985は、ローター保持機構750及び751が開いて、回収機によって回収されつつある。ローター鉄心980の供給と、ローター鉄心985の回収とが行われつつある間に、図17における磁石871、872、873及び874は、対応するローター鉄心981、982、983及び984のスリットに同時に挿入される。その後、割り出しユニットが作動して、ローター台730が60度回転する。
ローター台730が回転すると、その上に載置されている全てのローター鉄心980乃至984は、それらを保持するローター保持機構740乃至749ごと、一斉かつ同時に回転移動する。もちろん、ローター鉄心を保持していないローター保持機構750及び751も同時に回転移動する。そうして、全てのローター保持機構対が、間に保持しているローター鉄心ごと、一斉に、それぞれ隣のローター保持機構対と入れ替わる。
すなわち、ローター鉄心980は、ローター保持機構740及び741の間に保持されたまま、第二のロック機構781上に移動する。ローター鉄心981は、ローター保持機構742及び743の間に保持されたまま、第二のロック機構782上に移動する。ローター鉄心982は、ローター保持機構744及び745の間に保持されたまま、第二のロック機構783上に移動する。ローター鉄心983は、ローター保持機構746及び747の間に保持されたまま、第二のロック機構784上に移動する。ローター鉄心984は、ローター保持機構748及び749の間に保持されたまま回収機の位置まで移動する。ローターを保持せず、開いた状態にあるローター保持機構750及び751は、ローター供給機720の下まで移動する。
この状態で、再度、本システムが一斉に作動する。すなわち、新たなローター鉄心が、ローター供給機720からローター保持機構750及び751の間に供給されて、ローター保持機構750及び751によって保持される。同時に、ローター鉄心980、981、982及び983のスリットに一斉に磁石が挿入され、かつ、ローター保持機構748及び749が開いて、ローター鉄心984が回収機によって回収される。そうして、以上の動作が繰り返されることによって、ローター鉄心が連続して本システムに供給され、同時に、磁石挿入済みのローター鉄心が連続して本システムから回収される。
実施例7によるローター回転送り機構700は、実施例6によるローター横送り機構600と同様、マグネット挿入機の作業効率を格段に高めることができ、ローターの大量生産に極めて有効である。実施例7においては、実施例6と違って、ローター鉄心が、ローター台上に載置されて、一旦、ローター保持機構に保持されると、全てのスリットに磁石が挿入され終わるまで、同じローター保持機構に保持され続けており、ローター鉄心の移動に伴いがちな位置決めエラーが生じ難い。もちろん、実施例6によるローター横送り機構600と、実施例7によるローター回転送り機構700とのいずれを採用するのがより適切であるのかは、マグネット挿入システムが設置される個々の敷地の間取りから判断してしかるべきである。
(その他の実施例)
実施例1乃至実施例7のマグネット挿入機またはマグネット挿入システムには、様々な変更を加えることが可能である。その変更は、作製されるローターの形状によるところもあるので、改めて、ローターに埋め込まれる磁石のパターンについて、図18A乃至図18Hを参照して説明する。図18A乃至図18Hは、IPMモーターのローターに、真っ直ぐなあるいは曲がった板状の磁石を4枚または8枚埋め込む場合の、磁石の埋め込みパターンを例示する上面図である。ローターは、回転軸を除けば、概略、円柱形あるいは、円柱形の側面に溝や凹みを有する形状である。簡略化のため、図18A乃至図18Hにおいては、全てのローターは、円柱形で、中央に回転軸を有するものとしている。黒塗りの細長い長方形または2つの円弧に挟まれた図形が、板状の磁石または磁石が挿入されるスリットを示している。
実施例1乃至実施例5によるマグネット挿入機について、上記の説明で用いた図(特に、図1、14)には、図18Fに示される磁石埋め込みパターンを有するローター鉄心が示されている。各々の板状の磁石は、表裏面の一方がN極、他方がS極であり、図18Fに示されるパターンにおいて、全ての隣合う磁石は、同じ極を有する面同士が向き合うように配置される。そうすると、最初のスリットに挿入した磁石のすぐ隣に平行に並ぶスリットに次の磁石を挿入するためには、それらのスリットの間隔分ローター鉄心を平行移動させるだけでなく、その向きを180度変えなくてはならない。この煩雑さを避けるために、実施例1乃至実施例5によるマグネット挿入機は、磁石供給機構が2組設けられるように改変されても良い。
例えば、実施例1によるマグネット挿入機100において、磁石供給機構190と同じ磁石供給機構がもう1組設けられ、磁石供給機構が上下2段に配置されても良い。そうして、磁石供給機構から供給される磁石が、保持ヘッド110のアーム116の回転の中心に真っ直ぐ向かうように、各々の磁石供給機構を傾けて配置すると、保持ヘッド110が、上段、下段、いずれの磁石供給機構から磁石を受け取るかを毎回選択できるものとなる。このとき、上段と下段の磁石供給機構から供給される磁石が、表裏反対向きとされておれば、ローター鉄心を大きく動かさなくとも、隣合うスリットに、表裏反対向きに磁石を挿入することが可能となる。
あるいは、上段、下段の磁石供給機構が、磁石供給機構190と同様、水平に備えられていて、保持ヘッド110とアーム116が、アーム116の回転駆動機構と共に、上下動が可能となるように構成されていても良い。そうすると、保持ヘッド110が、上段、下段、いずれの磁石供給機構から磁石を受け取るかを毎回選択できるものとなる。
あるいは、磁石供給機構190と同じ磁石供給機構がもう1組設けられ、これらの磁石供給機構が同一平面上で相互に向き合うように配置されても良い。すなわち、左方向から順送りされる磁石列から磁石を供給する磁石供給機構と、右方向から順送りされる磁石列から磁石を供給する磁石供給機構とが、磁石供給部が隣合わせとなるように配置されても良い。そうして、保持ヘッド110とアーム116が、アーム116の回転駆動機構と共に、水平方向に左右に可動となるように構成されておれば、保持ヘッド110が、左右、いずれの磁石供給機構から磁石を受け取るかを毎回選択できるものとなる。
あるいは、磁石供給機構190と同じ高さに、磁石供給機構190と同じ磁石供給機構がもう1組水平に設けられ、これらの磁石供給機構が、アーム116とアーム116の回転軸との交点を中心に所定角度離れた位置にあるように配置されても良い。そうして、保持ヘッド110とアーム116が、アーム116の回転駆動機構と共に、上記交点を中心に、その交点を含む水平面内で回転可能となるように構成されておれば、保持ヘッド110が、所定角度離れた2組の磁石供給機構のうちのどちらから磁石を受け取るかを毎回選択できるものとなる。
以上のような、マグネット挿入機が、磁石供給機構を2組有する構成は、実施例1のみならず、実施例2乃至実施例5のいずれにおいても適用が可能である。逆に、実施例6及び実施例7によるマグネット挿入システムのように、複数のマグネット挿入機が並んで配置されておれば、隣合って配置されるマグネット挿入機が、時間をずらして、同一の磁石供給機構から磁石を受け取るようにマグネット挿入システムを構成することも可能である。各マグネット挿入機において、保持ヘッドとアームが、アームの回転駆動機構と共に水平に移動できるかまたは回転できるものであれば、そのようなマグネット挿入システムは容易に構成できる。
実施例1または実施例4によるマグネット挿入機100または400には、ローター台130または430に関して、実施例5乃至実施例7とは違う形で、より簡素な変更を加えることが可能である。すなわち、ローター台130または430が、水平を保ったままスライドして、マグネット挿入機100または400の前方または側方に突出できるようにしても良い。こうすると、マグネット挿入機100または400を単独で用いて、ローター鉄心の全てのスリットに1つ1つ磁石を挿入する場合に、手作業またはロボットアームによるローター鉄心の位置決めが、より容易に行えるものとなる。
この構成において、マグネット挿入機の前方または側方に突出している位置では、ローター台は、その上方に何も障害物がないが、この状態で、ローター鉄心をローター台上に載置して位置決めできる。その後、ローター台をスライドさせてマグネット挿入機の中に収め、ローター鉄心を挿入ヘッドの真下に配置させると、マグネット挿入機によって、磁石が自動的にローター鉄心のスリットに挿入される。続いて、ローター台を再度スライドさせて、ローター鉄心をマグネット挿入機の外に搬出し、一旦システムを待機の状態とする。そして、次のスリットに合わせてローター鉄心を位置決めし直すか、ローター鉄心を交換して新たに位置決めを行うかした後、システムを再起動すれば、自動的に次の磁石がスリットに挿入される。以上の操作を繰り返せば、それぞれのスリットに1つずつ磁石を挿入していくことができる。
あるいは、実施例5におけるローター台ユニット500のような駆動機構を備えるローター台を、その駆動機構ごとスライド可能として、マグネット挿入システムを構成しても良い。このような構成においては、マグネット挿入機の外で、ローター台上に位置決めして載置されたローター鉄心は、一旦、ローター台のスライドによりマグネット挿入機の中に入ると、次に外に搬出されるときには、全てのスリットに磁石が挿入されているか、少なくとも複数のスリットに磁石が挿入されるものとなる。そうすると、ローター鉄心を手作業またはロボットアームで位置決めする回数を大いに減らせるため、磁石を挿入する効率が格段に高くなる。
あるいは、実施例5においては、ローター台ユニット500の、回転軸532と、ベルト536と、モーター537とで駆動機構が構成され、ローター台530を回転させているが、そのような回転駆動機構のみを備えるローター台を、その回転駆動機構ごとスライド可能として、マグネット挿入システムを構成しても良い。このような構成においては、一旦、マグネット挿入機の中に入ったローター鉄心が次に外に搬出されるときには、最初に磁石が挿入されるスリットを、ローター鉄心の中央の穴を中心に所定角度ずつ回転した位置にある全てのスリットに磁石が挿入されるものとなる。
図18A乃至図18Hを参照すると分かる通り、全てのローター鉄心のスリットのパターンにおいて、いずれのスリットについても、それを、ローター鉄心の中央の穴を中心に所定角度ずつ回転した位置にあるスリットが複数存在している。そうすると、スライド可能なローター台が、このような回転駆動機構を備えるだけで、ローター鉄心に磁石を挿入する効率が格段に高くなる。
以上のようなスライド可能なローター台においては、ローター保持機構は、ローター台のスライド動作と同期して駆動されれば良い。すなわち、ローター台がマグネット挿入機の外に滑り出るとローター保持機構が解除され、ローター台がマグネット挿入機の中に収まるときにローター保持機構が作動するようマグネット挿入機が構成されれば良い。ただし、手作業で位置決めを行う場合など、ローター保持機構を、ローター台とは別に駆動できるようにした方が便利なときは、もちろんマグネット挿入機をそのように構成しても良い。
スライド可能なローター台を導入すると、ローター鉄心の位置決めが手作業の場合は、挿入ヘッドその他の部材が作業者の邪魔にならず、作業効率が格段に良くなる。また、ロボットアームを使う場合も、その形状や動きの自由度が大幅に高まるので、システムの構成がずっと容易になる。さらには、位置決めに際してローター鉄心を動かせる空間が大きく取れるので、ローター鉄心を上下に反転させることも自在である。そうすると、磁石供給機構を複数組備えていなくとも、挿入される磁石のN極面とS極面の向きが合うようにスリットの配向を考慮して、ローター鉄心を位置決めするのが容易になる。なお、ローター鉄心を手作業で載置する場合は、ローター台をスライドして出し入れする操作は、作業員が毎回ボタンを押すことで行われる。
スライド可能なローター台において、ローター鉄心が載置される面から垂直に複数の短いピンが突出していても良い。このようなピンを備えることで、ローター鉄心の位置決めが容易に行えるものとなる。ピンの数は、効率の点から通常は2本とされるが、3本以上であっても良い。ローター鉄心には、回転軸用の中央の穴と磁石が挿入される複数のスリットに加えて、複数個の小さな丸い穴が、垂直に貫通している。穴の数は、通常4つか2つである。これらの穴は、ローター鉄心の作製に際して、電磁鋼板を積層するときの位置決めに用いられるが、作製後もローター鉄心に捨て穴として残っている。そして、これらの穴は、相互に、ローター鉄心の中央の穴を中心に等角度回転させた位置に配置されている。
ローター鉄心をローター台上に載置する際に、中央の穴と、複数の捨て穴のうちの少なくとも1つに、ピンが差し込まれるようにすることで、ローター鉄心を載置するのと同時にその位置決めが可能となる。もちろん、中央の穴を用いずに、捨て穴を2つ以上用いても良いし、位置決め用の穴として、少なくとも1つのスリットを用いることも可能である。
ローター台上からピンを突出させて、ローター鉄心の位置決めを容易とする構成は、実施例1乃至実施例7のいずれのマグネット挿入機またはマグネット挿入システムにおいても適用が可能であり、ローター台がスライド可能であるか否かに関わらず、採用されて良いものである。ただ、上述の、スライド可能なローター台においては、ローター鉄心を真上から載置したり、ローター鉄心を大きくローター台から浮かして位置決めしたりすることが容易であるので、このような位置決めピンが特に有効である。
位置決めピンを採用すると、各ピンが、対応する穴に係合することによって、ローター鉄心が水平方向には動かなくなる。したがって、ローター鉄心を固定するには、ローター鉄心を側方から挟むより、上方からローター鉄心をローター台に押し付ける部材を備える方が効率的である。すなわち、ローター保持機構についても、ローター鉄心を側方から挟む構成に代えて、位置決めピンの突出するローター台上にローター鉄心を上から押し付ける構成を採用することが可能である。
実施例1乃至実施例7のいずれのマグネット挿入機またはマグネット挿入システムにおいても、複数の位置決めピンが、ローター鉄心を載置する面から突出するローター台を採用し、かつ、ローター鉄心を上からローター台に押し付けて保持するローター保持機構を、そのようなローター台と組み合わせて採用することが可能である。このとき、ローター鉄心の押し付けに関わる部材は、次に磁石が挿入されるスリットを覆わない限りどのような形状でも良いが、できるだけローター鉄心の中心に近いところを押さえるようにする方が、安定性が高まって望ましい。また、このようにローター鉄心を上から押さえ付ける保持機構も、スライド可能なローター台に採用されるときは、ローター台のスライド動作と同期して駆動されるようにするのが望ましい。
実施例6及び実施例7によるマグネット挿入システムについて、上記の説明で用いた図15乃至図17には、図18Bに示される磁石埋め込みパターンを有するローター鉄心が示されている。すなわち、これらのマグネット挿入システムは、真っ直ぐな板状の磁石が4枚埋め込まれたローターを作製するためのもので、マグネット挿入機が4台備えられている。そうすると、このマグネット挿入システムは、例えば、図18Aに示される、4枚の磁石の埋め込みパターンを有するローターの作製には、直ちに応用が可能である。磁石の挿入位置が適切になるように、マグネット挿入機の位置のみを調整しさえすれば良いからである。
同じく、真っ直ぐな板状の磁石を取り扱うものではあっても、図18E乃至図18Hに示される8枚の磁石の埋め込みパターンを有するローターを作製するためには、マグネット挿入機を4台増やして8台とする必要がある。そして、そのように実施例6または実施例7を改変することも当然に可能である。
図18C及び図18Dに示される埋め込みパターンに用いられている磁石は、曲がった板状であり、より正確には、所定の厚みを有する円筒形から、その中心軸を通る2つの平面でその円筒形を切り取った形状である。実施例1乃至実施例7によるマグネット挿入機及びマグネット挿入システムを、このような形状の磁石を取り扱えるように改変することも可能である。
例えば、実施例1によるマグネット挿入機100において、押し出し棒194、押圧板120及び案内板140が全て、この曲がった板状の磁石と同じ断面を有するように、これらを湾曲させる。また、この磁石の曲がった表面に沿うように、保持ヘッド110の内側表面を円筒の外周(凸面)または内周(凹面)と同じ形状とし、かつ、芯合わせ機構160も、芯合わせ板161及び162の一方が円筒の外周と、他方が円筒の内周と、それぞれ同じ形状とする。このようにマグネット挿入機100を改変すれば、所定の厚みを有する円筒形から、その中心軸を通る2つの平面でその円筒形を切り取った形状の磁石を取り扱うことが可能なマグネット挿入機が得られる。実施例2乃至実施例7においても、同様にマグネット挿入機を改変すれば、曲がった板状の磁石の取り扱いが可能となる。
図18A乃至図18Hに示される磁石埋め込みパターンを有するローターは、使用されている磁石の枚数が4枚または8枚であるが、設計上、ローターに埋め込まれる磁石の数に制限がある訳ではない。従来の技術では、ローターの大量生産を可能とするために磁石の数に制限があったと言えよう。しかし、本発明によって、ローター鉄心への磁石の組み込みが迅速かつ容易にできるようになれば、更に多くの枚数の磁石を有するローターの作製が可能となる。そうして、そのような磁石の枚数が多いローターを作製できるように、上記各実施例におけるマグネット挿入機またはマグネット挿入システムを改変することも当然に可能である。
図18A乃至図18Hに示される磁石埋め込みパターンを有するローターは、いずれも単一形状の磁石で構成されている。従来の技術によると、あるいは、実施例1乃至実施例5による単独のマグネット挿入機では、このように磁石が単一形状でないと、ローターの作製が困難である。しかし、複数の形状の磁石を用いてローターを設計することももちろん可能であるし、実施例6及び実施例7のような、複数台のマグネット挿入機を備えるマグネット挿入システムを用いれば、そのような、複数の形状の磁石を用いるローターを組み立てることも容易である。そうすると、本発明によって、図18A乃至図18Hに示されているものよりもずっと複雑な磁石埋め込みパターンを有するローターを作製すること、特に、大量生産することも可能となる。
以上の通り、各実施例には、マグネット挿入機の典型的な構造や、応用例が開示されており、かつ各実施例を更に変更して新たな実施例を得る手立ても示されているが、本発明は、それらに限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱しない限りにおいて更に様々な変更を加えることが可能である。