JP6860372B2 - 吸水剤の製造方法 - Google Patents
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Description
(1−1)吸水剤
本明細書において、「吸水剤」とは、吸水性樹脂を主成分(好ましくは全体の60重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上)とする水性液のゲル化剤であり、その他に、任意成分として水、無機微粒子、カチオン性高分子化合物、水溶性多価金属カチオン含有化合物、界面活性剤、着色防止剤、耐尿性向上剤、消臭剤、香料、抗菌剤、発泡剤、顔料、染料、肥料、酸化剤及び還元剤等を、それぞれ0重量%以上10重量%以下、好ましくは0.001重量%以上5重量%以下含有してもよい。
粉体流動性指数=安息角指数+スパチュラ角指数+圧縮度指数+(均一度指数または凝集度指数)・・・(式A)。
本明細書における吸水性樹脂とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味する。尚、「水膨潤性」とは、ERT441.2−02で規定するCRC(無加圧下吸収倍率)が5g/g以上であることをいい、また、「水不溶性」とは、ERT470.2−02で規定するExtr(水可溶分)が0重量%以上50重量%以下であることをいう。
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下吸水倍率を意味する。
「PSD」は、Particle Size Distributionの略称であり、篩分級により測定される、吸水性樹脂の粒度分布を意味する。
本発明に係る吸水剤の製造方法は、1−ヒドロキシ−2−ピリドン誘導体を溶解又は分散させた添加液を吸水性樹脂に添加する添加工程を有している。
本工程は、1−ヒドロキシ−2−ピリドン誘導体を溶解又は分散させた添加液を吸水性樹脂に添加する工程である。
添加液は、1−ヒドロキシ−2−ピリドン誘導体を溶解又は分散させた液であり、吸水性樹脂に添加するための液である。
添加液の溶媒又は分散媒としては、水と多価アルコールとの混合物を用いる。多価アルコールの濃度としては、添加液の溶媒又は分散媒中(すなわち、水及び多価アルコールの合計量を100重量%としたときに)、30重量%以上55重量%以下が好ましく、30重量%以上50重量%以下がより好ましく、30重量%以上45重量%以下が更に好ましく、30重量%以上40重量%以下が最も好ましい。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール(1,2−エタンジオール)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオール、ポリプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,2−ブチレングリコール(1,2−ブタンジオール)、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びグリセリン(1,2,3−プロパントリオール)、および、これらから選択される任意の多価アルコールの混合物等が挙げられる。多価アルコールを用いることにより、1−ヒドロキシ−2−ピリドン誘導体を、水と多価アルコールとの混合物に、より溶解させやすくなる。
1−ヒドロキシ−2−ピリドン誘導体は、添加液に分散又は溶解されるものである。
添加液は、水、多価アルコール及び1−ヒドロキシ−2−ピリドン誘導体の他に、他の任意成分を含んでいてよい。具体的な他の任意成分としては、消臭剤、金属石鹸、抗菌剤、着色防止剤、耐尿性向上剤、酸化剤及び還元剤等が挙げられる。
吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物又はこれらの架橋体、カルボキシル基含有架橋ポリビニルアルコール変性物及び架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができ、これらの1種を用いてもよく、2種以上を併用することもできる。これらの中では、最も汎用性の高いポリアクリル酸(塩)系架橋重合体であることが好ましい。
吸水性樹脂に添加液を添加する方法としては、例えば、(1)添加液と吸水性樹脂とを撹拌下で混合させる方法、(2)添加液に吸水性樹脂を浸漬させる方法、及び、(3)添加液を流動状態若しくは攪拌状態の吸水性樹脂に滴下若しくは散布する方法等が挙げられる。吸水性樹脂の表面近傍に均一に添加液を分布させることができるという観点から、上記(1)及び(3)の方法が好ましい。(1)で用いられる混合装置としては、吸水性樹脂と添加液とを均一に混合するために、大きな混合力を備えているものが好ましい。このような混合装置としては、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型ニーダー、粉砕型ニーダー、回転式混合機、気流型混合機、タービュライザー、バッチ式レディゲミキサー及び連続式レディゲミキサー等が好適に用いられる。
なお、本発明に係る吸水剤の製造方法は、添加液を添加後の吸水性樹脂を、乾燥したり加熱したりする乾燥工程等をさらに有してもよい。加熱することで、吸水性樹脂への添加液中の溶媒又は分散媒の浸透が促進されて、表面が乾燥して迅速に粒子状となりうる。加熱温度は30℃以上150℃以下が好ましく、40℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上100℃以下がより好ましい。また、時間も1秒以上3時間以下が好ましく、1分以上1時間以下がより好ましい。
本発明に係る吸水剤の製造方法は、表面架橋後の吸水性樹脂に種々の機能を与えるために、その他の添加剤を添加する工程を含んでもよい。添加剤としては、無機微粒子、消臭剤、金属石鹸、抗菌剤、着色防止剤、耐尿性向上剤、酸化剤、還元剤、界面活性剤、香料、発泡剤、顔料、染料及び肥料等の添加物を含有し、機能を付与したり高めたりするものであってもよい。
1−ヒドロキシ−2−ピリドン誘導体を含有する添加液を添加される吸水性樹脂(A)として、株式会社日本触媒社製のポリアクリル酸(部分中和塩)系架橋重合体である「アクアリックCA」を用いた。吸水性樹脂(A)のCRCは35g/g、AAP2.06kPaは32g/g、重量平均粒子径は370μmであった。
プロピレングリコール4.95g及び水4.05gを混合した溶媒に、1−ヒドロキシ−2−ピリドン誘導体としてピロクトンオラミン(クラリアント社製の「オクトピロックス」)1.0g(添加液中での濃度は10重量%)を50℃にて溶解させ、添加液を調製した。次に、吸水性樹脂(A)100重量部に対し、上記添加液を攪拌下で1重量部滴下し、吸水性樹脂(A)と添加液とを混合した。混合後、混合物を60℃で1時間乾燥させた。得られた乾燥物を目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕し、吸水剤を得た。
粉体流動性指数=安息角指数+スパチュラ角指数+圧縮度指数+(均一度指数または凝集度指数)・・・(式A)
測定は、室温(23℃)、湿度40%の雰囲気条件下で行った。なお、粉体流動性指数と粉体流動性の評価との関係は以下の通りである。
粉体流動性指数:粉体流動性の評価
80以上:粉体流動性は非常に良好
70〜79:粉体流動性は良好
60〜69:粉体流動性はやや不良
59以下:粉体流動性は不良。
1,3−プロパンジオール4.68g及び水3.82gを混合した溶媒に、ピロクトンオラミン1.5g(添加液中での濃度は15重量%)を50℃で溶解させ、添加液を調製した。次に、製造例1で得た吸水性樹脂(A)100重量部に対し、上記添加液を攪拌下で1重量部添加し、吸水性樹脂(A)と添加液とを混合した。混合後、実施例1と同様に吸水剤を製造した。吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
実施例1において、プロピレングリコールの量を4.50g、水の量を4.50gに変更し、ピロクトンオラミンの溶解温度を60℃に変更した以外は同様の操作を行い、得られた吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
実施例1において、プロピレングリコールの量を3.60g、水の量を5.40gに変更し、ピロクトンオラミンの溶解温度を60℃に変更した以外は同様の操作を行い、得られた吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
実施例4において、多価アルコールを1,3−ブタンジオールに変更した以外は同様の操作を行い、得られた吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
実施例1において、プロピレングリコールの量を2.70g、水の量を6.30gに変更し、ピロクトンオラミンの溶解温度を80℃に変更した以外は同様の操作を行い、得られた吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
グリセリン2.85g及び水6.65gを混合した溶媒に、ピロクトンオラミン0.50g(添加液中での濃度は5重量%)を80℃で溶解させ、添加液を調製した。次に、製造例1で得た吸水性樹脂(A)100重量部に対し、上記添加液を攪拌下で1重量部添加し、吸水性樹脂(A)と添加液とを混合した。混合後、実施例1と同様に吸水剤を製造した。吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
実施例4において、添加液の添加量を、吸水性樹脂(A)100重量部に対し、2重量部に変更した以外は、同様の操作を行い、得られた吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
実施例5において、添加液の添加量を、吸水性樹脂(A)100重量部に対し、4重量部に変更した以外は、同様の操作を行い、得られた吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
実施例1において、得られた吸水剤に無機微粒子としてシリカ(株式会社トクヤマ製レオロシール)を、吸水剤100重量部に対し、0.4重量部添加し、混合した。得られたシリカ入り吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
実施例7において、得られた吸水剤に無機微粒子としてシリカを、吸水剤100重量部に対し、0.7重量部添加し、混合した。得られたシリカ入り吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
水9.00gに、ピロクトンオラミン1.0g(液中の濃度は10重量%)を混合したところ、80℃においても溶解せず、均一な分散液が調製できなかった。
1,3−プロパンジオール2.25g及び水6.75gを混合した溶媒に、ピロクトンオラミン1.0g(液中の濃度は10重量%)を混合したところ、80℃においても溶解せず、均一な分散液が調製できなかった。
プロピレングリコール5.40g及び水3.60gを混合した溶媒に、ピロクトンオラミン1.0g(添加液中での濃度は10重量%)を溶解させ、添加液を調製した。その他の条件は、実施例1と同様に吸水剤を製造した。それぞれの吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
多価アルコールをグリセリンに変更した以外は、比較例3と同様に吸水剤を製造した。得られた吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
1,3−ブタンジオール9.00gに、ピロクトンオラミン0.10g(添加液中での濃度は10重量%)を室温で溶解させ、添加液を調製した。その他の条件は、実施例1と同様に吸水剤を製造した。得られた吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
比較例3において、得られた吸水剤に無機微粒子としてシリカ(株式会社トクヤマ製レオロシール)を、吸水剤100重量部に対し、0.7重量部添加し、混合した。得られたシリカ入り吸水剤の粉体流動性を評価し、表1に示した。
(吸水剤の性能)
なお、実施例1から9および比較例1から6において、得られた吸水剤のCRCは34g/gから35g/g、AAP2.06kPaは29g/gから32g/g、重量平均粒子径は360μmから390μmであり、前駆体である吸水性樹脂(A)の性質はほぼ維持されていた。
Claims (6)
- 下記一般式(I)で表される1−ヒドロキシ−2−ピリドン誘導体を溶解又は分散させた添加液を、吸水性樹脂に添加する添加工程を有し、
上記添加液は、多価アルコール及び水を含んでおり、
上記多価アルコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオール、ポリプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びグリセリンからなる群より選択される少なくとも1つであり、
上記添加液の溶媒又は分散媒中の多価アルコールの濃度は、30重量%以上55重量%以下であることを特徴とする、吸水剤の製造方法。
R1は、炭素数が1〜17のアルキル基;炭素数が2〜17のアルケニル基;炭素数が5〜8のシクロアルキル基;炭素数7〜9のビシクロアルキル基;炭素数が1〜4のアルキル基を有するシクロアルキルアルキル基(当該シクロアルキルアルキル基のシクロアルキル残基は、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されていてもよい);アリール基(当該アリール基は、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されていてもよい);炭素数が1〜4のアルキル基を有するアラルキル基(当該アラルキル基中のアリール残基は、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されていてもよい);炭素数が2〜4のアルケニル基を有するアリールアルケニル基(当該アリールアルケニル基中のアリール残基は、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されていてもよい);炭素数が1〜4のアルキル基を有するアリールオキシアルキル基若しくはアリールメルカプトアルキル基(当該アリールオキシアルキル基又はアリールメルカプトアルキル基中のアリール残基は、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されていてもよい);ベンズヒドリル基(当該ベンズヒドリル基中のアリール残基は、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されていてもよい);炭素数が1〜4のアルキル基を有するフェニルスルホニルアルキル基(当該フェニルスルホニルアルキル基中のアリール残基は、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されていてもよい);炭素数が2〜4のフリル基若しくはアルケニル基を有するフリルアルケニル基(当該フリルアルケニル基中のフリル残基は、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されていてもよい);炭素数が1〜4のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;又はハロゲン原子を表し、
R2は、水素原子;炭素数が1〜4のアルキル基;炭素数が2〜4のアルケニル基;ハロゲン原子;フェニル基;又はベンジル基を表し、
X+は、有機塩基;アルカリ金属イオン;アンモニウムイオン;アルカリ土類金属イオン;又は2〜4価のカチオンイオンを表す] - 上記添加工程における上記添加液の温度は、30℃以上90℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載の吸水剤の製造方法。
- 上記添加液における上記1−ヒドロキシ−2−ピリドン誘導体の濃度は、1重量%以上20重量%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の吸水剤の製造方法。
- 上記添加工程において上記吸水性樹脂に添加する上記添加液の量は、上記吸水性樹脂100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の吸水剤の製造方法。
- 上記1−ヒドロキシ−2−ピリドン誘導体は、ピロクトンオラミンであることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸水剤の製造方法。
- 上記多価アルコールは、エチレングリコール(1,2−エタンジオール)、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,2−ブチレングリコール(1,2−ブタンジオール)、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール及びグリセリン(1,2,3−プロパントリオール)からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の吸水剤の製造方法。
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