JP6847599B2 - 導電性弾性ローラ用の弾性層、弾性層を備えた導電性弾性ローラおよび、導電性弾性ローラ用の弾性層の製造方法 - Google Patents

導電性弾性ローラ用の弾性層、弾性層を備えた導電性弾性ローラおよび、導電性弾性ローラ用の弾性層の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリチオールをエンチオール反応によって光重合させて硬化形成される弾性層、その弾性層を備えた導電性弾性ローラ、および、その弾性層の製造方法に関する。
複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置では、ロール形状の導電性の弾性部材、所謂、導電性弾性ローラが採用されている。下記特許文献には、末端官能基が(メタ)アクリレート基とされたウレタンプレポリマーと、光重合開始剤と、導電剤とを配合してなる組成物を用いて、弾性層を形成し、その弾性層を表層として有する導電性弾性ローラが記載されている。この弾性層では、紫外線照射により、ウレタンプレポリマーの末端官能基であるアクリレート基が重合することで、架橋構造が形成される。この際、ウレタンアクリレートの分子量を多くすることで、架橋密度が低下し、伸びの良い弾性層が得られるが、粘度が増大するという問題が生じる。このため、反応性希釈剤として、(メタ)アクリルモノマーが添加されることで、粘度の増大が抑制される。
特許第4990535号公報 特許第5049627号公報
上記特許文献に記載の技術により、導電性弾性ローラの弾性層が形成されるが、(メタ)アクリルモノマーは皮膚刺激性が高いため、作業者の皮膚に炎症が生じる恐れがある。また、(メタ)アクリルモノマーには臭気が強いものが多いため、作業環境が低下する。さらに言えば、アクリル系の配合原料には、空気(酸素)の存在により、硬化し難いという性質があり、空気(酸素)と触れている個所では効果不良が生じる。また、光反応性の(メタ)アクリル系樹脂は異素材との密着性が悪く、ロール形成後に剥離が生じる虞がある。また、(メタ)アクリル基が増大すると、反応熱が高くなり、熱によるダメージが生じる虞がある。このように、上記特許文献に記載の導電性弾性ローラ用の弾性層には、種々の問題があり、それら種々の問題を解決することで、導電性弾性ローラ用の弾性層の実用性が向上すると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い弾性層、弾性層を備えた導電性弾性ローラ等を提供することを課題とする。
本発明の弾性層は、イソシアネートとポリオールからなるウレタンプレポリマーであってアリル基とビニルエーテル基とアクリレート基のいずれかよりなる末端官能基有するウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、導電剤とからなる組成物を用いて作成されることを特徴とする。
また、本発明の導電性弾性ローラは、上記弾性層を備えることを特徴とする。
また、本発明の弾性層の製造方法は、イソシアネートとポリオールからなるウレタンプレポリマーであってアリル基とビニルエーテル基とアクリレート基のいずれかよりなる末端官能基有するウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、導電剤とを混合する混合工程と、前記混合工程において混合された原料に光を照射する照射工程とを含み、光重合反応により導電性弾性ローラ用の弾性層を製造することを特徴とする。
本発明の弾性層、導電性弾性ローラ、および弾性層の製造方法では、光の照射により、アリル基とビニルエーテル基とアクリレート基との少なくとも1つと、ポリチオール基とのエンチオール反応が生じ、弾性層が形成される。つまり、アクリル系の配合原料を用いることなく、弾性層が形成される。このため、上述した種々の問題を解決し、実用性の高い弾性層、弾性層を備えた導電性弾性ローラ等を提供することが可能となる。
画像形成装置10を概略的に示す図である。 帯電ローラ14の概略断面図である。 実施例1〜7の弾性層の原料の配合量(重量部)、および、実施例1〜7の弾性層の物性評価を示す表である。 実施例8〜14の弾性層の原料の配合量(重量部)、および、実施例8〜14の弾性層の物性評価を示す表である。 実施例15〜21の弾性層の原料の配合量(重量部)、および、実施例15〜21の弾性層の物性評価を示す表である。 比較例1〜5の弾性層の原料の配合量(重量部)、および、実施例1〜5の弾性層の物性評価を示す表である。 図3〜6に示すプレポリマーA〜Dを製造するための原料の配合量(重量部)を示す表である。 図3〜6に示すプレポリマーE〜Iを製造するための原料の配合量(重量部)を示す表である。
本発明に記載の「導電性弾性ローラ」は、複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置で用いられる。詳しくは、画像形成装置10は、図1に示すように、感光ドラム12と、帯電ローラ14と、トナー供給装置16と、転写ローラ18と、ヒートローラ20と、加圧ローラ22と、クリーニングブレード24とを備えている。感光ドラム12は、画像形成装置10の内部において、矢印26の方向に回転可能に保持されている。帯電ローラ14は、外周面において、感光ドラム12の外周面と密着した状態で回転可能に配設されている。トナー供給装置16は、感光ドラム12の回転方向において、帯電ローラ14の下流側に配設されており、トナーケース30と供給ローラ32と現像ローラ34とを有している。トナーケース30は、トナーを収容するケースであり、収容部36に、トナー38が収容されている。供給ローラ32は、収容部36において、回転可能に保持されている。そして、現像ローラ34が、外周面において、感光ドラム12の外周面、及び、供給ローラ32の外周面と密着した状態で、トナーケース30の内部において回転可能に保持されている。また、転写ローラ18は、感光ドラム12の回転方向において、トナー供給装置16の下流側に配設されており、外周面において、感光ドラム12の外周面と密着した状態で回転可能に配設されている。また、ヒートローラ20は、感光ドラム12及び、転写ローラ18等のローラから離間した状態で、転写ローラ18と概して水平な位置に、回転可能に配設されている。また、加圧ローラ22は、外周面において、ヒートローラ20の外周面と密着した状態で、ヒートローラ20の上方において回転可能に配設されている。また、クリーニングブレード24は、感光ドラム12の回転方向において、転写ローラ18の下流側に配設されており、先端部において、感光ドラム12の外周面に密着している。
また、帯電ローラ14は、図2に示すように、軸部50と弾性層52とによって構成されている。なお、図2は、図1におけるAA線での断面図である。軸部50は、概して棒状の金属製のシャフトであり、鉄、ステンレス、アルミニウム等の導電性の良好な金属製のものが採用されている。そして、軸部50の外周面に、弾性層52が配設されており、軸部50の両端を除いて、軸部50の外周面が弾性層52によって覆われている。
なお、軸部50として、金属製のシャフト以外に、樹脂製のシャフト等を採用することが可能である。樹脂製のシャフトとしては、高剛性であり、導電性を有するものを採用することが好ましく、樹脂製のシャフトは、例えば、高剛性樹脂に導電剤を添加・分散させて形成される。
高剛性樹脂として、ポリアセタール、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド12、ポリアミド4・6、ポリアミド6・10、ポリアミド6・12、ポリアミド11、ポリアミドMXD6、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。それら種々の樹脂のうちの1種または2種以上を併用したものを、軸部50の原料として用いることが可能である。
また、導電剤として、カーボンブラック粉末、グラファイト粉末、カーボンファイバー、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属粉末、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物粉末、導電性ガラス粉末等の粉末状導電剤が挙げられる。それら種々の導電剤のうちの1種または2種以上を併用したものを、軸部50の原料として用いることが可能である。
また、軸部として、シャフトだけでなく、シャフトの周りに円筒形状の部材を嵌合してもよい。例えば、金属製のシャフトに、樹脂製の円筒形状の部材を外嵌してもよい。この場合には、樹脂製の円筒状の部材の外周面に、弾性層52が配設される。
また、帯電ローラ14は、弾性層52を一層のみ有しているが、複数層の弾性層52を有していてもよい。さらに、弾性層52の表面に、塗膜などの薄膜層を有していてもよい。なお、弾性層52も、導電性を有しているが、後で詳しく説明する。
上記構造の画像形成装置10では、帯電ローラ14に電圧が印加されることで、帯電ローラ14が帯電する。これにより、帯電ローラ14に密着している感光ドラム12の外周面が帯電する。そして、帯電ローラ14とトナー供給装置16との間において、帯電した感光ドラム12に外周面に、露光機(図示省略)によって静電潜像が形成される。次に、トナー供給装置16において、供給ローラ32及び現像ローラ34が回転することで、トナーケース30の収容部36に収容されているトナー38が、供給ローラ32の外周面に付着し、その供給ローラ32の外周面から、現像ローラ34の外周面に付着する。そして、現像ローラ34の外周面に付着したトナー38が、現像ローラ34の外周面から、感光ドラム12の外周面に形成された静電潜像に付着する。また、感光ドラム12と転写ローラ18との間には、印刷用紙などの記録媒体60が挟まれており、感光ドラム12と転写ローラ18との回転により、ヒートローラ20と加圧ローラ22との間に向かって搬送される。これにより、感光ドラム12の外周面に付着したトナー38、つまり、静電潜像に付着したトナー38が、感光ドラム12と転写ローラ18との間において、記録媒体60に転写され、記録媒体60が、ヒートローラ20と加圧ローラ22との間に向かって搬送される。そして、ヒートローラ20と加圧ローラ22との間において、記録媒体60が加圧及び、加熱され、感光ドラム12の静電潜像に付着したトナー38に応じた形状の画像が、記録媒体60に形成される。なお、記録媒体60への転写後に感光ドラム12の外周面に残存するトナー38は、クリーニングブレード24によって除去される。
このような画像形成装置10において、帯電ローラ14が、本発明に記載の「導電性弾性ローラ」として用いられている。なお、画像形成装置10では、帯電ローラ14が、本発明に記載の「導電性弾性ローラ」として用いられているが、転写ローラ18等のローラを、本発明に記載の「導電性弾性ローラ」として用いてもよい。
また、帯電ローラ14の弾性層52、つまり、本発明に記載の「弾性層」は、アリル基とビニルエーテル基とアクリレート基との少なくとも1つを末端官能基として有するウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、導電剤とからなる組成物を、光重合反応により硬化させることで、形成される。
アリル基とビニルエーテル基とアクリレート基との少なくとも1つを末端官能基として有するウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとから合成されたウレタンプレポリマーに、アリル基とビニルエーテル基とビニルエーテル基との少なくとも1つを有する化合物を付加することで製造される。ちなみに、上記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、高過ぎると、粘度が高くなり、流動性が悪くなるため、生産性が低くなる。一方、上記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、低過ぎると、粘度が低くなり、弾性層の厚さを任意に調整し難くなる。このため、上記ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、1800〜10000であることが好ましい。さらに言えば、2000〜9000であることが好ましく、特に、2500〜8000であることが好ましい。また、官能基数は、1〜3であることが好ましく、特に2であることが好ましい。
上記ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリイソシアネート」は、1つの分子に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよい。例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート等が挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI(クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族イソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)等が挙げられる。それら種々のポリイソシアネートのうちの1種または2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
また、上記ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリオール」は、1つの分子に2個以上の水酸基を有する化合物であり、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよい。例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合反応により得られるものがある。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いることが可能である。多価カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用して用いることが可能である。さらに、カプロラクトン、メチルバレロラクトン等を開環縮合して得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
また、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。それら種々のポリオールのうちの1種または2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
また、上記ウレタンプレポリマーの合成において、触媒を用いることが好ましい。触媒は、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒等が挙げられる。アミン系触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。有機金属系触媒としては、例えば、スターナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、オクテン酸鉛、オクチル酸カリウム等が挙げられる。それら種々の触媒のうちの1種または2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーの原料として用いることが可能である。
合成されたウレタンプレポリマーに付加させるアリル基とビニルエーテル基とアクリレート基との少なくとも1つを有する化合物は、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に付加させることが可能なものであればよく、アリル基を有する化合物として、アリルアルコールやアリルエーテルグリコール、ヒドロキシエチルアリルエーテルが挙げられ、ビニルエーテル基を有する化合物として、ヒドロキシプロピルビニルエーテルやヒドロキシブチルビニルエーテルが挙げられ、アクリレート基を有する化合物として、ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。反応活性を高めるために、1官能の活性水素化合物が好ましく、二重結合が高分子両末端近傍にあるのが好ましい。
上記ウレタンプレポリマーとエンチオール反応するポリチオールとしては、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールが挙げられる。脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールとしては、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン−2,4−ジチオール、キシレンジチオール等が挙げられる。
また、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステルでは、メルカプトカルボン酸として、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸等が挙げられ、多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等が挙げられる。これらの中では、臭気が少ない点で、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル類が好ましく、具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)が挙げられる。なお、それら種々のポリチオールのうちの1種または2種以上を併用したものを、上記ウレタンプレポリマーとのエンチオール反応の原料として用いることが可能である。なお、ポリチオールの添加量が多すぎると、弾性層52の物性が低下し、ブリード物が多くなり、少なすぎると弾性層52が適切に硬化しなくなるため、ポリチオールの添加量は、ウレタンプレポリマー100重量部に対して、2〜12重量部であることが好ましい。
また、弾性層の組成物として配合される導電剤は、公知のイオン導電剤を用いることができる。イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ステアリルトリメチルアンモニウム)、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウムなどの過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などのアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。
そして、上述したアリル基とビニルエーテル基とアクリレート基との少なくとも1つを末端官能基として有するウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、導電剤とを混合し、光を照射することで、エンチオール反応によって、弾性層52が形成される。この際、ウレタンプレポリマーに付加されたアリル基とビニルエーテル基とアクリレート基とのうちの少なくとも1つと、チオール基とのエンチオール反応を効果的に行うべく、配合原料に、光重合開始剤を含むことが可能である。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の化合物が挙げられる。アセトフェノン系としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等が挙げられる。
ベンゾフェノン系としては、例えば、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。また、チオキサントン系としては、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等が挙げられる。
なお、光重合開始剤の含有量は、上記ウレタンプレポリマーの100重量部当たり0.01〜5重量部であることが好ましく、さらに言えば、0.1〜3重量部であることが好ましい。光重合開始剤の含有量が少なすぎると、光重合開始能力が不足し、原料の重合が速やかに行われず、好ましくない。一方、光重合開始剤の含有量が多すぎると、重合が過度に促進され、架橋密度が高くなり過ぎたり、架橋構造が不均一に形成されたりして好ましくない。
そして、上述した組成物を用いて弾性層52が軸部50の外周面に形成される。詳しくは、軸部50が、両端面において軸中心部に向かって圧力が付加された状態で保持される。なお、軸部50の寸法は、φ9mm×400mmである。そして、軸部50が、軸芯を中心に、200RPMで回転される。また、その軸部50と1mmのクリアランスを保つとともに、平行な状態でドクターブレードがセットされる。なお、ドクターブレードの幅は、20mmであり、軸部50の軸端から軸中央に向かって10mmの位置にセットされる。そして、アリル基とビニルエーテル基とアクリレート基との少なくとも1つを末端官能基として有するウレタンプレポリマー、ポリチオール、導電剤等の組成物が混合され、混合された組成物が、ドクターブレードの中央部に連続的に滴下される。この際、組成物の滴下に伴って、ドクターブレードは、軸部50と平行に、もう一方の軸端に向かって移動される。これにより、軸部50の外周面に、混合された組成物が、1mmの厚さで塗布される。なお、ドクターブレードの移動速度は、20mm/secである。そして、ドクターブレードが軸端から10mmの位置まで移動した後に、停止され、組成物の滴下も停止される。
続いて、外周面に組成物が塗布された軸部50は、UV照射機のセット治具に載置される。セット治具では、軸部50は40RPMで回転された状態で保持されており、そのセット治具と共に、軸部50が、UVランプの照射位置に向かって4m/minの速度で搬送される。なお、UVランプの照度は、照射位置において、200mJ/cmとなるように調整されている。そして、軸部50がセット治具と共に、UVランプによる照射位置まで搬送されると、照射位置において、回転した状態で、15秒間、移動を停止する。これにより、軸部50の外周面に塗布された組成物が硬化し、軸部50の外周面に、弾性層52が形成される。続いて、UVランプによるUV照射の後に、軸部50がセット治具と共に、照射位置から元の位置に、4m/minの速度で搬送される。そして、外周面に弾性層52が形成された軸部50が、セット治具から取り外される。次に、軸部50の外周面に形成された弾性層52の両端が、軸部50の端面から20mmの位置で切断される。そして、外周面に弾性層52が形成された軸部50の直径が10mmとなるように、円筒研磨機において、弾性層52の表面が研磨される。これにより、直径9mmの軸部50の外周面に、厚さ0.5mmの弾性層52が形成され、帯電ローラ14が製造される。
弾性層52の評価は、評価用シートを作成し、所定形状にサンプリングした後に行った。アリル基とビニルエーテル基とアクリレート基との少なくとも1つを末端官能基として有するウレタンプレポリマー、ポリチオール、導電剤等の組成物が混合され、混合された組成物を評価用シートの厚みが2mmとなる様にクリアランスを調整し、上下を透明なフィルムで挟んだ治具に流し込み、UVランプを照射し、組成物を硬化させ、評価用シートを作成した。
また、弾性層52の導電性を指標するものとして、JIS C 2139に基づいて体積抵抗率(LogΩ)を測定した。詳しくは、下記の条件に従って体積抵抗率(LogΩ)を測定した。
試験片;φ38mm×厚み2mmの弾性層
試験機;ADVANTEST社製 ADVANTEST8340A
主電極:φ70mm×厚み15mm 500g
対電極:60mm×300mm×厚み10mm
試験条件;印加電圧:400V
ディスチャージ時間:2sec
チャージ時間:10sec
測定環境;23℃×50%RH
なお、体積抵抗率(LogΩ)は、値が小さいほど、導電性が高いことを示しており、3(LogΩ)〜11(LogΩ)であることが好ましい。さらに言えば、3(LogΩ)〜9(LogΩ)であることが好ましい。
また、上記条件に従って測定された体積抵抗率(LogΩ)の環境変動に伴う変化を数値化するべく、28℃×80%RHの測定環境で測定された体積抵抗率(LogΩ)(以下、「体積抵抗率H」と記載する場合がある)から、10℃×20%RHの測定環境で測定された体積抵抗率(LogΩ)(以下、「体積抵抗率L」と記載する場合がある)を減じた値を、抵抗環境変動(H−L)として演算した。なお、抵抗環境変動(H−L)は、値が小さいほど、環境変動に伴う体積抵抗率(LogΩ)の変化が少ないことを示す。なお、抵抗環境変動は、2.5以下であることが好ましく、さらに言えば、1.8以下であることが好ましい。
また、弾性層52の原料の粘度、つまり、ウレタンプレポリマー、ポリチオール、導電剤等の混合された組成物の粘度(Pa・s)を、40℃の環境下でE型粘度計を用いて、JIS K 7117−2に基づく方法に準拠して測定した。弾性層52は、上述したように、軸部50の外周面に塗布されるため、粘度が低すぎると、軸部50の外周面から垂れ落ち、膜厚をコントロールすることができない。また、弾性層52が成形された後に、弾性層52の表面に波打ちが生じる場合があり、外観が悪くなる。一方、粘度が高すぎると、流動性が悪く、表面が平滑にならない。また、吐出に時間を要し、生産性が低下する。このため、粘度(Pa・s)は、10(Pa・s)〜150(Pa・s)であることが好ましい。さらに言えば、30(Pa・s)〜70(Pa・s)であることが好ましい。
また、弾性層52の硬さを指標するものとして、JIS K 6254に基づいて25%圧縮荷重(N)を測定した。詳しくは、下記の条件に従って25%圧縮荷重(N)を測定した。
試験片;φ38mm×厚み2mmの弾性層
試験機;引張試験機SHIMAZU社製 AGS−X
試験条件;初期荷重:1N
圧縮速度:1mm/min
圧縮面積:試験片全面(φ38mm)
圧縮率:元の厚み(2mm)の75%(0.5mm)まで圧縮
読取時間:0sec
測定環境;23℃×50%RH
なお、25%圧縮荷重(N)は、高すぎると、弾性層52を用いた画像形成装置10によって形成された画像に筋が入り、転写不良となる。一方、25%圧縮荷重(N)は、低すぎると、回転抵抗が高くなる、トナー付着量が多くなる等の不具合が生じる。このため、25%圧縮荷重(N)は、500(N)〜10000(N)が好ましい。さらに言えば、1000(N)〜7000(N)であることが好ましい。
また、JIS K 7204に基づいて弾性層52のテーバー摩耗(g)を測定した。詳しくは、下記の条件に従ってテーバー摩耗(g)を測定した。
試験片;φ110m×厚み2mmの弾性層
試験機;理学工業社製 テーバー摩耗試験機 砥石:H−22
試験条件;荷重:4.9N
回転速度:60RPM
研磨回数:500回
測定環境;23℃×50%RH
なお、テーバー摩耗(g)は、0.25(g)以下であることが好ましく、さらに言えば、0.1(g)以下であることが好ましい。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<粘性流体の原料および製造>
図3〜図6に示す配合の原料から、実施例1〜21の弾性層および比較例1〜5の弾性層を製造した。以下に、各原料の詳細を示す。
図3〜図6に示す各「プレポリマー」は、図7若しくは図8に示す配合(重量比)の原料を以下の方法に従って反応させることで得られる。なお、図7若しくは図8に示す配合(重量比)は、水分補正,ポリオールの水酸基化(OHV)のブレ等により、イソシアネート,封止剤の配合が調整される場合がある。
まず、1リットル容量のセパラブルフラスコに窒素を流しながら、ポリイソシアネートを図7若しくは図8に示す量入れて、触媒(ジブチルチンジラウレート(DBTDL)0.3g)を添加し、攪拌する。次に、内容物が均一になったことを確認した後に、原料温度を30℃以下にした状態で、ポリオールを攪拌しながら図7若しくは図8に示す量添加する。そして、ポリオールを全量添加した後に、1時間かけて60〜80℃になるように、ゆっくりと昇温する。目的の温度に昇温してから2時間後にイソシアネート基含有率(NCO%)をJIS Z1603−1:2007に基づく方法(ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法)に準拠して測定する。そして、イソシアネート基含有率(NCO%)が、図7若しくは図8に示す範囲内になっていることを確認し、イソシアネート基含有率(NCO%)が、各プレポリマーに応じた範囲内になっていない場合には、反応時間を延長する。
イソシアネート基含有率(NCO%)が、各プレポリマーに応じた範囲内になっていることを確認後、封止剤を図に示す量、ゆっくりと滴下し、2時間反応を行わせる。2時間経過後に、再度、上記方法に従ってイソシアネート基含有率(NCO%)を測定し、イソシアネート基含有率(NCO%)が0.1%以下になっていることを確認する。そして、イソシアネート基含有率(NCO%)が0.1%以下になっていることを条件として、図に示す各「プレポリマー」が得られる。
なお、上述のようにして得られた「プレポリマーA」の理論分子量は3757であり、「プレポリマーB」の理論分子量は3785であり、「プレポリマーC」の理論分子量は3757であり、「プレポリマーD」の理論分子量は3641であり、「プレポリマーE」の理論分子量は6899であり、「プレポリマーF」の理論分子量は3609であり、「プレポリマーG」の理論分子量は10282であり、「プレポリマーH」の理論分子量は3677であり、「プレポリマーI」の理論分子量は6899である。
・ポリオール;ポリプロピレングリコール(PPG)、商品名:アクトコールD3000(数平均分子量:3000、平均官能基数:2)、三井化学(株)製
・ポリイソシアネートa;ジシクロヘキシルメタン4,4‘−ジイソシアナート(HMDI)、商品名:VESTANT H12MDI、EVONIC製
・ポリイソシアネートb;ジイソシアン酸イソホロン(IPDI)、商品名:VESTANT IPDI、EVONIC製
・ポリイソシアネートc;トルエンジイソシアネート(2,4−TDI/2,6−TDI=80/20混合品)、商品名:コロネートT−80、東ソー(株)製
・封止剤a;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、大阪有機化学(株)製
・封止剤b;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、日本触媒(株)製
・封止剤c;ヒドロキシブチルビニルエーテル、日本カーバイド(株)製
・封止剤d;アリルアルコール、昭和電工(株)製
上述のようにして得られた各「プレポリマー」と後述するチオール若しくは、アクリルモノマーと導電剤とを図3〜6に示す配合比となるように計量し、80℃に加温した後に、混合撹拌する。そして、UVの照射により硬化し、弾性層が形成される。ただし、比較例3及び4の弾性層は、フィルム等により酸素が遮断された状態でUVが照射されることで、硬化し、形成される。なお、ポリチオール、アクリルモノマー、導電剤の配合比は、上記プレポリマーに対する重量部である。これにより、実施例1〜21の弾性層および比較例1〜5の弾性層が得られる。
・ポリチオールA;官能基数2、ブタンジオールビスチオプロピオネート、商品名:BDMP、SC有機化学(株)製
・ポリチオールB;官能基数3、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、商品名:TMMP、SC有機化学(株)製
・ポリチオールC;官能基数4、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、商品名:PTMP、SC有機化学(株)製
・ポリチオールD;官能基数6、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、商品名:DPMP、SC有機化学(株)製
・モノチオール;官能基数1、メルカプトプロピオン酸オクチル、商品名:EHMP、SC有機化学(株)製
・アクリルモノマー;メトキシトリエチレングリコールアクリレート、商品名:ライトアクリレートMTG−A、共栄社化学(株)製
・導電剤;ポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩、商品名:カチオンイン、日本油脂(株)製
<弾性層の物性評価>
上述のように製造された実施例1〜21の弾性層、および、比較例1〜5の弾性層に対して、以下の方法によって物性評価を行なった。
JIS C 2139に基づいて、弾性層の体積抵抗率(LogΩ)を測定した。その測定結果を、図3〜図6の「体積抵抗率(LogΩ)」の欄に示しておく。体積抵抗率(LogΩ)に関する評価は、体積抵抗率(LogΩ)の値が、3(LogΩ)〜9(LogΩ)の場合に「○」、9(LogΩ)〜11(LogΩ)の場合に「△」、11(LogΩ)以上の場合に「×」とした。
また、体積抵抗率Hから体積抵抗率Lを減じた値を、抵抗環境変動(H−L)として演算した。その演算結果を、図3〜図6の「抵抗環境変動」の欄に示しておく。なお、抵抗環境変動に関する評価は、抵抗環境変動が、1.8以下の場合に「○」、1.8〜2.5の場合に「△」、2.5以上の場合に「×」とした。「導電性評価」に関する評価は、体積抵抗率(LogΩ)と抵抗環境変動のいずれも「○」の場合に「○」、体積抵抗率(LogΩ)と抵抗環境変動のいずれかまたは両方に「△」を含む場合に「△」、体積抵抗率(LogΩ)と抵抗環境変動のいずれかまたは両方に「×」を含む場合に「×」とした。
また、JIS K 7204に基づいて、弾性層のテーバー摩耗(g)を測定した。その測定結果を、図3〜図6の「テーバー摩耗(g)」の欄に示しておく。「テーバー摩耗(g)」に関する評価は、テーバー摩耗(g)が、0.1(g)以下の場合に「○」、0.1(g)〜0.25(g)以下の場合に「△」、0.25(g)以上の場合に「×」とした。
また、JIS K 6254に基づいて、弾性層の25%圧縮荷重(N)を測定した。その測定結果を、図3〜図6の「25%圧縮荷重(N)」の欄に示しておく。25%圧縮荷重(N)に関する評価は、25%圧縮荷重(N)が、1000(N)〜7000(N)の場合に「○」、1000(N)〜7000(N)を除いて、500(N)〜10000(N)の場合に「△」、500(N)以下あるいは10000(N)以上の場合に「×」とした。「物性評価」に関する評価は、テーバー摩耗(g)と25%圧縮荷重(N)のいずれも「○」の場合に「○」、テーバー摩耗(g)と25%圧縮荷重(N)のいずれかまたは両方に「△」を含む場合に「△」、テーバー摩耗(g)と25%圧縮荷重(N)のいずれかまたは両方に「×」を含む場合に「×」とした。
また、実施例1〜21の弾性層、および、比較例1〜5の弾性層が形成される際にUV照射がされる前の混合原料、つまり、図3〜6に示す原料が混合攪拌され、UVが照射される前に、その混合原料の40℃における粘度(Pa・s)を、JIS K 7117−2に基づく方法に準拠して測定した。その測定結果を、図3〜図6の「粘度(Pa・s)」の欄に示しておく。なお、粘度(Pa・s)に関する評価は、粘度(Pa・s)が、30(Pa・s)〜70(Pa・s)の場合に「○」、30(Pa・s)〜70(Pa・s)を除いて、10(Pa・s)〜150(Pa・s)の場合に「△」、10(Pa・s)以下あるいは150(Pa・s)以上の場合に「×」とした。また、弾性層を成形時に成形上の問題(適切に硬化しなかったり、ブリードが有る等)が、有った場合に「有」、無かった場合に「無」とした。「成形性」に関する評価は、粘度が「○」で成形上の問題が「無」の場合に「○」、粘度が「○」で成形上の問題が「有」の場合、あるいは、粘度が「△」で、成形上の問題が「有」または「無」の場合に「△」、粘度が「×」で成形上の問題が「有」または「無」の場合に「×」とした。
そして、最後に、「成形性」、「導電性評価」、「物性評価」を総合した評価に関して、「成形性」、「導電性評価」、「物性評価」が全て「○」の場合に「◎」、「成形性」、「導電性評価」、「物性評価」のいずれかに「△」を含む場合に「○」、「成形性」、「導電性評価」、「物性評価」のいずれかに「×」を含む場合に「×」とし、図3〜図6の「総合評価」の欄に示しておく。
なお、比較例2の弾性層は、非常に硬度が低く、適切に硬化していないため、体積抵抗率(LogΩ)、テーバー摩耗(g)を測定することができなかった。
以上の評価結果から、弾性層の原料として、ポリチオールを採用することで、良好な弾性層を形成可能であることが解る。具体的には、比較例2の弾性層では、弾性層の原料として、ポリチオールの代わりにモノチオールが採用されている。比較例2の弾性層は、上述したように、25%圧縮荷重(N)つまり、硬度が低く、適切に硬化しておらず、体積抵抗率(LogΩ)、テーバー摩耗(g)を測定することができなかった。このため、弾性層の原料として、モノチオールを採用した場合には、弾性層を適切に形成することができない。
また、比較例3の弾性層では、弾性層の原料として、ポリチオールの代わりにアクリルモノマーが採用されている。比較例3の弾性層では、粘度(Pa・s)が低いため、弾性層形成時に液だれが生じる虞がある。また、粘度が低い弾性層では、膜厚をコントロールすることができない。また、粘度が低い弾性層では、表面に波打ちが生じる場合があり、外観が悪いと言った成形上の問題が有った。このため、「成形性」に関する評価は「×」となっており、「総合評価」も「×」となっている。また、比較例3及び4の弾性層では、弾性層の原料として、ポリチオールの代わりにアクリルモノマーが採用されており、比較例3及び4の弾性層では、テーバー摩耗(g)が多く、耐久性が低い。このため、「物性評価」は「×」となっており、「総合評価」も「×」となっている。さらに言えば、アクリル系の配合原料には、空気(酸素)の存在により、硬化し難いという性質があり、空気(酸素)と触れている個所では硬化不良が生じる。このため、上述したように、比較例2及び4の弾性層の形成時には、酸素を遮断した状態でUVが照射されており、余分な形成工程が必要となる。このため、弾性層の原料として、アクリルモノマーを採用することは好ましくない。
一方、実施例1乃至21の弾性層では、弾性層の原料として、ポリチオールが採用されており、粘度(Pa・s)は、31.2〜75.7(Pa・s)であり、成形上の問題は、「無」または「有」となっており、「成形性」に関する評価は「○」または「△」となっている。また、実施例1乃至21の弾性層では、テーバー摩耗(g)、25%圧縮荷重(N)は概ね良好な値であり、「物性評価」は「○」または「△」となっている。このことから、弾性層の原料として、ポリチオールを採用することで、良好な弾性層を形成可能であることが解る。
ただし、ポリチオールの添加量が多すぎたり、少なすぎると、硬化不良やブリードが生じ、成形上の問題が発生するため、ポリチオールの添加量を所定量の範囲内にする必要がある。詳しくは、比較例1の弾性層では、ポリチオールの添加量が、ウレタンプレポリマー100重量部に対して、0重量部(未添加)であり、硬化が起こらなかった。そのため、比較例1の弾性層では、「成形性」に関する評価は「×」となっている。また、実施例16の弾性層では、ポリチオールの添加量が、ウレタンプレポリマー100重量部に対して、1重量部であり、硬化が起こり難く成形上の問題が有った。そのため、実施例16の弾性層では、「成形性」に関する評価は「△」となっている。一方、実施例18の弾性層では、ポリチオールの添加量が、ウレタンプレポリマー100重量部に対して、13重量部とされている。そして、実施例18の弾性層では、問題となるレベルでは無いが若干のブリード等が生じており、「成形性」に関する評価は「△」となっている。このため、ポリチオールの添加量は、ウレタンプレポリマー100重量部に対して、2重量部〜12重量部であることが好ましい。
なお、弾性層の原料として採用するポリチオールの官能基数は2以上であればよい。詳しくは、実施例13の弾性層では、ポリチオールの官能基数は2であり、「総合評価」は「○」となっている。また、実施例14の弾性層では、ポリチオールの官能基数は6であり、「総合評価」は「◎」となっている。このため、ポリチオールの官能基数は2以上であればよいと考えられる。ただし、実施例13の弾性層では、25%圧縮荷重(N)の値が若干低く、また、テーバー摩耗(g)が若干多いため、硬度等の物性を考慮すれば、ポリチオールの官能基数は2より大きいことが好ましい場合もある。
また、弾性層の原料として、ポリチオールが採用される場合であっても、プレポリマーの重量平均分子量が多すぎると、弾性層の成形性が低下する。詳しくは、実施例21の弾性層では、理論分子量が10282のプリポリマーが採用されており、粘度(Pa・s)は、75.7(Pa・s)となっている。このように、粘度が高いと、流動性が低下し、表面が平滑になり難い。また、吐出に時間を要し、生産性が低下するおそれがある。このため、実施例21の弾性層では、「成形性」に関する評価は「△」となっている。一方、実施例11の弾性層では、理論分子量が6899のプリポリマーが採用されており、粘度(Pa・s)は、65.4(Pa・s)となっており、「成形性」に関する評価は「○」となっている。このようなことに鑑みて、プレポリマーの重量平均分子量は、10000以下であることが好ましく、さらに言えば、9000以下であり、特に8000以下であることが好ましい。
また、導電剤の添加量は、当然、少なければ、導電性は低下するため、導電剤の添加量を所定量以上にする必要がある。詳しくは、比較例5の弾性層では、導電剤の添加量が、ウレタンプレポリマー100重量部に対して、0重量部(未添加)とされている。そのため、比較例5の弾性層では、体積抵抗率(LogΩ)が高く、「導電性評価」は「×」となっている。一方、実施例19の弾性層では、導電剤の添加量が、ウレタンプレポリマー100重量部に対して、0.3重量部とされている。そのため、実施例19の弾性層では、「導電性評価」は「△」となっている。このため、導電剤の添加量は、ウレタンプレポリマー100重量部に対して、0.3重量部以上であることが好ましく、さらに言えば、0.5重量部以上であることが好ましい。
また、プレポリマーの原料として配合される封止剤は、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、アリルアルコール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルの順に、導電性が良い。また、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、アリルアルコール、アクリル酸2−ヒドロキシエチルの順に、テーバー摩耗(g)が良い。このため、プレポリマーの原料として配合される封止剤として、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、アリルアルコール等を採用することが好ましい。
また、プレポリマーの原料として採用されるポリイソシアネートは限定されない。詳しくは、実施例1〜10、13〜21の弾性層では、ポリイソシアネートとして、HMDIが採用され、実施例11の弾性層では、ポリイソシアネートとして、IPDIが採用され、実施例12の弾性層では、ポリイソシアネートとして、TDIが採用されている。そして、各実施例の「総合評価」は「◎」である。このため、プレポリマーの原料として採用されるポリイソシアネートは限定されない。

Claims (5)

  1. イソシアネートとポリオールからなるウレタンプレポリマーであってアリル基とビニルエーテル基とアクリレート基のいずれかよりなる末端官能基有するウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、導電剤とからなる組成物を用いて作成された導電性弾性ローラ用の弾性層。
  2. 前記ウレタンプレポリマーの40℃における粘度(JIS K 7117−2)が、10〜150Pa・sであることを特徴とする請求項1に記載の弾性層。
  3. ポリチオールの量が、ウレタンプレポリマー100重量部に対して2〜12重量部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の弾性層。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1つの弾性層を備えた導電性弾性ローラ。
  5. イソシアネートとポリオールからなるウレタンプレポリマーであってアリル基とビニルエーテル基とアクリレート基のいずれかよりなる末端官能基有するウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、導電剤とを混合する混合工程と、
    前記混合工程において混合された原料に光を照射する照射工程と
    を含み、光重合反応により導電性弾性ローラ用の弾性層を製造する弾性層の製造方法。
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