JP6839797B2 - 金属錯体、及び、金属錯体を用いた含窒素有機化合物の合成法 - Google Patents

金属錯体、及び、金属錯体を用いた含窒素有機化合物の合成法 Download PDF

Info

Publication number
JP6839797B2
JP6839797B2 JP2016042837A JP2016042837A JP6839797B2 JP 6839797 B2 JP6839797 B2 JP 6839797B2 JP 2016042837 A JP2016042837 A JP 2016042837A JP 2016042837 A JP2016042837 A JP 2016042837A JP 6839797 B2 JP6839797 B2 JP 6839797B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
formula
complex
carbon atoms
substituted
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016042837A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016166196A (ja
Inventor
隆則 島
隆則 島
侯 召民
召民 侯
ムラリ モハン グル
ムラリ モハン グル
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Publication of JP2016166196A publication Critical patent/JP2016166196A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6839797B2 publication Critical patent/JP6839797B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は、窒素原子を含有した金属錯体を利用した含窒素有機化合物の合成法と、当該合成法に用いる新規な金属錯体とに関する。
ニトリル等の含窒素有機化合物は、重要な工業原料である。ニトリルの合成法は、工業的には、炭化水素をアンモニアの存在下で部分酸化するアンモ酸化による方法が一般的である。
C. C. Cummins, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 940. C. C. Cummins, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 14036.
しかし、アンモ酸化は、原料であるアンモニアを製造するために高温かつ高圧の条件が必要なハーバー・ボッシュ法が使用されている。そのため、ニトリルなどの含窒素有機化合物を合成するための窒素源として、より緩和な環境下で調達可能なものを用いることが切望されている。
なお、異種二核(Nb/Mo)二窒素試薬を使用して有機ニトリドを合成する方法も報告されているが(非特許文献1および2)、高価なモリブデンを必要とするのみならず各種の特殊な試薬を用いる必要があり、プロセスが煩雑であり、官能基耐性に乏しい。そのため、より簡素なプロセスかつ広範な官能基耐性を有する含窒素有機化合物の新規な合成法が切望されている。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、比較的緩和な条件下で、かつ比較的簡素なプロセスに基づいて、含窒素有機化合物を合成する方法を提供する。
上記の課題を解決するために、本発明は以下のものを提供する。
1) ニトリル化合物を合成する方法であって、酸塩化物と、下記の式(1A)または式(1B)で示される錯体、または、当該錯体のカチオン性もしくはアニオン性の錯体とを反応させる工程を含む方法。
Figure 0006839797
(式(1A)におけるM1〜M3、および式(1B)におけるM4〜M7は、互いに独立にTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはWであり、式(1A)におけるL1〜L3、および式(1B)におけるL4〜L7は、互いに独立に、置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル誘導体を含む配位子(Cp)、ジフェニルアミン型配位子、ジフェニルホスフィン型配位子、およびカルボイミドアミド型配位子から選択される配位子である)
2) 式(1A)におけるL1〜L3、および式(1B)におけるL4〜L7は同一の配位子であって、当該配位子は以下の式(2)で示される、1)に記載の方法。
Figure 0006839797
(式(2)において、R1〜R5は互いに独立に、シクロペンタジエニル環の骨格を構成する炭素原子に結合する、水素原子;炭素数1〜20のヒドロカルビル基;或いは、炭素数1〜20のヒドロカルビル基、アミド基、ホスフィド基及び/又はアルコキシド基が置換した置換メタロイド基;を指し、※はM1〜M7との結合を表し、R1〜R5のうちの2個〜5個が上記ヒドロカルビル基又は置換メタロイド基である。また、式(2)中に示すシクロペンタジエニル環の骨格を構成する炭素原子の一つは、第14族原子(但し、炭素原子及び鉛原子は除く)又は第15族原子により置換されていてもよい。)
3) 式(2)中で、R1〜R5のすべてがメチル基であるか、R1〜R5のうちの4つがメチル基であり他の1つが炭素数1〜5のアルキル基を有するトリアルキルシリル基である、2)に記載の方法。
4) 式(1A)におけるM1〜M3、および式(1B)におけるM4〜M7は、いずれもTiである、1)〜3)のいずれかに記載の方法。
5) 上記酸塩化物がRCOClで表され、Rは、炭素数1〜20でかつ置換又は無置換の、芳香環基又は鎖状炭化水素基である、1)〜4)のいずれかに記載の方法。
6) 上記の式(1B)で示される錯体、または、当該錯体のカチオン性もしくはアニオン性の錯体。
本発明によれば、比較的緩和な条件下で、かつ比較的簡素なプロセスに基づいて、含窒素有機化合物を合成する新規な方法を提供することが出来るという効果を奏する。
参考例1において得られた錯体3のH NMRスペクトルの結果を示す図である。 参考例1に関し、(A)は、錯体3−15NのHNMRスペクトルであり、(B)の上側の図は、錯体3−15Nの15N NMRスペクトルであり、下側の図は、錯体3−15H NMRスペクトルであり、(C)は、錯体3−1515N NMRスペクトルである。 参考例1に関し、(A)は、錯体4のH NMRスペクトルであり、(B)は、錯体4−15Nの15N NMRスペクトルである。 参考例1に関し、(A)は、錯体5のH NMRスペクトルであり、(B)は、錯体5−15Nの15N NMRスペクトルであり、(C)は、錯体5−15Nの15N{H} NMR スペクトルである。 参考例2に関し、錯体4のORTEPダイアグラムを示す図である。 参考例2に関し、C中における錯体4−15NのH−NMRの結果を示す図である。 参考例2に関し、C中における錯体4−15Nの13C−NMRの結果を示す図である。 参考例2に関し、C中における4−15Nの15N−NMRの結果を示す図である。 実施例1に関し、CDCl中における4-ヨードベンゾニトリルのH−NMRの結果を示す図である。 実施例1に関し、CDCl中における4-ヨードベンゾニトリルの13C−NMRの結果を示す図である。 実施例2に関し、CDCl中における4−ヨードベンゾニトリル(有機ニトリル類6c−15N)のH−NMRの結果を示す図である。 実施例2に関し、CDCl中における有機ニトリル類6c−15Nの13C−NMRの結果を示す図である。 実施例2に関し、CDCl中における有機ニトリル類6c−15Nの15N−NMRの結果を示す図である。
〔1.ニトリル化合物の合成法〕
本発明に係るニトリル化合物の合成法は、酸塩化物と、下記の式(1A)または式(1B)で示される錯体、または、当該錯体のカチオン性もしくはアニオン性の錯体(以下、特に区別を要しない場合は「含窒素錯体」と総称する場合もある)とを反応させる工程を含む方法である。反応式は、以下の通りであり、酸塩化物(RCOCl)のRに対応したニトリル化合物(R−CN)を得ることが出来る。
Figure 0006839797
Figure 0006839797
上記したニトリル化合物の合成法に用いる「含窒素錯体」は、ハーバー・ボッシュ法等と比較して非常に緩和な条件下で、窒素分子を直接的に固定化してなるものであり、窒素原子は活性化された状態で保持している。それゆえ、この「含窒素錯体」を用いる合成法は、比較的緩和な条件下で、かつ比較的簡素なプロセスに基づいて、ニトリル化合物を合成することができる。さらに、実施例にも示すように、窒素原子として窒素同位体を取り込んだニトリル化合物の合成が容易である等の利点もある。
(1) 式(1A)または式(1B)で示される錯体
上記式(1A)において、M1〜M3は、互いに独立にTi(チタン原子)、Zr(ジルコニウム原子)、Hf(ハフニウム原子)、V(バナジウム原子)、Nb(ニオブ原子)、Ta(タンタル原子)、Cr(クロム原子)、Mo(モリブデン原子)またはW(タングステン原子)であり、好ましくは互いに独立にTi、Zr、またはHfである。M1〜M3は好ましくは全てが同一の原子であり、M1〜M3はより好ましくは全てがTiである。同様に、式(1B)における、M4〜M7は、互いに独立にTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはWであり、好ましくは互いに独立にTi、Zr、またはHfである。M4〜M7は好ましくは全てが同一の原子であり、M4〜M7はより好ましくは全てがTiである。Tiを用いることにより、コスト面及び反応性により一層優れた錯体を提供することができる。
上記式(1A)において、L1〜L3は、互いに独立に、置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル誘導体を含む配位子(「Cp配位子」と称する)、ジフェニルアミン型配位子、ジフェニルホスフィン型配位子、およびカルボイミドアミド型配位子から選択される配位子である。L1〜L3は好ましくは全てが同一の配位子であり、L1〜L3はより好ましくは全てが同一のCp配位子である。同様に、上記式(1B)において、L4〜L7は、互いに独立に、置換もしくは無置換のCp配位子、ジフェニルアミン型配位子、ジフェニルホスフィン型配位子、およびカルボイミドアミド型配位子から選択される配位子である。L4〜L7は好ましくは全てが同一の配位子であり、L4〜L7はより好ましくは全てが同一のCp配位子である。
本発明において、上記Cp配位子は、中心金属Mにπ結合している。Cp配位子は、例えば非架橋型配位子である。ここで、非架橋型配位子とは、シクロペンタジエニル誘導体が中心金属にπ結合して、シクロペンタジエニル誘導体以外の配位原子または配位基を有していない配位子を意味する。また、Cp配位子は、例えば架橋型配位子である。ここで架橋型配位子とは、シクロペンタジエニル誘導体に加えて、さらに配位原子または配位基を有している配位子を意味する。Cp配位子は、好ましくは非架橋型配位子である。
Cp配位子に含まれる置換または無置換のシクロペンタジエニル誘導体とは、置換又は無置換のシクロペンタジエニル環、置換又は無置換のフルオレニル環、置換又は無置換のオクタヒドロフルオレニル環、置換または無置換のインデニル環、及び、置換又は無置換のテトラヒドロインデニル環からなる群より選択される何れかである。中でも、最も好ましいシクロペンタジエニル誘導体は、置換基を有するシクロペンタジエニル環である。
シクロペンタジエニル環は、組成式:C5−Xで表される。ここでXは0〜5の整数を表す。Rはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基;置換ヒドロカルビル基;或いは、ヒドロカルビル基、アミド基、ホスフィド基及び/又はアルコキシド基が置換した置換メタロイド基;を示す。なお、上記組成式におけるCの一つは、第14族原子(但し、炭素原子及び鉛原子は除く)又は第15族原子により置換されていてもよい。
上記ヒドロカルビル基は、好ましくは炭素数1〜20のヒドロカルビル基であるが、より好ましくは炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基、フェニル基、ベンジル基などであり、最も好ましくはメチル基である。
また、置換基を有するヒドロカルビル基(上記置換ヒドロカルビル基)としては、例えば、ヒドロカルビル基の少なくとも1の水素原子が、ハロゲン原子、アミド基、ホスフィド基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基などで置換されたヒドロカルビル基が挙げられる。
また、置換メタロイド基におけるメタロイドは、例えば、ゲルミル(Ge)、スタニル(Sn)、シリル(Si)などが挙げられる。また、メタロイド基に置換した置換基の置換数は、メタロイドの種類によって決定される(例えばシリル基の場合は、ヒドロカルビル基(置換基)の置換数は3である)。なお、置換メタロイド基における置換基としてのヒドロカルビル基の炭素数は好ましくは1〜20である。
なお、好ましくは、シクロペンタジエニル環のRの少なくとも一つが、ヒドロカルビル基が置換した置換メタロイド基(好ましくはシリル基)であり、より好ましくはトリメチルシリル基である。
好ましいシクロペンタジエニル環としては、以下の式(2)で表されるものが例示される。
Figure 0006839797
式(2)において、R1〜R5は互いに独立に、シクロペンタジエニル環の骨格を構成する炭素原子に結合する、水素原子;炭素数1〜20のヒドロカルビル基;或いは、炭素数1〜20のヒドロカルビル基、アミド基、ホスフィド基及び/又はアルコキシド基が置換した置換メタロイド基;を指し、※は式(1A)中に示すM1〜M3との結合あるいは式(1B)中に示すM4〜M7との結合を表し、R1〜R5のうちの2個〜5個が上記ヒドロカルビル基又は置換メタロイド基である。また、式(2)中に示すシクロペンタジエニル環の骨格を構成する炭素原子の一つは、第14族原子(但し、炭素原子及び鉛原子は除く)又は第15族原子により置換されていてもよい。なお、式(1A)におけるL1〜L3、或いは、式(1B)におけるL4〜L7は、上記式(2)に示した同一の配位子であることが好ましい。
上記式(2)で表されるシクロペンタジエニル環として、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 0006839797
上記の式(3−1)、(3−2)、(3−5)において、Rは互いに独立に、炭素数1〜20のヒドロカルビル基、アミド基、ホスフィド基及び/又はアルコキシド基が置換した置換メタロイド基(好ましくは炭素数1〜20のヒドロカルビル基が置換した置換メタロイド基)を指す。このメタロイド基は、より具体的には例えば、以下の式(4)中の何れかに示すものが挙げられる。なお、式(4)中のR’は、互いに独立に炭素数1〜8のヒドロカルビル基を指し、好ましくは炭素数1〜6のヒドロカルビル基であり、より好ましくは炭素数1〜4のヒドロカルビル基(好ましくは鎖状アルキル基)を指す。
Figure 0006839797
上記の式(3−5)において、Eは、N(窒素原子)又はP(リン原子)を指す。
また、上記の式(3−6)において、Rは互いに独立に、炭素数1〜20のヒドロカルビル基(好ましくは、炭素数1〜6の鎖状アルキル基);或いは、炭素数1〜20のヒドロカルビル基、アミド基、ホスフィド基及び/又はアルコキシド基が置換した置換メタロイド基(好ましくは炭素数1〜20のヒドロカルビル基が置換した置換メタロイド基);を指す。このメタロイド基の例示は、たとえは、上記の式(4)の何れかに示すものが挙げられる。さらに、上記の式(3−6)において、nは1以上5以下の整数を指し、Eは、N(窒素原子)P(リン原子)、As(ヒ素原子)等のヘテロ原子を指し、N又はPであることが好ましい。
また、上記式(2)で表されるシクロペンタジエニル環として、より好ましくは、式(2)中で、R1〜R5のすべてがメチル基であるか(式(3−8)相当)、R1〜R5のうちの4つがメチル基であり他の1つが炭素数1〜6のアルキル基を有するトリアルキルシリル基であるもの(式(3−1)相当)が挙げられる。
Cp配位子としての、置換又は無置換のフルオレニル環は、組成式:C139−X(Xは0〜9の整数を示し、Rは炭素数1〜20の置換基を有してもよいヒドロカルビル基または置換メタロイド基を示し、上記したシクロペンタジエニル環:C5−XのRと同様のものである)で表される。また、Cp配位子としての、置換又は無置換のオクタヒドロフルオレニル環としては、例えば組成式:C1317−X(Xは0〜17の整数を示し、Rは炭素数1〜20の置換基を有してもよいヒドロカルビル基または置換メタロイド基を示し、上記したシクロペンタジエニル環:C5−XのRと同様のものである)で表される。
好ましいフルオレニル環としては、以下の式で表されるものが例示される。
Figure 0006839797
上記の式(5−1)〜(5−2)において、Rは互いに独立に、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜6のヒドロカルビル基又は置換メタロイド基を指す。このメタロイド基は、より具体的には例えば、上記の式(4)中の何れかに示すものが挙げられる。式(5−3)〜(5−4)は、式(5−1)〜(5−2)で表される化合物の具体例に相当する。
Cp配位子は、置換又は無置換のインデニル環(組成式:C7−X:Xは0〜7の整数)またはテトラヒドロインデニル環(組成式:C11−X:Xは0〜11の整数)などでもよい。ここでRは前記したシクロペンタジエニル環のRと同様である。
好ましいインデニル環としては、以下の式(6)で表されるものが例示される。
Figure 0006839797
上記の式(6)において、Rは互いに独立に、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜6のヒドロカルビル基又は置換メタロイド基を指す。このメタロイド基は、より具体的には例えば、上記の式(4)中の何れかに示すものが挙げられる。
本発明において、上記ジフェニルアミン型配位子とは、窒素原子にフェニル基が二つ結合したジフェニルアミン骨格(−N(Ph)2)を有する配位子を指す。なお、フェニル基上の任意の水素原子は、例えば、炭素数1〜20のヒドロカルビル基、炭素数1〜20のヒドロカルビル基が置換したメタロイド基、−PR2基、−SR基、−OR基等の置換基で置換されていてもよい。ここで、−PR2基、−SR基、−OR基におけるRは、互いに独立に、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜6のヒドロカルビル基又は当該ヒドロカルビル基が置換したメタロイド基を指す。なお、−PR2基に含まれる2つのR同士は同じであることが好ましい。
好ましいジフェニルアミン型配位子としては、以下の式(7)で表されるものが例示される。
Figure 0006839797
上記の式(7)において、Rは互いに独立に、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜6のヒドロカルビル基又は置換メタロイド基を指す。このメタロイド基は、より具体的には例えば、上記の式(4)中の何れかに示すものが挙げられる。なお、Rがヒドロカルビル基の場合、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。また、式(7)において、4つのRは同一の基であることが好ましい。
本発明において、上記ジフェニルホスフィン型配位子とは、リン原子にフェニル基が二つ結合したジフェニルホスフィン骨格(−P(Ph)2)を有する配位子を指す。なお、フェニル基上の任意の水素原子は、例えば、炭素数1〜20のヒドロカルビル基、炭素数1〜20のヒドロカルビル基が置換したメタロイド基、−SR基、−OR基等の置換基で置換されていてもよい。ここで、−SR基、−OR基におけるRは、互いに独立に、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜6のヒドロカルビル基又は当該ヒドロカルビル基が置換したメタロイド基を指す。
好ましいジフェニルホスフィン型配位子としては、以下の式(8)で表されるものが例示される。
Figure 0006839797
上記の式(8)において、Rは互いに独立に、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜6のヒドロカルビル基又は置換メタロイド基を指す。このメタロイド基は、より具体的には例えば、上記の式(4)中の何れかに示すものが挙げられる。なお、Rがヒドロカルビル基の場合、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。また、式(8)において、2つのRは同一の基であることが好ましい。
本発明において、上記カルボイミドアミド型配位子とは、以下の式(9)に示す構造(−N=C−NH−構造)を有する配位子を指す。
Figure 0006839797
式(9)において、Rは互いに独立に任意の基をとり得るが、好ましいカルボイミドアミド型配位子としては、Rは互いに独立に、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜6のヒドロカルビル基又は置換メタロイド基を指す。このメタロイド基は、より具体的には例えば、上記の式(4)中の何れかに示すものが挙げられる。なお、Rがヒドロカルビル基の場合、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。より具体的には、上記カルボイミドアミド型配位子として、N1、N1-ジフェニルベンゼンカルボイミドアミド等が挙げられる。
なお、式(1A)で示される錯体、及び、式(1B)で示される錯体は何れも、中性の錯体だけでなく、当該中性の錯体から得られるカチオン性の錯体またはアニオン性の錯体となっていてもよい。
式(1A)で示される錯体、及び、式(1B)で示される錯体は何れも、含有する複数の窒素原子の一部又は全部を同位体(例えば15N)に置き換えたものを容易に製造可能である(後述の参考例や実施例の記載も参照のこと)。
(2) 式(1A)または式(1B)で示される錯体の製造方法
式(1A)で示される錯体の製法は特に限定されないが、例えば、本願発明者らによる出願である国際公開WO2014/080939に記載の方法に従って製造することが出来る。また、後述の参考例や実施例の記載も参照できる。
式(1B)で示される錯体の製法は特に限定されないが、例えば、式(10)に示す化合物と窒素分子とを接触させることによって式(11)に示す化合物を得、さらに、式(11)に示す化合物と酸素分子とを接触させる(酸化する)ことによって製造できる。式(1B)で示される錯体の製法の他の例は、例えば、後述する参考例1〜2の記載も参照して適宜行うことができる。なお、式(10)に示す化合物は、国際公開WO2014/080939に記載の方法に従って製造することが出来る。
Figure 0006839797
なお、式(10)〜(11)におけるM4〜M7は、式(1B)中のM4〜M7と同じであり、式(10)〜(11)中におけるL4〜L7は、式(1B)中のL4〜L7と同じである。
式(10)に示す化合物と窒素分子との接触は、例えば、式(10)に示す化合物を溶解可能な溶媒中か溶媒を用いずに行うことが出来る。溶媒の種類は、式(10)に示す化合物の種類に応じて選択すればよいが、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、及び、これらの2種以上を混合した混合溶媒等が挙げられる。また、接触時の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば室温を超え200℃以下の範囲内であり、好ましくは100℃〜180℃の範囲内である。また、溶媒を用いる場合、溶媒内への窒素分子の供給量を増やす目的では、窒素分子(窒素含有ガス)は加圧気体として供給することが好ましい。一例では、窒素分子は、常圧を超え5気圧(atm)以下に加圧した状態で供給される。
式(10)に示す化合物と窒素分子との接触時間(反応時間)は特に限定されないが、一例では、4時間〜50時間の範囲内であり、好ましくは24時間〜48時間の範囲内である。また、接触に供される、式(10)に示す化合物と窒素分子とのモル比はその反応等量を考慮して供給すればよく、特に限定されない。
式(11)に示す化合物と酸素分子との接触は、例えば、式(11)に示す化合物を溶解可能な溶媒中で行うことが出来る。溶媒の種類は、式(11)に示す化合物の種類に応じて選択すればよいが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、及び、これらの2種以上を混合した混合溶媒等が挙げられる。また、接触時の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば0℃以上で50℃以下の範囲内であり、好ましくは10℃〜30℃の範囲内である。また、溶媒を用いる場合、溶媒内への酸素分子の供給量を増やす目的では、酸素分子(酸素含有ガス)は加圧気体として供給することが好ましい。一例では、酸素分子は、常圧を超え5気圧(atm)以下に加圧した状態で供給される。
式(11)に示す化合物と酸素分子との接触時間(反応時間)は特に限定されないが、一例では、0.5時間〜10時間の範囲内であり、好ましくは1時間〜8時間の範囲内である。また、接触に供される、式(11)に示す化合物と酸素分子とのモル比はその反応等量を考慮して供給すればよく、特に限定されない。
なお、式(1A)または式(1B)で示される錯体のカチオン性の錯体は、例えば、中性の錯体と、[Ph3C][B(C6F5)4]、B(C6F5)3またはメチルアルミノキサン(MAO)などの助触媒と、から製造することができる。さらに、式(1A)または式(1B)で示される錯体のアニオン性の錯体は、例えば、中性の錯体に、Me3SiCH2LiなどのR-Li(有機リチウム化合物)とH2との組合せ;RMgBrなどのグリニア試薬とH2との組合せ;NaHまたはKHとH2との組合せ;の何れかを加える方法から製造することができる。なお、ここで、Rは、例えば、アルキル基、その他の炭化水素基を指す。また、上記組合せを構成する各要素を、中性の錯体に加える順番等は特に限定されない。
(2) 酸塩化物
酸塩化物は、RCOCl(カルボン酸塩化物)で表される化合物の総称である。ここで、Rは任意の基または原子を指し、例えば、水素原子、置換基を有していてもよい芳香環基(芳香環から水素が脱離したもの)、又は置換基を有していてもよい非芳香環基を表す。Rは、置換又は無置換の、芳香環基又は鎖状炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜20の、置換又は無置換の、芳香環基又は鎖状炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1〜10の、置換又は無置換の、芳香環基又は鎖状炭化水素基であることがさらに好ましい。
Rとしての芳香環基の骨格構造は特に限定されないが、例えば、5員環単環としてフラン環、チオフェン環、ピロール環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、6員環単環としてベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、5又は6員環の縮合環としてナフタレン環、フェナンスレン環、アズレン環、ピレン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾフラン環、カルバゾール環、ジベンゾチオフェン環、アントラセン環等が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10の単環か縮合環が好適である。
Rとしての芳香環基が置換基を有する場合、当該置換基は特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の鎖状アルキル基(炭素数5以下のものが好ましい);鎖状アルケニル基(炭素数5以下のものが好ましい);鎖状アルキニル基(炭素数5以下のものが好ましい);炭化水素環基(炭素数5以下のものが好ましい);複素環基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メチルカルボニル基、エチルカルボニル基等のアルキルカルボニル基;(ヘテロ)アリールオキシ基;(ヘテロ)アラルキルオキシ基;アルキルチオ基;アリールチオ基;アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;、或いは、置換基を有していてもよいアミノ基;ニトロ基;シアノ基;エステル基;置換基を有していてもよいカルバモイル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;水酸基;等が挙げられる。
Rとしての非芳香環基とは、芳香環基以外の基を意図しており、具体的には例えば、鎖状アルキル基、鎖状アルケニル基、鎖状アルキニル基等の鎖状炭化水素基;炭化水素環基(芳香環基を除く);複素環基(芳香族複素環基を除く);等が挙げられ、中でも、置換又は無置換の鎖状炭化水素基であることが好ましい。
Rとしての鎖状アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等の、炭素数が20以下、好ましくは10以下の直鎖又は分岐状のものが挙げられる。置換基を有する鎖状アルキル基の例としては、特に限定されないが、ベンジル基等が挙げられる。
Rとしての鎖状アルケニル基の例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等の、炭素数が20以下、好ましくは10以下の直鎖又は分岐状のものが挙げられる。置換基を有する鎖状アルケニル基の例としては、特に限定されないが、スチリル基等が挙げられる。
Rとしての鎖状アルキニル基の例としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2−メチル−1−プロピニル基、ヘキシニル基、オクチニル基等の、炭素数が20以下、好ましくは10以下の直鎖又は分岐状のものが挙げられる。
Rとしての炭化水素環基(芳香環基を除く)の例としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、テトラデカヒドロアントラニル基等の、炭素数が3以上、好ましくは5以上であり、かつ、炭素数が20以下、好ましくは10以下のシクロアルキル基等が挙げられる。
Rとしての複素環基(芳香族複素環基を除く)の例としては、5〜6員環の単環又は5〜6員環が2〜6個縮合してなる縮合環からなるヘテロシクロアルキル基が挙げられ、ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
Rとしての非芳香環基が置換基を有する場合、当該置換基は特に限定されないが、例えば、芳香環基(Rとしての芳香環基と同じ種類が挙げられる);芳香環基を除く炭化水素環基(Rとしての炭化水素環基と同じ種類が挙げられる);複素環基(Rとしての複素環基と同じ種類が挙げられる);置換基を有していてもよいアミノ基;ニトロ基;シアノ基;エステル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;水酸基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メチルカルボニル基、エチルカルボニル基等のアルキルカルボニル基;(ヘテロ)アリールオキシ基;(ヘテロ)アラルキルオキシ基;アルキルチオ基;アリールチオ基;アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。なお、芳香環基、芳香環基を除く炭化水素環基、複素環基は何れも、Rとしての複素環基、炭化水素環基、複素環基と同じ種類が挙げられる。
(3) 反応条件
酸塩化物と、式(1A)または式(1B)で示される錯体、または、当該錯体のカチオン性もしくはアニオン性の錯体(以下、特に区別を要しない場合は「含窒素錯体」と総称する場合もある)とを反応させる反応条件は、反応が進行する限りにおいて特に限定されない。
この反応は、例えば、「含窒素錯体」と酸塩化物とを溶解可能な溶媒中で行う。溶媒の種類は、「含窒素錯体」及び酸塩化物の種類に応じて選択すればよいが、例えば、「含窒素錯体」が式(1A)で示される錯体、または、当該錯体のカチオン性もしくはアニオン性の錯体である場合は、トルエン、ベンゼン、キシレン、及び、これらの2種以上を混合した混合溶媒等が挙げられる。「含窒素錯体」が式(1B)で示される錯体、または、当該錯体のカチオン性もしくはアニオン性の錯体である場合は、ベンゼン、ベンゼン、キシレン、及び、これらの2種以上を混合した混合溶媒等が挙げられる。また、反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば0℃以上で100℃以下の範囲内であり、好ましくは18℃〜80℃の範囲内である。反応時間は特に限定されないが、一例では、4時間〜50時間の範囲内であり、好ましくは4時間〜30時間の範囲内である。また、「含窒素錯体」と酸塩化物とのモル比はその反応等量を考慮して供給すればよく、特に限定されないが、例えば、1:10〜1:1の範囲内であり、好ましくは1:8〜1:5の範囲内である。
必要に応じて、反応生成物から、生成したニトリル化合物を精製してもよい。ニトリル化合物の精製法は、ニトリル化合物の種類や用いた溶媒の種類に応じて適宜選択すればよい。
[参考例1 チタンポリヒドリドによる窒素分子の活性化]
スキーム1
Figure 0006839797
(1)スキーム1の方法について
すべての反応を、シュレンク法を用い、酸素を含まない乾燥したアルゴン雰囲気のもとで実施したか、またはMbraunグローブボックス中において、窒素雰囲気もしくはアルゴン雰囲気のもとで、実施した。ここで用いたアルゴンは、Drycleanカラム(4Aモレキュラーシーブス、Nikka Seiko Co.)およびGasclean GC-XRカラム(Nikka Seiko Co.)に通すことによって精製したものである。グローブボックスにおける窒素およびアルゴンを、銅/モレキュラーシーブス触媒ユニットを介して、常に循環させた。グローブボックス内の酸素および水分の濃度を、O2/H2O Combi-Analyzer(Mbraun)によってモニターして、いずれも常に1ppm未満に維持した。NMRスペクトル測定のためのサンプルを、シュレンク法を用いることによってか、またはJヤングバルブ付NMR管を使用してグローブボックスにおいて、調製した。H、13Cおよび15N(参照はMeNO)のNMRスペクトルを、JEOL-ECS400スペクトロメータまたはBruker-AVANCE500 スペクトロメータによって記録した。元素分析を、MICRO CORDER JM10によって実施した。無水のTHF、ヘキサン、ベンゼン、EtO(エタノール)およびトルエンを、SPS-800溶媒精製システム(Mbraun)を使用して精製し、グローブボックスにおいて新しいNaチップに通して乾燥させた。
(2) 錯体1および錯体2の合成
[(C5Me4SiMe3)Ti(CH2SiMe3)3](錯体1)および[(C5Me4SiMe3)4Ti43-NH)2(μ-H)4](錯体2)は、参考文献(Shima, T. et al. Science 2013, 340, 1549.)に従って合成した。なお、上記スキーム1中に示すCp’は全て、C5Me4SiMe3を指している。また、以下の参考例および実施例においても特に言及の無い限り、Cp’はC5Me4SiMe3を指している。
(3) [(C5Me4SiMe3)4Ti43-NH)23-N)2](錯体3)の合成
方法a)10mLのステンレスオートクレーブ(TAIATSU TECHNO(登録商標))を、錯体2(10mg、0.010mmol)およびN(1atm)で満たした。オートクレーブを180℃で2日間熱した。反応後、結果として得られた暗青色の固体(10mg)をCに溶解したが、HNMRスペクトロメトリーにおいて錯体3のシグナル(95%NMR)、および常磁性種のシグナル(5%NMR)を示した。
方法b)10mLのステンレスオートクレーブ(TAIATSU TECHNO(登録商標))に収容した、錯体2(24mg、0.024mmol)のトルエン溶液(2.0mL)に、10atmのNを充填した。溶液を130℃で2日間攪拌した。溶液の色は紫褐色から暗青色に変化した。反応後、溶液をエバポレートし、残存物を−33℃においてヘキサン中で結晶化し、錯体3(〜95%、NMR)および常磁性種(〜5%、NMR)を含む暗青色の固体(21mg、0.021mmol、88%)を得た。
方法c)Jヤングバルブ付NMRサンプル管を、錯体4(3.5mg、0.0035mmol)およびN(1atm)で満たした。この管を180℃で2日間熱した。反応後、結果として得られた暗青色の固体をCに溶解し、HNMRスペクトロメトリーにおいて定量的な錯体3のシグナルを示した。なお、錯体4の製法については後述する。
方法d)10mLのHiper Glass Cylinder (TAIATSU TECHNO(登録商標))に収容した、[(C5Me4SiMe3)3Ti3(μ-NH)33-N)](63.4mg、0.081mmol)および錯体1(118mg、0.235mmol)のヘキサン溶液(2.5mL)に、H(5atm)を充填した。混合物を60℃で1日攪拌した。結果として得られた溶液を室温に冷やし、2時間置くことで錯体3の1次結晶を得た(23.5mg、収率28%)。残りの溶液は減圧下で容積が半分になるまで濃縮し、−33℃で保存し、錯体3の2次結晶を暗青色の微細結晶として得た(2次結晶は32.1mg、収率39%;全部で55.6mg、収率67%)。X線回折に適した単結晶は、室温下で、濃縮された錯体3のベンゼン溶液から得た。なお、図1は、錯体3のH NMRスペクトルの結果(400MHz、♯C、TMS、*は常磁性種)である。
錯体3: 1H NMR (C6D6,室温): 17.32 (brs, 2H, NH), 3.03 (s, 12H, C5Me4SiMe3), 2.69 (s, 12H, C5Me4SiMe3), 2.17 (s, 12H, C5Me4SiMe3), 2.09 (s, 12H, C5Me4SiMe3), 0.48 (s, 18H, C5Me4SiMe3), 0.42 (s, 18H, C5Me4SiMe3). 13C NMR (C6D6,室温): 124.8, 123.9, 121.1, 119.7 (s, C5Me4SiMe3), 110.9, 108.4 (s, ipso-C5Me4SiMe3), 18.5, 17.7, 14.9 (s, C5Me4SiMe3), 3.7, 3.6 (s, C5Me4SiMe3). Calcd for C48H86N4Si4Ti4・C6H14: C, 58.47; H, 9.09; N, 5.05. Found: C, 58.27; H, 8.72; N, 5.12.。
(4) [(C5Me4SiMe3)4Ti43-15NH)(μ3-NH)(μ3-15N)(μ3-N)](錯体3−15N)の合成
固体状の錯体2(7mg、0.007mmol)と15(1atm)とを180℃で2日間反応させることで、錯体3の有する窒素原子が部分的に15Nである化合物[(C5Me4SiMe3)4Ti43-15NH)(μ3-NH)(μ3-15N)(μ3-N)](錯体3−15N)を得た(収率94%。NMR)。同様の反応条件下で、錯体2−15NとN(10atm)とを反応させることによっても錯体3−15Nを得ることができる。なお、錯体2−15Nとは、錯体2の有する窒素原子の全てが15Nであるものを指し、参考文献(Shima, T. et al. Science 2013, 340, 1549.)に従い、窒素分子として15N分子を用いて製造した。
錯体3の有する窒素原子が全て15Nである化合物[(C5Me4SiMe3)4Ti43-15NH)23-15N)2](錯体3−15)を、錯体2−15Nと15とを反応させることにより得た(上述の方法b)を参照)。または、上述の方法d)に記載の手順に従った、[(C5Me4SiMe3)3Ti3(μ-15NH)33-15N)]および錯体1のHによる水素化(収率50%)により得た。NMRのデータ等は図2にまとめて示す。図2中の(A)は、錯体3−15NのHNMRスペクトル(400 MHz, C6D6,室温)であり、図2中の(B)の上側の図は、錯体3−15Nの15N NMRスペクトル(40.5 MHz, toluene-d8, MeNO2, rt)であり、下側の図は、錯体3−15H NMRスペクトル(400 MHz, C6D6, rt)である。図2中の(C)は、上述の方法b)で錯体3−15を製造した場合の、錯体3−1515N NMRスペクトル(40.5 MHz, toluene-d8, MeNO2, rt, *は錯体2−15N)である。
(5) [(C5Me4SiMe3)4Ti43-N)2(μ-H)4](錯体4)の合成
グローブボックスにおいて、Jヤングバルブ付NMR管を、錯体2(4.5mg, 0.0045mmol)、C(0.5mL)、およびTHF−d(0.05mL)で満たした。サンプルを130℃で1日熱し、定量的に錯体4を得ることができ、HNMRにより確認した。反応後、溶液を真空中でエバポレートし、残存した固体を−33℃のヘキサン中で結晶化し、錯体4(4.0mg,0.0040mmol,89%)を暗緑色の固体として得た。錯体4の有する窒素原子が全て15Nである化合物[(C5Me4SiMe3)4Ti43-15N)2(μ-H)4](錯体4−15N)(収率33%)を、上記と同じ方法により錯体[(C5Me4SiMe3)4Ti43-15NH)2(μ-H)4](錯体2−15N)から得た。図3中の(A)は、錯体4のH NMRスペクトル(400 MHz、♯はC6D6,TMS、室温)を示す。図3中の(B)は、錯体4−15Nの15N NMRスペクトル(40.5 MHz, C6D6, MeNO2,室温, *は錯体2−15N)を示す。
錯体4: 1H NMR (C6D6,室温): 2.65 (s, 12H, C5Me4SiMe3), 2.04 (s, 12H, C5Me4SiMe3), 2.02 (s, 12H, C5Me4SiMe3),1.82 (s, 12H, C5Me4SiMe3), 0.26 (s, 18H, C5Me4SiMe3), 0.10 (s, 18H, C5Me4SiMe3), -7.90 (s, 4H, μ-H). 13C NMR (C6D6,室温): 133.4 (s, C5Me4SiMe3), 129.7 (s, C5Me4SiMe3), 125.5 (s, C5Me4SiMe3), 124.8 (s, C5Me4SiMe3), 119.1 (s, ipso-C5Me4SiMe3), 116.6 (s, ipso-C5Me4SiMe3), 16.7 (s, C5Me4SiMe3), 16.5 (s, C5Me4SiMe3), 14.0 (s, C5Me4SiMe3), 13.9 (s, C5Me4SiMe3), 2.8 (s, C5Me4SiMe3), 2.6 (s, C5Me4SiMe3).
錯体4−15N: 15N NMR (C6D6,室温): δ 437.0 (s, μ3-N). C48H88N2Si4Ti4: C, 57.82; H, 8.90; N, 2.81. Found: C, 58.40; H, 8.60; N, 3.05.。
(6) C中における錯体4とHとの反応
Jヤングバルブ付NMRサンプル管を、0.5mLのCおよび錯体4(5.0mg,0.0050mmol)で満たした。溶液を凍結し、脱気をした後に、1atmのHを加えた。この溶液を80℃に保ち、反応をHNMRで観察した。1日後、錯体4は定量的に錯体2に変換された。
(7) [(C5Me4SiMe3)4Ti43-NH)4](錯体5)の合成
50mLのステンレスオートクレーブ(TAIATSU TECHNO(登録商標))に収容した、錯体3(19mg,0.019mmol。9%の常磁性種を含む)のキシレン溶液(5.0mL)に、10atmのHを充填した。溶液を180℃で3日間攪拌した。溶液の色は暗青色から暗褐色に変化した。真空中で溶媒を溜去した後、結果として得られた暗褐色の固体(19mg)は、73%の錯体5(錯体3から80%変換)、18%の錯体3、および9%の常磁性種を含んでいた(NMRに基づく)。NMR測定の後、溶液をエバポレートし、残存物を−33℃のヘキサン中で結晶化し、70%の錯体5、20%の錯体3、および10%の常磁性種を含む(NMRに基づく)、16.5mgの褐色の固体を得た。
高H分圧:100mLのステンレスオートクレーブ(TAIATSU TECHNO(登録商標))に収容した、錯体3(10mg, 0.010 mmol。6%の常磁性種を含む)のキシレン溶液に、70atmのHを充填した。溶液を180℃で3日間攪拌した。溶液の色は暗青色から暗褐色に変化した。真空中で溶媒を溜去した後、結果として得られた暗褐色の固体(10mg)は、87%の錯体5(錯体3から92%変換)、8%の錯体3、および5%の常磁性種を含む(NMRに基づく)。X線回折に適した錯体5の単結晶は、室温のベンゼン中における再結晶により得た。錯体3−15(19mg, 0.019mmol)のキシレン溶液(2.0mL)とH(20atm)とを180℃で5日間反応させることで、錯体5の有する窒素原子が部分的に15Nである錯体[(C5Me4SiMe3)4Ti43-15NH)23-NH)2](錯体5−15N)を得た(86%変換。NMRによる)。図4中の(A)は、錯体5のH NMRスペクトル(400MHz, C,室温)を表す。図4中の(B)は、錯体5−15Nの15N NMRスペクトル(40.5 MHz, C6D6, MeNO2,室温)を表す。図4中の(C)は、錯体5−15Nの15N{H} NMR スペクトルを表す(40.5 MHz, C6D6,デカップリングなし, MeNO2,室温)。
錯体5:1H NMR (C6D6,室温): 11.06 (s, 4H, μ3-NH), 2.26 (s, 24H, C5Me4SiMe3), 1.95 (s, 24H, C5Me4SiMe3), 0.44 (s, 36H, C5Me4SiMe3). 13C NMR (C6D6,室温): 122.4 (s, C5Me4SiMe3), 119.6 (s, C5Me4SiMe3), 109.7 (s, ipso-C5Me4SiMe3), 16.1 (s, C5Me4SiMe3), 12.9 (s, C5Me4SiMe3), 2.8 (s, C5Me4SiMe3). Calcd for C48H88N4Si4Ti4: C, 56.24; H, 8.65; N, 5.47. Found: C, 56.57; H, 8.31; N, 5.00.
錯体5-15N: 1H NMR (C6D6,室温): 11.06 (s, 2H, μ3-NH), 11.06 (d, JNH = 68.0 Hz, 2H, μ3-15NH). 15N NMR (C6D6,室温): δ -12.6 (d, JNH= 68.0 Hz, μ3-NH).
(8) 高温下における、錯体5および錯体3の可逆反応
グローブボックス中において、Jヤングシュレンク管を、錯体5(78%)、錯体3(11%)および副生成物(11%)の混合物(18mg)と、キシレン(5mL)とで満たした。得られた溶液を180℃で5日間熱し、HNMRスペクトル解析において、錯体5(22%)、錯体3(64%)および副生成物(14%)の混合物を確認した。
[参考例2 4核チタン錯体の酸化]
スキーム2
Figure 0006839797
(1) 四核チタン錯体である錯体3の、酸素による酸化のための包括的手順
錯体3(102mg, 0.1mmol)のベンゼン溶液(5mL)を10mLのシュレンク管に入れ、1atmの酸素で満たし、室温で1時間攪拌した。溶液の色は暗紫色から緑色に変化した。溶液を減圧下でエバポレートし、緑色の残存物を得た。残存物を冷ヘキサンで洗浄し、ベンゼン中で再結晶し、錯体4の緑色の結晶(62%,63.2mg,0.062mmol)を得た。15Nで標識されたチタン錯体である錯体3−15Nの酸化は同一の条件で実施され、錯体4−15Nを得た(60%)。
(2) 錯体3の、p−ベンゾキノンによる酸化のための包括的手順
錯体3(102mg,0.1mmol,1等量)のベンゼン溶液(4mL)を20mLの丸底フラスコに入れ、p−ベンゾキノン(10.8mg,0.1mmol,1等量)のベンゼン溶液(1mL)を徐々に加えた。溶液の色は5分以内に紫色から暗緑色に変化した。溶液を真空中でエバポレートし、残存物を冷ヘキサンで洗浄した。錯体4の緑色結晶(81%,82.6mg,0.081mmol)がベンゼンから得られた。同じ手順が15Nで標識された錯体3−15Nの酸化においても実施され、錯体4−15Nを得た。なお、図5は、錯体4のORTEPダイアグラムを示す。このダイアグラムにおいて、熱振動楕円体は30%のプロバビリティに設定し、水素原子は省略している。図6は、C中における錯体4−15NのH−NMRの結果を示す図である。図7は、C中における錯体4−15Nの13C−NMRの結果を示す図である。図8は、Cにおける4−15Nの15N−NMRの結果を示す図である。
[(C5Me4SiMe3)4Ti43-N)4](錯体4): 1H NMR (C6D6, 400 MHz): δ 2.20 (s, 24H), 2.10 (s, 24H), 0.51 (s, 36H). 13C NMR (C6D6, 125 MHz): δ 127.2, 125.0, 15.8, 12.8, 2.59.
[(C5Me4SiMe3)4Ti43-15N)4](錯体4−15N): 1H NMR (C6D6, 500 MHz): δ 2.20 (s, 24H), 2.10(s, 24H), 0.50 (s, 36H). 13C NMR (C6D6, 125 MHz): δ 128.9, 127.9, 125.7, 116.3, 16.5, 13.5, 3.3. 15N NMR (60.81 MHz, C6D6, MeNO2,室温): δ 500.8。
[実施例1 チタン(IV)ニトリド錯体を用いた、各種酸塩化物からの有機ニトリル類の合成]
スキーム3
なお、下記の表中で、substrateは各種酸塩化物5に相当し、productは有機ニトリル類6に相当する。timeは反応時間であり、yieldは収率である。
Figure 0006839797
表中a:反応条件は、錯体4(0.02mmol)、各種酸塩化物5(0.08mmol、4等量)、ベンゼン(2mL)、反応温度は60℃である。
b:単離された収率である。c:反応を室温で行った。d:NMR収率である。
(チタン(IV)ニトリド錯体を用いた、各種酸塩化物からの有機ニトリル類の合成の包括的手順)
10mLのシュレンク管において、不活性雰囲気下で、錯体4(20.4mg,0.02mmol,1等量)のベンゼン溶液(1.5mL)に、酸塩化物5(0.08mmol,4等量)のベンゼン溶液0.5mLを加えた。溶液を60℃で24時間攪拌した。反応の進行に従い、緑色の溶液が明るいオレンジ色に変化した。溶液をエバポレートし、粗製の残存物を1mLのジクロロメタン/ヘキサン(1:2)に溶解した。溶液を−33℃に冷却し、[(C5Me4SiMe3TiCl2)2O]のオレンジ色の結晶を得、また母液を収集し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、有機ニトリル類6を得た。なお、以下には、得られた有機ニトリル類6として、4-ヨードベンゾニトリル(6c)のデータのみを代表として示した。なお、図9は、CDCl中における4-ヨードベンゾニトリル(6c)のH−NMRの結果を示す図である。図10は、CDCl中における4-ヨードベンゾニトリル(6c)の13C−NMRの結果を示す図である。
[(C5Me4SiMe3TiCl2)2O]: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 2.37 (s, 12H), 2.12 (s, 12H), 0.42 (s, 24H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz): δ 141.6, 138.5, 135.4, 16.9, 13.2, 1.5.
4-ヨードベンゾニトリル (6c): Yield 72% (13.1 mg, 0.057 mmol). 1H NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 7.86 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.38 (d, J = 8.5 Hz, 2H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz): δ 138.8, 133.4, 118.4, 112.0, 100.5.。
[実施例2 15Nで標識されたチタン(IV)ニトリド錯体を用いた、各種酸塩化物からの15Nで標識された有機ニトリル類の合成]
スキーム4
なお、下記の表中で、substrateは各種酸塩化物5に相当し、productは有機ニトリル類6−15Nに相当する。timeは反応時間であり、yieldは収率である。
Figure 0006839797
表中のa:反応条件は、錯体4−15N(0.02mmol、1等量)、各種酸塩化物5(0.08mmol)、反応温度が60℃である。
b:収率はドデカンを内部標準としたHNMRで決定した。
c:単離された収率である。表中のd:反応を室温で行った。
15Nで標識されたチタン(IV)ニトリド錯体を用いた、各種酸塩化物からの15Nで標識された有機ニトリル類の合成の包括的手順)
手順は、チタン(IV)ニトリド錯体を用いた、各種酸塩化物からの有機ニトリル類の合成に記載されたものと同じである。4−ヨードベンゾニトリル(有機ニトリル類6c−15N)を単離し、特性を明らかにし、他の有機ニトリルの構造および収量は粗製物のNMR解析により決定した。図11は、CDCl中における有機ニトリル類6C−15NのH−NMRの結果を示す図であり、図12は、CDCl中における有機ニトリル類6C−15Nの13C−NMRの結果を示す図であり、図13は、CDCl中における有機ニトリル類6C−15Nの15N−NMRの結果を示す図である。
4-ヨードベンゾニトリル(有機ニトリル類6C−15N): Yield 70% (13.1 mg, 0.057 mmol). 1H NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 7.86 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.38 (d, J = 8.5 Hz, 2H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz): δ 138.8, 133.4, 118.5 (d, J = 16.3 Hz), 112.0 (d, J = 2.5 Hz), 100.5. 15N NMR (60.81 MHz, C6D6, MeNO2,室温): δ -114.7.。
[実施例3 トリスイミドと4−ハロゲン化ベンゾイルクロリドとの反応]
スキーム5
Figure 0006839797
(三核イミド錯体と酸塩化物との反応)
4−ブロモベンゾイルクロリド(155mg、708μmol)を、シュレンク反応管に調製した三核イミド錯体1(39mg、178μmol)のトルエン溶液に加え、反応温度70℃において24時間にわたり攪拌した。減圧乾固による溶媒留去の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行うことで、白色固体として4−ブロモベンゾニトリル(116mg、637μmol、収率90%)を得た。4−ブロモベンゾイルクロリドに代えて4−ヨードベンゾイルクロリドを用いた点以外は同じ方法にしたがうことで、白色固体として4−ヨードベンゾニトリル(収率95%)を得た。なお、三核イミド錯体1は、参考文献(Shima, T. et al. Science 2013, 340, 1549.)に従って合成した。
[実施例4 Cp*-配位子(Cp* = C5Me5)を有するチタンニトリド錯体による含窒素有機化合物の合成]
Figure 0006839797
(1) {[(C5Me5)Ti]43-NH)2(μ-H)4}(化合物(1))の製造
50mLのステンレスオートクレーブ(TAIATSU TECHNO(登録商標))に収容した、[(C5Me5)Ti(CH2SiMe3)3] (86mg, 0.20mmol)のヘキサン溶液(20.0mL)に、10atmのNと10atmのHとを充填した。この溶液を100℃で1日間攪拌した。溶液の色は薄黄色から暗紫色に変化した。反応後、溶液をエバポレートし、残存物を冷ヘキサンで洗浄して、化合物(1)を96%と{[(C5Me5)Ti]4(μ-H)8}を4%(NMRに基づく)含んだ暗紫色の固体(23mg, 62%)を得た。
1H NMR (C6D5Cl, rt): 9.64 (s, 2H, μ3-NH), 1.90 (s, 4H, μ-H), 1.88 (s, 30H, C5Me5), 1.67 (s, 30H, C5Me5). 13C NMR (C6D5Cl, rt): 117.7 (s, ipso-C5Me5), 117.3 (s, ipso-C5Me5), 12.9 (s, C5Me5), 12.6 (s, C5Me5). Calcd for C44H66N2Ti4: C, 62.64; H, 8.68; N, 3.65. Found: C, 63.16; H, 8.59; N, 3.81.。
(2) {[(C5Me5)Ti]43-NH)2(μ-N)2}(化合物(2))の製造
Jヤングバルブ付NMR管を、{[(C5Me5)Ti]43-NH)2(μ-H)4} (1) (41mg, 0.054mmol)及びN(1atm)で満たした。この管を170℃で2日間熱した。反応後、結果として得られた暗青色の固体をCに溶解し、{[(C5Me5)Ti]43-NH)2(μ-N)2}(化合物(2))(82%:NMRでの収率)とともに、常磁性性の化合物である{[(C5Me5)Ti]43-NH)(μ-N)3}(化合物(3))(18%:NMRでの収率)を得た。
化合物(2): 1H NMR (C6D6, rt): 15.38 (brs, w1/2= 41 Hz, 2H, μ3-NH), 2.39 (s, 30H, C5Me5), 2.21(s, 30H, C5Me5). Calcd for C40H62N4Ti4: C, 60.74; H, 7.91; N, 7.09. Found: C, 60.06; H, 7.61; N, 6.53.
(3) {[(C5Me5)Ti]43-15NH)(μ-15N)(μ3-NH)(μ-N)}(化合物(2-15N))の製造
Jヤングバルブ付NMR管を、化合物(1)(10mg, 0.013mmol)で満たし、その後からポンプを用いて15(~1 atm)を充填した。この試料を、170℃で39時間熱し、化合物(2-15N)(収率〜70%:1H NMRによる)を得た。
1H NMR (C6D6, rt): 15.37 (brs, w1/2 = 84 Hz, 2H, μ3-15NH and μ3-NH), 2.39 (s, 30H, C5Me5), 2.21(s, 30H, C5Me5). 15N NMR (C6D5Cl, rt): 405.5 (s, μ-15N), - 4.4 (s, μ-15NH).
(4) Cp*-配位子(Cp* = C5Me5)を有するチタンニトリド錯体と塩化アシル(酸塩化物)とを用いた、ニトリル化合物の合成
Jヤングバルブ付NMR管に、化合物(2)(3mg, 0.004mmol)及び C6D5Cl(0.5 ml)を充填し、空気で満たした状態で、室温で13時間の反応をさせて、薄緑色の溶液を得た。次いで、塩化アシル(4-IC6H4COCl)(5 mg, 0.002 mmol)をこの溶液に加え、100℃で6時間熱した。その結果、4−ヨードベンゾニトリル(4-IC6H4CN)(収率~60%:NMRによる)を、同定していない他の化合物(収率〜40%:NMRによる)とともに得た。
4-IC6H4CN: 1H NMR (C6D6, rt): 6.96 (s, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 6.36 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4).。

Claims (6)

  1. ニトリル化合物を合成する方法であって、
    酸塩化物と、
    下記の式(1A)または式(1B)で示される錯体、または、当該錯体のカチオン性もしくはアニオン性の錯体とを反応させる工程を含む方法。
    Figure 0006839797
    (式(1A)におけるM1〜M3、および式(1B)におけるM4〜M7は、互いに独立にTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはWであり、式(1A)におけるL1〜L3、および式(1B)におけるL4〜L7は、互いに独立に、置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル誘導体である配位子(Cp)から選択される配位子である)
  2. 式(1A)におけるL1〜L3、および式(1B)におけるL4〜L7は同一の配位子であって、当該配位子は以下の式(2)で示される、請求項1に記載の方法。
    Figure 0006839797
    (式(2)において、R1〜R5は互いに独立に、シクロペンタジエニル環の骨格を構成する炭素原子に結合する、水素原子;炭素数1〜20のヒドロカルビル基;或いは、炭素数1〜20のヒドロカルビル基、アミド基、ホスフィド基及び/又はアルコキシド基が置換した置換メタロイド基;を指し、※はM1〜M7との結合を表し、R1〜R5のうちの2個〜5個が上記ヒドロカルビル基又は置換メタロイド基である。また、式(2)中に示すシクロペンタジエニル環の骨格を構成する炭素原子の一つは、第14族原子(但し、炭素原子及び鉛原子は除く)又は第15族原子により置換されていてもよい)
  3. 式(2)中で、R1〜R5のすべてがメチル基であるか、R1〜R5のうちの4つがメチル基であり他の1つが炭素数1〜5のアルキル基を有するトリアルキルシリル基である、請求項2に記載の方法。
  4. 式(1A)におけるM1〜M3、および式(1B)におけるM4〜M7は、いずれもTiである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 上記酸塩化物がRCOClで表され、Rは、炭素数1〜20でかつ置換又は無置換の、芳香環基又は鎖状炭化水素基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 下記の式(1A)または式(1B)で示される錯体、または、当該錯体のカチオン性もしくはアニオン性の錯体を含む、酸塩化物からニトリル化合物を合成するのに用いられるニトリル化合物合成用原料組成物。
    Figure 0006839797
    (式(1A)におけるM1〜M3、および式(1B)におけるM4〜M7は、互いに独立にTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはWであり、式(1A)におけるL1〜L3、および式(1B)におけるL4〜L7は、互いに独立に、置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル誘導体である配位子(Cp)から選択される配位子である)
JP2016042837A 2015-03-05 2016-03-04 金属錯体、及び、金属錯体を用いた含窒素有機化合物の合成法 Active JP6839797B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015044068 2015-03-05
JP2015044068 2015-03-05

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016166196A JP2016166196A (ja) 2016-09-15
JP6839797B2 true JP6839797B2 (ja) 2021-03-10

Family

ID=56897989

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016042837A Active JP6839797B2 (ja) 2015-03-05 2016-03-04 金属錯体、及び、金属錯体を用いた含窒素有機化合物の合成法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6839797B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016166196A (ja) 2016-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Medforth et al. Nonplanar distortion modes for highly substituted porphyrins
Harvey et al. Developments in the metal chemistry of N-confused porphyrin
Collin et al. Lanthanide Complexes Coordinated by N‐Substituted (R)‐1, 1′‐Binaphthyl‐2, 2′‐diamido Ligands in the Catalysis of Enantioselective Intramolecular Hydroamination
Weinstock et al. Rhenium (VII) monoimido alkylidyne complexes. The importance of face selectivity in the metathesis of acetylenes via rhenacyclobutadiene intermediates
Giannini et al. Migratory Aptitude of the Zr-C Functionalities Bonded to a Macrocyclic Structure: Thermally-and Solvent-assisted Intra-and Intermolecular Migrations in Dialkyl (dibenzotetramethyltetraazaannulene) zirconium (IV)
Heinze et al. Main Chain Ferrocenyl Amides from 1‐Aminoferrocene‐1′‐carboxylic Acid
White et al. Synthesis and structural studies of titanium-rhodium heterobimetallic complexes. Characterization and electrochemistry of the redox partners [Cp2Ti (SCH2CH2CH2PPh2) 2Rh] BF4 and [Cp2Ti (SCH2CH2CH2PPh2) 2Rh] 0
Guilard et al. Chemistry: Special Emphasis on
Albano et al. Reactions of acetonitrile di-iron μ-aminocarbyne complexes; synthesis and structure of [Fe2 (μ-CNMe2)(μ-H)(CO) 2 (Cp) 2]
Petersen et al. Titanium complexes with chiral amino alcohol ligands: synthesis and structure of complexes related to hydroamination catalysts
Kaltzoglou et al. Copper (I) bromide complexes from 1, 2-bis (diphenylphosphano) benzene and some heterocyclic thiones
Zank et al. Oxygenated titanium sulfide clusters. Synthesis and structures of (CH3C5H4) 4Ti4S8Ox (x= 1, 2)
Amirnasr et al. Synthesis and characterization of trans-[Co (III)(bpb)(amine) 2] X (X= NCS, ClO4). X-ray crystal structure of trans-[Co (III)(bpb)(pyrrolidine) 2] NCS· 0.5 H2O containing intermolecular N H⋯ O C hydrogen-bonding
JP6839797B2 (ja) 金属錯体、及び、金属錯体を用いた含窒素有機化合物の合成法
Legzdins et al. Organometallic nitrosyl chemistry. 22. New halo nitrosyl complexes of chromium resulting from the reactions of halogens with (. eta. 5-C5R5) Cr (CO)(NO) L (R= H, Me; L= CO, PPh3)
Johnston et al. Mixed-metal dimers. 3. Substitution reactions of [(. eta. 5-C5H5) Fe (CO) 2M (CO) 5](M= manganese, rhenium) and the x-ray crystal structure determination of [. eta. 5-C5H5) Fe (CO) 2M (CO) 4 (CNBu-tert)](M= manganese, rhenium
US8835628B2 (en) Stable and highly tunable metathesis catalysts
Boag Synthesis and structure of [Pt2 (. eta. 5-C5Me5) 2 (CO) 2], a convenient precursor to pentamethylcyclopentadienyl chemistry of platinum
Chou et al. Steric-influenced fluxionality in monomeric two and three coordinate copper (I) complexes with a trans-chelating bis-pyrazole ligand
Balogh-Hergovich et al. Copper-mediated oxygenation of flavonolate in the presence of a tridentate N-ligand. Synthesis and crystal structures of [Cu (fla)(idpaH)] ClO4 and [Cu (idpaH)(O-bs)] ClO4,[fla= flavonolate, idpaH= 3, 3′-iminobis (N, N-dimethylpropylamine), O-bs= O-benzoylsalicylate]
Yuan et al. Halide-bridged tetranuclear organocopper (i) clusters supported by indolyl-based NCN pincer ligands and their catalytic activities towards the hydrophosphination of alkenes
Cappillino et al. Synthesis and characterization of a family of binuclear non-heme iron monooxygenase model compounds: Evidence for a “phenolate/amide carbonyl (PAC) shift” upon oxidation
Nomura et al. Sulfur-rich CpCo (dithiolene) complexes: Isostructural or non-isostructural couples of CpCo (III) with CpNi (III) dithiolene complexes
McAdam et al. Group 8 and 10 metal acetylide naphthalimide dyads
Hodgson et al. Synthesis, structure and properties of ferrocene functionalized porphyrins

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191217

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200707

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210125

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6839797

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250