JP6837347B2 - 画像読取装置および画像読取方法 - Google Patents
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Description
例えば、画像読み取りの状態をユーザーが把握できるように、プレスキャンで原稿枚数および原稿位置を検出し、1枚分ずつ原稿をスキャンし、現在何枚目の原稿を走査中か表示するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、異なるサイズや種類の原稿が混載されていても、切り出された画像の原稿サイズおよび原稿位置並びに原稿の記録に使用する記録用紙サイズおよび記録紙種別に応じて、画像の切りだし順序を制御するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、ユーザーが希望するクロップ画像枚数を正確に検出して読み取るべく入力された原稿枚数と検出した原稿枚数を比較して表示するものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
例えば、原稿面を下方から光を照射して原稿面で乱反射された反射光を読み取るタイプの画像読取装置を考える。原稿を読み取る際、通常は下面が白色の原稿カバーを用いて上方から原稿を押さえて走査を行う。ここで、原稿カバーの下面が白色である理由は次のとおりである。マルチクロップスキャンの対象でない一般的な原稿、例えば事務書類や冊子の読取において、画像が走査される領域よりも原稿のサイズが小さい場合がしばしばある。その場合、原稿外の走査領域、即ち原稿がない領域は原稿カバーの白色が読み取られるので原稿の地色、即ち背景色と違和感がない。
例えば、マルチクロップスキャンの対象と考えられる写真の原稿には縁なしと、白縁ありの二種類のタイプがある。白縁なしのタイプであって写真の縁部の全部または一部の濃度が低くて白に近い場合、原稿カバーを閉じてスキャンすると原稿カバー下面の白色との境界が分かりにくい。一方、白縁なしのタイプであって写真の縁部の全部または一部の濃度が高くて黒に近い場合、原稿カバーが開放された状態で走査すると、原稿外の領域との境界が分かりにくい。いずれの場合も原稿と原稿外領域の境界が不明瞭となり、画像の切り出しがうまくできないことが起こり得る。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、原稿の縁部が低い濃度であっても高い濃度であっても原稿の画像を適切に抽出できる画像読取装置を提供するものである。
(1)原稿が置かれる原稿台と、前記原稿台を走査して位置検出用画像および出力用画像を生成する画像生成部と、生成された位置検出用画像に基づいて原稿の有無および位置を検出する原稿位置検出部と、生成された出力用画像から前記原稿に対応する領域を抽出する原稿抽出部と、前記画像生成部、前記原稿位置検出部および前記原稿抽出部を制御し、抽出された原稿の画像を出力するように制御する制御部とを備える画像読取装置を提供する。
(2)原稿が置かれる原稿台と、前記原稿台を走査して位置検出用画像を生成する画像生成部と、生成された位置検出用画像に基づいて原稿の有無および位置を検出する原稿位置検出部と、生成された位置検出用画像から前記位置に対応する領域を抽出し、出力される画像に変換する画像変換部と、前記画像生成部、前記原稿位置検出部および前記画像変換部を制御し、変換された画像を出力するように制御する制御部とを備える画像読取装置を提供する。
(3)コンピュータが、原稿が置かれる原稿台を走査して位置検出用画像および出力用画像を生成するステップと、生成された位置検出用画像に基づいて原稿の有無および位置を検出するステップと、生成された出力用画像から前記原稿に対応する領域を抽出するステップと、抽出された原稿の画像を出力するステップとを備える画像読取方法を提供する。
(4)コンピュータが、原稿が置かれる原稿台を走査して位置検出用画像を生成するステップと、生成された位置検出用画像に基づいて原稿の有無および位置を検出するステップと、生成された位置検出用画像から前記位置に対応する領域を抽出し、出力される画像に変換するステップと、変換された画像を出力するステップとを備える画像読取方法を提供する。
また、この発明による上記(2)の画像読取装置は、原稿台を走査して位置検出用画像を生成する画像生成部と、生成された位置検出用画像に基づいて原稿の有無および位置を検出する原稿位置検出部と、生成された位置検出用画像から前記位置に対応する領域を抽出し、出力される画像に変換する画像変換部と、前記画像生成部、前記原稿位置検出部および前記画像変換部を制御し、変換された画像を出力するように制御する制御部とを備えるので、原稿の種類、特に縁部の濃度が低濃度、高濃度のいずれであっても原稿の画像を適切に抽出できる。
上記(4)の画像読取方法についても同様である。
(実施の形態1)
≪画像読取装置の概要≫
この発明の画像読取装置の具体例を述べる。
図1は、この発明の画像読取装置の一例として示すデジタル複合機の外観斜視図である。図2は、図1に示すデジタル複合機の構成を示すブロック図である。
図1および図2に示すデジタル複合機10は、この発明の画像読取装置11および印刷を行う画像形成装置12を備えている。また、通信回路45を介して図示しないネットワークに接続可能である。そして、ネットワークを介した外部の機器へ、画像読取装置11で読み取った原稿の画像データを送信できる。また、前記ネットワークを介して外部の機器から印刷データを受信し、受信した印刷データを画像形成装置12で印刷できる。デジタル複合機10は、コピー、プリンタ、スキャナ、画像ファイリングおよびファクシミリの機能を有する。
原稿台20は透明なガラスでできており、原稿台20の下方には、移動しながら原稿を走査する機構部分の走査機構21と、走査機構21により走査された原稿の画像を読み取る原稿読取回路23が配置されている。この実施形態で、原稿読取回路はライン状のイメージセンサーである。
走査機構21、原稿読取回路23、位置検出用画像生成部24bおよび出力用画像生成部24aは、画像生成部22を構成する。
原稿抽出部25は、生成された出力用画像から原稿位置検出部24cによって得られた原稿の位置に対応する領域を切り出す。画像出力回路27は、切り出された画像を出力する。
原稿位置検出部24cおよび原稿抽出部25は、画像処理回路によるハードウェア処理、ソフトウェア処理あるいは両者の組合せによってその機能が実現される。
原稿サイズ検出回路31は、原稿台上に置かれた原稿および自動原稿送り装置にセットされた原稿のサイズを検出する。ただし、検出可能な原稿サイズは予め定められた種類のサイズ(定型サイズ)に限られる。
制御回路41は、原稿サイズ検出回路31による原稿サイズの検出、走査機構21による原稿の走査、原稿読取回路23による画像の読み取り、表示回路51aの表示、操作キー51bによる操作の受付けをはじめとして各部の制御を行う。制御回路41は、この発明に係る制御部を構成する。
画像形成装置の動作は図2に図示しない専用の制御回路によって制御されてもよいが、この実施形態では制御回路41がそれらの制御を併せて行う。
この実施形態における原稿台および原稿台に置かれた原稿サイズの検出について以下に説明する。
図3は、図1に示すデジタル複合機のうち原稿台およびその付近の外観を示す斜視図である。図3では、原稿カバー33が上方に開けられており、その下に原稿台20が配置されている。原稿台20のさらに奥には、原稿サイズ検出回路31が配置されている。原稿サイズ検出回路31は、原稿カバー33が開いた状態、即ちカバー開閉センサー35が開状態を検出している場合は原稿台20の上方にあるが、原稿カバー33が閉じられると、原稿カバー33に抑えられて下方へ移動する。
続いて、この発明に係るマルチクロップ機能を用いた原稿読取(マルチクロップスキャン)の操作手順を説明する。
図4〜図5、図6A〜図6Oは、デジタル複合機10を用いてマルチクロップスキャンを行う場合の操作の一例を示す説明図である。
原稿を読み取ってその画像データをUSBメモリに保存するためにユーザーは、図4に示す操作画面において「外部メモリ保存」の操作キーをタッチする(図5参照)。図5で、手指のイラストは、ユーザーが手指Fで「外部メモリ保存」の操作キーをタッチする操作を示している。以下の説明において、ユーザーによる操作キーのタッチ操作を同様の手指イラストを用いて示す。
「ファイル名」は、USBメモリに保存する画像データのファイル名をユーザーが指定する際に使用する操作キーである。「カラーモード」は、カラー、グレイスケール、白黒の何れの種類で読み取るかを選択する操作キーである。「解像度」は、読み取りの解像度を選択する操作キーである。「フォーマット」は、PDF、TIFF、JPEG等出力する画像データのフォーマットを選択する操作キーである。「原稿」は、原稿サイズをユーザーが指定したり両面原稿を指定したりするための操作キーである。「濃度」は、原稿の読み取り濃度を選択する操作キーである。必要に応じてユーザーは、これらの操作キーを用いて読取条件の設定を行う。
ユーザーが「原稿押さえは閉じて使用してください。」のメッセージを読んで「OK」キーを押すと(図6F参照)、制御回路41はその操作に応答してメッセージを消す。
図6Gは、原稿台20にマルチクロップスキャン用の16枚の原稿20bが置かれた様子を示す説明図である。各原稿に付された1〜16の数字は、切り出しの順序の一例を示しており、その数字は後述するファイル名の連番に対応する。
第1回目の一括走査が終了したら、原稿抽出部25は1〜16の原稿に対応する画像を切り出す。制御回路41は、原稿抽出部25による原稿の切り出しに基づいて「16枚の原稿を読み込みました。(合計:16枚)」のメッセージと共に、「読み込み終了」「設定変更」および「スタート」の各操作キーを操作表示回路51に表示させて、ユーザーの操作を促す(図6J参照)。
一方、ユーザーが、次のマルチクロップスキャンの対象となる17〜32の16枚に渡る原稿を原稿台20に並べて(図6L参照)、「スタート」キーを押すと、その操作に応答して制御回路41は、次の一括走査を開始する。即ち、走査機構21および原稿読取回路23を制御して、図6Lに示す16枚の原稿を一括走査して読み取らせる。
制御回路41は、第1回目の一括走査で得られた画像データと第2回目の一括走査で得られた画像データを一連の画像データとして扱う。
第2回目の一括走査が終了したら、原稿抽出部25は17〜32の16枚に渡る原稿に対応する画像を切り出す。制御回路41は、原稿抽出部25による原稿の切り出しに基づいて「16枚の原稿を読み込みました。(合計:32枚)」のメッセージと共に、「読み込み終了」「設定変更」および「スタート」の各操作キーを操作表示回路51に表示させる(図6M参照)。
なお、制御回路41は、カバー開閉センサー35により原稿カバー33の開閉状態を取得できるので、原稿カバー33が開けられた状態の間は、「スタート」キーを無効にして一括走査が開始できないようにしてもよい。
あるいは、原稿カバー33が開けられたまま「スタート」キーが押された場合、一括走査の開始を抑制し、原稿カバー33を閉じて再度「スタート」キーを押すユーザーの操作を促すメッセージを操作表示回路51に表示させてもよい。
定型サイズ原稿の読み取り領域は、原稿サイズ検出回路31が検出した原稿サイズに基づいて制御回路41が決定する。しかし、図6Gや図6Lのように原稿台20に複数の原稿20bが間隔をあけて置かれた場合、この実施形態による原稿サイズ検出回路31は各原稿のサイズを正しく検出できない。
そこで、制御回路41は「マルチクロップ」キーがタッチされてマルチクロップスキャンが選択された場合に原稿サイズ検出回路31によって検出された原稿サイズを無視し、走査機構21および画像読み取り部23が読み取り可能な最大領域を読み取るように制御する。即ち、原稿サイズ検出回路31の検出にかかわらず読み取り可能な最大領域を読取領域として決定する。
続いて、読み取られた画像から1以上の原稿の画像を切り出す処理について述べる。
原稿の切り出しは、位置検出用画像生成部24b、出力用画像生成部24a、原稿位置検出部24cおよび原稿抽出部25の各部の処理によって実現される。
図7は、この実施形態において、一括走査により読み取られた画像から1以上の原稿の画像を切り出す処理の流れを示す説明図である。図7に示すように、走査機構21および原稿読取回路23が協働して一括走査を行うことにより原稿台20に置かれた原稿20bが一括で読み取られる。図7に示す例では、原稿台20に4つの原稿(原稿A〜原稿D)が置かれて一括で読み取られている。原稿Aおよび原稿Dは、地色が白色の原稿である。これに対して原稿Bおよび原稿Dは、地色の濃度が高い原稿である。
そのうち一つの画像データは、出力用画像80aである。出力用画像80aは、出力用画像生成部24aによって生成され記憶回路43に格納される。後述するように、出力用画像80aから、原稿の領域が切り出されて出力される。即ち、出力用画像80aは、そこから原稿が切り出される画像である。
他の画像データは、位置検出用画像80bである。位置検出用画像80bは、位置検出用画像生成部24bによって生成され記憶回路43に一時的に格納される。位置検出用画像生成部24bは、原稿A〜原稿Dのそれぞれの縁部と原稿外領域との境界が容易にかつ正確に判別できるように調整された位置検出用画像を生成する。
また、諧調特性の調整に加えて、あるいは代えて、例えば原稿の輪郭を強調する輪郭強調や輪郭抽出など、画像フィルタを用いた処理を行ってもよいし、他の画像処理を行ってもよい。
原稿抽出部25は、原稿の縁部と原稿外領域の濃淡あるいは色相のコントラストに基づいて各原稿の境界を認識して切り出す。
原稿位置の判定に際して、原稿が矩形であることを前提とすればより正確な判定が可能になる。ただし、常に原稿が矩形状であるとは限らないので、矩形状の原稿を前提に原稿の位置を判断するか否かをユーザー、機器の管理者あるいはサービスエンジニアが設定できるようにしてもよい。
原稿位置検出部24cが判定した原稿の位置に基づいて、原稿抽出部25は、出力用画像から対応する位置の1以上の画像を切り出す。図7で、出力用画像80aから切り出されて出力される各原稿の画像を原稿画像80cとして示している。
一括走査が終了すると制御回路41は、一括走査で読み取られた後に原稿抽出部25によって切り出された16枚の原稿の画像データをUSBコネクタ71に接続されたUSBメモリに保存する。
図8に示すように、USBメモリには、切り出された32の原稿に対応する画像データを1つのフォルダに格納された32個のファイルとして保存される。そのフォルダは、前記ファイルをUSBメモリに格納する際、新たに作成される。
また、それらのファイルが格納されるフォルダ名についても、原稿を一括走査した日付と時間の情報が付されている。
図10は、この実施形態において制御回路41がマルチクロップスキャンを実行する際に画像生成部22、原稿位置検出部24c、原稿抽出部25、表示回路51aなど、各部を制御する手順を示すフローチャートである。フローチャートに沿って処理の手順を述べる。
図10で、制御回路41は、図6Cに示す画面でマルチクロップが選択されたか否かを監視する(ステップS11)。
マルチクロップが選択されたら(ステップS11のYes)、カバー開閉センサー35を参照し(ステップS13)、原稿カバーが閉じられていなければ(ステップS13のNo)、原稿カバーを閉じるようにユーザーを促すメッセージ(図6E参照)を表示させる。そして、スタートキーを受付けないようにする(ステップS15)。
位置検出用画像生成部24bについては、カバー色と原稿の地色の濃度差が強調されるような諧調特性で位置検出用画像を生成させるように制御する(ステップS21)。
生成された位置検出用画像に基づいて、原稿位置検出部24cに原稿の有無および位置を判定させる(ステップS23)。
そして、切出された原稿画像を画像出力回路27に出力させる。
以上が、制御回路41がマルチクロップスキャンを実行する際の処理手順である。
実施の形態1では、一括走査を行って出力用画像と位置検出用画像とを別に生成している。これに対して、この実施形態では一括走査を行って位置検出用画像を生成し、位置検出用画像から原稿を抽出して切り出した後、切り出した画像を変換して出力する。出力される画像は、結果的に実施の形態1で出力されるものと等しいかほぼ等しい。完全に等しいか否かは、出力画像を生成する画像処理と位置検出用画像を生成する画像処理とが可逆処理であるか、非可逆処理を含むかに依存する。諧調特性の調整であれば可逆処理といえる。
図12は、この実施形態において、一括走査により読み取られた画像から1以上の原稿の画像を切り出す処理の流れを示す説明図である。走査機構21および原稿読取回路23が協働して一括走査を行うことにより原稿台20に置かれた原稿20bが一括で読み取られる点は、図7と同様である。原稿台20に置かれた原稿A〜原稿Dは、図7に対応している。
画像変換部26は、原稿位置検出部24cが判定した原稿の位置に基づいて、位置検出用画像80bから対応する位置の1以上の画像を切り出す。図12で、位置検出用画像80bから切り出された各原稿の画像を切出し画像80dとして示している。切出し画像80dは、各原稿の画像に対応する。
より具体的な例を述べると、位置検出用画像生成部24bは、低濃度部の濃度差を強調する諧調特性で位置検出用画像80bを生成する。そして、画像変換部26は位置検出用画像80bから各原稿に対応する領域を切り出し、切り出された時点で位置検出用画像80bの諧調特性を維持している切出し画像80dの諧調特性を、図7に示す原稿画像80cと同様の諧調特性に変換する。
図13は、この実施形態において制御回路41がマルチクロップスキャンを実行する際に画像生成部22、原稿位置検出部24c、原稿抽出部25、表示回路51aなど、各部を制御する手順を示すフローチャートである。実施の形態1に係る図10と異なる点に焦点をあてて処理の手順を述べる。
図13で、ステップS31〜S37は、図10のステップS11〜S17にそれぞれ対応しており、説明は省略する。
ここで、位置検出用画像は図10のステップS19で生成されるものと同一とする。即ち、位置検出用画像生成部24bは、カバー色と原稿の地色の濃度差が強調されるような諧調特性で位置検出用画像を生成させる(ステップS41)。
そして前記ステップS41で生成された位置検出用画像から原稿の領域を切り出すように画像変換部26を制御する(ステップS43)。さらに、切り出された画像の諧調特性を出力用の諧調特性に調整(変換)する。そして、位置検出用画像はから切出され、出力用に諧調特性が調整された原稿画像を画像出力回路27に出力させる(ステップS45)。
以上が、この実施形態において、制御回路41がマルチクロップスキャンを実行する際の処理手順である。
≪写真マルチクロップ≫
事務書類や冊子等、一般的な原稿は白色あるいは薄い濃度の原稿の地色が多いことは既に述べた。さらに、マルチクロップスキャンでない場合、原稿外領域と原稿の地色とが違和感のないように原稿カバーの下面が白色になっていることも既に述べた。
上述の実施形態における位置検出用画像生成部24bは、マルチクロップスキャンの場合に原稿カバーの下面の白色と原稿の地色との境界がより明確になるように調整された位置検出用画像を生成する。原稿抽出部25は、位置検出用画像の原稿の地色と原稿外領域との濃淡や色相の差、即ちコントラストに基づいて各原稿の境界を認識しその原稿に対応する画像を切り出す。
即ち、図6Dに示す画面で「マルチクロップ」が選択された場合、位置検出用画像生成部24bは、地色が白色または低濃度の原稿に対して好適な位置検出用画像を生成する。
この実施形態において縁が濃い原稿用のマルチクロップ機能を「写真マルチクロップ」と呼ぶ。
図14に、写真マルチクロップを選択する場合のデジタル複合機10に対する操作を示す。図14に示す画面で「写真マルチクロップ」が選択された場合、位置検出用画像生成部24bは、縁部が高濃度または中間調の画像に対して、あるいは、縁部の一部に高濃度または中間調を含む画像に対して好適な位置検出用画像を生成する。
より具体的な例を述べると、位置検出用画像生成部24bは、原稿の濃度差を圧縮して全体的に中間濃度あるは高濃度になるように諧調特性を調整する。例えば、原稿の縁部の一部分が高濃度で他の部分が低濃度であっても、いずれの縁部も中間濃度に近づいて原稿の輪郭が正確に判定できるように諧調特性を調整する。
縁部が濃い色の原稿の典型的な一例は、夜景が撮影されたフチなし写真の原稿である。
写真マルチクロップの機能を実行する場合は、図6Dに示す操作画面で「マルチクロップ」の操作キーに代えて「写真マルチクロップ」の操作キーを押す。その後の操作画面および操作手順は、通常のマルチクロップと同様である。原稿カバーを閉じた状態で一括走査する点も通常のマルチクロップと同様である。
なお、位置検出用画像生成部24bが、縁部が白色または低濃度の原稿、縁部が高濃度または中間調の画像の何れであっても原稿の領域を正確に抽出できる位置検出用画像を生成できるなら、「マルチクロップ」と別に「写真マルチクロップ」をあえて設けなくともよい。
上述した写真マルチクロップは、写真原稿の縁部が高濃度または中間濃度であることを前提にしているが、写真原稿が常にそうであるとは限らない。
そこで、この実施形態においては、ユーザーが写真の縁部の濃淡時応じて、原稿カバーを閉じた状態で一括走査するか、開放した状態で一括走査するかを選択し、それに応じて位置検出用画像生成部24bが諧調特性を調整して原稿の縁部と原稿外領域とのコントラストが強調されるようにする。
この実施形態の場合、制御回路41は、図6Eに示すように原稿カバーの操作を促すメッセージは表示させない。
図15で、ステップS51は図10のステップS11に対応する。また、上述のように図6Eに示すようなメッセージは表示させないので、図10のステップS13およびS15に対応する処理は存在しない。
生成された位置検出用画像に基づいて、原稿位置検出部24cに原稿の有無および位置を判定させる(ステップS67)。
そして、得られた原稿の領域に基づいて、生成された出力用画像から原稿の画像を切り出すように原稿抽出部25を制御する(ステップS69)。
さらに、原稿カバーが閉じた状態でスタートキーが押された場合は、図13のステップS41と同様に低濃度部を基準に調整された諧調特性を適用する(ステップS79)。一方、原稿カバー33が開放された状態でスタートキーが押された場合、位置検出用画像については、原稿外領域の黒色と原稿の高濃度部の濃度差が強調されるような諧調特性で位置検出用画像を生成させる(ステップS85)。
実施の形態1および2は、図6G、図6L、図7および図12に示すように複数の原稿を一括走査して各原稿に対応する画像を出力する例について述べた。
しかし、マルチクロップスキャンの機能は、1つの原稿から複数の領域を抽出する目的で実行される場合がある。この実施例では、その具体例を述べる。
図17で、原稿の地色はカバー色に近い白色であって、「写真1」および「写真2」の他に、「a」、「b」および「c」で示す部分は色地の部分とする。その他の領域は、白色の地色の用紙に文字が印刷されている。
「写真マルチクロップ」の機能を用いて、図17に示す原稿から写真だけを切出すことができる。
なお、原稿位置検出部24cは、写真マルチクロップの場合、位置検出用画像80bからさらに解像度を落とした画像データを一時的に生成して文字(記事)の領域が1行単位の連結領域となるようにしたうえで、写真領域とそれ以外の領域とを判断してもよい。
図17で、文字の領域や、「a」、「c」の領域は所定積より小さいので原稿として抽出されない。なお、「a」、「c」の領域は縦横比に関して所定比率の範囲内である。
また、各行の文字や「b」の領域は、縦横比が所定比率の範囲外なので原稿として抽出されない。なお、「b」の領域は、サイズに関して所定面積より大きい。
以上のようにして、原稿20bから中間濃度が連続する「写真1」および「写真2」の領域が原稿画像80cとして抽出される。
この発明による画像読取装置は、
(1)原稿が置かれる原稿台と、前記原稿台を走査して位置検出用画像および出力用画像を生成する画像生成部と、生成された位置検出用画像に基づいて原稿の有無および位置を検出する原稿位置検出部と、生成された出力用画像から前記原稿に対応する領域を抽出する原稿抽出部と、前記画像生成部、前記原稿位置検出部および前記原稿抽出部を制御し、抽出された原稿の画像を出力するように制御する制御部とを備えることを特徴とする。
また、原稿台を走査するとは、原稿台に原稿が置かれた状態で、例え複数の原稿が置かれているとしても一括走査を行って一括走査により得られる位置検出用画像および出力用画像から原稿の画像を抽出するものである。自動原稿送り装置等を用いて原稿台上の原稿を1枚ずつ順次置き換えて読み取る処理は一括走査に含まない。
これに対して、出力用画像は、原稿の画像として出力されるものである。即ち、原稿が読み取られた結果としてユーザーが目にする通常の画像であって、その具体的な態様は、原稿の領域がトリミング、即ち、マルチクロップされた画像データである。
上述の実施形態における走査機構、原稿読取回路、位置検出用画像生成部および出力用画像生成部の構成は、この発明に係る画像生成部に相当する。
原稿抽出部は、前述の原稿位置検出部が取得した原稿台上の原稿の位置に対応する領域を、出力用画像から切り出すものである。その具体的な態様は、例えば、メモリに格納された画像データのうち指定した領域を切り出す画像処理回路である。あるいは、後述する制御部と共通のまたは別のCPUがメモリに格納された画像データを処理するものであってもよい。
制御部は、例えばCPUを中心としてメモリ、入出力インターフェイス回路等のハードウェア資源からなり、メモリに格納された処理プログラムをCPUが実行することによって、その機能が実現される。上述の実施形態における制御回路は、制御部に相当する。
原稿台の上に置かれた原稿を原稿台に向けて押圧する開閉自在の原稿押さえ機構と、前記原稿押さえ機構の開閉を検出する開閉検出回路とをさらに備え、前記原稿位置検出部は、前記開閉検出回路の検出に基づく前記原稿押さえ機構が開または閉の何れの状態かに応じて、前記出力用画像において所定濃度以上の領域を非原稿領域とするかまたは所定濃度以下の領域を非原稿領域とし、原稿の有無および位置を検出してもよい。
上述の実施形態における原稿カバーは上記の原稿押さえ機構に相当し、カバー開閉センサーは上記の開閉検出回路に相当する。上述の実施形態で述べたように原稿カバーの下面は白色であるものとする。
上述の好ましい態様は、対応する画像読取方法にも適用可能である。
(2)原稿が置かれる原稿台と、前記原稿台を走査して位置検出用画像を生成する画像生成部と、生成された位置検出用画像に基づいて原稿の有無および位置を検出する原稿位置検出部と、生成された位置検出用画像から前記位置に対応する領域を抽出し、出力される画像に変換する画像変換部と、前記画像生成部、前記原稿位置検出部および前記画像変換部を制御し、変換された画像を出力するように制御する制御部とを備えることを特徴とする。
この態様によれば、例えば、原稿と原稿外領域との濃度差を強調するようにγ特性が調整された位置検出用画像を用いて原稿の位置を得た後、その位置検出用画像を好適なγ特性に再調整して出力する。即ち、位置検出用画像を出力される画像に変換したうえで出力する。なお、位置検出用画像から得られた位置に応じて原稿の領域を抽出、即ち、切り出す処理は、位置検出用画像を出力される画像に変換する前の段階で行ってもよいし、変換後の段階で行ってもよい。
原稿台の上に置かれた原稿を原稿台に向けて押圧する開閉自在の原稿押さえ機構と、前記原稿押さえ機構の開閉を検出する開閉検出回路とをさらに備え、前記原稿位置検出部は、前記開閉検出回路の検出に基づく前記原稿押さえ機構が開または閉の何れの状態かに応じて、前記出力用画像において所定濃度以上の領域を非原稿領域とするかまたは所定濃度以下の領域を非原稿領域とし、原稿の有無および位置を検出であってもよい。
このようにすれば、開閉検出回路の検出に基づいて原稿外領域の色を正しく判定することができ、ひいては原稿を正確に抽出することができる。
上述の好ましい態様は、対応する画像読取方法にも適用可能である。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
F:手指
Claims (3)
- 原稿が置かれる原稿台と、
前記原稿台を走査して位置検出用画像を生成する画像生成部と、
生成された位置検出用画像に基づいて原稿の有無および位置を検出する原稿位置検出部と、
生成された位置検出用画像から前記位置に対応する領域を抽出し、出力される画像に変換する画像変換部と、
前記画像生成部、前記原稿位置検出部および前記画像変換部を制御し、変換された画像を出力するように制御する制御部とを備え、
前記画像生成部は、原稿に対応する領域と原稿外の領域との濃度差が強調されるように階調特性が調整された前記位置検出用画像を生成し、
前記画像変換部は、前記位置検出用画像の階調特性を出力用の階調特性に変換する画像読取装置。 - 原稿台の上に置かれた原稿を原稿台に向けて押圧する開閉自在の原稿押さえ機構と、
前記原稿押さえ機構の開閉を検出する開閉検出回路とをさらに備え、
前記原稿位置検出部は、前記開閉検出回路の検出に基づく前記原稿押さえ機構が開または閉の何れの状態かに応じて、前記位置検出用画像において所定濃度以上の領域を非原稿領域とするかまたは所定濃度以下の領域を非原稿領域とし、原稿の有無および位置を検出する請求項1に記載の画像読取装置。 - コンピュータが、
原稿が置かれる原稿台を走査して位置検出用画像を生成するステップと、
生成された位置検出用画像に基づいて原稿の有無および位置を検出するステップと、
生成された位置検出用画像から前記位置に対応する領域を抽出し、出力される画像に変換するステップと、
変換された画像を出力するステップとを備え、
前記位置検出用画像を生成するステップは、原稿に対応する領域と原稿外の領域との濃度差が強調されるように階調特性が調整された前記位置検出用画像を生成し、
前記出力される画像に変換するステップは、前記位置検出用画像の階調特性を出力用の階調特性に変換する画像読取方法。
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