以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
<実施形態の構成>
本実施形態によるイヤホンコード絡まり防止具は、プラグ部とイヤホンヘッド部とがコードで接続された形態のイヤホンを対象としている。
コードが付属した典型的なイヤホンとして、開放型や密閉型(カナル型)等があるが、本発明は特にいずれかの種類のイヤホンに制限されるものではない。以下では、ステレオ再生を行うイヤホンとして、右用と左用の2個のイヤホンヘッド部を有しているものについて説明する。但し、本発明はモノラル再生用の単一のイヤホンヘッド部を有するものにも適用可能である。また、プラグ部から伸びたコードが左右のイヤホンヘッド部へ分岐する2本の分岐コードの長さが異なっているものにも適用可能である。イヤホンのプラグは典型的な型のものを示したが、他の型、例えば、Lightning(商標)コネクタに接続される型のものであってもよい。
図1(a)は、本実施形態によるイヤホンコード絡まり防止具100を構成する2つの部品としてのケース部材10と芯部材30の外観を示す斜視図である。図1(b)(c)は、芯部材30を異なる角度から見た斜視図である。図2(a)(b)はそれぞれケース部材10の右側面図および左側面図であり、図2(c)(d)はそれぞれ芯部材30の右側面図および左側面図である。
ケース部材10はほぼ筒状の形状で両端に開口14,16を有する。芯部材30は、このケース部材10に挿入され、ケース部材10内で、長手方向に沿って、ケース部材10に対する相対的な位置としての第1の位置と第2の位置との間でスライド可能に構成される。この例では、ほぼ円筒状の筒状体11により構成されている。後述する回転操作を伴うもの以外、筒の断面は円に限るものではなく、四角や他の多角形であってもよい。
筒状体11の一端の開口14には、その円周の3分の1程度(約120°)の幅で長手方向(軸方向)の中間近傍まで伸びた切り欠き12が形成されている。この切り欠き12の一辺に連続した辺を有し、切り欠き12の幅より狭い幅のスリット部13が筒状体11の他端近傍まで延在している。
スリット部13の他方の辺と切り欠き12との境界に、スリット部13の内側方向へ突出した爪状突起15が設けられている。この爪状突起15は後述する芯部材30の爪用スライド溝38と協働して、芯部材30がケース部材10の内部に収容された状態で外方向へスライドしたとき、ケース部材10から脱落することを防止する脱落防止手段として機能する。また、爪状突起15と爪用スライド溝38とは、ケース部材10に対して芯部材30を第1の位置(開位置)と第2の位置(閉位置)との間でスライド可能に案内する案内手段としても機能する。
筒状体11の他端の開口16(開口14と反対側の開口)にはその内周側に肉厚となった所定の厚さの環状縁部17が設けられている。この環状縁部17の肩部は、ケース部材10に挿入された芯部材30の芯状体31の端部が当接してそれ以上の挿入を阻止するストッパとして機能する。
スリット部13の端部は開口16側に開口することなく、筒状体11および環状縁部17のそれぞれの一部が円弧状部19として残されている。この円弧状部19の存在はケース部材10の構造強度を高める働きをする。但し、円弧状部19は必須ではなく、この代わりに、スリット部13は開口16に繋がるように開口してもよい。
芯部材30は、ケース部材10内で、長手方向に沿って第1の位置と第2の位置との間でスライド可能である。図示の例では、芯部材30は、ケース部材10の内部に収容された状態で、ケース部材10の外部から内部に挿入されたイヤホンコードの中間部分を保持する第1のコード保持部32と、イヤホンの不使用時に、プラグ部近傍のコード端部分とイヤホンヘッド部近傍のコード端部分とを束ねてコード収容空間内に保持する第2のコード保持部33とを有する。
ケース部材10内に収容された芯部材30をケース部材10から排出させる際に、ケース部材10に対してスライド操作(すなわち開閉操作)するための操作部として、芯部材30をケース部材10の内部に収容された状態から軸方向に沿って外側方向へ移動させるために、芯部材30は、スリット部13から外部へ露出した操作用突出部37を有する。この操作用突出部37は、例えば、ケース部材10を保持したユーザの片手の親指でスライド操作することができる。この例では操作用突出部37は芯部材30の長手方向に沿って設けられた突条で構成されている。この突条は、長手方向にほぼ山型に湾曲しており、その基部は芯部材30のケース部材10への挿入時に開口14から切り欠き12を経てスリット部13の中へスライドする。操作用突出部37の基部から外方へ突出した部分はケース部材10から外部へ露出する。
なお、操作用突出部37は図示のような湾曲した山型形状でなく、他の形状であってもよい。例えば、ほぼ矩形状の凸部を含む形状や、山型形状の中央が窪んだ谷型形状であってもよい。
芯部材30の第1のコード保持部32については別の図で後述する。
図1(b)に良く表れるように、芯部材30の第2のコード保持部33は、コード収容空間として、プラグ部近傍のコード端部分とイヤホンヘッド部近傍のコード端部分とを束ねて収容する凹部を有する。この凹部は、ほぼL字状(ほぼ90°)に屈曲しており、より具体的には、コード束用横溝35とコード束用縦溝36とが連結したものである。本明細書において、「縦」とは芯部材30やケース部材10の長手方向(軸方向)に沿った方向を意味し、横とはそれに直交する方向を意味する。
図1(b)(c)から分かるように、芯部材30の第1のコード保持部32には、イヤホンコードの中間部分を屈曲して収容するための、端部側に開口したほぼU字状の溝であるコード中間部分収容溝34が形成されている。このほぼU字状の溝は中間壁34aの周りに構成される。
図1(c)には、操作用突出部37の基部の片側側部に設けられた爪用スライド溝38が良く表れている。この爪用スライド溝38は有底の溝であるが、基部の他方の側部へ貫通した底のない溝であってもよい。
図2(a)によく表れるように、ケース部材10の内壁には円形状の突起部18が設けられている。
図3(a)(b)は、それぞれ、ケース部材10に芯部材30を収容した状態で、芯部材30がスライド可能な範囲の限界位置である第1の位置(開位置)と第2の位置(閉位置)とを示している。第1の位置は、図3(a)に示すように、芯部材30がケース部材10から引き出された開位置であり、芯部材30の操作用突出部37の片側の基部に沿って形成された爪用スライド溝38の一端38a(図1(c)参照)に、ケース部材10の爪状突起15が当接する位置である。第2の位置は、図3(b)に示すように、芯部材30がケース部材10に完全に挿入された閉位置であり、芯部材30の端部(図の左端)がケース部材10の環状縁部17に当接する位置(芯部材30の端部が環状縁部17に当接する前に、第2のコード保持部33の大径部の傾斜側辺が切り欠き12の側辺に当接する場合にはその位置)である。
ケース部材10に収容した状態の芯部材30をケース部材10から完全に取り外す(離脱させる)際には、ユーザがケース部材10のスリット部13を若干拡げつつ、爪用スライド溝38から爪状突起15が離脱するように芯部材30をスライドさせる。あるいは、爪状突起15の形状によっては、許容スライド範囲内をスライドさせる通常の力より大きな力を芯部材30に作用させることにより、爪用スライド溝38から爪状突起15を離脱させる構成とすることも可能である。例えば、爪状突起15の形状は開口16側がスリット部13の長手方向に対して垂直に突出しているが、斜めに傾斜している形状としてもよい。
<実施形態の使用手順および使用態様>
図4(a)(b)は、イヤホンコード絡まり防止具100の使用に際して、ユーザが最初に行う操作として、イヤホンコード51の中間部分をイヤホンコード絡まり防止具100の第1のコード保持部に取り付ける手順を示している。
ユーザは、イヤホンコード絡まり防止具100を取り付けたい位置のイヤホンコード51の中間部分をほぼU字状に湾曲させて、この湾曲部を先頭にして開口16の側からケース部材10の中を通し、反対側の開口14から所定量だけ露出させる。ついで、このコード51のほぼU字状の湾曲部を芯部材30のコード中間部分収容溝34(ほぼU字状の溝)に収容する。図4(a)はこの状態を示している。
次いで、この状態の芯部材30をケース部材10の開口14に挿入する。この際、操作用突出部37の位置がスリット部13に合うように、円筒軸周りの回転角度を調整する。
図4(b)は、ケース部材10に挿入された芯部材30の爪状突起15が爪用スライド溝38の端部に到達して同溝に係合した状態(第1の位置)を示している。以後、芯部材30はこの第1の位置と、芯部材30が完全にケース部材10に挿入された位置(第2の位置)との間において、ユーザの適度な力によりスライド可能となる。
第2の位置では、芯部材30の周面の所定の位置に設けられたほぼ円形状の輪郭を有する凹部39に、ケース部材10の内壁に設けられた対応する円形状の突起部18が嵌合(または係合)する。これにより、ケース部材10内で芯部材30を第2の位置に維持する力が働く。すなわち、芯部材30の凹部39とケース部材10の突起部18とは、芯部材30を第2の位置に維持するような保持力を生じさせるロック手段を構成する。なお、凹凸の関係は逆であってもよい。すなわち、芯部材の側に突起部を設け、ケース部材10の側に当該突起部が係合する凹部(または開口)を設けてもよい。
このロック手段の保持力は、図5(c)で後述するように、コード収容空間に両コード端部分を収容した状態で芯部材30がケース部材10の内部に完全に収容されたときその状態(第2の位置)を維持するよう働く。芯部材30に対してその保持力を超える外力が働いたときには、芯部材30は第2の位置から離脱する。
芯部材30をケース部材10に完全に挿入した状態(すなわち芯部材30がケース部材10に対して第2の位置へスライドされた状態)を維持するロック手段は、凹部37と突起部18の組み合わせの代わりに、芯部材30がケース部材10に摩擦力で係止されることにより構成されてもよい。
図5(a)は、ユーザがイヤホン50を使用する際のイヤホン50の全体像の概略を示している。イヤホン50はプラグ部52とイヤホンヘッド部56,57とがコード51で接続された形態を有している。プラグ部52から伸びたコード51は左右のイヤホンヘッド部56,57へ分岐する2本の分岐コード53,54を有している。コード51の太さは分岐コード53,54より太い。コード51は断面が円形状のものを示しているが長円状のものであってもよい。この図は、本実施形態のイヤホンコード絡まり防止具100を、その芯部材30がケース部材10内に収容された状態で垂下させている状態を示している。第2のコード保持部33は空状態のままである。
図5(b)は、イヤホン50の使用後に、収納ケースや袋、鞄等の収納場所にイヤホン50を収納する前に、図4(b)に示したように芯部材30をケース部材10から第1の位置へ突出させることにより第2のコード保持部33のコード収容空間(コード束用横溝35とコード束用縦溝36)を露出(開放)させ、プラグ部近傍のコード端部分とイヤホンヘッド部近傍のコード端部分とを束ねてコード束用横溝35に収容した状態を示している。
図5(c)は、図5(b)の状態で、ケース部材10に対して芯部材30を第2の位置(閉位置)にまでスライドさせて挿入した状態を示している。この挿入の際、ケース部材10の外縁がコード端部分の先端側に当接してコード端部分を押し曲げることによってコード束用縦溝36内にコード束が誘導され、コード束用縦溝36と重なるケース部材10の開口14からプラグ部52およびイヤホンヘッド部56,57が外方へ突出する。
このように、芯部材30のコード収容空間に両コード端部分を収容した状態(第2の位置)においてケース部材10の内部へ収容される際、複数のコード端部分は束としてほぼL字状(ほぼ90°)に屈曲した状態となる。この際、各コード端部分は特に押圧または圧迫されることなく、互いに連結したコード束用横溝35とコード束用縦溝36とからなる屈曲したコード収容空間内に屈曲して収容される。その結果、各コード部分同士の摩擦力および屈曲したコードが元の形状(ほぼ直線)に戻ろうとしてコード収容空間の壁部を外側に押す力が働くことにより生じるコード収容空間の壁部との適度な摩擦力により、同空間内の各コード部分の自由な動きが規制される。
なお、コード中間部分を保持する第1のコード保持部32ではコード1本(ステレオの場合でもコードとしては1本)であり、第2のコード保持部33でのコード束に比べて摩擦力が低くなると考えられるが、1本のコードをほぼU字状に屈曲して(すなわち180°折り返して)コード中間部分収容溝34内に収容することにより、イヤホンコード絡まり防止具100に対するコード中間部の摩擦力を増加させている。その結果、イヤホンに装着したイヤホンコード絡まり防止具100の位置が意図せずにずれてしまうような不具合が防止される。また、コードが1本なので第1のコード保持部32のほぼU字状溝の溝幅は、コード収容空間の幅に比べて小さくてもよく、ほぼU字状に屈曲しても、芯部材30の外径ひいてはケース部材10の内径を必要以上に大きくする必要がない。
一方、第2のコード保持部33では、コード束として取り扱うコード本数が増加するので、ほぼU字状に屈曲すると芯部材30の外径ひいてはケース部材10の内径を必要以上に拡大する必要が生じ、イヤホンコード絡まり防止具100のサイズ(筒の外径)が大きくなる。本実施の形態におけるコード束用横溝35とコード束用縦溝36とからなるほぼL字状(ほぼ90°)に屈曲したコード収容空間の採用はこの問題を解決するのに有用である。しかも、コード束による摩擦力が増加するので、コード端部分の屈曲角度は、ほぼU字状の屈曲(180°の屈曲)でなくL字状の屈曲(ほぼ90°の屈曲)でも足りる。
図5(c)の状態(閉位置)では、上述したロック手段が働き、ケース部材10に芯部材30が収容された状態が維持される。また、この状態では、プラグ部52とイヤホンヘッド部56,57のコード端部分がまとめて固定されるので、イヤホンコード51の絡まりが防止される。イヤホンコード51は、その中間部分に装着されたイヤホンコード絡まり防止具100を基点に折り返され、さらに、プラグ部52とイヤホンヘッド部56,57のコード端部分が第2のコード保持部33にまとめて固定されることにより二重のループを形成するので、ループが一重の場合に比べてイヤホンコード51のたるみ量はほぼ半減し、収納ケースや袋、鞄等の収納場所に収納する際に取り扱いが楽になる。
本実施形態によるイヤホンコード絡まり防止具100は、小型・軽量かつコンパクトにまとまっているので、イヤホン50の使用状態で、図5(a)に示すように空中に垂下させていても、特に違和感はない。例えば、図1に示した実施形態の試作品では、ケース部材10の長さは約19mm、外径は約11mm、重量は約1gである。図では視認性の観点から拡大して示してある。
但し、図6(a)に示すように、遊んでいる第2のコード保持部33をクリップとして利用して、ユーザの衣服の一部(前立て101やポケット102の上縁部)を噛ませることにより、垂下状態のイヤホンコード絡まり防止具100を安定に固定することも可能である。
あるいは、イヤホンコードの全長が過度に長い場合に、図6(b)に示すように、イヤホン使用時、第2のコード保持部33を利用して、例えばコード51の適当な位置に第2のコード保持部33を保持させることにより、使用時のイヤホンコードの実効的な長さを邪魔にならない使いやすい長さに調整することができる。イヤホン使用時に第2のコード保持部33を利用して実効的な長さ調整を行う態様は図示のものに限らない。例えば、余分なイヤホンコード部分をループにした交差部分を第2のコード保持部33を保持させるようにすれば、一層の長さ調整が行えるとともに、ループのサイズを小さくすることができる。あるいは、イヤホンコード絡まり防止具100からプラグ部52までのコード51の部分と、イヤホンコード絡まり防止具100から分岐部までのコード51の部分の2本を束ねた状態で第2のコード保持部33に保持させるようにすることも可能である。
<実施形態の作用効果>
本実施の形態のイヤホンコード絡まり防止具100の作用効果をまとめると以下のとおりである。
(a)イヤホンコード絡まり防止具100はイヤホン50に常時装着して使用することができるため、イヤホン50の不使用時に、別個保管の必要がなく忘れたり紛失したりするおそれがない。
(b)ケース部材10と芯部材30の2部品により小型・軽量かつ比較的低コストに製作できるので、イヤホン50の使用時にイヤホンコード51の中間部分に装着されたままでも装着していることを感じず、邪魔にならない。
(c)イヤホン50の不使用時には、ケース部材10に対する芯部材30の出し入れ操作のみで、第2のコード保持部33にプラグ部近傍のコード端部分とイヤホンヘッド部近傍のコード端部分とを束ねて保持できる。したがって、イヤホン50の収納時および再使用時の操作が極めて簡単かつ迅速に行えるのみならず、コード端部分の保持によりコードの絡まりが有効に防止される。
(d)ケース部材10と芯部材30とで形成される第1および第2のコード保持部の空間内に屈曲してイヤホン50のコード部分を保持する構成により、コードの異なる太さや長短、形状等に対応でき、ほぼ殆どの種類のイヤホンに利用可能である。
(e)同じくケース部材10と芯部材30とで形成される第1および第2のコード保持部の空間内に屈曲してコード部分を保持する構成により、コードに圧力を掛けて(圧迫して)保持しなくてもコード保持が確実となり、コードが絡まり防止具100から外れることがない。プラグ部近傍のコード端部分とイヤホンヘッド部近傍のコード端部分とは太さが異なるが、挟持する構成ではなく空間内に収容する構成なので何ら問題がない。
(f)コードを圧迫しないので長期間使用してもコードを傷めることがない。
(g)第2のコード保持部33を利用して、イヤホンコード絡まり防止具100を衣服の一部等に固定して利用すれば、使用中のイヤホン50のコードおよびイヤホンコード絡まり防止具100の安定化が図れる。
(h)部品の点数は2点でよく、合成樹脂等の材料で構成できるので、低コストで製作できる。
(i)イヤホン50の不使用時にイヤホンコード絡まり防止具100はコードをぐるぐる巻きにしないので、イヤホン50の収納時や使用前の操作に時間を要さず、コードの巻き癖がつくこともない。
(j)第2のコード保持部33にプラグ部近傍のコード端部分とイヤホンヘッド部近傍のコード端部分とを束ねて保持した際に、イヤホンコード全体は二重のループを形成するので、一重のループを形成する場合に比べて、コードの垂れ下がり量が小さくなり、取り扱いが容易となる。
(k)イヤホンの使用時に、第2のコード保持部33を用いて、イヤホンコード絡まり防止具100を衣服等に固定するためのクリップとして利用したり、イヤホンコードの全長が過度に長い場合にコードの長さを調整したりすることができる。
<第1の変形例>
図7にイヤホンコード絡まり防止具の実施形態の第1の変形例を示す。図7(a)は、第1の変形例におけるイヤホンコード絡まり防止具100aのケース部材110と芯部材130の外観を示した斜視図である。図7(b)は芯部材130の正面図を示している。また、図8(a)(b)にそれぞれケース部材110の右側面図および左側面図を示し、図8(c)(d)にそれぞれ芯部材130の右側面図および左側面図を示す。
この第1の変形例においても、図7(a)に示すように、イヤホンコード絡まり防止具100aはケース部材110と芯部材130の二つの部品のみにより構成される。ケース部材110は、ほぼ円筒状の筒状体111により構成されている。芯部材130は、第1のコード保持部132と第2のコード保持部133とを有する芯状体131により構成される。第1のコード保持部132には、図4(a)に示したと同様の、イヤホンコードの中間部分を屈曲して収容するための、端部側に開口したほぼU字状の溝であるコード中間部分収容溝が形成されている(図7(a)では隠れている)。第2のコード保持部133は、コード束用横溝135とコード束用縦溝136とからなるほぼL字状(ほぼ90°)に屈曲したコード収容空間を有する。
このような構成は図1に示した実施形態と共通している。図1の実施形態と異なる構成は以下の点である。
図1の実施形態では、ケース部材10の中で芯部材30がスライド動作する範囲を定める案内手段として、あるいは脱落防止手段として、ケース部材10の爪状突起15と芯部材30の爪用スライド溝38との組み合わせを用いた。これに対して、第1の変形例では、芯部材130の表面(湾曲した周面)にクランク状溝138と、ケース部材110の内壁から内側へ突出しクランク状溝138に係合してスライドする突起部118とを設けている。クランク状溝138は、芯部材130の一端(第1のコード保持部132側)に開口し芯部材130の半ばまでその長手方向に沿って伸びた第1の溝部分138aと、この第1の溝部分138aからほぼ直角に屈曲して芯部材130の円周方向に若干量(回転角度にして15°程度)横行した第2の溝部分138bと、この第2の溝部分138bから長手方向に沿って芯部材130の他端側へ伸びた第3の溝部分138cとからなる。筒状体111の一端の開口114には、その円周の3分の1程度(約120°)の幅で長手方向(軸方向)の中間近傍まで伸びた切り欠き112が形成されている。この切り欠き112の一辺に連続した辺を有し、切り欠き112の幅より狭い幅のスリット部113が筒状体111の長手方向中間付近まで延在している。
なお、第3の溝部分138cは芯部材130の他端に開口している例を示したが、他端側には開口せずに、芯部材130の当該他端から離れた位置で終端してもよい。
芯部材130へのコード中間部分の保持は、図1の実施形態と同様である。すなわち、ユーザは、このイヤホンコード絡まり防止具100aを取り付けたい位置のイヤホンコード51の中間部分をほぼU字状に湾曲させて、この湾曲部を先頭にして開口116の側からケース部材110の中を通し、反対側の開口114から所定量だけ露出させ、ついで、このほぼU字状の湾曲部を芯部材130のコード中間部分収容溝134(図8(d)参照)に収容する。
この状態の芯部材130をケース部材110の開口114に挿入する。その際、この第1の変形例では、クランク状溝138の第1の溝部分138aに突起部118を係合させた状態で同溝部分138aの端部まで芯部材130をケース部材110内へ挿入する。図9(a)にその状態を示す。便宜上、コードは図示省略してある。
ユーザは図9(a)の状態から、第2の溝部分138bの一端にある突起部118が第2の溝部分138bの他端へ移動するように、ケース部材110に対して芯部材130を回転させる。図9(b)にこの回転後の状態を示す。ケース部材110に対する芯部材130のこの位置が、芯部材130がスライド可能な範囲の限界である第1の位置(開位置)に相当する。
さらにユーザは図9(b)の状態において、突起部118が第3の溝部分138cの一端から他端方向へ移動するように、ケース部材110に対して芯部材130をさらにケース部材110の奥方向へスライドして挿入する。図9(c)にこの挿入後の状態を示す。ケース部材110に対する芯部材130のこの位置が、芯部材130がスライド可能な範囲の限界である第2の位置(閉位置)に相当する。
結局、第1の変形例では、第1のコード保持部132への初期的なコード中間部分の取り付け後の、コード端部分の繰り返しの着脱動作は図9(b)の第1の位置(開位置)と図9(c)の第2の位置(閉位置)との間のケース部材110内での軸方向(縦方向)での芯部材130のスライド動作により行われる。そのスライド動作は、上記実施形態に関して図3(a)(b)に示した動作と同様である。
また、この第1の変形例では、ケース部材110内に収容された芯部材130をケース部材110から排出させる際に、ケース部材110に対してスライド操作するための操作部として、スリット部113から外部へ露出した操作用突出部137を有する。操作用突出部137は、芯部材130の長手方向に沿って設けられた突条で構成されているが、その基部のほぼ半分(コード保持部132側)は空隙部139となっている(図7(b)参照)。これにより、第1の溝部分138aに沿って突起部118をスライドさせる際、操作用突出部137の空隙部139がケース部材110の壁面を受容するので、操作用突出部137がスライド動作の支障となることはない。また、第1の位置から第2の位置への移動の際にも空隙部139はケース部材110の台座部119を受容する。このとき、操作用突出部137の残存する基部はスリット部113に受容される。したがって、スリット部113の長さはスリット部13に比べて短くて足りる。
図示の例では、クランク状溝138の第3の溝部分138cは操作用突出部137の空隙部139に重なる位置に設けられている(図7(a)(b)参照)。但し、クランク状溝138と操作用突出部137の空隙部139の位置関係は図示の構成に限るものではない。
第3の溝部分138cに沿ったケース部材110に対する芯部材130の挿入の際、操作用突出部137の基部がケース部材110のスリット部113の端部に当接することにより、それ以上の挿入が阻止される。したがって、第1の変形例では、図1の実施形態の環状縁部17に相当する部位をケース部材110に設ける必要はない。
第3の溝部分138cに沿って芯部材130をケース部材110に完全に挿入した状態(すなわち芯部材130がケース部材110に対して第2の位置へスライドされた状態)を維持するロック手段として、操作用突出部137の空隙部139側の面が台座部119に乗り上げて、その摩擦力で芯部材130が第2の位置(閉位置)に保持されるようにすることができる。
あるいは、図1に示した実施形態のように、突起部18と凹部39に相当する部位の係合でロック手段を構成してもよい。例えば、突起部としてケース部材110の突起部118を利用することができる。その場合、第2の位置での芯部材130の第3の溝部分138cの、突起部118が位置する溝部分位置の直前の位置の溝深さを若干浅くした浅瀬部(または狭隘部)を形成することにより、凹部に相当する部位を設けることができる。突起部118は第2の位置に達する直前でその浅瀬部を乗り越える際に余分な操作力を要するので、芯部材130には、その乗り越えた後は当該第2の位置に維持される保持力が働く。
なお、溝部分138bの中間位置にも同様の浅瀬部(または狭隘部)を設けてもよい。これによって、芯部材130の回転操作時に突起部118が浅瀬部を乗り越える際に、比較的大きな力を要する。その結果、突起部118は第3の溝部分138cへ移行した後は、ある程度の大きさ以上の横向きの力(回転力)が働かない限り、第1の位置と第2の位置の間の第3の溝部分138cから誤って第1の溝部分138aへ移動することがない。
図9(c)に示した第2の位置の状態において、台座部119の上に空隙部139が若干残る構成とした場合、操作部137を万年筆のキャップに設けられていると同様のクリップとして、図6で説明したように、ポケット等の衣服の一部に固着する手段として利用することも可能である。
他の作用効果は上述した実施形態と同様である。
<第2の変形例>
図10に、イヤホンコード絡まり防止具の実施形態の第2の変形例を示す。図10(a)は第2の変形例におけるイヤホンコード絡まり防止具100bのケース部材210と芯部材230の外観を示した斜視図である。図10(b)は芯部材230の別の角度から見た斜視図である。
この第2の変形例においても、図10(a)に示すように、イヤホンコード絡まり防止具100bはケース部材210と芯部材230の二つの部品のみにより構成される。ケース部材210は、ほぼ円筒状の筒状体211により構成されている。芯部材230は、第1のコード保持部232と第2のコード保持部233とを有する芯状体231により構成される。第1のコード保持部232には、イヤホンコードの中間部分を屈曲して収容するための、端部側に開口したほぼU字状の溝であるコード中間部分収容溝234(図10(b)参照)が形成されている。第2のコード保持部233は、コード束用横溝235とコード束用縦溝236とからなるほぼL字状(ほぼ90°)に屈曲したコード収容空間を有する。
このような構成は上述した実施形態および第1の変形例と共通している。
図10(a)によく表れるように、芯部材230の表面(湾曲した周面)にクランク状溝238と、ケース部材210の内壁から内側へ突出し、クランク状溝238に係合してスライドする突起部218とを有している。クランク状溝238は、芯部材230の一端(第1のコード保持部232側)に開口し、芯部材230の半ばまでその長手方向に沿って伸びた第1の溝部分238aと、この溝部分238aがほぼ直角に屈曲して芯部材230の円周方向に若干量(回転角度にして15°程度)横行した第2の溝部分238bと、この第2の溝部分238から芯部材230の膨大頭部233aの近傍まで長手方向に沿って伸びた第3の溝部分238cとからなる。このような構成は第1の変形例と同様である。
芯部材230へのコード中間部分の保持も図1の実施形態と同様である。すなわち、ユーザは、このイヤホンコード絡まり防止具100bを取り付けたい位置のイヤホンコード51の中間部分をほぼU字状に湾曲させて、この湾曲部を先頭にして開口216の側からケース部材210の中を通し、反対側の開口214から所定量だけ露出させ、ついで、このほぼU字状の湾曲部を芯部材230のコード中間部分収容溝234に収容する。
なお、第2の変形例におけるコード中間部分収容溝234は図1(b)に示したような厳密な意味での溝の構成ではないが、実際上、中間壁232aとケース部材210の内壁とによりほぼU字状の溝が構成される。
筒状体211の一端の開口214には、長手方向(軸方向)の中間近傍まで伸びた切り欠き212が形成されている。この変形例では、切り欠き212に続くスリット部は存在しない。ユーザは、この状態の芯部材230をケース部材110の開口214に挿入する。その際、この第2の変形例では、クランク状溝238の第1の溝部分238aに突起部218を係合させた状態で同溝部分238aの端部まで芯部材230をケース部材210内へ挿入する。図11(a)にその状態を示す。便宜上、コードは図示省略してある。
ユーザは図11(a)の状態から、第2の溝部分238bの一端にある突起部218が第2の溝部分238bの他端へ移動するように、ケース部材210に対して芯部材230を回転させる。図11(b)にこの回転後の状態を示す。ケース部材210に対する芯部材230のこの位置が、芯部材230がスライド可能な範囲の限界である第1の位置(開位置)に相当する。
さらにユーザは図11(b)の状態から、突起部218が第3の溝部分238cの一端から他端方向へ移動するように、ケース部材210に対して芯部材230をさらにケース部材210の奥方向へ挿入する。図11(c)にこの挿入後の状態を示す。ケース部材210に対する芯部材230のこの位置が、芯部材230がスライド可能な範囲の限界である第2の位置(閉位置)に相当する。
上記実施形態および第1の変形例と異なる構成は以下の点である。
すなわち、第2の変形例では、操作部として、上述した突条の代わりに、第2のコード保持部233に対して膨大頭部233aが設けられている。ユーザはこの膨大頭部233aを指先で摘んで、必要な操作(例えば、ケース部材210に対する芯部材230の挿入・離脱ならびに第1および第2の位置間のスライド操作を行うことができる。
芯部材230をケース部材210に完全に挿入した状態(すなわち芯部材230がケース部材210に対して第2の位置へスライドされた状態)を維持するロック手段は、第2のコード保持部233の膨大頭部233aの近傍がケース部材210に摩擦力で係止されることにより構成される。
これに代えて、またはこれに加えて、第1の変形例で上述したように、突起部218がクランク状溝238の浅瀬部(または狭隘部)を乗り越えて凹部に嵌合する構成を設けてもよい。
第2の変形例では、第1のコード保持部232への初期的なコード中間部分の取り付け後の、コード端部分の繰り返しの着脱動作は図11(b)の第1の位置(開位置)と図11(c)の第2の位置(閉位置)との間のスライド動作により行われる。図11において、コードは図示省略してある。そのスライド動作は、上記実施形態に関して図3(a)(b)に示した動作と同様である。
他の作用効果は上述した実施形態と同様である。
<第3の変形例>
図12にイヤホンコード絡まり防止具の実施形態の第3の変形例を示す。図12(a)は第3の変形例におけるイヤホンコード絡まり防止具100cのケース部材310と芯部材330の外観を示した斜視図である。図12(b)はケース部材310に芯部材330を挿入した第1の位置(開位置)での外観を示す斜視図、図12(c)は第2の位置(閉位置)での外観を示す斜視図である。
この第3の変形例においても、図12(a)に示すように、イヤホンコード絡まり防止具100cはケース部材310と芯部材330の二つの部品のみにより構成される。ケース部材310は、ほぼ円筒状の筒状体311により構成されている。芯部材330は、第1のコード保持部332と第2のコード保持部333とを有する芯状体331により構成される。第1のコード保持部332には、イヤホンコードの中間部分を屈曲して収容するための、端部側に開口したほぼU字状の溝であるコード中間部分収容溝334が形成されている。第2のコード保持部333は、コード束用横溝335とコード束用縦溝336とからなるほぼL字状(ほぼ90°)に屈曲したコード収容空間を有する。
このような構成は上述した実施形態、および第1および第2の変形例と共通している。異なる点は以下の点である。
第3の変形例では、第2の変形例と同様に、操作部として、第2のコード保持部333に対して膨大頭部333aが設けられている。ユーザはこの膨大頭部333aを指先で摘んで、必要な操作(例えば、ケース部材310に対する芯部材330の挿入・離脱ならびに第1および第2の位置間のスライド操作を行うことができる。
芯部材330をケース部材310に完全に挿入した状態(すなわち芯部材330がケース部材310に対して第2の位置へスライドされた状態)を維持するロック手段は、第2のコード保持部333の膨大頭部333aの近傍がケース部材310の開口314に摩擦力で係止されることにより構成される。
これに代えて、またはこれに加えて、上述した実施形態のような、ケース部材310の内壁に設けられた突起部(図示せず)が芯部材330の表面に設けられた凹部(図示せず)に嵌合する構成を設けてもよい。
第3の変形例では、第1のコード保持部への初期的なコード中間部分の取り付け後の、コード端部分の繰り返しの着脱動作は図12(b)の第1の位置(開位置)と図12(c)の第2の位置(閉位置)との間のスライド動作により行われる。図12においてコードは図示省略してある。そのスライド動作は、上記実施形態に関して図3(a)(b)に示した動作と同様である。
図12に示すように、芯部材330の第2のコード保持部333の大径部分の傾斜側辺と、ケース部材310の切り欠き312の傾斜側辺はほぼ同一のサイズおよび形状を有し、ケース部材310に対して芯部材330を所定の位置へ案内する一種の案内手段として機能する。他の作用効果は上述した実施形態と同様である。
<第4の変形例>
図13に、イヤホンコード絡まり防止具の実施形態の第4の変形例を示す。図13(a)は第4の変形例におけるイヤホンコード絡まり防止具100dのケース部材410と芯部材430の外観を示した斜視図である。図13(b)は芯部材430の別の角度から見た斜視図である。
この第4の変形例においても、図13(a)に示すように、イヤホンコード絡まり防止具100dはケース部材410と芯部材430の二つの部品のみにより構成される。ケース部材410は、ほぼ円筒状の筒状体411により構成されており、開口414に繋がる切り欠き412を有する。芯部材430は、第1のコード保持部432と第2のコード保持部433とを有する芯状体431により構成される。第2のコード保持部433は、コード束用横溝435とコード束用縦溝436とからなるほぼL字状(ほぼ90°)に屈曲したコード収容空間を有する。第1のコード保持部432には、イヤホンコードの中間部分を屈曲して収容するための、端部側に開口したほぼU字状の溝であるコード中間部分収容溝434が形成されている。
このような構成は上述した実施形態、および第1、第2および第3の変形例と共通している。ただし、第1のコード保持部432のほぼU字状の溝の直線部の外壁は不完全であり、その中間壁432aが長手方向に延出した構成を有している。すなわち、第4の変形例におけるコード中間部分収容溝434は図1(b)に示したような厳密な意味での溝の構成ではないが、実際上、中間壁432aとケース部材410の内壁とによりほぼU字状の溝が構成される。
図14(a)は、ケース部材410に芯部材430の一端を挿入し、コード収容空間が開放された、芯部材430の第1の位置(開位置)を示す。
図14(b)に示すように、芯部材430の一端である中間壁432aは、ケース部材410に芯部材430が完全に挿入された状態(すなわち芯部材30がケース部材10に対して第2の位置へスライドされた状態)で、突出尻部として、ケース部材410の開口416から外方へ突出する。
第4の変形例では、この突出尻部としての中間壁432aが操作部としても機能する。すなわち、ケース部材410に対して第2の位置(閉位置)にある芯部材430を第1の位置(開位置)へスライド操作させるとき、ユーザはケース部材410に対して、突出尻部(すなわち芯部材430の突出した中間壁432a)をケース部材410の開口416の端部位置まで押し込めば足りる。
したがって、第4の変形例では、上述した突条や膨大頭部のような他の操作部は必要ない。
一方、ケース部材410のほぼ中央部の環状突条417が補助操作部として設けられている。この補助操作部は、突出尻部を押すユーザの一方の手(指)に対して、他方の手でケース部材410を保持する際の滑り止め部として働く。ケース部材410に芯部材430を挿入する際にも同様の滑り止め部として機能する。
環状突条417は完全な円環である必要は無く、その一部が1箇所以上欠けていてもよい。図の例においても1箇所が欠けている。この欠けている部分にケース部材410の一部が入り込むことにより、ケース部材410に対する芯部材430の回転方向の位置決めが行えるようになっている。また、図13に示すように、芯部材430の第2のコード保持部433の大径部分433aの傾斜側辺と、ケース部材410の切り欠き412の傾斜側辺はほぼ同一のサイズおよび形状を有し、ケース部材410に対して芯部材430を第1の位置から第2の位置へスライドさせる際に、ケース部材410に対して芯部材430を所定の回転位置へ案内する一種の案内手段として機能する。滑り止め部としては環状突条417に限るものではなく、例えばケース部材410の表面に凹凸形状や横縞状等の溝形状などの摩擦力増大手段を設けてもよい。
芯部材430をケース部材410に完全に挿入した状態(すなわち芯部材430がケース部材410に対して第2の位置へスライドされた状態)を維持するロック手段として、第2のコード保持部433の端部近傍がケース部材310の開口314に摩擦力で係止されることにより構成される。
なお、図14ではコードは図示省略してある。そのスライド動作は、上記実施形態に関して図3(a)(b)に示した動作と同様である。
他の作用効果は上述した実施形態と同様である。
<第5の変形例>
図15に、イヤホンコード絡まり防止具の実施形態の第5の変形例を示す。図15(a)は第5の変形例におけるイヤホンコード絡まり防止具100eのケース部材510と芯部材530の外観を示した斜視図である。図15(b)はケース部材510の特定の角度から見た正面図である。図15(c)は芯部材530の背面図である。
この第5の変形例においても、図15(a)に示すように、イヤホンコード絡まり防止具100eはケース部材510と芯部材530の二つの部品のみにより構成される。ケース部材510は、ほぼ円筒状の筒状体511により構成されており、開口514に繋がる切り欠き512を有する。芯部材530は、第1のコード保持部532と第2のコード保持部533とを有する芯状体531により構成される。第2のコード保持部533は、コード束用横溝535とコード束用縦溝536とからなるほぼL字状(ほぼ90°)に屈曲したコード収容空間を有する。第1のコード保持部532には、イヤホンコードの中間部分を屈曲して収容するための、端部側に開口したほぼU字状の溝であるコード中間部分収容溝534が形成されている。
このような構成は上述した実施形態、および第1〜第4の変形例と共通している。ただし、第1のコード保持部532のほぼU字状の溝の直線部の外壁は第4の変形例と同様に不完全であり、その中間壁532aが長手方向に延出した構成を有している。すなわち、第5の変形例におけるコード中間部分収容溝534は図1(b)に示したような厳密な意味での溝の構成ではないが、実際上、中間壁532aとケース部材510の内壁とによりほぼU字状の溝が構成される。
第5の変形例は図7に示した第1の変形例をさらに変形したものである。すなわち、第1の変形例では、ケース部材の中で芯部材がスライド動作する範囲を定める案内手段として、あるいは脱落防止手段として、芯部材130の表面(湾曲した周面)にクランク状溝138と、ケース部材110の内壁から内側へ突出しクランク状溝138に係合してスライドする突起部118とを設けた。これに対して、第4の変形例では、クランク状溝138の機能に相当する要素として、ケース部材510にクランク状スリット538(538a,538b,538cの総称)を設けている。このクランク状スリット538は、一連の第1のスリット部分538aと第2のスリット部分538bと第3のスリット部分538cを含む。第1のスリット部分538aは切り欠き512が兼ねている。第3のスリット部分538cは、ケース部材510の長手方向に伸びる図1のスリット部13に相当するスリット513が兼ねている。第2のスリット部分538bは第1のスリット部分538aの端部から横行して第3のスリット部分538cの端部につながる部分である。
このようなクランク状スリット538に案内される部位として、第1の変形例における操作用突出部137に相当する部材としての操作用突出部537の下部に柱状部537bを設けている。操作用突出部537はその下部において、第2のコード保持部533側の端部の基部537aと、第1のコード保持部532側の中間部の柱状部537bとで芯状体531の表面に接続されている。操作用突出部537の下部において、基部537aと柱状部537bの間には細長い空隙537cが形成され、また、柱状部537bの外側には細長い空隙539が形成されている。ケース部材510において、第2のスリット部分538bの一端を構成するよう、ケース部材510の一部が切り欠き512の方向へ突出した突出部515が設けられる。
図16により、第5の変形例におけるイヤホンコード絡まり防止具100eの手順を説明する。図では、便宜上、イヤホンコードは図示省略してある。
まず、第1のコード保持部532にイヤホンコードの中間部分を保持した状態で芯部材530がケース部材510に挿入される際、操作用突出部537の柱状部537bがクランク状スリット538に係合する。したがって、本明細書では柱状部を係合片と呼ぶ。
より具体的には、芯部材530は柱状部537bケース部材510の切り欠き512である第1のスリット部分538aに進入し、奥方向へスライドしてその端部に達する。その後、柱状部537bが第2のスリット部分538bに沿って移動するように、ケース部材510に対して芯部材530を回転させる。これにより柱状部537bが第2のスリット部分538bの端部に達する。この後、柱状部537bは第3のスリット部分538cの全長にわたって、往復動が可能となる。この往復動はケース部材510に対してその長手方向に沿って、第1の位置と第2の位置の間で芯部材530がスライド動作可能となることを意味する。
たとえば突出部515の形状の工夫等により、第2のスリット部分538bの経路中に狭隘な部分(狭隘部または浅瀬部)を設けることにより、柱状部537bが第1のスリット部分538aから第3のスリット部分538cへ移行する際(およびその逆方向への移行の際)、若干の外力(操作力)増加を必要とすることにより、一旦、柱状部537bが第3のスリット部分538cへ移行した後はユーザの意思に反して不用意に第1のスリット部分538a側へ戻ることがないようにすることができる。
イヤホンの不使用時に、芯部材530の一部がケース部材510から引き出された第1の位置で、プラグ部近傍のコード端部分とイヤホンヘッド部近傍のコード端部分とを束ねて第2のコード保持部533のコード収容空間内に収容する。この状態で芯部材530をケース部材510の中(第2の位置)へスライドさせる。これにより、図5(c)に示したと同様に、コード端部分のコード束が第2のコード保持部533に収納・固定される。この固定状態を確実にするために、図示しないが、上述した突起部18および凹部39のようなロック手段を設けてもよい。
なお、係合片としては、柱状部537bの代わりに、芯状体531の表面から外方へ突出した突起部(図示せず)を用いることも可能である。あるいは、操作用突出部537の裏面から下方へ突出した突起部(芯状体531に達しない)を利用することも可能である。前者の場合、ケース部材のクランク状スリット538の代わりに、内周面に設けられた有底のクランク状溝を設けてもよい。
<第6の変形例>
図17に、イヤホンコード絡まり防止具の実施形態の第6の変形例を示す。図17(a)は第6の変形例におけるイヤホンコード絡まり防止具100fのケース部材610と芯部材630の外観を示した斜視図である。図17(b)は芯部材630の特定の角度から見た正面図、図17(c)はその背面図である。
この第6の変形例においても、図17(a)に示すように、イヤホンコード絡まり防止具100fはケース部材610と芯部材630の二つの部品のみにより構成される。ケース部材610は、ほぼ円筒状の筒状体611により構成されており、開口614に繋がる切り欠き612を有する。芯部材630は、第1のコード保持部632と第2のコード保持部633とを有する芯状体631により構成される。第2のコード保持部633は、コード束用横溝635とコード束用縦溝636とからなるほぼL字状(ほぼ90°)に屈曲したコード収容空間を有する。第1のコード保持部632には、イヤホンコードの中間部分を屈曲して収容するための、端部側に開口したほぼU字状の溝であるコード中間部分収容溝634が形成されている。
このような構成は上述した実施形態、および第1〜第5の変形例と共通している。ただし、第1のコード保持部632のほぼU字状の溝の直線部の外壁は第4の変形例と同様に不完全であり、その中間壁634aが長手方向に延出した構成を有している。すなわち、第6の変形例におけるコード中間部分収容溝634は図1(b)に示したような厳密な意味での溝の構成ではないが、実際上、中間壁634aとケース部材610の内壁とによりほぼU字状の溝が構成される。
第6の変形例のイヤホンコード絡まり防止具100fは、図13に示した第4の変形例をさらに変形したものである。すなわち、第4の変形例のイヤホンコード絡まり防止具100dに対して明示的な脱落防止手段の機能を追加したものである。すなわち、芯部材630の側部表面(平板状部である中間壁634aのコード中間部分収容溝634が設けられていない側の細長い外周面)上に、その長手方向に沿ってスライド溝638(638b、638cの総称)が設けられる。この溝部分638cは機能的には、上述した第1の変形例のクランク状溝138の第3の溝部分138cに対応する。クランク状溝138の第2の溝部分138bに対応する要素として、第6の変形例ではスライド溝638の溝部分638bが設けられている。溝部分638bは溝部分638cの端部(第2のコード保持部633側)において溝部分638cの側部(横方向)に設けられた凹部(溝部の側壁が欠落した部分)により構成される。第6の変形例において第1の溝部分138aに対応する要素は存在しない。
ケース部材610の内周面の所定の位置には、溝部分638cに係合する突起部618が設けられる。図17において、図13のイヤホンコード絡まり防止具100dに示したような環状突条417は図示していないが、これを設けてもよい。
図18により、イヤホンコード絡まり防止具100fの使用時の手順を説明する。図では、便宜上、イヤホンコードは図示省略してある。図18では便宜上、突起部618は塗りつぶして示してある。
まず、第1のコード保持部632にイヤホンコードの中間部分を保持した状態で芯部材630がケース部材610に挿入される際、図18(a)に示すように、ケース部材610の内周面上の突起部618が溝部分638bの傍らに位置するように、芯部材630をケース部材610内へ挿入する。この際、第1のコード保持部632は上述したような操作部として機能する突出尻部を構成している。
この状態で、ケース部材610に対して芯部材630を所定の方向に回転させることにより、図18(b)に示すように、突起部618が溝部分638bを経由して(乗り越えて)溝部分638cの端部に到達して、そこに係合される。
その後、突起部618は溝部分638cの全長にわたって、往復動が可能となる。この往復動はケース部材610に対してその長手方向に沿って、第1の位置と第2の位置の間で芯部材630がスライド動作可能となることを意味する。
たとえば、突起部618のサイズに比して、第2の溝部分638bに狭隘な部分(狭隘部または浅瀬部)を設けることにより、突起部618が溝部分638bの外側から溝部分638cへ移行する際(およびその逆方向への移行の際)、若干の外力(操作力)増加を必要とすることにより、一旦、突起部618が溝部分638cへ移行した後はユーザの意思に反して不用意にこの溝部分638cから離脱することがないようにすることができる。
図18(c)に示すように、イヤホンの不使用時に、芯部材630の第2のコード保持部633がケース部材610から引き出された第1の位置で、プラグ部近傍のコード端部分とイヤホンヘッド部近傍のコード端部分とを束ねて第2のコード保持部633のコード収容空間内に収容する。この状態で、芯部材630の第2コード保持部633がケース部材610に押し込まれると、突起部618が溝部分638cに案内されて、芯部材630がケース部材610の中(第2の位置)へ直線的に移動する。これにより、図5(c)に示したと同様に、コード端部分のコード束が第2のコード保持部633に収納・固定される。この固定状態を確実にするために、図示しないが、上述した突起部18および凹部39のようなロック手段を設けてもよい。
このように本変形例では、操作時に、ケース部材610の内周面に設けられた突起部618が重要な役割を果たすので、ケース部材610内にある突起部618およびスライド溝638が視認できるように、ケース部材610は透明(半透明を含む)の材料で形成することが望ましい。
なお、溝部分638cの端部においてその横方向のいずれの側に溝部分638bを設けるかは第2のコード保持部633のコード束用横溝635と切り欠き612との関係による。すなわち、突起部618が溝部分638cに係合した状態から溝部分638bを経由して溝部分638cから離脱する際に、第2の位置(閉位置)においてケース部材610が芯部材630に対して回転しなければならないが、この回転が第2のコード保持部633に保持されたコード端部分(コード束)を解放する側に行われる必要がある。このような観点から、図18に示した例では、溝部分638cを第1のコード保持部632側から第2のコード保持部633へ向かって見た場合に、左側に設けられる。
図19により、第6の変形例における芯部材630のさらなる変形例としての芯部材630aの構成例を説明する。
図19(a)は芯部材630の外観を示し、図19(b)はその変形例である芯部材630aの外観を示している。第1のコード保持部632の中間壁634aは比較的平板状の形状を有している。これに対して、芯部材630aでは、平板状部の背部に設けられた溝部分638cに沿ってその片側に円弧状に張り出した延出部634bが設けられている。
延出部634bの第1の目的は、平板状の第1のコード保持部632(特に第2のコード保持部633への連結部分)の機械的強度を増加させることである。突起部618が溝部分638bを乗り越える際に、比較的大きな回転力が第1のコード保持部632の中間壁634aに掛かる。このため、延出部634bを設けることにより、中間壁634aが芯状体631の大径部に接続する接続面積を拡大させることができる。その結果、第1のコード保持部632、ひいては芯部材630の機械的強度が向上する。
延出部634bの第2の目的は、溝部分638cに沿ってその片側のみに円弧状に張り出したことにより、芯部材630の長手方向に垂直の平面での平板状部(第1のコード保持部632)の断面形状が非対称の形状となり、これによって芯部材630をケース部材610に挿入する際の回転位置の決定を容易にすることである。つまり、回転方向において、ケース部材610の突起部618を延出部634bの張り出し端の側に位置させればよいことが直ちに理解されることにより、迅速かつ容易に適切な挿入操作を行うことが可能となる。
<その他の変形例>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。
例えば、イヤホンコードの中間部分を保持する第1のコード保持部は芯部材30にほぼU字状の溝を形成することにより設けたが、必ずしもほぼU字状の溝に限るものではない。さらに言えば、第1のコード保持部は芯部材30に代えてまたは加えてケース部材10の側に設けてもよい。これによって上述した実施形態の作用効果は若干減殺されることがあるとしても、なお第2のコード保持部により得られる格別な作用効果は有効である。
また、ケース部材と芯部材の二つの部品のみにより構成される例を示したが、本発明は三つ以上の部品を利用することを排除するものではない。例えば、ケース部材と第2の芯部材とで第1のコード保持部を構成することも可能である。
また、上述した複数の変形例のそれぞれの特徴および細部の構成については、特に言及しない場合にも、物理的に支障がない限り、他の変形例の特徴および細部の構成と組み合わせて用いることができる。