以下、本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、および右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、および右側とする。
図1および図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠10によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、遊技球発射装置37(図3参照)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられている。遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた発射強度で、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される。前面枠10の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。ガイドレール3は、遊技領域4の左側に形成されている。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行するセンター飾り8が設けられている。
センター飾り8は、表示画面28、可動体31等を主に備える。表示画面28は、センター飾り8の略中央に配置される。表示画面28は、例えばLCD等によって構成されており、様々な数字・文字等を表示可能である。表示画面28は、例えば、後述する第一大当たり判定の結果と第二大当たり判定の結果とを遊技者に報知する演出用の図柄である演出図柄を表示する。本実施形態の演出図柄は、第一演出図柄と第二演出図柄とを含む。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)の第一演出図柄を変動させる図柄変動を表示した後に、第一大当たり判定の結果を示す第一演出図柄の組合せを確定表示する第一報知演出を実行することで、第一大当たり判定の結果を遊技者に報知する。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)の第二演出図柄を変動させる図柄変動を表示した後に、第二大当たり判定の結果を示す第二演出図柄の組合せを確定表示する第二報知演出を実行することで、第二大当たり判定の結果を遊技者に報知する。以下、第一報知演出および第二報知演出を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「報知演出」ともいう。可動体31は、表示画面28の右方に設けられている。可動体31は、可動部を動作させることで各種演出を行う。
センター飾り8の略中央下方には、第一始動口14が設けられている。第一始動口14の右斜め下方には、第二始動口16が設けられている。第二始動口16の右斜め上方には、大入賞口17が設けられている。大入賞口17の右斜め上方には、第一始動電動役物15が設けられている。第一始動電動役物15の上方には、普通図柄作動ゲート12が設けられている。第一始動電動役物15および大入賞口17は、それぞれ開閉部材を備える。遊技球は、開閉部材が開放された場合にのみ、第一始動電動役物15および大入賞口17のそれぞれに入賞できる。遊技盤2の最下部には、アウト口18が設けられている。遊技領域4には、上記以外に、各種の電飾部材、普通入賞口、風車および遊技くぎ等が設けられている。
遊技盤2の右下部には、図柄表示部24が設けられている。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED、および普通図柄記憶数表示LEDを備える。第一特別図柄表示部および第二特別図柄表示部は、それぞれ1つの7セグメントLEDからなり、第一大当たり判定および第二大当たり判定の結果を示す第一特別図柄および第二特別図柄を表示する。以下、第一大当たり判定および第二大当たり判定を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「大当たり判定」ともいう。第一特別図柄および第二特別図柄を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「特別図柄」ともいう。パチンコ機1は、第一特別図柄として、大当たりを示す大当たり図柄およびハズレを示すハズレ図柄を備え、第二特別図柄として、大当たり図柄およびハズレ図柄に加え、小当たりを示す小当たり図柄を備える。
普通図柄表示部は、LEDの点灯および消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。第一特別図柄記憶数表示LEDおよび第二特別図柄記憶数表示LEDは、大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である特別図柄保留球数を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である普通図柄保留球数を表示する。また、遊技盤2の後面側には、遊技の主制御、各種演出等を制御する制御部40(図3参照)が設けられる。
上記構成によれば、遊技球発射装置37によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の発射強度(以下、「第一発射強度」という。)で発射された遊技球は、センター飾り8の左側を流下し、所定の強度以上の発射強度(以下、「第二発射強度」という。)で発射された遊技球は、センター飾り8の右側を流下する。以下、遊技球発射装置37によって第一発射強度で遊技球を発射すること、すなわち、遊技球がセンター飾り8の左側を流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と、第二発射強度で遊技球を発射すること、すなわち、遊技球がセンター飾り8の右側を流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。
左打ちされた遊技球は、センター飾り8の右側に設けられた第一始動電動役物15および第二始動口16よりも、左打ちされた遊技球の流下領域(センター飾り8の下方)に設けられた第一始動口14に入賞しやすい。右打ちされた遊技球は、センター飾り8の下方に設けられた第一始動口14よりも、右打ちされた遊技球の流下領域(センター飾り8の右方)に設けられた第二始動口16に入賞しやすい。大入賞口17は、センター飾り8の右方に設けられているので、開放中の大入賞口17には、左打ちされた遊技球よりも右打ちされた遊技球の方が入賞しやすい。遊技領域4を流下する遊技球のうち、第一始動口14、第一始動電動役物15、第二始動口16、大入賞口17、およびその他の普通入賞口のいずれにも入賞せず遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、アウト口18を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
また、詳しくは後述するが、パチンコ機1は、大入賞口17が閉鎖されており、第一始動電動役物15の開閉部材が開放されにくい遊技状態である通常状態を備える。通常状態において右打ちされた遊技球は、大入賞口17には入賞不可能であり、第一始動電動役物15にもほぼ入賞しないので、第二始動口16に入賞するか、もしくはアウト口18を通過する。本実施形態では、通常状態において右打ちされた遊技球は、約25%が第二始動口16に入賞する。また、通常状態において左打ちされた遊技球は、約6%が第一始動口14に入賞する。つまり、パチンコ機1では、通常状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、通常状態において左打ちされた遊技球が第一始動口14に入賞する割合よりも高い。
また、パチンコ機1では、第一始動口14、第一始動電動役物15、第二始動口16、大入賞口17、および普通入賞口に遊技球が入賞した場合、賞球払出装置49(図3参照)によって、それぞれ、所定数(本実施形態では、4個、1個、3個、14個、および10個)の賞球が払い出される。なお、賞球数はこれらに限定されないのはいうまでもない。
次に、パチンコ機1における遊技を概略的に説明する。まず、パチンコ機1の当たり遊技を説明する。パチンコ機1には、大当たり遊技、小当たり遊技、および普通当たり遊技が設けられている。大当たり遊技では、大入賞口17が開閉される第一開閉遊技(いわゆるラウンド遊技)が複数回行われる。大入賞口17の1回の開閉(つまり、1回の第一開閉遊技)を「1ラウンド(1R)」という。大入賞口17は、各ラウンドにおいて最大開放時間(本実施形態では、30秒)の経過、および上限数(本実施形態では、10個)の遊技球の入賞のいずれかの条件が満たされると閉鎖される。遊技者は、大入賞口17に遊技球が入賞しやすい右打ちで大当たり遊技を消化する。遊技者は、大入賞口17に遊技球を入賞させることにより、多数の賞球を獲得できる。
本実施形態の大当たり遊技は、15R大当たり遊技、5R大当たり遊技、および2R大当たり遊技を含む。15R大当たり遊技では、1回の大当たり遊技中に第一開閉遊技が15回行われる。5R大当たり遊技では、1回の大当たり遊技中に第一開閉遊技が5回行われる。2R大当たり遊技では、1回の大当たり遊技中に第一開閉遊技が2回行われる。ラウンド数が多い大当たり遊技の方が、獲得可能な賞球数が多くなるので、遊技者にとって有利である。なお、詳しくは後述するが、本実施形態では大当たり遊技の前後で遊技状態が変化する場合がある。
小当たり遊技では、大入賞口17が開閉される第二開閉遊技が少なくとも1回(本実施形態では、1回)行われる。大入賞口17は、最大開放時間(本実施形態では、1.2秒)の経過、および上限数(本実施形態では、10個)の遊技球の入賞のいずれかの条件が満たされると閉鎖される。なお、本実施形態では、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される所定の間隔が0.6秒であるので、10個の遊技球が発射されるのに必要な時間は少なくとも6秒である。小当たり遊技における大入賞口17の最大開放時間1.2秒は、10個の遊技球が発射されるのに必要な時間6秒よりも短い。このため、本実施形態では、小当たり遊技中に上限数(10個)の遊技球が大入賞口17に入賞することは実質ない。
遊技者は、大入賞口17に遊技球が入賞しやすい右打ちで小当たり遊技を消化する。遊技者は、大入賞口17に遊技球を入賞させることにより、賞球を獲得できる。小当たり遊技の第二開閉遊技における大入賞口17の1回の最大開放時間(1.2秒)は、大当たり遊技の第一開閉遊技における大入賞口17の1回の最大開放時間(30秒)よりも短い。すなわち、最大開放時間が長いほど獲得可能な賞球数が多くなるので、大当たり遊技の方が小当たり遊技よりも遊技者にとって有利である。なお、1回の小当たり遊技における大入賞口17の最大開放時間(1.2秒)は、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される所定の間隔(0.6秒)よりも長い時間に設定されている。これにより、小当たり遊技では、遊技球発射装置37によって発射された遊技球が大入賞口17に1個以上入賞しやすくなる。また、本実施形態では、遊技球が大入賞口17に入賞した場合に払い出される賞球数が14個であるので、遊技者の持ち球は小当たり遊技によって増加する。なお、小当たり遊技は、小当たり遊技の前後で遊技状態が変化しない点においても、大当たり遊技とは異なる。
普通当たり遊技では、第一始動電動役物15が少なくとも1回(本実施形態では、3回)開閉される。本実施形態では、遊技球が第一始動電動役物15に入賞した場合に払い出される賞球数は1個であるので、普通当たり遊技が継続して行われていたとしても、遊技者の持ち球は減少する。パチンコ機1は、普通当たり遊技が継続して行われている場合に単位時間あたりに遊技者が獲得可能な賞球数が、小当たり遊技が継続して行われている場合に単位時間あたりに遊技者が獲得可能な賞球数よりも少なくなるように構成されている。
次に、パチンコ機1の遊技状態を説明する。以下、大当たり判定によって大当たりと判定される確率を、「大当たり確率」という。パチンコ機1は、大当たり確率が通常の確率(本実施形態では、約1/287)である非確率変動状態と、通常の確率よりも高い確率(本実施形態では、約1/48)である確率変動状態とを、大当たり遊技の終了後に生起させることができる。また、パチンコ機1は、第一始動電動役物15が開放状態にされる割合が通常の割合である非時短状態と、第一始動電動役物15が開放状態にされる割合が非時短状態よりも高くなる時短状態とを、大当たり遊技の終了後に生起させることができる。パチンコ機1は、これらの組合せにより、「非確率変動非時短状態」(以下、「通常状態」という。)、「非確率変動時短状態」、「確率変動非時短状態」、および「確率変動時短状態」の4つの遊技状態のいずれかを、大当たり遊技終了後に生起する。なお、パチンコ機1は、本実施形態に限られず、少なくとも2つの遊技状態に区分けされていれば、5つ以上の遊技状態に区分けされてもよい。
普通当たり判定を説明する。遊技球が普通図柄作動ゲート12を通過すると、普通当たりおよびハズレのいずれであるか判定する普通当たり判定が行われる。普通当たり判定の結果が普通当たりであれば、普通当たり遊技が実行される。以下、普通当たり判定によって普通当たりと判定される確率を、「普通当たり確率」という。本実施形態では、時短状態の普通当たり確率(本実施形態では、99/100)を非時短状態の普通当たり確率(本実施形態では、1/100)よりも高くすることにより、時短状態において第一始動電動役物15が開放状態にされる割合が非時短状態よりも高くなるように構成されている。なお、パチンコ機1は、時短状態において第一始動電動役物15が開放状態にされる回数や時間を非時短状態よりも増加させることにより、時短状態において第一始動電動役物15が開放状態にされている割合が非時短状態よりも高くなるように構成されてもよい。
第一大当たり判定を説明する。遊技球が第一始動口14または普通当たり遊技中に開放された第一始動電動役物15に入賞すると、第一大当たりおよびハズレのいずれであるか判定する第一大当たり判定が行われる。第一大当たり判定の結果が第一大当たりであれば、大当たり遊技が実行される。なお、本実施形態では、第一大当たり判定において小当たりと判定されることはないが、小当たりと判定され得る構成が採用されてもよい。
第二大当たり判定を説明する。遊技球が第二始動口16に入賞すると、第二大当たり、小当たり、およびハズレのいずれであるか判定する第二大当たり判定が行われる。第二大当たり判定の結果が第二大当たりであれば、大当たり遊技が実行される。また、第二大当たり判定の結果が小当たりであれば、小当たり遊技が実行される。なお、第二大当たり判定によって小当たりと判定される小当たり確率(本実施形態では、約1/1.03)は、遊技状態によらず一定であり、確率変動状態の大当たり確率(本実施形態では、約1/48)よりも高く設定されている。
本実施形態では、大当たり遊技が実行されておらず、且つ、第一特別図柄の変動表示が実行されていない場合に、第一大当たり判定が行われる。パチンコ機1は、第二特別図柄の変動表示が実行されていても第一大当たり判定を実行可能である。また、本実施形態では、大当たり遊技が実行されておらず、且つ、第二特別図柄の変動表示が実行されていない場合に、第二大当たり判定が実行される。パチンコ機1は、第一特別図柄の変動表示が実行されていても第二大当たり判定を実行可能である。つまり、本実施形態のパチンコ機1は、第一特別図柄と第二特別図柄を同時に変動可能な機種である。
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主制御基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、中継基板47、および電源基板42を主に備える。
主制御基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主制御基板41は、主制御基板CPUユニット50を備える。主制御基板CPUユニット50は、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とを備える。主制御基板CPUユニット50は、割込信号発生回路57と電気的に接続する。主制御基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。
主制御基板41は、I/Oインタフェイス54を介して、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、第一始動口スイッチ71、第一始動電動役物スイッチ72、および第二始動口スイッチ73と電気的に接続する。出力ポート55は、パチンコ機1の外部に設けられたホールコンピュータ100にパチンコ機1を接続するためのインタフェイスである。主制御基板41は、出力ポート55を介して、ホールコンピュータ100に各種情報を出力する。ホールコンピュータ100は、遊技場にある全遊技機を統括的に管理する。第一始動口スイッチ71は、第一始動口14に設けられ、第一始動口14に入賞した遊技球を検出する。第一始動電動役物スイッチ72は、第一始動電動役物15に設けられ、第一始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する。第二始動口スイッチ73は、第二始動口16に設けられ、第二始動口16に入賞した遊技球を検出する。
サブ制御基板58は、主制御基板41から出力される制御コマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。サブ制御基板58は、CPU581、RAM582、およびROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、およびスピーカ48と電気的に接続する。ランプドライバ基板46は、センター飾り8の各種照明の動作、操作ボタン9、および可動体31の動作等を制御する。演出制御基板43は、CPU431等を備え、サブ制御基板58から受信する制御コマンドに従って表示画面28の表示を制御する。
払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主制御基板41から出力される制御コマンドに従って賞球払出装置49の動作を制御し、遊技球の入賞に応じた所定数の遊技球を賞球として払い出させる。
中継基板47は、普通電動役物開閉ソレノイド69、大入賞口開閉ソレノイド70、普通図柄作動スイッチ74、大入賞口スイッチ75、および図柄表示部24と電気的に接続する。普通電動役物開閉ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第一始動電動役物15の開閉部材を開閉する。大入賞口開閉ソレノイド70は、大当たり遊技中に大入賞口17の開閉部材を開閉する。普通図柄作動スイッチ74は、普通図柄作動ゲート12に設けられ、普通図柄作動ゲート12を通過した遊技球を検出する。大入賞口スイッチ75は、大入賞口に設けられ、大入賞口17に入賞した遊技球を検出する。
電源基板42は、主制御基板41および遊技球発射装置37と電気的に接続し、各基板および遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に、遊技球を1個ずつ遊技領域4へ向けて発射する。なお、第一発射強度で遊技球が発射された場合も、第二発射強度で遊技球が発射された場合も、発射間隔は一定である。
図4を参照して、RAM52の第一大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。RAM52の第二大当たり関係情報記憶エリア(図示略)の構成は、第一大当たり関係情報記憶エリアの構成と同様であるので、説明を簡略化する。第一大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の第一特別図柄処理(図13〜図15参照)において使用される。第一大当たり関係情報記憶エリアには複数の記憶エリアが設けられている。第一始動口14または第一始動電動役物15に遊技球が入賞した際に、特別図柄保留球数のうち第一始動口14または第一始動電動役物15への入賞による第一保留球数が4未満(0〜3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。本実施形態において、第一始動口14または第一始動電動役物15に入賞した遊技球に対して、大当たり判定を保留して乱数を記憶しておくことのできる数(最大第一保留球数)は「4」である。なお、最大第一保留球数は、「4」に限らず、「0」でもよいし、「1」〜「3」または「5」以上であってもよい。
CPU51は、処理が未だ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号が小さい記憶エリアを判定エリアとし、判定エリアに記憶されている乱数について大当たり判定等の各種処理を行う。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理(具体的には、大当たり判定の結果を報知する報知演出、および大当たり判定の結果が大当たりの場合に実行される大当たり遊技)が終了すると、次に番号が小さい記憶エリアが判定エリアとされて、大当たり判定等の処理が繰り返される。なお、処理が終了した記憶エリアの乱数は、適宜消去してもよい。
各記憶エリアには、第一大当たり判定カウンタの値が記憶される第一大当たり乱数欄、第一特別図柄決定カウンタの値が記憶される第一特別図柄決定乱数欄、および第一変動パターン決定カウンタの値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄が設けられている。第一始動口14または第一始動電動役物15に遊技球が入賞すると、その時点で計数されているそれぞれの乱数取得カウンタの値が各欄に記憶される。第一大当たり乱数は、第一大当たり判定のために用いられる。第一特別図柄決定乱数は第一特別図柄を決定するために用いられる。第一変動パターン決定乱数は、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される第一特別図柄の変動時間を示す第一変動パターンを決定するために用いられる。
第二大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の第二特別図柄処理(図18、図19参照)において使用される。第二大当たり関係情報記憶エリアには、第一大当たり関係情報記憶エリアと同様に、複数の記憶エリアが設けられている。第二始動口16に遊技球が入賞した際に、特別図柄保留球数のうち第二始動口16への入賞による第二保留球数が「0」であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。本実施形態において、第二始動口16に入賞した遊技球に対して、大当たり判定を保留して乱数を記憶しておくことのできる数(最大第二保留球数)は「1」である。なお、最大第二保留球数は、「1」に限らず、「0」でもよいし、「2」以上であってもよい。
以下の説明では、第一大当たり乱数および第二大当たり乱数を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「大当たり乱数」ともいう。また、第一変動パターン決定乱数および第二変動パターン決定乱数を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「変動パターン決定乱数」ともいう。また、第一大当たり関係情報記憶エリアおよび第二大当たり関係情報記憶エリアを総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「大当たり関係情報記憶エリア」ともいう。また、大当たり関係情報記憶エリアに記憶された状態で大当たり判定が保留されている大当たり乱数、および大当たり判定が保留されている大当たり乱数とともに取得されて大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して「保留乱数」という。保留乱数のうち第一大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている第一保留乱数の数は、第一保留球数に対応する。保留乱数のうち第二大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている第二保留乱数の数は、第二保留球数に対応する。なお、RAM52には、普通図柄作動ゲート12への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶するための普通当たり関係情報記憶エリアが設けられている。普通当たり関係情報記憶エリアも、大当たり関係情報記憶エリアと同様に構成されている。
図5および図6を参照して、特別図柄決定テーブルについて説明する。本実施形態では、特別図柄決定テーブルとして、第一特別図柄決定テーブル(図5参照)と第二特別図柄決定テーブル(図6参照)とがROM53に記憶されている。パチンコ機1は、大当たり判定の結果が大当たりである場合に、大当たり判定の種別に応じて、第一特別図柄決定テーブルおよび第二特別図柄決定テーブルのいずれかを参照する。具体的には、第一特別図柄決定テーブルは、第一大当たり判定によって第一大当たりと判定された場合に参照される。第二特別図柄決定テーブルは、第二大当たり判定によって第二大当たりと判定された場合に参照される。
図5および図6に示すように、各特別図柄決定テーブルには、複数種類の第一特別図柄および第二特別図柄が割り当てられており、各特別図柄と特別図柄決定乱数の値(0〜100)とが対応付けられている。各特別図柄は、複数の大当たり種別のいずれかに分類される。大当たり判定によって大当たりと判定されると、特別図柄決定乱数の値に対応する特別図柄が決定される。決定された特別図柄に対応する大当たり種別に応じて、ラウンド数、大当たり遊技終了後に確率変動状態が生起されるか否か、および生起される時短状態の継続条件が決定される。パチンコ機1では、第一大当たり判定の結果が第一大当たりの場合には、「大当たりA〜C」となる割合は、それぞれ、35%、15%、50%である。第二大当たり判定の結果が第二大当たりの場合には、「大当たりD〜G」となる割合は、それぞれ、35%、25%、35%、5%である。
「大当たり種別」欄の「確率変動の有無」は、大当たり遊技の終了後に確率変動状態が生起されるか否かを示す。「大当たり種別」欄の「時短回数」は、大当たり遊技の終了後に生起される時短状態の継続条件を示す。「40回」は、時短回数が40回であることを示し、大当たり遊技の終了後に行われた第一大当たり判定および第二大当たり判定によって連続して大当たり以外と判定された回数(以下、「判定回数」という。)が40回に達するまで時短状態が継続することを示す。「次回まで」は、大当たり遊技の終了後から次回の大当たり遊技が開始されるまで時短状態が継続することを示す。「0回」は、大当たり遊技の終了後に時短状態が生起されない(つまり、非時短状態が生起される)ことを示す。「大当たり種別」欄の「ラウンド数」は、1回の大当たり遊技中に繰り返される第一開閉遊技の合計回数を示す。
図7および図8を参照して、変動パターン決定テーブルについて説明する。本実施形態では、変動パターン決定テーブルとして、第一変動パターン決定テーブル(図7参照)と第二変動パターン決定テーブル(図8参照)とがROM53に記憶されている。パチンコ機1は、大当たり判定の種別に応じて、第一変動パターン決定テーブルおよび第二変動パターン決定テーブルのいずれかを参照する。具体的には、第一変動パターン決定テーブルは、第一大当たり判定が行われた場合に参照される。第二変動パターン決定テーブルは、第二大当たり判定が行われた場合に参照される。
図7および図8に示すように、各変動パターン決定テーブルは、大当たり判定時の遊技状態(通常状態、確率変動時短状態、確率変動非時短状態、または非確率変動時短状態)、および大当たり判定の結果(大当たり、小当たり、またはハズレ)に応じて、複数のテーブルを備える。各テーブルには複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値(0〜511)とが対応付けられている。例えば第一大当たり判定が行われると、その時点の遊技状態と判定結果とに応じたテーブルが参照され、大当たり乱数とともに取得されている変動パターン決定乱数の値に対応する変動パターンが1つ決定される。
図7に示すように、通常状態または確率変動非時短状態における第一大当たり判定の結果が第一大当たりの場合には、「リーチ演出A」、「リーチ演出B」、「リーチ演出C」、「リーチ演出D」の順に、変動パターンが決定される割合が高くなる。ここで、「リーチ演出」とは、例えば3つの第一演出図柄のうち2つが同じ図柄で停止するリーチ状態が構成された後に、大当たりの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。一方、判定結果がハズレの場合には、「リーチ演出A」、「リーチ演出B」、「リーチ演出C」、「リーチ演出D」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。従って、第一大当たり判定の結果が第一大当たりとなる期待値は、「リーチ演出A」、「リーチ演出B」、「リーチ演出C」、「リーチ演出D」の順に高くなる。なお、「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく演出が終了する報知演出であり、本実施形態では、大当たり判定の結果がハズレの場合にのみ決定される。
また、第一変動パターン決定テーブルには、第一大当たり判定における確率変動時短状態または非確率変動時短状態についても、また、第二変動パターン決定テーブル(図8参照)には、第二大当たり判定について、同様に複数種類の変動パターンが割り当てられ、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値とが対応付けられている。
図8に示すように、通常状態、非確率変動時短状態、または確率変動時短状態における第二大当たり判定の結果が大当たり以外の場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間のうち、最も短い変動時間(本実施形態では、600秒)は、通常状態たまは確率変動非時短状態において第一大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間のうち、最も長い変動時間(本実施形態では、30秒)よりも長い。また、通常状態、非確率変動時短状態、または確率変動時短状態において第二大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均は、通常状態または確率変動非時短状態において第一大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均よりも長い。
一方、第二大当たり判定において確率変動非時短状態中に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均は、第一大当たり判定において通常状態または確率変動非時短状態中に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均よりも短い。
パチンコ機1において、主制御基板41は、決定した変動パターンに応じて決められている変動時間だけ、第一特別図柄または第二特別図柄を変動させる。サブ制御基板58は、主制御基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。第一特別図柄および第二特別図柄の変動時間は、それぞれ、第一報知演出および第二報知演出の演出時間に等しい。
具体的には、主制御基板41は、第一変動パターン決定乱数に基づく第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。また、主制御基板41は、第二変動パターン決定乱数に基づく第二変動パターンに従って、第二特別図柄の変動を開始する。主制御基板41は、変動パターン決定テーブルが参照されて決定された変動パターンを指定する制御コマンドである変動パターン指定コマンドを、サブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、第一特別図柄および第二特別図柄の変動開始に同期して、それぞれ、第一演出図柄および第二演出図柄の変動表示を開始する。主制御基板41は、変動を開始した第一特別図柄および第二特別図柄の変動時間が終了すると、それぞれ、変動させていた第一特別図柄および第二特別図柄を、所定の停止表示時間(本実施形態では0.8秒)の間、確定表示させる。サブ制御基板58は、第一特別図柄および第二特別図柄の停止表示時間に同期して、それぞれ、第一演出図柄および第二演出図柄を確定表示させる。また、サブ制御基板58は、第一演出図柄または第二演出図柄による他、表示画面28、可動体31、スピーカ48等によっても、変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターンに応じて報知演出を実行する。
図9を参照して、パチンコ機1の遊技の流れおよび遊技状態の遷移について、通常状態において大当たりした場合を例に挙げて説明する。先述したように、通常状態において第二大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均は、通常状態において第一大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均よりも長い。ここで、変動時間が短い程、大当たり判定によって単位時間あたりに判定される回数は多くなる。よって、通常状態において、第二大当たり判定によって単位時間あたりに判定される回数は、第一大当たり判定によって単位時間あたりに判定される回数よりも少ない。第一大当たり判定における大当たり確率と第二大当たり判定における大当たり確率とは等しいので、大当たり判定によって単位時間あたりに判定される回数が多い程、大当たり遊技が単位時間あたりに実行される回数が多くなる。
また、通常状態(つまり、非時短状態)において、第一始動電動役物15の開閉部材が開放される割合は、時短状態において、第一始動電動役物15の開閉部材が開放される割合よりも低い。よって、通常状態において、遊技球が第一始動電動役物15に入賞することはほとんどない。さらに、本実施形態では、通常状態において右打ちされた遊技球の約25%が第二始動口16に入賞する。第二始動口16に遊技球が入賞した場合の賞球数は3個である。よって、通常状態において右打ちが継続して行われた場合には、遊技者の持ち球は微減する。従って、通常状態では、右打ちを行うよりも左打ちを行う方が遊技者にとって有利である。よって、遊技者は、通常状態には左打ちを行うことで遊技を進める。その結果、通常状態に実行される大当たり判定は、ほぼ第一大当たり判定となる。
通常状態において第一大当たり判定によって第一大当たりと判定されると、5R大当たり遊技が行われる。この大当たり遊技が終了すると、遊技状態は、非確率変動時短状態(35%)、確率変動時短状態(15%)、および確率変動非時短状態(50%)のいずれかに移行する。以下、各遊技状態に移行した場合について、場合分けをして説明する。
通常状態から第一大当たりに基づく大当たり遊技を介して非確率変動時短状態に移行した場合について説明する。非確率変動時短状態では、第一始動電動役物15の開閉部材が開放される割合は非時短状態よりも高い。これにより、非確率変動時短状態では、左打ちされた遊技球が第一始動口14に入賞する割合よりも、右打ちされた遊技球が第一始動電動役物15に入賞する割合の方が高くなる。従って、非確率変動時短状態では、左打ちを行うよりも右打ちを行う方が遊技者にとって有利である。よって、遊技者は、非確率変動時短状態には右打ちを行うことで遊技を進める。また、第二始動口16は、第一始動電動役物15の下方に配置されているので、右打ちされた遊技球のうち、第一始動電動役物15に入賞しなかった遊技球は、第二始動口16に入賞し得る。ただし、時短状態において右打ちされた遊技球の一部は第一始動電動役物15に入賞するので、時短状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、通常状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合(約25%)よりも低い。なお、本実施形態では、非確率変動時短状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、約10%である。
ところで、非確率変動時短状態において第二大当たり判定の結果が第二大当たり以外(ハズレまたは小当たり)の場合に決定される第二変動パターンに応じて定められている変動時間は、いずれも600秒以上と非常に長い。従って、非確率変動時短状態では、遊技球が第二始動口16に入賞し得るものの、入賞したとしても実質的に第二大当たり判定はほぼ行われない。なお、先述したように、本実施形態のパチンコ機1は、第二大当たり判定に基づいて第二特別図柄の変動表示が実行されていても、第一大当たり判定を行うことができる。その結果、非確率変動時短状態に実行される大当たり判定は、ほぼ第一大当たり判定となる。
非確率変動時短状態において判定回数が時短回数(本実施形態では、40回)に達すると、大当たり遊技を介さずに非確率変動時短状態から通常状態に移行することとなる。一方で、判定回数が時短回数に達するまでに第一大当たり判定によって第一大当たりと判定された場合には、5R大当たり遊技が行われる。この大当たり遊技が終了すると、通常状態において第一大当たり判定によって第一大当たりと判定されたときと同様に、遊技状態は、非確率変動時短状態、確率変動時短状態、および確率変動非時短状態のいずれかに移行することとなる。
通常状態から第一大当たりに基づく大当たり遊技を介して確率変動時短状態に移行した場合について説明する。確率変動時短状態では、非確率変動時短状態のときと同様に、遊技者は右打ちを行うことで遊技を進める。確率変動時短状態では、上記した非確率変動時短状態のときと比べて、大当たり確率が高くなっている点、および時短状態が次回の大当たりまで継続する点(つまり、判定回数が時短回数に達して通常状態に移行することがない点)が異なるだけである。よって、詳細については説明を省略する。なお、本実施形態では、確率変動時短状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、約10%である。
通常状態から第一大当たりに基づく大当たり遊技を介して確率変動非時短状態に移行した場合について説明する。先述したように、確率変動非時短状態において第二大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均は、通常状態または確率変動非時短状態において第一大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均よりも短い。つまり、上記した非確率変動時短状態、確率変動時短状態のときと異なり、第二大当たり判定の結果を報知するための変動パターンに応じて定められている変動時間は、いずれも3秒〜5秒と短い。よって、確率変動非時短状態において、第二大当たり判定によって単位時間あたりに判定される回数は、第一大当たり判定によって単位時間あたりに判定される回数よりも多い。従って、確率変動非時短状態では、左打ちを行うよりも右打ちを行う方が遊技者にとって有利である。よって、遊技者は、確率変動非時短状態には右打ちを行うことで遊技を進める。また、確率変動非時短状態では、第一始動電動役物15の開閉部材が開放される割合は時短状態よりも低い。よって、確率変動非時短状態では、遊技球が第一始動電動役物15に入賞することはほぼない。その結果、確率変動非時短状態に実行される大当たり判定は、ほぼ第二大当たり判定となる。
第二大当たり判定では、小当たり確率は約1/1.03と非常に高く設定されている。このため、第二大当たり判定の多くが小当たりと判定されることとなる。小当たりと判定されると、小当たり遊技が行われる。先述したように、小当たり遊技の前後では遊技状態は変化しないので、遊技者は、第二大当たりと判定されるまで、頻発する小当たり遊技にて賞球を獲得することとなる。つまり、確率変動非時短状態は、小当たり遊技が頻発して実行されるいわゆる小当たりラッシュの状態である。この状態では、大入賞口17が頻繁に開放されるので、確率変動非時短状態において右打ちされた遊技球が、大入賞口17の下方に配置されている第二始動口16に入賞する割合は、通常状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合(約25%)よりも低くなる。なお、本実施形態では、確率変動非時短状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、約23%である。
第二大当たり判定によって第二大当たりと判定されると、15R大当たり遊技、5R大当たり遊技、または2R大当たり遊技が行われる。この大当たり遊技が終了すると、遊技状態は、通常状態(35%)、確率変動非時短状態(65%)のいずれかに移行する。確率変動非時短状態に移行した場合、小当たりラッシュの状態が継続することとなる。
以上のように、本実施形態では、大当たり種別が「大当たりC、E〜G」の場合、大当たり遊技の終了後から次回の大当たり遊技の実行開始まで、確率変動非時短状態が継続する。また、大当たり種別が「大当たりA」の場合、次回の大当たり遊技の実行開始まで、または判定回数が時短回数(本実施形態では、40回)に達するまで、非確率変動時短状態が継続する。その後、遊技状態は「通常状態」へ移行する。大当たり種別が「大当たりB」の場合、大当たり遊技の終了後から次回の大当たり遊技の実行開始まで、確率変動時短状態が継続する。大当たり種別が「大当たりD」の場合、大当たり遊技の終了後に確率変動状態および時短状態のいずれも生起されず、通常状態となる。なお、時短状態および確率変動状態は、大当たり遊技開始時にも終了する。この場合、判定回数は「0回」にリセットされる。このような遊技仕様は、今までにない新規なものである。
なお、時短状態の継続回数は、本実施形態の時短回数に限られない。また、確率変動状態の終了条件は、本実施形態の例に限られない。例えば、パチンコ機1は、判定回数が規定回数に達することで確率変動状態が終了するいわゆるST機であってもよい。また、パチンコ機1は、大入賞口17の内部に特定領域を設け、大当たり遊技中に遊技球が特定領域を通過することを契機として、大当たり遊技終了後に確率変動状態を生起することとしてもよい。また、パチンコ機1は、1回の大当たり判定ごとに確率変動状態を終了させる転落抽選を行い、転落抽選に当選した場合に確率変動状態を終了させてもよい。
また、本実施形態のパチンコ機1では、通常状態には左打ちを行い、通常状態以外の遊技状態には右打ちを行うことで遊技を進める構成が採用されている。以下、通常状態に左打ちを行い、また、通常状態以外の遊技状態に右打ちを行う遊技を、「正規の遊技」ともいう。なお、パチンコ機1は、正規の遊技として、例えば通常状態に右打ちを行い、確率変動時短状態に左打ちを行う遊技を採用してもよい。
ところで、例えば糸が取り付けられた遊技球(不正球)を、パチンコ機1の外部から操る不正行為(いわゆるゴト行為)が知られている。また、第二特別図柄の変動中には第二大当たり判定が行われないので、第二特別図柄の変動中に第二始動口16に遊技球が入賞しても、判定回数は即座にカウントされない。このため、第二特別図柄の変動中に、例えば不正球が操られ、第二始動口16に不正球が繰り返し入賞させられた場合には、パチンコ機1はスタート異常により第二始動口16に遊技球が過剰に入賞していることを検出することは困難である。スタート異常とは、所定の検出期間における判定回数が許容範囲を超える状態をいう。特に本実施形態のパチンコ機1では、第二変動パターンによって定められている変動時間(つまり、第二特別図柄の変動時間)が長いので、第二特別図柄の変動中に第二始動口16に不正球を繰り返し入賞させることが、第二特別図柄の変動時間が短い場合よりも容易な構成となっている。そこで、パチンコ機1は、以下説明するように、第二始動口16に遊技球を過剰に入賞させて、不正に賞球を獲得する不正行為を抑制している。
パチンコ機1は、遊技状態に関わらず、第二始動口16に遊技球が過剰に入賞したことを検出するため、第二始動口16への入賞が第二始動口スイッチ73によって検出された遊技球の数(以下、「特定検出数」という。)を主制御基板41によりカウントする。カウントされた特定検出数が、所定の監視時間(本実施形態では、3分)内に規定数(本実施形態では、150個)に達した場合、その旨を通知するための警告報知コマンドが主制御基板41からサブ制御基板58とホールコンピュータ100とに出力される。また、ホールコンピュータ100への各種情報の出力は、出力ポート55を介する必要がある。本実施形態のパチンコ機1では、サブ制御基板58ではなく、主制御基板41が、特定検出数をカウントし、監視時間内に特定検出数が規定数に達したか否かを判断しているので、出力ポート55を介して警告報知コマンドをホールコンピュータ100に出力できる。
ホールコンピュータ100は、警告報知コマンドを受信すると、例えば第二始動口16に遊技球が過剰に入賞している旨を遊技場の管理者に報知する。これにより、管理者は、パチンコ機1にて不正行為が行われているおそれがあることを把握できる。従って、パチンコ機1は、パチンコ機1のセキュリティレベルを向上でき、遊技球を第二始動口16に過剰に入賞させる不正行為を抑制できる。また、サブ制御基板58は、警告報知コマンドを受信すると、第二始動口16に遊技球が過剰に入賞している旨の警告報知を所定の態様で行う。パチンコ機1は、遊技者が不正行為を行っている場合、警告報知により、その行為を止めさせることができる。これにより、パチンコ機1は、遊技球を第二始動口16に過剰に入賞させる不正行為を抑制できる。
なお、規定数を「A」とした場合、以下の式(1)〜(4)が成立するように、規定数は設定される。「X」は、通常状態中に継続して右打ちされた場合に、監視時間内に第二始動口16に入賞可能な遊技球の数の理論値または実測値である。「Y」は、確率変動時短状態中に継続して右打ちされた場合に、監視時間内に第二始動口16に入賞可能な遊技球の数の理論値または実測値である。「Z」は、非確率変動時短状態中に継続して右打ちされた場合に、監視時間内に第二始動口16に入賞可能な遊技球の数の理論値または実測値である。「W」は、確率変動非時短状態中に継続して右打ちされた場合に、監視時間内に第二始動口16に入賞可能な遊技球の数の理論値または実測値である。
X<A ・・・(1)
Y<A ・・・(2)
Z<A ・・・(3)
W<A ・・・(4)
なお、本実施形態では、先述したように、時短状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、通常状態(すなわち、非時短状態)において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合よりも低いので、「Y」と「Z」はいずれも「X」未満である。確率変動非時短状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、通常状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合よりも低いので、「W」は「X」未満である。すなわち、本実施形態では、「Y」、「Z」、「W」はいずれも「X」未満なので、「A」は式(1)を満たせば、式(2)〜(4)も満たすこととなる。
具体的には、先述したように、遊技球は、遊技球発射装置37によって0.6秒間隔で発射されるので、監視時間(3分)内に、300個の遊技球が発射される。通常状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合が約25%なので、「X」は約75個である。確率変動時短状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合が約10%なので、「Y」は約30個である。非確率変動時短状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合が約10%なので、「Z」は約30個である。確率変動非時短状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合が約23%なので、「W」は約69個である。本実施形態では、いずれの遊技状態に継続して右打ちされた場合でも、特定検出数は監視時間内に規定数に達する可能性は非常に低くなるように、規定数「A」を、「X」〜「W」のうち最も数の大きい「X」(約75個)の約2倍である150個と設定している。
上記のように設定された規定数によれば、「X」、「Y」、「Z」、「W」がいずれも「A」未満なので、いずれの遊技状態に継続して右打ちされた場合でも、特定検出数は監視時間内に規定数に達する可能性は非常に低い。よって、パチンコ機1は、第二始動口16に過剰に遊技球を入賞させる不正行為が行われていないのにも関わらず、特定検出数が監視時間内に規定数に達して、警告報知コマンドを出力してしまうことを抑制できる。一方で、遊技者が例えば不正球を使用して第二始動口16に過剰に遊技球を入賞させた場合には、特定検出数が監視時間内に規定数に達すると、警告報知コマンドが出力される。従って、パチンコ機1は、いずれの遊技状態かに限らず、第二始動口16に過剰に遊技球を入賞させる不正行為が行われているおそれがあることを適切に検出できる。
また、パチンコ機1は、第二始動口スイッチ73によって検出された遊技球の数(特定検出数)をカウントする一方で、第一始動口スイッチ71によって検出された遊技球の数はカウントしない。本実施形態では第一特別図柄の変動時間が第二特別図柄の変動時間に比べて短いので、パチンコ機1は、第一始動口14に遊技球が過剰に入賞していることをスタート異常により検出できるためである。従って、パチンコ機1は、スタート異常では検出が困難な不正行為を検出するために必要な特定検出数のみカウントするので、不正行為を検出するための制御の複雑化を抑制できる。
図10〜図19を参照して、パチンコ機1の主制御基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理(図10参照)は、割込信号発生回路57(図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
図10に示すように、メイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。詳細は後述するが、スイッチ読込処理では、普通図柄作動ゲート12、各入賞口等に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、遊技球を検出するための処理が行われる(図12および図13参照)。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、各特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである第一特別図柄変動時間カウンタと第二特別図柄変動時間カウンタの値がそれぞれ減算される。なお、第一特別図柄変動時間カウンタと第二特別図柄変動時間カウンタの値は、それぞれ、小当たり遊技の実行中には減算されない。さらに、監視時間を計測するためのタイマカウンタである監視時間カウンタの値が減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。特別電動役物処理では、大当たり遊技(第一開閉遊技)および小当たり遊技(第二開閉遊技)の動作(主に大入賞口17の開閉部材の開閉動作)を制御するための処理と、大当たり遊技終了後に生起される遊技状態に関する処理とが行われる。本実施形態では、大当たり種別が「大当たりA」の場合には、時短フラグのみが大当たり遊技の終了後に「ON」となる。大当たり種別が「大当たりB」の場合、確率変動フラグおよび時短フラグが大当たり遊技終了後に「ON」となる。大当たり種別が「大当たりC、E〜G」の場合には、確率変動フラグのみが大当たり遊技終了後に「ON」となる。大当たり種別が「大当たりD」の場合には、大当たり遊技の終了後に、確率変動フラグおよび時短フラグのいずれも「ON」とならない。
なお、大当たり遊技におけるラウンド数は、大当たり種別に応じて決定される。本実施形態では、大当たり種別が「大当たりD、E」の場合、大入賞口17が各ラウンドにおいて最大開放時間0.6秒で開放される。大当たり種別が「大当たりA〜C、F、G」の場合、大入賞口17が各ラウンドにおいて最大開放時間30秒で開放される。そして、一旦開放された大入賞口17は、最大開放時間の経過、および10個の遊技球の入賞のいずれかの条件が満たされると閉鎖される。小当たり遊技では、大入賞口17が最大開放時間1.2秒で開放される。そして、一旦開放された大入賞口17は、最大開放時間の経過、および10個の遊技球の入賞のいずれかの条件が満たされると閉鎖される。
また、大当たり遊技が終了した場合には、後述の大当たり遊技状態フラグに「0」が記憶されて「OFF」とされる。小当たり遊技が終了した場合には、後述の小当たり遊技状態フラグに「0」が記憶されて「OFF」とされる。
次いで、第一特別図柄処理が行われる(S14)。詳細は後述するが、第一特別図柄処理では、第一大当たり判定、第一特別図柄の変動パターンの決定、第一特別図柄の決定、および遊技状態の移行処理等が行われる(図13〜図17参照)。
次いで、第二特別図柄処理が行われる(S15)。詳細は後述するが、第二特別図柄処理では、第二大当たり判定、第二特別図柄の変動パターンの決定、第二特別図柄の決定、および遊技状態の移行処理等が行われる(図17〜図19参照)。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S16)。普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に普通当たり遊技の動作を制御するための処理が行われる。CPU51は、時短状態が生起されていれば、非時短状態中よりも長く、第一始動電動役物15の開閉部材を開放させる。なお、CPU51は、時短フラグが「ON」とされていれば、時短状態中であると判断する。
次いで、普通図柄処理が行われる(S17)。普通図柄処理では、普通図柄作動スイッチ74が遊技球を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。先述したように、普通当たり判定は、時短状態が生起されているか否かに応じて、それぞれの普通当たり確率(99/100または1/100)で判定される。
次いで、払出処理(S18)、エラーチェック(S19)、および情報出力処理(S20)が行われる。払出処理では、賞球の払い出しが制御される。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28およびスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、ホールコンピュータ100に各種の情報が出力される。具体的には、例えば警告報知コマンドがホールコンピュータ100に出力される。
図11および図12を参照して、スイッチ読込処理(S11、図10参照)の詳細について説明する。図11に示すように、スイッチ読込処理が開始されると、まず、賞球関係スイッチ読込処理が行われる(S21)。賞球関係スイッチ読込処理では、賞球に関係する第一始動口スイッチ71、第一始動電動役物スイッチ72、第二始動口スイッチ73、大入賞口スイッチ75等の各種スイッチから検出信号が供給されているかが検出される。検出信号が供給された場合は、信号を供給したスイッチに応じて賞球の数を決定し、RAM52に記憶する。
次いで、特別図柄関係スイッチ読込処理が行われる(S22)。詳しくは後述するが、特別図柄関係スイッチ読込処理では、特別図柄としての識別情報に関係する各種スイッチから検出信号が供給されているかが検出される。検出信号が検出された場合は、各種スイッチに対応するフラグが「ON」となる。このフラグの情報は、後述する第一特別図柄処理および第二特別図柄処理において参照される。
次いで、普通図柄関係スイッチ読込処理が行われる(S23)。普通図柄関係スイッチ読込処理では、普通図柄としての識別情報に関係する普通図柄作動スイッチ74から検出信号が供給されているかが検出される。普通図柄作動スイッチ74から検出信号が供給された場合は、普通図柄作動スイッチ74に対応するフラグが「ON」となる。このフラグの情報は、普通図柄処理において参照される。処理はメイン処理へ戻る。
図12を参照して、特別図柄関係スイッチ読込処理(S22、図11参照)について詳細に説明する。図12に示すように、特別図柄関係スイッチ読込処理が開始されると、まず、監視時間カウンタの値によって、監視時間(3分)が経過したか否かが判断される(S31)。監視時間カウンタの値が「0」でない場合には、監視時間がまだ経過していないと判断され(S31:NO)、処理はS33へ移行する。監視時間が経過した場合には(S31:YES)、特定検出数カウンタの値をリセットし、且つ監視時間カウンタの値をリセットする(S32)。特定検出数カウンタは、特定検出数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。S32の処理により、パチンコ機1は、監視時間カウンタの値がリセットされたときから監視時間(3分)が経過するまでに、特定検出数が規定数(150個)に達するか否かを判断できる。
次いで、第一特別図柄としての識別情報に関係する第一始動口スイッチ71から検出信号が供給されているか否かが判断される(S33)。信号が供給されていない場合(S33:NO)、処理はS35の判断へ移行する。信号が検出された場合(S33:YES)、RAM52に記憶される第一始動口入賞フラグに「1」が記憶されて「ON」となる(S34)。第一始動口入賞フラグは、第一始動口スイッチ71に対応するフラグであり、第一始動口14に遊技球が入賞したことを示す。
次いで、第一特別図柄としての識別情報に関係する第一始動電動役物スイッチ72から検出信号が供給されているか否かが判断される(S35)。信号が供給されていない場合(S35:NO)、処理はS41の判断へ移行する。信号が検出された場合(S35:YES)、RAM52に記憶される第一始動電動役物入賞フラグに「1」が記憶されて「ON」となる(S36)。第一始動電動役物入賞フラグは、第一始動電動役物スイッチ72に対応するフラグであり、第一始動電動役物15に遊技球が入賞したことを示す。
次いで、第二特別図柄としての識別情報に関係する第二始動口スイッチ73から検出信号が供給されているか否かが判断される(S41)。信号が供給されていない場合(S41:NO)、処理はスイッチ読込処理(図11参照)へ戻る。信号が検出された場合(S41:YES)、RAM52に記憶される第二始動口入賞フラグに「1」が記憶されて「ON」となる(S42)。第二始動口入賞フラグは、第二始動口スイッチ73に対応するフラグであり、第二始動口16に遊技球が入賞したことを示す。
次いで、特定検出数カウンタに「1」が加算される(S42)。そして、特定検出数カウンタの値によって、特定検出数が規定数「150」であるか否かが判断される(S44)。特定検出数カウンタの値が規定数「150」でない場合(S44:NO)、処理はスイッチ読込処理へ戻る。特定検出数が規定数「150」の場合(S44:YES)、第二始動口16に、監視時間(3分)内に規定数(150個)の遊技球が入賞したことになるので、警告報知コマンドがRAM52に記憶される(S45)。警告報知コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図10参照)において、サブ制御基板58に送信され、且つ、次回実行されるメイン処理の情報出力処理(S20、図10参照)において、ホールコンピュータ100に送信される。次いで、特定検出数カウンタの値をリセットし、且つ監視時間カウンタの値をリセットし(S46)、処理はスイッチ読込処理へ戻る。
図13〜図17を参照して、第一特別図柄処理(S14、図10参照)の詳細について説明する。まず、第一特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52には、先述した第一始動口入賞フラグ、第一始動電動役物入賞フラグ、および第二始動口入賞フラグに加えて、大当たり遊技状態フラグ、小当たり遊技状態フラグ、第一特別図柄表示状態フラグ、第二特別図柄表示状態フラグ、確率変動フラグ、時短フラグ等が記憶されている。
大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技中に「1」が記憶されて「ON」となり、大当たり遊技中でない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。小当たり遊技状態フラグは、小当たり遊技中に「1」が記憶されて「ON」となり、小当たり遊技中でない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。第一特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄が変動している場合(変動中)に「1」、第一特別図柄が停止表示されている場合(停止表示中)に「2」、第一特別図柄が停止表示中でもない場合に「0」が記憶される。第二特別図柄表示状態フラグは、第二特別図柄が変動している場合(変動中)に「1」、第二特別図柄が停止表示されている場合(停止表示中)に「2」、第二特別図柄が停止表示中でもない場合に「0」が記憶される。確率変動フラグは、確率変動状態中に「1」が記憶されて「ON」となる。時短フラグは、時短状態中に「1」が記憶されて「ON」となる。
図13に示すように、第一特別図柄処理が開始されると、第一始動口入賞フラグの状態によって、第一始動口14に遊技球が入賞しているか否かが判断される(S51)。第一始動口入賞フラグが「OFF」の場合(S51:NO)、第一始動電動役物入賞フラグの状態によって、第一始動電動役物15に遊技球が入賞しているか否かが判断される(S52)。第一始動電動役物入賞フラグが「OFF」の場合(S52:NO)、処理はS61(図14参照)の判断へ移行する。
第一始動口入賞フラグが「ON」の場合(S51:YES)、もしくは第一始動電動役物入賞フラグが「ON」の場合(S52:YES)、第一保留球数が「4」であるか否かが判断される(S53)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「4」であれば(S53:YES)、記憶可能な第一保留球の数が上限に達しているので、処理はS61の判断へ移行する。
第一保留球数が「4」でない場合には(S53:NO)、RAM52に記憶されている第一保留球数に「1」が加算される(S54)。次いで、各種乱数が取得され、第一大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S55)。具体的には、第一大当たり乱数欄には第一大当たり判定カウンタの値が、第一特別図柄決定乱数欄には第一特別図柄決定カウンタの値が、第一変動パターン決定乱数欄には第一変動パターン決定カウンタの値が、それぞれRAM52に記憶される。
次いで、図14に示すように、大当たり遊技状態フラグおよび小当たり遊技状態フラグの状態によって、当たり遊技状態(大当たり遊技状態または小当たり遊技状態)であるか否かが判断される(S61)。大当たり遊技状態フラグおよび小当たり遊技状態フラグのいずれかが「ON」である場合、当たり遊技状態中であると判断されて(S61:YES)、処理はメイン処理へ戻る。大当たり遊技状態フラグおよび小当たり遊技状態フラグのいずれもが「OFF」である場合、当たり遊技状態中でないと判断されて(S61:NO)、第一特別図柄表示状態フラグの状態によって、第一特別図柄が変動中であるか否かが判断される(S62)。第一特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合には、第一特別図柄が変動中でないと判断されて(S62:NO)、第一特別図柄表示状態フラグの状態によって、第一特別図柄が停止表示中であるか否かが判断される(S63)。第一特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合は、第一特別図柄が停止表示中でないと判断されて(S63:NO)、処理はS71(図15参照)へ移行し、第一大当たり判定等の処理が行われる。
図15に示すように、まず、第一保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S71)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「0」であれば(S71:NO)、処理はメイン処理へ戻る。第一保留球数が「1」以上である場合には(S71:YES)、RAM52に記憶されている第一保留球数が「1」減算される(S72)。次いで、第一大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)の判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされる(S73)。
次いで、確率変動状態であるか否かに応じた第一大当たり判定が行われる(S74)。S74では、確率変動フラグの状態を参照して、現時点において確率変動状態が生起されているかが特定される。確率変動状態が生起されているかが特定された結果に対応して、低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが選択される。図示しないが、ROM53には、第一大当たり判定を行うためのテーブルとして、低確率判定テーブルと、高確率判定テーブルとが記憶されている。低確率判定テーブルは、非確率変動状態中の第一大当たり判定に用いられるテーブルであり、「大当たり」および「ハズレ」にそれぞれ対応する大当たり乱数の乱数値が定義されている。高確率判定テーブルは、確率変動状態中の第一大当たり判定に用いられるテーブルであり、「大当たり」および「ハズレ」にそれぞれ対応する大当たり乱数の乱数値が定義されている。確率変動状態が生起されているか否かが特定された結果に対応して、低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが選択される。選択された低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが参照されて、S73でシフトされた判定エリアに記憶されている第一大当たり乱数が「大当たり」および「ハズレ」のいずれに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の第一大当たり乱数に基づく第一大当たり判定が、第一大当たり乱数の記憶された順に行われる。
また、本実施形態では、第二大当たり判定の結果が第二大当たりの場合の第二特別図柄の変動中に第一大当たり判定が行われる場合がある。この場合、第一大当たりと第二大当たりとが重複して判定されることを回避するため、大当たりを排除して第一大当たり判定が行われる。すなわち、「大当たり」に対応する乱数値を「ハズレ」に対応する乱数値と定義して第一大当たり判定が行われる。これにより、定義されている大当たり乱数の乱数値がすべて「ハズレ」に対応することになるので、パチンコ機1は、第二大当たりと判定されたことに基づく第二特別図柄の変動中に第一大当たりと判定されることを回避できる。
次いで、第一特別図柄決定処理が行われる(S75)。第一特別図柄決定処理では、第一大当たり判定の結果に応じて第一特別図柄が決定される。具体的には、第一大当たり判定の結果が大当たりの場合、第一特別図柄として大当たり図柄が決定される。より詳細には、第一特別図柄決定テーブル(図5参照)が参照されて、S73でシフトされた判定エリアに記憶されている大当たり乱数と同時に取得された第一特別図柄決定乱数の値に対応する第一特別図柄が決定される。これにより、大当たり種別が決定される。一方、第一大当たり判定の結果がハズレである場合、第一特別図柄としてハズレ図柄が決定される。
次いで、第一変動パターン決定処理が行われる(S81)。第一変動パターン決定処理では、第一特別図柄の変動パターンが決定される。詳細には、ROM53に記憶されている第一変動パターン決定テーブル(図7参照)のうち、第一大当たり判定時の遊技状態(時短状態または非時短状態)および第一大当たり判定の結果(大当たりまたはハズレ)に応じたテーブルが参照されて、第一特別図柄の変動パターンが決定される。
第一変動パターンが決定されると、決定された第一変動パターンを指定するための第一変動パターン指定コマンドがRAM52に記憶される(S82)。第一変動パターン指定コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図10参照)において、サブ制御基板58に送信される。決定された第一変動パターンに応じて定められている第一特別図柄の変動時間が、第一特別図柄変動時間カウンタにセットされる(S83)。第一特別図柄が変動中であることを示す「1」が第一特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S84)、処理はメイン処理へ戻る。
また、図14に示すように、S62の判断において、第一特別図柄表示状態フラグに「1」が記憶されている場合には、第一特別図柄が変動中であると判断され(S62:YES)、S83(図15参照)でセットされた第一特別図柄変動時間カウンタの値によって、変動時間が経過したか否かが判断される(S101)。第一特別図柄変動時間カウンタの値が「0」でない場合には、変動時間がまだ経過していないと判断され(S101:NO)、処理はメイン処理へ戻る。変動時間が経過した場合には(S101:YES)、RAM52に第一特別図柄停止コマンドが記憶される(S102)。第一特別図柄停止コマンドは、コマンド出力処理(S10、図10参照)によって中継基板47およびサブ制御基板58に送信され、第一特別図柄および表示画面28の第一演出図柄の変動停止を指示する。次いで、所定の停止表示時間が第一特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S103)。第一特別図柄が停止表示中であることを示す「2」が第一特別図柄表示状態フラグに記憶される(S104)。次いで、第一始動口入賞フラグまたは第一始動電動役物入賞フラグのうち「ON」となっているフラグを「OFF」として(S105)、処理はメイン処理へ戻る。
また、S63の判断において、第一特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されている場合には、第一特別図柄が停止表示中であると判断され(S63:YES)、S103でセットされた第一特別図柄停止時間カウンタの値によって、停止表示時間が経過したか否かが判断される(S106)。第一特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には、停止表示時間がまだ経過していないと判断され(S106:NO)、処理はメイン処理へ戻る。停止表示時間が経過した場合には(S106:YES)、第一特別図柄が変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が、第一特別図柄表示状態フラグに記憶される(S107)。
次いで、強制停止処理が行われる(S108)。詳しくは後述するが、強制停止処理では、第一特別図柄および第二特別図柄の一方において、大当たり図柄が停止した場合に、他方の特別図柄を強制的にハズレで停止させる処理が行われる。次いで、遊技状態移行処理が行われる(S109)。詳しくは後述するが、遊技状態移行処理では、大当たりと判定された場合には遊技を大当たり遊技へ移行させ、所定の終了条件が成立した場合には時短状態を終了させるための各種のフラグの制御が行われる。処理はメイン処理へ戻る。
図16を参照して、強制停止処理(S108、図14参照)について詳細に説明する。図16に示すように、強制停止処理が開始されると、まず、第一特別図柄および第二特別図柄のうち停止した特別図柄が大当たり図柄か否かが判断される(S111)。大当たり図柄でない場合(S111:NO)、処理は第一特別図柄処理(図14参照)へ戻る。
大当たり図柄の場合(S111:YES)、第一特別図柄および第二特別図柄のうち停止した特別図柄でない特別図柄(以下、「他方の特別図柄」という。)が変動中であるか否かが判断される(S112)。他方の特別図柄が変動中でない場合(S112:NO)、処理は第一特別図柄処理へ戻る。
他方の特別図柄が変動中の場合(S112:YES)、RAM52に強制停止コマンドが記憶される(S113)。強制停止コマンドは、コマンド出力処理(S10、図10参照)によって中継基板47およびサブ制御基板58に送信される。強制停止コマンドは、変動中の特別図柄(すなわち、他方の特別図柄)および演出図柄を、強制的にハズレを示す態様で変動停止させることを指示する。ここで、第二大当たり判定において小当たりと判定されたことに基づく第二特別図柄の変動中に、第一特別図柄として大当たり図柄が停止する場合がある。この場合、第二特別図柄は小当たり図柄からハズレ図柄に書き換えられることとなる。同様に、第二演出図柄も小当たりを示す態様からハズレを示す態様に変更されて停止する。
次いで、所定の停止表示時間が他方の特別図柄に対応する特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S114)。特別図柄が停止表示中であることを示す「2」が他方の特別図柄に対応する特別図柄表示状態フラグに記憶される(S115)。次いで、他方の特別図柄が第一特別図柄の場合、第一始動口入賞フラグまたは第一始動電動役物入賞フラグのうち「ON」となっているフラグを「OFF」とする(S116)。他方の特別図柄が第二特別図柄の場合、第二始動口入賞フラグを「OFF」とする(S116)。処理はメイン処理へ戻る。
図17を参照して、遊技状態移行処理(S109、図14参照)について詳細に説明する。図17に示すように、遊技状態移行処理が開始されると、まず、大当たり判定の結果が大当たりであるか否かが判断される(S121)。大当たりの場合(S121:YES)、大当たり遊技状態フラグが「ON」となる(S122)。Rカウンタに大当たり種別に対応付けられたラウンド数がセットされる(S123)。Rカウンタは、大当たり遊技において実行するラウンド数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。具体的には、大当たり種別が「大当たりA〜C、F」のいずれかの場合には、Rカウンタに「5」が記憶される。大当たり種別が「大当たりD、E」のいずれかの場合には、Rカウンタに「2」が記憶される。大当たり種別が「大当たりG」の場合には、Rカウンタに「15」が記憶される。
次いで、大当たり遊技が開始することを示す大当たり遊技開始コマンドが、RAM52に記憶される(S124)。大当たり遊技開始コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図10参照)において、サブ制御基板58に送信される。次いで、判定回数計数カウンタの値が「0」にリセットされる(S125)。判定回数計数カウンタは、判定回数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。次いで、「ON」となっている時短フラグおよび確率変動フラグがあれば、ともに「OFF」となる(S126、S127)。つまり、大当たり遊技中の遊技状態は通常状態である。処理は第一特別図柄処理(図14参照)へ戻る。
一方、大当たり判定の結果がハズレの場合(S121:NO)、大当たり判定の結果が小当たりであるか否かが判断される(S131)。小当たりでない場合(S131:NO)、処理はS133へ移行する。小当たりの場合(S131:YES)、小当たり遊技状態フラグが「ON」となる(S132)。
次いで、判定回数計数カウンタに「1」が加算される(S133)。次いで、確率変動フラグの状態によって、確率変動状態中であるか否かが判断される(S134)。確率変動フラグが「ON」の場合(S134:YES)、処理は第一特別図柄処理へ戻る。確率変動フラグが「OFF」の場合(S134:NO)、時短フラグの状態によって、時短状態中であるか否かが判断される(S135)。時短フラグが「OFF」の場合(S135:NO)、処理は第一特別図柄処理へ戻る。
時短フラグが「ON」の場合(S135:YES)、判定回数計数カウンタの値によって、判定回数が時短回数(40回)であるか否かが判断される(S136)。判定回数計数カウンタの値が「40」でない場合(S136:NO)、処理は第一特別図柄処理へ戻る。判定回数計数カウンタの値が「40」の場合(S136:YES)、時短フラグが「OFF」になる(S137)。次いで、処理は第一特別図柄処理へ戻る。
図18および図19を参照して、第二特別図柄処理(S15、図10参照)の詳細について説明する。図18に示すように、第二特別図柄処理が開始されると、第二始動口入賞フラグの状態によって、第二始動口16に遊技球が入賞しているか否かが判断される(S151)。第二始動口入賞フラグが「OFF」の場合(S151:NO)、処理はS161の判断へ移行する。
第二始動口入賞フラグが「ON」の場合(S151:YES)、第二保留球数が「1」であるか否かが判断される(S152)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「1」であれば(S152:YES)、記憶可能な第二保留球の数が上限に達しているので、処理はS161の判断へ移行する。
第二保留球数が「1」でない場合には(S152:NO)、RAM52に記憶されている第二保留球数に「1」が加算される(S153)。次いで、各種乱数が取得され、第二大当たり関係情報記憶エリア(図示略)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S154)。具体的には、第二大当たり乱数欄には第二大当たり判定カウンタの値が、第二特別図柄決定乱数欄には第二特別図柄決定カウンタの値が、第二変動パターン決定乱数欄には第二変動パターン決定カウンタの値が、それぞれRAM52に記憶される。
次いで、大当たり遊技状態フラグおよび小当たり遊技状態フラグの状態によって、当たり遊技状態(大当たり遊技状態または小当たり遊技状態)であるか否かが判断される(S161)。大当たり遊技状態フラグおよび小当たり遊技状態フラグのいずれかが「ON」である場合、当たり遊技状態中であると判断されて(S161:YES)、処理はメイン処理へ戻る。大当たり遊技状態フラグおよび小当たり遊技状態フラグのいずれもが「OFF」である場合、当たり遊技状態中でないと判断されて(S161:NO)、第二特別図柄表示状態フラグの状態によって、第二特別図柄が変動中であるか否かが判断される(S162)。第二特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合には、第一特別図柄が変動中でないと判断されて(S162:NO)、第二特別図柄表示状態フラグの状態によって、第一特別図柄が停止表示中であるか否かが判断される(S163)。第二特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合は、第一特別図柄が停止表示中でないと判断されて(S163:NO)、処理はS171(図19参照)へ移行し、第二大当たり判定等の処理が行われる。
図19に示すように、まず、第二保留球数が「1」であるか否かが判断される(S171)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「0」であれば(S171:NO)、処理はメイン処理へ戻る。第二保留球数が「1」である場合には(S171:YES)、RAM52に記憶されている第二保留球数が「1」減算される(S172)。次いで、第二大当たり関係情報記憶エリア(図示略)の判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされる(S173)。
次いで、確率変動状態であるか否かに応じた第二大当たり判定が行われる(S174)。S174では、確率変動フラグの状態を参照して、現時点において確率変動状態が生起されているか否かが特定される。確率変動状態が生起されているか否かが特定された結果に対応して、低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが選択される。図示しないが、ROM53には、第二大当たり判定を行うためのテーブルとして、低確率判定テーブルと、高確率判定テーブルとが記憶されている。低確率判定テーブルは、非確率変動状態中の第二大当たり判定に用いられるテーブルであり、「大当たり」、「小当たり」、および「ハズレ」にそれぞれ対応する大当たり乱数の乱数値が定義されている。高確率判定テーブルは、確率変動状態中の第二大当たり判定に用いられるテーブルであり、「大当たり」、「小当たり」、および「ハズレ」にそれぞれ対応する大当たり乱数の乱数値が定義されている。確率変動状態が生起されているか否かが特定された結果に対応して、低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが選択される。選択された低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが参照されて、S173でシフトされた判定エリアに記憶されている第二大当たり乱数が「大当たり」、「小当たり」、および「ハズレ」のいずれに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の第二大当たり乱数に基づく第二大当たり判定が行われる。
また、本実施形態では、第一大当たり判定の結果が第一大当たりの場合の第一特別図柄の変動中に第二大当たり判定が行われる場合がある。この場合、第一大当たりと第二大当たりとが重複して判定されることを回避するため、大当たりを排除して第二大当たり判定が行われる。すなわち、「大当たり」に対応する乱数値を「ハズレ」に対応する乱数値と定義して第二大当たり判定が行われる。これにより、定義されている大当たり乱数の乱数値が「ハズレ」または「小当たり」に対応することになるので、パチンコ機1は、第一大当たりと判定されたことに基づく第一特別図柄の変動中に第二大当たりと判定されることを回避できる。パチンコ機1は、先述したように、第二大当たりと判定されたことに基づく第二特別図柄の変動中に第一大当たりと判定されることを回避できるので、第一大当たりと第二大当たりとが重複して判定されることを回避できる。
次いで、第二特別図柄決定処理が行われる(S175)。第二特別図柄決定処理では、第二大当たり判定の結果に応じて第二特別図柄が決定される。具体的には、第二大当たり判定の結果が大当たりの場合、第二特別図柄として大当たり図柄が決定される。より詳細には、第二特別図柄決定テーブル(図6参照)が参照されて、S173でシフトされた判定エリアに記憶されている大当たり乱数と同時に取得された第二特別図柄決定乱数の値に対応する第二特別図柄が決定される。これにより、大当たり種別が決定される。一方、第二大当たり判定の結果がハズレである場合、第二特別図柄としてハズレ図柄が決定される。第二大当たり判定の結果が小当たりである場合、第二特別図柄として小当たり図柄が決定される。
次いで、第二変動パターン決定処理が行われる(S181)。第二変動パターン決定処理では、第二特別図柄の変動パターンが決定される。詳細には、ROM53に記憶されている第二変動パターン決定テーブル(図8参照)のうち、第二大当たり判定時の遊技状態(時短状態または非時短状態)および第二大当たり判定の結果(大当たりまたはハズレ)に応じたテーブルが参照されて、第二特別図柄の変動パターンが決定される。
第二変動パターンが決定されると、決定された第二変動パターンを指定するための第二変動パターン指定コマンドがRAM52に記憶される(S182)。第二変動パターン指定コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図10参照)において、サブ制御基板58に送信される。決定された第二変動パターンに応じて定められている第二特別図柄の変動時間が、第二特別図柄変動時間カウンタにセットされる(S183)。第二特別図柄が変動中であることを示す「1」が第二特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S184)、処理はメイン処理へ戻る。
また、図18に示すように、S162の判断において、第二特別図柄表示状態フラグに「1」が記憶されている場合には、第二特別図柄が変動中であると判断され(S162:YES)、S183(図19参照)でセットされた第二特別図柄変動時間カウンタの値によって、変動時間が経過したか否かが判断される(S201)。第二特別図柄変動時間カウンタの値が「0」でない場合には、変動時間がまだ経過していないと判断され(S201:NO)、処理はメイン処理へ戻る。変動時間が経過した場合には(S201:YES)、RAM52に第二特別図柄停止コマンドが記憶される(S202)。第二特別図柄停止コマンドは、コマンド出力処理(S10、図10参照)によって中継基板47およびサブ制御基板58に送信され、第二特別図柄および表示画面28の第二演出図柄の変動停止を指示する。次いで、所定の停止表示時間が第二特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S203)。第二特別図柄が停止表示中であることを示す「2」が第二特別図柄表示状態フラグに記憶される(S204)。次いで、第二始動口入賞フラグを「OFF」として(S205)、処理はメイン処理へ戻る。
また、S163の判断において、第二特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されている場合には、第二特別図柄が停止表示中であると判断され(S163:YES)、S203でセットされた第二特別図柄停止時間カウンタの値によって、停止表示時間が経過したか否かが判断される(S206)。第二特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には、停止表示時間がまだ経過していないと判断され(S206:NO)、処理はメイン処理へ戻る。停止表示時間が経過した場合には(S206:YES)、第二特別図柄が変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が、第二特別図柄表示状態フラグに記憶される(S207)。次いで、強制停止処理(図16参照)が行われる(S208)。遊技状態移行処理(図17参照)が行われて(S209)、処理はメイン処理へ戻る。
図20を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。サブ制御基板処理は、ROM583に記憶されているプログラムに従って、CPU581によって実行される。
図20に示すように、サブ制御基板処理が開始されると、主制御基板41から第一変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判断される(S301)。第一変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S301:NO)、処理はS303の判断へ移行する。第一変動パターン指定コマンドを受信した場合(S301:YES)、第一報知演出制御処理が行われる(S302)。第一報知演出制御処理では、まず、主制御基板41から受信した第一変動パターン指定コマンドによって指定された第一変動パターンが、RAM582に記憶される。次いで、第一変動パターンに応じて、第一報知演出が制御される。これにより、表示画面28における第一演出図柄の図柄変動が開始される。
次いで、主制御基板41から第二変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判断される(S303)。第二変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S303:NO)、処理はS305の判断へ移行する。第二変動パターン指定コマンドを受信した場合(S303:YES)、第二報知演出制御処理が行われる(S304)。第二報知演出制御処理では、まず、主制御基板41から受信した第二変動パターン指定コマンドによって指定された第二変動パターンが、RAM582に記憶される。次いで、第二変動パターンに応じて、第二報知演出が制御される。これにより、表示画面28における第二演出図柄の図柄変動が開始される。
次いで、主制御基板41から第一特別図柄停止コマンドを受信したか否かが判断される(S305)。第一特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S305:NO)、処理はS307の判断へ移行する。第一特別図柄停止コマンドを受信した場合(S305:YES)、大当たり判定の結果を示す第一演出図柄の組合せが確定表示され(S306)、第一報知演出が終了する。
次いで、主制御基板41から第二特別図柄停止コマンドを受信したか否かが判断される(S307)。第二特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S307:NO)、処理はS309の判断へ移行する。第二特別図柄停止コマンドを受信した場合(S307:YES)、大当たり判定の結果を示す第二演出図柄の組合せが確定表示され(S308)、第二報知演出が終了する。
次いで、主制御基板41から強制停止コマンドを受信したか否かが判断される(S309)。強制停止コマンドを受信していない場合(S309:NO)、処理はS311の判断へ移行する。強制停止コマンドを受信した場合(S309:YES)、変動中の演出図柄(すなわち、他方の特別図柄に対応する演出図柄)が、ハズレの態様で強制的に停止される(S310)。
次いで、主制御基板41から大当たり遊技開始コマンドを受信したか否かが判断される(S311)。大当たり遊技開始コマンドを受信していない場合(S311:NO)、処理はS313の判断へ移行する。大当たり遊技開始コマンドを受信した場合(S311:YES)、大当たり遊技演出の実行が開始される(S312)。大当たり遊技演出は、大当たり遊技中であることを遊技者に報知するために実行される演出である。
次いで、主制御基板41から警告報知コマンドを受信したか否かが判断される(S313)。警告報知コマンドを受信していない場合(S313:NO)、処理はS301の判断へ戻る。警告報知コマンドを受信した場合(S313:YES)、監視時間(3分)内に規定数(150個)の遊技球が第二始動口16に入賞したことになるので、第二始動口16に遊技球が過剰に入賞している旨の警告報知が所定の態様で実行される(S314)。具体的には、表示画面28に、「第二始動口過剰入賞エラー 係員をお呼びください」と表示される。スピーカ48により警告音が出力され、さらに「過剰入賞エラーです」と報知される。実行中の報知演出等、警告報知によるもの以外の音量が低下する。遊技領域4に設けられた電飾部材が赤色で全点滅する。警告報知の態様は、これらに限定されないことは言うまでもない。なお、本実施形態では、これらの警告報知は開始から30秒経過後に自動的に終了し、パチンコ機1は元の状態(つまり、警告報知がなされる前の状態)に復帰する。なお、警告報知は、自動的に終了せず、遊技場の管理者による操作に基づいて終了するように構成されてもよい。
以上説明したように、パチンコ機1の正規の遊技は、通常状態では、左打ちを行うことである。左打ちされた遊技球は、第二始動口16よりも第一始動口14に入賞しやすい。例えば通常状態において、遊技球が第二始動口16に過剰に入賞するということは、遊技者によって不正行為が行われているおそれがある。パチンコ機1は、第二始動口16に入賞した遊技球を検出すると(S41:YES)、第二報知演出が実行されているか否かに関わらず特定検出数をカウントする(S43)。カウントされた特定検出数が監視時間内に規定数に達した場合(S44:YES)、その旨を通知するための警告報知コマンドが主制御基板41からホールコンピュータ100に出力される(S45、S20)。これにより、パチンコ機1の管理者は、パチンコ機1において不正行為が行われているおそれがあることを把握できる。従って、パチンコ機1はセキュリティレベルを向上でき、遊技球を第二始動口16に過剰に入賞させる不正行為を抑制できる。さらに、カウントされた特定検出数が監視時間内に規定数に達した場合(S44:YES)、警告報知コマンドが主制御基板41からサブ制御基板58にも出力され(S45、S10)、警告報知が実行される(S314)。これにより、パチンコ機1は、遊技球を第二始動口16に過剰に入賞させる不正行為を抑制できる。一方で、パチンコ機1は、第一始動口14に入賞した遊技球を検出しても、その数をカウントしない。つまり、パチンコ機1は、遊技球を第二始動口16に過剰に入賞させる不正行為を検出するために必要な数のみカウントするので、不正行為を検出するための制御の複雑化を抑制できる。従って、パチンコ機1は、制御の複雑化を抑制しつつ、遊技球を第二始動口16に過剰に入賞させる不正行為を抑制できる。
また、パチンコ機1の正規の遊技は、特別状態では、右打ちを行うことである。パチンコ機1では、特別状態において右打ちされた遊技球は、通常状態において左打ちされた遊技球よりも第二始動口16に入賞しにくい。これにより、正規の遊技が行われているのにも関わらず、カウントされた特定検出数が監視時間内に規定数に達し、ホールコンピュータ100に警告報知コマンドが出力されたり、警告報知が実行されたりしまうことが抑制される。また、特別状態において正規の遊技が行われているときは、第二始動口16に入賞しにくいので、カウントされた特定検出数が監視時間内に規定数に達することは考え難い。すなわち、特別状態においてカウントされた特定検出数が監視時間内に規定数に達した場合、遊技者によって不正行為が行われているおそれがある。パチンコ機1は、遊技状態に関わらず、常に特定検出数をカウントしているので、特別状態において不正行為が行われているおそれがある場合においてもホールコンピュータ100に警告報知コマンドを出力でき、また、警告報知を行うことができる。
また、通常状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合を、通常状態において左打ちされた遊技球が第一始動口14に入賞する割合よりも高くすることで、新規な遊技性を有するパチンコ機1を提供できる。一方で、このような仕様の場合、例えば遊技者により不正の目的で、通常状態において右打ちされるおそれがある。しかし、パチンコ機1は、特定検出数が規定数に達した場合にホールコンピュータ100に警告報知コマンドを出力でき、また、警告報知を行うことができる。このため、遊技球を第二始動口16に過剰に入賞させる不正行為を抑制しつつ、新規な遊技性を有するパチンコ機1を提供できる。
また、通常状態において実行される第二報知演出の演出時間の平均が、通常状態において実行される第一報知演出の演出時間の平均よりも長いので、第一大当たり判定が単位時間当たりに行われる回数よりも、第二大当たり判定が単位時間当たりに行われる回数の方が少なくなる。このため、遊技者は通常状態において左打ちを行う。すなわち、パチンコ機1は、通常状態において右打ちを行う不正行為を抑制できる。
なお、上記実施形態において図10のメイン処理を実行するCPU51が、本発明の「主制御手段」に相当する。図20のサブ制御基板処理を実行するCPU581が、本発明の「サブ制御手段」に相当する。遊技球発射装置37が、本発明の「発射装置」に相当する。第一始動口14が、本発明の「第一始動領域」に相当する。第一始動口スイッチ71が、本発明の「第一検出手段」に相当する。第二始動口16が、本発明の「第二始動領域」に相当する。第二始動口スイッチ73が、本発明の「第二検出手段」に相当する。図15のS74の処理を実行するCPU51が、本発明の「第一判定手段」に相当する。図19のS174の処理を実行するCPU51が、本発明の「第二判定手段」に相当する。図12のS43の処理を実行するCPU51が、本発明の「カウント手段」に相当する。図12のS45の処理の後、図10のS10とS20の処理を実行するCPU51が、本発明の「出力手段」に相当する。図20のS302の処理を実行するCPU581が、本発明の「第一報知演出実行手段」に相当する。図20のS304の処理を実行するCPU581が、本発明の「第二報知演出実行手段」に相当する。図20のS314の処理を実行するCPU581が、本発明の「警告報知実行手段」に相当する。時短状態および確率変動非時短状態が、本発明の「特別状態」に相当する。
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、上記実施形態のパチンコ機1は、第一特別図柄と第二特別図柄を同時に変動可能な機種であるが、これに限定されず、第一特別図柄および第二特別図柄のいずれかを優先して変動表示させる機種であってもよい。
また、上記実施形態では、パチンコ機1は、第一特別図柄として大当たりを示す大当たり図柄およびハズレを示すハズレ図柄を備え、第二特別図柄として大当たり図柄およびハズレ図柄に加え、小当たりを示す小当たり図柄を備える。パチンコ機1は、第一特別図柄として小当たり図柄をさらに備えてもよいし、第二特別図柄として小当たり図柄を備えなくてもよい。また、パチンコ機1は、例えば第一特別図柄および第二特別図柄のいずれか一方のみを備えてもよい。さらに、パチンコ機1は、複数種類の小当たり図柄を備えてもよい。
普通図柄作動ゲート12、第一始動口14、第一始動電動役物15、第二始動口16、大入賞口17等の遊技盤2への配置位置は、上記実施形態に限定されない。例えば大入賞口17は、第一始動電動役物15よりも上方に配置されてもよい。
上記実施形態では、通常状態において右打ちされた遊技球は、約25%が第二始動口16に入賞するが、通常状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、25%未満であってもよいし、25%を超えてもよい。また、通常状態において左打ちされた遊技球は、約6%が第一始動口14に入賞するが、通常状態において左打ちされた遊技球が第一始動口14に入賞する割合は、6%未満であってもよいし、6%を超えてもよい。さらに、通常状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合は、通常状態において左打ちされた遊技球が第一始動口14に入賞する割合よりも高いが、それ以下でもよい。
また、上記実施形態では、非確率変動状態または確率変動時短状態における第二大当たり判定の結果が大当たり以外の場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間のうち、最も短い変動時間は、非時短状態において第一大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間のうち、最も長い変動時間よりも長い。これに対し、非確率変動状態または確率変動時短状態における第二大当たり判定の結果が大当たり以外の場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間のうち、最も短い変動時間は、非時短状態において第一大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間のうち、最も長い変動時間以下でもよい。
また、上記実施形態では、非確率変動状態または確率変動時短状態において第二大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均は、非時短状態において第一大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均よりも長い。これに対し、非確率変動状態または確率変動時短状態において第二大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均は、非時短状態において第一大当たり判定が行われた場合に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均以下でもよい。
また、上記実施形態では、第二大当たり判定において確率変動非時短状態中に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均は、第一大当たり判定において非時短状態中に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均よりも短い。第二大当たり判定において確率変動非時短状態中に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均は、第一大当たり判定において非時短状態中に決定される変動パターンに応じて定められている変動時間の平均以上でもよい。
上記実施形態では、監視時間は3分であり、規定数は150個であるが、これに限定されない。監視時間は3分未満でもし、3分を超えてもよい。規定数は150個未満でもよいし、150個を超えてもよい。監視時間と規定数は、各遊技状態において右打ちされた遊技球が第二始動口16に入賞する割合に応じて設定されことが好ましい。これにより、パチンコ機1は、いずれの遊技状態においても、不正行為が行われているおそれがあることを適切に検出できる。また、例えば所定の時間の間、第二始動口16に遊技球が入賞しない場合、監視時間の計測を省略してもよい。この場合、例えば所定の時間の経過後、第二始動口16に遊技球が入賞したことを契機として監視時間の計測を開始してもよい。
上記実施形態では、規定数「A」は、式(1)〜(4)が成立するように定められるが、これに限定されず、例えば規定数「A」は「X」以下でもよい。この場合、通常状態中には左打ちを行うのが正規の遊技である一方で、例えば通常状態中に継続して右打ちされた場合、特定検出数は監視時間内に規定数に達する可能性が非常に高くなる。よって、パチンコ機1は通常状態において正規の遊技とは異なる遊技が行われているおそれがあることを適切に検出できる。また、本実施形態では、規定数「A」は「X」の約2倍であるが、これに限定されない。
さらには、特許請求の範囲、明細書、および図面に記載される全ての要素は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素に付けた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したに過ぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「出力手段」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。さらには、全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくは一つの要素を複数の要素に分けて構成するかは、特許請求の範囲等において特定していない限り、いずれも当業者であれば極めて容易に考えられる事項であるため、敢えて明細書等において全てのパターンを記載しなくてもいずれのパターンも想定範囲内であることから本発明に係る権利範囲に含まれることは勿論である。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施形態に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施形態から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。