JP6827673B2 - 車両用内装表皮材 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用内装表皮材に関する。
従来、車両のインストルメントパネル、コンソール等の内装材として、発泡樹脂や非発泡樹脂などの樹脂部材と合成樹脂製の表皮材(すなわち車両用内装表皮材)を貼り合わせ等によって積層一体化したものが一般的に使用されている。
前記車両用内装表皮材には、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)からなるシート状のものが所定形状に賦形されて使用されている。
また、車両用内装表皮材は、乗員によって触れられたりするために耐摩耗性が求められ、さらに、車内に入射する紫外線に曝されたりするために耐光性が求められる。また、車両用内装表皮材は、夏季に車内が高温になるため、高温の車内で変形しない耐熱性が求められる。
しかし、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる車両用内装表皮材は、耐摩耗性が不足する問題があるため、表面保護を目的としたコーティングが不可欠となっており、製品コストを増大させていた。
特開2010−285484号公報
前記の問題を解決するため、耐摩耗性・機械物性に優れるウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)について検討したところ、ウレタン系熱可塑性エラストマーのみからなる表皮材は、金属との密着性が高く、加工に問題があることが判明した。例えば、車両用内装表皮材を成形する際に、樹脂組成物を押出機からシート状に押し出し、続いて金属製の冷却ローラに通して冷却する工程において、金属製の冷却ローラに密着する問題がある。
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、表面にコーティングを施さなくても良好な耐摩耗性を有し、金属に対する密着性が低く、かつ良好な耐光性及び耐熱性を有する車両用内装表皮材の提供を目的とする。
請求項1の発明は、熱可塑性エラストマー樹脂組成物から得られた車両用内装表皮材であって、前記熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)を50〜94重量部と、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)と、アミン変性スチレン系熱可塑性エラストマー(C)と、を含み、前記ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)のイソシアネート成分が、無黄変イソシアネートであり、前記ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)と前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の配合比率[(A)/(B)]が、1.38〜8.50であり、前記無黄変イソシアネートが、脂環族ジイソシアネートであることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項において、前記アミン変性スチレン系熱可塑性エラストマー(C)が、アミン変性水添スチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする。
本発明によれば、表面にコーティングを施さなくても良好な耐摩耗性を有し、かつ良好な耐光性を有し、さらに金属に対する密着性の低い車両用内装表皮材が得られる。
実施例と参考例の構成及び評価結果を示す表である。 比較例の構成及び評価結果を示す表である。
以下、本発明の車両用内装表皮材の実施形態について説明する。本発明の車両用内装表皮材は、インストルメントパネル、コンソール等の車両用内装材の表皮材として使用される。なお、インストルメントパネルやコンソール等の車両用内装材は、一般的に発泡体や非発泡体などの樹脂部材の表面に車両用内装表皮材が積層された構成からなる。
本発明の車両用内装表皮材は、熱可塑性エラストマー樹脂組成物から得られたものである。前記熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)とアミン変性スチレン系熱可塑性エラストマー(C)とを含む。
ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)は、ポリオール、イソシアネート、鎖伸長剤等を反応させて得られる。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を挙げることができる。
ポリエステルポリオールとしては、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グリタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、それらの酸エステル、または酸無水物等と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1.6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の低分子ポリオールとの脱水縮合反応により、またはラクトンの開環重合等によって得られるポリエステルポリオールを挙げる。
ポリエステルエーテルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、またはこれらの酸エステル、もしくは酸無水物と、ジエチレングリコールもしくはプロピレンオキサイド付加物等のグリコール等、またはこれらの混合物との脱水縮合反応で得られるもの等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、エチレングリコール、1,3プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール等の多価アルコールと、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等と反応させて得られるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
イソシアネートとしては、紫外線による車両用内装表皮材の変色を抑えるため、無黄変イソシアネートが用いられる。無黄変イソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートが挙げられる。脂環族ジイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネートに比べ剛性があり、強度に優れるため、耐摩耗性や機械物性が向上し、より好ましいものである。
脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ジイソシアネートとしては、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加トリレンジイソシアネート(水添TDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)等を挙げることができる。
鎖伸長剤は、イソシアネートと反応する活性水素原子を分子中に2個以上有する低分子化合物が使用される。鎖伸長剤として、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリオキシエチレングリコール等が挙げられ、1種類または2種類上併用することができる。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)は、ハードセグメントにポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂を使用し、ソフトセグメントにエチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等のゴム弾性を有する物質の混合物、ハードセグメントにポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂を使用し、ソフトセグメントにエチレン、α−オレフィン(ブチレン、ヘキセン、オクテン等)等をランダム又はブロックに共重合した共重合体からなる。共重合体のオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)としては、機械物性や品質等の安定性の点から、ブロック共重合体であることが好ましく、エチレン/α−オレフィンブロック共重合体等が挙げられる。
アミン変性スチレン系熱可塑性エラストマー(C)は、スチレン系熱可塑性エラストマーをアミン変性したものであり、相容性の悪いウレタン系熱可塑性エラストマー(A)とオレフィン系熱可塑性エラストマー(B)とを均一に混合する働きを有する。アミン変性するスチレン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントをポリスチレンとし、ソフトセグメントをブタジエンとするもの(SBS)、イソプレンとするもの(SIS)、これらを水添した水添スチレン系(SEBS、SEPS)などが挙げられる。水添されたSEBSやSEPSは、水添していないSBSやSISに比べ、耐光性や耐熱性、強度が改善されるため、より好ましいものである。
また、スチレン系熱可塑性エラストマーをアミン変性する方法は特に限定されず、公知の方法によって行われる。例えば、アミノ基を有する重合開始剤を用いて(水添)ブロック共重合体を重合することによりアミン変性する方法、アミノ基を有する不飽和単量体を、共重合する原料と用いることにより(水添)共重合体をアミン変性する方法等が挙げられる。
前記熱可塑性エラストマー樹脂組成物における前記ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)の配合量は、50〜94重量部であるのが好ましく、50〜90重量部であるのがより好ましく、55〜85重量部であるのが、特に好ましい。前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の配合量は、5〜45重量部がであるのが好ましく、10〜40重量部であるのがより好ましい。前記アミン変性スチレン系熱可塑性エラストマー(C)の配合量は、2〜30重量部であるのが好ましく、5〜30重量部であるのがより好ましい。
前記ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)の量が少なすぎると耐摩耗性やしっとり感、耐熱性等が劣るようになる一方、多すぎると成形性が悪くなったり、しっとり感が劣ったりする。また、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の量が少なすぎると成形性が悪くなる一方、多すぎると耐摩耗性やしっとり感、耐熱性等が劣るようになる。また、前記アミン変性スチレン系熱可塑性エラストマー(C)の量が少なすぎたり、配合されないと前記ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)と前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の混合が不均一となり、成形性が悪くなったり、耐摩耗性やしっとり感等が劣るようになる一方、多すぎるとコストが高くなる。前記アミン変性熱可塑性エラストマー(C)の量は、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の量に応じて、配合することが好ましい。前記アミン変性熱可塑性エラストマー(C)の配合量は、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の配合量が10重量部以上の場合、5重量部以上配合することが好ましく、配合量が10重量部未満の場合、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の配合量に対して、1/5〜1/2の割合で配合することが好ましい。
さらに、前記ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)と前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の配合比率(重量比率)[(A)/(B)]は、1.05〜20であるのが好ましい。
前記ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)と前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の配合比率[(A)/(B)]が1.05未満の場合は、前記ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)の割合が低いため、耐摩耗性及び耐熱性が劣るようになる。一方、前記配合比率[(A)/(B)]が20を超える場合は、前記ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)の割合が高いため、成形性に劣るようになると共に、表面硬度が高くなって得られる表皮材の感触(しっとり感)に劣るようになる。配合比率[(A)/(B)]は、1.05〜10であるのがより好ましく、1.2〜10であるのが、特に好ましい。
本発明の車両用内装表皮材の好ましい表面硬さは、A硬度(JIS K 6253−3)がA65〜A85であり、より好ましくはA70〜A80である。前記配合比率[(A)/(B)]が20を超えると、A硬度が車両用内装表皮材の好ましい範囲を超えるようになる。前記配合比率[(A)/(B)]が、1.05〜10であれば、A硬度がA70〜A80となり、より好ましい。
なお、本発明の車両用内装表皮材に使用される熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、添加剤としてオイル等の可塑剤を含有しないものである。極性の高いウレタン系熱可塑性エラストマーと極性の低いオイル等の可塑剤は相容しないため、ウレタン系熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物中にオイル等の可塑剤を配合するとブリードの問題が生じる。本発明ではオイル等の軟化可塑剤を含有しないことにより可塑剤のブリードによる問題、例えば表面のべたつきや白ボケなどの問題を生じることがない。
前記車両用内装表皮材の製造方法は、特に限定されない。例えばTダイ法によりシート状の車両用内装表皮材を得る例を示す。Tダイ法では、Tダイを先端に有する押出機から前記熱可塑性樹脂組成物をシート状に押し出し、続いて金属製の冷却ローラに通して車両用内装表皮材を得る。車両用内装表皮材の厚みは、車両用内装材に応じて設定されるが、例として0.2〜3mmを挙げる。
なお、車両用内装表皮材は、その後に真空成形により製品に応じた表皮形状に賦形される。真空成形では、車両用内装表皮材を加熱した状態で真空成形金型の型面に真空吸引し、その状態で冷却硬化させて賦形する。真空成形金型の型面は、車両用内装材の表皮形状に合わせたものとされている。真空成形により製品に応じた表面形状に賦形する場合、車両用内装表皮材の厚みは、0.3〜1mmであるのが好ましい。
本発明の車両用内装表皮材は、発泡体あるいは非発泡体からなる樹脂部材の表面に積層一体化されて車両用内装材を構成する。車両用内装表皮材と樹脂部材との積層一体化は、接着剤等を用いる貼着、あるいは、表皮材をセットした発泡型にウレタン等の発泡原料を注入して発泡体を表皮材と一体に成形する表皮一体発泡成形法などがあり、特に限定されない。
以下の原料を図1及び図2の表に示す配合とする熱可塑性エラストマー樹脂組成物を用い、2軸押出機(品名:KTX30、神戸製鋼所社製、混練温度180℃、スクリュー回転数200rpm)にてペレットを作成後、Tダイを有する単軸押出機(品名:SHT90−B−32DVg、日立造船社製、混練温度180℃、スクリュー回転数150rpm)により、厚み0.6mm、幅600mmのシート状に押出し、さらに金属製の冷却ローラに通して参考例1、実施例2〜実施例6、参考例7〜参考例9、実施例10〜実施例17及び比較例2〜比較例8の車両用内装表皮材を得た。なお、比較例1は、表面コーティングTPO表皮材として共和レザー社製、750P−JPを用いた。750P−JPの構成は、表面コーティング:10μm/TPO:0.8mm/オレフィン樹脂発泡体:2mmからなる3層構造の表皮材である。
・TPU−1:ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)、エステル/水添MDI(無黄変イソシアネート)、製品名;エラストラン(登録商標)NY585、BASF社製
・TPU−2:ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)、エーテル/水添MDI(無黄変イソシアネート)、製品名;エラストラン(登録商標)NY90A、BASF社製
・TPU−3:ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル/MDI(芳香族イソシアネート)、製品名;ミラクトラン(登録商標)E585、日本ミラクトラン社製
・TPS−1:アミン変性スチレン系熱可塑性エラストマー(C)、アミン変性SEBS、製品名;タフテック(登録商標)MP10、旭化成社製
・TPS−2:酸変性スチレン系熱可塑性エラストマー、酸変性SEBS、製品名;タフテック(登録商標)MP1913、旭化成社製
・TPO−1:オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)、PE/1−オクテン共重合体(エチレン/α−オレフィンブロック共重合体)、製品名;インフューズ(登録商標)9000、DOW社製
・TPO−2:オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)、PP/EPDM混合物、製品名;ミラストマー(登録商標)8030NH、三井化学社製
・可塑剤:パラフィン系、製品名;ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産社製
実施例と参考例及び比較例について、成形性、耐摩耗性、しっとり感、耐光性、ブリードアウト、表面硬度、引張強度、耐熱性を次のように評価した。評価結果は図1及び図2に示す。
成形性は、各実施例と各参考例及び各比較例の車両用内装表皮材について、単軸押出機から押し出した直後の金属製リップロールへの巻き付き程度によって評価した。リップロールへの車両用内装表皮材の巻き付きが全くない場合「◎」、巻き付きがわずかである場合「〇」、巻き付きが明確にある場合「△」、巻き付きが非常に多い場合「×」とした。
耐摩耗性は、テストピースを作成してJIS K 7204(テーパー摩耗)に基づき、砥石:H18、荷重:4.9N、回転速度:60rpmの条件で、1000回転後の損失重量(mg)を測定した。損失重量が30mg未満の場合「◎」、30mg以上かつ45mg未満の場合「〇」、45mg以上かつ60mg未満の場合「△」、60mg以上の場合「×」とした。
テストピースの作成は、図1及び図2に示す各実施例と各参考例及び各比較例の配合からなる熱可塑性エラストマー樹脂組成物を、ラボプラストミル(品名:ACM−5LVT、東洋精機社製)を用いて、温度180℃×4分×30rpmで混練し、得られた混練品をプレス機(品名:IMC−180C、井元製作所社製)により圧力30MPaで圧縮することにより、200mm×200mm×厚み2mmの平板からなるテストピースを作成した。
しっとり感は、各実施例と各参考例及び各比較例の車両用内装表皮材に10人の試験者がそれぞれ触れ、しっとり感が良い:5点、普通:3点、悪い:1点として、各実施例と各参考例及び各比較例について平均値を算出し、平均値が4.5点以上の場合に「◎」、4以上かつ4.5未満の場合に「〇」、3以上かつ4点未満の場合に「△」、3未満の場合に「×」とした。
耐光性は、各実施例と各参考例及び各比較例の前記テストピースに、耐光試験機(品名:SC−700FP、スガ試験機社製)によりキセノンランプを放射照度150W/m(波長域300〜400nm)の条件で照射し、累積エネルギー300MJ/m(バックパネル温度:83±3℃)後のΔEを、色差計(品名:SMカラーコンピューター SM−T、スガ試験機社製)により測定した。ΔEが3未満の場合「〇」、3以上かつ6未満の場合「△」、6以上の場合「×」とした。
ブリードアウトは、各実施例と各参考例及び各比較例の前記テストピースを80℃の恒温槽に2時間収容した後、テストピースの表面に対して、白ボケの有無、べたつきの有無を目視及び感触で判断し、白ボケ及びべたつきの何れも無い場合「〇」、白ボケまたはべたつきの少なくとも一方が有る場合「×」とした。
表面硬度は、各実施例と各参考例及び各比較例の前記テストピースについて、JIS K 6253−3に基づいてショアA硬度を測定した。測定は厚み2mmのテストピースを3枚重ねて6mm厚とし、15秒加圧後の値とした。測定値がA70以上かつA80未満の場合「〇」、A65以上かつA70未満あるいはA80以上かつA85未満の場合「△」、A65未満あるいはA85以上の場合「×」とした。
引張強度は、各実施例と各参考例及び各比較例の前記テストピースについて、JIS K 6251に基づき、サンプル厚み2mm(ダンベル状1号形)、引張速度200mm/minで測定した。測定結果が10MPa以上の場合「〇」、8MPa以上かつ10MPa未満の場合「△」、8MPa未満の場合「×」とした。
耐熱性は、各実施例と各参考例及び各比較例の前記テストピースについて、JIS K 6251(熱老化後の引張強度の保持率)に基づき、熱老化条件110℃×200時間として、熱老化試験前の引張強度と熱老化試験後の引張強度を測定し、熱老化後の引張強度の保持率を算出した。算出結果(引張強度保持率)が80%以上の場合「〇」、60%以上かつ80%未満の場合「△」、60%未満の場合「×」とした。
参考例1と実施例2〜6は、TPU−1とTPO−1及びTPS−1を使用し、TPS−1の量を5重量部に固定し、TPU−1の量を50重量部〜85重量部の間で変化させると共にTPO−1の量を45重量部〜10重量部の間で変化させて、TPU/TPOの配合比率を1.11〜8.5とした例である。参考例1と実施例2〜6は、何れも成形性、耐摩耗性、しっとり感、耐光性及びブリードアウトについて評価が「〇」又は「◎」であり、かつ表面硬度(A硬度)が72〜78と何れも「○」であって好ましい硬さであり、また、引張強度が10.1〜30.3MPaと何れも「○」であり、耐熱性(引張強度保持率)が90〜100%と何れも「○」であった。
特にTPU/TPOの配合比率が1.38〜8.5の実施例2〜6は、成形性、耐摩耗性及びしっとり感の評価が何れも「◎」であり、特に良好なものであった。
参考例7〜9は、TPU−1とTPO−1及びTPS−1を使用し、TPU−1の量を90重量部〜92.5重量部の間で変化させると共にTPO−1の量を2重量部〜2.5重量部の間で変化させて、TPU/TPOの配合比率を11.25〜18.5とした例である。実施例7〜9は、何れも成形性、耐摩耗性、しっとり感、耐光性及びブリードアウトについて評価が「〇」又は「◎」であり、また、引張強度が38.4〜40.6MPaと何れも「○」であって、耐熱性(引張強度保持率)が100%と何れも「○」であった。表面硬度(A硬度)は、80〜82と何れも「△」であった。
実施例3と実施例10〜12は、TPU−1とTPO−1及びTPS−1を使用し、TPU−1を60重量部に固定すると共に、TPO−1を35重量部〜10重量部の間で変化させ、かつTPS−1を5重量部〜30重量部の間で変化させ、TPU/TPOの配合比率を1.71〜6とした例である。実施例3及び実施例10〜12は、何れも成形性、耐摩耗性、しっとり感、耐光性及びブリードアウトについて評価が「〇」又は「◎」であり、かつ表面硬度(A硬度)が73〜74と何れも「○」であって好ましい硬さであり、また、引張強度が10.5〜13.5MPaと何れも「○」であり、耐熱性(引張強度保持率)が100%と何れも「○」であった。
実施例13は、実施例3におけるTPU−1の60重量部をTPU−1の30重量部とTPU−2の30重量部に変更した例である。実施例13は、成形性、耐摩耗性、しっとり感の評価が何れも「◎」であって、実施例3と同様に、特に良好なものであった。
実施例14は、実施例3におけるTPU−1の60重量部に代えて、TPU−2を60重量部使用した例である。実施例14は、成形性、耐摩耗性、しっとり感の評価が何れも「◎」であって、実施例3と同様に、特に良好なものであった。
実施例15〜実施例17は、実施例3におけるTPO−1の35重量部に代えて、TPO−1の20重量部とTPO−2の15重量部の併用(実施例15)、TPO−1の5重量部とTPO−2の30重量部の併用(実施例16)、TPO−2の35重量部(実施例17)に変更した例である。実施例15〜実施例17は、実施例3と同様に何れも成形性、耐摩耗性、しっとり感、耐光性及びブリードアウトについて評価が「〇」又は「◎」であり、かつ表面硬度(A硬度)が74と何れも「○」であって好ましい硬さであり、また、引張強度が10.6〜11.5MPaと何れも「○」であり、耐熱性(引張強度保持率)が95%と何れも「○」であった。
比較例1は、TPOのシート表面にコーティングを施した例であり、耐摩耗性及びしっとり感の評価が「×」であり、引張強度が「△」であった。
比較例2は、TPU−1を45重量部、TPO−1を50重量部、TPS−1を5重量部、TPU/TPOの配合比率を0.9とした例であり、耐摩耗性が「×」、しっとり感が「×」、引張強度が「×」、耐熱性(引張強度保持率)が「△」であった。
比較例3は、TPU−1を47.5重量部、TPO−1を47.5重量部、TPS−1を5重量部、TPU/TPO配合比率を1とした例であり、耐摩耗性が「×」、しっとり感が「△」、引張強度が「×」、耐熱性(引張強度保持率)「△」であった。
比較例4は、TPU−1を95重量部、TPO−1を4重量部、TPS−1を1重量部、TPU/TPO配合比率を23.75とした例であり、成形性が「△」、しっとり感が「△」、表面硬度が「×」であった。
比較例5は、TPU−1を60重量部、TPO−1を40重量部、TPS−1を0重量部、TPU/TPO配合比率を1.5とした例であり、成形性が「△」、耐摩耗性が「△」、しっとり感が[△]、引張強度が「×」、耐熱性(引張強度保持率)が「△」であった。TPS−1が未配合では、成形性に劣るだけでなく、TPU−1とTPO−1が均一に混合せず、耐摩耗性やしっとり感、引張強度も劣る結果となった。
比較例6は、TPU−3を60重量部、TPO−1を35重量部、TPS−1を5重量部、TPU/TPO配合比率を1.71とした例であり、耐光性が「×」であった。TPU−3は、イソシアネート成分が、無黄変イソシアネートでは無く芳香族イソシアネートであるため、耐光性が劣る結果となった。
比較例7は、TPU−1を60重量部、TPO−1を35重量部、TPS−2を5重量部、TPU/TPO配合比率を1.71とした例であり、成形性が「×」であり、引張強度が「△」であった。TPS−2は、酸変性SEBSであり、アミン変性SEBSであるTPS−1に比べ、金属に対する密着性が高く、成形性が非常に劣る結果となった。
比較例8は、TPU−1を60重量部、TPO−1を25重量部、TPS−2を5重量部、可塑剤を10重量部、TPU/TPO配合比率を2.4とした例であり、成形性が「△」、ブリードアウトが「×」、引張強度が「△」であった。可塑剤を配合することにより、金属に対する密着性が低くなり、比較例7に比べて改善されたものの成形性が劣る結果となった。また、可塑剤とTPU−1との相容性は悪いため、白ボケ及びべたつきの両方が確認され、ブリードアウトに劣る結果となった。
このように、本発明の実施例の車両用内装表皮材は、表面にコーティングを施さなくても良好な耐摩耗性を有し、かつ良好な耐光性及び耐熱性を有し、さらに金属に対する密着性の低いものである。

Claims (2)

  1. 熱可塑性エラストマー樹脂組成物から得られた車両用内装表皮材であって、
    前記熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、
    ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)を50〜94重量部と、
    オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)と、
    アミン変性スチレン系熱可塑性エラストマー(C)と、
    を含み、
    前記ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)のイソシアネート成分が、無黄変イソシアネートであり、
    前記ウレタン系熱可塑性エラストマー(A)と前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)の配合比率[(A)/(B)]が、1.38〜8.50であり、
    前記無黄変イソシアネートが、脂環族ジイソシアネートであることを特徴とする車両用内装表皮材。
  2. 前記アミン変性スチレン系熱可塑性エラストマー(C)が、アミン変性水添スチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の車両用内装表皮材。
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