JP6822294B2 - 評価プログラム、情報処理装置、及び評価方法 - Google Patents

評価プログラム、情報処理装置、及び評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、評価プログラム、情報処理装置、及び評価方法に関する。
例えば、空調室外機等の回転する部品を備える装置のメンテナンス業務では、点検作業員は装置が発する音を聞いて故障かどうかを判定している。なお、この様な異常を検出する対象の装置を、以下では検出対象装置と呼ぶことがある。
また、検出対象装置が正常に動作している時の動作音や、異常が発生している時の動作音を収集し、機械学習等を行うことで異常を自動検出する異常検出装置や異常検出ソフトウェアも開発されている。そして、異常検出装置や異常検出ソフトウェアによる異常検出精度を評価するための技術も開発されている(例えば、特許文献1)。
国際公開第2015/011791号
「音響による設備診断」、計測技術、2004年、Vol 32、No 6
しかしながら、例えば、検出対象装置に対する異常検出ソフトウェアの異常検出精度を評価する際に、検出対象装置の異常発生時の動作音のデータを十分に揃えられないことがある。この場合、例えば、別の装置で異常発生時に収集した動作音から、その装置の正常時の動作音では出ていない異音成分を抽出して検出対象装置の正常時の動作音に合成し、代用することが考えられる。しかし、このように作成した音は検出対象装置の異常発生時の動作音としてもっともらしい音にならないことがある。その結果、例えば、異常検出装置や異常検出ソフトウェアなどによる異常検出に対する評価の精度が低下することがある。
1つの側面では、本発明は、異常検出の評価精度を向上させることを目的とする。
本発明の一つの態様の評価プログラムは、生成する処理と、評価する処理をコンピュータに実行させる。生成する処理は、回転体を備える装置の異常動作時の動作音である異常音から抽出した異音成分と、正常動作時の動作音である第1正常音との周波数スペクトルにおける類似度に基づいて、第2の装置が備える第2の回転体の回転数に基づく周波数成分を含む疑似異音成分を生成する。評価する処理は、第2の装置の正常動作時の動作音である第2正常音に疑似異音成分を合成して得られた疑似異常音データを用いて、第2の装置の異常を検出する精度を評価する。
異常検出の評価精度が向上する。
異常検出システムを例示する図である。 実施形態に係る情報処理装置のブロック構成を例示する図である。 実施形態に係る異音成分の抽出を例示する図である。 実施形態に係る類似度の算出を例示する図である。 実施形態に係るラウドネス値の算出を例示する図である。 実施形態に係る異常事例情報を例示する図である。 実施形態に係る異音成分に関する情報の収集処理の動作フローを例示する図である。 実施形態に係る基音情報を例示する図である。 実施形態に係る基音周波数に基づく疑似異音成分の作成を例示する図である。 実施形態に係る疑似異常音データの作成を例示する図である。 実施形態に係る検出精度評価処理の動作フローを例示する図である。 実施形態に係る疑似異常音データの生成処理の動作フローを示す図である。 別の実施形態に係る疑似異音成分の作成を例示する図である。 実施形態に係る情報処理装置を実現するためのコンピュータのハードウェア構成を例示する図である。
図1は、異常検出システム100を例示する図である。異常検出システム100は、例えば、検出対象装置101、集音装置102、及び情報処理装置103を含む。検出対象装置101は、異常を検出する対象となる装置であり、回転体110を備えている。回転体110は、例えば、モータなどの力で回転するファンや軸などの部品である。集音装置102は、例えば、マイク120などの音を収集する装置と、レコーダ130などの収集した音を記録する装置を含み、検出対象装置101が発する動作音を収集する。
情報処理装置103は、例えば、検出対象装置の異常を検出する異常検出装置であってよい。情報処理装置103は、一例では、異常検出ソフトウェアを実行し、集音装置102から取得した検出対象装置101の動作音に基づいて、検出対象装置101に発生する異常を検出する。また、情報処理装置103は、異常検出装置又は異常検出ソフトウェアによる検出対象装置101に対する異常の検出精度を評価する評価装置として動作してもよい。しかしながら、例えば、検出対象装置101に対する異常検出装置又は異常検出ソフトウェアの異常の検出精度を評価する際に、検出対象装置101の異常発生時の動作音のデータを十分に揃えられないことがある。この場合、例えば、別の装置で異常発生時に収集した動作音から、その装置の正常時の動作音では出ていない異音成分を抽出して検出対象装置の正常時の動作音に合成して得た疑似異常音のデータを、異常検出精度の評価に用いることが考えられる。しかしながら、このように作成した疑似異常音は検出対象装置101の異常時の動作音としてもっともらしい音とはならないことがある。その結果、例えば、異常検出装置や異常検出ソフトウェアなどの異常検出精度についての評価精度が低下することがある。そのため、異常検出の評価精度を向上させることのできる技術の提供が望まれている。
また、異常検出精度の評価において、点検作業員が検出可能な異常を検出できるか否かが1つの評価基準となる。しかしながら、上述のように作成された疑似異常音のデータは、本来発生し得ない音となっていたり、或いは、点検作業員であっても聞き分けられない音となっていたりすることがある。そのため、検出対象装置101の異常発生時の動作音としてもっともらしい音を用いた異常検出の精度評価を可能とする技術の提供が望まれている。
以下で述べる実施形態では、本願の発明者らは、検出対象装置101の異常時の音としてもっともらしい音を生成するために、人による異常検出の難易度を決定する要因に着目している。着目した1つの要因は、検出対象装置101の正常動作時の動作音である正常音と、異常動作時の動作音である異常音との差分である異音成分と、正常音との類似性である。類似性が高い場合、人は正常音に含まれる異音成分を検出しにくく、一方、類似性が低い場合、人は正常音に含まれる異音成分を検出しやすい。もう1つの要因は、人間が感じる異音成分の音の大きさ(ラウドネス値)である。異音成分のラウドネス値が大きければ、人は異音成分を検出しやすく、ラウドネス値が低ければ人は異音成分を検出しにくい。
そして、以下で述べる実施形態では、例えば、或る装置の正常音と、その装置で過去に発生した異常時の動作音に含まれる異音成分との類似度に、検出対象装置101の正常音との類似度が近しい値となるように、疑似異音成分を作成する。それにより、検出対象装置101が発する異常音としてもっともらしい波形を有する疑似異音成分を生成することができる。
また、例えば、以下の実施形態では、疑似異音成分のラウドネス値が、上述の或る装置で発生した過去の異常時の動作音に含まれる異音成分のラウドネス値と近しい値となるように疑似異音成分を作成する。このように作成された疑似異音成分の音は、点検作業員が聞き取れないほど小さな音ではなく、且つ、発生し得ないほど大きな音にもならない可能性が高い。
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について更に詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付す。
図2は、実施形態に係る情報処理装置103のブロック構成を例示する図である。情報処理装置103は、例えば、制御部201及び記憶部202を含んでいる。制御部201は、例えば生成部211及び評価部212として動作する。情報処理装置103の記憶部202は、例えば、後述する異常事例情報600及び基音情報800などの情報を記憶している。これらの各部の詳細及び記憶部202に格納されている情報の詳細については後述する。
続いて、実施形態に係る疑似異音成分の生成とそれを用いた異常の検出精度の評価について説明する。実施形態では情報処理装置103の制御部201は、まず、回転体110を備える様々な装置において過去に取得された正常動作時の動作音である正常音のデータと、異常動作時の動作音である異常音のデータの事例から異音成分に関する情報を得る。なお、異音成分に関する情報の収集対象の装置を、以降、収集対象装置と呼ぶことがある。そして、制御部201は、収集対象装置の過去の異常の事例から取得した異音成分に関する情報に基づいて、異常の検出対象の検出対象装置101が発する異常音としてもっともらしい音を作成する。まず、異音成分に関する情報の収集について説明する。
[異音成分に関する情報収集]
例えば、回転体110を備える様々な収集対象装置から正常動作時の動作音である正常音のデータを収集し、記憶部202に記憶しておくことができる。また同様に、それらの収集対象装置において過去に異常が起きた際の動作音である異常音のデータを収集し、記憶部202に記憶しておくことができる。以下、正常音データと異常音データとが収集されている様々な収集対象装置のうちの或る収集対象装置の正常音データと異常音データとから異音成分に関する情報を収集する処理について説明する。
<工程1−1:異音成分の抽出>
情報処理装置103の制御部201は、記憶部202から異音成分に関する情報を収集する対象である収集対象装置の正常音データと、異常音データとを読み出す。そして、制御部201は、図3に示す様に、正常音データと異常音データの差分から異音成分を抽出する。一例では、制御部201は、正常音データと異常音のデータとをフーリエ変換して周波数スペクトルを生成する。そして、制御部201は、正常音の周波数スペクトルと異常音の周波数スペクトルの差分をとり、差分に逆フーリエ変換を施すことで異音成分を抽出してよい。例えば、異音成分の抽出には、非特許文献1の逆フィルタ法を用いることができる。
<工程1−2:類似度の算出>
続いて、制御部201は、収集対象装置の正常音と、抽出した異音成分との類似度を計算する。制御部201は、例えば、図4に示す手法で類似度を評価することができる。
図4では、制御部201は、まず、正常音のデータと、異音成分のデータとのそれぞれにスペクトル分解処理を行い周波数スペクトルに変換する。そして、制御部201は、それぞれの周波数スペクトルを、各周波数成分の強度を要素とするベクトルと見做し、正常音のデータから得たベクトルと、異音成分のデータから得たベクトルのベクトル間類似度を計算する。ベクトル間類似度は、例えば、コサイン類似度を計算すること取得されてよく、それにより類似度をスカラーで表すことができる。なお、周波数スペクトル由来のベクトル成分は正の値を有するため、ここでは、コサイン類似度は0に近いほど似ていないことを表しており、大きな値ほど似ていることを表している。また、コサイン類似度の計算の際に、人間の最小可聴音未満の強度しか有さない周波数成分をカットしてもよく、それにより、計算の負荷を軽くすることができる。類似度は、これに限定されるものではなく、正常音と、異音成分との類似度を評価することが可能であれば、その他の手法で求められた類似度が用いられてもよい。
<工程1−3:ラウドネス値の算出>
人間が感じる音の大きさは、音の周波数によって変わることが知られており、人間が感じる音の大きさを表す指標として、ラウドネス値が知られている。図5は、ラウドネス値の算出を例示する図である。図5に示す等ラウドネス曲線は、周波数と音圧レベルと、ホン(ラウドネスレベル)を表すデシベル(dB)との関係を示している。ホン(phon)は、ラウドネス(音の聴覚的な強さ)のレベルの単位である。ホンは、例えば、基準音圧を20μPaとした音圧レベルのデシベル(dB)値を周波数ごとに補正した値であり、1000ヘルツの純音に対しては音圧レベルのデシベル値に等しい。同じホンの音は(個人差等もあるがほぼ)同じ大きさに聞こえる。音圧レベルのdB値とホンの関係は等ラウドネス曲線におおよそ一致する。そして、制御部201は、この様な周波数毎の人が感じる音の大きさであるホンを基に、ラウドネス値を算出することができる。また、ラウドネス値を計測するラウドネスメータなども知られており、別の実施形態ではラウドネスメータでラウドネス値が測定されてもよい。
続いて、制御部201は、例えば、以上の様にして取得した収集対象装置の正常音と異音成分との類似度と、正常音と異音成分のラウドネス値とを、記憶部202の異常事例情報600に登録してよい。
図6は、異常事例情報600を例示する図である。異常事例情報600には、例えば、事例ID(identifier)、類似度、正常音のラウドネス値、異音成分のラウドネス値、装置情報を含むエントリが登録されている。なお、エントリは、収集対象装置に生じた過去の異常の事例と対応している。事例IDは、例えば、異常事例情報600に登録されたエントリを識別するために割り振られた識別子である。類似度は、エントリと対応する事例で異常が起きた収集対象装置の正常音と異音成分の類似度である。正常音のラウドネス値及び異音成分のラウドネス値は、エントリと対応する事例で異常が起きた収集対象装置の正常音のラウドネス値と異音成分のラウドネス値である。装置情報は、エントリと対応する事例で異常が起きた収集対象装置についての情報である。装置情報は、例えば、異常の事例が起きた収集対象装置の装置型番や、収集対象装置に搭載されたベアリングの型番(ベアリング型番)、及びその他の情報を含んでよい。なお、制御部201は、装置情報を、例えば、装置の仕様書などのデータから取得してもよいし、ユーザにより入力された情報に基づいて取得してもよい。
(異音成分に関する情報収集の動作フロー)
図7は、以上で述べた工程1−1〜工程1−3の処理と対応する制御部201が実行する異音成分に関する情報の収集処理の動作フローを例示する図である。制御部201は、例えば、異音成分に関する情報の収集処理の実行指示が入力されると図7の動作フローを開始してよい。
ステップ701(以降、ステップを“S”と記載し、例えば、S701と表記する)において制御部201は、記憶部202から収集対象機器の正常音と異常音のデータを読み出す。
S702において制御部201は、読み出した正常音と異常音から異音成分を抽出する。異音成分は、例えば、上述の工程1−1で述べた様に、正常音のデータと異常音のデータとをフーリエ変換して生成した周波数スペクトルの差分をとり抽出されてよい。
S703において制御部201は、S701で読み出した正常音と、S702で抽出した異音成分との類似度を算出する。類似度は、例えば、上述の工程1−2で述べた様に、正常音と、異音成分のそれぞれを周波数スペクトルに変換し、それぞれの周波数スペクトルを、各周波数成分の強度を要素とするベクトルと見做し、ベクトル間類似度を計算することで取得されてよい。
S704において制御部201は、異音成分のラウドネス値を算出する。ラウドネス値は、例えば、上述の工程1−3で述べた様に、ラウドネス曲線に基づいて算出されてよい。なお、制御部201は、一実施形態においては、更に正常音のラウドネス値も算出してよい。
S705において制御部201は、算出した類似度及びラウドネス値と、収集対象装置の仕様書のデータなどから取得した装置情報を含むエントリを異常事例情報600に登録する。制御部201は、例えば、エントリの事例IDに、他のエントリと区別できるように一意のIDを割り振ってよい。異常事例情報600にエントリを登録すると、図7の動作フローは終了してよい。
以上で述べた様に、図7の動作フローを異常の事例ごとに繰り返し実行することで、制御部201は、異常事例情報600に多様な異常の事例に関するエントリを登録することができる。
[検出対象装置の疑似異常音データの生成]
続いて、検出対象装置101の疑似異常音データの生成処理について説明する。情報処理装置103の制御部201は、例えば、収集対象装置から得られた類似度及びラウドネス値の情報を用いて、異常の検出対象の検出対象装置101が発する異常音としてもっともらしい疑似異常音のデータを生成する。以下、疑似異常音データの生成について説明する。
<工程2−1:検出対象装置の情報の取得>
情報処理装置103の制御部201は、まず、異常の検出対象の検出対象装置101について情報を取得する。例えば、制御部201は、検出対象装置101の正常音のデータ、動作時の回転体110の回転数、及びその他の仕様情報を取得する。正常音のデータは、例えば、検出対象装置101が正常に動作している状況で、集音装置102で音を録音することなどで取得することができる。
また、制御部201は、検出対象装置101の正常音のデータの取得時の検出対象装置101が備える回転体110の回転数を取得する。制御部201は、例えば、検出対象装置101の動作を指定する制御情報から、検出対象装置101が備える回転体110に対して設定されている回転数を取得してよい。或いは、制御部201は、例えば、正常音のデータから回転体110の回転数を推定してもよい。制御部201は、一例では、正常音のデータの周波数スペクトルを低周波数側からサーチし、所定の閾値以上のピークであって、且つ倍音成分の出ているピークの周波数を、回転体110の回転数(回転周波数)として推定してよい。
また、制御部201は、検出対象装置101のその他の仕様情報を取得する。仕様情報としては、回転体110が発する音に関連する情報(例えば、ベアリングの玉数、ファンの枚数など)や、検出対象装置101に関する情報(例えば、検出対象装置101の型番やベアリングの型番など)が取得されてよい。仕様情報は、例えば、検出対象装置101の仕様書などのデータから取得することができる。
<工程2−2:検出対象装置101に対して想定される不具合の取得>
続いて、制御部201は、検出対象装置101で発生し得る異常として想定される不具合を取得する。制御部201は、例えば、取得した検出対象装置101の仕様情報(例えば、検出対象装置101の型番、ベアリングの型番、ベアリングの玉数、ファンの枚数など)から検出対象装置101の異常として想定される不具合を特定することができる。例えば、検出対象装置101が空調機及び室外機であれば、軸受けの外輪傷、回転軸のアンバランス、及びファンのゆるみ、ガタつき等の不具合を起こり得る不具合として推定できる。また、制御部201は、例えば、ユーザに検出したい不具合を入力させてもよい。
<工程2−3:基音周波数の取得>
制御部201は、特定した検出対象装置101の回転体110の回転数と想定される不具合とから、基音情報800から基音周波数を特定する。
図8は、基音情報800を例示する図である。例えば、機械工学や材料工学の分野などでは、過去の知見などにより回転体110に生じた不具合に応じて発生する異音の基音となる周波数が特定されている。例えば、機械の緩みやガタつきが原因で異音が発生する場合、回転体110の回転数をfとすると1/2f及び1/3fの周波数を基音周波数とし、その基音周波数の高調波を含む異音成分が発生することが分かっている。同様に、軸がアンバランスであったり、軸曲りが起きていたり、軸の剛性が非対称であったり、軸にクラックが入っていたりといったアンバランス系の不具合では、回転周波数:fを基音周波数とし、基音とその高調波を含む異音が発生することが分かっている。据え付け不具合などその他の不具合についても、図8に示す様に、発生する基音周波数が特定されている。
なお、以下の式1の数式は、ベアリングの外輪にキズが入った場合(図8の外輪傷)に発生する異音の基音周波数を算出するための固有周波数算出式である。fnは、固有周波数である。別の実施形態では、式1の代わりに、“基音周波数=回転数/ベアリングの玉数”を用いてもよい。
Figure 0006822294
上記式1において、それぞれの変数は以下を表す。
R:ベアリングの玉半径
E:ベアリング材質のヤング率
A:ベアリングの外輪断面積
I:ベアリング外輪の断面二次モーメント
ρ:材質密度
n:固有振動モード(通常n = 2〜5)
この様に、制御部201は、検出対象装置101が備える回転体110の回転周波数と、発生する不具合とから、基音情報800を用いて、不具合に応じて発生する異音の基音周波数を推定することができる。
<工程2−4:異常事例の取得>
制御部201は、例えば、検出対象装置101のもっともらしい疑似異常音データを生成するために異常事例情報600からエントリを読み出す。一例では、制御部201は、異常事例情報600の全てのエントリを読み出してよい。或いは、制御部201は、検出対象装置101と近しい構成を有する収集対象装置から取得された情報を含むエントリを読み出してもよい。一例としては、読み出すエントリは、検出対象装置101の型番と同じ装置型番を有するエントリや、検出対象装置101のベアリングの型番と同じベアリング型番を有するエントリであってよい。或いは、読み出すエントリは、例えば、検出対象装置101とファンの枚数が同じである収集対象装置から情報が取得されたエントリや、ベアリングの玉数が同じである収集対象装置から情報が取得されたエントリなどであってよい。
そして、以下では異常事例情報600から読み出した1つのエントリを用いて疑似異常音データを作成する処理を説明する。なお、この疑似異常音データの作成に用いる1つのエントリを、以下では参照エントリと呼ぶことがある。
<工程2−5:疑似異音成分の作成>
制御部201は、検出対象装置101の基音周波数に基づいて、疑似異音成分を作成する。図9は、基音周波数に基づく疑似異音成分の作成を例示する図である。まず、制御部201は、例えば、基音周波数とその高調波の周波数成分とを所定の強度で含む初期周波数スペクトル(図9(a))を作成する。なお、初期周波数スペクトルには、異常の検出対象とする周波数範囲内に存在する複数の高調波が含まれていてよい。
続いて、制御部201は、検出対象装置101の正常動作時の正常音の周波数スペクトルと、初期周波数スペクトルとの間で第2の類似度を算出する。そして、制御部201は、第2の類似度が異常事例情報600から読み出した参照エントリの類似度にできるだけ近づくように、初期周波数スペクトルに含まれる各周波数成分の大きさを決定することで疑似異音成分を生成する(図9(b))。各周波数成分の大きさの決定(即ち、周波数分布の決定)には、例えば、勾配法等を用いることができる。疑似異音成分に含まれる各周波数成分の大きさの算出の更なる詳細については後述する。
<工程2−6:ラウドネス値の調整>
制御部201は、工程2−5で各周波数成分の大きさが算出された疑似異音成分のラウドネス値を計算する。そして、制御部201は、疑似異音成分のラウドネス値が、異常事例情報600から読み出した参照エントリの異音成分のラウドネス値と一致するように、又は異音成分のラウドネス値にできるだけ近づくように疑似異音成分の強度を定数倍する。即ち、制御部201は、例えば、スペクトルAのラウドネス値をL(A)としたとすると、以下の式2を満たす定数αを算出する。
L(α×疑似異音成分)=参照エントリの異音成分のラウドネス値 ・・・式2
そして、制御部201は、疑似異音成分の周波数スペクトルの強度をα倍して疑似異音成分の強度を調整する。ラウドネス値を、参照エントリから取得した過去の異常事例での異音成分のラウドネス値と近しい値にすることで、例えば、過去に点検作業員が検出できた異音成分と近しい音の大きさを有する疑似異音成分を生成することができる。
<工程2−7:疑似異常音データの作成と格納>
制御部201は、以上の工程2−5で類似度を用いて周波数分布を調整し、工程2−6でラウドネス値に基づいて強度を調整した疑似異音成分を、図10に示すように、検出対象装置101の正常時の動作音である正常音の周波数スペクトルに合成する。それにより、制御部201は、疑似異音合成スペクトルを得る。そして、制御部201は、得られた疑似異音合成スペクトルに逆フーリエ変換などの処理を施すことで、音の波形データに変換した疑似異常音データを記憶部202に記憶する。
以上で述べた様に実施形態では制御部201は、検出対象装置101の正常音と疑似異音成分との類似度が、過去に実際に起きた異常と対応する参照エントリから取得した正常音と異音成分との類似度と一致するように疑似異常音データを生成している。そのため、検出対象装置101が発する異常音としてもっともらしい疑似異常音データを生成することができる。また、制御部201は、過去に実際に起きた異常と対応する参照エントリの異音成分のラウドネス値にできるだけ近い値となるように疑似異音成分のラウドネス値を調整している。そのため、検出対象装置101が発する異常音としてもっともらしい音の大きさを有し、また、点検作業員が聞き取れる音の大きさを有する疑似異常音データを作成することができる。従って、例えば、検出対象装置101の異常を検出するための異常検出ソフトウェアや異常検出装置などによる異常の検出精度を評価する際に、作成した疑似異常音データを用いることで、異常の検出精度を正しく評価することが可能となる。以下、異常の検出精度の評価について説明する。
<工程2−8:異常の検出精度の評価>
制御部201は、作成した疑似異常音データを用いて異常検出装置又は異常検出ソフトウェアによる異常の検出精度を評価する。一例としては、検出対象装置101の正常音のデータと、上記のように生成した疑似異常音データとを複数用意する。そして、制御部201は、正常音のデータと疑似異常音データに異常検出を実行し、正常音を正常と判定できたかや、疑似異常音データの音を異常と判定できたかを評価してよい。なお、異常検出精度の評価は、種々の方法で実行されてよく、一例を以下に示す。
(評価方法例)
正常音をデータXとし、正常音を1分毎に分割したデータを{xi}とする(i=1,2,…,n)。また、{xi}の各正常音から作成した疑似異常音を{yi}とする(i=1,2,…,n)。そして、情報処理装置103の制御部201は、{xi}について判定を行い、正常音と判定されたデータ数N1、異常音と判定されたデータ数N2を算出する。また、制御部201は、{yi}について判定を行い、正常音と判定されたデータ数M1、異常音と判定されたデータ数M2を算出する。制御部201は、算出結果より、以下の評価値を算出する。
Precision = M2 / (N2 + M2) ・・・式3
Recall = M2 / (M1 + M2) ・・・式4
ここで、Precision=1である場合には正常音を異常と誤判定することはないといえる。さらに、想定した不具合に応じて作成した疑似異常音の全てに対して異常と判定されたデータが存在する場合には、制御部201は、想定した不具合の全てを検出できているといえる。
さらにRecall=1である場合には、異常発生をすぐに検出できているといえる。また、情報処理装置103がLOF(Local Outlier Factor)法等の検出のための閾値を設定可能な場合には、評価値に顧客の要望(例えば、「あまり発生しない故障は検出できなくてもよいから誤検出をできるだけ抑えて欲しい」)に合わせた値を設定することも可能である。
(検出精度評価処理の動作フロー)
また、図11は、以上で述べた工程2−1〜工程2−8の処理と対応する制御部201が実行する検出精度評価処理の動作フローを例示する図である。制御部201は、例えば、検出精度評価処理の実行指示が入力されると図11の動作フローを開始してよい。
S1101において制御部201は、検出対象装置101の情報を取得する。例えば、制御部201は、上述の工程2−1で述べた様に、検出対象装置101の正常音のデータ、回転体110の回転数、並びにベアリングの玉数及びファンの枚数などその他の仕様情報を取得してよい。
S1102において制御部201は、検出対象装置101において発生し得る不具合を取得する。例えば、制御部201は、上述の工程2−2で述べた様に、検出対象装置101の種別や備えている回転体110の種類等に応じた不具合の情報を取得してよい。
S1103において制御部201は、取得した不具合の全てへの処理が完了したか否かを判定する。完了していない場合(S1103がNo)、フローはS1104に進む。S1104において制御部201は、疑似異常音データの生成処理を実行する。
図12は、実施形態に係る疑似異常音データの生成処理の動作フローを示す図である。制御部201は、例えば、S1104に進むと、図12の疑似異常音データの生成処理の動作フローを開始してよい。
S1201において制御部201は、検出対象装置101の基音周波数を取得する。例えば、制御部201は、上述の工程2−3で述べた様に、特定した検出対象装置101の回転体110の回転周波数と想定される不具合とから、基音情報800に基づいて基音周波数を特定する。
S1202において制御部201は、異常事例情報600からエントリを取得する。制御部201は、例えば、上述の工程2−4で述べた様に、異常事例情報600の全てのエントリを読み出してもよいし、或いは、検出対象装置101と近しい構成を有する収集対象装置から収集された情報を含むエントリを読み出してもよい。
S1203において制御部201は、読み出した全てのエントリに処理を実行したか否かを判定する。まだ未処理のエントリがある場合(S1203がNO)、フローはS1204に進む。
S1204において制御部201は、疑似異音成分を作成する。例えば、制御部201は、上述の工程2−5で述べた様に、検出対象装置101の基音周波数に基づいて、初期周波数スペクトルを作成する。そして、制御部201は、初期周波数スペクトルの周波数分布を類似度に基づいて決定して疑似異音成分を作成してよい。
S1205において制御部201は、疑似異音成分の周波数分布の決定に成功したか否かを判定する。疑似異音成分の周波数分布の決定に成功しなかった場合(S1205がNO)、フローはS1208に進む。一方、疑似異音成分の周波数分布の決定に成功した場合(S1205がYES)、フローはS1206に進む。
S1206において制御部201は、ラウドネス値に基づいて、疑似異音成分の周波数スペクトルの強度を決定する。例えば、制御部201は、上述の工程2−6で述べた様に、疑似異音成分のラウドネス値が、異常事例情報600から読み出した参照エントリの異音成分のラウドネス値にできるだけ近づくように疑似異音成分の周波数スペクトルの強度を定数倍してよい。
S1207において制御部201は、上述の工程2−7で述べた様に、ラウドネス値に基づいて強度を決定した疑似異音成分を、検出対象装置101の正常時の動作音である正常音の周波数スペクトルに合成し、逆フーリエ変換を施して疑似異常音データを生成する。そして、制御部201は、生成した疑似異常音データを記憶部202に保存する。
S1208において制御部201は、異常事例情報600から読み出したエントリのうち未処理の次のエントリを取得し、フローはS1203に戻る。なお、S1208で読み出した全てのエントリについて処理が完了しており、未処理のエントリがなく取得できない場合には、フローはS1203に戻り、制御部201はS1203でYESと判定し、図12の動作フローは終了してよい。この場合、フローはS1106に進む。
S1106において制御部201は、S1102で取得した不具合のうち、未処理の不具合を取得し、フローはS1103に戻る。なお、S1106で全ての不具合について処理を完了しており、未処理の不具合がなく取得できない場合には、フローはS1103に戻り、制御部201はS1103でYESと判定し、フローはS1105に進んでよい。
S1105において制御部201は、例えば、上述の工程2−8で述べた様に、作成した疑似異常音データを用いて異常検出装置又は異常検出ソフトウェアによる異常の検出精度を評価する。
以上で述べた様に実施形態によれば、制御部201は、検出対象装置101において想定される不具合を網羅し、さらに検出対象装置101の回転数とそれぞれの不具合の組み合わせにおいて蓋然性が非常に高い疑似異常音データを作成することができる。
また、実施形態では、異常検出難易度を決定する主要因である正常音との類似性や人間が感じる異音成分の音の大きさ(ラウドネス値)が検出実績のある異音成分のものと近しい値となるように、疑似異常音データを作成する。そのため、点検作業員が異常を検出できる可能性が高い疑似異常音データを作成することができる。
そして、実施形態によれば制御部201は、これらの検出対象装置101の異常音としてもっともらしい疑似異常音データを用いて異常検出装置及び異常検出ソフトウェアの異常の検出精度をより正しく評価することが可能である。従って、実施形態によれば、異常検出精度についての評価の精度を向上させることができる。
また、例えば、実施形態によれば制御部201は、作成した疑似異常音データを用いることで、検出対象装置101において想定される全ての不具合と対応する異常の検出精度を評価することが可能である。また、制御部201は、疑似異常音データを用いることで、例えば、人手による検出精度よりも、異常検出ソフトウェアによる検出精度が低いか否か(つまり、点検作業員による検出精度を異常検出ソフトウェアで担保可能かどうか)を評価することができる。
また、上述の実施形態は例示であり、新たに処理が追加されても、一部の処理が変更されても、或いは削除されてもよい。別の実施形態では、ラウドネス値に基づく疑似異音成分の周波数スペクトルの強度の決定は実行されなくてもよい。例えば、人が検出できないレベルの異常音であっても、異常検出ソフトウェアによる解析では検出できる可能性がある。そうした、異常検出ソフトウェアによる異常検出の限界性能を評価するために、類似度に基づいて周波数分布を決定した疑似異音成分の強度を様々な大きさに調整し、異常検出の精度評価に利用することができる。
なお、上述の実施形態では、図13(a)に示す様に、まず、基音周波数と、その高調波の周波数成分を所定の強度で含む初期周波数スペクトルを作成する例を述べている。しかしながら、取得した基音周波数には誤差があり実際の回転数から導き出した基音周波数とは異なっている可能性もある。その場合、実際の回転数に応じた異音成分の周波数は、基音周波数とその高調波の周波数からズレていることになる。例えば、この様な場合に対処するために、基音周波数及びその高調波に加えて、基音周波数及びその高調波の周波数から所定の周波数離れた位置にある周波数成分も含む初期周波数スペクトルを作成し(図13(b))、以降の処理で用いてもよい。それにより、基音周波数の算出に用いた回転数の実際の回転数からのズレを吸収することができる。また、スペクトル分解処理におけるサンプリング周波数に基づく基音周波数の誤差も吸収することができる。
また、上述の実施形態では、異常事例情報600が正常音のラウドネス値や、装置情報を含む例を述べたが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、異常事例情報600は、これらの情報を含まなくてもよい。
また、上述の実施形態では、収集対象装置の異常音と正常音との差分をとって異音成分を抽出する例を述べている。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、異常音から収集対象装置の異常に基づく周波数成分の特徴を抽出可能なその他の手法を用いて異音成分が抽出されてもよい。
また、上述の実施形態では、情報処理装置103が処理を実行する例を述べたが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、クライアント−サーバシステムなどのように複数の装置で上述の処理を分担して実行することもできる。一例として、例えば、上述の図7の動作フロー、図11の動作フローのS1101〜S1106の処理、及び図12の動作フローは、S1105の異常検出精度の評価の処理とは別の装置で実行されてもよい。
また、上述の実施形態では、ラウドネス値を用いて疑似異音成分の強度を設定する例を述べている。しかしながら、実施形態はこれに限定するものではない。例えば、別の実施形態では制御部201は、周波数スペクトルの強度を積算してスペクトルのエネルギーを算出し、算出したエネルギーをラウドネス値の代わりに用いてもよい。
上述の図12の動作フローにおいて、情報処理装置103の制御部201、例えば、生成部211として動作する。また、図11のS1105の処理において、制御部201は、例えば、評価部212として動作する。
続いて、上述の工程2−5で述べた、所定の類似度にできるだけ近づけるように疑似異音成分を作成する方法の例を述べる。
[類似度に基づく疑似異音成分の作成の例]
<勾配法に基づく解法の例>
疑似異音成分の各周波数成分の大きさは、上述のように、勾配法等を用いて算出することができる。まず、正常音スペクトルの強度をA={ai}で表し、疑似異音成分の強度をX={xi}で表すものとする(i=1,2,…,n)。また、目的値とする所定の類似度=αとする。2つのスペクトルの類似度を求める類似度関数をf(X;A)で表すものとする。なお、類似度関数fはXに関して連続で、且つ、偏微分可能であるものとする。
この場合に、目的関数Fを以下の式で表すものとする。
F (X;A) =(f(X;A)-α)^2
また、xiに関して目的関数Fを偏微分した関数をgi(X;A)で表す。この場合に、制御部201は、目的関数F(X;A) = 0を満たす疑似異音成分の強度Xを求める。なお、解が存在しない場合もあり、この場合、制御部201は解なしと判定して(S1205がNO)、次のエントリに処理を進めてよい。
(算出手順)
Step1:制御部201は、各iについて勾配gi(X;A)を算出する。
Step2:制御部201は、正の微少量ε1について、max(|gi|) < ε1であるか否かを判定し、max(|gi|) < ε1であれば処理を終了する。この場合、制御部201は解なしと判定する。続いて、制御部201は、|gi(X;A)|が大きい順に、所定の正の微少量δに対して以下の式を満たすかどうかを判定し、条件を満たす最初のiを算出する。全てのiについて条件を満たさない場合は、制御部201は、解なしと判定し処理を終了する。なお、以下の式においてsgnは、正の値で1、負の値で‐1をとる符号関数である。
条件:0≦ xi - sgn(gi
そして、制御部201は、上記判定処理で見つかった条件を満たす最初のiであるkについて、Xの値を以下の様に更新する
xk = xk - sgn(gi
Step3:制御部201は、更新後のXを用いてFを算出し、正の微少量ε2について、F<ε2が成立すればXを解として出力し、F<ε2を満たさなければ処理はStep1に戻る。この様にして、所定の類似度にできるだけ近づくように疑似異音成分の各周波数成分の大きさを算出することができる。
また、所定の類似度にできるだけ近づくように疑似異音成分を作成する別な例を以下に述べる。
<特定の類似度関数および条件を設けた場合の解析的解法の例>
例えば、類似度がコサイン類似度で表され、且つ、疑似異音成分が基音周波数とその2倍音成分だけを含んでいるといった何らかの制約を設けた場合、制約を用いて疑似異音成分に含まれる各周波数成分の強度を求めることができる。以下の疑似異音成分に含まれる各周波数成分の強度算出の例を述べる。
まず、正常音スペクトルの強度をA={ai}で表し、疑似異音成分の強度をX={xi}で表すものとする(i=1,2,…,n)。また、類似度として以下の式で表されるコサイン類似度を用いるものとする。
コサイン似度=Σ ai * xi /{(Σ ai^2)(Σxi^2)}^(1/2)
なお、Σxi^2の値は次ステップである工程2−6でラウドネス値に基づいて決定することになるので、ここでは、一般化を失わずに、Σ ai ^2 = Σ xi ^2 = 1としてよい。従って、上記Cos類似度は以下で表すことができる。
コサイン類似度=Σ ai * xi
(ただし、Σ ai ^2 = Σ xi ^2 = 1)
そして、目的値である類似度をαとした場合、制御部201は以下の連立方程式を解いて解を求めることができる。
Σ ai * xi = α
Σ xi^2 = 1
xi ≧ 0 for all i = 1,2,…,n
なお、αの値によっては上記を満たす解がない場合があり、この場合、制御部201は解無しと判定し(S1205がNo)、次のエントリに処理を進めてよい。
(算出例)
例えば、疑似異音成分が基音周波数およびその倍音のみを含んでいるとしてそれぞれの強度をp,qとする。また、正常音の対応する周波数の強度が0.1,0.2であるとする。また類似度はα= 0.2であるとする。この場合、制御部201は、以下の連立方程式を解く。
0.1p+0.2q = 0.2 ・・・(1)
p^2+q^2=1 ・・・(2)
(1)式より、p = 2-2q、これを(2)式に代入してqを解くと、q=1または0.6となる。
結果を(1)式に代入し、制御部201は、(p,q) = (0,1) または (0.8,0.6)を求めることができる。基音周波数成分は0より大きいため、制御部201は、p=0.8,q=0.6を解として得ることができる。例えば、以上のようにして、制御部201は、所定の類似度となるように疑似異音成分の各周波数成分の大きさを算出することができる。
以上において、実施形態を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の動作フローは例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。可能な場合には、動作フローは、処理の順番を変更して実行されてもよく、別に更なる処理を含んでもよく、又は、一部の処理が省略されてもよい。例えば、図7のS703とS704は順序を入れ替えて実行してもよい。
図14は、実施形態に係る情報処理装置103を実現するためのコンピュータ1400のハードウェア構成を例示する図である。図14の情報処理装置103を実現するためのハードウェア構成は、例えば、プロセッサ1401、メモリ1402、記憶装置1403、読取装置1404、通信インタフェース1406、及び入出力インタフェース1407を備える。なお、プロセッサ1401、メモリ1402、記憶装置1403、読取装置1404、通信インタフェース1406、入出力インタフェース1407は、例えば、バス1408を介して互いに接続されている。
プロセッサ1401は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアであってもよい。プロセッサ1401は、メモリ1402を利用して例えば上述の動作フローの手順を記述したプログラムを実行することにより、上述した制御部201の一部または全部の機能を提供する。例えば、プロセッサ1401は、記憶装置1403に格納されているプログラムを読み出して実行することで、生成部211及び評価部212として動作してよい。
また、記憶部202は、例えばメモリ1402、記憶装置1403、及び着脱可能記憶媒体1405を含んでいる。情報処理装置103の記憶装置1403には、例えば、異常事例情報600、及び基音情報800が格納されている。
メモリ1402は、例えば半導体メモリであり、RAM領域及びROM領域を含んでいてよい。記憶装置1403は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、又は外部記憶装置である。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read Only Memoryの略称である。
読取装置1404は、プロセッサ1401の指示に従って着脱可能記憶媒体1405にアクセスする。着脱可能記憶媒体1405は、例えば、半導体デバイス(USBメモリ等)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD−ROM、DVD等)などにより実現される。なお、USBは、Universal Serial Busの略称である。CDは、Compact Discの略称である。DVDは、Digital Versatile Diskの略称である。
通信インタフェース1406は、プロセッサ1401の指示に従ってネットワークを介してデータを送受信する。入出力インタフェース1407は、例えば、入力装置及び出力装置との間のインタフェースであってよい。入力装置は、例えばユーザからの指示を受け付けるキーボードやマウスなどのデバイスである。出力装置は、例えばディスプレーなどの表示装置、及びスピーカなどの音声装置である。
実施形態に係る各プログラムは、例えば、下記の形態で情報処理装置103に提供される。
(1)記憶装置1403に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体1405により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
なお、図14を参照して述べた情報処理装置103を実現するためのコンピュータ1400のハードウェア構成は、例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の機能部の一部または全部の機能がFPGA及びSoCなどによるハードウェアとして実装されてもよい。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。SoCは、System-on-a-chipの略称である。
以上において、いくつかの実施形態が説明される。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態及び代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して又は置換して、或いは実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。
以上で例示した実施形態を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
回転体を備える装置の異常動作時の動作音である異常音から抽出した異音成分と、正常動作時の動作音である第1正常音との周波数スペクトルにおける類似度に基づいて、第2の装置が備える第2の回転体の回転数に基づく周波数成分を含む疑似異音成分を生成し、
前記第2の装置の正常動作時の動作音である第2正常音に前記疑似異音成分を合成して得られた疑似異常音データを用いて、前記第2の装置の異常を検出する精度を評価する、
処理を、コンピュータに実行させる評価プログラム。
(付記2)
前記疑似異音成分を生成する処理は、
前記第2の回転体の前記回転数に基づく周波数及び前記周波数の高調波に対応する複数の周波数成分を含む初期周波数スペクトルと、前記第2正常音の周波数スペクトルとの第2の類似度が、前記類似度に近づくように前記複数の周波数成分のそれぞれの強度を決定することで前記疑似異音成分を生成する、
処理を含む、ことを特徴とする付記1に記載の評価プログラム。
(付記3)
前記疑似異音成分を生成する処理は、
前記疑似異音成分の第2のラウドネス値が前記ラウドネス値に近づくように、前記疑似異音成分の周波数スペクトルの強度を定数倍する、
処理を更に含む、ことを特徴とする付記2に記載の評価プログラム。
(付記4)
前記初期周波数スペクトルに含まれる前記複数の周波数成分は、前記回転数に基づく前記周波数及び前記周波数の前記高調波の周波数から所定の周波数だけ離れた位置の周波数成分を更に含む)、ことを特徴とする付記2又は3に記載の評価プログラム。
(付記5)
前記異音成分は、前記異常音と前記正常音との差分であることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の評価プログラム。
(付記6)
回転体を備える装置の異常動作時の動作音である異常音から抽出した異音成分と、正常動作時の動作音である第1正常音との周波数スペクトルにおける類似度に基づいて、第2の装置が備える第2の回転体の回転数に基づく周波数成分を含む疑似異音成分を生成する生成部と、
前記第2の装置の正常動作時の動作音である第2正常音に前記疑似異音成分を合成して得られた疑似異常音データを用いて、前記第2の装置の異常を検出する精度を評価する評価部と、
を含む、情報処理装置。
(付記7)
回転体を備える装置の異常動作時の動作音である異常音から抽出した異音成分と、正常動作時の動作音である第1正常音との周波数スペクトルにおける類似度に基づいて、第2の装置が備える第2の回転体の回転数に基づく周波数成分を含む疑似異音成分を生成し、
前記第2の装置の正常動作時の動作音である第2正常音に前記疑似異音成分を合成して得られた疑似異常音データを用いて、前記第2の装置の異常を検出する精度を評価する、
ことを含む、コンピュータが実行する評価方法。
100 異常検出システム
101 検出対象装置
102 集音装置
103 情報処理装置
110 回転体
120 マイク
130 レコーダ
201 制御部
202 記憶部
211 生成部
212 評価部
1400 コンピュータ
1401 プロセッサ
1402 メモリ
1403 記憶装置
1404 読取装置
1405 着脱可能記憶媒体
1406 通信インタフェース
1407 入出力インタフェース
1408 バス

Claims (6)

  1. 第1の回転体を備える第1の装置の異常動作時の動作音である異常音から抽出した異音成分と、正常動作時の動作音である第1正常音との周波数スペクトルにおける類似度に基づいて、前記第1の装置とは異なる第2の装置が備える第2の回転体の回転数に基づく周波数成分を含む疑似異音成分を生成し、
    前記第2の装置の正常動作時の動作音である第2正常音に前記疑似異音成分を合成して得られた疑似異常音データを用いて、前記第2の装置の異常を検出する精度を評価する、
    処理を、コンピュータに実行させる評価プログラム。
  2. 前記疑似異音成分を生成する処理は、
    前記第2の回転体の前記回転数に基づく周波数及び前記周波数の高調波に対応する複数の周波数成分を含む初期周波数スペクトルと、前記第2正常音の周波数スペクトルとの第2の類似度が、前記類似度に近づくように前記複数の周波数成分のそれぞれの強度を決定することで前記疑似異音成分を生成する、
    処理を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の評価プログラム。
  3. 前記疑似異音成分を生成する処理は、
    前記異音成分のラウドネス値に前記疑似異音成分の第2のラウドネス値が近づくように、前記疑似異音成分の周波数スペクトルの強度を定数倍する、
    処理を更に含む、ことを特徴とする請求項2に記載の評価プログラム。
  4. 前記初期周波数スペクトルに含まれる前記複数の周波数成分は、前記回転数に基づく前記周波数及び前記周波数の前記高調波の周波数から所定の周波数だけ離れた位置の周波数成分を更に含む、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の評価プログラム。
  5. 第1の回転体を備える第1の装置の異常動作時の動作音である異常音から抽出した異音成分と、正常動作時の動作音である第1正常音との周波数スペクトルにおける類似度に基づいて、前記第1の装置とは異なる第2の装置が備える第2の回転体の回転数に基づく周波数成分を含む疑似異音成分を生成する生成部と、
    前記第2の装置の正常動作時の動作音である第2正常音に前記疑似異音成分を合成して得られた疑似異常音データを用いて、前記第2の装置の異常を検出する精度を評価する評価部と、
    を含む、情報処理装置。
  6. 第1の回転体を備える第1の装置の異常動作時の動作音である異常音から抽出した異音成分と、正常動作時の動作音である第1正常音との周波数スペクトルにおける類似度に基づいて、前記第1の装置とは異なる第2の装置が備える第2の回転体の回転数に基づく周波数成分を含む疑似異音成分を生成し、
    前記第2の装置の正常動作時の動作音である第2正常音に前記疑似異音成分を合成して得られた疑似異常音データを用いて、前記第2の装置の異常を検出する精度を評価する、
    ことを含む、コンピュータが実行する評価方法。
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