以下に、本発明の実施形態に係る車両用表示装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1から図30を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用表示装置に関する。図1は、実施形態に係る車両用表示装置の斜視図、図2は、実施形態に係る車両用表示装置の内部の斜視図、図3は、実施形態に係る車両用表示装置の内部構造の側面図であり、起立位置にある可動体を示す図、図4は、実施形態に係る車両用表示装置の内部構造の側面図であり、傾倒位置にある可動体を示す図、図5は、実施形態に係る車両用表示装置の内部構造の側面図であり、可動体の移動の様子を示す図である。
車両用表示装置1は、車室内の所定位置(例えばインスツルメントパネル内やダッシュボード上)に配置される。この例示では、運転者の眼前にあるインスツルメントパネルに車両用表示装置1の収容部101が収容されている。
この例示の車両用表示装置1は、図1から図5に示すように、少なくとも2つの固定位置の間で変位可能な可動体10を備える。2つの固定位置とは、図3に示す起立位置P1(図1および図2の実線)と図4に示す傾倒位置P2(図1および図2の二点鎖線)である。起立位置P1とは、フレーム11の内方領域11aが車室内の利用者側を向くように可動体10を変位させた固定位置のことである。起立位置P1では、内方領域11aを車両後方(車室内の利用者側)に向けるべく、フレーム11が車両上下方向に立っている。この例示では、起立位置P1にあるフレーム11では、車両上方側の部分が車両下方側の部分よりも僅かに車両前方側に向けて傾いている。
傾倒位置P2とは、車両前方側への傾きを起立位置P1よりも更に大きくしてフレーム11(内方領域11a)を寝かせた固定位置である。傾倒位置P2では、内方領域11aを車両上方に向けるべく、フレーム11が寝ている。この例示では、傾倒位置P2にあるフレーム11では、車両前方側の部分が車両後方側の部分よりも僅かに車両上方側に持ち上がっている。
本実施形態では、傾倒位置P2は、起立位置P1に対して車両後方側かつ車両下方側の位置である。可動体10は、図5に示すように、起立位置P1から傾倒位置P2へ向かうに連れて車両上下方向に対するフレーム11の傾斜角が徐々に増えていく。また、可動体10は、傾倒位置P2から起立位置P1へ向かうに連れて車両上下方向に対するフレーム11の傾斜角が徐々に減っていく。なお、図5における符号Phは、起立位置P1と傾倒位置P2との間の変位途中における可動体10の或る位置を示している。以下に詳しく説明するように、本実施形態の可動体10は、予め定められた可動範囲内を直線方向(軸部材61の軸線方向)に移動可能である。また、可動体10は、直線方向に移動するに従って車両上下方向に対する傾斜角が変化していく傾倒動作や起立動作を行う。
図3、図4および図6に示すように、可動体10は、円環状のフレーム11と、フレーム11の内方領域11aを塞ぐ閉塞部材12と、フレーム11と閉塞部材12を保持するベース部材13と、を備え、これらをネジ部材B等で一体化させたものである。
フレーム11は、合成樹脂材料等で円環状に成形されており、その内方の円板状の空間が内方領域11aとなる。フレーム11は、利用者の視認対象となる加飾部材として利用されるものである。フレーム11は、少なくとも利用者が視認し得る位置に例えば金属調の加工が施されている。また、フレーム11には、前面側(起立位置における車両後方側)でかつ内周面側に、周方向に等間隔で交互に配置された凹部11bおよび凸部11cが形成されている。
表示装置80は、後述するように、フレーム11の前面側(起立位置P1における車両後方側でかつ傾倒位置P2における車両上方側)に虚像を形成する。その虚像によって形成された表示対象情報は、恰も内方領域11aに表示されているかのように利用者に視認される。閉塞部材12は、フレーム11よりも背面側(起立位置P1における車両前方側でかつ傾倒位置P2における車両下方側)から内方領域11aを塞ぐ。閉塞部材12は、フレーム11よりも背面側の機構等を利用者側から覆い隠す。閉塞部材12は、円板状の内方領域11aに合わせた形状となるように暗色の合成樹脂材料等で成形されている。閉塞部材12は、その内方領域11a側で車室内側に露出させている露出面部12Aを有する。
ベース部材13は、閉塞部材12の背面側(起立位置P1における車両前方側でかつ傾倒位置P2における車両下方側)に配置され、フレーム11および閉塞部材12と連結されている。ベース部材13は、フレーム11および閉塞部材12の形状に合わせて、合成樹脂材料等で円板状に成形される。
以下においては、便宜上、可動体10(フレーム11、閉塞部材12およびベース部材13)の起立位置P1における車両後方側でかつ傾倒位置P2における車両上方側を「前面側」と称し、可動体10の起立位置P1における車両前方側でかつ傾倒位置P2における車両下方側を「背面側」と称する。また、以下においては、可動体10の起立位置P1における車両上方側でかつ傾倒位置P2における車両前方側を「上部」と称し、可動体10の起立位置P1における車両下方側でかつ傾倒位置P2における車両後方側を「下部」と称する。
車両用表示装置1は、可動体10を2点で保持している。車両用表示装置1は、可動体10を2点で保持する保持部材14を有する。図7に示すように、保持部材14は、可動体10の上部10aと下部10bとの間でベース部材13の背面側を覆うように成形および配置される。保持部材14は、可動体10の上部10aを保持する第1保持部14aと、可動体10の下部10bを保持する第2保持部14bと、を有する。第2保持部14bは、可動体10の下部10b側から見て、車両左側と車両右側とに1つずつ設けられている。
保持部材14において、第1保持部14aおよび第2保持部14bに、各々車幅方向に延在させた第1回転軸15Aおよび第2回転軸15Bが設けられている。第2回転軸15Bは、第2保持部14b毎に設けられている。第1回転軸15Aは、第1保持部14aと一体になって軸周りに回転するものであってもよく、第1保持部14aに対して軸周りに相対回転するものであってもよい。また、第2回転軸15Bは、第2保持部14bと一体になって軸周りに回転するものであってもよく、第2保持部14bに対して軸周りに相対回転するものであってもよい。保持部材14は、例えば合成樹脂材料等で成形され、ネジ部材B等で可動体10に一体化される。
車両用表示装置1は、図3から図5に示すように、可動体10を変位させる駆動装置20とガイド装置30とを備える。駆動装置20およびガイド装置30は、骨格部材41に取り付けられて支持されている(図8および図9)。駆動装置20およびガイド装置30は、図2に示すように、利用者から視認されないように第1カバー部材42と第2カバー部材43とで可能な限り覆い隠されている。骨格部材41は、例えば金属材料によって成形されている。
骨格部材41は、起立位置P1における可動体10の背面側に配置された第1支持部41aと、起立位置P1における可動体10の下部10b側で車幅方向に2つに分かれて配置された第2支持部41bと、を有している。第1カバー部材42および第2カバー部材43の形状および配置は、可動体10の変位にかかわらず、後述する半透明鏡82越しにフレーム11と表示対象情報のみが視認されるように定められることが望ましい。第1カバー部材42には、起立位置P1と傾倒位置P2との間で可動体10が変位した際に可動体10の下部10bが当接せぬよう第1切欠き42aが設けられている。また、この第1カバー部材42には、後述するが如く可動体10を車幅方向へと変位させる際に可動体10の下部10bが当接せぬよう第2切欠き42bが設けられている。
駆動装置20は、図3および図4に示すように、動力源としてのステッピングモーター(ステップモーター)21と、動力伝達装置22と、駆動制御装置23とを備える。駆動装置20は、ステッピングモーター21の動力を可動体10の起立位置P1と傾倒位置P2との間における変位動作時の駆動力として、保持部材14の第1保持部14aに伝達する。第1保持部14aには、駆動力として、起立位置P1から傾倒位置P2に変位させる際の第1駆動力と、傾倒位置P2から起立位置P1に変位させる際の第2駆動力と、が伝達される。第1駆動力および第2駆動力は、それぞれ直線方向の駆動力である。第1駆動力と第2駆動力とは互いに逆方向である。駆動装置20は、主に可動体10の背面側でかつ骨格部材41の背面側に配置される。駆動装置20は、骨格部材41の第1支持部41aに取り付けられる。
ステッピングモーター21は、可動体10を変位させるための駆動力の元となる動力を発生させる。ステッピングモーター21は、駆動制御装置23によって制御される。例えば、駆動制御装置23は、可動体10の変位後の目標位置に応じて、ステッピングモーター21から出力させる動力を制御する。ステッピングモーター21は、図8および図9に示すように、第1軸受体24によって保持され、第1軸受体24を介して第1支持部41aに取り付けられる。
動力伝達装置22は、ステッピングモーター21の動力が伝達された際に、起立位置P1と傾倒位置P2との間で可動体10を変位させる。動力伝達装置22は、ステッピングモーター21から伝達された動力を直線方向の駆動力に変換して可動体10に伝える。動力伝達装置22は、第1軸受体24によって保持され、第1軸受体24を介して第1支持部41aに取り付けられる。動力伝達装置22は、図5に示すように、第1動力伝達機構50と第2動力伝達機構60とを備える。
図8および図9に示すように、第1動力伝達機構50は、第1歯車51、第2歯車52、および第3歯車53を有する。第1動力伝達機構50は、第1から第3の歯車51〜53を介してステッピングモーター21の動力(出力トルク)を第2動力伝達機構60に伝える。第1歯車51および第3歯車53は、平歯車である。図10に示すように、第1歯車51は、ステッピングモーター21の出力軸21aに対して同心上に取り付けられ、ステッピングモーター21の出力軸21aと一体になって回転する。
スリップ機構としての第2歯車52は、回転軸54に対して同心上に配置されている。回転軸54は、ステッピングモーター21の出力軸21aに対して間隔を空けかつ軸線を同一方向に向けて平行に配置されている。第2歯車52は、所謂スリップギアであり、所定値を超えるトルクが作用すると空転する。第2歯車52は、摩擦板ギア52a、可動ギア52b、およびバネ55を有する。摩擦板ギア52aは、回転軸54と連結されており、回転軸54と一体になって回転する。可動ギア52bは、回転軸54に対して相対回転可能である。可動ギア52bは、例えば、軸受を介して回転軸54に連結される。バネ55の一端は、回転軸54によって支持されている。バネ55は、摩擦板ギア52aを可動ギア52bに向けて軸方向に付勢する。摩擦板ギア52aにおいて、可動ギア52bと接触する面は、トルクを伝達する摩擦面である。バネ55の付勢力により、摩擦板ギア52aの摩擦面が可動ギア52bに対して押圧される。この押圧力により、摩擦板ギア52aと可動ギア52bとの間でトルクが伝達される。第2歯車52は、摩擦板ギア52aと可動ギア52bとの間で伝達されるトルクの大きさが所定値を超えると二つのギア52a,52bが相対回転してスリップするように構成されている。
摩擦板ギア52aは、第1歯車51に噛み合っている。第3歯車53は、可動ギア52bと噛み合っている。第3歯車53は、ステッピングモーター21の出力軸21aや回転軸54と平行な回転中心軸を有するものである。第1動力伝達機構50は、回転軸54および第3歯車53の回転軸(後述する軸部材61)を回転自在に保持する軸受を有する。それぞれの軸受、および第1から第3の歯車51〜53は、図9に示すように、第1軸受体24の収容部24aに収容される。よって、第1動力伝達機構50は、第1軸受体24を介して骨格部材41の第1支持部41aに取り付けられることになる。
第3歯車53の回転中心軸には、軸部材61が同心上に配置されている。第3歯車53は、軸部材61と一体になって回転する。従って、第1動力伝達機構50では、ステッピングモーター21の動力(出力トルク)が第1から第3の歯車51〜53を介して第2動力伝達機構60の軸部材61に伝達される。
第2動力伝達機構60は、軸周りの回転トルクを軸線方向に沿った力に変換して伝える運動方向変換機構である。第2動力伝達機構60は、図5、図8および図9に示すように、軸部材61と、運動方向変換部材62とを有する。運動方向変換部材62は、軸部材61の軸周りの回転に伴って軸部材61上を軸線方向に沿って往復移動する。本実施形態の第2動力伝達機構60は、所謂送りネジ機構である。
軸部材61は、ステッピングモーター21の出力軸21aおよび回転軸54に対して間隔を空けかつ軸線を同一方向に向けて平行に配置されている。軸部材61は、第3歯車53の回転に連動して軸周りに回転する。つまり、軸部材61は、ステッピングモーター21の動力によって自らの軸周りに回転する。軸部材61は、一方の端部側(第3歯車53側)が収容部24a内の軸受によって回転自在に保持されている。更に、軸部材61の他方の端部側は、軸受25によって回転自在に保持されている。軸受25は、第2軸受体26に収容され、第2軸受体26を介して骨格部材41の第1支持部41aに取り付けられる。よって、第2動力伝達機構60は、第1および第2の軸受体24,26を介して第1支持部41aに取り付けられることになる。軸部材61は、例えば金属材料で円柱状または円筒状に成形され、外周面上に軸線方向に沿って螺刻された溝部61aを有する。
運動方向変換部材62は、図7に示すように、溝部61aに螺合させる雌ネジ部62aを有する。運動方向変換部材62は、図5および図7に示すように、第1運動方向変換部材62Aおよび第2運動方向変換部材62Bを有する。第1運動方向変換部材62Aは、例えば金属材料から成る雌ネジ部62aと合成樹脂材料とがインサート成形によって一体化されたものである。第1運動方向変換部材62Aは、骨格部材41の第1支持部41aの背面側に配置される。第1運動方向変換部材62Aは、溝部61aと雌ネジ部62aとが螺合した状態で、軸部材61に対して回転自在に保持されている。
第2運動方向変換部材62Bは、合成樹脂材料で成形され、第1支持部41aの前面側に配置される。第2運動方向変換部材62Bは、第1回転軸15Aを介して保持部材14の第1保持部14aに対して回転自在に連結される。従って、可動体10と第2運動方向変換部材62Bとは、第1回転軸15Aを回転中心軸にして、互いに相対的な回動動作を行うことができる。
以下に説明するように、第1運動方向変換部材62Aと第2運動方向変換部材62Bは、互いに一体化され、保持部材14を介して可動体10に連結される。図9に示すように、骨格部材41の第1支持部41aは、壁部41cを有する。壁部41cは、車幅方向および軸部材61の軸線の向きのそれぞれと平行な壁部である。第1支持部41aは、壁部41cに形成されたスリット状の貫通孔41a1を有する。貫通孔41a1は、軸部材61の軸線と同じ向きに延在している。貫通孔41a1は、軸部材61の軸線方向に沿った運動方向変換部材62の可動範囲を規定する。貫通孔41a1の上端は、可動体10の起立位置P1に対応している。貫通孔41a1の下端は、可動体10の傾倒位置P2に対応している。
第1運動方向変換部材62Aと第2運動方向変換部材62Bとは、貫通孔41a1を挟み込むように配置される。運動方向変換部材62A,62Bは、貫通孔41a1の延在方向に沿って往復移動し得るように一体化される。図7に示すように、第2運動方向変換部材62Bには、第1運動方向変換部材62Aに向けて突出する2本の円柱状または円筒状の軸部材63が設けられている。2本の軸部材63は、貫通孔41a1の延在方向に沿って配列された状態で、貫通孔41a1に挿通される。第1運動方向変換部材62Aには、軸部材63を挿通させる円柱状の貫通孔62A1が各々形成されている。軸部材63は、貫通孔41a1および貫通孔62A1に挿通される。第1運動方向変換部材62Aと第2運動方向変換部材62Bとは、軸部材63の先端に設けた雄ネジ部63aに雌ネジ部材64が締め付けられることで一体化される。
第1運動方向変換部材62Aと第2運動方向変換部材62Bとの間には、円環状のカラー部材65が軸部材63毎に介在している。カラー部材65は、内方に軸部材63が挿通される。また、カラー部材65は、貫通孔41a1に挿入され、貫通孔41a1に案内されて軸部材61の軸線方向に移動する。カラー部材65は、可動体10の傾倒動作において貫通孔41a1の下端41a2に当接し、可動体10を傾倒位置P2に位置決めする。つまり、貫通孔41a1の下端41a2は、運動方向変換部材62のカラー部材65に当接して可動体10を係止する下側ストッパ部である。カラー部材65は、貫通孔41a1の下端41a2によって係止される被係止部である。
また、カラー部材65は、可動体10の起立動作において貫通孔41a1の上端に当接し、可動体10を起立位置P1に位置決めする。つまり、貫通孔41a1の上端は、運動方向変換部材62のカラー部材65に当接して可動体10を係止する上側ストッパ部である。カラー部材65は、貫通孔41a1の上端によって係止される被係止部である。
カラー部材65の軸線方向の長さは、第1支持部41aの壁部41cの板厚(つまり貫通孔41a1の貫通方向の長さ)よりも長い。従って、第1運動方向変換部材62Aおよび第2運動方向変換部材62Bは、一体化された際に第1支持部41aの壁部41cを挟持せず、貫通孔41a1に沿って自在に往復移動することができる。カラー部材65の直径は、貫通孔41a1の短手方向(延在方向に対する直交方向)の幅と同等の大きさであるが、その幅よりも僅かに小さくしている。従って、カラー部材65は、貫通孔41a1の内部を延在方向に沿って移動し、運動方向変換部材62を案内する。
運動方向変換部材62は、軸部材61が軸周りに回転することで、軸部材61の軸線方向に沿って移動する。従って、第2動力伝達機構60は、ステッピングモーター21の動力が伝達されてきた際に、軸部材61の軸線方向に沿った駆動力を保持部材14の第1保持部14aに第1回転軸15Aを介して伝える。駆動装置20は、可動体10を起立位置P1から傾倒位置P2に変位させるべくステッピングモーター21の動力が制御された場合、車両下方側へ向かう第1駆動力を保持部材14の第1保持部14aに伝える。第1駆動力は、第1保持部14aから可動体10の上部10aに伝達される。また、駆動装置20は、可動体10を傾倒位置P2から起立位置P1に変位させるべくステッピングモーター21の動力が制御された場合、車両上方側へ向かう第2駆動力を保持部材14の第1保持部14aに伝える。第2駆動力は、第1保持部14aから可動体10の上部10aに伝達される。
ガイド装置30は、起立位置P1と傾倒位置P2との間における可動体10の変位動作を案内する。図11および図12に示すように、ガイド装置30は、被ガイド部31と、被ガイド部31を案内するガイドレール32と、を備える。図8および図9に示すように、被ガイド部31は、保持部材14の第2保持部14bに設けられている。ガイド装置30は、ガイドレール32によって被ガイド部31を案内することによって可動体10の変位動作を案内する。被ガイド部31およびガイドレール32は、それぞれ第2保持部14b毎に設けられている。つまり、被ガイド部31とガイドレール32の組み合わせが可動体10に対して車両左側および車両右側に1組ずつ設けられている。
被ガイド部31は、図7に示すように、第2保持部14bに設けた第2回転軸15Bと、第2回転軸15Bに設けた2つの回転体(第1および第2の回転体31A,31B)と、によって構成される。第2回転軸15Bは、例えば金属材料で円柱状または円筒状に成形される。第1回転体31Aおよび第2回転体31Bは、それぞれ第2回転軸15Bの端部に同心上に並べて配置される。第1回転体31Aおよび第2回転体31Bは、第2回転軸15Bと一体になって軸周りに回転するものであってもよく、第2回転軸15Bに対して軸周りに相対回転するものであってもよい。また、第1回転体31Aおよび第2回転体31Bは、外周面を転動面として利用する円板状部材または円環状部材であってもよく、平歯車であってもよい。この例示の第1回転体31Aには、平歯車が用いられる。なお、図中では、便宜上、第1回転体31Aの歯の図示を省略している。一方、第2回転体31Bには、円環状部材が用いられる。
ガイドレール32は、車両前後方向に延在している。ガイドレール32は、起立位置P1における可動体10の下部10b側から車両後方に向けて延在する。ガイドレール32は、その延在方向に沿って被ガイド部31を案内する。それぞれのガイドレール32は、骨格部材41の第2支持部41bに取り付けられている。
ガイドレール32は、保持部材14の第1保持部14aに対して第1駆動力が作用している場合に、可動体10を起立位置P1から傾倒位置P2へと変位させる。第1駆動力が作用している場合、ガイドレール32は、可動体10の下部10bを車両後方に向けて案内する。一方、ガイドレール32は、第1保持部14aに対して第2駆動力が作用している場合に、可動体10を傾倒位置P2から起立位置P1へと変位させる。第2駆動力が作用している場合、ガイドレール32は、可動体10の下部10bを車両前方に向けて案内する。
このように、ガイドレール32は、可動体10を軸部材61の軸線方向に沿って移動させつつ、可動体10の傾斜角を変化させる。ガイドレール32は、第1駆動力が作用している場合、可動体10を軸部材61の軸線方向に沿って下方に向けて移動させながら、可動体10を傾倒させていく。一方、ガイドレール32は、第2駆動力が作用している場合、可動体10を軸部材61の軸線方向に沿って上方に向けて移動させながら、可動体10を起立させていく。つまり、本実施形態の可動体10は、軸部材61の軸線方向、言い換えると車両上下方向に沿った直線方向に移動する。可動体10は、更に、この直線方向に移動しながら、傾倒動作や起立動作を行う。つまり、可動体10は、車両上下方向に対する傾斜角を変化させながら車両上下方向に沿った直線方向に移動する。
図3から図5に示すように、ガイドレール32は、弧状ガイド部33および直線状ガイド部34を有する。弧状ガイド部33は、延在方向に沿って弧状に形成されている。直線状ガイド部34は、延在方向に沿って直線状に形成されている。ガイドレール32において、弧状ガイド部33は、駆動装置20側に配置され、弧状ガイド部33よりも車両後方側に直線状ガイド部34が配置される。つまり、弧状ガイド部33は、第1駆動力の初期印加時に被ガイド部31を案内する部位である。また、弧状ガイド部33は、第2駆動力の末期印加時に被ガイド部31を案内する部位でもある。弧状ガイド部33は、車両後方に向かうに連れて車両下方へと位置が変化していく弧状に形成されている。直線状ガイド部34は、第1駆動力の初期印加後に被ガイド部31を案内する部位である。また、直線状ガイド部34は、第2駆動力の末期印加時までに被ガイド部31を案内する部位でもある。
具体的に、ガイドレール32は、被ガイド部31の第1回転体31Aや第2回転体31Bを転動させながら延在方向に向けて案内する。ガイドレール32は、図11および図12に示すように、第1回転体31Aを転動させながら案内する第1ガイドレール部32Aと、第2回転体31Bを転動させながら案内する第2ガイドレール部32Bと、を有する。なお、図11および図12には、第3カバー部材44が示されている。第3カバー部材44は、左右のガイドレール32,32の間で骨格部材41の第2支持部41bに取り付けられている。第3カバー部材44は、ガイドレール32の弧状ガイド部33と直線状ガイド部34に沿って形成された板状部材である。第3カバー部材44は、ガイドレール32,32に対して車両下方側に配置されている。
第1ガイドレール部32Aには、ラック部32A1が設けられている。ラック部32A1は、第1回転体31Aの歯が噛み合わされるラックギヤであり、第1ガイドレール部32Aの延在方向に沿って所定ピッチで歯が設けられている。第1回転体31Aは、ラック部32A1の歯に噛み合いながら転動していくことができる。ラック部32A1は、弧状ガイド部33および直線状ガイド部34に設けられている。なお、図中では、便宜上、ラック部32A1の歯の図示を省略している。
第2ガイドレール部32Bには、第2回転体31Bの転動面を転動させる第1および第2のガイド面32B1,32B2が形成されている。第1および第2のガイド面32B1,32B2は、その面同士を互いに対向させた状態のまま第2ガイドレール部32Bの延在方向に沿って延在している。第1ガイド面32B1と第2ガイド面32B2は、その延在方向における各位置において、その面同士が略等間隔になっている。第2回転体31Bの転動面(外周面)は、第1ガイド面32B1と第2ガイド面32B2との間に配置される。第1ガイド面32B1は、車両下方側に配置されており、第2ガイド面32B2は、車両上方側に配置されている。
本実施形態の車両用表示装置1は、可動体10を車幅方向にも変位させる。このため、車両用表示装置1は、駆動装置(第1駆動装置)20の他に、図13および図14に示すように、可動体10の車幅方向への変位を担う別の駆動装置(第2駆動装置)70を備えている。
第2駆動装置70は、可動体10を車幅方向における少なくとも2つの固定位置の間で変位させる。例えば、本実施形態の第2駆動装置70は、起立位置P1を車幅方向における第1固定位置P1とする。また、第2駆動装置70は、図15に示すように、第1固定位置P1から車両右方側に変位させた位置を車幅方向における第2固定位置P3とする。この例示の可動体10では、ベース部材13に対してフレーム11および閉塞部材12が車幅方向に相対移動する。ベース部材13は、骨格部材41に連結されており、車幅方向へ移動しない。フレーム11および閉塞部材12は、ベース部材13に対して車幅方向に相対移動する。以下の説明では、可動体10のうち、フレーム11および閉塞部材12を「第1可動体16」と称する。
車幅方向への相対移動を実現させる機構(言うなれば相対移動機構)は、図16に示すように、ボス部12a、貫通孔13a、およびネジ部材Bを有する。ボス部12aは、閉塞部材12の背面に設けられている。貫通孔13aは、ベース部材13に形成されており、ボス部12aが挿通される。ネジ部材Bは、ボス部12aの雌ネジ部(図示略)に螺合される。ボス部12aは、閉塞部材12の背面からベース部材13側に向けて立設させた筒体(ここでは円筒体)である。ボス部12aの内方には、雌ネジ部が形成されている。貫通孔13aは、相対移動方向(つまり車幅方向)に少なくとも相対移動の移動量分だけ延在させたものである。貫通孔13aの短手方向における幅は、ボス部12aの外径よりも僅かに大きい。ボス部12aの先端は、貫通孔13aよりも保持部材14側に突出している。
ボス部12aにネジ部材Bが螺合することによって、第1可動体16に対してベース部材13が取り付けられる。ベース部材13は、第1可動体16に対する車幅方向への相対移動が可能である。相対移動機構は、可動体10において複数設けられる。この例示では、4つの相対移動機構が設けられている。
第2駆動装置70は、図13に示すように、動力源としてのステッピングモーター71と動力伝達装置72とを備える。第2駆動装置70は、ステッピングモーター71の動力を第1固定位置P1と第2固定位置P3との間における変位動作時の駆動力として可動体10に伝達する。可動体10には、その駆動力として、第1固定位置P1から第2固定位置P3に変位させる際の第3駆動力と、第2固定位置P3から第1固定位置P1に変位させる際の第3駆動力とは逆向きの第4駆動力と、が伝達される。第3駆動力および第4駆動力は、それぞれ直線方向の駆動力である。第2駆動装置70は、可動体10(具体的には閉塞部材12)と保持部材14との間に配置される。
ステッピングモーター71は、可動体10を変位させるための駆動力の元となる動力を発生させる。ステッピングモーター71は、保持部材14によって保持されている。ステッピングモーター71は、駆動制御装置によって制御される。駆動制御装置は、第2駆動装置70専用のものであってもよく、第1駆動装置20の駆動制御装置23を用いてもよい。本実施形態では、第1駆動装置20の駆動制御装置23に第2駆動装置70の制御機能も持たせている。
動力伝達装置72は、運動方向変換機構を有するものであり、ステッピングモーター71の動力が伝達された際に、第1固定位置P1と第2固定位置P3との間で可動体10を直線方向に変位させる。このため、動力伝達装置72は、ステッピングモーター71から伝達された動力を駆動力に変換して可動体10に伝える。
本実施形態の動力伝達装置72は、図13に示すように、ネジ歯車72aと斜歯歯車72bと平歯車72cとラックギヤ72dとを備える。ネジ歯車72aは、ステッピングモーター71の出力軸(図示略)に対して同心上に取り付けられ、その出力軸と一体になって回転する。斜歯歯車72bは、ネジ歯車72aに噛み合わされている。斜歯歯車72bは、回転軸72eに対して同心上に取り付けられ、回転軸72eと一体になって回転する。回転軸72eは、軸線方向を可動体10(フレーム11、閉塞部材12およびベース部材13)の中心軸に合わせて配置する。回転軸72eは、軸周りに回転させるべく、保持部材14に対して回転自在に取り付けられている。平歯車72cは、斜歯歯車72bよりもベース部材13側で回転軸72eに対して同心上に取り付けられている。平歯車72cは、回転軸72eに対して相対回転可能である。
斜歯歯車72bおよび平歯車72cは、スリップ機構を構成している。回転軸72eには、斜歯歯車72bを平歯車72cに向けて押圧するバネが設けられている。このバネと、斜歯歯車72bと、平歯車72cとによって、上記の第2歯車52と同様のスリップ機構が構成される。
ラックギヤ72dは、閉塞部材12に取り付けられ、フレーム11および閉塞部材12と一体になって車幅方向に移動する。ラックギヤ72dは、ベース部材13から保持部材14側に突出しており、平歯車72cと噛み合っている。図14に示すように、ベース部材13には、車幅方向に延在するスリット状の貫通孔13bが形成されている。ラックギヤ72dは、第1可動体16のスライド動作において貫通孔13bの左端13cに当接し、第1可動体16を第1固定位置P1に位置決めする。つまり、貫通孔13bの左端13cは、ラックギヤ72dに当接して第1可動体16を係止する左側ストッパ部である。また、ラックギヤ72dは、第1可動体16のスライド動作において貫通孔13bの右端13dに当接し、第1可動体16を第2固定位置P3に位置決めする。つまり、貫通孔13bの右端13dは、ラックギヤ72dに当接して第1可動体16を係止する右側ストッパ部である。ラックギヤ72dは、貫通孔13bの左端13cおよび右端13dによって係止される被係止部である。
動力伝達装置72は、ステッピングモーター71の動力が伝達されてきた際に、車幅方向に沿った駆動力を閉塞部材12に伝える。第2駆動装置70は、第1可動体16(フレーム11および閉塞部材12)が第1固定位置P1のときに第1固定位置P1から第2固定位置P3に変位させるべくステッピングモーター71の動力が制御された場合、車両右方側に向けた第3駆動力を閉塞部材12に伝える。第3駆動力は、フレーム11および閉塞部材12をベース部材13および保持部材14に対して車両右方側に相対移動させる。これにより、可動体10において、フレーム11および閉塞部材12が第2固定位置P3へと変位する。
第2駆動装置70は、第1可動体16が第2固定位置P3のときに第2固定位置P3から第1固定位置P1に変位させるべくステッピングモーター71の動力が制御された場合、車両左方側に向けた第4駆動力を閉塞部材12に伝える。第4駆動力は、第1可動体16をベース部材13および保持部材14に対して車両左方側に相対移動させる。これにより、可動体10において、第1可動体16が第1固定位置P1へと変位する。このように、第2駆動装置70は、第3駆動力および第4駆動力によって第1可動体16を直線方向に移動させる。
本実施形態の車両用表示装置1は、図3および図4に示すように、表示対象情報を車室内の利用者が視認し得るように表示させる表示装置80を備える。表示装置80は、フレーム11の内方領域11aよりも前面側に虚像を形成し、その虚像によって形成された表示対象情報が恰も内方領域11a(換言するならば露出面部12A)に表示されているかのように利用者に視認させる。表示装置80は、表示体81と半透明鏡(所謂ハーフミラー)82と光源83と表示制御装置84とを備える。
表示体81は、表示対象情報に関わる表示像を作像し、この作像された表示像の投射光を半透明鏡82に投射させる作像・投射装置である。表示体81は、例えば、TFT−LCD(Thin Film Transistor−Liquid Crystal Display)等の液晶表示装置である。表示体81は、可動体10よりも車室内側でかつ収容部101の上部に配置される。半透明鏡82は、表示体81よりも車両下方側でかつ可動体10よりも車室内側において、車両上方側を車両前方側へと傾倒させて配置される。表示体81から投射された表示像は、半透明鏡82を透過して、フレーム11の前面側に表示像(表示対象情報)の虚像を形成する。光源83は、例えばフレーム11を照らすものであり、起立位置P1における可動体10よりも車室内側でかつ車両上方側で、更に傾倒位置P2における可動体10よりも車両上方側に配置される。例えば、この光源83は、収容部101を成す壁体等に取り付けられる。
表示制御装置84は、フレーム11の内方領域11aで車室内の利用者に視認されるよう表示対象情報を表示させるべく、可動体10の固定位置に応じた表示像を表示体81に作像させかつ投射させる。つまり、フレーム11の内方領域11aは、表示体81が画像を表示する画像表示領域となる。本実施形態において、表示体81が画像表示領域に表示する画像は、虚像である。
表示体81は、起立位置P1(第1固定位置P1)、傾倒位置P2、および第2固定位置P3の少なくとも一つの位置において、内方領域11aに画像を表示する。本実施形態の表示体81は、フレーム11が起立位置P1、傾倒位置P2、および第2固定位置P3の何れの位置にあっても内方領域11aに画像を表示できるように構成されている。言い換えると、表示体81の画像表示領域は、起立位置P1にあるフレーム11の内方領域11a、傾倒位置P2にあるフレーム11の内方領域11a、および第2固定位置P3にあるフレーム11の内方領域11aを含む。
フレーム11は、駆動装置20,70によって表示体81による画像表示領域に位置づけられる。起立位置P1、傾倒位置P2、および第2固定位置P3の何れかが画像表示領域の範囲外の位置である場合、駆動装置20,70は、フレーム11を画像表示領域の内部から外部へ、あるいは画像表示領域の外部から内部へ移動させる。表示制御装置84は、起立位置P1(第1固定位置P1)と傾倒位置P2と第2固定位置P3とにおいて、表示対象情報の表示の有無を適宜制御するものであってもよい。表示対象情報を表示させない場合、表示制御装置84は、例えば表示像の作像および投射を表示体81に禁止させる。ここでは、表示対象情報の図示を省略する。
ここで、本実施形態におけるステッピングモーター21,71の駆動制御について説明する。ステッピングモーター21,71によって第1可動体16(フレーム11および閉塞部材12)を移動させる場合に、ステッピングモーター21,71で振動が発生すると、この振動が機構部に伝わって作動音が発生する。ステッピングモーター21,71の励磁方法として、フルステップやマイクロステップがある。マイクロステップでは、フルステップよりもステッピングモーター21,71において振動が発生しにくい。本実施形態の駆動制御装置23は、ステッピングモーター21,71の励磁方法に主としてマイクロステップを使用することで、フレーム11の移動に起因する作動音を低減させる。ここで、マイクロステップはフルステップよりも振動を低減できるものの、フルステップよりも駆動トルクが小さい。このため、以下に説明するように、可動体10を各位置P1,P2,P3に停止させる際に、リバウンド動作が生じる可能性がある。
ステッピングモーター21は、フレーム11を起立位置P1から傾倒位置P2へ、および傾倒位置P2から起立位置P1へ移動させる動力源である。フレーム11を起立位置P1から傾倒位置P2へ移動させる場合、傾倒位置P2においてカラー部材65が貫通孔41a1の下端41a2に当接することで、可動体10が係止される。カラー部材65が下端41a2に当接した後は、第2歯車52がスリップし、カラー部材65が下端41a2に当接した状態が維持されることが好ましい。ところが、ステッピングモーター21がマイクロステップで駆動されていると、トルクの不足により、第2歯車52がスリップし続けない可能性がある。その結果、カラー部材65が下端41a2に対して当たったり離れたりを繰り返すリバウンドが発生し、振動や騒音を発生させてしまう。ステッピングモーター71による第1可動体16のスライド動作においても同様の問題がある。
本実施形態の車両用表示装置1は、可動体10,16がストッパ部によって係止されるときに、ステッピングモーター21,71の動力を増加させる。以下に、ステッピングモーター21の動力を増加させる手段として、ステッピングモーターの駆動方式(励磁方式)をマイクロステップからフルステップに切換えることについて説明する。
図17のブロック図を参照して、本実施形態の車両用表示装置1における制御系の構成について説明する。ステッピングモーター21,71は、駆動回路28に接続されている。駆動回路28は、電源回路27Bを介して車両の電源102に接続されている。駆動制御装置23は、電源回路27Aを介して電源102に接続されている。また、駆動制御装置23は、インタフェース23aおよびスイッチ23bを介して電源102に接続されている。スイッチ23bがONにされると、インタフェース23aから駆動制御装置23にON信号が送られる。駆動制御装置23は、このON信号によって起動し、電源回路27Aを介して電源102から電力の供給を受ける。
駆動制御装置23は、電源回路27Bおよび駆動回路28を制御する。また、駆動制御装置23には、モードスイッチ103が接続されている。モードスイッチ103は、車両用表示装置1の表示モードを変更する場合に運転者等によって操作される。駆動制御装置23は、モードスイッチ103に対する操作入力に従って、可動体10,16の傾倒動作、起立動作、スライド動作を実行する。駆動回路28は、ステッピングモーター21,71の各相のコイルに対して供給する電流値を制御する。本実施形態のステッピングモーター21,71は、ロータと、2相のコイルを含むステータと、を有する。ロータは、例えば永久磁石式のものである。
駆動制御装置23は、フルステップ、ハーフステップ、およびマイクロステップの三つの駆動方式によってステッピングモーター21,71を駆動する。駆動制御装置23は、マイクロステップによってステッピングモーター21,71を制御する場合、PWM制御等のデューティ制御によって、コイルに対する供給電流(実効電圧)を制御する。
図18には、フルステップ(2相フルステップ)における各相のコイルに対する電圧指令値が示されている。ここでは、ステッピングモーター21,71の2相のコイルを「A相」、「B相」と称する。A相の電圧指令値とB相の電圧指令値との組み合わせが異なる四つのステップST1,ST2,ST3,ST4によってフルステップの一つのサイクルCFLが構成される。
図19には、マイクロステップにおける各層に対する電圧指令値が示されている。A相に対する電圧指令値およびB相に対する電圧指令値は、それぞれ正弦波の形状となるように変化する。A相に対する電圧指令値と、B相に対する電圧指令値とは、位相が90度ずらされている。マイクロステップにおけるステップ角は、45度よりも小さい。つまり、8ステップよりも多いステップ数でマイクロステップの一つのサイクルCMCが構成される。
図20には、制御周波数とステッピングモーターの出力トルクとの関係が示されている。同じ制御周波数で比較した場合、フルステップで駆動される場合の出力トルクTF1は、マイクロステップで駆動される場合の出力トルクTF2よりも高トルクである。図20に示すように、出力トルクTF1,TF2は、制御周波数が高くなるに従って低下していく。本実施形態の駆動制御装置23は、可動体10,16の傾倒動作、起立動作、スライド動作において、ステッピングモーター21,71を主としてマイクロステップで駆動することで振動の低減を図る。
図21には、可動体10を起立位置P1から傾倒位置P2へ移動させる傾倒動作を実行する場合のステッピングモーター21の動作が示されている。縦軸はステッピングモーター21の回転速度、横軸は時間を示す。時刻t0にステッピングモーター21が回転を開始する。駆動制御装置23は、マイクロステップによってステッピングモーター21の回転を開始させ、回転速度を増加させていく。駆動制御装置23は、ステッピングモーター21の回転速度が所定速度まで増加すると、所定速度で回転させながら可動体10を傾倒位置P2に向けて移動させていく。時刻t1に可動体10が傾倒位置P2に到達すると、第2歯車52がスリップを開始する。可動体10を確実に傾倒位置P2に位置づけることができるように、ステッピングモーター21の回転期間は長めに設定されている。このため、時刻t1から時刻t2までは第2歯車52がスリップするスリップ期間となる。ところで、このスリップ期間においてステッピングモーター21の出力トルクが不足すると、第2歯車52が安定的にスリップせず、振動や騒音が発生してしまう可能性がある。
本実施形態の駆動制御装置23は、可動体10がストッパ部によって係止されるときに、ステッピングモーター21の動力を増加させる。具体的には、駆動制御装置23は、可動体10がストッパ部によって係止されるときに、ステッピングモーター21の駆動方式をマイクロステップからフルステップに切換える。マイクロステップからフルステップへの切換えにより、ステッピングモーター21の出力トルクが増加することで、第2歯車52をより確実にスリップさせることができる。よって、本実施形態の車両用表示装置1は、振動を抑制しつつ可動体10を狙いの位置に移動させ、狙いの位置に停止させることができる。
図22を参照して、本実施形態の車両用表示装置1の動作について詳細に説明する。ステップS10において、駆動制御装置23は、リング移動要求があるか否かを判定する。駆動制御装置23は、モードスイッチ103から取得する信号に基づいてステップS10の判定を行う。リング移動要求があると判定された場合(ステップS10−Y)にはステップS20に進み、否定判定がなされた場合(ステップS10−N)にはステップS10の判定が繰り返される。ここでは、可動体10を起立位置P1から傾倒位置P2へ移動させる移動要求があったものとする。
ステップS20において、駆動制御装置23は、ステッピングモーター21をマイクロステップで所定速度まで加速させる。駆動制御装置23は、予め記憶しているプログラムに基づいてステッピングモーター21の回転速度を所定速度まで加速させる。ステップS20が実行されると、ステップS30に進む。
ステップS30において、駆動制御装置23は、ステッピングモーター21をマイクロステップで駆動し、所定速度で連続回転させる。ステップS30が実行されると、ステップS40に進む。
ステップS40において、駆動制御装置23は、切換えステップに到達したか否かを判定する。駆動制御装置23は、例えば、ステッピングモーター21の回転を開始してからマイクロステップのサイクルCMCを実行した回数が所定回数に到達すると、ステップS40で肯定判定する。所定回数は、可動体10が貫通孔41a1の下端41a2によって係止されるまでの移動距離に基づいて定められている。より具体的には、所定回数は、ステッピングモーター21の1回のサイクルCMCによる可動体10の移動量と、起立位置P1から傾倒位置P2までの可動体10の総移動量に基づいて算出される。
本実施形態の所定回数は、可動体10が係止される直前にステップS40において肯定判定がなされるように定められている。つまり、マイクロステップのサイクルCMCが所定回数実行されたときに、可動体10が係止される位置の直前に位置しているように所定回数が定められている。このようにした場合、カラー部材65が貫通孔41a1の下端41a2に当接する前にステッピングモーター21の出力トルクを増加させておくことができる。
本実施形態では、切換えステップは、第2歯車52のスリップ動作が開始する位置の少なくとも2サイクル以上手前に設定される。これにより、第2歯車52のスリップ動作の直前にステッピングモーター21の回転を安定させておくことができる。駆動方式(励磁方式)を切換える場合、励磁ステップの更新期間、設定速度やマイクロステップの駆動分解などの要因により、マイクロステップとフルステップとで同一の回転速度を設定できないことがある。その結果、駆動方式の切換え直後には、若干の速度変化が発生して回転ムラが発生する可能性がある。本実施形態では、回転速度が安定してから被係止部がストッパ部に当接するように切換えステップのタイミングが定められている。その結果、第2歯車52をより確実にスリップさせることができる。また、被係止部としてのカラー部材65がストッパ部に当接する直前までマイクロステップによる駆動が実行されることで、フルステップ駆動により発生する振動や作動音が最小限に抑えられる。
ステップS40の判定の結果、切換えステップに到達したと判定された場合(ステップS40−Y)にはステップS50に進み、否定判定された場合(ステップS40−N)にはステップS30に移行する。なお、サイクル数に代えて、実行したステップ数によってステップS40の判定がなされてもよい。
ステップS50において、駆動制御装置23は、駆動方式をマイクロステップから2相フルステップに切換える。より詳しくは、駆動制御装置23は、回転速度を維持した状態で励磁出力を切換える。つまり、切換え前のマイクロステップのサイクルCMCの周波数と、切換え後のフルステップのサイクルCFLの周波数とを同じ周波数とする。図23および図24を参照して、マイクロステップからフルステップへの切換えの一例について説明する。
図23には、時刻t11におけるマイクロステップからフルステップへの切換えが示されている。図24には、マイクロステップからフルステップへの切換えに伴う合成磁界の推移が示されている。図24において、縦軸方向はA相のコイルの位相に対応しており、横軸方向はB相のコイルの位相に対応している。図23に示すように、時刻t11よりも前は、マイクロステップによる駆動が行われており、A相およびB相のそれぞれの印加電圧が正弦波を描くように変化している。これにより、図24に示すように、合成磁界F1は、同じ大きさで位相が変化していく。
時刻t11にマイクロステップからフルステップへの切換えがなされる。このタイミングは、図24に示すように、合成磁界F2の位相が45度となるタイミングである。言い換えると、2相励磁状態で駆動方式が切換えられる。このような切換えタイミングによれば、駆動方式が切換えられる際の合成磁界の位相の変化が最小限に抑えられる。時刻t11以降は、2相フルステップにより合成磁界F2,F3が推移していく。駆動制御装置23は、例えば、時刻t11に切換えステップに到達した(ステップS40−Y)と判定してフルステップへの切換え(ステップS50)を実行する。ステップS50が実行されると、ステップS60に進む。
ステップS60において、駆動制御装置23は、設定サイクル経過後にステッピングモーター21を停止させる。駆動制御装置23は、フルステップのサイクルCFLを所定回数実行すると、ステッピングモーター21を停止させる。ステップS60が実行されると、本制御フローは終了する。
駆動制御装置23は、以下に示すタイミングでマイクロステップからフルステップへの切換えを行ってもよい。図25は、フルステップへの切換えタイミングの他の例を示す図、図26は、マイクロステップからフルステップへの切換えに伴う合成磁界の推移を示す他の図である。図25に示すように、駆動制御装置23は、時刻t21にマイクロステップからフルステップへの切換えを実行する。時刻t21は、図26に示すように、合成磁界F11の位相が90度となるタイミングである。言い換えると、1相励磁状態で駆動方式が切換えられ、2相フルステップへの切換え前に、ハーフステップが挿入されてから、2相フルステップへ切換わる。時刻t21以降は、2相フルステップにより合成磁界F12,F13が推移していく。
駆動制御装置23は、A相およびB相の切換えタイミングをずらしてもよい。図27は、フルステップへの切換えタイミングの更に他の例を示す図、図28は、マイクロステップからフルステップへの切換えに伴う合成磁界の推移を示す更に他の図である。図27に示すように、駆動制御装置23は、時刻t31にA相の駆動方式をマイクロステップからフルステップに切換える。B相の駆動方式は、時刻t32にマイクロステップからフルステップに切換えられる。言い換えると、駆動制御装置23は、1相励磁状態で、励磁されているA相を先行してフルステップに切換える。これにより、図28に示すように、合成磁界F21,F22,F23の大きさが徐々に増加していく。時刻t32にB相の駆動方式がフルステップに切換えられると、2相フルステップにより合成磁界F24,F25が推移していく。
駆動制御装置23は、可動体10がストッパ部によって係止されるときに、ステッピングモーター21の駆動方式をマイクロステップからハーフステップに切換えてもよい。図29は、マイクロステップからハーフステップへの切換えを示す図、図30は、マイクロステップからハーフステップへの切換えに伴う合成磁界の推移を示す図である。図29に示すように、駆動制御装置23は、時刻t41にステッピングモーター21の駆動方式をマイクロステップからハーフステップに切換える。時刻t41は、図30に示すように、合成磁界F31の位相が90度となるタイミングである。言い換えると、1相励磁状態で駆動方式が切換えられる。時刻t41以降は、ハーフステップにより合成磁界F32,F33,F34が推移していく。ハーフステップでは、合成磁界F32,F33,F34の位相が45度ずつ変化していく。
駆動制御装置23は、可動体10を傾倒位置P2から起立位置P1へ移動させる際にも上記と同様にステッピングモーター21の駆動方式の切換えを行う。また、駆動制御装置23は、第1可動体16(フレーム11および閉塞部材12)を車幅方向にスライドさせる場合、ステッピングモーター71の駆動方式の切換えをステッピングモーター21の駆動方式の切換えと同様に行う。
以上説明したように、本実施形態の車両用表示装置1は、内部に情報が表示される収容部101と、可動体10,16と、ステッピングモーター21,71と、動力伝達装置22,72と、駆動制御装置23と、被係止部と、ストッパ部と、スリップ機構と、を有する。可動体10,16は、収容部101の内部に配置され、予め定められた可動範囲内を直線方向に移動可能である。起立位置P1と傾倒位置P2との間の可動範囲は、貫通孔41a1によって決められている。第1固定位置P1と第2固定位置P3との間の可動範囲は、貫通孔13bによって決められている。
動力伝達装置22,72は、ステッピングモーター21,71の動力を可動体10,16に伝達して可動体10,16を移動させる。駆動制御装置23は、ステッピングモーター21,71を制御する。被係止部は、可動体10,16に連結されたものであり、可動体10,16と共に移動する。起立位置P1と傾倒位置P2との間の可動体10の移動では、カラー部材65が被係止部として機能する。第1固定位置P1と第2固定位置P3との間の第1可動体16(フレーム11および閉塞部材12)の移動では、ラックギヤ72dが被係止部として機能する。
ストッパ部は、可動範囲の端部において可動体10,16を係止する。起立位置P1と傾倒位置P2との間の可動体10の移動では、貫通孔41a1の両端部がストッパ部として機能する。貫通孔41a1は、カラー部材65を係止することにより可動体10を係止する。第1固定位置P1と第2固定位置P3との間の第1可動体16(フレーム11および閉塞部材12)の移動では、貫通孔13bの両端部がストッパ部として機能する。貫通孔13bは、ラックギヤ72dを係止することで第1可動体16を係止する。
スリップ機構は、ステッピングモーター21,71と被係止部との間の動力伝達経路に設けられ、伝達する動力の大きさに応じて空転する。ステッピングモーター21と被係止部(カラー部材65)との間の動力伝達経路には、スリップ機構として第2歯車52が設けられている。ステッピングモーター71と被係止部(ラックギヤ72d)との間の動力伝達経路には、斜歯歯車72bおよび平歯車72cを有するスリップ機構が設けられている。
駆動制御装置23は、マイクロステップによってステッピングモーター21,71を駆動して可動体10,16を可動範囲内で移動させる。駆動制御装置23は、被係止部(カラー部材65、ラックギヤ72d)がストッパ部によって係止されるときに、ステッピングモーター21,71の動力を増加させる。本実施形態の駆動制御装置23は、被係止部が係止されるときにステッピングモーター21,71の動力を増加させることで、スリップ機構においてより確実にスリップを発生させることができる。よって、本実施形態の車両用表示装置1は、振動を抑制しつつ可動体10,16を狙いの位置に移動させることができる。
本実施形態の駆動制御装置23は、被係止部がストッパ部によって係止されるときに、ステッピングモーター21,71の駆動方式をマイクロステップからフルステップまたはハーフステップに切換えることにより、ステッピングモーター21,71の動力を増加させる。制御の切換えによって動力を増加させることで、ステッピングモーター21,71や電源回路を大型化する必要が生じない。
また、本実施形態の駆動制御装置23は、被係止部がストッパ部によって係止されるよりも前にステッピングモーター21,71の動力を増加させる。被係止部がストッパ部に当たるよりも前に動力が増加されることで、ステッピングモーター21,71の回転を安定させてから被係止部をストッパ部に当接させることができる。その結果、係止部がストッパ部によって跳ね返されてしまうことなどを抑制しながらスリップ機構をスリップさせることができる。
なお、上記ステップS40の所定回数は、可動体10,16が係止されると同時に駆動方式が切換えられるように定められてもよく、可動体10,16が係止されてから駆動方式が切換えられるように定められてもよい。つまり、「被係止部がストッパ部によって係止されるとき」には、被係止部がストッパ部によって係止される瞬間、被係止部がストッパ部によって係止される直前、被係止部がストッパ部によって係止された直後などが含まれる。
駆動制御装置23は、所定回数によって駆動制御の切換えタイミングを判定することに代えて、被係止部等を検出するセンサに基づいてタイミングを判定してもよい。例えば、被係止部の移動経路に設置されたマイクロスイッチにより被係止部を検出し、その検出結果から駆動制御の切換えタイミングが決定されてもよい。
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。ステッピングモーター21,71の動力の増加は、駆動方式を切換えることに加えて、あるいは駆動方式を切換えることに代えて、供給電圧を増加させることによってなされてもよい。例えば、駆動制御装置23は、電源回路27Bからステッピングモーター21,71に供給する電圧値を変化させる。駆動制御装置23は、ステッピングモーター21,71の動力を増加させる際に、駆動方式を切換えると共に、電源回路27Bからステッピングモーター21,71に対する供給電圧を増加させる。
駆動制御装置23は、駆動方式を切換えることに加えて、あるいは駆動方式を切換えることに代えて、駆動回路28によってコイルに対する印加電圧を増加させてもよい。例えば、ステッピングモーター21,71の動力を増加させる際に、駆動方式をマイクロステップのままとして、コイルに対する印加電圧の実効値を増加させてもよい。印加電圧の増加は、駆動方式の切換えに加えて実行されてもよい。
駆動制御装置23は、可動体10,16の移動速度を低下させることによりステッピングモーター21,71の動力を増加させてもよい。図20を参照して説明したように、ステッピングモーター21,71の制御周波数を低下させることで出力トルクを増加させることができる。駆動制御装置23は、被係止部がストッパ部によって係止されるときに、ステッピングモーター21,71の回転速度を低下させることで動力を増加させてもよい。
ステッピングモーター21,71は、2相のものには限定されず、3相以上のコイルを有していてもよい。可動体10は、フレーム11や閉塞部材12のごとき加飾部材には限定されない。可動体10は、虚像が重畳表示される対象物でなくてもよい。可動体は、例えば、液晶パネル等の表示装置であってもよい。また、可動体は、その他の構造物であってもよい。
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。図31は、実施形態の第2変形例に係る車両用表示装置の内部の正面図である。第2変形例の車両用表示装置1において、上記実施形態と異なる点は、表示体90の表示面91が利用者から視認できるように配置されている点である。
図31に示すように、表示体90は、第1可動体16の背面側に配置されている。第2変形例の第1可動体16は、閉塞部材12を有しておらず、フレーム11の内方領域11aは閉塞されていない。すなわち、利用者は、フレーム11の内方領域11aを通して後述する表示面91を視認することができる。表示体90は、例えば、TFT−LCD(Thin Film Transistor−Liquid Crystal Display)等の液晶表示装置である。表示体90は、画像を表示する表示面91を有する。表示体90と第1可動体16との間には、遮蔽部材85が配置されている。遮蔽部材85は、板状の部材であり、表示体90の枠92を利用者側から視認されないように遮蔽する。遮蔽部材85は、窓部85aを有する。窓部85aの形状は、例えば、矩形である。窓部85は、遮蔽部材85を貫通する貫通孔である。窓部85は、透光性を有するアクリル等の樹脂やガラスによって形成されたパネルによって閉塞されていてもよい。
利用者は、窓部85aを通して表示体90の表示面91を視認することができる。つまり、第2変形例では、窓85aによって囲まれた領域が画像表示領域91aとなる。第1可動体16は、画像表示領域91aに位置づけられる。本変形例に係る車両用表示装置1は、第1可動体16を車幅方向に移動させ、かつ車両上下方向には移動させない。第1可動体16の可動範囲は、例えば、利用者から見て第1可動体16が常に画像表示領域91aと重なるように定められてもよい。図31では、第1固定位置P1および第2固定位置P3の何れの位置においても第1可動体16が画像表示領域91aと重なる。ただし、第1可動体16の可動範囲は、これには限定されない。例えば、第2固定位置P3は、第1可動体16が画像表示領域91aと重ならないように定められてもよい。
表示体90は、画像表示領域91aに各種の画像、例えば車両に関する情報の画像を表示する。表示体90は、例えば、フレーム11によって囲まれた領域91bに車両に関する情報の画像を表示する。図31では、上記の領域91bに目盛り画像93が表示されている。領域91bには、更に、目盛り画像93を指し示す指針画像、車速や走行距離を示す数値画像等が表示されてもよい。表示体90は、フレーム11の外側の領域にも各種の画像を表示してもよい。
車両表示装置1は、二つの表示体81,90を有していてもよい。すなわち、表示体81によって表示される虚像と、表示体90によって表示される実像の両方が利用者から視認されるように表示されてもよい。実像と虚像とが重畳して表示されてもよい。利用者から見て虚像がフレーム11に重なるように表示されてもよい。
[実施形態の第3変形例]
実施形態の第3変形例について説明する。フレーム11の形状は、例示したものには限定されない。円環状のフレーム11は、フレーム11が閉じているものだけでなく、フレーム11の一部が欠けて開いた形状のものも含む。このように一部が開いた円環状のフレーム11としては、例えば、C字形状のフレーム11が挙げられる。
フレーム11の移動方向は、例示したものには限定されない。例えば、画像表示装置1は、フレーム11を含む可動体10を車幅方向へ移動させ、かつ車両上下方向には移動させなくてもよい。車幅方向に移動するフレーム11に対して、表示体81による虚像が重畳して表示されてもよく、表示体90による実像が重畳して表示されてもよい。
画像表示装置1は、フレーム11を含む可動体10を車両上下方向に移動させ、かつ車幅方向には移動させなくてもよい。車両上下方向に移動するフレーム11に対して、表示体81による虚像が重畳して表示されてもよく、表示体90による実像が重畳して表示されてもよい。
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。