JP6813900B2 - 流体移送部材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、流体移送部材及びその製造方法に関し、特にドライ真空ポンプ用部材として用いる流体移送部材及びその製造方法に関する。
従来より、自動車、半導体、印刷等の工場から排出されるガスや溶剤を処理するために、真空容器、真空ポンプ等の流体移送機器には、流体移送部材が用いられている。このような部材は、その内外を流通する腐食性のガスや溶剤といった流体により損傷する場合がある。そこで、その耐食性を向上させることが要求されている。
このような要求に応えるものとして、ニッケルめっきコーティング、テフロン(登録商標)ニッケルめっきコーティング又はテフロン(登録商標)コーティングの表面処理膜を表面に形成した真空ポンプ用気体移送部材が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2018−3646号公報
しかしながら、前記した例では、対象部材にニッケルめっき膜を成膜しても、二酸化硫黄ガス等の腐食性流体に対する耐食性が不十分であるという問題があった。また、ニッケルめっき膜の耐食性を補完するために、耐食性に優れたダイヤモンド膜を成膜することが想定されるものの、実用性に耐え得るダイヤモンド膜をニッケルめっき膜上に成膜することはできなかった。
また、ニッケルめっき膜以外の、クロムめっき膜等の金属めっき膜であっても、腐食性流体に対する耐食性が不十分であり、ダイヤモンド膜を効率的に成膜することは困難であった。
前記課題に照らして、本発明は、ニッケルめっき膜等の金属めっき膜上にダイヤモンド膜を成膜することができ、かつ腐食性流体に対する耐食性を向上できる流体移送部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、その一側面にて流体移送部材である。本発明に係る流体移送部材は、対象部材上の金属めっき膜と、前記金属めっき膜上のダイヤモンド膜とを備え、前記金属めっき膜が凹部をその表面に有し、前記ダイヤモンド膜が前記表面から前記凹部にわたって延在しており、前記凹部が前記金属めっき膜に内在する空部に由来する凹部であることを特徴としている。
前記金属めっき膜は、無電解ニッケルめっき膜であることが好適である。また、前記凹部は、1×10-6〜1×10-3個/μm2で前記金属めっき膜上に存在することができる。更に、前記金属めっき膜の膜厚は、5〜50μmであり、前記ダイヤモンド膜の膜厚は、1〜20μmとすることができる。
また、本発明は、別の一側面にて流体移送部材の製造方法である。本発明に係る流体移送部材の製造方法は、対象部材にめっき処理を施すことにより、前記対象部材上に金属めっき膜を形成する金属めっき膜形成工程と、前記金属めっき膜上に凹部を形成する凹部形成工程と、前記凹部を有する金属めっき膜上にドライプロセス法を用いてダイヤモンド膜を形成するダイヤモンド膜形成工程とを含み、前記凹部形成工程では、前記金属めっき膜に内在する空部を、前記凹部に顕在化することを特徴としている。
前記金属めっき膜を、無電解めっき処理を施すことにより形成した無電解ニッケルめっき膜とすることが好適である。更に、前記凹部形成工程では、研磨により前記空部を前記凹部に顕在化することが好適である。また、前記凹部形成工程では、1×10-6〜1×10-3個/μm2の前記凹部を前記金属めっき膜上に形成することができる。更に、前記金属めっき膜の膜厚を、5〜50μmとし、前記ダイヤモンド膜の膜厚を、1〜20μmとすることができる。
また、前記金属めっき膜形成工程では、前記めっき処理として無電解ニッケルリンめっき処理を用い、ニッケル−リン合金からなる無電解ニッケルめっき膜を形成することができる。
更に、前記ダイヤモンド膜形成工程では、前記ドライプロセス法として、アークイオンプレーティング、非平衡マグネトロンスパッタリング、フィルタードアークイオンプレーティング、高周波プラズマCVD法、パルス直流プラズマCVD法、イオン化蒸着法又は自己放電型プラズマイオン注入成膜法を用いて、ダイヤモンドライクカーボン膜を形成することができる。前記ダイヤモンド膜形成工程では、自己放電型プラズマイオン注入成膜法を用いて、ダイヤモンドライクカーボン膜を形成することが好適である。
本発明によれば、ニッケルめっき膜等の金属めっき膜上にダイヤモンド膜を成膜することができ、かつ腐食性流体に対する耐食性を向上できる流体移送部材及びその製造方法が提供される。
図1は、本発明に係る流体移送部材の一実施の形態について、その概略的な断面図を示す。 図2は、実施例にて作製した流体移送部材表面の写真と拡大写真を示す図である。図2(a1)は、試験例1の流体移送部材表面の写真であり、図2(a2)は、その拡大写真である。図2(b1)は、試験例3の流体移送部材表面の写真であり、図2(b2)は、その拡大写真である。 図3は、実施例にて作製した流体移送部材のニッケルめっき膜表面の拡大写真を示す図である。図3(a1)及び図3(a2)は、それぞれ、試験例4の流体移送部材のニッケルめっき膜表面の拡大写真である。図3(b1)図3及び(b2)は、それぞれ、試験例5の流体移送部材のニッケルめっき膜表面の拡大写真である。 図4は、実施例1にて作製した流体移送部材表面の拡大写真を示す図である。
以下、本発明に係る流体移送部材及びその製造方法の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態によって限定されない。
1.流体移送部材
先ず、本発明に係る流体移送部材の実施の形態について、図1を参照して説明する。図1に示すように、本実施の形態に係る流体移送部材は、対象部材10上に、金属めっき膜20と、ダイヤモンド膜30とを少なくとも備える。
対象部材10は、腐食性流体に接する部分を有し、その一部分にニッケルめっき膜を成膜できる部材であればよく、例えば、ケーシング、スクリューロータ、ボールネジ等に用いられるロータシャフト等のドライ真空ポンプ用部材である。このような部材は、例えば、鉄(Fe)を少なくとも含み、ねずみ鋳鉄(FC)、ダクタイル鋳鉄(FCD)等の材料からなる。なお、本明細書にて、「一部分」とは、対象部材の一表面、対象部分の部分的な構成の一表面、又は前記対象部材若しくは構成の表面全体を意図している。また、本明細書及び特許請求の範囲の記載において、「流体」とは、ガス等の気体、液体、ミスト又はこれらの混合物を意図している。
金属めっき膜20は、対象部材10の少なくとも一部分に成膜され、ダイヤモンド膜30側の面(以下、表面ともいう。)に凹部20Aを有している。また、金属めっき膜20は、その内部に空部を備えている。凹部20Aは、金属めっき膜20の層中に存在していた空部に由来するものである。空部は、概ね逆さ円錐状に対象部材10に向けて先細状に形成される。空部は、その下端側で対象部材10まで到達していてもよく、金属めっき膜20を貫通していることもある。形成された直後の空部は、一般的に閉鎖空間となっている。なお、空部は、形成された直後から凹部として存在していてもよい。流体移送部材の製造過程において、空部の上部が開放され、図1に示すように凹部20Aが形成される。なお、図1に示される凹部20Aの形状は、概念的なものである。金属めっき膜20は、金属元素又はその合金からなる膜であればよく、例えばニッケルめっき膜、クロムめっき膜、これらの複合めっき膜である。また、金属めっき膜は、二種以上の金属めっき膜を積層した構成でもよい。金属めっき膜は、合金を形成するための元素又は不純物として、リン(P)、ホウ素(B)、炭素(C)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、硫黄(S)、鉄(Fe)等の元素を含有することができる。これらのうち、金属めっき膜は、実用的な観点より、無電解めっき処理してなる無電解ニッケルめっき膜が好ましく、均一性の観点より、ニッケル−リン合金からなる無電解ニッケルめっき膜がより好ましい。
金属めっき膜20の膜厚は、対象部材10に成膜できる膜厚であればよく、例えば5〜50μm程度とすることができる。
凹部20Aは、金属めっき膜20の表面に設けられ、その内部にダイヤモンド膜30を存在させている。凹部20Aは、ダイヤモンド膜30にアンカー効果を付与する機能を有することが推測できる。また、凹部20Aは、ニッケルめっき膜に内在する空部に由来することが好ましい。本明細書にて、「空部に由来する」とは、空部又は金属めっき膜20の表面の凸部が、研磨処理等により凹部20Aとして顕在化されてなること、又は形成された直後から凹部であった空部を意図している。この凸部は、詳しくは後述するが、成膜直後の金属めっき膜20の表面近傍に空部が存在することによって、金属めっき膜20の表面に形成される。
凹部20Aの個数は、特に限定されないものの、例えば1×10-6〜1×10-3個/μm2程度とすることができる。また、凹部20Aの大きさは、例えば、金属めっき膜表面のその開口部を円状と仮定した直径で30〜100μm程度とすることができる。
ダイヤモンド膜30は、金属めっき膜20の表面上に成膜され、金属めっき膜20の凹部20Aに内在する膜である。ダイヤモンド膜30は、主に炭化水素又は炭素の同素体から構成される非晶質の膜であり、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜と呼称される。また、ダイヤモンド膜30は、本実施の形態に係る製造前又は製造中の不可避的若しくは任意選択的な混合物として、水素(H)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ケイ素(Si)等の元素を含有することができる。
ダイヤモンド膜30の膜厚は、特に限定されないものの、具体的には1〜20μmであり、好ましくは1〜10μmである。
また、ダイヤモンド膜30は、その表面にて、金属めっき膜20の凹部20Aと略同形状の凹部30Aを有する。凹部30Aは、ダイヤモンド膜30の一部が凹部20Aに内在することにより、形成されると推測できる。すなわち、凹部20Aがニッケルめっき膜に内在する空部に由来する場合は、凹部30Aもニッケルめっき膜に内在する空部に由来するものである。
ダイヤモンド膜30の凹部30Aの個数は、前述した金属めっき膜20の凹部20Aと略同等の個数である。また、凹部30Aの大きさは、例えば、金属めっき膜表面のその開口部を円状と仮定した直径で40〜70μmの範囲となる。
以上のような構成の流体移送部材は、金属めっき膜上にダイヤモンド膜が成膜されており、かつ腐食性流体に対する耐食性が良好である。
2.製造方法
次いで、本発明に係る流体移送部材の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る流体移送部材の製造方法は、金属めっき膜形成工程と、凹部形成工程と、ダイヤモンド膜形成工程とを少なくとも含む。
金属めっき膜形成工程では、対象部材にめっき処理を施すことにより、対象部材の少なくとも一部分に金属を主成分とする金属めっき膜を形成する。めっき処理は、めっき浴中で対象部材に金属めっき膜を成膜できる方法であればよく、例えばニッケルめっき処理、クロムめっき処理、これらの複合めっき処理である。めっき処理は、実用的な観点より、成膜する金属の電極電位よりも卑な電極電位を有する還元剤を用いた無電解めっき処理が好ましく、均一性の観点より、無電解ニッケルめっき処理が好ましい。このようなニッケルめっき処理としては、硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)、塩化ニッケル(NiCl6・6H2O)等のニッケル塩に対する還元剤として、次亜リン酸ナトリウム(NaH2PO2・H2O)等の次亜リン酸塩を用いた無電解ニッケルリンめっき処理、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)等の水素化ホウ素塩又はジメチルアミンボラン(DMAB)を用いた無電解ニッケルホウ素めっき処理等が挙げられる。これらのうち、良好な均一性の観点より、無電解めっき処理は、無電解ニッケルリンめっき処理がより好ましい。
めっき処理用のめっき浴には、前述した金属塩や還元剤の他に、用途に応じて、緩衝剤、pH調整剤、安定剤・促進剤、界面活性剤、光沢剤、分散剤等を含有できる。
成膜直後の金属めっき膜の膜厚は、例えば5〜50μm程度とすることができる。このような膜厚は、めっき浴の温度、濃度、pH値、処理時間、電流密度、電圧、めっき浴中での空気撹拌の有無、撹拌の速度等を適宜制御することにより、制御することができる。
また、金属めっき膜形成工程では、成膜した金属めっき膜の内部に少なくとも1以上の空部が存在している。空部が金属めっき膜の表面近傍に存在することにより、金属めっき膜の表面が突出する。その結果、成膜した金属めっき膜の表面には、少なくとも1以上の凸部が形成されている。
次いで、凹部形成工程では、穿刺、研磨、加熱等の処理により、金属めっき膜の表面に凹部を形成する。凹部は、金属めっき膜形成工程後の金属めっき膜に内在する空部又は凸部を、研磨又は加熱により金属めっき膜の表面に顕在化することが好ましい。研磨又は加熱を用いれば、金属めっき膜に内在する空部又は凸部を利用した直接的又は間接的な一つのプロセスにより、容易に凹部を形成することができる。
凹部を形成した金属めっき膜の膜厚は、前述の金属めっき膜20の膜厚を好適に採用できる。また、凹部の個数及び大きさは、前述した凹部20Aの個数及び大きさを好適に採用することができる。
次いで、ダイヤモンド膜形成工程では、ドライプロセス法を用いて、少なくともニッケルめっき膜の表面上にダイヤモンド膜を成膜する。ドライプロセス法は、真空又は常温下でニッケルめっき膜上にダイヤモンド膜を成膜できる方法を用いればよく、例えば、化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PVD)等が挙げられる。化学蒸着法としては、熱CVD法、直流プラズマCVD、高周波プラズマCVD、パルスプラズマCVD、パルス直流プラズマCVD等のプラズマCVD法等の方法が挙げられる。物理蒸着法としては、真空蒸着法、イオン化蒸着法、フィルタードアークイオンプレーティング(FVA)、アークイオンプレーティング(AIP)等のイオンプレーティング法、非平衡マグネトロンスパッタ(UBMS)等のマグネトロンスパッタリング法、電子サイクロトロン共鳴スパッタリング(ECR)法、パルスレーザアブレーション(PLD)等のレーザアブレーション法、自己放電型プラズマイオン注入成膜法(PBII&D)等のプラズマイオン注入成膜法等が挙げられる。これらのうち、ドライプロセス法は、実用的な観点より、アークイオンプレーティング、非平衡マグネトロンスパッタリング、フィルタードアークイオンプレーティング、高周波プラズマCVD法、パルス直流プラズマCVD法、イオン化蒸着法又は自己放電型プラズマイオン注入成膜法が好ましく、大型又は複雑構造の部材に対する成膜性の観点より、自己放電型プラズマイオン注入成膜法がより好ましい。なお、本明細書にて、「自己放電型プラズマイオン注入成膜法」とは、対象部材に直接高周波と電圧を印加し、対象部材自体をプラズマ発生源とすることにより、対象部材の形状に沿ってプラズマ生成を行う方法である。
成膜したダイヤモンド膜の膜厚は、前述のダイヤモンド膜30の膜厚を好適に採用できる。また、成膜したダイヤモンド膜の凹部の個数及び大きさは、前述した凹部30Aの個数及び大きさを好適に採用することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明することにより、本発明の効果を明らかにする。本発明に係る流体移送部材及びその製造方法は、以下の実施例によって限定されない。
1.試験例の作製
1.1.無電解ニッケルめっき処理
試験例1では、円板状の対象部材の試験片(厚み:3mm、直径:50mm)を準備し、これに無電解ニッケルめっき処理を施すことによって対象部材上にニッケルめっき膜を成膜した。無電解ニッケルめっき処理は、次亜リン酸塩を還元剤とした硫酸ニッケル浴中で行った。また、試験例2では、試験例1と同様に、対象部材の試験片を準備し、これに無電解ニッケルめっき処理を施した。試験例1では、ニッケルめっき膜の膜厚を25μm程度とし、試験例2では、ニッケルめっき膜の膜厚を20μm程度とした。
1.2.凹部形成処理
試験例1の試験片について、研磨によりニッケルめっき膜の表面に凹部を顕在化した。凹部形成処理後のニッケルめっき膜の膜厚は、試験例2と同様の20μm程度とした。
1.3.ダイヤモンド膜形成処理
試験例1及び2の各試験片について、ダイヤモンド膜形成処理として、PBII&D装置を用いた自己放電型プラズマイオン注入成膜法を施した。試験例2の試験片には、ダイヤモンド膜を成膜することはできなかった。試験例1では、ダイヤモンド膜の膜厚を2μm程度とした。
2.耐食性試験
次いで、試験例3として、対象部材にニッケルめっき処理のみを試験例2と同様に施した試験片を準備した。試験例1及び試験例3の各試験片について、ガス曝露試験を施すことにより、これらの耐食性を検証した。具体的には、日本工業規格JIS C60068−2−42(1993)に準拠して、各試験片を、40℃の温度及び80%の相対湿度の条件下で、腐食性ガスとして二酸化硫黄(SO2)の濃度が25ppmの二酸化硫黄ガスに96時間暴露した。
2.1.外観検査I
耐食性試験後、試験例1及び試験例3の各試験片に対して、マイクロスコープを用いて各試験例の表面の拡大写真(30倍)を撮影し、目視による外観検査を行うことにより、耐食性を判定した。各試験例の部材の変色、光沢等を鑑みて、その耐食性を「良好」、「腐食あり」と判定した。外観検査の結果を、図2(a1)〜(b2)に示す。また、下記表1に、耐食性試験の結果を示す。
図2(a1)及び(a2)に、試験例1の写真及び拡大写真を示し、図2(b1)及び(b2)に、試験例3の写真及び拡大写真を示す。図2(a1)及び(a2)に示すように、ニッケルめっき膜上にダイヤモンド膜を成膜した試験例1には、腐食した部分は見当たらなかった。なお、図2(a1)では、試験片の鏡面であるため、反射光に由来した白色部分が見られている。これに対して、図2(b1)及び(b2)に示すように、ニッケルめっき膜のみを成膜した試験例3には、全体的に腐食した部分があった。
結果より、本実施の形態に係る流体移送部材及び流体移送部材の製造方法によれば、ニッケルめっき膜上にダイヤモンド膜を成膜できることが確認された。また、流体移送部材は、ニッケルめっき膜のみを成膜した場合よりも耐食性を向上できることが確認された。
2.2.外観検査II
次いで、試験例4として、対象部材にニッケルめっき処理と凹部形成処理を試験例1と同様に施した試験片を準備し、試験例5として、対象部材にニッケルめっき処理のみを試験例2と同様に施した試験片を準備した。試験例4及び5の各試験片に対して、マイクロスコープを用いて各試験例のニッケルめっき膜の表面の拡大写真(2500倍)を撮影し、目視による外観検査を行った。図3(a1)及び(a2)に、試験例4の拡大写真を示し、図3(b1)及び(b2)に、試験例5の拡大写真を示す。
図3(a1)及び(a2)に示すように、ニッケルめっき処理と凹部形成処理を施した試験例4では、ニッケルめっき膜の表面に凹部が形成されていることが確認された。また、試験例4では、凸部は確認できなかった。試験例4のニッケルめっき膜上の凹部の数は、1×10-5個/μm2程度であり、凹部の大きさは、それらの開口部を円状と仮定した直径で30〜60μm程度であった。一方、ニッケルめっき処理のみを施した試験例5では、凹部が形成されず、凸部が形成されていることが確認された。結果より、凹部形成処理により、ニッケルめっき膜上に凹部が形成され、この凹部はニッケルめっき膜の表面の凸部又は空部に起因することが推測できる。
2.3.外観検査III
試験例1の試験片に対して、マイクロスコープを用いて試験例1のダイヤモンド膜の表面の拡大写真(2000倍)を撮影し、目視による外観検査を行った。図4に、試験例1の拡大写真を示す。図4に示すように、ニッケルめっき膜上にダイヤモンド膜を成膜した試験例1では、ダイヤモンド膜上に、試験例4と同様の凹部が観察された。
3.成膜性試験
試験例1の各試験片について、スクラッチ試験機(Revetest:CSEM社製)を用いて日本機械学会基準JSME S010(ISO 20502:2005)に準拠したスクラッチ試験を行い、得られた密着強度(N)から対象部材に対する膜の成膜性を検証した。スクラッチ試験では、密着強度として、試験例毎に3つの試験片を準備し、それらの平均値を採用した。試験結果より、ニッケルめっき膜上にダイヤモンド膜を成膜した試験例1の密着強度は、十分な強度であることを確認した。
本発明に係る流体移送部材及びその製造方法によれば、ニッケルめっき膜等の金属めっき膜上にダイヤモンド膜を成膜することができ、かつ腐食性流体に対する耐食性を向上できる。また、例えば流体移送部材を真空ポンプ用部材に採用した場合は、真空ポンプにて、腐食に由来した故障が生じる虞があった。本発明によれば、腐食による真空ポンプの故障を防止できる。
10 対象部材
20 金属めっき膜
20A、30A 凹部
30 ダイヤモンド膜

Claims (8)

  1. 対象部材にめっき処理を施すことにより、前記対象部材上に金属めっき膜を形成する金属めっき膜形成工程と、
    前記金属めっき膜上に凹部を形成する凹部形成工程と、
    前記凹部を有する金属めっき膜上にドライプロセス法を用いてダイヤモンド膜を形成するダイヤモンド膜形成工程と
    を含み、
    前記凹部形成工程では、前記金属めっき膜に内在する空部が、穿刺、研磨又は加熱により前記凹部として前記金属めっき膜の表面に顕在化したものであり、1×10-6〜1×10-3個/μm2の前記凹部を前記金属めっき膜上に形成することを特徴とする流体移送部材の製造方法。
  2. 前記金属めっき膜を、無電解めっき処理を施すことにより形成した無電解ニッケルめっき膜とすることを特徴とする請求項に記載の流体移送部材の製造方法。
  3. 前記凹部形成工程では、研磨により前記空部を前記凹部として顕在化することを特徴とする請求項又はに記載の流体移送部材の製造方法。
  4. 前記凹部形成工程では、前記金属めっき膜の表面における開口部を円状と仮定した直径で、30〜100μmの大きさの前記凹部を形成することを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の流体移送部材の製造方法。
  5. 前記金属めっき膜の膜厚を、5〜50μmとし、前記ダイヤモンド膜の膜厚を、1〜20μmとすることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の流体移送部材の製造方法。
  6. 前記金属めっき膜形成工程では、前記めっき処理として無電解ニッケルリンめっき処理を用い、ニッケル−リン合金からなる無電解ニッケルめっき膜を形成することを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の流体移送部材の製造方法。
  7. 前記ダイヤモンド膜形成工程では、前記ドライプロセス法として、アークイオンプレーティング、非平衡マグネトロンスパッタリング、フィルタードアークイオンプレーティング、高周波プラズマCVD法、パルス直流プラズマCVD法、イオン化蒸着法又は自己放電型プラズマイオン注入成膜法を用いて、ダイヤモンドライクカーボン膜を形成することを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の流体移送部材の製造方法。
  8. 前記ダイヤモンド膜形成工程では、自己放電型プラズマイオン注入成膜法を用いて、ダイヤモンドライクカーボン膜を形成することを特徴とする請求項に記載の流体移送部材の製造方法。
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