JP6786423B2 - 送電システム - Google Patents

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Description

本実施形態は、交流長距離ケーブル送電系統の高調波共振を回避する送電システムに関する。
送電系統に発生する高調波電圧の許容限度について、電気技術指針JEAG−9702−2013「高調波抑制対策指針」において、総合ひずみ率として「特別高圧系統にて3%」という高調波環境目標レベルが提示されている。系統には通常3%以下の高調波電圧が存在しているが,共振が発生するとその数倍から20倍程度に拡大する。
高調波の過電圧が発生した場合、ケーブルの過熱、調相用コンデンサの過熱、各種電気機器の故障、さらに過電圧値によっては各種機器の絶縁の損傷などの不具合が発生する。一般に、交流送電系統に発生する高調波としては、第3次、第5次、第7次などの奇数次高調波が存在し、偶数次高調波は無視することができる。したがって、交流送電系統においては,奇数次高調波における共振を回避することが必要とされる。第3次、第5次、第7次高調波とは、60Hz系統では180Hz、300Hz、420Hzであり、50Hz系統では150Hz、250Hz、350Hzである。
数十kmに及ぶ交流長距離ケーブル送電系統では、高調波共振が発生する可能性が大きい。例えば、本土から数十km離れた島(以下では離島と呼ぶ)への送電は、架空送電線では実現できず、海底に敷設する電力ケーブルが利用される。このため、数十kmの長距離海底ケーブルが利用される。
このような長距離ケーブル系統は、インダクタンスおよび対地静電容量が非常に大きくなる。このため、系統の共振周波数は、通常の架空送電系統では数kHzであるのに対し、長距離ケーブル系統ではかなり低くなる。従って、第3次から第9次の高調波に共振しやすくなる。
離島への長距離海底ケーブルを使用した送電システムとして、特許文献1および2、非特許文献1および2のようなものがある。特許文献2には,離島への長距離海底ケーブルを使用した場合の、直流送電と交流ケーブル送電とを組合せた共振回避を目的とした送電システムが開示されている。非特許文献2には、変圧器の漏れインピーダンスを標準の2倍程度に大きくし、系統の共振周波数を下げることによって奇数次高調波共振を回避することが開示されている。
特開2013−74691公報 特開2014−110751公報
平成18年電気学会全国大会、7−127、長距離ケーブル系統の特殊現象の概要と体系化 平成18年電気学会全国大会、7−128、わが国最長の交流長距離ケーブル系統における高調波共振とその対策
従来の送電システムでは、複数回路への対応が必要とされる。すなわち複数の共振周波数を回避する必要があり、共振を回避するための直列リアクトルのインダクタンス値が非常に大きくなり、送電に悪影響を及ぼす電圧降下をもたらすという問題点があった。
また、従来の送電システムの一形態のように、直流送電と交流送電の組合せが用いられた場合、直流送電方式のコストが高いという問題点があった。
また、従来の送電システムでは、電源側の変圧器の短絡インピーダンスを通常の2倍程度大きくし、高調波共振を回避している。この場合、ケーブル長が長くなると、共振を回避できなくなるという問題点があった。例えば従来の送電システムにおけるケーブル長が54kmである場合、ケーブルがその2倍程度の長さである約100kmになった場合、共振を回避できなくなる問題点があった。下記に示す具体的な系統の例に基づき、100km程度の長距離ケーブルになった場合、従来の送電システムでは、高調波共振を回避できないことを説明する。下記に具体的な系統の例の電気的条件を(系統条件1)として示す。
(系統条件1)
(1)系統の結線: 単線結線図を図3に示す。
(2)電源系統の電圧: 220kV
(3)電源系統の短絡容量: 9500MVA(短絡電流25kA)
(4)低圧側母線の電圧: 66kV
(5)第1の変圧器の定格容量: 100MVA
(6)第1の変圧器のバンク数: 2バンク
(7)第1の変圧器の1次/2次定格電圧: 220/66kV
(8)第1の変圧器の短絡インピーダンス(以下、%Zと略す): 上記電圧クラスで標準的に採用されている15%(以下、標準%Zと呼ぶ)とする。
(9)定格周波数: 60Hz
(10)長距離ケーブルの電圧: 66kV
(11)長距離ケーブルの長さ: 100km
(12)長距離ケーブルの種別: 架橋ポリエチレンケーブル、325mm、3心、海底ケーブル
(13)長距離ケーブルの回線数: 2回線
(14)第1の変圧器のバンク数とケーブル回線数の組合せ: 4ケース、図4に4ケースを示す。
(15)共振周波数の変化幅: 第1の変圧器タップ変化、電源系統の短絡容量の変動、各機器、設備の製作誤差、電力ケーブル長さの敷設誤差、その他の誤差を考慮した、求めた共振周波数に対する±10%
長距離ケーブル送電線を含んだ送電システムの代表例を図3に示す。電源1からの電力は、電源送電線2、変電所3の高圧側母線4を経て、第1の変圧器5で降圧され、さらに低圧側母線6に接続された電力ケーブル7に送られる。この電力ケーブル7は、離島へ送電するための長距離海底ケーブルである。電力ケーブル7を介し給電された電力は、第2の変電所8に受電される。第2の変電所8により受電された電力は、第2の変電所8内の母線9から第2の変圧器10へ送電される。第2の変圧器10は、一般に配電用変圧器と呼ばれ、容量は第1の変圧器の半分以下である。第2の変圧器10は、複数台数が設置され、電力を分配する。
次に、長距離ケーブル系統の共振周波数は、系統の構成により変化することを説明する。図3に示した送電システムの系統では、第1の変圧器5および電力ケーブル7は、2対で構成されており、回路構成は図4に示すように4つのケースが発生する。下記に4つのケースを(回路構成の種類1)として示す。
(回路構成の種類1)
ケース(A): 全設備が運転されている状態[バンク数2・ケーブル数2の状態]
ケース(B): 変圧器1バンクが停止した状態[バンク数1・ケーブル数2の状態]
ケース(C): ケーブル1回線が停止した状態[バンク数2・ケーブル数1の状態]
ケース(D): 変圧器1バンクとケーブル1回線が停止した状態[バンク数1・ケーブル数1の状態]
図3の送電システムの系統における、高調波共振に関する主要な電気的要素を表した等価回路を図5に示す。図5における送電システムは、電源1、電源送電線2のインダクタンス2L、第1の変圧器5の漏れインダクタンス5L、電力ケーブル7のインダクタンス7L、電力ケーブルの対地静電容量7C、第2の変電所8の変圧器10の漏れインダクタンス10Lを有し、それぞれは順次接続されている。電源1には、商用周波電圧に加え、高調波電圧が含まれる。
次に図6〜10に基づき、図3および図4に示す代表的な従来の送電システムでは、4種類の共振周波数が発生することを説明する。
図6(a)に、図4のケース(A)の共振に関する等価回路を示す。なお,分布定数回路である電力ケーブル7は、インダクタンスを2分割しLc/2を2つ直列に設け、中間に電力ケーブルの対地静電容量Ccが接続されたT形回路で表現される。電源系統2の対地静電容量C、第1の変圧器5の対地静電容量CTR、第2の変圧器10の対地静電容量C等の他の静電容量は、電力ケーブル7の対地静電容量Ccに比べ、十分に小さいので無視することができる。
また、第2の変圧器10のインダクタンスLは、電力ケーブル7の対地静電容量Ccとの間で閉回路が構成されないので、無視することができる。系統の抵抗rも十分に小さいため、共振周波数に及ぼす影響としては、無視することができる。第1の変圧器5のインダクタンスLTRは、2台が並列に接続されておりLTR/2となる。電力ケーブル7のインダクタンスは、2台が並列に接続されておりL/4となる。電力ケーブル7の対地静電容量は、2台が並列に接続されており2Ccとなる。図6(a)を簡略化した等価回路を図6(b)に示す。図6(b)に基づき、ケース(A)の共振周波数frは次式のとおりとなる。
Figure 0006786423
図7(a)に、図4のケース(B)の共振に関する等価回路を示す。図7(a)を簡略化した等価回路を図7(b)に示す。図7(b)に基づき、ケース(B)の共振周波数frは次式のとおりとなる。
Figure 0006786423
図8(a)に、図4のケース(C)の共振に関する等価回路を示す。図8(a)を簡略化した等価回路を図8(b)に示す。図8(b)に基づき、ケース(C)の共振周波数frは次式のとおりとなる。
Figure 0006786423
図9(a)に、図4のケース(D)の共振に関する等価回路を示す。図9(a)を簡略化した等価回路を図9(b)に示す。図9(b)に基づき、ケース(D)の共振周波数frは次式のとおりとなる。
Figure 0006786423
図6〜9に記載された等価回路を更に簡略化すると、図10に示す回路のようになる。共振周波数は、次式のとおりとなる。
Figure 0006786423
(式5)において、インダクタンスLは、共振に関与するインダクタンスの合成値であり、(式6)で表される。また、静電容量Cは,共振に関与する静電容量の合成値であり、(式7)で表される。
Figure 0006786423
Figure 0006786423
(式6)において、第1の変圧器が2バンク並列になった場合LTRはLTR/2となり、電力ケーブルが2回線になった場合、Lc/2はLc/4となる。(式7)において、電力ケーブルの対地静電容量である静電容量Cは、1回線の場合の大きさはCであり、2回線の場合のCは2Cとなる。これらの組み合わせにより、ケース(A)〜(D)の共振周波数を求める(式1)〜(式4)を導出することができる。
以上のとおり、代表的な送電システムの系統では、前記のケース(A)〜(D)の回路構成が生じ、共振周波数は(式1)〜(式4)に示す4とおりとなる。
変圧器の漏れインダクタンスを%表示で表す。変圧器の短絡インピーダンスは一般に%値で表されており、定格電流が流れたときの電圧降下を表わす値であること、変圧器の体格を知るうえで分かりやすいこと、などのため変圧器の漏れインダクタンスは%表示で表わされた方が理解しやすい。変圧器の短絡インピーダンスである%Zは、抵抗分も含まれるが、十分に小さいので、ここでは無視する。第1の変圧器の%Zと漏れインダクタンスの関係は次のとおりである。
前述の(系統条件1)のとおり、第1の変圧器5の1次/2次定格電圧は220/66kV、定格容量は100MVA、定格周波数は60Hzである。従って,66kV側の基準インピーダンス、すなわち100%インピーダンスは43.6Ω、100%インダクタンスは115.5mHとなる。第1の変圧器5の%Z=15%は、17.33mHである。また、変圧器%Zの値と変圧器漏れインダクタンスの%値とは同一値である。例えば、第1の変圧器5の%Zが15%である場合、漏れインダクタンスも同一値の15%となる。
図4に示すケース(A)〜(D)の4つの回路構成について、(系統条件1)を有する送電システムの系統の共振周波数を図11に示す。図11に示すように、共振周波数は回路構成によって異なる。図11には、100kmの長距離ケーブル系統において、4つの回路構成がともに第3次高調波において共振することが示されている。
共振領域として、各高調波に対し±15Hzの幅を設ける。図12に示すように、共振周波数frを中心として、離れた周波数±fΔまでは拡大倍数が大きくなるため、±15Hzの幅で共振領域を設けることが必要とされる。
例えば、60Hzの系統において、図10の電源に含まれる第5次高調波電圧をV5とし、静電容量Cの端子電圧をVcとすると、(式5)で表される共振周波数frが180Hz近傍の場合には、端子電圧Vcは拡大され、Vc/V5は数倍から数十倍になる。このように拡大倍数は数倍から数十倍になるため、図12に示すように、fr±fΔの範囲を共振領域として考えることが必要とされる。
実系統において±fΔは、経験的に±15Hz程度である。すなわち、第5次高調波に対しては、300±15=315〜285Hzを、第3次高調波に対しては、180±15=195〜165Hzを共振領域とする必要がある。
また、「共振領域の下限周波数」とはfr−fΔを指す。例えば、第5次高調波に対しては、300−15=285Hzが、第3次高調波に対しては、180−15=165Hzが、「共振領域の下限周波数」となる。
同様に、「共振領域の上限周波数」とはfr+fΔを指す。例えば、第5次高調波に対しては、300+15=315Hzが、第3次高調波に対しては、180+15=195Hzが、「共振領域の上限周波数」となる。
図11において、共振領域は、fr±fΔ=fr±15Hzの範囲である300±15Hzおよび180±15Hz、基本波の60±15Hzである。
前述の(系統条件1)の場合、各定数は次の値になる。以降、この定数を(定数1)と呼ぶ。電力ケーブルのインダクタンスは周波数特性があるので、180Hz近傍の値および商用周波での値を示す。
(定数1) ・・・ (系統条件1)における系統定数、1回線の場合
L0:(式1)で求める高調波領域でのインダクタンス合成値 ・・・ 35.04mH
LG: 電源系統のインダクタンス ・・・ 66kV換算 1.21mH
LTR: 第1の変圧器の漏れインダクタンス ・・・ 17.33mH
Lc: 電力ケーブルのインダクタンス
・・・ 高調波領域にて33.0mH、0.330mH/km
商用周波領域にて39.6mH、0.396mH/km
Cc: ケーブルの静電容量 ・・・ 20.10μF、0.201μF/km
上記の定数を上記の(式1)〜(式4)に代入することにより、または、電子計算機で解析することにより、ケース(A)〜(D)の共振周波数は(式8)のとおりとなる。
Figure 0006786423
従来の送電システムにおいて、変圧器の短絡インピーダンス、すなわち漏れインダクタンスLTRを変化させた場合の共振周波数を求めた結果を図13に示す。横軸は、変圧器の漏れインダクタンスLTRを示しており、変圧器定格容量100MVA・定格電圧66kV基準とした115.5mHを100%として示した。図13は、%にて表示されており、変圧器%Z、すなわち、変圧器短絡インピーダンスに換算したことと同じとなる。
ケース(A)の共振周波数の変化を破線で示す。太線が中央値であり、上下10%の位置に細い破線で共振周波数の変化幅を示した。幅は、前記の(系統条件1)の(15)に示した理由による。第1の変圧器5の%Zが、標準値15%において第3次高調波に共振し、また、31%まで変化させても共振状態を脱することはできないことを示している。
ケース(B)では、1点鎖線で示したように16%において、ケース(C)では、2点鎖線で示したように65%において、ケース(D)では、実線で示したように32%まで共振を脱することはできない。4つのケースとも運転状態となりうるので、いずれも共振してはならない。以上の結果から、100kmの長距離ケーブル系統では、第1の変圧器5の%Zをどのような値にしても、共振は回避できないことが分かる。
図13は、定数の変動を考慮すると、標準の変圧器%Zである15%では、4つの回路構成とも第3次高調波共振領域に入ることを示している。従って、標準%Zは、採用することができない。
変圧器の短絡インピーダンスは、15%程度がコスト的に有利である。変圧器の短絡インピーダンス5%〜65%に対する共振周波数の関係が、図13に示されている。変圧器の短絡インピーダンスの最大値を65%とした理由は、次のとおりである。
前記(定数1)のL=1.21mHとLc=39.6mHとの合計値40.81mHは、100MVA・66kV基準の100%インダクタンス115.5mHに対し35%である。従って、変圧器%Zは65%以下でなければならない。変圧器%Zを65%にすると、系統の他のインダクタンスとの合計が100%になる。従って、変圧器容量と同じ100MVAの送電をしたときには、変圧器と他の合計インダクタンスとで100%の電圧降下が発生し、送電ができなくなる。このため変圧器の短絡インピーダンスの最大値を限界値である65%とした。
図13には、変圧器の%Zのゼロ近傍において、ケース(A)〜(D)のすべてが、第3次高調波に共振することが示されている。また、変圧器の%Zが大きくなるにつれ(式2)に従って共振周波数は低下していくが、送電限界となる65%でも、ケース(C)では第3次高調波に共振したままであり、共振を回避できないことが示されている。
前述のとおり、(系統条件1)のような100km程度の長距離ケーブル系統において、従来の送電システムの第1の変圧器5の漏れインダクタンスの大きさを変える方法では、共振を回避することはできない。
次に、高調波共振は、ケーブル長が100kmの場合に限らないことを図14を用いて説明する。ケーブル長が10〜100kmの場合における、回路構成と共振周波数の関係を図14に示す。ケーブル長以外の系統条件は、(系統条件1)と同じである。同じケーブル長でも回路構成によって共振周波数は異なるので、幅を持った曲線群となる。
図示しないが、系統定数の変動による共振周波数の変化を考えると、幅はさらに広くなる。図14のとおり、10km近傍では第9次および第13次の奇数次高調波に共振し、ケーブルが長くなるに従って共振する次数は低くなっている。系統には、第9次・第11次・第13次の高調波も存在するので、ケーブルが10km程度の場合、高次の高調波共振が問題になる可能性がある。
交流送電に代わって長距離ケーブル送電を実現する方法として、直流送電がある。しかし、直流送電は、コストが高い。また、所要スペースが大きくなり、建設期間も長くなるという問題点がある。
本実施形態は、100km程度の交流長距離ケーブル送電における高調波共振を回避するとともに、直流送電方式に比べローコストな送電システムを提供することを目的とする。
本実施形態の送電システムは、次のような構成を有することを特徴とする。
(1)以下を有する複数の共振回避ユニット。
(1−1)電源高圧を低圧に変換する第1の変圧器。
(1−2)前記第1の変圧器の低圧側に直列に接続された直列リアクトル。
(1−3)前記直列リアクトルに直列に接続された電力ケーブル。
(2)複数の前記共振回避ユニットは、以下の特徴を有する。
(2−1)複数の前記共振回避ユニットの前記直列リアクトルは、前記電源系統の第3次高調波、第5次高調波および第7次高調波との共振を避けたインダクタンス値に設定される。
(2−2)複数の前記共振回避ユニットは、前記第1の変圧器と前記直列リアクトルの接続点および前記直列リアクトルと前記電力ケーブルの接続点で、相互に電気的に接続されない。
(2−3)複数の前記共振回避ユニットにより、電源供給側の電源と負荷側に設置された第2の変圧器が接続される。
第1実施形態にかかる送電システムを示す図 第1実施形態にかかる送電システムの共振回避ユニットを示す図 従来の交流2回線送電方式の送電システムを示す図 従来の交流2回線送電方式の送電システムにおける回路構成の種類を示す図 高調波共振に関する主要な電気的要素を表した等価回路を示す図 ケース(A)の共振に関する等価回路を示す図 ケース(B)の共振に関する等価回路を示す図 ケース(C)の共振に関する等価回路を示す図 ケース(D)の共振に関する等価回路を示す図 ケース(A)〜(D)の簡略化した等価回路を示す図 (系統条件1)を有する送電システムの系統の共振周波数を示す図 共振領域の幅を示す図 1の変圧器の短絡インピーダンスを変化させた場合の回路構成ごとの共振周波数を示す図 ケーブル長が10〜100kmの場合の回路構成と共振周波数の関係を示す図 第1実施形態における回路構成の種類を示す結線図 第1実施形態におけるケース(X)の等価回路を示す図 第1実施形態におけるケース(X)の簡略化した等価回路を示す図 第1実施形態におけるケース(X)のさらに簡略化した等価回路を示す図 第1実施形態におけるケース(Y)の簡略化した等価回路を示す図 第1実施形態におけるケース(Y)のさらに簡略化した等価回路を示す図 第1実施形態において3回線とした場合の変形例を示す図 第1実施形態においてケーブル長が100kmの場合の直列リアクトルと共振周波数の関係を示す図 第1実施形態においてケーブル長が50kmの場合の直列リアクトルと共振周波数の関係を示す図 第2実施形態にかかる送電システムを示す図 第2実施形態にかかる送電システムの共振回避ユニットを示す図 第2実施形態にかかる送電システムの等価回路を示す図 第2実施形態において3回線とした場合の変形例を示す図 第3実施形態にかかる送電システムを示す図 第3実施形態にかかる送電システムの共振回避ユニットを示す図 第3実施形態においてケーブル1回線が停止した場合の等価回路を示す図 第3実施形態においてケーブル1回線が停止した場合の配電用変電所母線の有無と共振周波数の関係を示す図 第4実施形態にかかる送電システムを示す図 第4実施形態において共振回避ユニットの設備が停止した場合の運転状態を示す図 他の実施形態にかかるタップ付き直列リアクトルを示す図 他の実施形態にかかるケーブルの電源側に架空送電線が設けられた送電システムを示す図 他の実施形態にかかるケーブルの負荷側に架空送電線が設けられた送電システムを示す図
[第1実施形態]
[1.構成]
図1を参照して本実施形態の一例としての送電システムについて説明する。なお、本実施形態において、同一構成の装置や部材が複数ある場合にはそれらについて同一の番号を付して説明を行い、また、同一構成の個々の装置や部材についてそれぞれを説明する場合に、共通する番号にアルファベットの添え字を付けることで区別する。
第1実施形態の送電システムは、電源1、第2の変圧器10、複数の共振回避ユニット12を有し、共振回避ユニット12は、第1の変圧器5、直列リアクトル11、電力ケーブル7を有する。
電源1は、火力、水力、原子力発電機の他、自然エネルギー発電システムにより構成される。それに加えて、図示していないが、高調波発生源となる負荷も接続される。電源1は、電源1に接続された共振回避ユニット12aおよび12bに電力を供給する。電源1は、発電所に配置される。
共振回避ユニット12は、直列接続された第1の変圧器5、直列リアクトル11、電力ケーブル7により構成される。共振回避ユニット12aおよび12bは、電源1に並列に接続され、第2の変圧器10に電力を供給する。共振回避ユニット12aおよび12bは、第1の変圧器5と直列リアクトル11の接続点および直列リアクトル11と電力ケーブル7の接続点で、相互に電気的に接続されない。
第1の変圧器5は、高圧電力を低圧電力に変換する変圧器である。第1の変圧器5は、高圧側が電源1に、低圧側が直列リアクトル11に接続される。第1の変圧器5は、電源1からの高圧電力を変換し、直列リアクトル11に低圧電力を供給する。第1の変圧器5は、変電所に配置される。
直列リアクトル11は、電源1から供給される電力の高調波と共振回避ユニット12との共振を避けるようなインダクタンス値を有するリアクトルである。直列リアクトル11は、一端を第1の変圧器5に、他端を電力ケーブル7に接続される。直列リアクトル11は、第1の変圧器5からの電力を、電力ケーブル7に供給する。直列リアクトル11は、変電所に配置される。
直列リアクトル11のインダクタンス値は、電源1の電源周波数の第3次高調波および第5次高調波との共振を避けた値に設定される。直列リアクトル11のインダクタンス値は、電源1の電源周波数の第3次高調波の周波数余裕度および予め設定された共振周波数の変化幅を含めて算出された第1の値と、電源1の電源周波数の第5次高調波の周波数余裕度および予め設定された共振周波数の変化幅を含めて算出された第2の値との間の値に設定される。
以下の説明では、第3次高調波および第5次高調波との共振を避けた直列リアクトル11のインダクタンスの設定方法について説明するが、第5次高調波および第7次高調波との共振を避けた直列リアクトル11のインダクタンスの設定も同様の方法で実施できる。具体的には「第3次」を「第5次」に、また、「第5次」を「第7次」に読み換えればよい。
直列リアクトル11のインダクタンス値は、第1の値、第2の値に優先して、共振回避ユニット12における電圧降下が、送電可能な予め定められた電圧内となる第3の値を満足する値に設定される。
電力ケーブル7は、10km〜200kmの長さを有する電力供給用のケーブルである。電力ケーブル7は、一端を直列リアクトル11に、他端を第2の変圧器10に接続される。電力ケーブル7は、直列リアクトル11からの電力を、第2の変圧器10に供給する。電力ケーブル7は、長距離の電力供給を行うため、例えば変電所と離島の間に配置される。
第2の変圧器10は、供給された電力を負荷用の電力に変換する変圧器である。第2の変圧器10は、高圧側が電力ケーブル7に、低圧側が負荷(図中不示)に接続される。第2の変圧器10は、電力ケーブル7からの電力を変換し、負荷に低圧電力を供給する。第2の変圧器10は、離島等の遠隔地に配置される。
[1−2.作用]
[1−2−1.送電システム全体の作用]
本送電システムにおいて、電源1からの電力は、電源送電線2を介し第1の変電所3に送電される。第1の変電所3に送電された電力は、高圧側母線4の電圧が、第1の変圧器5により送電に適した電圧に降圧される。第1の変圧器5は、2台以上である。
第1の変圧器5の低圧側は、低圧側母線で接続されず、独立である。なお、従来の変電所では、図3に示すように低圧側母線6で接続されるが、本実施形態では、第1の変圧器5の低圧側は、低圧側母線で接続されない。
それぞれの第1の変圧器5a,5bの低圧側に、高調波共振を回避する特性を持たせた直列リアクトル11a,11bが接続される。直列リアクトル11a,11bは、相互に電気的に接続されず、独立である。直列リアクトル11a,11bは、それぞれ電力ケーブル7a,7bに接続される。電力ケーブル7a,7bは、相互に電気的に接続されず、独立である。電力ケーブル7a,7bは、長距離の電力ケーブルであり、離島への送電を行う。
離島側では、電力ケーブル7は第2の変電所8の母線9に接続され、電力は一括にて複数台の第2の変圧器10により分配され、低圧側負荷へと送電される。遮断器・断路器または他の開閉装置は、本実施形態では省略して記載されているが、必要に応じて設けられる。
1台の変圧器5と1台の共振回避用の直列リアクトル11と1回線の長距離電力ケーブル7が直列に接続され共振回避ユニット12を構成する。図2に示すように、共振回避ユニット12は、変圧器5、直列リアクトル11、長距離電力ケーブル7を有する。直列に接続された変圧器5、直列リアクトル11および長距離電力ケーブル7のひと揃えを、本実施形態では、共振回避ユニット12と呼ぶ。なお、共振回避ユニット12は、1つの装置または機器として構成されてはいない。変圧器5、直列リアクトル11および電力ケーブル7が、電気的に分岐せずに直列に接続された状態を共振回避ユニット12と総称する。
[1−2−2.直列リアクトル11の特性]
直列リアクトル11は、高調波共振を回避するため、下記(式9)または(式10)のいずれかの特性を有する。
Figure 0006786423
Figure 0006786423
なお、(式9)、(式10)は第3次高調波と第5次高調波との共振回避方法に関する計算式を示しているが、前述したとおり、第5次高調波と第7次高調波との共振を回避するためには、(式9)中および(式10)中の添え字のうち3は5に、また、5は7に読み換えることで可能となる。
各記号は、以下を表す。
: 直列リアクトル11のインダクタンス
S−max: 電圧降下の面から送電限界となる直列リアクトル11のインダクタンス
TR: 第1の変圧器5の漏れインダクタンス
: 電源系統のインダクタンス
: 電力ケーブル7のインダクタンス
: 電力ケーブル7の静電容量
k: 系統定数の誤差や変動があるため考慮すべき共振周波数の変化幅。%で表す。
: 第3次高調波周波数
Δ3: 第3次高調波に対して共振が発生しないための周波数余裕度(例:15Hz)
: 第5次高調波周波数
Δ5: 第5次高調波に対して共振が発生しないための周波数余裕度(例:15Hz)
(式9)は、直列リアクトル11のインダクタンスが電圧降下を引き起こし送電限界になる場合に適用される。(式10)は、直列リアクトル11による電圧降下が送電限界に達しない場合に適用される。(式9)により請求項中の第3の値が、(式10)により請求項中の第1の値および第2の値が、算出される。
[1−2−3.インダクタンスの%表現の定義]
最初に、直列リアクトル11のインダクタンスLの%表現と変圧器漏れインダクタンスLTRの関係を定義する。直列リアクトル11のインダクタンスLと、それを換算したインピーダンスZLの関係は、(式11)のとおりとなる。なお、抵抗分は十分に小さいので無視することができる。
Figure 0006786423
直列リアクトル11のインダクタンスは、単位をmHだけでなく、第1の変圧器5の漏れインダクタンスと同様に%でも表すこととする。このようにすることにより、変圧器5と同様に電圧降下を知るにあたり便利であるとともに変圧器の%Zと直接的に比較でき便利である。直列リアクトル11のインダクタンスは、変圧器と同様に容量100MVA、電圧66kV、周波数60Hzに基づき表わされる。すなわち、100%のインダクタンスとは、前述のとおり115.5mHであり、インピーダンスに換算すると43.6Ωである。
従って、mHの単位で表した直列リアクトル11のインダクタンスLを%で表すと(式12)のとおりとなる。
Figure 0006786423
例えば直列リアクトルのインダクタンスLの%値と第1の変圧器の漏れインダクタンスの%値が同じであれば、mHで表したインダクタンス値も同じであることを意味する。
[1−2−4.共振周波数について]
次に、図15〜図17を用いて、第1実施形態における共振周波数について説明する。図15は、本実施形態における第1の変圧器5が2バンクの場合である。本実施形態の送電システムでは、下記の(回路構成の種類2)に示すケース(X)とケース(Y)2つの回路構成が発生する。
(回路構成の種類2)
ケース(X) 全設備が運転されている状態(2B+2L)
ケース(Y) 変圧器1バンクとケーブル1回線が停止した状態(1B+1L)
すなわち、ケース(X)は共振回避ユニットが2組、ケース(Y)は1組の状態である。
前述の図4では4つの回路構成が発生したが、本実施形態では2つの回路構成が発生する。図16にケース(X)の等価回路を、図19にケース(Y)の等価回路を示す。なお、電源系統の対地静電容量、第1の変圧器5の対地静電容量および第2の変圧器10の漏れインダクタンスおよび対地静電容量は、共振現象に関して無視できるので省略する。
次にケース(X)およびケース(Y)の共振周波数frおよびfrを示す。図16に示すケース(X)の共振周波数frは,(式13)のとおりとなる。
Figure 0006786423
(式13)に基づいた等価回路を図17に示す。さらに簡略化した等価回路を図18に示す。
(式13)において、電源のインダクタンスLは、(定数1)のとおり、1.21mHである。この値は、インダクタンスの合成値L=35.04mHに対して約3%である。また、電源のインダクタンスL1.21mHを無視しても、共振周波数は190Hzに対し193Hzであり1.8%の誤差となる。この数値は、(系統条件1)の(15)項で述べた±10%の共振周波数の変化幅に十分包含できる程度の誤差である。
そこで,電源のインダクタンスLを無視し(式13)は(式14)で表すことができる。
Figure 0006786423
ここで、
Figure 0006786423
: インダクタンスの合成値
(式14)の等価回路を図18に示す。
(式14)をさらに簡略化すると(式16)のようになる。
Figure 0006786423
次にケース(Y)の場合の共振周波数frを示す。図19に示すケース(Y)の共振周波数frは,(式17)のとおりとなる。
Figure 0006786423
(式17)に(式15)を代入すると(式18)のようになる。
Figure 0006786423
(式18)の等価回路を図20に示す。
(式16)と(式18)から、ケース(X)とケース(Y)の共振周波数の関係は(式19)のとおりとなる。
Figure 0006786423
(式19)より、ケース(X)とケース(Y)の共振周波数は同一とみなせるので、本実施形態によれば第1の変圧器5が2バンク、長距離の電力ケーブル7が2回線であっても、共振周波数は(式18)による1種類となる。
共振回避ユニット12が1組の場合でも2組並列の場合でも、共振周波数を1種類として直列リアクトル11のインダクタンス値を算出することができる。図21に共振回避ユニット12を3組、すなわち3回線送電とした場合の単線結線図を示す。共振回避ユニットを12a、12b、12cの3組とした場合も、共振周波数を1種類として直列リアクトル11のインダクタンス値を算出することができる。回線数を増減しても、共振周波数を1種類として直列リアクトル11のインダクタンス値を算出することができる。
[1−2−5.インダクタンス値LSの決定方法]
次に直列リアクトル11のインダクタンス値Lの決定方法を説明する。直列リアクトル11のインダクタンスが電圧降下を引き起こし送電限界に達する場合と、直列リアクトル11による電圧降下が送電限界に達しない場合とでは、直列リアクトル11のインダクタンス値Lの算出方法は、異なる。以下に上記の場合ごとの算出方法を説明する。
[1−2−5A.直列リアクトル11のインダクタンスが電圧降下を引き起こし送電限界になる場合]
直列リアクトル11のインダクタンスが電圧降下を引き起こし送電限界になる場合、(式9)によりLSが決定される。(式9)を再掲する。
Figure 0006786423
前述のとおり従来の送電システム技術について(系統条件1)に基づき説明を行った。系統条件を(系統条件2)とし、インダクタンスの決定方法について説明する。
(系統条件2)
(1)系統の結線: 単線結線、結線図を図1に示す。
(14)第1の変圧器のバンク数とケーブル回線数の組合せ: 2ケース、図15に2ケースを示す。
(16)直列リアクトルのインダクタンス: 0%から送電限界となる数十%まで変化させる。
上記の条件以外は、(系統条件1)と同じとする。条件(16)が新たに追加される。
上記の(系統条件2)において、前記(定数1)を(式18)に代入することにより、または電子計算機により解析することにより図22の曲線1が得られる。図22を用い、本実施形態における直列リアクトル11のインダクタンス値LSと共振周波数Yfrの関係を説明する。
(式18)は、Lとケース(Y)における共振周波数frの関係を示し、図22における曲線1のようになる。Lが0%の場合、この系統の共振周波数は点Q3の位置となり、第3次高調波の共振領域に入る。
((式9)左辺について)
次に、第3次高調波を回避するための(式9)左辺の直列リアクトル11のインダクタンス値Lの作用と決定方法を説明する。(式9)右辺については後述する。
図12に示す共振領域から外すため、ケース(Y)における共振周波数frを第3次高調波よりもfΔ3だけ低い側に離す。fΔ3は、15Hz程度とする。これを数式で表すと(式20)のとおりとなる。
Figure 0006786423
(式18)からLSを求めると(式21)のとおりとなる。
Figure 0006786423
(式20)を(式21)に代入し、LSは(式22)のとおりとなる。
Figure 0006786423
S3−Δ:系統の共振周波数を第3次高調波から周波数余裕度fΔ3以上低いほうに離すための直列リアクトルのインダクタンス
系統定数は、(系統条件1)の(15)で説明したように変化幅があるため、解析または計算で求めた共振周波数に±10%の変化幅を見込むこととした。図22の曲線1は、解析または計算で求めたLと共振周波数frの関係を示す。曲線2は共振周波数が+10%変化した場合であり曲線3は−10%変化した場合である。ここで、この変化幅を一般化して±k%と表し、±k%の共振周波数の変化を考慮した、直列リアクトル11のインダクタンスLSを求める。
曲線2において、第3次高調波に共振しないためには、第3次高調波からfΔ3以上離し、さらに定数の変動による共振周波数変化分の+k%を見込む必要がある。従って図中の点P2より大きなLとする必要がある。点P2における共振周波数をfP2とすると、fP2fr、f、fΔ3、kの関係は、(式23)のとおりとなる。
Figure 0006786423
k:系統定数の誤差や変動があるため考慮すべき共振周波数の変化幅(%)
従って、(式23)からfrを求めると(式24)となる。
Figure 0006786423
(式24)を(式21)に代入し、回路の共振周波数を第3次高調波共振から周波数余裕度fΔ3以上離し、かつ周波数に+k%の余裕を持たせたLを求めることができる。すなわち、Lは(式25)で表される。これが(式9)左辺のLとなる。
Figure 0006786423
S3−Δ+k:回路の共振周波数を第3次高調波共振から周波数余裕度fΔ3以上離し、かつ周波数に+k%の余裕を持たせた直列リアクトルのインダクタンス
前述のとおり図22は、系統定数を(定数1)として、Lと共振周波数の関係を求めたものである。曲線1はk%=0%の場合、曲線2は+k%=+10%の場合、曲線3は−k%=−10%の場合である。fΔ3=15Hzとすると(式25)の最小値は、点P2のLSであり、共振を避けるために、Lは点P2の値よりも大きくなければならない。図22から、LSの最小値は、17%である。すなわち、Lは、(式26)のとおりとなる。
Figure 0006786423
このように直列リアクトル11のインダクタンスLを17%以上とすることにより、第3次高調波共振を回避することができる。
以上が共振を回避するための(式9)左辺のLの作用とその決定方法である。
((式9)右辺について)
次に(式9)右辺のLの作用とその決定方法を説明する。
(式9)右辺のLは、送電不可能となる電圧降下をもたらすインダクタンスの大きさで決まる。送電不可能となる電圧降下は、直列リアクトルのインダクタンスが大きくなった場合に発生する。すなわち、直列リアクトルのインダクタンスが大きくなり系統のインダクタンスの和が100%を超えた場合、定格負荷である100%負荷電力を送電しても、電圧降下が100%を超え、負荷に電圧がかからなくなる。これが送電限界のインダクタンスである。
実運用ではインダクタンスの和が100%以下でも電圧変動面の制約から系統運用が困難になるが、電圧降下が100%になるインダクタンス値をもって限界値と定義する。このインダクタンスをLS−maxと表す。前述の(系統条件2)の系統では、変圧器と直列リアクトルのインダクタンスを除いた系統のインダクタンスは、35%である。従って、直列リアクトルのインダクタンスLSの上限LS−maxは、65%から変圧器漏れインダクタンス15%を差し引いた50%である。
ここで、35%とは、100MVA・66kV基準の100%インダクタンス115.5mHに対する前記(定数1)のL=1.21mHとLc=39.6mHの合計値40.8mHの比率である。
LSとLS−maxの関係を一般式で表すと(式27)となり、(系統条件2)では(式28)のとおりとなる。
Figure 0006786423
Figure 0006786423
(式27)が(式9)の右辺である。
従って、LSの値は(式26)・(式28)から(式29)のとおりとなる。
Figure 0006786423
このように直列リアクトル11のインダクタンスLを17%以上、50%以下とすることにより、第3次高調波共振を回避することができ、かつ100%負荷を送電することが可能となる。
また、一般式は、(式25)と(式27)から前記の(式9)のとおりとなる。
Figure 0006786423
以上が、電圧降下の面から直列リアクトルのインダクタンス値が制限される場合である(式9)の説明である。
[1−2−5B.直列リアクトル11のインダクタンスが電圧降下を引き起こさず送電限界にならない場合]
次に直列リアクトル11のインダクタンスが電圧降下を引き起こさず送電限界にならない場合の(式10)について説明する。(式10)を再掲する。
Figure 0006786423
(系統条件2)では条件(11)に示したとおり長距離ケーブルの長さが、100kmである。この場合、ケーブルが長いため、合計インダクタンスが大きくなり、直列リアクトルのインダクタンスは、電圧降下による制限を受ける。ところが、ケーブル長が短い場合、電圧降下による制限を受けない。そこで、ケーブル長が50kmの場合について説明する。
この場合、直列リアクトルのインダクタンスLは、電圧降下によって送電限界となるインダクタンスではなく,第3次高調波共振領域と第5次高調波共振領域との2つの共振領域を外すためのインダクタンスとなる。この場合の系統条件を(系統条件3)とし、インダクタンスの決定方法について説明する。
(系統条件3)
(11)長距離ケーブルの長さ: 50km
上記以外の項目は,(系統条件2)と同じとする。
図23に基づき、(式10)左辺に示した直列リアクトルのインダクタンスLSの作用と決定方法を説明する。(式10)右辺については後述する。
(系統条件3)の場合、各定数は次の値になる。これを(定数2)と総称する。
(定数2) ・・・ (系統条件3)における系統定数
L0:(式1)で求める高調波領域のインダクタンスの合成値・・・ 26.79mH
LG:電源系統のインダクタンス ・・・ 66kV換算 1.21mH
LTR:第1の変圧器5の漏れインダクタンス ・・・ 17.33mH
Lc:電力ケーブル7のインダクタンス
・・・ 高調波領域にて16.5mH,0.330mH/km
商用周波領域にて19.8mH,0.396mH/km
Cc: ケーブルの静電容量 ・・・ 10.05μF,0.201μF/km
回路構成は、図15に示すケース(X)とケース(Y)の2とおりである。共振周波数frおよびfrは、それぞれ(式13)および(式17)で表される。式中の電源系統のインダクタンスLは、1.21mHである。この値は、共振周波数に影響するインダクタンスの合成値L=26.79mHに対し4.5%と小さく、無視することができる。仮に、式中の電源系統のインダクタンスLをゼロとしても、共振周波数は2.3%の誤差にとどまる。電源系統のインダクタンスLを無視せずにfrとfrを求めた場合、184Hzと187Hzになり、その差は1.7%にすぎない。この数値は、(系統条件1)の(15)項で述べた±10%の共振周波数の変化幅に十分包含できる程度の誤差である。
すなわち、電源のインダクタンスLは無視可能であり、共振周波数XfrおよびYfrは、等しいとみなすことができる。また、共振周波数の高いケース(Y)に対し共振を回避するための直列リアクトルのインダクタンス値を決定するようにすれば、ケース(X)に対し、よりマージンを稼げる方向となる。
このように、(系統条件3)においても、本実施形態によれば共振周波数は(式18)による1種類となる。
((式10)左辺について)
次に、第5次高調波を回避するための(式10)左辺の直列リアクトル11のインダクタンス値LSの作用と決定方法を説明する。
図23に示す共振領域から外すため、ケース(Y)における共振周波数frを第5次高調波よりもfΔ5だけ低い側に離す。fΔ5は、15Hz程度とする。これを数式で表すと(式30)のとおりとなる。なお、前述の(式20)では第3次高調波を対象にしたが、(式30)では第5次高調波を対象としている点が異なる。
Figure 0006786423
(式30)を(式21)に代入し、LS5−Δは、(式31)のとおりとなる。
Figure 0006786423
系統定数は、変化幅があるため、解析または計算で求めた共振周波数に±10%の変化幅を見込むこととした。前記(式9)の説明と同様に、この変化幅を一般化して±k%と表し、±k%の共振周波数の変化を考慮したLSを求める。
図23の曲線1は、解析または計算で求めた直列リアクトル11のインダクタンスLSと共振周波数Yfrの関係を表す。曲線2は共振周波数が+10%変化した場合であり、曲線3は−10%変化した場合である。ここで、この変化幅を一般化して±k%と表し、±k%の共振周波数の変化を考慮した、直列リアクトル11のインダクタンスLSを求める。
曲線2において、第5次高調波に共振しないためには、第5次高調波からfΔ5以上離し、さらに定数の変動による共振周波数変化分の+k%を見込む必要がある。従って図中の点P22より大きなLSとする必要がある。点P22における共振周波数をfP22とすると、fP22fr、f、fΔ5、kの関係は、(式32)のとおりとなる。
Figure 0006786423
従って、(式32)からfrを求めると(式33)となる。
Figure 0006786423
(式33)を(式21)に代入し、回路の共振周波数を第5次高調波共振から周波数余裕度fΔ5以上離し、かつ周波数に+k%の余裕を持たせた直列リアクトルのインダクタンスLS5−Δ+kを(式34)によって求めることができる。これが(式10)左辺のインダクタンス値となる。
Figure 0006786423
前述のとおり図23は、系統定数を(系統条件3)として、直列リアクトルのインダクタンスLと共振周波数frの関係を求めたものである。曲線1はk%=0%の場合、曲線2は+k%=+10%の場合、曲線3は−k%=−10%の場合である。fΔ5=15Hzとすると(式34)の最小値は,点P22の直列リアクトル11のインダクタンスLであり、共振を避けるためには,直列リアクトル11のインダクタンスLは、点P22の値よりも大きくなければならない。図23から、直列リアクトル11のインダクタンスLの最小値は、11%である。すなわち、LS5−Δ+kは,(式35)のとおりとなる。
Figure 0006786423
このように直列リアクトル11のインダクタンスLを11%以上とすることにより、第5次高調波共振を回避することができる。
以上が共振を回避するための(式10)左辺のLSの作用および決定方法である。
((式10)右辺について)
次に(式10)右辺のLの作用および決定方法を説明する。
図23において、ケース(Y)の場合も共振領域を回避するため、共振周波数frを第3次高調波よりも周波数余裕度fΔ3以上高周波側に離間することが必要とされる。frは(式36)に示す通りとなる。
Figure 0006786423
(式36)を(式21)に代入すると、LS3+Δは、(式37)のとおりとなる。
Figure 0006786423
(系統条件1)と同様に(系統条件3)の系統定数は、変化幅がある。従って、解析または計算で求めた共振周波数に±10%の変化幅を見込むこととした。変化幅を一般化し、±k%と表す。次に変化幅±k%を考慮した、直列リアクトルのインダクタンスLを求める。
図23において、曲線1は、解析または計算で求めた変圧器インピーダンスと共振周波数frの関係を示す。曲線2は、共振周波数が変化幅+10%で高周波側に変化した場合、曲線3は、変化幅−10%で低周波側に変化した場合を示す。ここでは,この変化幅を一般化し、±k%と表し、±k%の共振周波数の変化幅を考慮した場合の直列リアクトルのインダクタンスLSを求める。
曲線3において、第3次高調波に共振しないためには、第3次高調波から周波数余裕度fΔ3以上離し、定数変化分の変化幅−k%を見込む必要があるので、点P32より小さなLSとする必要がある。点P32における共振周波数をfP32とすると、fP32fr、f、fΔ3、kの関係は,(式38)のとおりとなる。
Figure 0006786423
(式38)からfrは(式39)のとおりとなる。
Figure 0006786423
(式39)を(式21)に代入することで、回路の共振周波数を第3次高調波から周波数余裕度fΔ3以上離し、かつ、周波数に変化幅k%の余裕を持たせた直列リアクトルのインダクタンスLS3+Δ−kを(式40)によって求めることができる。これが(式10)右辺のLSである。
Figure 0006786423
前述のとおり図23は、系統定数を(系統条件3)のとおりとして、直列リアクトル11のインダクタンスLと共振周波数frの関係を示したものである。曲線1はk%=0%の場合、曲線2は+k%=+10%の場合、曲線3は−k%=−10%の場合を示す。周波数余裕度fΔ5=15Hzとした場合、共振を避けるために、(式40)の最大値である直列リアクトル11のインダクタンスは、点P32の値よりも小さくなければならない。
図23に基づき、直列リアクトル11のインダクタンスの最大値は、23%である。すなわち、LS3+Δ−kは,(式41)のとおりとなる。
Figure 0006786423
(系統条件3)における高調波共振を回避するための直列リアクトルのインダクタンス値LSは、(式35)と(式41)に基づき(式42)のとおりとなる。
Figure 0006786423
このように、直列リアクトル11のインダクタンスLを11%以上、23%以下とし、第5次および第3次高調波共振を回避する。
LSの一般式として、(式34)と(式40)に基づき、(式10)が得られる。
Figure 0006786423
(式10)のLは,電圧降下の面から制限を受けない場合の一般式である。
[1−2−6.第1実施形態の作用のまとめ]
以上説明したとおり、送電システムの構成を図1の系統構成とし、直列リアクトル11のインダクタンスを(式9)または(式10)のとおりとし、高調波共振を回避する。また、長距離ケーブルによる送電が可能な電圧降下範囲内の直列リアクトル11のインダクタンスを選択する。前述の(式19)のとおり、共振回避ユニットが複数組並列に接続されても、共振周波数はほぼ変わらない。従って、送電容量を増加させる目的や系統の信頼性を向上させる目的でユニット数を任意に増加させることができる。
[1−3.効果]
(1)本実施形態によれば、高調波共振を回避することができ、かつ、直列リアクトル11のインダクタンスを小さくできる。
(2)本実施形態によれば、所望の負荷に送電した場合に、送電可能な電圧降下にとどめることができる。その結果、従来よりも長距離、すなわち100kmに及ぶ交流長距離ケーブル送電を実現できる。
(3)本実施形態によれば、送電システムが、2バンクの変圧器、2回線の長距離ケーブルの場合であっても共振周波数は1種類になり、共振を回避するための直列リアクトルのインダクタンス値は小さいものですむ。従来の送電システムでは、4種類の共振周波数を回避する必要があるため直列リアクトルは大きなインダクタンス値が必要とされた。
従来の一般的な送電システムでは、インダクタンス値は29.0mHとなるところ、本実施形態によれば、約半分の16.0mHにすることができる。このため、本実施形態によれば、従来の一般的な送電システムに比べ、電圧降下も約半分に小さくすることができる。本実施形態によれば、直列リアクトル11の体積も大幅に小さくなり、コストも安くなる。
ケーブル長が、例えば100km程度に長くなった場合、従来の一般的な送電システムでは直列リアクトルのインダクタンス値が大きくなり、送電できなくなるが、本実施形態によれば、インダクタンス値が小さくできるので送電が可能となる。
本実施形態によれば、直流送電と交流送電とを組合せた送電システムに比べ、大幅なコスト低減、スペース削減、建設期間短縮が可能となる。直流送電と交流送電とを組合せた送電システムは、本土と離島の両方に交直変換器が必要とされ、さらに直流送電用の高価な特殊ケーブルが必要とされるが、本実施形態によれば、交直変換器や特殊ケーブルは不必要である。
従来の一般的な送電システムにおいて、変圧器の漏れインダクタンスにより系統の共振周波数を変更する場合には、漏れインダクタンスが大きくなり、変圧器の局部過熱のリスクが大きくなるなどの変圧器の信頼性に影響を与える可能性があった。本実施形態によれば、直列リアクトル11のインダクタンスは、適切な大きさにすることができるので信頼性を損ねることを防ぐことができる。本実施形態によれば、変圧器の漏れインダクタンスを標準的な値とすることができるのでコスト低減が可能で、かつ、信頼性の高いものにすることができる。
本実施形態によれば、送電容量を増加させることや信頼性を向上させるために共振回避ユニット12の数または回線数が増加されても、共振周波数はほぼ変わらないので、共振周波数を1種類として直列リアクトル11のインダクタンス値を算出することができ、容易に共振の回避を行うことができる。
[第2実施形態]
[2−1.構成]
第2実施形態にかかる送電システムについて図24を参照して説明する。なお、この第2実施形態の各部の構成において、図1に示す第1実施形態の送電システムの各部と同一部分は同一符号で示す。
第2実施形態の送電システムは、第1実施形態の送電システムに加え、低圧側母線6a,6b、2つの共振回避ユニット12a,12bに1回線ずつを分散させて接続した2つの架空送電線13a,13b、第3の変電所14を備えている。第3の変電所14は、高圧側母線15、配電用変圧器16a,16bを有する。その他の構成は第1実施形態と同様である。
第2実施形態の送電システムは、第1の変圧器5aと直列リアクトル11aの間に低圧側母線6aが、第1の変圧器5bと直列リアクトル11bの間に低圧側母線6bが接続される。低圧側母線6aと6bは電気的に接続されない。低圧側母線6aは架空送電線13aを介し、低圧側母線6bは架空送電線13bを介し、第3の変電所14に接続される。第3の変電所の高圧側には高圧側母線15が設けられ、架空送電線13a,13bに接続される。高圧側母線15は、並列に設けられた配電用変圧器16a,16bに接続される。配電用変圧器16a,16bは低圧側母線17に接続される。配電用変圧器16a,16bは供給された高圧電力を低圧電力に変換する。
直列リアクトル11の特性、第1実施形態と同様であり、(式9)または(式10)によるインダクタンス値である。
第2実施形態において、共振回避ユニット12a,12bの第1の変圧器5a,5bと直列リアクトル11a,11bとの間に架空送電線13a,13bが接続される。架空送電線13a,13bは、母線6a,6bを介し第1の変圧器5a,5bに接続されてもよいし、母線6a,6bを介さず第1の変圧器5a,5bに直接接続されてもよい。
[2−2.作用]
次に、本実施形態の作用を図24〜26に基づき説明する。対象とする回路構成は、図15のケース(X)および(Y)とする。
図24の等価回路を図26(a)に示す。図26(a)の共振周波数frを求める。共振周波数frは、前述の回路構成のケース(X)と同じとなる。すなわち、下式のとおりとなる。
Figure 0006786423
図中の記号の意味は以下のとおりである。Lは電源系統のインダクタンス、LTRは第1の変圧器5の漏れインダクタンス、Lは直列リアクトル11のインダクタンス、Lcは電力ケーブル7のインダクタンス、Laは架空送電線13のインダクタンス、Lは配電用変圧器16の漏れインダクタンス、Ccは電力ケーブル7の対地静電容量である。
図26(a)を簡略化すると図(b)になる。さらに2つのLTRと1つのLBCによる三角形結線を星形結線のインダクタンスLY1,LY2,LY3に換算すると、図(c)のようになる。
さらに並列回路部分をまとめると、図(d)のようになる。ここで、LBCは,次式で表される。
Figure 0006786423
図26(b)を(c)に変換した場合のインダクタンスLY1,LY2,LY3は次式で表される。
Figure 0006786423
Figure 0006786423
さらに簡略化すると回路は、図(d)のように表すことができ、集約したインダクタンスLは次式で表される。
Figure 0006786423
(式47)に(式45)・(式46)を代入する。
Figure 0006786423
また、長距離ケーブル2回線分を集約した静電容量CZは次式で表される。
Figure 0006786423
(式48)および(式49)に基づき図26の系統の共振周波数frは,次式のとおりとなる。
Figure 0006786423
(式50)は、前述の回路構成のケース(X)の共振周波数Xfrと同じである。共振周波数Xfrは、(式13)で表される。すなわち、(式43)が成り立つ。以上のとおり、本実施形態による図24の回路構成の共振周波数Zfrは、架空送電線13a,13bが接続されても、実施形態1のケース(X)の共振周波数Xfrと同じとなる。共振周波数Xfrは、ケース(Y)の共振周波数Yfrともほぼ同一である。
仮に図24の低圧側母線6a,6bが接続された場合、図4で説明したケース(B)およびケース(C)の回路が構成される。従って、出現する共振周波数の種類が図13のように多様化し、共振を回避することが難しくなる。
架空送電線を設ける場合、図25(a)に示すように共振回避ユニット12の第1の変圧器5と直列リアクトル11の間に架空送電線13を接続することにより共振周波数を1種類にすることができ、容易に共振を回避することができる。なお、図25(b)のように共振回避ユニット12の直列リアクトル11と電力ケーブル7の間に架空送電線13を接続することも考えられるが、その場合、架空送電線18は直列リアクトル11による電圧変動の影響を受けるため、得策ではない。
図24では低圧側母線6aまたは6bに接続された架空送電線は、13aまたは13bの各1回線のみであったが、架空送電線は、図27に示すように複数回線であってもよい。共振回避ユニット12が複数の架空送電線により第3の変電所14a、第4の変電所14b、第5の変電所14cに接続されても、共振周波数frは(式50)のとおりとなり、(式43)が成り立つ。
[2−3.効果]
本実施形態によれば、第1実施形態に加え以下の効果がある。
(1)本実施形態によれば、長距離の電力ケーブル7の系統に加え、複数の架空送電線13を接続することができる。共振周波数は、複数の架空送電線13が接続された場合でも、複数の架空送電線13が接続されない場合と同様であり1種類である。従って、共振回避ユニット12の直列リアクトル11は、複数の架空送電線13が接続された場合と、接続されない場合と同じ定数とすることができる。後発的に複数の架空送電線13が接続された場合であっても共振回避ユニット12の直列リアクトル11の定数変更は必要とされない。
(2)共振を回避するため直列リアクトル11は、比較的大きなインダクタンス値となる。従って、直列リアクトル11に進み電流が流れた場合には電圧上昇が発生する。また重負荷時には直列リアクトル11において、大きな電圧低下が発生する。本実施形態によれば、直列リアクトルより電源側に架空送電線13が接続されるので、直列リアクトル11による電圧変動の影響が、架空送電線13には表れない。従って、架空送電線13における電圧変動を抑えることができる。
(3)また、直列リアクトル11による電圧変動の影響が、架空送電線13には表れないので、架空送電線13が接続されている既設の変電所14に長距離ケーブル送電用の回線を増設することが容易になる。新たな変電所を建設することなく、既設変電所のケーブル回線の増設によって数十km以上に及ぶ長距離ケーブル送電を実現することができる。
(4)従来の送電システムでは共振回避のため、変圧器の%Zを大きくする手段がとられる場合があるが、この場合架空送電線の電圧変動も大きくなるという欠点があった。本実施形態によれば、共振回避は直列リアクトル11のインダクタンスによって行われ、変圧器5と直列リアクトル11の間に架空送電線13が接続されるので、電圧変動を小さく抑えることができる。
[第3実施形態]
[3−1.構成]
第3実施形態にかかる送電システムについて図28を参照して説明する。なお、この第3実施形態の各部の構成において、図24に示す第2実施形態の送電システムの各部と同一部分は同一符号で示す。
図24に示す第2実施形態にかかる送電システムでは、第3の変電所14の高圧側に、高圧側母線15が設けられていたのに対し、図28に示す第3実施形態にかかる送電システムでは、第3の変電所14の高圧側に、高圧側母線15が設けられない点が相違する。第3実施形態の送電システムにおいて、配電用変圧器16a,16bは、架空送電線13a,13bにそれぞれ直列に接続される。その他の構成は第2実施形態と同様である。
直列リアクトル11の特性は、第2実施形態と同様であり、(式9)または(式10)によるインダクタンス値である。
[3−2.作用]
次に、本実施形態の作用を図28〜31に基づき説明する。図29(a)において電力ケーブル7の1回線、例えば7bが停止した場合には、等価回路は、図30(a)に示すようになる。
第2実施形態では、ケーブル7bに対応する第1の変圧器5bも停止させて、回路構成をバンク数1およびケーブル数1の状態である図15のケース(Y)の状態にした。しかしながらこの回路構成は、第3の変電所14から見ると、電源側にある変圧器5a,5bが2台から1台に減少し、信頼性が低下していることになる。
電力ケーブル7の1回線が停止した場合であっても、変圧器5a,5bの2台が稼働することが望ましい。第3実施形態によれば、第3の変電所14の高圧側に高圧側母線15が設けられないので変圧器5a,5bの2台を稼働状態とする。
本実施形態における、共振の回避について図30、図31を用いて説明する。図28に示す本実施形態の等価回路を図30(a)に示す。ここで図30(a)の共振周波数ZZfrは、(式51)のとおりとなる。
Figure 0006786423
図28における2点鎖線で示した第3の変電所14の高圧側母線15Kは仮想であり、本実施形態においてはこの母線を設けない。従来の送電システムにおける変電所では、この母線15を設けることが通常の形態である。この母線15を設けることは、等価回路である図30(a)において点Dと点D’を接続することと等価である。
母線15を設けた場合と設けない場合について共振周波数を比較する。母線15を設けた場合、回路構成が[バンク数2,ケーブル数2の状態]から[バンク数2,ケーブル数1の状態]に移行した時に共振が発生しやすく、母線15を設けない場合、共振は発生しにくいことを以下に説明する。
図30(a)に示す回路は、図(b)に、さらに簡略化し図(c)に示すとおりとなる。点Bと点C間のインダクタンスLBCについて、母線15が設けられた場合のインダクタンスをLBC1、母線15が設けられない場合のインダクタンスをLBC0とする。
BC1は(式52)で、LBC0は(式53)で表される。
Figure 0006786423
Figure 0006786423
図(c)はさらに図(d)、図(e)に書き換えられる。点Aと点B間のインダクタンスLABは(式54)、LZZは(式55)で表される。
Figure 0006786423
Figure 0006786423
ここで,(式54)のLBCは、図30における点B,C間のインダクタンスであり、母線15が設けられた場合は(式52)により、母線15が設けられない場合は(式53)により求められる。
等価回路図30(a)の共振周波数ZZfrは、(式56)で表される。
Figure 0006786423
次に、具体的な系統の定数を用い、図30の等価回路の母線15の有無による共振周波数を求める。ケーブル長は、100kmおよび50kmとし、100kmの場合を(系統条件4)、50kmの場合を(系統条件5)のとおりとする。
(系統条件4) ・・・ ケーブル長100kmの場合
(1)系統の結線:結線図を図28に示す。ただし、母線15は有、無の2ケース
(14)主要変圧器のバンク数とケーブル回線数の組合せ:2種類
図29(a)の[バンク数2、ケーブル数2の状態]、および
図29(b)の[バンク数2、ケーブル数1の状態]
(16)直列リアクトル11のインダクタンス:20.4%、すなわち23.6mH
従って、系統定数は(定数3)のとおりとなる。
(定数3) ・・・ ケーブル長100km、母線15有りの場合のLBC,LABを{ }内に、母線15無しの場合のLBC,LABを[ ]内に示す。すなわち、LBCのうち、{ }内の値は、上記(式52)のLBC1であり、また,[ ]内の値は、上記(式53)のLBC0である。
=1.21mH、LTR=17.33mH(100MVA,15%)、La=10.0mH(10km)、L=86.7mH(10MVA,7.5%)、LBC={20.0},[193.4]mH、LAB={11.8},[16.0]mH、L=23.6mH、Lc/2=16.5、Cc=20.1μF
上記の条件以外は、(系統条件2)と同じとする。
(系統条件5) ・・・ ケーブル長50kmの場合
(16)直列リアクトル11のインダクタンス:13.2%、すなわち15.2mH
従って、系統定数は(定数4)のとおりとなる。上記条件以外は,(系統条件4)と同じとする。
(定数4) ・・・ ケーブル長50km、母線15有りの場合のLBC,LABを{ }内に、母線15無しの場合のLBC,LABを[ ]内に示す。下記以外は(定数3)に同じである。LBCの{ }内および[ ]内の数値は、それぞれ(式52)および(式53)により求められたものである。
BC={20.0},[193.4]mH、LAB={11.8},[16.0]mH、L=15.2mH、Lc/2=8.3mH、Cc=10.05μF
これらの系統定数から求めたケーブル100kmの場合の共振周波数を図31(a)に,50kmの場合の共振周波数を(b)に示す。
ケーブル100kmの場合、図31(a)に示すように母線15が設けられた場合、共振周波数は、平常運転時において131〜160Hzである。ケーブル1回線の停止時において母線15により、共振周波数は、139〜169Hzに上昇し第3次高調波共振領域(180±15Hz)に入ってしまう。しかしながら、母線15が設けられない場合、共振周波数は、133〜163Hzに留まり共振領域には入らない。
ケーブル50kmの場合、図31(b)に示すように母線15が設けられた場合、共振周波数は、平常運転時において217〜266Hzである。ケーブル1回線の停止時において母線15により、共振周波数は、236〜289Hzに上昇し第5次高調波共振領域(300±15Hz)に入ってしまう。しかしながら、母線15が設けられない場合、共振周波数は、224〜274Hzに留まり共振領域には入らない。
このように電力ケーブル7の1回線停止時には、母線15に起因し共振周波数が上昇し、共振領域に入る可能性がある。この母線15が設けられないことによって、共振領域に入りにくくすることができる。
[3−3.効果]
本実施形態によれば、第1実施形態および第2実施形態に加え以下の効果がある。
(1)本実施形態によれば、第3の変電所14に母線15が設けられないので、長距離の電力ケーブル7の2回線のうち1回線が停止し共振周波数が変化した場合でも、共振領域に入る可能性を軽減することができる。
(2)本実施形態によらない共振の回避を軽減する他の方法として、停止したケーブルに対応した電源側変圧器の1バンクを停止し、1バンク運転にする方法も考えられる。しかし、第3の変電所14側から見ると、電源側変圧器が2バンクから1バンクに減少するので信頼度は半分に低下する。本実施形態によれば、電源側変圧器を2バンクのままにすることができ、電源側変圧器を1バンクにした場合と比較し信頼度を2倍にすることができる。
(3)本実施形態によらない共振の回避を軽減する他の方法として、直列リアクトル11のインダクタンスを、変圧器2バンクとケーブル1回線の運転状態に備えてあらかじめ大きくしておく方法も考えられる。しかし、直列リアクトル11のインダクタンスが大きくなると電圧変動が大きくなり、送電が不可能になる場合があるという欠点がある。また、直列リアクトル11が高価になるという欠点がある。本実施形態によれば、電源側変圧器を2バンクのままにすることができ、直列リアクトル11のインダクタンスを大きくする必要がなく、電圧変動を抑えることができ、直列リアクトル11が高価にならずに済む。
[第4実施形態]
[4−1.構成]
第4実施形態にかかる送電システムについて図32を参照して説明する。なお、この第4実施形態の各部の構成において、図1に示す第1実施形態の送電システムの各部と同一部分は同一符号で示す。
第4実施形態の送電システムは、第1実施形態の送電システムに加え、遮断器18a,18b、遮断器19a,19b,20a,20b、遮断器21a,21b,22a,22b、遮断器24,25、離島側の遮断器23a,23bを有する。その他の構成は第1実施形態と同様である。
2台の変圧器5a,5bの高圧側にそれぞれ遮断器18a,18bが設けられる。変圧器5a,5bの低圧側と直列リアクトル11a,11bとの間に、直列に接続された2台の遮断器19aと20aおよび19bと20bがそれぞれ接続される。直列リアクトル11a,11bとケーブル7a,7bとの間に、直列に接続した2台の遮断器21aと22aおよび21bと22bがそれぞれ接続される。ケーブル7a,7bと第2の変電所8の母線9との間に離島側の遮断器23a,23bが接続される。
さらに,遮断器19aと20aの接続点および遮断器19bと20bの接続点の間に、第1のユニット区分遮断器24が接続される。遮断器21aと22aの接続点および遮断器21bと22bの接続点の間に、第2のユニット区分遮断器25が接続される。
遮断器18a,18bが第1の開閉ユニットを、遮断器19a,19b,20a,20bおよび24が第2の開閉ユニットを、遮断器21a,21b,22a,22bおよび25が第3の開閉ユニットを構成する。第1、第2、第3の開閉ユニットが、請求項中の開閉ユニットに相当する。
第1、第2、第3の開閉ユニットは、共振回避ユニット12の設備機器である変圧器5、直列リアクトル11、電力ケーブル7のうち少なくとも1つを遮断しバイパスする。上記では第1、第2、第3の開閉ユニットの3つの開閉ユニットを設けるものとしたが、開閉ユニットの数量はこれに限られず、増減してもよい。また、各開閉ユニット内の遮断器の構成および数量は、これに限られず、増減してもよい。
平常運転時には、遮断器18〜23は、全て閉路状態、ユニット区分遮断器24,25は開路状態で運転される。すなわち、平常運転時には、1組ずつの変圧器5、直列リアクトル11、ケーブル7を有する共振回避ユニット12は、他の回路から電気的に独立となる。平常運転時における、共振回避ユニット12の回路構成は、第1実施形態の図15のケース(X)に示す結線と同じになる。
[4−2.作用]
本実施形態は、共振回避ユニット12の中の変圧器5a,5b、直列リアクトル11a,11bおよび電力ケーブル7a,7bの3種類の設備機器が停止した場合であっても、停電が発生しないようにする。例えば実施形態1の場合には、図1の変圧器5a側の設備機器と変圧器5b側の設備機器の1つが停止すると、2回線とも停止となり、送電ができなくなる。これに対し、本実施形態では、変圧器5、直列リアクトル11、電力ケーブルの1つが停止しても停電が発生しないようにする。
作用について図33に基づき説明する。例えば、2組の共振回避ユニット12のうちのX印を付した変圧器5aと直列リアクトル11bとケーブル7aが停止した場合、遮断器18a,19a,20b,21b,22a,23aを開路し、遮断器18b,19b,20a,21a,22b,23bおよびユニット区分遮断器24,25を閉路することにより図33に矢印で示した通電回路が構成され停電が防止される。
すなわち、共振回避ユニット12の中の変圧器5、直列リアクトル11および電力ケーブル7のうち設備機器の1つが停止しても、別の共振回避ユニット12の変圧器5、直列リアクトル11および電力ケーブル7を用いバイパス回路を形成することにより、送電するとともに共振周波数を回避する。
上記において、変圧器5、直列リアクトル11および電力ケーブル7のうち異なる設備機器2台、例えば直列リアクトル1台とケーブル1回線が停止した場合も、同様に遮断器18〜23、ユニット区分遮断器24,25の開閉制御を行うことによって共振を回避した状態での送電を行うことができる。
上記のとおり、本実施形態は、共振回避ユニット12の変圧器5、直列リアクトル11、電力ケーブル7のうち1つまたは異なる2種類が停止した場合でも、遮断器18〜23、ユニット区分遮断器24,25を用い、バイパス回路を形成することにより共振を回避した状態での送電を行うことができる。
[4−3.効果]
本実施形態によれば、第1実施形態に加え以下の効果がある。
(1)本実施形態によれば、複数の共振回避ユニット12の変圧器5、直列リアクトル11、電力ケーブル7をバイパスする遮断器18〜23、ユニット区分遮断器24,25を有するので、変圧器5、直列リアクトル11,電力ケーブル7のうち1つまたは異なる種類の2つが停止しても、遮断器の接続状態を制御し、共振を回避した状態で送電を行うことが可能となる。
[5.他の実施形態]
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
(1)上記実施形態では、電力ケーブル7のケーブル長は50kmと100kmとしたがケーブル長は、これに限定されるものではない。数十km、あるいは100kmを超えるケーブル長にも適用されるものとする。
(2)直列リアクトル11に、図34に示すようなタップ28を設け、インダクタンス値を調整できるようにしてもよい。これにより系統定数が、ある程度変動した場合であっても共振を回避することが可能となる。上記実施形態において、系統定数とは、電力ケーブル7のケーブル長、インダクタンス、静電容量、および変圧器5の漏れインダクタンス、直列リアクトル11のインダクタンス、架空送電線13のインダクタンス、電源系統のインダクタンスなどである。
ケーブル長は、計画段階の長さと実際に敷設された長さの間に誤差が発生する。また、製造誤差によりインダクタンス、静電容量にも誤差を生じる。変圧器5、直列リアクトル11、架空送電線13、電源系統も計画値と実際値では誤差を生じる。従って、共振周波数にも必ず誤差が生じる。しかし、直列リアクトルにタップを設けておけば、実際に現地に据え付けた後に系統の共振周波数を測定し、タップを調整することにより系統の共振周波数を調整することができる。従って、タップを調整することにより第3次、第5次、第7次などの高調波に共振しない系統にすることができる。さらに、系統が変化して共振周波数が変化する場合も考えられる。その場合にも、タップを調整することにより、共振周波数を調整することができる。
(3)共振周波数を変えるため、インダクタンスを大きくしたい場合に、直列リアクトルの台数を増やすようにしてもよい。
(4)直列リアクトル11を第1の変圧器5に内蔵させるようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、2回線の回線数を有する送電システムとしたが、3回線以上の回線数を有する送電システムとしてもよい。図24では、離島への電力ケーブル7a,7bの2回線を有する送電システムとしたが、共振回避ユニット12を3組以上有する送電システムとしてもよい。送電容量を増加させる目的、または信頼性を向上させる目的で回線数が増加されること考えられるが、回線数が増加された場合であっても共振周波数は、共振回避ユニット12の共振周波数でほとんど決まり、組数を増加させても変わらないので共振を回避することが可能である。
(6)図35に示すように、離島への電力ケーブル7と直列リアクトル11の間に架空送電線26を設けるようにしてもよい。この場合、架空送電線26のインダクタンスをLrとすると、直列リアクトル11のインダクタンスLの値は、(式9)および(式10)の系統のインダクタンスにLrを加え、それぞれ(式9a)および(式10a)のとおりとなる。
Figure 0006786423
Figure 0006786423
本変形例のように、第1の変圧器5と直列リアクトル11と電力ケーブル7に、離島向け架空送電線26を加えたものを共振回避ユニット12としてもよい。
(7)また、図36に示すように、離島内架空送電線27を介して離島側で電力ケーブル7が第2の変電所8に接続されるようにしてもよい。この場合においても、(式9)および(式10)を適用することができる。
(8)図32に示す送電システムにおいて、図24または図28と同様に低圧側母線6を設け、変圧器5の出力側が、架空送電線13により第3の変電所14に接続されるようにしてもよい。
(9)上記実施形態では、電力回線数を2回線又は3回線とし共振回路ユニット12を2組または3組設けるものとしたが、電力回線数および共振回路ユニット12の数量は、これに限られない。電力回線数および共振回路ユニット12の数量は、4台以上でもよい。
(10)上記実施形態では、第1の変圧器5は、2台または3台としたが第1の変圧器5の台数はこれに限られない。第1の変圧器5は、4台以上でもよい。
1・・・電源
2・・・電源送電線
3・・・第1の変電所
4・・・高圧側母線
5,5a,5b,5c・・・第1の変圧器
6・・・低圧側母線
7,7a,7b,7c・・・電力ケーブル
8・・・第2の変電所
9・・・母線
10・・・第2の変圧器
11,11a,11b,11c・・・直列リアクトル
12・・・共振回避ユニット
13a,13b・・・架空送電線
14・・・第3の変電所
15・・・高圧側母線
16,16a,16b・・・配電用変圧器
17・・・低圧側母線
18a,18b,19a,19b,20a,20b,21a,21b,22a,22b,23a,23b,24,25・・・遮断器
26,27・・・架空送電線
28・・・タップ

Claims (6)

  1. 電源高圧を低圧に変換する第1の変圧器と、
    前記第1の変圧器の低圧側に直列に接続された直列リアクトルと、
    前記直列リアクトルに直列に接続された電力ケーブルと、
    を有する共振回避ユニットを複数備え、
    複数の前記共振回避ユニットの前記直列リアクトルは、前記電源の電源周波数の第3次高調波、第5次高調波および第7次高調波との共振を避けたインダクタンス値に設定され、
    複数の前記共振回避ユニットは、前記第1の変圧器と前記直列リアクトルの接続点および前記直列リアクトルと前記電力ケーブルの接続点で、相互に電気的に接続されず、
    複数の前記共振回避ユニットにより、電源供給側の電源と負荷側に設置された第2の変圧器が接続される送電システム。
  2. 前記直列リアクトルの前記インダクタンス値は、
    前記電源の電源周波数の第3次高調波および第5次高調波との共振を避けたインダクタンス値であって、
    第3次高調波の周波数余裕度および予め設定された共振周波数の変化幅を含めて算出された第1の値と、第5次高調波の周波数余裕度および予め設定された共振周波数の変化幅を含めて算出された第2の値、との間の値に設定された
    請求項1記載の送電システム。
  3. 前記直列リアクトルの前記インダクタンス値は、
    前記電源の電源周波数の第5次高調波および第7次高調波との共振を避けたインダクタンス値であって、
    第5次高調波の周波数余裕度および予め設定された共振周波数の変化幅を含めて算出された第1の値と、第7次高調波の周波数余裕度および予め設定された共振周波数の変化幅を含めて算出された第2の値、との間の値に設定された
    請求項1記載の送電システム。
  4. 前記直列リアクトルの前記インダクタンス値は、
    前記共振回避ユニットにおける電圧降下が、送電可能な予め定められた電圧内となる第3の値を満足する値に設定された
    請求項2又は3のいずれか1項記載の送電システム。
  5. 前記第1の変圧器の低圧側に接続された複数の架空送電線を有し、
    前記複数の架空送電線は、電圧をさらに低圧に変換する第3の変圧器に接続され、
    前記複数の架空送電線は、前記複数の共振回避ユニットに均等に分散された、
    請求項1乃至4のいずれか1項記載の送電システム。
  6. 複数の前記共振回避ユニットは、前記第1の変圧器と前記直列リアクトルの接続点および前記直列リアクトルと前記電力ケーブルの接続点で、相互に電気的に開閉される開閉ユニットを有し、
    複数の前記共振回避ユニットの運転停止時に、前記開閉ユニットが開閉されることによりバイパス回路が形成される
    請求項1乃至4のいずれか1項記載の送電システム。
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