本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1において、1は炊飯システムで、この炊飯システム1は、複数の炊飯釜2を循環搬送しながら連続炊飯を自動的に行う釜循環式のものである。
なお、炊飯釜2は、上面開口部3を有する箱状の釜本体4と、この釜本体4に着脱可能に取り付けられ上面開口部3を開閉可能に覆う蓋体5とにて構成されている。このため、炊飯釜2は、蓋体5の取り付けにより蓋有り状態となり、蓋体5の取り外しにより蓋無し状態となる。
炊飯システム1は、図1に示すように、複数の炊飯釜2を平面視で矩形環状の搬送経路に沿って循環搬送する循環搬送手段(循環搬送ライン)10を備えている。この循環搬送手段10による循環搬送は、複数の炊飯釜2を断続的に搬送するタクト搬送(一定の間隔ごとに移動と停止を繰り返すタクト運転)である。
そして、循環搬送手段10の搬送途中には、米供給装置11、水供給装置12、炊飯装置(連続炊飯機)13、反転装置14および洗浄装置15が設けられている。
米供給装置11は、炊飯釜2の釜本体4内に所定量の米を供給するものである。水供給装置12は、炊飯釜2の釜本体4内に所定量の水を供給するものである。炊飯装置13は、炊飯釜2を加熱して連続炊飯を行うものである。反転装置14は、炊飯後に炊飯釜2の釜本体4を反転させて釜本体4内から米飯(炊き上がったご飯)を取り出すものである。洗浄装置15は、洗浄水の噴射によって炊飯釜2の釜本体4を洗浄するものである。
また、炊飯システム1は、図示しないが、炊飯装置13の上流側には蓋体5を釜本体4に取り付ける蓋取付け装置が設けられ、炊飯装置13の下流側には蓋体5を釜本体4から取り外す蓋取外し装置が設けられている。なお、蓋取外し装置によって取り外された蓋体5は、蓋洗浄装置で洗浄された後、蓋取付装置へと送られる。
さらに、炊飯システム1は、循環搬送手段10および各装置11〜15を制御する制御手段16を備え、この制御手段16には、循環搬送手段10の作動を停止させるための停止用操作手段18および循環搬送手段10の作動を再開させるための再開用操作手段19が接続されている。
停止用操作手段18は、例えば作業者が手動で押圧操作する一時停止スイッチである。再開用操作手段19は、例えば作業者が手動で押圧操作する停止解除スイッチである。なお、両操作手段18,19がそれぞれ別々のスイッチではなく、単一のスイッチで兼用してもよい。
そして、停止用操作手段18が作業者によって操作された場合には、制御手段16は、循環搬送手段10の作動をタクト搬送における停止位置で速やかに停止させるとともに、各装置11〜15に関しては予め設定された作業が完了するまで各装置11〜15の作動を継続させる。
ここで、図2に示すように、米供給装置11は、蓋無し状態の炊飯釜2へ投入される米(浸漬米)を搬送する米搬送コンベヤ21を有し、この米搬送コンベヤ21によって米が停止位置に停止した各炊飯釜2ごとに所定量ずつ供給される。水供給装置12は、下流端部が炊飯釜2に向かって開口した水供給管22を有し、この水供給管22によって水が停止位置に停止した各炊飯釜2ごとに所定量ずつ供給される。
また、図3に示すように、反転装置14は、蓋無し状態の炊飯釜2を反転させて釜内の米飯を取り出す反転部23と、炊飯釜2から取り出された米飯をほぐしてコンテナ20に投入するほぐし部24とにて構成されている。
反転部23は、循環搬送手段10からの炊飯釜2を受け入れる受入位置と、炊飯釜2を反転状態にして炊飯釜2内から米飯を落下させる反転位置との間で移動する釜保持体25を有している。また、ほぐし部24は、米飯を搬送する米飯搬送コンベヤ26と、この米飯搬送コンベヤ26にて搬送される米飯をほぐす複数の羽根状回転体27とを有している。
また、図4に示すように、洗浄装置15は、蓋無し状態の炊飯釜2が循環搬送手段10にて搬送されながら通過する洗浄室31が内部に形成された装置本体32を有している。
洗浄室31の入口側には上面開口部が上方に向いている炊飯釜2を180度回動させて下向き状態に設定する下向き設定体33が配設され、洗浄室31の出口側には上面開口部が下方に向いている炊飯釜2を180度回動させてもとの上向き状態(通常の搬送状態)に設定する上向き設定体34が配設されている。
洗浄室31の中央部上下には、予め設定された所定時間だけ洗浄水を噴射して炊飯釜2を洗浄する噴射ノズル35が配設され、この各噴射ノズル35は洗浄水供給管36に取り付けられている。なお、噴射ノズル35は、所定時間だけ洗浄水を噴射するものには限定されず、連続炊飯作業中は常時洗浄水を噴射するものでもよい。
また、炊飯装置13は、例えば図5ないし図8に示す構成のものである。
すなわち、炊飯装置13は、蓋有り状態の炊飯釜2が循環搬送手段10にて搬送されながら順次通過する加熱室(炊飯室)41および蒸らし室42が内部上下にそれぞれ形成された装置本体43を有している。
なお、装置本体43内において、炊飯釜2は、加熱室41では循環搬送手段10の第1搬送体44によって搬送され、蒸らし室42では循環搬送手段10の第2搬送体45によって搬送される。
そして、加熱室41の底部には、第1搬送体44にて搬送方向に向けて搬送される炊飯釜2を加熱して炊飯を行う表面燃焼バーナ式の加熱手段51が配設され、この加熱手段51の上面には複数の上方突出部52が設けられている。これら複数の上方突出部52は、互いに等しい間隔(図示した間隔H)をおいて搬送方向に並んで位置している。
各上方突出部52は、例えば平面視で搬送方向と直交する方向に長手方向を有する水平面に沿った矩形状をなす板状(例えば1枚板状)の断熱部材(突出板)53のみで構成されている。この断熱部材53は、加熱手段51の上面上に載置されて設けられ、左右の断熱側板50間に挟まって固定されている。
ここで、加熱手段(炊飯加熱部)51は、炊飯釜2の移動領域の下方に配設され、搬送方向に互いに近接した状態で並んで位置し、炊飯釜2を加熱する同一構成の複数、すなわち例えば12個の表面燃焼バーナ式のガスバーナ手段であるバーナ手段56にて構成されている。
そして、対応するバーナ手段56の火力を調整する火力調整手段57が各バーナ手段56ごとに対応して設けられている。つまり、炊飯装置13、対応するバーナ手段56に所望量の混合ガス(燃料ガスと空気との混合ガス)を供給する同一構成の複数、すなわち例えば12個(バーナ手段56と同じ数)の火力調整手段57を備えている。
なお、各バーナ手段(加熱ユニット)56は、混合ガスの燃焼により発生する熱気を利用して炊飯釜2を加熱する耐熱金属繊維からなるメタルニット(登録商標)ガスバーナ等の表面燃焼バーナ式のものであり、2次空気を必要としないものである。
そして、各バーナ手段56は、炊飯釜2の底板部7と離間対向する中空状の燃焼部材支持体である本体65と、この本体65の上面部にこの上面部の略全体に間隔を開けて分散して位置するように設けられ、上面の表面部で混合ガスを燃焼させて炊飯釜2を加熱する略円筒状の複数の表面燃焼部材(バーナ)66とを有している。
本体65の上面部は、複数の孔部67を有する矩形板状の断熱底板68にて構成され、この断熱底板68の各孔部67に表面燃焼部材66が嵌入されている。なお、断熱底板68の上面と表面燃焼部材66の上面とが略同じになっている。本体65の下部には、火力調整手段57が接続されている。
表面燃焼部材66は、その上面部に円形状の燃焼面部66aを有し、この燃焼面部66aは、耐熱金属繊維をニット状に編んだもので、混合ガスの燃焼により加熱面部となる。
また、搬送方向に互いに隣り合う両バーナ手段56間には隙間75があるが、この隙間75の上面は、上方突出部52を構成する断熱部材53にて覆われている。つまり、互いに隣り合う前後の両バーナ手段56の断熱底板68の上面の端部間にわたって、上方突出部52が架設されている。
さらに、搬送方向に互いに隣り合う両上方突出部52間の空間部76には、点火手段(点火プラグ)77および炎検知手段(フレームロッド)78が配設されている。つまり、各バーナ手段56ごとに、火力調整手段57、点火手段77および炎検知手段78が設けられている。
図7に示すように、各バーナ手段56ごとの平面視矩形状の空間部76は、下方の断熱底板68と、左右の断熱側板50と、前後の断熱部材(上方突出部52)53とによって囲まれており、この空間部76の大きさは例えば1個の炊飯釜2の底板部7と略同じ大きさである。なお、断熱底板68、断熱側板50および断熱部材53は、いずれも同じセラミックファイバー製の断熱材からなるものである。
そして、加熱室41内の空間部76の上方に炊飯釜2が位置すると、炊飯釜2の底板部7の前端部分とバーナ手段56の前側に位置する上方突出部52とが互いに近接しかつ炊飯釜2の底板部7の後端部分とバーナ手段56の後側に位置する上方突出部52とが互いに近接した状態で、空間部76の上方部が炊飯釜2の底板部(1個の炊飯釜2の底面)7によって覆われ、その結果、空間部76が略密閉状態となる。
また、図8に示すように、この炊飯装置13は、加熱室41内において、炊飯釜2の搬送方向に沿って複数のバーナ手段56が配設されているもので、制御手段16は、炊飯作業を行う前にそれぞれの炊飯釜2に対してどのように加熱させて炊飯完了するかを予め設定し、また炊飯作業中におけるそれぞれの炊飯釜2内の温度(以下「釜内温度」という。)の時間変化が、それぞれの炊飯釜2内で炊飯されるご飯の種類に適した最適温度曲線となるように、炊飯釜2が上方に位置している各バーナ手段56に対応させた火力調整手段57をそれぞれ個別に制御する。つまり、制御手段16は、個々の炊飯釜2に対して予め設定したとおりの加熱が行われ、停止用操作手段18の操作に基づく循環搬送手段10の作動停止の影響を受けることなく同一(略同一を含む)の品質の米飯(ご飯)が得られるように、各火力調整手段57をそれぞれ個別に制御する。
なお、ご飯の種類(アイテム)とは、例えば白飯、酢飯、塩飯、かやく飯等の種類のほか、米自体の品種や、柔らか仕上げ或いは硬め仕上げ等の仕上げ方を含む意味である。そして、これらの各種類ごとに適した最適温度曲線(ご飯の種類に応じた理想的な温度曲線)があり、制御手段16は、一炊飯釜2ごとのご飯の種類に応じて釜内温度の時間変化がその最適温度曲線となるように各火力調整手段57を個別制御する。
ここで、各火力調整手段57は、図8に示すように、バーナ手段56の本体65の下部に下流端部が接続された混合ガス供給管81を有し、この混合ガス供給管81の上流端部には、燃料ガスと空気との混合ガスを生成する混合器82の排出側が接続されている。
混合器82の空気供給口には空気供給管83が接続され、この空気供給管83には空気を圧送する送風機(ブロワ)84が接続されている。混合器82の燃料ガス供給口には燃料ガス供給管85が接続され、この燃料ガス供給管85の途中には、送風機84にて圧送される空気に混合される燃料ガスの流量を検知する流量検知手段である流量センサ86が設けられている。なお、これら混合ガス供給管81、混合器82、空気供給管83、送風機84、燃料ガス供給管85および流量センサ86にて、火力調整手段57が構成されている。
また、制御手段16には、各火力調整手段57の送風機84のモータ(駆動部)84aおよび流量センサ86のほか、循環搬送手段10の駆動部や各装置11〜15等が接続されている。
そして、制御手段16は、各炊飯釜2の釜内温度の時間変化が最適温度曲線となるように、それぞれの炊飯釜2が上方に位置している火力調整手段57に対し、流量センサ86の検知に基づいて送風機84のモータ84aを制御する。つまり、制御手段16は、予め設定された加熱プログラム(釜内温度の時間変化を炊飯しようとするご飯の種類に適した最適温度曲線にするためのプログラム)に従って、各流量センサ86からの検知信号に基づいて燃料ガス供給管85を流れる燃料ガスの流量を常時監視しながら、燃料ガス供給量に対する空気供給量を調整すべく各送風機84のモータ84aの回転数を可変制御する。なお、流量センサ86は、燃料ガス供給管85を流れる燃料ガスの流量を数値で表示する表示部を有している。
また、各バーナ手段56は、制御手段16による火力調整手段57の制御に基づいて、加熱室41での炊飯開始から炊飯完了までの炊飯作業(加熱処理)をそれぞれ単独で可能となっている。
このため、例えば炊飯途中で炊飯釜2の搬送が停止した場合であっても、制御手段16は、個々の炊飯釜2に予め設定された加熱プログラムに基づき炊飯開始からの加熱を続けて、その停止した各炊飯釜2内の温度の時間変化が最適温度曲線となるように、炊飯釜2が上方に位置している各火力調整手段57をそれぞれ個別に制御し、その結果、停止した炊飯釜2内で炊飯完了までの炊飯作業(予め設定された作業)が実行継続される。また、制御手段16は、循環搬送手段10をタクト搬送(断続的な移動)とし、炊飯釜2を複数個分ずつタクト搬送している場合であっても、そのタクト搬送している炊飯釜2内の温度の時間変化が最適温度曲線となるように、炊飯釜2が上方に位置している各火力調整手段57をそれぞれ個別に制御する。なお、制御手段16による火力調整手段57の制御に関しては、炊飯が完了した後や加熱処理中であっても、ガスの燃焼が不要であれば、消火させることも可能としている。
次に、上記炊飯システム1の作用等を説明する。
図1に示すように、まず、米供給装置11によって所定量の米が炊飯釜2に供給され、次いで、水供給装置12によって所定量の水が炊飯釜2に供給される。その後、蓋取付け装置によって蓋体5が釜本体4に取り付けられ、これにより蓋有り状態となった炊飯釜2は、循環搬送手段10にて搬送されることによって炊飯装置13の加熱室41内に搬入される。
そして、炊飯装置13の加熱室41内に炊飯釜2が搬入されると、上方突出部52に炊飯釜2の底板部7が接近することから、炊飯装置13外の冷気の侵入が妨げられるようになっている。また、加熱室41内においては、搬送方向に隣り合うバーナ手段(加熱ユニット)56に跨って位置する上方突出部52によって、加熱手段全体に渡って空気が流れることが妨げられ、かつ、加熱室41内に搬送されてバーナ手段56の上方に位置する炊飯釜2の底板部7とその前後に位置する上方突出部52によって、加熱手段51上の空間部76での空気は、漂わされることとなる。
このような状態で、まず、炊飯開始前の点火時においては、バーナ手段56の表面燃焼部材66から混合ガスが放出され、点火手段77による1つの表面燃焼部材66への点火に基づいて、残りの表面燃焼部材66のすべてが引火する。
また、炊飯時である燃焼時においては、混合ガスの燃焼により発生した熱気は、略密閉状態の空間部76に停滞する。このため、停滞した高温の熱気によって炊飯釜2の底板部7が効率よく加熱される。
さらに、炊飯釜2の底板部7を加熱し終えた熱気は、炊飯釜2の側板部8に沿って上昇しながらその側板部8を加熱することとなる。このとき、加熱手段51の上面上の上方突出部52が炊飯装置13外からの冷気の侵入はもちろん、各バーナ手段56間での空気の流れを遮るようにしていることから、炊飯釜2の側板部8に沿って上昇する熱気もその上昇流が緩やかとなり、その結果、炊飯釜2の側板部8も効率よく加熱される。
こうして、例えば米および水等を収容した複数の炊飯釜2は、循環搬送手段10によって搬送方向に所定時間ごとに釜1個分ずつタクト搬送(1タクト搬送)されつつ、各炊飯釜2で炊飯されるご飯の種類に適した最適温度曲線となるように制御手段16が予め設定された加熱プログラムに従ってそれぞれの炊飯釜2が対応するバーナ手段56の上方に位置している各火力調整手段57を制御し、各バーナ手段56によって加熱されて連続炊飯が行なわれる。
ここで、白米をご飯に炊き上げるため、予め設定されている白米用の加熱プログラムとして、例えば各バーナ手段56の火力が、図9(a)に示すものであった場合には、釜内温度の時間変化は、図9(b)に示す標準的な温度曲線αとなるが、この場合、炊飯しようとするご飯の種類がかやく飯であれば、白米用の加熱プログラムを設定すると、加熱し過ぎとなり、焦げてしまう。
そこで、かやく飯用の加熱プログラムとして設定した例えば図9(a)に点線で示すように、釜入口側から数えて3番目の1個のバーナ手段56の火力を段階的に弱めると、釜内温度の時間変化は、図9(b)に示す温度曲線γとなる。
すなわち例えば、3番目の1個のバーナ手段56に対して割り当てられた時間(例えば90秒)の間に、割り当てられた時間のすべてにおいて火力を変更するだけでなく、割り当てられた時間の途中からでも、そのバーナ手段56の火力を変更することによって、釜内温度の時間変化が温度曲線γとなり、この温度曲線γはかやく飯に適した最適温度曲線である。
このように、制御手段16は、炊飯釜2でかやく飯を炊く場合、加熱室41内で加熱される各炊飯釜2の釜内温度の時間変化が温度曲線(最適温度曲線)γとなるように、所定の加熱プログラムに従って各火力調整手段57をそれぞれ個別に制御する。
次いで、炊飯後の炊飯釜2は、蒸らし室42を通過した後、炊飯装置13から排出され、蓋取外し装置によって蓋体5が取り外され、その後、循環搬送手段10によって反転装置14へと搬送される。
そして、炊飯釜2は、反転部23の釜保持体25によって保持され、この釜保持体25の反転位置への移動によって反転状態となる。すると、炊飯釜2内の米飯が、ほぐし部24の米飯搬送コンベヤ26上に落下し、羽根状回転体27にてほぐされた後、コンテナ20に投入される。
米飯が取り出された炊飯釜(空釜)2は、釜保持体25の受入位置への移動によってもとの状態となり、その後、循環搬送手段10によって洗浄装置15へと搬送される。
そして、炊飯釜2は、洗浄室31に入ると、まず、下向き設定体33の180度回動によって上方に向いている上面開口部が下向き状態となり、この状態のまま、噴射ノズル35が所定時間だけ洗浄水を噴射することによって洗浄される。
次いで、洗浄後の炊飯釜2は、上向き設定体34の180度回動によって下方に向いている上面開口部が上向き状態に戻った後、洗浄室31から排出され、その後、循環搬送手段10によって最初の米供給装置11へと搬送され、最初からの各工程が繰り返される。
こうして、予め設定された所定個数の複数の炊飯釜2は、循環搬送手段10によって循環搬送されながら、各装置11〜15による作業(処理)が順次繰り返し実行される。
ところで、例えば循環搬送手段10によって搬送中の炊飯釜2に関して、何らかのトラブル、すなわち例えば搬送経路上の所定位置に対する釜本体4の位置ずれ、或いは釜本体4からの蓋体5のずれ落ち等が生じた場合には、そのトラブルに気付いた作業者は、炊飯釜2の搬送を一時停止させるために、停止用操作手段18を操作する。
すると、制御手段16は、停止用操作手段18からの操作信号に基づき、循環搬送手段10の作動を一時停止させるとともに、各装置11〜15に関しては予め設定された作業(処理)が完了するまで各装置11〜15の作動を継続させる。
具体的に説明すると、停止用操作手段18の操作によって炊飯釜2の搬送が一時停止した場合であっても、米供給装置11は、所定位置(タクト搬送による所定の停止位置)に停止した炊飯釜2に対して予め設定された所定量の米が供給されるまで、その米供給作業を継続する。
水供給装置12は、所定位置に停止した炊飯釜2に対して予め設定された所定量の水が供給されるまで、その水供給作業を継続する。
反転装置14の反転部23は、炊飯釜2が所定位置から移動反転して反転状態の炊飯釜2内から米飯を落下させた後、元の所定位置に戻るまで、その反転作業を継続する。また、反転装置14のほぐし部24は、炊飯釜2内から落下した所定量の米飯を搬送させながらほぐしてコンテナ20に投入するまで、そのほぐし投入作業を継続する。
洗浄装置15の下向き設定体33は、所定位置で炊飯釜2の上面開口部が所定の下向き状態になるまで、その設定作業を継続する。洗浄装置15の噴射ノズル35は、所定位置に停止した下向き状態の炊飯釜2に対して所定時間の噴射が完了するまで、その洗浄作業を継続する。洗浄装置15の上向き設定体34は、所定位置で炊飯釜2の上面開口部が所定の上向き状態になるまで、その設定作業を継続する。
また、炊飯装置13の各バーナ手段56は、制御手段16による各火力調整手段57の個別制御に基づき、所定位置に停止した各炊飯釜2に対してその釜内の米が炊き上がるまで(炊飯完了まで)、その炊飯作業を予め設定された加熱プログラムに従って継続する。なお、例えば炊飯釜2の一時停止中に炊飯完了すれば、対応するバーナ手段56は消火状態となる。
このように、制御手段16は、停止用操作手段18の操作に基づく循環搬送手段10の作動停止の影響を受けることなく同一の品質の米飯が得られるように、各火力調整手段57をそれぞれ個別に制御するが、この点につき例えば図10および図11を参照して具体的に説明する。
例えば、A〜Lからなる12個のバーナ手段56が配置され、各バーナ手段56上を90秒ごとに炊飯釜2が釜1個分ずつタクト搬送(1タクト搬送)される場合において、トラブルの発生により炊飯釜2が4分間だけ一時停止したときを例として説明する。
図10に示すように、例えば「5」の炊飯釜2に着目し、この「5」の炊飯釜2が「B」のバーナ手段56の上方位置に到着した瞬間に、停止用操作手段18の操作によって循環搬送手段10の作動が停止して、その位置に4分間一時停止した場合、その停止した「5」の炊飯釜2は、その4分間の間、「B」のバーナ手段56によって炊飯作業(180秒間の火力「大」の加熱および60秒間の火力「中」の加熱)が実行継続される。
そして、4分経過後に再開用操作手段19が操作されると、「5」の炊飯釜2は、90秒ごとのタクト搬送に戻るため、「B」のバーナ手段56によって引き続き炊飯作業(30秒間の火力「中」の加熱)が実行継続される。
その後、「5」の炊飯釜2は、「C」ないし「J」のバーナ手段56によって順次炊飯作業が行われるが、「J」で炊飯完了となるため、「K」および「L」のバーナ手段56では、消火状態によって炊飯作業が行われず加熱されない。
また、図11に示すように、例えば「14」の炊飯釜2に着目し、この「14」の炊飯釜2が「K」のバーナ手段56の上方位置に到着した瞬間に、停止用操作手段18の操作によって循環搬送手段10の作動が停止して、その位置に4分間一時停止した場合、その停止した「14」の炊飯釜2は、「K」のバーナ手段56によって炊飯作業(180秒間の火力「微」の加熱)が実行継続されて炊飯完了となる。
そして、4分経過後に再開用操作手段19が操作されると、「14」の炊飯釜2は、既に炊飯完了となっているため、その後「K」および「L」のバーナ手段56では、消火状態によって炊飯作業が行われず加熱されない。
このように、炊飯装置13の加熱室41内で炊飯釜2の搬送が一時停止しても、バーナ手段56で加熱し過ぎることはなく、同一の品質の米飯が得られる。
そして、上記炊飯システム1によれば、停止用操作手段18が操作された場合に、制御手段16は、循環搬送手段10の作動を停止させるとともに、各装置11〜15に関しては予め設定された作業が完了するまで各装置11〜15の作動を継続させるため、連続炊飯作業中に生じたトラブルに対して適切かつ容易に対応することができる。
すなわち例えば連続炊飯途中で、循環搬送手段10の第1搬送体44の作動が停止して炊飯釜2が加熱室41内に一時停止してしまった場合でも、制御手段16による火力調整手段57の制御変更により、所定位置に停止した炊飯釜2内でその炊飯途中から炊飯完了まで炊飯作業を継続でき、所望する最適な同じ品質のご飯に炊き上げることができる。
なお、循環搬送手段10の作動を停止させる場合としてトラブル発生時には限られず、各装置11〜15の掃除時等においても、炊飯釜2を一時停止でき、適切に対応することができる。例えば、反転装置14では、炊飯作業中において常に米飯と接触しているほぐし部24の米飯搬送コンベヤ26や羽根状回転体27に付着してしまう飯のカスを取り除くために掃除する。また、搬送されてくるご飯の種類が変わるときに、米飯搬送コンベヤ26および羽根状回転体27を掃除する。
また、制御手段16によるすべての火力調整手段57の制御によって、炊き上げるべきご飯の種類に応じて、炊飯開始から炊飯完了までの時間の経過に伴い、細かな火力調整ができるため、ご飯の種類(アイテム)に拘わらず、所望する最適なご飯に炊き上げることができる。
さらに、炊飯釜2を1タクト搬送に限らず、例えば反転装置14を2台並設して2個の炊飯釜2を同時に反転させてまとめて処理するため、各バーナ手段56に割り当てられる所定時間を90秒から180秒に変更して、複数タクト搬送である2タクト搬送(釜2個分ずつタクト搬送)し、炊飯装置13から炊飯釜2を2個ずつ排出すること等が、炊飯装置13の前工程や後工程との兼ね合いがよくなるならば、複数タクト搬送とし、搬送ライン上で必要とするときに供給できる連続炊飯を行い、最適なご飯に炊き上げることができる。なお、最大では、総入れ換えするように炊飯釜2を12個分ずつタクト搬送(複数タクト搬送)して連続炊飯を行なうことも可能である。
また一方、加熱手段51の上面に設けられ互いに間隔をおいて搬送方向に並んで位置する複数の上方突出部52を備え、加熱手段51の上面全体における空気の流れを妨げるため、炊飯釜2の底板部7と加熱手段51の上面との間に熱気が停滞しやすく、炊飯釜2の底板部7を加熱手段51によって効率よく加熱でき、よって、連続炊飯を効率よく行なうことができる。
なお、炊飯装置13は、加熱室41の上方に蒸らし室42が形成された構成として説明したが、例えば蒸らし室を有さず、炊飯装置13から排出後に蒸らし部で蒸らすようにしてもよい。
また、制御手段16に接続されている停止用操作手段18および再開用操作手段19は、どこの位置に設置してもよく、また、各操作手段18,19の数は任意であり、それぞれを複数として炊飯システム1の複数箇所に配置してもよい。さらに、操作手段18,19を構成するスイッチの種類として、非接触のセンサ等を用いてもよい。
また、炊飯装置13の加熱手段51として、12個のバーナ手段56を搬送方向に沿って配列しているが、同一構成としている複数のバーナ手段56のそれぞれに同一構成としている火力調整手段57を設け、また、各火力調整手段57をそれぞれ個別に自動的に制御し、ご飯の種類に応じて炊飯開始から炊飯完了までの時間の経過に伴って細かな火力調整を可能とする制御手段16を備えていれば、加熱手段51として配列しているバーナ手段56の数に関係はなく、所望する最適なご飯に炊き上げることができる。
さらに、炊飯装置13は、搬送方向に沿った細長い1つの加熱室41を有し、炊飯釜2を搬送しながら加熱するものには限定されず、例えばそれぞれ独立した複数の加熱室を有し、各加熱室ごとに炊飯釜を1個ずつ入れて加熱手段で加熱するものでもよい。
また、循環搬送手段10による循環搬送は、タクト搬送には限定されず、炊飯釜2が一定速さで移動する連続搬送でもよい。
さらに、炊飯装置13の加熱手段51は、燃料ガスを用いるバーナ式には限定されず、例えば電気式等の他の加熱手段でもよい。