本願は、合衆国法典第35巻第119条に基づき、2017年6月28日に出願された米国仮特許出願第62/538,335号および2018年6月22日に出願された米国特許出願第16/015,776号による優先権を主張するものであり、その内容に依拠すると共に、その全体を参照して本明細書に組み込む。
添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれてその一部をなすものである。図面は1以上の実施形態を示しており、詳細な説明と共に、様々な実施形態の原理および作用を説明する役割をするものである。従って、本開示は、以下の詳細な説明を添付の図面と共に読めば、より完全に理解される。
以下、添付の図面に例が示されている本開示の様々な実施形態を詳細に参照する。可能な場合には常に、同一または類似の部分を参照するために、図面を通して同一の参照番号および符号が用いられる。図面中の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、図面は、本開示の主要な態様を示すために簡略化されていることが、当業者には認識されよう。
後述する特許請求の範囲は、この詳細な説明に組み込まれて、その一部をなす。
本明細書において、「IOX物品」および「ガラス試料」という用語は区別せずに用いられる。
以下の議論では、所与のモードスペクトルにおける全反射と部分反射との間の遷移は、TIR−PR遷移として参照され、TIR−PR遷移の位置は、TIR−PR位置として参照される。
「イオン交換」および「イオン交換された」という用語は、両方ともIOXという頭字語によって表され、どちらの用語が当て嵌まるかは、議論の文脈から明らかである。DIOXという頭字語は、「二重イオン交換」または「二重イオン交換された」のいずれかを意味する。
TEおよびTMという頭字語は、それぞれ「横電場」および「横磁場」を表し、後述するようにガラス基体内に形成されたIOX領域によってサポートされる導波の電場および磁場の方向を指す。TE導波およびTM導波は、以下においては「TM波」および「TE波」とも称される。
「共振」という用語は、モードスペクトル中のフリンジに対する別の用語であり(当該技術分野において知られているように、フリンジの強度分布は共振曲線の形状を有することによる)、TMモードスペクトルまたはTEモードスペクトルをキャプチャするプリズム結合システムの測定構成に応じて、強度ピークまたは強度ディップを有し得る(例えば、図3Eおよびモードフリンジ252TMを参照)。
「傾斜閾値」および「傾き閾値」という用語は、本明細書においては同義語として用いられる。
Li系ガラスにおける例示的なIOX処理
図1Aは、IOX処理を用いてガラス基体20から形成された例示的なIOX物品10を上方から見た図である。例示的なガラス基体20は平面状であり、本体21と表面(上面)22とを有し、本体は、ベース(バルク)屈折率nsと、表面屈折率n0と、z方向の厚さTとを有する。図1Bは、y−z平面において切り取られたガラス基体20の拡大断面図であり、IOX物品10を構成するIOX基体20を定めるために、表面22にわたって本体21の中に向かってz方向に行われる例示的なIOX処理を示す。本体21は、IOX基体のガラスマトリクスによって構成される。
一例において、IOX物品10は、Li含有ガラスにおけるDIOX処理を用いて形成される。一例において、DIOX処理は、2つの異なるタイプのイオン、即ちNa+およびK+を、ガラス本体21の一部である別の異なるイオンLi+と置き換えるために用いる。Na+イオンおよびK+イオンは、公知のIOX技術を用いて、ガラス本体21内に順次または同時に導入されてもよく、または、1以上のIOX工程において同時に導入されてもよい。上述のように、Na+イオンはK+イオンより速く拡散するので、ガラス本体21内により深く拡散する。換言すれば、本開示における例示的なDIOX処理は、イオン交換中にK+およびNa+の両方がガラス内に導入されたことを意味し、必ずしも、2回のIOX工程が行われたことは意味しない。
図1Cは、その結果のDIOX処理の模式図であり、図2Aおよび図2Bは、例えば、図1Cに示されているようなDIOX処理を受けたIOX基体20の、TM偏光およびTE偏光についての代表的な例示的な屈折率プロファイルnTM(z)およびnTE(z)をそれぞれ表す。それらに関連づけられた応力プロファイルは、σ(z)によって表すことができ、図2Cに示されている。
IOX処理は、ガラス本体21内にIOX領域24を定める。屈折率プロファイルn(z)およびIOX領域24の各々は、より浅いイオン交換(K+イオン)と関連づけられた第1の「スパイク」領域R1を含み、第1の領域R1は、「スパイクについての層深さ」(以降、DOLsp、または単にDOLとして示される)を定める本体21の中に向かう深さD1を有する。本開示において用いられるDOLという頭字語は、特に明記しない限り、DOLspを意味する。屈折率プロファイルn(z)は、より深いイオン交換(Na+イオン)と関連づけられた第2の領域R2も含み、第2の領域R2は、基体の中心まで延び得る深さD2を有する。ニーKNは、第1の領域R1と第2の領域R2との間の遷移の底に位置する。図2Cの応力プロファイルも、第1の領域R1および第2の領域R2と、ニーKNとを含み、基体表面(z=0)から第2の領域R2内へと延びる圧縮の深さDOCも示している。TM偏光およびTE偏光についての、イオン交換処理に起因する基体20の表面22における屈折率は、それぞれnsurf TMおよびnsurf TEとして示されている。なお、屈折率プロファイルnTM(z)およびnTE(z)は、ガラス基体20内のスパイクSPによって定められる導波路と関連づけられた実効屈折率である。
より深い第2の領域R2は、実際には、より浅い第1の領域R1より前に、またはより浅い領域と同時に生成され得る。領域R1は、基体表面22に隣接しており、傾斜が比較的急であり、浅く、スパイクSPを定める。一方、領域R2は傾斜がさほど急ではなく、基体内へと上述の深さD2まで比較的深く伸び、深さD2は非常に大きく、基体の厚さの中心と同程度の深さであり得る。一例において、領域R1は、基体表面22において最大屈折率nsurf=n0を有し、中間屈折率niに至るまで急傾斜で先細りし、一方、領域R2は、中間屈折率から基体(バルク)屈折率nsに至るまでより緩やかに先細りする。
通常、Liガラスにおいては、横磁場(TM)波の場合には、屈折率niおよびnsはほぼ同じであり、一方、TE波については、ニーにおける圧縮応力がTE屈折率をTM屈折率に対して相対的に下げるので、niはnsより低い。領域R1についての屈折率プロファイルの部分nTM(z)およびnTE(z)は、深さDOLsp=DOL=D2を有する屈折率のスパイクPSを表している。一例において、中間屈折率niは、図2Aに例として示されているように、基体屈折率nsに非常に近くなり得る。
例示的なプリズム結合装置およびモードスペクトル
本明細書において開示される方法を実施するために用いるのに適した例示的なプリズム結合システムは、米国特許出願公開第2014/0368808号および同第2015/0066393号の各明細書にも記載されており、それらを参照して本明細書に組み込む。
図3Aは、本明細書において開示される方法の一つの態様を実施するために用いられ得る例示的なプリズム結合システム28の模式図である。プリズム結合システム28を用いるプリズム結合方法は非破壊的である。この特徴は、研究および開発目的および製造におけるQCのために壊れやすいIOX物品10を測定するために特に有用である。
プリズム結合システム28は、IOX物品10を動作可能に支持するよう構成された支持台30を含む。プリズム結合システム28は、入射面42、結合面44、および出射面46を有する結合プリズム40も含む。結合プリズム40は、屈折率np>n0を有する。結合プリズム40は、結合プリズムの結合面44と表面22とを光学的に接触させることによって、測定中のIOX物品10とインターフェースされ、それにより、一例では厚さTHを有するインターフェース(または屈折率マッチング)流体52を含み得る界面50を定める。一例において、プリズム結合システム28は、界面50にインターフェース流体52を供給するために界面に流体接続されたインターフェース流体供給部53を含む。この構成は、それぞれ異なる屈折率を有する異なるインターフェース流体52を配置することも可能にする。従って、一例において、インターフェース流体52の屈折率は、より高い屈折率またはより低い屈折率をインターフェース流体に加えるためのインターフェース流体供給部53の動作によって変更され得る。一例において、インターフェース流体供給部53は、コントローラ150に動作可能に接続され、コントローラ150によって制御される。
例示的な測定においては、界面50に空気圧接続された真空システム56を用いて、界面における真空の量を変えることによって厚さTHが制御され得る。一例において、真空システムは、コントローラ150に動作可能に接続され、コントローラ150によって制御される。
プリズム結合システム28は入射光軸A1および出射光軸A2を含み、入射光軸A1および出射光軸A2は、プリズム/空気界面における屈折に対処した後、界面50において収束するように、結合プリズム40の入射面42および出射面46をそれぞれ通過する。プリズム結合システム28は、入射光軸A1に沿って順に、波長λの測定光62を発する光源60、軸A2上の検出器経路内に選択的に含まれ得る必要に応じて設けられる光学フィルタ66、拡散光62Sを形成する必要に応じて設けられる光拡散要素70、および、後で説明するように集束した(測定)光62Fを形成する必要に応じて設けられる集束光学系80を含む。従って、プリズム結合システム28の一例では、光源60とプリズム入射面42との間には光学的要素は存在しない。光源60から集束光学系80までの構成要素は、照明システム82を構成する。
プリズム結合システム28は、結合プリズム40から出射光軸A2に沿って順に、焦点面92および焦点距離fを有し後述するように反射光62Rを受光する集光光学系90、TM/TE偏光器100、および光検出器システム130も含む。
入射光軸A1は、光源60と結合面44との間に入射光路OP1の中心を定める。入射光軸A1は、測定されているIOX物品10の表面12に関する結合角度θも定める。
出射光軸A2は、結合面44と光検出器システム130との間に出射光路OP2の中心を定める。なお、入射光軸A1および出射光軸A2は、入射面42および出射面46においてそれぞれ、屈折に起因して屈曲され得る。これらは、入射光路OP1および/または出射光路OP2にミラー(図示せず)を挿入することによって、サブ経路に分割され得る。
一例において、光検出器システム130は、検出器(カメラ)110およびフレームグラバー120を含む。後述する他の実施形態では、光検出器システム130は、CMOSまたはCCDカメラを含む。図3Bは、光検出器システム130のTM/TE偏光器100および検出器110を上方から見た拡大図である。一例において、TM/TE偏光器は、TM部100TMおよびTE部100TEを含む。光検出器システム130は、感光性表面112を含む。
感光性表面112は集光光学系90の焦点面92内に存在し、感光性表面は出射光軸A2に対して概ね垂直である。これは、結合プリズムの出射面46から出る反射光62Rの角度分布を、カメラ110のセンサ平面における光の横方向空間分布に変換する役割をする。例示的な一実施形態において、感光性表面112は画素を含む。即ち、検出器110はデジタル検出器(例えば、デジタルカメラ)である。一例において、各画素は、4マイクロメートル〜5マイクロメートル(例えば、4.65マイクロメートル)の寸法を有し得る。
図3Bに示されているように、感光性表面112をTE部112TEおよびTM部112TMに分割することで、反射光62RのTE偏光およびTM偏光についてのTEモードスペクトル250TEおよびTMモードスペクトル250TMをそれぞれ含む角度反射スペクトル(モードスペクトル)250のデジタル画像を同時に記録することが可能になる。この同時検出は、システムパラメータが時間と共にドリフトすることを所与として、TE測定とTM測定とを異なる時間に行うことから生じ得る測定ノイズの発生源をなくすものである。
図3Cは、光検出器システム130によってキャプチャされたモードスペクトル250を模式的に示す。モードスペクトル250は、導波モード252TEおよび252TMと関連づけられた全反射(TIR)部252と、放射モード並びに漏洩モード254TEおよび254TMと関連づけられた非TIR部254とを有する。TIR部252と非TIR部254との間の遷移は、TE偏光およびTM偏光の各々についての臨界角度を定め、TIR−PR遷移として参照される。各偏光についてのTIR−PR遷移の位置は、TIR−PR位置として参照される。
モードスペクトル250は、TMモードスペクトル250TMおよびTEモードスペクトル250TMの両方を含む。TMモードスペクトル250TMは、モード線またはフリンジ252TMを含み、一方、TEモードスペクトル250TEは、モード線またはフリンジ252TEを含む。モード線またはフリンジ252TMおよび252TEは、プリズム結合システム28の構成に応じて、明るい線または暗い線のいずれかであり得る。図3Cにおいては、図示を容易にするために、モード線またはフリンジ252TMおよび252TEは暗い線として示されている。以下の議論では、より改まった用語である「モード線」に対する略語として、「フリンジ」という用語も用いられる。
応力特性は、モードスペクトル250におけるTMフリンジ252TMおよびTEフリンジ252TEの位置の差に基づいて計算することができる。表面応力CSを計算するには、TMモードスペクトル250TMについての少なくとも2つのフリンジ252TM、およびTEモードスペクトル250TEについての少なくとも2つのフリンジ252TEが必要である。ニー応力CSkを含む応力プロファイルCS(x)を計算するには、更なるフリンジが必要である。
再び図3Aを参照すると、プリズム結合システム28は、プリズム結合システムの動作を制御するよう構成されたコントローラ150を含む。また、コントローラ150は、光検出器システム130から、キャプチャされた(検出された)TEモードスペクトル画像およびTMモードスペクトル画像を表す画像信号SIを受信して処理するよう構成される。コントローラ150は、プロセッサ152およびメモリ装置(「メモリ」)154を含む。コントローラ150は、光源制御信号SLを介して光源60の作動および動作を制御し、光検出器システム130から(例えば、図示されるように、フレームグラバー120から)画像信号SIを受信して処理し得る。コントローラ150は、IOX物品10の上述の応力特性のうちの1以上の測定を達成するために、プリズム結合システム28の動作および上述の画像信号SIの信号処理を含む、本明細書に記載される機能を行うようプログラム可能である。
図3Dは、Li含有ガラス基体20とNaNO3およびKNO3の混合物を用いたイオン交換処理とを用いて形成されたIOX物品10の例示的な測定されたモードスペクトル250の別の模式図であり、モードスペクトルは、それぞれのモード線252TMおよび252TEを有するTMスペクトル250TMおよびTEスペクトル250TE(それぞれ上側部分および下側部分)を含む。TIR−PR遷移は、TMモードスペクトル250TMについて示されている。このLi含有ガラスは、638℃の仮想温度を有する196HLSであった。このガラス試料を、390℃の60重量%のKNO3および40重量%のNaNO3を有する槽中に3時間にわたって配置することにより、ガラスにLi+←→K+、Na+イオン交換処理を行った。
当該技術分野において知られているように、モードスペクトル内のフリンジまたはモード線252TMおよび252TEを用いて、光導波路を構成するイオン交換層と関連づけられた表面圧縮または「圧縮応力」CSおよび層の深さDOLを計算することができる。この例では、モードスペクトル250は、市販のプリズム結合システム、即ち、日本国東京に所在する株式会社ルケオから入手可能なFSM6000L表面応力計(「FSMシステム」)を用いて得られたものであり、このシステムは、本明細書に記載されるシステムと類似している。
例示的なIOX物品10についてのCSおよびDOLの測定値は、それぞれ575MPaおよび4.5マイクロメートルであった。これらは、IOX物品の表面22に隣接するK+が豊富な層、即ちスパイク領域R1のパラメータである。図3DのTEモードスペクトル250TEおよびTMモードスペクトル250TMの左側に追加された補助的な垂直方向の破線は、スペクトル内における、上述の従来のFSMシステムで表面屈折率nsurf TMおよびnsurf TEに対応するように与えられる位置を示す。これらの位置の差は、表面応力または圧縮応力CSに比例する。これらの位置は、層の深さ即ちDOLの計算においても用いられる。
Li+←→K+、Na+イオン交換を受けた化学的強化Li含有ガラスについてのモードスペクトル250において、スペクトル内の最も高次の導波モードに対応する最後のフリンジ252の後に観察される、スペクトルの明るい部分から暗い部分への遷移の位置(即ち、TIR−PR位置)は、TEスペクトル250TEでは、TMスペクトル250Mと比較してシフトされている。TM偏光およびTE偏光についてのこれらのTIR−PR位置は、ニーKNにおける実効屈折率に対応し、図3Dでは、それぞれnknee TMおよびnknee TEとして示されている。表面における実効屈折率は、TM偏光およびTE偏光について、nsurf TMおよびnsurf TEとして示されており、これらは参照用に示されている(図2Aおよび図2Bも参照)。
TEスペクトルとTMスペクトルとの間におけるTIR−PR位置の位置(即ち、nknee TMおよびnknee TEの位置)のシフトは、ニー(圧縮)応力CSk、即ち、ニーKN(即ち、スパイク領域R1内におけるK+濃度が、基体内の元の一定レベルの濃度(例えば、基体本体21を構成するガラスマトリクス内における空間的に一定の濃度))までほぼ減少する深さ)における圧縮応力CSに比例する。
図3Dの理想化されたモードスペクトル250においては、TIR−PR遷移は無限にシャープであるものとして示されている。図3Eの例示的なTMモードスペクトル250TMの模式図を参照すると、実際には、TIR−PR位置は、明るい部分から暗い部分までの漸進的な遷移によって定められ、各遷移は、強度傾斜SLP、幅WTIR−PRおよび位置x’TIR−PRを有し、それらの各々は、実験上の要因および測定システムにおける不完全性に起因して変化し得る。例えば、図3Fおよび図3Gを参照すると、局所的な座標x’が示されており、漏洩モード254LがTIR−PR遷移に非常に近接して下がったときには、これがTIR−PR位置における強度分布に影響し、TIR−PR位置x’TIR−PRが、元の位置からシフトされた位置xs’TIR−PRまで、量Δx’だけシフトされ得る。なお、幅WTIR−PRも影響され得るものであり、典型的には増加する。
ニー応力CSkの測定を改善するための、TM偏光およびTE偏光についてのTIR−PR遷移の正確な決定に悪影響を及ぼす主要な要因の軽減について、以下に述べる。
TMモードスペクトル250TMおよびTEモードスペクトル250TEについてのTIR−PR位置と共に、IOX処理のK+の浸透によって定められるIOX領域24を有するIOX物品10のモードスペクトル250の測定を組み合わせて、優れた耐破砕性を提供する応力プロファイルのファミリーの効果的なQCのために用いることができる。スパイク領域R1は、基体厚さTと比較して、厚さが比較的小さい。例えば、スパイク領域R1は10マイクロメートルの深さ(即ち、DOLsp=10マイクロメートル)であり得、一方、基体はT=800マイクロメートルの厚さであり得る。スパイクSPのプロファイルは、誤差関数(erfc)形状に類似した形状を有し得るが、直線状の深さ分布、ガウス形状の深さ分布、または別の分布に類似していてもよい。スパイクSPの主な特徴は、比較的浅い分布であって、DOLspによって定められるスパイクの底における圧縮のレベルに対して表面圧縮をかなり増加させることである。
図4は、正規化された位置座標z/Tと対比させた圧縮応力CS(MPa)の例示的なプロットであり、K+およびNa+IOX処理を受けた例示的な化学的強化Li含有ガラス基体20についてのモデル応力プロファイル(実線)を示す。図4のプロットにおいて、破線は、Na+拡散のみについてのモデルプロファイルを表す(なお、このモデルプロファイルでは、IOX処理はz/T=−0.5およびz/T=+0.5にそれぞれ存在する2つの表面において行われている)。例示的なプロファイルは、放物線状の深い部分、即ち領域R2と、スパイクSPを有する表面スパイク領域R1とを有する。
本開示においては、圧縮応力CSは正であり、引張応力は負であるものとしている。図4のモデルプロファイルは、領域R2内の深い二次方程式プロファイルの上に加えられた領域R1内の一次方程式のスパイクSPを有する。図4からは、スパイクSPのもう一つの特徴、即ち、スパイクR1における応力分布の典型的な傾斜が、プロファイルの深い部分R2(QC測定を行う目的で、これはべき法則に従うものと仮定され、この特定の例では放物線状(指数p=2)である)における典型的な傾斜よりかなり高いことも認識される。
図5Aは、例示的な化学的に強化されたLi含有IOX物品10についての、実際の測定されたモードスペクトルに基づくTEモードスペクトル250TEおよびTMモードスペクトル250TMを示す、測定されたモードスペクトル250を模式的に示す。ここでも、暗い領域254TMおよび254TEのx’方向のオフセットに注目する。TEスペクトルおよびTMスペクトルについてのTIR−PR位置も示されており、互いに対してオフセットしている。
試料の反りの悪影響の評価および制限
IOX物品10の非平坦さ(反り)は、TIR−PR遷移の検出された位置にランダム誤差および系統的な疑似ランダム誤差を生じることにより、CSk測定の精度を大きく劣化させ得ることが見出された。ニー応力測定に悪影響を及ぼし得る反りの量は人間の目では容易に観察できないので、これは特に問題である。従って、本開示の一態様は、或る量の(目に見えない)反りを有する所与のガラス試料に対するニー応力の正確な決定を行えることを確実にする方法である。
図5Bは、左側に、平坦なIOX物品10についてのTIR−PR遷移、および、右側に、反ったIOX物品についてのTIR−PR遷移を示す模式図である。TIR−PR遷移の傾斜SLPは、斜めの破線によって示されている。なお、この反りは、TIR−PR遷移の傾斜をより緩やかに、(低下したコントラストによって模式的に示されるように)よりぼやけたものにするものであり、これにより、TIR−PR位置として通常割り当てられる、遷移の最大傾斜の位置についての不確実性が高まる。
更に、IOX物品10の反りは、反りの程度および向き(凸面または凹面)に応じて、および、プリズム結合領域の中心(より具体的には、結合プリズム40の結合面44の照明された領域)に対して相対的に反った(例えば、湾曲した)ガラス表面の頂点の位置に応じて、モードスペクトル250における漏洩モードの強度パターンを、導波モードのパターンに類似して見えるようにし得る(およびその逆)ことが観察されている。これらの影響は、TIR−PR位置の検出における比較的大きい誤差につながり、それに対応して、ニー応力CSkの測定における数十MPa台の誤差につながり得る。
本明細書において開示される方法の一態様は、測定されたモードスペクトル250における反りのシグネチャーについてのテストを行う。反りのシグネチャーは、例えば、図5Bに示されているように、TIR−PR遷移についての、平坦な試料についての典型的な傾斜より顕著に小さい(傾斜がより緩やかな)光強度の傾斜を含む。もう一つのシグネチャーは、強度プロファイルの導関数(即ち、強度の角度分布の導関数)によって形成される曲線の幅の増加によって示されるように、TIR−PR遷移において予測される広がりよりも広い。
反りのレベルが許容可能であるか否かについてテストは、TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルのうちの一方または両方についてのTIR−PR遷移位置の測定値を用いて行われ得る。モードスペクトル250を用いた通常の応力測定では、TM遷移は、特に、化学的に強化されたLi含有ガラスについては、当然ながら、よりシャープである。従って、試料の反りのレベルが許容可能であるか否かについてのテストは、好ましくは、TMモードスペクトルのみのTIR−PR遷移に制限され得る。
反ったIOX物品10では、導波または疑似導波光学モードに対応するモードスペクトル250TMおよび250TEにおけるモードフリンジ252TMおよび252TEは、特に、これらのモードフリンジのうちの最も狭いフリンジに関して、広くなる傾向も有することが観察されている。この広がりの結果としても、これらのフリンジのコントラストが低下する。よって、部分的には試料の反りから生じるランダム誤差および疑似ランダム誤差を制限するために、本方法は、選択された最も狭いフリンジの幅、そのようなフリンジにわたる強度プロファイルの導関数のピーク傾斜(例えば、二次導関数のピーク絶対値)、フリンジのコントラスト、またはそれらの任意の組合せの測定値を用い、それらの測定値を、許容可能なレベルの反りを有する試料のモデリングまたは以前の測定値に基づく予測される許容可能な基準と比較する。
一例では、試料の反りの量が許容可能であるか否か、即ち、十分な精度を有するCSkの測定につながるか否かをテストするために、TM臨界角度の実効屈折率に最も近い実効屈折率およびTM臨界角度の実効屈折率より高い実効屈折率を有する導波モードTMフリンジの強度プロファイルの幅、ピーク二次導関数、およびコントラストの任意の組合せが用いられ得る。
なお、幾つかの実施形態では、このテストのために選択されるモードフリンジは、臨界角度(即ち、TIR−PR遷移位置)に対して相対的であるかを問わず、単に、所与のモードスペクトルにおける最も狭いフリンジであってもよく、TIR−PR位置の粗推定は、反りの量が許容可能であるか否かを評価するテストの後に行われてもよい。
一例において、本方法は、例えば、LOESSアルゴリズムおよび/またはデジタルローパスフィルタもしくはバンドパスフィルタを用いる標準的なノイズ除去技術によって、モードスペクトル(信号)をコンディショニングする。LOESSアルゴリズムは、W.S.Clevelandによる「Robust locally weighted regression and smoothing scatterplots」(Journal of the American statistical association, vol. 74, No. 368, pages 829-836 (December 1979))という記事に記載されている。信号のノイズ除去は、信号の導関数のノイズによって誘発される大きい偏位によって生じる決定ルーチンにおける誤差の低減に非常に有用である。ローパスフィルタまたはバンドパスフィルタの帯域幅は、スペクトルにおける最も狭いフリンジの、フィルタによって生じる広がりが、反りによるスペクトルの広がりが許容不可能であるとして不合格にするための閾値より、ほぼ小さくなるように選択される。
従って、本開示の態様は、反った表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを定めるIOX領域を含む、化学的に強化されたLi含有ガラス試料(IOX物品10)におけるニー応力の測定を改善する方法を含む。この方法は、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルのうちの少なくとも一方の画像をキャプチャする工程と、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルのうちの少なくとも一方について、全反射と部分反射との間の遷移(TIR−PR)における光強度の傾斜を測定すると共に、TIR−PR遷移の幅を測定する工程と、測定された傾斜SLPおよび測定された幅WTIR−PRを、平坦な表面を有する基準ガラス試料と関連づけられた傾斜(傾き)閾値STHおよび幅閾値WTTIR−PRと比較する工程とを含む。
一例において、基準ガラス試料は、反ったガラス試料を形成するために用いられるのと同じIOX処理を用いて形成される。
別の例において、本方法は、最も狭いTEモードフリンジおよび最も狭いTMモードフリンジのうちの一方のフリンジ幅を測定する工程と、測定されたフリンジ幅を、基準ガラス試料によって定められるフリンジ幅閾値と比較し、測定されたフリンジ幅がフリンジ幅閾値以下である場合にのみ、ニー応力の決定を進める工程とを含む。
照明の不均一性の悪影響の評価および制限
モードスペクトルにおける系統的誤差および疑似ランダム誤差を生じる別の不完全性は、モードスペクトルを生じるために用いられる照明の不均一性に関係する。そのような照明の不均一性の一例は、照明角スペクトルの勾配、およびモードスペクトルに対して相対的な照明角スペクトル分布の向きの変化である。
強度分布の角スペクトルの顕著な勾配は、光源60、結合プリズム40、およびモードスペクトルの画像をキャプチャするために用いられるプリズム結合システムの周囲のアパーチャの組合せによって生じ得る。照明の不均一性は、それらがTIR−PR遷移位置の近傍にある場合、および、例えば図3C、図3D、および図5Aに示されているようにx’方向に沿った強度勾配が存在する場合に、特に問題である。この理由は、照明の不均一性が、TIR−PR遷移位置およびフリンジ位置をシフトさせ、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルについてのシフトが同じではない場合に、直接的CSk測定における誤差を生じ得るからである。別のタイプの不均一性は、検出器アレイの汚れであり、これは、幾つかの画素を局所的に暗くして、臨界角度位置を決定するための最も傾斜が急な強度傾斜の検出を妨げ得る。
たとえTEおよびTMについてのTIR−PR遷移位置の近傍における照明の勾配が同じであっても、TEモードおよびTMモードについてのTIR−PR遷移の傾斜が異なり、それらの照明勾配に対する感度が異なることから、それに対応する臨界角度の見掛けのシフトは異なり得る。
本開示の一態様は、照明の不均一性によって生じる誤差を低減することにより、CSk測定を改善する方法に関する。一例において、反射角スペクトルにおける明るい部分(TIR領域)における信号のローパスフィルタ処理された成分が解析され、それが許容可能な上限より大きい勾配を含む場合には、コントローラ150は(ソフトウェアを介して)、測定を行う前に照明勾配を直すことを要求する。これは、光源60を調節すること、または、光源60からの光線62内に光学勾配フィルタ66を追加することによって行われ得る。
漏洩モードの悪影響の評価および軽減
再び図3E〜図3Gを参照すると、TIR−PR遷移位置に近接した漏洩モード(254L)の存在が、遷移の近傍において強度プロファイルを顕著に変化させることが認識されている。これは、ひいては、疑似ランダム誤差だけでなく、顕著な系統的誤差にもつながり得る。そのような誤差は、上述のように、試料の中程度の反りまたは照明強度の勾配のような他の影響による誤差と組み合わせられ得る。そのような訳で、漏洩モード問題は、TIR−PR遷移位置を(図3GのΔx’だけ)シフトさせ、CSkの推定における許容不可能なほど大きい(数十MPaであり得る)誤差につながり得るので、それ自体がかなり問題となり得る。
漏洩モードは、導波路領域(即ち、TIR部252)における最も低い屈折率より低い(本願の例では、カリウムスパイクの底における屈折率より(例えば、プロファイルにおけるニー点に対応する屈折率より)低い)実効屈折率を有する。この場合には、導波路内においてキャプチャされるこのモードの光は、ガラス基体20の本体21の下層にある部分内へと漏れる前に、導波路領域(IOX領域24)内において何回か跳ね返る。
TIR−PR遷移の屈折率に近い実効屈折率を有する漏洩モード254Lは、この遷移の近傍において結合共振を生じる傾向があり、従って、図3Fおよび図3Gに示されているように、TIR−PR遷移位置の周囲における角度強度分布を変形させる。これは、ひいては、臨界角度と関連づけられた真の位置に対して相対的なTIR−PR位置における、強度分布の最大傾斜の位置のシフトΔx’を生じる。即ち、漏洩モード254Lは、漏洩モードの不在下で測定された実際の位置に対して相対的な、測定されたTIR−PR遷移位置のシフトを生じ得る。
本開示の一態様は、漏洩モード254Lに起因するTIR−PR遷移位置のシフトに対処する(即ち、補償する)ことによる、ニー応力CSkの測定の改善に関する。
TIR−PR遷移位置は通常通り確立され得るが、強度分布のTIR−PR遷移より低い実効屈折率に対応する位置に幅の広い共振が存在する場合には、最も傾斜が高い位置のシフトに対する補正が行われる。この補正は、漏洩モードの幅の広い共振に対応する強度の極値の位置と、TIR−PR遷移のピーク傾斜の測定された生の位置との間の距離に基づいて計算される。この距離は、遷移の位置が現在評価されている同じ偏光状態(TMまたはTE)における2つの最も高次のモード間の距離について、或いは、実効屈折率における導波モードの間隔、またはそれらに対応する結合共振の角度空間内もしくは測定検出器上における位置の任意の組合せについて、正規化され得る。
プロファイルの領域R1におけるカリウムイオンの深さD1のゆっくりとした連続的な増加(図2を参照)に伴って、漏洩モードの実効屈折率はゆっくりと増加し、TIR−PR遷移の実効屈折率に近づく。同時に、それに対応する共振のモードスペクトルにおける幅は減少し、それに対応するスペクトルの特徴(モードフリンジ)のコントラストが増加する。プリズム−試料界面50から反射された光の角度分布が検出されて解析される場合には(即ち、モードスペクトル250の形態で)、光検出器システム130は、導波モードの結合共振に対応するモードフリンジが暗いフリンジである領域内の反射光62Rを集めるよう構成され得る。この場合、漏洩モードに対応する共振も暗く、そのコントラストはTIR−PR遷移位置に近づくと増加し、更に低い光強度(より暗い共振)を生じる。
図5Cは、例示的な漏洩モード共振、即ち、漏洩モードの強度分布の模式図である。一実施形態において、測定された臨界角度の位置(TIR−PR位置)のシフトに対する補正は、漏洩モードの共振の幅BR(例えば、半値全幅)の測定値、IMAXおよびIMIN強度に基づく漏洩モードの共振(強度分布)のコントラスト(例えば、コントラスト=[IMAX−IMIN]/[IMAX+IMIN])、IMAXおよびIMIN強度に基づく漏洩モードの強度極値における正規化された強度、並びに、漏洩モードの検出された極値の位置x’LMとTIR−PR遷移のピーク傾斜の生の位置x’TIR−PRとの間の間隔SX’(実効屈折率における、または対応する変数(例えば、角度間隔、画素間隔、または検出器上における距離等)を含む組合せに基づいて、計算される。幾つかの実施形態では、補正を計算するために、漏洩モード共振の2つの側における正規化された強度の比率も用いられる。
従って、本明細書において開示される方法の一態様は、1以上の漏洩モード254L(TE、TM)が近くに存在することに起因する、TMモードスペクトル250TMにおける、またはTMモードスペクトル250TMおよびTEモードスペクトル250TEの両方におけるTIR−PR位置のシフトを補正する方法を含む。この補正は、ニー応力測定を行うことができるプロファイルの範囲を拡張する。即ち、ニー応力CSkを決定できる測定窓を広げる。
TMおよびTE測定のスイートスポットは、モード間隔の分数部分として測定され得るものであり、一例において、通常はそれぞれ約0.5モードの幅である。TMおよびTE測定のスイートスポットは互いに対してオフセットしているので、測定窓全体は実際にはより狭く、TMモードスペクトル250TMおよびTEモードスペクトル250TEの両方を考える場合には、例えば、約0.3モードの幅である。
漏洩モードの存在に対して補正を行うと、TMスペクトルおよびTEスペクトルの各々についての測定窓は約0.9モードの幅になり得る。TMスペクトル250TMとTEスペクトル250TEとの間に0.2モードのシフトがある場合には、測定窓全体は0.7モードの幅になり、これは、2倍を超える測定窓の増加を表す。
ニー応力CSkの計算において、漏洩モードの存在に対する補償を行う例示的な方法は、以下の通りである。
1)TMモードスペクトルおよびTEモードスペクトルの各々について、TIR−PR遷移の最大傾斜の位置を決定する。
2)TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルから、漏洩モード位置を決定する。ここで、漏洩モードは、TIR−PR遷移の後の極小値として定められる。特定の例では、極小値は、30画素以内において生じる6/255(絶対単位)の正規化された強度極小値として定められる。
3)画素数、実効屈折率、または角度空間のいずれかにおけるTMおよび/またはTE漏洩モード補正量を決定する。
4)漏洩モードの半値幅を決定する。
5)漏洩モード補正が漏洩モードオフセットより大きい距離である場合には、漏洩モード補正を行わない。
6)臨界角度の最終的な位置を、初期最大傾斜位置+漏洩モード補正として決定する。
7)漏洩モードが正確に臨界角度に存在する場合に対して、臨界角度をより低い実効屈折率までシフトすることによって補正を行う。
8)TEの合計モード数がTMより高い場合に対して、補正を行う。これは、反りに起因してTE遷移の幅が広がることによって生じる。
本開示の別の態様は、表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、光を導波および漏洩モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化されたLi含有ガラス試料におけるニー応力の測定を改善する方法に関する。この方法は、導波および漏洩モードのTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルの画像をキャプチャする工程と、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルの各々について、導波路内においてサポートされる光の全反射と部分反射との間の遷移(TIR−PR)の最大傾斜の位置を測定する工程と、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルから、漏洩モードの位置を、TIR−PR遷移の後の極小値として決定する工程と、漏洩モード位置から、漏洩モードによって生じたTIR−PR位置のシフトの量を決定する工程と、補正されたTIR−PR遷移位置に到達するために、TIR−PR遷移の測定された位置からのシフトの量を加算する工程と、補正されたTIR−PR遷移位置を用いて、ニー応力を決定する工程とを含む。
測定窓のサイズを増加させるための他の手法
以上において記載したシステムおよび方法は、検討中の偏光状態(即ち、TEまたはTM)におけるスパイクの非整数モード数の分数部分(「分数モード数」)が約0.65より大きく且つ1より小さい場合に、臨界角度のシフトに対する補正を計算することによって、IOX物品10のニー応力CSkを測定するための測定窓、即ち「スイートスポット」のサイズを効果的に増加することを可能にするものである。ニー応力CSkの直接的な測定について知られているように、TIR−PR遷移の直接的な測定は、分数モード数が約0.2〜0.7、より好ましくは約0.3〜0.65であるときに、比較的正確である。
本開示の別の態様は、最後の導波モードからピーク傾斜位置までの距離が0〜0.2の分数モード数に対応する場合に、遷移のピーク傾斜の位置から測定されたTIR−PR遷移位置のシフトに対する補正を行う方法に関する。この場合には、最も近い漏洩モードがTIR−PR遷移位置からかなり離れているので、漏洩モードに起因するピーク傾斜位置のシフトに対する寄与は重要ではない。この場合の、実際のTIR−PR遷移位置に対して相対的なピーク傾斜位置のシフトは、最も高次の導波モードの共振の幅が広がることによって生じる。この幅の広がりは、測定システムの解像度の限界、プリズム内を伝搬するモードに対する導波モードの結合の強さ、および、上述のように、測定されたIOX物品の(許容される)レベルの反りに起因する幅の広がりによって生じる。
最も高次の導波モードの共振の幅が広がることにより、結合共振の強度分布が、一方の側において、TIR−PR遷移と重なる。これは、ひいては、共振の強度分布を非対称にすると共に、漏洩モードが存在する場合に生じるのと同様に、TIR−PR遷移の近傍における強度分布の形状を変化させる。これは、TIR−PR遷移に近接した角度強度分布の変化の結果として、臨界角度の位置の代理として用いられる、TIR−PR遷移の最も傾斜が高い位置をシフトさせる。必要な補正の量は、多数の異なるスペクトルを解析することによって決定され得る。
一実施形態において、漏洩モードが近くに存在することによって生じるシフトに対する補正、および、導波モードがTIR−PR遷移に近接していることによって生じるシフトに対する補正は、通常は同時に作用しない2つの別々のシフト原因(通常は一方または他方のみがシフトを生じさせるため)が存在するにしても、単一の数式を有する、または論理および数式を有する単一の補正として組み合わされる。
上記の実施形態において、測定された結合スペクトルにおける漏洩モードのシグネチャーは、導波モードのシグネチャーとはかなり異なるものであり、漏洩モードを検出して導波モードから区別するために、比較的単純な方法を実装した。具体的には、この場合、漏洩モードについての共振は、近くにある導波モードの共振より遥かに幅が広く、漏洩モードの強度プロファイルのコントラストは、導波モードの強度プロファイルのコントラストより遥かに小さい。
一部のケースでは、モード(導波または漏洩)と臨界角度との間の距離は非常に小さく、スパイクの典型的なモード間隔の約0.15より小さい。そのような場合には、僅か1つか2つのパラメータ(例えば、共振の幅および共振のコントラスト等)に基づいて導波モードと漏洩モードとを区別するのは、どちらのパラメータも、臨界角度に近接した漏洩モードおよび導波モードについて観察されるそれらに対応する範囲が重なるので、遥かに困難になる。
更に、導波モードは、その角度強度分布の低屈折率側の強度を顕著に低下させるのに十分な幅の広がりを有し得るので、その強度分布は、TIR−PR位置の近傍にある漏洩モードの強度分布に非常に似たものとなる。その場合、共振が導波モードまたは漏洩モードのいずれに属するかがわからないので、臨界角度を共振の高屈折率側の最も急な傾斜に割り当てるべきか、または共振の低屈折率側の最も急な傾斜に割り当てるべきかがはっきりしない場合がある。
更に、共振を漏洩または導波として割り当てることを補助し得る強度パターンの特徴を人間が識別することも可能ではあるが、反りおよび不完全な照明の影響は、そのような漏洩であるかまたは導波であるか疑がわしい共振の割り当てにおいて、容易に誤差を生じ得る。この場合、TIR−PR遷移の位置が、近くにある共振の実質的効果の範囲内にある場合には、共振を漏洩または導波として割り当てるためのより洗練された手法が好ましい。
共振を導波または漏洩として割り当てることは、共振の幅、共振のコントラスト、共振のいずれかの側における強度分布の差、共振強度プロファイルにおけるピーク二次導関数、最も近いTEまたはTM導波モード共振の幅、最も近いTEまたはTM導波モード共振のコントラスト、疑がわしい共振より高い実効屈折率を有する全ての導波モード共振を含む全ての共振の相対的な間隔、並びに、既に識別されている最も高次モードの共振および疑がわしい共振からの間隔を用いる。
例示的な方法は、共振の幅および共振のコントラストを用いて、TIR−PR遷移の後の共振を「漏洩」として識別して割り当てる。漏洩モードの位置は、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルから決定され、ここで、漏洩モードは、TIR−PR遷移の後の極小値として定められる。特定の例では、極小値は、30画素以内で生じる正規化された6/255(絶対単位)の強度極小値として定められる。
更に、例示的な方法は、漏洩モードの存在に対処するために、経験的な加法補正を用いて、TIR−PR遷移をシフトし得る。一例において、LWが漏洩モード幅(FWHM)として定められ、LOがTIR−PR遷移の最大傾斜からの漏洩モードの位置のオフセット(画素)として定められる。TMについての漏洩モード補正の特定の例は、TM_Correction=−3.8・LW+61.1・(1/LO)として定められる。TEについての漏洩モード補正の特定の例は、TE_Correction=10.6・LW+−31.2・(1/LO)として定められる。次に、この漏洩モード補正が、TMまたはTEのそれぞれの最大傾斜のTIR−PR遷移位置に加算される。
高品質モードスペクトル画像を用いることによるCSk測定の改善
上述の方法は、TIR−PR遷移のいずれか(TMまたはTE)が厳密に測定スイートスポット内に存在しない場合に、系統的誤差を実質的に低減することにより、直接的CSk方法の適用可能性の範囲を顕著に増加させることができる。導波モードがTIR−PR遷移に非常に近接した位置(例えば、臨界角度モード間隔の約0.05より小さい範囲内)にある場合のみ、試料の測定値に顕著なばらつきが生じる。この場合には、モード共振コントラストが顕著に減少して、モードが適切に検出されない場合もあり得る。よって、直接的CSk方法を用いて測定可能な条件の範囲を増加させる(例えば、2倍にする)ために、ここに記載される新たな方法が用いられ得る。
一例において、本方法は、TIR−PR遷移をより低い実効屈折率空間に向かってシフトさせることにより、TMスペクトル250TMにおけるこのほぼ整数である合計モード数に対処できる。特定の例において、TEスペクトルは漏洩モードを含み、TMスペクトルは(上述の共振コントラストの低下に起因して)漏洩モードを含んでいるようには見えず、TM分数モード数が0.65〜1.00である場合には、TMTIR−PR遷移は、数百のモードスペクトルを解析することによって経験的に決定される選択された画素数(例えば、8画素)だけ、より低い屈折率の空間に向かってシフトされ得る。
上述の方法の改善された精度およびの適用可能性の範囲の増加にかかわらず、多くのケースでは、単一の直接的CSk測定で達成される精度は、QCを行うには十分ではない場合がある。よって、本開示の別の態様は、より良好な精度を有するQC方法を含む。
一実施形態において、最も狭い結合共振の幅を、想定される高品質モードスペクトル画像についての予測された基準値と比較することに基づいて、モードスペクトル画像の品質が評価される。測定は、モードスペクトル画像が、高品質モードスペクトル画像を定義する選択された基準に合格すると見なされる場合にのみ許容される。更に、モードスペクトル画像は少なくとも2回、好ましくは3回キャプチャされ、それぞれの測定間で、プリズム、または照明強度もしくは角度分布に対する相対的な試料位置が変更され、直接的CSkのために幾つかの(少なくとも2つの)生値が取得され、少なくとも2つの生値の平均値が報告される。
例示的な方法は、ニー応力CSkを±15MPa、±10MPa、または±5MPa以内の精度で決定できるように、キャプチャされたモードスペクトル画像の画像品質についての1以上の基準を定めることを含む。一例において、本方法は、モードフリンジの半値強度幅を正確に測定することを含む。これは、フリンジの他方の側における強度のオーバーシュートによって正規化され得るフリンジの一方の側における強度のオーバーシュートを考量し、遷移位置(最大傾斜の位置)におけるTM強度傾斜およびTE強度傾斜の相対的な高さを測定し、次に、遷移位置(最大傾斜の位置)におけるTM強度傾斜およびTE強度傾斜を決定する/割り当てることを含み得る。
例示的な方法において、所与のTMモードスペクトル250TMまたはTEモードスペクトル250TEの画像は、
1)TEフリンジのオーバーシュート>16/255(絶対単位)であり、且つ、TM強度傾斜>−25/255(絶対単位)であり、且つ、平均フリンジ幅>8(画素)である場合、または、
2)TM強度傾斜>−10/255(絶対単位)であり、且つ、平均フリンジ幅>8(画素)である場合、または、
3)TEフリンジのオーバーシュート>30(絶対単位)であり、且つ、平均フリンジ幅>8(画素)である場合、または、
4)平均フリンジ幅>40(画素)である場合
には、ニー応力CSkを計算するために許容不可能であると見なされる。
本開示の別の態様は、表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、光を導波モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化されたLi含有ガラス試料におけるニー応力の測定を改善する方法であり、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルの画像をキャプチャする工程と、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルの各々について、導波路によってサポートされる光の全反射と部分反射との間の遷移(TIR−PR)の傾斜SLPを測定する工程と、傾斜SLPを傾き閾値STHと比較し、傾斜を用いて、TIR−PR遷移の位置を決定し、傾斜SLPが、選択された傾き閾値より大きい(より傾斜が急である)場合にのみ、補正されたTIR−PR遷移位置を用いてニー応力を決定する工程とを含む。
直接的方法と間接的方法とを組み合せることによるCSk測定の改善
本発明の別の実施形態によって、ニー応力CSkの測定の精度の更なる改善が得られ、この実施形態では、良好に実装された直接的CSk方法の精度が、間接的方法(例えば、「birefringence of the higher-order guided mode method(より高次導波モードの複屈折法)」、即ち、BHOGM)の高い精度と組み合わされる。
直接的CSk方法は、TMおよびTEのTIR−PR遷移位置間のオフセット(例えば、図3Dを参照)と材料の応力光学係数SOCとから、例えば、関係CSk=[ncrit TE−ncrit TM]/SOC(式中、ncrit TEおよびncrit TMは臨界角度における(即ち、TEモードスペクトル250TEおよびTMモードスペクトル250TMのそれぞれについてのTIR−PR遷移における)実効屈折率の値である)によって、決定された複屈折を用いる。
上述のように、本方法は、照明の不均一性を低減し、漏洩モードの存在およびTIR−PR遷移の形状に対するそれらの影響に対処して、TIR−PR遷移の強度プロファイルの最大傾斜の位置のシフトに対する補正を行うことにより、測定精度およびニー応力CSkの精度を高めるよう改善されたものである。
この改善された方法は、モードスペクトル250の幾つかの画像特性を用いて、TIR−PR最大傾斜位置を補正し、それにより、遥かに正確な直接的なCSkの計算が得られる。対象のモードスペクトル画像特性としては、TIR遷移の第1の導関数の半値幅、TIR−PR遷移の極小値における負の傾斜の値、遷移の後の強度、遷移における強度、遷移の前の強度、遷移の前後の傾斜のオーバーシュート、漏洩モードに起因するTIR−PR遷移のオフセット、共振の幅によって評価される漏洩モードのシャープネス、および漏洩モードの強度が挙げられる。
この実施形態では、QC中に測定システムを順次通過する大半の試料が、測定のシーケンスにおいてそれらと隣り合う試料とかなり類似しているという事実を利用する。この理由は、試料が、IOX処理の連続運転からバッチとして送られてくるので、1回の連続運転における大半の試料が典型的には略同一であることである。これは、複数の試料を用いて直接的に測定されたニー応力CSkの移動平均をとることを可能にし、移動平均の精度は、単一の直接的CSk測定の精度よりも顕著に良好である。移動平均を用いて、同じ(モードスペクトル)測定シーケンスにおいて得られた間接的CSkの値が有効であるか否かが判定され得る。各試料について、CSkの間接的な値が、測定されたCSkの値として割り当てられる。しかし、これは、測定されたパラメータ(CS、DOL、間接的CSk)のうちの1以上が、それら1以上のパラメータの移動平均の予め定められた許容可能な逸脱の範囲内にある場合にのみ、有効であると見なされる。一部のケースでは、同じ試料についての直接的CSk値が、予め定められた許容可能な量を超えて逸脱しないことも要求され得る。
更に、測定の有効性に対する更なる要件は、表面応力CSおよびスパイクSPのDOLが、それらの対応する移動平均からの予め定められた許容可能な逸脱の範囲内であるという要件、および、選択されたモード間隔または選択されモード間隔比が、それらの対応する移動平均からの許容可能な予め定められた逸脱の範囲内であるという要件を含み得る。
直接的に測定されたCSk、CS、DOL、選択されたモード間隔またはモード間隔比に、対応する移動平均からの突然の大きい変化が観察された場合には、その試料は同じシーケンスに属していないと見なすことができ、更なる測定が行われ得る。移動平均の再スタートもトリガされ得る。それ以前の試料の移動平均の利益が失われているので、一実施形態では、直接的CSk測定を再スタートするには、非常に高品質のモードスペクトル画像のみが許容されることが要求され得る。これは、移動平均が再スタートされた際の、高品質な直接的CSk測定につながる。再スタートの試料に割り当てられるCSk値が、その試料についての2以上の高品質な直接的CSk測定値の平均であることも要求され得る。
一部の低品質なモードスペクトル画像は、ソフトウェアによって移動平均を生じた群に属すると見なされた試料の測定のためには許容可能であり得るが、選択された品質基準を満たさないモードスペクトル画像は、CSk値についての移動平均の正確さおよび改善された精度を保つ目的で、移動平均に加えられずに不合格にされ得る。
間接的方法(例えば、BHOGM等)の高い精度の利益は、直接的CSk推定の精度がかなり低くなるそのような低品質モードスペクトルによって最も利用される。しかし、間接的BHOGMは、依然として、妥当に良好な精度を有するのが典型的であるので、一例では、直接的CSkは、試料が、間接的CSk方法が有効な値を生じた群に属するか否かを決定するためだけに用いられる。
それと関連する実施形態において、移動平均は、間接的BHOGMに特定の較正を行って或る試料を或る群に属するものとして割り当てるために用いられるのみならず、間接的BHOGMの較正を動的に変更するためにも用いられる。上述のように、試料の測定されたパラメータのうちの1以上(例えば、直接的CSk、CS、DOL)が、それらの対応する移動平均の範囲外であると見なされた場合には、その移動平均は破棄され、好ましくは、より高品質の画像と、新たな群の最初の試料または最初の幾つかの試料に対する複数回の測定とを求める要求を課すことにより、新たな移動平均がスタートする。
次に、スタートした直接的CSkの新たな移動平均、および最も高次の導波モードの測定された複屈折から、BHOGMに対する較正係数が計算され、この較正係数は、後続の試料の測定されたBHOGMおよび較正係数の使用に基づいて、後続の試料のCSk値を割り当てるために用いられる。較正係数は、それ自体の移動平均を生じることによって改善され、新たな移動平均をスタートした試料のプロファイルと類似のプロファイルを有するシーケンス内の残りの試料に対して、高精度の間接的な測定の利益が提供される。
ニー応力CSkを測定する間接的方法は、特定のガラス組成物、IOX処理条件、およびガラス厚さについて較正されたスケーリング係数(F4)で乗算された最後のモードの複屈折(βx)を用いる。
CSkindirect=βx・F4
本ハイブリッド方法は、改善された直接的方法を用いて、精度の改善のための様々なIOX処理条件およびF4の移動平均についてスケーリング係数F4を較正して、精度の改善のために直接的CSkのばらつきを軽減する。F4の移動平均に加えて、フリンジ間隔比、圧縮応力CS、およびDOLの移動平均が保存される(即ち、コントローラ150のメモリに格納される)。一例では、15点の移動平均が用いられる。
ステップS1〜S9を有する図6のフロー図および以下の説明は、処理の第1のステップS1である試料の測定、即ち、測定されたモードスペクトルに基づいて、CSkを決定するハイブリッド方法を行うために用いられる、基本的な計算およびソフトウェア論理を概要を示すものである。本方法は、本明細書において開示される全ての方法と同様に、非一過性のコンピュータ可読媒体において具現化される指示の形態のソフトウェアを用いるコントローラ150において行われ得る。
第2のステップS2は、上述のように、改善された直接的CSkを最後のモード複屈折(βx)と関係づける、間接的CSkのスケーリング係数F4を以下のように計算する。
F4 instant=CSkdirect/βx
第3のステップS3は、再較正が必要であるか否かを決定する。自己再較正が必要である場合には、ステップS4において移動平均が消去され、新たな移動平均がスタートする。この決定ステップの基準は、以下のうちの1以上を含み得る。以下の閾値は、例示的な一実装例である。
1)TM(0,1,2)フリンジ間隔比と移動平均との差が0.07より大きい(第2のステップのみ)。
2)TM(0,1)フリンジ間隔と移動平均との差が14画素より大きい(第1のステップのみ)。
3)CSと移動平均との差が70Mpaより大きい。
4)DOLと移動平均との差が0.7μmより大きい。
5)CSと移動平均との差が35Mpaを超え、且つ、DOLと移動平均との差が0.35μmより大きい。
6)漏洩モードの状態が変わる(例えば、移動平均には漏洩モードは存在せず、新たな測定は漏洩モードを有する(またはその逆))。
7)ソフトウェアにおけるレシピコードが変わる。
8)IOX処理の条件(例えば、K、Na槽濃度、拡散温度等)が変わる。
再較正が必要ない場合には、第5のステップS5は、選択された画像品質基準に基づいてモードスペクトルの画像品質をチェックすることを含む。画像品質基準は、一例においては、以下のうちの1以上を含み得る。
1)TIR遷移勾配≦-30(遷移の傾斜が急でなければならない)。
2)半値強度における平均モード幅≦10画素。
3)平均モードオーバーシュート≦25(即ち、モードの後の白い領域は存在してはならない、または非常に低い強度でなければならない)。
画像品質が「良好」であると見なされた場合には、第6のステップS6は、移動平均を更新することを含み、これは、移動平均F4 averageを確立するために、F4 instantを移動平均F4のアレイに加えることを含む。画像品質が「悪い」場合には、本方法はステップS7に進み、アレイが有するデータ点が3つより少ないか否かを問い合わせる。「yes」である場合には、本方法はステップS8に進んで、測定をキャンセルし、コントローラにエラーメッセージを発行させ、本方法はステップS1に戻り、IOX物品(試料)の再測定を行わせる。画像品質が悪く、アレイが2つより多いデータ点を有する場合には、本方法は、最後のステップS9に従って、試料のニー応力CSkhybridを測定するが、F4 instantをF4移動平均アレイに(即ち、移動平均F4 averageに)加えず、即ち、本方法は第6のステップS6をスキップする。
ステップ5において良好とされたモードスペクトル画像については、ステップS6が行われ、本方法はステップS9に進み、そこで、式CSkhybrid=βx・F4 averageによってハイブリッドニー応力が計算される。このニー応力CSkhybridのハイブリッド計算は、十分な数の試料(例えば、3個以上の試料、好ましくは5個以上の試料、または10個以上の試料)に対して、±15MPa以内の精度、および±3MPa以内の精度を生じ得る。
本開示の別の態様は、表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、単調に減少する屈折率プロファイルを有するスパイク領域内において光を導波モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化された各Li含有ガラス試料におけるニー応力CSkを測定する方法である。この方法は、複数のガラス試料の各々について、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルを測定する工程と、測定されたTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルの各々について、ニー応力CSkdirectを直接的に測定すると共に、βxが最後のモードの複屈折でありF4がスケーリング係数であるCSkindirect=βx・F4によってニー応力を間接的に測定する工程と、直接的に測定されたニー応力CSkdirectを用いて、関係F4=CSkdirect/βxによって、スケーリング係数F4についての移動平均F4 averageを計算する工程と、ハイブリッドニー応力CSkhybrid=βx・F4 averageを計算する工程とを含む。
QC方法
本開示の複数の態様は、本明細書において開示されたIOX物品(ガラス試料)10の形成のQC方法に関する。
例示的なQC方法は、化学的に強化されたLi含有ガラス試料10を形成するために用いられるイオン交換(IOX)処理のQCを行うことに関する。本方法の第1のステップは、IOX処理によって形成された複数のガラス試料の各々について、導波モードのTEモードスペクトル250TEおよびTMモードスペクトル250TMを測定することを含む。次のステップは、測定されたTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルを、同じIOX処理を用いて形成された少なくとも1つの基準ガラス試料の基準TEモードスペクトルおよび基準TMモードスペクトルと比較することを含む。一例では、測定誤差を回避するために、基準試料は全て平坦な表面を有する。次のステップは、測定されたTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルが基準TEモードスペクトルおよび基準TMモードスペクトルの少なくとも1つのモードスペクトル許容差以内になるよう保つために、IOX処理パラメータのうちの1以上を調節することを含む。例示的なIOX処理パラメータとしては、拡散されるイオン(例えば、K+およびNa+)の濃度、拡散温度、および拡散時間が挙げられる。
本QC方法は、測定された試料のTIR−PR遷移の傾斜を、基準試料のTIR−PR遷移の傾斜と比較することも含み得る。この場合には、少なくとも1つのモードスペクトル許容差は基準傾斜を含み、測定された傾斜は、少なくとも基準傾斜と同程度の傾斜である。
本QC方法は、測定されたモードスペクトルのTMフリンジ252TMおよび/またはTEフリンジ252TEの幅を、基準モードスペクトルのTMおよび/またはTEの幅と比較することも含み得る。この場合には、少なくとも1つのモードスペクトル許容差は基準幅を含み、測定された基準幅が基準幅以下であれば、IOX処理が条件を満たしていることを示す。測定されたフリンジ幅が基準フリンジ幅より大きい場合には、IOX処理に対して1以上の調節を行う必要がある。
一例において、本QC方法は、各ガラス試料についてのニー応力CSkを決定し、決定されたニー応力を、ニー応力に対する許容差範囲と比較して、決定されたニー応力が許容差範囲に含まれない場合には、IOX処理を調節することを含み得る。一例において、ニー応力許容差範囲は、複数の基準ガラス試料のニー応力を測定することによって決定され得る。一例において、ニー応力許容差範囲は70Mpaであり、別の例では50Mpaである。
本QC方法の一部として、ニー応力は、
CSk=[ncrit TE−ncrit TM]/SOC
を計算することによって「直接的に」決定され得るものであり、式中、上述のように、ncrit TEおよびncrit TMは、測定されたTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルについてのTIR−PR遷移における臨界角度実効屈折率のそれぞれの値である。
本方法の別の例は、直接的ニー応力計算および間接的ニー応力計算の両方を用いる、上述のニー応力のハイブリッド計算を用いることを含む。
態様1において、反った表面を有する化学的に強化されたLi含有ガラス試料におけるニー応力の正確な測定を確実にする方法は、前記ガラス試料のTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルをキャプチャする工程と、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルのうちの一方について、全反射(TIR)部と部分反射(PR)部との間のTIR−PR遷移における光強度のTIR−PR傾斜を測定する工程と、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルのうちの少なくとも一方について、前記TIR−PR遷移のTIR−PR幅を測定する工程と、前記測定されたTIR−PR傾斜を、平坦な表面を有する基準ガラス試料によって定められるTIR−PR傾斜閾値と比較すると共に、前記測定されたTIR−PR幅を、前記基準ガラス試料によって定められるTIR−PR幅閾値と比較する工程と、前記測定されたTIR−PR傾斜が前記TIR−PR傾斜閾値より大きく、且つ、前記測定されたTIR−PR幅が前記TIR−PR幅閾値より小さい場合にのみ、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルを用いて前記ニー応力を決定する工程とを含む。
態様1による態様2は、前記ニー応力を定めるスパイク領域および深い領域を定めるために、前記Li含有ガラス試料内のLiをK+およびNa+と交換するイオン交換(IOX)処理を用いて前記ガラス試料を形成する工程と、前記ガラス試料を形成する際に用いられたのと同じIOX処理を用いて前記基準ガラス試料を形成する工程とを更に含む。
態様1または2による態様3において、前記TEモードスペクトルは、最も狭いTEモードフリンジを有するTEモードフリンジを含み、前記TMモードスペクトルは、最も狭いTMモードフリンジを有するTMモードフリンジを含み、前記最も狭いTEモードフリンジおよび前記最も狭いTMモードフリンジのうちの一方のフリンジ幅を測定する工程と、前記測定されたフリンジ幅を、前記基準ガラス試料によって定められるフリンジ幅閾値と比較する工程と、前記測定されたフリンジ幅が前記フリンジ幅閾値より小さい場合にのみ、前記ニー応力の決定を進める工程とを更に含む。
態様1〜3のいずれか1つによる態様4において、前記TEモードスペクトルは、最も狭いTEモードフリンジを有するTEモードフリンジを含み、前記TMモードスペクトルは、最も狭いTMモードフリンジを有するTMモードフリンジを含み、前記最も狭いTEモードフリンジおよび前記最も狭いTMモードフリンジのうちの一方のコントラストを測定する工程と、前記測定されたコントラストを、前記基準ガラス試料によって定められるコントラスト閾値と比較する工程と、前記測定されたコントラストが前記コントラスト閾値より大きい場合に、前記ニー応力の決定を進める工程とを更に含む。
態様1〜4のいずれか1つによる態様5において、前記TEモードスペクトルは、最も狭いTEモードフリンジを有するTEモードフリンジを含み、前記TMモードスペクトルは、最も狭いTMモードフリンジを有するTMモードフリンジを含み、前記最も狭いTEモードフリンジおよび前記最も狭いTMモードフリンジのうちの一方の強度プロファイルを測定する工程と、前記測定された強度プロファイルの二次導関数の絶対値を決定する工程と、前記二次導関数の絶対値を、前記基準ガラス試料によって定められる二次導関数閾値と比較する工程と、前記測定された二次導関数の絶対値が前記二次導関数閾値より大きい場合に、前記ニー応力の決定を進める工程とを更に含む。
態様3〜5のいずれか1つによる態様6において、前記最も狭いTEモードフリンジおよび前記最も狭いTMモードフリンジは、前記TEモードフリンジおよび前記TMモードフリンジのうち前記TIR−PR遷移に最も近いものである。
態様1〜6のいずれか1つによる態様7において、前記ガラス試料の前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルをキャプチャする前記工程は、プリズム結合システムを用いて行われる。
態様1〜7のいずれか1つによる態様8において、前記ニー応力CSkを決定する前記工程は、関係CSk=[ncrit TE−ncrit TM]/SOCを用いることを含み、式中、ncrit TEおよびncrit TMは前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについての前記TIR−PR遷移における臨界角度実効屈折率のそれぞれの値である。
態様9において、表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、光を導波および漏洩モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化されたLi含有ガラス試料におけるニー応力を測定する方法は、前記導波および前記漏洩モードのTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルをキャプチャする工程であって、各前記モードスペクトルが、全反射(TIR)部および部分反射(PR)部を有し、それらの間にTIR遷移位置を有するTIR−PR遷移が存在する、工程と、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについて、それぞれのTIR−PR遷移位置を決定する工程と、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについての前記TIR−PR遷移に対して相対的な前記漏洩モードの位置を、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルから決定する工程と、前記TMモードスペクトルおよび前記TEモードスペクトルの各々についての、前記漏洩モードによって生じた前記TIR−PR位置のシフトの量を、前記漏洩モード位置から決定する工程と、前記TMモードスペクトルおよび前記TEモードスペクトルの各々について、補正されたTIR−PR遷移位置に到達するために、前記TIR−PR遷移の前記測定された位置からの前記シフトの量を加算する工程と、前記TMモードスペクトルおよび前記TEモードスペクトルの前記補正されたTIR−PR遷移位置を用いて、前記ニー応力を決定する工程とを含む。
態様9による態様10において、前記TIR−PR遷移はTIR−PR遷移強度プロファイルによって定められ、前記漏洩モードは漏洩モード強度プロファイルを有し、前記漏洩モードによって生じた前記TIR−PR位置の前記シフトの量を決定する前記工程は、前記TIR−PR遷移の補正されたTIR−PR位置を定めるために、前記TIR−PR遷移強度プロファイルから前記漏洩モード強度プロファイルを減算する工程を含む。
態様10による態様11は、前記漏洩モード強度プロファイルの幅を測定し、前記漏洩モード強度プロファイルのコントラストを測定し、前記漏洩モードと前記TIR−PR遷移との間の間隔を測定することにより、前記漏洩モード強度プロファイルを特徴づける工程を更に含む。
態様11による態様12において、前記漏洩モードの前記位置を決定する前記工程は、前記部分反射部における、前記TIR−PR遷移に隣接する強度極小値を測定する工程を含む。
態様12による態様13において、前記漏洩モードは、画素を有するデジタルセンサを用いて0〜255のデジタル強度スケールを用いて定められた強度プロファイルを有し、前記強度極小値は6/255以下であり、前記TIR−PR遷移の30画素以内に含まれる。
態様13による態様14において、各前記画素は4マイクロメートル〜5マイクロメートルのサイズを有する。
態様12〜14のいずれか1つによる態様15において、前記ニー応力CSkを決定する前記工程は、関係CSk=[ncrit TE−ncrit TM]/SOCを用いることを含み、式中、ncrit TEおよびncrit TMは前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについての前記TIR−PR遷移における臨界角度実効屈折率のそれぞれの値である。
態様16において、表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、光を導波モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化されたLi含有ガラス試料におけるニー応力の正確な測定を確実にする方法は、TEフリンジおよびTMフリンジをそれぞれ含むTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルをキャプチャする工程と、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルの各々について、前記導波路によってサポートされる前記光の全反射と部分反射との間の遷移(TIR−PR)の傾斜SLPを測定する工程と、前記傾斜を傾き閾値STHと比較し、前記傾斜を用いて、前記TIR−PR遷移の位置を決定し、前記傾斜が、前記選択された傾き閾値STHより大きい場合にのみ、前記補正されたTIR−PR遷移位置を用いて前記ニー応力を決定する工程とを含む。
態様16による態様17において、前記選択された傾き閾値STHは、前記ニー応力の許容可能な測定値が得られた基準ガラス試料のモードスペクトルを測定することによって定められる。
態様16または17による態様18において、前記ニー応力測定は、ニー応力測定誤差を有し、前記傾き閾値STHは、前記ニー応力測定誤差が±15MPa以内であるように決定されるように選択される。
態様18による態様19において、前記傾き閾値STHは、前記ニー応力測定誤差が±10MPa以内であるように選択される。
態様19による態様20において、前記傾き閾値STHは、前記ニー応力測定誤差が±5MPaであるように選択される。
態様16〜20のいずれか1つによる態様21において、各前記TIR−PR遷移は強度プロファイルを有し、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについての前記TIR−PR遷移領域の各々についての前記傾斜SLPを測定する前記工程は、前記TIR−PR遷移強度プロファイルの半値強度の位置を決定する工程と、前記TIR−PR遷移強度プロファイルの前記半値強度の位置における前記傾斜SLPを測定する工程とを含む。
態様21による態様22において、前記TIR−PR遷移は、所与の前記TEモードスペクトルまたは前記TMモードスペクトルのTIR部とPR部との間の境界を定め、前記TIR−PR遷移強度プロファイルに対して、前記TIR−PR遷移のTIR側の強度のオーバーシュートを除外する最良近似を行う工程を更に含む。
態様21または22による態様23において、前記TIR−PR遷移強度プロファイルは、0〜255の単位のデジタル強度スケール上で測定され、前記デジタル強度スケール上で測定される前記傾き閾値STH=−25/255である。
態様21または22による態様24において、前記TIR−PR遷移強度プロファイルは、0〜255の単位のデジタル強度スケール上で測定され、前記デジタル強度スケール上で測定される前記傾き閾値STH=−10/255である。
態様21〜24のいずれか1つによる態様25において、前記TIR−PR遷移強度プロファイルは、0〜255の単位のデジタル強度スケール上で測定され、前記TIR−PR遷移は、所与の前記TEモードスペクトルまたは前記TMモードスペクトルのTIR部とPR部との間の境界を定め、前記TIR−PR遷移は、TIR側に強度オーバーシュートを有し、前記強度オーバーシュートが、前記デジタル強度スケール上で測定される30/255のオーバーシュート許容差より小さい場合にのみ、記ニー応力の測定が進められる。
態様25による態様26において、前記オーバーシュート許容差は、前記デジタル強度スケール上で測定される16/255である。
態様16〜26のいずれか1つによる態様27は、少なくとも1つのTEフリンジの第1の幅および少なくとも1つのTMフリンジの第2の幅を測定する工程と、測定された前記第1の幅および前記第2の幅が、選択された幅の許容差以内である場合にのみ、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルからの前記ニー応力の決定を進める工程とを更に含む。
態様27による態様28において、前記幅の許容差は、前記ニー応力の許容可能な測定値が得られた基準ガラス試料の基準モードスペクトルのTE基準フリンジおよびTM基準フリンジの測定された幅によって定められる。
態様27または28による態様29において、前記TEフリンジおよび前記TMフリンジは、画素のアレイを有するセンサを用いて0〜255の単位のデジタル強度スケール上で測定され、前記第1の幅および前記第2の幅の各々が40画素より小さい場合にのみ、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルからの前記ニー応力の決定を進める。
態様29による態様30において、各前記画素は4マイクロメートル〜5マイクロメートルの寸法を有する。
態様27または28による態様31において、前記TEフリンジおよび前記TMフリンジは、画素のアレイを有するセンサを用いて0〜255の単位のデジタル強度スケール上で測定され、前記第1の幅および前記第2の幅の各々が8画素より小さい場合にのみ、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルからの前記ニー応力の決定を進める。
態様31による態様32において、各前記画素は4マイクロメートル〜5マイクロメートルの寸法を有する。
態様27〜32のいずれか1つによる態様33において、少なくとも1つの前記TEフリンジの前記第1の幅を測定する前記工程が、複数の前記TEフリンジの前記第1の幅を測定して第1の幅の平均値を定めることを含み、少なくとも1つの前記TMフリンジの前記第2の幅を測定する前記工程が、複数の前記TMフリンジの前記第2の幅を測定して第2の幅の平均値を定めることを含み、前記第1の幅の平均値および前記第2の幅の平均値を、前記選択された幅の許容差と比較する。
態様33による態様34において、前記TEフリンジおよび前記TMフリンジは、画素のアレイを有するセンサを用いて0〜255の単位のデジタル強度スケール上で測定され、前記第1の幅の平均値および前記第2の幅の平均値の各々が40画素より小さい場合にのみ、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルからの前記ニー応力の決定を進める。
態様33による態様35において、前記TEフリンジおよび前記TMフリンジは、画素のアレイを有するセンサを用いて0〜255の単位のデジタル強度スケール上で測定され、前記第1の幅の平均値および前記第2の幅の平均値の各々が8画素より小さい場合にのみ、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルからの前記ニー応力の決定を進める。
態様35による態様36において、各前記画素は4マイクロメートル〜5マイクロメートルの寸法を有する。
態様16〜36のいずれか1つによる態様37において、前記ニー応力CSkを決定する前記工程は、関係CSk=[ncrit TE−ncrit TM]/SOCを用いることを含み、式中、ncrit TEおよびncrit TMは前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについての前記TIR−PR遷移における臨界角度実効屈折率のそれぞれの値である。
態様38において、表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、単調に減少する屈折率プロファイルを有するスパイク領域内において光を導波モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化された各Li含有ガラス試料におけるニー応力を測定する方法は、複数の前記ガラス試料の各々について、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルを測定する工程と、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルを用いて、前記ニー応力の直接的な測定を行う工程と、前記ニー応力の前記直接的な測定を用いる前記ニー応力の間接的な測定を行って、該間接的な測定についての移動平均されたスケーリング係数を定める工程と、前記移動平均されたスケーリング係数および前記試料についての複屈折測定を用いて、前記ニー応力についてのハイブリッド値を計算する工程とを含む。
態様39において、表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、単調に減少する屈折率プロファイルを有するスパイク領域内において光を導波モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化された各Li含有ガラス試料におけるニー応力を測定する方法は、複数の前記ガラス試料の各々について、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルを測定する工程であって、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルが、それぞれのTEフリンジおよびTMフリンジ、並びに、臨界角度と関連づけられ、臨界角度実効屈折率の値ncrit TEおよびncrit TMをそれぞれ定めるそれぞれの全反射と部分反射との(TIR−PR)遷移を有する、工程と、測定された前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルの各々について、ニー応力CSkdirectを直接的に測定すると共に、CSkindirect=βx・F4によって前記ニー応力を間接的に測定する工程であって、式中、βxは最後のモードの複屈折であり、F4はスケーリング係数である、工程と、前記複数の試料についての前記直接的に測定されたニー応力CSkdirectを用いて、前記スケーリング係数F4についての移動平均F4 averageを関係F4=CSkdirect/βxによって計算する工程と、ハイブリッドニー応力CSkhybrid=βx・F4 averageを計算する工程とを含む。
態様39による態様40において、前記ニー応力CSkdirectを直接的に測定する前記工程は、関係CSkdirect=[ncrit TE−ncrit TM]/SOCを用いて行われる。
態様39または40による態様41において、前記移動平均は、3つより多い前記スケーリング係数F4の値を含む。
態様39〜41のいずれか1つによる態様42は、隣接する前記TMフリンジ間の間隔を測定し、前記間隔がフリンジ間隔許容差を超えた場合には、新たな移動平均を開始する工程を更に含む。
態様39〜42のいずれか1つによる態様43は、各前記ガラス試料について、層の深さDOLを決定し、前記層の深さDOLの移動平均を計算し、測定された層の深さDOLと前記層の深さDOLの前記移動平均との差が0.7マイクロメートルを超えた場合には、前記層の深さDOLの新たな移動平均および前記スケーリング係数F4の前記移動平均F4 averageについての新たな移動平均を開始する工程を更に含む。
態様44において、表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、光を導波モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化されたLi含有ガラス試料におけるニー応力の正確な測定を確実にする方法は、光源からの光を、光線として結合プリズムを通して前記試料の表面へと向かわせることによって、前記ガラス試料を照射して、照明角スペクトルを生じる工程と、デジタルセンサにおいて前記照明角スペクトルを検出して、TEフリンジおよびTMフリンジをそれぞれ含むと共に、臨界角度と関連づけられ、臨界角度実効屈折率の値ncrit TEおよびncrit TMをそれぞれ定めるそれぞれの全反射と部分反射との(TIR−PR)遷移を含むTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルをキャプチャする工程と、前記TIR−PR遷移の近傍における前記照明角スペクトルの強度勾配を測定する工程と、前記測定された強度勾配が強度勾配閾値より小さい場合にのみ、前記ニー応力の測定を進める工程とを含む。
態様44による態様45において、前記強度勾配閾値は、前記ニー応力の許容可能な測定値が得られた基準ガラス試料から強度勾配を測定することによって決定される。
態様44または45による態様46は、前記ガラス試料の前記照射を調節することによって、前記強度勾配が前記強度勾配閾値以内になるよう前記強度勾配を補正する工程を更に含む。
態様46による態様47において、補正する前記工程は、前記光線に光学勾配フィルタを挿入する工程を含む。
態様44〜47のいずれか1つによる態様48において、前記強度勾配を測定する前記工程は、前記デジタルセンサによって検出された前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルの強度分布を基準強度と比較することによって行われる。
態様44〜48のいずれか1つによる態様49において、前記ニー応力CSkを決定する前記工程は、関係CSk=[ncrit TE−ncrit TM]/SOCを用いることを含む。
態様50において、表面と本体とを有し、スパイクおよびニーを有する応力プロファイルを含み、光を導波モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化されたLi含有ガラス試料を形成するために用いられるイオン交換(IOX)処理の品質管理を行う方法は、前記IOX処理によって形成された複数のガラス試料の各々について、前記導波モードのTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルを測定する工程と、測定された前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルを、同じIOX処理を用いて形成された、平坦な表面を有する少なくとも1つの基準ガラス試料の基準TEモードスペクトルおよび基準TMモードスペクトルと比較する工程と、測定された前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルが前記基準TEモードスペクトルおよび前記基準TMモードスペクトルの少なくとも1つのモードスペクトル許容差以内になるよう保つために、前記IOX処理を調節する工程とを含む。
態様50による態様51において、測定された前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルは、それぞれの傾斜を有する全反射と部分反射との(TIR−PR)遷移を含み、前記基準TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルは、それぞれの傾斜を有するTIR−PIR遷移を含み、前記少なくとも1つのモードスペクトル許容差は前記基準傾斜を含み、前記測定された傾斜は、少なくとも前記基準傾斜と同程度の傾斜である。
態様50または51による態様52において、前記IOX処理を調節する前記工程は、第1および第2の拡散されるイオンを含み、前記第1の拡散されるイオンの第1の濃度および前記第2の拡散されるイオンの第2の濃度のうちの少なくとも一方を調節する工程、拡散温度を調節する工程、および拡散時間を調節する工程のうちの少なくとも1つを含む。
態様50〜52のいずれか1つによる態様53において、前記第1および第2の拡散されるイオンはK+およびNa+であり、前記ガラス試料内のLi+イオンと交換される。
態様50〜53のいずれか1つによる態様54において、測定された前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルは、それぞれの測定された幅を有する測定されたTEモードフリンジおよびTMモードフリンジをそれぞれ含み、前記基準TEモードスペクトルおよび前記基準TMモードスペクトルは、それぞれの基準幅を有する基準TEモードフリンジおよびTMモードフリンジをそれぞれ含み、前記少なくとも1つのモードスペクトル許容差は前記基準幅を含み、前記測定された基準幅は前記基準幅以下である。
態様50〜54のいずれか1つによる態様55は、各前記ガラス試料について、ニー応力CSkを決定する工程と、決定された前記ニー応力を該ニー応力に対する許容差範囲と比較して、決定された前記ニー応力が前記許容差範囲に含まれない場合には、前記IOX処理を調節する工程とを更に含む。
態様55による態様56において、前記ニー応力許容差範囲は、複数の基準ガラス試料の前記ニー応力を測定することによって決定される。
態様56による態様57において、前記ニー応力許容差範囲は70Mpaである。
態様56による態様58において、前記ニー応力許容差範囲は50Mpaである。
態様55〜58のいずれか1つによる態様59において、前記ニー応力CSkを決定する前記工程は、CSk=[ncrit TE−ncrit TM]/SOCを計算することを含み、式中、ncrit TEおよびncrit TEは前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについての前記TIR−PR遷移における臨界角度実効屈折率のそれぞれの値である。
態様55〜58のいずれか1つによる態様60において、各前記ガラス試料について前記ニー応力CSkを決定する前記工程は、ニー応力CSkdirect=[ncrit TE−ncrit TM]/SOCを直接的に測定する工程であって、式中、ncrit TEおよびncrit TMは前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについての前記TIR−PR遷移における臨界角度実効屈折率のそれぞれの値である、工程と、CSkindirect=βx・F4によって前記ニー応力を間接的に測定する工程であって、式中、βxは最後のモードの複屈折であり、F4はスケーリング係数である、工程と、前記複数の試料についての前記直接的に測定されたニー応力CSkdirectを用いて、スケーリング係数F4についての移動平均F4 averageを関係F4=CSkdirect/βxによって計算する工程と、ハイブリッドニー応力CSk=CSkhybrid=βx・F4 averageを計算する工程とを含む。
添付の特許請求の範囲において定められる本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された本開示の好ましい実施形態に対して様々な変形が行われ得ることが、当業者には自明であろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内である変形および変更を網羅する。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
反った表面を有する化学的に強化されたLi含有ガラス試料におけるニー応力を測定する方法において、
前記ガラス試料のTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルをキャプチャする工程と、
前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルのうちの一方について、全反射(TIR)部と部分反射(PR)部との間のTIR−PR遷移における光強度のTIR−PR傾斜を測定する工程と、
前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルのうちの少なくとも一方について、前記TIR−PR遷移のTIR−PR幅を測定する工程と、
前記測定されたTIR−PR傾斜を、平坦な表面を有する基準ガラス試料によって定められるTIR−PR傾斜閾値と比較すると共に、前記測定されたTIR−PR幅を、前記基準ガラス試料によって定められるTIR−PR幅閾値と比較する工程と、
前記測定されたTIR−PR傾斜が前記TIR−PR傾斜閾値より大きく、且つ、前記測定されたTIR−PR幅が前記TIR−PR幅閾値より小さい場合に、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルを用いて前記ニー応力を決定する工程と
を含むことを特徴とする方法。
実施形態2
表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、光を導波および漏洩モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化されたLi含有ガラス試料におけるニー応力を測定する方法において、
前記導波および前記漏洩モードのTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルをキャプチャする工程であって、各前記モードスペクトルは、全反射(TIR)部および部分反射(PR)部を有し、それらの間にTIR遷移位置を有するTIR−PR遷移が存在する、工程と、
前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについて、それぞれのTIR−PR遷移位置を決定する工程と、
前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについての前記TIR−PR遷移に対して相対的な前記漏洩モードの位置を、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルから決定する工程と、
前記TMモードスペクトルおよび前記TEモードスペクトルの各々についての、前記漏洩モードによって生じた前記TIR−PR位置のシフトの量を、前記漏洩モード位置から決定する工程と、
前記TMモードスペクトルおよび前記TEモードスペクトルの各々について、補正されたTIR−PR遷移位置に到達するために、前記TIR−PR遷移の前記測定された位置からの前記シフトの量を加算する工程と、
前記TMモードスペクトルおよび前記TEモードスペクトルの前記補正されたTIR−PR遷移位置を用いて、前記ニー応力を決定する工程と
を含むことを特徴とする方法。
実施形態3
表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、光を導波モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化されたLi含有ガラス試料におけるニー応力を測定する方法において、
TEフリンジおよびTMフリンジをそれぞれ含むTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルをキャプチャする工程と、
前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルの各々について、前記導波路によってサポートされる前記光の全反射と部分反射との間の遷移(TIR−PR)の傾斜SLPを測定する工程と、
前記傾斜を傾き閾値STHと比較し、前記傾斜が前記選択された傾き閾値STHより大きい場合に、前記傾斜を用いて前記TIR−PR遷移の位置を決定し、補正されたTIR−PR遷移位置を用いて前記ニー応力を決定する工程と
を含むことを特徴とする方法。
実施形態4
前記ニー応力CSkを決定する前記工程が、関係CSk=[ncrit TE−ncrit TM]/SOCを用いることを含み、式中、ncrit TEおよびncrit TMは前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについての前記TIR−PR遷移における臨界角度実効屈折率のそれぞれの値である、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
実施形態5
表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、単調に減少する屈折率プロファイルを有するスパイク領域内において光を導波モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化された各Li含有ガラス試料におけるニー応力を測定する方法において、
複数の前記ガラス試料の各々について、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルを測定する工程と、
前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルを用いて、前記ニー応力の直接的な測定を行う工程と、
前記ニー応力の前記直接的な測定を用いる前記ニー応力の間接的な測定を行って、該間接的な測定についての移動平均されたスケーリング係数を定める工程と、
前記移動平均されたスケーリング係数および前記試料についての複屈折測定を用いて、前記ニー応力についてのハイブリッド値を計算する工程と
を含むことを特徴とする方法。
実施形態6
表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、単調に減少する屈折率プロファイルを有するスパイク領域内において光を導波モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化された各Li含有ガラス試料におけるニー応力を測定する方法において、
複数の前記ガラス試料の各々について、TEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルを測定する工程であって、前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルが、それぞれのTEフリンジおよびTMフリンジ、並びに、臨界角度と関連づけられ、臨界角度実効屈折率の値ncrit TEおよびncrit TMをそれぞれ定めるそれぞれの全反射と部分反射との(TIR−PR)遷移を有する、工程と、
測定された前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルの各々について、ニー応力CSkdirectを直接的に測定すると共に、βxが最後のモードの複屈折でありF4がスケーリング係数であるCSkindirect=βx・F4によって前記ニー応力を間接的に測定する工程と、
前記複数の試料についての前記直接的に測定されたニー応力CSkdirectを用いて、スケーリング係数F4についての移動平均F4 averageを関係F4=CSkdirect/βxによって計算する工程と、
ハイブリッドニー応力CSkhybrid=βx・F4 averageを計算する工程と
を含むことを特徴とする方法。
実施形態7
前記ニー応力CSkdirectを直接的に測定する前記工程が、関係CSkdirect=[ncrit TE−ncrit TM]/SOCを用いて行われる、実施形態6記載の方法。
実施形態8
表面と本体とを有し、ニーを有する応力プロファイルを含み、光を導波モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化されたLi含有ガラス試料におけるニー応力を測定する方法において、
光源からの光を、光線として結合プリズムを通して前記試料の表面へと向かわせることによって、前記ガラス試料を照射して、照明角スペクトルを生じる工程と、
デジタルセンサにおいて前記照明角スペクトルを検出して、TEフリンジおよびTMフリンジをそれぞれ含むと共に、臨界角度と関連づけられ、臨界角度実効屈折率の値ncrit TEおよびncrit TMをそれぞれ定めるそれぞれの全反射と部分反射との(TIR−PR)遷移を含むTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルをキャプチャする工程と、
前記TIR−PR遷移の近傍における前記照明角スペクトルの強度勾配を測定する工程と、
前記測定された強度勾配が強度勾配閾値より小さい場合に、前記ニー応力の測定を進める工程と
を含むことを特徴とする方法。
実施形態9
前記ニー応力CSkを決定する前記工程が、関係CSk=[ncrit TE−ncrit TM]/SOCを用いることを含む、実施形態8記載の方法。
実施形態10
表面と本体とを有し、スパイクおよびニーを有する応力プロファイルを含み、光を導波モードとしてサポートする導波路を定める、化学的に強化されたLi含有ガラス試料を形成するために用いられるイオン交換(IOX)処理の品質管理を行う方法において、
前記IOX処理によって形成された複数のガラス試料の各々について、前記導波モードのTEモードスペクトルおよびTMモードスペクトルを測定する工程と、
測定された前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルを、同じIOX処理を用いて形成された、平坦な表面を有する少なくとも1つの基準ガラス試料の基準TEモードスペクトルおよび基準TMモードスペクトルと比較する工程と、
測定された前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルが前記基準TEモードスペクトルおよび前記基準TMモードスペクトルの少なくとも1つのモードスペクトル許容差以内になるよう保つために、前記IOX処理を調節する工程と
を含むことを特徴とする方法。
実施形態11
前記ニー応力CSkを決定する前記工程が、CSk=[ncrit TE−ncrit TM]/SOCを計算することを含み、式中、ncrit TEおよびncrit TMは前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについての前記TIR−PR遷移における臨界角度実効屈折率のそれぞれの値である、実施形態10記載の方法。
実施形態12
各前記ガラス試料について前記ニー応力CSkを決定する前記工程が、
ニー応力CSkdirect=[ncrit TE−ncrit TM]/SOCを直接的に測定する工程であって、式中、ncrit TEおよびncrit TMは前記TEモードスペクトルおよび前記TMモードスペクトルについての前記TIR−PR遷移における臨界角度実効屈折率のそれぞれの値である、工程と、
CSkindirect=βx・F4によって前記ニー応力を間接的に測定する工程であって、式中、βxは最後のモードの複屈折であり、F4はスケーリング係数である、工程と、
前記複数の試料についての前記直接的に測定されたニー応力CSkdirectを用いて、スケーリング係数F4についての移動平均F4 averageを関係F4=CSkdirect/βxによって計算する工程と、
ハイブリッドニー応力CSk=CSkhybrid=βx・F4 averageを計算する工程と
を含む、実施形態10記載の方法。