JP6739840B2 - 巣内のミノムシの状態を識別する方法及び活動期のミノムシを採取する方法 - Google Patents

巣内のミノムシの状態を識別する方法及び活動期のミノムシを採取する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6739840B2
JP6739840B2 JP2016219131A JP2016219131A JP6739840B2 JP 6739840 B2 JP6739840 B2 JP 6739840B2 JP 2016219131 A JP2016219131 A JP 2016219131A JP 2016219131 A JP2016219131 A JP 2016219131A JP 6739840 B2 JP6739840 B2 JP 6739840B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nest
beetle
support
worms
period
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016219131A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018074951A (ja
Inventor
太陽 吉岡
太陽 吉岡
恒徳 亀田
恒徳 亀田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Agriculture and Food Research Organization
Original Assignee
National Agriculture and Food Research Organization
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Agriculture and Food Research Organization filed Critical National Agriculture and Food Research Organization
Priority to JP2016219131A priority Critical patent/JP6739840B2/ja
Publication of JP2018074951A publication Critical patent/JP2018074951A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6739840B2 publication Critical patent/JP6739840B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Catching Or Destruction (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Description

本発明は、巣内のミノムシの状態を巣外部から識別する方法、及び巣内で活動期のミノムシを選別し、採取する方法に関する。
ミノムシ(Basket worm, alias "bag worm")は、チョウ目(Lepidoptera)ミノガ科(Psychidae)に属する蛾の幼虫の総称で、通常は葉片や枝片を糸で絡めた紡錘形又は円筒形の巣(Bag nest)(図1A)の中に潜み、摂食の際にも巣ごと移動する等、全幼虫期を巣と共に生活することが知られている。
このミノムシが吐糸する絹糸(本明細書では、しばしば「ミノムシ絹糸」と表記する)が、近年、カイコ由来の絹糸(本明細書では、しばしば「カイコ絹糸」と表記する)よりも優れた特性をもつ新たな動物繊維性の天然素材として注目を集めている。
カイコ絹糸は、羊毛等の哺乳動物の体毛由来の動物繊維と比較して、繊維に光沢があり、また哺乳動物の繊維よりも細いため、美しく、しなやかで、軽く、また肌触りがよいという特性を有する。それ故に、天然繊維の中でも高級繊維としての地位を確立している。
一方、ミノムシ絹糸は、そのカイコ絹糸と同等以上の光沢と艶やかさを有するだけでなく、単繊維の断面積がカイコ絹糸のそれの1/7ほどしかないという特性を有するため、カイコ絹糸よりもさらに木目細かく、滑らかな肌触りと、薄くて軽い布を作製することができる。
また、ミノムシ絹糸と同様に、近年脚光を浴びている動物繊維性の天然新素材としてクモ由来の糸(本明細書では、しばしば「クモ糸」と表記する)がある。クモ糸は、柔軟性に加えて、カイコ絹糸にはない伸縮性や、ポリスチレンの5〜6倍に及ぶ高い弾性力を有しており、手術用縫合糸等の医療素材、及び防災ロープ・防護服などの特殊素材として期待されている(非特許文献1及び2)。
一方、ミノムシ絹糸は、そのクモ糸をさらに上回る力学的特性を有している。例えば、弾性率に関してチャミノガ(Eumeta minuscula)のミノムシ絹糸は、ジョロウグモ(Nephila clavata)のクモ糸の2.5倍にも及ぶ非常に強い強度を誇る(非特許文献1及び3)。
つまり、ミノムシ絹糸は、カイコ絹糸とクモ糸の長所を併せ持つ非常に有用な天然新素材ということができる。
ただし、ミノムシ絹糸は、産業化する上で解決すべき問題がいくつかある。例えば、ミノムシは、前述のように全幼虫期を巣と共に生活するが、摂食時又は移動時以外は原則として巣の内部に潜んでいる。このような場合、通常、巣は枝や葉等に繋止されている(図1A)。このミノムシ特有の性質が、ミノムシの採取時や飼育時において問題となっている。巣を作らないカイコの場合、餌葉の交換や上蔟(じょうぞく:成熟したカイコを営巣のため蔟(まぶし)に移すこと)における虫体の移動や回収は比較的容易である。通常、カイコの飼育では、餌葉の桑葉を枝ごと給餌する条桑育が採用される。この方法では、餌交換の際には、新しい枝付きの葉を与える一方で、枝だけとなった古い餌が回収される。古い枝に付いているカイコは、新しい餌の上で軽く振るだけで容易に古い枝から落下するので、分離は容易である。つまり、カイコの場合、餌葉交換時の虫体の移動は、あまり問題とはならない。ミノムシの飼育も、上桑育と同様に枝付きのままの餌葉を給餌することができる。ところが、ミノムシの場合、摂食時又は移動時以外は、前述のように巣が枝等にミノムシ絹糸で繋止されている。餌葉交換時に古い枝を回収したり、野外からミノムシを採取する場合には、枝を振る程度では巣を分離することはできない。必然的に巣を枝から引き離す等の強制分離をせざるを得ない。しかし、巣内部に潜んでいるミノムシは、一般に休息状態、脱皮前後状態、越冬状態、及び前蛹状態にある。休息状態であれば巣を枝から引き離して新たな場所に移しても、さほど問題にはならず、通常、直ちに行動を再開することができる。一方、内的変化により虫体自体が不安定な脱皮前後状態や前蛹状態のミノムシは、巣の採取に伴う負荷や移動によるストレスにより死亡する可能性が高い。また、越冬状態に入った個体は、巣の回収後も直ちに活動を再開しない場合が多い。このようにミノムシの巣の回収や移動は、ミノムシの採取効率、飼育効率、及びミノムシ絹糸の生産効率に多大な影響を及ぼし得る。
ミノムシの巣を枝等から採取する際に必然的に発生し得る上記問題を解決するには、巣内で休息状態のミノムシの巣のみを選択して、枝等から分離すればよいことになる。ところが、一般に巣外部から巣内のミノムシの状態を識別することは困難である。またミノムシ絹糸産業は、まだ黎明期であるため、そのような状態を正確に識別する方法も確立されていない。
大崎茂芳, 2002, 繊維学会誌(繊維と工業), 58: 74-78 Kuwana Y, et al., 2014, PLoS One, DOI: 10.1371 /journal.pone.0105325 Gosline J. M. et al., 1999, 202, 3295-3303
本発明の課題は、ミノムシの巣の外部から、巣内のミノムシの状態を識別する方法を開発し、提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らが研究を重ねた結果、巣内で休息状態にあるミノムシでは、摂食及び移動用の開口部(本明細書では、しばしば「頭部開口部」と表記する)が開口状態であるのに対して、休止期の状態にあるミノムシでは、前記頭部開口部がほぼ完全に閉じられていることを見出した。したがって、巣における頭部開口部の開口状態を確認することで巣内のミノムシの状態を容易に識別できること、また、頭部開口部に孔を有する巣を採取することで、活動期のミノムシのみを選択的に採取できることが明らかとなった。本発明は、当該知見に基づくもので、以下を提供する。
(1)支持体に繋止された巣内におけるミノムシの状態を識別する方法であって、支持体繋止部近傍に位置するミノムシの摂食及び移動用開口部における孔の有無を確認する工程、及び該開口部に孔が存在する巣内のミノムシを活動期のミノムシと判定する工程を含む前記方法。
(2)前記孔が目視で確認できる、(1)に記載の方法。
(3)支持体に繋止された巣から活動期のミノムシを採取する方法であって、(1)又は(2)に記載の方法で活動期と判定されたミノムシを巣ごと支持体から分離する工程を含む前記方法。
(4)支持体に繋止された巣から活動期のミノムシを採取する方法であって、支持体繋止部近傍に位置するミノムシの摂食及び移動用開口部に孔を有するミノムシの巣を支持体から分離する工程を含む前記方法。
(5)支持体に繋止されたミノムシの巣を移動させる方法であって、(3)又は(4)に記載の方法で採取したミノムシを巣ごと目的の場所に移す工程を含む前記方法。
(6)前記目的の場所が新鮮な餌葉を配置した場所である、(5)に記載の移動方法。
(7)支持体に繋止された巣において休止期のミノムシを選別する方法であって、(1)又は(2)に記載の方法で活動期と判定された巣を支持体から除去する工程
を含む前記方法。
(8)前記休止期が前蛹期、休眠期、蛹期及び成虫期からなる群から選択される、(7)に記載の方法。
本発明の識別方法によれば、巣の外部から巣内のミノムシの状態を容易に識別することができる。また、ミノムシの巣を枝等から分離する際に、活動期のミノムシのみを選択的に採取することができる。これによって、採取後のミノムシの死亡率を低減させ、また採取後、直ちに活動させることが可能となる。
A:オオミノガのミノムシ(オオミノガミノムシ)の巣の外観図である。図中の矢印は、支持体繋止部を示す。B:巣から頭部及び胸部を露出させたオオミノガミノムシを示す図である。図中の矢印は、ミノムシの摂食及び移動用開口部における孔を示す。 ミノムシの巣内における状態を示す概念図である。図中、Aは活動期(Active stage)を、R1〜R5は休止期(Rest stage)を示す。Aの活動期内におけるbは休息期間(break)を示している。R1は脱皮期を、R2は休眠期を、R3は前蛹期を示す。巣内には主として幼虫であるミノムシが存在するが、時期によっては蛹も存在し得る。また、一部の種のミノガはメス個体が成虫期間の全てを巣内で過ごす。したがって、本明細書ではR4で示す蛹期やR5で示す成虫期もミノムシの休止期に包含している。 ミノムシの状態を示す巣の概念図である。Aは頭部開口部(0304)に孔を有する巣であり、B及びCはその孔がない巣である。Aが活動期のミノムシが潜む巣であり、B及びCは休止期のミノムシが潜む巣である。 オオミノガの巣における頭部開口部の開口状態を示す図である。Aは、前記開口部に孔(矢印)がある巣を示す。この場合、巣内のミノムシは活動期である。Bは、前記開口部に孔がない巣を示す。この場合、巣内のミノムシは休止期である。なお、A及びB共に、矢頭は支持体繋止部を示す。 幼齢期のオオミノガミノムシにおける巣の採取と、その後の活動再開性を示す。図中、(a)は巣の頭部開口部から頭部及び胸部を露出させて、移動や摂食行動を行っている活動期の幼虫の巣である。(b)は支持体に繋止された巣の中で、頭部開口部に孔が存在する活動期の幼虫の巣である。(c)は支持体に繋止された巣の中で、頭部開口部に孔が存在しない休止期の幼虫の巣である。 老齢期のオオミノガミノムシにおける支持体に繋止された巣の採取と、その後の活動再開性を示す。図中、(a)は頭部開口部に孔の存在する活動期の幼虫の巣である。(b)は頭部開口部に孔が存在しない休止期の幼虫の巣である。
1.巣内ミノムシの状態識別方法
1−1.概要
本発明の第1の態様は、巣の外部から巣内におけるミノムシの状態を識別する方法(巣内ミノムシの状態識別方法)である。本発明によれば、枝等の支持体に繋止された巣において、繋止部近傍に開かれた摂食及び移動用開口部(頭部開口部)の開口状態、すなわち孔の有無を検することで、巣内のミノムシが活動期か休止期かを識別することができる。ミノムシの巣を採取する際に、この識別方法を適用することで、採取後の死亡率を低減し、また採取後、早期に活動を再開できる個体を容易に選別することが可能となる。
1−2.定義
本明細書で頻用する以下の用語について定義する。
「ミノムシ」とは、前述のようにチョウ目(Lepidoptera)ミノガ科(Psychidae)に属する蛾の幼虫の総称をいう。本明細書で対象とするミノムシの種類及び雌雄は問わない。例えば、ミノガ科には、Acanthopsyche、Anatolopsyche、Bacotia、Bambalina、Canephora、Chalioides、Dahlica、Diplodoma、Eumeta、Eumasia、Kozhantshikovia、Mahasena、Nipponopsyche、Paranarychia、Proutia、Psyche、Pteroma、Siederia、Striglocyrbasia、Taleporia、Theriodopteryx、Trigonodoma等の属が存在するが、本明細書で使用するミノムシは、いずれの属に属する種であってもよい。ミノガの種類の具体例として、オオミノガ(Eumeta japonica)、チャミノガ(Eumeta minuscula)、ニトベミノガ(Mahasena aurea)及びシバミノガ(Nipponopsyche fuscescens)が挙げられる。オオミノガやチャミノガのような中大型種は、本発明で使用するミノムシとして好適な種である。また、ミノムシの齢は、いずれの齢であってもよい。初齢や2齢のような幼齢期のミノムシは、外的刺激や環境の変化に対して敏感かつ脆弱な傾向にあるため、当該方法の対象として特に好適である。また3齢又は4齢のような中齢期以降のミノムシであっても後述する脱皮期や前蛹期は、外的刺激に対して非常に敏感かつ脆弱な傾向にあることから、本発明の好適な対象となり得る。
本明細書において「(ミノムシの)巣」とは、前記ミノムシが営巣した巣であって、ミノムシが自ら吐糸したミノムシ絹糸とそれで綴った葉片や枝片等の素材で構成されている。巣はミノムシの全身を包むことのできる袋状で、紡錘形、円筒形、円錐形等の形態をなす。ミノムシは、基本的にこの巣の中に潜伏し、原則として摂食時や移動時にのみ巣の開口部から虫体の一部を露出させる(図1B)。ミノガ科の蛾は世界中に分布するが、いずれの種も全幼虫期を通して巣の中で生活しており、常に巣と共に行動し、脱皮や蛹化も巣の中で行われる。さらに、ミノガの一部の種のメスは、翅を持たず、生涯を通して巣内で生活し、交尾も巣の尾端開口部を介して行われる。
本明細書において「ミノムシの状態」とは、ミノムシが活動期であるか又は休止期であるかをいう。後述のように、休止期は、短期間ではあるが蛹や成虫の状態の場合も含み得ることから厳密には「ミノガの状態」であるが、巣内における主たるステージは幼虫期であることから本明細書では、簡便に表現するため蛹や成虫の状態も含めて「ミノムシの状態」と表記している。
本明細書において「(ミノムシの)活動期(Active stage)」とは、ミノムシの摂食行動期間をいう。図2において“A”で示す期間に相当する。この期間のミノムシは、餌葉を積極的に摂取して成長すると共に、餌葉を求めて盛んに移動する。また、それらの行動間は巣内に潜んで一時的な睡眠や休息をとっている。本明細書では、このような期間を「休息期間」(break)と称する。図2では“b”で示す期間に相当する。休息期間のミノムシは、外的な刺激やストレスに対して比較的強いため、枝から巣を採取し、移動させても、その後の死亡率は比較的低く、また採取後は直ちに覚醒し、活動を再開する。
本明細書において「(ミノムシの)休止期」(Rest stage)とは、ミノガの生活史において、巣内に存在する個体における前記活動期以外の期間をいう。図2においてR1、R2、R3、R4、及びR5で示す期間に相当する。原則はミノムシ、すなわちミノガの幼虫期における前記活動期以外の期間である。しかし、前述のようにミノムシは、巣内で蛹化し、さらにミノガ科の一部の種(例えば、オオミノガやチャミノガ)では、メス個体が成虫期も野外に羽化脱出することなく、生涯を巣内で過ごす。つまり、休止期の巣内には、ミノムシのみならず、ミノガの蛹や成虫(特にメス)も存在し得る。したがって、本明細書において休止期は、図2においてR4で示す蛹期やR5で示す成虫期も含むものとする。
この期間のミノムシは、形態的及び生理的変化や休眠のために摂食行動や移動を完全に停止し、巣内部に潜んでいる。
「形態的及び生理的変化」とは、成長期における形態の劇的変化と、それに伴う生理的変化をいう。例えば、脱皮や蛹化が該当する。本明細書では、ミノムシが脱皮する前後1日又は2日間の「脱皮期」(図2 R1)や、蛹化前3日間前〜1週間前の「前蛹期」(図2 R3)が休止期に包含される。一般に、脱皮期や前蛹期におけるミノムシは、生体内における生理的変化のために外的な刺激やストレスに対して非常に敏感で脆弱な状態にある。それ故に、この期間のミノムシの巣を枝等から回収し、移動させりした場合、個体は高確率で死亡する。
一方、「休眠」とは、外部環境温度が活動に不適な状態となったときに、再び活動に適した温度になるまでの間、活動を一時的に休止することをいう。例えば、冬季のような低温期における冬眠が該当する。本明細書では、ミノムシが休眠をしている期間を「休眠期」(図2 R2)とし、これを休止期に包含する。休眠期のミノムシは、外的な刺激やストレスに対して比較的耐性を有するが、通常、所定の温度に達するまでは、活動を再開しない。
頭部開口部から頭部及び胸部を露出している摂食行動時や移動時のミノムシを活動期のミノムシと同定することは容易である。しかし、休息期間のように巣内部に潜伏している場合、巣内のミノムシの状態が活動期における休息期間なのか、又は休止期なのかを巣の外部から識別することは難しい。本態様の方法は、ミノムシの巣において、活動期(A)における休息期間(b)状態のミノムシと、休止期状態(R1〜R5)のミノムシ及びその蛹と成虫とを巣の外部から識別する方法である。
活動期における休息期間と休止期の相違に関しては、休息期間が、通常24時間未満、20時間未満、18時間未満、15時間未満、又は12時間未満のように比較的短時間であり、またミノムシが直ちに摂食行動や移動を再開できるのに対して、休止期は、1日以上、2日以上、又は3日以上のように比較的長期にわたる上に、摂食行動や移動の再開には比較的時間を要する点が挙げられる。
1−3.方法
本発明の巣内ミノムシの状態識別方法では、支持体に繋止されたミノムシの巣が識別対象となる。本発明の目的上、識別対象の巣内部には、原則として生きたミノムシ、又は蛹若しくは成虫が存在することを前提とする。
本明細書において「支持体」とは、ミノムシが巣を繋止する支えをいう。本明細書で「繋止」とは、ミノムシ絹糸によって巣を固定することをいう。支持体の種類は、ミノムシ及びその巣の荷重を支えることのできる強度があれば特に限定はしない。自然界では立木の小枝や葉が該当するが、樹幹や草本の茎、又は岩や石も支持体として利用される。また、人工物では、コンクリート、金属、木材、陶器、プラスティック、ガラス等が支持体として利用される。
本発明の巣内ミノムシの状態識別方法は、確認工程と判定工程を含む。以下、各工程について図3を用いて説明をする。
(1)確認工程
「確認工程」とは、支持体に繋止されたミノムシの巣(0301)において、支持体繋止部近傍に位置するミノムシの摂食及び移動用開口部(0304)における孔の有無を確認する工程である。
「支持体繋止部」(0302)とは、巣本体(0301)と支持体(0303)とを繋ぎ止める役割を担う部である。図1Aでは矢印で示す箇所が、また図4では矢頭で示す箇所が、支持体繋止部に相当する。支持体繋止部は、ミノムシ絹糸で構成される巣の一部である。ただし、巣本体を構成する巣絹糸とは性質の異なる足場絹糸で構成されている。「足場絹糸」とは、ミノムシが移動の際に、枝や葉等から落下するのを防ぐための足場として吐糸される絹糸である。巣絹糸よりも太く、力学的にも強靭な性質を有することから、支持体繋止部としても利用されている。一方、「巣絹糸」とは、葉片や枝片を綴り、また居住区である巣内壁を快適な環境にするために吐糸される絹糸である。
ミノムシは、活動期における休息期間や、休止期には、支持体繋止部で巣を支持体に固定している。特に中大型種のミノガでは、図1Aや図4で示すように中齢期以降のミノムシが休息期間や休止期に支持体繋止部を介して巣を支持体から吊り下げていることが多い。この支持体繋止部は、摂食行動時や移動時を再開する際にミノムシ自身によって切断若しくは引き剥がされ、巣は支持体から繋止解除される。したがって、図1Bで示すように支持体繋止部(痕跡は含まない)がなく、支持体に繋止されていないミノムシの巣は、原則として本発明の対象ではない。ただし、本発明の方法で支持体より分離、回収された巣に関して、再度本発明の方法を適用して確認する場合にはその限りではない。この場合、支持体繋止部が痕跡として残っているか、又は巣において、どちらの端部が頭部開口部かが明らかであることが望ましい。
支持体繋止部(0302)は、巣と支持体とを繋ぎ止める限り、その形状は限定されない。例えば、図3A及びBで示す紐状の形状であってもよいし、図3Cで示す頭部開口部そのものを支持体に貼り付けるような面状の形状であってもよい。紐状の場合、その太さや長さも問わない。一般に休息期間における支持体繋止部は、休止期におけるそれと比較すると、図3Aで示すように細いか、又は支持体への繋止面積が狭い傾向にある。これは、比較的長期間にわたって巣を繋止する必要がある休止期の支持体繋止部では風雨等の外力に対する耐久性が必要なことから図3Bで示すように太くなるか、図3Cで示すように繋止面積が広くなるのに対して、休息期間のそれは一時的に巣を繋止できれば足り、逆に太くしたり、繋止面積を広くすると移動再開時に容易に繋止解除できなくなる理由による。したがって、支持体繋止部の太さや繋止面積でもミノムシが休息期間と休止期のいずれであるかをある程度推定はできる。ただし、この方法のみで休息期間と休止期を正確に判断することは難しいため、ミノムシの頭部開口部における孔の有無と組み合わせることで、より正確にミノムシの休息期間と休止期を識別することが可能となる。
「ミノムシの摂食及び移動用開口部」(頭部開口部)(0304)とは、図1Bの矢印で示すように、ミノムシが摂食行動や移動を行うために頭部及び胸部を巣から露出させるための開口部である。吊り下がり型のミノムシの巣では、巣長軸の両端の2カ所に開口部を有しており、一方は頭部開口部(0304)として、また他方は尾部開口部(0305:孔は図示せず)として機能する。このような巣では、頭部開口部が上部に、また尾部開口部が下部に位置するため、尾部開口部は、主に糞排出の他、巣内のメス成虫と飛翔能力を有するオス成虫が交尾を行う交尾口としての機能を担う。一方、巣を抱え上げるように保持する非吊り下がり型のミノムシの巣では、頭部開口部のみを有する場合がある。そのような型の巣では、頭部開口部が巣の下部に位置するため、糞排出口も兼ねることが多い。
頭部開口部(0304)は、図3Aで示すように支持体繋止部(0302)の近傍に位置している。ミノムシは休息期間や休止期に入る際に、頭部開口部から露出させた頭部の到達範囲内に足場絹糸を吐糸して支持体繋止部を形成するため、頭部開口部と支持体繋止部は、必然的に近傍に位置するようになる。それ故に、巣の長軸において、支持体繋止部がある端部の開口部が頭部開口部に、支持体繋止部がない端部の開口部が尾部開口部になる。
頭部開口部(0304)は、図3Aで示すように開口しているわけではなく、図3Bで示すように孔がない場合がある。
本工程では、支持体繋止部の位置から判断される頭部開口部が存在し得る端部に、頭部開口部が開口しているか否か、すなわち孔があるか否かを確認する。孔の有無は目視で確認すれば足りる。孔の有無を確認する際に、目視と共に、必要に応じて爪楊枝や串のような細棒を頭部開口部に当てて、細棒の先端を抵抗なく巣内に差し込むことのできる孔があるか否かを確認することもできる。ただし、この場合、巣内の幼虫を細棒で傷付けないように注意する必要がある。
頭部開口部における孔の大きさは、ミノムシ(ミノガ)の種類、ミノムシの齢、雌雄等の条件によって異なるが、いずれの場合も目視で確認できる大きさであればよい。例えば、直径0.5mm以上、好ましくは1mm以上、1.5mm以上、2mm以上、2.5mm以上、又は3mm以上の大きさを有する孔が該当する。逆に、例えば直径が0.5mm未満のような目視では容易に確認できない大きさの場合、本工程においては孔と呼ばない。孔直径の上限は巣内部に潜むミノムシの最大胴幅と同程度となる。ただし、休息期間における頭部開口部は、通常は摂食行動時や移動時よりも若干閉じられていることから、孔の直径は、ミノムシの最大胴幅の0.8倍以下、0.5倍以下、0.4倍以下、0.3倍以下、又は0.2倍以下であることが好ましい。
なお、ミノムシの最大胴幅はミノムシの種類と齢によって左右される。例えば、オオミノガの終齢ミノムシであれば、9.0mm±2.0mmの範囲(7.0mm〜11.0mm)、又は9.0mm±1.5mmの範囲(7.5mm〜10.5mm)である。また、チャミノガの終齢ミノムシであれば、最大胴幅は7.0mm±2.0mmの範囲(5.0mm〜9.0mm)、又は7.0mm±1.5mmの範囲(5.5mm〜8.5mm)である。したがって、オオミノガの終齢ミノムシであれば直径1.4mm〜8.8mm、チャミノガの終齢ミノムシであれば直径1.0mm〜7.2mmの孔となることが多い。ただし、この範囲に限定はされない。
(2)判定工程
「判定工程」は、前記確認工程で支持体に繋止されたミノムシの巣において、頭部開口部に孔が存在する場合に、巣内のミノムシを活動期のミノムシと判定する工程である。一方、頭部開口部に孔が存在しない場合には、巣内のミノムシを休止期のミノムシと判定する。休止期と判定した場合、巣内のミノムシの状態は、前述のように蛹期や成虫期(特にメス)の場合を含み得る。
1−4.効果
本発明の巣内ミノムシの状態識別方法によれば、巣内部を確認することなく、巣外部から内部のミノムシの状態を識別することができる。
2.活動期のミノムシを採取する方法
2−1.概要
本発明の第2の態様は、巣内で活動期のミノムシを採取する方法である。前述のように、休止期における脱皮期や前蛹期のミノムシは、外的な刺激やストレスに対して敏感かつ脆弱なため、採取後に死亡する可能性が高い。また休眠期のミノムシは採取後も直ちに活動を再開しない。それに対して、活動期のミノムシは、外的刺激に対してある程度の耐性を有し、また採取後に直ちに摂食行動や移動を開始できる。本方法を用いることで、枝等についているミノムシの巣から活動期のミノムシが入った巣のみを選択的に採取することができる。これにより、野外採取後や飼育時の移動におけるミノムシの死亡率を低減させ、また移動後にミノムシの活動を速やかに再開させることが可能となる。
2−2.方法
本発明の方法は、第1態様に記載の巣内ミノムシの状態識別方法により、活動期と判定されたミノムシを選択し、採取する方法と、頭部開口部に孔のある巣を採取する方法が挙げられる。前者の方法は、確認工程、判定工程、及び分離工程を含む。このうち、確認工程及び判定工程は、第1態様に記載の巣内ミノムシの状態識別方法における確認工程及び判定工程に準ずることからここでの説明は省略する。一方、分離工程は、本態様に特徴的な工程である。また、後者の方法は、分離工程を含む。この分離工程は、前者の方法における分離工程に準ずる。以下、分離工程について説明をする。
「分離工程」は、支持体繋止部近傍に位置する頭部開口部に孔を有するミノムシの巣を支持体から分離する工程である。頭部開口部における孔の大きさは第1態様に記載の条件に準ずる。
分離方法は限定しないが、巣への接触等によるミノムシへの負担やストレスをできる限り与えない方法が好ましい。例えば、支持体繋止部又はその近傍であれば巣内のミノムシに対する外的刺激が少なくて済むので好適である。具体的には、支持体繋止部又はその近傍を摘まみ、支持体から引き離すように分離する方法や支持体繋止部をハサミ等の器具を用いて切断して分離する方法が挙げられる。
2−3.効果
本発明の採取方法は、支持体に繋止されたミノムシの巣から、活動期のミノムシが潜む巣のみを選択し、巣内部のミノムシに負担やストレスをできる限り与えることなく、支持体から巣を採取することができる。この方法によれば、ミノムシの採取や飼育での巣の移動の際に生じ得るミノムシの死亡率を低減させ、また採取後のミノムシの活動も速やかに開始させることができる。
3.ミノムシの移動方法
3−1.概要
本発明の第3の態様は、ミノムシの移動方法である。本方法によれば、支持体に繋止された巣内で活動期のミノムシのみを選択して、巣ごと目的の場所に移動させることができる。それによって、巣内部のミノムシへの負担やストレスを可能な限り排除し、また目的の場所でのミノムシの活動も速やかに開始させることができる。それ故、本方法は、特に飼育環境下における餌葉の交換時やミノムシ絹糸採取時におけるミノムシの移動において有用な方法である。
3−2.方法
本発明の方法は、第1態様及び第2態様を経る場合、確認工程、判定工程、分離工程、及び移動工程を含む。このうち、確認工程及び判定工程は、第1態様に記載の「巣内ミノムシの状態識別方法」における確認工程及び判定工程に準じ、また分離工程は、第2態様の「活動期のミノムシを採取する方法」における分離工程に準ずる。一方、第1態様を経ずに第2態様のみを経る場合、分離工程、及び移動工程を含む。この場合も、分離工程は、第2態様の分離工程に準ずるしたがって、前述の態様で既に説明した工程については、詳細を省略し、ここでは本態様に特徴的な移動工程について以下で説明をする。
「移動工程」は、分離後のミノムシを巣ごと目的の場所に移す工程である。移動方法は限定しない。支持体から分離した巣を一つずつ目的の場所に移してもよいし、多数の巣を一旦回収してまとめた後、容器等に入れて目的の場所へ移動させてもよい。移動距離や移動時間も限定しない。ただし、支持体から分離したミノムシは、分離の際の外的刺激等により休息期間を解除して直ちに移動等を開始し得る。それ故、移動距離や移動時間はなるべく短い方が好ましい。例えば、餌葉交換に本発明の移動方法を使用する場合には、新しい餌葉を配置し、その近傍で分離工程を行い、分離した巣を直ちに新しい餌葉へ移動できるようにする方法が挙げられる。
3−3.効果
本発明の移動方法は、巣内に潜む活動期のミノムシのみを選択して、支持体から巣を分離した後に、目的の場所に移動させる方法であり、本方法を用いることでミノムシの死亡率を増大させることなく、移動後の活動再開を速やかに開始させることができる。
ミノムシの飼育に関しては、カイコの条桑育と同様に、餌葉を枝ごと給餌することができる。ミノムシの場合、餌葉のみを給餌するよりも葉の付いた枝ごと与える方が、ミノムシの休息期間や休止期において枝に巣を繋止させることができるため好ましい。この場合、餌葉交換時に、古い枝から新しい餌葉に移動させる必要があるが、本発明の移動方法を用いることで、安全に移動させ、また移動後も直ちに摂食させることができる。
4.休止期のミノムシを選別する方法
4−1.概要
本発明の第4の態様は、支持体に繋止されたミノムシの巣の中から、休止期のミノムシが潜む巣を選別する方法である。本発明によれば、支持体に繋止された状態の巣に不要な刺激を与えることなく、巣の外部から巣内部のミノムシの状態を識別し、休眠期に入った個体や、蛹化個体を選別することが可能となる。
一般に、休眠期(ミノムシの場合、通常、冬眠が該当する)に入ったミノムシは、低温耐性が高く、低温状態を維持することで、比較的長期、例えば、6ヶ月〜18ヶ月、又は8ヶ月〜12ヶ月の期間にわたって給餌の必要がなくなる。さらに、巣の移動に伴う刺激やストレスに対しても耐性を有し、多数の巣をまとめた高密度な環境下であっても、あまり問題にはならない。それ故に、ミノガの生活史においてミノムシの休眠期は、個体保存に最も適した期間である。一方、活動期のミノムシは、餌葉の給餌が毎日必要であり、さらに気温10℃以下の低温下では活動が鈍り、死亡率も高くなる。さらに、高密度な環境下での飼育はストレスを与え、病気の発生率や死亡率が高くなる。したがって、ミノムシの保存を目的とする場合、休眠期と活動期内の休息期間とを正確に識別することは重要である。
また、ミノムシを採糸用昆虫として人工的に累代する場合には、成虫の発生期を見極め、適切に交配させた後、採卵しなければならない。ところが、繭を作製して蛹化するカイコと異なり、ミノガは巣内で蛹化することから蛹化の時期を見極めることが難しい。また、種によってはメスが成虫期間を通して巣内で生活するため、外部からは巣内のミノムシの状態が幼虫、蛹、又は成虫のいずれのステージなのかを判断できない。オス成虫をあてがってもメスが幼虫であれば交配は成立しない。このように、ミノガの累代飼育において、蛹化時期の見定めは重要である。
本発明の選別方法によれば、ミノムシの活動期と休止期を見極め、ミノムシに不要な外的刺激やストレスを与えることなく、休止期のミノムシを選別し、回収することができる。本方法によって、個体の保存や交配における効率を上げることが可能となる。
4−2.方法
本発明の方法は、確認工程、及び判定工程、除去工程を含む。このうち、確認工程及び判定工程は、第1態様に記載の「巣内ミノムシの状態識別方法」における確認工程及び判定工程に準ずる。したがって、これらの工程については、ここでの説明は省略し、本態様に特徴的な除去工程について以下で説明をする。
「除去工程」は、活動期と識別された巣を支持体から除去する工程である。支持体に繋止された巣の中から、活動期の巣を除去することで、休止期の巣には外的刺激やストレスを与えずに済む。
また、外気温を徐々に低下させることで、活動期の巣を除去した後に残された休止期の巣を休眠期に入ったミノムシと判断することができる。この状態のミノムシを巣ごと低温下に置くことで、数か月から10カ月程度の保存が可能となる。
所定の温度で飼育した終齢時の幼虫を、本方法で活動期と休止期に分け、休止期の巣のみを回収することで、前蛹期以降のミノムシを選別することが可能となる。
<実施例1:幼齢期のミノムシにおける巣の採取と活動再開性>
(目的)
幼齢期のミノムシの巣を採取したときの頭部開口部における孔の有無と活動再開性について検証した。
(方法)
巣の長軸の長さが10mm未満の幼齢期(概ね2齢〜3齢)のオオミノガミノムシを巣やミノムシの状態に基づいて3群に分けて巣ごと採取し、その後の活動再開性について調べた。各群の状態は、以下の通りである。
(a)頭部開口部から頭部及び胸部を露出させて、移動や摂食行動を行っている個体の巣
(b)飼育ケース壁面や餌葉の枝葉を支持体として巣が繋止され、かつ巣の頭部開口部に孔がある状態の巣
(c)飼育ケース壁面や餌葉の枝葉を支持体として巣が繋止され、かつ巣の頭部開口部に孔がない状態の巣
(a)のミノムシは、本明細書において、摂食行動又は移動を行っている活動期のミノムシに該当する。(b)のミノムシは、本明細書における活動期のうち休息期間のミノムシに該当する。(c)のミノムシは、本明細書における休止期のミノムシに該当する。
(a)〜(c)のそれぞれの巣を10個ずつ採取した。(b)及び(c)では、支持体繋止部を指で摘まんで支持体から引き離して採取した。(a)は巣の中央部に指圧を掛けないように注意しながら採取した。採取した巣は、気温26℃、湿度60%の実験室内でポリスチレン製の角シャーレ上に並べて配置し、活動再開までの経過時間を計測した。活動再開は配置した位置からの移動の有無によって判断した。
(結果)
図5に結果を示す。活動期に相当する(a)及び(b)のミノムシでは、採取後、直ちに移動する個体が出現し、1時間経過後には、ほとんどの個体が活動を再開していた。一方、休止期に相当する(c)のミノムシは、配置後1時間経過しても1頭も活動を再開しなかった。図示しないが、(c)のミノムシは、配置7日後も活動を再開しなかった。14日後に巣を切り開いて内部を確認したところ、全ての個体が巣内で死亡していた。この結果から、幼齢期における休止期のミノムシでは、巣の採取による外的刺激とストレスにより死亡率が著しく高くなることが示唆された。
以上の結果から、幼齢期のミノムシは、活動期であれば巣を採取し、移動させても大きな景況はなく、直ちに活動を再開できるが、休眠期の場合、巣の採取や移動は、高い確率で致死的な影響を与え得ることが明らかとなった。
また、本実施例により、支持体に巣が繋止されていても、頭部開口部の孔の有無により、その巣が活動期であるか休止期であるか、巣内のミノムシの状態を識別できることも証明された。
<実施例2:老齢期のミノムシにおける巣の採取と活動再開性>
(目的)
老齢期のミノムシの巣を採取したときの頭部開口部における孔の有無と活動再開性について検証した。
(方法)
巣の長軸の長さが40mm以上に成長した老齢期(概ね6齢〜7齢)のオオミノガミノムシにおいて、支持体に繋止された巣の頭部開口部の孔に基づいて2群に分けて巣ごと採取し、その後の活動再開性について調べた。各群の状態は、以下の通りである。
(a)飼育ケース壁面や餌葉の枝葉を支持体として巣が繋止され、かつ巣の頭部開口部に孔がある状態の巣
(b)飼育ケース壁面や餌葉の枝葉を支持体として巣が繋止され、かつ巣の頭部開口部に孔がない状態の巣
(a)及び(b)のそれぞれの巣について、支持体繋止部を指で摘まんで支持体から引き離してそれぞれ10個ずつ採取した。採取した巣は、実施例1と同じ方法により活動再開までの経過時間を計測した。
(結果)
図6に結果を示す。活動期に相当する(a)のミノムシでは、シャーレ配置の30分後には、ほとんどの個体が、また2時間後には全ての個体が活動を再開した。一方、休止期に相当する(b)のミノムシは、配置後1日を経過しても1頭も活動を再開せず、2日目に約半数の個体が、3日目で7頭の個体が活動を再開したが、3頭は7日経過後も活動を再開しなかった。
以上の結果から、老齢期のミノムシでは、休眠期に巣を採取した場合、採取後から活動再開までに長時間を要することが明らかとなった。

Claims (8)

  1. 支持体に繋止された巣内におけるミノムシの状態を識別する方法であって、
    支持体繋止部近傍に位置するミノムシの摂食及び移動用開口部における孔の有無を確認する工程、及び
    該開口部に孔が存在する巣内のミノムシを活動期のミノムシと判定する工程
    を含む前記方法。
  2. 前記孔が目視で確認できる、請求項1に記載の方法。
  3. 支持体に繋止された巣から活動期のミノムシを採取する方法であって、
    請求項1又は2に記載の方法で活動期と判定されたミノムシを巣ごと支持体から分離する工程
    を含む前記方法。
  4. 支持体に繋止された巣から活動期のミノムシを採取する方法であって、
    支持体繋止部近傍に位置するミノムシの摂食及び移動用開口部に孔を有するミノムシの巣を支持体から分離する工程
    を含む前記方法。
  5. 支持体に繋止されたミノムシの巣を移動させる方法であって、
    請求項3又は4に記載の方法で採取したミノムシを巣ごと目的の場所に移す工程を含む前記方法。
  6. 前記目的の場所が新鮮な餌葉を配置した場所である、請求項5に記載の移動方法。
  7. 支持体に繋止された巣において休止期のミノムシを選別する方法であって、
    請求項1又は2に記載の方法で活動期と判定された巣を支持体から除去する工程
    を含む前記方法。
  8. 前記休止期が前蛹期、休眠期、蛹期、及び成虫期からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
JP2016219131A 2016-11-09 2016-11-09 巣内のミノムシの状態を識別する方法及び活動期のミノムシを採取する方法 Active JP6739840B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016219131A JP6739840B2 (ja) 2016-11-09 2016-11-09 巣内のミノムシの状態を識別する方法及び活動期のミノムシを採取する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016219131A JP6739840B2 (ja) 2016-11-09 2016-11-09 巣内のミノムシの状態を識別する方法及び活動期のミノムシを採取する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018074951A JP2018074951A (ja) 2018-05-17
JP6739840B2 true JP6739840B2 (ja) 2020-08-12

Family

ID=62148573

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016219131A Active JP6739840B2 (ja) 2016-11-09 2016-11-09 巣内のミノムシの状態を識別する方法及び活動期のミノムシを採取する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6739840B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3892092B1 (en) 2018-12-04 2023-09-13 National Agriculture and Food Research Organization Apparatus and method for producing bagworm silk thread
JP7740658B2 (ja) * 2020-12-10 2025-09-17 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 ミノガの採卵器並びにそれを用いたミノガの交配方法及び採卵方法
EP4261271B1 (en) * 2020-12-10 2025-12-10 National Agriculture And Food Research Organization Bagworm moth egg collection tool
WO2022265120A1 (ja) * 2021-06-18 2022-12-22 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 ミノムシ巣材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018074951A (ja) 2018-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6739840B2 (ja) 巣内のミノムシの状態を識別する方法及び活動期のミノムシを採取する方法
Muspratt The bionomics of an African Megarhinus (Dipt., Culicidae) and its possible use in biological control
Mahgoub et al. Observations on the biology and larval instars discrimination of wax moth Achroia grisella F.(Pyralidae: Lepidoptera)
CN112219798A (zh) 一种红松梢斑螟啮小蜂的培育方法
Chakravorty et al. Cultural attributes and traditional knowledge in connection with the rearing of Muga (Antheraea assama= assamensis) in the Dhemaji District of Assam, North-East India
WO2019064382A1 (ja) 採糸装置
Ngoka et al. Semi-captive rearing of the African wild silkmoth Gonometa postica (Lepidoptera: Lasiocampidae) on an indigenous and a non-indigenous host plant in Kenya
Agyapong et al. Ovipositional behavior of Anopheles gambiae mosquitoes
Ewunkem et al. Bioecology of Heteropoda venatoria (Linnaeus)(Araneae: Sparassidae) and its implications in a tropical banana agroecosystem
Kumar et al. Influence of prey species on feeding preference, post-embryonic development and life span of Cheilomenes sexmaculata (Fabricius)
Tikader New record of Brachymeria tibialis (Walker)(Hymenoptera: Chalcididae) on Cricula trifenestrata (Helfer) from India
Cheng OBSERVATIONS ON THE BIONOMICS OF THE DARK-SIDED CUTWORM, EUXOA MESSORIA (LEPIDOPTERA: NOCTUIDAE), IN ONTARIO1
Wall et al. The life cycle of Euplectrus platyhypenae, a gregarious external parasitoid of peanut foliage feeders in Oklahoma
Leksawasdi Compendium of research on selected edible insects in northern Thailand
Rai et al. Observation on the Biology of the Coccinellid Predator, Cheilomenes sexmaculata (Fabricius) on Aphis craccivora
Huangfu et al. The first biological portrait of stalk-eyed fruit flies: life history, reproductive biology and host use patterns in Pelmatops spp.(Diptera: Tephritidae)
Kovac et al. Insecta: Diptera, Stratiomyidae
JP2019013207A (ja) 採糸装置
Madhusudhan et al. Impact of varying different abiotic factors on the survivability of tasar silkworm in outdoor rearing fields
Allawi Biological and ecological studies on Scymnus syriacus and Scymnus levaillanti (Coleoptera: Coccinellidae)
Saleh et al. Effects of different high constant and alternating temperatures on the development and prey consumption of Dicyphus tamaninii Wagner (Heteroptera, Miridae) with Aphis gossypii Glover (Homoptera, Aphididae) as prey
Turillazzi Notes on the biology, social behaviour and nest architecture of Metischnogaster drewseni (Saussure)(Hymenoptera, Stenogastrinae)
NS Mandour et al. Infectivity, production and host finding of Heterorhabditis bacteriophora HP88 and Steinernema feltiae (Filipjev) against Ceratitis capitata
Chauhan et al. Studies on pests and diseases of bumble bee (Bombus haemorrhoidalis Smith) in India
Sirimungkararat Eri silkworm rearing in Thailand

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190607

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200421

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200623

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200717

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6739840

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250