以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
[ブレーキ制御装置全体の構成]
図1は、この発明に係るコイル組立体が用いられるブレーキ制御装置の概略的な断面図、図2は、同ブレーキ制御装置の分解斜視図、である。このブレーキ制御装置は、車両のマスタシリンダと各輪のホイールシリンダとの間に介在して、各輪のホイールシリンダへ供給されるブレーキ液圧を車輪速等に基づいて制御するものであり、ブレーキ配管の一部となる流体通路(図示せず)が内部に形成された液圧ブロック1と、ボディ3およびカバー4から箱状に構成され、液圧ブロック1の一方の面に積層されたケース2と、液圧ブロック1の他方の面に取り付けられた電動モータ5と、を備えている。電動モータ5は、液圧ブロック1の内部に配置された図示せぬプランジャポンプを駆動するものである。このプランジャポンプを利用して各輪へ供給するブレーキ液圧の増圧および減圧を行うために、液圧ブロック1とケース2とに亘って、複数個(例えば15個)のソレノイドバルブ11が設けられている。ソレノイドバルブ11は、詳しくは、液圧ブロック1のバルブ挿入孔14に挿入された弁体12と、この弁体12を軸方向に駆動するコイル組立体13と、から構成され、コイル組立体13は、後述するように、ケース2側、詳しくはボディ3の底面に配置されている。これら複数個のソレノイドバルブ11の周囲には、各部の液圧を検出するために圧力センサ22が3箇所に設けられている。なお、複数個のソレノイドバルブ11は、常開型ソレノイドバルブと常閉型ソレノイドバルブとを含んでいるが、ここでは、特に両者を区別しないものとする。
液圧ブロック1は、金属例えばアルミニウム合金によりブロック状に形成されているものであり、内部に上記の流体通路が所定の回路状に形成されているとともに、側面に複数個の液圧ポート6が配置されており、この複数個の液圧ポート6にホイールシリンダ等へ至る液圧配管が接続されるようになっている。
ボディ3は、例えば硬質合成樹脂を用いて成形されたもので、液圧ブロック1との取付面となるブロック側フランジ部16Bに対し凹んで位置する底壁15を有するとともに、周縁に、カバー4が取り付けられるカバー側フランジ部16Aを備えている。また、液圧ブロック1から側方へ張り出したボディ3の一側部には、複数の端子18を備えたコネクタ19が配置されている。カバー4は、例えば金属板のプレス成形品やアルミニウム合金のダイキャストなどからなり、上記カバー側フランジ部16Aに取り付けられることで、ボディ3の開口面全体を覆っている。
ボディ3の底壁15は、液圧ブロック1の面から離れており、両者の間に、上記のコイル組立体13が配置されている。換言すれば、液圧ブロック1に接するボディ3のブロック側フランジ部16Bの内周側に構成される空間内に、複数個のコイル組立体13が収容されている。また、ボディ3とカバー4とからなるケース2内には、ソレノイドバルブ11を駆動するための電気回路が形成された回路基板17が収容されている。この回路基板17は、ボディ3の底壁15と実質的に平行に配置され、かつ回路基板17と底壁15との間には、所定の間隔が与えられている。回路基板17には、図示を省略した多数の電子部品が実装されている。また、コネクタ19から延びた複数の端子18が回路基板17に接続されている。
図3および図4は、ボディ3の底面側の構成を示した底面図および斜視図である。図示するように、液圧ブロック1に接合されるブロック側フランジ部16Bが略矩形に連続した形に形成されており、その外側にコネクタ19が位置している。ブロック側フランジ部16Bによって囲まれた領域内には、複数個、例えば15個のコイル組立体13が密集して配置されている。詳しくは、4個のコイル組立体13が1つのグループとして四角形の頂点にそれぞれ位置するように隣接して配置され、このグループに隣接して、同じく4個のコイル組立体13が1つのグループとして四角形の頂点にそれぞれ位置するように隣接して配置されている。これら2つのグループの間には、電動モータ5との電気的接続を行うために円柱状に突出したモータポスト21が配置されている。また、上記の2つのグループに隣接した残りの領域には、それぞれ一列に並んだ3個のコイル組立体13と4個のコイル組立体13とが半ピッチずつずれた形に配列されて、計7個のコイル組立体13が配置されている。各々のコイル組立体13は、後に詳しく説明するように、略円筒状の外形状を有しており、互いに隣接する2つのコイル組立体13の間には、極僅かな隙間が設けられている。換言すれば、隣接するコイル組立体13同士の間に極僅かな隙間を確保しつつ、ボディ3の小型化のために、できるだけ密集した状態に15個のコイル組立体13が配置されている。
図10は、コイル組立体13の基本的な構成を示す斜視図であり、全体として略円筒状をなすコイル組立体13の一端面に、該コイル組立体13の軸方向に沿って延びる一対の端子31が設けられている。この端子31は、コイル組立体13の端面から突出して形成された合成樹脂製の端子支持基部32内にモールドされており、端子31の基端部は、巻線接続部31aとして端子支持基部32から側方へ突出している。端子支持基部32は、コイル組立体13の中心から一方へ偏って位置し、コイル組立体13と同心の円弧形に湾曲した壁状に突出形成されている。端子31は、端子支持基部32に保持されている付け根部分からコイル組立体13の半径方向外側へ屈曲した上で該コイル組立体13の軸方向に沿って延びている。また、上記端子支持基部32の外周側の面(円筒の外周に向かう面)には、一対の端子31の間となる位置に、コイル組立体13の軸方向に沿って延びる凹溝33が形成されており、この凹溝33の終端位置に、端子支持基部32を円筒の半径方向に沿って貫通する矩形の開口部34を備えている。
図5は、図1のA部の拡大断面図である。図5に示すように、各々のコイル組立体13の一対の端子31が、回路基板17のスルーホールを貫通した上で該回路基板17にはんだ付けされている。この端子31のはんだ付けによって、各々のコイル組立体13がボディ3(底壁15)の底面に固定支持されている。
図6は、回路基板17を取り除いた状態でボディ3の上面側の構成を示した斜視図、図7は、その一部(X部)を拡大して示した斜視図、図8は、コイル組立体13を取り付ける前の状態でボディ3の上面側の構成を示した斜視図、図9は、その一部(Y部)を拡大して示した斜視図、である。これらの図に示すように、各々のコイル組立体13の位置に対応して、ボディ3の底壁15に、角柱状に立ち上がった端子ガイド23が形成されている。この端子ガイド23の頂面23aには、各々の端子31に対応した端子ガイド孔24が貫通形成されており、コイル組立体13の端子31が端子ガイド孔24を貫通して上方へと延びている。端子ガイド23の頂面23aは回路基板17に僅かな隙間を介して近接しているので、端子31が端子ガイド孔24に挿通されることによって回路基板17の近くで所定位置に規制されることとなり、回路基板17のスルーホールへの端子31の挿入が容易となる。
ここで、一列に並んだ3個のコイル組立体13以外の残りの12個のコイル組立体13にあっては、互いに隣接する2つのコイル組立体13が互いに背中合わせとなるように組み合わされて、ボディ3に配置されている。つまり、互いに対となる2つのコイル組立体13は、各々の端子支持基部32が隣り合うような姿勢で配置される。そして、このように対となる2つのコイル組立体13に対して、図7,図9に示すように、頂面23aが正方形をなす1個の端子ガイド23が2つのコイル組立体13の間に設けられており、この端子ガイド23の頂面23aに、計4個の端子ガイド孔24が設けられている。つまり、対となった2つのコイル組立体13の計4本の端子31が、1個の端子ガイド23によって保持されている。図9に示すように、端子ガイド23の両側には、端子支持基部32や巻線接続部31a等との干渉を回避するために、底壁15に、長円を2分割したような形の開口部25が形成されている。
上記端子ガイド23は、さらに、コイル組立体13に面する側の側面23bに、端子支持基部32の開口部34に係合するコイル支持フック26を備えている。このコイル支持フック26は、開口した側面23bの中央部分で頂面23a付近から下方へ(底壁15の裏面側へ)向かって延びた腕部26aと、この腕部26aの先端に設けられた爪部26bと、から構成されている。腕部26aは、コイル組立体13の半径方向に沿って弾性的に湾曲変形し得るようになっており、コイル組立体13を底壁15の裏面側から挿入すると、爪部26bが凹溝33に沿って案内され、腕部26aの弾性によって自然に開口部34に係合する(図7参照)。このようにコイル支持フック26が端子支持基部32の開口部34に係合することによって、端子31の回路基板17へのはんだ付けの前に、コイル組立体13がボディ3に対し仮止めされる。従って、回路基板17へのはんだ付けがなされる前の段階でのコイル組立体13のボディ3からの脱落を防止できる。また、はんだ付け後も、振動等によりコイル組立体13に作用する荷重の一部がコイル支持フック26と開口部34との係合によって支承されるので、はんだ付け部分の応力が緩和される。前述したように、対となった2つのコイル組立体13に対する略正方向の端子ガイド23においては、互いに反対側を向いた2つの側面23bにそれぞれコイル支持フック26が設けられている。
なお、図8に示すように、一列に並んだ3個のコイル組立体13に対する端子ガイド23は、個々のコイル組立体13に対応して2個の端子ガイド孔24を有する長方形の頂面23aを備えた相対的に小さなものとなっている。この端子ガイド23も、同様にコイル支持フック26を備えている。
コイル組立体13のボディ3への取付手順としては、例えば、回路基板17をボディ3に取り付ける前に、底壁15の底面側から、コイル組立体13の端子31を端子ガイド23の端子ガイド孔24に挿入しながら、コイル組立体13を所定位置に押し込む。これにより、前述した端子ガイド23のコイル支持フック26がコイル組立体13側の開口部34に係合し、コイル組立体13が仮に保持される。次に、回路基板17をボディ3の所定位置に配置し、該回路基板17のスルーホールから突出した端子31をはんだ付けする。これにより、複数個のコイル組立体13が回路基板17やボディ3に対し固定支持される。
[コイル組立体の第1実施例]
次に、図10および図11〜図26を参照して、本発明の要部であるコイル組立体13の構成をより詳細に説明する。
図10は、第1実施例のコイル組立体13を示す斜視図である。図11は、同コイル組立体13の正面図、図12は、底面図、図13は、上面図、図14は、図13のB−B線に沿った断面図、図15は、図13のC−C線に沿った断面図、である。また、図16は、図15のD部の拡大図、図17は、図15のE部の拡大図、である。この第1実施例においては、コイル組立体13は、コイル41(図14参照)が巻回されるコイルボビン42と、このコイルボビン42を収容する一端が開口した円筒状の第1ヨーク43と、この第1ヨーク43の開口端に沿って配置された第2ヨーク44と、から構成されている。
図18は、コイルボビン42を単体で示す斜視図、図19は、同じく正面図、図20は、同じく底面図、図21は、同じく上面図、である。コイルボビン42は、硬質合成樹脂にて各部一体に成形されたものであって、図示するように、コイル41が巻回される円柱状の軸部45を有するとともに、この軸部45を軸方向に貫通する断面円形の軸貫通孔46を有し、かつ軸部45の両端に、それぞれ半径方向に突出した第1フランジ47および第2フランジ48が形成されている。第1フランジ47および第2フランジ48は、円環状をなしており、各々の外径は互いに等しい。なお、軸貫通孔46は軸部45と同心に形成されており、従って、軸部45は実質的に円筒状のものとなっている。第2フランジ48の軸方向外側の端面には、前述した端子支持基部32が一体に成形されており、前述したように、ここに一対の端子31がモールドされている。なお、図18〜図21では、端子31を図示省略してあり、合成樹脂部分のみが図示されている。
端子支持基部32は、前述したように、コイル支持フック26が係合する開口部34およびコイル支持フック26を案内する凹溝33を有している。また、図10に示すように、端子31の基部は、巻線接続部31aとして露出しており、ここにコイル41のワイヤの端部がそれぞれ結線されるようになっている。
また、第1フランジ47の軸方向外側の端面には、2つで1組となった第1フック101が、第1フランジ47の周方向に180°離れた2箇所に設けられている。つまり、2つで1組となった第1フック101を2組備えている。各々の組は、円環状をなす第1フランジ47の端面の上で、端子支持基部32の方向に対しそれぞれ90°をなす位置に配置されている。4つの第1フック101は、基本的に同一の形状をなしており、第1フランジ47の端面からコイルボビン42の軸方向に沿って突出した角柱状の腕部102と、この腕部102の先端の一方の側面から楔状に張り出した爪部103と、を備えている(図16参照)。これらの第1フック101は、コイルボビン42の一部として第1フランジ47と一体に合成樹脂材料にて成形されており、合成樹脂材料が有する弾性によって、腕部102は、爪部103を有する方向に沿って弾性的に湾曲変形し得るものとなっている。
図19,図20に示すように、各々の組に含まれる2つの第1フック101は、各々の爪部103が互いに反対側(換言すれば互いに外側)を向くように、いわゆる背中合わせの形に配置されており、かつ、2つの第1フック101の間に、各々の腕部102の湾曲変形を許容するための間隙104が設けられている。特に、各々の爪部103が指向する方向が、円環状をなす第1フランジ47の接線方向に沿っている。換言すれば、組をなす2つの第1フック101の各々の爪部103は、第1フランジ47の接線方向に沿って互いに外側を向いている。
コイルボビン42の第2フランジ48の軸方向外側の端面には、同様に、2つで1組となった第2フック105が、第2フランジ48の周方向に180°離れた2箇所に設けられている。つまり、2つで1組となった第2フック105を2組備えている。各々の組は、円環状をなす第2フランジ48の端面の上で、端子支持基部32の方向に対しそれぞれ90°をなす位置に配置されている。コイルボビン42の軸方向に投影したときに、第1フランジ47上の第1フック101と第2フランジ48上の第2フック105は、互いに重なる位置にある。4つの第2フック105は、基本的に同一の形状をなしており、第1フック101と同様に、第2フランジ48の端面からコイルボビン42の軸方向に沿って突出した角柱状の腕部106と、この腕部106の先端の一方の側面から楔状に張り出した爪部107と、を備えている(図17参照)。これらの第2フック105は、コイルボビン42の一部として第2フランジ48と一体に合成樹脂材料にて成形されており、合成樹脂材料が有する弾性によって、腕部106は、爪部107を有する方向に沿って弾性的に湾曲変形可能である。
図18に示すように、各々の組に含まれる2つの第2フック105は、各々の爪部107が互いに反対側(換言すれば互いに外側)を向くように、いわゆる背中合わせの形に配置されており、かつ、2つの第2フック105の間に、各々の腕部106の湾曲変形を許容するための間隙108が設けられている。特に、各々の爪部107が指向する方向が、円環状をなす第2フランジ48の接線方向に沿っている。換言すれば、組をなす2つの第2フック105の各々の爪部107は、第2フランジ48の接線方向に沿って互いに外側を向いている。
なお、図示例では、第1フック101と第2フック105とは実質的に同一の形状に形成されているが、本発明においては、第1フック101と第2フック105とが異なる形状および寸法のものであってもよい。
図22は、第1ヨーク43を単体で示す斜視図、図23は、同じく底面図、である。第1ヨーク43は、磁性体である金属例えば鉄系材料から各部一体に形成されたものであって、コイルボビン42の第1フランジ47に対向(図14参照)する端壁部51と、この端壁部51の周縁から起立した円筒形の側壁部52と、を有している。側壁部52の内径は、コイルボビン42の第1フランジ47および第2フランジ48の外径よりも僅かに大きく設定されている。また、軸方向に沿った側壁部52の長さは、コイルボビン42の全長よりも僅かに大きい。なお、側壁部52は多角形断面形状を有するものであってもよく、また、スリット状の開口部を有するものであってもよい。
端壁部51の中心部には、円形の貫通孔53を備えており、この貫通孔53の開口縁は、第1ヨーク43の内側へ向かって起立した第1立ち上がり壁54として形成されている。つまり、貫通孔53の開口縁に設けられた第1立ち上がり壁54は、端壁部51から側壁部52と平行に延びた相対的に短い円筒状をなしている。このように円筒状をなす第1立ち上がり壁54の外径は、コイルボビン42の軸貫通孔46の内径よりは小さく、従って、第1立ち上がり壁54は、コイルボビン42の軸貫通孔46に緩く嵌合する。なお、第1立ち上がり壁54は、第1ヨーク43とコイルボビン42との位置決めならびに両者の結合状態の安定化に寄与するが、本発明においては、第1立ち上がり壁54は必須のものではない。
側壁部52と第1立ち上がり壁54とに挟まれた端壁部51の中間の領域には、コイルボビン42の第1フランジ47上の第1フック101の各々の組に対応した2つの開口部111が貫通形成されている。これら2つの開口部111は、円環状をなす端壁部51において、互いに周方向に180°離れて位置している。各々の開口部111は、組となった2つの第1フック101の2つの腕部102を包含し得る大きさの長方形をなしている。具体的には、円環状をなす端壁部51の接線方向に沿って細長く延びた長方形をなしている。
従って、コイルボビン42を第1ヨーク43内に挿入し、2つの第1フック101と各開口部111とを位置合わせした上で適宜な荷重で押し込むことによって、図16に示すように、第1フック101が開口部111に係合する。つまり、コイルボビン42を軸方向に沿って押し込むと、2つの第1フック101が互いに内側に撓みつつ開口部111を通過し、開口部111の通過後に初期状態に復帰することで、各々の爪部103が開口部111の開口縁に係合する。これにより、コイルボビン42と第1ヨーク43とが互いに結合される。この結合作業に必要な荷重は、腕部102の形状寸法や爪部103の突出量等の設定によって調整可能であるが、例えば、人力によって押し込むことができる程度に設定することが望ましい。また、図16から明らかなように、第1フランジ47の端面から爪部103までの距離は、第1ヨーク43の端壁部51の厚さに略等しく(厳密には端壁部51の厚さよりも極僅か大きく)設定されている。
図24は、第2ヨーク44を単体で示す斜視図、図25は、同じく正面図、図26は、同じく底面図、である。第2ヨーク44は、第1ヨーク43と同様に磁性体である金属例えば鉄系材料から各部一体に形成されたものであって、図26に示すように、コイルボビン42の第2フランジ48の外径と略等しい径(換言すれば第1ヨーク43の側壁部52の内径よりも僅かに小さな径)の円板状をなしている。この第2ヨーク44は、コイルボビン42の第2フランジ48に重ねて配置されるものであり、第2フランジ48上の端子支持基部32および端子31の巻線接続部31aを避けるように、円弧形の切欠部61を備えている。
また、円形をなす第2ヨーク44の中心部には、円形の貫通孔63を備えており、この貫通孔63の開口縁は、第1ヨーク43の内側へ向かって起立した第2立ち上がり壁64として形成されている。つまり、貫通孔63の開口縁に設けられた第2立ち上がり壁64は、第2ヨーク44の面に直交して延びた相対的に短い円筒状をなしている。このように円筒状をなす第2立ち上がり壁64の外径は、前述した第1立ち上がり壁54と同様に、コイルボビン42の軸貫通孔46の内径よりは小さい。従って、第2立ち上がり壁64は、コイルボビン42の軸貫通孔46に緩く嵌合する。なお、第2立ち上がり壁64は、第2ヨーク44とコイルボビン42との位置決めならびに両者の結合状態の安定化に寄与するが、本発明においては、第2立ち上がり壁64は必須のものではない。
第2ヨーク44の上記第2立ち上がり壁64よりも外周側の領域には、コイルボビン42の第2フランジ48上の第2フック105の各々の組に対応した2つの開口部115が貫通形成されている。これら2つの開口部115は、円環状をなす第2ヨーク44において、切欠部61の形成位置と直交するように、互いに周方向に180°離れて位置している。各々の開口部115は、組となった2つの第2フック105の2つの腕部106を包含し得る大きさの長方形をなしている。具体的には、円環状をなす第2ヨーク44の接線方向に沿って細長く延びた長方形をなしている。
従って、第2ヨーク44をコイルボビン42の第2フランジ48の上に重ね、2つの第2フック105と各開口部115とを位置合わせした上で適宜な荷重で押し込むことによって、図17に示すように、第2フック105が開口部115に係合する。つまり、コイルボビン42の軸方向に沿って互いに押し込むと、2つの第2フック105が互いに内側に撓みつつ開口部115を通過し、開口部115の通過後に初期状態に復帰することで、各々の爪部107が開口部115の開口縁に係合する。これにより、コイルボビン42と第2ヨーク44とが互いに結合される。この結合作業に必要な荷重は、やはり腕部106の形状寸法や爪部107の突出量等の設定によって調整可能であるが、例えば、人力によって押し込むことができる程度に設定することが望ましい。また、図17から明らかなように、第2フランジ48の端面から爪部107までの距離は、第2ヨーク44の厚さに略等しく(厳密には第2ヨーク44の厚さよりも極僅か大きく)設定されている。
従って、コイルボビン42と第1ヨーク43と第2ヨーク44との三者が組み立てられた状態では、図14に示すように、コイルボビン42の軸方向の一端部において第1ヨーク43がコイルボビン42に結合され、コイルボビン42の軸方向の他端部において第2ヨーク44がコイルボビン42に結合されている。第2ヨーク44は、コイルボビン42の第2フランジ48に重なって位置し、第1ヨーク43の側壁部52の内周側に配置されている。これにより、第1ヨーク43の開口端が実質的に第2ヨーク44によって覆われており、第1ヨーク43と第2ヨーク44とで連続した磁路が構成される。第1ヨーク43と第2ヨーク44とは、基本的には互いに係合していない。つまり、合成樹脂製のコイルボビン42を媒介として、第1ヨーク43と第2ヨーク44とが一体に組み立てられている。従って、従来のような金属部品同士の圧入作業を要することなく、コイル組立体13を一体化することができる。なお、前述したように、回路基板17およびボディ3に対しては、コイル組立体13の中のコイルボビン42が固定支持されているので、コイル組立体13をボディ3に組み付けた状態では、第1ヨーク43はコイルボビン42を介して保持されることとなる。
また、コイルボビン42の一端における第1フック101と他端における第2フック105は、いずれもコイルボビン42の軸方向に沿って同じ方向に荷重を加えることで第1ヨーク43および第2ヨーク44に結合される。従って、結合作業が容易となり、例えば、コイルボビン42と第1ヨーク43と第2ヨーク44との三者を同時に結合することも可能である。
[コイル組立体の第2実施例]
次に、図27〜図41を参照して、第2実施例のコイル組立体13を説明する。なお、以下の説明においては、主に第1実施例と異なる構成について説明する。
図27は、第2実施例のコイル組立体13を示す斜視図である。図28は、同コイル組立体13の正面図、図29は、底面図、図30は、上面図、図31は、図30のF−F線に沿った断面図、である。また、図32は、図31のG部の拡大図、図33は、図31のH部の拡大図、である。この第2実施例のコイル組立体13も、基本的な構成は第1実施例と同様であり、コイル41(図31参照)が巻回されるコイルボビン42と、このコイルボビン42を収容する一端が開口した円筒状の第1ヨーク43と、この第1ヨーク43の開口端に沿って配置された第2ヨーク44と、から構成されている。
図34は、第2実施例におけるコイルボビン42を単体で示す斜視図、図35は、同じく正面図、図36は、同じく底面図、図37は、同じく上面図、である。これらの図に示すように、コイルボビン42の第1フランジ47の軸方向外側の端面には、2つの第1フック151が、第1フランジ47の周方向に180°離れてそれぞれ設けられている。詳しくは、円環状をなす第1フランジ47の端面の上で、端子支持基部32の方向に対しそれぞれ90°をなす位置に、それぞれ第1フック151が配置されている。2つの第1フック151は、基本的に同一の形状をなしており、第1フランジ47の端面からコイルボビン42の軸方向に沿って突出した角柱状の腕部152と、この腕部152の先端の一方の側面から楔状に張り出した爪部153と、を備えている(図31参照)。これらの第1フック151は、コイルボビン42の一部として第1フランジ47と一体に合成樹脂材料にて成形されており、合成樹脂材料が有する弾性によって、腕部152は、爪部153を有する方向に沿って弾性的に湾曲変形し得るものとなっている。
ここで、2つの第1フック151は、各々の爪部153がそれぞれ半径方向外側を向くように配置されている。つまり、前述した第1実施例では、第1フック101が円環状をなす第1フランジ47の接線方向に沿って爪部103を備えているのに対し、第2実施例では、第1フック151は第1フランジ47の半径方向に沿って爪部153を備えている。
第2フランジ48の軸方向外側の端面には、同様に、2つの第2フック155が、第2フランジ48の周方向に180°離れてそれぞれ設けられている。詳しくは、端子支持基部32の方向に対しそれぞれ90°をなす位置に第2フック155が配置されている。コイルボビン42の軸方向に投影したときに、第1フランジ47上の第1フック151と第2フランジ48上の第2フック155は、互いに重なる位置にある。2つの第2フック155は、基本的に同一の形状をなしており、第1フック151と同様に、第2フランジ48の端面からコイルボビン42の軸方向に沿って突出した角柱状の腕部156と、この腕部156の先端の一方の側面から楔状に張り出した爪部157と、を備えている(図32参照)。これらの第2フック155は、コイルボビン42の一部として第2フランジ48と一体に合成樹脂材料にて成形されており、合成樹脂材料が有する弾性によって、腕部156は、爪部157を有する方向に沿って弾性的に湾曲変形可能である。
ここで、2つの第2フック155は、第1フック151と同じく、各々の爪部157がそれぞれ半径方向外側を向くように配置されている。つまり、前述した第1実施例では、第2フック105が円環状をなす第2フランジ48の接線方向に沿って爪部107を備えているのに対し、第2実施例では、第2フック155は第2フランジ48の半径方向に沿って爪部157を備えている。
なお、図示例では、第1フック151と第2フック155とは実質的に同一の形状に形成されているが、本発明においては、第1フック151と第2フック155とが異なる形状および寸法のものであってもよい。
図38は、第2実施例における第1ヨーク43を単体で示す斜視図、図39は、同じく底面図、である。これらの図に示すように、第2実施例における第1ヨーク43は、端壁部51の周方向に180°離れた2箇所に、円形の開口部161が貫通形成されている。各々の開口部161は、第1フック151の爪部153が通過可能な大きさを有している。そして、2つの開口部161の間隔(つまり端壁部51の径方向に沿った2つの開口部161の間の距離)は、第1フランジ47における2つの第1フック151の間の径方向に沿った距離に対応している。より詳しくは、2つの第1フック151の爪部153がそれぞれ円形開口部161の開口縁から外側へ張り出すように、2つの開口部161の間隔が設定されている。
従って、コイルボビン42を第1ヨーク43内に挿入し、第1フック151と開口部161とをそれぞれ位置合わせした上で適宜な荷重で押し込むことによって、図32に示すように、第1フック151が開口部161に係合する。つまり、コイルボビン42を軸方向に沿って押し込むと、2つの第1フック151が互いに内側に撓みつつそれぞれ開口部161を通過し、開口部161の通過後に初期状態に復帰することで、各々の爪部153が開口部161の開口縁に係合する。これにより、第1実施例と同様に、コイルボビン42と第1ヨーク43とが互いに結合される。この結合作業に必要な荷重は、腕部152の形状寸法や爪部153の突出量等の設定によって調整可能であるが、例えば、人力によって押し込むことができる程度に設定することが望ましい。また、図32から明らかなように、第1フランジ47の端面から爪部153までの距離は、第1ヨーク43の端壁部51の厚さに略等しく(厳密には端壁部51の厚さよりも極僅か大きく)設定されている。
図40は、第2実施例における第2ヨーク44を単体で示す斜視図、図41は、同じく底面図、である。これらの図に示すように、第2実施例における第2ヨーク44は、第2立ち上がり壁64よりも外周側の領域において、周方向に180°離れた2箇所に、円形の開口部165が貫通形成されている。各々の開口部165は、第2フック155の爪部157が通過可能な大きさを有している。そして、2つの開口部165の間隔(つまり第2ヨーク44の径方向に沿った2つの開口部165の間の距離)は、第2フランジ48における2つの第2フック155の間の径方向に沿った距離に対応している。より詳しくは、2つの第2フック155の爪部157がそれぞれ円形開口部165の開口縁から外側へ張り出すように、2つの開口部165の間隔が設定されている。
従って、第2ヨーク44をコイルボビン42の第2フランジ48の上に重ね、第2フック155と各開口部165とをそれぞれ位置合わせした上で適宜な荷重で押し込むことによって、図33に示すように、第2フック155が開口部165に係合する。つまり、コイルボビン42の軸方向に沿って互いに押し込むと、2つの第2フック155が互いに内側に撓みつつそれぞれ開口部165を通過し、開口部165の通過後に初期状態に復帰することで、各々の爪部157が開口部165の開口縁に係合する。これにより、第1実施例と同様に、コイルボビン42と第2ヨーク44とが互いに結合される。この結合作業に必要な荷重は、やはり腕部156の形状寸法や爪部157の突出量等の設定によって調整可能であるが、例えば、人力によって押し込むことができる程度に設定することが望ましい。また、図33から明らかなように、第2フランジ48の端面から爪部157までの距離は、第2ヨーク44の厚さに略等しく(厳密には第2ヨーク44の厚さよりも極僅か大きく)設定されている。
従って、コイルボビン42と第1ヨーク43と第2ヨーク44との三者が組み立てられた状態では、図31に示すように、コイルボビン42の軸方向の一端部において第1ヨーク43がコイルボビン42に結合され、コイルボビン42の軸方向の他端部において第2ヨーク44がコイルボビン42に結合されている。第2ヨーク44は、コイルボビン42の第2フランジ48に重なって位置し、第1ヨーク43の側壁部52の内周側に配置されている。これにより、第1ヨーク43の開口端が実質的に第2ヨーク44によって覆われており、第1ヨーク43と第2ヨーク44とで連続した磁路が構成される。第1ヨーク43と第2ヨーク44とは、基本的には互いに係合していない。つまり、合成樹脂製のコイルボビン42を媒介として、第1ヨーク43と第2ヨーク44とが一体に組み立てられている。従って、従来のような金属部品同士の圧入作業を要することなく、コイル組立体13を一体化することができる。なお、前述したように、回路基板17およびボディ3に対しては、コイル組立体13の中のコイルボビン42が固定支持されているので、コイル組立体13をボディ3に組み付けた状態では、第1ヨーク43はコイルボビン42を介して保持されることとなる。
また、この第2実施例においても、コイルボビン42の一端における第1フック151と他端における第2フック155は、いずれもコイルボビン42の軸方向に沿って同じ方向に荷重を加えることで第1ヨーク43および第2ヨーク44に結合される。従って、結合作業が容易となり、例えば、コイルボビン42と第1ヨーク43と第2ヨーク44との三者を同時に結合することも可能である。
[コイル組立体の第3実施例]
次に、図42〜図52を参照して、第3実施例のコイル組立体13を説明する。以下に説明する第3実施例および第4実施例は、第1,第2実施例に比較して、基本的なヨークの構成を変更したものである。つまり、前述した第1,第2実施例では閉磁路を構成するヨークとして第1ヨーク43と第2ヨーク44とを組み合わせていたのに対し、第3実施例および第4実施例では、単一のヨーク201のみを備えている。換言すれば、第3実施例および第4実施例のコイル組立体13は、コイル41(図45参照)が巻回されるコイルボビン42と、このコイルボビン42を収容する一端が開口した円筒状のヨーク201と、の2部品から構成される。
図42は、第3実施例のコイル組立体13を示す斜視図である。図43は、同コイル組立体13の正面図、図44は、上面図、図45は、図44のJ−J線に沿った断面図、図46は、図44のK−K線に沿った断面図、である。また、図47は、図46のL部の拡大図、である。
図48は、コイルボビン42を単体で示す斜視図、図49は、同じく正面図、図50は、同じく上面図、である。コイルボビン42は、基本的構成は、前述した第1実施例および第2実施例と同様である。すなわち、コイルボビン42は、硬質合成樹脂にて各部一体に成形されたものであって、図48に示すように、コイル41が巻回される円柱状の軸部45を有するとともに、この軸部45を軸方向に貫通する断面円形の軸貫通孔46を有し、かつ軸部45の両端に、それぞれ半径方向に突出した第1フランジ47および第2フランジ48が形成されている。第1フランジ47および第2フランジ48は、円環状をなしており、各々の外径は互いに等しい。軸貫通孔46は軸部45と同心に形成されており、従って、軸部45は実質的に円筒状のものとなっている。第2フランジ48の軸方向外側の端面には、前述した端子支持基部32が一体に成形されており、前述したように、ここに一対の端子31がモールドされている(図42参照)。端子31の基部は、巻線接続部31aとして露出しており、ここにコイル41(図45参照)のワイヤの端部がそれぞれ結線される。端子支持基部32は、前述したように、コイル支持フック26が係合する開口部34およびコイル支持フック26を案内する凹溝33を有している。なお、図48〜図50では、端子31を図示省略してあり、合成樹脂成部分のみが図示されている。
また、第2フランジ48の軸方向外側の端面には、第1実施例の第2フック105と同様に、2つで1組となったフック301が、第2フランジ48の周方向に180°離れた2箇所に設けられている。つまり、2つで1組となったフック301を2組備えている。各々の組は、円環状をなす第1フランジ47の端面の上で、端子支持基部32の方向に対しそれぞれ90°をなす位置に配置されている。4つのフック301は、基本的に同一の形状をなしており、第1フランジ47の端面からコイルボビン42の軸方向に沿って突出した角柱状の腕部302と、この腕部302の先端の一方の側面から楔状に張り出した爪部303と、を備えている(図47参照)。これらのフック301は、コイルボビン42の一部として第2フランジ48と一体に合成樹脂材料にて成形されており、合成樹脂材料が有する弾性によって、腕部302は、爪部303を有する方向に沿って弾性的に湾曲変形し得るものとなっている。
各々の組に含まれる2つのフック301は、各々の爪部303が互いに反対側(換言すれば互いに外側)を向くように、いわゆる背中合わせの形に配置されており、かつ、2つのフック301の間に、各々の腕部302の湾曲変形を許容するための間隙304が設けられている。特に、各々の爪部303が指向する方向が、円環状をなす第2フランジ48の接線方向に沿っている。換言すれば、組をなす2つのフック301の各々の爪部303は、第2フランジ48の接線方向に沿って互いに外側を向いている。
図51は、第3実施例におけるヨーク201の斜視図、図52は、同ヨーク201の底面図である。
ヨーク201は、磁性体である金属例えば鉄系材料から各部一体に形成されたものであって、図51に示すように、コイルボビン42の第2フランジ48に対向する端壁部203と、この端壁部203の周縁から起立した円筒形の側壁部204と、を有している。側壁部204の内径は、コイルボビン42の第1フランジ47および第2フランジ48の外径よりも僅かに大きく設定されている。また、軸方向に沿った側壁部204の長さは、コイルボビン42の全長よりも僅かに大きい。なお、側壁部204は多角形断面形状を有するものであってもよく、また、スリット状の開口部を有するものであってもよい。端壁部203の中心部には、円形の貫通孔205を備えており、この貫通孔205の開口縁は、ヨーク201の内側へ向かって起立した立ち上がり壁206として形成されている。つまり、貫通孔205の開口縁に設けられた立ち上がり壁206は、端壁部203から側壁部204と平行に延びた相対的に短い円筒状をなしている。
このように円筒状をなす立ち上がり壁206の外径は、コイルボビン42の軸貫通孔46の内径よりは小さく、従って、立ち上がり壁206は、コイルボビン42の軸貫通孔46に緩く嵌合する。なお、立ち上がり壁206は、ヨーク201とコイルボビン42との位置決めならびに両者の結合状態の安定化に寄与するが、本発明においては、立ち上がり壁206は必須のものではない。
上記端壁部203は、コイルボビン42の第2フランジ48に重ねて配置されるので、第2フランジ48上の端子支持基部32および端子31の巻線接続部31aを避けるように、円弧形の開口部208を備えている。
また、側壁部204と立ち上がり壁206とに挟まれた端壁部203の中間の領域には、コイルボビン42の第2フランジ48上のフック301の各々の組に対応した2つの開口部311が貫通形成されている。これら2つの開口部311は、円環状をなす端壁部203において、互いに周方向に180°離れて位置している。各々の開口部311は、組となった2つのフック301の2つの腕部102を包含し得る大きさの長方形をなしている。具体的には、円環状をなす端壁部203の接線方向に沿って細長く延びた長方形をなしている。
従って、コイルボビン42をヨーク201内に挿入し、2つのフック301と各開口部311とを位置合わせした上で適宜な荷重で押し込むことによって、図47に示すように、フック301が開口部311に係合する。つまり、コイルボビン42を軸方向に沿って押し込むと、2つのフック301が互いに内側に撓みつつ開口部311を通過し、開口部311の通過後に初期状態に復帰することで、各々の爪部303が開口部311の開口縁に係合する。これにより、コイルボビン42とヨーク201とが互いに結合される。この結合作業に必要な荷重は、腕部302の形状寸法や爪部303の突出量等の設定によって調整可能であるが、例えば、人力によって押し込むことができる程度に設定することが望ましい。また、図47から明らかなように、第2フランジ48の端面から爪部303までの距離は、ヨーク201の端壁部203の厚さに略等しく(厳密には端壁部203の厚さよりも極僅か大きく)設定されている。
このようにしてコイルボビン42とヨーク201とが組み立てられた状態では、図45に示すように、コイルボビン42の軸方向の一端部においてヨーク201がコイルボビン42に結合され、コイル組立体13として一体化される。ヨーク201によって、一部がエアギャップとなるものの、コイル41を囲む磁路が構成される。従って、従来のような金属部品同士の圧入作業を要することなく、コイル組立体13を一体化することができる。特に、コイル組立体13をボディ3に組み付ける前の段階においても、コイルボビン42とヨーク201とが分離することがなく、ボディ3への組付が容易となる。なお、前述したように、回路基板17およびボディ3に対しては、コイル組立体13の中のコイルボビン42が固定支持されているので、コイル組立体13をボディ3に組み付けた状態では、ヨーク201はコイルボビン42を介して保持されることとなる。
[コイル組立体の第4実施例]
次に、図53〜図62を参照して、第4実施例のコイル組立体13を説明する。
図53は、第4実施例のコイル組立体13を示す斜視図である。図54は、同コイル組立体13の正面図、図55は、上面図、図56は、図55のM−M線に沿った断面図、図57は、図56のN部の拡大図、である。
第4実施例のコイル組立体13は、第3実施例と同様に、コイル41(図56参照)が巻回されるコイルボビン42と、このコイルボビン42を収容する一端が開口した円筒状のヨーク201と、の2部品から構成される。
図58は、第4実施例におけるコイルボビン42を単体で示す斜視図、図59は、同じく正面図、図60は、同じく上面図、である。これらの図に示すように、コイルボビン42の第2フランジ48の軸方向外側の端面には、第2実施例の第2フック155と同様に、2つのフック351が、第2フランジ48の周方向に180°離れてそれぞれ設けられている。詳しくは、円環状をなす第2フランジ48の端面の上で、端子支持基部32の方向に対しそれぞれ90°をなす位置に、それぞれフック351が配置されている。2つのフック351は、基本的に同一の形状をなしており、第2フランジ48の端面からコイルボビン42の軸方向に沿って突出した角柱状の腕部352と、この腕部352の先端の一方の側面から楔状に張り出した爪部353と、を備えている(図57参照)。これらのフック351は、コイルボビン42の一部として第2フランジ48と一体に合成樹脂材料にて成形されており、合成樹脂材料が有する弾性によって、腕部352は、爪部353を有する方向に沿って弾性的に湾曲変形し得るものとなっている。
2つのフック351は、各々の爪部353がそれぞれ半径方向外側を向くように配置されている。つまり、前述した第3実施例では、フック301が円環状をなす第2フランジ48の接線方向に沿って爪部303を備えているのに対し、第4実施例では、フック351は第2フランジ48の半径方向に沿って爪部353を備えている。
図61は、第4実施例におけるヨーク201を単体で示す斜視図、図62は、同じく底面図、である。これらの図に示すように、第4実施例におけるヨーク201は、端壁部203の周方向に180°離れた2箇所に、円形の開口部361が貫通形成されている。各々の開口部361は、フック351の爪部353が通過可能な大きさを有している。そして、2つの開口部361の間隔(つまり端壁部203の径方向に沿った2つの開口部361の間の距離)は、第2フランジ48における2つのフック351の間の径方向に沿った距離に対応している。より詳しくは、2つのフック351の爪部353がそれぞれ円形開口部361の開口縁から外側へ張り出すように、2つの開口部361の間隔が設定されている。
従って、コイルボビン42をヨーク201内に挿入し、フック351と開口部361とをそれぞれ位置合わせした上で適宜な荷重で押し込むことによって、図57に示すように、フック351が開口部361に係合する。つまり、コイルボビン42を軸方向に沿って押し込むと、2つのフック351が互いに内側に撓みつつそれぞれ開口部361を通過し、開口部361の通過後に初期状態に復帰することで、各々の爪部353が開口部361の開口縁に係合する。これにより、第3実施例と同様に、コイルボビン42とヨーク201とが互いに結合される。この結合作業に必要な荷重は、腕部352の形状寸法や爪部353の突出量等の設定によって調整可能であるが、例えば、人力によって押し込むことができる程度に設定することが望ましい。また、図57から明らかなように、第2フランジ48の端面から爪部353までの距離は、ヨーク201の端壁部203の厚さに略等しく(厳密には端壁部203の厚さよりも極僅か大きく)設定されている。
[コイル組立体13の他の変形例]
上述した第2実施例では、2つの第1フック151の爪部153がそれぞれ半径方向外側を向いているが、爪部153がそれぞれ半径方向内側を向くように構成することもできる。第2フック155についても同様であり、2つの第2フック155の爪部157がそれぞれ半径方向内側を向くように構成することもできる。
同様に、第4実施例において、2つのフック351の爪部353がそれぞれ半径方向内側を向くように構成することもできる。
また、第2実施例では、第1フック151と係合する第1ヨーク43側の開口部161が円形に形成されているが、第1フック151(爪部153)の断面形状に対応した矩形の開口部161としてもよい。第2フック155と係合する第2ヨーク44側の開口部165についても同様であり、第2フック155(爪部157)の断面形状に対応した矩形の開口部165としてもよい。なお、図示例のようにこれらの開口部161,165が円形であれば、ドリル加工による形成が可能であるので、開口部161,165の二次的な機械加工が容易である。
同様に、第4実施例において、フック351と係合するヨーク201側の開口部361を、フック351(爪部353)の断面形状に対応した矩形の開口部361としてもよい。
さらに、第1実施例におけるコイルボビン42と第1ヨーク43および第2ヨーク44との結合構造と、第2実施例におけるコイルボビン42と第1ヨーク43および第2ヨーク44との結合構造と、は、適宜に組み合わせて適用することが可能である。例えば、コイルボビン42と第1ヨーク43との結合を第1実施例のような結合構造でもって結合し、コイルボビン42と第2ヨーク44とを第2実施例のような結合構造でもって結合すること、などが可能である。
[コイル組立体の態様]
以上説明した実施例に基づくコイル組立体の態様としては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
本発明のコイル組立体は、その一つの態様において、コイルが巻回される軸部を有するとともに、この軸部の一端に半径方向に突出したフランジを有するコイルボビンと、上記フランジに重ねて配置される端壁部および該端壁部から起立した側壁部を有する一端が開口した筒状をなし、上記コイルボビンを収容するヨークと、上記フランジから上記端壁部に設けられた開口部を貫通して延び、該開口部の開口縁に係合する爪部を先端に有するフックと、を備える。
本発明の好ましい一つの態様においては、上記端壁部の周方向に180°離れた2箇所にそれぞれ上記開口部を備え、上記フランジには、各々の爪部が半径方向に沿って反対側に向かう2つのフックが設けられている。
そして、一つの例では、2つのフックの爪部がそれぞれ半径方向外側へ向かっている。
また本発明の好ましい他の一つの態様においては、1つの開口部に対して上記フランジに2つのフックが設けられており、これら2つのフックの各々の爪部は、上記フランジの接線方向に沿って互いに外側へ向かっている。
そして、一つの例では、上記端壁部に複数の開口部が設けられており、各々の開口部に対して2つのフックが設けられている。
さらに、本発明の好ましい一つの態様においては、本発明のコイル組立体は、上記軸部の他端に半径方向に突出して設けられた第2のフランジと、上記ヨークの開口端に沿うように上記第2のフランジに重ねて配置される第2のヨークと、上記第2のフランジから上記第2のヨークに設けられた開口部を貫通して延び、該開口部の開口縁に係合する爪部を先端に有する第2のフックと、をさらに備える。
この場合、筒状をなすヨークの開口端が実質的に第2のヨークによって覆われ、両者によって連続した磁路が構成される。つまり、コイルボビンを媒介として、筒状をなすヨークと第2のヨークとが一体化される。
本発明の好ましい一つの態様においては、上記第2のヨークの周方向に180°離れた2箇所にそれぞれ上記開口部を備え、上記第2のフランジには、各々の爪部が半径方向に沿って反対側に向かう2つの第2のフックが設けられている。
そして、一つの例では、2つの第2のフックの爪部がそれぞれ半径方向外側へ向かっている。
また本発明の好ましい他の一つの態様においては、1つの開口部に対して上記第2のフランジに2つの第2のフックが設けられており、これら2つの第2のフックの各々の爪部は、上記第2のフランジの接線方向に沿って互いに外側へ向かっている。
そして、一つの例では、上記第2のヨークに複数の開口部が設けられており、各々の開口部に対して2つの第2のフックが設けられている。
[ブレーキ制御装置の態様]
本発明は、さらに、コイル組立体を含むブレーキ制御装置に関する。本発明の好ましい一つの態様においては、ブレーキ制御装置は、ブレーキ配管の一部となる流体通路が形成された液圧ブロックと、上記ブロックのバルブ挿入孔に挿入された弁体および該弁体を駆動するコイル組立体を含み、上記流体通路の流量を制御するソレノイドバルブと、上記ソレノイドバルブを駆動するための電気回路が形成された回路基板と、上記コイル組立体および上記回路基板が収容されるケースと、を備えており、上記コイル組立体は、コイルが巻回される軸部を有するとともに、この軸部の一端に半径方向に突出したフランジを有するコイルボビンと、上記フランジに重ねて配置される端壁部および該端壁部から起立した側壁部を有する一端が開口した筒状をなし、上記コイルボビンを収容するヨークと、上記フランジから上記端壁部に設けられた開口部を貫通して延び、該開口部の開口縁に係合する爪部を先端に有するフックと、上記コイルボビンの端部から該コイルボビンの軸方向に突出し、上記回路基板に固定支持された端子と、を備えている。
本発明の好ましい一つの態様においては、上記コイル組立体が、さらに、上記軸部の他端に半径方向に突出して設けられた第2のフランジと、上記ヨークの開口端に沿うように上記第2のフランジに重ねて配置される第2のヨークと、上記第2のフランジから上記第2のヨークに設けられた開口部を貫通して延び、該開口部の開口縁に係合する爪部を先端に有する第2のフックと、を備えている。