JP6713164B2 - シグナル解析方法及び試料ガス識別方法 - Google Patents

シグナル解析方法及び試料ガス識別方法 Download PDF

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本発明は、ナノメカニカルセンサを用いたガス測定の分析手法に関する。より詳細には、ナノメカニカルセンサからのシグナル解析方法、及びこの方法に基づく試料ガス識別方法に関する。
気体や液体中の微量成分の検出に使用できる小型のセンサとして、近年ナノメカニカルセンサが有力視されている。ナノメカニカルセンサとは、基板となるセンサ素子上に受容体材料を被覆した受容体層と呼ばれる部位で気相・液相中の検体を吸収・吸着し、その際に発生する応力・ひずみを検知することで動作する新型の化学センサである。1994年にJ. K. Gimzewskiらによりカンチレバータイプのナノメカニカルセンサが開発され(非特許文献1)、ガスやイオン等の低分子化合物からタンパク質やDNAなどの生体物質まで様々な物質の検知がこれまでに報告されている。2011年に吉川らにより膜型表面応力センサ(Membrane-type Surface Stress Sensor,MSS)が開発されたことで高感度かつ超小型のセンサが実現し(特許文献1,非特許文献2)、食品・環境・医療等への応用が期待されている。ナノメカニカルセンサは、検知部材のナノメートル領域のわずかな変形・変位やそれに対応する応力等を検知することで動作する。例えば、非特許文献3でカンチレバータイプのナノメカニカルセンサについての議論がなされているが、そのグラフ中に例示されているカンチレバーの変位量は1400nm程度から下は1nm前後までの範囲にわたっており、そのようなナノメートル領域の変位量を検知することでセンサとしてのシグナルを得ている。
ナノメカニカルセンサを用いて測定を行った場合に、測定で得られるシグナルの形状(センサに検体が吸着あるいは脱離する際のシグナルの経時変化)と受容体での物理的・化学的な現象との関係に関しては、まだ十分に理解が進んでいない。この問題に対し、2008年M. J. Wenzelらは、粘弾性体で被覆されたカンチレバータイプのナノメカニカルセンサについてモデルを立て、数値計算によりシグナルの形状を再現した(非特許文献4)。これにより彼らは受容体材料の粘弾性的性質等のパラメータを抽出することに成功したが、微分方程式を数値計算により解く(具体的にオイラー法を使用)ことでパラメータを推定する手法を使用している。微分方程式の数値解法は誤差や数値的安定性の問題があり、これに適切に対処するには適切なアルゴリズムの選択や各種の調節が必要となる。そのため、微分方程式を数値計算で解くことが求められる非特許文献4の方法においては、パラメータを正確に抽出するためには数値計算の専門的知識が要求される。また、微分方程式を数値計算で解く際には計算量がかなり多くなるため、計算時間や使用する計算機のコストも増大する。
このようにナノメカニカルセンサの原理に基づくモデルからパラメータを抽出する取り組みがある一方で、実験により得られたシグナルから任意のパラメータ(強度の最大値、試料ガス導入時のシグナル立ち上がりの傾き等)を抽出し、その値を元に解析を行う手法がある。この手法では、試料毎に差が現れやすいパラメータを解析に用いることで試料間の識別がしやすくなるが、原理に基づいた物理的・化学的な意味を持ったパラメータでないため、測定した試料間での相対的な違いでしか識別を行うことができない。
したがって、微分方程式ではなく解析解としてシグナルの形状が記述できれば、シグナルの形状から比較的容易に物理的・化学的に意味のあるパラメータが抽出可能となり、これを用いることで試料の識別を絶対的な指標をもって行うことが可能となる。
本発明の課題は、ナノメカニカルセンサを用いた試料測定を行った際に、そのシグナルの形状から受容体材料及び試料ガスに関する物理的・化学的なパラメータを抽出することにある。さらに、このようにして抽出されたパラメータから試料の識別を可能とすることを課題とする。
本発明の一側面によれば、受容体層を設けたナノメカニカルセンサに試料ガスを含む気流及び前記試料ガスを含まない気流を切り替えて供給し、前記切替えにより前記ナノメカニカルセンサから出力されるシグナルの時間変化が時間tの定数倍を変数とする指数関数を含む関数であると見なすことにより、前記指数関数を含む関数から前記受容体層の材料の粘弾性的性質を表すパラメータ及び前記受容体層と前記試料ガスとの組合せにより決まるパラメータからなる群から選択された少なくとも一を求める、ナノメカニカルセンサを用いた測定におけるシグナル解析方法が与えられる。
ここで、前記指数関数を含む関数は、時間tの定数倍であるat及びbt(ただし、a≠b)を変数とする2つの指数関数eat及びebtをそれぞれ定数A、B倍であるAeatとBebtとの和で表現された関数、並びに前記AeatとBebtとの和で表現された関数を平行移動及び又は反転させた関数からなる群から選択された関数を含む関数であり、前記和で表現された関数に係る少なくとも一つの前記定数に基づいて前記群から選択された少なくとも一を求めてよい。
また、前記指数関数を含む関数を前記シグナルにフィッティングすることにより、前記群から選択された少なくとも一を求めてよい。
また、前記指数関数を含む関数を構成する指数関数項のうちで所定の時間範囲内で最大値を取る指数関数項が前記指数関数を含む関数であると見なして、前記群から選択された少なくとも一を求めてよい。
また、前記群は前記試料ガスの前記受容体層の材料への拡散時定数、前記受容体層の材料の瞬間弾性率、前記受容体層の材料の緩和弾性率、前記受容体層の材料の応力緩和時間を含んでよい。
また、前記群から選択された少なくとも一は前記試料ガスの前記受容体層の材料への拡散時定数であってよい。
また、前記指数関数を含む関数は下式の定数倍であってよい。

ただし、αは下式

で表され、tは基準時刻、τは前記受容体層の材料の応力緩和時間、τは前記試料ガスの前記受容体層の材料への拡散時定数であってτ≠τ、Eは前記受容体層の材料の瞬間弾性率、Eは前記受容体層の材料の緩和弾性率である。
また、前記指数関数を含む関数は下式の定数倍であってよい。

ただし、tは基準時刻、Eは前記受容体層の材料の瞬間弾性率、Eは前記受容体層の材料の緩和弾性率であり、τは前記受容体層の材料の応力緩和時間及び前記試料ガスの前記受容体層の材料への拡散時定数であって、前記応力緩和時間と前記拡散時定数とは同じ値である。
また、前記ナノメカニカルセンサは膜型表面応力センサであってよい。
本発明のほかの側面によれば、前記のナノメカニカルセンサを使用して求められた前記受容体層と前記試料ガスとの組合せにより決まる前記パラメータに基づいて前記試料ガスの識別を行う、試料ガス識別方法が与えられる。
ここで、前記受容体層と前記試料ガスとの組合せにより決まる前記パラメータは前記試料ガスの前記受容体層の材料への拡散時定数であってよい。
また、複数の前記受容体層を用いて前記組合せにより決まる複数のパラメータを求め、前記複数の受容体層の各々と当該材料に対応する前記組合せにより決まるパラメータとの対に基づいて前記試料ガスの識別を行ってよい。
本発明により、測定で得られるシグナルの形状からナノメカニカルセンサに被覆された受容体のパラメータ及び試料ガスのパラメータが容易に抽出できるようになる。これにより受容体自体の特性や受容体と各種の試料ガスとの組合せ特性を容易に測定できるようになる。また、これを利用して、例えばガス種の識別を行うことができる。
ナノメカニカルセンサに試料ガスを供給する際の(a)気相中のガス濃度と時間との関係、及び(b)それに応じたナノメカニカルセンサのシグナル強度、を夫々示す図。 試料ガスインジェクション時の(a)気相中のガス濃度Camb、(b)受容体層のガス濃度C、(c)発生する応力の絶対値|σ|、及び(d)カンチレバーのたわみZを夫々示す図。 パージ時の(a)気相中のガス濃度Camb、(b)受容体層のガス濃度C、(c)発生する応力の絶対値|σ|、及び(d)カンチレバーのたわみZを夫々示す図。 初期状態がC=C、σ=σ、Z=Zからの試料ガスインジェクション/パージ時の(a)気相中のガス濃度Camb、(b)受容体層のガス濃度C、(c)発生する応力の絶対値|σ|、及び(d)カンチレバーのたわみZを示す図。 実施例1において、PMMAを被覆したMSSの光学顕微鏡像。 実施例1において、測定を行う際のガスの流路を示す図。 実施例1において、(a)測定により得られたシグナルと、(b)パージ部分を拡大した図。破線は理論式を用いたフィッティングにより得られた曲線を示す図。 実施例2において、(a)PMMA及び(b)PVCを被覆したMSSの光学顕微鏡像。 実施例2において、測定を行う際のガスの流路を示す図。 実施例2において、測定結果より受容体へのガスの拡散時定数τを抽出する手順を示す図。 実施例2において、PMMA被覆MSSにより得られた実験結果を示す図。 実施例2において、PVC被覆MSSにより得られた実験結果を示す図。 実施例2において、シグナルの形状から受容体(PMMA、PVC)への各ガスの拡散時定数τを抽出し、それらの逆数をプロットした図。
本発明の一態様では、ナノメカニカルセンサに試料となるガスを導入し、その後パージ(試料ガスの供給を止め、大気や不活性ガスでセンサ素子を洗浄する操作)することで得られるシグナルを、本発明により導かれた数式(解析解)を元に解析することで、受容体材料及びガスに関する物理的・化学的なパラメータが抽出可能となる手法が提供される。さらに、抽出されたパラメータを用いることで、絶対的な指標をもって試料の識別を行うことが可能となる手法が提供される。
本発明は、ナノメカニカルセンサを用いたガス測定により試料ガスの分析を行うものである。したがって、本発明で使用可能なセンサ本体は、その表面に受容体材料を被覆することで構成された受容体層が検知対象物質を吸着することによって受容体層に引き起こされる変化を検知するものであれば、その構造、動作等は特に制限されない。また、センサチップに至る気体試料の流路及び気体試料の導入方法はどのようなものであってもよい。ナノメカニカルセンサの読み取り方式は、レーザーを用いた光学的なものや、ピエゾ抵抗やコンデンサを利用した電気的なものを含め、どのようなものであっても良い。
<理論的背景>
長さl、厚さhのカンチレバーの上に厚さhの粘弾性的性質を持つ材料を受容体として被覆した場合を考える。ここで、受容体層はカンチレバーと比較して十分に柔らかい、若しくは薄いものとする。このとき、受容体層中のガス濃度C、応力σ、カンチレバーのたわみZは非特許文献4によれば
で与えられる。ただし、Cambは気相中のガス濃度、Kはガスの受容体と気相との間での分配係数、τはガスの受容体への拡散時定数、E及びEはそれぞれ受容体の瞬間弾性率及び緩和弾性率、τは受容体の応力緩和時間、Eはカンチレバーのヤング率である。また、λはλ=V/3で定義される量であり、ここでVは単位分子量あたりの受容体の膨張量である。式(1)は、受容体を濃度Cのガスに無限時間暴露し平衡状態にさせたときに、受容体で吸収されるガスの濃度C(∞)が気相中のガスの濃度Cに線形に比例することを仮定している。したがって、気相中のガスの濃度が高すぎる場合など、その比例関係が崩れるような場合には適用できない。
ここで、図1のような試料ガスの導入(インジェクション)及び洗浄(パージ)を考える。すなわち、図1(a)のように一定時間試料ガスを濃度Cで供給し、その後試料ガスの供給を止め、大気ないし不活性ガスで洗浄を行う。なお、不活性ガスとはセンサ素子に吸着したガスを洗い流すためのガスであり、受容体に吸着・吸収されにくいガスが好ましい。不活性ガスとしては、これに限定するわけではないが、例えば窒素やアルゴンが好適に使用できる。このときナノメカニカルセンサでは図1(b)のような形状の信号が得られる。ここで、実際の実験条件下では、試料ガスとパージガスを切り替える際の時間差や、ガス切り替え部分からセンサ素子のある部分へガスが移動するまでに生じるガス流路内での拡散などによって、図1(a)のように理想的なステップ関数のように試料ガスとパージガスを切り替えられない場合が多いと考えられるが、本発明の解析方法が実質的に適用できる範囲であれば、瞬時に試料ガスとパージガスが切り替わるような理想的なものである必要は無い。
初めに図2(a)のような試料ガスのインジェクションCamb,in(t)を考える。インジェクション開始の時刻をt=0とし、t=0のときにC=0、σ=0、Z=0とする(図2(b)〜(d))。このとき式(1)より、インジェクション時の受容体層中のガス濃度Cin(t)、応力σin(t)、カンチレバーのたわみZin(t)はそれぞれ
で与えられる。ただし、αは
である。Csat、σsat、Zsatはそれぞれ飽和時の受容体層中ガス濃度、応力、カンチレバーのたわみであり、
である。ここではτ≠τを仮定したが、τ=τ(=τ)の場合には、式(2b)及び(2c)はそれぞれ
で与えられる。
次に、図3(a)のようなパージCamb,pur(t)を考える。すなわち、試料ガスで受容体を飽和させ、t=0でガスの供給を止め、大気又は不活性ガスで置換する場合である。パージ開始の時刻をt=0とし、t=0のときにC=Csat、σ=σsat、Z=Zsatとする(図3(b)〜(d))。このとき式(1)より、パージ時の受容体層中のガス濃度Cpur(t)、応力σpur(t)、カンチレバーのたわみZpur(t)はそれぞれ
で与えられる。ただし、τ=τ(=τ)の場合には、式(5b)及び(5c)はそれぞれ
で与えられる。
ナノメカニカルセンサの測定で得られるシグナルはカンチレバーのたわみZに比例したものであることから、ここではZの変化に注目する。式(2c)と式(5c)とを比較すると、Zin(t)とZpur(t)とはZ=Zsat/2を軸に対称であることがわかる。式(2c’)と式(5c’)についても同様である。したがって、両者を解析して得られる情報は同じであることから、ここではZpur(t)に注目する。式(5c)は減衰時間の異なる2つの指数関数の和で表され、それらの減衰時間及び係数はτ及びτ、並びにα及び(1−α)である。ここでαは式(3)で与えられることから、実験で得られた結果からτ、τ、E/Eを求めることができる。これにより、シグナルの形状の解析から受容体の性質及びガス種の識別を行うことが可能となる。
次に、図4のように、ある程度受容体層がガスを吸収し応力が発生しており、カンチレバーがたわんだ状態(C(0)=C、σ(0)=σ、Z(0)=Zの状態)から試料ガスのインジェクション及びパージを行うことを考える。ただし、インジェクション時のガス濃度Camb,in(t)はCで一定であり、パージ時のガス濃度Camb,pur(t)は0とする(図4(a))。このとき式(1)よりインジェクション時の受容体層中ガス濃度C’in(t)、応力σ’in(t)、たわみZ’in(t)はそれぞれ
と表せる。ただし、
である。また、τ=τ(=τ)の場合には、式(6b)及び(6c)はそれぞれ
で与えられる。
一方、パージ時の受容体層中ガス濃度C’pur(t)、応力σ’pur(t)、たわみZ’pur(t)は式(1)よりそれぞれ
となる。ただし、
である。また、τ=τ(=τ)の場合には、式(7b)及び(7c)はそれぞれ
で与えられる。これにより、供給するガスの濃度Cambを0とCで階段関数的に制御した際に得られるナノメカニカルセンサ上受容体層中のガス濃度C、応力σ、カンチレバーのたわみZが時間tの関数として与えられた。ナノメカニカルセンサで得られるシグナルはZもしくはそれに比例した量であることから、測定で得られたシグナルを式(2)、(5)、(6)、(7)でフィッティングすることにより、E/E、τ、τを求めることができる。また、カンチレバーの形状とヤング率(h、L、E)及び受容体層の膜厚hがわかっていれば、σsat(=−EλK)を求めることができる。これまで仮定したような典型的なカンチレバーではない形状のナノメカニカルセンサ(直方体でないカンチレバーセンサ、MSS等)の場合では直接σsatは求めることができないが、測定の原理が同じであることから得られるシグナルはσ及びZに比例した量となる。したがって式(2)、(5)、(6)、(7)でシグナルをフィッティングすることにより、E/E、τ、τを求めることができる。
ここで先に説明したτ=τの場合の取り扱いについて更に説明を加える。少数点以下2桁程度でτ=τとなる場合はほとんどないため、原理的にはτ≠τの場合の式だけあればフィッティングは可能となる。しかし、誤差の範囲で両者が一致してしまう場合(例えばτ=1.5±0.3、τ=1.1±0.4など)は十分あり、その場合にはτ=τとしてフィッティングを行った方が正確である。すなわち、τとτの値が近いとき、αの式の(1/τ−1/τ−1の部分がτとτのわずかな差で大きく動くため、τ≠τの場合の式を使用してフィッティングを行うと誤差が大きくなる。従って、本願では厳密にはτとτの値が一致しなくても、τ=τの場合の式を使用してフィッティングを行った方が高い精度でパラメータを求めることができる場合もτ=τの場合に含めるものとする。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、当然ながら、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>PMMA被覆されたMSSを用いたパラメータの抽出
本実施例では、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)を受容体として被覆したMSSを用いて水蒸気の測定を行い、各種パラメータの抽出を行った。
PMMA粉末をトルエンに溶かし、5.0g/lの溶液とした。これをスプレーコーティングにより図5のようにMSSチップ上に製膜した。センサ本体は特許文献1で提案した膜型構造を有するピエゾ抵抗読み取り型のナノメカニカルセンサであるMSSを使用した。
ここで、MSSチップ上に成膜されたPMMA受容体層の厚さは正確には測定しなかったが、1〜10マイクロメートルの範囲内であった。一般にナノメカニカルセンサはその表面に被覆される受容体層の厚さにより検出感度が変化する。非特許文献3はこれについて解析を行っている。その結果によれば、検出感度を最大化する受容体層の厚さは受容体層のヤング率等により異なるが、PMMA、ポリウレタン(PU)、カルボキシメチルセルロース(CMC)の場合には最適な厚さは2〜8マイクロメートルの範囲であることが示されている。これより、本実施例では、最適あるいはほぼ最適と考えられる膜厚のPMMA受容体層を有するMSSを使用して実験を行ったということができる。
本実施例では、図6に示す測定システムにより水蒸気の測定を行った。水蒸気のインジェクションは、水を入れた密閉型バイアル瓶のヘッドスペースの飽和水蒸気を、窒素ガスをキャリアとして流すことで供給し、パージは窒素ガスにより行った。なお、インジェクション及びパージの流量はマスフローコントローラ(MFC)により制御し、夫々100sccmとした。また、インジェクション及びパージの時間はそれぞれ30秒とした。
測定結果を図7に示す。測定結果は、ベースラインが0mVになるように減算処理を施してある。図7(a)に示すように、30秒間の水蒸気インジェクションによりシグナルが上昇し、その後窒素を流すことでシグナルが減少している。図7(b)はパージ時のシグナルを拡大したものである。シグナル強度をVとし、パージ時のシグナルを以下の式(8)を用いてフィッティングを行う。
ただし、Vは飽和時のシグナル強度、tはパージ開始時刻である。式(8)はパージ時のカンチレバーの撓みZpur(t)を表す式である式(5c)の右辺先頭の飽和撓みZsatを飽和時のシグナル強度Vで置き換えたものである。式(5c)はカンチレバータイプのナノメカニカルセンサについて解析を行っている非特許文献4の結果から導出された式である。式(8)を式(5)に基づいてこのように定めたということは、MSSで得られる検出出力の関数形が、カンチレバータイプのナノメカニカルセンサの撓みを表す関数形と同一になることを想定している。MSSの検出出力は、通常の条件下では印加された表面応力に比例することが有限要素解析によって確認されており、カンチレバーの場合と同様の傾向にあることからもこの想定が妥当であることが分かる。
式(8)の関数でフィッティングを行ったものが図4(b)の破線である。このように、式(8)によるフィッティングは測定結果と非常によく合致した。このフィッティング結果から、受容体であるPMMAの瞬間弾性率と緩和弾性率の比E/E、PMMAの応力緩和時定数τ、PMMAへの水蒸気の拡散時定数τがそれぞれ6.1、2.6(秒)、19.2(秒)と求められた。
なお、τとτが等しいかあるいは値が接近している場合には、式(5c)から導かれた式(8)の代わりに、式(5c)の直後に示されている対応する式(5c’)を使用して、同様な操作によりシグナル強度Vを求める式(8’)を導いて使用することができる。この場合も式(5c’)の時刻をパージ開始時刻tだけシフトさせる。
<実施例2>PMMAとPVC被覆されたMSSによるガス種の識別
本実施例では、PMMAとポリ塩化ビニル(PVC)を受容体として被覆したMSSを用いて各ガス種の測定を行い、抽出したパラメータをもとにガス種の識別を行った。
PMMA粉末をトルエンに溶かし、5.0g/lの溶液とした。また、PVC粉末をアセトンに溶かし、飽和溶液を作製した。これらをスプレーコーティングにより図8のようにMSSチップ上に製膜した。なお、PMMA被覆したMSSは実施例1と同じものである。
本実施例では実施例1と同一の膜厚のPMMA受容体層を有するMSSに加えて、やはり正確な膜厚は測定しなかったが1〜10マイクロメートルの範囲内の膜厚を有するPVC受容体層で被覆したMSSを使用した。PVCは実施例1の説明において最適膜厚に関して例示的に言及した受容体層材料とほぼ同等のヤング率を有することから、実施例2では、PMMA受容体層付きMSSと、PVC受容体層付きMSSの双方とも最適あるいはほぼ最適と考えられる受容体層膜厚のものであるということができる。
本実施例では、図9に示す測定システムにより溶媒蒸気の測定を行った。溶媒蒸気のインジェクションは、溶媒を入れた密閉型バイアル瓶のヘッドスペースの飽和溶媒蒸気を、窒素ガスをキャリアとして流すことで供給し、パージは窒素ガスにより行った。溶媒は、水(HO)、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロピルアルコール(IPA)、ヘプタン(heptane)、オクタン(octane)、ベンゼン(benzene)、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)を用いた。インジェクション及びパージの流量はMFCにより制御し、夫々100sccmとした。また、インジェクション及びパージの時間はそれぞれ30秒とした。
パージ時のシグナルは式(5c)で与えられるが、τがτと比較して大きい場合、パージ開始後十分時間が経った部分でのシグナルは
と近似することができる。したがって、シグナル強度の対数を時間に対してプロットすると、パージ後十分時間が経った区間は傾きが−1/τの直線となる。図10(a)はPMMA受容体を用いてIPA蒸気の測定を行った際の測定結果であり、図10(a)の縦軸を対数にしたものが図10(b)である。図10(b)より、時間が経つにつれシグナルの減少が直線的になっていることから、この傾きを求めることでτを抽出することができる。なお式(7c)より、カンチレバーのたわみ(シグナル強度)が飽和していない状態からのパージにおいても、そのシグナルの形状は時定数の異なる2つの指数関数の和で表わされることから、同様の手法によりτを抽出することができる。
図11、図12にPMMA及びPVC受容体を用いた測定結果を示す。グラフを見やすくするため、各測定結果は縦軸方向にずらしてある。ガスの受容体への拡散時定数τが受容体の応力緩和時間τと同等、もしくはτより小さいときには、パージ時のシグナルがマイナスの極小値を取った後にゼロに漸近するという現象(オーバーシュート)が起こるが、図11、図12に示した測定結果ではそのような現象が起きなかった。このことからτはτより大きく、パージ後半時のシグナル変化から上記手法によりτを抽出することができる。
なお、τ<τの場合には、受容体が多くのガスを素早く吸収して強いシグナルが出た後で、受容体が徐々に柔らかくなり応力が緩和されることによってシグナルが弱まる。これにより上で言及したオーバーシュートが発生する。
測定結果からガスの受容体への拡散時定数τを抽出し、横軸にPMMA被覆MSSより得られたτの逆数(1/τs,PMMA)を、縦軸にPVC被覆MSSより得られたτの逆数(1/τs,PVC)をプロットしたものが図13である。τは受容体と試料ガスとの組み合わせで決まる定数であることから、本実施例のように受容体の異なる複数のナノメカニカルセンサにより測定を行い、τを抽出することでガス種の識別を行うことが可能となる。すなわち、識別すべき各ガスについての本発明によって抽出できるパラメータの何れかあるいはそのうちから選択された複数のパラメータの組み合わせがガス毎に互いに別個の領域に分布する場合にはガス間の識別は簡単である。また、単一の受容体では識別できないような、例えば多くの種類のガスを識別したい場合には、上述のように2種類あるいはもっと多くの性質の異なる受容体を用いたナノメカニカルセンサによる測定で得られたこれらのパラメータを組み合わせることで、精度の高い識別を行うことができる。いずれにしても、表面応力が印加されたナノメカニカルセンサの動的シグナルから、表面応力以外で科学的に意味のあるτなどのパラメータが抽出できるようになったことにより、例えば主成分分析のような複数の試料ガス間の相対的な関係では無く、図13のような絶対値に科学的な意味を有する軸上にプロットすることが可能となった。
本実施例ではPMMAとPVCの2つの受容体に対する各ガスのτを求めることでガスの識別を行ったが、他の受容体へのτも求め解析に含めることでさらに識別能を高めることができる。これは多チャンネルMSSチップを用いてそれぞれのチャンネルを異なる受容体で塗り分けることで実現可能である。さらに、本実施例ではシグナル強度の対数を時間に対してプロットし、十分時間が経った地点での直線の傾きを求めるという比較的簡易的な手法によりτを抽出したが、このτを抽出するアルゴリズムを最適化することでより高精度にτが求まりガスの識別能を高めることが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、ナノメカニカルセンサを用いたガス測定結果のシグナルを分析することで受容体及び試料ガスに関するパラメータが抽出できる。これにより、受容体材料の粘弾性的性質やガスの拡散時定数がわかり、また抽出されたパラメータをもとにガスの識別を行うことも可能となる。
国際公開2011/148774号公報
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Claims (6)

  1. 受容体層を設けたナノメカニカルセンサに試料ガスを含む気流及び前記試料ガスを含まない気流を切り替えて供給し、
    前記切替により前記ナノメカニカルセンサから出力されるシグナルの時間変化が時間tの定数倍を変数とする指数関数を含む関数であると見なすことにより、前記指数関数を含む関数から前記受容体層の材料の粘弾性的性質を表すパラメータ及び前記受容体層と前記試料ガスとの組み合わせにより決まるパラメータからなる群から選択された少なくとも一を、前記指数関数を含む関数を前記シグナルにフィッティングすることにより求める、
    ナノメカニカルセンサを用いた測定におけるシグナル解析方法において、
    前記群は前記試料ガスの前記受容体層の材料への拡散時定数、前記受容体層の材料の瞬間弾性率、前記受容体層の材料の緩和弾性率、前記受容体層の材料の応力緩和時間を含み、
    前記指数関数を含む関数として下式の定数倍である第1の式

    (ただし、αは下式

    で表され、t は基準時刻、τ は前記受容体層の材料の応力緩和時間、τ は前記試料ガスの前記受容体層の材料への拡散時定数であってτ ≠τ 、E は前記受容体層の材料の瞬間弾性率、E は前記受容体層の材料の緩和弾性率である)
    の定数倍、及び
    下式の定数倍である第2の式

    (ただし、t は基準時刻、E は前記受容体層の材料の瞬間弾性率、E は前記受容体層の材料の緩和弾性率であり、τは前記受容体層の材料の応力緩和時間及び前記試料ガスの前記受容体層の材料への拡散時定数であって、前記応力緩和時間と前記拡散時定数とは同じ値である)
    を前記フィッティングの対象の候補とし、
    前記受容体層の材料の応力緩和時間の値と前記試料ガスの前記受容体層の材料への拡散時定数の値とに基づいて前記第1の式と前記第2の式の何れを前記フィッティングの対象の式として選択するかを定める
    ナノメカニカルセンサを用いた測定におけるシグナル解析方法
  2. 前記応力緩和時間と前記拡散時定数とが誤差の範囲で一致する場合に前記第2の式を前記フィッティングの対象の式として選択し、
    それ以外の場合には前記第1の式を前記フィッティングの対象として選択する、
    請求項1に記載のナノメカニカルセンサを用いた測定におけるシグナル解析方法。
  3. 前記ナノメカニカルセンサは膜型表面応力センサである、請求項1又は2に記載のシグナル解析方法。
  4. 請求項1から3の何れかに記載のナノメカニカルセンサを使用して求められた前記受容体層と前記試料ガスとの組み合わせにより決まる前記パラメータに基づいて前記試料ガスの識別を行う、試料ガス識別方法。
  5. 前記受容体層と前記試料ガスとの組み合わせにより決まる前記パラメータは前記試料ガスの前記受容体層の材料への拡散時定数である、請求項4に記載の試料ガス識別方法。
  6. 複数の前記受容体層を用いて前記組み合わせにより決まる複数のパラメータを求め、
    前記複数の受容体層の各々と当該材料に対応する前記組み合わせにより決まるパラメータとの対に基づいて前記試料ガスの識別を行う、
    請求項4又は5に記載の試料ガス識別方法。
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