JP6711539B2 - 難消化性グルカンを含有する血糖上昇抑制剤およびその用途 - Google Patents

難消化性グルカンを含有する血糖上昇抑制剤およびその用途 Download PDF

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Description

本発明は、難消化性グルカンを有効成分とする血糖上昇抑制剤およびその用途に関する。
糖尿病、特に食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足等の生活習慣が原因となる2型糖尿病の増加が近年大きな社会問題となっている。厚生労働省による平成19年の国民栄養・健康調査の結果では、日本国内には、「糖尿病が強く疑われる人」が890万人、「糖尿病の可能性を否定できない人」が1320万人と計2000万人以上の糖尿病が疑われる人がいると推定されている。糖尿病は、放置すると糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症等の重篤な合併症を併発する非常に危険な病気である。
これまで、糖尿病の治療・予防を目的とした種々の血糖上昇抑制作用を有する化合物あるいは組成物が提案されており、例えば、茶ポリフェノール(特許文献1)、金耳から分離される酸性ヘテロ多糖(特許文献2)、加熱処理したアラビアガム(特許文献3)、焙焼デキストリンの酸加水分解物(特許文献4)、特殊な多分岐構造を有するα-グルカン(特許文献5)、発芽玄米糠由来のステロール配糖体(特許文献6)、キサンタンガムおよび水溶性カルシウム塩・クエン酸塩(特許文献7)、マツ科モミ属植物の樹葉の抽出物(特許文献8)などが血糖上昇抑制剤としての機能を有することが報告されている(特許文献1〜8 )。しかしながら、いずれの素材も特定の原料から抽出精製作業が必要であったり加工処理が必要であったり、製造に特殊な酵素が必要であったりと、供給安定性や製造コストの点で問題があった。さらに、血糖上昇抑制剤の選択肢を広げる意味でも、新たな素材の開発が望まれていた。
一方、特許文献9には、活性炭を触媒として原料糖質を加熱することを特徴とする糖縮合物(水溶性食物繊維)の製造方法が開示されている。当該製法により、DE70〜100の澱粉分解物を加熱縮合することで簡便・安価な製法で新たな水溶性食物繊維素材が製造されている。しかしながら、特許文献9には、この水溶性食物繊維素材の血糖上昇抑制作用については一切開示されていない。
特開平04−253918号 特開平07−238031号 国際公開2004/089992号 特開2007−246542号 国際公開2008/136331号 特開2011−57597号 特開2012−126682号 特開2014−129284号 特開2013−76044号
本発明は、新たな血糖上昇抑制剤を提供することを目的とする。
本願発明者らは、DE70〜100の澱粉分解物を加熱縮合させて得られた糖縮合物からなる難消化性グルカンが生体内で血糖上昇抑制作用を有することを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) DE70〜100の澱粉分解物を加熱縮合させて得られた糖縮合物からなる難消化性グルカンまたは該難消化性グルカン処理物を含んでなる、血糖上昇抑制剤。
(2) 難消化性グルカンが、活性炭の存在下で加熱縮合させて得られた糖縮合物からなる、(1)に記載の血糖上昇抑制剤。
(3) 難消化性グルカンが、100〜300℃で加熱縮合させて得られた糖縮合物からなる、(1)または(2)に記載の血糖上昇抑制剤。
(4) (1)〜(3)のいずれか一項記載の血糖上昇抑制剤を含有する医薬品、医薬部外品、飲食品、または飼料。
本発明によれば、難消化性グルカンを使用することで、安価で安定的に供給可能な新規の血糖上昇抑制剤を提供できる点で有利である。
確認試験1の難消化性グルカン投与群と非投与群における、負荷食摂取前から摂取後120分間の血糖値の変化量(Δ血糖値)の経時的変化を示す図である。 確認試験1の難消化性グルカン投与群と非投与群における、負荷食摂取前から摂取後120分間のインスリン値の変化量(Δインスリン値)の経時的変化を示す図である。 確認試験1の難消化性グルカン投与群と非投与群における、負荷食摂取前から摂取後120分間の血糖値変化量のAUC(Δ血糖値AUC)を示す図である。 確認試験2の試験デザインを示す図である。 確認試験2の難消化性グルカン投与群と非投与群における、負荷食摂取前から摂取後120分間の血糖値の経時的変化を示す図である。 確認試験2の難消化性グルカン投与群と非投与群における、負荷食摂取前から摂取後120分間のインスリン値の経時的変化を示す図である。 確認試験2の難消化性グルカン投与群と非投与群における、負荷食摂取前から摂取後120分間の血糖値のAUCを示す図である。
本発明による血糖上昇抑制剤は、DE70〜100の澱粉分解物を加熱縮合させて得られた糖縮合物からなる難消化性グルカンまたは該難消化性グルカン処理物を含んでなる血糖上昇抑制剤である。
本発明において「難消化性グルカン」は、難消化性のグルカン(グルコースポリマー)を意味し、DE70〜100の澱粉分解物を、加熱処理により縮合反応させることで得られる糖縮合物として得ることができる。すなわち、本発明における難消化性グルカンは、DE70〜100の澱粉分解物の加熱縮合物である。難消化性グルカンは、水溶性食物繊維画分を豊富に有している。
難消化性グルカンの原料となる澱粉分解物としては、DEが70〜100である澱粉分解物を使用することができる。澱粉分解物のDEが70を下回ると、分解が不十分であるために得られる難消化性グルカンに澱粉由来の構造が多く残存してしまい、体内酵素により分解され易く容易に吸収されてしまう傾向があり、血糖上昇抑制作用の点で好ましくない。ここで、「DE(Dextrose Equivalent)」とは、澱粉分解物の分解度合いの指標であり、試料中の還元糖をブドウ糖として固形分に対する百分率で示した値である。澱粉分解物は、DEが75〜100であることが好ましく、80〜100であることがより好ましい。本発明に用いられる「DE70〜100の澱粉分解物」は、DEが所定の範囲を満たす澱粉分解物であればよく、例えば、マルトオリゴ糖、水飴、粉飴、グルコース等が挙げられる。その性状も特に制限はなく、結晶品(無水ぶどう糖結晶、含水ぶどう糖結晶等)、液状品(液状ぶどう糖、水飴等)、非結晶粉末品(粉飴等)のいずれでも良いが、ハンドリングや製造コストを考慮すると液状品を用いることが好ましい。特に、グルコースの精製工程で生じる副産物である「ハイドロール」と呼ばれるグルコースシラップの使用は、リサイクルや原料コスト削減の観点から極めて有利である。
本発明において「加熱縮合」は、澱粉分解物を加熱条件下において縮合させることをいい、加熱縮合方法は当業者に周知である。加熱縮合における加熱条件は、縮合反応により水溶性食物繊維が豊富な難消化性グルカン(糖縮合物)が得られれば特に制限はなく、当業者であれば加熱条件を適宜決定することができるが、得られる難消化性グルカン(糖縮合物)の食物繊維含量が70%以上となるように加熱することが好ましく、例えば、100℃〜300℃で1〜180分間、より好ましくは、150℃〜250℃で1〜180分間加熱処理することで製造できる。
本発明において「加熱縮合」は、無触媒条件下で行ってもよいが、縮合反応の反応効率の点から触媒存在下で行うことが好ましい。前記触媒としては糖縮合反応を触媒するものであれば特に制限はないが、無機酸(塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等)、有機酸(クエン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、酢酸等)、鉱物性物質(珪藻土、活性白土、酸性白土、ベントナイト、カオリナイト、タルク等)および活性炭(水蒸気炭、塩化亜鉛炭、スルホン化活性炭、酸化活性炭等)を用いることができる。得られる水溶性食物繊維素材の着色や安全性、更には味・臭いを考慮すると、触媒として活性炭を用いることが好ましい。また、前記各触媒は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明に用いる難消化性グルカンは、上記手法で得られた糖縮合物をそのまま用いても良く、あるいは、難消化性グルカンの各種処理物を用いても良い。難消化性グルカン処理物としては、例えば、難消化性グルカン酵素処理物、難消化性グルカン分画処理物、難消化性グルカン還元処理物が挙げられる。難消化性グルカン処理物は、複数の処理を組合わせたものでも良い。
本発明において「難消化性グルカン酵素処理物」は、糖縮合物を糖質分解酵素で酵素処理して得ることができる。当該処理により難消化性グルカン中の消化性部位を分解することができる。
本発明に用いられる「糖質分解酵素」は、糖質に作用し加水分解反応を触媒する酵素であり、特に制限はないが、例えば、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ(アミログルコシダーゼ)、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、α−グルコシダーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、β−グルコシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−マンノシダーゼ、β−フルクトシダーゼ、セロビアーゼ、ゲンチオビアーゼ等を挙げることができ、前記酵素を単独で用いてもよく、複数の酵素を組み合わせて用いてもよい。難消化性グルカンへの分解作用からα−アミラーゼ、グルコアミラーゼが好ましく、両酵素のいずれかを単独で作用させてもよいが、α−アミラーゼおよびグルコアミラーゼを共に作用させるのが特に好ましい。
本発明において「酵素処理」の処理条件は、酵素処理により糖縮合物の易消化性部分が消化される条件であれば特に制限はなく、当業者であれば酵素処理条件を適宜決定することができるが、酵素処理によりグルコース含量が1%以上、より好ましくは2%以上増加するように処理するのが好ましく、例えば、20〜120℃で30分間〜48時間、より好ましくは、50〜100℃で30分間〜48時間酵素処理することができる。
本発明において「難消化性グルカン分画処理物」は、難消化性グルカン酵素処理物を二糖以下の画分が15%以下となるように分画処理して得ることができる。言い換えれば「難消化性グルカン分画処理物」は三糖以上の糖類を85%を超えて有するものである。ここで「%」は、固形分に対する質量%を意味する。
本発明において「分画処理」は、二糖以下の画分を15%以下にすることができるものであれば特に制限はなく、その分離方法は当業者に周知の手段を利用することができる。
前記分画処理は、例えば、膜分離、ゲルろ過クロマトグラフィー、カーボン−セライトカラムクロマトグラフィー、強酸性陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、エタノール沈殿、溶媒沈殿など当業者に周知の糖質の精製方法を使用することができる。前記分画処理は、二糖以下の画分が10%以下となるよう行うのが好ましく、5%以下となることが特に好ましい。
本発明において「難消化性グルカン還元処理物」は、難消化性グルカンを還元処理して得ることができる。本発明において「還元処理」は、糖の還元末端のグルコシル基のアルデヒド基を水酸基に還元する処理をいう。還元処理方法は当業者に周知であり、例えば、ヒドリド還元剤を用いる方法、プロトン性溶媒中の金属を用いる方法、電解還元方法、接触水素化反応方法等が挙げられる。本発明においては、少量の糖アルコールを調製する場合にはヒドリド還元剤を用いる方法が簡便且つ特殊な装置を必要とせず便利であり、一方で、工業的に大規模に実施する場合には、経済性に優れ、副生成物も少ないという点から、接触水素化反応を用いる方法が好ましい。「接触水素化反応」とは、触媒の存在下、不飽和有機化合物の二重結合部に水素を添加する反応であり、一般に水添反応とも言われている。
本発明における「還元処理」を具体的に説明すると、難消化性グルカンを水に溶解し、そこにラネーニッケル触媒を適量加え、水素ガスを添加し、高温条件下で還元する。次に、脱色・脱イオン処理して、難消化性グルカン還元処理物を得ることができる。
本発明による血糖上昇抑制剤は、上記手法等を用いて、DE70〜100の澱粉分解物を、加熱処理により縮合反応させる製造方法で得ることができる。本発明において「血糖上昇抑制剤」とは、糖質を含有する食品の摂取時・摂取後における、糖質の消化吸収に伴う血糖値の上昇を抑制する製剤を意味する。本発明の血糖上昇抑制剤は、糖尿病、特に2型糖尿病の予防や治療用に用いることができる。更に、糖尿病合併症、生活習慣病、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)、動脈硬化等の疾病の予防や治療用に用いることができる。
本発明による血糖上昇抑制剤は、難消化性グルカンを含有していればよく、難消化性グルカン単独でも、その他の成分と混合したものであっても良い。例えば、茶ポリフェノール、加熱処理アラビアガム、焙焼デキストリン酸加水分解物等の公知の血糖上昇抑制剤や他の薬理作用を有する物質と混合したものであっても良い。
本発明による血糖上昇抑制剤は、必要に応じて、有効成分である難消化性グルカンに対し薬学的に許容される基材や担体を添加して製剤化することができる。本発明による血糖上昇抑制剤は、例えば、経口投与される製剤であり、錠剤、顆粒剤、散剤、液剤、粉末、顆粒、カプセル剤等の形態で提供することができる。このような製剤化は、通常、医薬の製造に用いられる方法に従って、製造することができる。本発明によれば、本発明による血糖上昇抑制剤を医薬品または医薬部外品に含有させて使用することができる。
本発明の血糖上昇抑制剤は、また、飲食品に含有させて提供することもできる。すわなち、難消化性グルカンまたはその処理物を含有する血糖上昇抑制用飲食品を提供することもできる。添加する飲食品の種類に特に制限はなく、例えば、日常的に食する飲食品、健康食品(特定保健用食品、栄養機能食品、栄養補助食品等)、機能性食品、病者用食品等として提供することができる。その形態としては、飲食物、錠剤、液剤、カプセル(軟カプセル、硬カプセル)、粉末、顆粒、スティック、ゼリーなどが挙げられる。このような飲食品は、通常、食品の製造に用いられる方法に従って、製造することができる。なお、「特定保健用食品」とは、機能等を表示して食品の製造または販売等を行う場合に、保健上の観点から法上の何らかの制限を受けることがある食品をいう。
更に、本発明の血糖上昇抑制剤は、飼育・養殖動物(家畜、家禽、魚類等)やペット・愛玩動物の飼料に含有させて使用することもできる。
本発明による血糖上昇抑制剤の使用量は、特に制限されず、適宜設定することができる。例えば、難消化性グルカンまたはその処理物が、食物繊維量として、1日あたり1〜30g、好ましくは、1〜10g摂取されるように設定することができる。
本発明によれば、DE70〜100の澱粉分解物を加熱縮合させて得られた糖縮合物からなる難消化性グルカンまたは該難消化性グルカン処理物を血糖上昇抑制剤として含有する医薬品、医薬部外品、飲食品および飼料が提供される。難消化性グルカンまたは該難消化性グルカン処理物の含有量も特に制限はなく製品形態によりその含有量も様々であるが、例えば医薬品に含有させる場合は1〜20質量%、医薬部外品に含有させる場合は1〜20質量%、飲食品に含有させる場合は0.5〜10質量%、飼料に含有させる場合は1〜20質量%とすることができる。
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例:難消化性グルカンの血糖上昇抑制作用の確認試験
〔確認試験1〕
試験食品
試験食品の処方を表1に示した。
Figure 0006711539
試験食品の栄養成分を表2に示した。
Figure 0006711539
難消化性グルカンとしては、フィットファイバー#80(日本食品化工株式会社製)をα-アミラーゼ及びグルコアミラーゼによる酵素処理の後、脱色・精製・濃縮・樹脂分画・乾燥して得られた粉末を使用した。フィットファイバー#80は、DE87(レーンエイノン法で測定)の澱粉分解物を、特開2013−76044号に記載の方法に従って、活性炭を触媒として加熱縮合させることで得られる糖縮合物である。
マルトデキストリンとしては、パインデックス#2(松谷化学工業株式会社製)を使用した。なお、マルトデキストリンは、難消化性グルカンと同等の着色となるように着色料(カラメル)を用いて色調を調整した。
被験者の選択基準
被験者は、下記の選択基準に該当する者を対象とした。
1) 20歳以上、65歳未満の男女
2) スクリーニング検査の結果、試験責任医師が糖尿病境界域者(1:空腹時血糖値110mg/dL以上125mg/dL以下、2:ブドウ糖負荷試験(トレーランG75g負荷)2時間値が140mg/dL以上199mg/dL以下、3:随時血糖値140mg/dL以上199mg/dL以下のいずれかに該当)と判断した者
3) アルコール多量常飲者でない者(スクリーニング検査、各負荷試験実施2日前からの禁酒が可能な者)
4) 試験の目的・内容について十分な説明を受け、同意能力があり、よく理解した上で自発的に参加を志願し、書面で試験参加に同意した者
試験のデザイン
試験は、先ず被験者に対して2週間の前観察を行った。その後、負荷試験前夜の夕食の摂取から負荷試験開始まで12時間以上空け、負荷試験を行った。被験者数は非投与群23名、投与群23名で行った。
なお、試験食品は、1包を100mlの水に溶かしたものを、負荷食(市販のおにぎり(米飯300g))と水200mlと同時に10分以内に残さず摂取し、試験食品摂取後に沈殿があったら再度水を注いですべて摂取した。
検査及び調査
負荷試験に各項目を測定し、検査数値を比較して有効性を確認した。
1.血糖値の経時的変化
2.インスリン値の経時的変化
3.血糖値のAUC(血中濃度曲線下面積)
有効性に関する解析
血糖値の経時的変化、インスリン値の経時的変化に関し、下記手順で比較した。
1) 検査数値から負荷食摂取前の数値を減じて変化量(Δ血糖値およびΔインスリン値)を算出し、基本統計量(平均値、標準誤差)を解析する。
2) 負荷食摂取前、摂取後30、60、90、120分について非投与群と投与群の値をDunnett検定により比較する。
血糖値のAUCに関し、下記手順で比較した。
1) 検査数値を基に上記手順で算出した血糖値変化量(Δ血糖値)からTrapezoidal method(台形法)により血糖値変化量のAUC(Δ血糖値AUC)を算出する。
2) 基本統計量(平均値、標準誤差)を算出する。
3) Δ血糖値AUCについて非投与群と投与群の値をDunnett検定により比較する。
試験結果
血糖値変化量の経時的変化、インスリン値変化量の経時的変化について解析を行い、非投与群と投与群の変化量をそれぞれ図1および図2に示した。
血糖値変化量(Δ血糖値)において、非投与群と比較して、摂取後60分に有意に低い値を示した(Dunnett検定: p = 0.003)。インスリン値変化量(Δインスリン値)において、有意差はなかったが、摂取後60、90、120分で低い値を示した。
血糖値変化量のAUC(Δ血糖値AUC)について解析を行い、非投与群と投与群のΔ血糖値AUCを図3に示した。
Δ血糖値AUCにおいて、非投与群と比較して、投与群は有意に低い値を示した(Dunnett検定: p = 0.040)。
本試験により、本発明における難消化性グルカンはΔ血糖値、Δ血糖値AUCについて、非投与群と比較して投与群で有意に低い値を示した。Δインスリン値において、有意差はなかったが、摂取後60、90、120分で低い値が確認された。なお、その他の条件が有効性の判定に影響を与えていないことは被験者の記録から確認されている。
〔確認試験2〕
試験食品
試験食品の処方を表3に示した。
Figure 0006711539
試験食品の栄養成分を表4に示した。
Figure 0006711539
難消化性グルカンとしては、フィットファイバー#80(日本食品化工株式会社製)をα-アミラーゼ及びグルコアミラーゼによる酵素処理の後、脱色・精製・濃縮・樹脂分画・乾燥して得られた粉末を使用した。フィットファイバー#80は、DE87(レーンエイノン法で測定)の澱粉分解物を、特開2013−76044号に記載の方法に従って、活性炭を触媒として加熱縮合させることで得られる糖縮合物である。
マルトデキストリンとしては、パインデックス#2(松谷化学工業株式会社製)を使用した。なお、マルトデキストリンは、難消化性グルカンと同等の着色となるように着色料(カラメル)を用いて色調を調整した。
被験者の選択基準
被験者は、下記の選択基準に該当する者を対象とした。
1) 20歳以上、64歳以下の男女
2) スクリーニング検査の結果、事前検査で空腹時血糖値が110 mg/dL以上125 mg/dL以下に該当する者、または、事前検査で負荷食品摂取後30分の血糖値が140 mg/dL以上199 mg/dL以下に該当する者。
3) 食物繊維素材(難消化性デキストリン、ポリデキストロース、難消化性グルカンなど)を多く含む食品(特定保健用食品を含む)を常用していない者
4) 血糖代謝に影響を及ぼす可能性のある医薬品を服薬あるいは特定保健用食品や機能性表示食品を常用していない者
4) 試験の目的・内容について十分な説明を受け、同意能力があり、よく理解した上で自発的に参加を志願し、書面で試験参加に同意した者
試験のデザイン
試験は、非投与群試験食品と投与群試験食品をそれぞれ単回摂取する無作為化二重盲検クロスオーバー試験を実施した。先ず被験者に対して事前検査3日前より食事記録を実施し、事前検査として、生活習慣アンケート、体調確認、計測、空腹時臨床検査(血液、尿)、食事負荷検査(水と共に摂取)を実施した。事前検査から4週間以上空け、摂取I期検査試験を実施した。摂取I期検査試験は、10時間以上の絶食後、早朝空腹時に負荷食品を摂取させた。負荷食品摂取後、経時的に採血した。摂取I期検査試験から1週間以上空け、摂取II期検査試験を実施した。被験者数は53名で行った。詳細な試験デザインは図4に示した。
なお、試験食品は、1包を約280mlの水に溶かしたものを、負荷食(市販の米飯300gと親子丼のもと210g)と同時に10分以内に残さず摂取した。
検査及び調査
試験に各項目を測定し、検査数値を比較して有効性を確認した。
1)主要評価項目:負荷食品摂取後の血糖値濃度時間曲線下面積(血糖AUC)
2)副次評価項目:空腹時血糖値、負荷食品摂取後30分、60分、90分、120分の血糖値、空腹時インスリン値、負荷食品摂取後30分、60分、90分、120分のインスリン値
有効性に関する解析
血糖AUCについて、順序効果、時期効果を解析し、クロスオーバーデザインが適切であったことを確認した上で、各評価項目について一般線形モデルによる反復測定分散分析を用いて食品効果を評価した。
血糖値の経時的変化、インスリン値の経時的変化に関し、下記手順で比較した。
1) 投与群と非投与群における空腹時、負荷食品摂取後30分、60分、90分、120分について検査数値から、基本統計量(平均値、標準誤差)を算出する。
2) 負荷食摂取前、摂取後30、60、90、120分について投与群と非投与群の値を一般線形モデルによる反復測定分散分析を用いて食品効果を評価する。
血糖値のAUCに関し、下記手順で比較した。
1) 投与群と非投与群における空腹時、負荷食品摂取後30分、60分、90分、120分について検査数値から、基本統計量(平均値、標準誤差)を算出する。
2) 検査数値を基に、上記手順で算出した血糖値からTrapezoidal method(台形法)により血糖AUCを算出する。
3) 血糖AUCについて投与群と非投与群の値を一般線形モデルによる反復測定分散分析を用いて食品効果を評価する。
試験結果
血糖AUCを用いた時期効果(p=0.038)は認められたが、順序効果(p=0.393)は認められなかった。したがって、本研究の結果はクロスオーバーデザインに基づき適正に評価できると判断された。
投与群と非投与群について血糖値の経時的変化、インスリン値の経時的変化について解析を行い、それぞれ図4および図5に示した。
負荷食品摂取後60分の血糖値において分散分析の結果、投与群と非投与群の間に有意な差(p=0.043)が認められた。負荷食品摂取後90分の血糖値において分散分析の結果、投与群と非投与群の間に有意な差(p=0.044)が認められた。
投与群と非投与群の血糖値のAUCついて解析を行い、図6に示した。
血糖AUCにおいて分散分析の結果、投与群と非投与群の間に有意な差(p=0.042)が認められた。
本試験により、本発明における難消化性グルカンの摂取により、主要評価項目である血糖AUCでは非投与群と比べて有意な上昇抑制効果が認められ、副次評価項目である負荷食品摂取後60分、90分の血糖値においても、非投与群と比べて有意な上昇抑制効果が認められた。なお、その他の条件が有効性の判定に影響を与えていないことは被験者の記録から確認されている。また、本試験条件下では被験食品の安全性に問題はなかった。
以上のことから、本発明による難消化性グルカンは血糖の上昇抑制作用を有しており、血糖上昇抑制剤として有用であることが示された。

Claims (4)

  1. DE70〜100の澱粉分解物を加熱縮合させて得られた糖縮合物からなる難消化性グルカンまたは該難消化性グルカン処理物を含んでなる、血糖上昇抑制剤。
  2. 難消化性グルカンが、活性炭の存在下で加熱縮合させて得られた糖縮合物からなる、請求項1に記載の血糖上昇抑制剤。
  3. 難消化性グルカンが、100〜300℃で加熱縮合させて得られた糖縮合物からなる、請求項1または2に記載の血糖上昇抑制剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項記載の血糖上昇抑制剤を含有し、血糖上昇抑制用に用いるための医薬品、医薬部外品、飲食品、または飼料。
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