本発明は、ボウル部と、水位調節部と、泡発生部と、制御部と、を備える便器装置に関する。
以下、本発明に係る便器装置の第一実施形態について、図1〜図5に基いて説明する。
図1に示すように、便器装置1は、ボウル部2と、水位調節部11と、泡発生部12と、制御部10と、を備える。
ボウル部2は、汚物および洗浄水を受けるボウル面21を有する、上方に開口するものである。図1、図2に示すように、ボウル面21の底部に排水口22が形成される。第一実施形態では、図1に示すように、ボウル部2の底部の最も低い部分からボウル部2の上端部までの上下長さH0は、300mmとなるように形成される。また、ボウル面21は、大部分において、排水口22側から外側へ向けての上り勾配となり、その勾配角が排水口22側から外側へいくほど大きくなる。ただし、ボウル面21のうち、後述する棚面3につながる部分については、排水口22側から外側へいくほど勾配角が小さくなる。
排水口22には、排水筒220が設けられている。ここで、前後左右を決める。図1、図2に示すように、排水筒220は、平面視における一方向に向けて排水口22から突出しており、この一方向が流出方向となるとともに後方とする。流出方向(後方)の反対を前方とし、使用者は前方を向いた状態で便座13を介してボウル部2上に着座する。左方および右方は、使用者が着座した状態での左方および右方とする。
図1に示すように、ボウル部2の上端部に、リム部24が設けられる。リム部24は、平面視において、環状またはC字状をして、排水口22側すなわちボウル部2の中心側に突出する庇状をしたもので、ボウル面21の周端部の上方に位置する。リム部24は、別体の便座13が載置可能となるか、または、便座13そのものとなるリム上面240を有する。第一実施形態では、リム上面240は平坦面である。また、リム部24の上下長さH1は、30mmとなるように形成される。
便器装置1は、洗浄水供給部5を備える。洗浄水供給部5は、ボウル部2内に洗浄水を供給する。第一実施形態では、図1、図2に示すように、洗浄水供給部5は、管等からなる給水路51と、給水路51の途中に設けられる開閉弁52と備えている。給水路51は、上流端が水道等の水源(不図示)に接続され、下流端にノズル(不図示)が設けられ、ノズルはボウル部2の洗浄水吐出口25に配置される。洗浄水吐出口25は、ボウル部2の上部の右側の後部に設けられる。開閉弁52は、電磁弁により構成されているが、電磁弁により構成されなくてもよい。洗浄水供給部5(特に開閉弁52)は、制御部10に制御される。
制御部10は、例えばマイクロコンピュータからなり、ROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを実行することで、各要素の動作を制御するもので、公知のものが適宜利用可能であり、詳細な説明は省略する。
洗浄水吐出口25からボウル部2内に吐出された洗浄水は、図2の矢印に示すように、ボウル面21を上部から排水口22に向けて旋回しながら流下する。
第一実施形態では、便器装置1は、図3に示すように、ボウル部2へ供給する洗浄水の単位時間当たりの流量を計測する流量計測部53を備えている。具体的には、流量計測部53は、流量検知部531(図1参照)と計時部(不図示)を備えている。流量検知部531は、給水路51の途中に設けられ、給水路51を流れる洗浄水の単位時間当たりの流量を計測するもので、羽車を備えたもの等、既存の様々な形態のものが適宜利用可能であり、特に限定されない。流量検知部531に検知された流量の情報は、制御部10に送られる。
これにより、流量計測部53で計測された単位時間当たりの流量に計時部で計測された時間を乗じてこれを積算することで、洗浄水供給部5により所定時間に供給された水量が求められる。
第一実施形態では、図1に示すように、便器装置1は、洗剤供給部6を備えている。洗剤供給部6は、給水路51を流れる洗浄水に洗剤を混入させる。洗剤供給部6は、洗剤貯留部61と、洗剤循環路62と、循環駆動部63と、洗剤混入路64とを備えている。洗剤貯留部61は、洗剤を貯留するタンク等により構成される。洗剤循環路62は、洗剤が循環する流路で、途中に洗剤貯留部61を有し、洗剤貯留部61に貯留されている洗剤が循環する。循環駆動部63は、洗剤循環路62に洗剤を循環させるポンプ等により構成されるもので、洗剤循環路62に設けられる。洗剤混入路64は、上流端が洗剤循環路62に接続され、下流端が給水路51に接続される。洗剤供給部6(特に循環駆動部63)は、制御部10に制御される。
循環駆動部63が駆動すると、洗剤循環路62を洗剤が循環し、この循環する洗剤の一部が洗剤混入路64を通って給水路51に混入する。なお、洗剤混入路64に弁等が適宜設けられてもよい。このようにすることにより、給水路51に混入する洗剤の量が少量の場合でもその微調整が可能となる。
この洗剤供給部6により、ボウル部2内に、洗剤入りの洗浄水を供給することが可能となる。ボウル部2が樹脂により形成されている場合、ボウル面21に汚れが付着しやすいが、ボウル部2内に洗剤入りの洗浄水が供給されることにより、ボウル面21に付着した汚れが除去されやすくなる。
さらに第一実施形態では、図1に示すように、洗浄水供給部5が発泡石を有している。発泡石は、多孔質材からなるもので、給水路51の洗剤混入路64が接続されている部分の下流側に設けられる。給水路51を流れる洗剤入りの洗浄水が発泡石を通過するときに泡が生成されて、泡を含んだ洗剤入りの洗浄水がボウル部2内に供給される。
ボウル部2内に供給された泡を含んだ洗剤入りの洗浄水は、ボウル面21を流下して溜め水4となるが、このうち泡は溜め水4の水面に集まる。このように第一実施形態では、洗浄水供給部5、洗剤供給部6および発泡石が、溜め水4の水面に泡を発生させる泡発生部12を構成する。泡発生部12は、制御部10により制御される。泡発生部12が発泡石を有することにより、簡単な構成で泡発生部12を構成することができる。
第一実施形態では、図1に示すように、便器装置1は、ボウル部2内の溜め水4および汚物を排出する可動トラップ装置7を備える。可動トラップ装置7は、可動トラップ71と、可動トラップ71を駆動するトラップ駆動部72と、を有する。
可動トラップ71は、湾曲した筒状をしたものである。可動トラップ71は、伸縮および変形可能でかつ通水性を有しない樹脂等の材料により形成される。可動トラップ71の上流端は、排水筒220に接続され、可動トラップ71の内部とボウル部2の内部とが通じる。可動トラップ71の下流端は、洗浄水および汚物等の出口70となる。
トラップ駆動部72は、モータ等からなる駆動源721と、駆動源721で生じる動力により下流端開口を上下移動させる動力伝達部722と、を有する。図1に示すように、モータからなる駆動源721の出力軸に、動力伝達部722としてのアームが連結され、アームの回転により、可動トラップ71の下流側が上下に移動するとともに出口70の向きが変わる。可動トラップ装置7(特にトラップ駆動部72)は、制御部10に制御される。
可動トラップ装置7にあっては、図1に示すように、可動トラップ71の下流端が上へ移動するとともに出口70が上方(ただし厳密な鉛直上方でなくてもよい)を向く状態で、ボウル部2内に溜め水4が形成される。図1は、溜め水4の水位が、非用便時の水位である第一水位41(図1中の実線参照)となる状態を示している。
また、図4に示すように、可動トラップ71の下流端が下へ移動するとともに出口70が下方(ただし厳密な鉛直下方でなくてもよい)を向くと、ボウル部2内に溜め水4および汚物が排出される。
便器装置1は、ボウル部2内の溜め水4の水位を調節する水位調節部11を備える。第一実施形態では、洗浄水供給部5および可動トラップ装置7が、水位調節部11を構成する。水位調節部11は、制御部10により制御される。
水位調節部11は、具体的には、非用便時の第一水位41(図1中の実線参照)と、用便時の水位である第二水位42(図1中の破線参照)との間で水位を調節可能である。第二水位42は、第一水位41よりも高い。水位調節部11は、第一水位41から第二水位42へと水位を引き上げるときには、トラップ駆動部72を駆動させて可動トラップ71の出口70の下端を上昇させ、かつ、洗浄水供給部5により洗浄水を供給する。
次に、ボウル面21が有する棚面3について説明する。ボウル面21において、第一水位41となっている溜め水4の水面(図1中の実線参照)が位置する箇所を第一位置210とする。また、第二水位42となっている溜め水4の水面(図1中の破線参照)が位置する箇所を第二位置211とする。ボウル面21は、第一位置210と第二位置211との間の部分に、棚面3を有する。
棚面3は、法線30が上方に対し5度以下の角度をなす方向を向く面である。第一実施形態では、棚面3は、平坦な水平面により構成されている。ボウル面21は、棚面3として、排水口22の前方に前棚面31を有する。前棚面31は、概ね、便座13に着座した使用者が小用を足すときの尿が水面に入射すると考えられる位置の下方に設けられる。
また、ボウル面21は、棚面3として、排水口22の後方に後棚面32を有する。後棚面32は、概ね、便器装置1の前方に立った男性の使用者が小用を足すときの尿が水面に入射すると考えられる位置の後部の下方に設けられる。
図1に示すように、水位調節部11が溜め水4の水位を第一水位41(図1中の実線参照)としたときは、棚面3(前棚面31および後棚面32)上に溜め水4がない状態となる。また、水位調節部11が溜め水4の水位を第二水位42(図1中の破線参照)としたときは、棚面3(前棚面31および後棚面32)上に溜め水4がある状態となる。
また第一実施形態では、棚面3の高さと第二水位42との差、すなわち、棚面3から第二水位42までの上下長さH2は、5mm、10mm、15mm、20mm等、20mm以下である。
制御部10は、溜め水モードと、用便モードと、を選択的に実行可能である。第一実施形態ではさらに、制御部10は、排出モードを実行可能である。
溜め水モードは、制御部10が、水位が第一水位41(図1中の実線参照)となるように水位調節部11を制御する。このとき、制御部10は、泡を発生させるように泡発生部12を制御することはない、すなわち、泡発生部12により新たに泡を発生させることはない。ただし、以前に泡発生部12により発生させた泡が溜め水4の水面に残っていてもよい。また、制御部10は、溜め水4の水位が第一水位41にあるときは、可動トラップ71の停止を維持する。
用便モードは、制御部10が、水位が第二水位42(図1中の破線参照)となるように水位調節部11を制御し、かつ、溜め水4の水面に泡を発生させるように泡発生部12を制御する。具体的には、制御部10は、可動トラップ71の出口70の位置を上昇させ、かつ、洗浄水供給部5から洗浄水を供給するように制御する。なお、溜め水4の水位が第二水位42にあるときは、制御部10は、可動トラップ71の停止を維持する。さらに、制御部10は、新たに泡を発生させるように泡発生部12を制御する。
排出モードは、制御部10が、可動トラップ71の下流端が上にあり出口70が上方を向く状態(図1参照)から、可動トラップ71の下流端を下へ移動させて出口70が下方を向く状態(図4参照)となるように可動トラップ装置7を制御する。このとき制御部10は、さらに、洗浄水をボウル部2内に供給するように洗浄水供給部5を制御する。これにより、ボウル部2内の溜め水4および汚物が排出される。その後、制御部10が、再度、可動トラップ71の下流端を上へ移動させて出口70が上方を向く状態とし、排出モードが終了する。排出モードの終了時に、可動トラップ71は、溜め水4の水位が第一水位41となるような位置まで移動して停止する。すなわち、排出モードの終了後は、溜め水モードに移行する。
第一実施形態では、制御部10は、常時、溜め水モード、用便モードまたは排出モードのいずれか一のモードを実行する。制御部10は、基本的には、溜め水モードを実行する。そして、図3に示すように、溜め水モード中に、使用者が操作部14で用便モードへの移行の操作を行うか、または、用便開始検知部15が使用者の用便の開始を検知することにより、用便モードが開始される。操作部14からの操作情報および、用便開始検知部15からの検知情報は制御部10に送られる。
用便開始検知部15としては、例えば、便座13への着座を検知する赤外線式または荷重検知式の着座センサを備えたもの、または、赤外線式の人感センサを備えたもの等が挙げられるが、これらに限定されない。このような着座センサおよび人感センサは、既存のものが適宜利用可能である。
また、溜め水モードまたは用便モード中に、使用者が操作部14で排出モードへの移行の操作を行うか、または、用便終了検知部16が使用者の用便の終了を検知することにより、排出モードに移行する。用便終了検知部16からの検知情報は制御部10に送られる。
用便終了検知部16としては、例えば、用便開始検知部15と同様の着座センサまたは人感センサを備えたもの等が挙げられるが、これらに限定されない。
第一実施形態の便器装置1では、非用便時においては、溜め水4の水位が第一水位41(図1中の実線参照)となって、棚面3上には溜め水4がない状態となる。このため、少量の水で溜め水4が形成されているように見えて、この便器装置1が高い節水効果を得ているという印象を見る者に与えることができる。
また、用便時には、溜め水4の水位が第二水位42(図1中の破線参照)となって、棚面3上にも溜め水4がある状態となって、溜め水4の水面の面積が広くなり、かつ、水面に泡が発生する。このため、使用者が用を足すとき、特に小用を足すときに、泡が発生している広い水面に尿が入射すれば、水面での尿の跳ねの大部分が泡に捕捉されるため、尿の跳ねが抑えられる。
そして、便器装置1は、溜め水4の水位を第一水位41から第二水位42とするにあたっては、ボウル面21が棚面3を有しているため、溜め水4の水面の面積を広くする際に供給する洗浄水の量が少なくてすむ。特に前棚面31上に溜め水4の水面が位置することにより、便座13に着座した使用者が小用を足すときの尿の跳ねが抑えられる。また、特に後棚面32上に溜め水4の水面が位置することにより、便器装置1の前方に立った男性の使用者が小用を足すときの尿の跳ねが抑えられる。
また、排出モードで用いられる洗浄水供給部5および可動トラップ装置7により水位調節部11を構成することができて、新たな構造を設ける必要がない。
また、棚面3から第二水位42までの上下長さH2が20mm以下であるため、20mmを超える便等の浮遊物が棚面3上に流れてくるのが抑えられ、棚面3(特に前棚面31)上の浮遊物が使用者に見えてしまうのが抑えられる。
また、排出モードで用いられる洗浄水供給部5および可動トラップ装置7により水位調節部11を構成することができて、新たな構造を設ける必要がない。
また、用便開始検知部15が使用者の用便の開始を検知することにより用便モードが開始されるため、使用者が自ら操作しなくても用便モードが開始され、操作の煩わしさから解放される。
また第一実施形態では、図5に示すように、前棚面31の前方のボウル面21に尿が入射しても、尿の跳ねがボウル部2外に飛散するのが抑えられるようになっている。
便座13に着座した使用者が小用を足すとき、尿は、ボウル面21の前棚面31の前方でリム上面240から60mm下方の位置(これを前尿当たり部26とする)に入射しやすい。ボウル面21に入射した尿は、入射面に対して30度以内をなす方向に跳ねやすいことが実験により分かっている。従って、前尿当たり部26に入射した尿は、この入射した部分の勾配角θ1に30度を加えた跳ね勾配角θ2と同じかこれより小さい勾配角の方に跳ねやすい。そこで、尿が跳ねやすい、前尿当たり部26から跳ね勾配角θ2の方に、尿がボウル部2外へ飛散するのを阻止するリム部24が位置するように形成されている。
これにより、前棚面31の前方のボウル面21に尿が入射しても、大部分の尿は入射面に対して30度以内をなす方向に跳ねるため、跳ねる方向にリム部24があって、尿の跳ねがボウル部2外に飛散するのが抑えられる。
次に、第二実施形態の便器装置1について、図6および図7に基いて説明する。なお、第二実施形態の便器装置1は、第一実施形態の便器装置1と大部分において同じである。このため、第一実施形態と重複する説明については、同符号を付して説明を省略する。
第一実施形態では、便器装置1は可動トラップ装置7を備えていたのに対し、第二実施形態では、便器装置1は可動トラップ装置7を備えず、かわりにサイホンゼット装置8と固定トラップ17とを備えている。
図6に示すように、サイホンゼット装置8は、溜め水4を排水口22より排出する。具体的には、サイホンゼット装置8は、ゼット流路81と、開閉弁82と、噴出装置83とを有する。ゼット流路81は、給水路51の途中で分岐し、下流端が排水口22に向けてボウル部2の底部に通じる流路である。ゼット流路81の途中に開閉弁82と、噴出装置83とが設けられる。開閉弁82は、電磁弁により構成されているが、電磁弁により構成されなくてもよい。噴出装置83は、例えばポンプにより構成される。サイホンゼット装置8(特に噴出装置83)は、制御部10に制御される。
固定トラップ17は、排水口22の下流側に設けられる。固定トラップ17は、上端が所定の乗り越え高さH3に位置する乗り越え壁170を有する。固定トラップ17の内部は、乗り越え壁170により、上流側貯留部171と下流側排出部172とに分断される。
排出モードにおいて、制御部10は、サイホンゼット装置8を作動させて溜め水4を排出する。すなわち、制御部10が噴出装置83を作動させて固定トラップ17の内部を水で満たすことにより、サイホン現象によりボウル部2内の溜め水4および溜め水4内の汚物は下流側排出部172へと送られて、ボウル部2より排出される。排出モードの終了後は、溜め水モードに移行する。
ここで、排出モードの終了直後には、溜め水4の水位は乗り越え壁170の乗り越え高さH3よりも低くなる。このため、排出モードを実行した後の溜め水4および上流側貯留部171の水位が、第一水位41と同じか第一水位41より低くなるように形成する。排出モードを実行した後の溜め水4の水位が第一水位41と同じである場合には、洗浄水を供給することなく溜め水モードに移行することができる。また、排出モードを実行した後の溜め水4の水位が第一水位41よりも低い場合には、洗浄水供給部5より洗浄水を供給して第一水位41として、溜め水モードに移行することができる。要するに、排出モードを実行した後の溜め水4の水位が第一水位41より高くなってしまうと、排出モード終了後に溜め水4の水位を第一水位41とするのが容易ではないため、これを避けている。
第二実施形態では、図7に示すように、洗浄水供給部5およびサイホンゼット装置8が、水位調節部11を構成する。水位調節部11は、制御部10により制御される。
制御部10は、用便モードにおいて、第一水位41となっている溜め水4に洗浄水供給部5により洗浄水を追加して第二水位42となるように制御する。
第二実施形態の便器装置1では、非用便時においては、溜め水4の水位が第一水位41となるため、少量の水で溜め水4が形成されているように見えて、高い節水効果が得られているという印象を見る者に与えることができる。
また、用便時には、溜め水4の水位が第二水位42となって溜め水4の水面の面積が広くなり、かつ、水面に泡が発生するため、使用者が小用を足すときの尿の水面での跳ねが泡により抑えられる。
そして、溜め水4の水位を第一水位41から第二水位42とするにあたって、溜め水4の水面の面積を広くする際に供給する洗浄水の量が少なくてすむ。
これらの効果については第一実施形態で得られる効果と同様である。
また、排出モードで用いられる洗浄水供給部5およびサイホンゼット装置8により水位調節部11を構成することができて、新たな構造を設ける必要がない。
次に、第一実施形態および第二実施形態の変形例について説明する。
ボウル部2の底部から上端開口までの上下長さH1は、300mmに限定されず、主に150〜400mmの任意の上下長さが適宜選択されるが、この範囲に限定されない。また、ボウル部2の平面視における直径は400mm程度であるが、直径は200〜600mmであってもよく、また、この数値に限定されない。
ボウル面21は、棚面3以外の領域において、上り勾配の勾配角が一定であってもよい。また、ボウル面21は、棚面3以外の一部において、排水口22から外側へいくほど上り勾配の勾配角が小さくなる領域や、排水口22側から外側へ向けて下り勾配となる領域を有してもよい。
リム部24の上下長さH2は、30mmに限定されず、150〜300mmの任意の長さが適宜選択されるが、この範囲に限定されない。また、リム部24は、ボウル部2に設けられなくてもよい。
リム上面240は、平坦面でなくてもよい。
洗浄水供給部5は、給水路51、開閉弁52およびノズルを備える形態のものに限定されない。
洗浄水吐出口25が設けられる位置は特に限定されず、ボウル部2内に洗浄水を供給可能な位置であればよい。
計時部は、制御部10が有する計時機能により代用されてもよい。また、流量計測部53における水量の算出が制御部10により行われてもよい。また、流量計測部53は、流量検知部531および計時部を備える形態のものに限定されない。また、流量計測部53は、便器装置1が備えなくてもよい。
洗剤供給部6は、洗剤貯留部61、洗剤循環路62、循環駆動部63および洗剤混入路64を備える形態のものに限定されない。また、洗剤供給部6は、便器装置1に設けられなくてもよい。
泡発生部12は、洗浄水供給部5、洗剤供給部6および発泡石を備える形態のものに限定されない。
可動トラップ71は、伸縮および変形が困難な材料により形成されてもよく、この場合、継手やシール部材により洗浄水が漏れない構造とされる。
第一水位41は、ボウル面21の最下部から上方に150〜200mmの位置となるのが一般的であるが、特に限定されない。
可動トラップ装置7は、便器装置1に設けられなくてもよい。
棚面3は、平坦な面でなくてもよい。また棚面3は、水平面でなくてもよく、棚面3の任意の点における法線30が上方に対し5度以下の角度をなす方向を向けばよい。ただし棚面3が水平面でない場合、棚面3は排水口22側から外側へ向けての上り勾配となるのが好ましい。
前棚面31の高さと後棚面32の高さは同じでもよいし、異なってもよい。
また、棚面3は、ボウル面21の前後方向の中間部の左右の側部に形成されてもよい。
棚面3の高さと第二水位42との差は、25mm、30mmまたは30mm以上でもよく、20mm以下に限定されない。
溜め水モードにおいて、制御部10が、泡を発生させるように泡発生部12を制御してもよい。
用便開始検知部15は、便器装置1に設けられなくてもよい。用便終了検知部16は、便器装置1に設けられなくてもよい。また、用便開始検知部15と用便終了検知部16とを兼用する用便検知部が便器装置1に設けられてもよい。
棚面3の高さと第二水位42との差は、25mm、30mmまたは30mm以上でもよく、20mm以下に限定されない。
サイホンゼット装置8は、このような形態に限定されず、また、便器装置1に設けられなくてもよい。
また、第一実施形態または第二実施形態において、図8に示すように、泡発生部12として、ボウル部2内の前部に泡を吐出する前泡吐出部121を有してもよい。変形例の便器装置1は、第一実施形態または第二実施形態における洗剤混入路64にかえて、下流端に前ノズル65を有するとともに途中に発泡石を有する前吐出路(不図示)を備える。前吐出路の上流端は、洗剤混入路64の上流端と同様に洗剤循環路62に接続され、下流端の前ノズル65からボウル部2内に泡が吐出可能である。
このようにすることで、溜め水4の水面全面に泡を発生させるのではなく、前部にのみ泡を発生させることができて、経済的である。
同様に、泡発生部12として、下流端に後ノズル66を有するとともに途中に発泡石を有する後吐出路(不図示)を備える後泡吐出部122を有してもよい。
このようにすることで、溜め水4の後部にのみ泡を発生させることができて、経済的である。
以上、述べた第一実施形態、第二実施形態およびその変形例から明らかなように、第1の態様の便器装置1は、ボウル部2と、水位調節部11と、泡発生部12と、制御部10と、を備える。
ボウル部2は、汚物および洗浄水を受けるボウル面21を有しその底部に排水口22を有する。
水位調節部11は、ボウル部2内の溜め水4の水位を調節する。
泡発生部12は、溜め水4の水面に泡を発生させる。
制御部10は、水位調節部11および泡発生部12を制御する。
水位調節部11は、非用便時の水位である第一水位41と用便時の水位であり第一水位41よりも高い第二水位42との間で水位を調節可能である。
ボウル面21は、水位が第一水位41となる場合の溜め水4の水面位置である第一位置210と第二水位42となる場合の水面位置である第二位置211との間の部分に、法線30が上方に対し5度以下の角度をなす方向を向く棚面3を有する。
制御部10は、溜め水モードと、用便モードと、を実行可能である。
溜め水モードは、水位が第一水位41となるように水位調節部11を制御する。
用便モードは、水位が第二水位42となるように水位調節部11を制御しかつ泡を発生させるように泡発生部12を制御する。
第1の態様によれば、非用便時においては、溜め水4の水位が第一水位41となって棚面3上には溜め水4がない状態となる。このため、少量の水で溜め水4が形成されているように見えて、この便器装置1が高い節水効果を得ているという印象を見る者に与えることができる。
また、用便時には、溜め水4の水位が第二水位42となって、棚面3上にも溜め水4がある状態となって、溜め水4の水面の面積が広くなり、かつ、水面に泡が発生する。このため、使用者が小用を足すときに、泡が発生している広い水面に尿が入射すれば、水面での尿の跳ねの大部分が泡に捕捉されるため、尿の跳ねが抑えられる。
そして、便器装置1は、溜め水4の水位を第一水位41から第二水位42とするにあたっては、溜め水4の水面の面積を広くする際に供給する洗浄水の量が少なくてすむ。
第2の態様では、第1の態様との組み合わせにより実現される。第2の態様では、棚面3の高さと第二水位42との差が20mm以下である。
第2の態様によれば、20mmを超える便等の浮遊物が棚面3上に流れてくるのが抑えられ、棚面3上の浮遊物が使用者に見えてしまうのが抑えられる。
第3の態様では、第1の態様または第2の態様との組み合わせにより実現される。第3の態様では、排水口22には、平面視における一方向を流出方向とする排水筒220が設けられている。流出方向を後方とするとともにその反対を前方とする。ボウル面21は、棚面3として、排水口22の前方に前棚面31を有する。
第3の態様によれば、便座13に着座した使用者が小用を足すときの尿の跳ねが抑えられる。
第4の態様では、第3の態様との組み合わせにより実現される。第4の態様では、ボウル部2の上端部に、平面視において排水口22側に突出してボウル面21の上方に位置し、別体の便座13が載置可能となるかまたは便座13となるリム上面240を有するリム部24を備える。
ボウル面21の前棚面31の前方でリム上面240から60mm下方の位置である前尿当たり部26の勾配角θ1に30度を加えた勾配角を跳ね勾配角θ2とし、前尿当たり部26における跳ね勾配角θ2の方向にリム部24が位置している。
第4の態様によれば、前尿当たり部26に尿が入射しても、大部分の尿は入射面に対して30度以内をなす方向に跳ねるため、跳ねる方向にリム部24があって、尿の跳ねがボウル部2外に飛散するのが抑えられる。
第5の態様では、第1〜第4のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第5の態様では、排水口22には、平面視における一方向を流出方向とする排水筒220が設けられている。流出方向を後方とするとともにその反対を前方とする。
ボウル面21は、棚面3として、排水口22の後方に後棚面32を有する。
第5の態様によれば、便器装置1の前方に立った男性の使用者が小用を足すときの尿の跳ねが抑えられる。
第6の態様では、第1〜第5のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第6の態様では、便器装置1は、水位調節部11を構成する、ボウル部2内に洗浄水を供給する洗浄水供給部5と、ボウル部2内の溜め水4を排出する可動トラップ装置7と、を備える。
可動トラップ装置7は、内部がボウル部2の内部と通じるように上流端がボウル部2に接続され、下流端が洗浄水の出口70となる可動トラップ71と、可動トラップ71を駆動するトラップ駆動部72と、を有する。
制御部10は、洗浄水供給部5および可動トラップ装置7を作動させて溜め水4を排出する排出モードを実行可能である。
用便モードにおいて、制御部10は、可動トラップ71の出口70の位置を上昇させ、かつ、洗浄水供給部5から洗浄水を供給するように制御する。
第6の態様によれば、排出モードで用いられる洗浄水供給部5および可動トラップ装置7により水位調節部11を構成することができて、新たな構造を設ける必要がない。
第7の態様では、第1〜第5のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第7の態様では、便器装置1は、洗浄水供給部5と、サイホンゼット装置8と、固定トラップ17と、を備える。
洗浄水供給部5は、水位調節部11を構成する、ボウル部2内に洗浄水を供給する。
サイホンゼット装置8は、溜め水4を排水口22より排出する。
固定トラップ17は、排水口22の下流側に設けられる。
制御部10は、サイホンゼット装置8を作動させて溜め水4を排出する排出モードを実行可能である。
固定トラップ17内を上流側貯留部171と下流側排出部172とに分断する乗り越え壁170の乗り越え高さH3を、排出モードを実行した後の溜め水4および上流側貯留部171の水位が第一水位41と同じか第一水位41より低くなるように形成する。
用便モードにおいて、第一水位41となっている溜め水4に洗浄水供給部5により洗浄水を追加して第二水位42となるように制御する。
第7の態様によれば、排出モードで用いられる洗浄水供給部5およびサイホンゼット装置8により水位調節部11を構成することができて、新たな構造を設ける必要がない。
第8の態様では、第1〜第7のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第8の態様では、便器装置1は、着座センサまたは人感センサを有し使用者の用便の開始を検知する用便開始検知部15を備える。
制御部10は、用便開始検知部15が使用者の用便の開始を検知することにより、用便モードを開始するように制御する。
第8の態様によれば、使用者が自ら操作しなくても用便モードを開始することができる。
第9の態様では、第1〜第8のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第9の態様では、泡発生部12として、ボウル部2内の前部に泡を吐出する前泡吐出部121を有する。
第9の態様によれば、溜め水4の水面全面に泡を発生させるのではなく、前部にのみ泡を発生させることができて、経済的である。
第10の態様では、第1〜第9のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第10の態様では、泡発生部12として、ボウル部2内の後部に泡を吐出する後泡吐出部122を有する。
第10の態様によれば、溜め水4の水面全面に泡を発生させるのではなく、後部にのみ泡を発生させることができて、経済的である。
第11の態様では、第1〜第11のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第11の態様では、泡発生部12として、ボウル部2内に洗浄水を供給する洗浄水供給部5と、洗浄水供給部5に設けられる発泡石と、を有する。
第11の態様によれば、簡単な構成で泡発生部12を構成することができる。