以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、本発明において、使用者がミラー1を用いて顔を視認するために洗面化粧台100及びミラー装置3に向かって立っている位置が、洗面化粧台100及びミラー装置3に対する「前方」であると定義する。
また、本発明において、「光量」と「照度」は比例関係にあり、光量が多いものは照度が高く、光量が少ないものは照度が低いものである。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る洗面化粧台を示す模式的正面図である。図2は、図1の洗面化粧台を示す模式的断面図である。図3は、図2の洗面化粧台のミラーキャビネットを示す模式的斜視図である。
図1〜3に示すように、洗面化粧台100は、ミラーキャビネット102と、ミラーキャビネット102の下方に設けられた、例えばガラス製のバックパネル104と、バックパネル104より下方に設けられた、例えば樹脂製のボウル部106と、ボウル部106の上端に載置され、ボウル部106内に水を吐出させる水栓装置108と、ボウル部106より下方に設けられた、例えば木製の収納キャビネット110と、を備えている。
ミラーキャビネット102は、ミラー1及びミラー1の前方に立っている使用者を照らす照明装置2を有するミラー装置3と、ミラー1の後方に設けられ、ミラー1を開閉扉として内部に収納空間を有するキャビネット本体4と、有している。ミラー1は3枚あり、左右方向に並んで設けられている。
照明装置2は、上方照明部6及び下方照明部8を有する。上方照明部6は、ミラー1の上端近傍に配設され、ミラー1の前方に居る使用者を上方から照らす。下方照明部8は、ミラー1の下端近傍に配設され、ミラー1の前方に居る使用者を下方から照らす。
上方照明部6及び下方照明部8によって、上下方向から使用者の顔を照らすことができるため、使用者は的確に顔の化粧や髭剃り等を行うことができる。
図4は、図3のミラーキャビネットの上端近傍を示す模式的断面図である。図5は、図3のミラーキャビネットの下端近傍を示す模式的断面図である。
図4に示すように、上方照明部6は、電線(図示せず)に接続された光源である上方照明側発光素子(上方照明側光源)10、及び、上方照明本体部12、を有する。上方照明本体部12は、上方照明側発光素子10を支持する上方照明側発光素子支持部14、及び、上方照明側発光素子10及び上方照明側発光素子支持部14を覆う上方照明カバー16、を有する。上方照明側発光素子10は、上方照明カバー16内部の上方に設けられており、下に向かって光を放出している。この上方照明側発光素子10は複数個設けられており、上方照明カバー16内部において、照明装置2の長手方向(左右方向)、即ち、ミラー装置3の左右方向に亘って、等間隔で配置されている。
図5に示すように、下方照明部8は、電線に接続された光源である下方照明側発光素子(下方照明側光源)18、及び、下方照明本体部20と、を有する。下方照明本体部20は、下方照明側発光素子18を支持する下方照明側発光素子支持部22、及び、下方照明側発光素子18及び下方照明側発光素子支持部22を覆う下方照明カバー24、を有する。下方照明側発光素子18は、下方照明カバー24内部の上方に設けられており、下に向かって光を放出している。この下方照明側発光素子18は複数個設けられており、下方照明カバー24内部において、照明装置2の長手方向(左右方向)、即ち、ミラー装置3の左右方向に亘って、等間隔で配置されている。
上方照明カバー16は例えば樹脂製であり、上方照明側発光素子10から放出された光が通過する第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26及び第2の上方照明側通過部28を有する。第1の上方照明側通過部26は、上方照明カバー16の下方(下面)に設けられている。第2の上方照明側通過部28は、上方照明カバー16の上方(上面)に設けられている。第1の上方照明側通過部26を通過した上方照明側発光素子10から放出された光は、上方照明部6の下方へ照射され、ミラー1の前方に立っている使用者を照らす。第2の上方照明側通過部28を通過した上方照明側発光素子10から放出された光は、上方照明部6の上方へ照射され、洗面化粧台100が設置された部屋(化粧室)の天井等を照らす。
下方照明カバー24は例えば樹脂製であり、下方照明側発光素子18から放出された光が通過する第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32及び第2の下方照明側通過部34を有する。第1の下方照明側通過部32は、下方照明カバー24の上方(上面)に設けられている。第2の下方照明側通過部34は、下方照明カバー24の下方(下面)に設けられている。第1の下方照明側通過部32を通過した下方照明側発光素子18から放出された光は、下方照明部8の上方へ照射され、ミラー1の前方に立っている使用者を照らす。第2の下方照明側通過部34を通過した下方照明側発光素子18から放出された光は、下方照明部8の下方に照射され、例えばボウル部106や水栓装置108等を照らす。
このことより、本発明の実施の形態に係る洗面化粧台100によれば、下方照明部8によって、ミラー1の前方に居る使用者を下方から照らすことができるため、使用者は、下方からの照らし上げによって、的確に顔の化粧や髭剃り等を行うことができる。その上、下方照明部8は、ボウル部106を上方から照らすため、使用者が洗面行為のためにボウル部106を見た際に、下方照明部8による下方からの照らし上げによって、瞳孔が小さくなってしまっても、ボウル部106も下方照明部8によって照らされているため、瞳孔が小さくても視認性が低下してしまうことを抑制できる。したがって、使用者は、ボウル部106をしっかりと見ながら洗面行為を行うことができる。即ち、使用者は、洗面行為が行いやすい。
上方照明側発光素子10は、上方照明カバー16内部の上方に設けられており、下に向かって光を放出している。その結果、上方照明側発光素子10から放出される光は、第2の上方照明側通過部28よりも第1の上方照明側通過部26を多く通過する。したがって、上方照明部6が下方へ照射する光の光量は、上方照明部6が上方へ照射する光の光量より多い。
下方照明側発光素子18は、下方照明カバー24内部の上方に設けられており、下に向かって光を放出している。その結果、下方照明側発光素子18から放出される光は、第1の下方照明側通過部32よりも第2の下方照明側通過部34を多く通過する。したがって、下方照明部8が下方へ照射する光の光量は、下方照明部8が上方へ照射する光の光量より多い。
このように、下方照明部8が下方へ照射する光の光量は、下方照明部8が上方へ照射する光の光量より多いことから、使用者が洗面行為のためにボウル部106を見た際に、下方照明部8による下方からの照らし上げによって、瞳孔が小さくなってしまっても、ボウル部106は、下方照明部8が下方へ照射する光の光量より多い光量で照らされているため、よりしっかりとボウル部106を視認することができる。したがって、使用者は、ボウル部106をよりしっかりと見ながら洗面行為を行うことができる。即ち、使用者は、より洗面行為が行いやすい。なお、本発明の実施の形態においては、下方照明部8が下方へ照射する光の光量は、下方照明部8が上方へ照射する光の光量より多いものであったが、下方照明部8が下方へ照射する光の光量と下方照明部8が上方へ照射する光の光量とが略同一のものであっても、上述した効果を奏するものであり、本発明に含まれるものである。ここでいう「略同一」とは、互いの照度の差分が50ルクス(lx)以内のものであると定義する。
上方照明側発光素子10及び下方照明側発光素子18は、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である。電線は、外部電源からの交流電流を直流電流に変換するACDCコンバータである電源装置(交流直流変換器)36を介して外部電源に接続されており、上方照明側発光素子10及び下方照明側発光素子18に電流を供給する。電源装置36は、キャビネット本体4の上面に設置されている。
上方照明側発光素子支持部14は、上方照明側発光素子10が設けられている上方照明側基板30を支持及び固定している。また、上方照明側発光素子支持部14は金属製であるため、上方照明側発光素子支持部14には、上方照明側発光素子10に電流が供給されたことによって生じる熱が効率的に伝導され、且つ、上方照明側発光素子支持部14によってその熱を外部に放出させることができる。その結果、上方照明側発光素子10が熱によって壊れてしまうことを防ぐことができる。
下方照明側発光素子支持部22は、下方照明側発光素子18が設けられている下方照明側基板38を支持及び固定している。また、下方照明側発光素子支持部22は金属製であるため、下方照明側発光素子支持部22には、下方照明側発光素子18に電流が供給されたことによって生じる熱が効率的に伝導され、且つ、下方照明側発光素子18によってその熱を外部に放出させることができる。その結果、下方照明側発光素子18が熱によって壊れてしまうことを防ぐことができる。
下方照明部8から上方に向かって照射される光の光量は、上方照明部6から下方に向かって照射される光の光量より、少ない。即ち、下方照明部8から上方に向かって照射される光の照度は、上方照明部6から下方に向かって照射される光の照度より、少ない。このことは、例えば、下方照明本体部20が有する、下方照明側通過部28を通過した下方照明側発光素子18から放出された光の光量を低減させる光量低減手段(後に詳述)によるものである。
このように、下方照明部8から上方に向かって照射される光の光量を上方照明部6から下方に向かって照射される光の光量より少ないものとしたため、下方からの照らし上げによって、使用者が感じる眩しさを低減することができる。また、下方照明部8から上方に向かって照射される光の光量を上方照明部6から下方に向かって照射される光の光量より少ないものとしたため、全体的に上方からの照らし下げの光量の方が多いこととなり、下方からの照らし上げの光量が多くなることで使用者の顔に発生する陰影による「お化け顔」が起こることを抑制できる。よって、より自然な状態の顔で化粧等を行うことができる。
光量低減手段は、例えば、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32を、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26より、小さくしたことである。本発明の実施の形態に係るミラー装置3においては、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の前方方向の長さは5ミリメートル(mm)であり、左右方向の長さは800mmである。したがって、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の面積は、約4000平方ミリメートルである。一方で、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の前方方向の長さは14mmであり、左右方向の長さは800mmである。したがって、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の面積は、約11200平方ミリメートルである。このことから、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の面積は、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の面積より、約7200平方ミリメートル小さい。したがって、下方照明部8から上方に向かって照射される光の光量は、上方照明部6から下方に向かって照射される光の光量より、少ない。
このことより、光量低減手段は、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32を、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26より、小さくしたことであるため、複雑な装置等を用意する必要なく、極めて簡単な構成で、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32を通過した下方照明側発光素子18から放出された光の光量を低減させることができる。
本発明の実施の形態に係るミラー装置3においては、第2の上方照明側通過部28の前方方向の長さは5ミリメートル(mm)であり、左右方向の長さは800mmである。したがって、第2の上方照明側通過部28の面積は、約4000平方ミリメートルである。また、第2の下方照明側通過部34の前方方向の長さは14mmであり、左右方向の長さは800mmである。したがって、第2の下方照明側通過部34の面積は、約11400平方ミリメートルである。このことから、第2の上方照明側通過部28の面積は、第2の下方照明側通過部34の面積より、約7200平方ミリメートル小さい。したがって、上方照明部6から上方に向かって照射される光の光量は、下方照明部8から下方に向かって照射される光の光量より、少ない。
光量低減手段は、例えば、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の透過率を、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の透過率より、小さくしたことである。本発明の実施の形態に係るミラー装置3においては、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の透過率は、40パーセント(%)であり、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の透過率は、60%である。即ち、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の透過率は、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の透過率より、20%分小さい。したがって、下方照明部8から上方に向かって照射される光の光量は、上方照明部6から下方に向かって照射される光の光量より、少ない。
このことより、光量低減手段は、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の透過率を第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の透過率より小さくしたことであるため、複雑な装置等を用意する必要なく、極めて簡単な構成で、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32を通過した下方照明側発光素子18から放出された光の光量を低減させることができる。
本発明の実施の形態に係るミラー装置3においては、第2の上方照明側通過部28の透過率は、40パーセント(%)であり、第2の下方照明側通過部34の透過率は、60%である。即ち、第2の上方照明側通過部28の透過率は、第2の下方照明側通過部34の透過率より、20%分小さい。したがって、上方照明部6から上方に向かって照射される光の光量は、下方照明部8から下方に向かって照射される光の光量より、少ない。
光量低減手段は、例えば、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32から下方照明側発光素子18までの光路の長さ(光路距離)を、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26から上方照明側発光素子10までの光路距離より、大きくしたことである。即ち、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32から下方照明側発光素子18までの光路距離は、D1であり、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26から上方照明側発光素子10までの光路距離はD1+D2である。光源である発光素子の光強度特性が同じ場合、発光素子からの光路距離が遠い位置に通過部が設けられているものの方が、通過部から放出された光の光量は少ないことから、下方照明部8から上方に向かって照射される光の光量は、上方照明部6から下方に向かって照射される光の光量より、少ない。
このことより、光量低減手段は、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32から下方照明側発光素子18までの光路距離を、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26から上方照明側発光素子10までの光路距離より大きくしたことであるため、複雑な装置等を用意する必要なく、極めて簡単な構成で、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32を通過した下方照明側発光素子18から放出された光の光量を低減させることができる。
光量低減手段は、例えば、下方照明側発光素子18が照射する光の照射方向と上方照明側発光素子10が照射する光の照射方向とを異なる方向とすることで、下方照明側発光素子18から照射された光が第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32を通過する光量を、上方照明側発光素子10から照射された光が第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26を通過する光量より、少なくしたことである。言い換えると、上方照明側発光素子10が照射する光は、下方照明側発光素子18が照射する光より、よりそれぞれの通過部へ向いて放出されている。つまり、本発明の実施の形態に係るミラー装置3においては、上方照明側発光素子10が照射する光の照射方向である上方照明側発光素子10が照射する光の中心軸が上方照明カバー16と交わる点と第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26との間の距離は、下方照明側発光素子18が照射する光の照射方向である下方照明側発光素子18が照射する光の中心軸が下方照明カバー24と交わる点と第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32との間の距離より、短い。
このことより、光量低減手段は、下方照明側発光素子18が照射する光の照射方向と上方照明側発光素子10が照射する光の照射方向とを異なる方向とすることで、下方照明側発光素子18から照射された光が第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32を通過する光量を、上方照明側発光素子10から照射された光が第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26を通過する光量より、少なくしたことにより、複雑な装置等を用意する必要なく、極めて簡単な構成で、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32を通過した下方照明側発光素子18から放出された光の光量を低減させることができる。
上方照明部6が下方へ照射する光の光量は、下方照明部8が下方へ照射する光の光量と略同一である。なお、ここでいう「略同一」とは、例えば、互いの照度の差分が50lx以内であると定義する。
このことは、例えば、第1の上方照明側通過部26の面積と第2の下方照明側通過部34の面積とが、略同一であることにより、実現されている。なお、ここでいう「略同一」とは、例えば、互いの面積の差分が50平方ミリメートル以内であると定義する。
また、このことは、例えば、第1の上方照明側通過部26の透過率と第2の下方照明側通過部34の透過率とが、略同一であることにより、実現されている。なお、ここでいう「略同一」とは、例えば、互いの透過率の差分が5%以内のものであると定義する。
このように、上方照明部6が下方へ照射する光の光量を、下方照明部8が下方へ照射する光の光量と略同一のものとしたことにより、上方照明部6の存在によって瞳孔が小さくなることでボウル部106及びボウル部106に吐出される水栓装置108からの水が視認しづらくなることを抑制できる。なお、本発明の実施の形態においては、上方照明部6が下方へ照射する光の光量と下方照明部8が下方へ照射する光の光量とを略同一としたものであったが、上方照明部6が下方へ照射する光の光量を下方照明部8が下方へ照射する光の光量より少ない光量としたものであっても、上述した効果を奏するものであり、本発明に含まれるものである。
図6は、図3のミラーキャビネットにおいて、照明装置が光を照射している状態を示す模式的断面図である。図7は、照度の測定方法を説明するための模式的断面図である。
図6に示すように、本発明の実施の形態において、上方照明部6及び下方照明部8は、それぞれ上方及び下方に向かって、光を照射している。なお、それぞれの光の照射方向については、図10を用いて後に詳述する。
図7に示すように、照度(光量)の測定は、例えば照度計60を用いて行われる。
本発明の実施の形態に係るミラーキャビネット102の寸法は、以下の通りである。ミラーキャビネット102の上端から下端までの長さは、790mmである。上方照明部6と下方照明部8との間の寸法(ミラー1の上下方向の長さ)は、733mmである。また、上方照明部6の先端(前端)とミラーキャビネット102の背面との間の距離D12は、152mmである。下方照明部8の先端(前端)とミラーキャビネット102の背面との間の距離D13は、142mmである。このように、下方照明部8の前端は、上方照明部6の前端より、後方に位置している。したがって、背の低い幼児等がミラー1に近づいた際にも、幼児等の眼に下方照明部8の上方発光面である第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32からの光が入る可能性を低減させつつも、使用者が洗面行為を行うためにボウル部に顔を近づける際にも、下方照明部8がこの洗面行為の邪魔となることを、抑制できる。
上述した条件において、上方照明部6及び下方照明部8から、それぞれの上下方向に照射される光の強度は、例えば、ミラーキャビネット102の鏡面と照度計60との間の距離D14を300mmとして、測定される。
上方照明部6から上方に向けて照射される光の照度は、照度計60を上方照明部6の上方に配し、上方照明部6と照度計60との間の上下方向における距離D15を300mmとして、測定される。
上方照明部6から下方に向けて照射される光の照度は、照度計60を上方照明部6の下方に配し、上方照明部6と照度計60との間の上下方向における距離D16を300mmとして、測定される。
下方照明部8から上方に向けて照射される光の照度は、照度計60を下方照明部8の上方に配し、下方照明部8と照度計60との間の上下方向における距離D17を300mmとして、測定される。
下方照明部8から下方に向けて照射される光の照度は、照度計60を下方照明部8の下方に配し、下方照明部8と照度計60との間の上下方向における距離D18を300mmとして、測定される。
本発明の実施の形態に係るミラー装置3においては、上方照明部6も下方照明部8も、共に光源を発光素子であるLEDとしているため、蛍光灯等に比べ、発光効率が良く、高寿命である。また、上方照明側発光素子10も下方照明側発光素子18も、共に同じ電線に接続されているため、施工やメンテナンスが行いやすい。そして、下方照明本体部20は、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32を通過した下方照明側発光素子18から放出された光の光量を低減させる光量低減手段を有するため、上方照明側発光素子10と下方照明側発光素子18とを異なる発光特性を有する発光素子にする必要がなく、下方照明部8から上方に向かって照射される光の光量を、上方照明部6から下方に向かって照射される光の光量より、少ないものにできる。
図6に示すように、上方照明部6の下方発光面である第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の前端は、下方照明部8の上方発光面である第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の前端より、前方に位置している。言い換えると、下方照明部8の上方発光面である第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の前端は、上方照明部6の下方発光面である第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の前端より、後方に位置している。
下方照明部8は、ミラー1の下端近傍に位置していることから、背の低い幼児等の眼の高さに近い位置に配置されている。そこで、このミラー装置3によれば、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の前後方向の長さを第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の前後方向の長さより小さくしたことを有効利用し、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の前端を第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の前端より後方に位置させることにより、幼児等がミラー1に近づいた際にも、幼児等の眼に下方照明部8の上方発光面である第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32からの光が入る可能性を低減させることができる。
図8は、上方照明側発光素子によって下方へ光を照射している上方照明部を示す模式的断面図である。図9は、下方照明側発光素子によって上方へ光を照射している下方照明部を示す模式的断面図である。図10は、ミラー装置の前方に居る使用者に光が照射された状態を示す模式的断面図である。
図8〜10に示すように、ミラー装置3から前方方向へ一定距離以上離れた使用者H1には、上方照明部6から下方に向かって照射される光のみ当たり、ミラー装置3から前方に一定距離以内にいる使用者H2には、下方照明部8から上方に向かって照射される光が当たる。即ち、ミラー装置3から前方において、上方照明部6から下方に向かって照射される光のみ当たるエリア(範囲)と、該エリアよりミラー装置3に近い位置に下方照明部8から上方に向かって照射される光が当たるエリア(範囲)がある。また、本発明の実施の形態において、下方照明部8から上方に向かって照射される光が当たるエリア(範囲)では、上方照明部6から下方に向かって照射される光も当たる。
このことより、髭剃り等の下方照射が必要な行為を行う際には、使用者はミラー1に近づくことによって下方照明部8から照射される光を強く受けることで、これら下方照射が必要な行為を的確に行うことができる。そして、下方照射が必要な行為を行わないときには、ミラー1から一定距離以上離れた位置から身だしなみチェック等を行うことで、下方からの照らし上げによって使用者が感じる眩しさを低減することができる。なお、実際には光は回折するため、使用者H1にも、下方照明部8から上方に向かって照射される光が当たるものの、使用者H1の顔の位置(ミラー1の上下方向における中央線A)において、下方照明部8から上方に向かって照射される光の光量(照度)は、上方照明部6から下方に向かって照射される光の光量(照度)より、小さい。使用者H1の顔の位置(ミラー1の上下方向における中央線A)において、下方照明部8から上方に向かって照射される光の光量(照度)は、上方照明部6から下方に向かって照射される光の光量(照度)の、例えば10分の1以下である。
図8〜9に示すように、上方照明側発光素子10から出た光が第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の前端を通った際の仮想線が、上方照明側前方仮想線X1である。下方照明側発光素子18から出た光が第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の前端を通った際の仮想線が、下方照明側前方仮想線X2である。上方照明側発光素子10から出た光が第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の後端を通った際の仮想線が、上方照明側後方仮想線X3である。下方照明側発光素子18から出た光が第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の後端を通った際の仮想線が、下方照明側後方仮想線X4である。
なお、上方照明側前方仮想線X1及び上方照明側後方仮想線X3は、便宜上、上方照明側発光素子10を点光源(上方照明側発光素子10における中心から光が照射する光源)と考えて幾何光学に基づいて定義した仮想線である(図8参照)。また、下方照明側前方仮想線X2及び下方照明側後方仮想線X4は、便宜上、下方照明側発光素子18を点光源(下方照明側発光素子18における中心から光が照射する光源)と考えて幾何光学に基づいて定義した仮想線である(図9参照)。
上方照明側前方仮想線X1と上方照明側後方仮想線X3とで囲まれた領域が、上方照明部6から下方に向かって照射される光の照射領域である。ただし、この領域はあくまで幾何光学に基づいて算出したものであり、実際には光は回折するため、この照射領域の範囲外にも光は放出されている。
下方照明側前方仮想線X2と下方照明側後方仮想線X4とで囲まれた領域が、下方照明部8から上方に向かって照射される光の照射領域である。ただし、この領域はあくまで幾何光学に基づいて算出したものであり、実際には光は回折するため、この照射領域の範囲外にも光は放出されている。
図10に示すように、上方照明側発光素子10から出た光が第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の前端を通った際の仮想線である上方照明側前方仮想線X1と、下方照明側発光素子18から出た光が第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の前端を通った際の仮想線である下方照明側前方仮想線X2と、が交わる点は、ミラー1の上下方向における中央線Aより、高い位置である。
このことより、ミラー装置3から前方方向へ一定距離以上離れた使用者には、上方照明部6から下方に向かって照射される光のみ当たり、ミラー装置3から前方に一定距離以内にいる使用者には、下方照明部68から上方に向かって照射される光が当たることになり、髭剃り等の下方照射が必要な行為を行う際には、使用者はミラー1に近づくことによって下方照明部8から照射される光を強く受けることで、これら下方照射が必要な行為を的確に行うことができる。また、下方照射が必要な行為を行わないときには、ミラー1から一定距離以上離れた位置から身だしなみチェック等を行うことで、下方からの照らし上げによって使用者が感じる眩しさを低減することができる。
図10に示すように、上方照明側発光素子10から出た光が第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の後端を通った際の仮想線である上方照明側後方仮想線X3、及び、下方照明側発光素子18から出た光が第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の後端を通った際の仮想線である下方照明側後方仮想線X4は、それぞれの照明部からミラー1方向へ光を照射している。即ち、上方照明部6から下方へ照射された光も、下方照明部8から上方へ照射された光も、少なくとも一部は後方へ向かって放出されている。ミラー装置3の後方方向へ向かって放出された光の少なくとも一部は、ミラー1によって反射され、ミラー装置3の前方方向へ向かって進む。
このように、上方照明側後方仮想線X3及び下方照明側後方仮想線X4によると、上方照明部6も下方照明部8もミラー1方向(ミラー装置3の後方方向)まで光を照射している。このことから、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32から照射された光がミラー装置3の前方に居る使用者に当たる際には、必然的に第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26から下方に向かって照射される光も当たるため、下方からの照らし上げの光量が多くなることで使用者の顔に発生する陰影による「お化け顔」が起こることを抑制でき、より自然な状態の顔で化粧等を行うことができる。
本発明の実施の形態において、上方照明側前方仮想線X1と下方照明側前方仮想線X2とが交わる点がミラー1の上下方向における中央線Aより高い位置である中で、このように、上方照明側後方仮想線X3と下方照明側後方仮想線X4とが交わる点は、ミラー1の上下方向における中央線Aより、低い位置である。なお、本発明において、中央線Aより「低い位置」は、中央線Aと同じ高さ位置のものも含むものである。
下方照明部8から上方に向かって照射される光の照射範囲は、上方照明部6から下方に向かって照射される光の照射範囲より、小さい(狭い)。例えば、図10に示すように、下方照明部8の上方発光面である第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の表面からL1ミリメートル高い位置における、下方照明部8から上方に向かって照射される光の前後方向の照射範囲は、L2ミリメートルである。そして、上方照明部6の下方発光面である第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の表面からL1ミリメートル低い位置における、上方照明部6から下方に向かって照射される光の前後方向の照射範囲は、L3ミリメートルである。このとき、L2はL3より小さい値である。
また、上方照明部6から下方に向かって照射される光の前後方向の照射範囲がL2ミリメートルである位置の、上方照明部6の下方発光面である第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の表面からの長さは、L1ミリメートルより、短い。
このことは、例えば、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)の前後方向の長さが、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)の前後方向の長さより、長いものとなっていることから実現されている。
このように、下方照明部8から上方に向かって照射される光の照射範囲は上方照明部6から下方に向かって照射される光の照射範囲より小さいため、使用者がミラー1を見ながら自身の身だしなみ等をチェックするときなど下方からの照らし上げが必要ない動作を行う際には、下方照明部8から上方に向かって照射される光の照射範囲に入らず上方照明部6から下方に向かって照射される光の照射範囲内から身だしなみチェック等を行うことで、下方からの照らし上げによって使用者が感じる眩しさを低減することができる。一方で、髭剃り等の下方からの照らし上げが必要な行為を行う際には、使用者は下方照明部8から上方に向かって照射される光の照射範囲内に入ることによって、下方照射が必要な化粧等の行為を的確に行うことができる。
上方照明部6において、上方照明側前方仮想線X1及び上方照明側後方仮想線X3と上方照明側発光素子10及び第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26との関係は、図8を用いて説明した。一方で、上方照明側発光素子10及び第2の上方照明側通過部28で定義される、上方照明部6の上方向への照射の仮想線は、下方照明側前方仮想線X2及び下方照明側後方仮想線X4と下方照明側発光素子18及び第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32との関係と同様(仮想線の方向等が同一)となるため、これら仮想線の図示による説明は省略する。
下方照明部8において、下方照明側前方仮想線X2及び下方照明側後方仮想線X4と下方照明側発光素子18及び第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32との関係は、図9を用いて説明した。一方で、下方照明側発光素子18及び第2の下方照明側通過部34で定義される、下方照明部8の下方向への照射の仮想線は、上方照明側前方仮想線X1及び上方照明側後方仮想線X3と上方照明側発光素子10及び第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26との関係と同様(仮想線の方向等が同一)となるため、これら仮想線の図示による説明は省略する。
下方照明部8から上方に向かって照射される光の照射範囲は、上方照明部6から下方に向かって照射される光の照射範囲と、ミラー1を正面からみて横方向において略同一である。このことは、例えば、上方照明カバー16内に配置された複数の上方照明側発光素子10と、下方照明カバー24内に配置された複数の下方照明側発光素子18とが、同一の配置位置、配置個数になっていること、及び、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)及び第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)の左右方向の長さが同一となっていること、から実現されている。
また、上述した通り、下方照明部8から上方に向かって照射される光の照射範囲は、上方照明部6から下方に向かって照射される光の照射範囲より、ミラー1を正面からみて前後方向において小さい(狭い)。
このことより、複数人が同時にミラー装置3を使って身だしなみの確認や化粧行為等を行った際にも、それぞれの使用者は、前後方向に移動することで、行為に合った光の照射範囲で作業を行うことができる。また、上方照明部6から下方に向かって照射される光の照射範囲は、下方照明部8から上方に向かって照射される光の照射範囲と、ミラー1を正面からみて横方向において略同一であるため、正面からみて横方向にシンメトリーに光が照射されていることになり、見栄えが良いミラー装置3となる。
図10に示すように、上方照明部6から下方に向かって照射される光の最も前方側の部分である上方照明側前方仮想線X1と鉛直方向とが交わることで形成される上方照明部前方照射角度θ1は、下方照明部8から上方に向かって照射される光の最も前方側の部分である下方照明側前方仮想線X2と鉛直方向とが交わることで形成される下方照明部前方照射角度θ2より、大きい。上方照明部前方照射角度θ1は例えば50度であり、下方照明部前方照射角度θ2は例えば35度である。
このように、上方照明部前方照射角度θ1を下方照明部前方照射角度θ2より大きなものにするという簡単な構成によって、上方照明部6から下方に向かって照射される光の最も前方側の部分(上方照明側前方仮想線X1)と下方照明部8から上方に向かって照射される光の最も前方側の部分(下方照明側前方仮想線X2)とが交わる位置を、ミラー1の上下方向における中央より高い位置にすることができる。
また、図4、5で示したように、下方照明部8の上方発光面である第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32の前後方向の長さは、上方照明部6の下方発光面である第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26の前後方向の長さより、小さい。このように、発光面の前後方向の長さを変えるという簡単な構成で、使用者の行為に合った光の照射範囲で作業を行うことができるようになる。
図11は、本発明の第1の変形例に係るミラーキャビネットを示す模式的側面図である。
図11に示すように、本発明の第1の変形例に係るミラーキャビネット102Aにおいて、照明装置2Aの上方照明部6Aは、前端が傾斜している傾斜部40を有している。傾斜部40は、上方から下方に向けて、ミラーキャビネット102Aの後方に向かって傾斜している。
傾斜部40の表面には、上方照明部6Aの下方発光面である第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26Aが設けられている。
ミラーキャビネット102Aにおいては、傾斜部40の表面に第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26Aを設けることで、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26Aからミラー装置3Aの前方方向へ照射された光は、より、ミラー装置3Aの前方の遠くまで照射されることになる。なお、矢印は、それぞれの照明部から照射された光の前方仮想線及び後方仮想線を表しているものであるが、本発明はこの矢印の方向に限定されるものではない。
図12は、本発明の第2の変形例に係るミラーキャビネットを示す模式的断面図である。
図12に示すように、本発明の第2の変形例に係るミラーキャビネット102Bの照明装置2Bの上方照明部6B及び下方照明部8Bにおいては、上方照明側基板30B及び上方照明側基板38Bは、傾斜して設置されている。この構成により、上方照明側発光素子10B及び下方照明側発光素子18Bから放出された光は、上方照明部6B及び下方照明部8B内において、より前方に向かって進むことになる。この構成により、上方照明側発光素子10及び下方照明側発光素子18が真下に向かって光を放出している場合に比べ、より多くの光が第2の上方照明側通過部28B及び第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32Bから照射されることになる。よって、このように、上方照明側基板30B及び上方照明側基板38Bの取り付け角度(傾斜角度)を調整して設置することで、第1の上方照明側通過部(上方照明側通過部)26B、第2の上方照明側通過部28B、第1の下方照明側通過部(下方照明側通過部)32B、第2の下方照明側通過部34Bから照射される光の光量(照度)を調整できる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
本発明のミラー装置3は、本発明の実施の形態のように洗面化粧台100の一部として設置されるもののみでなく、例えば、手洗い器の上方や、トイレルームやキッチン、浴室等に設置されるものも含む。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、洗面化粧台100やミラー装置3、3Aなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。