本発明の第一実施例である装着具1を説明する。装着具1には、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display、以下、「HMD」という。)10が装着される。HMD10は、虚像投影型のHMDである。HMD10の構成は、例えば、特開2016−63270号公報に開示されているため、本明細書ではその詳説を省略する。HMD10は、二次元的に走査された光をユーザの網膜上に投影する網膜走査型のHMDであってもよい。HMD10の差込口10Aは、ケーブル93(図6参照)を介して、コントロールボックス92(図6参照)と接続する。尚、ケーブル93とコントロールボックス92は、後述の第二実施例において図面を使って説明されるが、第一実施例では図示されていない。第一実施例のコントロールボックス92は、例えば、使用者の衣服に装着される(図示略)。
図1を参照し、装着具1の概要を説明する。装着具1は、使用者の頭に着用される帽体5に装着される。帽体5は、装着具1に装着される装着対象物の一例であり、本実施形態では産業用ヘルメット(いわゆる、保護帽)である。帽体5は、被覆部5A、張出部5B、及び、内保持部5C(図4参照)を備える。被覆部5Aは、略半球状の板状部材であり、使用者の頭部を覆う。被覆部5Aの開口端は略円形状であるが、略楕円形状であってもよい。被覆部5Aの外表面には、伸縮可能なバンド6が伸張した状態で装着される。張出部5Bは、被覆部5Aの開口端から外側に向けて張り出す。内保持部5C(図4参照)は、被覆部5Aの開口端の周方向に沿って、被覆部5Aの内周面に等間隔に配置される。各内保持部5Cは、被覆部5Aの頂部から開口端に向かう方向に沿って、開口する。内保持部5Cは、互いに対向する一対の対向部5Dを備える。内保持部5Cは、被覆部5Aの内側に配置されたハンモック(図示略)を、一対の対向部5Dの間で保持する。ハンモックは、互いに連結した複数の帯状部材を主に備えており、使用者の頭部を保護する機能を有する。
帽体5に装着された装着具1は、第一ボールジョイント19を介して、アーム9の一端部と連結する。アーム9の一端部は、左右方向に延びる第一軸11(図2参照)を中心に回転可能である。アーム9の他端部は、第二ボールジョイント20を介して、HMD10と連結する。HMD10は、所定方向に延びる第二軸(図示略)を中心に回転可能である。HMD10は、使用者の片目(図1では、使用者にとっての左目)に向けて画像光を照射可能である。第一ボールジョイント19の構成と、第二ボールジョイント20の構成は、例えば、特開2016−63270号公報に開示されているため、本明細書では、その詳説を省略する。また、図2〜図4では、アーム9の図示を省略する。
図1〜図3を参照し、装着具1の構成を説明する。以下の装着具1の構成説明では、帽体5に対して図1で示す姿勢で装着された装着具1の状態を基準とする。また、以下の説明では、図中の矢印によって示した、左右方向、前後方向、上下方向を使用する。装着具1は、樹脂材料によって形成された板状の部材である。装着具1は、基体部30、挿通部39、アーム連結部15、装着具固定部40、及び複数の連結部50を備える。これらの装着具1の構成要素は、互いに一体的に形成される。
図2、図3に示すように、基体部30は、背面視で略C字状に形成される。基体部30は、基部33、第一壁部31、及び、第二壁部32を備える。基部33は上下方向に延びる。第一壁部31は、基部33の上端から左側に延びる。また、第一壁部31は左右方向よりも前後方向に長い。第二壁部32は、基部33の下端から第一壁部31よりも長く左側に延びる。また、第二壁部32は左右方向よりも前後方向に長い。第二壁部32の左部は、下方から張出部5Bに接触する。第一壁部31は、延設部34と突起部35を備える。延設部34は基部33の上端から左側に延びる。突起部35は、延設部34から第二壁部32に向けて突出している。突起部35の下端部は、下方に向けて湾曲する。突起部35の下端部は、上方から張出部5Bに線接触する(図4参照)。
挿通部39は、第一壁部31よりも上側に設けられ、正面視で略C字状であり、前後方向に延びる。挿通部39は、左右方向に開口する孔部39Aと、前後方向に開口する挿通孔39Bを備える。孔部39Aは、バンド6(図1参照)が通過可能な形状を呈する。挿通孔39Bには、挿通孔39Bを通過したバンド6が配置される。伸張した状態にあるバンド6の復元力によって、挿通部39は、帽体5の被覆部5Aの外表面に押し当てられている。
アーム連結部15は、基部33の右面に配置される。換言すると、第一壁部31に対して右側となる位置にて基部33に配置される。アーム連結部15は、右側に向けて開口する円筒体である。アーム連結部15の外径は、第二壁部32の前後方向長さよりも短い。る。アーム連結部15の内側には、円筒部16が嵌る。円筒部16の内側には、第一ボールジョイント19が嵌る。アーム9の回転中心となる第一ボールジョイント19の第一軸11は、左右方向に延び、第一壁部31と第二壁部32の間を通過する。
図3に示すように、装着具固定部40は、第二壁部32から第一壁部31に向かう上方向に向けて、第二壁部32から延びる。装着具固定部40は、開口部43、第一部位41、及び、第二部位42を備える。開口部43は、第一軸11の軸方向である左右方向と、第二壁部32から第一壁部31に向かう上方向とに開口する。本例では、開口部43の内側領域に第一軸11が通過しており、開口部43の下端は第一軸11よりも下側に配置される。開口部43は、第一軸11を間にして前後方向に互いに対向する一対の対向面47によって形成される。本例の一対の対向面47は、第一軸11を基準に互いに対称な位置に配置される。
第一部位41は、開口部43に対して、前後方向の片方向側である後方向側に配置される。第一部位41の上端部は、上下方向に対して傾斜しており、具体的には、上方向且つ左方向に向けて延びる。第一部位41は、下端部を支点として、左方向に撓むことができる(矢印D1)。第二部位42は、開口部43に対して、前後方向の片方向側とは反対側である前方向側に配置される。第二部位42は、第一部位41と前後対称である。即ち、第二部位42の上端部は、上下方向に対して傾斜しており、第二部位42は、下端部を支点として左方向に撓むことができる(矢印D2)。第一部位41と第二部位42のそれぞれの前後方向長さは、帽体5の一対の対向部5Dの対向距離よりも短い。第一部位41と第二部位42のいずれか一方が、使用者の選択によって、一対の対向部5Dの間に差し込まれる(図4参照)。
第一部位41の後端と、第二部位42の前端は、装着具固定部40の前後方向における両端部48である。装着具固定部40の両端部48は、第二壁部32の前後方向における両端部32Aよりも前後方向の外側に配置される。
以下、基体部30と装着具固定部40によって囲まれる空間を収容空間55という。収容空間55には、帽体5の張出部5Bと被覆部5Aが収容される。張出部5Bは、第一壁部31と、第二壁部32の前端部と、第二壁部32の後端部とのそれぞれに接触している。加えて、装着具固定部40の第一部位41と第二部位42は、いずれも、下端部を支点として左方向に撓んでいる。従って、第一部位41と第二部位42は、いずれも、撓みに対する復元力によって被覆部5Aの内周面に押し当たっている。
複数の連結部50は、いずれも、第二壁部32と装着具固定部40を連結する。複数の連結部50は、開口部43よりも下側となる上下位置にて、前後方向に沿って等間隔に配置される。本実施形態の複数の連結部50は、第一部位41に連結された連結部50と、第二部位42に連結された連結部50と、開口部43の下側に配置された連結部50とを含む。本実施形態では、複数の連結部50は、第二壁部32の両端部32Aよりも前後方向の内側に配置される。即ち、最も後側に配置された連結部50は、第二壁部32の後端部から前側に離れており、最も前側に配置された連結部50は、第二壁部32の前端部から後側に離れている。また、各連結部50は、トラス形状を呈しており、より具体的には、正面視で三角形状となる中実の板状を呈している。連結部50は、第一壁部31の延設部34を向く面50Aを有する。面50Aは平面状に形成される。
図3、図4を参照し、装着具1を帽体5に装着する方法を説明する。装着具1の装着前、アーム連結部15にはアーム9(図1参照)の一端部が連結しており、アーム9の他端部にはHMD10(図1参照)が連結している。
使用者は、第一部位41と第二部位42との両方を摘まんで、左方向に撓ませる(図3の矢印D1、D2)。使用者は、撓ませた第一部位41を一対の対向部5Dの間に下方から差し込む。このとき、一対の対向部5Dの一方は開口部43に差し込まれる。同時に、使用者は、張出部5Bと被覆部5Aを収容空間55に上方から進入させる。第二壁部32のうちで複数の連結部50よりも右側にある部位は、下側から張出部5Bに接触し、突起部35は上側から張出部5Bに接触する(図5参照)。使用者が、第一部位41と第二部位42から手を離すと、第一部位41と第二部位42は、それぞれ、その復元力によって被覆部5Aの内周面に押し当たる。よって、第二壁部32と突起部35がそれぞれ張出部5Bに接触した状態で、装着具1は帽体5に装着される。このとき、第一部位41が一対の対向部5Dの間に差し込まれているので、装着具1の前後方向における動きは規制される。従って、装着具1の前後方向における位置ずれは抑制される。使用者は、バンド6を挿通部39の孔部39Aを介して挿通孔39Bに挿通する。バンド6が挿通部39を被覆部5Aに押し当てることにより、装着具1の姿勢は更に安定化する。
尚、使用者は、第一部位41に代えて第二部位42を、一対の対向部5Dに差し込むこともできる(図示外)。このときの装着方法は、上記した方法と同様であるので、詳細な説明を省略する。第二部位42が一対の対向部5Dに差し込まれた時であっても、一対の対向部5Dの他方が開口部43に差し込まれ、張出部5Bは、突起部35と第二壁部32とに接触する。さらに、突起部35と第二壁部32は、張出部5Bに接触し、第一部位41と第二部位42は、いずれも被覆部5Aに押し当たる。
以下の説明では、第一部位41が一対の対向部5Dに差し込まれたときの装着具1の装着位置を「第一装着位置」といい(図4参照)、第二部位42が一対の対向部5Dに差し込まれたときの装着具1の装着位置を「第二装着位置」という(図示外)。
装着具1が第一装着位置で装着されたとき、HMD10は使用者にとっての左目に対して前側に配置され易い。よって、使用者は、HMD10から照射される画像光を良好に視認し易い。一方、装着具1が第二装着位置に装着されたとき、HMD10は、装着具1が第一装着位置に装着された場合に比べて、右後方に配置される。従って、HMD10は、使用者にとっての左目に対して左右方向の外側に配置され易い。よって、使用者は、前方の光景を視認しつつ、HMD10から照射される画像光を視認できる。故に、使用者は、HMD10の使用目的に応じて、装着具1の装着位置を第一装着位置と第二装着位置との間で切り換えることができる。
装着具1の装着位置に関わらず、第二壁部32と突起部35が上下方向の外側から張出部5Bに接触することで、装着具1の上下方向の位置ずれは抑制される。また、装着具1の装着位置に関わらず、第一部位41と第二部位42のいずれか一方が一対の対向部5Dの間に差し込まれ、装着具1の前後方向に位置ずれは、抑制される。さらに、第一部位41と第二部位42が被覆部5Aに押し当たることで、装着具1の上下方向と前後方向の位置ずれは抑制される。従って、使用者が、第一軸11と第二軸(図示略)を中心としてHMD10を、前後、左右、上下に移動させて位置調整する場合であっても、装着具1は位置ずれしにくい。よって、HMD10は、使用者による位置調整時において、装着具1の位置ずれに伴う余分な動きをすることがない。故に、使用者は、HMD10の位置調整を容易かつ適正に実行できることでHMD10の視認性を高めることができる。
以上説明したように、装着具1が第一装着位置又は第二装着位置に装着される場合、第一部位41又は第二部位42が一対の対向部5Dに差し込まれる。このとき、帽体5の張出部5Bと被覆部5Aが収容空間55に入り込み、且つ、弾性変形した第一部位41と第二部位42がいずれも被覆部5Aに押し当たる。これにより、装着具1は帽体5に装着される。アーム連結部15の外径は、第二壁部32の前後方向長さよりも短い。換言すると、第二壁部32は、前後方向において、アーム連結部15よりも長い。従って、第二壁部32のうちで少なくとも前後方向に離れた二つの部位が、下側から帽体5に安定的に接触できる。更に、突起部35の下端部が張出部5Bに上側から接触できる。これにより、張出部5Bに対する装着具1の位置が規定されるので、装着具1は安定的に装着される。よって、帽体5に装着されたときの装着位置がずれにくい装着具1が実現する。また、帽体5に対向部5Dがない場合であってもよい。具体的には、第二壁部32と突起部35が上下方向の外側から張出部5Bに接触することで、装着具1の上下方向の位置ずれは抑制される。また、第一部位41と第二部位42と第一壁部31との3点で被覆部5Aを挟み込むように接触するため、左右方向に対する装着具1の位置ずれが抑制される。第二壁部32と突起部35が上記のように張出部5Bに接触することで生じる摩擦力と、第一部位41と第二部位42と第一壁部31とが上記のように被覆部5Aに接触することで生じる摩擦力とによって、装着具1の前後方向の位置ずれは抑制される。よって、装着対象物の一例である帽体5に装着されたときの装着位置がずれにくい装着具1が実現する。位置ずれがしにくい効果により、HMD10の視認性も向上する。
複数の連結部50は、いずれも、第二壁部32と装着具固定部40を連結する。従って、第一部位41と第二部位42は、いずれも、第一軸11の軸方向である左右方向に沿って左側に撓みにくい。従って、装着具1が帽体5に装着される場合、使用者が手を離した第一部位41と第二部位42は、強固に被覆部5Aに押し当たる。よって、装着具1は帽体5に強固に装着されることができる。特に、装着具1の装着位置が切り替わる頻度が低い使用がなされる場合においては、装着具1の強固な装着に伴ってHMD10は位置ずれし難くなり、HMD10の視認性が向上する。
連結部50は、前後方向に沿って複数配置される。装着具1が、複数の連結部50を備えることで、装着具固定部40は、第一軸11の軸方向に沿って左側に更に撓みにくくなる。よって、装着具1は、帽体5に強固に装着されることができる。より具体的には、装着具1は上下方向にかかる力を主に突起部35によって帽体5の張出部5Bに伝える。そして、HMD10が装着具1に連結された状態である場合、突起部35と帽体5が接触する位置を回転中心として、装着具固定部40が右方向に押し付けられるモーメントの力が発生する。この時、装着具固定部40は被覆部5Aの内周面に強く押し当てられることにより連結部50近傍により強い力がかかり、撓みやすい状態になる。この場合であっても、連結部50は、装着具固定部40の特に連結部50近傍の撓みを抑制し、張出部5Bが収容空間55から抜けてしまうこと、および大きな撓みによる装着具1のガタの発生を抑制できる。
装着具固定部40の両端部48は、第二壁部32の両端部32Aに対して、前後方向の外側に配置される。両端部48は、両端部32Aから離れるので、左側に向けて撓み易くなる。従って、第一部位41又は第二部位42が被覆部5Aに押し当たるとき、装着具固定部40の両端部48は、被覆部5Aに倣った形状に変形できる。従って、装着具固定部40が被覆部5Aに接触し易くなるので、装着具1は帽体5に安定的に装着されることができる。
複数の連結部50は、第二壁部32の両端部32Aよりも、前後方向の内側に配置される。換言すると、複数の連結部50は、前後方向において、装着具固定部40の両端部48よりも内側に配置される。連結部50が、装着具固定部40の両端部48から離れるので、装着具固定部40の両端部48は、被覆部5Aの形状に倣った形状に変形できる。よって、装着具固定部40が被覆部5Aに接触し易くなるので、装着具1は帽体5に安定的に装着されることができる。
使用者は、第一部位41と第二部位42のいずれかを選択的に、一対の対向部5Dの内側に差し込む。開口部43がいずれかの対向部5Dを挟み込む状態で装着具1が固定されるため、装着具1の位置ずれが防止される。さらに、帽体5に対する装着具1の装着位置は、第一装着位置と第二装着位置とのいずれの位置で固定するか選択的に切替可能となる。よって、装着具1の使い勝手は向上する。
第一壁部31は突起部35を備える。突起部35の下端部は、下方に湾曲しており、且つ前後方向に長い。従って、突起部35は張出部5Bに線接触し易い。張出部5Bが、突起部35と第二壁部32の間で接触し易くなるので、装着具1は、帽体5に安定的に装着されることができる。
開口部43を形成する一対の対向面47は、第一軸11を間にして互いに対向する。即ち、開口部43は、第一軸11に対して上側に形成されるだけでなく、第一軸11に対して下側にも形成される。従って、開口部43が第一軸11に対して上側のみに配置される場合に比べて、開口部43が大きくなる。これにより、第一部位41と第二部位42の一定の撓み易さが確保される。
一対の対向面47は、第一軸11を間にして、互いに対称な位置に配置される。第一部位41と第二部位42は、第一部位41と第二部位42がそれぞれ接触する被覆部5Aの位置における帽体5の曲率が異なっていても、常に被覆部5Aに押し当たることができる。よって、装着具1は、帽体5に対して安定的に装着できる。
以上説明にて、左側は本発明の「一方側」の一例である。上方向は本発明の「第一方向」の一例である。前後方向は本発明の「所定方向」の一例である。後方向は本発明の「片方向」の一例である。左右方向は本発明の「軸方向」の一例である。
装着具1は種々の変更が可能である。帽体5は、産業用ヘルメットである代わりに、例えば布によって形成された帽子であってもよい。装着具1は、帽体5に代えて、別の装着対象物に装着可能であってもよい。開口部43は、第一軸11に対して上側のみに形成されていてもよい。一対の対向面47は、第一軸11を基準として非対称であってもよい。第一部位41と第二部位42は、前後非対称であってもよい。
装着具1は、複数の連結部50を備える代わりに、単一の連結部50を備えてもよい。単一の連結部50は、前後方向に長くてもよい。この場合、単一の連結部50は、第一部位41と第二壁部32を連結し、且つ、第二部位42と第二壁部32を連結する。連結部50は、トラス形状でなくてもよい。例えば、面50Aが平面状である代わりに、装着具固定部40と第二壁部32との連結位置に向けて湾曲する円弧状であってもよい。装着具固定部40の両端部48と、第二壁部32の両端部32Aは、前後方向において互いに同じ位置に配置されてもよい。この場合、連結部50は、装着具固定部40の前端部と、第二壁部32の前端部とを連結してもよいし、装着具固定部40の後端部と第二壁部32の後端部とを連結してもよい。
図5〜図7を参照し、本発明の第二実施例である装着具2を説明する。尚、第一実施例と同一の部材については、図面上で同一の符号を付与し、詳細な説明は適宜省略する。装着具2は、装着具1と同様、帽体5に装着される。
装着具1と同様に、装着具2は、基体部30、アーム連結部15、装着具固定部40、及び、複数の連結部50を備える。装着具2は、挿通部39(図2参照)に代えて電装部60を備える点で、装着具1とは異なる。
電装部60の構成を詳説する。電装部60は、HMD10を作動するための器具を保持する。具体的には、電装部60は、バッテリ91、コントロールボックス92、ケーブル93を保持する。
図5に示すように、電装部60は、支持板52、カバー59、上突出部51、下突出部53(図6参照)、一対の突部61(図6参照)を備える。支持板52は、被覆部5Aの開口端に沿って延びる板であり、第一壁部31の上方に配置される。
支持板52には、一対の挿通部78(図7参照)と、一対の突部61(図6参照)とが設けられる。一対の挿通部78は、帽体5側の支持板52の端面に配置され、支持板52の長手方向に沿って並ぶ。一対の挿通部78は、夫々、左右方向に開口する孔部78Aと、支持板52の長手方向に開口する挿通孔78Bを備える。孔部78Aは、バンド6が通過可能な形状を呈する。挿通孔78Bには、挿通孔78Bを通過したバンド6が配置される。バンド6は、一対の挿通部78を被覆部5Aの外表面に押し当てる。一対の突部61は、支持板52から右側に向けて突出する。カバー59(図5参照)は、一対の突部61と、後述のコントロールボックス92とを覆う箱状体であり、支持板52に取り付けられる。
図6に示すように、上突出部51と下突出部53は、いずれも、支持板52から右側に向けて突出しており、支持板52の長手方向に沿って延びる。下突出部53は、上突出部51よりも長い。上突出部51と下突出部53は、カバー59(図5参照)を間に挟んで、上下方向に互いに対向する。下突出部53の前部には、上下方向に開口する挿通部53Aが設けられる。
図6、図7に示すように、上突出部51には、バッテリ支持部65が設けられる。バッテリ支持部65は、板状部63と、一対の湾曲部64を備える。板状部63は、上突出部51から上方に突出する。一対の湾曲部64は、上突出部51から右側に向けて突出し、且つ、下側に向けて半円弧状に湾曲する。一対の湾曲部64は、前後方向に並んでおり、バッテリ91が嵌る。これにより、バッテリ支持部65は、バッテリ91を支持する。
図6に示すように、支持板52のうちで上突出部51よりも後方となる部位は、支持部57である。支持部57は、上突出部51よりも後側に設けられる。支持部57は、直方体状に形成されたコントロールボックス92に対して、左側から対向する。支持部57には、一対の上保持部73と一対の下保持部74が設けられる。上保持部73と下保持部74は、いずれも、鉤状に形成される。具体的には、一対の上保持部73は、支持部57の上部から右側に突出し、さらに互いに近接する方向に向けて折れ曲がり、一対の下保持部74は、支持部57の下部から右側に突出し、さらに互いに近接する方向に向けて折れ曲がる。コントロールボックス92は、一対の上保持部73の間と、一対の下保持部74の間とに差し込まれている。上保持部73と下保持部74は、コントロールボックス92が外れるのを阻止する。よって、コントロールボックス92は保持される。
コントロールボックス92とバッテリ91とは、ケーブル95によって接続されている。これにより、バッテリ91はコントロールボックス92に対して給電できる。また、コントロールボックス92には、ケーブル93が引き出されている。ケーブル93は、一対の突部61によって巻回されており、さらに挿通部53Aを通過して下側に引き出されている。巻回されたケーブル93は、カバー59(図5参照)によって覆われる。挿通部53Aから下側に引き出されたケーブル93は、アーム9を伝って、HMD10の差込口10Aに差し込まれる。これにより、コントロールボックス92は、HMD10に対して給電すると共に、各種の信号を送信できる。
図5に示すように、装着具2は、フック77をさらに備える。フック77は、下突出部53(図6参照)の後部から帽体5の下側まで延び、さらに上側且つ帽体5の内側に向けて突出する。装着具2が、第一装着位置又は第二装着位置にて装着された場合、バッテリ91、HMD10の重さによって、装着具2の後部は、浮き上がるときがある(矢印E1)。この場合であっても、フック77が張出部5Bに下方から接触することにより、装着具2の後部の浮き上がりは抑制される。よって、装着具2は、安定的に帽体5に装着されることができる。
図8〜図12を参照し、本発明の第三実施例となる装着具3を説明する。尚、装着具1と同様の構成については、図面上で同じ符号を付与し、詳細な説明は適宜省略する。
図8に示すように、装着具3は、基体部130、装着具固定部40、挿通保持部270を備える。基体部130は、第一基体部110と第二基体部200を備える。第一基体部110と第二基体部200は、互いに別体であり、第一基体部110は第二基体部200に対して着脱可能である(図8、図12参照)。第一基体部110にはアーム連結部15が配置される。尚、図10、図11では、第一基体部110の図示を省略する。
図9に示すように、第一基体部110は、基部133、第一壁部131、特定壁部137、爪部136、及び、操作部139を備える。これら第一基体部110の構成要素は、互いに一体的に形成される。基部133は、上下方向に延びる。基部133の右面には、アーム連結部15が配置される。第一壁部131は、基部133の上端から左側に延びる。特定壁部137は、第一壁部131の左端から下側に延びる。特定壁部137は、基部133に対して平行に延びる。特定壁部137の下端部は、基部133の上下方向中心と略同じ上下位置に配置される。爪部136は、特定壁部137の下端部と略同じ上下位置にて、基部133から左方に向けて突出する。操作部139は、基部33の左面に配置され、爪部136よりも下方にある。操作部139は、使用者が指で操作する部位である。本実施形態では、操作部139は、上下方向に並んだ複数のリブによって形成される。各リブは、基部133から左方に突出し且つ左右方向に延びる。
図10に示すように、第二基体部200は、配置基部220を備える。配置基部220は、第一板状部221、第二板状部222、及び、一対の支持部257を備える。第一板状部221と第二板状部222は、いずれも、被覆部5A(図1参照)の開口端の径方向に厚さを有する板状であり、前後方向に沿って延びる。第一板状部221と第二板状部222は前後方向に並んでおり、より詳細には、第二板状部222は、第一板状部221の前端から、前側且つ左側に向けて延びる。第一板状部221の厚さと第二板状部222の厚さは、互いに略同じであり、特定壁部137と基部133とが互いに対向する距離よりも僅かに薄い。第一板状部221の左面と第二板状部222の左面とがなす角度のうちで小さい方の角度(図11のθに相当する角度)は鈍角である。一対の支持部257は、第一板状部221から上方に突出しており、前後方向に沿って並ぶ。各支持部257は、前後方向に開口する円形状の支持孔257Aを有する(後側の支持孔257Aの図示省略)。一対の支持部257の間に形成される通過孔299は、第一壁部131と特定壁部137とが通過可能な孔である。
第一板状部221は係合部229を備える。本例の係合部229は、第一板状部221の下部を厚さ方向に貫通する矩形状の孔である。第一板状部221と同様に、第二板状部222は、係合部229を備える。第一基体部110の爪部136は、いずれかの係合部229に対して選択的に係合する(図8、図12参照)。
第一板状部221は一対の凸部261を備える。一対の凸部261は、係合部229を間にして、第一板状部221の長手方向に並ぶ。本例の凸部261は、第一板状部221から右側に向けて突出し、且つ上下方向に直線状に延びる。一対の凸部261の一方から他方への最短距離(図10の寸法H1)は、基部133の前後方向長さ(図9の寸法H2)よりも、僅かに長い。第一板状部221と同様に、第二板状部222は一対の凸部261を備える。一対の凸部261は、係合部229を間にして、第二板状部222の長手方向に並ぶ。第二板状部222が有する凸部261の構成の詳細は省略する。
図11に示すように、配置基部220は、第二壁部232を更に備える。第二壁部232は、第一板状部221の下端から左側に向けて延びる。第二壁部232の後端には、装着具固定部40が設けられる。第三実施例においても、装着具固定部40の第一部位41と第二部位42のいずれか一方が、一対の対向部5D(図4参照)の間に選択的に差し込まれる。
図8、図11、図12を参照し、第一基体部110の第二基体部200に対する装着位置について説明する。第一基体部110は、第一特定装着位置(図8参照)と第二特定装着位置(図12参照)のいずれかで装着される。第一特定装着位置は、第一板状部221に装着される第一基体部110の位置である。第一基体部110が第一装着位置にて装着される場合、第一壁部131は、第一板状部221に対して上方から接触し、且つ、第一板状部221よりも左側まで延びる。このとき、特定壁部137(図9参照)は、第一板状部221を間にして基部133と対向しており、且つ第一壁部131から第二壁部232に向けて延びる。また、第一軸11は、装着具固定部40の開口部43を通過する。さらに、基部133は、一対の凸部261の間で第一板状部221に対して右側から接触し、爪部136は、第一板状部221の係合部229と係合し、操作部139は、第一板状部221よりも下方に配置される。第二特定装着位置は、第二板状部222に装着される第一基体部110の位置である。第一基体部110が第二特定装着位置にて装着される場合、第一壁部131は、第二板状部222に対して上方から接触し、且つ第二板状部222よりも左側まで延びる。このとき、特定壁部137は、第二板状部222を間にして基部133と対向する。さらに、基部133は、一対の凸部261の間で第二板状部222に対して右側から接触し、爪部136は、第二板状部222の係合部229と係合し、操作部139は、第二板状部222よりも下方に配置される。
図8を参照し、挿通保持部270を説明する。挿通保持部270は、基体部130とは別体の板状部材である。挿通保持部270は、連結部271、挿通部239、及びケーブル保持部250を備える。連結部271は、一対の支持部257の間に配置され、且つ、通過孔299よりも上方に配置される。連結部271は、一対の嵌合部(図示外)を備える。一対の嵌合部は、前後方向の外側に向けて突出しており、円柱状に形成される。一対の嵌合部が、それぞれ、一対の支持孔257Aに嵌ることで、挿通保持部270は、一対の支持部257によって支持される。
挿通部239は、正面視で略C字状に形成され、第二壁部232(図11参照)の真上に配置される。挿通部239の右下部は、連結部271の左部と連結する。挿通部239は、左右方向に開口する孔部239Aと、前後方向に開口する挿通孔239Bを備える。孔部239Aは、バンド6(図1参照)が通過可能な形状を呈する。挿通孔239Bには、孔部239Aを通過したバンド6が配置される。挿通部239は、バンド6によって被覆部5A(図1参照)に押し当てられる。
ケーブル保持部250は、正面視で略U字状に形成され、挿通部239の上方に配置される。ケーブル保持部250は、前後方向に延びる。ケーブル保持部250は、上下方向に開口する第一開口部251と、前後方向に開口する第二開口部252とを備える。第一開口部251は、ケーブル93が通過可能な形状を呈する。第一開口部251の左右方向における開口量は、ケーブル保持部250の左右方向に沿った変形に伴って増減する。第二開口部252は、第一開口部251よりも下側に設けられる。第二開口部252が、ケーブル93を束ねることによって、ケーブル保持部250は、ケーブル93を保持する。保持されたケーブル93の一端は、HMD10の差込口10Aに接続される(図6参照)。第三実施例では、ケーブル93の他端は、被覆部5Aの後部にて保持されたコントロールボックス92(図6参照)に接続される。第三実施例では、コントロールボックス92の図示は省略される。
図8、図9、図11を参照し、第一基体部110の装着位置を変更する方法を説明する。装着位置の変更前、第一基体部110は、第一特定装着位置にて装着されている(図8参照)。
使用者は、指を操作部139に引っ掛けて、基部133を右側に押す。基部133は、上端部を支点として、右側に向けて撓む(図8の矢印F1)。これにより、爪部136が第一板状部221の係合部229から外れ、第一基体部110は、上方へ移動可能となる。使用者は。第一基体部110を一対の凸部261に沿って上方へ移動させる。第一壁部131と特定壁部137は、通過孔299を通過して、第一板状部221に対して右上方まで移動する(図示略)。これにより、第一基体部110は、第二基体部200から外れる。
使用者は、特定壁部137を第二板状部222よりも左側に配置させながら、基部133を、第二板状部222の一対の凸部261のそれぞれの上部の間に進入させる(図11参照)。このとき、使用者は、操作部139に指を引っ掛けて右側に付勢しており、基部133は上端部を支点として右側に撓んでいる。爪部136が係合部229よりも上方で第二板状部222の右面に押し当たる状態で、使用者は、基部133を、一対の凸部261に沿って下方に移動させる。第二板状部222の係合部229と同じ上下位置まで下降した爪部136は、撓んだ状態にある基部133の復元力によって、係合部229に入り込む。これにより、基部133の上下動は規制される。このとき、第一壁部131は、第二板状部222の上端に接触し、第一基体部110は、第二特定装着位置に装着される。
第一基体部110の装着位置を、第二特定装着位置から第一特定装着位置に変更する方法も上記と同様であるので、その詳細な方法の説明は省略する。また、バンド6を、挿通部239に挿入する方法についても、第一実施例と同様であるので省略する。
以上説明したように、第三実施例の装着具3では、第一基体部110は、第一特定装着位置と第二特定装着位置のいずれの位置でも、第二基体部200に対して装着可能となる。つまり、装着対象物の一例である帽体5に安定的に装着された状態の装着具3を着脱することなく、帽体5に対する相対的な装着位置を容易に切り替えることができる。
第一板状部221と第二板状部222は、それぞれ、一対の凸部261を備える。第一基体部110の装着位置が変更されるとき、基部133は、一対の凸部261に沿って移動する。即ち、一対の凸部261は、下方に向けた基部133の移動を案内する。これにより、使用者は、爪部136が係合部229と係合できる上下位置に基部133を配置させ易くなる。よって、装着具3の位置決めが容易であり、かつ安定的に装着具3を固定することができるため、HMD10の視認性が高くなる。
第二板状部222は、第一板状部221から前側且つ左側に向けて延びる。基部133の装着位置が第一特定装着位置と第二特定装着位置との間で切り替わるときのHMD10の位置の変化は、第二板状部222が第一板状部221から前側且つ右側に延びる実施例に比べて、小さくなる。従って、基部133の第二基体部200に対する装着位置が切り替わっても、HMD10は使用者の目から離れにくい。よって、装着具3の位置決めが容易であり、かつ安定的に装着具3が固定されるため、HMD10の視認性が高くなる。
装着具3は上記実施例に限定されない。係合部229は、第二壁部232とは反対側に向けて開口していればよく、例えば右側に向けて開口する凹部であってもよい。凸部261は、上下方向に直線状に延びる代わりに、例えば半球状であってもよい。操作部139は、基部133の左面から右方に凹む凹部であってもよい。操作部139は、基部133と別体に形成されてもよい。
第二基体部200は、第三板状部(図示略)を備えてもよい。第三板状部は、第一板状部221の後端部から、例えば、後側且つ左側に延びる。第一板状部221と同様に、第三板状部は、係合部229と一対の凸部261を備えてもよい。これにより、第一基体部110は、第三板状部に対して装着可能となる。