JP6702448B2 - 微細繊維状セルロース凝集物の製造方法 - Google Patents
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Description
本願は、2012年8月10日に、日本に出願された特願2012−178345号及び2012年8月10日に、日本に出願された特願2012−178347号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
また、セルロース繊維としては、繊維径がナノメートルオーダーの微細繊維状セルロースも知られており、近年、様々な用途に対して使用が検討されている。
微細繊維状セルロースは、例えば、叩解したパルプを解繊する方法(特許文献1)、セルロース原料をN−オキシルおよび次亜塩素酸ナトリウム等の共酸化剤で処理した後に解繊する方法(特許文献2)により製造される。
しかし、微細繊維状セルロースの分散液は、分散安定性を確保するために低濃度にされているため、輸送される物の殆どは水等の液体である。そのため、微細繊維状セルロース当たりの輸送コスト及び保管コストが高くなる傾向にあった。
本発明の一態様は、微細繊維状セルロース当たりの輸送コスト及び保管コストを削減できる微細繊維状セルロース凝集物を提供することを目的とする。
また、本発明の他の態様は、微細繊維状セルロース当たりの輸送コスト及び保管コストを削減できる微細繊維状セルロース凝集物を製造する微細繊維状セルロース凝集物の製造方法を提供することを目的とする。本発明のさらに他の態様は微細繊維状セルロース当たりの輸送コスト及び保管コストを削減した微細繊維状セルロース分散液を得ることができる微細繊維状セルロース分散液の再製造方法を提供することを目的とする。
[1] 平均繊維幅が2nm〜50nmの微細繊維状セルロースと、水及び有機溶剤の少なくとも一方からなる液状化合物とを含有し、微細繊維状セルロースの含有量が6質量%〜80質量%、液状化合物の含有量が15質量%以上である、微細繊維状セルロース含有物。
[2] 多価金属の塩を含む凝集剤を含有する、[1]に記載の微細繊維状セルロース含有物。
[3] 酸を含有する、[1]または[2]に記載の微細繊維状セルロース含有物。
[4] アルカリを含有する、[1]または[2]に記載の微細繊維状セルロース含有物。
[5] 固形分の40質量%以上が微細繊維状セルロースである、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の微細繊維状セルロース含有物。
[6] 微細繊維状セルロースの最大繊維幅が50nm以下である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の微細繊維状セルロース含有物。
[7] 平均繊維幅が2nm〜200nmの微細繊維状セルロース及び分散媒を含有する微細繊維状セルロース分散液を濃縮する濃縮工程を有する、微細繊維状セルロース含有物の製造方法。
[8] 濃縮工程は、微細繊維状セルロース分散液に含まれる微細繊維状セルロースを凝集させる凝集工程と、凝集工程後の微細繊維状セルロース分散液を濾過して分散媒を除去する濾過工程とを有する、[7]に記載の微細繊維状セルロース含有物の製造方法。
[9] 凝集工程では、前記微細繊維状セルロース分散液に、多価金属の塩を含有する凝集剤を添加して微細繊維状セルロースを凝集させる、[8]に記載の微細繊維状セルロース含有物の製造方法。
[10] 微細繊維状セルロースの表面電荷が負の場合、凝集工程では、前記微細繊維状セルロース分散液に、酸を添加して微細繊維状セルロースを凝集させる、[8]または[9]に記載の微細繊維状セルロース含有物の製造方法。
[11] 微細繊維状セルロースの表面電荷が正の場合、凝集工程では、前記微細繊維状セルロース分散液に、アルカリを添加して微細繊維状セルロースを凝集させる、[8]または[9]に記載の微細繊維状セルロース含有物の製造方法。
[12] 微細繊維状セルロース分散液の微細繊維状セルロース含有量が6質量%未満である、[7]〜[11]のいずれか1つに記載の微細繊維状セルロース含有物の製造方法。
[13] 濃縮工程では、微細繊維状セルロースの含有量が6質量%〜80質量%になるように濃縮する、[12]に記載の微細繊維状セルロース含有物の製造方法。
[14] [7]〜[13]のいずれか1つに記載の微細繊維状セルロース含有物の製造方法により得た微細繊維状セルロース含有物に分散媒を添加して微細繊維状セルロース含有液を調製し、該微細繊維状セルロース含有液に分散処理を施す再分散工程を有する、微細繊維状セルロース分散液の再製造方法。
[15] 再分散工程では、微細繊維状セルロースの表面電荷が負の場合には、微細繊維状セルロース含有液をpH7以上pH12以下に調整し、微細繊維状セルロースの表面電荷が正の場合には、微細繊維状セルロース含有液をpH4〜7の範囲内に調整する、[14]に記載の微細繊維状セルロース分散液の再製造方法。
[16] 本発明の一態様は、平均繊維幅が2nm〜50nmの微細繊維状セルロースと、水又は有機溶剤の少なくとも一方からなる液状化合物とを含有し、前記微細繊維状セルロースの含有量が微細繊維状セルロース凝集物全体の質量に対して6質量%〜80質量%、前記液状化合物の含有量が微細繊維状セルロース凝集物全体の質量に対して15質量%以上である、微細繊維状セルロース凝集物である。
[17] 本発明の一態様は、さらに多価金属の塩を含む凝集剤を含有する、[16]に記載の微細繊維状セルロース凝集物であってもよい。
[18] 本発明の一態様は、さらに酸、カチオン性界面活性剤、及びカチオン性高分子凝集剤からなる群から選択される少なくとも一種を含有する、[16]または[17]に記載の微細繊維状セルロース凝集物であってもよい。
[19] 本発明の一態様は、さらにアルカリ、アニオン性界面活性剤、及びアニオン性高分子凝集剤からなる群から選択される少なくとも一種を含有する、[16]または[17]に記載の微細繊維状セルロース凝集物であってもよい。
[20] 本発明の一態様は、さらにセルロースの可塑剤を含有する、[17]〜[19]のいずれか1つに記載の微細繊維状セルロース凝集物であってもよい。
[21] 本発明の一態様は、前記微細繊維状セルロース凝集物に含まれる固形分の40質量%以上が前記微細繊維状セルロースである、[17]〜[20]のいずれかに記載の微細繊維状セルロース凝集物であってもよい。
[22] 本発明の一態様は、前記微細繊維状セルロースの最大繊維幅が50nm以下である、[16]〜[21]のいずれか1つに記載の微細繊維状セルロース凝集物であってもよい。
[23] 本発明の他の態様は、平均繊維幅が2nm〜200nmの微細繊維状セルロース及び第1の分散媒を含有する第1の微細繊維状セルロース分散液を濃縮する濃縮工程を有する、微細繊維状セルロース凝集物の製造方法である。
[24] 本発明の他の態様は、前記濃縮工程が、前記第1の微細繊維状セルロース分散液に含まれる前記微細繊維状セルロースを凝集させる凝集工程と、前記凝集工程後の前記第1の微細繊維状セルロース分散液を濾過して前記第1の分散媒を除去する濾過工程とを有する、[23]に記載の微細繊維状セルロース凝集物の製造方法であってもよい。
[25] 本発明の他の態様は、前記凝集工程では、前記第1の微細繊維状セルロース分散液に、多価金属の塩を含有する凝集剤を添加して前記微細繊維状セルロースを凝集させる、[24]に記載の微細繊維状セルロース凝集物の製造方法であってもよい。
[26] 本発明の他の態様は、前記微細繊維状セルロースの表面電荷が負の場合、前記凝集工程では、前記第1の微細繊維状セルロース分散液に、酸、カチオン性界面活性剤、及びカチオン性高分子凝集剤からなる群から選択される少なくとも一種を添加して前記微細繊維状セルロースを凝集させる、[24]または[25]に記載の微細繊維状セルロース凝集物の製造方法であってもよい。
[27] 本発明の他の態様は、前記微細繊維状セルロースの表面電荷が正の場合、前記凝集工程では、前記第1の微細繊維状セルロース分散液に、アルカリ、アニオン性界面活性剤、及びアニオン性高分子凝集剤からなる群から選択される少なくとも一種を添加して前記微細繊維状セルロースを凝集させる、[24]または[25]に記載の微細繊維状セルロース凝集物の製造方法であってもよい。
[28]本発明の他の態様は、前記凝集工程は、前記微細繊維状セルロース凝集物がセルロースの可塑剤を添加することを含む、[24]〜[27]いずれか1つに記載の微細繊維状セルロース凝集物の製造方法であってもよい。
[29] 本発明の他の態様は、前記第1の微細繊維状セルロース分散液の微細繊維状セルロース含有量が前記微細繊維状セルロース凝集物全体の質量に対して6質量%未満である、[23]〜[28]のいずれか1つに記載の微細繊維状セルロース凝集物の製造方法であってもよい。
[30] 本発明の他の態様は、前記濃縮工程では、前記微細繊維状セルロースの含有量が前記微細繊維状セルロース凝集物全体の質量に対して6質量%〜80質量%になるように濃縮する、[29]に記載の微細繊維状セルロース凝集物の製造方法であってもよい。
[31] [23]〜[30]のいずれか1つに記載の微細繊維状セルロース凝集物の製造方法により得た前記微細繊維状セルロース凝集物に第2の分散媒を添加して第2の微細繊維状セルロース含有液を調製し、前記第2の微細繊維状セルロース含有液に分散処理を施す再分散工程を有する、微細繊維状セルロース分散液の再製造方法。
[32] 再分散工程では、微細繊維状セルロースの表面電荷が負の場合には、前記第2の微細繊維状セルロース含有液をpH7以上pH12以下に調整し、微細繊維状セルロースの表面電荷が正の場合には、前記第2の微細繊維状セルロース含有液をpH4〜pH7の範囲内に調整する、[31]に記載の微細繊維状セルロース分散液の再製造方法である。
本発明の一態様における微細繊維状セルロース凝集物が凝集剤または酸を含む場合には、分散媒に再分散させた際の微細繊維状セルロースの再分散性が高くなる。
本発明のさらに他の態様における微細繊維状セルロース分散液の再製造方法によれば、微細繊維状セルロース当たりの輸送コスト及び保管コストを削減した微細繊維状セルロース分散液を得ることができる。
本実施形態の微細繊維状セルロース凝集物は、微細繊維状セルロースと液状化合物とを含有するものである。本実施形態の微細繊維状セルロース凝集物は、微細繊維状セルロースが高濃度のものである。
本実施形態の製造方法によって得られる微細繊維状セルロース凝集物は、微細繊維状セルロースと液状化合物とを含有し、微細繊維状セルロースが高濃度のものである。
微細繊維状セルロース凝集物における微細繊維状セルロースの含有量は、微細繊維状セルロース凝集物全体の質量に対して6質量%〜80質量%であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることがより好ましく、12質量%〜30質量%であることがさらに好ましい。微細繊維状セルロースの含有量が前記下限値未満では、微細繊維状セルロース当たりの輸送コスト及び保管コストを削減できない。一方、微細繊維状セルロースの含有量が前記上限値を超えると、微細繊維状セルロースの再分散性が低下することがある。
さらに、微細繊維状セルロース凝集物は、微細繊維状セルロースと液状化合物と凝集剤を含み、前記微細繊維状セルロースと液状化合物と凝集剤以外に可塑剤、エマルジョン樹脂を含む場合がある。
微細繊維状セルロースは、通常製紙用途で用いるパルプ繊維よりもはるかに細く且つ短いI型結晶構造のセルロース繊維あるいは棒状粒子である。
微細繊維状セルロースがI型結晶構造を有していることは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14°〜17°付近と2θ=22°〜23°付近の2箇所の位置に典型的なピークを有することで同定することができる。
微細繊維状セルロースの、X線回折法によって求められる結晶化度は、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上である。結晶化度が前記下限値以上であれば、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求めることができる(Segalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
微細繊維状セルロースは、電子顕微鏡で観察して求めた平均繊維幅が2nm〜200nmのセルロースである。微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、2nm〜150nmであってよい。微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、2nm〜50nmが好ましく、2nm〜30nmがより好ましく、2nm〜15nmが特に好ましく、2nm〜10nmが最も好ましい。微細繊維状セルロースの平均繊維幅が前記上限値を超えると、微細繊維状セルロースとしての特性(高強度や高剛性、高寸法安定性、樹脂と複合化した際の高分散性、透明性)を得ることが困難になる。微細繊維状セルロースの平均繊維幅が前記下限値未満であると、セルロース分子として水に溶解してしまうため、微細繊維状セルロースとしての特性(高強度や高剛性、高寸法安定性)を得ることが困難になる。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、前記直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で前記直線Xと垂直に交差する直線Yを引き、前記直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記のような電子顕微鏡観察画像に対して、直線Xに交錯する繊維、直線Yに交錯する繊維の各々について少なくとも20本(すなわち、合計が少なくとも40本)の幅(繊維の短径)を読み取る。こうして上記のような電子顕微鏡画像を少なくとも3組以上観察し、少なくとも40本×3組(すなわち、少なくとも120本)の繊維幅を読み取る。このように読み取った繊維幅を平均して平均繊維幅を求める。
微細繊維状セルロースの重合度は50〜1500であることが好ましく、100〜1000であることがより好ましく、150〜500であることがさらに好ましい。微細繊維状セルロースの重合度が前記下限値以上であれば、より有用な微細繊維状セルロースとなり、前記上限値以下であると、微細繊維状セルロース凝集物を分散媒に再分散させた際の再分散性が高くなる。
微細繊維状セルロースの重合度は、以下の方法により測定する。
微細繊維状セルロース(遠心分離後の上澄み液、濃度約0.5質量%)をポリ四フッ化エチレン製シャーレ上に展開し、60℃にて乾燥して、ドライシートを得る。得られたドライシートを分散媒に分散させて、Tappi T230に従い、パルプ粘度を測定する。また、前記分散媒のみで粘度を測定してブランクテストを行い、ブランク粘度を測定する。パルプ粘度をブランク粘度で割った数値から1を引いて比粘度(ηsp)とし、下記式を用いて、固有粘度([η])を算出する。
[η]=ηsp/(c(1+0.28×ηsp))
式中のcは、粘度測定時のセルロース含有量を示す。
そして、下記式から本実施形態における重合度(DP)を算出する。
DP=1.75×[η]
この重合度は、粘度法によって測定された平均重合度であることから、「粘度平均重合度」と称されることもある。
本実施形態において、微細繊維状セルロースの長径を長さと定義する。微細繊維状セルロースの平均繊維長は、0.1μm〜5μmが好ましい。平均繊維長が前記下限値以上であれば、微細繊維状セルロースを樹脂に配合した際の強度向上効果が充分に得られる。平均繊維長が前記上限値以下であれば、微細繊維状セルロースを樹脂に配合した際の混合性がより良好となる。繊維長は、前記平均繊維幅を測定する際に使用した電子顕微鏡観察画像を解析することにより求めることができる。すなわち、上記のような電子顕微鏡観察画像に対して、直線Xに交錯する繊維、直線Yに交錯する繊維の各々について少なくとも20本(すなわち、合計が少なくとも40本)の繊維長を読み取る。こうして上記のような電子顕微鏡画像を少なくとも3組以上観察し、少なくとも40本×3組(すなわち、少なくとも120本)の繊維長を読み取る。このように読み取った繊維長を平均して平均繊維長を求める。
微細繊維状セルロースを、透明基板等の強度が求められる用途に適用する場合には、繊維長は長め(具体的には500nm〜4μm)であることが好ましく、エマルション樹脂に配合する場合には、繊維長は短め(具体的には200nm〜2μm)であることが好ましい。
微細繊維状セルロースは、アニオン基を有して表面電荷が負となっていてもよい。微細繊維状セルロースは、カチオン基を有して表面電荷が正となっていてもよい。また、微細繊維状セルロースは、アニオン基及びカチオン基の両方を有していてもよく、この場合、微細繊維状セルロースの表面電荷は正、または負であっても良い。微細繊維状セルロースがアニオン基及びカチオン基の両方を有している場合、微細繊維状セルロースの表面電荷が正であるか負であるかは、アニオン基及びカチオン基それぞれの含有量や、アニオン及びカチオン基の価数に基づいて判断することができる。なお、微細繊維状セルロースがアニオン基及びカチオン基の両方を有している場合であっても、後述するアニオン基またはカチオン基の含有量測定方法により、それぞれの含有量を測定することができる。
微細繊維状セルロースがアニオン基またはカチオン基を有する場合、その含有量は、0.06mmol/g〜2.0mmol/gであることが好ましく、0.1mmol/g〜1.0mmol/gであることがより好ましく、0.2mmol/g〜0.6mmol/gであることがさらに好ましい。カチオン基またはアニオン基の含有量が前記範囲であれば、微細繊維状セルロースの水和性が高くなり過ぎず、スラリー化した際の粘度が低くなる。アニオン基またはカチオン基の含有量が前記上限値を超えると、水和性が高くなりすぎて微細繊維状セルロースが溶解するおそれがある。
アニオン基の含有量は、米国TAPPIの「Test Method T237 cm−08(2008):Carboxyl Content of pulp」の方法を用いて求める。アニオン基の含有量をより広範囲まで測定可能にするために、前記試験方法に用いる試験液のうち、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)/塩化ナトリウム(NaCl)=0.84g/5.85gを蒸留水で1000mlに溶解希釈した試験液について、前記試験液の濃度が実質的に4倍となるように、水酸化ナトリウム1.60gに変更した以外は、TAPPI T237 cm−08(2008)に準じる。また、アニオン基を導入した場合には、アニオン基導入前後のセルロース繊維における測定値の差を実質的なアニオン基含有量とする。なお、測定試料とする絶乾セルロース繊維は、加熱乾燥の際の加熱によって起こる可能性があるセルロースの変質を避けるため、凍結乾燥により得たものを使用する。
このアニオン基含有量測定方法は、1価のアニオン基(カルボキシ基)についての測定方法であることから、定量対象のアニオン基が多価の場合には、前記1価のアニオン基含有量として得られた値を、酸価数で除した数値をアニオン基含有量とする。
これらアンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウムを有する基はアンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウム部分以外にセルロースの水酸基と反応する基を有していることが好ましい。セルロースの水酸基と反応する基としては、その水酸基と反応して共有結合を形成する反応基であれば特に限定はなく、例えば、エポキシ基又はそれを形成しうるハロヒドリン基等、活性ハロゲン基、活性ビニル基、メチロール基等が挙げられる。これらのうち、反応性の点から、エポキシ基またはそれを形成しうるハロヒドリン基が好ましい。
アンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウムを有する基は、これらオニウムを有する化合物をセルロースと反応させることにより、セルロースに導入することができる。オニウムを有する化合物としては、例えば、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどの様なグリシジルトリアルキルアンモニウムハライドあるいはそのハロヒドリン型が挙げられる。
カチオン化剤処理を施したパルプスラリーを絶乾質量換算で0.5g取り、イオン交換水で1質量%濃度(有姿50g)に希釈する。これに30質量%水酸化ナトリウム溶液0.67gを少量ずつ、充分に撹拌しながら加え2時間静置する。パルプを濾過し、濾紙上のパルプをイオン交換水で洗浄する。濾液のpHが8.5以下になることをもって洗浄の終点とする。
100mlスクリュー瓶に濾紙上のパルプを全量移し、サンプル中の水分量を測定するために、このときのパルプの質量を精秤し、記録する。精秤したパルプに0.05N塩酸溶液100gを加え、スクリュー瓶に蓋をして、激しく振り混ぜた後、1時間静置する。
充分に乾燥したグラスフィルターを用いて、スクリュー瓶中のスラリーを濾過し、濾液を受器に受ける。得られた濾液3gを100mlビーカーに移し、メチルレッド指示薬2、3滴を加え、0.01N水酸化ナトリウム溶液で滴定を行う。水酸化ナトリウム溶液を滴下していき、溶液の色が当初のピンク色からオレンジ色、黄色へと変化したところを滴定の終点とする。
カチオン性基の導入量は、数1に示す計算式に従って算出する。なお、滴定のブランク値は、0.05N塩酸溶液3gを滴定して求める。
微細繊維状セルロース凝集物に含まれる液状化合物は、微細繊維状セルロースを製造する際に使用する分散媒(第1の分散媒)である。また、微細繊維状セルロースを再製造する際に使用する分散媒(第2の分散媒)である。微細繊維状セルロース凝集物に含まれる液状化合物は、水又は有機溶剤の少なくとも一方からなる。
液状化合物としては、取り扱い性やコストの点から、水のみが好ましいが、有機溶剤を水と併用しても構わないし、有機溶剤を単独で使用しても構わない。有機溶剤としては、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル系溶剤(ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、アセテート系溶剤(酢酸エチル等)等の極性溶剤が好ましい。
液状化合物の含有量は、微細繊維状セルロース凝集物全体の質量に対して94質量%以下であることが好ましい。
微細繊維状セルロース凝集物には、後述する微細繊維状セルロース凝集物の製造方法で使用する、多価金属の塩を含む凝集剤が含まれてもよい。
具体的な凝集剤としては、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等が挙げられる。これらの凝集剤のうちの1種が微細繊維状セルロース凝集物に含まれてもよいし、2種以上が含まれてもよい。
多価金属の塩を含有する凝集剤の中でも、凝集性とコストの点から、微細繊維状セルロースの表面電荷が負の場合には、硫酸アルミニウムが好ましく、微細繊維状セルロースの表面電荷が正の場合には、リン酸水素二ナトリウムが好ましい。
微細繊維状セルロース凝集物に多価金属の塩を含む凝集剤が含まれる場合、その含有量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して0.5質量部〜300質量部であることが好ましく、1.0質量部〜50質量部であることがより好ましく、2質量部〜30質量部であることがさらに好ましい。凝集剤含有量が前記下限値以上のものは、短時間に得られる。しかし、前記上限値を超えて添加されても凝集性はほとんど向上しないので、無益である。
微細繊維状セルロースの表面電荷が負である場合(微細繊維状セルロースがアニオン性である場合)には、微細繊維状セルロース凝集物には、後述する微細繊維状セルロース凝集物の製造方法で使用する酸が含まれてもよい。酸は、無機酸および有機酸のいずれであってもよい。
無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。
有機酸としては、ギ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、アジピン酸、セバシン酸、ステアリン酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、グルコン酸等が挙げられる。これらの酸のうちの1種が微細繊維状セルロース凝集物に含まれてもよいし、2種以上が含まれてもよい。
酸の中でも、凝集性とコストの点から、硫酸が好ましい。
微細繊維状セルロース凝集物に酸が含まれる場合、そのpHは4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、3.2以下であることがさらに好ましい。ここで、pHは23℃での値である。
微細繊維状セルロース凝集物のpHが前記上限値以下のものは、短時間に得られる。また、微細繊維状セルロース凝集物のpHが前記上限値以下であれば、微細繊維状セルロース凝集物を分散媒に再分散させた際の微細繊維状セルロースの再分散性を向上させることができる。
微細繊維状セルロース凝集物のpHは1.0以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましい。い。実用面からは、微細繊維状セルロース凝集物のpHを前記下限値未満にすることは困難である。
微細繊維状セルロースの表面電荷が負である場合(微細繊維状セルロースがアニオン性である場合)には、微細繊維状セルロース凝集物には、カチオン性界面活性剤が含まれてもよい。
カチオン性界面活性剤の種類としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アシルアミノエチルジエチルアンモニウム塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、アルキルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルピリジニウム硫酸塩、ステアラミドメチルピリジニウム塩、アルキルキノリニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、脂肪酸ポリエチレンポリアミド、アシルアミノエチルピリジニウム塩、アシルコラミノホルミルメチルピリジニウム塩などの第4級アンモニウム塩、ステアロオキシメチルピリジニウム塩、脂肪酸トリエタノールアミン、脂肪酸トリエタノールアミンギ酸塩、トリオキシエチレン脂肪酸トリエタノールアミン、セチルオキシメチルピリジニウム塩、p−イソオクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩などのエステル結合アミンやエーテル結合第4級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−アセチルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン、2−アルキル−4−メチル−4−ヒドロキシメチルオキサゾリンなどの複素還アミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、N−アルキルプロピレンジアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミン、N−アルキルポリエチレンポリアミンジメチル硫酸塩、アルキルビグアニド、長鎖アミンオキシドなどのアミン誘導体などが挙げられる。これらのカチオン性界面活性剤のうちの1種が微細繊維状セルロース凝集物に含まれてもよいし、2種以上が含まれてもよい。
微細繊維状セルロース凝集物にカチオン性界面活性剤が含まれる場合、その含有量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して0.5質量部〜300質量部であることが好ましく、1.0質量部〜50質量部であることがより好ましく、2質量部〜30質量部であることがさらに好ましい。界面活性剤含有量が前記下限値以上のものは、短時間に得られる。しかし、前記上限値を超えて添加されても凝集性はほとんど向上しないので、無益である。
微細繊維状セルロースの表面電荷が負である場合(微細繊維状セルロースがアニオン性である場合)には、微細繊維状セルロース凝集物には、カチオン性高分子凝集剤が含まれてもよい。
カチオン性高分子凝集剤の種類としては、アクリルアミドとジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド又はこれらの塩もしくは四級化物等のカチオン性単量体との共重合物あるいはこれらカチオン性単量体の単独重合物又は共重合物などが挙げられる。これらのカチオン性高分子凝集剤のうちの1種が微細繊維状セルロース凝集物に含まれてもよいし、2種以上が含まれてもよい。
微細繊維状セルロース凝集物にカチオン性高分子凝集剤が含まれる場合、その含有量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して0.5質量部〜300質量部であることが好ましく、1.0質量部〜50質量部であることがより好ましく、2質量部〜30質量部であることがさらに好ましい。高分子凝集剤含有量が前記下限値以上のものは、短時間に得られる。しかし、前記上限値を超えて添加されても凝集性はほとんど向上しないので、無益である。
微細繊維状セルロースの表面電荷が正である場合(微細繊維状セルロースがカチオン性である場合)には、微細繊維状セルロース凝集物には、アルカリが含まれてもよい。アルカリは無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。
無機アルカリ化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
有機アルカリ化合物としては、アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等が挙げられる。
上記アルカリ化合物は1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。アルカリの中でも凝集性とコストの観点から、水酸化ナトリウムが好ましい。
微細繊維状セルロース凝集物にアルカリが含まれる場合、そのpHは10.0以上であることが好ましく、12.0以上であることがより好ましい。ここで、pHは23℃での値である。微細繊維状セルロース凝集物のpHが前記上限値以上のものは、短時間に得られる。
微細繊維状セルロース凝集物のpHは14.0以下であることが好ましく、13.0以下であることがより好ましい。実用面からは、微細繊維状セルロース凝集物のpHを前記上限値超にすることは困難である。
微細繊維状セルロースの表面電荷が正である場合(微細繊維状セルロースがカチオン性である場合)には、微細繊維状セルロース凝集物には、アニオン性界面活性剤が含まれてもよい。
アニオン性界面活性剤の種類としては、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ラウリル酸ナトリウム、トデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンジアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤のうちの1種が微細繊維状セルロース凝集物に含まれてもよいし、2種以上が含まれてもよい。
微細繊維状セルロース凝集物にアニオン性界面活性剤が含まれる場合、その含有量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して0.5質量部〜300質量部であることが好ましく、1.0質量部〜50質量部であることがより好ましく、2質量部〜30質量部であることがさらに好ましい。界面活性剤含有量が前記下限値以上のものは、短時間に得られる。しかし、前記上限値を超えて添加されても凝集性はほとんど向上しないので、無益である。
微細繊維状セルロースの表面電荷が正である場合(微細繊維状セルロースがカチオン性である場合)には、微細繊維状セルロース凝集物には、後述する微細繊維状セルロース含有物の製造方法で使用するアニオン性高分子凝集剤が含まれてもよい。アニオン性高分子凝集剤の種類としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸又はそれらのアルカリ金属塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミドの加水分解物、アクリロイルアミノ−2−メチルプロピルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸又はそれらの塩等のビニルスルホン酸類と(メタ)アクリル酸又はそれらのアルカリ金属塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合体、カルボキシメチルセルロ−ス、カルボキシメチルスタ−チ、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらのアニオン性高分子凝集剤のうちの1種が微細繊維状セルロース凝集物に含まれてもよいし、2種以上が含まれてもよい。
微細繊維状セルロース凝集物にアニオン性高分子凝集剤が含まれる場合、その含有量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して0.5質量部〜300質量部であることが好ましく、1.0質量部〜50質量部であることがより好ましく、2質量部〜30質量部であることがさらに好ましい。高分子凝集剤含有量が前記下限値以上のものは、短時間に得られる。しかし、前記上限値を超えて添加されても凝集性はほとんど向上しないので、無益である。
微細繊維状セルロースの表面電荷の正負に関わらず、微細繊維状セルロース凝集物には、セルロースの可塑剤が含まれてもよい。前記微細繊維状セルロース凝集物に可塑剤が含まれると、濃縮工程における微細繊維状セルロース同士の水素結合を阻害できる。このため、濃縮時の固形分濃度を高めた後においても再分散工程における分散が容易となる。
可塑剤の種類としては、例えば、糖、糖アルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ブタントリオール、シクロブタンジオール、ブタンテトラオール、シクロブタンテトラオール、ペンタンジオール、シクロペンタンジオール、ペンタントリオール、ペンタンテトラオール、シクロペンタントリオール、ハイドロキノンなどの多価アルコールやエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族アミン類、尿素などの尿素系化合物が挙げられる。これらの可塑剤は2種以上含有してもかまわない。
微細繊維状セルロース凝集物に可塑剤が含まれる場合、その含有量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して0.5質量部〜10000質量部であることが好ましく、1.0質量部〜8000質量部であることがより好ましく、2質量部〜5000質量部であることがさらに好ましい。可塑剤含有量が前記下限値以上のものは、濃縮後の再分散性が良好である。しかし、前記上限値を超えて添加されても再分散時の分散性はほとんど向上しないので、無益である。
微細繊維状セルロース凝集物には、エマルション樹脂が含まれてもよい。前記微細繊維状セルロース凝集物にエマルション樹脂が含まれると、微細繊維状セルロース凝集物から得た微細繊維状セルロース分散液にエマルション樹脂を混ぜた際に凝集物が形成されにくくなる。そのため、微細繊維状セルロースとエマルション樹脂との複合材料を容易に製造できる。
ここで、エマルション樹脂とは、分散媒中で乳化した、粒子径が0.001μm〜10μmの天然樹脂あるいは合成樹脂の粒子である。エマルション樹脂を構成する樹脂の種類としては特に限定されないが、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の前駆体、およびこれらを構成するモノマーやオリゴマー等の樹脂エマルション、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げられる。また、後乳化法によってエマルション化したポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等であってもよい。これらのエマルション樹脂は2種類以上含有してもかまわない。
微細繊維状セルロース凝集物には、必要に応じて、防腐剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが含まれてもよい。
上記の微細繊維状セルロース凝集物は、微細繊維状セルロース及び分散媒としての液状化合物を含有するスラリー状の微細繊維状セルロース分散液を濃縮する濃縮工程を有する製造方法により製造される。
濃縮工程に供される微細繊維状セルロース分散液(第1の微細繊維状セルロース分散液)は、微細繊維状セルロースの原料(以下、「セルロース原料」という。)から、化学処理工程と解繊工程とを有する調製方法によって調製される。
セルロース原料としては、セルロースを含むものであり、製紙用パルプ、コットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻、麦わら、バガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロースなどが挙げられる。これらの中でも、入手のしやすさという点で、製紙用パルプが好ましい。製紙用パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ(晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(LOKP)など)、針葉樹クラフトパルプ(晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)など)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。これらの中でも、より入手しやすいことから、クラフトパルプ、脱墨パルプ、サルファイトパルプが好ましい。
セルロース原料は1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
化学処理工程は、セルロース原料に化学的処理を施す工程である。化学的処理は下記工程(a)〜工程(g)のうちの少なくとも1種である。
工程(a)は、カルボン酸系化合物による処理工程である。工程(b)は、リン原子を含むオキソ酸またはその塩による処理工程である。工程(c)は、オゾンによる処理工程である。工程(d)は、酵素による処理工程である。工程(e)は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(以下、「TEMPO」と表記する。)による処理工程である。工程(f)は、硫酸による処理工程である。工程(g)は、カチオン化剤処理である。
カルボン酸系化合物による処理では、セルロース分子が有するヒドロキシ基と、カルボン酸系化合物とが脱水反応して、極性基(−COO−)を形成する。これにより、セルロース繊維間の結合力が弱まり、解繊性が向上する。
セルロース原料をカルボン酸系化合物により処理する方法としては、セルロース原料にガス化したカルボン酸系化合物を混合する方法、セルロース原料の分散液にカルボン酸系化合物を添加する方法等が挙げられる。これらのうち、工程が簡便で且つカルボキシ基導入の効率が高くなることから、セルロース原料にガス化したカルボン酸系化合物を混合する方法が好ましい。カルボン酸系化合物をガス化する方法としては、カルボン酸系化合物を加熱する方法が挙げられる。
2つのカルボキシ基を有する化合物としては、プロパン二酸(マロン酸)、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、2−メチルプロパン二酸、2−メチルブタン二酸、2−メチルペンタン二酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2−ブテン二酸(マレイン酸、フマル酸)、2−ペンテン二酸、2,4−ヘキサジエン二酸、2−メチル−2−ブテン二酸、2−メチル−2ペンテン二酸、2−メチリデンブタン二酸(イタコン酸)、ベンゼン−1,2−ジカルボン酸(フタル酸)、ベンゼン−1,3−ジカルボン酸(イソフタル酸)、ベンゼン−1,4−ジカルボン酸(テレフタル酸)、エタン二酸(シュウ酸)等のジカルボン酸化合物が挙げられる。
2つのカルボキシ基を有する化合物の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸、無水ピロメリット酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸化合物や複数のカルボキシ基を含む化合物の酸無水物が挙げられる。
2つのカルボキシ基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては、ジメチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等の、カルボキシ基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が置換基(例えば、アルキル基、フェニル基等)で置換されたものが挙げられる。
これらのうち、工業的に適用しやすく、また、ガス化しやすいことから、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸が好ましい。
さらに、処理の際に水が含まれている場合には、80℃〜200℃にすることが好ましく、100℃〜170℃にすることがより好ましい。
本処理時間は、10分間〜5時間であることが好ましい。
アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、処理したセルロースを浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。無機アルカリ化合物としては、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩またはアルカリ土類金属のリン酸塩が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられ、アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウムが挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。アルカリ土類金属の炭酸塩としては炭酸カルシウムなどが挙げられる。
アルカリ金属のリン酸塩としてはリン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸水素2ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属のリン酸塩としてはリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
有機アルカリ化合物としては、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族アンモニウム、芳香族アンモニウム、複素環式化合物およびその水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
例えば、アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム等が挙げられる。
上記アルカリ化合物は1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液およびアンモニア水溶液が特に好ましい。
リン原子を含むオキソ酸(以下、「リンオキソ酸」という。)またはその塩による処理では、セルロース分子が有するヒドロキシ基と、少なくとも(HPO4)2−を有するリンオキソ酸またはその塩とが脱水反応して、下記反応式(A)のように、極性基(−O−PO3 2−)を形成する。これにより、セルロース繊維間の結合力が弱まり、解繊性が向上する。
−OH + HPO4 2− → −O−PO3 2− + H2O (A)
リンオキソ酸の塩としては、リン酸、メタリン酸、ポリリン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アルカリ塩などが挙げられる。
リンオキソ酸またはその塩は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記の中でも、低コストで扱い易く、リン酸基の導入効率が高まることからリン酸または/およびリン酸のナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。
本処理時間は、10分間〜5時間であることが好ましい。
オゾンによる処理では、セルロースの一部の水酸基がカルボニル基やカルボキシ基に換わる。これにより、セルロース繊維間の結合力が弱まり、解繊性が向上する。
オゾンは、空気、酸素ガス、酸素添加空気等の酸素含有気体を、公知のオゾン発生装置に供給することにより発生させることができる。
オゾンが含まれる気体中のオゾン濃度は、250g/m3以上であると、爆発するおそれがあるため、250g/m3未満である必要がある。しかし、濃度が低いと、オゾン使用量が増えるため、50g/m3〜215g/m3であることが好ましい。オゾン濃度が前記下限値以上であれば、オゾンの取り扱いが容易であり、しかも解繊工程での微細繊維状セルロースの収率の向上効果がより高くなる。
また、オゾン処理の後には、カルボン酸系化合物による処理と同様に、アルカリ処理を施してもよい。
酵素による処理では、酵素によってセルロースを分解することができる。
酵素処理で使用するセルロース分解酵素は、セロビオヒドロラーゼ活性、エンドグルカナーゼ活性、ベータグルコシダーゼ活性を有する、所謂セルラーゼと総称される酵素である。
酵素処理で使用するセルロース分解酵素は、各種セルロース分解酵素を、夫々の活性を有する酵素を適宜の量で混合して調製してもよいが、市販のセルラーゼ製剤を用いてもよい。市販されているセルラーゼ製剤には、上記した各種のセルラーゼ活性を有すると同時に、ヘミセルラーゼ活性も有しているものが多い。
市販のセルラーゼ製剤としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム属(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、トラメテス属(Trametes)、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属などに由来するセルラーゼ製剤がある。このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、全て商品名で、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)等が挙げられる。
また、酵素処理の際の分散液の温度は、使用する酵素の活性が高くなる範囲に保つことが好ましい。例えば、トリコデルマ起源の市販の酵素の場合、温度は40℃〜60℃が好ましい。温度が前記下限値未満では酵素活性が低下して処理時間が長くなり、前記上限値を超えると酵素が失活するおそれがある。
酵素処理の処理時間は10分〜24時間の範囲が好ましい。10分未満では酵素処理の効果が発現しにくい。24時間を超えると酵素によりセルロース繊維の分解が進みすぎて、得られる微細繊維の平均繊維長が短くなりすぎるおそれがある。
TEMPOによる処理では、セルロース原料に対し、TEMPOおよびハロゲン化アルカリの存在下で酸化剤を反応させて、セルロースの水酸基の一部をカルボキシ基に換える(化学修飾する)。これにより、セルロース繊維間の結合力が弱まり、解繊性が向上する。
酸化剤についても特に制約されるものではなく、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、亜臭素酸ナトリウム等を適宜選択して使用することができる。
また、TEMPOによる処理を均一に行うためには、各種攪拌装置により攪拌しながら処理することが好ましい。
硫酸による処理は、具体的には、硫酸水溶液にセルロース原料を添加し、加熱する処理である。硫酸によってセルロースを処理することにより、加水分解が生じる。
硫酸水溶液の濃度としては、0.01質量%〜20質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましい。硫酸水溶液の濃度が前記下限値以上であれば、充分にセルロースを分解でき、前記上限値以下であれば、取り扱い性に優れる。
硫酸処理の際の加熱温度は、10℃〜120℃であることが好ましく、20℃〜80℃であることがより好ましい。加熱温度が前記下限値以上であれば、セルロースの分解反応を容易に制御できる。加熱においては、硫酸水溶液における水の消失を防ぐために、蒸発した水分を凝縮させて還流することが好ましい。
本処理時間は、10分間〜5時間であることが好ましい。
カチオン化剤処理は、四級アンモニウム基及びセルロースの水酸基と反応する基を有するカチオン化剤を用いる。カチオン化剤の具体例としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどの様なグリシジルトリアルキルアンモニウムハライド或いはそのハロヒドリン型が挙げられる。
カチオン化剤を、触媒である水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)の存在下で反応させることで、セルロースはカチオン化し、カチオン同士の電気的な反発が強まる。これにより、セルロース繊維間の結合力が弱まり、解繊性が向上する。
カチオン化剤の使用量は特に制約されるものではないが、セルロース原料の固形分100質量部に対して10質量部〜1000質量部であることが好ましい。カチオン化剤の使用量が前記下限値以上であれば、解繊工程での微細繊維状セルロースの収率向上効果がより高くなる。しかし、前記上限値を超えると、解繊工程での微細繊維状セルロースの収率向上効果が頭打ちとなることがある。
カチオン化剤処理における処理温度は、30℃〜90℃の範囲であることが好ましく、また処理時間は、1時間〜3時間であることが好ましい。
解繊工程は、化学処理工程にて処理したセルロースを分散媒(液状化合物、第1の分散媒)中で微細化して解繊して、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得る工程である。
微細化する前のセルロースは、分散媒で希釈されて、セルロース含有量が微細繊維状セルロース分散液に対して0.1質量%〜1.0質量%の分散液にされることが好ましい。セルロース含有量は、微細繊維状セルロース分散液に対して0.2質量%〜5質量%であることがより好ましく、0.3質量%〜3質量%であることがさらに好ましい。セルロース含有量が前記下限値以上であれば、解繊効率が高くなり、前記上限値以下であれば、解繊処理中の粘度の上昇を防ぐことができる。
濃縮工程における濃縮方法としては、凝集工程と濾過工程を有する方法(以下、「第1の濃縮法」という。)、加熱工程を有する方法(以下、「第2の濃縮法」という。)が挙げられる。再分散性が高い微細繊維状セルロース凝集物が容易に得られる点では、第1の濃縮法が好ましい。
また、濃縮工程では、得られる微細繊維状セルロース凝集物における微細繊維状セルロースの含有量を微細繊維状セルロース分散液に対して6質量%〜80質量%にすることが好ましく、10質量%〜50質量%にすることがより好ましく、12質量%〜30質量%にすることがさらに好ましい。濃縮後の微細繊維状セルロース分散液に対する微細繊維状セルロースの含有量を前記下限値以上にすれば、輸送コスト及び保管コストをより削減でき、前記上限値以下であれば、微細繊維状セルロース凝集物を容易に且つ短時間に製造できる。
第1の濃縮法は、凝集工程と濾過工程を有する方法を含む方法である。第1の濃縮法における凝集工程は、上記微細繊維状セルロース分散液に含まれる微細繊維状セルロースを凝集させる工程である。
微細繊維状セルロースを凝集させる方法としては、微細繊維状セルロースの表面電荷が負の場合には、微細繊維状セルロース分散液に、多価金属の塩を含む凝集剤、カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子凝集剤及び酸の少なくとも一種を添加する方法が挙げられる。微細繊維状セルロースの表面電荷が正の場合には、微細繊維状セルロース分散液に、多価金属の塩を含む凝集剤、アニオン性界面活性剤、アニオン性高分子凝集剤及びアルカリの少なくとも一種を添加する方法が挙げられる。
凝集剤の中でも、凝集性とコストの点から、微細繊維状セルロースの表面電荷が負の場合には、硫酸アルミニウムが好ましく、微細繊維状セルロースの表面電荷が正の場合には、リン酸水素二ナトリウムが好ましい。
多価金属の塩を含む凝集剤を添加する場合、その添加量は、微細繊維状セルロース100質量部に対して0.5質量部〜300質量部であることが好ましく、1.0質量部〜50質量部であることがより好ましく、2質量部〜30質量部であることがさらに好ましい。凝集剤添加量が前記下限値以上であれば、微細繊維状セルロースを容易に凝集させることができる。しかし、前記上限値を超えて添加しても凝集性はほとんど向上しないので、無益である。
これらのカチオン性界面活性剤のうちの1種が微細繊維状セルロース凝集物に含まれてもよいし、2種以上が含まれてもよい。
酸の中でも、凝集性とコストの点から、硫酸が好ましい。
微細繊維状セルロース凝集物のpHは1.0以上にすることが好ましく、1.5以上にすることがより好ましい。実用面からは、微細繊維状セルロース凝集物のpHを前記下限値未満にすることは困難である。
また、酸は上記多価金属の塩を含む凝集剤、カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子と共に微細繊維状セルロース分散液に添加されても構わない。
これらのアニオン性界面活性剤のうちの1種が微細繊維状セルロース凝集物に含まれてもよいし、2種以上が含まれてもよい。
無機アルカリ化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
有機アルカリ化合物としては、アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等が挙げられる。
上記アルカリ化合物は1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。アルカリの中でも凝集性とコストの観点から、水酸化ナトリウムが好ましい。
微細繊維状セルロース凝集物のpHは14.0以下にすることが好ましく、13.0以下にすることがより好ましい。実用面からは、微細繊維状セルロース凝集物のpHを前記上限値超にすることは困難である。
また、アルカリは上記多価金属の塩を含む凝集剤、アニオン性界面活性剤、アニオン性高分子凝集剤と共に微細繊維状セルロース分散液に添加されても構わない。
濾過工程における濾過方法としては、濾紙、濾布、樹脂製フィルタ等の濾材を用いた公知の濾過方法を適用することができる。
濾材の開口径は、分散媒の分離性と濾過時間の点から、100nm〜3000nmであることが好ましく、200nm〜1000nmであることがより好ましい。
第2の濃縮法における加熱工程は、微細繊維状セルロース分散液を加熱し、分散媒を揮発させて除去する工程である。
加熱方法としては、上部が開放された容器に微細繊維状セルロース分散液を充填し、その容器を加熱する方法、上部が開放された樋を加熱し、その樋に微細繊維状セルロース分散液を流す方法、微細繊維状セルロース分散液を直接加熱する方法等が挙げられる。
加熱温度は40℃〜120℃とすることが好ましく、60℃〜105℃とすることがより好ましい。加熱温度を前記下限値以上とすれば、分散媒を速やかに揮発させることができ、前記上限値以下であれば、加熱に要するコストの抑制及びセルロースの熱による分解を抑制できる。
上記微細繊維状セルロース凝集物を用いて微細繊維状セルロース分散液(第2の微細繊維状セルロース分散液)を再製造することができる。
すなわち、微細繊維状セルロース分散液の再製造方法は、微細繊維状セルロース凝集物に分散媒(第2の分散媒)に添加して微細繊維状セルロース含有液を調製し、前記微細繊維状セルロース含有液に分散処理を施す再分散工程を有する。
言い換えれば、微細繊維状セルロース分散液を再製造するとは、上記微細繊維状セルロース凝集物に分散媒を添加することで微細繊維状セルロース含有液を調製する工程と、この微細繊維状セルロース含有液中の細繊維状セルロースを分散させる工程とを含む再分散工程を有する微細繊維状セルロース分散液製造方法のことである。
微細繊維状セルロース含有液を調製する工程において微細繊維状セルロース凝集物に添加する分散媒としては、微細繊維状セルロース凝集物に含まれる液状化合物と同様のものを使用することができる。ただし、分散媒は液状化合物と同一である必要はない。
再分散工程の微細繊維状セルロース含有液を調製する工程では、微細繊維状セルロース含有液の微細繊維状セルロース含有量を微細繊維状セルロース含有液に対して0.1質量%〜10質量%にすることが好ましく、0.2質量%〜3質量%にすることがより好ましい。微細繊維状セルロース含有液の微細繊維状セルロース含有量が前記下限値以上であれば、微細繊維状セルロースの分散安定性が高くなり、前記上限値以下であれば、微細繊維状セルロースの粘性が高くなりすぎず、ハンドリングが比較的容易になる。
微細繊維状セルロース含有液の微細繊維状セルロース含有量は、分散媒の添加量によって調整でき、分散媒の添加量を多くする程、微細繊維状セルロース含有量が低くなる。
再分散工程において添加するアルカリは、上記濃縮工程でのアルカリ処理で使用されるアルカリと同様のものである。また、酸についても上記濃縮工程で使用される酸と同様のものである。
なお、酸又はアルカリの微細繊維状セルロース含有液への添加は、微細繊維状セルロース含有液を攪拌しながら行ってもよい。
微細繊維状セルロースの表面電荷が正の場合には、酸の添加によって、微細繊維状セルロース含有液のpH(23℃)を4〜7の範囲内にすることが好ましい。上記範囲内であれば微細繊維状セルロースの再分散性がより高くなる。
微細繊維状セルロースの含有量が高い微細繊維状セルロース含有液においても微細繊維状セルロースを容易に再分散できる点では、分散装置として超音波分散機を用いることが好ましい。
微細繊維状セルロース分散液の微細繊維状セルロース含有量は、分散媒の添加量によって調整でき、分散媒の添加量を多くする程、微細繊維状セルロース含有量が低くなる。
(化学処理工程)
セルロース原料として、カルボキシ基含有量0.06mmol/g、固形分濃度30質量%(水分70質量%)、絶乾質量換算で20gの広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)を用意した。上記LBKPを容器内に収容し、その容器にオゾン濃度200g/m3のオゾン・酸素混合気体を30L導入し、25℃で2分間振とうした。このときのオゾン添加率はパルプ乾燥質量に対して30質量%であった。6時間静置した後、容器内のオゾンおよび空気を除去してオゾン酸化処理を終了した。処理終了後、イオン交換水で懸濁洗浄し、洗浄水のpHが6以上になるまで洗浄を繰り返した。その後、濾紙を用いて減圧濾過し、固形分濃度20質量%のオゾン酸化パルプを得た。
次いで、オゾン酸化パルプ100g(絶乾質量換算で20g)に対し、塩酸によりpHを4〜5に調整した0.3質量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液を200g(セルロース繊維の絶乾質量に対して、亜塩素酸ナトリウムとして3質量%相当)添加し、70℃で3時間反応させて追酸化処理を施した。追酸化処理終了後、イオン交換水で懸濁洗浄し、洗浄水のpHが6以上になるまで洗浄を繰り返して、酸化処理パルプを得た。
上記酸化処理パルプ(絶乾質量換算で20g)にイオン交換水を添加して、固形分濃度2質量%の分散液を調製した。この分散液に水酸化ナトリウムを、水酸化ナトリウム濃度が0.3質量%になるよう添加し、5分間攪拌した後、室温で30分静置した。処理終了後、イオン交換水で懸濁洗浄し、洗浄水のpHが8以下になるまで洗浄を繰り返して、アルカリ処理パルプを含む分散液を得た。
次いで、前記アルカリ処理パルプを含む分散液にイオン交換水を加えて、セルロース繊維濃度0.5質量%のセルロース繊維水分散液を調製した。前記セルロース繊維水分散液を解繊処理装置(エム・テクニック社製、クレアミックス−2.2S)を用いて、21500回転/分の条件で30分間解繊処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。
得られた微細繊維状セルロース分散液を12,000G×10分間遠心分離(遠心分離機:コクサン社製「H−200NR」)し、上澄みを回収し、その上澄みにイオン交換水を添加して、セルロース含有量が0.2質量%の上澄み液(A)を得た。
上澄み液(A)110.5gを攪拌しながら4Nの硫酸水溶液(無機酸)を添加し、微細繊維状セルロースを凝集させて、pH2.8のゲル状凝集物を得た。
焼結サイズが30μm〜50μmのブフナーロート型ガラスフィルター(アドバンテック株式会社製KG−90)上に予めイソプロピルアルコールに浸漬していたPTFEメンブレンフィルター(ADVANTEC社、孔径0.5μm)を載せて濾過瓶上に設置した。その際の濾過面積は0.00441m2であった。
次いで、得られたゲル状凝集物を大気圧下、23℃で前記メンブレンフィルター上に載せ、アスピレーターを用いて吸引濾過(吸引圧力0.08MPa)し、ゲル状凝集物を濃縮して、微細繊維状セルロース凝集物を得た。
濾過工程によって得た微細繊維状セルロース凝集物を水に添加して微細繊維状セルロース含有液を得た。その微細繊維状セルロース含有液を攪拌しながら、1Nの水酸化ナトリウムを添加してpHを11.6に調整した。このときの総質量は、凝集工程前の上澄み液(A)と同様の110.5gとした。その後、ホモミキサー(IKA社製、ULTRA−TURRAX)を用い、11000回転/分の条件で1分間再分散処理して、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
再分散工程において微細繊維状セルロース含有液に水酸化ナトリウムを添加しなかった以外は実施例1−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例1−1における凝集工程を省略し、濾過工程においてゲル状凝集物の代わりに上澄み液(A)を濃縮した以外は実施例1−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
(化学処理工程)
リン酸二水素ナトリウム二水和物1.69g、リン酸水素二ナトリウム1.21gを3.39gの水に溶解させ、リン酸系化合物の水溶液(以下、「リン酸化試薬」という。)を得た。このリン酸化試薬のpHは25℃で6.0であった。
実施例1で用いたものと同様のLBKPを含水率80質量%になるようイオン交換水で希釈し、セルロース原料分散液を得た。このセルロース原料分散液15gに前記リン酸化試薬6.29g(乾燥パルプ100質量部に対してリン元素量として20質量部)を加え、105℃の送風乾燥機(ヤマト科学株式会社 DKM400)で15分に一度混練しながら質量が恒量となるまで乾燥させた。次いで、150℃の送風乾燥機で1時間加熱処理して、セルロースにリン酸基を導入した。
次いで、リン酸基を導入したセルロースに300mlのイオン交換水を加え、攪拌しながら洗浄した後、脱水した。脱水後のパルプを300mlのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液5mlを少しずつ添加し、pHが12〜13のアルカリ処理パルプ分散液を得た。その後、このアルカリ処理パルプ分散液を脱水し、300mlのイオン交換水を加えて洗浄した。この脱水・洗浄をさらに2回繰り返した。
上記洗浄・脱水後のパルプにイオン交換水を添加した後、攪拌して、0.5質量%の分散液を調製した。この分散液を、解繊処理装置(エム・テクニック社製、クレアミックス−2.2S)を用いて、21500回転/分の条件で30分間解繊処理して、微細繊維状セルロース分散液を得た。
得られた微細繊維状セルロース分散液を12,000G×10分間遠心分離(遠心分離機:コクサン社製「H−200NR」)し、上澄みを回収し、その上澄みにイオン交換水を添加して、セルロース含有量が0.2質量%の上澄み液(B)を得た。
上澄み液(B)110.5gを攪拌しながら4Nの硫酸水溶液(無機酸)を添加し、微細繊維状セルロースを凝集させて、pH1.5のゲル状凝集物を得た。
実施例1−1における濾過工程・再分散工程と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
再分散工程において微細繊維状セルロース含有液に水酸化ナトリウムを添加しなかった以外は実施例2−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例2−1における凝集工程を省略し、濾過工程においてゲル状凝集物の代わりに上澄み液(B)を濃縮した以外は実施例2−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
(化学処理工程・解繊工程)
実施例1−1で用いたものと同様のLBKPを用い、ナイアガラビーター(容量23リットル、東西精器社製)で200分間叩解し、セルロース原料分散液(パルプ濃度2質量%)を得た。
セルロース原料分散液を脱水して濃度3質量%にし、0.1質量%硫酸でpH6に調整し、50℃になるまで水浴で温めた後、酵素optimaseCX7L(Genencor社製)をパルプ(固形分換算)に対して3質量%添加し、50℃、1時間撹拌しながら反応させて、酵素処理を施した。その後、95℃以上、20分間加熱して、酵素を失活させて、酵素処理分散液を得た。
酵素処理分散液を、セルロース含有量が1質量%における電導度が所定値以下(10μS/cm)になるまで、イオン交換水で洗浄しながら減圧濾過を行った(No.2濾紙使用、ADVANTEC社)。濾紙上の残留物をイオン交換水に入れて攪拌し、0.5質量%の分散液を調製した。その分散液を、高速回転型解繊機(エム・テクニック社製「クレアミックス」)を用いて、21,500回転、30分間微細化処理(解繊)を施して、微細繊維状セルロース分散液を得た。
得られた微細繊維状セルロース分散液を実施例1−1と同様に遠心分離し、濃度調整して、上澄み液(C)を得た。
上澄み液(C)を用い、実施例1−1における凝集工程・濾過工程・再分散工程と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
再分散工程において微細繊維状セルロース含有液に水酸化ナトリウムを添加しなかった以外は実施例3−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例3−1における凝集工程を省略し、濾過工程においてゲル状凝集物の代わりに上澄み液(C)を濃縮した以外は実施例3−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例1−1で用いたものと同様のLBKPを105℃で3時間乾燥させて水分3質量%以下の乾燥パルプを得た。次いで、乾燥パルプ4gと無水マレイン酸4g(乾燥パルプ100質量部に対して100質量部)とをオートクレーブに充填し、150℃で2時間処理した。次いで、無水マレイン酸で処理されたパルプを500mLの水で3回洗浄した後、イオン交換水を添加して490mLの無水マレイン酸処理パルプ分散液を調製した。
次いで、無水マレイン酸処理パルプ分散液を攪拌しながら、4Nの水酸化ナトリウム水溶液10mLを少しずつ添加してpHを12〜13に調整して、パルプをアルカリ処理した。その後、pHが8以下になるまで、アルカリ処理後のパルプを水で洗浄した。
次いで、アルカリ処理後のパルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度0.5質量%のアルカリ処理パルプ分散液を調製した。
得られたアルカリ処理パルプ分散液を実施例1−1と同様に解繊処理し、遠心分離し、濃度調整して、上澄み液(D)を得た。
上澄み液(D)を用い、実施例1−1における凝集工程・濾過工程・再分散工程と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
再分散工程において微細繊維状セルロース含有液に水酸化ナトリウムを添加しなかった以外は実施例4−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例4−1における凝集工程を省略し、濾過工程においてゲル状凝集物の代わりに上澄み液(D)を濃縮した以外は実施例4−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例1−1における微細繊維状セルロース分散液の遠心分離を省略し、濃縮工程において上澄み液(A)の代わりに微細繊維状セルロース分散液を濃縮した以外は実施例1−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
再分散工程において微細繊維状セルロース含有液に水酸化ナトリウムを添加しなかった以外は実施例5−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例5−1における凝集工程を省略し、濃縮工程においてゲル状凝集物の代わりに微細繊維状セルロース分散液を濃縮した以外は実施例5−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例3−1における微細繊維状セルロース分散液の遠心分離を省略し、濃縮工程において上澄み液(C)の代わりに微細繊維状セルロース分散液を濃縮した以外は実施例3−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
再分散工程において微細繊維状セルロース含有液に水酸化ナトリウムを添加しなかった以外は実施例6−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例6−1における凝集工程を省略し、濃縮工程においてゲル状凝集物の代わりに微細繊維状セルロース分散液を濃縮した以外は実施例6−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
(化学処理工程)
実施例1−1で用いたものと同様のLBKPを用い、ナイアガラビーター(容量23リットル、東西精器社製)で200分間叩解し、セルロース原料分散液(パルプ濃度2質量%)を得た。得られたパルプスラリーを遠心脱水機(株式会社コクサン製)にて2000rpm、15分条件で脱液し、パルプ濃度を25質量%にまで濃縮した。次に、回転数を800rpmに調節したIKA攪拌機に上記パルプを乾燥質量で60質量部、水酸化ナトリウムを7質量部、IPAを2352質量部、水を588質量部仕込み、30℃で30分混合攪拌した後に80℃まで昇温し、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを有効分換算で120質量部添加した。1時間反応した後に、反応物を取り出して中和、洗浄、濃縮して25質量%濃度のカチオン化パルプを得た。
次いで、前記カチオン化パルプを含む分散液にイオン交換水を加えて、セルロース繊維濃度0.5質量%のセルロース繊維水分散液を調製した。前記セルロース繊維水分散液を解繊処理装置(エム・テクニック社製、クレアミックス−2.2S)を用いて、21500回転/分の条件で30分間解繊処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。
得られた微細繊維状セルロース分散液を12,000G×10分間遠心分離(遠心分離機:コクサン社製「H−200NR」)し、上澄みを回収し、その上澄みにイオン交換水を添加して、セルロース含有量が0.2質量%の上澄み液(E)を得た。
上澄み液(E)110.5gを攪拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液(無機アルカリ)を添加し、微細繊維状セルロースを凝集させて、pH12のゲル状凝集物を得た。
焼結サイズが30μm〜50μmのブフナーロート型ガラスフィルター(アドバンテック株式会社製KG−90)上に予めイソプロピルアルコールに浸漬していたPTFEメンブレンフィルター(ADVANTEC社、孔径0.5μm)を載せて濾過瓶上に設置した。その際の濾過面積は0.00441m2であった。
次いで、得られたゲル状凝集物を大気圧下、23℃で前記メンブレンフィルター上に載せ、アスピレーターを用いて吸引濾過(吸引圧力0.08MPa)し、ゲル状凝集物を濃縮して、微細繊維状セルロース凝集物を得た。
濾過工程によって得た微細繊維状セルロース凝集物を水に添加して微細繊維状セルロース含有液を得た。その微細繊維状セルロース含有液を攪拌しながら、4Nの塩酸を添加してpHを4.0に調整した。このときの総質量は、凝集工程前の上澄み液(A)と同様の110.5gとした。その後、ホモミキサー(IKA社製、ULTRA−TURRAX)を用い、11000回転/分の条件で1分間再分散処理した。次いで、超音波分散機(ヒールッシャー社製、UP400S)を用い、Cycle1、Amplitude100%の条件で、30秒間、超音波を照射して、微細繊維状セルロースの水分散液を得た。
再分散工程において微細繊維状セルロース含有液に塩酸を添加しなかった以外は実施例7−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例7−1における凝集工程を省略し、濾過工程においてゲル状凝集物の代わりに上澄み液(E)を濃縮した以外は実施例7−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例1−1において濾過工程で得た12質量%の微細繊維状セルロース凝集物を100℃のオーブンで乾燥して、20質量%の微細繊維状セルロース凝集物を得た。この20質量%の微細繊維状セルロース凝集物を用い、実施例1における再分散工程と同様にpH調整、ホモミキサーでの処理を行った後、超音波分散機(ヒールッシャー社製、UP400S)を用い、Cycle1、Amplitude100%の条件で、30秒間、超音波を照射して、微細繊維状セルロースの水分散液を得た。
実施例1−1において濾過工程で得た12質量%の微細繊維状セルロース凝集物を100℃のオーブンで乾燥して、30質量%の微細繊維状セルロース凝集物を得た以外は実施例8と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例1−1において濾過工程で得た12質量%の微細繊維状セルロース凝集物を100℃のオーブンで乾燥して、47質量%の微細繊維状セルロース凝集物を得た以外は実施例8と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例1−1において濾過工程で得た12質量%の微細繊維状セルロース凝集物を100℃のオーブンで乾燥して、78質量%の微細繊維状セルロース凝集物を得た以外は実施例8と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例1−1の凝集工程において、4N硫酸の代わりに2質量%硫酸アルミニウム溶液をパルプの乾燥質量に対し、4質量%添加した。得られた微細繊維状セルロース凝集物を実施例8の再分散工程と同様の処理を行い、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
凝集工程において、4N硫酸の代わりに多価金属の塩を含む凝集剤であるポリ塩化アルミニウム溶液(浅田工業株式会社製Paho#2S)をAl(OH)3分換算でパルプの乾燥質量に対し、12質量%添加した以外は実施例12と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
凝集工程において、1N水酸化ナトリウムの代わりに多価金属の塩を含む凝集剤である10質量%硫酸ナトリウム溶液をパルプの乾燥質量に対し、200質量%添加した以外は実施例7−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
凝集工程において、1N水酸化ナトリウムの代わりに多価金属の塩を含む凝集剤である10質量%リン酸水素二ナトリウム溶液をパルプの乾燥質量に対し、100質量%添加した以外は実施例7−1と同様にして、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例1−1の凝集工程において、4N硫酸の代わりにカチオン性界面活性剤である塩化ジデシルジメチルアンモニウム(第一工業製薬株式会社製カチオーゲンDDM-PG)をパルプの乾燥質量に対し、10質量%添加した。得られた微細繊維状セルロース凝集物を実施例8の再分散工程と同様の処理を行い、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例7−1の凝集工程において、1Nの水酸化ナトリウム水溶液の代わりに2%オレイン酸ナトリウム(アニオン性界面活性剤)をパルプの乾燥質量に対し、10質量%添加した。得られた微細繊維状セルロース凝集物を実施例8の再分散工程と同様の処理を行い、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例9の凝集工程において、4N硫酸に加え、可塑剤であるソルビトール(三菱商事フードテック株式会社製ソルビットT-70)をパルプの乾燥質量に対し、5000質量%添加した。得られた微細繊維状セルロース凝集物を実施例8の再分散工程と同様の処理を行い、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例9の凝集工程において、4N硫酸に加え、可塑剤であるエチレングリコールをパルプの乾燥質量に対し、5000質量%添加した。得られた微細繊維状セルロース凝集物を実施例8の再分散工程と同様の処理を行い、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
実施例9の凝集工程において、4N硫酸に加え、可塑剤であるグリセリンをパルプの乾燥質量に対し、5000質量%添加した。得られた微細繊維状セルロース凝集物を実施例8の再分散工程と同様の処理を行い、微細繊維状セルロース水分散液を得た。
各実施例の微細繊維状セルロース凝集物について、平均繊維幅、微細繊維状セルロース含有量、液状化合物含有量、pH、濃縮時の濾過時間、微細繊維状セルロースの再分散性を下記の方法により測定した。測定結果を表1乃至3に示す。
平均繊維幅については、上記段落[0012]に記載の方法で測定した。
[微細繊維状セルロース含有量]
微細繊維状セルロース凝集物の質量を測定した後、105℃で12時間加熱して乾燥して乾燥物を調製し、その乾燥物の質量を測定した。そして、[(乾燥物の質量)/(微細繊維状セルロース凝集物の質量)]×100の式より微細繊維状セルロース含有量を求めた。
[液状化合物含有量]
[(微細繊維状セルロース凝集物の質量−乾燥物の質量−添加した酸、アルカリ、凝集剤のいずれかの質量)/(微細繊維状セルロース凝集物の質量)]×100の式より液状化合物含有量を求めた。
[pH]
pH計を用いて23℃で測定した。
濾過工程においてゲル状凝集物から微細繊維状セルロース凝集物が得られる時間を測定した。微細繊維状セルロース凝集物表面の光沢が消失し且つ濾液質量が濾過開始時の液質量の97%に達した時点で濾過時間の測定を終了した。
実施例1〜4,7〜20については、濃縮前の上澄み液(凝集工程前の上澄み液)のヘイズと再分散後の微細繊維状セルロースの水分散液のヘイズを、村上色彩技術研究所社製のヘイズメーターHM−150を使用して測定した。
実施例5,6については、濃縮前の微細繊維状セルロース分散液(凝集工程前の微細繊維状セルロース分散液)のヘイズと再分散後の微細繊維状セルロースの水分散液のヘイズを、村上色彩技術研究所社製のヘイズメーターHM−150を使用して測定した。
濃縮前の上澄み液または微細繊維状セルロース分散液のヘイズと再分散後の微細繊維状セルロースの水分散液のヘイズとの差が小さい程、再分散性に優れる。
また、解繊工程後に凝集工程及び濾過工程を経て微細繊維状セルロース凝集物を得た実施例(実施例1−1,1−2,2−1,2−2,3−1,3−2,4−1,4−2,5−1,5−2,6−1,6−2,7−1,7−2,及び8〜20)では、濾過時間が短く、微細繊維状セルロースの再分散性が優れていた。また、再分散の際に水酸化ナトリウムを添加した実施例1−1,2−1,3−1,4−1,5−1,6−1,及び8〜13,16及び18〜20では、微細繊維状セルロースの再分散性が特に優れていた。また、再分散の際に塩酸を添加した実施例7−1及び14,15,17では、微細繊維状セルロースの再分散性が特に優れていた。また、微細繊維状セルロースの凝集体にセルロースの可塑剤が含まれる実施例18〜20の場合、微細繊維状セルロースの再分散性は特に優れていた。
凝集工程を省略して微細繊維状セルロース凝集物を得た実施例(実施例1−3,2−3,3−3,4−3,5−3,6−3,7−3)では、濾過時間が長くなった。
Claims (4)
- 平均繊維幅が2nm〜200nmの正の表面電荷を有する微細繊維状セルロース及び第1の分散媒を含有する第1の微細繊維状セルロース分散液を濃縮する濃縮工程を有し、
前記濃縮工程は、前記第1の微細繊維状セルロース分散液に含まれる前記微細繊維状セルロースを凝集させる凝集工程と、前記凝集工程後の前記第1の微細繊維状セルロース分散液を濾過して前記第1の分散媒を除去する濾過工程とを有し、
前記凝集工程では、前記第1の微細繊維状セルロース分散液に、アルカリ、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ラウリル酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンジアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸エステル、カルボキシメチルセルロ−ス、カルボキシメチルスタ−チ、及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一種を添加して前記微細繊維状セルロースを凝集させる、微細繊維状セルロース凝集物の製造方法。 - 前記凝集工程は、前記微細繊維状セルロース凝集物がセルロースの可塑剤を添加することを含む、請求項1に記載の微細繊維状セルロース凝集物の製造方法。
- 前記第1の微細繊維状セルロース分散液の微細繊維状セルロース含有量が微細繊維状セルロース凝集物全体の質量に対して6質量%未満である、請求項1または2のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース凝集物の製造方法。
- 前記濃縮工程では、前記微細繊維状セルロースの含有量が微細繊維状セルロース凝集物全体の質量に対して6質量%〜80質量%になるように濃縮する、請求項3に記載の微細繊維状セルロース凝集物の製造方法。
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