<第1実施形態>
本発明に係る作業車両の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、作業車両として苗移植機を一例として説明するが、この実施形態によりこの発明が限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、かつ、容易なもの、或いは実質的に同一のものいわゆる均等の範囲のものが含まれる。
<苗移植機の全体構成>
なお、以下では前後、左右の方向基準は、操縦席31からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を定めている。また、上下の方向の基準は、重力が作用する方向を下方として定めている。図1は、苗移植機1の概略側面図であり、図2は、苗移植機1の一部を省略した概略平面図である。苗移植機1は、走行車体2の後方に昇降リンク機構3を介して苗植付部4が昇降可能に装着される。走行車体2の後部上側には、施肥装置5の本体部分が設けられる。
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10および左右一対の後輪11を備える四輪駆動車両である。苗移植機1の機体の前部には、ミッションケース12が配設され、ミッションケース12の左右側方には前輪ファイナルケース13が設けられる。前輪10は、前輪ファイナルケース13の操向方向を変更可能な前輪10の支持部から機体の外向きへ突出する左右一対の前輪車軸にそれぞれ取り付けられる。ミッションケース12の背面部には、メインフレーム15の前端が固定される。
メインフレーム15は、図3A、および図3Bに示すように、前後方向に延設され、左右方向に配置される一対の左右フレーム15aと、前後方向に延設され、左右フレーム15aの間に配置される中央フレーム15bと、左右方向に延設され、左右フレーム15a、および中央フレーム15bに取り付けられる中間フレーム15cとを備える。図3Aは、メインフレーム15の概略平面図である。図3Bは、メインフレーム15の概略背面図である。
中間フレーム15cは、左右方向の両端部で左右フレーム15aに取り付けられる。また、中間フレーム15cは、左右方向における略中央部で中央フレーム15bに取り付けられる。中間フレーム15cは、ボルト15dとナット15eを用いて左右フレーム15a、および中央フレーム15bに固定される。すなわち、中間フレーム15cは、左右フレーム15a、および中央フレーム15bに対し、取り外し可能である。
中間フレーム15cは、エンジンカバー30(図1参照)が取り付けられるステップ受け15fを備える。中間フレーム15cは、左右フレーム15aに対して、取り付け位置を調整可能である。例えば、左右フレーム15aには、ボルト15dが挿入される孔が、前後方向に延びる長孔として形成される。これにより、左右フレーム15aに対する中間フレーム15cの前後方向の位置を調整することができる。なお、上下方向に延びる長孔を形成し、左右フレーム15aに対する中間フレーム15cの上下方向の位置を調整可能としてもよい。
また、中間フレーム15cは、中央フレーム15bに対しても取り付け位置を調整可能である。例えば、中央フレーム15bには、ボルト15dが挿入される孔が、上下方向に延びる長孔として形成される。これにより、中央フレーム15bに対する中間フレーム15cの上下方向の位置を調整することができる。なお、前後方向に延びる長穴を形成し、中央フレーム15bに対する中間フレーム15cの前後方向の位置を調整可能としてもよい。
このように、ステップ受け15fが設けられた中間フレーム15cと、左右フレーム15a、および中央フレーム15bとを別部材とし、中間フレーム15cは、左右フレーム15a、および中央フレーム15bに対して、取り付け位置を調整可能となっている。これにより、エンジンカバー30、すなわちエンジン20の位置を、左右フレーム15a、および中央フレーム15bに対して調整することができ、組み立て性を向上させることができる。
図1、および図2に戻り、メインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18がローリング自在に支持される。後輪ギヤケース18から機体の外向きへ突出する後輪車軸には、後輪11が取り付けられる。
メインフレーム15上には、エンジン20が搭載される。エンジン20の回転動力は、ベルト伝達装置21およびHST(Hydro Static Transmission)23を介してミッションケース12へ伝達される。なお、HST23は、静油圧式の無段変速機である。ミッションケース12へ伝達された回転動力は、ミッションケース12内のトランスミッションによって変速された後、走行動力と外部取出動力とに分離して取り出される。走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13へ伝達されて前輪10を駆動し、残りが後輪ギヤケース18へ伝達されて後輪11を駆動する。
また、上記の外部取出動力は、植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構によって施肥装置5へ伝動される。ミッションケース12の内部の詳細については、後述する。
内燃機関であるエンジン20は、エンジンカバー30に収容される。エンジンカバー30の上部には、操縦席31が配設される。操縦席31の前方には、各種操作機構を内蔵するフロントカバー32が配設される。フロントカバー32の左右には、補給用の苗を載せておく一対の予備苗枠38が配設される。フロントカバー32の上部には、前輪10を操向操作するハンドル34が配設される。
エンジンカバー30、およびフロントカバー32の下端左右両側は、水平上のフロアステップ35が配設される。フロアステップ35は、一部が格子状になっており、例えば、作業者の靴に付着した泥などを圃場へ落下させることができる。フロアステップ35の左右両端には、フロアステップ35の上面よりも低く設けられた補助ステップ35aが配設される。補助ステップ35aによれば、作業者による苗移植機1への乗降を容易にすることができる。
昇降リンク機構3は、平行リンク機構であり、上リンク40と、下リンク41とを有する。上リンク40、および下リンク41の先端側は、メインフレーム15の後端部に立設した背面視において門型のリンクベースフレーム42に上下方向へそれぞれ回動自在に支持される。また、上リンク40および下リンク41の後端側には、縦リンク43が連結される。縦リンク43の下端部には、苗植付部4に回転自在に支持されて走行車体2の前後方向へ延伸する連結軸44が連結される。苗植付部4は、連結軸44まわりにローリング自在に設けられる。
メインフレーム15には、昇降油圧シリンダ46が取り付けられる。昇降油圧シリンダ46の先端は、上リンク40の先端部に連結される。昇降油圧シリンダ46の伸縮により、上リンク40が上下方向へ回動することによって、苗植付部4が略一定の姿勢を保ちつつ昇降する。
本実施形態に係る苗移植機1が有する苗植付部4は、6条植の構成を例にとって示しており、苗載置部51と、苗植付装置52と、線引きマーカ19とを備える。苗載置部51は、マット苗を載置して左右方向へ往復して苗を一株分ずつ各条の苗取出口へ供給するとともに、横一列分の苗が苗取出口へ供給されると苗送りベルト51aによって苗を下方へ移送する。線引きマーカ19は、苗移植機1の左右一対に設けられ、次工程における苗移植機1の進路を圃場面に線引きする。
苗植付装置52では、ロータリーケース16の両端部に、植付回転軸が回動自在に設けられる。植付回転軸には苗植付具54が取り付けられる。
苗植付部4の下部には、中央にセンターフロート55、左右両端にサイドフロート56が設けられる。センターフロート55やサイドフロート56を圃場の泥面に配置した状態で機体を進行させると、センターフロート55やサイドフロート56は、泥面上を滑走しつつ整地する。苗は、かかる整地された圃場面に苗植付装置52によって植え付けられる。なお、センターフロート55、サイドフロート56は、圃場の表土面の凹凸に対応して上下動するように、例えば、左右方向の支軸まわりに回動自在に設けられている。
施肥装置5は、走行車体2の左右に一対配設された肥料タンク60に貯留されている、例えば、粒状の肥料を繰出部61によって一定量ずつ繰り出す。繰出部61によって繰り出された肥料は、施肥ホース62によってセンターフロート55やサイドフロート56の左右両端にそれぞれ取り付けられた施肥ガイド(不図示)まで導かれる。施肥ガイドまで導かれた肥料は、施肥ガイドの前側に設けた作溝体(不図示)によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込まれる。また、施肥装置5は、モータ53によって駆動されるブロア58を有する。ブロア58で発生したエアは、チャンバ59から施肥ホース62へ吹き込まれ、施肥ホース62内の肥料は、風圧によって搬送される。
<駆動輪への動力伝達機構>
図4は、駆動輪(前輪10、および後輪11)への動力伝達機構の概略平断面図である。図4に示す各伝動軸は、実際には同一平面上に配置されるとは限らないが、説明の便宜上、同一平面上に配置したように示している。ミッションケース12は、HST23からの回転動力をミッション入力軸83で受け、副変速切替機構71、デファレンシャル装置(以下、デフ装置という。)85等を介して駆動輪である前輪10や後輪11を駆動する。
副変速切替機構71は、動力伝達経路を切り替えることで、走行車体2の走行状態を、例えば、「低走行速」、「低走行速」よりも速度が大きい「中走行速」、「中走行速」よりも速度が大きい「高走行速」、または停止状態である「走行中立」に切り替える。本実施形態に係る苗移植機1が有する副変速切替機構71は、副変速切替軸72と、切替部材73と、植付伝動部材74と、駆動部材75と、中継軸76とを備える。
副変速切替軸72は、変速後の回転速度で回転する。切替部材73は、副変速切替軸72に嵌装される。走行状態の変更は、中継軸76と副変速切替軸72との回転速度の比を変更することにより実行する。副変速切替軸72と切替部材73とは、例えば、スプライン嵌合により副変速切替軸72の軸方向へ移動可能であり、作業者が副変速レバー90(図1参照)を操作すると、切替部材73が副変速切替軸72の軸方向へ移動する。これにより、走行車体2の走行状態が切り替えられる。
作業者が副変速レバー90を操作すると、副変速レバー90の操作に連動し、図5Aに示す、副変速切替機構71の下方側に設けられたシフタアーム91が前後方向に移動する。シフタアーム91の後方側の先端には、図5Bに示すように、シフタ92が取り付けられている。また、シフタ92の下方には、保護部材93が設けられる。図5Aは、苗移植機1の一部を示す概略左側面図である。図5Bは、図5Aのシフタ92付近を拡大した図である。
シフタ92には、図6に示すように、シフタアーム91が挿入される挿入孔92aと、副変速切替機構71のカバー71a(図5B参照)に取り付けられた回動ピン94(図5B参照)が挿入される回動孔92bとが形成される。図6は、シフタ92の平面図である。シフタ92は、切替部材73を副変速切替軸72の軸方向に移動させる切替部92cを備える。なお、切替部材73と切替部92cとの間には切替移動部材(不図示)が設けられ、切替移動部材が切替部材73の凹部に係合している。
シフタ92は、シフタアーム91の移動、すなわち副変速レバー90の操作に応じて回動ピン94を中心に回動する。そして、シフタ92は、切替部92cにより切替部材73を副変速切替軸72の軸方向に移動させる。
保護部材93は、シフタ92の下方側を覆うように形成され、シフタアーム91が前後方向に移動可能となるように、切欠き(不図示)が形成される。保護部材93は、図5Bに示すように、回動ピン94、およびボルト95によって副変速切替機構71のカバー71aに固定される。ボルト95は、副変速切替機構71のカバー71aを構成する2つの部材を合わせてナット(不図示)により、2つの部材を左右方向から固定するボルトである。保護部材93は、ボルト95とカバー71aとの間に挟まれ、カバー71aに固定される。保護部材93は、圃場の表土面や、畔などにシフタ92が接触することを防止する。
図4に戻り、中継軸76は、例えば、互いに異なる径の3つのギヤである、第1ギヤ75a、第1ギヤ75aよりも小径の第2ギヤ75b、および、第2ギヤ75bよりも小径の第3ギヤ75cを有する。第1ギヤ75a、第2ギヤ75bおよび第3ギヤ75cのうちの一つには、ミッション入力軸83の回転動力が伝達される。図4には、ミッション入力軸83に嵌合されたミッション入力ギヤ83aが、第1ギヤ75aと噛み合う場合を例にとって示している。
切替部材73は、第1切替ギヤ73aと、第1切替ギヤ73aよりも大径の第2切替ギヤ73bとを有する。図4に示すように、切替部材73の副変速切替軸72の軸方向への移動によって、第1切替ギヤ73aおよび第1ギヤ75aの噛み合いと、第2切替ギヤ73bおよび第2ギヤ75bの噛み合いが切り替えられる。また、第3ギヤ75cは、植付伝動部材74と常時噛み合っている。これにより、中継軸76は、植付伝動部材74と切替部材73とに動力をそれぞれ伝達する。
植付伝動部材74は、第3ギヤ75cと常時噛み合い式であり、副変速切替軸72と同軸上の右方側に配設される。植付伝動部材74と副変速切替軸72とは、例えば、メタル軸受などによって互いに相対回転可能である。また、植付伝動部材74は、苗植付部4に動力を伝達する植付主伝動軸82を同軸で回転するように、植付主伝動軸82と結合される。これにより、植付主伝動軸82と副変速切替軸72とが、同軸に配設され、互いに相対回転する。
切替部材73は、植付伝動部材74と係合する係合部77を有する。係合部77は、例えば、切替部材73の右側や植付伝動部材74の左側に設けられた爪クラッチや摩擦部材などであってよい。切替部材73の副変速切替軸72の軸方向への移動によって係合部77を介して互いに係合した場合の切替部材73および植付伝動部材74は、副変速切替軸72(植付主伝動軸82)まわりに一体となって回転する。
副変速切替軸72の左端近傍には、伝達ギヤ72aが取り付けられる。副変速切替軸72からの回転動力の一部は、伝達ギヤ72aと噛み合うリングギヤ100を有するデフ装置85によって左右の前輪アクスル84へ分配して伝達される。前輪アクスル84へ伝達された動力は、前輪ファイナルケース13にさらに伝動されて前輪10を駆動する。なお、本実施形態に係る苗移植機1が有するデフ装置85は、右方および左方の前輪アクスル84の互いに対する相対回転を抑制可能なLSD(Limited Slip Differential)機構を有しており、圃場の泥濘などに対する走破性を向上させている。
前輪アクスル84を介してミッションケース12の背面から取り出される後輪駆動用動力が、後輪伝達軸86を介して、後輪ギヤケース18へ伝達されて後輪11を駆動する。ミッションケース12には、副変速切替軸72の左方側に、副変速切替軸72の回転を規制することによって前輪10および後輪11の回転を規制するブレーキ装置81が配設される。
なお、植付伝動部材74と第3ギヤ75cと常時噛み合い式であるので、走行車体2の走行状態がいずれの状態であっても植付主伝動軸82へ駆動力が伝達され、植付作業が可能である。
<デフ装置>
次に、デフ装置85について、図7を参照し説明する。図7は、図4のデフ装置85を拡大した図である。
デフ装置85は、リングギヤ100と、デフケース101と、ピニオンギヤ102と、一対のサイドギヤ103と、シャフト104とを備える。
デフケース101には、リングギヤ100が取り付けられる。デフケース101には、ピニオンギヤ102、および一対のサイドギヤ103を収容する室が形成される。また、デフケース101には、シャフト104が挿入される第1貫通孔101a、および第2貫通孔101bが形成される。さらに、デフケース101には、シャフト104をデフケース101に固定するボルト105が挿入されるボルト孔101cが形成される。ボルト孔101cは、左右方向に沿って延設される。つまり、ボルト孔101cは、デフケース101の回転軸(前輪アクスル84の回転軸)と平行するように形成され、ボルト105は、デフケース101の回転軸と平行するようにボルト孔101cに挿入される。デフケース101は、リングギヤ100と一体となって回転する。
ボルト105は、リングギヤ100よりも前輪アクスル84側に設けられ、ボルト105の頭部105aが、前輪アクスル84を回転自在に支持する支持部材84aと対峙するように配置される。ボルト105は、ボルト105の頭部105aと支持部材84aとの距離が、ボルト105の呼び長さよりも短くなるように配置される。これにより、例えば、ボルト105がゆるんだ場合でも、ボルト105が外れることを防止することができる。
シャフト104は、各貫通孔101a、101bに挿入され、両端側をデフケース101によって支持される。また、シャフト104には、ボルト孔101cと向かい合う位置に、ボルト105が螺合される穴104aが、シャフト104の径方向に沿って形成される。ボルト孔101cに挿入されたボルト105を穴104aに螺合することで、シャフト104がデフケース101に固定される。つまり、シャフト104は、デフケース101と一体となって回転するとともに、デフケース101に対して自転しないようにデフケース101に固定される。
ピニオンギヤ102は、デフケース101に収容され、シャフト104に回転自在に支持される。ピニオンギヤ102は、サイドギヤ103と噛み合う。ピニオンギヤ102は、デフケース101が回転すると、デフケース101に固定されたシャフト104と一体となってデフケース101と共に公転する。また、ピニオンギヤ102は、シャフト104に対して自転可能となっている。
サイドギヤ103は、シャフト104を挟んで一対設けられる。サイドギヤ103は、ピニオンギヤ102と噛み合う。サイドギヤ103には、前輪アクスル84が取り付けられ、サイドギヤ103は、前輪アクスル84と一体となって回転する。
苗移植機1が直進する場合には、ピニオンギヤ102がシャフト104に対して自転せずに、デフケース101、ピニオンギヤ102、およびサイドギヤ103は一体となり回転(公転)する。
一方、例えば、苗移植機1が左旋回する場合には、左側のサイドギヤ103が右側のサイドギヤ103よりも負荷が大きくなり、ピニオンギヤ102がシャフト104に対して自転し、右側のサイドギヤ103を左側のサイドギヤ103よりも速く回転させる。このように、左右の駆動輪における負荷が異なる場合に、デフ装置85は、左右の駆動輪に回転動力を分配して伝達する。これにより、苗移植機1は、例えば、滑らかに旋回することができる。
ところで、本実施形態を用いずに、シャフトがデフケースに固定されていない場合には、シャフトがデフケースに対し、自転することがある。そのため、例えば、サイドギヤに負荷が掛かった場合に、シャフトがサイドギヤと同調して回転することで、シャフトがデフケースに対して自転し、左右の駆動輪への回転動力の分配が安定せず、デフ装置の動作が安定しないおそれがある。
第1実施形態のデフ装置85では、シャフト104を、ボルト105を用いてデフケース101に固定することで、シャフト104がデフケース101に対し、相対的に回転することを防止する。これにより、シャフト104がピニオンギヤ102と同調して回転することを防止することができる。そのため、デフ装置85の動作を安定させることができる。また、ボルト105を用いてデフケース101に固定することで、メンテナンス時にデフ装置85を容易に分解することができ、メンテナンスを容易に行うことができる。
また、苗移植機1では、中間フレーム15cを、左右フレーム15a、および中央フレーム15bに対して、取り外し可能とすることで、部品の組み付け性を向上させることができる。例えば、エンジン20をメインフレーム15に搭載する場合に、エンジン20をエンジンカバー30内に配置した後に、中間フレーム15cを左右フレーム15aに取り付けることができ、部品の組み付け性を向上させることができる。また、エンジン20のメンテナンスを容易に行うことができる。
また、左右フレーム15a、および中央フレーム15bに対する、中間フレーム15cの取り付け位置を調整可能とすることで、部品のバラツキに対して、各フレーム15a〜15cの取り付け位置を調整することができる。そのため、部品の組み付け性を向上させることができる。
また、シフタ92の下方側に、保護部材93を設けることで、シフタ92が、圃場の表土面や畔などに当たることを防止し、シフタ92が劣化することを抑制することができる。また、副変速レバー90が操作されていないにもかかわらず、走行車体2の走行状態が変更されることを防止することができる。
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の変形例について図8を参照して説明する。図8は、第1実施形態の変形例の概略平断面図である。
この変形例のデフ装置85では、ボルト孔101cが、デフケース101(前輪アクスル84)の接線方向に平行するように形成される。すなわち、シャフト104をデフケース101に固定するボルト105が、デフケース101(前輪アクスル84)の接線方向に平行するように配置される。これにより、デフ装置85のメンテナンス時に、シャフト104をデフケース101に固定するボルト105を容易に回すことができ、メンテナンスを容易に行うことができる。
なお、ボルト孔101cをデフケース101(前輪アクスル84)の径方向に沿って形成してもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図9A、図9Bを参照して説明する。ここでは、第1実施形態と異なる箇所について説明する。図9Aは、第2実施形態に係るデフ装置85の概略平断面図である。図9Bは、図9Aのデフ装置85の背面図である。
シャフト104には、シャフト104の軸に沿ってキー溝110が形成され、キー溝110にキー111が嵌合される。デフケース101には、第2貫通孔101bを形成する内壁に、シャフト104の軸に沿ってキー溝112が形成される。
第2実施形態に係るデフ装置85では、デフケース101に形成したキー溝112に、シャフト104のキー溝110に嵌合したキー111の位置を合わせて、キー111をキー溝112に挿入することで、シャフト104がデフケース101に取り付けられる。
第2実施形態に係るデフ装置85では、キー溝110、112、およびキー111によって構成されるキー機構を用いることで、第1実施形態と同様に、シャフト104がデフケース101に対し、自転することを防止することができ、デフ装置85の動作を安定させることができる。また、例えば、従来のシャフトなどに対し、キー溝110、112を形成することで、シャフト104をデフケース101に固定することができ、大きな設計変更を行わずに、デフ装置85の動作を安定させることができる。
<第2実施形態の変形例>
次に、第2実施形態の変形例について図10を参照して説明する。図10は、第2実施形態の変形例を示す図である。
この変形例のデフ装置85では、キー111、およびキー溝110、112が、第2実施形態と比較して、前輪アクスル84側、すなわち左右方向の外側にずらして配置される。例えば、変形例のデフ装置85では、キー111、およびキー溝110、112の位置を、第2実施形態と比較して、右側の前輪アクスル84側へ時計回りに移動させた位置とする。これにより、デフケース101に形成するキー溝112の背面側を、第2実施形態と比較して、肉厚とすることができ、第2実施形態のデフケース101よりも、デフケース101の強度を高くすることができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について図11A、図11Bを参照して説明する。ここでは、第1実施形態と異なる箇所について説明する。図11Aは、第3実施形態に係るデフ装置85の概略平断面図である。図11Bは、図11Aのデフ装置85の背面図である。
シャフト104は、円柱部120と、非円形部121とを備える。円柱部120は、デフケース101に形成された第1貫通孔101aに挿入され、ピニオンギヤ102を回転自在に支持する。非円形部121は、シャフト104の軸に垂直な断面形状が、例えば、オーバル形状となっている。非円形部121は、デフケース101に形成された第2貫通孔101bに嵌合するように挿入される。
第1貫通孔101aは、シャフト104の軸に垂直な断面形状が、円柱部120の形状に応じて円形となるように形成される。また、第2貫通孔101bは、シャフト104の軸に垂直な断面形状が、非円形部121の形状に応じてオーバル形状となるように形成される。
第3実施形態に係るデフ装置85では、シャフト104の非円形部121を、第2貫通孔101bに嵌合することで、第1実施形態と同様に、シャフト104がデフケース101に対し、自転することを防止することができ、デフ装置85の動作を安定させることができる。また、ボルトなどを用いずにシャフト104をデフケース101に固定することができ、部品点数の増加を抑制しつつ、デフ装置85の動作を安定させることができる。
<第3実施形態の変形例>
次に、第3実施形態の変形例について図12を参照して説明する。図12は、第3実施形態の変形例を示す図である。
この変形例のデフ装置85では、シャフト104の非円形部121の外周面がスプライン形状になっている。また、第2貫通孔101bの内周面には、非円形部121が嵌合するようにスプライン形状となっている。すなわち、第2貫通孔101bには、スプライン孔が形成され、シャフト104とデフケース101とがスプライン嵌合する。これにより、シャフト104がデフケース101に対し、自転することを防止することができ、デフ装置85の動作を安定させることができる。
なお、非円形部121および第2貫通孔101bは、例えば、シャフト104の軸に垂直な断面形状が、矩形形状や、楕円形状であってもよい。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態と異なる箇所について説明する。
第4実施形態に係るデフ装置85には、図13に示すような、デフケース101の第2貫通孔101bが形成される。図13は、第4実施形態に係るデフケース101を第2貫通孔101b側から見た図である。具体的には、第2貫通孔101bは、円筒状の円筒部101dと、円筒部101dから左右方向に窪むように形成される矩形部101eとによって形成される。矩形部101eは、2箇所形成され、各矩形部101eは、対峙するように形成される。
シャフト104には、図14に示すように、第2貫通孔101bに嵌合される先端側から、第1貫通孔101a側に延びる切欠き部130が形成される。図14は、第4実施形態に係るシャフト104の側面図である。切欠き部130は、シャフト104の中心軸を含むように形成される。また、シャフト104には、ボルト132(図15A、および図15B参照)が挿入される挿入孔134が形成される。切欠き部130には、プレート131が挿入される。プレート131は、挿入孔134と向かい合う位置に貫通孔(不図示)が形成され、貫通孔にボルト132(図15A、および図15B参照)が挿入され、ボルト132とナット133(図15B参照)によりシャフト104に取り付けられる。プレート131は、シャフト104に取り付けられた状態で、シャフト104よりも左右方向(サイドギヤ103側)に向けて突出する。
デフ装置85では、図15A、および図15Bに示すように、第2貫通孔101bの矩形部101eにプレート131が嵌合される。図15Aは、第4実施形態に係るデフ装置85の概略平断面図である。図15Bは、図15Aのデフ装置85の背面図である。
第4実施形態に係るデフ装置85では、シャフト104にプレート131を取り付け、シャフト104、およびプレート131を第2貫通孔101bに嵌合することで、第1実施形態と同様に、シャフト104がデフケース101に対し、自転することを防止することができ、デフ装置85の動作を安定させることができる。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について図16を参照して説明する。ここでは、第1実施形態と異なる箇所について説明する。図16は、第5実施形態に係るデフ装置85の概略平断面図である。
デフ装置85は、シャフト104がデフケース101に対して固定されておらず、シャフト104とサイドギヤ103との間にカラー140を備える。カラー140は、円筒状に形成され、内周側にシャフト104が挿入される。すなわち、カラー140は、シャフト104の外周壁を覆うように形成される。また、カラー140は、シャフト104に対して回転可能となるように配置される。カラー140は、弾性変形可能な部材によって構成される。
第5実施形態のデフ装置85では、シャフト104とサイドギヤ103との間に、シャフト104の外周壁を覆うカラー140を設けることで、サイドギヤ103の先端がカラー140に当接した場合に、シャフト104に対してカラー140が回転し、シャフト104が回転することを抑制することができる。すなわち、カラー140は、シャフト104がデフケース101に対し、自転することを抑制することができる。また、カラー140が一対のサイドギヤ103によって左右方向から押された場合に、カラー140が弾性変形し、カラー140を介してシャフト104が一対のサイドギヤ103によって挟まれる。そのため、シャフト104がデフケース101に対して自転することをさらに抑制することができる。また、例えば、従来のシャフトなどに対し、カラー140を設けることで、シャフト104がデフケース101に対し、自転することを抑制することができ、大きな設計変更をせず、デフ装置85の動作を安定させることができる。また、コストを抑制しつつ、デフ装置85の動作を安定させることができる。
<その他の変形例>
上記実施形態の変形例について図17を参照して説明する。図17は、変形例のデフ装置85の概略平断面図である。変形例のデフ装置85は、デフケース101の外側のシャフト104に止め輪150を備える。これにより、シャフト104の軸方向における移動を規制し、軸方向のガタを少なくすることができる。なお、止め輪150の代わりに、図18に示すように、シャフト104に径方向にピン151を挿入してもよい。図18は、変形例のデフ装置85の概略平断面図である。
また、さらなる変形例として、シフタ92を図19に示すように形成してもよい。図19は、変形例のシフタ92の平面図である。変形例のシフタ92は、回動孔92bと切替部92cとの間にシフタ92の平面方向に突出する拡張部92dを備える。図19では、比較のため、図6に示したシフタ92の形状の一部を一点鎖線で示す。変形例のシフタ92は、拡張部92dを有することで、シフタ92の強度を高くすることができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細、および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲、およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。