本願で開示する炊飯器は、被炊飯物を入れる内鍋と、前記内鍋を取り出し可能に収容する内鍋収容部を有する炊飯器本体と、前記内鍋収容部を開閉可能に覆う蓋体とを備え、あらかじめ設定された炊飯プログラムにしたがって前記内鍋を加熱する加熱手段を制御することで、複数種類の炊飯メニューを実行可能な炊飯器であって、ユーザが前記炊飯メニューの選択を行う操作部が、複数種類の炊飯メニュー名が表示された表示部と、前記表示部に表示された前記炊飯メニューを順次選択する選択ボタンとを有し、選択されている前記炊飯メニューを、当該選択されている炊飯メニューのメニュー名を上下左右の4方向からカーソルによって囲んで表示する。
本願で開示する炊飯器は、上記構成を備えることで、表示部にメニュー名が並んで表示された選択可能な複数の炊飯メニューのうち、選択されている状態の炊飯メニューのメニュー名が、メニュー名の周りを上下左右の4方向からカーソルによって囲まれて表示される。このため、選択されている炊飯メニューのメニュー名を点滅させることなく他と容易に区別でき、ユーザが常にすべての炊飯メニュー名の表記を確認しながら選択された炊飯メニューを確認することができる。また、炊飯メニューのメニュー名を囲む4つのカーソルを配置することで、複数個の炊飯メニューを一度に選択する場合に、選択された炊飯メニューのメニュー名表記をカーソルで一度に囲む表示形態を実現でき、多様な炊飯メニューの選択内容を容易に表すことができる。
上記本願で開示する炊飯器において、前記カーソルが、前記炊飯メニューのメニュー名の四隅部分で所定の間隙を有して配置されていることが好ましい。このようにすることで、メニュー名を表示するセグメントへの電極配置を容易に行うことができるとともに、選択されている炊飯メニュー名を見栄えよく囲んで表示することができる。
また、複数個を同時に選択可能な前記炊飯メニューのメニュー名を、上下方向または左右方向に隣接して配置し、複数個の前記炊飯メニューを同時に選択する場合には、隣接して配置された前記メニュー名の間隙部分に位置する前記カーソルを表示しないことが好ましい。このようにすることで、複数個の炊飯メニューのメニュー名がひとかたまりの状態で、カーソルに囲まれて表示させることができる。
さらに、単独では選択されず他の炊飯メニューと同時にのみ選択可能な前記炊飯メニューのメニュー名の周囲において、同時に選択される当該他の炊飯メニューのメニュー名との間隙部分にはカーソルが配置されていないことが好ましい。このようにすることで、表示部に配置されるカーソルの数を減らすことができ、表示部の構成を簡素化することができる。
また、本願で開示する炊飯器において、前記炊飯メニューのメニュー名と、当該炊飯メニューが選択された際に追加して選択可能な複数個の追加炊飯メニューのメニュー名とが、上下方向または左右方向に連続して配置され、ユーザが当該炊飯メニューを選択した場合に、前記炊飯メニューのメニュー名と前記追加炊飯メニューのメニュー名との配置領域の全体を囲むように前記カーソルが表示されるとともに、ユーザによる前記操作ボタンの操作に応じて前記複数個の追加炊飯メニューのメニュー名が順次点灯表示されることが好ましい。このようにすることで、一つの炊飯メニューの選択時に追加して選択可能な追加炊飯メニューの選択状態を、分かりやすく表示することができる。
以下、本願で開示する炊飯器について、図面を参照して説明する。
(実施の形態)
図1は、本実施形態にかかる炊飯器の外観を示す斜視図である。
本実施形態にかかる炊飯器は、米と水、さらに、具入り炊飯メニューでは野菜や豆類、肉類などの各種の具である被炊飯物を入れる図示しない内鍋と、この内鍋を内鍋収容部に収容することができる炊飯器本体20と、炊飯器本体20の内鍋収容部の上方を開閉可能に覆う蓋体10とを有している。なお、図1では、内鍋収容部を覆う蓋体10が閉じた状態を示している。
蓋体10の上面には、ユーザが炊飯器に各種設定を与えるための操作ボタン11、12と、操作ボタン11、12による操作状況や炊飯器の動作状態等を表示するための液晶パネルその他の画像表示パネルにより形成された表示部13とが配置された操作部30が形成されている。なお、操作部30の詳細な構成については、後に詳述する。
本実施形態で示す炊飯器は、内鍋内部の圧力を圧力弁により調節して圧力炊飯を行うことができる炊飯器であり、蓋体10上面の操作部30の後方側には、内鍋内部の圧力を低下させるために圧力弁が開放された場合に、内鍋内部で発生した蒸気が流入する調圧キャップ14が配置されている。調圧キャップ14には、蒸気を外部に放出するための蒸気放出口15が形成されている。調圧キャップ14は、蓋体10内部に形成されて内鍋方向に向かう図示しない蒸気経路に接続されているため、圧力炊飯時に調圧キャップ14まで上がってきた蒸気が調圧キャップ14内で気液分離して生じた「おねば」となり、内鍋内に戻されるようになっている。
蓋体10は、炊飯器本体20のユーザから見た背面側に当たる位置の上部に配置された図示しないヒンジ機構により炊飯器本体20に対して回動することで、内鍋収容部を開閉することができる。蓋体10の上面における手前側中央部分には、ロックボタン16が設けられ、蓋体10が閉じている状態でロックボタン16を押し込むと、蓋体10のロックが外れ、図示しないバネ機構により蓋体10全体が図1における後方(奥)側に開くようになっている。なお、安全性を高める観点から、炊飯工程の実行中に誤ってユーザがロックボタン16に触れてもロックは解除されず、操作部30から炊飯プログラムの停止が指示されていないと蓋体10が開かないような設定とすることができる。
なお、図示は省略するが、蓋体10内部の操作部30の下側に位置する部分には、操作部の各種操作ボタン類11、12に接続された動作回路と、表示部13での表示画像を出力する駆動回路などが含まれた回路部が配置されている。また、本実施形態の炊飯器において、ユーザにより選択された炊飯メニューに対応して所定の炊飯プログラムに従った炊飯工程を実行する制御手段が、マイコンを含む制御回路として、回路部を構成する回路基板上に搭載されている。
回路部に配置されたマイコンを含む制御回路が、炊飯器本体20の内部に配置された温度センサからの出力に基づいて内鍋の各部分の温度状況を確認しながら、内鍋の周囲を取り囲むように炊飯器本体20内に配置された加熱手段への電力供給を調整して、内鍋の温度制御を行う。また、本実施形態の炊飯器では、制御回路が圧力調整手段である圧力弁を制御して内鍋内部の圧力を所定の値に調整して、各種の炊飯プログラムを実行する。
本実施形態の炊飯器では、内鍋に土鍋と称される非金属製の鍋を使用することができる。非金属製の鍋を加熱する場合は、内鍋収容部に環状に配置された加熱手段と対向する内鍋の外面側部分に、銀もしくはステンレスなどの金属薄膜がコーティングされた発熱体が配置される。加熱手段としてのワークコイルに電流を流すことによって発熱体が発熱し、この発熱体の発熱が非金属製の内鍋の温度を上昇させる。
加熱手段としては、誘導加熱を行うワークコイル以外にも、電流が流れることにより発熱してその輻射熱で内鍋を温めるヒータを採用することができ、本実施形態の炊飯器でも、内鍋の上部側の側面は、内鍋収容部に配置されたヒータによって加熱されるようになっている。
このように、本実施形態の炊飯器では、内鍋として蓄熱性の高い非金属製の鍋を使用し、さらに、炊飯工程における加熱工程で内鍋内部の圧力を一気圧以上とする圧力炊飯を行うことで、一層おいしいお米を炊くことができる。
なお、上記説明した炊飯器の構成は、本願で開示する発明が適用された炊飯器の一例としてのものであり、炊飯器の具体的な構成、加熱手段の種類と配置位置、内鍋の材質が金属製か非金属のものであるか、さらに、加圧炊飯を行うことができるか否かなどは、本願で開示する発明が適用される炊飯器において限定的なものではなく、適宜選択される内容である。
以下、本実施形態にかかる炊飯器において、上述した制御回路が実行する各種の炊飯プログラムをユーザが所望する炊飯メニューの選択として操作する、蓋体10上面の操作部30の内容について説明する。
図2は、本実施形態にかかる炊飯器における、操作部の詳細を示した平面図である。
本実施形態にかかる炊飯器では、操作部30には、炊飯器の基本動作の実行を指示する第1操作ボタン11(11a、11b、11c)と、炊飯メニューの選択や、時刻表示の指示を行う第2操作ボタン12(12a、12b、12c)と、選択された炊飯メニューや時刻表示など、炊飯プログラムの実行状況を表示する表示部13とが配置されている。
第1操作ボタン11は、本実施形態の炊飯器の場合円形のやや大きめのボタンであって、図2に示すように「予約」ボタン(11a)、「炊飯」ボタン(11b)、「取消」ボタン(11c)の3つが配置されている。
予約ボタン11aは、所望する炊きあがり時間を指定して炊飯を行う予約炊飯の開始を指示するボタンである。炊飯ボタン11bは、操作後直ちに炊飯プログラムを開始することを指示するボタンである。取消ボタン11cは、予約炊飯や炊飯開始指示などの操作を取り消すためのボタンである。
このように、本実施形態にかかる炊飯器において、第1操作ボタン11は、炊飯器の主要な動作の開始と取消とを指示する主操作ボタンである。このため、本実施形態の炊飯器では、第1操作ボタン11は第2操作ボタン12よりも大きく、さらに、第2操作ボタン12と表示部13とを囲む枠31の外側に目立つように配置されている。
なお、本実施形態の炊飯器では、米以外の「押麦」や「もち麦」を用いた麦ごはんを炊飯する場合、敢えて炊きあがったごはんに「おこげ」を付けたり、水洗いがされた状態で市販されている「無洗米」を炊飯することができる。これらの炊飯メニューでは、材料面、仕上がり面、炊飯工程面などで他の通常の炊飯とは異なる別工程を備えたプログラムでの炊飯動作を行わせることが必要である。このため、予約ボタン11a、または、炊飯ボタン11bを2回以上押下することで、これら別工程の炊飯メニューを順次選択できるようになっている。
また、本実施形態の炊飯器では、第1操作ボタン11の内の予約ボタン11aと炊飯ボタン11bとに、当該ボタンが押下されて指示された炊飯プログラムが実行中であることを点灯して報知するランプ11a1、11b1が設けられている。
第2操作ボタン12は、本実施形態の炊飯器の場合横長矩形状で第1操作ボタン11よりも少し小さく形成されている。第2操作ボタン12としては、図2に示すように「時/分」指示ボタン(12a)、「保温」ボタン(12b)、選択ボタンである「メニュー」選択ボタン(12c)の3つが配置されている。
時分指示ボタン12aは、予約炊飯時の炊きあがり時間の設定などを行う際に「時間」と「分」とに分けて所望の数字を入力するボタンである。本実施形態の炊飯器の場合、時分指示ボタン12aは、一つの時分指示ボタン12aが2つのスイッチ端子に接続されていて、時分指示ボタン12aの左側を押下すると「時間」が、右側を押下すると「分」が、それぞれ設定できるようになっている。
保温ボタン12bは、炊飯プログラムの終了後に移行する保温工程の選択をユーザが行うためのボタンである。保温ボタン12bには、炊飯器が保温を行っていることを点灯して表示する、ランプ12b1が設けられている。
メニュー選択ボタン12cは、時分ボタン12aと同様に左右2つのスイッチ端子に接続されていて、ボタンの上面に表示されている左右方向を向いた三角形が表す方向に、選択するメニューを変更する操作を行うことができる。具体的には、メニュー選択ボタン12cの左側を押下すれば、表示部13に示されている炊飯メニュー名の表示において、それまで選択されていたメニュー名から、一つ左側に示されているメニュー名へと選択されているメニュー名の表示が移動する。同様に、メニュー選択ボタン12cの右側を押下すれば、表示部13に示されている各種のメニュー表示に対して、現在選択状態にあるメニュー名の一つ右側に表記されているメニュー名が選択される。ユーザは、メニュー選択ボタン12cを用いて、メニュー選択ボタン12cの表面に示された三角形の示す方向に、表示部13において表示されている複数のメニュー名から所望するメニュー名を順次選択していくことができる。ユーザは、自分が所望する炊飯メニューのメニュー名が選択中であると示されるまで、メニュー選択ボタン12cを押下して、所望する炊飯メニューのメニュー名が選択されている状態で、予約ボタン11aまたは炊飯ボタン11bを押下して、所定の炊飯メニューでの炊飯を開始させることができる。
なお、図2ではその表記を省略するが、本実施形態の炊飯器の操作部30では、第2操作ボタン12の配置位置と表示部13とを取り囲む、角部が丸く形成された略矩形の枠31が設けられている。枠31内を濃色で着色することで、この枠31内の部分を炊飯器の蓋体10上面におけるデザイン上のアクセントとするとともに、第2操作ボタン12と表示部13とを関連づけて、ユーザが、第2操作ボタン12が表示部13に表示されている炊飯メニューを選択したり、表示部に表記される時間表示を設定したりするためのボタン類であることを直感的に理解できるようにしている。
表示部13は、液晶ディスプレイ(LCD)またはエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)などの画像表示デバイスで構成されていて、炊飯器が実行可能な炊飯メニュー名や炊飯器の動作状態、時刻などを表示できるように、複数の表示セグメントが所定の位置に配置されている。
図3は、表示部を拡大して示す平面図である。
なお、図3では、表示部13において点灯可能な全てのセグメントが点灯した状態を示している。実際にユーザが炊飯器を使用する課程において、図3に示すように全てのセグメントが同時に点灯する状況は生じない。また、表示部13での個々の表示内容がより正確に示されるように、図3では、実際の表示部の表示形態とは白黒表示を反転した状態で図示している。
図3に示すように、本実施形態にかかる炊飯器の表示部13には、「エコ炊き」「白米」といった炊飯メニューのメニュー名を表示するメニュー名表記41、「吸水予約」などの炊飯の前後の付加的なプログラムの設定状態を示すプログラム表示42、炊きあがりまでの所要時間や予約炊飯の設定時間、現在時などを表示する時分表示43、「無洗米」などの上述した別工程での炊飯を行うことを示す別工程炊飯表示44が配置されている。
メニュー名表記41は、炊飯プログラムとして選択可能な炊飯メニューのメニュー名41eと、このメニュー名41eを上下左右から取り囲む、上カーソル41a、左カーソル41b、右カーソル41c、下カーソル41dの4つのカーソルとによって構成されている。
なお、図3に示すように、上カーソル41a、左カーソル41b、右カーソル41c、下カーソル41dは、メニュー名41eの表示領域の各辺にそれぞれ配置され、全体として環状にメニュー名41eを取り囲むように配置されている。しかし、本実施形態にかかる炊飯器の表示部13では、メニュー名41eの四隅部分、すなわち、全体として矩形環状となるように配置されたそれぞれのカーソルの端部が他のカーソルの端部と隣接する部分では、カーソルの端部間に間隙が形成されている。
本実施形態の炊飯器の表示部13は、上述のようにLCDなどの画像表示デバイスが用いられ、表示されるセグメントの形状に形成された電極を配置して、各電極に接続された電極配線に当該電極の表示をONとする駆動電圧を印加することで所望するセグメントを点灯し、必要な情報を表示している。このとき、メニュー名41eの周囲全体を隙間無くカーソルで取り囲んでしまうと、内部に配置されたメニュー名41eを表示するための電極配線を配置することができない。電極への配線層を2層以上に構成する場合や、セグメント表示ではなくドットの組合せによる情報表示形式の画像表示パネルを用いた場合にはこのような問題は生じないが、限られた情報のみを表示すれば足りる表示部13に用いる画像表示デバイスの構成がいたずらに複雑になりコスト高に結びつくこととなる。このため、メニュー名41eの周囲を取り囲んで形成されるカーソルにおいて、少なくとも一部分には表示のための電極を配置しない間隙部分とし、メニュー名41eを点灯される電極配線の配線経路することが好ましい。
このように、メニュー名41eを表示する電極への電極配線を平面的に形成するためだけであれば、メニュー名41eの周囲の一部にのみカーソルの間隙を設ければよい。例えば、メニュー名41eの4辺全てを取り囲む矩形環状のセグメントを形成し、下側の辺の中央部などその一部にのみ間隙を設ける形態とすることが可能である。しかし、このようなカーソル形態の場合、間隙部分が目立ってしまうという弊害が生じる。
このため、本実施形態の炊飯器の表示部13では、メニュー名41eの周囲を四隅に間隙を有して4辺それぞれに分割された4つのカーソル41a、41b、41c、41dで取り囲むようにすることで、メニュー名41eの周囲を取り囲むカーソルの間隙を目立たなくしてユーザが強い違和感をもつことを回避している。また、複数のメニュー名表記41が、縦横のマトリクス状に並べられている表示部13において、一つ一つのメニュー名41eを4つの辺それぞれに配置されたカーソルで仕切るようにして取り囲むことで、後述するような、上下方向、または、左右方向に隣接して配置された複数個のメニュー名41eを一度に取り囲む様にしてカーソルを点灯させることができる。
本実施形態の炊飯器の表示部13では、左右方向に6つ、上下方向に最大3段のメニュー名表記41が配置されている。より具体的には、表示部31の左上端部に配置されている「エコ炊き」から、右側部分よりの3段目に配置された「胚芽米」までの、15個のメニュー名表記41が、左右方向に一段目に6つ、2段目には5つ、3段目に4つ、並べて配置されている。
プログラム表示42は、通常の炊飯工程の前後に実行される、吸水工程や保温工程の内容を示す表示である。プログラム表示42は、表示される文字の形状そのままのセグメントによって構成されている。プログラム表示42は、ユーザが炊飯メニューの選択中の状態で、予約ボタン11aや保温ボタン12bを押下する操作に対応して、所望する追加工程のプログラムが順次表示される。例えば、本実施形態の炊飯器では、ユーザが保温ボタン12bを押下することで、「連続保温なし」や「保温6時間」などの炊飯完了後の保温工程の設定を行うことができる。
時分表示43は、棒状のセグメントの組合せによって4桁の数字を表示可能とする。時間または時刻と、分の表示であることを示すために、中央部に小円形のセグメントで形成された「:」が、また、分単位のみの表示の場合に単位を示す「分」の文字が、時分表示43の配置領域内に設けられている。時分表示43の表示内容は、第2操作ボタン12の一つである時分指示ボタン12aの右側、または、左側を押下することで、選択して変更することができる。時分表示43は、炊飯工程の実行中や、保温工程中、予約炊飯の待機中や予約炊飯工程の実行中に、炊飯完了の時間や時刻、残存する保温時間などが表示される。また、炊飯器の動作が停止している際には、現在時刻を表示するように設定することができる。
別工程表示44は、上述した「押麦」「もち麦」「おこげ」「無洗米」の4つの別工程メニューを表す表示である。本実施形態の炊飯器の表示部13では、別工程表示44として表示される調理内容が、メニュー名表記41が黒地に白文字のメニュー名41eとこれを取り囲む白色の4つのセグメント41a〜41dで構成されているのに対し、別工程表示44は白色の略矩形状領域に黒抜き文字でメニュー内容を表示している。このようにして、別工程表示44で示されている炊飯メニューが、「エコ炊き」「白米」などの通常の炊飯メニューとは同列ではなく、例えば、「押麦」「もち麦」のように、「麦めし」という炊飯メニューが選択されている状態でさらに追加して選択される炊飯メニューであることを示している。
次に、本実施形態の炊飯器において、ユーザが炊飯メニューを選択する際の表示部の表示形態を説明する。
図4は、炊飯メニューを選択する状態における表示部の表示内容を示している。図4(a)がメニュー選択時の初期状態を示し、図4(b)が、メニュー選択時において、ユーザが一度メニュー選択ボタンを押下した状態の表示内容を示している。
図4に示すように、炊飯器の初期状態として設定されているメニュー選択時には、この時点で選択可能な「エコ炊き」から「胚芽米」までのメニュー名41eが全て表示される。
図4(a)に示す、メニュー選択画面の初期状態では、最初に表示されているメニュー名表記41である「エコ炊き」が仮選択状態となっている。選択されていることとなる「エコ炊き」のメニュー名41eの周りを、上カーソル41a、左カーソル41b、右カーソル41c、下カーソル41dの4つのカーソルが点灯して取り囲んでいる。
この状態で、ユーザがメニュー選択ボタン12cの右側の三角形が表示されている部分を押下すると、ユーザが右のメニューへの移動を指示したとして、「エコ炊き」の一つ右に表示されている「白米」のメニュー名41eを取り囲む、上カーソル41a、左カーソル41b、右カーソル41c、下カーソル41dの4つのカーソルが点灯する。
このように、ユーザが、メニュー選択ボタン12cの右側の三角形を一度押下するごとに、点灯する4つのカーソルが取り囲むメニュー名41eが、一つ右側のものに移動していく。なお、図4に示すように、メニュー名表記41の一段目の最も右側には、「麦めし」のメニュー名41eが配置されている。「麦めし」の選択時に、さらにメニュー選択ボタン12cの右側を押下すると、2段目の最も左側に位置する「雑穀」のメニュー名41eを取り囲むカーソルが点灯する。このように、並んでいるメニュー名41eの右方向の端部は、次の段の左方向端部のメニュー名41eに連続しているものとして取り扱われる。また、メニュー選択ボタン12cの右方向のボタンを押し続けることで順次選択可能な最後のメニュー名「胚芽米」が選択されているときに、さらにメニュー選択ボタン12cの右側部分を押下すると、左上端部に配置されている「エコ炊き」に戻って「エコ炊き」のメニュー名41eの周りのカーソルが点灯する。
また、左上端部のメニュー名「エコ炊き」が選択されている状態で、メニュー選択ボタン12cの左側部分か押下されると、最下段の右側端部に配置されている「胚芽米」メニューが選択されたとしてその周囲のカーソルが点灯し、以後、メニュー選択ボタン12cの左側のボタンが押下される毎に、一つ左隣のメニュー名41eが順次選択される。
このように、本実施形態の炊飯器の表示部13では、炊飯メニューの選択時において、選択可能なメニュー名41eが全て点灯している状態で、選択中の炊飯メニューのメニュー名41eを取り囲む4つのカーソル41a〜41dが点灯することで、当該炊飯メニューが選択されたことを表示する。このため、ユーザは、現在どの炊飯メニューを選択しているか、さらに、メニュー選択ボタンを押下すると次にどのメニューが選択されたことになるのかを、メニュー選択ボタンの押下と同時に、極めて容易に把握することができる。
次に、複数のメニューを同時に選択する場合について説明する。
図5は、同時に選択可能な2つの炊飯メニューを選択する場合の、表示部の表示内容を説明する図である。図5(a)が、2つを選択可能な炊飯メニューの内、基本となる炊飯メニューを先行して選択した状態の表示部を示す図であり、図5(b)が、先に選択した基本となる炊飯メニューに付随して選択される2つめの炊飯メニューも、同時に選択された状態の表示部を示している。
図5では、先行して選択される基本となる炊飯メニューとして、玄米を炊飯する「玄米」メニューが選択された状態で、玄米に含まれるガンマアミノ酸が多く得られるように、通常の玄米炊飯のプログラムよりも長い時間をかけて炊飯する、GABA増量炊飯メニューを追加選択した場合を例示する。
炊飯メニュー選択時において、初期状態の「エコ炊飯」が選択されている状態から、メニュー選択ボタン12cを繰り返し押下することで「雑穀」炊飯が選択されている状態とした後、ユーザがもう一度メニュー選択ボタン12cの右側部分を押下すると、右隣の「玄米」炊飯メニューが選択された状態となる。図5(a)は、炊飯メニューとして「玄米」炊飯メニューが選択された状態を示し、玄米のメニュー名41eの周りの4つのカーソル41a〜41dが点灯していることが分かる。
次に、ユーザがメニュー選択ボタン12cの右側部分をもう一度押下すると、「玄米」の右隣の「GABA」炊飯メニューが選択されたことになるが、上述のようにGABA炊飯メニューは単独で選択できる炊飯メニューではなく、「玄米」炊飯メニューが選択されている状況下に限って選択可能な付随的な炊飯メニューである。このため、本実施形態の炊飯器では、「玄米」炊飯メニューが選択されている状態でメニュー選択ボタン12cの右側部分を押下することで、はじめて「玄米」炊飯メニューでの「GABA」炊飯メニューが選択できたこととなる。
この場合には、図5(b)に示すように、玄米のメニュー名41eの周囲に配置されていた4つのカーソルの内、上カーソル41a、左カーソル41b、下カーソル41dは点灯したままで、右カーソル41cのみが消灯する。さらに、GABAのメニュー名41eの上カーソル41aと、右カーソル41c、下カーソル41dが点灯して、合わせて6つのカーソルで、玄米とGABAとの2つのメニュー名41eが1つの枠で囲まれた状態となる。
このように、本実施形態の炊飯器における表示部では、隣り合って配置された2つのメニュー名41eの外側を取り囲む、6つのカーソルで構成された一つの矩形状枠が点灯することで、「玄米」かつ「GABA」炊飯メニューが選択されていることを、ユーザに明確に示すことができる。
なお、上述の通り、「GABA」炊飯メニューは、「玄米」炊飯メニューとの組合せでのみ選択可能な炊飯メニューであるため、GABA炊飯のメニュー名41eが4つのカーソルに囲まれることはなく、「GABA」のメニュー名表記41の左カーソル41bは不要である。このため、本実施形態にかかる炊飯器では、表示部13の全てのセグメントが点灯している状態を示す図3に示されるように、GABAのメニュー名表記41における左カーソル41bが形成されていないことが分かる。
このように、表示する炊飯メニューの特性から決して点灯されないカーソルがある場合には、そのセグメント自体を形成しないようにすることで、表示部13を構成する画像表示デバイスの構成をわずかではあっても簡素化することができ、表示部13のコスト削減につなげることができる。
なお、図5では、2つの炊飯メニューが同時に選択可能な場合に、これら2つのメニュー名41eを左右方向に並べて配置する例を示した。これに対し、同時に選択可能な2つの炊飯メニューのメニュー名41eを上下方向に並べて配置することができる。
図6は、このような、2つの同時に選択可能な炊飯メニューのメニュー名を上下方向に並べて配置した、第1の変形例の表示部の表示状態を示す図である。
本実施形態の炊飯器の表示部では、選択された炊飯メニューのメニュー名を、上下左右方向に配置された4つのカーソルで囲むように表示するため、図5に示した横方向に並んだ2つのメニュー名を一つの枠内に表示する場合と同様に、図6に示すように、上下方向に並んだ2つのメニュー名を一つの枠内に囲んで表示することができる。
図6に示したように、玄米と同時にのみ選択されるGABAのメニュー名が、玄米のメニュー名の下方に配置されている場合には、決して点灯されないGABAのメニュー表記41の内の上カーソル41aを形成しないようにすることが好ましい。
なお、図5に示した形において、玄米+GABAが炊飯メニューとして選択されている状態で、メニュー選択ボタン12cの右側のボタンが押下された場合には、GABAのメニュー名41eの右隣に表示されている単独の炊飯メニューである「おこわ」が選択されたこととなり、「おこわ」のメニュー名41eの周囲の4つのカーソル41a〜41dが点灯することとなる。
次に、本実施形態の炊飯器における表示部における炊飯メニュー表示の第2の変形例について説明する。
第2の変形例は、一つの炊飯メニューが選択されている状態で追加選択が可能な追加炊飯メニューが複数個ある場合に、選択された追加炊飯メニューを含めてメニュー名をカーソルで囲む形態である。
図7に、第2の変形例の表示部での表示形態を示す。図7(a)が、炊飯メニュー「麦めし」選択時に、「押麦」メニューが追加して選択された状態を、図7(b)が炊飯メニュー「麦めし」選択時に、「もち麦」メニューが追加して選択された状態を、それぞれ示している。
より具体的には、図7に示す第2の変形例では、炊飯メニューとして選択される「麦めし」のメニュー名41eの上カーソル41aと左カーソル41b、および、右カーソル41c、追加選択メニューである「押し麦」のメニュー名41eの左カーソル41bと右カーソル41c、さらに、もう一つの追加選択メニューである「もち麦」のメニュー名41eの左カーソル41b、右カーソル41c、下カーソル41dが点灯することで、「麦めし」「押し麦」「もち麦」の3つのメニュー名41eが配置されている領域全体を、カーソルで取り囲んでいるように表示される。
例えば、ユーザが、メニュー選択ボタン12cを操作して炊飯メニューとしての「麦めし」を選択した場合には、図7(a)に示すように追加炊飯メニューとして「押麦」が同時に選択された状態となる。このとき、ユーザが予約ボタン11aや炊飯ボタン11bなどの操作ボタンを押下することによって、「押麦」のメニュー名表示が消灯して替わりに「もち麦」のメニュー名表示が点灯し、追加炊飯メニューとして「もち麦」が選択された状態である、図7(b)に示す状態となる。以下、ユーザの操作ボタンの押下に対応して、「押麦」と「もち麦」とが交互に点灯されることで、炊飯メニュー「麦めし」が選択された状態での追加炊飯メニューとして所望のメニューを選択することができる。
図7に示すように第2の変形例の表示部では、上述の実施形態では別工程表示44としてメニュー名の表示形態を異ならせることで追加選択される炊飯メニューであることを示した追加選択メニューを、他の炊飯メニューと同様にメニュー名の周囲をカーソルで取り囲む形態によって、そのメニューが追加選択されている状態であることをユーザに報知することができる。このように、カーソルで囲まれたことで選択状態であることを示すメニュー名の表示部分を、複数のメニュー名が並んで表示される領域の全体とすることで、追加して選択する炊飯メニューを含めて、選択されている炊飯メニューを、ユーザが容易に把握することができる。
なお、図7においては、追加して選択可能な複数個の追加炊飯メニューが2つである例を示したが、追加して選択可能な追加炊飯メニューの数は3つ以上であってもかまわない。また、図7に示した例では、追加して選択可能な炊飯メニューを上下方向に並べて配置した例を示したが、追加して選択可能な炊飯メニューを左右方向に並べて配置することができることは、言うまでもない。
このように、本実施形態の炊飯器では、表示部13において、炊飯メニューを表示するメニュー表記41において、メニュー名41eの周囲4方向に配置された4つのカーソル41a〜41dを点灯させることで、当該炊飯メニューが選択されている状態であることを表示している。
このため、従来のような選択されているメニューを点滅して表示させる場合と比較して、選択されている炊飯メニューのメニュー名41eを常に視認することができ、ユーザは、所望する炊飯メニューを選択する動作を容易に行うことができる。
また、上記の実施形態として説明したように、選択された炊飯メニューのメニュー名41eを4つのカーソルで取り囲んで点灯させる形式を採用しているため、それぞれのメニュー名41eの周りに、個別に点灯させることができる4つのカーソル41a〜41dが配置されている。このため、2つの連続したメニュー名41eを、一つの枠状に囲んで表示するなど、複数の炊飯メニューが選択されている状態を、容易に認識できる形式で表示することができる。
さらに、第2の変形例として示したように、複数個のメニュー名が表示される領域全体の周囲を囲む位置に配置されているカーソルを点灯させることで、一つの炊飯メニューが選択されている状態において選択することが可能な複数の追加選択メニューの選択状態をも、同様の形態で表示することができる。
このように、本実施形態にかかる炊飯器における表示部では、ユーザによる炊飯メニューの選択操作時における選択されている炊飯メニュー名のわかりやすさとともに、複数個が組み合わさった炊飯メニューの選択状態を、ユーザにより分かりやすい形態で表示することができる。
なお、上記の実施形態で例示した、操作部30における操作ボタン11、12の配置個数や、各ボタンの形状、表示部で表示される各種情報の配置位置、配置順序などは例示に過ぎず、それぞれの炊飯器が備えている炊飯機能に対応して適宜設計されるべきものである。
また、上記実施形態では一つ一つのメニュー名が、4つのカーソルで取り囲まれている例を例示したが、メニュー名の間に配置されたカーソルを一つとして、そのカーソルを隣り合う2つのメニュー名表記で共用する構成とすることもできる。この場合には、表示部に形成されるカーソルに対応したセグメントの個数を、大幅に減少させることが可能である。
また、上記実施形態では示していないが、表示されているメニュー内容で正しいことをユーザが確認して押下する「確認」または「決定」の操作ボタンを配したり、ユーザの操作を説明する音声ガイド機能を付加したりすることで、ユーザが、より迷い無く所望の炊飯プログラムを選択できるようにすることができる。このようにすることで、選択された炊飯メニューの表示形式に限られず、さらにユーザフレンドリーの面から優れた炊飯器を実現することができる。