JP6689851B2 - エネルギー貯蔵装置 - Google Patents

エネルギー貯蔵装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6689851B2
JP6689851B2 JP2017528416A JP2017528416A JP6689851B2 JP 6689851 B2 JP6689851 B2 JP 6689851B2 JP 2017528416 A JP2017528416 A JP 2017528416A JP 2017528416 A JP2017528416 A JP 2017528416A JP 6689851 B2 JP6689851 B2 JP 6689851B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insulating layer
electrode
dielectric film
polymer
energy storage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017528416A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018503243A (ja
Inventor
レジナルド カーバー デイビッド
レジナルド カーバー デイビッド
グレン カーバー ロバート
グレン カーバー ロバート
ウェスリー フルファー ブラッドフォード
ウェスリー フルファー ブラッドフォード
ヘイズ ギブス ジェイム
ヘイズ ギブス ジェイム
クラウディアス ホール ショーン
クラウディアス ホール ショーン
トレント プリディ アロン
トレント プリディ アロン
ウィリアム レイノルズ ショーン
ウィリアム レイノルズ ショーン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Carver Scientific Inc
Original Assignee
Carver Scientific Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US14/574,175 external-priority patent/US10199165B2/en
Application filed by Carver Scientific Inc filed Critical Carver Scientific Inc
Publication of JP2018503243A publication Critical patent/JP2018503243A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6689851B2 publication Critical patent/JP6689851B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G4/00Fixed capacitors; Processes of their manufacture
    • H01G4/002Details
    • H01G4/018Dielectrics
    • H01G4/06Solid dielectrics
    • H01G4/14Organic dielectrics
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G4/00Fixed capacitors; Processes of their manufacture
    • H01G4/002Details
    • H01G4/018Dielectrics
    • H01G4/06Solid dielectrics
    • H01G4/14Organic dielectrics
    • H01G4/18Organic dielectrics of synthetic material, e.g. derivatives of cellulose
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G4/00Fixed capacitors; Processes of their manufacture
    • H01G4/30Stacked capacitors
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G4/00Fixed capacitors; Processes of their manufacture
    • H01G4/32Wound capacitors

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
  • Semiconductor Memories (AREA)

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2014年9月26日付け出願の米国特許出願第14/499,028号の一部継続出願である、2005年12月17日付け出願の米国特許出願第14/574,175号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、この出願は、2013年4月5日付け出願の米国仮特許出願第61/808,733号の優先権を主張する、2014年1月16日付け出願の米国特許出願第14/156,457号の一部継続出願であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、この出願は、2013年3月29日付け出願の米国特許出願第13/853,712号の一部継続である2014年9月19日付け出願の米国特許出願第14/490,873号の一部継続出願であり、放棄された2012年11月7日付け出願の米国特許出願第13/671,546号の一部継続出願であり、米国特許第8,633,289号として2014年1月21日に特許を受けた米国特許出願第13/599,996号の一部継続出願であり、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、高誘電率、低リークの、コンデンサのようなエネルギー貯蔵装置及びこのようなエネルギー貯蔵装置の製造方法の実施形態に関する。
静電容量は、エネルギーを貯蔵する方法の1つであるが、大容量の電気エネルギーの貯蔵には広く使用されていない。一般的に、誘電体材料に静電エネルギーを貯蔵する際の従来の充電及び放電のサイクルは、ピコ秒から数百マイクロ秒の時間範囲にある。単位質量当たりのエネルギー密度と、単位体積当たりのエネルギー密度との両方において、よりエネルギー密度を高めて、エネルギーを貯蔵する必要性がある。
本開示は、高誘電率、低リークの、コンデンサのようなエネルギー貯蔵装置及びこのようなエネルギー貯蔵装置の製造方法の実施形態に関する。実施形態に係るエネルギー貯蔵装置は、導電性の第1電極と、導電性の第2電極と、立体拘束型の誘電体膜とを備える。立体拘束型の誘電体膜は、導電性の第1電極と導電性の第2電極との間に配置され、複数の高分子を含む。エネルギー貯蔵装置は、当該エネルギー貯蔵装置が充電及び/又は放電されていない場合、導電性の第1電極と第2電極との間に配置される誘電体材料の重量のみに基づいて、少なくとも1Wh/kgのエネルギー貯蔵容量を有する。ある実施形態では、絶縁層は、導電性の第1電極、導電性の第2電極又は導電性の第1電極及び第2電極の両方の上に配置される。上述の実施形態の何れか又は全てにおいて、高分子は、一以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを有してもよい。上述の実施形態の何れか又は全てにおいて、高分子は、タンパク質分子であってよい。上述の実施形態の何れか又は全てにおいて、高分子は、誘電体膜と接触する導電性の第1電極の表面の少なくとも1%に結合してもよい。
ある実施形態では、エネルギー貯蔵装置の製造方法は、誘電体材料を備える誘電体膜を導電性の第1電極に付与するステップ(a)を含む。誘電体材料は、(i)電気絶縁性及び/又は高誘電率を示し、(ii)複数の高分子を含む。さらに、当該製造方法は、誘電体膜を導電性の第2電極に接触させるステップ(b)と、第1電極、誘電体膜及び第2電極にわたって電場を印加するステップ(c)とを含む。このようにして、エネルギー貯蔵装置が製造される。特定の実施形態では、当該製造方法は、絶縁層を導電性の第1電極に付与して第1複合電極を形成するステップと、誘電体膜を第1複合電極の絶縁層に付与するステップとをさらに含む。上述の実施形態の何れか又は全てにおいて、電場は、100V/cmよりも大きくてよい。上述の実施形態の何れか又は全てにおいて、高分子は、タンパク質分子であってよい。
ある実施形態では、エネルギー貯蔵装置の製造方法は、誘電体材料を備える誘電体膜を、導電性の第1電極に付与するステップ(a)を含む。誘電体材料は、(i)電気絶縁性及び/又は高誘電率を示し、(ii)一以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを有する、複数の高分子を含む。当該製造方法は、誘電体膜を導電性の第2電極に接触させるステップ(b)と、立体拘束の誘電体膜を形成するために、高分子の少なくとも一部を導電性の第1電極に結合させるステップ(c)とを含む。このようにして、エネルギー貯蔵装置が製造される。高分子の少なくとも一部を導電性の第1電極に結合させるステップは、以下のステップ(i)、ステップ(iii)又はステップ(iii)を含む。ステップ(i)は、第1電極が正電極となり、高分子の少なくとも一部が第1電極に結合するのに有効な時間にわたり電場が印加されるように、第1電極、誘電体膜及び第2電極にわたる電場を印加するステップである。ステップ(ii)は、化学剤で前記誘電体膜を処理するステップである。ステップ(iii)は、当該ステップ(i)及び当該ステップ(ii)を組み合わせたステップである。
上述の実施形態の何れか又は全てにおいて、電場は、誘電体膜の平均厚さに基づき、少なくとも0.001V/mであってよい。ある実施形態では、電場は、0.005〜1V/μmであり、有効な時間は、1秒から30分である。
上述の実施形態の何れか又は全てにおいて、製造方法は、絶縁層を導電性の第1電極に付与して第1複合電極を形成するステップと、誘電体膜を第1複合電極の絶縁層に付与するステップとをさらに含んでもよい。一実施形態では、高分子の一部を結合させるステップは、有効な時間にわたり、第1複合電極、誘電体膜及び第2電極にわたって電場を印加するステップを含み、これにより、高分子の少なくとも一部が、第1複合電極の絶縁層に結合する。独立した実施形態では、化学剤で誘電体膜を処理するステップは、誘電体膜を絶縁層に付与する前にラジカル開始剤を絶縁層に付与するステップと、誘電体膜を絶縁層に加えた後にラジカル開始剤を活性化させるステップとを含み、これにより、高分子の少なくとも一部が第1複合電極の絶縁層に結合する。独立した実施形態では、化学剤で誘電体膜を処理するステップは、以下の、ステップ(i)、ステップ(ii)、ステップ(iii)、ステップ(iv)、ステップ(v)又はステップ(vi)を含む。当該ステップ(i)は、誘導化剤で高分子を誘導化して、第1複合電極の絶縁層に架橋可能な官能基を生成するステップである。当該ステップ(ii)は、誘電体膜の膜材料に架橋剤を含ませるステップである。当該ステップ(iii)は、誘電体膜の膜材料にラジカル開始剤を含ませて、誘電体膜を絶縁層に付与した後にラジカル開始剤を活性化させるステップである。当該ステップ(iv)は、誘電体膜を絶縁層に付与する前に絶縁層にラジカル開始剤を付与し、誘電体膜を絶縁層に付与した後にラジカル開始剤を活性化させるステップである。当該ステップ(v)は、誘電体膜を絶縁層に付与する前にプラズマを絶縁層に印加するステップである。当該ステップ(vi)は、上述のステップ(i)、上述のステップ(ii)、上述のステップ(iii)、上述のステップ(iv)、上述のステップ(v)の何れかを組み合わせたステップである。上述の実施形態の何れか又は全てにおいて、絶縁層は、p−キシリレンを含んでもよい。
上述の実施形態の何れか又は全てにおいて、高分子は、タンパク質、パリレン、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、ポリエチレングリコール、ウレタンポリマー、エポキシポリマー、シリコーンポリマー、テルペノイドポリマー、天然樹脂ポリマー、ポリイソシアネート又はそれらの組み合わせを含んでもよい。高分子は、タンパク質又は誘導化タンパク質を含んでもよい。
上述の実施形態の何れか又は全てにおいて、導電性の第2電極は、絶縁層を備える第2複合電極であってよく、第2複合電極は、絶縁層が誘電体膜に接触するように配置される。上述の実施形態の何れか又は全てにおいて、誘電体膜を導電性の第1電極に付与するステップは、除去可能なキャリア膜上に誘電体膜を形成するステップと、キャリア膜を除去するステップと、誘電体膜を導電性の第1電極に移すステップとを含んでもよい。
上述の実施形態の何れか又は全てにおいて、高分子は、インサイチュで形成される。このような実施形態では、製造方法は、架橋剤及び複数の高分子前駆体を含む組成物を第1電極に付与するステップと、架橋剤を活性化させて、これにより、高分子前駆体を架橋させて、複数の高分子を含む誘電体膜を生成するステップとをさらに含む。ここで、高分子前駆体は、一以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを含むものである。ある実施形態では、高分子前駆体は、(i)アミノ酸分子、(ii)オリゴペプチド、(iii)ポリペプチド又は(iv)それらの組み合わせを含む。ある実施形態では、高分子前駆体は、p−キシリレンモノマーをさらに含む。
独立した実施形態では、エネルギー貯蔵装置の製造方法は、金属化表面を有するポリマーの第1シート又はロールを提供するステップ(a)であって、当該第1シート又はロールは、金属化表面に絶縁層を備え、ここで、絶縁層は、金属化表面の端部が露出するように、金属化表面を完全にはコーティングしないステップ(a)と;膜材料を含む誘電体膜を前記絶縁層に付与するステップ(b)であって、当該膜材料は、(i)電気絶縁性及び/又は高誘電率を示し、(ii)一以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを有する複数の高分子を含むステップ(b)と;金属化ポリマーの第2シート又はロールを、前記誘電体膜に接触させるステップ(c)であって、当該第2シート又はロールは、金属化表面を有し、金属化表面に絶縁層を備える。当該絶縁層は、金属化表面の端部が露出するように、金属化表面を完全にはコーティングせず、ここで、絶縁層が絶縁体膜に接触し、第2シート又はロールのコーティングされない端部が第1シート又はロールのコーティングされない端部に近接するように、第2シート又はロールは配向されて、複合多層表面が形成されるステップ(c)と;複合多層表面をロール状に巻回するか、又は、複合多層表面の一部を切断及び積層して積層構造を形成するステップ(d)と;第1シート又はロール及び第2シート又はロールのコーティングされない端部を、導電性のキャップ又は電気接続部を有する非導電性のホルダ内に収容される導電性のポリマーに結合させるステップ(e)と;複合多層表面を、正電極及び負電極に電気的に接続させるステップ(f)と;複合多層表面に電場を印加するステップ(g)であって。当該電場は、誘電体膜の高分子の少なくとも一部が、第1シート又はロールの絶縁層、第2シート又はロールの絶縁層、又は、その両方に結合するのに有効な時間にわたり印加されるステップ(g)とを含む。
独立した実施形態では、エネルギー貯蔵装置の製造方法は、絶縁層を備える上面を有する第1電極を、収容装置に設けるステップ(a)と、第1電極の前記絶縁層上に、穿孔非導電性のセパレータシートを配置するステップ(b)と、第2電極の絶縁層がセパレータシートに接触するように、セパレータシート上に、絶縁層を備える下面を有する第2電極を配置するステップ(c)と、穿孔のセパレートシート内のスペースを充填するように、かつ第1電極及び第2電極に接触するように、誘電体材料を加えるステップ(d)とを含む。当該誘電体材料は、(i)電気絶縁性及び/又は高誘電率を示し、(ii)一以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを有する複数の高分子を含む。さらに、製造方法は、高分子の少なくとも一部が第1電極の絶縁層に結合するのに有効な時間にわたり、第1電極、誘電体材料及び第2電極にわたる電場を印加して、高分子の少なくとも一部を第1電極の絶縁層に結合させるステップを含む。
以下、本発明の前述の内容及び他の内容、特徴及び利点の詳細を、添付の図面を参照しながら説明し、明らかにする。
エネルギー貯蔵装置の一例を示す図である。 エネルギー貯蔵装置の一例の断面図である。 エネルギー貯蔵装置の別例の断面図である。 巻回構造を有するエネルギー貯蔵装置の一例の分解図である。 穿孔セパレータプレートを含むエネルギー貯蔵装置の一例の分解図である。 図5のエネルギー貯蔵装置の断面図である。 開示の実施形態の方法によって製造されたエネルギー貯蔵装置の負電極の光学顕微鏡写真である。 図7のエネルギー貯蔵装置の正電極の光学写真である。 流水で濯いだ後の図7の負電極の光学写真である。 流水で濯いだ後の図8の正電極の光学写真である。 斜めから撮影した図9の負電極の光学写真である。 斜めから撮影した図10の正電極の光学写真である。 結合した高分子を手で擦り落とした後の図10の正電極の光学写真である。
[詳細な説明]
本開示は、高分子を含む誘電体材料を有するエネルギー貯蔵装置及びエネルギー貯蔵装置の製造方法に関する。ここで、高分子の少なくとも一部は、エネルギー貯蔵装置の電極に結合する。エネルギー貯蔵装置は、例えば静電容量と同様に、充電/放電メカニズムの静電式によって、エネルギーを貯蔵する。実施形態に係るエネルギー貯蔵装置は、電子機器、大量の電気貯蔵及び任意の他の装置の分野において、有用である。当該他の装置は、電気エネルギーを貯蔵する必要性がある又は貯蔵された電気エネルギーを使用することができるものである。
[I.定義]
続いて、当業者に本開示のより詳細を提供して本開示の実施への手引きとなるように、用語及び略語を説明する。本明細書に記載されるような「備える」は、「含む」を意味する。また、単数形(「a」、「an」及び「the」)は、文脈が明確に指示している場合を除き、複数形を含む。用語「又は」は、文脈が明確に指示している場合を除き、言及された代替要素のうちの単一要素、又は、二以上の要素の組み合わせを意味する。
特に断らない限り、本明細書に使用される、全ての技術的で化学的な用語は、当業者が一般的に理解するものと同様の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は等価な方法及び材料を本開示の実施又はテストにて使用することができるが、以下では、適当な方法及び材料を説明する。材料、方法及び実施例は、説明を目的とするものであり、限定を意図するものではない。本開示の他の特徴も、次の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかである。
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用されるような、構成要素、電圧、温度及び時間等の量を表す全ての数字は、用語「約」によって修正されるものとして理解されるべきである。よって、特に断らない限り、暗黙的に又は明示的に、数値パラメータ等は、当業者に公知であるような標準的な試験条件/方法の下で、求まれる所望の特性及び/又は検出限界に依存する、近似値である。実施形態が上述の先行技術から直接的及び明示的に区別される場合、実施形態の数値は、言語「約」が記載されていない限り、近似値ではない。
続いて、本開示の多様な実施形態のレビューを容易にするために、特定の用語について説明する。
コンデンサ:エネルギー貯蔵装置であり、実質的に非導電性の材料(「誘電体」と呼ばれる)によって分離された2枚の導電性プレートを備える。コンデンサの容量値又は貯蔵性能は、プレートのサイズ、プレート間距離及び誘電体の特性に依拠する。関係性は、式(1)によって与えられる。

C=(e・e・A)/d 式(1)

式(1)において、eは、真空誘電率(8.8542×10−12F/m)である。eは、(後述の)非誘電率である。Aは、(両方とも同一サイズである場合)1枚のプレートの表面積である。dは、2枚のプレート間の距離である。
誘電体材料:印加電場によって分極され得る、電気絶縁体である。本明細書で使用される用語「誘電体材料」は、複数の高分子を含む材料を意味する。当該高分子は、一以上の、極性官能基及び/又はイオン化可能な官能基を含む。
絶縁破壊電圧:絶縁材料が「ブレークダウン」して電流を流すようになる電圧である。絶縁破壊電圧は、材料の絶縁耐力の指標である。
誘導体化:高分子に関して本明細書で使用される用語「誘電体化」は、化学修飾によって、官能基が付加された高分子を意味する。例えば、タンパク質は、無水マレイン酸によって誘導化することができ、これにより、マレイン酸官能基を有するタンパク質が生成される。
電気絶縁材料又は絶縁体:絶縁体は、内部電荷を有する材料である。絶縁体の内部電荷は、自由に流れない。そのため、絶縁体は、電流をほぼ流さない。完全な絶縁体は存在しないことを考慮して、本明細書で使用される用語「電気絶縁材料」は、主に絶縁性の材料を意味する。すなわち、用語「電気絶縁材料」は、コンデンサとしての通常使用中にその材料の両端の印加電場がその値を超えるとブレークダウンする閾値を有し、これにより、材料が通常使用中に電気的破壊してしまうことを避ける材料を意味する。
電極:本明細書で使用される用語「電極」は、導電体(例えば、金属)の電極又は「複合」電極を意味する。「複合」電極は、導電体と、導電体の表面上の非導電性材料とを備える。
官能基:分子内の特定の原子群であり、当該分子の特徴的な化学反応及び/又は静電相互作を担う。官能基には、限定ではないが、例えば、ハロゲン基(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)、エポキシド基、水酸基、カルボニル(ケトン)基、アルデヒド基、カーボネートエステル基、カルボキシレート基、エーテル基、エステル基、ペルオキシ基、ヒドロペルオキシ基、カルボキサミド基、アミン基(第一級、第二級、第三級)、アンモニウム基、アミド基、イミド基、アジド基、シアネート基、イソシアネート基、チオシアネート基、ニトレート基、ニトリト基、ニトリル基、ニトロアルカン基、ニトロソ基、ピリジル基、ホスフェート基、スルホニル基、スルフィド基、チオール(スルフヒドリル)基、及び、ジスルフィド基が含まれる。極性官能基は、使用環境においてイオンを形成しないが、代わりに、分子内に正電荷と負電荷の部分的な分離を生じさせる。イオン化可能な官能基は、使用環境においてイオン化状態にあり得るものである(例えば、COOHに対してCOO、NHに対して、NH )。
絶縁又は非導電層/コーティング:本明細書で使用される用語「絶縁層」、「絶縁コーティング」、「非導電層」及び「非導電コーティング」は、オーミック導電性の観点から、電気絶縁性である材料の層又はコーティングを意味する。すなわち、当該材料が有するオーミック導電性は、1×10−1S/m(Siemens per meter)未満である。
パリレン:Puralen(登録商標)ポリマーとして知られる重合p−キシリレンであるか、又は、重合置換p−キシリレンである。重合p−キシリレンは、次の式を満たす。
誘電率:本明細で使用される用語「誘電率」は、材料が極性化する性能を意味する。誘電率によって、その空間容積の誘電定数は、真空の誘電定数よりも高い値に変化させられる。材料の比誘電率は、式(2)に示すように、その静的誘電定数の測定値を、真空の誘電定数で割ることによって与えられる。

=e/e 式(2)

式(2)において、eは、比誘電率である。eは、測定された誘電率である。eは、真空誘電率(8.8542×10−12F/m)である。真空の比誘電率は1であるのに対して、水の比誘電率は(20℃で)80.1であり、典型的な有機コーティングの比誘電率は3から8である。一般的に言えば、用語「高誘電率」は、少なくとも3.3の比誘電率を有する材料を意味する。本明細書で使用されるような用語「高誘電率」は、電場の印加のような誘電率増加技術を用いて、少なくとも10%増加した誘電率を有する材料を意味する。
オリゴ:「少数(a few)」を意味する接頭語である。例えば、オリゴペプチドは、アミド結合によって連結された2個から20個のアミノ酸を含み得るのに対し、ポリペプチドは、20個を超えるアミノ酸を含み得る。オリゴペプチドは、ジペプチド、トリペプチド及びポリペプチド等を含む。
極性:用語「極性」は、電子が等しく原子間で共有されていない、すなわち、正電荷の領域と負電荷の領域とが永久的に分離されている、化合物又は化合物内の官能基を意味する。
ポリペプチド:ポリマー又はアミド結合によって連結された20個を超えるアミノ酸である。用語「ポリペプチド」は、人工的に生産されるポリペプチトと同様に、天然に存在するポリペプチドを包含するものである。
ポリマー/高分子:化学反応(すなわち、重合)によって形成された、繰り返し構造単位(例えば、モノマー)からなる分子である。
立体拘束型の誘電体膜:本明細書で使用される用語「立体拘束型の誘電体膜」は、電気絶縁性及び/又は高誘電率の誘電体膜であって、一以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを有する、複数の高分子を含むものを意味する。ここで、少なくとも一部の高分子は、立体拘束される。すなわち、少なくとも一部の高分子によって、誘電体膜内の高分子全体の物理的な動きが制限される。高分子の一部が誘電体膜と接触する電極表面に結合するとき、立体拘束が生じる。高分子は、開示の方法の実施形態によって、電極表面に結合してもよい。
[II.立体拘束型の誘電体膜を有するエネルギー貯蔵装置]
実施形態に係るエネルギー貯蔵装置は、2つの導電性表面(電極)と、立体拘束型の誘電体膜とを備える。2つの導電性表面は、実質的に互いに平行であり、立体拘束型の誘電体膜は、2つの導電性表面の間に位置する。装置は、電極の一方又は両方の上に、絶縁層又はコーティングをさらに備える。誘電体材料は、複数の高分子を含む。複数の高分子の少なくとも一部は、電極の1つに結合するか又は電極上の絶縁層に結合する。
[A.電極]
ある実施形態では、電極は、平面状又は実質的に平面状である。各電極は、独立して、滑らかな表面を有してもよいし、又は、粗い表面を有してもよい。粗面電極は、例えば、カーボン粒子によって作成されてもよい。粗面電極は、研磨金属から作製される電極のような滑らかな電極よりも、より大きな表面積を有する。所与のエネルギー貯蔵装置又は電気容量装置にとって望ましい外部の電気パラメータの少なくとも一部に依拠して、表面の粗さ量が選択されてもよい。滑らかな電極を備えるエネルギー貯蔵装置と比較すると、粗面電極を備える類似のエネルギー貯蔵装置は、数マイクロ秒からミリ秒といった短い期間において、より速い(例えば、100倍速い)充電電流及び放電電流を有し、さらに、滑らかな電極を備えるエネルギー貯蔵装置によって提供される放電率と同様の緩やかな放電率を有する。
[B.絶縁層]
各電極は、絶縁層又は絶縁コーティングで、一以上の表面がコーティングされてもよい。絶縁コーティングを有する電極は、「複合電極」とも呼ばれる。エネルギー貯蔵装置において、複合電極は、絶縁層が誘電体材料に接触するように、配向される。絶縁層は、添加される誘電体材料に結合部位を提供するとともに、電極の絶縁特性を向上させる。絶縁層は、1×10−1S/m未満のオーミック導電率を有する。ある実施形態では、絶縁層は、1×10−2S/m未満、1×10−5S/m未満又は1×10−10S/m未満の導電率を有する。特定の実施形態では、オーミック導電率は、1×10−25S/mから1×10−1S/m、1×10−10S/mから1×10−1S/m、1×10−5S/mから1×10−1S/mである。コーティングは、数ナノメートルの厚さから、10マイクロメートルよりも大きい厚さまでの範囲であってよい。ある実施形態では、絶縁層は、5nmから10μmまでの平均厚さを有し、例えば、0.1〜10μm、0.3〜10μm又は0.3〜2μmの平均厚さを有する。一実施形態では、コンデンサ全体の厚さの10%未満の平均厚さを有する。キャパシタ全体の厚さは、第1電極の外面から第2電極の外面までを測定した厚さである。絶縁コーティングは、任意の適切な手段によって、塗布されてもよい。任意の適切な手段は、限定ではないが、気相蒸着、液体スプレー及びコーティングの分野で当業者に公知の他の技術を含む。絶縁コーティングは、例えば、例えば米国特許出願公開第2014/0139974号明細書に開示されるような、Puralen(登録商標)ポリマーコーティングのような重合p−キシリレンを含む。
絶縁層は、適切なコモノマーで修飾して、誘電率を向上させ、且つ/又は、誘電体材料の高分子のための付着部位を提供してもよい。ある実施形態では、コモノマーは、一以上の不飽和結合を含む。重合p−キシリレンを備える絶縁層は、例えば、コポリマーの包含によって修飾されてもよい。当該コポリマーは、限定ではないが、オレフィン類、ビニル誘導体類、アルキニル誘導体類、アクリル化合物類、アリル化合物類、カルボニル類、環状エーテル類、環状アセタール類、環状アミド、オキサゾリン及びそれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、コモノマーは、アクリレート(例えば、2−カルボキシエチルアクリレート)、メタクリレート(例えば、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート)、α−ピネン、R−(−)カルボン、リナロール、シクロヘキセン、ジペンテン、α−テルピネン、R−(+)−リモネン及びそれらの組み合わせである。コポリマーは、交互にモノマーを含んでもよいし、ブロックコポリマー型であってもよい。
[C.高分子を含む誘電体材料]
ある実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、単一の誘電体材料層を含む。他の実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、複数層の誘電体材料を備える誘電体膜を含む。複数層の誘電体材料は、単一の誘電体材料を複数回堆積させて形成されてもよく、この場合、堆積間には表面改質が有っても無くてもよい。或いは、各層は、異なる化学組成を有してもよい。ある実施形態では、装置は、異なる電気誘電率を有する二以上の誘電体層を備える誘電体膜によって構成される。誘電体膜の平均厚さは、数ミクロメートルから数ミリメートルの範囲であってよい。ある実施形態では、誘電体膜の平均厚さは、10μmから5mmまでの範囲、10μmから1mmまでの範囲、10μmから500μmまでの範囲又は50μmから250μmまでの範囲である。ある実施形態では、誘電体膜の平均厚さは、80μmから120μmの範囲であり、例えば、平均厚さは、100μmである。
ある実施形態では、誘電体材料は、流体特性を有し、ハチミツ以上の粘度を有する。特定の実施形態では、誘電体材料は、10,000cPから250,000cPの粘度を有する。独立した実施形態では、誘電体材料は、固体である。
誘電体材料は、実質的に、導電性でなくてもよい。言い換えれば、誘電体材料は、何れかの電極で又はその近くで、酸化/還元されず、オーミック導電性を示さないものである。このように、開示の実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、従来の電気化学バッテリよりも静電コンデンサに、より密接に関連するものとなる。しかしながら、誘電体材料は、従来の電気化学バッテリ又は静電コンデンサの何れよりも、より長い期間にわたって、より大きな量の比エネルギーを貯蔵することが可能である。
ある実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、非導電性を有する誘電体材料であって、高誘電率である誘電体材料を備える。非導電性を有し、高誘電率である非限定的な2つの例として、シェラックマトリックスのゼイン、及び、無水マレイン酸で誘導体化されたタンパク質が挙げられる。他の実施形態では、誘電体材料は、導電性を有する。このような実施形態では、電極は、典型的に、オーミック電気伝導を緩和又は防止する上述のような絶縁層によって、コーティングされる。例えば、誘電体材料の抵抗値が平方センチメートル当たり2.5MΩ未満であるとき、絶縁層が使用されてもよい。ある実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、少なくとも10から2,000,000の誘電率と、1S/mから1×10−25S/mのオーミック伝導率とを有する誘電体材料を備える。
本開示の実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、極性官能基及び/又はイオン化可能な官能基を有する高分子を備える誘電体材料を含み、その結果、分子内に双極子及び双極子モーメントが生じる。高分子は、1以上の二重結合をさらに含んでもよい。ある実施形態では、誘電体材料は、エネルギー貯蔵装置の2つの電極に接触する膜である。典型的に、接触は、膜と電極の表面全体コーティングとの間の直接的な物理的接触として説明され得る。誘電体材料は、「ベア」の金属若しくはカーボンベースの電極表面、又は、複合電極の絶縁層と接触してもよい。
ある実施形態では、高分子は、極性ポリマーである。タンパク質は、毒性の低い安価な極性ポリマーであり、容易に入手可能である。低毒性は、他のポリマーを上回る大きな利点であり、エネルギー貯蔵装置のリサイクル又は焼却を可能にする。タンパク質分子は、極性官能基及び/又はイオン化可能な官能基を有するアミノ酸を含む。他の適切なポリマーは、限定ではないが、例えば、置換(例えば、フッ素化)及び非置換パリレンポリマー、アクリル酸ポリマー、メタクリルポリマー、ポリエチレングリコール、ウレタンポリマー、エポキシポリマー、シリコーンポリマー、有機テルペノイドポリマー、天然有機ポリマー(例えばシェラックのような樹脂)、ポリイソシアネート、及び、それらの組み合わせを含む。アクリレートコポリマー(例えば、エチレン ブチル−、エチル−及びメチル−アクリレートとのコポリマー)、及び、パリレンコポリマー(例えば、p−キシリレンと、アクリレート(例えば2−カルボキシエチルアクリレート)、メタクリレート(例えば、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート)、α−ピネン、R−(−)−カルボン、リナロール、シクロヘキセン、ジペンテン、α−ターピネン、R−(+)−リモネン、及び、それらの組み合わせとのコポリマー)のようなコポノマーもまた、本開示の範囲内である。限定ではないが、極性ポリマーは、例えば、小麦タンパク質、小麦グルテン、ポリ(アクリル酸−co−マレイン酸))、ポリ(アクリル酸)、ホエイタンパク質単離物、大豆タンパク質単離物、エンドウマメタンパク質抽出物、シェラック、及び、これらの組み合わせを含む。
特定の実施形態では、高分子は、誘導化されて追加の官能基が結合される。当該官能基は、例えば、ベア電極表面(すなわち、ベア金属又はカーボン表面)又は複合電極表面への高分子のその後の結合を容易にするものである。非限定的な誘導体化剤としては、無水物、カルボジイミド、イミドエステル及び試薬が挙げられ、当該試薬は、N−ヒドロキシスクシンイミドと、マレイミド、アリールアジド又はジアジリン基との組み合わせを含むものである。ある例では、ポリマーは、無水物で誘導化される。当該無水物は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、又は、シス−5−ノルボルネン末端−2,3−ジカルボン酸無水物等である。誘導体化された高分子は、架橋又は表面との他の反応によって電極表面に結合され得る。高分子が無水マレイン酸で誘導体化される場合、例えば、誘導体化された高分子は、二重結合によって架橋され得る。架橋は、化学剤(例えば、ラジカル開始剤)、紫外線活性化又は熱活性化のような任意の適切な手段によって実行され得る。
発明者らは、上述の特性を有する高分子が、立体拘束されるとき、たとえ高分子が電極間を自由に移動できなくても、エネルギー貯蔵に使用され得るという、驚くべき発見をした。電極と高分子を含む誘電体材料とを備えるエネルギー貯蔵装置を充電及び/又は放電する前に、任意の手段で、高分子をベア電極表面に結合させることによって又は非導電性若しくは複合電極の絶縁コーティングに結合させることによって、高分子を立体拘束させることができる。当該任意の手段は、(単結合又は多重結合の)共有結合、ファンデルワールス力又は水素結合を含む。ある実施形態では、高分子は、正電極に結合する。エネルギー貯蔵装置がその後に電子回路内で使用される場合など、その後の使用中にエネルギー貯蔵装置が充電及び放電するとき、高分子は電極に結合したままである。
誘電体材料を備えるエネルギー貯蔵装置では、電極から外部電場が加えられることで、誘電体材料層において、現在の位置から到達可能なイオン又は双極子の最低エネルギー状態が崩される。従って、電場が加えられると、双極子又はイオンは、静止位置(すなわち、電場が加えられる前の双極子又はイオンの位置)から移動し、これにより、材料において電荷分布の再配列が生じる。これは、誘電体材料全体にわたり、全ての他の双極子を続けて再配列させ得る。熱に変換されないエネルギーは、誘電体材料に吸収される。エネルギーが放出されるとき、貯蔵されたエネルギーが熱運動(温度に比例するランダム分子運動)の増加のような他のメカニズムによって放出されない限り、このプロセスの逆が発生し得る。
いかなる特定の作用理論にも束縛されることを望まないが、大きな分子内において、分子の他の部分はより低いエネルギーへの全体的な移動を防ぐのに十分な場所に結合するが、分子の一部だけは動くと考えられる。さらに、電極に結合されて、ポテンシャルエネルギーがその後に放出されるが、熱運動としては放出されないと考えられる。この動きの拘束によって、誘電体の分子の自由度が低減し、その結果、電場から吸収したエネルギーを熱として発散させる分子の動きが低減される。このように、結合高分子は、その自由度の低減に起因して熱の態様でエネルギーを放出し得ないような方法で、電場に結合する。マクロ分子の特定の部分の動きは、関連する可能性があり、生物学的高分子の分析の分野において公知な電気泳動運動と同様である。
いかなる特定の作用理論にも束縛されることを望まないが、ポリマーの一部が電極に(又は電極のコーティングに)結合している場合、ポリマーの残部は、誘電体膜内において、電場に応じて極性官能基及び/又はイオン化可能な官能基が再配向するときに伸びたり、ねじれたり又は曲がったりしてもよい。これらの立体構造変化及び位置変化によって、エネルギー貯蔵装置内にエネルギーが貯蔵される。エネルギー貯蔵装置が放電するとき、結合高分子が規則性の少ない立体構造に戻ることで、貯蔵エネルギーは、電気エネルギーとして放出される。その少なくとも一部の自由度が低減されている高分子を含む誘電体材料は、「立体拘束型の誘電体膜」と称される。
このように、開示の実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、高分子を含む立体拘束型の誘電体材料を含む。ある実施形態では、立体拘束型の誘電体材料において、高分子の少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%又は少なくとも90%が、電極に結合する。特定の実施形態では、高分子の少なくとも一部は、正電極に結合する。電極が複合電極であるとき、高分子は、複合電極の絶縁層に結合する。高分子の少なくとも一部を電極に結合させた後、電極から濯ぎ落とされた高分子の量を測定することによって、結合の割合を推定することができる。
ある実施形態では、高分子は、誘電体材料と接触する正電極表面の少なくとも1%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%又は少なくとも90%に結合する。結合ポリマーでコーティングされた表面の割合は、視覚的に推定されてもよく、例えば、光学顕微鏡法によって推定されてもよい。エネルギー貯蔵装置の製造後、装置は、検査のために分解されてもよい。非結合の材料を除去するために、流水に曝す等して正電極が洗浄され、その後、光学顕微鏡法によって検査される。結合ポリマーでコーティングされた表面領域は、結合ポリマーがない領域から容易に区別可能である。
高分子と電極との間の結合は、軽い破壊に耐えるほど十分に強い。当該軽い破壊は、例えば、1メートルの高さから落ちる水と同等の力を有する流水で、電極及び結合高分子を洗浄することによって生じたり、又は、20N未満の力を有する流水の下で、結合高分子を手で擦り落とすことによって生じたりするものである。当該装置を製造している間に、エネルギー貯蔵装置にわたる電場を加えるときにのみ、このような強さを有する結合が観察される。ある実施形態では、正電極を負にするような逆の極性の外部電圧を装置に印加することによって、結合の少なくとも一部を破壊してもよい。
[D.エネルギー貯蔵装置の例]
ある実施形態では、エネルギー貯蔵装置100は、正電極110と、立体拘束型の誘電体層120と、負電極130とを備える(図1及び図2)。正電極110及び負電極130は、独立して、導電性金属、半導体、導電性ポリマー又は他の導電性材料であってよい。特定のケースでは、炭素ベース又はグラフィン型の電極のような高い表面積の導体が、この材料として有利である。立体拘束型の誘電体層120は、膜材料を含む。当該膜材料は、(i)電気絶縁性及び/又は高誘電率を示し、(ii)極性官能基及び/又はイオン化可能な官能基を含む複数の高分子122を含む。さらに、高分子は、一以上の二重結合を含んでもよい。必要に応じて、絶縁層140が正電極110と誘電体層120との間に配置され、及び/又は、絶縁層150が誘電体層120と負電極130との間に配置される。ある実施形態では、絶縁層140,150は、エネルギー貯蔵装置100全体の厚さの10%未満の厚さを有してもよい。エネルギー貯蔵装置100全体の厚さは、例えば、第1電極110の外面112から、第2電極130の外面132までを測定した厚さである。装置の使用中にジュール熱及び/又はオーミック伝導損失が発生することを防ぐために、絶縁層が含まれてもよい。高分子122の少なくとも一部は、付着点124によって、正電極110(存在する場合は、絶縁層140)に結合する。各付着点124は、共有結合(単結合、二重結合又は三重結合)、水素結合、ファンデルワールス力又は他の結合力であってよい。当該他の結合力は、正電極110が負電極130に対して正電荷に維持されると仮定して、正電極110からの高分子122の解離を防ぐのに十分な力である。高分子122の一部は、付着点126によって、負電極130(存在する場合は、絶縁層150)に結合し得る。各付着点126は、共有結合(単結合、二重結合又は三重結合)、水素結合、ファンデルワールス力又は他の結合力であってよい。当該他の結合力は、負電極130が正電極110に対して負電荷に維持されると仮定して、負電極130からの高分子122の解離を防ぐのに十分な力である。正電極110及び負電極130は、導電性リード115,135(例えば、導電性ワイヤリード、トレース又は他の経路)によって電圧源に取り付けられてもよい。
独立した実施形態では、エネルギー貯蔵装置200は、正電極210と、立体拘束型の誘電体層220と、負電極230とを備える(図3)。立体拘束型の誘電体層220は、膜材料を含む。当該膜材料は、(i)電気絶縁性及び/又は高誘電率を示し、(ii)極性官能基及び/又はイオン化可能な官能基を含む複数の高分子222,223を含む。さらに、高分子は、一以上の二重結合を含んでもよい。絶縁層又は非導電層240が、正電極210と誘電体層220との間に配置される。さらに、絶縁層又は非導電層250が、誘電体層220と負電極230との間に配置される。高分子222の一部は、負電荷又は部分的負電荷を有する、極性官能基及び/又はイオン化可能な官能基を有し、付着点225によって絶縁層240に結合する。高分子223の一部は、正電荷又は部分的正電荷を有する、極性官能基及び/又はイオン化可能な官能基を有し、付着点226によって絶縁層250に結合する。高分子224の一部は、正電荷又は部分的正電荷を有する、極性官能基又はイオン化官能基の少なくとも1つと、負電荷又は部分的負電荷を有する、極性官能基又はイオン化官能基の少なくとも1つとを有する。高分子224は、絶縁層240と絶縁層250との間の距離にわたる十分な長さであってよく、両方の絶縁層に結合してもよい。正電極210及び負電極230は、導電性リード215,235によって電圧源に取り付けられてもよい。
一例の実施形態では、エネルギー貯蔵装置は、絶縁層を巻回又は積層した構造を有する。図4は、巻回構造を有する電極310を備えるエネルギー装置300の一例を示す。当該巻回構造は、基板325上に、立体拘束型の誘電体層320を備える。第2基板(図示せず)が、誘電体層320の上に配置されてもよく、これにより、立体拘束型の誘電体層320が2つの基板間に挟まれる。図4に示すように、立体拘束型の誘電体320は、基板325の一端326まで延在しない。ロール電極310の頂部及び底部は、導電性ポリマー330に結合する。導電性ポリマー330は、キャップ又は電気接続部345,355を有するホルダ340,350内に収容されてもよい。任意のスリーブ(図示せず)が、使用中の機械的及び電気的保護を提供するために、装置300の周囲に配置されてもよい。
図5及び図6に示す独立した実施形態において、例示的なエネルギー貯蔵装置400は、2つの電極410,420を含む。電極410,420は、導電性シートであってよい。ある例では、導電性シートは、金属(例えば、アルミニウム)であり、約2mmの厚さで約500mmのサイズを有してもよい。各シートが、Puralen(登録商標)ポリマーコーティングのような絶縁層でコーティングされ、電極が作製される。導電性リード415,425が、各電極410,420に取り付けされ、絶縁材料と接触する領域における望ましくない伝導を防ぐために絶縁される。電極とおおよそ同じサイズの非導電性セパレータシート430が穿孔されて、充填された誘電体材料440が電極410,420に接触するための経路が設けられる。ある例では、セパレータシート430は、約0.5mmの厚さを有するが、2mmまでの厚さを有し、印加される電圧に応じて2mm以上の厚さも許容可能である。セパレータシートは、2つの電極410,420が互いに接触することを防ぎ、2つの電極に一定の間隔を提供する。電極は、図6に示すように、収容箱450内に組み入れられる。固体の誘電体材料又は液体の誘電体材料440が、電極410,420間のスペースを満たすために加えられる。或いは、誘電体材料が、電極上にプレコートされてもよい。誘電体材料440は、極性官能基及び/他はイオン化可能な官能基を含む、複数の高分子を含む。さらに、高分子は、一以上の二重結合を含んでもよい。電圧は、高分子の少なくとも一部が正電極に結合する2つの電極に印加され、これにより、立体拘束型の誘電体材料が生成される。
ある実施形態では、エネルギー貯蔵装置を充電及び/又は放電する前に(すなわち、エネルギー貯蔵装置の製造後、例えば電子回路内にてエネルギー貯蔵装置を使用する前に)、電場の印加及び/又は化学剤による処理で高分子の少なくとも一部を第1電極に結合させることによって、立体拘束型の誘電体材料の誘電率が改善される。第1電極に高分子が結合していない類似のエネルギー貯蔵装置(すなわち、類似のエネルギー貯蔵装置では、エネルギー貯蔵装置を充電及び/又は放電する前に、誘電体材料が立体拘束されていない)の誘電体材料の誘電率と比較すると、立体拘束型の誘電体材料の誘電率は、少なくとも50%、例えば、50%から10,000%まで、50%から100,000%まで、又は50%から1,000,000%まで又は50%から10,000,000%まで、改善される。実質的に同様の化学組成を有する誘電体材料を含むエネルギー貯蔵装置であるが、当該エネルギー貯蔵装置を充電及び/又は放電する前に電極表面に高分子の少なくとも一部を結合させて高分子を立体拘束させていないエネルギー貯蔵装置と比較すると、開示の実施形態に係るエネルギー貯蔵装置は、少なくとも100倍、1000倍、10,000倍又は100,000倍の量のエネルギーを貯蔵することができる。本開示のある実施形態では、エネルギー貯蔵装置が充電及び/又は放電されていない場合に、当該エネルギー貯蔵装置が有するエネルギー貯蔵容量は、導電性の第1電極と第2電極との間に配置される誘電体材料の重量のみに基づいて、少なくとも1Wh/kg、少なくとも10Wh/kg又は少なくとも100Wh/kgであり、例えば、当該エネルギー貯蔵容量は、1Wh/kgから1300Wh/kgまで、10Wh/kgから1300Wh/kgまで、又は、100Wh/kgから1300Wh/kgまでである。特定の実施形態では、エネルギー貯蔵容量は、100Wh/kgから1300Wh/kgの範囲内である。本開示のある実施形態では、エネルギー貯蔵装置のエネルギー損失は、時間当たり10%未満、時間当たり1%未満、時間当たり0.5%未満又は時間当たり0.1%未満である。このように、開示のエネルギー貯蔵装置は、頑丈で高エネルギー密度のコンデンサである。高エネルギー密度によって、エネルギー貯蔵を犠牲にせずに、他のコンデンサよりもより厚い誘電体膜を用いて、装置を製造することが可能になる。
[III.エネルギー貯蔵装置の製造方法]
実施形態に係るエネルギー貯蔵装置の製造方法は、誘電体材料を含む誘電体膜を、導電性の第1電極に付与するステップ(a)であって、当該誘電体材料は、(i)電気絶縁性及び/又は高誘電率を示し、(ii)1以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを有する複数の高分子を含むステップ(a)と;誘電体膜を導電性の第2電極に接触させるステップ(b)と;第1電極、誘電体膜及び第2電極にわたる電場を印加するステップ(c)とを含む。このようにして、エネルギー貯蔵装置が製造される。第1電極、誘電体膜及び第2電極にわたる電場を印加することで、エネルギー貯蔵装置を製造している間に、高分子の少なくとも一部が第1電極に結合する。これにより、複数の高分子の少なくとも一部が、第1電極、第2電極又は第1電極及び第2電極の両方に結合する、立体拘束型の誘電体膜が作製される。ある実施形態では、立体拘束型の誘電体膜は、(i)第1電極が正電極となるように、高分子の少なくとも一部を第1電極に結合させるのに有効な時間にわたり、第1電極、誘電体膜及び第2電極にわたって電場を印加するか、(ii)化学剤を用いて誘電体膜を処理するか、又は、(iii)それらの組み合わせによって、作製される。
[A.誘電体膜の形状]
膜材料を含む誘電体膜は、気相蒸着、液体スプレー、スクリーニング、スピンコーティング又は膜形成の分野で当業者に公知な方法を含む任意の適切な手段によって調製され、そして、導電性の第1電極に付与される。一実施形態では、導電性の第1電極は、ベア電極、又は、絶縁層を備える複合電極である。誘電体膜は、ベア電極表面上に直接形成されるか、又は、複合電極の絶縁層上に直接形成される。その後、誘電体膜は、誘電体膜を導電性の第2電極に接触させる前に、低温(例えば、25℃〜60℃)で乾燥される。独立した実施形態では、誘電体膜は、除去可能なキャリア膜(例えば、ポリテトラフルオロエチレン膜)の上に形成され、乾燥され、その後、電極表面に移される。
ある実施形態では、膜材料は、溶媒及び複数の高分子を含む液体又はスラリーから調製される。適切な溶媒は、限定ではないが、アルカノール、アルキレングリコール、水及びそれらの組み合わせを含む。例示的な溶媒は、エタノール、エチレングリコール、水及びそれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、高分子は、一以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを有する。さらに、高分子は、一以上の二重結合を有してもよい。適切な高分子は、上述の通りである。特定の実施形態では、溶解していない高分子が、例えば混合物のろ過又は遠心分離によって、混合物から除去される。
液体又はスラリーは、架橋剤をさらに含んでもよい。適切な架橋剤は、限定ではないが、酸無水物、カルボジイミド、イミドエステル、ホウ砂塩、水素化ホウ素ナトリウム、及び、試薬を含み、当該試薬は、N−ヒドロキシマレイミド、アリールアジド又はジアジリン基の組み合わせを含むものである。一般的な架橋剤は、トリアリルトリアジントリオン、及び、高分子化学の分野で当業者に公知な他のトリアルトリビニル又は試薬を含む。例示的な酸無水物は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1、2−ジカルボン酸無水物、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物、及び、それらの組み合わせを含む。
ある実施形態では、液体又はスラリーは、高分子間の架橋を触媒するラジカル開始剤等の開始剤をさらに含む。例示的な開始剤は、熱及び光で活性化される化学開始剤を含み、限定ではないが、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、ジクミルパーオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、カンファーキノン、フェナントレンキノン、及び、それらの組み合わせを含む。一実施例では、無水イタコン酸及びジクミルペルオキシドを、ゼイン分子を架橋するために使用した。
一以上の塩、例えば高分子と有機塩を形成することができ且つ/または膜材料を中和することができる塩を、架橋が完了する前に、液体又はスラリーに添加してもよい。ある実施形態では、炭酸塩(例えば、炭酸グアニジン、炭酸セシウム、炭酸ストロンチウム又はそれらの組み合わせ)を使用してもよい。反応によって二酸化炭素が放出され、誘電体膜の望ましくない対イオン汚染が生じないためである。ある実施形態では、チタン酸バリウムが液体又はスラリーに添加される。独立した実施形態では、非導電性ポリマーなどの電圧アジュバントが添加される。
液体又はスラリーは、任意の適切な手段によって、導電性の第1電極に付与される。一実施形態では、スラリーは、電極の固定されたストリップ上に又は連続的に動くストリップ上にコーティングされる。別の実施形態では、液体又はスラリーは、任意の数の手段によって、静的に配置された電極プレート上に注がれる。当該任意の数の手段は、限定ではないが、例えば、容器から放出された圧力又は混合容器から注入された圧力である。別の実施形態では、液体又はスラリーは、スピンコーティングによって電極に付与される。液体又はスラリーを混合容器から電極に移動させる他の方法も考えられる。液体又はスラリーは、電極表面をコーティングして電極表面上の液体又はスラリーの薄く均一なコーティングを確保するように、広げたり、プレスしたり、延ばしてもよい。この工程を実行する複数の手段が考えられ、限定ではないが、散布ブレード、ローラ又は他の手段の使用が含まれる。膜の形成において当業者に公知なように、スラリーの噴霧化又は化学気相成長によっても、スラリーの気相蒸着が達成され得る。
ある実施形態では、乾燥させたときに所望の厚さの誘電体膜を形成するよう、十分な量の液体又はスラリーが、電極表面に付与される。別の実施形態では、液体又はスラリーの二以上の層が、所望の厚さを得るために、電極表面に付与されてもよい。各層は、別の層が塗布される前に、乾燥されてもよい。又は、液体又はスラリーの連続的な堆積が実行されてもよく、全ての層を付与した後に乾燥してもよい。二以上の層を付与する場合、これらの層の化学組成は同一でも異なっていてもよい。
電極及び誘電体材料は、溶媒を除去して電極表面上に誘電体膜を形成するために加熱されてもよい。加熱は、誘電体材料を導電性の第2電極に接触させる前に実行されてもよいし、又は、後に実行されてもよい。ある実施形態では、組み立て品は、クランプまたはプレスされて誘電体材料に圧力が加えられ、液体又はスラリーから空気又は気体を押し出される。その結果、第1電極及び第2電極が電極内側表面で密着する。特定の実施形態では、組み立て品は、溶媒を除去するために、150℃から300℃の温度で加熱される。溶媒によっては他の温度範囲も好適であり得る。
独立した実施形態では、誘電体膜の高分子は、インサイチュで形成される。誘電体材料の液体又はスラリーは、架橋剤と、複数の高分子前駆体とを含む。当該高分子前駆体は、一以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを含む。ある例では、前駆体は、アミノ酸分子、オリゴペプチド、ポリペプチド又はそれらの組み合わせである。特定の実施形態では、高分子前駆体は、p−キシリレンモノマーをさらに含む。液体又はスラリーは、上述のように、第1電極に塗布される。塗布後、架橋剤が活性化され、これにより、高分子前駆体が架橋され、複数の高分子を備える誘電体膜が生成される。架橋処理は、例えば電極が絶縁層を備える複合電極である場合、高分子の一部を電極表面に結合させてもよい。
[B.絶縁層の形成]
ある実施形態では、上記製造方法は、第1電極に絶縁層を付与して複合電極を生成するステップと、複合電極の絶縁層に誘電体膜を付与するステップとを含む。一実施形態では、絶縁層は、重合p−キシリレンを含む。別の実施形態では、絶縁層は、上述したように、p−キシリレンと他のコモノマーとのコポリマーを含む。絶縁層は、任意の適切な手段によって付与される。当該任意の適切な手段は、気相蒸着、液体スプレー、スクリーニング、スピンコーティング、又は、膜の形成において当業者に公知な他の方法を含む。
ある実施形態では、絶縁層は、気相蒸着を用いて付与される。絶縁層が重合p−キシリレンを含む場合、キシリレンを単原子酸素源と反応させて、モノマー型のp−キシリレンを生成してもよい。一例として、単原子酸素源は、亜酸化窒素又はイオン化二原子酸素を備えてもよい。ある実施形態では、単重体型のp−キシリレンを生成するためのキシレンを単原子酸素源と反応させる工程は、単原子酸素に対するキシレンの化学量論比で、450℃から800℃の加熱環境において大気圧で実行されてもよい。反応は、電気的に加熱された、インコネル(ニッケル合金600)熱分解反応管のような熱分解反応管内で実行されてもよい。アルゴンガス又は窒素ガスのような不活性ガスのみの流通が、又は、亜酸化窒素のような反応性化合物との流通が、熱分解反応管に供給される。例えばキシレン蒸気のような、出発材料が、熱分解反応管に導入され、反応管内で単原子酸素と反応する。揮発性混合物と反応するためには、単原子酸素は非常に反応性が高くかつ一過性であるため、反応チャンバ215内において揮発性混合物と反応するために利用可能でなければならない。上述のように、単原子酸素源は、キャリアガスとともに供給される気体化合物であってもよいし、別々に供給される気体化合物であってもよいし、又は、プラズマ生成器のような別の供給源であってもよい。単原子酸素プラズマは、ガスをイオン化するRF放電などのイオン化エネルギー源に酸素(О)ガスを曝すことによって生成してもよい。或いは、亜酸化窒素(NO)などの化合物を熱分解、触媒分解及び/又は他の方法により分解して、反応用の単原子酸素を供給してもよい。このように、単原子酸素プラズマ生成器又は単原子酸素化合物(例えば、NO)が供給されるか、又は、別の適切な単原子酸素源が設けられる。中間酸化生成物を形成するために、プラズマガスを、上述の出発材料とともに使用することができる。当該中間酸化生成物は、その後に反応して、出発材料の酸化形態(モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー又はポリマーであってよい)である反応生成物を形成してもよい。300℃から800℃の温度は、反応管の出口においてモノマーp−キシリレンをモノマー形態に維持するのに十分な高温である。電極表面のモノマーを急速に冷却すると、モノマーが液体凝縮し、モノマーが急速に重合してポリマーが生じる。温度を低下させて反応管から出る反応中間体の凝縮を促進するために、冷却された非反応性ガスを熱い反応流に混合する装置が使用されてもよい。必要に応じて、ホットガスのジュールトムソン冷却を提供するために、膨張弁が反応管の出口に使用されてもよい。必要に応じて、堆積混合物が、光重合開始剤の光エネルギー、及び/又、は磁場及び/又は電場のような誘電率増強場に曝されてもよい。
上記方法は、他の置換基に拡張してもよい。当該他の置換基は、限定ではないが、2−クロロ−1、4−ジメチルベンゼン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、2,5−ジメチルアニ、テトラフルオロ−p−キシレン、及び、1,2,4トリメチルブタジエンを含む。芳香族環上の置換基のメタ配向及びオルト配向は、実行可能な反応の出発材料である。プラズマから又は分解された酸素含有材料から生成される単原子酸素と反応可能であり、かつ、芳香族環の存在により安定化された水素原子を含む全ての化合物又はその中間反応生成物を含むために、上記反応を汎用化することができる。典型的には、このような水素原子は、フェニル環のアルファ位(ベンジル位)に位置する。アルファ芳香族環位置から除去されたマイケル構造は、有機合成に精通している者には周知のように、芳香族環位置に対してアルファである水素と同様の反応性を与えることが知られている。しかしながら、このような水素原子の反応性は、ベンゼンなどの芳香族環からの、アルファ及び/又はマイケル位置に限定されない。他の芳香族安定化として、有機化学分野の当業者に公知であるように、多くの異なる環、縮合環及び非環系が知られている。このような出発材料は、好適には、部分的に酸化された出発材料を形成するために除去され得る、2つの水素原子が存在するとよい。これらの好適な材料は、必要に応じて、二量体化、三量体化、オリゴマー化又は重合体化する性質を有する。
絶縁層がp−キシレンを含むコポリマーを含む場合、キシレンを単原子酸素源と反応させてモノマー型のp−キシリレンを生成してもよい。一例として、単原子酸素源は、亜酸化窒素又はイオン化二原子酸素を備えてもよい。単原子酸素プラズマは、ガスをイオン化するRF放電などのイオン化エネルギー源に酸素(О)ガスを曝すことによって生成されてもよい。或いは、亜酸化窒素(NO)などの化合物を熱分解、触媒分解及び/又は他の方法により分解して、反応用の単原子酸素を供給してもよい。好適な実装では、モノマー型のp−キシリレンを生成するためにキシレンを単原子酸素源と反応させる工程は、単原子酸素に対するキシレンの化学量論比で、350℃から800℃の加熱環境において大気圧で実行されてもよい。反応は、電気的に加熱された、インコネル(ニッケル合金600)熱分解反応管などの熱分解反応管内で実行されてもよい。モノマー型のp−キシリレンは、共重合化合物(コモノマー)、すなわちモノマー型のp−キシリレンと共重合する化合物と、混合される。モノマー型のp−キシリレン及び共重合化合物は、混合されている間、ガス状になる。中間酸化生成物を形成するために、プラズマガスを、上述の出発材料とともに使用してもよい。当該中間酸化生成物は、その後に反応して、出発材料の酸化形態である反応生成物を形成してもよい。モノマー型のp−キシリレン及び共重合化合物を混合した後、得られた生成物を、凝縮器にトラップしてもよい。少なくとも−30℃の温度(例えば−30℃から400℃の範囲)では、、このような混合物のほどんどが凝縮できる。凝縮器は、トラップを容易にする溶媒を含む。必要に応じて、トラップされた混合物は、三次物質と混合されてもよい。当該三次物質は、例えば、別のモノマー、反応物質又は不活性材料である。モノマー型のp−キシリレン及び共重合化合物を混合した後、得られた生成物は、電極に堆積させてもよい。電極の温度を制御して、堆積させる混合物の固体化を促進してもよい。モノマーを電極表面上に付与している間に、モノマーを急速冷却すると、モノマーの液体凝縮が生じて、モノマーのポリマーへの急速な重合が生じる。必要に応じて、堆積混合物が、光重合開始剤の光エネルギー、及び/又、は磁場及び/又は電場のような誘電率増強場に曝されてもよい。
[C.電極への高分子の結合]
ある実施形態では、第1電極、誘電体膜及び第2電極にわたる電場が印加される。有利には、電場は、直流電界である。第1電極が正電極として機能するように、また第2電極が負電極として機能するように、電場は印加される。電場強度は、誘電体膜の平均厚さに基づいて、100V/cmを超える大きさであってもよいし、又は、少なくとも0.001V/μmであってもよい。特定の実施形態では、電場強度は、0.005〜1V/μm、0.01〜1V/μm、0.1〜1V/μm又は0.4〜0.6V/μmである。
誘電体膜内の高分子の少なくとも一部を第1電極に結合させるのに有効な時間にわたり、電場が印加されてもよい。これにより、立体拘束型の誘電体膜が生成される。有効な時間は、電場強度に少なくとも部分的に基づき、1秒から数分の範囲であってよく、例えば、30秒から60分の範囲、5分から30分の範囲又は5分から15分の範囲であってよい。ある実施形態では、電場は0.005〜1V/μmであり、有効な時間は1秒から30分である。一実施形態では、20分にわたる0.005〜0.5V/μmの電場強度が、50%を超えるタンパク質分子を重合p−キシリレンを備える複合電極表面に結合させるのに有効である。別の実施形態では、5〜15分にわたる0.5〜1V/μmの電場強度が、90%を超えるタンパク質分子を重合p−キシリレンを備える複合電極表面に結合させるのに有効である。
ある実施形態では、導電性の第1電極、誘電体膜及び導電性の第2電極を組み立てた後、高分子の少なくとも一部を第1電極に結合させるために、化学剤によって第1電極が処理され、これにより、立体拘束型の誘電体膜が生成される。特定の実施形態では、第1電極、誘電体膜及び第2電極にわたる電場が印加され、誘電体膜が化学剤によって処理される。
一実施形態では、第1電極は複合電極であり、化学剤で誘電体膜を処理するステップは、絶縁層に誘電体膜を付与する前に絶縁層にラジカル開始剤を付与するステップと、その後、ラジカル開始剤を活性化させるステップとを含む。ラジカル開始剤を活性化させるステップでは、高分子の少なくとも一部が絶縁層に結合して、立体拘束型の誘電体膜が生成される。例示的なラジカル開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、ジクミルパーオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、カンファーキノン、フェナントレンキノン、それらの組み合わせ、及び、重合の当業者に公知な他のラジカル開始剤を含む。酸化還元、光開始剤、熱開始剤又は重合の当業者に公知な他の方法によって、ラジカル開始剤は活性化され、これにより、高分子の少なくとも一部が絶縁層に結合する。
独立した実施形態では、第1電極は複合電極であり、化学剤で誘電体膜を処理するステップは、誘電体膜の膜材料にラジカル活性剤を含ませるステップと、絶縁層に誘電体膜を付与した後に、ラジカル活性剤を活性化させるステップとを含む。
独立した実施形態では、第1電極は複合電極であり、化学剤で誘電体膜を処理するステップは、誘導化剤で高分子を誘導化して、複合電極である第1電極の絶縁層に架橋可能な官能基を生成するステップと、その後、ラジカル開始剤、紫外線、熱活性化又はそれらの組み合わせを用いて、絶縁層に官能基を架橋するステップとを含み、これにより、立体拘束型の誘電体膜が生成される。例示的な誘導化剤は、無水物、カルボジイミド、イミドエステル及び試薬を含み、当該試薬は、N−ヒドロキシマレイミド、アリールアジド又はジアジリン基の組み合わせを含むものである。ある実施形態では、誘導体化剤は、無水物であり、当該無水物は、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、又は、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物である。
独立した実施形態では、第1電極は複合電極であり、化学剤で誘電体膜を処理するステップは、絶縁層に誘電体膜を付与する前に、絶縁層の表面にプラズマを加えるステップを含む。プラズマは、高電圧「スパークプラズマ」に酸素とともにキャリアガス(例えば、窒素又はアルゴン)を通すことによって生成される。スパークにわたる電圧ドロップは、250kHZで、約100V〜1000Vである。或いは、高周波プラズマが、同様のガス混合物を使用してより低い電圧(例えば、13.6MHz及び<100V)で、生成され得る。プラズマは、p−キシレンを酸化するのに十分な長さ(例えば、2〜3ミリ秒間)持続する単原子酸素を生成する。誘電体膜の高分子は、プラズマと反応し、これにより、高分子の少なくとも一部が絶縁層に結合し、立体拘束型の誘電体膜が形成される。
化学剤で誘電体膜を処理する上述の実施形態の一以上が、組み合わされてもよい。例えば、高分子が、誘導体化剤で誘導化されてもよく、架橋剤が、誘電体膜に含まれてもよく、ラジカル開始剤が、誘電体膜に含まれてもよく、又は、誘電体膜を付与する前に絶縁層に付与されてもよく、さらにその後に活性化されてもよい。
[D.代替組み立て品の製造方法]
一実施形態では、図4に示すエネルギー貯蔵装置の製造方法は、金属化表面を有するポリマーの第1シート又はロールを提供するステップ(i)であって、第1シート又はロールは、金属化表面に本明細書で開示されるような絶縁層を備える。ここで、絶縁層は、金属化表面の端部が露出するように、金属化表面を完全にコーティングしないステップ(i)と;絶縁層に、本明細書で開示されるような誘電体膜を付与するステップ(ii)と;金属化ポリマーの第2シート又はロールを、誘電体膜に接触させるステップ(iii)であって、第2シート又はロールは、金属化表面を有し、金属化表面に絶縁層を備え、絶縁層は、金属化表面の端部が露出するように、金属化表面を完全にコーティングせず、絶縁層は絶縁体膜に接触し、第2シート又はロールのコーティングされない端部が第1シート又はロールのコーティングされない端部に近接するように、第2シート又はロールは配向され、複合多層表面が形成されるステップ(iii)と;複合多層表面をロール状に巻回するか、又は、複合多層表面の一部を切断及び積層して、積層構造を形成するステップ(iv)と;第1シート又はロール及び第2シート又はロールのコーティングされない端部を、導電性のキャップ又は電気接続部を有する非導電性のホルダ内に収容される導電性のポリマーに結合させるステップ(v)と;複合多層表面を、正電極及び負電極に電気的に接続させるステップ(vi)と;多層複合に電場を印加するステップ(vii)であって、電場は、誘電体膜の高分子の少なくとも一部が、第1シート若しくはロールの絶縁層、第2シート若しくはロールの絶縁層又はその両方に、結合するのに有効な時間にわたり印加されるステップ(vii)とを含む。
独立した実施形態では、図5及び図6に示すエネルギー貯蔵装置の製造方法は、本明細書に開示されるような絶縁層を備える上面を有する第1電極を、収納装置に設けるステップ(i)と、第1電極の絶縁層上に、穿孔非導電性セパレータシートを配置するステップ(ii)と、第2電極の絶縁層がセパレータに接触するように、セパレータシート上に、本明細書に開示されるような絶縁層を備える下面を有する第2電極を配置するステップ(iii)と、穿孔セパレートシート内のスペースを充填するように、かつ第1電極及び第2電極に接触するように、本明細書に開示されるような誘電体材料を加えるステップ(iv)と、高分子の少なくとも一部が第1電極の絶縁層に結合するのに有効な時間にわたり、第1電極、誘電体材料及び第2電極にわたって電場を印加することによって、高分子の少なくとも一部を第1電極の絶縁層に結合させるステップ(v)とを含む。
[IV.実施例]
<実施例1>
誘電体膜の調製
材料:
タンパク質/ポリマー/アミノ酸:ゼイン(Sigma-Aldrich CAS # 9010-66-6)、ヘンプタンパク質(Manitoba Harvest Hemp Foods, Winnipeg, Manitoba, Canada, Hemp Pro 70)、バイタル小麦グルテン(John & Jennie’s Gourmet Kitchen Center, Salt Lake City, UT, jandjkitchen.com)、ポリ(アクリル酸−co−マレイン酸)(Sigma-Aldrich CAS # 52255-49-9)、ポリ(アクリル酸)(Sigma-Aldrich CAS # 9003-01-4)、ホエイプロテイン単離物(Purebulk.com Lot # 20131025-07-1000g)、大豆タンパク質分離物(Honeyville Food Products, Honeyville, UT Item # 30-066-904)、ガンマアミノ酪酸(GABA)(Purebulk.com Lot # 20130722-01)、エンドウ豆タンパク質抽出物85%(Purebulk.com Lot # 20140226-06-1000g)、L−リシンHCL(Purebulk.com Lot#20131125-01-1000g)、L−セリン(Purebulk.com Lot#20130606-04)、L−グルタミン(Purebulk.com Lot#20130912)、L−トリプトファン(Purebulk.com Lot#20131015-04-100g)、L−チロシン(Purebulk.com Lot#20131016-08-1000g)、アスパラギン酸(Purebulk.com Lot#20130122-06)。
無水物:無水マレイン酸(Sigma-Aldrich CAS#108-31-6)、無水イタコン酸(Alfa Aesar CAS#2170-03-8)、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(Alfa Aesar CAS#935-795)、シス−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物(Alfa Aesar CAS#129-64-6)。
塩:炭酸グアニジン(Sigma-Aldrich CAS#593-85-1)、炭酸セシウム(Alfa Aesar CAS#534-17-8)、炭酸ストロンチウム(Sigma-Aldrich CAS#1633-05-2)、炭酸ルビジウム(Alfa Aesar CAS#584-09-8)。
溶媒:エタノール、エチレングリコール(Sigma-Aldrich CAS#107-21-1)。
例示的な誘電体の調製手順:50mL三角フラスコの中で、1gのセイン及び1.14gの無水イタコン酸を、アルゴン雰囲気下で、15分間攪拌しながら65℃に加熱することにより、10mLの無水エタノールに溶解した。完全な溶解が起こり、反応温度が65℃に達したら、ジクミルパーオキサイド0.035gを一度に加え、混合物をアルゴン下で1時間撹拌し続けた。ホットプレートの電源を切り、混合物を室温に冷却した。冷却後、混合物のpHをユニバーサル指示薬pH紙(pH〜3)で試験し、pHが約7になるまで、1グラムの炭酸グアニジンを少しずつ加えた。炭酸グアニジンを添加する際は、二酸化炭素の生成反応に起因する過度の沸騰(及び泡立ち)の回避を確実にするように、注意が払われた。多少のグアニジンカーボネートが、タンパク質/無水物の反応完了の程度に応じて中和を達成するために使用され得るが、典型的には、添加される無水物の1モル当量を大きく超えない。誘電体の最終pHは5〜10であってもよい。
注意:a)タンパク質には、グアニジン炭酸塩と反応できる固有の官能基がさらに含まれている。そのため、潜在的に1当量以上が必要である。b)使用した無水物の量は、ゼイン対無水マレイン酸(分子量98.06g/モル)の1:1重量/重量比に基づいて決定した。無水マレイン酸の分子量に基づいて、等モル当量の置換無水物(イタコン酸)を計算した。
<実施例2>
重合p−キシリレンコーティングの調製
コモノマーを有するPuralene(登録商標)ポリマー(重合p−キシリレン)およびコモノマーを有さないPuralene(登録商標)ポリマーを含むコーティングを、いくつかのルートで調製した。
材料:
開始剤:アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(Sigma-Aldrich CAS#78-67-1)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)(Sigma-Aldrich CAS#2094-98-6)、ジクミルペルオキシド(Sigma-Aldrich CAS番号80-43-3)、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(Sigma-Aldrich CAS#7473-98-5)、カンファーキノン(Sigma-Aldrich CAS#10373-78-1)、フェナントレンキノン(Sigma-Aldrich CAS# 84-11-7)。
開始源:反応器の出口に取り付けた加熱蒸発器ブロックからの熱(>65℃)、254nm光(Philips TUV 15W G15t8 UV-Cロングライフ)、354nm光(Sylvania 350 Blacklight F15T8 / 350BL)。
コモノマー:3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(Sigma-Aldrich CAS#2530-85-0)、酢酸ビニル(Alfa Aesar CAS#108-05-4)、2−カルボキシエチルアクリレート(Sigma-Aldrich CAS#24615- 847)、(+)−α−ピネン(Alfa Aesar CAS#7785-70-8)、(−)−α−ピネン(Alfa Aesar CAS#7785-26-4)、R−(−)−カルボン(Alfa Aesar CAS#6485-40-1)、リナロール(Alfa Aesar CAS#78-70-6)、シクロヘキセン(Alfa Aesar CAS#110-83-8)、ジペンテン(Alfa Aesar CAS#138-86-3)、α−テルピネン(Alfa Aesar CAS#99-86-5)、R−(+)−リモネン(Alfa Aesar CAS#5989-27-5)。
化学開始剤を用いたPuralene(商標)ポリマー製造(ルートA):このルートは、米国特許第8,633,289号に記載された反応器を改変することなく利用した。11/2”角のFR4ガラス充填エポキシ基板によって支持された酸化物を含まない丸い銅1/2”基板に、熱開始剤の5%溶液を塗布した。この溶液は、0.05gの固体開始剤(AIBN、ACHN又はジクミルペルオキシド)を10mLの無水エタノールに溶解し、完全/ほぼ完全に溶解するまで超音波処理することによって調製した。溶解させた時点で、開始剤溶液20μLを金属表面に塗布し、溶媒を周囲の雰囲気下で蒸発させた。このプロセスは、金属表面上に微粒子の開始剤固体の薄い層を残した。これらの基板は、ロボットアームに取り付けられた冷却アルミニウムブロック(約13℃)に取り付けられた。次いで、基材をp−キシリレンモノマーで少なくとも3回、最大で10回コーティングした。コーティング間で、基材を2分間冷却ブロック上に置いて化学反応を促進させた。これにより、300nm〜1000nmの範囲の厚さを有する重合p−キシリレンのコンフォーマルなコーティングが生成された。
化学開始剤を用いたプラーレン(Puralene)(登録商標)ポリマー製造(ルートB):このルートは、米国特許第8,633,289号に記載された反応器を改変することなく利用した。先に記載した酸化物を含まない銅基板の表面に、UV活性開始剤の5%溶液を塗布した。この溶液は、0.05gの固体開始剤(カンファーキノン又はフェナントレンキノン)を10mLの無水エタノールに溶解し、完全/ほぼ完全に溶解するまで超音波処理することによって調製した。溶解させて時点で、開始剤溶液20μLを金属表面に塗布し、溶媒を周囲の雰囲気下で蒸発させた。このプロセスは、金属表面上に微粒子の開始剤固体の薄い層を残した。次に、これらの基材を、ロボットアームに取り付けられた冷却アルミニウムブロック(約13℃)に取り付けた。次いで、基板をp−キシリレンで少なくとも3回、最大10回、均一にコーティングした。コーティング間で、基材を、同一ハウジング内に並べて配置した2つのランプを用いて、2分間、254/350nmのUV光に露光した。照射後、さらに2分間、基板を冷却ブロック上に置いて化学反応を促進させた。これにより、300nm〜1000nmの範囲の厚さを有する重合p−キシリレンのコンフォーマルなコーティングが生成された。
化学開始剤を用いたPuralene(登録商標)ポリマー製造(ルートC):このルートは、米国特許第8,633,289号に記載されている反応器を以下の変更を用いて利用した:インコネル反応管の上部に窒素(キャリアガス)及び2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(UV活性開始剤、未希釈)を供給した加熱ステンレス鋼蒸発器ブロックを取り付けた。次いで、上記の酸化物を含まない銅基板を、ロボットアームに取り付けられた冷却アルミニウムブロック(約13℃)に取り付けた。次いで、基板をp−キシリレンで少なくとも3回、最大10回、均一にコーティングした。コーティング間で、基材を、同一ハウジング内に並べて配置した2つのランプを用いて、2分間、254/350nmのUV光に露光した。照射後、さらに2分間、基板を冷却ブロック上に置いて化学反応を促進させた。これにより、300nm〜1000nmの範囲の厚さの重合ポリキシレンのコンフォーマルコーティングが生成された。
Puralene(登録商標)コポリマー製造(ルートA):先に記載した酸化物を含まない銅電極の表面に、5%の(上述の)開始剤溶液5μL又は純粋な2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン5μL及び上記のコモノマーの1つを塗布した。基材をわずかに乾燥させて、基材を垂直に取り付けたときに液体材料が表面から垂れ落ちないようにした。次いで、調製した基材を、上記のPuralene(登録商標)ポリマー調製のルートA〜C(開始剤に依拠)に記載の方法を用いてコーティングした。これにより、エネルギー分散型X線分光法を用いて分析することができる様々な厚さのコポリマーフィルムが生成された。
Puralene(登録商標)コポリマー製造(ルートB):先に記載した酸化物を含まない銅電極の表面に、5%(上述の)開始剤溶液20μL又は純粋な2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン20μLを塗布した。キャリア溶媒が蒸発した後、基材を取り付けた。コーティング前に、エアブラシを用いて基材表面に液体コモノマーを塗布した。次に、化学開始剤を用いたPuralene(登録商標)ポリマー製造(ルートA)に記載されているコーティング技術を用いた。
Puralene(登録商標)コポリマー製造(ルートC):このルートは、米国特許第8,633,289号に記載されている反応器を以下の変更を用いて利用した:インコネル反応管の上部に、窒素(キャリアガス)及び(希釈されていない)液体コモノマーを供給した加熱ステンレス鋼蒸発器ブロックを取り付けた。先に記載した酸化物を含まない銅電極の表面に、5%(上述の)開始剤溶液20μL又は純粋な2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン20μLを塗布した。キャリア溶媒が蒸発した後、基板を冷却ブロックに取り付けた。このプロセスでは、コモノマーを蒸発器ブロック内で気化させ、モノマー特有の沸点温度で加熱し、蒸発したモノマーを主p−キシリレン流に添加して、モノマーとキシリレンの両方を同時に基板表面に塗布した。次いで、調製した基材を、上記Puralene(登録商標)ポリマー製造(ルートA−C)(開始剤に依拠)に記載の方法を用いてコーティングした。
Puralene(登録商標)コポリマー製造(ルートD):このルートは、米国特許第8,633,289号に記載されている反応器を以下の変更を用いて利用した:インコネル反応管の上部に、窒素(キャリアガス)及び(希釈されていない)液体コモノマーを供給した加熱ステンレス鋼蒸発器ブロックを取り付けた。窒素及び液体開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン)を送出するために、第2蒸発器ブロックをその上部に配置した。このプロセスでは、コモノマーと開始剤の両方を気化させ、p-キシリレン流に入れ、3つの材料全てが同時に基板に接触するようにした。酸化物を含まない銅基板を冷却ブロック上に載せ、化学開始剤を用いた蒸気Puralene(登録商標)ポリマー製造(ルートC)に記載の方法を用いてコーティングした。
<実施例3>
エネルギー貯蔵装置の製造
金属化ポリマーのシート又はロール、例えばパターン化アルミニウム化ポリエチレンテレフタレート(PET)(Mylar(登録商標)ポリエステル膜)は、米国特許出願公開第2014/0139974号明細書に記載されるようなPuralene(商標)ポリマーを備える含むコーティング等の絶縁層によって、コーティングされる。ある実施形態では、金属化ポリマーのシート又はロールは、約6μmの厚さ及び約50mmの幅を有する。非導電性コーティングが、金属化表面に塗布されるが、表面を完全にコーティングすることはできない。約6mmのベア導電性表面が1つの端部に露出したままとなる。その後、コーティングされた金属化材料は、米国特許出願公開第2013/0224397号明細書等に記載されている誘電体材料のスプレーによって、非導電性ポリマー表面上にコーティングされる。60℃で10分間乾燥させた後、約100μmの厚さを有する誘電体層を設けるのに十分な誘電体材料を堆積させる。第1基板と同様の方法で、非導電性ポリマーでコーティングされた金属化ポリマーのシート又はロールは、コーティングされていない端部が第1基板のコーティングされていない端部に対向し、2つのアルミメッキされた表面が互いに向き合うように反転される。第2基板のポリマーコーティング側は、第1基板の誘電コーティング側と接触する。その後、複合多層表面をロール状に巻回するか(その後に平坦化してもよい)、又は、プレートとして積層して、より大きなエネルギー貯蔵量を有するより大きな装置を得る。ロール又は積層体のコーティングされていない電極端部への電気接続部は、導電性の電極端部を導電性ポリマーブレンド(当業者に公知の導電性エポキシ等)に接合することで設けられる。導電性ポリマーは、機械的に実質的な導電性キャップに収容されるか、又は、他の非導電性ホルダ内に収容される。当該他の非導電性ホルダは、ワイヤ等の電気接続部及び/又は圧縮電気接続部を可能にするのに十分な機械的強度を有するものである。任意のスリーブを装置全体に配置して、薄膜及び装置自体を、意図した使用の際に、機械的及び電気的に保護することができる。
エネルギー貯蔵装置は、DC電圧供給源に接続される。当該装置には、0.001〜100mA/cmの電流が供給される。誘電体膜の厚さ1ミクロン当たり0.001Vより大きい電界強度で、誘電体膜の高分子少なくとも一部を非導電性コーティングに結合させるのに有効な時間、電流を流すことが可能である。ある実施形態では、電界強度は、0.01V/μmより大きく、例えば0.05〜1V/μm又は0.1〜1V/μmである。有効な時間は、数秒から数分であってよい。ある実施形態では、電圧は0.1〜1V/μmであり、有効な時間は5分〜30分である。装置によって吸収されるエネルギーの計算は、エネルギー貯蔵装置を製造する当業者に公知の方法によって決定される。吸収されたエネルギーの放電は、抵抗を介して接地への放電の差電圧の積分によって決定される。
実施例では、装置の分解及び顕微鏡検査により、誘電体材料が、非導電性ポリマーコーティング電極表面に強く、かつ機械的に結合されていることが明らかになった。
<実施例4>
ラジカル開始剤及び架橋剤によるコポリマー層の調製
図1から図6の何れか1つに示されるエネルギー貯蔵装置では、除去可能なキャリア膜として機能する導電性電極又は非導電性シート(例えば、ポリテトラフルオロエチレンシート)上に、モノマー分子(好ましくはp−キシリレンモノマー)が堆積される。コモノマー分子は、任意の分子であってよく、当該任意の分子は、重合体化、二量体化、又は、導電性又は絶縁性であり得る伸長構造を形成する能力を有してよい。さらに、加えられるコモノマー種は、架橋剤として役立ち得る幾つかの反応性官能基を有する構造を有してもよい。或いは、上述の架橋剤が、又は、重合若しくは膜形成の当業者に公知の架橋剤が、堆積モノマーとともに加えられてもよい。上述のラジカル開始剤が、又は、重合若しくは膜形成の当業者に公知のラジカル開始剤が、堆積モノマーとともに又は別個の堆積工程で、加えられる。膜は、気相蒸着、液体スプレー、スクリーニング又は膜形成の当業者に公知の他の方法によって堆積されてもよい。ラジカル開始剤の活性化は、酸化還元、光開始剤、熱開始剤又は膜形成の当業者に公知の他の方法によって実行される。ポリマー膜を作製する例示的な方法は、米国特許第8,633,289号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。膜の機械的特性及び電気的特性を改変するために、例えば膜をより粘稠又は固くするために、形成中に、電界、磁界又はその両方が、ポリマー膜に印加されてもよい。
次いで、誘電層は、上に形成された膜が装置用の完全な誘電体材料でない場合、別個の工程として堆積されてもよい。その後、先の実施例で説明したように対向電極が加えられ、上述のように装置が取り付けられる。
<実施例5>
ポリマーの結合
Puralene(登録商標)ポリマーの絶縁層を、「化学開始剤を用いたPuralene(登録商標)ポリマー製造(ルートC)」に記載の方法を用いて第1電極表面に塗布した。ゼインを備える誘電体膜を、絶縁層上に付与した。Puralene(登録商標)ポリマーの絶縁層を備える第2電極を、誘電体膜に接触させた。第1電極(正電極)上の絶縁層にゼインポリマーを結合させるために、20Vの電界を5分間、第1電極、誘電体膜及び第2電極に印加した。エネルギー貯蔵装置を分解し、タンパク質結合の程度及び強度を決定するために検査した。
図7及び図8は、分解後の、負電極及び正電極のそれぞれの光学顕微鏡写真である。図8から分かるように、正電極は、その表面に、コンフォーマルにコーティングされたタンパク質を含む。電極を流水で濯ぎ、再度検査した。図9及び図10は、濯いだ後の、負電極及び正電極のそれぞれの光学顕微鏡写真である。図10から分かるように、タンパク質は、正電極の表面に結合したままである。
図11及び図12は、負電極及び正電極のそれぞれの光学顕微鏡写真である。これらの写真は、表面の詳細をより明確に示すアングルで撮影された。図12は、タンパク質分子で実質的に完全にコーティングされた電極表面を示す。図13は、誘電体膜を手動でナイフによって削った後の濯がれた正極の光学写真である。より明るい領域(矢印で示す)は、結合されたタンパク質分子を除去するために擦られた領域であり、タンパク質層の下の電極表面を示す。この写真は、結合したタンパク質分子を電極表面から除去するためには、かなりの力が必要であることを示す。
開示の発明の原理が適用され得る多くの可能な実施形態の観点から、図示の実施形態は、本発明の好ましい実施例であり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことが認識されるべきである。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。従って、特許請求の範囲及びその要旨の範囲内にあるすべてを発明として主張する。

Claims (18)

  1. 導電性の第1電極に第1絶縁層を付与して、第1複合電極を形成するステップ(前記第1絶縁層は、重合p−キシリレン、またはp−キシリレンと、アクリレート、メタクリレート、α−ピネン、R−(−)カルボン、リナロール、シクロヘキセン、ジペンテン、α−テルピネン、R−(+)−リモネンもしくはそれらの組み合わせから選択される一以上のコモノマーとから調製されるコポリマーを含む)と、
    膜材料を含む誘電体膜を、前記第1複合電極の第1絶縁層に付与するステップであって、当該膜材料は、(i)電気絶縁性及び/又は高誘電率を示し、(ii)一以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを有する複数の高分子を含む、ステップと、
    前記誘電体膜を、第2複合電極に接触させるステップ(前記第2複合電極は、第2絶縁層を含み、当該第2複合電極の前記第2絶縁層が前記誘電体膜に接触するように配置されており、前記第2絶縁層は、重合p−キシリレン、またはp−キシリレンと、アクリレート、メタクリレート、α−ピネン、R−(−)カルボン、リナロール、シクロヘキセン、ジペンテン、α−テルピネン、R−(+)−リモネンもしくはそれらの組み合わせから選択される一以上のコモノマーとから調製されるコポリマーを含む)と、
    立体拘束型の誘電体膜を形成するために、前記高分子の少なくとも1%を前記第1複合電極に結合させるステップと、を含み、
    前記結合させるステップは、
    前記第1複合電極が正電極となるように、前記高分子の少なくとも1%が前記第1複合電極の第1絶縁層に結合するのに有効な時間にわたり、前記第1複合電極、前記誘電体膜及び前記第2複合電極にわたって電場を印加するステップ(i)、
    化学剤で前記誘電体膜を処理するステップ(ii)、又は、
    前記ステップ(i)及び前記ステップ(ii)を組み合わせたステップ(iii)、
    により行われる、エネルギー貯蔵装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法であって、前記電場は、前記誘電体膜の平均厚さに基づき、少なくとも0.001V/μmである、製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法であって、前記電場は、0.005〜1V/μmであり、前記有効な時間は、1秒から30分である、製造方法。
  4. 請求項に記載の製造方法であって、前記絶縁層は、重合p−キシリレンを含む、製造方法。
  5. 請求項又はに記載の製造方法であって、
    前記結合させるステップは、前記有効な時間にわたり、前記第1複合電極、前記誘電体膜及び前記第2複合電極にわたって前記電場を印加するステップを含み、これにより、前記高分子の少なくとも1%が前記第1複合電極の前記第1絶縁層に結合する、製造方法。
  6. 請求項又はに記載の製造方法であって、前記化学剤で前記誘電体膜を処理するステップは、
    前記第1絶縁層に前記誘電体膜を付与する前に、前記第1絶縁層にラジカル開始剤を付与するステップと、
    前記第1絶縁層に前記誘電体膜を付与した後に前記ラジカル開始剤を活性化させて、これにより、前記高分子の少なくとも1%を前記第1複合電極の前記第1絶縁層に結合させるステップと、を含む、製造方法。
  7. 請求項又はに記載の製造方法であって、前記化学剤で前記誘電体膜を処理するステップは、
    誘導化剤で前記高分子を誘導化して、前記第1複合電極の前記第1絶縁層に架橋可能な官能基を生成するステップ(i)、
    前記誘電体膜の前記膜材料に架橋剤を含ませるステップ(ii)、
    前記誘電体膜の前記膜材料にラジカル開始剤を含ませて、前記誘電体膜を前記第1絶縁層に付与した後に前記ラジカル開始剤を活性化させるステップ(iii)、
    前記誘電体膜を前記第1絶縁層に付与する前に前記第1絶縁層にラジカル開始剤を付与し、前記誘電体膜を前記第1絶縁層に付与した後に前記ラジカル開始剤を活性化させるステップ(iv)、
    前記誘電体膜を前記第1絶縁層に付与する前にプラズマを前記第1絶縁層に印加するステップ(v)、又は、
    前記ステップ(i)、前記ステップ(ii)、前記ステップ(iii)、前記ステップ(iv)、前記ステップ(v)の何れかを組み合わせたステップ(vi)、を含む、製造方法。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の製造方法であって、前記高分子は、タンパク質、パリレン、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、ポリエチレングリコール、ウレタンポリマー、エポキシポリマー、シリコーンポリマー、テルペノイドポリマー、天然樹脂ポリマー、ポリイソシアネート又はそれらの組み合わせを含む、製造方法。
  9. 請求項1〜7の何れか一項に記載の製造方法であって、前記高分子は、タンパク質又は誘導化タンパク質を含む、製造方法。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の製造方法であって、前記誘電体膜を前記第1複合電極の前記第1絶縁層に付与するステップは、
    除去可能なキャリア膜上に前記誘電体膜を形成するステップと、
    前記除去可能なキャリア膜を除去するステップと、
    前記誘電体膜を前記第1複合電極の前記第1絶縁層に付与するステップと、を含む、製造方法。
  11. 請求項1〜9の何れか一項に記載の製造方法であって、前記高分子はインサイチュで形成され、前記製造方法は、
    架橋剤及び複数の高分子前駆体を含む組成物を前記第1複合電極の前記第1絶縁層に付与するステップと、
    前記架橋剤を活性化させて、これにより、前記高分子前駆体を架橋させて、複数の高分子を備える誘電体膜を生成するステップと、をさらに含み、
    前記高分子前駆体は、一以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを含む、製造方法。
  12. 請求項11に記載の製造方法であって、前記高分子前駆体は、(i)アミノ酸分子、(ii)オリゴペプチド、(iii)ポリペプチド又は(iv)それらの組み合わせを含む、製造方法。
  13. 請求項11に記載の製造方法であって、前記高分子前駆体は、p−キシリレンモノマーをさらに含む、製造方法。
  14. エネルギー貯蔵装置であって、
    導電性の第1電極と、
    導電性の第2電極と、
    前記導電性の前記第1電極と前記導電性の前記第2電極との間に配置され立体拘束の誘電体膜と、
    前記導電性の第1電極および前記立体拘束型の誘電体膜の間に配置された第1絶縁層と、前記導電性の第2電極および前記立体拘束型の誘電体膜の間に配置された第2絶縁層と、を備え、
    前記立体拘束の誘電体膜は、一以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを有する複数の高分子を含み、前記エネルギー貯蔵装置は、前記エネルギー貯蔵装置が充電及び/又は放電されていない場合、前記導電性の第1電極と前記第2電極との間に配置された前記立体拘束型の誘電体の重量のみに基づいて、少なくとも1Wh/kgのエネルギー貯蔵容量を有し、
    前記第1絶縁層と前記第2絶縁層のそれぞれは、重合p−キシリレン、またはp−キシリレンと、アクリレート、メタクリレート、α−ピネン、R−(−)カルボン、リナロール、シクロヘキセン、ジペンテン、α−テルピネン、R−(+)−リモネンもしくはそれらの組み合わせから選択される一以上のコモノマーとから調製されるコポリマーを含み、
    前記導電性の第1電極および前記第1絶縁層は、第1複合電極を形成し、
    前記導電性の第2電極および前記第2絶縁層は、第2複合電極を形成し、
    前記複数の高分子の少なくとも1%が、前記第1絶縁層に結合している、エネルギー貯蔵装置。
  15. 請求項14に記載のエネルギー貯蔵装置であって、前記高分子は、タンパク質分子である、エネルギー貯蔵装置。
  16. 請求項14に記載のエネルギー貯蔵装置であって、前記エネルギー貯蔵装置は、エネルギー貯蔵装置(当該エネルギー貯蔵装置は、前記エネルギー貯蔵装置の前記誘電体膜と実質的に同じ化学組成を有する誘電体膜を含むが、前記高分子が前記第1複合電極の前記第1絶縁層に結合していない)のエネルギー貯蔵容量よりも、少なくとも100倍大きいエネルギー貯蔵容量を有する、エネルギー貯蔵装置。
  17. 請求項14又は16に記載のエネルギー貯蔵装置であって、前記立体拘束型の誘電体膜は、一以上の、極性官能基、イオン化可能な官能基又はそれらの組み合わせを有する複数の高分子を含み、かつ当該高分子が前記第1複合電極の前記第1絶縁層に結合していない誘電体膜の誘電率よりも、50%〜10,000,000%大きい誘電率を有する、エネルギー貯蔵装置。
  18. 請求項14〜17の何れか一項に記載のエネルギー貯蔵装置であって、前記高分子が前記第1複合電極の表面の少なくとも1%に結合するように、前記高分子の少なくとも1%が、前記立体拘束型の誘電体膜に接触している前記第1複合電極の表面に結合している、エネルギー貯蔵装置。
JP2017528416A 2014-12-17 2015-12-15 エネルギー貯蔵装置 Active JP6689851B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US14/574,175 2014-12-17
US14/574,175 US10199165B2 (en) 2012-08-30 2014-12-17 Energy storage device
PCT/US2015/065677 WO2016100260A2 (en) 2014-12-17 2015-12-15 Energy storage device

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018503243A JP2018503243A (ja) 2018-02-01
JP6689851B2 true JP6689851B2 (ja) 2020-04-28

Family

ID=55069157

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017528416A Active JP6689851B2 (ja) 2014-12-17 2015-12-15 エネルギー貯蔵装置

Country Status (8)

Country Link
EP (1) EP3234969A2 (ja)
JP (1) JP6689851B2 (ja)
KR (1) KR102561229B1 (ja)
CN (1) CN107004505B (ja)
AU (1) AU2015362772B2 (ja)
SG (1) SG11201704406WA (ja)
TW (1) TWI713060B (ja)
WO (1) WO2016100260A2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11569036B2 (en) 2017-10-09 2023-01-31 Hitachi Energy Switzerland Ag Dielectric film and power capacitor comprising dielectric film
CN108962595A (zh) * 2018-07-18 2018-12-07 清华大学 一种高性能高温电容器薄膜的规模化制备方法
CN108922778A (zh) * 2018-07-18 2018-11-30 清华大学 一种具有无机/有机层状结构的高性能电容器薄膜结构
CN114181375B (zh) * 2021-11-25 2023-10-13 五邑大学 一种交联型醌类聚合物及其制备方法与应用

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62190828A (ja) * 1986-02-18 1987-08-21 松下電器産業株式会社 金属化フイルムコンデンサの製造方法
JP4882457B2 (ja) * 2006-03-31 2012-02-22 富士通株式会社 薄膜キャパシタおよびこれを有する半導体装置
US7990679B2 (en) * 2006-07-14 2011-08-02 Dais Analytic Corporation Nanoparticle ultracapacitor
JP2008211060A (ja) * 2007-02-27 2008-09-11 Fujifilm Corp 金属膜付基板の製造方法
US8940850B2 (en) * 2012-08-30 2015-01-27 Carver Scientific, Inc. Energy storage device
US9011627B2 (en) 2007-10-05 2015-04-21 Carver Scientific, Inc. Method of manufacturing high permittivity low leakage capacitor and energy storing device
US8633289B2 (en) 2011-08-31 2014-01-21 Carver Scientific, Inc. Formation of [2,2]paracyclophane and related compounds and methods for the formation of polymers from cyclophanes
JP2011029442A (ja) * 2009-07-27 2011-02-10 Daikin Industries Ltd フィルムコンデンサ用フィルム、該フィルムを用いたフィルムコンデンサ、該フィルム及びフィルムコンデンサの製造方法
JP5734069B2 (ja) * 2011-04-13 2015-06-10 小島プレス工業株式会社 フィルムコンデンサ素子及びフィルムコンデンサ並びにフィルムコンデンサ素子の製造方法
JP5558446B2 (ja) * 2011-09-26 2014-07-23 株式会社東芝 光電変換装置及びその製造方法
CN103578747A (zh) * 2012-08-09 2014-02-12 深南电路有限公司 一种内置电容及其制备方法
US20140210836A1 (en) * 2013-01-28 2014-07-31 Qualcomm Mems Technologies, Inc. Layer for reduced charge migration between mems layers
US20140295101A1 (en) * 2013-03-29 2014-10-02 Carver Scientific, Inc. High permittivity low leakage capacitor and energy storing device
CA2908178C (en) * 2013-04-05 2023-04-04 Carver Scientific, Inc. Energy storage device

Also Published As

Publication number Publication date
KR20170095962A (ko) 2017-08-23
CN107004505B (zh) 2020-01-03
SG11201704406WA (en) 2017-07-28
CN107004505A (zh) 2017-08-01
AU2015362772B2 (en) 2020-11-12
JP2018503243A (ja) 2018-02-01
WO2016100260A2 (en) 2016-06-23
AU2015362772A1 (en) 2017-06-15
KR102561229B1 (ko) 2023-07-28
TW201640536A (zh) 2016-11-16
WO2016100260A3 (en) 2017-02-09
TWI713060B (zh) 2020-12-11
EP3234969A2 (en) 2017-10-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10199165B2 (en) Energy storage device
JP6689851B2 (ja) エネルギー貯蔵装置
Li et al. Contributions of different functional groups to contact electrification of polymers
Thakur et al. Green aqueous modification of fluoropolymers for energy storage applications
Ward et al. Atmospheric pressure plasma deposition of structurally well-defined polyacrylic acid films
Mackie et al. Characterization of pulsed-plasma-polymerized aromatic films
CN104053689A (zh) 聚(偏氟乙烯)系聚合物和至少一种类型的导电聚合物的接枝共聚物,以及形成该接枝共聚物的方法
US9899846B2 (en) Entropic energy transfer methods and circuits
EP3235092B1 (en) Entropic energy transfer methods and circuits
Sarra-Bournet et al. Effects of chemical composition and the addition of H2 in a N2 atmospheric pressure dielectric barrier discharge on polymer surface functionalization
Silverman et al. Molecular orbital analysis of the XPS spectra of PMDA‐ODA polymide and its polyamic acid precursor
JPH0548411B2 (ja)
WO2020082679A1 (zh) 一种环氧纳米涂层及其制备方法
Fahmy et al. Reaction of CO2 Gas with (radicals in) Plasma‐Polymerized Acrylic Acid (and Formation of COOH‐Rich Polymer Layers)
Zhang et al. Low-temperature plasma polymerized fluorocarbon coating promotes surface charge dissipation in polystyrene
Fahmy et al. Structure of plasma poly (acrylic acid): influence of pressure and dielectric properties
Malcolm Studies of synthetic polypeptide‐water interactions using monolayer techniques
Todros et al. Interplay between chemical structure and ageing on mechanical and electric relaxations in poly (ether-block-amide) s
JP2012124434A (ja) 圧電・焦電素子用多孔質樹脂シート及びその製造方法
Kang et al. Surface modification and functionalization of polytetrafluoroethylene films via graft copolymerization
Fraser et al. Plasmachemical double click thiol–ene reactions for wet electrical barrier
GB2596926A (en) New and improved substrates for Raman spectroscopy
Tortai et al. Insulating properties of some liquids after an electrical arc
WO2008050122A2 (en) A method for producing surfaces and substrates having said surfaces so formed
Amarnath et al. Direct polymerized polyaniline nanostructures on modified indium-tin oxide surface for electrochemical supercapacitors

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190809

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190827

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191127

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20191127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200317

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200408

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6689851

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250