以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、加工物作製装置100を示す平面図である。以下の説明では、加工物作製装置100を正面(第2領域21b側)から見たときに、加工物作製装置100から遠ざかる方を前方、近づく方を後方とする。また、左、右、上、下とは、加工物作製装置100を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、加工物作製装置100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。また、図面中の符号Xは主走査方向を示している。主走査方向Xは、左右方向である。符号Yは、副走査方向Yを示している。ここでは、副走査方向Yは、主走査方向Xと平面視において直交している。副走査方向Yは、前後方向である。符号Zは、高さ方向、すなわち、上下方向を示している。ただし、主走査方向X、副走査方向Yおよび高さ方向Zは特に限定されず、加工物作製装置100の形態に応じて適宜に設定可能である。本実施形態では、副走査方向Yが本発明の「第1方向」および「第4方向」に対応し、主走査方向Xが本発明の「第2方向」および「第3方向」に対応する。
本実施形態に係る加工物作製装置100は、図1に示すように、被加工物5に対して、印刷、箔押し、および、切断を行うことによって、所望の加工物を作製する装置である。加工物作製装置100では、1つの装置で、被加工物5に対して、印刷、箔押し、および、切断を行うことが可能である。
被加工物5は、立体物である。被加工物5は、例えば、スマートフォンケースの材料となるものである。被加工物5に対して、印刷、箔押し、および、切断を行うことによって、スマートフォンケースが作製される。例えば、被加工物5は、樹脂によって形成されたものである。しかしながら、被加工物5を形成する材料の種類は特に限定されない。
加工物作製装置100は、ベース部11を備えている。図2は、ベース部11の概念図である。図2に示すように、ベース部11は、加工物作製装置100の土台となる部材である。ベース部11の形状は特に限定されないが、例えば、ベース部11は、水平方向に延びた板状の部材である。本実施形態では、ベース部11上において、被加工物5に対して、印刷、箔押し、および切断が行われる。ここでは、印刷、箔押し、および切断が行われる領域のことを作製領域21と称する。ここでは、ベース部11は、第1領域21aと、第2領域21bとを有している。第1領域21aは、被加工物5に対して印刷を行う領域であり、いわゆる印刷領域である。第2領域21bは、被加工物5に対して、箔押しおよび切断を行う領域である。第1領域21aは、第2領域21bの後方に位置する領域である。ただし、第1領域21aと第2領域21bの位置は特に限定されない。例えば、第1領域21aは、第2領域21bの前方に位置していてもよいし、第2領域21bの左方または右方に位置していてもよい。このように、本実施形態では、印刷は、箔押しおよび切断とは別の領域で行われ、箔押しと、切断とは同じ領域で行われる。
図3は、図1のIII−III断面における断面図である。図4は、第1キャリッジ34、インクヘッド36および紫外線照射ランプ38a、38bを模式的に示した正面図である。図5は、加工物作製装置100のブロック図である。次に、印刷を行う領域である第1領域21aに配置される部材および機構などについて説明する。図1に示すように、加工物作製装置100は、第1ガイドレール32と、第1キャリッジ34と、インクヘッド36(図4参照)と、紫外線照射ランプ38aおよび38bと、第1ヘッド駆動機構44とを備えている。
第1ガイドレール32は、インクヘッド36における主走査方向Xへの移動をガイドするものである。第1ガイドレール32は、第1領域21aにおいて、主走査方向Xに延びている。本実施形態では、ベース部11の領域のうち第1領域21a内の前部には、ベース部11から上方に延びた第1支持部材41が設けられている。第1支持部材41は、ベース部11に対して固定されている。第1支持部材41は、主走査方向Xに延びた部材である。図3に示すように、第1支持部材41の中央部分の下部には、後述するテーブル50が通過する通過孔41aが形成されている。ここでは、第1ガイドレール32は、図1に示すように、第1支持部材41の前面に支持されている。第1ガイドレール32は、第1支持部材41を介して、ベース部11に固定されている。
第1キャリッジ34は、インクヘッド36(図4参照)および紫外線照射ランプ38aおよび38bを主走査方向Xに搬送するものである。第1キャリッジ34は、第1ガイドレール32に摺動自在に設けられている。第1キャリッジ34は、第1ガイドレール32に係合している。第1キャリッジ34は、第1ガイドレール32に沿って主走査方向Xへの移動が可能である。図4に示すように、第1キャリッジ34には、インクヘッド36が設けられている。
本実施形態では、複数のインクヘッド36が第1キャリッジ34に設けられている。ここでは、インクヘッド36の数は「6」であるが、インクヘッド36の数は特に限定されない。複数のインクヘッド36は、主走査方向Xに並んで配置されている。インクヘッド36は、被加工物5に向かって紫外線硬化インクを吐出するものである。詳しくは、図示は省略するが、インクヘッド36の裏面には、複数のノズルが形成されている。インクヘッド36では、このノズルから下方に向かって紫外線硬化インクが吐出される。ここで、「紫外線硬化インク」とは、紫外線を照射させることによって硬化するインクのことである。以下の説明において、紫外線硬化インクのことを単に「インク」とも称する。
図示は省略するが、複数のインクヘッド36には、それぞれインクカートリッジ39(図1参照)が接続されている。ここでは、インクヘッド36と、インクカートリッジ39とは、インクチューブ(図示せず)によって接続されている。図1に示すように、インクカートリッジ39は、複数設けられており、それぞれ色が異なるインクが収容されている。そのため、複数のインクヘッド36からそれぞれ異なるインクが吐出される。本実施形態では、ベース部11の左後部であって、第1領域21aの左後部には、インクカートリッジ収容部42が設けられている。インクカートリッジ収容部42は、第1ガイドレール32よりも左方に設けられている。ただし、インクカートリッジ収容部42の位置は特に限定されない。例えば、インクカートリッジ収容部42は、第1支持部材41と一体となっていてもよい。複数のインクカートリッジ39は、インクカートリッジ収容部42に収容されている。
本実施形態では、図4に示すように、第1キャリッジ34には、紫外線照射ランプ38aおよび38bが設けられている。紫外線照射ランプ38aおよび38bは、インクヘッド36から吐出されたインクを硬化させる紫外線を発するものである。紫外線照射ランプ38aおよび38bは、被加工物5に吐出された紫外線硬化インクを硬化させる。ここでは、紫外線照射ランプ38aは、第1キャリッジ34の左部であって、インクヘッド36よりも左方に配置されている。紫外線照射ランプ38bは、第1キャリッジ34の右部であって、インクヘッド36よりも右方に配置されている。紫外線照射ランプ38aおよび38b、複数のインクヘッド36は、主走査方向Xに並ぶように配置されている。
第1キャリッジ34、インクヘッド36および紫外線照射ランプ38a、38bは、一体となって、第1ガイドレール32に沿って主走査方向Xに移動する。本実施形態では、図1に示すように、第1キャリッジ34には、第1ヘッド駆動機構44が接続されている。第1ヘッド駆動機構44は、第1キャリッジ34を第1ガイドレール32に沿って主走査方向Xに移動させる機構である。第1ヘッド駆動機構44が駆動することによって、第1キャリッジ34の主走査方向Xへの移動に伴い、インクヘッド36、紫外線照射ランプ38aおよび38bは、主走査方向Xに移動する。なお、第1ヘッド駆動機構44の種類は特に限定されない。例えば、第1ヘッド駆動機構44は、モータおよびカム機構などによって構成されている。
次に、図1に示すように、第1領域21aから第2領域21bに移動可能なテーブル50およびテーブル50に関連した部材および機構について説明する。本実施形態では、加工物作製装置100は、テーブル50と、吸引装置55(図3参照)と、第1テーブル移動機構51と、第2テーブル移動機構52(図3参照)とを備えている。
テーブル50は、被加工物5に対して、印刷、箔押し、および、切断を行う際に、被加工物5を支持する台である。テーブル50は、被加工物5が載置された状態で、被加工物5を副走査方向Y(矢印A1の方向)に搬送するものである。テーブル50は、ベース部11上の作製領域21(図2参照)に配置されている。テーブル50は、第1ガイドレール32およびインクヘッド36(図4参照)よりも下方に配置されている。テーブル50は、平面視において、ベース部11における主走査方向Xの中央部分に配置されている。テーブル50は、平板状の部材であり、平面視において矩形状の部材である。しかしながら、テーブル50の形状は特に限定されない。本実施形態では、図3に示すように、テーブル50に載置された被加工物5に向かって、インクヘッド36はインクを吐出する。そして、紫外線照射ランプ38aおよび38bは、テーブル50に載置された被加工物5に吐出されたインクに向かって紫外線を照射することによって、被加工物5に吐出されたインクを硬化させる。
本実施形態では、図示は省略するが、テーブル50には、複数の微小な孔が形成されている。テーブル50の下方には、吸引装置55が配置されている。吸引装置55は、テーブル50に形成された上記微小な孔を通じて、テーブル50の上方の空気をテーブル50の下方に向かって吸引することで、テーブル50に載置された被加工物5をテーブル50に向かって吸引する。このことによって、被加工物5をテーブル50に密着させることができる。よって、被加工物5がテーブル50から浮き上がることに起因して、印刷が歪むこと、箔押しの位置がずれること、切断の位置がずれることを抑制することができる。なお、吸引装置55の具体的な構成は特に限定されない。例えば、図示は省略するが、吸引装置55は、ファンと、当該ファンに接続されたモータを備え、モータが回転することで、ファンが回転し、被加工物5をテーブル50に向かって吸引してもよい。
テーブル50は、副走査方向Y(前後方向)、および、高さ方向Z(上下方向)に移動可能に構成されている。本実施形態では、図1に示すように、第1テーブル移動機構51によって、テーブル50が副走査方向Y(矢印A1の方向)に移動する。また、図3に示すように、第2テーブル移動機構52によって、テーブル50が高さ方向Z(矢印A2の方向)に移動する。以下、第1テーブル移動機構51および第2テーブル移動機構52について説明する。
本実施形態では、第1テーブル移動機構は、本発明の「テーブル移動機構」の一例である。第1テーブル移動機構51は、図1に示すように、テーブルガイドレール60と、搬送部材64と、駆動モータ67(図5参照)とを備えている。テーブルガイドレール60は、副走査方向Yに延びている。テーブルガイドレール60は、第1テーブルガイドレール61と、第2テーブルガイドレール62を備えている。すなわち、本実施形態では、テーブルガイドレール60の数は2つである。第1テーブルガイドレール61および第2テーブルガイドレール62は、副走査方向Yに延びている。第1テーブルガイドレール61と第2テーブルガイドレール62とは平行に配置されている。第1テーブルガイドレール61および第2テーブルガイドレール62は、ベース部11に支持されている。本実施形態では、第1テーブルガイドレール61および第2テーブルガイドレール62は、第1領域21aから第2領域21bに亘るようにして配置されている。言い換えると、第1テーブルガイドレール61の前端および第2テーブルガイドレール62の前端は、第2領域21bに配置されている。第1テーブルガイドレール61の後端および第2テーブルガイドレール62の後端は、第1領域21aに配置されている。
搬送部材64は、第1テーブルガイドレール61および第2テーブルガイドレール62に対して摺動自在に設けられている。本実施形態では、搬送部材64は、平板64aと、第1筒状部64bと、第2筒状部64cとを有している。平板64aは、主走査方向Xに延びたものである。図3に示すように、平板64aには、他の部材(例えば、高さ調整部材68)を介して、テーブル50が載置される。第1筒状部64bおよび第2筒状部64cは、中空の筒状のものである。第1筒状部64bは、平板64aの左端に設けられ、第2筒状部64cは、平板64aの右端に設けられている。第1筒状部64bには、第1テーブルガイドレール61が摺動自在に挿入されている。第2筒状部64cには、第2テーブルガイドレール62が摺動自在に挿入されている。図5に示すように、駆動モータ67は、テーブル50を副走査方向Yに移動させる駆動源である。駆動モータ67は、例えば、搬送部材64に接続され、搬送部材64を介してテーブル50に接続されている。図3に示すように、テーブル50は、駆動モータ67の駆動によって、第1テーブルガイドレール61および第2テーブルガイドレール62に沿って、搬送部材64が移動することで、テーブル50が副走査方向Yに移動する。以上のように、第1テーブル移動機構51によって、テーブル50は、第1領域21aから第2領域21bに向かって移動可能であり、また、第2領域21bから第1領域21aに向かって移動可能である。
第2テーブル移動機構52は、テーブル50を高さ方向Z(矢印A2の方向)に移動させる機構である。第2テーブル移動機構52における、テーブル50を高さ方向Zに移動させる具体的な構成は、特に限定されない。例えば、第2テーブル移動機構52は、高さ調整部材68と、駆動モータ69(図5参照)とを備えている。テーブル50は、高さ調整部材68を介して、駆動モータ69に接続されている。高さ調整部材68は、テーブル50の底面に設けられており、高さが可変な部材である。また、高さ調整部材68は、搬送部材64に載置されている。例えば、高さ調整部材68は、上下に重なる2つの部材から構成され、上下に重なる2つの部材の重なり度合いが変更されることで、高さが変わるものである。駆動モータ69は、高さ調整部材68に接続されており、駆動することで、高さ調整部材68の高さを調整する。その結果、高さ調整部材68の高さが変更されることによって、テーブル50の高さが調整される。
次に、箔押しおよび切断を行う領域である第2領域21bに配置される部材について説明する。図6は、テーブル50が第2領域21bに配置された状態を示す図であり、加工物作製装置100を示す平面図である。図7は、図6のVII−VII断面における断面図である。図6に示すように、加工物作製装置100は、Yレール70と、第2ガイドレール73と、第2キャリッジ74と、箔押しヘッド76と、カッティングヘッド78と、第2ヘッド駆動機構79aと、第3ヘッド駆動機構79bとを備えている。
Yレール70は、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78における副走査方向Yへの移動をガイドする部材である。Yレール70は、副走査方向Yに延びている。本実施形態では、Yレール70は、第1Yレール71と、第2Yレール72とを有している。すなわち、Yレール70の数は、2つである。第1Yレール71および第2Yレール72は、第2領域21bにおいて、副走査方向Yに延びた部材である。第1Yレール71は、第2Yレール72の左方に配置されている。第1Yレール71と第2Yレールは、平行に配置されている。本実施形態では、第1Yレール71は、テーブル50、第1テーブルガイドレール61および第2テーブルガイドレール62よりも左方に配置され、第2Yレール72は、テーブル50、第1テーブルガイドレール61および第2テーブルガイドレール62よりも右方に配置されている。第1Yレール71と第2Yレール72との間に、第1テーブルガイドレール61および第2テーブルガイドレール62が配置されている。
本実施形態では、ベース部11上における第2領域21bの左部であって、第1テーブルガイドレール61よりも左方には、左固定部材45が設けられている。また、ベース部11上における第2領域21bの右部であって、第2テーブルガイドレール62よりも右方には、右固定部材46が設けられている。左固定部材45および右固定部材46は、副走査方向Yに延びた部材である。ここでは、図7に示すように、左固定部材45の上端、および、右固定部材46の上端は、それぞれテーブル50の表面よりも上方に位置している。本実施形態では、左固定部材45に第1Yレール71が支持され、右固定部材46に第2Yレール72が支持されている。第1Yレール71および第2Yレール72は、テーブル50の表面よりも上方に配置されている。
図6に示すように、第2ガイドレール73は、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78における主走査方向Xへの移動をガイドするものである。第2ガイドレール73は、第2領域21bにおいて、主走査方向Xに延びた部材である。本実施形態では、第1Yレール71および第2Yレール72に対して摺動自在に、第2支持部材47が配置されている。図7に示すように、第2支持部材47は、主走査方向Xに延びた部材である。第2支持部材47の左部が第1Yレール71と係合する。第2支持部材47の右部が第2Yレール72と係合する。本実施形態では、第2ガイドレール73は、第2支持部材47に支持されている。そのため、第2ガイドレール73は、第2支持部材47を介して、第1Yレール71および第2Yレール72に係合している。
図6に示すように、第2キャリッジ74は、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78を主走査方向Xに搬送するものである。第2キャリッジ74は、第2ガイドレール73に摺動自在に設けられている。第2キャリッジ74は、第2ガイドレール73に係合している。第2キャリッジ74は、第2ガイドレール73に沿って主走査方向Xへの移動が可能である。第2キャリッジ74には、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78が設けられている。
箔押しヘッド76は、被加工物5に対して箔押しを行うものである。例えば、箔押しをする際、被加工物5上に箔フィルム8を配置する。この箔フィルム8は、フィルムと、フィルムに付着した箔とを有する。「箔」とは、金属を薄く打ち延ばしたものであり、例えば、金箔、銀箔などのことである。箔フィルム8に対して熱が加えられることによって、フィルムから箔が剥がれ、箔が被加工物5に付着する。
なお、箔押しヘッド76の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、箔押しヘッド76は熱転写ヘッドである。ここでは、図7に示すように、箔押しヘッド76は、熱発生装置81と、押圧部82とを備えている。熱発生装置81は、箔押しヘッド76の押圧部82に熱を付与する装置である。押圧部82は、箔フィルム8を被加工物5に押圧する部位である。ここでは、押圧部82は、箔押しヘッド76の下部に設けられている。
カッティングヘッド78は、被加工物5を切断するものである。ここでは、カッティングヘッド78は、箔押しヘッド76の右方に設けられている。なお、カッティングヘッド78の具体的な構成は特に限定されない。本実施形態では、カッティングヘッド78は、被加工物5に対してレーザを照射することによって、被加工物5を切断するものである。カッティングヘッド78は、レーザ発生装置85と、照射部86とを備えている。レーザ発生装置85は、被加工物5に照射するレーザを発生させる装置である。レーザ発生装置85は、被加工物5に向かうようなレーザを発生させる。照射部86は、レーザ発生装置85によって発生されたレーザが通過する部位である。例えば、照射部86は、カッティングヘッド78の底面に形成された開口である。レーザ発生装置85によって発生されたレーザは、照射部86を通過して、被加工物5の切断したい部分を照射する。レーザが照射された部分は、切断される。
箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78は、主走査方向X(左右方向)、および、副走査方向Y(前後方向)に移動可能に構成されている。本実施形態では、第2ヘッド駆動機構79aによって、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78は、主走査方向Xに移動する。また、第3ヘッド駆動機構79bによって、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78は、副走査方向Yに移動する。
第2ヘッド駆動機構79aは、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78を第2ガイドレール73に沿って、主走査方向Xに移動させる機構である。本実施形態では、第2ヘッド駆動機構79aは、第2ガイドレール73に摺動自在な第2キャリッジ74に接続されている。第2ヘッド駆動機構79aが駆動することによって、第2キャリッジ74が主走査方向Xに移動する。第2キャリッジ74の主走査方向Xへの移動に伴い、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78は、主走査方向Xに移動する。なお、第2ヘッド駆動機構79aの具体的な構成は特に限定されない。例えば、第2ヘッド駆動機構79aは、モータおよびカム機構などによって構成されていてもよい。
第3ヘッド駆動機構79bは、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78を、第1Yレール71および第2Yレール72に沿って、副走査方向Y(矢印A3の方向)に移動させる機構である。本実施形態では、上述のように、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78は、第2キャリッジ74を介して第2ガイドレール73に係合している。そして、第2キャリッジ74は、第2支持部材47を介して、第1Yレール71および第2Yレール72に係合している。ここでは、第3ヘッド駆動機構79bは、第2ガイドレール73に接続されている。なお、第3ヘッド駆動機構79bは、第2支持部材47に接続されていてもよい。第3ヘッド駆動機構79bが駆動することによって、第2ガイドレール73が第1Yレール71および第2Yレール72に沿って副走査方向Yに移動する。第2ガイドレール73の副走査方向Yへの移動に伴い、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78は、副走査方向Yに移動する。なお、第3ヘッド駆動機構79bの具体的な構成は特に限定されない。例えば、第3ヘッド駆動機構79bは、駆動モータおよびカム機構などによって構成されていてもよい。
なお、本実施形態では、加工物作製装置100は、第2領域21bにおいて、副走査方向Yに第2ガイドレール73を移動させる移動機構88を備えている。移動機構88は、上述したYレール70(第1Yレール71および第2Yレール72)と、第3ヘッド駆動機構79bによって構成されている。
図5に示すように、本実施形態に係る加工物作製装置100は、制御装置90を備えている。制御装置90は、印刷、箔押し、および、切断に関する制御を行う装置である。制御装置90の構成は特に限定されない。例えば、制御装置90は、コンピュータであり、中央演算処理装置(以下、CPUという。)と、CPUが実行するプログラムなどが格納されたROMと、RAMなどを備えていてもよい。
制御装置90は、第1キャリッジ34に接続された第1ヘッド駆動機構44に接続されている。制御装置90は、第1ヘッド駆動機構44の駆動を制御することで、第1キャリッジ34、インクヘッド36および紫外線照射ランプ38aおよび38bにおける主走査方向Xへの移動を制御する。また、制御装置90は、複数のインクヘッド36および紫外線照射ランプ38aおよび38bに接続されている。制御装置90は、テーブル50に載置された被加工物5に、複数のインクヘッド36がインクを吐出するそれぞれのタイミングなどを制御する。また、制御装置90は、被加工物5に吐出されたインクに対して、紫外線照射ランプ38aおよび38bが紫外線を照射するタイミングなどを制御する。
制御装置90は、第1テーブル移動機構51の駆動モータ67、第2テーブル移動機構52の駆動モータ69、および、吸引装置55に接続されている。制御装置90は、第1テーブル移動機構51の駆動モータ67を制御することによって、テーブル50の副走査方向Yへの移動を制御する。制御装置90は、第2テーブル移動機構52の駆動モータ69を制御することによって、テーブル50の高さ方向Zへの移動を制御する。また、制御装置90は、吸引装置55の駆動を制御することによって、テーブル50に載置された被加工物5をテーブル50に吸着させるタイミングなどを制御する。
制御装置90は、第2ヘッド駆動機構79aおよび第3ヘッド駆動機構79bに接続されている。制御装置90は、第2ヘッド駆動機構79aの駆動を制御することによって、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78の主走査方向Xへの移動を制御する。制御装置90は、第3ヘッド駆動機構79bの駆動を制御することによって、第2ガイドレール73の副走査方向Yへの移動を制御することで、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78の副走査方向Yへの移動を制御する。また、制御装置90は、箔押しヘッド76の熱発生装置81、および、カッティングヘッド78のレーザ発生装置85に接続されている。制御装置90は、被加工物5に箔フィルム8を載置した状態において、熱発生装置81を制御、および、箔押しヘッド76の押圧部82が箔フィルム8を押圧させるタイミングを制御することで、被加工物5に箔フィルム8を熱転写させるタイミングを制御する。制御装置90は、レーザ発生装置85によるレーザが発せられるタイミングを制御することで、カッティングヘッド78による被加工物5の切断に関する制御を行う。
次に、加工物作製装置100において、被加工物5に対して、印刷、箔押し、および切断を行うことで、所望な加工物を作製する手順について説明する。本実施形態では、加工物作製装置100は、印刷、箔押し、切断の順に行う。
まず、作業者は、図1に示すように、テーブル50に被加工物5を載置する。このとき、作業者は、テーブル50に対する被加工物5の位置決めを行う。次に、制御装置90は、被加工物5が載置されたテーブル50の全体が第1領域21aに位置するように、第1テーブル移動機構51によって、テーブル50を移動させる。このとき、テーブル50の前部が第1ガイドレール32の下方に位置する。このように、テーブル50の全体が第1領域21aに位置した状態で、テーブル50に載置された被加工物5に対して印刷を行う。
被加工物5に対する印刷では、まず、インクヘッド36が主走査方向Xに移動し、インクヘッド36が被加工物5の上方に位置したとき、インクヘッド36から被加工物5に向かってインクが吐出される。そして、被加工物5に吐出されたインクに紫外線照射ランプ38a、38bから紫外線が照射され、被加工物5に吐出されたインクが硬化することで、1スキャン分の印刷が終了する。このように、1スキャン分の印刷が終了した後、テーブル50は、第1テーブル移動機構51によって前方に移動する。その後、次のスキャン分の印刷が行われる。
以上のようにして、被加工物5に対する印刷が行われると、次に、被加工物5に対して箔押しが行われる。箔押しを行う際、まず、図6に示すように、被加工物5が載置されたテーブル50の全体が第2領域21bに位置するように、第1テーブル移動機構51は、テーブル50を副走査方向Yに移動させる。なお、このとき、例えばテーブル50の後部の上方には、第2ガイドレール73が位置している。すなわち、第2ガイドレール73は、第1Yレール71および第2Yレール72の後部に配置されている。本実施形態では、箔押しをするにあたって、被加工物5に箔フィルム8を事前に配置する。テーブル50に載置された被加工物5に対して箔押しヘッド76が主走査方向Xおよび副走査方向Yに相対的に移動する。そして、被加工物5に対して箔押しする部分において、箔押しヘッド76が下方に下がって、熱発生装置81によって熱が付与された押圧部82が箔フィルム8を被加工物5に押し付けることで、該当部分に箔押しを行う。なお、本実施形態では、箔押しをする際、テーブル50は移動しない。第2ガイドレール73が第1Yレール71および第2Yレール72に沿って副走査方向Yに移動し、かつ、箔押しヘッド76が第2ガイドレール73に沿って主走査方向Xに移動することで、被加工物5に対して箔押しヘッド76が主走査方向Xおよび副走査方向Yに相対的に移動する。
このようにして、被加工物5に対する箔押しが行われると、次に、被加工物5に対して切断が行われる。切断は、箔押しをする際と同じ第2領域21bで行われる。ここでは、テーブル50に載置された被加工物5に対してカッティングヘッド78が主走査方向Xおよび副走査方向Yに相対的に移動する。そして、被加工物5に対して切断する部分に向かって、カッティングヘッド78のレーザ発生装置85からレーザが発せられる。このとき、レーザは、照射部86を通過して、被加工物5の切断する部分に照射される。そして、レーザが照射された部分は切断される。なお、本実施形態では、切断を行う際、箔押しをする際と同様に、テーブル50は移動しない。第2ガイドレール73が第1Yレール71および第2Yレール72に沿って副走査方向Yに移動し、かつ、カッティングヘッド78が第2ガイドレール73に沿って主走査方向Xに移動することで、被加工物5に対してカッティングヘッド78が主走査方向Xおよび副走査方向Yに相対的に移動する。以上のようにして、カッティングヘッド78によって発せられたレーザによって被加工物5が切断されることによって、所望の加工物が作製される。
以上、本実施形態では、図1に示すように、第1領域21aにおいてテーブル50に載置された被加工物5に対して、インクヘッド36によってインクが吐出されることで、印刷が行われる。印刷が行われた後、図6に示すように、第1テーブル移動機構51によって、テーブル50は、被加工物5が載置された状態で第2領域21bに移動する。そして、第2領域21bにおいて、テーブル50に載置された被加工物5に対して、箔押しヘッド76による箔押し、および、カッティングヘッド78による切断が行われる。よって、1つの装置で、印刷、箔押しおよび切断を行うことができる。
本実施形態では、被加工物5に対して加工をする際、最初に作業者によってテーブル50に対する被加工物5の位置決めが行われ後に、作業者による当該位置決めは行われない。よって、例えば、印刷、箔押し、および、切断をそれぞれ専用の装置で行うことと比較して、テーブル50に対する被加工物5の位置決めを行う回数を減らすことができる。したがって、工程ごとに位置決めを行うことの煩わしさを軽減することができる。
本実施形態では、第1テーブル移動機構51は、テーブルガイドレール60と、搬送部材64と、駆動モータ67(図5参照)とを備えている。テーブルガイドレール60は、第1領域21aから第2領域21bに亘ってベース部11に配置され、副走査方向Yに延びている。搬送部材64は、テーブルガイドレール60に摺動自在に設けられ、テーブル50が載置されるものである。駆動モータ67は、搬送部材64に接続され、駆動することで、搬送部材64を副走査方向Yに移動させるものである。このことによって、テーブル50は、搬送部材64に載置された状態で、副走査方向Yに延びたテーブルガイドレール60に沿って移動する。よって、テーブル50を副走査方向Yに移動させ易い。
本実施形態では、テーブルガイドレール60は、副走査方向Yに延びた第1テーブルガイドレール61と、第1テーブルガイドレール61に対して平行に配置された第2テーブルガイドレール62を有している。このことによって、テーブル50は、2つのテーブルガイドレール61、62によって支持されている。よって、テーブル50が高さ方向Zに回転することを抑制することができる。
本実施形態では、移動機構88は、Yレール70と、第3ヘッド駆動機構79bを備えている。Yレール70は、第2領域21bにおいて主走査方向Xに延びている。Yレール70には、第2ガイドレール73が摺動自在に設けられている。第3ヘッド駆動機構79bは、第2ガイドレール73に接続され、第2ガイドレール73を副走査方向Yに移動させるものである。このことによって、第2ガイドレール73がYレール70に沿って移動することで、第2ガイドレール73に摺動自在に設けられた箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78は、Yレール70に沿って副走査方向Yに移動する。また、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78は、第2ガイドレール73に沿って、主走査方向Xに移動可能である。したがって、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78を主走査方向Xおよび副走査方向Yに、テーブル50に対して相対的に移動させることができる。
また、本実施形態では、Yレール70は、副走査方向Yに延びた第1Yレール71と、第1Yレール71に対して平行に配置された第2Yレール72とを有している。このことによって、第2ガイドレール73は、2つのYレール71、72によって支持されている。よって、第2ガイドレール73、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78が高さ方向Zに回転することを抑制することができる。
本実施形態では、インクヘッド36が第1ヘッド駆動機構44によって移動する方向と、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78が第2ヘッド駆動機構79aによって移動する方向は、同一の方向であり、ここでは、主走査方向Xである。このことによって、インクヘッド36、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78を同一の方向に移動させることができるため、制御が容易である。
本実施形態では、テーブル50が第1テーブル移動機構51によって移動する方向と、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78が移動機構88によって移動する方向とは、同一の方向であり、ここでは、副走査方向Yである。このことによって、被加工物5に対して箔押しおよび切断を行う際、テーブル50を第2領域21bで停止させ、Yレール70に沿って、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78を副走査方向Yに移動させることで、テーブル50に対して副走査方向Yに相対的に移動させることができる。
本実施形態では、第1キャリッジ34は、第1ガイドレール32に係合し、図4に示すように、第1キャリッジ34には、インクヘッド36が設けられている。図6に示すように、第2キャリッジ74は、第2ガイドレール73に係合し、第2キャリッジ74には、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78が設けられている。このことによって、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78は、同じ第2キャリッジ74によって、副走査方向Yに移動する。よって、部品点数を削減することができる。
本実施形態では、図7に示すように、カッティングヘッド78は、被加工物5に照射するレーザを発生させるレーザ発生装置85と、レーザ発生装置85によって発生されたレーザが通過する照射部86とを備えている。このことによって、レーザによって被加工物5を切断することができる。
なお、本実施形態では、印刷、箔押し、および、切断の各工程を行うことで、被加工物5を加工し、所望な加工物を作製していた。しかしながら、本実施形態に係る加工物作製装置100は、印刷、箔押し、および、切断を行う各工程のうち何れかの工程を省略することが可能である。例えば、箔押しの工程を省略し、被加工物5に対して印刷および切断の各工程を行うことによって、加工物を作製してもよい。
本実施形態では、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78は、1つのキャリッジ74に設けられ、一体となって主走査方向Xに移動していた。しかしながら、箔押しヘッド76とカッティングヘッド78は、別々のキャリッジに設けられていてもよい。すなわち、箔押しヘッド76とカッティングヘッド78は、別々に主走査方向Xに移動するようなものであってもよい。
本実施形態では、図1に示すように、テーブル50の副走査方向Yへの移動をガイドするテーブルガイドレール60の数は、第1テーブルガイドレール61と第2テーブルガイドレール62の2つであった。しかしながら、テーブルガイドレール60の数は特に限定されない。例えば、テーブルガイドレール60の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
本実施形態では、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78が係合する第2ガイドレール73の副走査方向Yへの移動をガイドするYレール70の数は、第1Yレール71と第2Yレール72の2つであった。しかしながら、Yレール70の数は特に限定されず、例えば、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
本実施形態では、インクヘッド36が第1ヘッド駆動機構44によって移動する方向と、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78が第2ヘッド駆動機構79aによって移動する方向は、同一の方向であり、ここでは、主走査方向Xであった。しかしながら、インクヘッド36が第1ヘッド駆動機構44によって移動する方向と、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78が第2ヘッド駆動機構79aによって移動する方向は、異なっていてもよい。第1ガイドレール32が延びた方向と、第2ガイドレール73が延びた方向は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、インクヘッド36が第1ヘッド駆動機構44によって移動する方向が主走査方向Xであり、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78が第2ヘッド駆動機構79aによって移動する方向は、主走査方向Xに対して斜めに延びた方向であってもよい。
本実施形態では、テーブル50が第1テーブル移動機構51によって移動する方向と、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78が移動機構88の第3ヘッド駆動機構79bによって移動する方向は、同一の方向であり、ここでは、副走査方向Yであった。しかしながら、テーブル50が第1テーブル移動機構51によって移動する方向と、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78が第3ヘッド駆動機構79bによって移動する方向は、異なっていてもよい。テーブルガイドレール60が延びた方向と、Yレール70が延びた方向は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、テーブル50が第1テーブル移動機構51によって移動する方向が副走査方向Yであり、箔押しヘッド76およびカッティングヘッド78が第3ヘッド駆動機構79bによって移動する方向は、副走査方向Yに対して斜めに延びた方向であってもよい。