JP6653115B2 - レース付きスラストころ軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、自動車のトランスミッションや各種補機の回転部分に加わるスラスト荷重を支承する為、この回転部分に組み付けた状態で使用されるスラストころ軸受に関する。
トランスミッションや各種補機の回転部分には、例えば特許文献1に記載されている様に、スラストころ軸受を装着して、回転軸等に加わるスラスト荷重を支承する様にしている。図4は、この様な回転部分に使用されるスラストころ軸受の従来構造の1例の斜視図を示し、図5は、この図4のC−C断面図を示している。
スラストころ軸受1は、放射方向に配列された複数のころ2、2(ニードルを含む)と、これら各ころ2、2を保持する保持器3とを備える。上記保持器3は、それぞれが断面コ字形で全体を円輪状に造られた第一保持器素子4と第二保持器素子5を組み合わせて成り、上記各ころ2、2と同数のポケット6、6を、放射状に配列して成る。
上記第一保持器素子4は、鋼板、ステンレス鋼板等の金属板にプレス加工等の塑性加工を施す事により造られたもので、第一円輪部7の内外両周縁に、第一内径側円筒部8と第一外径側円筒部9とを、互いに同心に形成して成る。そして、このうちの第一円輪部7の円周方向複数個所に、上記各ポケット6、6を構成する為の、それぞれがころ2よりも径方向(放射方向)に長く、ころ2の直径よりも周方向に狭い矩形の第一透孔10、10を設けている。
また、上記第二保持器素子5は、やはり鋼板、ステンレス鋼板等の金属板にプレス加工等の塑性加工を施す事により造られたもので、第二円輪部11の内外両周縁に、第二内径側円筒部12と第二外径側円筒部13とを、互いに同心に形成して成る。そして、このうちの第二円輪部11の円周方向複数個所に、上記各ポケット6、6を構成する為の、それぞれがころ2よりも径方向(放射方向)に長く、ころ2の直径よりも周方向に狭い矩形の第二透孔14を設けている。それぞれがこの様な構成を有する第一、第二両保持器素子4、5は、各第一透孔10、10と各第二透孔14、14とを軸方向に関して互いに整合させた状態で構成される各ポケット6、6の各々に、ころ2、2を回転自在に挟持した状態で第一外径側円筒部9の内径側に第二外径側円筒部13を内嵌した状態で組み合わされている。
この様に構成されるスラストころ軸受1は、回転部分を構成するハウジングとこのハウジングと相対回転する相手部材との間に組み込んで、この相手部材をこのハウジングに対し相対回転自在に支持すると共に、これら相手部材とハウジングとの間に作用するスラスト荷重を支承する。
なお、スラストころ軸受には、上記各ころ2、2を一対のレースで挟持する構成のもの、一方のみレースを持つものなども公知技術として知られている。
このようなスラストころ軸受1は、回転時にころ2、2が遠心力により半径方向外側に移動し、保持器3のポケット6の外側端面である、第一透孔10の外側端面15、および第二透孔14の外側端面16に当接して摺動する。ここで発生する摺動摩擦により保持器3のポケット6、6の外側端面に摩耗が生じる。従来はスラストころ軸受1に要求される回転速度が比較的低かったため、このような摩擦は軽微であり、軸受の性能上、特に問題とは認識されていなかった。
しかし、近年は、自動車の性能向上による回転速度の増大に伴い、軸受回転速度も増加しつつある。軸受回転速度が増大すると、保持器3のポケット6、6の外側端面がころ2、2の端面に削られるように早期に摩耗して、凹み状の異常摩耗痕が形成され保持器3の強度が低下する。又、ころ2、2がそのような異常摩耗痕内に潜り込むと、円滑な回転が阻害され、引きずりトルクが増加し、軸受の温度上昇を招き、最悪の場合には軸受のフレーキングまたは焼付きが発生する恐れがある。従って、以上述べたようなころの潜り込み摩耗が、スラストころ軸受1の更なる高速化に対する大きな障害になっていた。
特開平8−109925号公報
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、保持器ところの摩耗を抑制し、トルク損失の少ないスラストころ軸受を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
放射方向に配列された複数のころと、
放射方向に形成されて、それぞれの内側に前記各ころを回転自在に保持する複数のポケットを有する、塑性加工が施された金属板製の保持器と、を備えるレース付きスラストころ軸受において、
前記保持器は、第一円輪部の外周縁に第一外径側円筒部を形成した第一保持器素子と、第二円輪部の外周縁に第二外径側円筒部を形成した第二保持器素子とを、前記第一外径側円筒部の内径側に前記第二外径側円筒部を内嵌した状態で組み合わされており、
前記第一外径側円筒部の軸方向端部は、前記第二円輪部の軸方向外側面と軸方向の位置が同じであり、
前記ポケットは、前記第一円輪部の円周方向複数個所に設けられた第一透孔と、前記第二円輪部の円周方向複数個所に設けられた第二透孔とにより構成されており、
前記第一透孔の径方向外側は、前記第二外径側円筒部と軸方向に重なる位置に開口しており、
前記ころの軸方向両端面は、前記ころの中心軸上に曲率中心を有する部分球状凸面に形成されており、
前記保持器は、少なくとも、遠心力により前記ころの端面が接触し、摩耗が発生しやすい前記各ポケットの径方向外側端面である前記第二外径側円筒部の内側面に、スズ、あるいはスズを含有する厚さ1〜20μmの金属皮膜が施されていることを特徴とするレース付きスラストころ軸受。
本発明のスラストころ軸受によれば、少なくとも、最も摩耗が発生しやすい、保持器の各ポケットの径方向外側端面に、スズ、あるいはスズを含有する厚さ1〜20μmの金属皮膜が施されているので、保持器ところの摩耗を抑制することができる。また、スズ、あるいはスズを含有する厚さ1〜20μmの金属皮膜により、保持器ところの摺動摩擦が低下し、トルク損失も少なくなる。
本発明に係るスラストころ軸受の実施形態の第1例を示す図5相当の断面図。 本発明に係るスラストころ軸受の実施形態の第2例を示す図5相当の断面図。 本発明に係るスラストころ軸受の実施形態の第3例を示す一部拡大図とその断面図。 スラストころ軸受の従来構造の1例の斜視図。 図4のC−C断面図。
図1は、本発明に係るスラストころ軸受の実施形態の第1例を示す図5相当の断面図で有る。このスラストころ軸受1aの保持器3aは、図4、5に示す従来構造のスラストころ軸受1の保持器3全体に、スズ、あるいはスズを含有する金属皮膜を施したものである。保持器3に関しては前述したので重複した説明は省略する。
スラストころ軸受1aの保持器3aは、より具体的には、従来の第一保持器素子4にスズ、あるいはスズを含有する金属皮膜を施した第一保持器素子4aと、従来の第二保持器素子5にスズ、あるいはスズを含有する金属皮膜を施した第二保持器素子5aとを、ころ2、2を回転自在に挟持した状態で組み合わせたものである。この金属皮膜は、メッキ、あるいは塗装などの公知の方法により、厚さ1〜20μmの皮膜を形成している。なお、スズを含有する金属のスズ含有量は、特に規制しない。
本例では、第一保持器素子4a、および第二保持器素子5aの全面に金属皮膜を施す例について説明したが、ころ2が接触する部位である第一透孔10a、10aと第二透孔14a、14aの端面のみに上記金属皮膜を施しても良い。また、遠心力によりころ2の端面が接触し、摩耗が発生しやすい第一透孔10aの外側端面15a、および第二透孔14aの外側端面16aのみに金属皮膜を施しても良い。
また、本例のころ2の軸方向端面は平面であるが、後述する、軸方向端面が部分球状凸面のころ2aを用いても良い。
また、レース付きのスラストころ軸受に、本例の保持器3aを採用しても同様の効果を得ることが出来る。
図2は、本発明に係るスラストころ軸受の実施形態の第2例を示す図5相当の断面図で有る。このスラストころ軸受1bは、放射方向に配列された複数のころ2a、2a(ニードルを含む)と、これら各ころ2a、2aを保持する保持器3bとを備える。保持器3bは、それぞれが断面コ字形で全体を円輪状に造られた第一保持器素子4bと第二保持器素子5bを組み合わせて成り、上記各ころ2a、2aと同数のポケット6b、6bを、放射状に配列して成る。
各ころ2a、2aの軸方向両端面は、それぞれ、これら各ころ2aの中心軸上にその曲率中心を有する部分球状凸面として、それぞれの中央部で最も軸方向に突出している。
第一保持器素子4bは、鋼板、ステンレス鋼板等の金属板にプレス加工等の塑性加工を施す事により造られたもので、第一円輪部7bの内外両周縁に、第一内径側円筒部8bと第一外径側円筒部9bとを、互いに同心に形成して成る。そして、このうちの第一円輪部7bの円周方向複数個所に、上記各ポケット6b、6bを構成する為の、それぞれがころ2aの直径よりも周方向に狭く、径方向外側は、組み付けたときに第二保持器素子5bの第二外側円筒部13bの内側面17bよりも外側になる位置まで開口しており、径方向内側は、組み付けたときに第二保持器素子5bの第二外側円筒部13bの内側面17bからの径方向距離がころ2aよりも長くなる位置まで開口している、矩形の第一透孔10b、10bが設けられており、スズ、あるいはスズを含有する厚さ1〜20μmの金属皮膜が全面に施されている。
第二保持器素子5bは、鋼板、ステンレス鋼板等の金属板にプレス加工等の塑性加工を施す事により造られたもので、第二円輪部11bの内外両周縁に、第二内径側円筒部12bと第二外径側円筒部13bとを、互いに同心に形成して成る。そして、このうちの第二円輪部11bの円周方向複数個所に、上記各ポケット6b、6bを構成する為の、それぞれがころ2aの直径よりも周方向に狭く、径方向外側は、第二円輪部11bの外周縁まで開口しており、径方向内周側は、第二外側円筒部13bの内側面17bからの径方向距離がころ2aよりも長くなる位置まで開口している、矩形の第二透孔14b、14bが設けられており、スズ、あるいはスズを含有する厚さ1〜20μmの金属皮膜が全面に施されている。
それぞれがこの様な構成を有する第一、第二両保持器素子4b、5bは、各第一透孔10b、10bと各第二透孔14b、14bとを軸方向に関して互いに整合させた状態で構成される各ポケット6b、6bの各々に、ころ2a、2aを回転自在に挟持した状態で、第一外径側円筒部9bの内径側に第二外径側円筒部13bを内嵌した状態で組み合わされている。
本例では、第一保持器素子4b、および第二保持器素子5bの全面に金属皮膜を施す例について説明したが、ころ2aが接触する部位のみに金属皮膜を施しても良い。また、遠心力によりころ2aの端面が接触し、摩耗が発生しやすい第二外側円筒部13bの内側面17bのみに金属皮膜を施しても良い。
また、本例のころ2aの軸方向端面は部分球状凸面であるが、軸方向端面が平面のころ2を用いても良い。
また、レース付きのスラストころ軸受に、本例の保持器3bを採用しても同様の効果を得ることが出来る。
図3は、本発明に係るスラストころ軸受の実施形態の第3例を示す一部拡大図とその断面図で有る。このスラストころ軸受1cは、放射方向に配列された複数のころ2、2(ニードルを含む)と、これら各ころ2、2を保持する保持器3cを備える。保持器3cは、鋼板、ステンレス鋼板等の一枚の金属板にプレス加工等の塑性加工を施す事により一体に造られたものであり、径方向中央部に円周状の軸方向屈曲部を持つ中間板部20と、この中間板部20の内外両周縁に互いに同心に形成された内径側円筒部18と、外径側円筒部19とから成る断面略M字型に形成され、各ころ2、2と同数のポケット6c、6cを、放射状に配列して成り、スズ、あるいはスズを含有する厚さ1〜20μmの金属皮膜が全面に施されている。
中間板部20は、中央平板部21と、外径側平板部22と、内径側平板部23と、内径側連続部24と、外径側連続部25とから成る。中央平板部21は、径方向中間部で軸方向一端寄り部分に形成されている。又、上記外径側平板部22は、外径側円筒部19の径方向内側に隣接する軸方向他端寄り部分に形成されている。内径側平板部23は、内径側円筒部18の径方向外側に隣接する軸方向他端寄り部分に形成されている。外径側、内径側両平板部22、23は同一平面上に位置する。又、内径側連続部24は、内径側平板部23の外周縁と中央平板部21の内周縁とを連続させ、外径側連続部25は、この中央平板部21の外周縁と外径側平板部22の内周縁とを連続させる。これら内径側、外径側両連続部24、25同士の間隔は、中央平板部21から離れる程大きくなる。この中央平板部21の外側面と内径側、外径側両円筒部18、19の先端縁とは、同一平面上に位置するか、或いは、中央平板部21の外側面の方がこの先端縁よりも軸方向に突出している。
各ポケット6c、6cは、中間板部20に円周方向に関して間欠的に、それぞれ放射方向に形成されたもので、それぞれの内側にころ2、2を、転動自在に保持する。中間板部20を構成する中央、外径側、内径側各平板部21〜23のうち、各ポケット6c、6cの円周方向両側縁部分の一部は、内径側、外径側両連続部24、25の両側縁部分に比べて、各ポケット6c、6c内に向け少し突出し、各ポケットの円周方向幅をころ2の直径よりも狭くしている。即ち、径方向外側位置の外径側平板部22、及び、径方向内側位置の上記内径側平板部23で、各ポケット6c、6cの円周方向両側縁部分を、それぞれ外径側係止部26、26及び内径側係止部27、27としている。そして、これら外径側、内径側各係止部26、27と、各ころ2、2との係合により、これら各ころ2、2の一部が上記中央平板部21及び上記内径側、外径側両円筒部18、19の先端縁よりも軸方向に突出したままの状態となる様に、上記保持器3cの軸方向一端側への軸方向変位を規制している。また、径方向中間位置の上記中央平板部21で各ポケット6c、6cの円周方向両側縁部分を、それぞれ中央係止部28、28としている。そして、これら中央係止部28、28と各ころ2、2との係合により、これら各ころ2、2の一部が上記外径側、内径側両平板部22、23よりも軸方向に突出したままの状態となる様に、上記保持器3cの軸方向他端側への軸方向変位を規制している。
なお、本例では、保持器3cの全面に金属皮膜を施す例について説明したが、ころ2が接触する部位である各ポケット6c、6cの各係止部26、27、28と径方向外側、内側端面29、30のみに金属皮膜を施しても良い。また、遠心力によりころ2の端面が接触し、摩耗が発生しやすい各ポケット6c、6cの径方向外側端面29、29のみに金属皮膜を施しても良い。
また、本例のころ2の軸方向端面は平面であるが、軸方向端面が部分球状凸面のころ2aを用いても良い。
また、レース付きのスラストころ軸受に、本例の保持器3cを採用しても同様の効果を得ることが出来る。
なお、各図の縮尺に関しては、皮膜層を目立たせるために実際の皮膜厚に比して極端に厚く図示している。皮膜厚に限らず、各部の縮尺は同一図面内でも同一縮尺とはなっていない。
本発明のスラストころ軸受によれば、少なくとも、最も摩耗が発生しやすい保持器の各ポケットの径方向外側端面に、スズ、あるいはスズを含有する厚さ1〜20μmの金属皮膜が施されているので、保持器ところの摩耗を抑制することが可能であり、トルク損失も少ないので、自動車のトランスミッションや各種補機の回転部分に加わるスラスト荷重を支承するスラストころ軸受として好適に使用できる。
1、1a、1b、1c スラストころ軸受
2、2a ころ
3、3a、3b、3c 保持器
4、4a、4b 第一保持器素子
5、5a、5b 第二保持器素子
6、6a、6b、6c ポケット
7、7b 第一円輪部
8、8b 第一内径側円筒部
9、9b 第一外径側円筒部
10、10b 第一透孔
11、11b 第二円輪部
12、12b 第二内径側円筒部
13、13b 第二外径側円筒部
14、14b 第二透孔
15、15b 第一透孔の外側端面
16、16b 第二透孔の外側端面
17b 第二円輪部の内側面
18 内径側円筒部
19 外径円筒部
20 中間
21 中央平板部
22 外径側平板部
23 内径側平板部
24 内径側連続部
25 外径側連続部
26 外径側係止部
27 内径側係止部
28 中央係止部

Claims (1)

  1. 放射方向に配列された複数のころと、
    放射方向に形成されて、それぞれの内側に前記各ころを回転自在に保持する複数のポケットを有する、塑性加工が施された金属板製の保持器と、を備えるレース付きスラストころ軸受において、
    前記保持器は、第一円輪部の外周縁に第一外径側円筒部を形成した第一保持器素子と、第二円輪部の外周縁に第二外径側円筒部を形成した第二保持器素子とを、前記第一外径側円筒部の内径側に前記第二外径側円筒部を内嵌した状態で組み合わされており、
    前記第一外径側円筒部の軸方向端部は、前記第二円輪部の軸方向外側面と軸方向の位置が同じであり、
    前記ポケットは、前記第一円輪部の円周方向複数個所に設けられた第一透孔と、前記第二円輪部の円周方向複数個所に設けられた第二透孔とにより構成されており、
    前記第一透孔の径方向外側は、前記第二外径側円筒部と軸方向に重なる位置に開口しており、
    前記ころの軸方向両端面は、前記ころの中心軸上に曲率中心を有する部分球状凸面に形成されており、
    前記保持器は、少なくとも、遠心力により前記ころの端面が接触し、摩耗が発生しやすい前記各ポケットの径方向外側端面である前記第二外径側円筒部の内側面に、スズ、あるいはスズを含有する厚さ1〜20μmの金属皮膜が施されていることを特徴とするレース付きスラストころ軸受。
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