以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1及び図2は、第1実施形態のドア開閉装置10を配置した車両1を示す。ドア開閉装置10は、特定の電子キー(図示せず)を所有する使用者が手を使うことなく、予め設定された動きをすることで、車両1のドア4を車体2に対して自動的に開制御又は閉制御する。本実施形態では、開閉可能なドア4をバックドアとしているが、他のドアを開閉可能としてもよい。
図2に示すように、車両1は、ドア開閉装置10を含む電子機器を制御する上位ECU5を備えている。この上位ECU5は、電子キーと車両1との間で無線通信によってキー認証を行う照合手段の機能を兼ね備えている。車両1に対して設定範囲内に電子キーを持った使用者が近づくと、上位ECU5が電子キーに認証コードの送信要求を行う。電子キーから受信した認証コードを登録された正規コードと比較し、一致した場合にドア開閉装置10に対してドア4の開閉制御を許可する信号を出力する。なお、照合手段の機能は、ドア開閉装置10の後述するコントローラ30が兼ね備えてもよい。
(ドア開閉装置の詳細)
ドア開閉装置10は、車体2のバンパ3の中央下部に配置されている。このドア開閉装置10は、ドア4を開閉可能なドア開閉駆動部12と、検出手段である一対の測距センサ20A,20Bと、光表示手段であるLED28と、制御手段であるコントローラ30とを備えている。ドア開閉駆動部12は車両1に配置されている。測距センサ20A,20B、及びLED28とコントローラ30とを実装した制御基板24は、ケーシング14の内部に収容配置されている。
ドア開閉駆動部12は、車体2に対してヒンジ接続されたドア4を開放方向及び閉塞方向に回転させることができる駆動装置(モータやギア機構、ダンパーなど)を含む機構である。ドア開閉駆動部12は、コントローラ30と通信可能に接続されている。本実施形態では、ドア開閉駆動部12とコントローラ30とは、通信ケーブルによって有線接続されているが、所定周波数の無線通信によって無線接続してもよい。
図3及び図4に示すように、ケーシング14は、一端開口の箱体であり、開口側を覆うベゼル15を備えている。ベゼル15には、バンパ3に固定するための固定部16が設けられている。ベゼル15には、水平方向に開口した概ね筒状のセンサ取付部17が設けられている。センサ取付部17,17は、互いの軸線が徐々に離れるように、両外側に傾斜して開口されている。また、ベゼル15には、レンズ29を配置する概ね筒状のレンズ取付部18が設けられている。レンズ取付部18は、軸線が下方外(後)向きに傾斜して設けられている。
測距センサ20A,20Bは、ドア4の周辺の被検出物を検出する検出手段である。これら測距センサ20A,20Bは、ベゼル15のセンサ取付部17,17にそれぞれ取り付けられている。測距センサ20A,20Bは、リード線によって制御基板24に通信可能に接続されている。図2を参照すると、第1測距センサ(第1検出手段)20Aは、所定周波数の無線信号を送信する送信部21Aと、無線信号(超音波)が被検出物にあたることで反射した反射信号(反射波)を受信する受信部22Aとを備えている。第2測距センサ(第2検出手段)20Bは、同様の送信部21Bと受信部22Bとを備えている。本実施形態の測距センサ20A,20Bは、超音波センサを用いている。また、測距センサ20A,20Bは、送信部21A,21Bと受信部22A,22Bを個別に配置した形式であってもよいし、送信部と受信部を同一の送受信部とした形式であってもよい。なお、測距センサ20A,20Bによって検出可能な被検出物とは、無線信号を反射可能な物体であり、車両を運転する人である使用者は勿論、壁や荷物等の障害物を含む。なお、本実施形態における、障害物とは、使用者以外の移動可能な荷物等であって車両の周囲に置かれているもの、及び車両の周囲に存在する移動不可能な構造物(壁や柱)等、又は隣接して駐車している他の車両等を含む。
制御基板24は、レンズ取付部18の軸線に対して直交方向に延びるように、ケーシング14に取り付けられている。この制御基板24には、上位ECU5に通信可能に接続するためのコネクタ25と、定電圧電源に電気的に接続するためのコネクタ26とが実装されている。これらコネクタ25,26は、ケーシング14の底から外部に露出するように配置されている。また、制御基板24には、レンズ取付部18側に複数(本実施形態では3つ)のLED28と、コントローラ30を構成する図示しないマイクロコンピュータ等とが実装されている。
LED28は、使用者を設定された位置に誘導するように地面に光学的な表示(操作マーク)を行う光表示手段である。このLED28は、レンズ取付部18の軸線付近に位置するように制御基板24に3個実装されている。これにより、車両1の周囲が暗い状態は勿論、周囲が明るい状態でも使用者がスポットライトのように照明することで操作マークを視認できるようにしている。レンズ取付部18には、LED28の光を集光して車体2より外側の地面Gを照射するためのレンズ29が配置されている。レンズ29の焦点Fは、車両1の後端に位置するように設定されている。
図2に示すように、コントローラ30は、測距センサ20A,20Bの検出結果に基づいて、LED28を制御するとともに、ドア開閉駆動部12を制御してドア4を開閉駆動する制御手段である。このコントローラ30は、記憶部30a、表示制御部30b、送受信モード切換部30c、測定部30d、及び判断部30eを備えている。本実施形態では、コントローラ30として1個のマイクロコンピュータを用い、記憶部30a、表示制御部30b、送受信モード切換部30c、測定部30d、及び判断部30eの全てを兼ね備えるようにしたが、これらは個別に制御部として設けてもよい。
記憶部30aには、ドア開閉装置10を制御するためのプログラムが記憶されている。また、記憶部30aには、プログラムで使用する閾値T等の設定データが記憶されている。また、記憶部30aには、測距センサ20A,20Bで検出した被検出物の検出データ(検出結果)DA1〜DAn,DB1〜DBnが、距離情報としてそれぞれ記憶される。この記憶データ(記憶情報)MA1〜MAn,MB1〜MBnは、設定検出回数分(例えば10回)記憶可能であり、古いデータから順番に消去される。また、記憶部30aには、非検出対象物と判断した障害物データK1〜Knが記憶情報として記憶される。
表示制御部30bは、LED28を点灯状態、点滅状態、そして消灯状態に切り換える。このようにLED28の点灯状態を制御することで、使用者が設定した位置に移動するように誘導するとともに、移動タイミングを報知する。なお、移動タイミングの報知する手段は、音の出力を併用してもよい。
送受信モード切換部30cは、第1測距センサ20Aと第2測距センサ20Bの送受信モードを切り換える。詳しくは、第1測距センサ20A及び第2測距センサ20Bのうち、両方の送信部21A,21Bと受信部22A,22Bを同時に駆動する第1送受信モードと、一方を送信部21A,21Bのみ駆動して他方を受信部22A,22Bのみ駆動する第2送受信モードとに送受信機能を切り換える。また、第2送受信モードでは、第1測距センサ20A及び第2測距センサ20Bの送受信機能を交互に切り替える。即ち、第1測距センサ20Aの送信部21Aから無線信号を出力し、第2測距センサ20Bの受信部22Bで反射信号を受信する第1状態と、第2測距センサ20Bの送信部21Bから無線信号を出力し、第1測距センサ20Aの受信部22Aで反射信号を受信する第2状態とを、交互に切り換える。
測定部30dは、第1測距センサ20Aの検出結果DA1〜DAnに基づいて、第1測距センサ20Aから被検出物までの距離を測定するとともに、第2測距センサ20Bの検出結果DB1〜DBnに基づいて、第2測距センサ20Bから被検出物までの距離を測定する。ここで、測距センサ20A,20Bは、送信部21A,21Bから無線信号を出力した時から、受信部22A,22Bで反射信号を入力するまでの時間によって、被検出物までの距離を測定(判断)することができる。被検出物までの距離が近い場合、被検出物までの距離が遠い場合と比較して、送信から受信までの時間が短くなる。よって、距離に相当する時間を測定することで、測距センサ20A,20Bから被検出物までの距離を測定できる。
判断部30eは、測距センサ20A,20Bの検出結果(測定部30dの測定結果)DA1〜DAn,DB1〜DBnに基づいて、被検出物が存在しているか否かを判断する。また、測距センサ20A,20Bの検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnと記憶部30aの記憶情報MA1〜MAn,MB1〜MBnとに基づいて、検出した被検出物が検出対象物か非検出対象物であるかを判断する。
ここで、検出対象物か非検出対象物かの判断について詳しく説明する。判断部30eは、測距センサ20A,20Bで検出した現在の検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnと、記憶部30aに記憶されている過去(前回の検出)の記憶情報MA1〜MAn,MB1〜MBnから、測定した全ての被検出物の距離の変化量を算出する。そして、距離の変化量が閾値T1(例えば2cm)内であるか否かによって、被検出物が検出対象物か非検出対象物かを判断する。また、検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnと記憶情報MA1〜MAn,MB1〜MBnの比較は、測距センサ20A,20B毎に行う。さらに、検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnを1個ずつ、全ての記憶情報MA1〜MAn,MB1〜MBnと比較し、データが一致している場合に被検出物が非検出対象物であると判断する。
例えば図6に示すように、第1測距センサ20Aが3個の反射信号を受信し、測定部30dを介して第1検出結果DA1(50cm)と、第2検出結果DA2(80cm)と、第3検出結果DA3(100cm)を測定する。同様に、第2測距センサ20Bが3個の反射信号を受信し、測定部30dを介して第1検出結果DB1(55cm)と、第2検出結果DB2(75cm)と、第3検出結果(100cm)を測定する。また、記憶部30aには、第1測距センサ20Aの前回の検出結果である第1記憶情報MA1(51cm)、第2記憶情報MA2(99cm)、第3記憶情報MA3(115cm)が記憶されている。同様に、第2測距センサ20Bの前回の検出結果である第1記憶情報MB1(54cm)、第2記憶情報MB2(101cm)、第3記憶情報MB3(120cm)が記憶されている。
第1測距センサ20Aの第1検出結果DA1を記憶部30aの記憶情報MA1〜MA3と比較することで、第1検出結果DA1は記憶情報MA1に対して閾値T1内であり、距離(位置)の変化が無いことが解る。次に、第2検出結果DA2を記憶情報MA1〜MA3と比較することで、第2検出結果DA2は、全ての記憶情報MA1〜MA3に対して閾値T1外であり、位置が変化していることが解る。次に、第3検出結果DA3を記憶情報MA1〜MA3と比較することで、第3検出結果DA3は記憶情報MA2に対して閾値T1内であり、位置の変化が無いことが解る。
同様に、第2測距センサ20Bの第1検出結果DB1を記憶部30aの記憶情報MB1〜MB3と比較することで、第1検出結果DB1は記憶情報MB1に対して閾値T1内であり、位置の変化が無いことが解る。次に、第2検出結果DB2を記憶情報MB1〜MB3と比較することで、第2検出結果DB2は、全ての記憶情報MB1〜MB3に対して閾値T1外であり、位置が変化していることが解る。次に、第3検出結果DB3を記憶情報MB1〜MB3と比較することで、第3検出結果DB3は記憶情報MB2に対して閾値T1内であり、位置の変化が無いことが解る。
これらの結果から、記憶情報MA1,MA2と概ね一致している検出結果DA1,DA3の被検出物は、障害物等の非検出対象物であると判断できる。また、記憶情報MA1〜MA3と一致しない検出結果DA2は、使用者を含む移動可能な物体である検出対象物であり、115cmの位置から80cmに位置に移動したと判断できる。同様に、記憶情報MB1,MB2と概ね一致している検出結果DB1,DB3の被検出物は、非検出対象物であると判断できる。また、記憶情報MB1〜MB3と一致しない検出結果DB2は、検出対象物であり、120cmの位置から75cmの位置に移動したと判断できる。
図6に示す例のように、測距センサ20A,20Bによる障害物の検出結果DA1,DA3,DB1,DB3は、関連性を有する。しかし、本実施形態では、第1測距センサ20Aによる検出結果DA1〜DAnと第2測距センサ20Bによる検出結果DB1〜DBnとは関連付けすることなく、それぞれ独立して検出対象物であるか非検出対象物であるかを判断する。これは、測距センサ20A,20Bのいずれかが検出できる位置で、一方の検出範囲に障害物(非検出対象物)が存在し、他方の検出範囲で障害物と同一の距離位置に使用者(検出対象物)が存在する場合に、使用者を障害物と誤検出する可能性があるためである。即ち、検出対象物である使用者に関する測距センサ20A,20Bによる検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnは後述するように第1測距センサ20A及び第2測距センサ20Bの両方が被検出物を検出可能な1個の操作区画34で検出されるため、概ね一致する。しかし、障害物の検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnは、何らかの理由で操作区画34内に停止していない限り、第1測距センサ20A及び第2測距センサ20Bのいずれか一方で検出される検出範囲にあるためである。
次に、図5を参照して測距センサ20A,20Bによる検出範囲の設定と、コントローラ30による制御について説明する。
(検出範囲の詳細)
図5に示すように、測距センサ20A,20Bの送信部21A,21Bは、放射状に広がるように無線信号を送信する。図3を参照すると、送信部21A,21Bは、ケーシング14を介して車体2に取り付けることで、無線信号の出力中心C1,C2が車体2から水平方向に出力されるように配置されている。なお、水平方向とは、車両が駐車された地面Gに沿った方向である。また、図4を参照すると、送信部21A,21Bは、無線信号の出力中心C1,C2が交差しないように、両外側に向けて徐々に離れる方向に傾斜して延びるように配置されている。これにより、各測距センサ20A,20Bで、車体2から離れた遠距離の検出と車体に近い近距離の両方を検出できるようにしている。
送信部21A,21Bから出力された無線信号によって形成される円錐形状の出力範囲は、測距センサ20A,20Bの検出範囲R1,R2である。送信部21Aによる無線信号の出力中心C1は、第1測距センサ20Aによる第1検出範囲R1の第1検出中心軸である。また、送信部21Bによる無線信号の出力中心C2は、第2測距センサ20Bによる第2検出範囲R2の第2検出中心軸である。そして、第1測距センサ20Aの検出範囲R1の車体2中心側の一部と、第2測距センサ20Bの検出範囲R2の車体2中心側の一部とが重複するように、測距センサ20A,20Bがそれぞれ配置されている。この検出範囲R1,R2が重なった部分は、第1測距センサ20A及び第2測距センサ20Bの両方が被検出物を検出可能な1個の操作区画34である。
操作区画34を含む一対の検出範囲R1,R2の全ての領域は、第1測距センサ20A又は第2測距センサ20Bで被検出物を検出することで、キー認証を開始させるアプローチ領域32である。このアプローチ領域32において、検出範囲R1の操作区画34を除く第1区画32aでは、第1測距センサ20Aのみ被検出物を検出できる。検出範囲R2の操作区画34を除く第2区画32bでは、第2測距センサ20Bのみ被検出物を検出できる。
操作区画34は、測距センサ20A,20Bからの距離で2以上の操作検出区域に区分けされている。詳しくは、車体2に最も近接した第1操作検出区域であるトリガ区域35と、車体2に対してトリガ区域35より離れて位置する第2操作検出区域であるスタート区域36とを備えている。また、スタート区域36は、測距センサ20A,20Bに近づいた側の第1部分36aと、測距センサ20A,20Bから離れた側の第2部分36bとに、更に区分けされている。
トリガ区域35は、測距センサ20A,20Bを介して車体2に被検出物である使用者が近づいたことを検出する部分であり、例えば車体2から20cm離れた位置から40cm離れた位置までの範囲に設定されている。
スタート区域36は、ドア4を開閉させても概ね使用者に衝突しない位置であり、例えば車体2から50cm離れた位置から120cm離れた位置までの範囲に設定されている。そのうち、第1部分36aは、スタート区域36の概ね前半分であり、例えば車体2から50cm離れた位置から80cm離れた位置までの範囲に設定されている。この第1部分36aでは、使用者の身長や体勢によって、ドア4を開閉させると使用者と衝突する可能性が残る。第2部分36bは、スタート区域36の概ね後半分であり、例えば車体2から80cm離れた位置から120cm離れた位置までの範囲に設定されている。この第2部分36bでは、使用者の身長や体勢に拘わらず、ドア4を開閉させても使用者と衝突することはない。
また、操作区画34には、トリガ区域35の車体2側に第1非操作区域37が設定されている。図3を参照すると、第1非操作区域37は、測距センサ20A,20Bに近すぎ、地面G側が検出範囲R1,R2外になるため、操作検出区域から除外している。また、トリガ区域35とスタート区域36の間には、所定幅の第2非操作区域38が設定されている。この第2非操作区域38は、トリガ区域35とスタート区域36のいずれに被検出物が存在するかを明確にするための空間である。
判断部30eは、第1測距センサ20Aだけが反射信号を受信する場合、被検出物が第1区画32aに存在すると判断できる。また、第2測距センサ20Bだけが反射信号を受信する場合、被検出物が第2区画32bに存在すると判断できる。さらに、第1測距センサ20Aと第2測距センサ20Bの両方で反射信号を受信する場合、被検出物が操作区画34に存在すると判断できる。また、測定部30dは、前述のように、無線信号の送信から反射信号の受信までの時間によって、被検出物までの距離を測定できる。よって、判断部30eは、測定部30dが測定した距離によって、被検出物が操作区画34のどの区域35〜38に存在するかを判断できる。
このように、本実施形態では、第1測距センサ20Aの第1検出範囲R1の一部と第2測距センサ20Bの第2検出範囲R2の一部を重複させることで、特別な装置を使用することなく、幅方向を限定した特定の操作区画を設定できる。よって、使用者の操作意思を安定かつ高精度に検出でき、誤検出を確実に防止できる。また、各測距センサ20A,20Bは、検出中心軸C1,C2が交差しないように、互いに外向きに傾斜して配置されているため、ケーシング14に対して容易に組み付けることができる。
また、測距センサ20A,20Bからの距離に応じて複数の操作検出区域35,36を設定しているため、その複数の操作検出区域35,36を通る一定方向から移動してくる被検出物(使用者)のみを正規の操作意思として検出することができる。よって、操作区画の横から動物や異物が侵入したり、操作方法を知らない第三者が近づいたりすることで、誤作動することを防止できる。
また、測距センサ20A,20Bは、水平方向に出力した無線信号の反射信号を受信することで被検出物を検出するため、地面等の車両の近距離にある一定の高さを有しない部材からの反射信号を受信することはない。しかも、測距センサ20A,20Bを車体2に配置しているため、ドア4を開制御する場合でも閉制御する場合でも、被検出物を検出する際の基準(距離)は同一である。よって、検出手段による誤検出を確実に防止でき、使用者による操作意思の検出を迅速かつ高精度に行うことができる。
(コントローラによる制御の詳細)
コントローラ30は、トリガ区域35以外のアプローチ領域32内の被検出物を検出する際には、送受信モード切換部30cによって測距センサ20A,20Bの送受信機能を第1送受信モードに切り換える。トリガ区域35内の被検出物を検出する際には、送受信モード切換部30cによって測距センサ20A,20Bの送受信機能を第2送受信モードに切り換える。つまり、第1送受信モードのままで被検出物を検出すると、トリガ区域35に被検出物が存在する場合、送信部21A,21Bから無線信号を出力している状態で、受信部22A,22Bに反射信号が入力されることになり、受信部22A,22Bは、送信部21A,21Bから出力した無線信号と反射信号が混信して区別できない。そのため、被検出物までの距離を誤認又は測定不能になる。よって、近距離であるトリガ区域35内の被検出物を検出する際には、第2送受信モードに切り換えることで、距離を誤認したり、測定不能になったりすることを防止することができる。また、遠距離であるトリガ区域35外の被検出物を検出する際には、第1送受信モードに切り換えることで、被検出物を高精度で確実に検出できる。
コントローラ30は、アプローチ領域32内に使用者や障害物を含む被検出物が存在していることを検出すると、電子キーの認証を開始させる。そして、正規の電子キーであると認証され、使用者がスタート区域36に進入すると、表示制御部30bを介してLED28を点滅駆動させ、地面にスポットライトで操作マークを点滅表示させることで、使用者がトリガ区域35に向けて移動するように誘導する。LED28による操作マークの照射位置Iは、第1非操作区域37としている。このように使用者が操作マークを足で踏むことで、使用者が確実にトリガ区域35に進入するように設定している。即ち、LED28によって地面に表示された操作マークを使用者が踏む操作を検出するが、実際には表示を踏んだときの使用者の身体(例えば足のすね付近)を検出する。よって、トリガ区域35内への使用者の進入を使用者の操作意思として検出するようにしているので、使用者の操作意思を誤検出することなく、確実に検出できる。
コントローラ30は、スタート区域36を経由してトリガ区域35に使用者が進入すると、表示制御部30bを介してLED28を点灯駆動させ、地面にスポットライトで操作マークを点灯表示し、ドア4の開制御又は閉制御を開始するための動作を使用者に促す。即ち、ドア4を開制御する際には、LED28を点滅駆動させ、地面に点滅表示させた操作マークに従って、使用者がトリガ区域35からスタート区域36に後退するまで待機する。そして、使用者がスタート区域36まで後退したことを検出すると、ドア開閉駆動部12を制御し、ドア4を開放させる。ドア4を閉制御する際にも開制御時と同様に、LED28を点滅駆動させ、地面に点滅表示させた操作マークに従って、使用者がスタート区域36の第1部分36aに後退するまで待機する。更に閉制御する場合には、使用者が第1部分36aまで後退した後も、更に使用者が第2部分36bまで後退するまで操作マークを点滅表示させて待機する。そして、使用者が第2部分36bまで後退したことを検出すると、ドア開閉駆動部12を制御し、ドア4を閉塞させる。
このように、本実施形態では、LED28を点滅駆動させ、地面に操作マークを点滅表示をすることによって使用者に操作方法やタイミングを簡単に認識させることができるため、使用者の操作性及び利便性を向上できる。また、LED28は、電子キーの認証がされ、且つ、操作区画内に使用者が進入することで点滅し、地面にスポットライトで操作マークが点滅表示されるため、電子キーを有さない第三者が操作区画内に進入したとしてもLED 28は点灯又は点滅しないので、バッテリーの電力を無駄に消費することを防止できる。
なお、コントローラ30は、後述する障害物検出処理、障害物解除除去及び障害物除去処理、アプローチモードの場合には、2個の測距センサ20A,20Bのうち、一方の検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnだけで次のステップに進むが、ドア4の開閉制御を行うための具体的操作である、スタートモード及びトリガモード、バックモード、閉バックモード1及び閉バックモード2の処理においては、両方の検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnとして検出されたことを条件に次のステップに進む。例えば、トリガ区域35の被検出物を検出する際には、測距センサ20A,20Bを第2送受信モードで動作させるが、両方の検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnに基づいて、次のステップに進むか否かを判断する。
これらの制御中にコントローラ30は、被検出物として検出している検出結果が、検出対象物である使用者の検出結果であるか、非検出対象物である障害物の検出結果であるかを、記憶部30aの記憶情報MA1〜MAn,MB1〜MBnに基づいて判別する。具体的には、コントローラ30は、設定した回数継続して検出結果に移動距離に変化がないと判断部30eが判断した被検出物の距離情報を、障害物情報K1〜Knとして記憶部30aに記憶する。そして、測距センサ20A,20Bによる検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnから障害物情報K1〜Knを除外し、他の検出対象物の検出結果だけに基づいて各制御を実行する。また、障害物情報K1〜Knとして記憶部30aに記憶した距離情報に該当する被検出物の検出自体は継続しているため、非検出障害物情報K1〜Knに一致する検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnが無くなった場合、対象の障害物情報K1〜Knを記憶部30aから消去する。
このように、本実施形態では、現在の検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnと過去の記憶情報MA1〜MAn,MB1〜MBnに基づいて、検出している被検出物のうち、検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnが変化しない障害物と、検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnが変化する使用者を認識できる。よって、障害物の存在によりコントローラ30が誤作動してドア4を開閉制御することを防止し、使用者の動きを正確に判定して確実にドア4を開閉制御できる。また、判断部30eが検出対象物であると判断した被検出物が設定された動きを検出した場合のみ、ドア4を開閉制御するため、使用者以外の動物や障害物による誤作動を防止したうえで、使用者の操作意思を安定かつ高精度に検出できる。
次に、図7Aから図16のフローチャートに従ってコントローラ30による制御を具体的に説明する。このドア4の開閉制御は、車両1が駐車され、エンジンが停止されることで開始される。
(ゼネラルフロー)
図7Aに示すように、コントローラ30は、車両1のエンジンが停止されると、ステップS1で自身の初期化を行い、ステップS2で測距センサ20A,20Bによる検出時間になるまで待機する。ここで、検出時間は、アプローチ領域32内に検出対象物であると判断した被検出物が存在する場合と存在しない場合とで異なり、存在する場合の方が存在しない場合の方より短く設定している。例えば、検出対象の被検出物が存在しない場合には0.5秒毎に検出を行い、検出対象の被検出物が存在する場合には0.05秒毎に検出を行う。
コントローラ30の内蔵タイマにより時間が経過すると、ステップS3で、送受信モード切換部30cに指示に従って、測距センサ20A,20Bの両方又は一方の送信部21A,21Bから無線信号を出力させる。その後、ステップS4で、測距センサ20A,20Bの両方又は他方の受信部22A,22Bで反射信号を受信する。
ついで、ステップS5で、検出した被検出物の中の障害物の有無を判別し、障害物情報K1〜Knとして記憶する障害物検出処理を実行する。ついで、ステップS6で、記憶している障害物情報K1〜Knの中から特定の障害物情報K1〜Knを除外し、検出対象物に含める(戻す)除外解除処理を実行する。ついで、ステップS7で、障害物情報K1〜Knと一致する検出結果DA1〜DAn,DB1〜DBnを除外して判定する対象を検出対象物のデータだけにする障害物除外処理を実行する。その後、コントローラ30は、図7Bに示すように、各状況に応じた制御を実行する。
即ち、ステップS8ではアプローチモードに設定されているか否かを判断する。そして、アプローチモードに設定されている場合にはステップS9に進み、アプローチモードを実行して図7AのステップS2に戻る。また、アプローチモードに設定されていない場合にはステップS10に進む。
ステップS10ではスタートモードに設定されているか否かを判断する。そして、スタートモードに設定されている場合にはステップS11に進み、スタートモードを実行して図7AのステップS2に戻る。また、スタートモードに設定されていない場合にはステップS12に進む。
ステップS12ではトリガモードに設定されているか否かを判断する。そして、トリガモードに設定されている場合にはステップS13に進み、トリガモードを実行して図7AのステップS2に戻る。また、トリガモードに設定されていない場合にはステップS14に進む。
ステップS14ではバックモードに設定されているか否かを判断する。そして、バックモードに設定されている場合にはステップS15に進み、バックモードを実行して図7AのステップS2に戻る。また、バックモードに設定されていない場合にはステップS16に進む。
ステップS16では閉バック第1モードに設定されているか否かを判断する。そして、閉バック第1モードに設定されている場合にはステップS17に進み、閉バック第1モードを実行して図7AのステップS2に戻る。また、閉バック第1モードに設定されていない場合にはステップS18に進む。
ステップS18では閉バック第2モードに設定されているか否かを判断する。そして、閉バック第2モードに設定されている場合にはステップS19に進み、閉バック第2モードを実行して図7AのステップS2に戻る。また、閉バック第2モードに設定されていない場合にはステップS20に進む。
ステップS20は、アプローチ領域32内の障害物を判別していない場合や、各モード設定がされていない場合において、アプローチ領域32内に使用者を含む被検出物が進入した場合に実行される。即ち、測距センサ20A,20Bで検出可能な全ての被検出物が障害物であると判断している場合、ステップS8からステップS19に示すいずれのモードにも設定されていない状態で、アプローチ領域32内で障害物以外の被検出物を検出することで、ステップS21に進む。そして、アプローチモードに設定して、図7AのステップS2に戻る。
(障害物検出処理)
図8に示すように、ステップS5の障害物検出処理では、コントローラ30は、検出結果D(DA1〜DAn,DB1〜DBn)を個別に全ての記憶情報M(MA1〜MAn,MB1〜MBn)と比較し、特定の検出結果Dを障害物情報Kとして記憶する。
詳しくは、まず、ステップS5−1で、検出結果Dから前回検出した記憶情報Mを減算した数値の絶対値が閾値T1(例えば2cm)より低いか否かを演算する。そして、閾値T1より低い場合、即ち被検出物が移動していない場合、ステップS5−2に進み、障害物であると判断した回数であるカウンタNaに1を加算する。
ついで、ステップS5−3で、カウンタNaが4回より多くなったか否かを検出する。そして、カウンタNaが4より多くなった場合にはステップS5−4に進み、カウンタNaが4以下の場合にはステップS5−6に進む。ステップS5−4では、設定回数以上閾値T1を下回った記憶情報M(検出結果D)を障害物情報Kとして記憶部30aに記憶し、ステップS5−6に進む。
一方、ステップS5−1で検出結果Dから記憶情報Mを減算した数値の絶対値が閾値T1以上の場合、ステップS5−5で、対象の検出結果DのカウンタNaをクリア(=0)し、ステップS5−6に進む。
このようにして現在の検出結果D(DA1〜DAn,DB1〜DBn)と前回検出した記憶情報M(MA1〜MAn,MB1〜MBn)の比較が全て終了すると、ステップS5−6で、検出結果Dを記憶情報Mとして記憶部30aに更新記憶してリターンする(図7A及び図7Bのゼネラルフローに戻る)。
このように、判断部30eは、被検出物の検出結果(距離)Dと記録情報(距離情報)Mとの差が、設定した閾値T1よりも小さいことを所定回数継続して検出すると、対象の被検出物が非検出対象物であると判断する。よって、検出した被検出物が検出対象物か非検出対象物かを確実に判断できるうえ、検出対象物を非検出対象物と誤判断することを防止できる。
(除外解除処理)
図9に示すように、ステップS6の除外解除処理では、コントローラ30は、障害物情報K(K1〜Kn)を個別に全ての検出結果D(DA1〜DAn,DB1〜DBn)と比較する。そして、障害物情報Kと一致する検出結果Dの有無を検出し、障害物情報Kと一致する検出結果Dが無い場合に、対象の障害物情報Kを除外して検出対象物に戻す。
詳しくは、まず、ステップS6−1で、障害物情報Kから検出結果Dを減算した数値の絶対値が閾値T2(例えば2cm)より低いか否かを演算する。そして、閾値T2以上の場合、即ち、被検出物の検出結果Dと記憶された障害物情報Kが実質的に同一でない場合にはステップS6−2に進む。また、検出結果Dと障害物情報Kが実質的に同一である場合には、ステップS6−2からステップS6−4をスキップしてリターンする。
障害物情報Kに一致する検出結果Dが無い場合、ステップS6−2で、障害物無しと判断した回数であるカウンタNbに1を加算する。その後、ステップS6−3で、カウンタNbが2回より多くなったか否かを検出する。そして、カウンタNbが2より多くなった場合にはステップS6−4に進み、カウンタNbが2以下の場合にはステップS6−4をスキップしてリターンする。ステップS6−4では、障害物無しと判断した障害物情報Kを記憶部30aから消去し、被検出物の検出結果Dから除外することを解除してリターンする。
このように、被検出物の測定結果Dに、除外するようにした障害物情報Kが無い場合、対象の被検出物を検出対象物とするため、何らかの理由で使用者が一時的に立ち止まった際に非検出対象物であると判断されても、動きを再開することで解除される。よって、非検出対象物の誤認を防止できる。
(障害物除外処理)
図10に示すように、ステップS7の障害物除外処理では、コントローラ30は、障害物情報(K1〜Kn)を個別に全ての検出結果D(DA1〜DAn,DB1〜DBn)と比較し、障害物情報Kと実質的に一致する検出結果Dを除外する。
詳しくは、まず、ステップS7−1で、障害物情報Kから検出結果Dを減算した数値の絶対値が閾値T3(例えば2cm)より低いか否かを演算する。そして、閾値T3より低い場合にはステップS7−2に進み、対象の検出結果Dを除外(=0)してリターンする。また、閾値T3以上の場合には、ステップS7−2をスキップしてリターンする。
このように、非検出対象物であると継続して判断した被検出物の検出結果Dを除外し、他の被検出物の検出結果Dに基づいて検出対象物を判断するため、判断に要する速度を向上でき、正規の検出対象物の動きを高精度に検出できる。
(アプローチモード)
図11に示すように、ステップS9のアプローチモードでは、コントローラ30は、アプローチ領域32内に障害物以外の被検出物(使用者を含む)が進入した場合に、電子キーの認証を開始させる。
即ち、ステップS9−1で、アプローチ領域32内に障害物を除く被検出物が進入しているか否かを判断する。そして、アプローチ領域32内に被検出物が進入していない場合には、ステップS9−2に進み、アプローチモードをクリアし、また、アプローチ領域32内に被検出物が進入したと判断した回数であるカウンタNcに1をクリアしてリターンする。また、アプローチ領域32内に被検出物が進入している場合にはステップS9−3に進む。
ステップS9−3では、カウンタNcに1を加算した後、ステップS9−4で、カウンタNcが2より多くなったか否かを検出する。そして、カウンタNcが2より多くなった場合にはステップS9−5に進み、カウンタNcが2以下の場合にはステップS9−5,6をスキップしてリターンする。
ステップS9−5では、上位ECU5にスマートエントリ認証要求信号を出力する。これにより、上位ECU5が電子キーに認証コードの送信要求を行い、受信した認証コードを登録された正規コードと比較する。ついで、ステップS9−6で、アプローチモードをクリアし、カウンタNcをクリアし、スタートモードに設定してリターンする。
このように、操作区画34で使用者の操作意思を検出する前に、アプローチ領域32で被検出物を検出することで使用者が近づいたことを検出し、キー認証を行う。よって、使用者による操作意思の検出を迅速に行うことができるため、利便性を向上できる。
(スタートモード)
図12に示すように、ステップS11のスタートモードでは、コントローラ30は、正規の電子キーを認証した場合、かつ使用者がスタート区域36に位置している場合に、使用者に開閉操作(動作)を促す。
即ち、ステップS11−1で、スマートエントリ認証が正常に行われたか否かを上位ECU5からの受信によって確認する。そして、正常に認証されている場合にはステップS11−2に進み、正常に認証されなかった場合にはステップS11−5に進む。
ステップS11−2では、ドア開閉駆動部12からの信号によってドア4が開状態であるか閉状態であるかを読み込む。ついで、ステップS11−3で、被検出物がスタート区域36内(例えば図5のP1)に位置しているか否かを判断する。そして、スタート区域36内に被検出物が存在する場合にはステップS11−4に進み、スタート区域36内に被検出物が存在しない場合にはステップS11−8に進む。
ステップS11−4では、表示制御部30bを介してLED28を点滅させ、送受信モード切換部30cを介して測距センサ20A,20Bを第2送受信モードに変更し、スタートモードをクリアする。また、スマートエントリ認証の不一致回数であるカウンタNdをクリアし、スタート区域36内に被検出物を検出できなかった回数であるカウンタNeをクリアし、トリガモードに設定してリターンする。
ステップS11−1でスマートエントリ認証が不一致であった場合には、ステップS11−5で、カウンタNdに1を加算した後、ステップS11−6で、カウンタNdが3より多くなったか否かを検出する。そして、カウンタNdが3より多くなった場合にはステップS11−7に進み、スタートモードをクリアし、カウンタNd,Neをクリアしてリターンする。また、カウンタNdが3以下の場合にはステップS11−7をスキップしてリターンする。
ステップS11−3で被検出物をスタート区域36内で検出できなかった場合には、ステップS11−8で、カウンタNeに1を加算した後、ステップS11−9で、カウンタNeが20より多くなったか否かを検出する。そして、カウンタNeが20より多くなった場合にはステップS11−10に進み、スタートモードをクリアし、カウンタNd,Neをクリアしてリターンする。また、カウンタNeが20以下の場合にはステップS11−10をスキップしてリターンする。
(トリガモード)
図13に示すように、ステップS13のトリガモードでは、コントローラ30は、使用者がトリガ区域35に位置した場合に、ドア4の開制御又は閉制御を開始させるための動作を使用者に促す。
即ち、ステップS13−1で、被検出物がトリガ区域35(例えば図5のP2)に進入しているか否かを検出する。そして、トリガ区域35内に被検出物が進入している場合にはステップS13−2に進み、LED28を点灯させ、トリガモードをクリアする。また、トリガ区域35内に被検出物を検出できなかった回数であるカウンタNfをクリアし、バックモードに設定し、測距センサ20A,20Bを第1送受信モードに変更してリターンする。
また、ステップS13−1でトリガ区域35への被検出物の進入を検出できない場合には、ステップS13−3で、カウンタNfに1を加算した後、ステップS13−4で、カウンタNfが20より多くなったか否かを検出する。そして、カウンタNfが20より多くなった場合にはステップS13−5に進み、LED28を消灯させ、トリガモードをクリアするとともに、カウンタNfをクリアし、測距センサ20A,20Bを第1送受信モードに変更してリターンする。また、カウンタNfが20以下の場合にはステップS13−5をスキップしてリターンする。
(バックモード)
図14に示すように、ステップS15のバックモードでは、コントローラ30は、使用者を車両1から離れさせ、ドア4の開放又は閉塞を開始するための動作を使用者に促し、ドア開制御の場合には、ドア4の開放制御を行う。
即ち、ステップS15−1で、LED28を点滅させた後、ステップS15−2で、現在のドア4の開閉状態からドア4を開制御するのか閉制御するのかを判断する。そして、ドア4を閉制御する場合にはステップS15−3に進み、バックモードをクリアし、閉バック第1モードに設定してリターンする。また、ドア4を開制御する場合にはステップS15−4に進む。
ステップS15−4では、被検出物がスタート区域36(例えば図5のP3)に後退しているか否かを検出する。そして、スタート区域36内に被検出物が後退している場合にはステップS15−5に進み、スタート区域36内に被検出物が後退していない場合にはステップS15−6に進む。
ステップS15−5では、ドア4の開信号を出力してドア開閉駆動部12を介してドア4を開駆動させ、LED28を消灯させる。また、バックモードをクリアし、スタート区域36内に被検出物を検出できなかった回数であるカウンタNgをクリアしてリターンする。これにより、車両1のドア4が車体2に対して開放される。
ステップS15−6では、カウンタNgに1を加算した後、ステップS15−7で、カウンタNgが20より多くなったか否かを検出する。そして、カウンタNgが20より多くなった場合にはステップS15−8に進み、LED28を消灯させ、バックモードをクリアし、カウンタNgをクリアしてリターンする。また、カウンタNgが20以下の場合にはステップS15−8をスキップしてリターンする。
(閉バック第1モード)
図15に示すように、閉バック第1モードでは、コントローラ30は、使用者が車両1から離れたか否かを確認する。
即ち、ステップS17−1で、被検出物がスタート区域36の第1部分36a(例えば図5のP3)に後退しているか否かを検出する。そして、第1部分36aに被検出物が後退している場合にはステップS17−2に進み、閉バック第1モードをクリアする。また、第1部分36aに被検出物を検出できなかった回数であるカウンタNhをクリアし、閉バック第2モードに設定してリターンする。
また、ステップS17−1で第1部分36aに被検出物が後退していない場合には、ステップS17−3で、カウンタNhに1を加算した後、ステップS17−4で、カウンタNhが20より多くなったか否かを検出する。そして、カウンタNhが20より多くなった場合にはステップS17−5に進み、LED28を消灯させ、閉バック第1モードをクリアし、カウンタNhをクリアしてリターンする。また、カウンタNhが20以下の場合にはステップS17−5をスキップしてリターンする。
(閉バック第2モード)
図16に示すように、閉バック第2モードでは、コントローラ30は、使用者が車両1から安全な位置まで離れたか否かを確認し、ドア4の閉駆動を行う。
即ち、ステップS19−1で、被検出物がスタート区域36の第2部分36b(例えば図5のP4)に後退しているか否かを検出する。そして、第2部分36bに被検出物が後退している場合にはステップS19−2に進み、ドア4の閉信号を出力してドア開閉駆動部12を介してドア4を閉駆動させ、LED28を消灯させる。また、閉バック第2モードをクリアし、第2部分36bに被検出物を検出できなかった回数であるカウンタNiをクリアしてリターンする。これにより、車両1のドア4が車体2に対して閉塞される。
また、ステップS19−1で第2部分36bに被検出物が後退していない場合には、ステップS19−3で、カウンタNiに1を加算した後、ステップS19−4で、カウンタNiが20より多くなったか否かを検出する。そして、カウンタNiが20より多くなった場合にはステップS19−5に進み、LED28を消灯させ、閉バック第2モードをクリアし、カウンタNiをクリアしてリターンする。また、カウンタNiが20以下の場合にはステップS19−5をスキップしてリターンする。
このようにしたドア開閉装置10は、図5に示すように、障害物O1,O2を含む複数の被検出物の中から、特定の検出対象物である使用者の動きを確実に検出できる。そして、使用者の設定された特定の動きを検出することで、ドア4を開制御又は閉制御するため、誤動作を確実に防止できるとともに、使用者の利便性を大幅に向上できる。
なお、本発明のドア開閉装置10は、測距センサ20A,20Bが送信部21A,21Bと受信部22A,22Bとを有し、送信部21A,21Bは、無線信号の出力中心C1,C2が車体2から水平方向に出力されるように配置されている構成に特徴を有し、他の構成は前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、検出手段として第1及び第2(2個)の測距センサ20A,20Bを配置したが、3以上を配置してもよいし、1個のみ配置してもよい。また、操作区画34は、2個の操作検出区域35,36に区分したが、3以上に区分してもよい。
また、判断部30eは、検出結果D及び記憶情報Mの差と閾値T1を比較し、設定した回数継続して実質的に同一であると判断すると非検出対象物であると判断するようにしたが、設定した時間継続して検出することで非検出対象物であると判断してもよい。同様に、検出結果D及び障害物情報Kの差と閾値T2を比較し、設定した時間継続して実質的に同一でないと判断することで障害物情報Kから除外してもよい。また、実質的に同一であるか否かを判断する閾値T1〜T3は、それぞれ異なる数値としてもよい。