JP6641497B2 - イソシアネート組成物、イソシアネート重合体の製造方法およびイソシアネート重合体 - Google Patents
イソシアネート組成物、イソシアネート重合体の製造方法およびイソシアネート重合体 Download PDFInfo
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Description
本願は、2016年10月14日に、日本に出願された特願2016‐203144号、2016年10月14日、日本に出願された特願2016−203113に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
[1]エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって下記式(1)で表される化合物、
及び/又は、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定スペクトルにおいて、イソシアネート10量体以上の領域にUV吸収を持つ化合物、
及び/又は、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、イソシアヌレート基及び/又はビウレット基を有する化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上2.0×104質量ppm以下の範囲の、炭酸誘導体と、
を含有する、イソシアネート組成物。
[2]エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×10 4 質量ppm以下の、前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって下記式(1)又は(14)で表される化合物、
及び/又は、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として1.0質量ppm以上1.0×10 4 質量ppm以下の、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定スペクトルにおいて、イソシアネート10量体以上の領域にUV吸収を持つ化合物、
及び/又は、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として1.0質量ppm以上1.0×10 4 質量ppm以下の、イソシアヌレート基及び/又はビウレット基を有する化合物と、
を含有する、イソシアネート組成物。
[3]前記イソシアネート組成物が、前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上2.0×104質量ppm以下の範囲の、炭化水素化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物及び含ケイ素スルフィド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の不活性化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外に炭素−炭素間の不飽和結合及び炭素−酸素間の二重結合を有しない不活性化合物をさらに含有する、[1]に一項に記載のイソシアネート組成物。
[4]前記イソシアネート組成物が、前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×102質量ppm以下の、硫酸、及び/又は、硫酸エステルをさらに含有する、[1]又は[3]に記載のイソシアネート組成物。
[5]前記イソシアネート組成物が、前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の範囲の、塩基性アミノ化合物、及び/又は、
ハロゲンイオン、及び/又は、加水分解性ハロゲン化合物をさらに含有する[1]、[3]、[4]のいずれか一つに記載のイソシアネート組成物。
[6]エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外の不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物、又は、前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上2.0×104質量ppm以下の、炭化水素化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物及び含ケイ素スルフィド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外に炭素−炭素間の不飽和結合を有しない不活性化合物、及び/又は、
1.0質量ppm以上1.0×102質量ppm以下の、硫酸、及び/又は、硫酸エステルと、
を含有する、イソシアネート組成物。
[7]エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって、芳香環を形成する不飽和結合以外の不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物とを含有し、
前記芳香環を形成する不飽和結合以外の不飽和結合が、炭素−酸素間の二重結合である、イソシアネート組成物。
[8]前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって、芳香環を形成する不飽和結合以外の不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物が、炭酸誘導体である、[7]に記載のイソシアネート組成物。
[9]前記炭酸誘導体が、炭酸エステル、N−無置換カルバミン酸エステル、及び、N−置換カルバミン酸エステルからなる群から選ばれる、少なくとも1種の化合物である、[8]に記載のイソシアネート組成物。
[10]前記N−置換カルバミン酸エステルが、下記式(2)で表される化合物である、[9]に記載のイソシアネート組成物。
[11]エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上2.0×10 4 質量ppm以下の、炭化水素化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物及び含ケイ素スルフィド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外に炭素−炭素間の不飽和結合を有しない不活性化合物とを含有する、イソシアネート組成物。
[12]エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×10 4 質量ppm以下の、前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外の不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上2.0×10 4 質量ppm以下の、炭化水素化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物及び含ケイ素スルフィド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外に炭素−炭素間の不飽和結合を有しない不活性化合物とを含有する、イソシアネート組成物。
[13]前記芳香環を形成する不飽和結合以外の不飽和結合が、炭素−酸素間の二重結合である、[12]に記載のイソシアネート組成物。
[14]前記芳香環を形成する不飽和結合以外の不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物が、炭酸誘導体である、[13]に記載のイソシアネート組成物。
[15]前記炭酸誘導体が、炭酸エステル、N−無置換カルバミン酸エステル、及び、N−置換カルバミン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、[14]に記載のイソシアネート組成物。
[16]イソシアネート組成物全体質量を基準として、前記イソシアネート化合物を97質量%以上含む、[1]、[3]〜[15]のいずれか一つに記載のイソシアネート組成物。
[17][1]、[3]〜[16]のいずれか一つに記載のイソシアネート組成物と2官能以上のイソシアネートとを混合し、前記イソシアネート組成物に含有される前記イソシアネート化合物と前記2官能以上のイソシアネートとを反応させる工程を含むイソシアネート重合体の製造方法であって、
前記イソシアネート重合体が下記式(11)で表される単位を含み、
前記イソシアネート重合体を構成する窒素原子が、炭素原子と結合していることを特徴とする、イソシアネート重合体の製造方法。
本発明のイソシアネート組成物において、エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、下記式(3)で表される化合物が好ましく使用される。
式(3)において、Xは、好ましくはエーテル結合及びフェニレン基のいずれか又は両方を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキレン基であり、より好ましくはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキレン基であり、さらに好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基である。
直鎖状のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキレン基としては、具体的には、−C(CH3)2−、−CH(CH3)−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−C(CH2CH3)2−等;−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−CH(CH2CH3)CH2−、−C(CH2CH3)2−CH2−等が挙げられる。
上記エーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキレン基とは、炭素数1〜8のアルキレン基中の炭素−炭素結合間に酸素原子が挿入されていてもよいことを意味し、具体的には、−(CH2)a−(O)b−(CH2)c−(O)d−(CH2)e−で表される。前記式中、a+c+eは2〜8の整数を表し、a及びcは1以上の整数を表し、b及びdは0又は1を表し、dが0のときはeも0である。
式(3)において、R5、R6、及びR7は、各々独立に、水素、炭素数1〜10のアルキル基又は有機基を表す。
炭素数1〜10のアルキル基としては、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基が挙げられる。直鎖状アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。分岐鎖状アルキル基としては、具体的には、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等が挙げられる。
これらのエチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物は、どのような方法によって製造されたイソシアネート化合物であってもよく、公知の方法を用いて製造することができる。
本発明における下記式(1)で表される化合物について説明する。
上記式(1)において、R1は、好ましくは炭素数2〜10の脂肪族基、または炭素数6〜10の芳香族基である。具体的には、脂肪族基の例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘプタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の化合物からa個の水素原子を除いた残基が挙げられ、芳香族基の例としては、ベンゼン、メチルベンゼン、エチルベンゼン、ブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、ジフェニル、ターフェニル、フェニルプロピルベンゼン、ジ(フェニルプロピル)ベンゼン、ジフェニルエーテル等の化合物からa個の水素原子を除いた残基が挙げられる。
本発明の、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定スペクトルにおいて、イソシアネート10量体以上の領域にUV吸収を持つ化合物は、その構造を完全に特定することは難しいが、本願発明者らは、下記式(15)で表される1−ナイロン体構造を主骨格とする化合物と推定している。
また、上記式(15)におけるR29の、イソシアネート化合物から1つのイソシアネート基を除いた残基は、前記エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物以外のイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基であってもよい。
イソシアヌレート基および/またはビウレット基を含有する化合物は、下記式(6’)または式(7’)で表される基を含有する化合物である。
本発明のイソシアネート組成物は、前記エチレン性不飽和結合を有するイソシアネートと共に、前記エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート以外の化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外の不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物、及び/又は後述する不活性化合物と、を含有する。なお、ここでいう芳香環を構成する不飽和結合以外の不飽和結合を有する化合物は、上で定義した、式(1)で表される化合物、またはゲル浸透クロマトグラフィーによる測定スペクトルにおいて、イソシアネート10量体以上の領域にUV吸収を持つ化合物、イソシアヌレート基および/またはビウレット基を有する化合物でない。
このような化合物としては、例えば、炭酸誘導体を挙げることができる。
本発明において、炭酸誘導体とは、下記式(4)で表される化合物を指す。
尿素化合物とは、分子中に尿素結合を少なくとも1つ有する化合物である。本発明のイソシアネート組成物に用いる尿素化合物は、好ましくは、尿素結合を1つ有する化合物であり、下記式(5)で表される。
≪N−無置換カルバミン酸エステル≫
本発明においては、N−無置換カルバミン酸エステルとしては、下記式(6)で表される化合物が好ましく使用される。
R13の脂肪族基の例としては、活性水素を含まない基であって、鎖状炭化水素基、環状炭化水素基、及び、鎖状炭化水素基と環状炭化水素基とから構成される基が挙げられる。R13の脂肪族基は、炭素及び水素以外の原子を含んでいてもよく、当該原子は、特定の非金属原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、ケイ素又はハロゲン原子)であることが好ましい。R13の脂肪族基は、炭素及び水素以外の原子として酸素原子を含む脂肪族基か、炭素及び水素以外の原子を含まない脂肪族基であることが好ましい。
本明細書において、炭酸エステルとは、炭酸(CO(OH)2)の、1又は2個の水素原子を、脂肪族基又は芳香族基で置換した化合物をいう。本発明においては、下記式(7)で表される化合物が好ましく使用される。
炭酸エステルの具体例としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、炭酸ジペンチル、炭酸ジヘキシル、炭酸ジヘプチル、炭酸ジオクチル、炭酸ジノニル、炭酸ジデシル、炭酸ジウンデシル、炭酸ジドデシル、炭酸ジトリデシル、炭酸ジテトラデシル、炭酸ジペンタデシル、炭酸ジヘキサデシル、炭酸ジヘプタデシル、炭酸ジオクタデシル、炭酸ジノナデシル、炭酸ジフェニル、炭酸ジ(メチルフェニル)、炭酸ジ(エチルフェニル)、炭酸ジ(プロピルフェニル)、炭酸ジ(ブチルフェニル)、炭酸ジ(ペンチルフェニル)、炭酸ジ(ヘキシルフェニル)、炭酸ジ(ヘプチルフェニル)、炭酸ジ(オクチルフェニル)、炭酸ジ(ノニルフェニル)、炭酸ジ(デシルフェニル)、炭酸ジ(ビフェニル)、炭酸ジ(ジメチルフェニル)、炭酸ジ(ジエチルフェニル)、炭酸ジ(ジプロピルフェニル)、炭酸ジ(ジブチルフェニル)、炭酸ジ(ジペンチルフェニル)、炭酸ジ(ジヘキシルフェニル)、炭酸ジ(ジヘプチルフェニル)、炭酸ジ(フェニルフェニル)、炭酸ジ(トリメチルフェニル)、炭酸ジ(トリエチルフェニル)、炭酸ジ(トリプロピルフェニル)、炭酸ジ(トリブチルフェニル)、炭酸ジ(フェニルメチル)、炭酸ジ(フェニルエチル)、炭酸ジ(フェニルプロピル)、炭酸ジ(フェニルブチル)、炭酸ジ(フェニルペンチル)、炭酸ジ(フェニルヘキシル)、炭酸ジ(フェニルヘプチル)、炭酸ジ(フェニルオクチル)、炭酸ジ(フェニルノニル)及びこれらの構造異性体等を挙げることができる。
N−置換カルバミン酸エステルとしては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
R3は、エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物からイソシアネート基(−NCO)を除いた残基であり、エチレン性不飽和結合を有する有機基である。
R4はヒドロキシ化合物に由来し、ヒドロキシ化合物を構成するヒドロキシ基(−OH)を除いた残基として表すことができる。以下、R4の説明を簡便にするために、R4にヒドロキシ基を付加したヒドロキシ化合物(R4OH)としてR4を定義する。なお、ここで定義するヒドロキシ化合物R4OHは、上記式((2)におけるR4、上記式(16)におけるR2をも表す。
ヒドロキシ化合物(R4OH)がアルコールの場合、下記式(9)で表される化合物である。
アルコールとして、具体的には、国際公開2014/069605号パンフレットの[0069]にアルコールとして例示されている化合物が挙げられる。
上記ヒドロキシ化合物(R4OH)が芳香族ヒドロキシ化合物の場合、工業的に使用することができ、一般的に低粘度である点から、1〜3価(すなわち、芳香環に結合したヒドロキシ基が1個から3個の整数個)の芳香族ヒドロキシ化合物が好ましい。芳香族ヒドロキシ化合物として、例えば、下記式(10)で表される化合物が挙げられる。
好ましい環Aを置換する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、エーテル基(例えば、置換又は無置換の、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、アラルキルエーテル基)からなる群より選ばれる基、2種以上の上記群から選ばれる基が互いに結合した基;2種以上の上記群より選ばれる基が飽和炭化水素結合又はエーテル結合で連結された基、又はハロゲン原子であって、環Aを構成する炭素原子数と、環Aを置換する全ての置換基を構成する炭素原子数との合計が6〜50の整数となる基等を挙げることができる。
(i)水素原子、
(ii)ハロゲン原子、
(iii)構成する炭素原子数が1〜44の炭素官能基であり、α位の炭素原子に、各々独立に、炭素原子数1〜43の鎖状アルキル基、炭素原子数1〜43のシクロアルキル基、炭素原子数1〜43のアルコキシ基、炭素原子数2〜43であって末端にヒドロキシ基を有しないポリオキシアルキレンアルキルエーテル基、炭素原子数6〜43のアリール基、炭素原子数7〜43の、芳香族基が結合したアルキル基、炭素原子数7〜43の、芳香族基が結合したシクロアルキル基、及び炭素原子数7〜43の芳香族基が結合したアルキルオキシ基、から選ばれる1種以上の基が結合した基、
ここで、「アラルキルオキシ基」とは、上で定義したアラルキル基に酸素原子が結合した基を表している。
本発明のイソシアネート組成物は、炭化水素化合物、エーテル化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物及び含ケイ素スルフィド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「不活性化合物」ともいう。)を含有していてもよい。本明細書において、「不活性化合物」とは、イソシアネート組成物の貯蔵中及びポリウレタンの生成反応下において、イソシアネート化合物と反応しない化合物を意味する。
化合物Aは、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する脂肪族炭化水素化合物である。化合物Aは、好ましくは、炭素数5〜20の炭化水素化合物である。化合物Aの具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、ペンチルシクロヘキサン、ヘキシルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、ジブチルシクロヘキサン及びこれらの構造異性体等が挙げられる。
化合物Bは、脂肪族炭化水素基で置換されていてもよい芳香族炭化水素化合物である。化合物Bは、好ましくは、炭素原子数5〜20の炭化水素化合物である。化合物Bの具体例としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、オクチルベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルエタン、(メチルフェニル)フェニルエタン、ジメチルビフェニル、ベンジルトルエン、ナフタレン、メチルナフタレン、エチルナフタレン、ブチルナフタレン及びこれらの構造異性体等が挙げられる。
化合物Cは、エーテル結合又はスルフィド結合と、脂肪族炭化水素基とを有する化合物であり、同種又は異種の脂肪族炭化水素化合物が、エーテル結合又はスルフィド結合を介して結合した化合物である。化合物Cは、好ましくは、炭素原子数2〜20の化合物である。化合物Cの具体例としては、エチルエーテル、ブチルエーテル、オクチルエーテル、ノニルエーテル、デシルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルオクチルエーテル、メチルノニルエーテル、メチルデシルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルオクチルエーテル、エチルノニルエーテル、エチルデシルエーテル、ブチルオクチルエーテル、ブチルノニルエーテル、ブチルデシルエーテル、オクチルノニルエーテル、オクチルデシルエーテル、ジシクロペンチルエーテル、ジシクロヘキシルエーテル、ジシクロオクチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロヘキシルブチルエーテル、シクロヘキシルオクチルエーテル、シクロヘキシルノニルエーテル、シクロヘキシルデシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル及びこれらの構造異性体等の炭化水素化合物がエーテル結合を介して結合したエーテル類;エチルスルフィド、ブチルスルフィド、オクチルスルフィド、ノニルスルフィド、デシルスルフィド、メチルエチルスルフィド、メチルブチルスルフィド、メチルオクチルスルフィド、メチルノニルスルフィド、メチルデシルスルフィド、エチルブチルスルフィド、エチルオクチルスルフィド、エチルノニルスルフィド、エチルデシルスルフィド、ブチルオクチルスルフィド、ブチルノニルスルフィド、ブチルデシルスルフィド、オクチルノニルスルフィド、オクチルデシルスルフィド、ジシクロペンチルスルフィド、ジシクロヘキシルスルフィド、ジシクロオクチルスルフィド、シクロヘキシルエチルスルフィド、シクロヘキシルブチルスルフィド、シクロヘキシルオクチルスルフィド、シクロヘキシルノニルスルフィド、シクロヘキシルデシルスルフィド及びこれらの構造異性体等の炭化水素化合物がスルフィド結合を介して結合したスルフィド類が挙げられる。
化合物Dは、エーテル結合又はスルフィド結合と、芳香族炭化水素基とを有する化合物であり、同種又は異種の芳香族炭化水素化合物が、エーテル結合又はスルフィド結合を介して結合した化合物である。化合物Dは、好ましくは、炭素原子数2〜20の化合物である。化合物Dの具体例としては、ジフェニルエーテル、(メチルフェニル)−フェニルエーテル、(エチルフェニル)−フェニルエーテル、(ブチルフェニル)−フェニルエーテル、(ヘキシルフェニル)−フェニルエーテル、(メチルフェニル)エーテル、(エチルフェニル)エーテル、(ブチルフェニル)エーテル、(ヘキシルフェニル)エーテル、ジベンジルエーテル、ジ(メチルベンジル)エーテル、ジ(エチルベンジル)エーテル、ジ(ブチルベンジル)エーテル、ジ(ペンチルベンジル)エーテル、ジ(ヘキシルベンジル)エーテル、ジ(オクチルベンジル)エーテル、ジフェニルエーテル及びこれらの構造異性体等の芳香族炭化水素化合物がエーテル結合を介して結合した芳香族エーテル類;ジフェニルスルフィド、(メチルフェニル)−フェニルスルフィド、(エチルフェニル)−フェニルスルフィド、(ブチルフェニル)−フェニルスルフィド、(ヘキシルフェニル)−フェニルスルフィド、(メチルフェニル)スルフィド、(エチルフェニル)スルフィド、(ブチルフェニル)スルフィド、(ヘキシルフェニル)スルフィド、ジ(メチルベンジル)スルフィド、ジ(エチルベンジル)スルフィド、ジ(ブチルベンジル)スルフィド、ジ(ペンチルベンジル)スルフィド、ジ(ヘキシルベンジル)スルフィド、ジ(オクチルベンジル)スルフィド、ジフェニルスルフィド、ジベンジルスルフィド及びこれらの構造異性体等の芳香族炭化水素化合物がスルフィド結合を介して結合した芳香族スルフィド類が挙げられる。
化合物Eは、エーテル結合又はスルフィド結合と、脂肪族炭化水素基と、芳香族炭化水素基とを有する化合物である。化合物Eは、好ましくは、炭素原子数7〜20の化合物である。化合物Eの具体例としては、フェニル−メチル−エーテル、フェニル−エチル−エーテル、フェニル−ブチル−エーテル、フェニル−オクチル−エーテル、フェニル−ノニル−エーテル、フェニル−デシル−エーテル、ベンジル−エチル−エーテル、ベンジル−ブチル−エーテル、ベンジル−オクチル−エーテル、ベンジル−ノニル−エーテル、ベンジル−デシル−エーテル、(メチルフェニル)エチルエーテル、(メチルフェニル)ブチルエーテル、(メチルフェニル)オクチルエーテル、(メチルフェニル)ノニルエーテル、(メチルフェニル)デシルエーテル、(エチルフェニル)エチルエーテル、(エチルフェニル)ブチルエーテル、(エチルフェニル)オクチルエーテル、(エチルフェニル)ノニルエーテル、(エチルフェニル)デシルエーテル、(ブチルフェニル)エチルエーテル、(ブチルフェニル)ブチルエーテル、(ブチルフェニル)オクチルエーテル、(ブチルフェニル)ノニルエーテル、(ブチルフェニル)デシルエーテル及びこれらの構造異性体等が挙げられる。
化合物Fは、脂肪族炭化水素化合物を構成する少なくとも1つの水素原子、又は、芳香族炭化水素化合物を構成する少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換されたハロゲン化物である。化合物Fは、好ましくは、炭素原子数2〜20の化合物である。化合物Fの具体例としては、クロロエタン、クロロプロパン、クロロブタン、クロロペンタン、クロロヘキサン、クロロヘプタン、クロロオクタン、クロロノナン、クロロデカン、クロロドデカン、クロロテトラデカン、クロロペンタデカン、クロロヘキサデカン、クロロオクタデカン、クロロノナデカン、クロロシクロペンタン、クロロシクロヘキサン、クロロシクロヘプタン、クロロシクロオクタン、クロロメチルシクロペンタン、クロロエチルシクロペンタン、クロロメチルシクロヘキサン、クロロエチルシクロヘキサン、クロロプロピルシクロヘキサン、クロロブチルシクロヘキサン、クロロペンチルシクロヘキサン、クロロヘキシルシクロヘキサン、クロロジメチルシクロヘキサン、クロロジエチルシクロヘキサン、クロロジブチルシクロヘキサン、クロロベンゼン、クロロメチルベンゼン、クロロエチルベンゼン、クロロブチルベンゼン、クロロペンチルベンゼン、クロロヘキシルベンゼン、クロロオクチルベンゼン、クロロビフェニル、クロロターフェニル、クロロジフェニルエタン、クロロ(メチルフェニル)フェニルエタン、クロロジメチルビフェニル、クロロベンジルトルエン、クロロナフタレン、クロロメチルナフタレン、クロロエチルナフタレン、クロロブチルナフタレン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、ジクロロブタン、ジクロロペンタン、ジクロロヘキサン、ジクロロヘプタン、ジクロロクタン、ジクロロノナン、ジクロロデカン、ジクロロドデカン、ジクロロテトラデカン、ジクロロペンタデカン、ジクロロヘキサデカン、ジクロロクタデカン、ジクロロノナデカン、ジクロロシクロペンタン、ジクロロシクロヘキサン、ジクロロシクロヘプタン、ジクロロシクロオクタン、ジクロロメチルシクロペンタン、ジクロロエチルシクロペンタン、ジクロロメチルシクロヘキサン、ジクロロエチルシクロヘキサン、ジクロロプロピルシクロヘキサン、ジクロロブチルシクロヘキサン、ジクロロペンチルシクロヘキサン、ジクロロヘキシルシクロヘキサン、ジクロロジメチルシクロヘキサン、ジクロロジエチルシクロヘキサン、ジクロロジブチルシクロヘキサン、ジクロロベンゼン、ジクロロメチルベンゼン、ジクロロエチルベンゼン、ジクロロブチルベンゼン、ジクロロペンチルベンゼン、ジクロロヘキシルベンゼン、ジクロロクチルベンゼン、ジクロロビフェニル、ジクロロターフェニル、ジクロロジフェニルエタン、ジクロロ(メチルフェニル)フェニルエタン、ジクロロジメチルビフェニル、ジクロロベンジルトルエン、ジクロロナフタレン、ジクロロメチルナフタレン、ジクロロエチルナフタレン、ジクロロブチルナフタレン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、ジブロモブタン、ジブロモペンタン、ジブロモヘキサン、ジブロモヘプタン、ジブロモクタン、ジブロモノナン、ジブロモデカン、ジブロモドデカン、ジブロモテトラデカン、ジブロモペンタデカン、ジブロモヘキサデカン、ジブロモクタデカン、ジブロモノナデカン、ジブロモシクロペンタン、ジブロモシクロヘキサン、ジブロモシクロヘプタン、ジブロモシクロオクタン、ジブロモメチルシクロペンタン、ジブロモエチルシクロペンタン、ジブロモメチルシクロヘキサン、ジブロモエチルシクロヘキサン、ジブロモプロピルシクロヘキサン、ジブロモブチルシクロヘキサン、ジブロモペンチルシクロヘキサン、ジブロモヘキシルシクロヘキサン、ジブロモジメチルシクロヘキサン、ジブロモジエチルシクロヘキサン、ジブロモジブチルシクロヘキサン、ジブロモベンゼン、ジブロモメチルベンゼン、ジブロモエチルベンゼン、ジブロモブチルベンゼン、ジブロモペンチルベンゼン、ジブロモヘキシルベンゼン、ジブロモクチルベンゼン、ジブロモビフェニル、ジブロモターフェニル、ジブロモジフェニルエタン、ジブロモ(メチルフェニル)フェニルエタン、ジブロモジメチルビフェニル、ジブロモベンジルトルエン、ジブロモナフタレン、ジブロモメチルナフタレン、ジブロモエチルナフタレン、ジブロモブチルナフタレン、ジフルオロエタン、ジフルオロプロパン、ジフルオロブタン、ジフルオロペンタン、ジフルオロヘキサン、ジフルオロヘプタン、ジフルオロクタン、ジフルオロノナン、ジフルオロデカン、ジフルオロドデカン、ジフルオロテトラデカン、ジフルオロペンタデカン、ジフルオロヘキサデカン、ジフルオロクタデカン、ジフルオロノナデカン、ジフルオロシクロペンタン、ジフルオロシクロヘキサン、ジフルオロシクロヘプタン、ジフルオロシクロオクタン、ジフルオロメチルシクロペンタン、ジフルオロエチルシクロペンタン、ジフルオロメチルシクロヘキサン、ジフルオロエチルシクロヘキサン、ジフルオロプロピルシクロヘキサン、ジフルオロブチルシクロヘキサン、ジフルオロペンチルシクロヘキサン、ジフルオロヘキシルシクロヘキサン、ジフルオロジメチルシクロヘキサン、ジフルオロジエチルシクロヘキサン、ジフルオロジブチルシクロヘキサン、ジフルオロベンゼン、ジフルオロメチルベンゼン、ジフルオロエチルベンゼン、ジフルオロブチルベンゼン、ジフルオロペンチルベンゼン、ジフルオロヘキシルベンゼン、ジフルオロクチルベンゼン、ジフルオロビフェニル、ジフルオロターフェニル、ジフルオロジフェニルエタン、ジフルオロ(メチルフェニル)フェニルエタン、ジフルオロジメチルビフェニル、ジフルオロベンジルトルエン、ジフルオロナフタレン、ジフルオロメチルナフタレン、ジフルオロエチルナフタレン、ジフルオロブチルナフタレン及びこれらの構造異性体等が挙げられる。
化合物Gは、上記化合物A〜Eの炭素原子の一部又は全部がケイ素原子に置換された化合物である。化合物Gの具体例としては、テトラエチルシラン、テトラブチルシラン、テトラヘキシルシラン、テトラシクロヘキシルシラン、テトラフェニルシラン、ジメチルジブチルシラン、ジメチルジシクロヘキシルシラン、ジメチルジフェニルシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、ヘキサシクロヘキシルシクロトリシロキサン、トリメチルトリシクロヘキシルシクロトリシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、オクタシクロヘキシルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラシクロヘキシルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、ペンタメチルペンタフェニルテトラシロキサン及びこれらの構造異性体等が挙げられる。
アミノ化合物はアンモニアの誘導体で、アルキル基やアリール基でその水素が一つ置換された化合物(第一級),二つ置換された化合物(第二級),および三つとも置換された化合物(第三級)がある。本発明で好ましく使用できる塩基性アミノ化合物は、二級、三級のアミノ化合物であり、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、塩基性アミノ酸が好ましく使用できる。
ハロゲンイオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンがあげられ、加水分解性ハロゲン化合物としては、イソシアネート化合物のイソシアネート基に塩酸が付加したカルバモイルクロリド化合物、イソシアネート基に臭化水素が付加したカルバモイルブロミド化合物があげられ、イソシアネート化合物の好ましい例は、上記式(3)で表されるイソシアネート化合物である。なお、化合物Iは上記した化合物Fとは異なる。
本実施形態における硫酸エステルは、アルコールと硫酸のエステル結合により構成される化合物を指し、具体例としては、ベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、モノメチル硫酸、モノエチル硫酸、モノn−プロピル硫酸等が挙げられる。また、硫酸であってもよい。
本実施形態におけるリン酸エステルは、リン酸とアルコールが脱水縮合したエステルを指し、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステルであってよい。具体的には、メチルリン酸、ジメチルリン酸、ブチルリン酸、ジブチルリン酸、イソデシルリン酸、ジイソデシルリン酸、2−エチルヘキシルリン酸、ジ−2−エチルヘキシルリン酸、ラウリルリン酸、ジラウリルリン酸、ステアリルリン酸、ジステアリルリン酸、ジオレイルリン酸、フェニルホスホン酸等が挙げられる。また、リン酸であってもよい。
本発明のイソシアネート組成物において、エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物の含有量は、97質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることがより好ましい。なお、エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物の含有量は、99.5質量%以下であってもよく、99質量%以下であってもよい。
本発明のイソシアネート組成物の第1の態様は、エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって式(1)で表される化合物(以下、化合物Xと称する場合がある)、および/または、前記イソシアネート化合物の全質量を基準として1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定スペクトルにおいて、イソシアネート質量10量体以上の領域にUV吸収を持つ化合物(以下、化合物Yと称する場合がある)、および/または、前記イソシアネート化合物の全質量を基準として1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、イソシアヌレート基またはビウレット基を有する化合物(以下、化合物Zと称する場合がある)とを、含有する。
一般的に、上記式(1)で表されるような、不飽和結合を含有する化合物は、不飽和結合が酸化されやすい傾向があり、混入物としての不飽和結合化合物は着色の原因となりやすい。しかし、第1の態様のイソシアネート組成物における不飽和結合化合物は、イソシアネート組成物の貯蔵時に有効に作用し、イソシアネート組成物を着色させることなく、イソシアネート化合物の安定性を向上させる効果を奏する。
化合物Zも化合物X、化合物Yと同様の効果を奏する。
また、第1の態様のイソシアネート組成物は、上記した化合物に加えて、前記イソシアネートを基準として、1.0質量ppm以上1.0×103質量ppmの範囲の、硫酸、および/または、硫酸エステル、および/または、1.0質量ppm以上1.0×103質量ppmの範囲の、リン酸、および/または、リン酸エステルをさらに含有していることが好ましく、
本発明のイソシアネート組成物の第2の態様は、エチレン性不飽和結合を含有するイソシアネートを含み、前記エチレン性不飽和結合を含有するイソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、前記エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物とは異なる化合物であって芳香環を構成する不飽和結合以外の少なくとも1つの不飽和結合を有する化合物、又は、前記エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上2.0×104質量ppm以下の、炭化水素化合物、エーテル化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物および含ケイ素スルフィド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外に炭素−炭素間の不飽和結合を有しない不活性化合物、前記エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×103質量ppmの範囲の硫酸、および/または、硫酸エステル、および/または、1.0質量ppm以上1.0×103質量ppmの範囲の、リン酸、および/または、リン酸エステル、を含有する。
上記VI)で示した本実施形態のイソシアネート組成物によれば、貯蔵時の安定性が向上したイソシアネート組成物を提供することができる。
不飽和結合化合物の含有量は、エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物を基準として1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下(0.0001質量%以上1質量%以下)である。不飽和結合化合物は1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
このような効果が発現する機構は明らかではないが、不飽和結合化合物中の不飽和結合が水や酸素等と選択的に作用することで、水や酸素に起因するエチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物の変性反応を抑制することができるのではないかと推定している。
VII)エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、炭化水素化合物、エーテル化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物および含ケイ素スルフィド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性化合物と、を含有するイソシアネート組成物
不活性化合物の含有量は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を基準として1.0質量ppm以上2.0×104質量ppm以下(0.0001質量%以上2質量%以下)である。不活性化合物は1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
上記VIII)で示した本実施形態によれば、貯蔵時の安定性が向上したイソシアネート組成物を提供することができる。
硫酸、および/または、硫酸エステル、および/または、リン酸、および/または、リン酸エステルの含有量は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を基準として1.0質量ppm以上1.0×102質量ppm以下である。これらの化合物は1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
本実施形態のイソシアネート組成物は、エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、前記式(1)で表される化合物、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定スペクトルにおいて、イソシアネート10量体以上の領域にUV吸収を持つ化合物、イソシアヌレート基および/またはビウレット基を有する化合物、さらには、不活性化合物(炭化水素化合物、エーテル化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物及び含ケイ素スルフィド化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外に炭素−炭素間の不飽和結合及び炭素−酸素間の二重結合を有しない不活性化合物)、塩基性アミノ化合物、ハロゲンイオン、加水分解性ハロゲン化合物を適宜組み合わせて製造することができる。
本実施形態のイソシアネート組成物は、前記した公知の方法で製造されたエチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物を公知の方法による精製工程を経たものをエチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物として使用して、前記式(1)で表される化合物、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定スペクトルにおいて、イソシアネート10量体以上の領域にUV吸収を持つ化合物、イソシアヌレート基および/またはビウレット基を有する化合物、不飽和結合を有する化合物、不活性化合物、、硫酸、硫酸エステル、リン酸、リン酸エステル、塩基性アミノ化合物、加水分解性ハロゲン化合物等と適宜混合することによって製造することができる。本実施形態のイソシアネート組成物を構成するこれらの化合物は、前記したイソシアネート化合物の製造工程で、本実施形態のイソシアネート組成物となるように予め添加してもよいし、イソシアネート化合物を得てから改めて本実施形態のイソシアネート組成物となるように添加してもよい。
本実施形態において、本発明は、上述したイソシアネート組成物と2官能以上のイソシアネートとを混合し、上述したイソシアネート組成物に含有される前記イソシアネート化合物と、2官能以上のイソシアネートとを反応させる工程を含む、イソシアネート重合体の製造方法を提供する。以下、本実施形態の製造方法について説明する。なお、イソシアヌレート化反応について主に述べるが、後述するように、用いる触媒又は反応条件によって、イミノオキサジアジンジオン化反応及びウレトジオン化反応等の、公知の反応を用いることもできる。
イソシアヌレート化反応は、好ましくはイソシアヌレート化触媒の存在下で行う。具体的なイソシアヌレート化触媒としては、例えば一般に塩基性を有するものが好ましく、以下の(i)〜(viii)の化合物等が例示される。
(ii)トリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウム(トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等)のヒドロキシド又は有機酸塩(例えば、酢酸塩、酪酸塩、デカン酸塩等の塩)。
(iv)ナトリウム、カリウム等の金属アルコキシド。
(v)アミノシリル基含有化合物(例えば、ヘキサメチルジジラサン等)。
(vi)トリブチルホスフィン等の燐系化合物。
(viii)下記式(12)又は式(13)で表される構造を含む化合物(例えば、3,3,3−トリフルオロプロパン酸、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブタン酸、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン酸、3,3−ジフルオロプロパ−2−エン酸等)と、第4級アンモニウムイオン又は第4級ホスホニウムイオンとからなる化合物。
式(12)、(13)において、R22及びR23は各々独立に、直鎖状、分岐状若しくは環状の飽和パーフルオロアルキル基又は不飽和パーフルオロアルキル基であってもよい。
イソシアヌレート化反応の終点の確認方法としては、反応混合物におけるイソシアネート基の含有率(NCO%)を測定する方法、屈折率を測定する方法、反応混合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による方法等が例示される。なお、反応混合物におけるイソシアネート基の含有率(NCO%)の測定方法については後述する。
イソシアヌレート化反応は、溶剤の存在下でも、不存在下でも、実施することができるが、反応のコントロールの容易さ及び操作の容易さの観点からは、溶剤の存在下で行うことが望ましい。
また、溶剤の不存在下でイソシアヌレート化反応を行う場合には、転化率を50%以下に止めることで、未反応のイソシアネート化合物が溶剤として働き、生成するイソシアヌレート化合物を溶解することができる。このような観点から、溶剤の不存在下でのイソシアヌレート化反応の転化率は、5%〜50%とすることが好ましく、10%〜40%とすることがより好ましい。
上述した製造方法により得られるイソシアネート重合体は、下記式(11)で表される単位を含み、前記イソシアネート重合体を構成する窒素原子が、炭素原子と結合している。すなわち、上述した製造方法は、上述のエチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物を含むイソシアネート組成物と2官能以上のイソシアネートとを混合し、前記イソシアネート組成物に含有される前記イソシアネート化合物と2官能以上のイソシアネートとを反応させる、イソシアネート重合体の製造方法であって、下記式(11)で表される単位を含み、前記イソシアネート重合体を構成する窒素原子が、炭素原子と結合している、というものである。
上記式(11)中、R25、R26、R27は、各々独立に、有機基であって、R25、R26、R27のうち少なくとも1つの基は、エチレン性二重結合を含む有機基であることが好ましい。
上述した製造方法により得られた各種イソシアネート重合体を含む組成物を用いて、公知の方法で、イソシアネート重合体のイソシアネート基の一部または全てをブロック剤で封鎖し、ブロックイソシアネート重合体を製造することもできる。
また、水分散性を向上させる目的のため、上記方法により得られた各種イソシアネート重合体のイソシアネート基の一部を、公知の方法によって活性水素含有親水性化合物で変性した、親水性基変性イソシアネート重合体の組成物を得ることもできる。
また、上述したイソシアネート重合体を、UV硬化塗料の原料として使用することもできる。
以上に述べたように、本実施の形態のイソシアネート組成物は貯蔵時の安定性が向上する効果を奏する。本実施の形態のイソシアネート組成物は、適宜、塗料、接着剤等の原料として好適に使用される。
1実施形態において、本発明は、エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物の貯蔵方法も提供する。本実施形態の貯蔵方法は、第1の態様にあっては、エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、前記イソシアネート化合物を基準として、1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、化合物X、および/または、前記組成物中の前記イソシアネート化合物の全質量を基準として1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、質量化合物Y、および/または化合物Zを含有するイソシアネート組成物、また第2の態様にあっては、1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、前記イソシアネートと異なる化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外の不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物、又は、前記イソシアネート化合物を基準として、1.0質量ppm以上2.0×104質量ppm以下の、炭化水素化合物、エーテル化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物及び含ケイ素スルフィド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外に炭素−炭素間の不飽和結合を有しない不活性化合物と、を含有する、イソシアネート組成物を調製する工程を含む。
本実施形態の貯蔵方法により、エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物を、例えば100日以上、例えば200日以上、例えば300日以上、例えば500日以上の長期にわたって貯蔵した場合においても、前記イソシアネート化合物の高粘度化及び色度上昇を防止することが出来る。
<数平均分子量>
測定試料の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPCの測定方法は以下の通りであった。
使用機器:HLC−8120(東ソー社製)、
使用カラム:TSK GEL SuperH1000、TSK GEL SuperH2000、TSK GEL SuperH3000(いずれも東ソー社製)、
試料濃度:5wt/vol%(試料50mgを1mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた)
キャリア:THF、
検出方法:視差屈折計、
流出量:0.6mL/分、
カラム温度:30℃
検量線の作成には、分子量1,000〜20,000のポリスチレンを用いた。
カラム:内径0.32mm、長さ30m、液相膜厚1.0μm(J&W Scientific社製DB−1)
カラム温度:初期温度50℃、その後10℃/分で昇温、最終温度300℃(15分間保持)
注入口温度:300℃
検出器温度:300℃
検出器:水素炎イオン化検出器
キャリアガス:ヘリウム
キャリアガス流量(カラム):1.2mL/分
液体クロマトグラフ:LC−10ATシステム(島津製作所社製)
カラム:Inertsil−ODSカラム(GLサイエンス社製)を2本直列に接続
展開溶媒:5mmol/L酢酸アンモニウム水溶液(A液)とアセトニトリル(B液)の混合液
展開溶媒流量:2mL/min
カラム温度:35℃
検出器:示差屈折率検出器、および、フォトダイオードアレイ検出器(測定波長範囲:200nm〜300nm)
ハーゼンメーターにて測定して得られた数値とした。
<塩素濃度と臭素濃度の測定>
燃焼前処理装置のサンプルボードに、秤量した試料を乗せ、サンプルボードを燃焼部に移動さえて、自動燃焼装置で燃焼させて、ガス化した成分を吸収液に吸収させた。吸収液をイオンクロマトグラフ装置に注入して目的成分を定量した。
燃焼前処理装置:自動燃焼装置AQF−100(三菱アナリティック社製)
炉温度:Inret 900℃、Outlet 1000℃
ガス流量:Ar/O2 400mL/分、O2 200mL/分
イオンクロマトグラフ:ICS−1500(DIONEX社製)
ガードカラム:AG12A
分離カラム:AS12A
サプレッサー:ASRS−300 サプレッサー電流50mA
溶離液:2.7mM Na2CO3、0.3mM NaHCO3
エタノールアミン塩酸塩とメタクリル酸無水物とを反応させて、2−(2−メチルアクリロイルオキシ)−エチルアンモニウムクロリドを合成した。次に、カルボニルジイミダゾールと2−(2−メチルアクリロイルオキシ)−エチルアンモニウムクロリドを反応させて、2−メチル−アクリル酸−2−[(イミダゾール−1−カルボニル)−アミノ]エチルエステルを合成した。次に、該2−メチル−アクリル酸−2−[(イミダゾール−1−カルボニル)−アミノ]エチルエステルと塩化水素とを反応させて粗メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、MOIと称する場合がある)を得た。
メタクリル酸とエタノールアミンとから、2−アミノエチルメタクリレート塩酸塩を生成し、次に、2−アミノエチルメタクリレート塩酸塩をホスゲンと反応させて、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを合成した。ここにトリエチルアミン塩酸塩を添加して約200ppmのトリエチルアミン塩酸塩を含有するメタクリロイルオキシエチルイソシアネートとした。
エタノールアミン塩酸塩とアクリル酸とを反応させて、2−アクリロイルオキシ−エチルアンモニウムクロリドを合成した。次に、カルボニルジイミダゾールと2−アクリロイルオキシ−エチルアンモニウムクロリドを反応させて、アクリル酸−2−[(イミダゾール−1−カルボニル)−アミノ]エチルエステルを合成した。次に、該アクリル酸−2−[(イミダゾール−1−カルボニル)−アミノ]エチルエステルと塩化水素とを反応させてアクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、AOIと称する場合がある)を得た。
アクリル酸とエタノールアミンとから2−アミノエチルアクリレート塩酸塩を生成し、次に2−アミノエチルアクリレート塩酸塩をホスゲンと反応させて、3−クロロプロピオン酸エステル誘導体を合成した。次に、3−クロロプロピオン酸エステル誘導体をトリエチルアミン存在下で脱塩化水素し、アクリロイルオキシエチルイソシアネートを得た。該アクリロイルオキシエチルイソシアネートには約200ppmのトリエチルアミン塩酸塩が含まれていた。
多段蒸留塔(規則充填物蒸留塔、不規則充填物蒸留塔、棚段蒸留塔から選択)に被精製イソシアネート液を供給する。蒸留塔の塔頂部での圧力をコントロール(絶対圧)し、蒸留に必要な熱量はリボイラーより供給する。塔内の温度分布が安定したのち、塔頂部より高さ方向で下に具備するサイドカットラインより留分を抜き出す。得られた留分を分析する。
流下薄膜式分子蒸留機(例えば柴田科学株式会社製 MS−300型)に被精製イソシアネート液を供給し、気化させた組成物成分を冷却器面で捕らえ、回収器に抜き出す。
[合成例D−3]
フォーリングフィルム型蒸発器に、熱媒ジャケットまたはヒーターで蒸留に必要な熱量を供給し、該フォーリングフィルム型蒸発器上部から被精製イソシアネート組成物を供給し、向流または併流で気相ガスを抜き出す。
[実施例1]
合成例A−1で得られた粗MOIを、流下薄膜式分子蒸留機(柴田科学社製 MS−300型)により、ジャケット温度80℃、圧力0.7kPaで蒸留精製し、精製MOIを得た。GCで測定した精製MOIのMOI含有量は、99質量%以上であった。これに炭酸ジメチルを、MOI質量に対して13質量ppmとなるように加えて、MOIおよび炭酸ジメチルからなるイソシアネート組成物を調製した。APHAは25であった。
上記で得られたイソシアネート組成物500gを、1LのSUS製貯蔵容器に入れ、窒素置換して貯蔵し、日本国岡山県倉敷市児島地区の貯蔵環境で300日間貯蔵した。貯蔵期間終了後、GPCにて分子量を測定したところ、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートで表される化合物を表すピーク(ピーク1と呼称する)よりも高分子量側に見られるピークは、ピーク1に対して8%程度の面積であった。また、APHAは30であった。
[合成例B―1]
合成例A−1により合成し、実施例1と同様の方法で精製したMOI100g(645mmol)とフェノール60.7g(645mmol)を窒素雰囲気下100℃で加熱し反応させた。液体クロマトグラフィーにて反応生成物を分析し、フェノール残量を確認したところ検出下限界以下であった。当該反応生成物を「イソシアネートとフェノールとの反応生成物」と称し、「N−置換カルバミン酸エステル」として使用した。
[実施例2]
合成例A−1で得た粗MOIを流下薄膜式分子蒸留機(柴田科学社製 MS−300型)により、ジャケット温度80℃、圧力0.7kPaで蒸留精製し、精製MOIを得た。GCで測定した該精製MOI中のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート含有量は99質量%以上で、APHAは20であった。これに、合成例B−1得られた、イソシアネートとフェノールとの反応生成物を、MOI質量に対し、20質量ppm添加し、MOI、およびイソシアネートとフェノールとの反応生成物からなるイソシアネート組成物を製造した。
・イソシアネート組成物の貯蔵
上記で調製したイソシアネート組成物を、実施例1と同様の方法で貯蔵した。その結果を表1に示す。
下記式(18)で表されるチタン触媒10.5mg(4.6×10−2mmol)とメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを窒素雰囲気下24時間、25℃で反応させた。得られた反応生成物は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定スペクトルにおいて、イソシアネート10量体以上の領域にUV吸収を持つ化合物であった。該反応生成物のゲル浸透クロマトチャートを図1に示す。図1中、横軸はゲル浸透クロマトグラフの保持時間、縦軸はUV検出器(波長254nm)の吸収を表す。「MOI10量体」と記載のある保持時間はMOI10量体に相当する分子量の保持時間を表し、「MOI」と記載のある保持時間はMOIに相当する分子量の保持時間を表す。
合成例A−1により合成し、実施例1と同様の方法で精製したMOIと合成例B−2で得られた反応生成物とを混合し、MOIおよびイソシアネート10量体以上の領域にUV吸収を持つ化合物を含むイソシアネート組成物を調製した。該イソシアネート組成物中、イソシアネート10量体以上の領域にUV吸収を持つ化合物の濃度は、MOI質量に対し、30質量ppmであった。
上記合成例A−3で得たAOIとエチルベンゼンとを混合し、AOIとエチルベンゼンとを含むイソシアネート組成物を調製した。該イソシアネート組成物中、エチルベンゼンの濃度は、MOI質量に対し、50質量ppmであった。
・イソシアネート組成物の貯蔵
上で調製したイソシアネート組成物を、実施例1と同様の方法で貯蔵した。その結果を表1に示す。
[実施例5〜75、比較例1〜14]
また、イソシアヌレート基および/またはビウレット基を含有する化合物として、旭化成社製デュラネート TPA−100、TKA−100、TLA−100を用いた。
表中、リン酸、リン酸エステルは実際に添加した量を表し、その以外の成分は該組成物の分析値を表す。
合成例A−2で得られたメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを用い、多段蒸留塔を用いて蒸留をおこなった。メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの仕込み量に対して約25%の留分を除去したのち、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを回収した。なお、蒸留装置の内温は75℃〜78℃、圧力を0.7kPaであった。
得られたイソシアネートをイソシアネート組成物として使用し、実施例1と同様の方法で貯蔵した。その結果を表5に示す。
合成例A−4で得られたアクリロイルオキシエチルイソシアネートを用い、多段蒸留塔を用いて蒸留をおこなった。アクリロイルオキシエチルイソシアネートの仕込み量に対して約25%の留分を除去したのち、アクリロイルオキシエチルイソシアネートを回収した。なお、蒸留装置の内温は62℃〜67℃、圧力を0.7kPaであった。
得られたイソシアネートをイソシアネート組成物として使用し、実施例1と同様の方法で貯蔵した。その結果を表5に示す。
温度計、撹拌機、および窒素シール管と500mL四ツ口ガラスフラスコからなる反応装置にヘキサメチレンジイソシアネートを200gと、実施例1の組成物200gを計量し、反応装置窒素で置換し、65℃に加温した。その後、2−エチルヘキサノール140gを添加し10分間攪拌をおこなった。その後、テトラブチルアンモニウムの酢酸塩の5%イソブタノール溶液50gを60分間かけて添加した。反応中は、65±2℃となるように温度調整をおこなった。反応停止剤として85%リン酸水溶液5gを加え100℃に昇温し、100℃到達後1時間撹拌を続けた。反応液は無色透明の液体であった。この反応液を細孔サイズ1μmのメンブレンフィルターで濾過して、反応残渣を分離した後、薄膜蒸留装置により未反応のヘキサメチレンジイソシアネートとMOIを留去し、ポリイソシアネート組成物を得た。得られたポリイソシアネート組成物はほぼ無色透明であった。該ポリイソシアネート組成物を5gを取得し、フェノール5gとアセトニトリル10gを加えて、80℃で24時間撹拌し、当該混合物中のイソシアネート基とフェノールとを反応させてカルバメート体とした。当該混合物を液体クロマトグラフィーで分析したところ、下記に示す4種の化合物が観測された。
Claims (17)
- エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって下記式(1)で表される化合物、
及び/又は、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定スペクトルにおいて、イソシアネート10量体以上の領域にUV吸収を持つ化合物、
及び/又は、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、イソシアヌレート基及び/又はビウレット基を有する化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上2.0×10 4 質量ppm以下の範囲の、炭酸誘導体と、
を含有する、イソシアネート組成物。
- エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×10 4 質量ppm以下の、前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって下記式(1)又は(14)で表される化合物、
及び/又は、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として1.0質量ppm以上1.0×10 4 質量ppm以下の、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定スペクトルにおいて、イソシアネート10量体以上の領域にUV吸収を持つ化合物、
及び/又は、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として1.0質量ppm以上1.0×10 4 質量ppm以下の、イソシアヌレート基及び/又はビウレット基を有する化合物と、
を含有する、イソシアネート組成物。
- 前記イソシアネート組成物が、前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上2.0×104質量ppm以下の範囲の、炭化水素化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物及び含ケイ素スルフィド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の不活性化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外に炭素−炭素間の不飽和結合及び炭素−酸素間の二重結合を有しない不活性化合物をさらに含有する、請求項1に記載のイソシアネート組成物。
- 前記イソシアネート組成物が、前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×102質量ppm以下の、硫酸、及び/又は、硫酸エステルをさらに含有する、請求項1又は3に記載のイソシアネート組成物。
- 前記イソシアネート組成物が、前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の範囲の、塩基性アミノ化合物、及び/又は、
ハロゲンイオン、及び/又は、加水分解性ハロゲン化合物をさらに含有する請求項1、3、4のいずれか一項に記載のイソシアネート組成物。 - エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×104質量ppm以下の、前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外の不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物、又は、前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上2.0×104質量ppm以下の、炭化水素化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物及び含ケイ素スルフィド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外に炭素−炭素間の不飽和結合を有しない不活性化合物、及び/又は、
1.0質量ppm以上1.0×102質量ppm以下の、硫酸、及び/又は、硫酸エステルと、
を含有する、イソシアネート組成物。 - エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×10 4 質量ppm以下の、前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって、芳香環を形成する不飽和結合以外の不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物とを含有し、
前記芳香環を形成する不飽和結合以外の不飽和結合が、炭素−酸素間の二重結合である、イソシアネート組成物。 - 前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって、芳香環を形成する不飽和結合以外の不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物が、炭酸誘導体である、請求項7に記載のイソシアネート組成物。
- 前記炭酸誘導体が、炭酸エステル、N−無置換カルバミン酸エステル、及び、N−置換カルバミン酸エステルからなる群から選ばれる、少なくとも1種の化合物である、請求項8に記載のイソシアネート組成物。
- エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上2.0×10 4 質量ppm以下の、炭化水素化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物及び含ケイ素スルフィド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外に炭素−炭素間の不飽和結合を有しない不活性化合物とを含有する、イソシアネート組成物。 - エチレン性不飽和結合を有するイソシアネート化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上1.0×10 4 質量ppm以下の、前記イソシアネート化合物と異なる化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外の不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物と、
前記イソシアネート化合物の全質量を基準として、1.0質量ppm以上2.0×10 4 質量ppm以下の、炭化水素化合物、スルフィド化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、含ケイ素炭化水素化合物、含ケイ素エーテル化合物及び含ケイ素スルフィド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の不活性化合物であって、芳香環を構成する不飽和結合以外に炭素−炭素間の不飽和結合を有しない不活性化合物とを含有する、イソシアネート組成物。 - 前記芳香環を形成する不飽和結合以外の不飽和結合が、炭素−酸素間の二重結合である、請求項12に記載のイソシアネート組成物。
- 前記芳香環を形成する不飽和結合以外の不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物が、炭酸誘導体である、請求項13に記載のイソシアネート組成物。
- 前記炭酸誘導体が、炭酸エステル、N−無置換カルバミン酸エステル、及び、N−置換カルバミン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項14に記載のイソシアネート組成物。
- イソシアネート組成物全体質量を基準として、前記イソシアネート化合物を97質量%以上含む、請求項1、3〜15のいずれか一項に記載のイソシアネート組成物。
- 請求項1、3〜16のいずれか一項に記載のイソシアネート組成物と2官能以上のイソシアネートとを混合し、前記イソシアネート組成物に含有される前記イソシアネート化合物と前記2官能以上のイソシアネートとを反応させる工程を含むイソシアネート重合体の製造方法であって、
前記イソシアネート重合体が下記式(11)で表される単位を含み、
前記イソシアネート重合体を構成する窒素原子が、炭素原子と結合していることを特徴とする、イソシアネート重合体の製造方法。
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