JP6609844B2 - 夾雑物除去具、これを用いた液体クロマトグラフ質量分析計および液体クロマトグラフィー質量分析法 - Google Patents

夾雑物除去具、これを用いた液体クロマトグラフ質量分析計および液体クロマトグラフィー質量分析法 Download PDF

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Description

本発明は、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)の技術分野に属する。具体的には、高速液体クロマトグラフから溶出された溶出液に含まれる夾雑物を除去し、オンラインで質量分析計に導入することを可能とする夾雑物除去具に関する。
液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)により分離された成分を質量分析計(MS)で検出する分析法である。MSはHPLCで汎用される紫外可視分光検出器(UV/Vis)よりも高感度のイオン検出器を備えているため、以下のようなメリットがある。
(1)HPLCと比較して、高感度の検出が可能である。
(2)イオン検出器によれば、原子量/分子量、分子構造、存在量(濃度)、存在形態などに関する有用な情報が得られる。
(3)分子量が大きいタンパク質やリン脂質の分析にも利用することができる。
しかし、LC/MSでは、HPLCとMSを接続するために、HPLCから溶出された溶出液に含まれる夾雑物がマススペクトルの分析に悪影響を及ぼす場合があった。例えば、リン酸塩緩衝液は低波長でも検出が可能で、分離能力も高いことからHPLCの移動相(溶離液)として汎用されている。しかし、リン酸塩は不揮発性であるために、HPLCから溶出された溶出液をそのままMSに導入してしまうと、MSのイオン化部(オリフィス等)にリン酸塩が析出し詰まる。このため、HPLCの溶離液としてリン酸塩緩衝液を用いる場合には、定期的にMSのイオン化部を洗浄しなければならず、メンテナンスの手間とメンテナンスに伴うダウンタイムが問題となっていた。
また、測定試料やHPLCの溶離液中にイオン性化合物が含まれている場合、前記イオン性化合物が測定対象化合物のイオン化を阻害したり、プロトン付加分子イオン([M+H])以外の付加分子イオンを生成させてマススペクトル解析を阻害することが問題となっていた。
前記問題を解決するための方法として、リン酸塩などの無機塩類を溶離液から除去(脱塩)する方法が知られている。例えば、HPLCとMSの間にトラップカラムを配置し、HPLC溶出液中の試料と不揮発性塩をトラップカラムで一旦捕捉し、前記不揮発性塩のみを水などの洗浄液で洗い流して脱塩する方法が知られている(特許文献1乃至5)。
また、試料と不揮発性塩を含む水系溶媒(移動相)に有機溶媒を混合し、前記有機溶媒に前記試料を抽出した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を用いて、前記不揮発性塩を含む前記水系溶媒を分離し、脱塩する方法が知られている(特許文献6)。
さらに、不揮発性塩を含む移動相溶媒に分析試料を溶出させ、溶出された分析試料を含む移動相溶媒に不揮発性塩吸着能を有する機能性粒子を接触させて、移動相溶媒から不揮発性塩を分離することによって脱塩する方法が知られている(特許文献7)。
さらにまた、イオン対クロマトグラフ分析において、イオン交換膜を有するメンブランサプレッサーを用い、イオン交換により塩類を揮発性または分解性の物質に変換し、これらを揮発・分解させて脱塩する方法が知られている(特許文献8)。
また、本発明者もイオン交換樹脂粒子を充填したカラムを用い、イオン交換によりリン酸塩を揮発性塩に変換し、これらを揮発させて脱塩する方法を提案している(非特許文献1)。
特開平6−201650 特開平7−229885 特開平8−201343 特開2003−149218 特開2004−101477 特開平6−52826 特開2010−175467 特開平6−194357
清水幸樹、第160回液体クロマトグラフィー研究懇談会資料「溶離液を選ばないLC−MS測定を目指して」、2002年7月26日
しかし、特許文献1ないし5に記載の技術は、試料と不揮発性塩をトラップカラムで一旦捕捉し、前記不揮発性塩のみを水などの洗浄液で洗い流し、再度、有機溶剤などの溶離液により前記資料を溶出させる必要があり、脱塩工程が煩雑であった。また、特許文献1ないし5に記載の技術では、洗浄工程を行うために、HPLCからの溶出液を直接、MSに導入することはできなかった。さらに、特許文献1ないし3に記載の技術は、複数の流路、流路切替バルブ、バルブを切り替えるための装置を使用し、特許文献4または5に記載の技術は、2次元液体クロマトグラフ(2D−LC)を使用するため、装置構成が複雑になるという問題もあった。
また、特許文献6に記載の技術は、有機溶剤で試料を抽出する必要があり、脱塩工程が煩雑であった。特許文献7に記載の技術は、機能性粒子を移動相溶媒に接触させた後、回収する必要であり、脱塩工程が煩雑であった。
特許文献8に記載の技術は、耐圧性や耐溶剤性が低いイオン交換膜を用いるために、有機溶剤を含む溶出液の脱塩には不向きであった。非特許文献1に記載の技術はイオン交換樹脂粒子カラムに充填することで耐圧性や耐溶剤性の問題を解決している。しかし、脱塩可能時間という面では未だ十分に満足することができるものではなかった。
本発明は、前記のような従来技術が有する課題を解決するものである。すなわち、本発明は、専用の装置を必要とせず、かつ、シンプルな工程で無機塩などの夾雑物を長時間に渡って除去することができ、HPLCからの溶出液をオンラインでMSに導入することが可能なLC/MSの仕組みを提供するものである。
本発明者らは、前記従来技術の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。そして、汎用の空カラムよりも内径が小さく、流路が長いチューブなどに充填材を充填し、これを用いて無機塩などの夾雑物を除去することにより、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、前記課題は以下に示す本発明によって解決される。
[1]夾雑物除去具:
本発明の夾雑物除去具は、高速液体クロマトグラフと質量分析計との間に接続され、前記高速液体クロマトグラフから溶出された溶出液から夾雑物を除去し、前記質量分析計に前記夾雑物が除去された溶出液を導入するために用いられる夾雑物除去具であって、内部にセルが形成された中空体と、前記中空体の前記セルに充填される充填材と、を有し、前記中空体の前記セルの内径が0.5mm以上3mm以下であり、前記中空体の前記セルに前記充填材が充填されて形成される充填材充填層の長さが25mm以上422mm以下であり、前記充填材として、イオン性交換基の対イオンに揮発性塩基カチオンが導入されたカチオン交換樹脂を構成成分とするカチオン交換樹脂粒子およびイオン性交換基の対イオンに揮発性酸アニオンが導入されたアニオン交換樹脂を構成成分とするアニオン交換樹脂粒子が充填されており、前記セルの第1の開口端部から前記セルの中途に至るまでの間は前記カチオン交換樹脂粒子が充填されたカチオン交換樹脂充填層が形成され、前記セルの中途から前記セルの第2の開口端部に至るまでの間は前記アニオン交換樹脂粒子が充填されたアニオン交換樹脂充填層が形成されていることを特徴とする夾雑物除去具;である。
[2]液体クロマトグラフ質量分析計:
本発明の液体クロマトグラフ質量分析計は、高速液体クロマトグラフと、質量分析計と、前記[1]に記載の夾雑物除去具と、を備え、前記夾雑物除去具が、前記高速液体クロマトグラフと、前記質量分析計との間に接続され、前記高速液体クロマトグラフから溶出された溶出液が、前記夾雑物除去具を通過して、前記質量分析計に導入されるように構成したことを特徴とする液体クロマトグラフ質量分析計;である。
[3]液体クロマトグラフィー質量分析法:
本発明の液体クロマトグラフィー質量分析法は、高速液体クロマトグラフから溶出された溶出液を、前記[1]に記載の夾雑物除去具を通過させてから、前記質量分析計に導入することを特徴とする液体クロマトグラフィー質量分析法;である。
本発明の夾雑物除去具は、専用の装置を必要とせず、かつ、シンプルな工程でHPLCの溶出液中に含まれる夾雑物(不揮発性物質、イオン性化合物など)を長時間に渡って除去することができる。このため、MSのイオン化部(オリフィス等)が不揮発物質で詰まる等の汚染を抑制することができ、MSのイオン化部を洗浄するメンテナンスの手間を省力化し、メンテナンスに伴うダウンタイムを短縮することが可能となる。また、イオン性化合物が測定対象化合物のイオン化を阻害したり、プロトン付加分子イオン([M+H])以外の付加分子イオンを生成させてマススペクトル解析を阻害する事態を有効に防止することができる。
本発明の液体クロマトグラフ質量分析計の一の実施形態を模式的に示す概念図である。 本発明の夾雑物除去具の一の実施形態を模式的に示す側面図である。 夾雑物除去具の参考的な実施形態を模式的に示す側面図である。 実施例1乃至3および比較例1の夾雑物除去具によるリン酸除去の効果を示すグラフである。 実施例1乃至3および比較例1の夾雑物除去具によるリン酸除去の効果を示すグラフである。 実施例4乃至6の夾雑物除去具によるリン酸除去の効果を示すグラフである。 実施例1乃至3および比較例1の夾雑物除去具によるカリウム除去の効果を示すグラフである。 実施例1の夾雑物除去具を用いた際のエリスロマイシンの抽出イオンクロマトグラムを示す図である。 実施例1の夾雑物除去具を用いた際のレセルピンの抽出イオンクロマトグラムを示す図である。 比較例1の夾雑物除去具を用いた際のエリスロマイシンの抽出イオンクロマトグラムを示す図である。 比較例1の夾雑物除去具を用いた際のレセルピンの抽出イオンクロマトグラムを示す図である。 実施例5の夾雑物除去具を用いた際のエリスロマイシンのトータルイオンクロマトグラムを示す図である。 実施例5の夾雑物除去具を用いた際のエリスロマイシンのマススペクトルを示す図である。 実施例5の夾雑物除去具を用いた際のエリスロマイシンの不純物のマススペクトルを示す図である。 夾雑物保持具を用いなかった際の17−メチルテストステロンのマススペクトルを示す図である。 参考例8の夾雑物除去具を用いた際の17−メチルテストステロンのマススペクトルを示す図である。
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照しながらさらに具体的に説明する。図1は、本発明の液体クロマトグラフ質量分析計の一の実施形態を模式的に示す概念図、図2は、本発明の夾雑物除去具の一の実施形態を模式的に示す側面図、図3は、夾雑物除去具の参考的な実施形態を模式的に示す側面図である。
[1]夾雑物除去具:
図1に示すように、夾雑物除去具10は高速液体クロマトグラフ2と質量分析計4との間に接続される。この位置に接続することで、高速液体クロマトグラフ2から溶出された溶出液から夾雑物を除去し、質量分析計4に夾雑物が除去された溶出液を導入することが可能となる。そして、夾雑物除去具10は、図2に示すように、内部にセルが形成された中空体30と、中空体30のセルに充填される充填材32と、を有する。
[1−1]中空体:
中空体は、内部にセルが形成された構造体である。「セル」とは、外壁によって区画された空間を意味する。夾雑物除去具において、セルは充填材を充填するための空間であり、かつ、高速液体クロマトグラフ(HPLC)から溶出された溶出液が通過する流路となる。中空体としては、チューブ、パイプなどの管状構造体を好適に用いることができる。
中空体のセルの内径は0.5mm以上3mm以下であり、0.5mm以上2mm以下であることが好ましい。セルの内径を0.5mm以上とすることで、セルに十分な量の充填材を充填することができ、夾雑物を確実に除去することが可能となる。セルの内径を3mm以下、好ましくは2mm以下とすることで、夾雑物を長時間に渡って除去することができ、質量分析計(MS)のイオン化部(オリフィス等)が不揮発物質で詰まる等の汚染を抑制することができる。MSのイオン化部が汚染されると測定に支障を来すため、イオン化部を洗浄する必要がある。夾雑物を長時間に渡って除去することができれば、イオン化部を洗浄するメンテナンスの手間を省力化し、メンテナンスに伴うダウンタイムを短縮することが可能となる。
中空体のセルに前記充填材が充填されて形成される充填材充填層の長さは25mm以上422mm以下であり、50mm以上200mm以下であることが好ましい。充填材充填層の長さを25mm以上、好ましくは50mm以上とすることで、セルに十分な量の充填材を充填することができ、夾雑物を確実に除去することが可能となる。充填材充填層の長さを422mm以下、好ましくは200mm以下とすることで、ピーク形状を良好に保つという効果を得ることができる。
中空体を構成する材料は、HPLCから溶出される溶出液に対する耐溶剤性、溶出液中に含まれる物質に対する耐食性など、溶出液の特性に応じて適宜選択すればよい。例えば、HPLC用部品(空カラム、送液部品など)の構成材料として用いられる樹脂、金属などを好適に用いることができる。
樹脂としては、耐溶剤性に優れるフッ素樹脂を好適に用いることができる。好ましいフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等を挙げることができる。また、耐溶剤性など、中空体に必要な特性を有する限り、フッ素樹脂以外の樹脂を用いてもよい。フッ素樹脂以外の樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)等を挙げることができる。金属材料としては、耐溶剤性、耐食性に優れるステンレス等を好適に用いることができる。
[1−2]充填材:
充填材は、中空体のセルに充填される、夾雑物を除去するための材料である。ここで、「夾雑物」とは、質量分析計に導入された際に測定に支障を来す物質を意味する。例えば、HPLCの溶出液中に含まれる不揮発性物質、イオン性化合物、高分子などが挙げられる。前記不揮発性物質はMSのイオン化部(オリフィス等)の詰まりを引き起こし、質量分析計による測定に支障を来すおそれがある。前記イオン性化合物は、測定対象化合物のイオン化を阻害したり、プロトン付加分子イオン([M+H])以外の付加分子イオンを生成させマススペクトル解析を阻害するおそれがある。前記高分子は、HPLCの分離カラムにおいて測定対象化合物との分離が十分ではない場合、測定対象化合物のイオン化を阻害し、マススペクトルの測定に支障を来すおそれがある。前記不揮発性物質としては、リン酸塩、過塩素酸塩、ドデシル硫酸塩、テトラブチルアンモニウム塩などを挙げることができる。前記イオン性化合物としては、トリフルオロ酢酸(TFA)、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができる。前記高分子としては、タンパク、リン脂質等を挙げることができる。
代表的な充填材としては、球状、粉状、破砕状などの粒状充填材を挙げることができる。これらの中でも、粒度分布計により測定した平均粒径が3μm以上500μm以下の粒状充填材を好適に用いることができる。粒状充填材の平均粒径を3μm以上、好ましくは10μm以上とすることで、圧力の上昇を防ぐことができる。粒状充填材の平均粒径を500μm以下、好ましくは250μm以下とすることで、充填密度を高くすることができ、夾雑物を確実に除去することが可能となる。粒状充填材は、多孔性粒子(全多孔性粒子または表面多孔性粒子など)からなるものであってもよい。また、充填材として、粒状充填材に代えて、三次元の網目構造を有し、多数の細孔が形成された多孔体からなるモノリス型充填材を用いてもよい。
充填材の種類は特に限定されず、例えば、HPLCカラム用の充填材の中から、対象となる夾雑物を除去するのに適した特性を有する充填材を適宜選択すればよい。HPLCカラム用の充填材としては、イオン交換系充填材、逆相系充填材、順相系充填材、親水性相互作用クロマトグラフィ(HILIC)用充填材、サイズ排除系充填材等の各種カラムが存在する。
イオン交換系充填材はイオン性化合物の除去に用いることができる。また、揮発性対イオンを有するイオン交換樹脂からなるイオン交換系充填材は不揮発性イオンを吸着し代わりに揮発性化合物を放出することで不揮発性イオンを除去することができる。更に、逆相系充填材はタンパク、リン脂質などの除去に、順相系充填材・HILIC用充填材はHPLCカラムで十分に分離することができなかった夾雑物などの除去に、サイズ排除系充填材は高分子化合物などの除去に、好適に用いることができる。
これらの充填材は、シリカゲル、チタニア、ジルコニア等のセラミック;スチレン−ジビニルベンゼン重合体(ST/DVB)、ポリヒドロキシメタクリレート(HMA)等の合成樹脂;前記セラミックや前記合成樹脂を基材とし、これらの構成分子を化学修飾したもの;等によって構成されている。充填材は、有機・無機ハイブリッド材料により構成されていてもよい。有機・無機ハイブリッド材料としては、シリカゲルのシロキサンネットワークにアルキル鎖が導入された有機シリカ等を挙げることができる。
イオン交換系充填材としては、カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂等のイオン交換樹脂;等を挙げることができる。
カチオン交換樹脂はベースポリマーにアニオン性の交換基が導入されたイオン交換樹脂である。ベースポリマーとしては、ST/DVB等を好適に用いることができる。交換基としては、スルホ基(−SOH)等の強酸性交換基;カルボキシ基(−COOH)等の弱酸性交換基;等を好適に用いることができる。また、イオン交換基の対イオンに揮発性イオンを導入した樹脂を用いることができる
アニオン交換樹脂はベースポリマーにカチオン性の交換基が導入されたイオン交換樹脂である。ベースポリマーとしては、ST/DVB等を好適に用いることができる。交換基としては、4級アンモニウム基(−NR・OH)等の強塩基性交換基;1級ないし3級アミノ基(−NH、−NRH、−NR)等の弱塩基性交換基;等を好適に用いることができる。また、イオン交換基の対イオンに揮発性イオンを導入した樹脂を用いることができる。
逆相系充填材としては、セラミックを基材とし、その構成分子にアルキル基などの非極性基を化学修飾したもの好適に用いることができる。例えば、オクタデシル(C18)基修飾シリカ(ODS)、トリアコンチル(C30)基修飾シリカ、オクチル(C8)基修飾シリカ、ブチル(C4)基修飾シリカ、フェニル(Ph)基修飾シリカ、アミド基修飾シリカ等の化学修飾シリカ;等を挙げることができる。
順相系・HILIC用充填材としては、非官能の(化学修飾されていない)シリカの他、セラミックを基材とし、その構成分子にアミノ基などの極性基を化学修飾したもの好適に用いることができる。例えば、アミノ基修飾シリカ、アミド基修飾シリカ、シアノ基修飾シリカ、ジオール基修飾シリカ;等を挙げることができる。これらの他にも、アダマンチル基修飾シリカのように、カゴ型のアルキル基を導入した極性基内包型と称される充填材を用いることもできる。
サイズ排除系充填材としては、ベースポリマーに細孔が導入された樹脂;等を挙げることができる。
[1−3]夾雑物除去具の具体的な構成:
以下、夾雑物除去具の具体的構成を、図2及び図3を参照しながら説明する。
(1)充填材(アニオン交換樹脂粒子+カチオン交換樹脂粒子):
図2に示す夾雑物除去具10は、中空体30、充填材32、フリット34から構成されている。
夾雑物除去具10において、中空体30としては樹脂製のチューブが用いられ、フリット34としては樹脂製のフィルタが用いられている。フリット34Aおよびフリット34Bは中空体30の開口端を封止する封止材としての役割を有している。一方、フリット34Cはアニオン交換樹脂粒子32Aとカチオン交換樹脂粒子32Bとが混合しないように区画する仕切り部材としての役割を有している。
充填材32としては、アニオン交換樹脂を構成成分とするアニオン交換樹脂粒子32Aおよびカチオン交換樹脂を構成成分とするカチオン交換樹脂粒子32Bが充填されている。アニオン交換樹脂粒子32Aを構成するアニオン交換樹脂としては、イオン性交換基の対イオンに揮発性酸アニオンが導入されたアニオン交換樹脂が用いられ、カチオン交換樹脂粒子32Bを構成するカチオン交換樹脂としては、イオン性交換基の対イオンに揮発性塩基カチオンが導入されたカチオン交換樹脂が用いられている。
中空体30のセルの第1の開口端部(図2中、図面左側の開口端部)からセルの中途に至るまでの間はアニオン交換樹脂粒子32Aが充填されたアニオン交換樹脂充填層が形成されている。一方、セルの中途からセルの第2の開口端部(図2中、図面右側の開口端部)に至るまでの間はカチオン交換樹脂粒子32Bが充填されたカチオン交換樹脂充填層が形成されている。ここで、「開口端部」とは、開口端近傍の部分を指す。充填材はセルの開口端ぎりぎりまで充填されている必要はなく、開口端の近傍まで充填されていればよい。例えば、セルの端部にフィルタやフリットが充填され、充填材層がセルの開口端まで至っていないものも本発明の範囲に含まれる。
夾雑物除去具10にリン酸塩(NaHPO等)を含む溶出液を導入すると、アニオン交換樹脂層においてリン酸塩のリン酸イオンが揮発性酸アニオンに交換され、不揮発性のリン酸塩が揮発性酸の塩(ナトリウム塩など)に変換される。次いで、カチオン交換樹脂層において揮発性酸の塩(ナトリウム塩など)のカチオン(ナトリウムイオン)が揮発性塩基カチオン(アンモニウムイオンなど)に交換され、揮発性酸の塩(ナトリウム塩など)が揮発性酸と揮発性塩基の塩に変換される。揮発性酸と揮発性塩基の塩はMSのイオン化部において揮発させることができるため、夾雑物(不揮発物質)であるリン酸塩は揮発性物質に変換され溶出液から不揮発性物質が除去される。
(2)充填材(アニオン交換樹脂粒子):
図3に示す夾雑物除去具10Aは、中空体30、充填材32、フリット34から構成されている。中空体32およびフリット34(第1のフリット34A、第2のフリット34B)の構成は図2に示すものと同様である。
充填材32としては、アニオン交換樹脂を構成成分とするアニオン交換樹脂粒子32Aのみが充填されている。アニオン交換樹脂粒子32Aを構成するアニオン交換樹脂としては、イオン性交換基の対イオンに弱酸アニオンが導入されたアニオン交換樹脂が用いられている。中空体30のセルの第1の開口端部(図3中、図面左側の開口端部)からセルの第2の開口端部(図3中、図面右側の開口端部)に至るまでの間にアニオン交換樹脂粒子32Aが充填されたアニオン交換樹脂充填層が形成されている。
夾雑物除去具10Aにトリフルオロ酢酸(TFA)を含む溶出液を導入すると、アニオン交換樹脂層においてTFAのトリフルオロ酢酸イオンが弱酸アニオンに交換され、強酸であるTFAが弱酸に変換される。即ち、強酸であるTFAは弱酸に変換され溶出液から強酸が除去される。また、弱酸アニオンが揮発性酸アニオンである場合には強酸であるTFAが揮発性物質に変換され溶出液からTFAが除去される。
(3)充填材(カチオン交換樹脂粒子):
図示しないが、図3に示す夾雑物除去具10Aの構成において、アニオン交換樹脂粒子32Aに代えて、カチオン樹脂粒子を充填してもよい。カチオン交換樹脂粒子を構成するカチオン交換樹脂としては、イオン性交換基の対イオンに弱塩基カチオンが導入されたカチオン交換樹脂を用いることができる。
夾雑物除去具にナトリウム塩やカリウム塩を含む溶出液を導入すると、カチオン交換樹脂層において強塩基カチオンであるナトリウムイオンやカリウムイオンが弱塩基カチオンに交換され、強塩基であるナトリウム塩やカリウム塩が弱塩基であるアンモニウム塩に変換される。即ち、強塩基であるナトリウム塩やカリウム塩は弱塩基に変換され溶出液から強塩基が除去される。また、弱塩基カチオンが揮発性塩基カチオンである場合には強塩基であるナトリウム塩やカリウム塩が揮発性物質に変換され溶出液からナトリウム塩やカリウム塩が除去される。
[1−3]ディスポーザブル製品:
夾雑物除去具は、使用後に廃棄される、ディスポーザブル製品であることが好ましい。ディスポーザブル製品とすることにより、以下のような効果を得ることができる。
(1)夾雑物除去具から使用済みの充填材を除去し、新しい充填材を充填する必要がなくなり、充填材を詰め替える労力が軽減される。
(2)充填材に残留した分析対象物質から機密情報が漏洩する事態を効果的に防止することができる。
(3)充填材に残留した危険物などによって、詰替え業者が事故を起こす事態を防止し、取扱者の安全を確保することができる。
夾雑物除去具をディスポーザブル製品とするための好ましい態様としては、夾雑物除去具の中空体を樹脂製のチューブで構成したもの等を挙げることができる。
[1−4]製造方法:
夾雑物除去具の製造方法は特に限定されない。例えば、樹脂製のチューブに分散した粒子をシリンジで吸引することにより充填材を充填する方法などを挙げることができる。
[2]液体クロマトグラフ質量分析計:
図1に示す液体クロマトグラフ質量分析計1は、高速液体クロマトグラフ2と、質量分析計4と、夾雑物除去具10と、を備えている。そして、夾雑物除去具10が、高速液体クロマトグラフ2と、質量分析計4との間に接続されている。液体クロマトグラフ質量分析計1においては、高速液体クロマトグラフ2から溶出された溶出液が、夾雑物除去具10を通過して、質量分析計4に導入されるように構成されている。
[2−1]高速液体クロマトグラフ(HPLC):
高速液体クロマトグラフ2は、インジェクタ14、ポンプ18、バルブ19、カラム20、検出器22を備えている。高速液体クロマトグラフ2においては、ポンプ18によって溶離液16がバルブ19、カラム20を経由して、検出器22に送液されるように構成されている。インジェクタ14から測定試料12を打ち込むと、バルブ19において溶離液16と混合され、カラム20に送られる。測定試料12はカラム20において分離され、検出器22によって分離した成分が検知される。
インジェクタ14としては、図示のマニュアルインジェクタ(シリンジ)の他、オートサンプラを用いることもできる。ポンプ18としては、HPLCに用いられることがある各種ポンプを用いることができる。例えば、ナノLC用ポンプ(1μL/分以下)、ミクロLC用ポンプ(数十μL/分)、セミミクロLC用ポンプ(数百μL/分)、分析用ポンプ(数mL/分)、分取用ポンプ(数十mL/分以上)等の中から目的に応じて適宜選択すればよい。
カラム20としては、HPLCに用いられることがある各種カラムを用いることができる。例えば、順相カラム、逆相カラム、HILICカラム、サイズ排除カラム、イオン交換カラム等の中から目的に応じて適宜選択すればよい。また、カラム温度を安定化させるため、カラムオーブンを用いてもよい。
検出器22としては、HPLCに用いられることがある各種検出器を用いることができる。例えば、紫外可視分光検出器(UV/Vis)、蛍光検出器、示唆屈折検出器(RI)等の中から目的に応じて適宜選択すればよい。
[2−2]夾雑物除去具:
カラム20からの溶出液は夾雑物除去具10に送液され、夾雑物除去具10を通過する際に夾雑物が除去される。夾雑物除去具10は、両端に取り付けられたユニオン24,26によって、高速液体クロマトグラフ2と、質量分析計4との間に接続されている。専ら機器同士を接続するための部材であるユニオン24,26に代えて、ラインフィルタ等の濾材を取り付けてもよい。
[2−3]質量分析計(MS):
夾雑物が除去された溶出液は質量分析計4に導入され、マススペクトルの分析が行われる。質量分析計としては、市販の質量分析計を用いることができる。
MSのイオン化の方式は、エレクトロスプレーイオン化法(ESI法)、大気圧化学イオン化法(APCI法)、大気圧光イオン化法(APPI法)等のいずれを採用してもよい。
また、質量分析計の方式は、四重極質量分析計、飛行時間質量分析計、イオントラップ質量分析計、フーリエ変換質量分析計等の各種方式を採用することができる。
[3]液体クロマトグラフィー質量分析法:
図1に示す液体クロマトグラフィー質量分析法は、高速液体クロマトグラフ2から溶出された溶出液を、夾雑物除去具10を通過させてから、質量分析計4に導入する。このような方法によれば、HPLCの溶出液中に含まれる夾雑物(不揮発性物質、イオン性化合物、高分子など)を長時間に渡って除去することができ、MSのイオン化部(オリフィス等)が不揮発物質で詰まる等の汚染を抑制することができる。このため、MSのイオン化部を洗浄するメンテナンスの手間を省力化し、メンテナンスに伴うダウンタイムを短縮することが可能となる。また、イオン性化合物によるイオン化阻害を防止することとプロトン付加分子イオン([M+H])以外の付加分子イオンを生成し、マススペクトル解析を阻害する事態を有効に防止することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例で示す態様のみに限定されるものではない。
[夾雑物除去具の作製]
(実施例1)
図2に示す夾雑物除去具10と同様の構造を有する夾雑物除去具を作製した。中空体30としては、PTFEからなる軟質樹脂製のチューブ(内径1mm)を用いた。
充填材32としては、アニオン交換樹脂粒子32Aとカチオン交換樹脂粒子32Bを用いた。アニオン交換樹脂粒子32Aとしては、4級アンモニウム基を導入したスチレンージビニルベンゼン共重合体からなる平均粒径120μmの樹脂粒子(商品名「MCI GEL CA08P」、三菱化学製)の対イオンを酢酸イオンに変換したものを用いた。カチオン樹脂粒子32Bとしては、スルホ基を導入したスチレンージビニルベンゼン共重合体からなる平均粒径120μmの樹脂粒子(商品名「MCI GEL CK08P」、三菱化学製)の対イオンをアンモニウムイオンに変換したものを用いた。
アニオン交換樹脂層およびカチオン交換樹脂層は、アニオン交換樹脂粒子32Aまたはカチオン交換樹脂粒子32Bを有機溶剤に分散させて分散液を調製し、前記分散液をシリンジで吸引し、中空体30のセル内に導入することにより形成した。アニオン交換樹脂層およびカチオン交換樹脂層の長さはいずれも211mmとした。フリット34としては、樹脂名:超高分子量ポリエチレンからなるフィルタ(商品名「UHPE製多孔質体、トーメイ工業製)を用いた。実施例1の夾雑物除去具の内容を表1に示す。なお、「UHPE」は超高分子量ポリエチレンを意味する。
Figure 0006609844
(実施例2乃至6)
中空体の内径、アニオン交換樹脂層およびカチオン樹脂層の長さを表1に示す数値に変更したことを除き、実施例1と同様にして夾雑物除去具を作製した。
参考例7)
図3に示す夾雑物除去具10Aと同様の構造を有する夾雑物除去具を作製した。カチオン交換樹脂層を形成せず、アニオン交換樹脂層のみを形成したこと、アニオン交換樹脂層の長さを表1に示す数値に変更したことを除き、実施例1と同様にして夾雑物除去具を作製した。
参考例8)
図3に示す夾雑物除去具10Aと同様の構造を有する夾雑物除去具を作製した。アニオン交換樹脂層を形成せず、カチオン交換樹脂層のみを形成したこと、カチオン交換樹脂層の長さを表1に示す数値に変更したことを除き、実施例1と同様にして夾雑物除去具を作製した。
(比較例1)
中空体として、ステンレスからなる空カラム(内径4.6mm)を2個用い、第1の空カラムには充填材としてアニオン交換樹脂を充填し、第2の空カラムには充填材としてカチオン交換樹脂を充填し、これらを連結させたこと、アニオン交換樹脂層およびカチオン樹脂層の長さを表1に示す数値に変更したことを除き、実施例1と同様にして夾雑物除去具を作製した。
[リン酸除去率の評価]
実施例および比較例の夾雑物除去具を用いて、不揮発物質であるリン酸塩の除去を試みた。
(1)セル容積332mm、流量1.0mL/分の場合:
アセトニトリル/水=50/50(v/v)溶液に、10mMの濃度となるようにリン酸二水素カリウムを溶解し、評価用溶液を調製した。夾雑物除去具として、実施例1乃至3および比較例1の夾雑物除去具を用い、流量1.0mL/分で、前記評価用溶液を夾雑物除去具に流し、溶出量1.5mL毎にフラクションを分取した。各フラクションについて、イオンクロマトグラフィー分析により、リン酸イオン濃度を測定し、下記式(1)により、リン酸除去率を算出した。その結果を表2、表3、図4に示す。
100−(リン酸イオン濃度(ppm)/970)×100 :(1)
Figure 0006609844
Figure 0006609844
実施例1乃至3の夾雑物除去具は、比較例1の夾雑物除去具と比較して高いリン酸除去率を示した。中でも、実施例1および2の夾雑物除去具は、極めて高いリン酸除去率を示した。LC/MS測定においてHPLCからの溶出液をMSに導入することを考えると、リン酸除去率が95%以上であれば許容範囲と考えられる。リン酸除去率95%以上を維持することができるのは、比較例1の夾雑物除去具が溶出量4.5mLまでであるのに対し、実施例3の夾雑物除去具は溶出量7.5mL、実施例2の夾雑物除去具は溶出量10.5mL、実施例1の夾雑物除去具は溶出量12mLまでであった。即ち、実施例1乃至3の夾雑物除去具は比較例1の夾雑物除去具と比較して長時間に渡ってリン酸を除去することができると言える。
(2)セル容積332mm、流量0.5mL/分の場合:
評価用溶液の流量を0.5mL/分としたことを除き、(1)セル容積332mm、流量1.0mL/分の場合と同様にして、前記評価用溶液を夾雑物除去具に流し、溶出量1.5mL毎にフラクションを分取した。各フラクションについて、JIS K0102 46.1に記載のモリブデン青吸光光度法に準拠した比色法により、リン酸イオン濃度を測定し、前記式(1)により、リン酸除去率を算出した。その結果を表4および図5に示す。
Figure 0006609844
流量0.5mL/分とした場合も、実施例1乃至3の夾雑物除去具は、比較例1の夾雑物除去具と比較して高いリン酸除去率を示した。中でも、実施例1および2の夾雑物除去具は、極めて高いリン酸除去率を示した。リン酸除去率95%以上を維持することができるのは、比較例1の夾雑物除去具が溶出量7.5mLまでであるのに対し、実施例3の夾雑物除去具は溶出量9mL、実施例1および2の夾雑物除去具は溶出量13.5mLまでであった。即ち、実施例1乃至3の夾雑物除去具は比較例1の夾雑物除去具と比較して長時間に渡ってリン酸を除去することができると言える。
(3)セル容積78mm、流量0.2mL/分の場合:
夾雑物除去具として、実施例4乃至6の夾雑物除去具を用いたこと、評価用溶液の流量を0.2mL/分としたことを除き、(1)セル容積332mm、流量1.0mL/分の場合と同様にして、前記評価用溶液を夾雑物除去具に流し、溶出量0.5mL毎にフラクションを分取した。各フラクションについて、(2)セル容積332mm、流量0.5mL/分の場合と同様の比色法により、リン酸イオン濃度を測定し、前記式(1)により、リン酸除去率を算出した。その結果を表5および図6に示す。
Figure 0006609844
実施例4乃至6の夾雑物除去具は、いずれも溶出量3mLまでリン酸除去率95%以上を維持することができ、高いリン酸除去率を示した。即ち、セル内径が0.5mmである実施例4の夾雑物除去具も、セル内径が1mmである実施例5の夾雑物除去具およびセル内径が2mmである実施例6の夾雑物除去具と同等のリン酸除去率を示した。
[カリウム除去率の評価]
実施例および比較例の夾雑物除去具を用いて、リン酸塩の主な対イオンであるカリウムイオンの除去を試みた。
アセトニトリル/水=50/50(v/v)溶液に、10mMの濃度となるようにリン酸二水素カリウムを溶解し、評価用溶液を調製した。夾雑物除去具として、実施例1乃至3および比較例1の夾雑物除去具を用い、流量1.0mL/分で、前記評価用溶液を夾雑物除去具に流し、溶出量6mL毎にフラクションを分取した。各フラクションについて、イオンクロマトグラフィー分析により、カリウムイオン濃度を測定し、下記式(2)により、カリウム除去率を算出した。その結果を表6、図7に示す。
100−(カリウムイオン濃度(ppm)/390)×100 :(2)
Figure 0006609844
実施例1および2の夾雑物除去具は、比較例1の夾雑物除去具と比較して高いカリウム除去率を示した。実施例3の夾雑物除去具は、比較例1の夾雑物除去具と同等のカリウム除去率を示した。例えば、溶出量36mL時点でのカリウム除去率を比較すると、比較例1の夾雑物除去具が82.6%であるのに対し、実施例3の夾雑物除去具は79.1%、実施例2の夾雑物除去具は92.4%、実施例1の夾雑物除去具は99.5%であった。即ち、実施例1および2の夾雑物除去具は比較例1の夾雑物除去具と比較して長時間に渡ってカリウムイオンを除去することができると言える。
[トリフルオロ酢酸除去率の評価]
参考例の夾雑物除去具を用いて、トリフルオロ酢酸イオンの除去を試みた。
アセトニトリル/水=50/50(v/v)溶液に、10mMの濃度となるようにトリフルオロ酢酸を溶解し、評価用溶液を調製した。また、10mLトリフルオロ酢酸水溶液も評価用溶液として用いた。夾雑物除去具として、参考例7の夾雑物除去具を用い、流量0.3mL/分で、前記評価用溶液を夾雑物除去具に流し、溶出量3mL毎にフラクションを分取した。各フラクションについて、イオンクロマトグラフィー分析により、トリフルオロ酢酸イオン濃度を測定し、下記式(3)により、トリフルオロ酢酸除去率を算出した。その結果を表7に示す。
100−(トリフルオロ酢酸イオン濃度(ppm)/1130)×100 :(3)
Figure 0006609844
参考例7の夾雑物除去具は、高いトリフルオロ酢酸除去率を示した。いずれの評価用溶液を用いても、溶出量6mLまでトリフルオロ酢酸除去率100%を維持することができた。なお、本発明者が調査する限り、オンラインでトリフルオロ酢酸イオンを除去する従来技術は見出だせていない。従って、この技術はトリフルオロ酢酸を含む溶出液をそのままMSに導入することができる画期的な技術であると言える。
[LC/MSの測定(1)]
評価用サンプルとして、10ppmエリスロマイシン・メタノール溶液、10ppmレセルピン・メタノール溶液を用い、移動相(溶離液)として10mMリン酸二水素カリウム水溶液(A)とアセトニトリル(B)を用いたグラジエント分析でLC/MSの測定を行った。グラジエントはA/B=80/20(vol)から20/80(vol)まで510分間で変化させる条件とした。溶離液の流量は0.8mL/分とした。
装置としては、図1に示す液体クロマトグラフ質量分析計1を用いた。高速液体クロマトグラフ2としては、市販の液体クロマトグラフ(商品名「Agilent 1100」、アジレント製)を用いた。カラム20としては、逆相分析カラム(商品名「L−column2 ODS」、化学物質評価研究機構製)を用いた。カラムオーブンの温度は40℃とした。検出器22の測定波長はUV215nmとした。
質量分析計4としては、市販の大気圧イオン化飛行時間質量分析計(商品名「JMS−T100LP」、日本電子製)を用いた。測定条件は、イオン化法:ESI、ニードル電圧:2000V、オリフィス1電圧:85V、リングレンズ電圧:10V、イオンガイド電圧:2500V、脱溶媒室温度:350℃、オリフィス1温度:80℃、測定範囲:m/z10〜1000とした。夾雑物除去具10としては、実施例1および比較例1の夾雑物除去具を用いた。
インジェクタ14から、10ppmエリスロマイシン・メタノール溶液10μLまたは10ppmレセルピン・メタノール溶液10μLを注入し、高速液体クロマトグラフ2で分離を行った後、その溶出液を夾雑物除去具10経由で質量分析計4に導入し、抽出イオンクロマトグラムの半値幅とピークトップにおけるピーク強度を比較した。その結果を表8に示す。また、実施例1の夾雑物除去具を用いた際のエリスロマイシンの抽出イオンクロマトグラムを図8に、実施例1の夾雑物除去具を用いた際のレセルピンの抽出イオンクロマトグラムを図9に、比較例1の夾雑物除去具を用いた際のエリスロマイシンの抽出イオンクロマトグラムを図10に、比較例1の夾雑物除去具を用いた際のレセルピンの抽出イオンクロマトグラムを図11に示す。
Figure 0006609844
表8に示すように、実施例1および2の夾雑物除去具を用いても、比較例1の夾雑物除去具を用いた場合と半値幅または感度の面で見劣りするものではなく、中空体の内径を縮小しても半値幅や感度の面で大きな悪影響を及ぼさないことがわかった。特に、実施例1の夾雑物除去具を用いた場合、比較例1の夾雑物除去具を用いた場合と比較してエリスロマイシンとレセルピンの半値幅は明らかに狭くなり、エリスロマイシンの感度は向上した。また、図8乃至図11に示すように、エリスロマイシンの保持時間は7.0分、レセルピンの保持時間は9.2分であった。
[LC/MSの測定(2)]
評価用サンプルとして、50ppmエリスロマイシン・メタノール溶液を用い、10mMリン酸二水素カリウム水溶液(A)とアセトニトリル(B)を用いたグラジエント分析でLC/MSの測定を行った。グラジエントはA/B=80/20(vol)から20/80(vol)まで5分間で変化させる条件とした。溶離液の流量は0.3mL/分とした。
装置としては、図1に示す液体クロマトグラフ質量分析計1を用いた。高速液体クロマトグラフ2、カラムオーブン温度、検出器22の測定波長の条件は、前記「LC/MSの測定(1)」と同じ条件とした。カラム20としては、逆相分析カラム(商品名「TSKgel ODS−100V」、東ソー製)を用いた。質量分析計4は、前記「LC/MSの測定(1)」と同じものを用いた。測定条件は、イオン化法:ESI、ニードル電圧:2000V、オリフィス1電圧:80V、リングレンズ電圧:15V、イオンガイド電圧:2500V、脱溶媒室温度:250℃、オリフィス1温度:80℃、測定範囲:m/z10〜1000とした。夾雑物除去具としては、実施例5の夾雑物除去具を用いた。
インジェクタ14から、50ppmエリスロマイシン・メタノール溶液5μLを注入し、高速液体クロマトグラフ2で分離を行った後、その溶出液を夾雑物除去具10経由で質量分析計4に導入し、オンラインでマススペクトルを分析した。実施例5の夾雑物除去具を用いた際のエリスロマイシンのトータルイオンクロマトグラムを図12に、エリスロマイシン(保持時間5.6分)のマススペクトルを図13に、不純物(保持時間6.5分)のマススペクトルを図14に示す。
図13および図14から明らかなように、実施例5の夾雑物除去具を用い、HPLCからの溶出液をオンラインでMSに導入しても、エリスロマイシン(保持時間5.6分)および不純物(保持時間6.5分)のマススペクトルを分析することができた。
[LC/MSの測定(3)]
評価用サンプルとして、50ppm、17−メチルテストステロン・メタノール溶液を用い、水(A)とメタノール(B)を用いたグラジエント分析でLC/MSの測定を行った。グラジエントはA/B=90/10(vol)から0/100(vol)まで5分間で変化させる条件とした。溶離液の流量は0.3mL/分とした。
装置としては、図1に示す液体クロマトグラフ質量分析計1を用いた。高速液体クロマトグラフ2、カラム20は、前記「LC/MSの測定(2)」と同じものを用いた。カラムオーブン温度は、前記「LC/MSの測定(2)」と同じ条件とした。検出器22の測定波長はUV230nmとした。質量分析計4は、前記「LC/MSの測定(1)」と同じものを用いた。測定条件は、イオン化法:ESI、ニードル電圧:2000V、オリフィス1電圧:50V、リングレンズ電圧:10V、イオンガイド電圧:1000V、脱溶媒室温度:250℃、オリフィス1温度:80℃、測定範囲:m/z10〜1000とした。夾雑物除去具としては、図3に示す夾雑物除去具10Aを用いた。具体的には参考例8の夾雑物除去具を用いた。対照として、夾雑物除去具を使用しない場合のデータも採取した。
インジェクタ14から、50ppm、17−メチルテストステロン・メタノール溶液5μLを注入し、高速液体クロマトグラフ2で分離を行った後、その溶出液を夾雑物除去具10A経由で質量分析計4に導入し、オンラインでマススペクトルを分析した。その結果を表9に示す。夾雑物保持具を用いなかった際の17−メチルテストステロンのマススペクトルを図15に、参考例8の夾雑物除去具を用いた際の17−メチルテストステロンのマススペクトルを図16に示す。
Figure 0006609844
表9、図15および図16から明らかなように、夾雑物除去具を使用しない場合には、プロトン付加分子イオンのスペクトル(m/z=303、[M+H])以外に、Na付加分子イオンのスペクトル(m/z=325、[M+Na])、Na・メタノール付加分子イオンのスペクトル(m/z=357、[M+Na+CHOH])が検出されてしまうため、スペクトルの解析が難しくなる。一方、参考例8の夾雑物除去具を用いると、ほぼプロトン付加分子イオンのスペクトル(m/z=303、[M+H])のみが検出される。これにより、ノミナル質量を特定する際のマススペクトルの解析を容易にすることができる。また、Na付加分子イオン等が減少することで、プロトン付加分子イオンのスペクトル強度が高まる。さらに、Na付加分子イオン等が減少すると、タンデム質量分析計(MS/MS)を使用する際にNa付加分子イオンよりもプロトン付加分子イオンの方が破壊されやすくなる。これにより、選択反応検出(SRM)法による定量分析の際に感度の向上を期待することができる。
本発明の夾雑物除去具は、液体クロマトグラフ質量分析計および液体クロマトグラフィー質量分析法において好適に用いることができる。本発明の夾雑物除去具は、HPLCからの溶出液に、不揮発性物質(リン酸塩など)、イオン性化合物(ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリフルオロ酢酸イオン等)、高分子(タンパク、リン脂質)等の夾雑物を多く含むHPLC溶出液を質量分析するLC/MSに特に好適に用いることができる。
1:液体クロマトグラフ質量分析計、2:高速液体クロマトグラフ、4:質量分析計、10,10A:夾雑物除去具、12:測定試料、14:インジェクタ、16:溶離液、18:ポンプ、19:バルブ、20:カラム、22:検出器、24:ユニオン、26:ラインフィルタ、30:中空体、32:充填材、32A:アニオン交換樹脂粒子,32B:カチオン交換樹脂粒子、34:フリット、34A:第1のフリット、34B:第2のフリット、34C:第3のフリット。

Claims (5)

  1. 高速液体クロマトグラフと質量分析計との間に接続され、前記高速液体クロマトグラフから溶出された溶出液から夾雑物を除去し、前記質量分析計に前記夾雑物が除去された溶出液を導入するために用いられる夾雑物除去具であって、
    内部にセルが形成された中空体と、前記中空体の前記セルに充填される充填材と、を有し、
    前記中空体の前記セルの内径が0.5mm以上3mm以下であり、
    前記中空体の前記セルに前記充填材が充填されて形成される充填層の長さが25mm以上422mm以下であり、
    前記充填材として、イオン性交換基の対イオンに揮発性塩基カチオンが導入されたカチオン交換樹脂を構成成分とするカチオン交換樹脂粒子およびイオン性交換基の対イオンに揮発性酸アニオンが導入されたアニオン交換樹脂を構成成分とするアニオン交換樹脂粒子が充填されており、
    前記セルの第1の開口端部から前記セルの中途に至るまでの間は前記カチオン交換樹脂粒子が充填されたカチオン交換樹脂充填層が形成され、前記セルの中途から前記セルの第2の開口端部に至るまでの間は前記アニオン交換樹脂粒子が充填されたアニオン交換樹脂充填層が形成されていることを特徴とする夾雑物除去具。
  2. 前記中空体の前記セルの内径が0.5mm以上2mm以下である請求項に記載の夾雑物除去具。
  3. 使用後に廃棄される、ディスポーザブル製品である請求項1または2に記載の夾雑物除去具。
  4. 高速液体クロマトグラフと、質量分析計と、請求項1からのいずれか一項に記載の夾雑物除去具と、を備え、
    前記夾雑物除去具が、前記高速液体クロマトグラフと、前記質量分析計との間に接続され、
    前記高速液体クロマトグラフから溶出された溶出液が、前記夾雑物除去具を通過して、前記質量分析計に導入されるように構成したことを特徴とする液体クロマトグラフ質量分析計。
  5. 高速液体クロマトグラフから溶出された溶出液を、請求項1からのいずれか一項に記載の夾雑物除去具を通過させてから、前記質量分析計に導入することを特徴とする液体クロマトグラフィー質量分析法。
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