JP6591820B2 - フォイル軸受 - Google Patents

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Description

本発明は高速で回転する軸を支持するフォイル軸受に関する。
軸受装置において、極めて高速で回転する軸は、油潤滑の転がり軸受や油動圧軸受で支持することが多い。しかし、潤滑油などの液体による潤滑が困難な場合や、エネルギー効率を向上させる観点から潤滑油循環系の補機を別途設けることが困難な場合や、液体のせん断による抵抗が問題になる場合等には空気動圧軸受を使用することが多い。
空気動圧軸受の中で、軸受面が剛体で近似できる一般的な動圧軸受の場合、回転速度に応じた隙間の管理が重要であり、安定限界を超えるとホワールと呼ばれる振れ回りが生じる。したがって、厳密に隙間を設定しなければ所定の回転速度で運転することができないという問題がある。
これに対し、フォイル軸受は、曲げに対して剛性の低い可撓性を有する薄板からなるフォイルで軸受面を構成し、薄板のたわみを許容して荷重を支持する軸受である。
ラジアルフォイル軸受の場合、軸受の内周面がトップフォイルと呼ばれる薄板で構成されており、その外周側をバックフォイルと呼ばれるトップフォイルの弾性変形を可能とする部材で支持されている。軸の回転時には,軸とトップフォイル内径面の間に空気の膜が形成され摺動する。この軸受の場合、フォイルの可撓性により軸の回転速度や荷重、周囲温度等の運転条件に応じた適切な隙間が自動的に形成されるため、安定性に優れ、上記一般的な空気動圧軸受と比較して高速回転での使用が可能である。一般的な動圧軸受の隙間は直径の(1/1000)のオーダーである。直径数mm程度の軸であれば数μm程度の隙間であり、製造時の公差および温度変化の激しい環境下における隙間量管理は極めて厳しくなる。一方、フォイル軸受の場合には数十μm程度の隙間を設けることが可能であり、製造や隙間管理が容易である。
フォイル軸受は、軸の浮上・停止時などで軸と軸受面とで接触・摺動を繰り返すことになるが、この場合、摺動面に凝着が生じ、摩擦トルクの増大、ひいては軸受面の焼付き、破損に至ることがある。軸受の耐久性能を向上させるためには、軸と軸受面が接触した際の双方の損傷を少なくする必要があり、その方法の一つとして、軸や軸受面に二硫化モリブデンあるいは黒鉛を含む被膜を施すことが知られている(特許文献1)。軸受面に形成される被膜として、潤滑性を高めるために、トップフォイルの両面に二硫化モリブデンを塗布した例(特許文献2)、ニッケルめっき、クロムめっき、窒化チタンや非晶質カーボン被膜等の蒸着被膜など、耐摩耗性の良い被膜、または二硫化モリブデンや、黒鉛、フッ素樹脂等の固体潤滑剤を分散しためっきや、樹脂コーティング等の潤滑性の良い被膜を設けた例(特許文献3)が知られている。
一方、摺動部材またはフッ素樹脂被覆複合材料として、電離性放射線を照射したフッ素樹脂によって構成した摺動部材(特許文献4)、基材上に未焼成かつ未架橋のフッ素樹脂層を形成した後、該フッ素樹脂の融点以上の温度で焼成し、次いで、焼成した未架橋フッ素樹脂層を、低酸素濃度雰囲気下、該フッ素樹脂の融点未満の特定の範囲内の温度で、かつ、特定の照射線量の放射線を照射する架橋フッ素樹脂複合材料(特許文献5)、エンジニアリングプラスチックのみから又はエンジニアリングプラスチックを主体とする材質により形成されているエンジニアリングプラスチック層、およびこのエンジニアリングプラスチック層の表面を被覆するフッ素樹脂層に、電離放射線を照射してフッ素樹脂を架橋させることにより、エンジニアリングプラスチック層とフッ素樹脂層との優れた接着力が得られること、そして、エンジニアリングプラスチックとして、30℃で4H以上の鉛筆硬度を有する層を形成できるものを用いることにより、優れた耐スクラッチ性を有するフッ素樹脂被覆材(特許文献6)、表面粗度の最大高さRyを20μm以下とした基材上、または、エッチング処理された基材の表面上に、密着して架橋されたフッ素樹脂層を設けた摺動部材(特許文献7)等が知られている。
特開2003−056561号公報 特開2002−364643号公報 特開2003−262222号公報 特許第3566805号公報 特許第5131928号公報 特許第5601013号公報 特開2014−46673号公報
しかしながら、上記フッ素樹脂単体からなる架橋PTFE被膜を施した摺動材料は、未架橋のフッ素樹脂被膜と比較して耐摩耗性が向上するが、フォイル軸受表面に施されたダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCという)膜や硬質の金属被膜などと比較すると耐摩耗性には劣るという問題がある。
一方、DLCなどの硬質被膜は、耐摩耗性に優れる一方で、割れの発生や、フォイルの可撓性への影響、製膜時の熱応力によるフォイルの変形などから、フォイル軸受へ適用する場合に膜厚を厚くすることは困難である。結果として十分な被膜寿命が得られず、長期的なフォイル軸受の安定性能が得られないという問題がある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、フォイルとの密着性に優れ、かつ始動時のトルクを低減でき、さらに油やガスなど作動流体の種類を問わず耐久性に優れ、被膜厚さを厚くできる架橋フッ素樹脂被膜からなる摺動層を有するフォイル軸受の提供を目的とする。
本発明のフォイル軸受は、可撓性を有する薄いフォイルで軸受面を構成し、その外周にフォイルが弾性変形可能となるように支持部を備え、回転側部材の回転に伴ってフォイルに設けた第1軸受面とこれに対向する他方の部材の第2軸受面との間の軸受隙間に流体膜が形成され、その圧力で回転側部材が支持されるフォイル軸受である。このフォイル軸受における、フォイルの表面および裏面の少なくとも1つの面に摺動層を有し、また、第1軸受面および第2軸受面の少なくとも1つの軸受面が摺動層を有し、これら摺動層は少なくとも表面およびその近傍が架橋フッ素樹脂層を有することを特徴とする。
上記摺動層は、以下の6つの態様からなることを特徴とする。
(1)軸受面に耐熱性樹脂および第一のフッ素樹脂を含む下地層と、この下地層表面に第二のフッ素樹脂層とを有し、上記耐熱性樹脂は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子の少なくとも1つの原子を高分子構造の少なくとも主鎖に含む樹脂であり、第二のフッ素樹脂層は表面およびその近傍が架橋されてなる架橋フッ素樹脂層である。
(2)軸受面に耐熱性樹脂および第一のフッ素樹脂を含む下地層と、この下地層表面に第二のフッ素樹脂層とを有し、上記耐熱性樹脂は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子の少なくとも1つの原子を高分子構造の少なくとも主鎖に含む樹脂であり、第二のフッ素樹脂層は摺動層表面から基材面まで架橋された架橋フッ素樹脂層である。
(3)フッ素樹脂層は軸受の基材と接していない一の面およびその近傍に存在するフッ素樹脂が三次元構造からなる架橋構造を有し、該フッ素樹脂層の、基材と接している他の面およびその近傍に存在するフッ素樹脂が未架橋構造を有し、該一の面と該他の面との間に存在するフッ素樹脂の三次元構造の含率が連続的に変化している。
(4)フッ素樹脂層は軸受の基材と接していない一の面およびその近傍に存在するフッ素樹脂が摺動層表面から基材面まで架橋された架橋フッ素樹脂層である。
(5)摺動層は樹脂組成物からなる摺動層であり、この樹脂組成物はフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物であり、
上記耐熱性樹脂の含有割合は、混合樹脂組成物全体の配合割合に対して、摺動層の表面側よりも軸受の基材側に多く、また、上記フッ素樹脂の含有割合は、混合樹脂組成物全体の配合割合に対して、基材側よりも摺動層の表面側に多くそれぞれ含まれており、
上記フッ素樹脂は、摺動層の表面およびその近傍が架橋された三次元構造を、摺動層の基材側面およびその近傍が未架橋の二次元構造をそれぞれ有している。
(6)摺動層は樹脂組成物からなる摺動層であり、この樹脂組成物はフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物であり、
上記耐熱性樹脂の含有割合は、混合樹脂組成物全体の配合割合に対して、摺動層の表面側よりも軸受の基材側に多く、また、上記フッ素樹脂の含有割合は、混合樹脂組成物全体の配合割合に対して、基材側よりも摺動層の表面側に多くそれぞれ含まれており、
上記フッ素樹脂は、摺動層表面から基材面まで架橋された架橋フッ素樹脂層である。
上記摺動層からなる軸受面の相手面となる摺動部材の表面粗さがRa 0.8μm以下であることを特徴とする。ここで表面粗さRaはJIS B0601−2001で規定される算術平均粗さをいう。
本発明のフォイル軸受は、軸受面が表面およびその近傍に架橋フッ素樹脂層を有する摺動層を有しているので、フォイル軸受の摩擦摩耗耐久性能が向上する。また、摩擦抵抗が小さい架橋フッ素樹脂層により始動時のトルクを低下できる。
ラジアルフォイル軸受の断面図である。 スラストフォイル軸受の斜視図である。 摺動層の断面図である。 実験例1のNMRチャートの拡大図である。 実験例2のNMRチャートの拡大図である。 実験例3のNMRチャートの拡大図である。 架橋に伴なう−82ppmの規格化シグナル強度比である。 他の摺動層の断面図である。 他の摺動層の断面図である。
フォイル軸受の例を図1に示す。図1はバンプ型と呼ばれる形式のラジアルフォイル軸受を示し、図1(a)は軸方向断面図を、図1(b)は一部拡大断面図をそれぞれ示す。
フォイル軸受1は、軸受内周面がトップフォイル3と呼ばれる金属などの薄板、その外周が波型形状を与えた金属薄板などトップフォイルに弾性変形を与えるバックフォイル4、そして固定部であるフォイルホルダ5から構成され、この軸受1内に軸2が配置される。トップフォイル3は周方向一方の端部3aを自由端とし、他端3bがフォイルホルダ5に固定されている。
トップフォイル3の摺動面3cには架橋フッ素樹脂からなる摺動層6が形成されている。なお、軸2の摺動面、または、トップフォイル3および軸2の両方の摺動面、更にはトップフォイル3が軸2と摺動する面と反対側の面に架橋フッ素樹脂からなる摺動層を設けることができる。
軸2が矢印方向に回転することで空気などの作動流体が軸2とトップフォイル3との間に引き込まれ流体圧力が発生する。その結果、軸2の摺動面2aとトップフォイル3の摺動面3aとの間の軸受隙間に流体膜が形成され軸2が浮上する。軸2が高速回転中は軸2の摺動面2aとトップフォイル3の摺動面3aは非接触となり、半永久的に運転が可能となるが、軸2の停止時や、回転速度が不十分なときは軸2を浮上させる流体圧力が発生しないため、軸2とトップフォイル3表面に形成された架橋フッ素樹脂からなる摺動層6とは接触状態となる。これらを繰り返すことで軸・フォイル間に摩擦・摩耗が生じるが、特定構造の架橋フッ素樹脂被膜からなる摺動層を設けることで、軸・フォイル間に発生する摩擦・摩耗を大幅に低下させることができた。本発明はこのような知見に基づくものである。
フォイル軸受の他の例を図2に示す。図2はスラストフォイル軸受の軸受部の斜視図を示し、図2(a)はリーフフォイル軸受を、図2(b)はバンプフォイル軸受の斜視図をそれぞれ示す。
図2(a)に示すリーフフォイル軸受7は、円盤状のフォイルホルダ9の端面の円周方向複数箇所に、複数のリーフ型のフォイル8が設けられている。フォイル8は周方向一方の端部を自由端とし、他端がフォイルホルダ9に固定されている。フォイル8の摺動面には架橋フッ素樹脂からなる摺動層が形成されている。図示を省略した軸が回転すると、各フォイルの軸受面とこれに対向する軸の端面との間にスラスト軸受隙間が形成され、このスラスト軸受隙間の空気などの流体膜により軸がスラスト方向に非接触支持される。
図2(b)に示すバンプフォイル軸受10は表面に架橋フッ素樹脂からなる摺動層が形成されているトップフォイル8の裏面にバックフォイル11を設けた例である。
フォイル軸受のフォイル摺動面に架橋フッ素樹脂被膜を施すことで、DLCを始めとする他の硬質被膜と比較して格段に被膜寿命が長くなり、また始動トルクを減じる効果が得られた。その理由として、以下の点が挙げられる。
(i)架橋フッ素樹脂被膜は耐摩耗性に優れることに加え、樹脂材料特有の柔軟性を持ち、硬質被膜と比較して厚く製膜することが可能である。被膜の厚さは摺動による被膜の寿命に大きく影響し、耐摩耗性に優れる架橋フッ素樹脂被膜を厚く製膜することで、他の硬質被膜と比較して長寿命が得られる。
(ii)軸とフォイルが接触する際において、軸受表面が硬質であると接触部において大きな接触圧力が生じ、そこから軸、軸受が損傷する。フォイルのエッジ部分は軸の振れ回りの発生などで特に高面圧で接触することが多く損傷する割合が顕著である。一方で架橋フッ素樹脂被膜を施したものは、接触面が樹脂特有の柔軟性を有し、またなじみ性に優れることにより接触面積が増加し、面圧を減じる効果が得られる。
(iii)軸受面の少なくともいずれか一方を架橋フッ素樹脂層とすることで,摺動する相手面に移着膜を形成し、フッ素樹脂同士の摺動になることで低摩擦となる。
(iV)架橋フッ素樹脂被膜が摺動により摩耗した場合、剛体の軸受であれば軸受隙間に変化が生じ、軸受性能に悪影響を与える。一方でフォイル軸受の場合、軸受隙間はフォイルの可撓性により最適に形成される。被膜の基材となるフォイルは被膜の存在により損耗しないためフォイルの可撓性への影響もなく、長期的に安定した性能を得ることができる。
(V)また、回転軸側に架橋フッ素樹脂被膜を形成した場合でも、フォイル軸受の摺動面に摺動層を形成した場合と同様の耐久性能が得られる。フォイル側に架橋フッ素樹脂被膜を形成する場合、主に摺動する部分は負荷圏(図1では重力方向である接触部)であり、負荷圏部分が集中的に損傷し,他の部分の被膜が潤滑に寄与しない可能性がある。一方で回転軸に被膜を形成すると、軸の回転により周方向面すべて摺動部であるため、被膜がより効果的に潤滑、耐摩耗に寄与する。回転軸に被膜を形成する場合、円筒面への製膜、架橋処理を施すために特殊な工程を要し、製膜コストが高くなる可能性がある。一方フォイルに被膜を形成する場合は、フォイル自体はフォイルホルダに挿入前は真直ぐな薄板であるため、容易に製膜、架橋処理を施すことができる。
(Vi)薄板であるフォイルの場合、混合樹脂組成物からなる摺動層は、耐熱性樹脂の配合により、フッ素樹脂単独よりも線膨張係数が金属基材の線膨張係数に近くなる。例えば、線膨張係数(×10-5/k)は鉄が1.21、PTFEが10.0、芳香族ポリアミドイミド樹脂が3.06であるので、混合樹脂組成物の線膨張係数は鉄に近づくことになる。その結果、フォイルの摺動層表面の反りや被膜のひび割れを防ぐことができる。
摺動層の層厚さは10μm以上であることが好ましい。10μm未満であると、摩耗しやすく、面圧を下げる効果が得られない。層厚さの上限としてはフォイル軸受としたときの寸法精度が得られる範囲である。
耐摩擦摩耗性に優れる架橋フッ素樹脂被膜であるが、一方で表面粗さRaが大きな相手材と摺動試験を行なうと、架橋による耐摩耗性向上の効果はほとんど得られず、大きなアブレージョン作用の働く摺動条件の場合、架橋フッ素樹脂被膜の効果が得られない場合がある。そのため、架橋フッ素樹脂被膜に対する相手材の摺動面の表面粗Raは0.8μm以下にする、もしくは掘り起こしが起こるような先端突起のない表面形状にすることが好ましい。
フォイルの材料は可撓性を有し、弾性変形できる金属材料である、SUS301やSUS304などのステンレス鋼、SK材(炭素工具鋼)などの鉄系金属材料、リン青銅、黄銅、ベリリウム銅などの銅合金、インコネルなどのニッケル合金などが挙げられる。
また、軸の材料としては鉄系金属材が好ましく、転がり軸受などに使用される軸受鋼、浸炭鋼、機械構造用炭素鋼、冷間圧延鋼、または熱間圧延鋼等が挙げられる。鉄系金属材は軸形状に加工後、焼入焼戻し処理することで所定の表面硬度に調整する。例えばクロムモリブデン鋼(SCM415)を用いた鉄系金属材製保持器の場合、Hv値が484〜595に調整した鉄系金属材を使用することが好ましい。
上記6つの態様からなる摺動層について説明する。
[上記(1)の態様からなる摺動層]
摺動層の断面図を図3(a)に示す。フォイルに設けた第1軸受面とこれに対向する他方の部材の第2軸受面、例えば軸の表面の少なくとも1つに摺動層が設けられる。摺動層12は、金属材13の表面に形成された下地層14と、この下地層14の表面に形成された架橋フッ素樹脂層15とからなる。下地層14および架橋フッ素樹脂層15に含まれるフッ素樹脂は少なくとも表面層近傍が架橋されてなる架橋フッ素樹脂層である。摺動層12は基材と接していない表面ならびにその近傍層に存在するフッ素樹脂が三次元構造を有し、該フッ素樹脂層の、基材と接している面ならびにその近傍層に存在するフッ素樹脂が二次元構造を有し、摺動層表面と基材面との間に存在するフッ素樹脂の三次元構造の含率が連続的に変化している。これにより、摺動層12は、表面層より鉄系金属材3の表面に向かって架橋割合が少なくなる傾斜材料となっている。
なお、基材と接していない表面ならびにその近傍層に存在するフッ素樹脂が三次元構造を有するとは、フッ素樹脂層におけるこの部分全体が三次元構造のフッ素樹脂のみからなることに限定されず、この部分に二次元構造のフッ素樹脂が一部含まれていてもよい。同様に、基材と接している面ならびにその近傍層に存在するフッ素樹脂が二次元構造を有するとは、フッ素樹脂層におけるこの部分全体が二次元構造のフッ素樹脂のみからなることに限定されず、この部分に三次元構造のフッ素樹脂が一部含まれていてもよい。
架橋フッ素樹脂層5の層厚さt1は、下地層14の層厚さt2との合計厚さである摺動層の層厚さtに対して、10〜90%、好ましくは25〜75%である。
耐熱性樹脂は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子の少なくとも1つの原子を高分子構造の少なくとも主鎖に含む樹脂である。また、焼成して摺動層を形成する時に熱分解しない樹脂である。ここで熱分解しないとは、下地層および上層膜を焼成する温度および時間内において、熱分解を開始しない樹脂である。酸素原子、窒素原子および硫黄原子の少なくとも1つの原子を高分子構造の主鎖に含む耐熱性樹脂であることにより、金属材との密着性に優れた官能基および第一のフッ素樹脂とも反応する官能基を分子主鎖内または分子端部に有することができる。
耐熱性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アミドイミド樹脂、イミド樹脂、エーテルイミド樹脂、イミダゾール樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。また、フッ素樹脂が塗膜形成時の収縮を防ぐウレタン樹脂、アクリル樹脂を併用することができる。
耐熱性樹脂の中でも芳香族環を主として含む樹脂が耐熱性に優れるため好ましい。好ましい耐熱性樹脂としては、芳香族アミドイミド樹脂、芳香族イミド樹脂が挙げられる。
第一のフッ素樹脂は、下地層を形成する水系塗布液に粒子状に分散できる樹脂であれば使用できる。第一のフッ素樹脂としては、PTFE粒子、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(以下、PFAという)粒子、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPという)粒子、またはこれらの2種以上が好ましく使用できる。
下地層を形成する水系塗布液には、耐熱性樹脂および第一のフッ素樹脂以外に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン界面活性剤、カーボンブラックなどの無機顔料、N−メチル−2−ピロリドンなどの水に任意に混合する非プロトン系極性溶剤、主溶剤としての水が配合される。また、消泡剤、乾燥剤、増粘剤、レベリング剤、ハジキ防止剤などを配合できる。下地層を形成する水系塗布液としては、例えば、ダイキン工業株式会社製プライマー塗料EKシリーズ、EDシリーズが挙げられる。
第二のフッ素樹脂層は、下地層の表面に形成され放射線により架橋できるフッ素樹脂の層である。第一のフッ素樹脂と第二のフッ素樹脂とは同一であっても異なっていてもよいが、同一のフッ素樹脂を使用することが好ましい。第二のフッ素樹脂としては、PTFE、PFA、FEP、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。これらの樹脂は単独でも混合物としても使用できる。また、これらの中で、耐熱性および摺動性に優れるPTFEが好ましい。
第二のフッ素樹脂層は、PTFE樹脂粒子を分散させた水分散液を塗布乾燥することにより得られる。PTFE樹脂粒子を分散させた水分散液としては、例えば、ダイキン工業株式会社製ポリフロン=PTFEエナメルが挙げられる。
本発明のフォイル軸受において、金属材、下地層および第二のフッ素樹脂層は、接着剤層を設けることなく相互に密着している。摺動層の製造方法について以下説明する。
金属材の表面処理工程:
金属材は、石油ベンジン等の有機溶剤内に浸漬させ、5分〜1時間程度超音波脱脂を行なうことが好ましい。
下地層を形成する水系塗布液の塗装工程:
下地層を形成する水系塗布液を塗布前に、水分散液の分散性を向上させるために、ボールミルを用いて、例えば40rpmで1時間回転させ再分散する。この再分散した水系塗布液を100メッシュの金網を用いて濾過し、スプレー法を用いて塗布する。
下地層を形成する水系塗布液の乾燥工程:
水系塗布液を塗布後乾燥する。乾燥条件としては、例えば90℃の恒温槽内で30分程度の乾燥が好ましい。
第二のフッ素樹脂層を形成する水系塗布液の塗装工程:
第二のフッ素樹脂層を形成する水系塗布液前に、水分散液の分散性を向上させるために、ボールミルを用いて、例えば40rpmで1時間回転させ再分散する。下地層を焼成することなく、乾燥された下地層表面に、この再分散した水系塗布液を100メッシュの金網を用いて濾過し、スプレー法を用いて塗装する。
第二のフッ素樹脂層を形成する水系塗布液の乾燥工程:
水系塗布液を塗布後乾燥する。乾燥条件としては、例えば90℃の恒温槽内で30分程度の乾燥が好ましい。
なお、下地層および第二のフッ素樹脂層の塗装方法としては、スプレー法以外にディッピング法、刷毛塗り法など被膜を形成できるものであれば使用できる。被膜の表面粗さ、塗布形状をできるだけ小さくし、層厚さの均一性を考慮するとスプレー法が好ましい。
焼成工程:
第二のフッ素樹脂層の乾燥後、加熱炉内、空気中で第二のフッ素樹脂の融点以上の温度、好ましくは(融点(Tm)+30℃)〜(融点(Tm)+100℃)、5〜40分の範囲内で、下地層および第二のフッ素樹脂層を焼成する。第一および第二のフッ素樹脂がPTFEの場合、好ましくは380℃の加熱炉内で30分間焼成する。
第二のフッ素樹脂層の架橋工程:
焼成後の被膜に、照射温度が第二のフッ素樹脂層の融点より30℃低い温度から該融点の50℃高い温度以下、好ましくは第二のフッ素樹脂層の融点より10℃低い温度から該融点の20℃高い温度以下にて、また、照射線量が250kGy超750kGy以下で放射線を照射してフッ素樹脂層を架橋させる。放射線としては、α線(α崩壊を行なう放射性核種から放出されるヘリウム−4の原子核の粒子線)、β線(原子核から放出される陰電子および陽電子)、電子線(ほぼ一定の運動エネルギーを持つ電子ビーム;一般に、熱電子を真空中で加速してつくる)などの粒子線;γ線(原子核、素粒子のエネルギー準位間の遷移や素粒子の対消滅、対生成などによって放出・吸収される波長の短い電磁波)などの電離放射線を用いることができる。これらの放射線の中でも、架橋効率や操作性の観点から、電子線およびγ線が好ましく、電子線がより好ましい。特に電子線は、電子線照射装置が入手しやすいこと、照射操作が簡単であること、連続的な照射工程を採用することができることなどの利点を有している。
照射温度が第二のフッ素樹脂層の融点より30℃低い温度から該融点の50℃高い温度以下の温度範囲以外ではフッ素樹脂層の架橋が十分に進まない。フッ素樹脂層の高硬度化が十分に進まない。また、照射雰囲気は架橋を効率的に行なうため、真空引きや不活性ガス注入により照射領域の酸素濃度を低くする必要がある。酸素濃度の範囲は0〜300ppmが好ましい。酸素濃度を以上のような濃度範囲に維持するには操作性やコスト面の観点から窒素ガス注入による不活性雰囲気が好ましい。
照射線量が250kGy以下であると架橋が不十分となり、摩耗量が大きく、金属基材が露出してしまう場合がある。また、照射線量が750kGy超であると架橋が必要以上に進み、被膜の硬度が上昇することで、脆化し、剥離等の被膜損傷が起こりやすくなる場合がある。
照射温度が第二のフッ素樹脂層の融点より30℃低い温度から該融点の50℃高い温度以下の温度範囲内、照射線量が250kGy超750kGy以下の条件で放射線を照射してフッ素樹脂層を架橋させることにより、押し込み硬さで表される、摺動層の表面硬度を52〜90MPa、好ましくは60〜85MPaとなるように調整できる。押し込み硬さが52MPaよりも低いと、摩耗量が大きく、金属基材が露出してしまう場合がある。また、押し込み硬さが90MPaよりも高いと、被膜の硬度が上昇することで、脆化し、剥離等の被膜損傷が起こりやすくなる場合がある。
また、照射温度が第二のフッ素樹脂層の融点より30℃低い温度から該融点の50℃高い温度以下の温度範囲内、照射線量が250kGy超750kGy以下の条件で放射線を照射してフッ素樹脂層を架橋させることにより、第二のフッ素樹脂層の融点 が280〜310℃、好ましくは280〜301℃となるようにフッ素樹脂層を低融点化できる。融点が310℃よりも高いと、摩耗量が大きく、金属基材が露出してしまう場合がある。また、融点が280℃よりも低いと、被膜の硬度が上昇することで、脆化し、剥離等の被膜損傷が起こりやすくなる場合がある。
照射するときの加速電圧は40kV以上500kV未満、好ましくは50〜100kVである。40kV未満であると第二のフッ素樹脂層の表面層近傍への電子線の侵入が浅くなり、500kV以上であると第一および第二のフッ素樹脂層全体に架橋が進む。放射線をフッ素樹脂層に照射すると、フッ素樹脂内部で放射線の強度が減衰するため、放射線を照射した表面近傍には放射線が充分届くが、他の面には放射線が届かないことを利用して第二のフッ素樹脂層の表面近傍を架橋できる。
上述した方法により得られた摺動層の無潤滑および油潤滑中での耐摩耗性を評価するため、サバン型摩擦摩耗試験にて比摩耗量および摩擦係数を測定した。試験片、相手材などの試験条件を以下に示す。
(i)試験片の作成
試験片:SPCC製30mm×30mm、厚さ2mmの金属平板に摺動層を形成した。下地層はダイキン社製プライマー塗料(型番:EK−1909S21R)、第二のフッ素樹脂層にはダイキン社製トップ塗料(型番:EK−3700C21R)を用いた。乾燥時間はそれぞれ90℃の恒温槽内で30分間乾燥し、380℃の加熱炉内で30分間下地層および第二のフッ素樹脂層を同時に焼成した。
その後、以下の条件で試験片に摺動層側から電子線照射を行なった。
使用装置:浜松ホトニクス株式会社製EBエンジン
照射線量:実験例1が0kGy(未照射)、実験例2が500kGy、実験例3が1000kGy
加速電圧:70kV
照射時の被膜温度:340℃
照射時のチャンバー内雰囲気:加熱窒素
(ii)実験例の試験片被膜
実験例1:PTFE被膜(照射線量:0kGy、層厚さ:20μm)
実験例2:PTFE被膜(照射線量:500kGy、層厚さ:20μm)
実験例3:PTFE被膜(照射線量:1000kGy、層厚さ:20μm)
(iii)サバン型摩擦摩耗試験の条件
相手材:焼入焼戻し処理したSUJ2製φ40mm×幅10mm×副曲率R60mmのリング
潤滑油:無潤滑
滑り速度:0.05m/s
荷重:50N
摺動時間:実験例1が5分、実験例2が50分
(iV)サバン型摩擦摩耗試験の結果
試験結果を表1に示す。比摩耗量は摩耗体積を摺動距離と荷重で除した値であり、形成された摩耗痕の短径、相手材の形状寸法(φ40mmおよびR60mm)から摩耗体積を算出した。なお、表1は、実験例1の摩耗量および摩擦係数を1.000とした場合の実験例2の摩耗量および摩擦係数を示した。
Figure 0006591820
表1に示すように、電子線照射しなかった実験例1に比較して、実験例2は、摩擦係数は増加するものの優れた比摩耗量を示した。
次に本発明に用いる摺動部材の第二のフッ素樹脂層の表面層近傍が架橋構造を有していることについて説明する。一般に、フッ素系樹脂、特にポリテトラフルオロエチレン樹脂は化学的に非常に安定で、有機溶媒などに対しても極めて安定であるため、分子構造あるいは分子量などを同定することは困難である。しかしながら19F Magic angle Spinning(MAS)核磁気共鳴(NMR)法(High speed magic angle nuclear magnetic resonance)による測定ならびに解析により、本発明の摺動部材の架橋構造を同定することが可能となる。
測定は、日本電子株式会社製NMR装置JNM−ECX400を用いて、好適な測定核種(19F)、共鳴周波数(376.2MHz)、MAS(Magic Angle Spinning)回転数(15および12kHz)、サンプル量(4mm固体NMR管に約70μL)、待ち時間(recycle delay time)(10秒)ならびに測定温度(約24℃)で行なった。結果を図4〜図7に示す。図4は実験例1の表面層のNMR、図5は実験例2のNMRチャートの拡大図をそれぞれ表す。また、実験例3の表面層のNMRを図6に表す。図4〜図6において上段はMAS回転数15kHz、下段はMAS回転数12kHzをそれぞれ表す。図7は架橋に伴い強度が増加する−82ppmでのシグナル強度を主シグナルである−122ppmでのシグナル強度で規格化し、グラフにしたものである。図5において上段は測定値、下段はグラフを表す。このシグナル強度比が高いほど架橋度が進行しているものと考えられる。
放射線照射を行なっていない第二のフッ素樹脂層(実験例1、0kGy)を上記の条件で測定すると、MAS回転数15kHzにおいて、−82ppm、−122ppm、−162ppmのシグナルが観測された(図4上段)。また、MAS回転数12kHzにおいて、同じく、−58ppm、−82ppm、−90ppm、−122ppm、−154ppm、−186ppmのシグナルが観測された(図4下段)。−122ppmは−CF2−CF2−結合におけるF原子のシグナルであり、−82ppmは−CF2−CF3結合における−CF3のF原子のシグナルであることが知られている。このことから、MAS回転数15kHzにおける−82ppmおよび−162ppm、MAS回転数12kHzにおける−58ppm、−90ppm、−154ppm、−186ppmのシグナルはスピニングサイドバンド(Spinning Side Band:SSB)である。なお、−122ppm〜−130ppmの領域で−122ppmのシグナルに隠れてブロードになっているシグナルが観測されている。このシグナルは−126ppmに観測されるはずの−CF2−CF3結合における−CF2−のF原子のシグナルである。従って、放射線照射を行なっていない未架橋の第二のフッ素樹脂層は−CF2−CF2−結合に帰属する−122ppm、−CF2−CF3に帰属する−82ppmおよび−126ppmのシグナルを有するNMRチャートで表される。
500kGyの線量の放射線を照射した第二のフッ素樹脂の表面層(実験例2、500kGy)の固体19F MAS NMRを未架橋の第二のフッ素樹脂層と同じ条件で測定すると、スピニングサイドバンドを除いて、−68ppm、−70ppm、−80ppm、−82ppm、−109ppm、−112ppm、−122ppm、−126ppm、−152ppm、および−186ppmのシグナルが観測された(図5上段および図5下段)。−68ppm、−70ppm、−80ppm、−109ppm、−112ppm、−152ppm、および−186ppmのシグナルが放射線照射により新たに出現し、−82ppmのシグナルはその強度が未照射より増加していた。
1000kGyの線量の放射線を照射した第二のフッ素樹脂の表面層(実験例3、1000kGy)の固体19F MAS NMRを未架橋の第二のフッ素樹脂層と同じ条件で測定すると、スピニングサイドバンドを除いて、−68ppm、−70ppm、−77ppm、−80ppm、−82ppm、−109ppm、−112ppm、−122ppm、−126ppm、−152ppm、および−186ppmのシグナルが観測された(図6上段および図6下段)。−68ppm、−70ppm、−77ppm、−80ppm、−109ppm、−112ppm、−152ppm、および−186ppmのシグナルが放射線照射により新たに出現し、−82ppmのシグナルはそのシグナル強度が500kGy照射時より増加していた。
上記シグナルは、帰属するF原子を下線で表せば、例えば−70ppmは=CF−C 3、−109ppmは−C 2−CF(CF3)−C 2−、−152ppmは=C−C=、−186ppmは≡Cに帰属されることが知られている(Beate Fuchs and Ulrich Scheler., Branching and Cross−Linking in Radiation−Modified Poly(tetrafluoroethylene):A Solid−State NMR Investigation.Macromolecules,33,120−124.2000年)。
これらのシグナルは化学的に非等価なフッ素原子の存在を示すと同時に第二のフッ素樹脂の表面層が架橋による三次元構造を形成していることを示す。また、上記文献によれば、観測されるシグナルの強度は照射線量500kGyよりも照射線量1000kGyの方が強くなり、少なくとも照射線量3000kGyまでは、照射線量の増加に伴ってシグナルが強くなることが知られている。なお、上記文献に記載されていないシグナルについては、放射線の照射条件の違いにより第二のフッ素樹脂層の構造が異なっていることが考えられるが、架橋構造が形成されていることは、=CF−C 3、−C 2−CF(CF3)−C 2−、=C−C=、≡C等の構造が存在することから明白である。
図7に示すように、規格化シグナル強度比は、照射線量が増加するに従って増加している。照射線量が500kGyで明らかに架橋構造が出現していることが分かる。
上記実験例に用いた第二のフッ素樹脂層を形成する水系塗布液を90℃の恒温槽内で30分程度の乾燥条件により塗布後乾燥後、空気中で380℃の加熱炉内で30分間焼成して、厚さ4μmの未架橋フッ素樹脂被膜を作製した。このフィルムを5枚密接して積層し、一方の面から、上記第2の実験条件にて電子線照射を行なった。照射後、フッ素樹脂被膜を分離して、それぞれのフィルムについて、日本電子株式会社製NMR装置JNM−ECX400を用いて、上記実験例に従いNMR測定を行なった。測定の結果、照射面から照射と反対側の面に存在するフィルムに向かって架橋に伴うシグナル強度が低下し、傾斜構造を有していることが分かった。
[上記(2)の態様からなる摺動層]
摺動層の断面図を図3(b)に示す。摺動層12は、金属材13の表面に形成された下地層14と、この下地層14の表面に形成された架橋フッ素樹脂層15とからなる。架橋フッ素樹脂層15は摺動層表面から基材面まで架橋された架橋フッ素樹脂層である。
金属材の表面に耐熱性樹脂および第一のフッ素樹脂を含む下地層と、この下地層表面に第二のフッ素樹脂層とを有し、上記耐熱性樹脂は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子の少なくとも1つの原子を高分子構造の少なくとも主鎖に含む樹脂である点は上記(1)の態様からなる摺動層と同じである。電子線照射装置として株式会社NHVコーポレーション社製EPS−3000を用い、加速電圧を1.16MVにする以外は上記(1)の態様と同一の方法で架橋フッ素樹脂層を得た。この摺動層の表面および基材側の面の固体19F MAS NMRを測定したところ、第二のフッ素樹脂層の表面から基材面まで架橋していることが分かった。
[上記(3)の態様からなる摺動層]
摺動層の断面図を図8(a)に示す。摺動層12は、金属材13の表面に形成された架橋フッ素樹脂層15からなる。架橋フッ素樹脂層15は金属基材と接していない一の面15aおよびその近傍に存在するフッ素樹脂が三次元構造からなる架橋構造を有し、該フッ素樹脂層の、金属基材と接している他の面14aおよびその近傍14に存在するフッ素樹脂が未架橋構造を有し、該一の面と該他の面との間に存在するフッ素樹脂の三次元構造の含率が連続的に変化している架橋フッ素樹脂層である。
下地層を用いない以外は上記(1)の態様からなる架橋フッ素樹脂の製造工程と同様にして金属材13の表面に摺動層12を形成した。この摺動層の表面15aの固体19F MAS NMRを測定したところ、摺動層表面が架橋していることが分かった。
[上記(4)の態様からなる摺動層]
摺動層の断面図を図8(b)に示す。摺動層12は、金属材13の表面に形成された架橋フッ素樹脂層15からなる。架橋フッ素樹脂層15は金属基材面から摺動層表面まで三次元構造からなる架橋構造を有している。この摺動層の表面の面の固体19F MAS NMRを測定したところ、摺動層表面が架橋していることが分かった。
[上記(5)の態様からなる摺動層]
摺動層はフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物であり、初期混合物の配合割合に比較して、耐熱性樹脂の含有割合が摺動層の表面側よりも軸受の基材側に多く、また、フッ素樹脂の含有割合が基材側よりも摺動層の表面側に多くそれぞれ含まれている。また、フッ素樹脂は、摺動層の表面およびその近傍が架橋された三次元構造を、摺動層の基材側面およびその近傍が未架橋の二次元構造をそれぞれ有している。
摺動層の断面図を図9(a)、(b)に示す。図9(a)は摺動層の表面およびその近傍領域のフッ素樹脂が三次元構造を有する例であり、図9(b)はフッ素樹脂が三次元構造から二次元構造へ連続的に変化する傾斜構造を有する例である。
図9(a)に示すように、フォイル軸受の表面に形成される摺動層12は、金属材13の表面に形成されている。摺動層12は、フッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物であり、基材層側領域14に耐熱性樹脂が、摺動層の表面側領域15にフッ素樹脂が、混合樹脂組成物の全体の配合割合よりもそれぞれ多量に含まれている。また、フッ素樹脂は、摺動層の表面およびその近傍領域に三次元構造を有し、基材層側は未架橋の二次元構造を有している。
図9(b)はフッ素樹脂が三次元構造から二次元構造へ連続的に変化する傾斜構造を有する例である。軸受断面11に設けられる摺動層12は、フッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物であり、基材層側領域14に耐熱性樹脂が、摺動層の表面側領域15にフッ素樹脂が、混合樹脂組成物の全体の配合割合よりもそれぞれ多量に含まれている。また、摺動層12の層厚さtの表面15a側から基材側14aの面に向かってフッ素樹脂の高分子構造が三次元構造から二次元構造へ連続的に変化する傾斜構造を有している。
フッ素樹脂は、基材の表面に塗膜を形成できる分散液、または溶液であれば使用できる。分散液としては水系塗布液に粒子状に分散できるフッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂としては、PTFE樹脂、PFA共重合体、FEP共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は単独でも混合物としても使用できる。また、これらの中で、耐熱性および摺動性に優れるPTFEが好ましい。
摺動層を構成する耐熱性樹脂は、基材表面に分散液および/または溶液を塗布・乾燥後、焼成して摺動層を形成する時に熱分解しない樹脂である。ここで熱分解しないとは、混合樹脂を焼成する温度および時間内において、熱分解を開始しない樹脂である。熱分解の開始は、例えばTGなどの熱分解装置により測定できる。
耐熱性樹脂は、非プロトン極性溶媒に溶解する芳香族系樹脂であることが好ましい。耐熱および耐放射線性に優れると共に、塗膜形成時に耐熱樹脂が液状となり、表面エネルギーの小さいフッ素樹脂が摺動層表面側に分布し、フッ素樹脂よりも表面エネルギーの大きな耐熱性樹脂が基材側に分布することで、表面の潤滑性に優れ、基材との密着性に優れた摺動層が形成される。表面側のフッ素樹脂層は架橋されることで、更に摺動特性が向上する。
非プロトン極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの中で沸点が202℃であり、水と任意の割合で混合するN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
上記非プロトン極性溶媒に溶解する芳香族系樹脂としては、芳香族ポリアミドイミド樹脂、溶媒可溶性芳香族ポリイミド樹脂、溶媒可溶性芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリベンゾイミダゾール樹脂、芳香族ポリベンゾオキサゾール樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合しても使用できる。これらの中で、溶媒可溶性および被膜の耐熱性に優れている芳香族ポリアミドイミド樹脂が好ましい。
芳香族ポリアミドイミド樹脂は、分子内に芳香環とイミド結合とアミド結合とを有する樹脂である。このような芳香族系ポリアミドイミド樹脂は、芳香族第一級ジアミン、たとえばジフェニルメタンジアミンと芳香族三塩基酸無水物、たとえばトリメリット酸無水物のモノまたはジアシルハライド誘導体から製造されるポリアミドイミド、芳香族三塩基酸無水物と芳香族ジイソシアネート化合物、たとえばジフェニルメタンジイソシアネートとから製造されるポリアミドイミドなどがあり、さらに、アミド結合に比べてイミド結合の比率を大きくしたポリアミドイミドとして、芳香族、脂肪族または脂環族ジイソシアネート化合物と芳香族四塩基酸二無水物および芳香族三塩基酸無水物とから製造されるポリアミドイミド等があり、いずれのポリアミドイミド樹脂であっても使用することができる。
上記芳香族系樹脂に併用できる樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、エーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。また、フッ素樹脂が塗膜形成時の収縮を防ぐウレタン樹脂、アクリル樹脂を併用することができる。
摺動層を形成する混合樹脂組成物におけるフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合割合は、フッ素樹脂および耐熱性樹脂の合計を100体積部として、耐熱性樹脂の割合が1〜50体積部、好ましくは5〜30体積部、より好ましくは5〜10体積部である。耐熱性樹脂の割合が1体積部未満であると、金属基材とフッ素樹脂との線膨張係数の差が大きくなり、摺動層に引張り応力がかかり、フォイル表面に製膜した場合、ソリや剥離が生じ、軸受の場合、表面にひび割れが生じやすくなる。また、耐熱性樹脂の割合が50体積部を超えるとフッ素樹脂の割合が少なくなり、摺動性が不十分となる。
上記フッ素樹脂と上記耐熱性樹脂とを混合した水系塗布液を作製して、この塗布液を基板上に塗布・乾燥後、焼成して、未架橋前の混合樹脂組成物被膜が作製できる。
水系塗布液は、主溶媒としての水にフッ素樹脂および耐熱樹脂の微粒子を分散させることで得られる。溶媒としては耐熱性樹脂を溶解させると共に、水と任意の割合で混合するN−メチル−2−ピロリドンなどの非プロトン系極性溶剤を配合することが好ましい。また、水系塗布液には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン界面活性剤、カーボンブラックなどの無機顔料、主溶媒としての水が配合される。また、消泡剤、乾燥剤、増粘剤、レベリング剤、ハジキ防止剤などを配合できる。
未架橋前の混合樹脂組成物被膜は、上記耐熱性樹脂を非プロトン極性溶媒に溶解または分散させた溶液に、フッ素樹脂の微粒子を分散させた分散型塗布液を用いて、塗布・乾燥後、焼成して製造することができる。その後、下地層を用いない以外は上記(1)の態様からなる架橋フッ素樹脂の製造工程と同様にして金属材13の表面に架橋フッ素樹脂からなる摺動層12を形成した。この摺動層の表面15aの固体19F MAS NMRを測定したところ、摺動層表面が架橋していることが分かった。
[上記(6)の態様からなる摺動層]
摺動層の断面図を図9(c)に示す。摺動層12はフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物であり、初期混合物の配合割合に比較して、耐熱性樹脂の含有割合が摺動層の表面側よりも軸受の基材側に多く、また、フッ素樹脂の含有割合が基材側よりも摺動層の表面側に多くそれぞれ含まれている。また、フッ素樹脂は、摺動層の表面から基材側近傍まで架橋している。この摺動層全体の固体19F MAS NMRを測定したところ、摺動層が架橋していることが分かった。
実施例1、比較例1、比較例2
図2(a)に示すリーフフォイル軸受のフォイルの表面に上記実験例2の材料を用いて厚さ50μmの架橋PTFEからなる摺動層を形成し実施例1とした。また、上記実験例1の材料を用いて厚さ50μmの未架橋架橋PTFEからなる摺動層を形成し比較例1とした。図2(a)に示すリーフフォイル軸受のフォイルの表面に公知の方法により厚さ2μmのDLC膜を形成し、比較例2とした。
これらのリーフフォイル軸受を用いて、軸の回転による浮上−停止を1サイクルとし、サイクル回数を重ねた際の摺動に対する被膜の耐久性を確認した。結果を表2に記す。
Figure 0006591820
表2に示すように、比較例2のDLC被膜を形成したリーフフォイル軸受と比較して、架橋PTFE被膜を形成した実施例1のリーフフォイル軸受は、耐久性能に優れ、サイクル回数25000サイクル後も被膜が残る結果となった。なお、50μmの厚さの被膜を施すことによるフォイルの可撓性への影響も見られなかった。PTFEの架橋の有無について比較例1と比較すると、放射線照射による架橋処理により、耐久性能の向上が確認できる。
本発明は、フォイル軸受の摺動面の摩擦摩耗耐久性能が向上すると共に始動時のトルクを低下できるので、ラジアルフォイル軸受、スラストフォイル軸受等全てのフォイル軸受に使用できる。
1 フォイル軸受
2 軸
3 トップフォイル
4 バックフォイル
5 フォイルホルダ
6 摺動層
7 リーフフォイル軸受
8 リーフ型のフォイル
9 フォイルホルダ
10 バンプフォイル軸受
11 バックフォイル
12 摺動層
13 金属材
14 下地層
15 架橋フッ素樹脂層

Claims (4)

  1. 可撓性を有する薄いフォイルで軸受面を構成し、その外周にフォイルが弾性変形可能となるように支持部を備え、回転側部材の回転に伴ってフォイルに設けた第1軸受面とこれに対向する前記回転側部材の第2軸受面との間の軸受隙間に流体膜が形成され、その圧力で前記回転側部材が支持されるフォイル軸受であって、
    前記フォイルの表面および裏面の少なくとも1つの面に摺動層を有し、
    前記第1軸受面および前記第2軸受面の少なくとも1つの軸受面が摺動層を有し、前記摺動層は少なくとも表面およびその近傍が架橋フッ素樹脂層を有し、
    前記摺動層は、前記軸受面に耐熱性樹脂および第一のフッ素樹脂を含む下地層と、この下地層表面に第二のフッ素樹脂層とを有し、
    前記耐熱性樹脂は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子の少なくとも1つの原子を高分子構造の少なくとも主鎖に含む樹脂であり、
    前記第二のフッ素樹脂層は表面およびその近傍が架橋されてなる架橋フッ素樹脂層であるか、または摺動層表面から基材面まで架橋された架橋フッ素樹脂層であることを特徴とするフォイル軸受。
  2. 可撓性を有する薄いフォイルで軸受面を構成し、その外周にフォイルが弾性変形可能となるように支持部を備え、回転側部材の回転に伴ってフォイルに設けた第1軸受面とこれに対向する前記回転側部材の第2軸受面との間の軸受隙間に流体膜が形成され、その圧力で前記回転側部材が支持されるフォイル軸受であって、
    前記フォイルの表面および裏面の少なくとも1つの面に摺動層を有し、
    前記第1軸受面および前記第2軸受面の少なくとも1つの軸受面が摺動層を有し、前記摺動層は少なくとも表面およびその近傍が架橋フッ素樹脂層を有し、
    前記摺動層はフッ素樹脂層であり、このフッ素樹脂層は軸受の基材と接していない一の面およびその近傍に存在するフッ素樹脂が三次元構造からなる架橋構造を有し、該フッ素樹脂層の、前記基材と接している他の面およびその近傍に存在するフッ素樹脂が未架橋構造を有し、該一の面と該他の面との間に存在するフッ素樹脂の三次元構造の含率が連続的に変化しているか、または摺動層表面から前記基材面まで架橋された架橋フッ素樹脂層であることを特徴とするフォイル軸受。
  3. 可撓性を有する薄いフォイルで軸受面を構成し、その外周にフォイルが弾性変形可能となるように支持部を備え、回転側部材の回転に伴ってフォイルに設けた第1軸受面とこれに対向する前記回転側部材の第2軸受面との間の軸受隙間に流体膜が形成され、その圧力で前記回転側部材が支持されるフォイル軸受であって、
    前記フォイルの表面および裏面の少なくとも1つの面に摺動層を有し、
    前記第1軸受面および前記第2軸受面の少なくとも1つの軸受面が摺動層を有し、前記摺動層は少なくとも表面およびその近傍が架橋フッ素樹脂層を有し、
    前記摺動層は樹脂組成物からなる摺動層であり、前記樹脂組成物はフッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂組成物であり、
    前記耐熱性樹脂の含有割合は、前記混合樹脂組成物全体の配合割合に対して、前記摺動層の表面側よりも軸受の基材側に多く、前記フッ素樹脂の含有割合は、前記混合樹脂組成物全体の配合割合に対して、前記基材側よりも前記摺動層の表面側に多くそれぞれ含まれており、
    前記フッ素樹脂は、前記摺動層の表面およびその近傍が架橋された三次元構造を、前記摺動層の前記基材側面およびその近傍が未架橋の二次元構造をそれぞれ有するか、または前記摺動層表面から前記基材面まで架橋された架橋フッ素樹脂層であることを特徴とするフォイル軸受。
  4. 前記摺動層からなる軸受面の相手面となる摺動部材の表面粗さがRa 0.8μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項記載のフォイル軸受。
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