JP6589094B2 - 水性顔料分散体の製造方法及びインクジェット記録用インク - Google Patents
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Description
この中で、主溶剤として水を用いた水性インクは溶剤インクのような火災の危険性等をより低減できるという優れた特徴を有しており、特にインクジェット記録用としては水性インクが主流となっている。
例えば、ケトン系溶媒やアルコール系溶媒等の有機溶媒の存在下に、特定の酸価を有する合成樹脂、塩基及び着色剤を攪拌機や分散装置を用いてよく混合して、着色剤の溶解又は分散と合成樹脂の自己水分散化とを行った後、当該着色樹脂溶液と水性媒体とを混合することによって着色剤を含む自己水分散性樹脂溶液の小滴を水性媒体中に分散する方法や(例えば特許文献1の段落0024、特許文献2の段落0025参照)、疎水セグメントと、疎水性ユニット及び親水性ユニットを含む親水セグメントとを有するブロックポリマー化合物を顔料分散剤として使用する方法や(例えば特許文献3参照)、A−Bブロックポリマーであり、Aはスチレン、Bはアクリル酸であり、Aの重合度は約5から約50、Bの重合度は約70から約800である(An−Bm)ブロックポリマーを顔料分散剤として使用する方法が知られている(例えば特許文献4参照)。
粗大粒子はどの顔料でも発生しうるため、各色顔料毎に検討が行われている。例えば特許文献5では、キナクリドン系顔料を使用した水性顔料分散体を得る方法として、キナクリドン系顔料、スチレン−アクリル酸系共重合体、塩基性化合物及び特定のアルキレングリコールを含有する混合物を混練し、常温で固体の顔料分散体を作製する混練工程と、前記顔料分散体に水性媒体を混合する混合工程により水性顔料分散体を得る方法が開示されている。
前記特許文献1や特許文献5に記載の方法はインクジェット記録用水性インクの製造方法として優れた方法であるが、近年のノズル径の微細化、高集積化に対応したインクを提供するには未だ検討の余地がある。
本発明で使用するポリマー(A)は、水への溶解度が0.1g/100ml以下であり、且つ、前記アニオン性基の塩基性化合物による中和率を100%にしたときに水中で微粒子を形成する、数平均分子量が1000〜6000の範囲内のポリマーである。
本発明において、ポリマー(A)の水への溶解度は、次のように定義した。すなわち、目開き250μm、および90μmの篩を用い250μm〜90μmの範囲に粒径を整えたポリマー0.5gを、400メッシュ金網を加工した袋に封入し、水50mlに浸漬、25℃の温度下で24時間緩やかに攪拌放置した。24時間浸漬後、ポリマーを封入した400メッシュ金網を110℃に設定した乾燥機において2時間乾燥を行うことにより、乾燥させた。ポリマーを封入した400メッシュ金網の水浸漬前後の重量の変化を測定し、次式により溶解度を算出した。
また、本発明において、アニオン性基の塩基性化合物による中和率を100%にしたときに水中で微粒子を形成するか否かは、次のように判断した。
(1)ポリマーの酸価を予め、JIS試験方法K 0070−1992に基づく酸価測定方法により測定する。具体的には、テトラヒドロフラン(以下THFと称する場合がある)溶媒にポリマー0.5gを溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、0.1M水酸化カリウムアルコール溶液で滴定し酸価を求める。
(2)水50mlに対して、ポリマーを1g添加後、得られた酸価を100%中和するだけの0.1mol/L水酸化カリウム水溶液を加え、100%中和とする。
(3)100%中和させた液を、25℃の温度下で、2時間超音波洗浄器(株式会社エスエヌディ超音波洗浄器US−102、38kHz自励発信)中で超音波を照射させた後24時間室温で放置する。
24時間放置後、液面から2センチメートルの深部にある液をサンプリングしたサンプル液を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(日機装株式会社製動的光散乱式粒子径測定装置「マイクロトラック粒度分布計UPA−ST150」)を用い、微粒子形成による光散乱情報が得られるか判定することにより、微粒子が存在するか確認する。
本発明で使用するポリマー(A)から得られる微粒子の粒径があまり大きいとポリマー(A)が水中で安定しないおそれがある。従ってポリマー(A)の粒径はあまり大きくないほうが好ましく、5〜1,000nmの範囲が好ましく、7〜700nmの範囲がなお好ましく、10〜500nmの範囲が最も好ましい。また微粒子の粒度分布は狭いほうがより分散性に優れる傾向にあるが、粒度分布が広い場合の実施を妨げるものではない。
なお粒径、粒度分布も、前記微粒子の測定方法と同様に、動的光散乱式粒径分布測定装置(日機装株式会社製動的光散乱式粒子径測定装置「マイクロトラック粒度分布計UPA−ST150」)を用い測定を行った。
本発明で使用するポリマー(A)の中和率は、以下の式により決定した。
本発明で使用するポリマー(A)の数平均分子量は1000〜6000である。本発明の樹脂は前述のとおり水への溶解度が0.1g/100ml以下と低いため、あまり高い分子量のものは、塩基性化合物で中和された状態であっても水分散時において析出する可能性がある。また顔料凝集体への浸透性が弱くなり顔料の凝集体の解砕性が低くなる傾向にあり、顔料分散が容易に行うことが困難となる。
一方数平均分子量が1000に満たない場合、得られる水性顔料分散体の安定性が低下することがある。
この観点から、本願で使用するポリマー(A)は分子量が低いほうが好ましい。中でも数平均分子量が1300〜5000であることがなお好ましく、1500〜4500であることが最も好ましい。
本発明において数平均分子量は、GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)によって測定されるポリスチレン換算の値とし、具体的には以下の条件で測定した値とする。
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した。
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のTHF溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
本発明で使用するポリマー(A)を含む水性樹脂分散体の表面張力が70dyn/cm近くと、水に近い表面張力を示すものがある。顔料分散剤の表面張力が高いほど、得られる顔料分散体の表面張力を一定以上に維持することが期待できる。一方、水に対する溶解性が高く、またアニオン性基の塩基性化合物による中和率を100%にしたときに微粒子を形成しないような、水に溶解するポリマーを用いた場合、ポリマーの水溶液の表面張力は非常に低くなる傾向にある。本発明においては、ポリマー(A)から得られる水性樹脂分散体の表面張力が30dyn/cm以上が好ましく、より好ましくはポリマー(A)の表面張力が40dyn/cm以上である。なお該表面張力は、ポリマー(A)を1g添加後、得られた酸価を100%中和するだけの0.1mol/L水酸化カリウム水溶液を加え、100%中和した樹脂溶液について測定した値である。
このようなポリマーとして、疎水性基を有するポリマーブロックとアニオン性基を有するポリマーブロックとを有するブロックポリマーがあげられる。なおブロックポリマーであっても、水への溶解度が0.1g/100mlを上回ったり、前記アニオン性基の塩基性化合物による中和率を100%にしたときに微粒子を形成しないポリマーは、本発明の効果を得られない。
また、前記ポリマー(A)は設計の自由度からビニルポリマーであることが好ましく、本発明において所望される分子量や、溶解度特性を有するビニルポリマーを製造する方法としては、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合といった、「リビング重合」を用いることにより製造することが好ましい。
中でも、前記ポリマー(A)は(メタ)アクリレートモノマーを原料の1つとして用い製造されるビニルポリマーであることが好ましく、そのようなビニルポリマーの製造方法としては、リビングラジカル重合、リビングアニオン重合が好ましく、さらにブロックポリマーの分子量や各セグメントをより精密に設計できる観点からリビングアニオン重合が好ましい。
リビングアニオン重合によって製造される前記ポリマー(A)は、具体的には、一般式(1)で表されるポリマーである。
有機リチウム開始剤は、有機基とリチウムとの結合が開裂し有機基側に活性末端が生じ、そこから重合が開始される。従って得られるポリマー末端には有機リチウム由来の有機基が結合している。本発明においては、該ポリマー末端に結合した有機リチウム由来の有機基を、有機リチウム開始剤残基と称する。例えばメチルリチウムを開始剤として使用したポリマーであれば、有機リチウム開始剤酸基はメチル基となり、ブチルリチウムを開始剤として使用したポリマーであれば、有機リチウム開始剤酸基はブチル基となる。
芳香環または複素環を有するモノマーのポリマーブロックとは、具体的には、スチレン系モノマー等の芳香族環を有するモノマーや、ビニルピリジン系モノマー等の複素環を有するモノマーを単独重合または共重合して得たホモポリマーまたはコポリマーのポリマーブロックである。
芳香環を有するモノマーとしては、スチレン、p−tert−ブチルジメチルシロキシスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、m−tert−ブトキシスチレン、p−tert−(1−エトキシメチル)スチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−フロロスチレン、α−メチルスチレン、p−メチル−α−メチルスチレン、などのスチレン系モノマーや、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどがあげられる。
また複素環を有するモノマーとしては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのビニルピリジン系モノマーがあげられる。
これらのモノマーは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
前記ポリマーブロックA3におけるアニオン性基は、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基または燐酸基等があげられる。中でもカルボキシル基がその調製やモノマー品種の豊富さ入手し易さから好ましい。また2つのカルボキシル基が分子内または分子間において脱水縮合した酸無水基となっていてもよい。
なお、前記ポリマーブロックA3で使用する(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸の総称を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとの総称を表す。
このような理由から、前記ポリマーブロックA3においては、脱保護をすることによりアニオン性基に再生可能な保護基を有する(メタ)アクリレートを含むモノマーを用いることが好ましい。該モノマーを使用することで、重合時には前述の重合の阻害を防止できる。また保護基により保護されたアニオン性基は、ブロックポリマーを得た後に脱保護することにより、アニオン性基に再生することが可能である。
リビングアニオン重合法においては、(メタ)アクリレートモノマーを求核性の強いスチレン系ポリマーの活性末端に直接重合しようとした場合、カルボニル炭素への求核攻撃により、ポリマー化できない場合がある。このため、前記A1−A2に(メタ)アクリレートモノマーの重合を行う際には反応調整剤を使用し、求核性を調整した後、(メタ)アクリレートモノマーを重合することが行われる。一般式(1)におけるBは該反応調整剤に由来する基である。反応調整剤としては、具体的にはジフェニルエチレンやα−メチルスチレン、p−メチル−α−メチルスチレン等があげられる。
リビングアニオン重合法は、反応条件を整えることにより、従来のフリーラジカル重合で用いられるようなバッチ方式により実施できる他、マイクロリアクターによる連続的に重合する方法を挙げることもできる。マイクロリアクターは、重合開始剤とモノマーの混合性が良好であるため、反応が同時に開始し、温度が均一で重合速度を揃えることができるため、製造される重合体の分子量分布を狭くできる。また同時に、成長末端が安定であるためブロックの両成分が混じりあわないブロック共重合体を製造することが容易になる。また、反応温度の制御性が良好であるため副反応を抑えることが容易である。
第一のモノマーと重合を開始させる重合開始剤とを、それぞれチューブリアクターP1及びP2(図1中7及び8)から、複数の液体を混合可能な流路を備えるT字型マイクロミキサーM1(図1中1)に導入し、T字型マイクロミキサーM1内で、第一のモノマーをリビングアニオン重合し第一の重合体を形成する(工程1)。
なお、このとき反応調整剤の種類や使用量により、前記一般式(1)におけるnの数をコントロールすることが可能である。
その後メタノール等活性プロトンを有する化合物で反応をクエンチすることで、ブロック共重合体を製造する。
次に、反応調整剤を使用して成長末端の反応性を調整した後、前記アニオン性基に再生可能な保護基を有する(メタ)アクリレートを含むモノマーを前記第二のモノマーとして反応させポリマーブロックを得る。
この後、加水分解等の脱保護反応によりアニオン性基に再生することにより、前記A3即ちアニオン性基を含むポリマーブロックが得られる。
エステル結合の加水分解反応は、酸性条件下でも塩基性条件下でも進行するが、エステル結合を有する基によって条件がやや異なる。例えばエステル結合を有する基がメトキシカルボニル基等の第1級アルコキシカルボニル基又はイソプロポキシカルボニル基等の第2級アルコキシカルボニル基の場合は、塩基性条件下で加水分解を行うことでカルボキシル基を得ることができる。この際、塩基性条件下とする塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物などが挙げられる。
前記ポリマーブロック(A2)とポリマーブロック(A3)のモル比A2:A3を、ポリマーブロック(A2)を構成する芳香環または複素環を有するモル数と、(A3)を構成するアニオン性基のモル数のモル比で表した場合は100:7.5〜100:400が好ましい。
本発明の製造方法で得られる水性顔料分散体中において、前記ポリマー(A)のアニオン性基は中和されていることが好ましい。
前記ポリマー(A)のアニオン性基を中和する塩基性化合物としては、公知慣用のものがいずれも使用出来、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等の無機塩基性物質や、アンモニア、トリエチルアミン、アルカノールアミンの様な有機塩基性化合物を用いることが出来る。
本発明においては、水性顔料分散体中に存在する前記ポリマー(A)の中和量は、ポリマーの酸価に対して100%中和されている必要はない。具体的には、前記ポリマー(A)の中和率が20%〜200%になるように中和されることが好ましく、80%〜150%がなお好ましい。
本発明で使用するキナクリドン系顔料の顔料種としては、公知慣用のものがいずれも使用でき、具体例としては、C.I.ピグメントレッド122等のジメチルキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッドレッド209等のジクロロキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット19等の無置換キナクリドン、及びこれらの顔料から選ばれる少なくとも2種以上の顔料の混合物もしくは固溶体を挙げることができる。顔料の形態は粉末状、顆粒状あるいは塊状の乾燥顔料でもよく、ウエットケーキやスラリーでもよい。
また、本発明においては、顔料分散剤として知られるキナクリドン系顔料誘導体を併用することもできる。本発明で使用が好ましいとされるキナクリドン系顔料誘導体としては、キナクリドン系顔料の顔料骨格にジアルキルアミノメチル基、アリールアミドメチル基、スルホン酸アミド基、スルホン酸基及びその塩、フタルイミド基等を導入した顔料誘導体があげられる。
本発明で使用する水溶性有機溶剤は、工程1においてキナクリドン系顔料の表面を濡らしたリ、キナクリドン系顔料とポリマー(A)とのなじみを促進させる目的で添加する。また得られる水性顔料分散体をインクジェット記録用インクの原料として使用する際に、インク特定に影響せず、好ましくはインクの乾燥防止剤として適用されるような、沸点が100℃以上の高沸点の水溶性有機溶剤が好ましく、高沸点、低揮発性で、高表面張力の多価アルコール類が好ましく、特にジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類が好ましい。グリコール類は一般的にインク組成物に含まれている場合が多く、最終製品中に残留しても問題がない。
本発明で使用する水は、最終的に得られる顔料の分散媒である。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また水は単独で使用してもよいし、水と水溶性溶剤からなる混合溶媒でもよい。水溶性溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、好ましい水溶性有機溶剤として前述した多価アルコール類等が挙げられる。これら水溶性有機溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
本発明において、水性顔料分散体とは、インク化する前の顔料が分散媒である水に高濃度に分散された水性顔料分散体を指す。
水性顔料分散体の顔料濃度は通常10〜50質量%となるように調整してある。これを使用してインク化する際は、所望するインク用途や物性に応じて、適宜水、あるいは添加剤を添加して、顔料濃度を0.1〜20質量%となるように希釈するのみで、インクを得ることができる。
(方法1)前記ポリマー(A)と、前記水溶性有機溶剤と、前記キナクリドン系顔料とを混練し固形分比率40質量%以上且つ水量が前記キナクリドン系顔料に対し10質量%未満である混練分散物を得る工程1と、前記混練分散物に前記塩基性化合物及び前記水を混合する工程2とをこの順で行う水性顔料分散体の製造方法。
前記工程1で、前記ポリマー(A)を中和せずに仕込み水量が前記キナクリドン系顔料に対し10質量%未満としながら前記キナクリドン系顔料を分散させることで、前記ポリマー(A)の前記キナクリドン系顔料への吸着性が向上し、得られる水性顔料分散体の安定性を高めることができる。
このようにキナクリドン系顔料と、該顔料に強固に吸着したポリマー(A)の分散物に塩基性化合物と水とを加える工程2を行うことで、良好な水性顔料分散体を得ることができる。
前記ポリマー(A)は中和しない状態では水への溶解度が0.1g/100ml以下と水に難溶性であるが、場合によっては使用する水溶性有機溶剤ともなじみ難く分散しずらいことがある。中和することで水溶性有機溶剤とはなじみ易く即ち分散が容易となるが、親水性が高くなる懸念がある。前述の通り本願に使用するキナクリドン系顔料は疎水性が非常に強いことから、前記ポリマー(A)の親水性をできるだけ抑えたほうが好ましく、この点から、分散初期の水量は前記キナクリドン系顔料に対し10質量%未満とすることで、前記ポリマー(A)の前記キナクリドン系顔料への吸着性が向上し、得られる水性顔料分散体の安定性を高めることができる。
また、顔料とポリマー(A)との含有比率は、特に限定はないが、例えば前記ポリマー(A)は、顔料100質量部に対し、5〜200質量部配合することが好ましく、より好ましくは5〜100質量部である。
塩基性化合物は、前記ポリマー(A)の中和率が20%〜200%になるように使用することが好ましく、中和率が50%〜150%となるように使用することがなお好ましい。このときの中和率は、前述の通り次の式で算出される。
工程2で使用する分散機は、公知のものを用いることができ、例えば、メディアを用いたものではペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、バスケットミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、アジテーターミルなどを挙げられる。またメディアを用いないものとしては、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、デゾルバー、ディスパー、高速インペラー分散機などがあげられる。なお分散後に必要に応じて水溶性溶剤で濃度調整を行っても良い。
なお、用いる分散機などの種類によっては、分散機で水分散を行う前に、必要に応じて前記分散物に更に水溶性有機溶剤を添加し、混合、希釈して、前記分散機で処理するのに適した粘度に調整すると好ましい(以下、この粘度調整されたものを粘度調整物と呼ぶ場合がある)。例えばサンドミルを用いる時には、固形分濃度で10〜40質量%となる様に希釈し、数十〜数百センチポイズの粘度に調整した後にサンドミルを駆動させて分散を行うと好ましい。
また工程2の水分散化を行った後、必要に応じて遠心分離や濾過工程をいれてもよい。
本願の工程(1)と工程(2)とをこの順に経ることで、粗大粒子が低減された水性顔料分散体を得ることができる。
またこのようにして得られた水性顔料分散体は、顔料がキナクリドン系顔料に内包あるいは一部吸着して安定化していると推定される。
本発明で得た水性顔料分散体は、所望の濃度に希釈して、自動車や建材用の塗料分野や、オフセットインキ、グラビアインキ、フレキソインキ、シルクスクリーンインキ等の印刷インキ分野、あるいはインクジェット記録用水性インク分野等様々な用途に使用することができる。なかでも、粗大粒子が低減されていることから、インクジェット記録用水性インクとして特に好ましく使用できる。
本発明の水性顔料分散体をインクジェット記録用水性インクに適用する場合は、更に水、バインダー樹脂等を加え、所望の物性を得るために、必要に応じて湿潤剤(乾燥抑止剤)、浸透剤、あるいはその他の添加剤を添加して調製する。
インクの調整後に、遠心分離あるいは濾過処理工程を加えてもよい。
前記湿潤剤は、インクの乾燥防止を目的として添加する。乾燥防止を目的とする湿潤剤のインク中の含有量は3〜50質量%であることが好ましい。
本発明で使用する湿潤剤としては特に限定はないが、水との混和性がありインクジェットプリンターのヘッドの目詰まり防止効果が得られるものが好ましい。例えば;グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、スルホラン;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドンなどのラクタム類;グリセリンおよびその誘導体などが挙げられる。中でも、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオールを含むことが安全性を有し、かつインク乾燥性、吐出性能に優れた効果が見られる。
前記浸透剤は、被記録媒体への浸透性改良や記録媒体上でのドット径調整を目的として添加する。
浸透剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールヘキシルエーテルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
インク中の浸透剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。
前記界面活性剤は、表面張力等のインク特性を調整するために添加する。このために添加することのできる界面活性剤は特に限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、これらの中では、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
なお、前記工程1で使用する水溶性有機溶剤には、例えば湿潤剤や浸透剤としての機能を果たすものがある。このような機能を有する水溶性有機溶剤を前記工程1で使用している場合は、その量を調整しながら加えることが好ましい。
インクジェット記録用水性インクの記録媒体としては特に限定はなく、複写機で一般的に使用されているコピー用紙(PPC紙)等の吸収性の記録媒体、インクの吸収層を有する記録媒体、インクの吸収性を有しない非吸水性の記録媒体、インクの吸水性の低い難吸収性の記録媒体などがありうる。本発明のインクジェット記録用水性インクは、特に吸収層を有する記録媒体、非吸水性の記録媒体、難吸収性の記録媒体に記録した際に、発色性が良好という特徴も有する。
前記プラスチックフィルムの膜厚は用途に応じて適宜変更されるが、例えば軟包装用途である場合は、柔軟性と耐久性、耐カール性を有しているものとして、膜厚が10μm〜100μmであることが好ましい。より好ましくは10μm〜30μmである。この具体例としては、東洋紡株式会社のパイレン(登録商標)などが挙げられる。
(合成例1)
重合開始剤としてn-ブチルリチウム(BuLi)と第一のモノマーとしてスチレン(St)とを図1におけるチューブリアクターP1及びP2とから、図1におけるT字型マイクロミキサーM1に導入し、リビングアニオン重合させ重合体を形成させた。
次に、得られた重合体を図1におけるチューブリアクターR1を通じて図1におけるT字型マイクロミキサーM2に移動させ、該重合体の成長末端を、図1におけるチューブリアクターP3から導入した反応調整剤(1,1−ジフェニルエチレン(DPE))によりトラップした。
次いで、第二のモノマーとしてメタクリル酸tert−ブチルエステル(t−BMA)を図1に示すチューブリアクターP4からT字型マイクロミキサーM3に導入し、図1におけるチューブリアクターR2を通じて移動させた前記重合体と、連続的なリビングアニオン重合反応を行った。その後メタノールで反応をクエンチしてブロック共重合体(PA−1)を製造した。
重合開始剤/第一モノマー/反応調整剤/第二モノマー=1.0/13.5/1.0/7.5
合成例1と同様の方法で、モノマー種類・導入量等を調節してポリマー(P−2)、(P−6)、(P−7)、(P−9)、(P−12)を製造した。
重合開始剤としてBuLiと第一のモノマーとしてStとを図1におけるチューブリアクターP1及びP2とから、図1におけるT字型マイクロミキサーM1に導入し、リビングアニオン重合させ重合体を形成させた。
次に、得られた重合体を図1におけるチューブリアクターR1を通じて図1におけるT字型マイクロミキサーM2に移動させ、該重合体の成長末端を、図1におけるチューブリアクターP3から導入した反応調整剤(α−メチルスチレン(α−MeSt))によりトラップした。
次いで、第二のモノマーとしてt−BMAを図1に示すチューブリアクターP4からT字型マイクロミキサーM3に導入し、図1におけるチューブリアクターR2を通じて移動させた前記重合体と、連続的なリビングアニオン重合反応を行った。その後メタノールで反応をクエンチしてブロック共重合体(PA−13)を製造した。
重合開始剤/第一モノマー/反応調整剤/第二モノマー=1.0/12.0/1.3/8.1
合成例7と同様の方法で、モノマー種類・導入量等を調節してポリマー(P−14)を製造した。
(ランダムポリマーの調整方法)
撹拌装置、滴下装置、還流装置を有する反応容器にメチルエチルケトン100部を仕込み、撹拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら加温しメチルエチルケトンの還流状態とした後、滴下装置からSt74部、アクリル酸11部、メタクリル酸15部および重合開始剤(和光純薬工業社製/「V−75」)8部の混合液を2時間かけて滴下した。なお滴下の途中より反応系の温度を80℃に保った。
滴下終了後、同温度でさらに25時間反応を続けた。なお、反応の途中において、原料の消費状況を確認しながら、適宜、重合開始剤を追加した。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧下で留去し、得られた固体を粉砕して、ポリマー(PH−1)の粉体を得た。
ポリマー(PH−1)の数平均分子量は5255、重量平均分子量は9000で、酸価は185mgKOH/gであった。
得られた各ポリマー(A)の物性値は以下のように測定した。
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した。
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のTHF溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
JIS試験方法K 0070−1992に準拠して測定した。THF溶媒に試料0.5gを溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、0.1M水酸化カリウムアルコール溶液で滴定することにより求めた。
目開き250μm、および90μmの篩を用い250μm〜90μmの範囲に粒径を整えたポリマー0.5gを、400メッシュ金網を加工した袋に封入し、水50mlに浸漬、25℃の温度下で24時間緩やかに攪拌放置した。24時間浸漬後、ポリマーを封入した400メッシュ金網を110℃に設定した乾燥機において2時間乾燥を行うことにより、乾燥させた。ポリマーを封入した400メッシュ金網の水浸漬前後の重量の変化を測定し、次式により溶解度を算出した。
(1)前記酸価の測定方法に従い、ポリマーの酸価を求める。
(2)水50mlに対して、ポリマーを1g添加後、上記(1)で得たポリマーの酸価を100%中和するだけの0.1mol/L水酸化カリウム水溶液を加え、100%中和とする。
(3)100%中和させた液を、25℃の温度下で、2時間超音波洗浄機(株式会社エスエヌディ超音波洗浄器US−102、38kHz自励発信)中で超音波を照射し分散させた後、24時間室温で放置する。
24時間放置後、液面から2センチメートルの深部にある液をサンプリングしたサンプル液を、日機装株式会社製動的光散乱式粒子径測定装置「マイクロトラック粒度分布計UPA−ST150」を用い、微粒子形成による光散乱情報が得られるか判定することにより、微粒子が存在するか確認した。
同時に、平均粒径を測定した。
前記水中での微粒子形成の判断方法で得たサンプル液と同様のサンプル液を、ウィルヘルミ表面張力計を用い測定した値とした。
BuLiはノルマルブチルリチウムを表し、
Stはスチレンを表し、
DPEは1,1−ジフェニルエチレンを表し、
αMeStはαメチルスチレンを表し、
tBMAはメタクリル酸tert−ブチルエステルを表し、
nBMAはメタクリル酸n−ブチルエステルを表す。
以下の製造例のいずれかの方法で、水性顔料分散体を得た。なお使用する原料の使用量は、後述の表中に記載した。
実施例1の組成を例として説明する。
粉砕した樹脂にトリエチレングリコールを添加・攪拌し、30%トリエチレングリコール溶液としたポリマー(P−1)溶液を100部(P−1として30部)、水溶性有機溶剤としてトリエチレングリコール80部を混合し、34%水酸化カリウム水溶液を100%中和率になるよう12.79部加えポリマー(P−1)を中和する。分散初期(工程1)として、1.0Lのインテンシブミキサー(日本アイリッヒ株式会社)に上記中和したポリマー(P−1)と顔料FASTOGEN SUPER MAGENTA RY(DIC(株)製)を150部仕込み、ローター周速2.94m/s、パン周速1m/sで、60分間混練を行った。続いて工程2として、インテンシブミキサー容器内の混練物に撹拌を継続しながらイオン交換水657.21部を徐々に加え、顔料濃度は15.0%の水性顔料分散体を得た。
同様にして、実施例2〜8、実施例11の水性顔料分散体を得た。
実施例9の組成を例として説明する。
粉砕した樹脂にトリエチレングリコールを添加・攪拌し、30%トリエチレングリコール溶液としたポリマー(P−1)溶液を100部(P−1として30部)、水溶性有機溶剤としてトリエチレングリコール80部を混合した。1.0Lのインテンシブミキサー(日本アイリッヒ株式会社)に、上記ポリマー(P−1)と顔料FASTOGEN SUPER MAGENTA RY(DIC(株)製)を150部仕込み、工程1としてローター周速2.94m/s、パン周速1m/sで、60分間混練を行った。続いて工程2として、インテンシブミキサー容器内の混練物に撹拌を継続しながら34%水酸化カリウム水溶液を100%中和率になるよう12.79部加え、更にイオン交換水657.21部を徐々に加え、顔料濃度は15.0%の水性顔料分散体を得た。
同様にして、実施例10、12の水性顔料分散体を得た。
比較例1の組成を例として説明する。
30%トリエチレングリコール溶液としたポリマー(PH−1)溶液を100部(P−1として30部)、水溶性溶剤としてトリエチレングリコール80部を混合し、34%水酸化カリウム水溶液を100%中和率になるよう16.32部加えポリマー(PH−1)を中和する。分散初期として、1.0Lのインテンシブミキサー(日本アイリッヒ株式会社)に上記中和したポリマー(PH−1)と顔料FASTOGEN SUPER MAGENTA RY(DIC(株)製)を150部仕込み、工程1としてローター周速2.94m/s、パン周速1m/sで、60分間混練を行った。続いて工程2として、インテンシブミキサー容器内の混練物に撹拌を継続しながらイオン交換水653.68部を徐々に加え、顔料濃度は15.0%の水性顔料分散体を得た。
比較例2の組成を例として説明する。
30%トリエチレングリコール溶液としたポリマー(P−1)溶液を100部(P−1として30部)、水溶性溶剤としてトリエチレングリコール80部を混合し、34%水酸化カリウム水溶液を100%中和率になるよう12.79部加えポリマー(P−1)を中和する。分散初期として、1.0Lのインテンシブミキサー(日本アイリッヒ株式会社)に上記中和したポリマー(PH−1)と顔料FASTOGEN SUPER MAGENTA RY(DIC(株)製)を150部、水15部仕込み、工程1としてローター周速2.94m/s、パン周速1m/sで、60分間混練を行った。続いて工程2として、インテンシブミキサー容器内の混練物に撹拌を継続しながらイオン交換水642.21部を徐々に加え、顔料濃度は15.0%の水性顔料分散体を得た。
前記得られた水性顔料分散体は、以下の項目を測定して評価を行った。
作製した水性顔料分散体を5000倍に希釈し、マイクロトラックUPA−150(日機装社製)で測定を行った。測定値は3度測定した平均値を取った。
判定基準
○:体積平均粒径が110nm未満
△:体積平均粒径が110nm〜130nm未満
×:体積平均粒径が130nm以上
作製した水性顔料分散体を250倍に希釈し、アキュサイザー780APS(インターナショナル・ビジネス社製)にて測定を行った。粗大粒子数は希釈前の水性顔料分散液1ml当たりの粒子数に換算した。表中の粒子数には(×108個/ml)の単位を用いている。×108個/ml
判定基準
○:0.5um以上の粗大粒子数5×108個/ml未満
△:0.5um以上の粗大粒子数5〜10×108個/ml未満
×:0.5um以上の粗大粒子数10×108個/ml以上
インクジェットの吐出特性および印刷物の印字濃度を測定するために、作製した水性顔料分散体を用いて、以下の評価用インクジェット記録用水性インクを作製した。
水性顔料分散体は最終的な顔料濃度が5質量%となるように、全量が100部の以下の配合において、作製した水性顔料分散体の顔料濃度に合わせて調整した。
水性顔料分散液 約5部(顔料分として)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8部
2−ピロリドン 8部
グリセリン 3部
サーフィノール440(エアープロダクツジャパン製) 0.5部
純水 残量
判定基準
○:ノズル欠け数 ゼロ
△:ノズル欠け増加 10%未満
×:ノズル欠け増加 10%以上
KOH:水酸化カリウム水溶液
TEG:トリエチレングリコール
水:イオン交換水
一方、比較例1はランダムポリマーを使用した例であるが、体積平均粒径は大きく、粗大粒子数は多く、吐出性は不良であった。また比較例2は分散初期で顔料に対する水の量が10質量%以上の例であるが、体積平均粒径、粗大粒子数は大きく、吐出性が不良であった。
2:T字型マイクロミキサーM2
3:T字型マイクロミキサーM3
4:チューブリアクターR1
5:チューブリアクターR2
6:チューブリアクターR3
7:プレクーリングの為のチューブリアクターP1
8:プレクーリングの為のチューブリアクターP2
9:プレクーリングの為のチューブリアクターP3
10:プレクーリングの為のチューブリアクターP4
Claims (3)
- アニオン性基を有し、水への溶解度が0.1g/100ml以下であり、且つ、前記アニオン性基の塩基性化合物による中和率を100%にし、下記判断方法で観察したときに水中で微粒子を形成することが確認された、数平均分子量が1000〜6000の範囲内である下記一般式(1)で示されるポリマー(A)と、水溶性有機溶剤と、キナクリドン系顔料と、塩基性化合物とを水に分散する水性顔料分散体の製造方法であって、分散初期の水量が前記キナクリドン系顔料に対し10質量%未満であることを特徴とする水性顔料分散体の製造方法。
(1)
(式(1)中、A 1 は有機リチウム開始剤残基を表し、A 2 は芳香環または複素環を有するモノマーのポリマーブロックを表し、A 3 はアニオン性基を含むポリマーブロックを表し、nは1〜5の整数を表し、Bは芳香族基またはアルキル基を表す。)
アニオン性基の塩基性化合物による中和率を100%にしたときに水中で微粒子を形成するか否かの判断方法
(1)ポリマーの酸価を予め、JIS試験方法K 0070−1992に基づく酸価測定方法により測定する。具体的には、テトラヒドロフラン溶媒にポリマー(A)0.5gを溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、0.1M水酸化カリウムアルコール溶液で滴定し酸価を求める。
(2)水50mlに対して、ポリマー(A)を1g添加後、得られた酸価を100%中和するだけの0.1mol/L水酸化カリウム水溶液を加え、100%中和とする。
(3)100%中和させた液を、25℃の温度下で、2時間超音波洗浄器(株式会社エスエヌディ超音波洗浄器US−102、38kHz自励発信)中で超音波を照射させた後24時間室温で放置する。
24時間放置後、液面から2センチメートルの深部にある液をサンプリングしたサンプル液を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(日機装株式会社製動的光散乱式粒子径測定装置「マイクロトラック粒度分布計UPA−ST150」)を用い、微粒子形成による光散乱情報が得られるか判定することにより、微粒子が存在するか確認する。 - 前記ポリマー(A)と、前記水溶性有機溶剤と、前記キナクリドン系顔料とを混練し固形分比率40質量%以上且つ水量が前記キナクリドン系顔料に対し10質量%未満である混練分散物を得る工程1と、
前記混練分散物に前記塩基性化合物及び前記水を混合する工程2とをこの順で行う請求項1に記載の水性顔料分散体の製造方法。 - 前記ポリマー(A)と、前記水溶性有機溶剤と、前記塩基性化合物と前記キナクリドン系顔料とを混練し固形分比率40質量%以上且つ水量が前記キナクリドン系顔料に対し10質量%未満である混練分散物を得る工程1と、
前記混練分散物に前記水を混合する工程2とをこの順で行う請求項1に記載の水性顔料分散体の製造方法。
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