JP6586648B2 - 抗プログルカゴン抗体 - Google Patents

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Description

本発明は、抗プログルカゴン抗体や、抗プログルカゴン抗体遺伝子や、プログルカゴンの検出方法や、プログルカゴンの検出用キットに関する。
グルカゴン(Glucagon)は、膵臓のα細胞においてプログルカゴンの切断(プロセッシング)により生じる、29アミノ酸から成るペプチドホルモンである。グルカゴンは、肝臓に作用してグリコーゲンをグルコースへと変換し、血糖値を上昇させる働きがある。ヒトの膵グルカゴンのアミノ酸配列は、ウシ及びブタの膵グルカゴンのアミノ酸配列と一致することが知られている(非特許文献1)。
グルカゴンの前駆体であるプログルカゴンは、アミノ(N)末端から順にグリセンチン関連膵ペプチド(Glicentin-related pancreatic polypeptide:GRPP)、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド(Glucagon-like peptide:GLP)−1、及びGLP−2を有するタンパク質である。プログルカゴンのプロセッシングは膵臓と腸管で異なり、膵臓においては、主にGRPPとグルカゴンが生成されるのに対して、腸管においては、主にGRPPとグルカゴンが連結したグリセンチン(Glicentin)、グルカゴンのC端に8アミノ酸残基を有するオキシントモジュリン(Oxyntomodulin)、GLP−1、及びGLP−2がそれぞれ生成される。
腫瘍マーカーとは、癌の進行とともに増加する生体因子のことである。主に血液中に遊離してくる因子に対し、抗体等を使用して検出する臨床検査項目の一つである。癌の早期発見のためのスクリーニング検査として用いられることもあるが、個体差による偽陰性及び偽陽性の影響から、現時点ではむしろ、治療中の経過観察や再発チェックの面において有用と考えられている。ペプチドホルモンの腫瘍マーカーとしては、甲状腺髄様癌、肺小細胞癌、骨髄腫などで高値を示すカルシトニン、肺小細胞癌で高値を示すガストリン放出ペプチド前駆体(Progastrin releasing peptide:ProGRP)、肺癌、前立腺癌で高値を示すインスリン様増殖因子−1(Insulin-like growth factor-1:IGF−1)などが知られている。
膵臓ランゲルハンス島α細胞腫瘍であるグルカゴノーマは、特徴的な皮疹、口内炎、糖尿、高グルカゴン血症などを主徴とするが、その病態として、グルカゴンの前駆体である生物学的活性の低いプログルカゴンが血中に増加する(非特許文献2)。
本発明者らは先にプログルカゴンが、胃癌マーカーの候補物質であると提案している(特許文献1)。ヒト胃癌由来培養細胞株であるAZ521、AZ521の腹膜転移株であるAZ521−P7a、腹水転移株であるAZ521−P7a−Ascitesが培養上清にプログルカゴンを放出するという知見を得ている。
前記AZ521細胞は、日本人研究者によって日本で樹立され、1989年に論文発表されている胃癌由来の細胞株として、東北大細胞バンクから理研細胞バンクに移管を受け(理研登録番号RCB2087)、また同細胞は、医薬基盤研究所JCRB細胞バンクにも寄託されていた(登録記号JCRB)。しかしながら、2014年3月26日付独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターにより、理研及びJCRBバンクのAZ521細胞は、寄託された時点での取り違えにより、十二指腸癌細胞株のHuTu80細胞であることが発表されている(非特許文献3)。
特開2007−292746号公報
Thomsen J. et. al., The amino acid sequence of human glucagon., FEBS Lett. 1972 Apr 1;21(3):315-319. 川原田 嘉文 編,「肝・胆・膵の外科―疾患編」:III 膵疾患, 12.グルカゴノーマ,医学図書出版,1994年3月発売 中村幸夫,AZ521細胞について緊急のお知らせ,独立行政法人理化学研究所・細胞材料開発室,平成26年3月26日
本発明の課題は、特異性が高い、あるいは検出感度の高い抗プログルカゴン抗体や、かかる抗プログルカゴン抗体をコードする遺伝子や、十二指腸癌細胞等の細胞中に発現するプログルカゴンを高感度で検出できる検出方法及び検出用キットを提供することにある。
本発明者らは、抗プログルカゴン抗体を作製するための抗原として、プログルカゴンを構成するペプチドを長年の経験と勘にたよりながら選択し、かかる抗原を用いてポリクローナル抗体やモノクローナル抗体を作製したところ、プログルカゴンを特異的に認識する抗体が得られた。また、かかる抗体の中には、市販の抗プログルカゴン抗体よりも検出感度の高い抗体が含まれることが確認された。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、(1)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを備えたことを特徴とする抗プログルカゴン抗体や、(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号16に示されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを備え、プログルカゴンに特異的に結合することを特徴とする抗プログルカゴン抗体や、(3)配列番号2、4、及び6に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域を含む重鎖可変領域と、配列番号8、10、及び12に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域を含む軽鎖可変領域とを備えたことを特徴とする抗プログルカゴン抗体や、(4)配列番号21に示されるアミノ酸配列からなるプログルカゴンの111〜144番目のアミノ酸残基内のエピトープに結合することを特徴とする抗プログルカゴン抗体や、(5)配列番号21に示されるアミノ酸配列からなるプログルカゴンの111〜115番目のアミノ酸残基内のエピトープに結合することを特徴とする上記(4)記載の抗プログルカゴン抗体に関する。
また本発明は、(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗プログルカゴン抗体をコードすることを特徴とする抗プログルカゴン抗体遺伝子や、(7)配列番号13に示される塩基配列を有する重鎖可変領域遺伝子と、配列番号15に示される塩基配列を有する軽鎖可変領域遺伝子とを備えたことを特徴とする上記(6)に記載の抗プログルカゴン抗体遺伝子に関する。
また本発明は、(8)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗プログルカゴン抗体を用いることを特徴とするプログルカゴンの検出方法に関する。
また本発明は、(9)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の抗プログルカゴン抗体を備えたことを特徴とするプログルカゴンの検出用キットや、(10)上記(9)に記載のプログルカゴンの検出用キットを用いた、プログルカゴンを産生する腫瘍の診断方法に関する。
また本発明の実施の他の形態として、配列番号21に示されるアミノ酸配列からなるプログルカゴンの61〜90番目のアミノ酸残基内のエピトープに結合することを特徴とする抗プログルカゴン抗体や、かかる抗プログルカゴン抗体を用いることを特徴とするプログルカゴンの検出方法や、かかる抗プログルカゴン抗体を備えたことを特徴とするプログルカゴンの検出用キットを挙げることができる。
本発明の抗プログルカゴン抗体や上記他の態様の抗プログルカゴン抗体は、検出感度及び特異性の面で優れている。また、本発明の抗プログルカゴン抗体や上記他の態様の抗プログルカゴン抗体は、従来の抗プログルカゴン抗体よりも検出感度が高いため、従来の抗プログルカゴン抗体では検出できなかった十二指腸癌等の細胞中に含まれるプログルカゴンを検出することができ、プログルカゴンを産生する十二指腸癌等の癌の有無を判定する方法や、かかる癌の再発リスクを評価する方法や、上記癌に対する抗癌剤の有効性の判定方法や、上記癌の抑制剤・治療剤のスクリーニング方法等に有利に用いることができる。
プログルカゴン特異抗体の作製における抗原デザインを示す図である。 AZ521無血清培養上清のHPLC各フラクション中のプログルカゴンに対するポリクローナル抗体の免疫反応性を示す図である。 ポリクローナル抗体のエピトープ解析に用いたペプチド群を示す図である。 ポリクローナル抗体のプログルカゴン2−30抗原に対する、化学発光免疫測定法によるエピトープ解析の結果を示す図である。 ポリクローナル抗体のプログルカゴン111−144抗原に対する、化学発光免疫測定法によるエピトープ解析の結果を示す図である。 ポリクローナル抗体のエピトープ解析の結果をまとめた図である。 プログルカゴンを含む各腫瘍細胞株の無血清培養上清サンプルと、作製したポリクローナル抗体によるウェスタンブロッティング解析の結果を示す図である。 プログルカゴンを含む各腫瘍細胞株の無血清培養上清サンプルと、市販のポリクローナル抗体(抗血清)によるウェスタンブロッティング解析の結果を示す図である。 モノクローナル抗体のエピトープ解析に用いたペプチド群を示す図である。 モノクローナル抗体811Abのプログルカゴン61−90抗原に対する、化学発光免疫測定法によるエピトープ解析の結果を示す図である。 モノクローナル抗体812Abのプログルカゴン61−90抗原に対する、化学発光免疫測定法によるエピトープ解析の結果を示す図である。 モノクローナル抗体813Abのプログルカゴン61−90抗原に対する、化学発光免疫測定法によるエピトープ解析の結果を示す図である。 モノクローナル抗体911Abのプログルカゴン111−144抗原に対する、化学発光免疫測定法によるエピトープ解析の結果を示す図である。 モノクローナル抗体912Abのプログルカゴン111−144抗原に対する、化学発光免疫測定法によるエピトープ解析の結果を示す図である。 モノクローナル抗体913Abのプログルカゴン111−144抗原に対する、化学発光免疫測定法によるエピトープ解析の結果を示す図である。 モノクローナル抗体914Abのプログルカゴン111−144抗原に対する、化学発光免疫測定法によるエピトープ解析の結果を示す図である。 プログルカゴンを含む各腫瘍細胞株の無血清培養上清サンプルと、作製したモノクローナル抗体によるウェスタンブロッティング解析の結果を示す図である。 913Abに対するシークエンス解析のプライマー設定を示す図である。 抗プログルカゴン抗体(913Ab)重鎖のアミノ酸及び塩基配列を示す図である。 抗プログルカゴン抗体(913Ab)軽鎖のアミノ酸及び塩基配列を示す図である。 ポリクローナル抗体702S、モノクローナル抗体812Ab、及びモノクローナル抗体913Abを用いたプログルカゴン測定系について、市販品のグルカゴン、GLP−1、及びGLP−2との交差反応性を検討した結果を示す図である。 HutU80無血清培養上清のHPLC各フラクション中に含まれるタンパク質を質量分析計を用いて分析し、各タンパク質がどのフラクションに溶出されているかを示した図である。 図22にて集めた各分画中のタンパク質を、新規プログルカゴン測定系を用いて測定した結果を示す図である。 図22にて集めた各分画中のタンパク質を、市販のグルカゴン測定キットを用いて測定した結果を示す図である。 図22にて集めた各分画中のタンパク質を、市販のGLP−1測定キットを用いて測定した結果を示す図である。 図22にて集めた各分画中のタンパク質を、市販のGLP−2測定キットを用いて測定した結果を示す図である。
本発明の抗プログルカゴン抗体としては、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(Fv)と、配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを備えた抗体や、配列番号14に示されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号16に示されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを備え、プログルカゴンに特異的に結合する抗体や、配列番号2、4、及び6に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域(complementarity-determining region;CDR)(それぞれ重鎖CDR1〜3)を含む重鎖可変領域と、配列番号8、10、及び12に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR(それぞれ軽鎖CDR1〜3)を含む軽鎖可変領域とを備えた抗体や、配列番号21に示されるアミノ酸配列からなるプログルカゴンの111〜144番目のアミノ酸残基内のエピトープに結合する抗体であれば特に制限されない。
本発明の抗プログルカゴン抗体や上記他の態様の抗プログルカゴン抗体としては、抗プログルカゴンモノクローナル抗体を好適に例示することができ、ここで抗プログルカゴンモノクローナル抗体のアイソタイプは特に制限されない。
本発明の抗プログルカゴン抗体や上記他の態様の抗プログルカゴン抗体における重鎖及び軽鎖の定常領域(Fc)としては、同じ生物種由来の免疫グロブリン定常領域からなる抗体であってもよく、また、異なる生物種由来の免疫グロブリン定常領域からなるキメラ抗体であってもよい。
本発明において、「80%以上の同一性」とは、同一性が80%以上であることを意味し、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは93%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の同一性を意味する。配列同一性は、当該分野で慣用のプログラム(例えば、BLAST、FASTA等)を用いて算出することができる。
本発明の抗プログルカゴン抗体や上記他の態様の抗プログルカゴン抗体の種類としては、モノクローナル抗体の他、モノクローナル抗体をペプシンで消化して得られるF(ab′)抗体フラグメントや、F(ab′)抗体フラグメントを還元して得られるFab′抗体フラグメントや、モノクローナル抗体をパパインで消化して得られるFab等の抗体フラグメントや、上記重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを、アミノ酸架橋によって連結させたscFv(1本鎖抗体)等を挙げることができる。
本発明の抗プログルカゴン抗体遺伝子としては、上記本発明の抗プログルカゴン抗体をコードする抗体遺伝子であれば特に制限されず、例えば、配列番号13に示される塩基配列を有する重鎖可変領域遺伝子と、配列番号15に示される塩基配列を有する軽鎖可変領域遺伝子とを備えた抗体遺伝子を具体的に例示することができる。
本発明の抗プログルカゴン抗体は、遺伝子組換え技術により、上記抗プログルカゴン抗体遺伝子を発現させることにより、組換え抗体として作製することができる。組換え抗体を作製する方法としては、例えば抗プログルカゴン抗体遺伝子を発現ベクターに組み込み、かかる発現ベクターをチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等の哺乳類細胞株や、大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞等の宿主細胞へ導入して、宿主細胞において組換え抗体を生産させる方法を挙げることができる(P.J.Delves., ANTIBODY PRODUCTION ESSENTIAL TECHNIQUES., 1997 WILEY、P.Shepherd and C.Dean., Monoclonal Antibodies., 2000 OXFORD UNIVERSITY PRESS, J.W.Goding., Monoclonal Antibodies:principles and practice., 1993 ACADEMIC PRESS)。特に、キメラ抗体は、特開2005−245337に記載の技術に基づいて作製することができる。発現ベクターに組み込む抗体遺伝子の塩基配列は、発現させる宿主細胞に合わせてコドン配列の最適化がされていてもよい。
また、トランスジェニック動物作製技術を用いて本発明の抗プログルカゴン抗体遺伝子が組み込まれたマウス、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ニワトリ、ブタ等のトランスジェニック動物を作製し、かかるトランスジェニック動物の血液、ミルク中などから上記抗プログルカゴン抗体遺伝子に由来する抗体を大量に産生させることもできる。
さらに、慣用のプロトコールを用いて、配列番号21に示されるアミノ酸配列からなるプログルカゴンの111〜144番目、好ましくは111〜115番目のアミノ酸残基からなるペプチドをマウス、ラット等のヒト以外の動物へ投与し、抗プログルカゴン抗体を産生する細胞クローンを細胞融合技術(ハイブリドーマ法[Nature 256, 495-497, 1975]、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法[Immunology Today 4, 72, 1983]及びEBV−ハイブリドーマ法[MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, pp.77-96, Alan R.Liss, Inc.,1985]等)によりスクリーニングすることにより、本発明の抗プログルカゴン抗体を得ることができる。また、上記他の態様の抗プログルカゴン抗体については、配列番号21に示されるアミノ酸配列からなるプログルカゴンの61〜90番目、好ましくは71〜77番目のアミノ酸残基からなるペプチドを用いて上述のとおりの方法でスクリーニングすることにより得ることができる。
形質転換細胞、トランスジェニック動物、ハイブリドーマ等により産生された本発明の抗プログルカゴン抗体や上記他の態様の抗プログルカゴン抗体は、例えばProteinA、ProteinGカラムによるクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、硫安塩析法、ゲル濾過、アフィニティクロマトグラフィー等を用いて精製することができる。
本発明のプログルカゴンの検出方法や上記他の態様のプログルカゴンの検出方法としては、本発明の抗プログルカゴン抗体や上記他の態様の抗プログルカゴン抗体を用いてプログルカゴンを検出する方法であればよく、具体的には本発明の抗プログルカゴン抗体や上記他の態様の抗プログルカゴン抗体を用いたRIA法、ELISA法、蛍光抗体法、プラーク法、スポット法、血球凝集反応法、オクタロニー法、ウェスタンブロッティング法、免疫組織化学等の免疫学的測定方法を挙げることができ、これらの中でもウェスタンブロッティング法を好適に例示することができる。本発明の抗プログルカゴン抗体や上記他の態様の抗プログルカゴン抗体を用いたプログルカゴンの検出は、Davisら(BASIC METHODS
IN MOLECULAR BIOLOGY, 1986)、Sambrookら(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)などの標準的な実験室マニュアルに記載される方法等により行うことができる。
本発明のプログルカゴンの検出用キットや上記他の態様のプログルカゴンの検出用キットは、「プログルカゴンを検出するため」という用途が限定された本発明の抗プログルカゴン抗体や上記他の態様の抗プログルカゴン抗体を含むものである。かかるキットには、プログルカゴンに結合した本発明の抗プログルカゴン抗体や上記他の態様の抗プログルカゴン抗体を検出するための、蛍光物質、西洋ワサビペルオキシダーゼ(Horse Radish Peroxidase;HRP)等の標識物質をコンジュゲートした抗体(2次抗体)や、一般にこの種の検出(測定)キットに用いられる成分、例えば担体、pH緩衝剤、安定剤、取扱説明書等の添付文書が通常含まれる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[細胞の培養上清の調製]
十二指腸癌由来の3種類の細胞株(AZ−521、AZ521−P7a、及びHuTu80)1×10個を10cmシャーレに播種し、10%のウシ胎児血清(fetal bovine
serum:FBS)を含むRPMI1640培養液(Sigma社製)存在下で培養し、24時間後にリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline:PBS)で2回洗浄した後、FBSを含まないRPMI1640培養液に交換し、1時間培養した後、培養液を新しいRPMI1640培養液に置換し、さらに48時間培養した。48時間後に培養液を回収し、本実施例における培養上清として用いた。なお、細胞培養は、37℃、5%CO条件下で行った。
[抗原の作製]
図1に示す3種類の抗原のアミノ酸配列に相当するペプチドを化学合成した。化学合成は、自動ペプチド合成機(430A、Applide biosystems社製)を用い、合成機搭載のプログラムによりF−moc−アミノ酸を端より順次結合して行った。合成ペプチドの精製は分取用逆相HPLCにより行い、純度は分析用逆相HPLCで確認した。合成品の分子量は質量分析により理論値に一致することを確認した。
[ポリクローナル抗体の作製]
上記3種類のプログルカゴンペプチド(1mg)それぞれをキーホールリンペットヘモシアニン(KLH、5mg)と結合したコンジュゲートを、日本白色種ウサギ2匹に週1回、全6回注射して免疫した後、最終の免疫から1週間後にその全血を採取し、血清を全回収し、保存料として0.09%のアジ化ナトリウムを加えた。すなわち、プログルカゴンの2〜30番目のアミノ酸残基からなるペプチドを免疫して得られた血清2種(SCC−MGD−701S及びSCC−MGD−702S)、プログルカゴンの61〜90番目のアミノ酸残基からなるペプチドを免疫して得られた血清2種(SCC−MGD−801S及びSCC−MGD−802S)、及びプログルカゴンの111〜144番目のアミノ酸残基からなるペプチドを免疫して得られた血清2種(SCC−MGD−901S及びSCC−MGD−902S)の計6種の血清が得られた。
[ポリクローナル抗体の免疫反応性とエピトープの検定]
抗体の免疫反応性を検定するために、4種類の血清(SCC−MGD−701S及びSCC−MGD−702S、並びにSCC−MGD−801S及びSCC−MGD−802S)を用いてHPLCで分画したAZ−521細胞株の培養上清画分と反応させた(図2参照)。その結果、プログルカゴンが特に多く含まれる画分(F10−12)に対する免疫反応性が高いことが示された。
また、抗体のエピトープについて詳細に解析したところ(図3〜6参照)、血清2種(SCC−MGD−701S及びSCC−MGD−702S)の抗体のエピトープは、プログルカゴンの12〜22番目のアミノ酸残基の範囲内に含まれることや(図4、6参照)、血清2種(SCC−MGD−801S及びSCC−MGD−802S)の抗体のエピトープは、プログルカゴンの72〜78番目のアミノ酸残基の範囲内に含まれることや(図6参照)、血清2種(SCC−MGD−901S及びSCC−MGD−902S)の抗体のエピトープは、プログルカゴンの116〜126番目のアミノ酸残基の範囲内に含まれることが明らかとなった(図5、6参照)。
以上の結果は、プログルカゴンを特異的に認識するポリクローナル抗体6種が作製されたことを示している。
[ポリクローナル抗体を用いたウェスタンブロッティング法]
上記6種類の抗プログルカゴンポリクローナル抗体を用いて、ウェスタンブロッティング法によりプログルカゴンタンパク質を検出した。上記[細胞の培養上清の調製]の項目で調製した3種類の培養上清を、SDS−PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)法によりポリアクリルアミドゲル上でタンパク質を分子量で分離した。このタンパク質をポリアクリルアミドゲルからPVDF膜(Bio-Rad社製)に転写させ、ブロッキング液(5%スキムミルク/TBST)でブロッキングした後、一次抗体として上記6種類の抗プログルカゴンポリクローナル抗体を反応させた。一次抗体は上記の抗血清をTBSTで1000倍に希釈して用いた。TBST溶液で洗浄後、1万倍に希釈したHRP(horseradish peroxidase)標識抗ウサギ抗体を二次抗体として用い、検出はECL Prime Western Blotting Detection Reagent (GE Healthcare社製)により蛍光検出した(図7参照)。なお、コントロールとして市販の抗プログルカゴンポリクローナル抗体3種[Anti-Glicentin
(Y324), Anti-GLP-1 (Y320), Anti-GLP-2 (Y322), 全て株式会社矢内原研究所製]を用いた(図8参照)。
その結果、上記6種類の抗プログルカゴンポリクローナル抗体を用いた場合、プログルカゴンの分子量に相当する位置に目的のバンドが検出された。また、上記6種類の抗プログルカゴンポリクローナル抗体は、全て市販の抗体よりも検出感度が高いことが示された。
[モノクローナル抗体の作製]
上記[抗原の作製]の項目で作製した3種類のプログルカゴンペプチド(1mg)とキーホールリンペットヘモシアニン(KLH、5mg)とをそれぞれ結合したコンジュゲートをC57Bl6マウスに週1回、全6回注射により免疫した後、最終の免疫から1週間後に脾臓を採取し、定法にしたがってハイブリドーマを樹立した。樹立したハイブリドーマが上記3種類のプログルカゴンペプチドに対する抗体を産生しているか、スクリーニングをELISAにより行った。プログルカゴンの61〜90番目のアミノ酸残基からなるペプチドを免疫したマウス由来のハイブリドーマを調べたところ、プログルカゴンに対する抗体を産生するハイブリドーマ13クローンが得られ、そのうち3クローン(811Ab、812Ab、及び813Ab)が確立された(図9参照)。また、プログルカゴンの111〜144番目のアミノ酸残基からなるペプチドを免疫したマウス由来のハイブリドーマを調べたところ、ハイブリドーマ6クローンが得られ、そのうち4クローン(911Ab、912Ab、913Ab、及び914Ab)が確立された(図9参照)。なお、プログルカゴンの2〜30番目のアミノ酸残基からなるペプチドを免疫したマウス由来のハイブリドーマからは陽性クローンは得られなかった。
[モノクローナル抗体の免疫反応性とエピトープの検定]
抗体のエピトープについてポリクローナル抗体と同様に解析したところ(図9〜16参照)、ハイブリドーマ3クローン(811Ab、812Ab、及び813Ab)が産生する抗体(SCC−MGD−811Ab、SCC−MGD−812Ab及びSCC−MGD−813Ab)のエピトープは、プログルカゴンの72〜78番目のアミノ酸残基の範囲内に含まれることや(図10〜12参照)、ハイブリドーマ3クローン(911Ab、912Ab、及び914Ab)が産生する抗体(SCC−MGD−911Ab、SCC−MGD−912Ab及びSCC−MGD−914Ab)のエピトープは、プログルカゴンの126〜135番目のアミノ酸残基の範囲内に含まれることや(図13〜14及び図16参照)、ハイブリドーマ1クローン(913Ab)が産生する抗体(SCC−MGD−913Ab)のエピトープは、プログルカゴンの111〜115番目のアミノ酸残基の範囲内に含まれることが明らかとなった(図15参照)。
以上の結果は、プログルカゴンを特異的に認識するモノクローナル抗体7種が作製されたことを示している。
[モノクローナル抗体を用いたウェスタンブロッティング法]
上記7種類の抗プログルカゴンモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清を用いて、ウェスタンブロッティング法によりプログルカゴンタンパク質を検出した。上記[細胞の培養上清の調製]の項目で調製した3種類の培養上清を、SDS−PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)法によりポリアクリルアミドゲル上でタンパク質を分子量で分離した。このタンパク質をポリアクリルアミドゲルからPVDF膜(Bio-Rad社製)に転写させ、ブロッキング液(5%スキムミルク/TBST)でブロッキングした後、一次抗体として上記7種類の抗プログルカゴンモノクローナル抗体を反応させた。一次抗体は上記の抗血清をTBSTで1000倍に希釈して用いた。TBST溶液で洗浄後、1万倍に希釈したHRP(horseradish peroxidase)標識抗マウス抗体を二次抗体として用い、検出はECL Prime Western Blotting Detection Reagent(GE Healthcare社製)により蛍光検出した(図17参照)。
その結果、ハイブリドーマ6クローン(811Ab、812Ab、及び813Ab、並びに912Ab、913Ab、及び914Ab)の培養上清を用いた場合、プログルカゴンの分子量に相当する位置に目的のバンドが検出された。また、上記ハイブリドーマ6クローンのうち、4クローン(812Ab及び813Ab、並び913Ab及び914Ab)の培養上清を用いた場合、市販の抗体を用いた場合よりも高い感度でプログルカゴンを検出できることが示された。
さらに、プログルカゴン111−144抗原を用いて作製したモノクローナル抗体SCC−MGD−913のエピトープは111−115領域であり、グリセンチン、グルカゴン、GLP−1及びGLP−2配列を含まないことから、SCC−MGD−913と他の1種あるいは2種類の抗体との組み合わせによるサンドイッチ法により、プログルカゴンのみを特異的に測定することができることが明らかとなった。
[モノクローナル抗体遺伝子の同定]
市販の抗体よりも検出感度が高かった上記ハイブリドーマ4クローンのうち、特に検出感度が高いハイブリドーマクローン(913Ab)から、RNeasy Mini kit (Qiagen社製、Cat.No.74104)を用いてトータルRNAを抽出した後、GeneRacer Kit (Invitrogen社製 Cat. No.L1502-01[SuperScript III RTとTOTP TA Cloning Kit for Sequencingを含む])を用いた5’−RACE法により重鎖及び軽鎖可変領域を増幅した(図18参照)。なお、重鎖及び軽鎖可変領域の増幅に用いたプライマーを以下に示す。
mIgG-CH1プライマー;5’- ctcaattttcttgtccaccttggtgc -3’(配列番号17で示される塩基配列)
mIgG-CLkプライマー;5’- ctcattcctgttgaagctcttgacaat -3’(配列番号18で示される塩基配列)
5’RACEプライマー;5’- cgactggagcacgaggacactga -3’(配列番号19で示される塩基配列)
抗体の重鎖及び軽鎖遺伝子は、Blend Taq(TOYOBO社製、Cat. No.BTQ-101)を用いたPCRにより単離し、pCR4−TOPO(Invitrogen社製)ベクターを用いてクローニングした。クローニングした各DNA断片の塩基配列は、BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用い、DNAシークエンサーにて決定した(図19及び20参照)。また、同定した重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子配列を基に、IGBLASTにより検索し、重鎖及び軽鎖相補性決定領域1〜3(CDR1〜3)を同定した(図19及び20参照)。
得られた抗プログルカゴン抗体の遺伝子配列及びそれがコードするアミノ酸配列を以下に示す。
重鎖CDR1塩基配列:配列番号1で示される塩基配列
重鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号2で示されるアミノ酸配列
重鎖CDR2遺伝子配列:配列番号3で示される塩基配列
重鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号4で示されるアミノ酸配列
重鎖CDR3遺伝子配列:配列番号5で示される塩基配列
重鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号6で示されるアミノ酸配列
軽鎖CDR1遺伝子配列:配列番号7で示される塩基配列
軽鎖CDR1アミノ酸配列:配列番号8で示されるアミノ酸配列
軽鎖CDR2遺伝子配列:配列番号9で示される塩基配列
軽鎖CDR2アミノ酸配列:配列番号10で示されるアミノ酸配列
軽鎖CDR3遺伝子配列:配列番号11で示される塩基配列
軽鎖CDR3アミノ酸配列:配列番号12で示されるアミノ酸配列
重鎖可変領域遺伝子配列:配列番号13で示される塩基配列
重鎖可変領域アミノ酸配列:配列番号14で示されるアミノ酸配列
軽鎖可変領域遺伝子配列:配列番号15で示される塩基配列
軽鎖可変領域アミノ酸配列:配列番号16で示されるアミノ酸配列
[作製した抗体を用いた新規プログルカゴン測定系の確立]
上記抗プログルカゴンポリクローナル抗体(SCC−MGD−702S)、及び抗プログルカゴンモノクローナル抗体2種(SCC−MGD−812Ab、及びSCC−MGD−913Ab)の計3種類の抗体について、グルカゴン、GLP−1、及びGLP−2との交差反応性を検討した。
ELISA法を用い、上記3種類の抗体と、市販品のグルカゴン、GLP−1、及びGLP−2との交差反応性を検討した。市販品は、化学合成品であるヒトグルカゴン(矢内原研究所社製)、ヒトGLP−1(矢内原研究所社製)、及びヒトGLP−2(矢内原研究所社製)を用いた。
SCC−MGD−702SAbを用いたELISA法では、標識抗原にビオチル化プログルカゴン(2−30)10ng/mL、標準抗原にプログルカゴン(2−30)0−200ng/mLを用いた。SCC−MGD−812Abを用いたELISA法では、標識抗原にビオチル化プログルカゴン(61−90)10ng/mL、標準抗原にプログルカゴン(61−90)0−200ng/mLを用いた。SCC−MGD−913Abを用いたELISA法では、標識抗原にビオチル化プログルカゴン(111−144)10ng/mL、標準抗原にプログルカゴン(111−144)0−200ng/mLを用いた。上記標識抗原及び標準抗原はすべて、上記[抗原の作製]の項目で作製したペプチド、若しくは上記[抗原の作製]の項目で作製したペプチドにビオチン(Sigma-Aldorich社製)を導入してビオチン化したペプチドである。
96穴プレートの各ウェルに、抗ウサギIgG(5μg/mL)(MP Biomedical社製)とマウスIgG(5μg/mL)(MP Biomedical社製)を各100μL添加し、4℃で24時間静置した。その後、Tween-20(Biorad社製)を含むPBSで3回洗浄した。更にブロックエース(DSファーマバイオメディカル社製)300μLを添加し、4℃で一晩放置しブロッキングした。
ブロッキングした96穴プレートの各ウェルに、標識抗原溶液50μLを加えた後、標準抗原溶液あるいは測定試料(HPLC画分)50μLを添加し、更に検出抗体50μLを加え、室温で3時間放置した。その後、Tween-20を含むPBSで4回洗浄後、各ウェルにストレプトアビジン−HRP(メルク社製)を加え、室温で2時間反応させた。その後、PBSで4回洗浄し、各ウェルに発光基質溶液(R&D社製)50μLを加え、室温・暗所で20分間反応させた後、発光強度を450nmにおける紫外部吸収で測定した。(図21参照)。
その結果、SCC−MGD−702SAb、SCC−MGD−812Ab、及びSCC−MGD−913Abを用いたいずれのELISA系においても、グルカゴン、GLP−1、及びGLP−2との交差反応性は認められなかった。これより、上記ELISA系はプログルカゴンに特異的であり、これらELISA系を用いることにより、プログルカゴンとグルカゴン、GLP−1、及びGLP−2とを区別できることが示された。
[確立したプログルカゴン測定系と、市販のグルカゴン、GLP−1、及びGLP−2各測定キットとの、プログルカゴン検出能の比較]
まず、逆相HPLC及び質量分析を用い、HutU80細胞の条件培地内に含まれるプログルカゴンの検出を行った。
HutU80細胞を無血清培地で培養し、得た培養上清液500μLをIntrada WP-RPカラム(250×4.6mm)(Imtakt社製)に添加した。試料の分離溶出は、溶離液A(0.1%TFA/精製水)と溶離液B(0.08%TFA/アセトニトリル)の混合比を30分間で0−100%に変化させる直線濃度勾配法で行った。流速は毎分0.75mLとし、溶出液を96穴プレートを用いて15秒ごとに集めた
集めた各分画中のタンパク質を質量分析計(Applide Biosystems社製)で分析した結果(図22参照)、主にフラクションG1−G8にプログルカゴンが検出された。フラクションF9−F12、及びフラクションG9−G12にもわずかであるがプログルカゴン及び、プログルカゴンのC端部と思われるタンパク質が検出された。
次に、集めた各分画中のタンパク質を、上記にて作製した新規プログルカゴン測定系を用いて測定した(図23参照)。結果、SCC−MGD−702SAb、SCC−MGD−812Ab、及びSCC−MGD−913Abを用いたいずれのELISA系においても、フラクションG1−G4に強く反応した。SCC−MGD−812Ab、及びSCC−MGD−913AbはフラクションG5−G8にも強く反応したが、SCC−MGD−702SAb、SCC−MGD−812Ab、及びSCC−MGD−913Abのいずれも、フラクションG9−G12にはほとんど反応しなかった。
更に、集めた各分画中のタンパク質を、市販の測定キットを用いて測定した。用いたキットは以下のとおりである。測定は各キットに付属の説明書に従って行った。
1.グルカゴン測定キット(図24参照)。
1−1.Glucagon EIA: YK090(矢内原研究所社製);腸管グルカゴン、GLP−1、及びGLP−2とは交差しないとされている。
1−2.Glucagon ELISA: EZGGLU-30K(Millipore社製);グルカゴン(1−18)、及びグルカゴン(19−29)とは交差しないが、オキシントモジュリンとは0.5%交差するとされている。
2.GLP−1測定キット(図25参照)。
2−1.Total GLP-1-HS ELISA: YK161(矢内原研究所社製);抗原はGLP−1(7−36)であり、グルカゴン、及びGLP−2とは交差しないが、GLP−1(1−36)、及びGLP−1(9−36)とは同等に交差し、GLP−1(1−37)、及びGLP−1(7−37)とは約9%交差するとされている。
2−2.GLP-1 Total ELISA : EZGLP1T-36K(Millipore社製);抗原はGLP−1(7−36)であり、グルカゴン、GLP−2、及びオキシントモジュリンとは交差しないが、GLP−1(9−36)とは100%交差するとされている。
3.GLP−2測定キット(図26参照)。
3−1.Human GLP-2 EIA : YK141(矢内原研究所社製);抗原はGLP−2(1−33)であり、グルカゴン、及びGLP−1とは交差しないとされている。
3−2.GLP-2 ELISA : EZGLP2-37K(Millipore社製);抗原はGLP−2(1−33)であり、GLP−2(3−33)とも同等に交差するとされている。
市販のグルカゴン測定キットを用いた測定(図24参照)では、矢内原研究所社製品及びMillipore製品共に、反応した免疫活性溶出画分は主なプログルカゴン溶出画分とは異なっていた。
市販のGLP−1測定キットを用いた測定(図25参照)では、矢内原研究所製品に反応した免疫活性溶出画分は主なプログルカゴン溶出画分とは異なっていた。一方、Millipore製品を用いた測定では、主なプログルカゴン溶出画分を含む広範囲な溶出画分に反応が認められた。しかし、その免疫活性は顕著に低値であり、その測定値は上記にて作製した新規プログルカゴン測定系と比べ、0.5%以下であった。
市販のGLP−1測定キットを用いた測定(図26参照)では、矢内原研究所製品、及びMillipore社製品共に、主なプログルカゴン溶出画分に反応が認められたが、その測定値は上記にて作製した新規プログルカゴン測定系と比べ16%以下であった。
これより、上記にて作製した新規プログルカゴン測定系は、未変性のプログルカゴン測定に関しては、既存のグルカゴン、GLP−1、及びGLP−2測定キットと比較し特異性及び検出能において優れていることが示された。
本発明の抗プログルカゴン抗体や上記他の態様の抗プログルカゴン抗体は、従来の抗プログルカゴン抗体よりも特異性が高い、又は検出感度が高いため、従来の抗プログルカゴン抗体では検出できなかった十二指腸癌等の細胞中に含まれるプログルカゴンを検出することができ、プログルカゴンを産生する十二指腸癌等の癌の有無を判定する方法や、かかる癌の再発リスクを評価する方法や、上記癌に対する抗癌剤の有効性の判定方法や、上記癌の抑制剤・治療剤のスクリーニング方法等に有利に用いることができ、プログルカゴンを産生する癌の治療薬の開発に資するものである。

Claims (9)

  1. 配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを備え、グルカゴン、GLP−1、及びGLP−2との交差反応性を示さないことを特徴とする抗プログルカゴン抗体。
  2. 配列番号14に示されるアミノ酸配列と95%以上の配列同一性のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号16に示されるアミノ酸配列と95%以上の配列同一性のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを備え、プログルカゴンに特異的に結合し、グルカゴン、GLP−1、及びGLP−2との交差反応性を示さないことを特徴とする抗プログルカゴン抗体。
  3. 配列番号2、4、及び6に示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域を含む重鎖可変領域と、配列番号8、10、及び12に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域を含む軽鎖可変領域とを備え、グルカゴン、GLP−1、及びGLP−2との交差反応性を示さないことを特徴とする抗プログルカゴン抗体。
  4. 配列番号21に示されるアミノ酸配列からなるプログルカゴンの111〜115番目のアミノ酸残基内のエピトープに結合することを特徴とする請求項記載の抗プログルカゴン抗体。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の抗プログルカゴン抗体をコードすることを特徴とする抗プログルカゴン抗体遺伝子。
  6. 配列番号13に示される塩基配列を有する重鎖可変領域遺伝子と、配列番号15に示される塩基配列を有する軽鎖可変領域遺伝子とを備えたことを特徴とする請求項に記載の抗プログルカゴン抗体遺伝子。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の抗プログルカゴン抗体を用いることを特徴とするプログルカゴンの検出方法。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の抗プログルカゴン抗体を備えたことを特徴とするプログルカゴンの検出用キット。
  9. 請求項に記載のプログルカゴンの検出用キットを用いた、プログルカゴンを産生する腫瘍の診断のためのデータを収集する方法。
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