JP6575164B2 - カッタ装置及びこれを用いたトンネル掘進機 - Google Patents
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Description
カッタ装置は、一般に、カッタヘッドの軸心に配置された回転筒から半径方向に沿って延びる複数のカッタスポークと、カッタスポークの間に配置される複数の面板と、カッタヘッドの軸心を中心とする周方向に配設されて各カッタスポーク、各面板を連結するリングとを有し、カッタヘッドの中心にセンタビットが設けられ、各カッタスポークの前面に複数のローラカッタが半径方向に沿う半径軸周りに回転自在に配設され、各カッタスポークの両側部に複数のティースビットが配設される。このカッタ装置のローラカッタ他各カッタビットは、地山を切削することで摩耗、損傷し、その摩耗、損傷の進行に伴い切削効率は低下し、最終的に切削困難となって、摩耗、損傷したカッタビットは交換が必要となる。
このようなローラカッタの交換作業の場合、切羽に作用する水圧が高いと、高気圧下の作業として作業時間に制限があり、また、減圧作業にも長時間を要する。そして、作業員には減圧症を発生する可能性がある。このため、ローラカッタの交換作業は期間も長く、高額な費用が必要で、特に、掘削地盤が硬く、水圧が高いトンネル工事では問題があった。また、高気圧作業では、減圧症の軽減化と減圧作業の短時間化を図るために、ヘリウム・酸素・窒素の3種混合ガスなどを呼吸する方法を採用するものの、減圧症を完全になくすことはできず、また希少ガスであるヘリウムを使用することに問題があった。
(1)このカッタ装置で、特許文献1の図3の場合、ローラ支持部材の後部にシール壁板を介して反力支持部材が取り付けられているため、ローラカッタの周囲が閉鎖空間になっており、ローラカッタで掘削された土砂がローラカッタの周囲やローラカッタの内部に溜まりやすく外部に排出できず、ローラカッタが回転不能になって切羽を掘削できないばかりか、ローラカッタに偏摩耗が生じる恐れがある。また、ローラカッタの交換毎に、ローラ支持部材の後部のシール壁板、反力支持部材を取り外して、そこに止水用ケーシングを取り付ける必要があり、ローラカッタの交換作業が煩雑である。
(2)特に、ローラ支持部材の後部が流通開口部で、ローラ支持部材の側部側でローラカッタを交換する形式のもの(特許文献1の図8参照)の場合、ローラ支持部材の両側に止水用ケーシングが必要で、このローラ支持部材と止水用ケーシングとの間に空間が生じており、ローラ支持部材が回動する過程で、ローラ支持部材のローラカッタ側と流通開口部側が流通可能となるので、切羽が崩壊性地盤の場合、土砂や水がローラカッタの周囲や、ローラ支持部材と止水用ケーシングとの間の空間に侵入し、充満すると(その体積変化が困難となることがあり)、ローラカッタは回動できなくなり、また、ローラ支持部材が回動できなくなってローラカッタの交換ができない恐れがある。
(3)特に、ローラ支持部材の後部が流通開口部で、ローラ支持部材の側部側でローラカッタを交換する形式のもの(特許文献1の図13参照)の場合、ローラ支持部材の両側に止水用ケーシングが必要で、このローラ支持部材と止水用ケーシングとの間に空間が生じるため、切羽側にもカッタスポーク背面のカッタチャンバ内にも掘削土砂が(加圧)充満しているようなときは、ローラ支持部材の回動中に、切羽側からもカッタチャンバ側からも土砂がローラ支持部材と止水用ケーシングとの間の空間内にたちまち侵入して充満し、このローラ支持部材の回動に伴い、土砂を排除又は体積変化させないと、ローラ支持部材は回動不能になる恐れがある。また、この場合、ローラ支持部材の回動に伴い当該空間の形状が変化するときに、土砂に内部摩擦角をもつ砂や砂礫分が多いとその形状が変化しにくく、ローラ支持部材の回動は極めて困難となる。また、この形式の場合も、ローラカッタの交換毎に、(止水用ケーシングを取り外して)ローラ支持部材の後部にシール壁板を取り付ける必要があり、ローラカッタの交換作業が煩雑である。
(1)この文献2のカッタ装置の構造(図3参照)では、カッタ出入り口と大径筒部、排土口と小径筒部、カム付き部材と大径筒部のように摺動部が多いため、これらの各部が摩耗しやすく、耐久性に問題がある。
(2)このカッタ装置の構造の場合、カム付き部材や圧縮バネなど精密加工品が多く、複雑な機構になるため、コストの増大は避けられない。
(3)このカッタ装置の構造の場合、ディスクカッタで掘削されたずりが通される筒状のカッタ支持部材は大径筒部と小径筒部とからなり、大径筒部と小径筒部との接続部分で断面が小さくなるため、大径筒部の接続部分側の端部の隅部にずりが滞留しやすく、それが成長すると、土砂が筒部内で詰まって、ディスクカッタが回転不能になり偏摩耗して、掘削ができなくなる恐れがある。
カッタヘッドの軸心から半径方向に沿って延び、前面板に複数のローラカッタ取付口を有し、後面板に複数の排土口を有し、前記各ローラカッタ取付口と前記各排土口との間に設置される複数のローラカッタ回転支持機構、及び前記各ローラカッタ回転支持機構の少なくとも片側一方に画成され、掘進機本体側の大気圧に連通されるローラカッタ交換作業室とを具備する複数のカッタスポークと、
前記カッタスポーク内に前記各ローラカッタ回転支持機構を介して前記カッタヘッドの切削方向に回転可能にかつ着脱可能に取り付けられ、刃先の一部が前記前面板の前記各ローラカッタ取付口から突出される前記複数のローラカッタと、
を備え、
前記各ローラカッタ回転支持機構は、
前記カッタスポークの前記前面板と前記後面板との間で前記前面板側に少し寄った位置に中心をおき、前記前面板の前記ローラカッタ取付口の両側縁部を通り、円弧の一部が前記ローラカッタ取付口から前方所定の範囲に突出される前記カッタスポーク内の仮想円周に沿って前記前面板の前記ローラカッタ取付口の両側縁部と前記後面板の前記排土口の両側縁部との間に断面円弧状に形成され、前記ローラカッタ取付口と前記排土口との間に連通可能な連通空間を画成し、その少なくとも片側一方にローラカッタ交換作業室を画成する断面円弧状の一対のガイド部、及び少なくとも一方のガイド部に開閉可能に形成され、前記連通空間と前記ローラカッタ交換作業室を連通可能な蓋と、前記各ガイド部の両側開口面を遮蔽する遮蔽部とを有してなる弧状ガイドと、
前記弧状ガイド内に嵌合可能に、前記前面板の前記ローラカッタ取付口の開口面に沿って形成され、前記ローラカッタが突出される前記ローラカッタ突出口を有する前面部と、前記前面部から反対側の後面部に向けて前記一対のガイド部に沿う断面円弧状に形成される一対の側面部と、前記後面部に開口を形成されて、前記前面部と前記後面部の開口との間に前記排土口に連通可能な通路にして形成されるカッタ収容部と、これら前面部、各側面部、後面部開口の両側開口面を遮蔽する回転遮蔽部と、前記カッタ収容部内に前記カッタヘッドの切削方向に対して直角に取り付けられるローラカッタ支持軸とを有してなり、前記弧状ガイド内に回動軸を介して回動可能に配置される筒状回動部と、
前記筒状回動部の前記回動軸に作動連結され、前記回動軸を駆動する駆動系と、
前記前面板の前記ローラカッタ取付口に前記筒状回動部の前記前面部が臨む前記筒状回動部の回動位置で、前記弧状ガイドの前記遮蔽部とこれに対向する前記筒状回動部の前記回転遮蔽部との間に同心的に穿設されるキー穴と、前記キー穴に進退可能な進退駆動式のキーとからなり、前記ローラカッタ取付口に前記前面部が臨む前記筒状回動部の回動位置で前記筒状回動部の回動を規制するロック装置と、
を具備し、
前記ローラカッタは前記筒状回動部の前記カッタ収容部内に前記ローラカッタ支持軸を介して刃先の一部を前記ローラカッタ突出口から突出して回転可能に取り付けられ、前記ローラカッタ突出口から突出される前記ローラカッタは前記前面板の前記ローラカッタ取付口から突出される前記筒状回動部の回動位置で、前記ロック装置のロックにより前記筒状回動部の回動を規制されてロックされ、
前記ローラカッタの交換の際は、前記ロック装置のロック解除により前記筒状回動部の回動規制が解除され、前記筒状回動部の回動により、前記筒状回動部の前記各側面部が前記前面板の前記ローラカッタ取付口、前記後面板の排土口を遮断し、前記ローラカッタが前記ローラカッタ交換作業室に向けられて、前記ローラカッタを交換する、
ことを要旨とする。
また、このカッタ装置は、各部に次のような構成を有することが好ましい。
(1)筒状回動部は弧状ガイド内にローラカッタ支持軸に対して平行の又は直交する回動軸により回動される。
(2)前面板のローラカッタ取付口の周囲、及び/又は筒状回動部の回動軸の外周面、及び/又は後面板の排土口若しくは筒状回動部の通路にそれぞれ、流体をジェット噴射するためのジェット噴射ノズルを併せて備える。
(3)筒状回動部の一方の側面部の一部に断面直線状の面が形成され、当該断面直線状の面に礫層、玉石混じりの砂礫層で使用する各種ビットが併設される。
(1)カッタ装置にロック装置を設けたことにより、すなわち、前面板のローラカッタ取付口に筒状回動部の前面部が臨む筒状回動部の回動位置で、弧状ガイドの遮蔽部とこれに対向する筒状回動部の回転遮蔽部との間に同心的に穿設されるキー穴と、キー穴に進退可能な進退駆動式のキーとを備え、ローラカッタ取付口に前面部が臨む筒状回動部の回動位置で筒状回動部の回動を規制するようにしたので、ローラカッタ突出口から突出されるローラカッタを、ローラカッタが前面板のローラカッタ取付口から突出される筒状回動部の回動位置で、筒状回動部の回動を規制してロックすることができる。
(2)カッタスポーク内にローラカッタ回転支持機構とローラカッタ交換室が設けられ、作業員がローラカッタ交換作業室の大気圧下でローラカッタを交換できるようにしたので、従来のようなヘリウム・酸素・窒素の三種混合ガスなどの高圧ガスを使用せず、作業員が大気圧下でローラカッタを交換することができ、これにより、作業員に健康障害を生じさせることがなく、ローラカッタの交換に必要な時間、費用を大幅に低減することができる。
(3)ローラカッタ回転支持機構の特に弧状ガイドと筒状回動部の構造により、弧状ガイドの一方のガイド部(の連通部)を蓋で閉塞した状態とし、弧状ガイド内で筒状回動部を回動することにより、ローラカッタを一方のガイド部の蓋まで回動し、筒状回動部の一方の側部でローラカッタ取付口を遮断し、他方の側部で排土口を遮断して、弧状ガイドの一方のガイド部の蓋を取り外し(連通部を)開放することにより、カッタローラを交換するようにしたので、ローラカッタが摩耗又は損傷した場合に、いつでも、簡単かつ安全にローラカッタの交換を行うことができる。
(4)ローラカッタの交換に使用するローラカッタ回転支持機構を、筒形構造の弧状ガイドと、筒形構造の筒状回動部と、筒状回動部の回動軸を駆動する駆動系とにより構成するので、ローラカッタの交換に必要な構造を可及的に簡単にしてコストのさらなる低減を図ることかできる。
(5)カッタスポークの前面板のローラカッタ取付口と筒状回動部との間はシール材により遮断されることで、筒状回動部の前面部のローラカッタ突出口と後面部の開口との間の通路以外に、切羽からの土砂が入り込むような空間がないので、筒状回動部の前面部のローラカッタ突出口から入ってきた掘削土砂は前面部のローラカッタ突出口と後面部の開口との間の通路を経て、排土口から外部へ円滑に排除し、掘削土砂がローラカッタ周辺の各部材間に侵入し、滞留するのを防止して、ローラカッタ及びその周辺各部の機能を良好に維持することができる。
(6)筒状回動部の一方の側面部に礫層、玉石混じりの砂礫層などで使用する各種ビットを併設できるので、岩、巨礫、軟弱地盤などが交互に現れる所謂複合地盤で種々の地盤に適したカッタビットに容易に交換することができる。
(7)上記(1)−(6)により、トンネル掘進機を複合地盤における長距離掘進に適応させることができる。
図1、図2にトンネル掘進機を示している。
図1、図2に示すように、トンネル掘進機Mは、シールドジャッキ(図示省略)により推進されるシールド本体(掘削機本体)M1と、シールド本体M1の前部に回転可能に装着され、前面にカッタ装置1を有するカッタヘッドM2とを備える。
シールド本体M1は全体が略円筒体をなし、その前部に切羽崩壊土圧を保持する隔壁101が設けられて、この隔壁101に軸受(図示省略)を介して旋回環・ギア102がシールド本体M1軸心(カッタヘッドM2の軸心)回りに回転可能に支持され、この旋回環・ギア102に複数のカッタヘッド支持桁103が前方に突設されて、これらのカッタヘッド支持桁103の前端部に円形のカッタヘッドM2が取り付けられる。また、隔壁101の後部の大気圧側には、カッタヘッドM2を回転駆動するカッタ駆動装置104が設置される。このカッタ駆動装置104は、旋回環・ギア102の背面に設けられたリングギアと、このリングギアに噛み合う複数の駆動ピニオンと、駆動ピニオンをそれぞれ回転駆動する複数の駆動モータとにより構成される。この隔壁101にはまた、カッタヘッドM1により掘削された土砂を、切羽土圧を保持しつつ後部の大気圧側に排出する排土装置105が設けられる。
かかるシールド本体M1前部のカッタヘッドM2の前面に本発明によるカッタ装置1が設けられる。
カッタ装置1は、シールド本体M1の軸心上に配置される回転筒10と、回転筒10から半径方向に沿って延びる複数本、この場合、8本のカッタスポーク11と、シールド本体M1の軸心を中心とする周方向に配設されて各カッタスポーク11を連結する外周リング13とを備え、回転筒10の前面にはセンタビット14が設けられ、各カッタスポーク110の前面板11Fに岩盤や礫を破砕するローラカッタ15がそれぞれ半径方向に沿う半径軸回りに回転自在に配設され、各カッタスポーク11の両側部に複数のティースビット16が配設されて構成される。なお、図1中、符号12は開口部である。また、各カッタスポーク11内にはローラカッタ15の交換作業を行うためのローラカッタ交換作業室20が設けられ、回転筒10内には、作業員が出入り可能な出入り室10Sが設けられる。この出入り室10Sは隔壁101を貫通してシールド本体M1内の大気圧側からカッタスポーク11内のローラカッタ交換作業室20へローラカッタ交換作業室20側の人孔10aを通じて出入り可能に連通される。なお、回転筒10内には作泥土材供給管17が配管され、回転筒10の前部に作泥土材噴出口18が設けられる。
そして、このカッタ装置1では、特に、各カッタスポーク11の前面板11Fに複数のローラカッタ取付口110を有し、後面板11Rに複数の排土口111(図3参照)を有し、各ローラカッタ取付口110と各排土口111との間に後述する複数のローラカッタ回転支持機構2が設置され、各ローラカッタ回転支持機構2の少なくとも片側一方にシールド本体M1側の大気圧に連通されるローラカッタ交換作業室20が画成され、複数のローラカッタ15がそれぞれ、各カッタスポーク11内に各ローラカッタ回転支持機構2を介してカッタヘッドM2の切削方向に回転可能にかつ着脱可能に取り付けられ、刃先の一部が各カッタスポーク11の前面板11Fの各ローラカッタ取付口110から突出される。
このようにしてトンネル掘進機Mはカッタ駆動装置104によりカッタヘッドM2を地山の切羽に押し当て回動させながら切羽を掘削し、掘削ずりを排土装置105により排出しながら、シールドジャッキ(図示省略)により前進し、地山を推進するようになっている。
(第1の実施の形態)
図3、図4にローラカッタ回転支持機構及びローラカッタの第1の実施の形態を示している。
図3、図4に示すように、各カッタスポーク11は断面矩形状の長い箱形に構成され、前面板11F、後面板11R、各側面板11Sは平板状で、前面板11Fのローラカッタ取付口110、後面板11Rの排土口111は各面板に相互に対向して形成され、ローラカッタ取付口110は前面板11Fに前面板11F幅方向に長い矩形状に排土口111よりも少し大きく開口され、排土口111は後面板11Rに後面板11R幅方向に長い矩形の筒状に形成されて、かかるカッタスポーク11において各ローラカッタ回転支持機構2は、弧状ガイド3と、筒状回動部4と、筒状回動部4を駆動する駆動系としての駆動装置5とを備えて構成される。
なお、カッタスポーク11のローラカッタ取付口110の開口縁部、排土口111の開口縁部(この場合、後述する弧状ガイド3の排土口111に近接する位置)にはそれぞれ、シール材取付溝190が形成され、このシール材取付溝190にシール材19が取り付けられる。
この場合、弧状ガイド3は仮想円周C1がカッタスポーク11の前面板11Fと後面板11Rとの間でカッタスポーク11の中心よりも少し前面板11F側に寄った位置に中心をおき、前面板11Fのローラカッタ取付口110の前面板11F幅方向の両側縁部を通り、円弧の一部がローラカッタ取付口110から前方所定の範囲に突出されるものとして構成される。すなわち、弧状ガイド3は、一対のガイド部31がそれぞれ、前面板11Fのローラカッタ取付口110の前面板11F幅方向の両側縁部と後面板11Rの排土口111の後面板11R幅方向の両側縁部との間に仮想円周C1に沿って円弧状に形成され、前面板11Fのローラカッタ取付口110の前面板11F長さ方向の両側縁部と後面板11Rの排土口111の後面板11R長さ方向の両側縁部との間にそれぞれ、遮蔽部32が形成されて、ローラカッタ取付口110と排土口111との間に連通空間30が画成され、その両側にローラカッタ交換作業室20が画成される。この連通空間30はローラカッタ15で掘削された掘削ずりを排土口111へ移動するのに用いられる。また、この場合、一方のガイド部31は中間所定の範囲の一部がローラカッタ取付口110、排土口111間の連通空間30と一方のローラカッタ交換作業室20とが連通可能に分割されて蓋311になっており、この蓋311が一方のガイド部31においてボルトナットにより着脱可能に連結される。この蓋311により閉鎖された連通部310は、ローラカッタ15の交換時に摩耗、損傷したローラカッタ15の取り出しと、新規のローラカッタ15の組み込みに用いられる。そして各遮蔽部32には仮想円周C1の中心に対応する位置に軸受取付穴320が形成され、各軸受取付穴320に筒状回動部4の回動軸のための軸受33が固着される。
この場合、筒状回動部4は仮想円周C1が既述のとおりカッタスポーク11の前面板11Fと後面板11Rとの間でカッタスポーク11の中心よりも少し前面板11F側に寄った位置に中心をおき、前面板11Fのローラカッタ取付口110の前面板11F幅方向の両側縁部を通り、円弧の一部がローラカッタ取付口110から前方所定の範囲に突出されるものとして構成され、弧状ガイド3内で筒状回動部4はローラカッタ支持軸45に対して平行の回動軸46により回動されるようになっている。
すなわち、前面部4Fがカッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110の開口面に沿って開口面と同じ大きさの矩形の平坦状に形成され、この前面部4Fの中央にローラカッタ突出口40がローラカッタ15が突出可能に前面板11F幅方向に長い矩形状に開口され、このローラカッタ突出口40の周囲がカッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110を遮断可能な遮断部41として形成される。なお、このローラカッタ突出口40はローラカッタ15の直径及び高さよりも少し大きくしてある。一対の側面部4Sはそれぞれこの前面部4Fの前面板11F幅方向に対応する両側から反対側の後面部4Rに向けて弧状ガイド3の一対のガイド部31に沿う断面円弧状に形成される。後面部4Rの開口42はカッタスポーク11の後面板11Rの排土口111と略同じ大きさの略矩形状に開口される。
そして、これら前面部4F、各側面部4S、後面部開口42の両側開口面が、前面部4F、各側面部4Sの前面板11F長さ方向両側の各縁部間に回転遮蔽部44が設けられて遮蔽される。各回転遮蔽部44には仮想円周C1の中心に対応する位置に回動軸46を挿通可能に軸挿通部440が形成されて、これに回動軸46が通される。また、カッタ収容部43内のローラカッタ突出口40と仮想円周C1の中心との間で各回転遮蔽部44間にローラカッタ支持軸45が取り付けられてカッタヘッドM2の切削方向に対して直角に配置される。この場合、ローラカッタ支持軸45は筒状回動部4のカッタ収容部43内のローラカッタ突出口40側の端部にローラカッタ支持フレーム47を介して取り付けられ、ローラカッタ支持フレーム47はその背後がカッタ収容部43に設けられる受け台48により固定される。この場合、ローラカッタ支持軸45は四角柱状の軸からなる。ローラカッタ支持フレーム47は全体が前面部4Fのカッタ突出口40から嵌挿可能で仮想円周C1の中心付近(仮想円周C1の中心の手前)まで延びる断面四角形の筒形に形成され、前部47Fにカッタ突出口40内で開口される開口471を有し、この開口471の筒状回動部4の回転遮蔽部44側の各縁部中央にローラカッタ支持軸45が嵌合可能に断面四角形の凹部472が形成され、後部47Rに前部の開口471に対向して開口473を有する。そして、ローラカッタ支持軸45は、両端がローラカッタ支持フレーム47の前部47Fの各凹部472間に嵌合されて取り付けられ、このローラカッタ支持フレーム47が筒状回動部前面部4Fのローラカッタ突出口40から嵌挿されて取り付けられ、ローラカッタ支持軸45は、このローラカッタ支持フレーム47を介して、カッタ収容部43の前端部に支持される。また、受け台48はローラカッタ支持フレーム47の後部47Rに当接しかつ連通可能に断面四角形の筒形に形成され、前部48F、後部48Rにそれぞれ開口481、482を有する。この場合、受け台48は筒状回動部4の各回転遮蔽部44側の各部が筒状回動部4の各回転遮蔽部44の厚さとローラカッタ支持フレーム47のフレームの厚さを合わせた高さで、これら各部の中心間(幅方向の面と長さ方向の面とに囲まれた各平面の中心間)に回動軸46を挿通可能な穴480が穿たれる。また、この場合、受け台48の両側部48Sで後部48R側端部に後部48R面と平行に仕切り部483が延設される。この受け台48はカッタ収容部43内にローラカッタ支持フレーム47の背後で筒状回動部4の各回転遮蔽部44に弧状ガイド3の各遮蔽部32の軸受33に同心的に穿たれた取付穴440に嵌着されて配設され、両側部48Sの各仕切り部483は筒状回動部4の各側面部4Sの内面に接合される。これによりカッタ収容部43内に配設されたローラカッタ支持フレーム47は背後が、受け台48により固定されるようになっており、また、ローラカッタ支持フレーム47と、受け部48及び各仕切り部483とにより、カッタ収容部43は筒状回動部4の前面部4Fと後面部4Rの開口42との間が連通する通路4Sとして画成される。なお、この通路4Sは、ローラカッタ支持フレーム47、受け部48間が断面四角形の通路で、受け部48と後面部4Rの開口42との間が断面直線部と断面円弧状部で仕切られる通路となす。そして、この状態で、回動軸46が受け台48の各穴480間に通されて、弧状ガイド3の各遮蔽部32の各軸受33に支持される。このようにして筒状回動部4は弧状ガイド3内に仮想円周C1の中心を回動中心として回動軸46を介して各ガイド部31の案内により回動可能に配置される。なお、この筒状回動部4とカッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110の開口縁部との間は既述のシール材19により水密に保持される。
また、この駆動装置5は駆動源を駆動モータに変更可能である。
この場合、駆動装置5は駆動モータ53と、駆動モータ53により回転駆動されるウォーム541及びウォームホイール540の組み合わせからなるウォームギア54とにより構成される。駆動モータ53はローラカッタ交換作業室20側に設置され、ウォームホイール540が回動軸46に外嵌され、ウォーム541が駆動モータ53と回動軸46のウォームホイール540との間に台座55を介して配置されて、駆動モータ53の駆動軸が減速機を介してウォーム541に連結され、ウォーム541とウォームホイール540との係合により回動軸46に連結される。
また、この場合、駆動装置5は、減速機付きの駆動モータが採用され、駆動モータが回動軸46に直結されるようにしてもよい。
なお、回動軸46の駆動系は、これらの駆動装置5に限定されるものではなく、この種の回動軸を回動するものであれば他の機構やシステムが採用されてもよい。また、ローラカッタ交換作業室20内に回転駆動部を装備することに代えて、別途、回転駆動治具を持ち込み、回転駆動治具で回動軸を回動するようにしてもよい。
この場合、ロック装置6は、2組2つのキー穴60と、2組一対のジャッキ駆動式のキー61により構成される。一方の1組の2つのキー穴60はそれぞれ、弧状ガイド3の一方の遮蔽部32に排土口111に近接する所定の位置と、カッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110に筒状回動部4の前面部4Fが臨み、筒状回動部4のローラカッタ突出口40から突出されたローラカッタ15がローラカッタ取付口110から突出される筒状回動部4の回動位置において、筒状回動部4の一方の回転遮蔽部44で弧状ガイド3の各所定の位置に対応する位置にそれぞれ形成され、弧状ガイド3の一方の遮蔽部32にこの遮蔽部32に形成されたキー穴60に連通するキー穴600を有するキー穴補強ブロック601が併せて固設される。一方の一対のジャッキ駆動式のキー61はそれぞれ、ジャッキ61Jと、ジャッキ61Jにより伸縮される所定の長さを有するキー61とからなる。各ジャッキ駆動式のキー61はジャッキ61Jがキー穴補強ブロック601上に設置されて、キー61がキー穴補強ブロック601、各遮蔽部32、44の各キー穴600、60間に進退可能になっている。同様にして、他方の1組の2つのキー穴60がそれぞれ、弧状ガイド3の他方の遮蔽部32、筒状回動部4の他方の回転遮蔽部44にそれぞれ形成され、弧状ガイド3の他方の遮蔽部32にキー穴補強ブロック601が併せて固設され、他方の一対のジャッキ駆動式のキー61がキー穴補強ブロック601上に設置されて、キー61がキー穴補強ブロック601、各遮蔽部32、44の各キー穴600、60間に進退可能になっている。
第2のジェット噴射ノズル72は、筒状回動部4の回動軸46の外周面に設けられて、ローラカッタ15及びその周辺に向けて流体をジェット噴射するようになっている。この場合、回動軸46の一端面の中心位置から回動軸46の軸心上を回動軸46の長さ方向中央位置まで、さらにこの中央位置から回動軸46の半径方向へジェット流体管が設けられて、これにジェット噴射ノズル72が配設され、このジェット噴射ノズル72と流体噴射装置本体(図示省略)が高圧ホース721により接続される。このようにして回動軸46のジェット噴射ノズル72によりローラカッタ15及びその周辺に向けて流体をジェット噴射する。
第3のジェット噴射ノズル73は、カッタスポーク11の後面板11Rの排土口111に設けられて、排土口111及び筒状回動部4の通路43Sに向けて流体をジェット噴射するようになっている。この場合、排土口111の外周面の一部にノズル保持筒730が挿着され、このノズル保持筒730に先端の周面に噴射口を有するジャッキ駆動のジェット噴射ノズル73が進退可能にかつ回転可能に挿通配置され、このジェット噴射ノズル73と流体噴射装置本体(図示省略)が高圧ホース731により接続される。このようにして排土口111のジェット噴射ノズル73により排土口111及び筒状回動部4の通路43Sに向けて水などの流体をジェット噴射する。
このとき、カッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110に筒状回動部4の前面部4Fが臨み、筒状回動部4のローラカッタ突出口40から突出されたローラカッタ15がローラカッタ取付口110から突出された状態で、これが、ロック装置6により、すなわち、2組一対のジャッキ駆動式のキー61が弧状ガイド3の各遮蔽部32の2組一対の各キー穴60、筒状回動部4の各回転遮蔽部44の2組一対の各キー穴60に挿入されて、筒状回動部4がロック(回動規制)される。したがって、ローラカッタ15は確実に固定される。
また、この場合、ローラカッタ15を回動しようとするときに、ローラカッタ15の周囲に掘削土砂や切羽から肌落ちした土砂が溜り、これによりローラカッタ15の回動が阻害されることがあるが、このような場合は、第1のジェット噴射ノズル71からローラカッタ15に向けてジェット水を噴射することによりローラカッタ15の周囲に溜まった土砂を除去することができ、ローラカッタ15を円滑に回動することができる。また、切羽の掘削中、ローラカッタ15の回転により、掘削ずりがローラカッタ取付口110と排土口111との間の通路43Sを経て排土口111から排出されるが、掘削ずりがローラカッタ15の周辺に固着するような場合は、第2のジェット噴射ノズル72からローラカッタ15の周辺に固まった掘削ずりに向けてジェット水を噴射することにより掘削ずりを除去することができ、さらに、掘削ずりの一部が排土口111やその付近に溜まるような場合は、第3のジェット噴射ノズル73から排土口111やその付近に溜まった掘削ずりに向けてジェット水を噴射することにより掘削ずりを除去することができ、ローラカッタ15の回転不能を解消してローラカッタ15を常に円滑に回転することができ、ローラカッタ15の長寿命化を果たすことができる。
さらに、この場合、カッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110と筒状回動部4との間はローラカッタ取付口110のシール材19により遮断されており、筒状回動部4の前面部4Fのローラカッタ突出口40と後面部4Rの開口42との間の通路43S以外に、切羽からの土砂が入り込むような空間や空隙がないので、弧状ガイド3内での筒状回動部4は良好な状態に維持される。
この場合、作業員はシールド本体M1内から出入り室10Sに入り、人孔10aを通じてローラカッタ交換作業室20に入室し、新規のローラカッタ15やその交換に必要な機材を搬入する。そして、ローラカッタ交換作業室20の大気圧下でローラカッタ15を交換する。このローラカッタ15の交換手順は次のとおりである。
(ローラカッタの交換手順)
(1)トンネル掘削機Mによる地山の掘削を停止する。この場合、ローラカッタ15が切羽に食い込んで、筒状回動部4の回動が困難なことがあるため、カッタヘッドM2を切羽から若干後退させて、切羽の切削面とローラカッタ15の先端との間に筒状回動部4が回動可能に空隙を確保しておくことが好ましい。
(2)弧状ガイド3の一方のガイド部31の連通部310を蓋311で閉塞する。
(3)筒状回動部4のロック装置6のロックを解除する。すなわち、2組一対のジャッキ駆動式のキー61をジャッキ61Jの駆動により弧状ガイド3、筒状回動部4の各キー穴60から離脱し、筒状回動部4のロック(回動規制)を解除する。
(4)筒状回動部4を回動する。この場合、油圧ジャッキ50の駆動により、各リンク51を収縮駆動して、図7に示すように、筒状回動部4の回動軸46を反時計回りに回動し、弧状ガイド3内で筒状回動部4を同方向に回動して、ローラカッタ15を一方のガイド部31の蓋311まで回動する。このとき、筒状回動部4の一方の側面部4Sがカッタスポーク11のローラカッタ取付口110に回動されてこの側面部4Sでローラカッタ取付口110を切羽に対して遮断するとともに、他方のガイド部31が排土口111まで回動されてこの側面部4Sで排土口111を遮断する。これにより、切羽側、カッタスポーク11の背面側からカッタスポーク11内への土砂の流入が阻止される。また、この筒状回動部4の回動中も、カッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110と筒状回動部4との間はローラカッタ取付口110のシール材19により遮断されており、筒状回動部4の前面部4Fのローラカッタ突出口40と後面部4Rの開口42との間の通路43S以外に、切羽からの土砂が入り込むような空間、空隙がないので、弧状ガイド3内で筒状回動部4は良好な状態に維持され、回動不能な状態になることがない。
(5)弧状ガイド3の一方のガイド部31の蓋311を取り外し、このガイド部31の一部(連通部310)を開放する。
(6)ローラカッタ15を抜き出して、新規のローラカッタ15を設置、締結する。
(7)弧状ガイド3の一方のガイド部31の蓋311を再び取り付け、このガイド部31(の連通部310)を閉塞する。
(8)筒状回動部4を回動し、ローラカッタ15を元の掘削位置へ戻す。すなわち、油圧ジャッキ50の駆動により、各リンク51を収縮して筒状回動部4の回動軸46を時計回りに回動し、弧状ガイド3内で筒状回動部4を同方向に回動して、ローラカッタ15をカッタスポーク11のローラカッタ取付口110まで回動する。このとき、筒状回動部4の各側面部4Sが弧状ガイド3の各ガイド部31に戻されてローラカッタ取付口110、排土口111がそれぞれ開放される。
(9)ロック装置6を解除する。すなわち、2組一対のジャッキ駆動式のキー61をジャッキ61Jの駆動により弧状ガイド3、筒状回動部4の各キー穴60に挿入し、筒状回動部4をロック(回動規制)する。
(10)トンネル掘削機Mによる地山の掘削を再開する。
なお、ローラカッタ15の交換後、作業員はローラカッタ交換作業室20から人孔10aを通じて出入り室10Sに入り、シールド本体M1内に戻り、取り外した古いローラカッタ15やその交換に使った機材をシールド本体M1へ移動、搬出する。
そして、このローラカッタ15の交換では、弧状ガイド3の一方のガイド部31の連通部310を蓋311で閉塞した状態とし、筒状回動部4のロック装置6のロックを解除して、弧状ガイド3内で筒状回動部4を回動することにより、ローラカッタ15を一方のガイド部31の蓋311まで回動し、筒状回動部4の一方の側面部4Sでローラカッタ取付口110を遮断し、他方の側面部4Sで排土口111を遮断して、弧状ガイド3の一方のガイド部31の蓋311を取り外し連通部310を開放することにより、ローラカッタ15を抜き出し、新規のローラカッタ15を設置、締結するようにしたので、ローラカッタ15が摩耗又は損傷した場合に、いつでも、簡単かつ安全にローラカッタ15の交換を行うことができる。
また、このローラカッタ15の交換に使用するローラカッタ回転支持機構2を、既述のような筒形構造の弧状ガイド3と、筒形構造の筒状回動部4と、筒状回動部4の回動軸46を駆動する駆動装置5とにより構成するので、ローラカッタ15の交換に必要な構造を可及的に簡単にしてコストのさらなる低減を図ることができる。
さらに、カッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110と筒状回動部4との間はローラカッタ取付口110のシール材19により遮断されており、筒状回動部4の前面部4Fのローラカッタ突出口40と後面部4Rの開口42との間の通路43S以外に、切羽からの土砂が入り込むような空間、空隙がないので、ローラカッタ15により掘削された土砂がローラカッタ15周辺の各部材間に侵入し、滞留するのを防止することができ、筒状回動部4の前面部4Fのローラカッタ突出口40から入ってきた掘削土砂は前面部4Fのローラカッタ突出口40と後面部4Rの開口42との間の通路43Sを経て、排土口111から外部へ円滑に排除して、ローラカッタ15及びその周辺各部の機能を良好に維持することができる。
以上により、トンネル掘進機Mを長距離掘進に適応させることができる。
図8、図9にローラカッタ回転支持機構及びローラカッタの第2の実施の形態を示している。
図8、図9に示すように、このローラカッタ回転支持機構2及びローラカッタ15は、全体として、第1の実施の形態と概ね同様の構成を備え、同様の作用効果を有している。第1の実施の形態と異なるのは、筒状回動部4の一方の側面部4Sの一部に仮想円周C1内で変形されて断面直線状の面4S1が形成され、この断面直線状の面4S1に仮想円周C1の範囲内で礫層、玉石混じりの砂礫層で使用する各種のビット81、82が併設された点で、この実施の形態では、トンネル掘進機Mがトンネル掘進区間に岩盤層と砂礫層が交互に出現するような、所謂複合地盤を掘進する場合に、その地盤に適したビット(15、81)を選択できるようにしている。
この場合、筒状回動部4の一方の側面部4Sの一部に断面直線状の面4S1が筒状回動部4の前面部4Fのローラカッタ突出口40と後面部4Rの開口42との間の通路43Sと平行に形成され、この面4S1の中央にシェルビット81が装着されて、ローラカッタ15に対して仮想円周方向に90°離れた直角の位置に配置される。
また、この場合、筒状回動部4の回動軸46の駆動装置5が、駆動モータ53と、駆動モータ53により回転駆動されるウォーム541及びウォームホイール540の組み合わせからなるウォームギア54とにより構成される。この駆動装置5については既に説明したとおりであるが、この場合、駆動モータ53に回動・低動モータが採用され、筒状回動部4の回動位置を測定する位置測定装置(図示省略)が併せて用いられ、各種のビット15、81の切り替え、各ビット15、81の交換に際して、筒状回動部4の回動位置が位置測定装置により確認されて、回動・制動モータが駆動及び停止される。
このようにして、トンネル掘進機Mが複合地盤を掘進する場合で、岩盤層を掘削するときは、弧状ガイド3内で筒状回動部4はローラカッタ15をカッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110に向けて回動され、ローラカッタ15がローラカッタ取付口110に達したところで停止され、砂礫層を掘削するときは、弧状ガイド3内で筒状回動部4がシェルビット81をカッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110に向けて回動され、シェルビット81がローラカッタ取付口110に達したところで停止され、地層に応じて最適なビットに切り替えられる。発進部の仮壁切削時には、先行切削ビットに付け替えることもある。そして、弧状ガイド3内で筒状回動部4の回動が停止されると、駆動モータ(回動・制動モータ)53によりその回動位置が固定され、この固定力により各ビット15、81の切削力の回転モーメントに抵抗することができる。なお、各ビット15、81に回転モーメントに抵抗し、所定の回転角度を付与するには、駆動モータ(回動・制動モータ)53のみならず、ウォーム541及びウォームホイール540の組み合わせからなるウォームギア54の他、ラックアンドピニオンからなるギア機構などが使用されてもよいことは勿論である。
また、この場合も、摩耗、損傷したビット15、81の交換は、図10に示すように、切羽の水圧や土圧から切り離されたカッタスポーク11内の大気圧下で安全に行うことができる。
図11にローラカッタ回転支持機構、ローラカッタ及びシェルビットの第3の実施の形態を示している。
図11に示すように、このローラカッタ回転支持機構2、ローラカッタ15及びシェルビット81は、全体として、第1の実施の形態と概ね同様の構成を備えている。第1の実施の形態と異なるのは、弧状ガイド3及び筒状回動部4は仮想円周C2がカッタスポーク11の前面板11Fと後面板11Rとの間に中心をおき、前面板11Fのローラカッタ取付口110の前面板11F長さ方向の両側縁部を通り、円弧の一部がローラカッタ取付口110から前方所定の範囲に突出されるものとして構成され、弧状ガイド3内で筒状回動部4はローラカッタ支持軸45に対して直交する回動軸46により回動されることにある(第1の実施の形態の場合の筒状回動部4の回動を横回りとすると、この実施の形態の場合の筒状回動部4の回動は縦回りとなる)。
この場合、弧状ガイド3は仮想円周C2がカッタスポーク11の前面板11Fと後面板11Rとの間でカッタスポーク11の中心よりも少し前面板11F側に寄った位置に中心をおき、前面板11Fのローラカッタ取付口110の前面板11F長さ方向の両側縁部を通り、円弧の一部がローラカッタ取付口110から前方所定の範囲に突出されるものとして構成される。すなわち、弧状ガイド3は、一対のガイド部31がそれぞれ、カッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110の前面板11F長さ方向の両側縁部と後面板11Rの排土口111の後面板11R長さ方向の両側縁部との間に仮想円周C2に沿って円弧状に形成され、前面板11Fのローラカッタ取付口110の前面板11F幅方向の両側縁部と後面板11Rの排土口111の後面板11R幅方向の両側縁部との間にそれぞれ、遮蔽部32が形成されて、ローラカッタ取付口110と排土口111との間に連通空間30が画成され、その両側にローラカッタ交換作業室20が画成される。この連通空間30はローラカッタ15で掘削された掘削ずりを排土口111へ移動するのに用いられる。また、一方のガイド部31は中間所定の範囲の一部がローラカッタ取付口110、排土口111間の連通空間30とローラカッタ交換作業室20とが連通可能に分割されて蓋311になっており、この蓋311が一方のガイド部31においてボルトナットにより着脱可能に連結される。この蓋311により閉鎖された連通部310は、ローラカッタ15の交換時に摩耗、損傷したローラカッタ15の取り出しと、新規のローラカッタ15の組み込みに用いられる。そして各遮蔽部32には仮想円周C2の中心に対応する位置に筒状回動部4の回動軸46のための軸受33が設けられる。
また、この場合、筒状回動部4は仮想円周C2が既述のとおりカッタスポーク11の前面板11Fと後面板11Rとの間でカッタスポーク11の中心よりも少し前面板11F側に寄った位置に中心をおき、前面板11Fのローラカッタ取付口110の前面板11F長さ方向の両側縁部を通り、円弧の一部がローラカッタ取付口110から前方所定の範囲に突出されるものとして構成され、弧状ガイド3内で筒状回動部4はローラカッタ支持軸47に対して直交される回動軸46により回動されるようになっている。すなわち、前面部4Fがカッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110の開口面に沿って開口面と同じ大きさの矩形の平坦状に形成され、この前面部4Fの中央にローラカッタ突出口40がローラカッタ15が突出可能に前面板11F幅方向に長い矩形状に開口され、このローラカッタ突出口40の周囲がカッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110を遮断可能な遮断部41として形成される。一対の側面部4Sはそれぞれこの前面部4Fの前面板11F長さ方向に対応する両側から反対側の後面部4Rに向けて弧状ガイド3の一対のガイド部31に沿う断面円弧状に形成される。後面部4Rはカッタスポーク11の後面板11Rの排土口111と略同じ大きさの略矩形状に開口されて、前面部4Fと後面部4Rの開口42との間にカッタ収容部43が排土口111に連通可能な通路43Sにして画成される。そして、これら前面部4F、各側面部4S、後面部開口42の両側開口面が、前面部4F、各側面部4Sの前面板11F幅方向両側の各縁部間に回転遮蔽部44が設けられて遮蔽される。各回転遮蔽部44には仮想円周C2の中心に対応する位置に回動軸46を挿通可能に軸挿通部が形成され、軸挿通部の外側に同心的に軸受33が設けられて、これに回動軸46が通される。また、カッタ収容部43内のローラカッタ突出口40と仮想円周C2の中心との間で各側部4S間にローラカッタ支持軸45が取り付けられてカッタヘッドM2の切削方向に対して直角に配置される。この場合、ローラカッタ支持軸45は筒状回動部4のカッタ収容部43内のローラカッタ突出口40側の端部にローラカッタ支持フレーム47を介して取り付けられ、ローラカッタ支持フレーム47はその両側面及び背後がカッタ収容部43に設けられる受け台48により支持固定される。この場合、ローラカッタ支持軸45は四角柱状の軸からなる。ローラカッタ支持フレーム47はカッタ収容部43内に嵌合可能な断面四角形の枠体からなり、前面板11F長さ方向に対応する両側各部がカッタ収容部43内の内面に固定可能に形成され、前面板11F幅方向に対応する両側各部がカッタ収容部43内の対応する内面に対して所定の間隔を開けて対向可能に形成され、前面板11F長さ方向に対応する両側各部の前面部中央にローラカッタ支持軸45が嵌合可能な断面四角形の凹部472が形成される。そして、ローラカッタ支持軸45は、両端がそれぞれローラカッタ支持フレーム47の各凹部472に嵌挿されて取り付けられる。ローラカッタ支持軸45は、このローラカッタ支持フレーム47を介して、カッタ収容部43の前端部に支持される。また、受け台48はカッタ収容部43内に嵌合可能にかつカッタ収容部43内でローラカッタ支持フレーム47を背後から支持可能に断面四角形の枠体からなり、前面板11F幅方向に対応する両側各部がカッタ収容部43内でカッタ収容部43の内面とローラカッタ支持フレーム47の前面板11F幅方向に対応する両側各部との間に嵌合配置可能に延ばされ、この両側各部の外側面でカッタ収容部43内に取り付け時仮想円周C2の中心に対応する位置にそれぞれ外側側方に向けて回動軸46が同心的に突設される。この受け台48はカッタ収容部43内にこのカッタ収容部43内に配設されるローラカッタ支持フレーム47の背後に配設されて、両側の各回動軸46が筒状回動部4の各回転遮蔽部44に設けられた軸受33に支持される。そして、ローラカッタ支持フレーム47はカッタ収容部43内に嵌合されて、その背後が受け台48により支持されるとともに、前面板11F幅方向に対応するカッタ収容部43内の内面とローラカッタ支持フレーム47の両側各部との間に受け台48の両側各部が通されて、その周囲が支持される。
このようにして筒状回動部4は弧状ガイド3内に仮想円周C2の中心を回動中心として回動軸46を介して各ガイド部31の案内により回動可能に配置される。なお、この筒状回動部4とカッタスポーク11の前面板11Fのローラカッタ取付口110の開口縁部との間は既述のシール材19により水密に保持される。
このようにしても筒状回動部4の回動が縦回りとなるだけで、全体として、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、この実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、筒状回動部4の一方の側面部4Sの一部に仮想円周C2内で変形されて断面直線状の面が形成され、この断面直線状の面に仮想円周Cの範囲内で礫層、玉石混じりの砂礫層で使用するシェルビットが併設されており、トンネル掘進機Mがトンネル掘進区間に岩盤層と砂礫層が交互に出現するような、所謂複合地盤を掘進する場合に、その地盤に適したビットを選択できるようにすることができる。
M1 シールド本体(掘進機本体)
M2 カッタヘッド
101 隔壁
102 旋回環・ギア
103 カッタヘッド支持桁
104 カッタ駆動装置
105 排土装置
1 カッタ装置
10 回転筒
10S 出入り室
10a 人孔
11 カッタスポーク
11F 前面板
11S 側面板
11R 後面板
110 ローラカッタ取付口
111 排土口
12 開口部
13 外周リング
14 センタビット
15 ローラカッタ
16 ティースビット
17 作泥土材供給管
18 作泥土材噴出口
19 シール材
190 シール材取付溝
2 ローラカッタ回転支持機構
C1、C2 仮想円周
20 ローラカッタ交換作業室
3 弧状ガイド
30 連通空間
31 ガイド部
310 連通部
311 蓋
32 遮蔽部
33 軸受
4 筒状回動部
4F 前面部
40 ローラカッタ突出口
41 遮断部
4S 側面部
4S1 断面直線状の面
4R 後面部
42 開口
43 カッタ収容部
43S 通路
44 回転遮蔽部
440 取付穴
45 ローラカッタ支持軸
46 回動軸
47 ローラカッタ支持フレーム
47F 前部
47R 後部
471 開口
472 凹部
473 開口
48 受け台
48F 前部
48S 側部
48R 後部
480 穴
481、482 開口
483 仕切り部
5 駆動装置
50 油圧ジャッキ
51 リンク
52 回動レバー
53 駆動モータ
54 ウォームギア
540 ウォームホイール
541 ウォーム
55 台座
6 ロック装置
60 キー穴
61 キー
61J ジャッキ
600 キー穴
601 キー穴補強ブロック
71 第1のジェット噴射ノズル
711 高圧ホース
72 第2のジェット噴射ノズル
721 高圧ホース
73 第3のジェット噴射ノズル
730 ノズル保持筒
731 高圧ホース
81 シェルビット
82 ティースビット
Claims (5)
- カッタヘッドの軸心から半径方向に沿って延び、前面板に複数のローラカッタ取付口を有し、後面板に複数の排土口を有し、前記各ローラカッタ取付口と前記各排土口との間に設置される複数のローラカッタ回転支持機構、及び前記各ローラカッタ回転支持機構の少なくとも片側一方に画成され、掘進機本体側の大気圧に連通されるローラカッタ交換作業室とを具備する複数のカッタスポークと、
前記カッタスポーク内に前記各ローラカッタ回転支持機構を介して前記カッタヘッドの切削方向に回転可能にかつ着脱可能に取り付けられ、刃先の一部が前記前面板の前記各ローラカッタ取付口から突出される前記複数のローラカッタと、
を備え、
前記各ローラカッタ回転支持機構は、
前記カッタスポークの前記前面板と前記後面板との間で前記前面板側に少し寄った位置に中心をおき、前記前面板の前記ローラカッタ取付口の両側縁部を通り、円弧の一部が前記ローラカッタ取付口から前方所定の範囲に突出される前記カッタスポーク内の仮想円周に沿って前記前面板の前記ローラカッタ取付口の両側縁部と前記後面板の前記排土口の両側縁部との間に断面円弧状に形成され、前記ローラカッタ取付口と前記排土口との間に連通可能な連通空間を画成し、その少なくとも片側一方にローラカッタ交換作業室を画成する断面円弧状の一対のガイド部、及び少なくとも一方のガイド部に開閉可能に形成され、前記連通空間と前記ローラカッタ交換作業室を連通可能な蓋と、前記各ガイド部の両側開口面を遮蔽する遮蔽部とを有してなる弧状ガイドと、
前記弧状ガイド内に嵌合可能に、前記前面板の前記ローラカッタ取付口の開口面に沿って形成され、前記ローラカッタが突出される前記ローラカッタ突出口を有する前面部と、前記前面部から反対側の後面部に向けて前記一対のガイド部に沿う断面円弧状に形成される一対の側面部と、前記後面部に開口を形成されて、前記前面部と前記後面部の開口との間に前記排土口に連通可能な通路にして形成されるカッタ収容部と、これら前面部、各側面部、後面部開口の両側開口面を遮蔽する回転遮蔽部と、前記カッタ収容部内に前記カッタヘッドの切削方向に対して直角に取り付けられるローラカッタ支持軸とを有してなり、前記弧状ガイド内に回動軸を介して回動可能に配置される筒状回動部と、
前記筒状回動部の前記回動軸に作動連結され、前記回動軸を駆動する駆動系と、
前記前面板の前記ローラカッタ取付口に前記筒状回動部の前記前面部が臨む前記筒状回動部の回動位置で、前記弧状ガイドの前記遮蔽部とこれに対向する前記筒状回動部の前記回転遮蔽部との間に同心的に穿設されるキー穴と、前記キー穴に進退可能な進退駆動式のキーとからなり、前記ローラカッタ取付口に前記前面部が臨む前記筒状回動部の回動位置で前記筒状回動部の回動を規制するロック装置と、
を具備し、
前記ローラカッタは前記筒状回動部の前記カッタ収容部内に前記ローラカッタ支持軸を介して刃先の一部を前記ローラカッタ突出口から突出して回転可能に取り付けられ、前記ローラカッタ突出口から突出される前記ローラカッタは前記前面板の前記ローラカッタ取付口から突出される前記筒状回動部の回動位置で、前記ロック装置のロックにより前記筒状回動部の回動を規制されてロックされ、
前記ローラカッタの交換の際は、前記ロック装置のロック解除により前記筒状回動部の回動規制が解除され、前記筒状回動部の回動により、前記筒状回動部の前記各側面部が前記前面板の前記ローラカッタ取付口、前記後面板の排土口を遮断し、前記ローラカッタが前記ローラカッタ交換作業室に向けられて、前記ローラカッタを交換する、
ことを特徴とするカッタ装置。 - 筒状回動部は弧状ガイド内にローラカッタ支持軸に対して平行の又は直交する回動軸により回動される請求項1に記載のカッタ装置。
- 前面板のローラカッタ取付口の周囲、及び/又は筒状回動部の回動軸の外周面、及び/又は後面板の排土口若しくは筒状回動部の通路にそれぞれ、流体をジェット噴射するためのジェット噴射ノズルを併せて備える請求項1又は2に記載のカッタ装置。
- 筒状回動部の一方の側面部の一部に断面直線状の面が形成され、当該断面直線状の面に礫層、玉石混じりの砂礫層などで使用する各種ビットが併設される請求項1乃至3のいずれかに記載のカッタ装置。
- 全体が略筒体をなし、ジャッキにより推進される掘進機本体と、前記掘進機本体の前部に回転可能に装着され、前面にカッタ装置を有するカッタヘッドとを備えるトンネル掘進機において、
前記カッタ装置に請求項1乃至4のいずれかに記載のカッタ装置が採用される、
ことを特徴とするトンネル掘進機。
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