JP6558778B2 - 津波の質量輸送エネルギー緩和装置 - Google Patents

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Description

本発明は、海岸に向かって幾重にも押し寄せてくる津波の質量輸送エネルギー伝播を、沖合で緩和する津波の質量輸送エネルギー緩和装置に関するものである。
従来、津波対策として、沿岸近くにまたは海岸に防波堤を設けることにより津波を受け止めるための防災方法が一般的であったため、高さ、強度、地形環境など諸条件によっては想像以上の被害を被ることになる場合があった。
仮に、沿岸に高く強固な防波壁を築いたとしても幾重にも押し寄せた津波によって伝播された海水の山はその質量を増し、やがて低い方へ、間隙を突き急流となって河川、陸地へと一斉に流れ込むため津波が沿岸に到達すると最早、防ぎようが無いのが実情である。
幾重にも押し寄せる津波は沖合の深い所は速く台風時や潮の干満の流れと異なり質量輸送エネルギーは盛り上がった大波が落下次々と前の大量の海水を押し上げる上下運動の高速伝播で、沿岸に近づき海底が急に浅くなり伝播速度にブレーキが掛かり質量輸送エネルギーの伝播が前のめりとなって高波の頂点部分が全面の傾斜を繰り返し流れ落ちるという段波作用現象が発生し上下運動から初めて沿岸近くで流れが始まり、沿岸では台風時の高潮、潮の満潮化、それに沖から膨大な量の海水の山が集積されるため、津波の質量輸送エネルギーを海岸近くで防ぐ事自体が最も困難である。
特に、リアス海岸、入り江、湾に至っては浅瀬に乗り上げた海水量の上に、次々と押し寄せる海水の山が幾重にも積み上がり、堤防を越え、河川を登り、激流となって陸地へ流れ込む。
このように、沖合の深い所を高速で進む津波のメカニズムは、台風時の吸い上げ潮位偏重や潮の干満などにより発生する流れと異なり、沖合を伝播する津波の質量輸送エネルギーは発生時の進行方向へ海水の山が潜り込み同質量の海水が盛り上がる上下動伝播を繰り返し海水の山を沿岸まで次々と移動させるため沿岸まで次々と押し寄せる海水量を防波堤構造物のみで防ぐにはその技量能力にも限界があり、津波防災対策の一つとして津波が沿岸に近づく前に、津波の質量輸送エネルギーを沖合で緩和し沿岸での被害を防ぐ対策が必要不可欠である。
そこで、津波が沿岸に近づく前に、津波の質量輸送エネルギーを沖合で緩和し沿岸での被害を防ぐ対策として本件発明者は先に好ましい津波の質量輸送エネルギー緩和装置を特許出願した(特開2014−20188号公報)。
この公報に提示した津波が沿岸に近づく前に津波の質量輸送エネルギーを緩和する装置は、図15に示すように、下面11aを開口するとともに両側面12a,12aを閉じた横形半円筒状を呈する空気を圧入したハーフパイプエアータンク1aの両側面12a,12aに形成した両軸13a,13aを海底SBに配置した錘2aに調節ワイヤー3a、3aで連結して海中に水平状態で配置し、ハーフパイプエアータンク1aの左右方向端部に前後に張り出した腕4a・・4aの先に調節ワイヤー5a・・5aで大浮子6a・・6aが沖合の海面近くに平常波で安定するように定置させておくものであり、津波発生時、押し寄せる大きな波の質量輸送エネルギーの第一波が沖合に定置した前記ハーフパイプエアータンク1aに到達したとき、沖側の大浮子6a・・6aが自動的に大波に反応して、急激に上方に押し上げられ本体タンク列が一斉に反転して津波の質量輸送エネルギーの中心に向かって空気層が浮き上がり、津波の質量輸送エネルギーを吸収し、その威力を緩和して津波自体を弱めるものであり、入り江や河川流域の地形が狭くなっているような地域では、防潮防波堤と併用して定置すれば、想定以上の津波が発生した場合でも、被害の減少効果が得られるというきわめて有効に津波の被害を防止することができるものである。
特開2014−20188号公報
前述のように前記公報に提示されている津波の質量輸送エネルギー緩和装置は津波が沿岸に押し寄せる前に沖合で有効に津波のエネルギーを緩和することができるものであってきわめて有効であるが、図13に示すように、ハーフパイプエアータンク1aを海底SB付近に設置した錘2aに調節ワイヤー3a、3aで海中に浮遊状態で定着するものであり、海底SBの起伏にとらわれずに設置可能である反面ハーフパイプエアータンク1aを海底SBに設置した錘2aに浮遊状態で連結されていることから安定性に欠けるという問題があり、特にハーフパイプエアータンク1aは半円筒形を横方向に寝かせた状態で海中に配置したものであり僅かな揺動で内部に充填したエアーが海中に漏出してしまい必要なときに噴出するエアーが足りなくなってしまうという事態が生じる。
また、ハーフパイプエアータンク1aが反転して津波の質量輸送エネルギーの中心に向かって空気層が確実に浮き上がるようにするために反応する大浮子6a・・6aの設定の調整が困難であり、更に、メンテナンス維持、空気補充なども容易に対応できないという問題もあり、特にハーフパイプエアータンク1aが海面近くに配置されることから船舶の航行の障害になるという課題もある。
本発明は、前記公報に提示されている津波の質量輸送エネルギー緩和装置の改良に関するものであり、海底の起伏に拘わらず安定した状態で海底に設置可能であるとともに作動が正確で確実に津波の質量輸送エネルギーを緩和し、且つメンテナンスや空気補充も容易な津波の質量輸送エネルギー緩和装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するためになされた本発明である津波の質量輸送エネルギー緩和装置は、両側面を閉じた横長円筒形状で内部にエアーを充填可能であって海底側に開口部を形成したエアータンクと、前記エアータンクの中心軸線に沿って設けられた回転軸により回転可能に支持するとともに前記エアータンクを海底付近に保持するエアータンク保持用錘と、前記海底付近に保持されたエアータンクより水平方向に所定距離を隔てた位置の海面付近に配置された津波検知浮子と、前記津波検知浮子と前記エアータンクの周壁とを連結するエアータンク回転用ワイヤーとからなり、海面付近に浮遊する前記津波検知浮子に津波が到達した際、前記津波検知浮子が津波により押し上げられることで前記エアータンク回転用ワイヤーが引かれて前記エアータンクを前記回転軸において回転させることにより下方に向けてあった前記開口部を反転させて内部に充填してあるエアーをその上方に到達した津波に吹き上げて津波の質量輸送エネルギーを緩和することを特徴とする。
また、本発明において、前記エアータンクの頂部に、先端に回転制御浮子を取り付けたワイヤーが取り付けられていることにより、前記エアータンクの回転を制御して前記開口部を海底側に向けて維持することにより平常時に水平状態を保ち内部に充填したエアーの流出を防止することができる。
更に、本発明において、前記エアータンクの周壁における少なくとも軸線方向の両端部に前記津波検知浮子を連結したエアータンク回転用ワイヤーがそれぞれ連結されていることにより、津波が前記津波検知浮子に到達したときに確実にエアータンクを回転させて内部に充填したエアーを確実に吹き上げて津波の質量輸送エネルギーを緩和する。
更にまた、本発明において、前記エアータンク回転用ワイヤーが、海底に設置された前記エアータンク回転用ワイヤーを掛止する滑車付き錘を介して前記エアータンクと前記津波検知浮子との間を連結していることにより、平坦な海底において一対の津波検知浮子が津波で押し上げられた時、同時に円滑に円筒型エアータンクが回転して内部に充填したエアーを噴出することができる。
また、本発明において、前記エアータンク回転用ワイヤーの途中に、前記エアータンクより水平方向に所定の距離を隔てた位置の海底に設置された補助錘に一端を止着した補助ワイヤーの他端が止着されていることにより、海底に起伏障害物がある場合にも前記津波検知浮子が津波により押し上げられる際に、エアータンク回転用ワイヤーが引かれてエアータンクを回転軸において回転させることにより下方に向けてあった開口部を上方に回転させて内部に充填してあるエアーをその上方に到達した津波に向けて吹き上げて津波の質量輸送エネルギーを緩和することができる。
更に、本発明において、前記エアータンクの周壁に、複数のワイヤー取付部が設けられていることにより、前記エアータンク回転用ワイヤーを前記エアータンクの周壁に連結する際に取り付け位置が選択可能である場合は、例えばエアータンクを設置する地形や水深などに応じ開口部を回転させる角度を調整したい場合などに容易に調整を行うことができる。
加えて、本発明において、前記津波検知浮子が海面に位置する円盤形の海面用津波検知浮子と海中に位置する断面流線形で円盤形の海中用津波検知浮子からなることにより、津波の大波の海水の山には確実に反応させることができるとともに洋上の強風、うねり波浪などの影響を最小限度に抑えることが可能である。
更に、前記一つのエアータンク保持用錘に複数のエアータンクをそれらの中心軸線を同軸にして或いは中心軸線を平行にして並設することにより一か所で複数列の空気層を噴き上げることも可能である。
そして、前記エアータンク回転用ワイヤーにより連結された津波検知浮子とエアータンク保持用錘に支持したエアータンクを、沖から沿岸方向にわたって一定の間隔で幾重にも配備することにより、沖から到達する津波に反応して次々と噴き上がる空気層の真上を必ず津波が通過しそのエネルギーを一つ一つ緩和することができる。
本発明によれば、入り江、湾、リアス海岸、重要地帯沿岸の沖に幾重にも本発明を配備設置することで津波の海水の大山の質量輸送エネルギーを一つ一つ沖合の洋上で緩和し留め沿岸で大波の海水が重複集積される質量を軽減することが可能となり、避難、防波堤構造物と併せより一層津波による被害を軽減でき、殊に、海底の起伏に拘わらず安定した状態で海底に設置可能であるとともに作動が正確で確実に津波の質量輸送エネルギーを緩和し、且つメンテナンスや空気補充も容易にすることができ、船舶などの航行にも影響が少ない。また海中の環境を害する心配もない。
本発明の好ましい実施の形態を示す概略斜視図。 図1に示した実施の形態の一部を拡大した概略側面図。 図1に示した実施の形態におけるエアータンク保持用錘にエアータンクを保持させた部分の断面図。 図3の側面図。 図1に示した実施の形態におけるエアータンクを保持させたエアータンク保持用錘を沖側下がりの海底に設置した状態を示すものであり、(a)は設置した状態、(b)はエアータンクを回転させてエアーを噴出させた状態を示す。 図1に示した実施の形態におけるエアータンクを保持させたエアータンク保持用錘を沖側上がりの海底に設置した状態を示すものであり、(a)は設置した状態、(b)はエアータンクを回転させてエアーを噴出させた状態を示す。 図1で示した実施の形態における津波により作動した状態を示す説明図。 津波の質量輸送エネルギーの上下動伝播による分子の力方向想定図。 エアータンク保持用錘にエアータンクを並列配置して保持させた実施の形態を示す側面図。 エアータンクを保持させたエアータンク保持用錘を縦横方向に多数個並列させた実施の形態を示す平面図。 本発明の異なる実施の形態を示す概略斜視図。 図11に示した実施の形態の一部を拡大した概略側面図。 本発明の異なる実施の形態を示す概略側面図。 図13に示した実施の形態を示す概略平面図。 従来例を示す説明図。
以下に、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図7は平坦な海底に設置される本発明の好ましい実施の形態を示すものであり、本発明である津波の質量輸送エネルギー緩和装置は、主として、両側面を側板13,13により気密に閉じた横長円筒形状で内部にエアーAを充填可能であって海底SB側に開口部12を形成したエアータンク1と、前記エアータンク1の中心軸線Cに沿って前記側板13,13に突設された回転軸14,14により回転可能に支持するとともに前記エアータンク1を海底SB付近に保持するエアータンク保持用錘2と、前記海底SB付近に保持されたエアータンク1より水平方向に所定距離を隔てた位置の海面SF付近に配置された津波検知浮子3と、前記津波検知浮子3と前記エアータンク1の周壁11とを連結するエアータンク回転用ワイヤー4とから構成される。
前記開口部12は中心軸線Cにおける水平面よりも下方に形成されており、開口部12の開口面積、形状および数量などによって、例えばエアータンク1が配置される水深に応じてエアーAが噴き上げられるタイミングや量を調整することができ、また、エアータンク1の強度も調整可能である。
前記回転軸14,14は、エアータンク1の中心軸線Cに沿って配置されて両端を前記側板13,13から所定の長さだけ気密に突出させた中心軸15により構成されており、中心軸15がエアータンク1の両側面の側板13,13を貫通してエアータンク1内の長手方向に配置されていることで回転軸14,14やエアータンク1の強度を補強する効果がある。
更に、エアータンク1はその長手方向の中心位置に通孔17を有する前記側板13とほぼ同形状の補強板16を形成しており、海中に配置した際の水圧による破損を防止するために補強しているとともに充填するエアーAは前記通孔17を通じてエアータンク1内部に行き渡らせることができる。
エアータンク1は図3および図4に示すように、その中心軸線Cが水平となるように配置されており、海中に縦横水平に配置したときに内部にエアーAが充填可能である。
尚、エアータンク1は金属や硬質合成樹脂材などの気密性を有する板材により形成されることが望ましく、金属など塩水により腐食し易い材料で形成する場合には塩害防止塗装などを施すことで耐性を向上させるとよい。
一方、前記エアータンク1を前記開口部12が海底SBに向けた状態で水平に支持するエアータンク保持用錘2は、側面視台形で上面が開放されている略箱型形状を呈する例えばコンクリートなどにより形成されて海底SBに設置される錘本体21と、この錘本体21の上方で前記エアータンク1を水平に且つ前記回転軸14を挿通させて回転可能に支持する軸孔22を有する錘本体21の両端に形成された支持部23とからなり、前記錘本体21は少なくとも内部にエアーAを充填した前記エアータンク1をその浮力に抗して所定の深さを有する海底に保持可能な固定力(耐荷重)を必要とする。
図4および図5に示すように、エアータンク保持用錘2を海底SBが沖側上がり方向或いは沖下がり方向に傾斜した箇所に設置する場合にも長手方向の水平度さえ保って配備すればエアータンク1の開口部12は真下で水平に配備でき、津波Tが到達すると同時にエアータンク回転用ワイヤー4が引かれ円筒型のエアータンク1が回転し中に伏せ込まれていたエアーAが開口部12から海中に噴き出されてその真上を津波の質量輸送エネルギーが通過する時そのエネルギーを緩和する仕組みになっている。
本実施の形態では図3乃至図5に示すようにエアータンク保持用錘2は底面24の四隅に海底SBに固定するくさび杭25が配置されており、更に強固にエアータンク保持用錘2を海底SBに設置することが可能であって、特に、海底SBが傾斜している場合でもずり落ちる心配がない。
また、本実施の形態では、前記エアータンク1の周壁11における長手方向両端部に、津波Tが到達すると同時に海面SFおよび海中SIで反応して大きく浮き上がる一対の海面用津波検知浮子31と海中用津波検知浮子32からなる津波検知浮子3を連結したエアータンク回転用ワイヤー4が海底SBに設置された真下滑車付き錘51,途中滑車付き錘52を介して連結されている。
前記一対の海面用津波検知浮子31と海中用津波検知浮子32は洋上の強風、うねり波浪などの影響を最小限度とするとともに津波の大波の海水の山には確実に反応し大きく押し上げられる断面流線形で円盤形の形状である。
更に、本実施の形態では、前記各エアータンク回転用ワイヤー4は前記津波検知浮子3の真下に位置する海底SBに設置される真下滑車付錘51と、途中の海底SBに配置される途中滑車付錘52を介してエアータンク保持用錘2の滑車53を通り、エアータンク1の長手方向両端部の津波検知浮子3と反対側に位置する周壁11に設けられたワイヤー取付部41に取り付けられており、図7に示すように津波Tが津波検知浮子3に到達すると海中と海面に配置された一対の海面用津波検知浮子31と海中用津波検知浮子32が同時に大きく浮き上がりエアータンク回転用ワイヤー4が引かれることにより円筒型のエアータンク1の開口部12が上方に回転して内部に充填させてあったエアーAが噴き出して上を通過するまだ流れが発生していない津波の質量輸送エネルギーを緩和し海水の山を留める仕組みである。
また、本実施の形態では、エアータンク保持用錘2の頂部四隅に形成されたワイヤー取付部26に計4本の吊下げ用ワイヤー61と、エアータンク1の頂部にあたる開口部12の反対側の周壁11の長手方向両端部に設けられたワイヤー取付部42のそれぞれに計2本の水平維持用ワイヤー62と、エアータンク保持用錘2の中央付近から逆止弁を有する空気圧入管8とがそれぞれ海面SFまで配備されて常時ほぼ垂直維持できるよう回転制御浮子7で保持されており、伏せこまれたエアーAを保持するために水平度維持を要するエアータンク1の開口部12は平常時の安定性を維持できる仕組みである。
更に、津波Tに反応してエアーAをエアータンク1内部より放出した後は、回転制御浮子7によりエアータンク1は開口部12が海底SB方向を向いた平常時の姿勢に戻されるため、空気圧入管8からエアーAをエアータンク1内に送るだけで、再度本装置が使用可能となる。
尚、回転制御浮子7に繋がれた吊下げ用ワイヤー61および水平維持用ワイヤー62は、津波到達時に津波検知浮子3が浮き上がりエアータンク回転用ワイヤー4が有効に作動することを妨げるなどの悪影響を及ぼさない。
また、前記エアータンク1の開口部12の下方に逆流防止弁付の空気圧入管8の一端を配し他端を回転制御浮子7に取り付けて海面SFに保持することによりエアータンク1を海底SB付近に設置した状態でエアータンク1内に開口部12からエアーAを充填することが可能である。
エアータンク回転用ワイヤー4の取り付け位置についてはエアータンク1に複数設けたワイヤー取付部41,42から選択して取り付け可能であり、例えばエアータンク1を設置する地形や水深などに応じ開口部12を回転させる角度を調整したい場合などに容易に調整を行うことができる。
回転制御浮子7に吊下げ用ワイヤー61、水平維持用ワイヤー62、空気圧入管8が繋がれて海面SFに保持されていることで作業性やメンテナンス性に優れている。
更に、回転制御浮子7に発電機能を設け、送受信、灯火、海上保安など必要に応じて漁業、航行、救難の用途に使用することもできる。
尚、符号63は吊下げ用ワイヤー61および水平維持用ワイヤー62に取り付けられた補助浮子、符号81は空気圧入管8を挿通させるためにエアータンク保持用錘2の錘本体21に形成した通路である。
そして、図7に示すように、沖合から押し寄せる津波Tが前記津波検知浮子3に達したときに前記津波検知浮子3が浮き上がりエアータンク回転用ワイヤーロープ4が引かれてその基端に取り付けられているエアータンク1の円筒形状の周壁11を真下滑車付錘51方向(沖方向)に引いてエアータンク1の回転軸14,14を中心として回転させ内部に充填してあるエアーAが進行してくる津波Tの真下に噴き上がり図8に示すようにエアー層Aが海水中の押し合い引き合っている分子S、発生源から伝播する津波の質量輸送エネルギー分子の力方向Wなどのエアータンク1に近づく津波の質量輸送エネルギーを緩和する。
また、図9は、エアータンク保持用錘2の一基に複数(本実施例では2個)のエアータンク1,1を並列に並べて取り付け1本のエアータンク回転用ワイヤー4を連結し連動させるものであり、この場合には一か所で複数列の空気層を噴き上げることができる。
尚、エアータンク保持用錘2の一基に複数(本実施例では2個)のエアータンク1,1を直列に並べて設置してもよい(図示せず)。
更に、図10に示すように、前記エアータンク回転用ワイヤー4より連結された検知用浮子3とエアータンク保持用錘2に支持したエアータンク1を、沖から沿岸方向にわたって一定の間隔で幾重にも配備することにより、沖から到達する津波に反応して次々と噴き上がる空気層の真上を必ず津波が通過しそのエネルギーを一つ一つ緩和することができる。
また、この図10に示すように、エアータンク1の長手方向両端部と中央の3箇所でエアータンク1と津波検知浮子3とが海底SBに設置された滑車付き錘51,52を介してエアータンク回転用ワイヤー4により連結されている場合、より強力にエアータンク回転用ワイヤー4を引いてエアータンク1を回転させることができる。
図11および図12は本発明の異なる実施の形態を示すものであり、全体の構成並びに作用・効果は前記図1乃至図7に示した実施の形態とほぼ同様であるが、前記図1乃至図7に示した実施の形態ではエアータンク回転用ワイヤー4によりエアータンク1と津波検知浮子3とが海底SBに設置された滑車付き錘51,52を介して連結されているものに対して、エアータンク1と津波検知浮子3とを連結したエアータンク回転用ワイヤー4の途中に、エアータンク1より水平方向に所定の距離を隔てた位置の海底に設置された補助錘9に一端を止着するとともに複数の補助浮子92を接続した補助ワイヤー91の他端93が止着されており滑車付き錘51,52を用いない点において異なる。
本実施の形態によれば、海底SBに起伏障害物Rがある場合にも、前記起伏障害物Rよりも高い位置でエアータンク回転用ワイヤー4に補助ワイヤー91の他端93を止着させ、かつ複数の補助浮子92をエアータンク回転用ワイヤー4および補助ワイヤー91に取り付けることで、津波検知浮子3が津波Tにより押し上げられてエアータンク回転用ワイヤー4が引かれる際に起伏障害物Rに影響されず作動させることができる。
尚、図4,図5,図6,図9に2点鎖線で示したエアータンク回転用ワイヤー4は補助錘9を用いる本実施の形態におけるエアータンク回転用ワイヤー4の位置を示すものである。
図13は本発明の異なる実施の形態を示すものであり、本実施の形態では、エアータンク回転用ワイヤー4によりエアータンク1と津波検知浮子3とがエアータンク保持用錘2に取り付けた滑車53および海底SBに設置された滑車付き錘51を介して連結されているとともに、エアータンク回転用ワイヤー4の途中に、エアータンク1より水平方向に所定の距離を隔てた位置の海底に設置された補助錘9に一端を止着した補助ワイヤー91の他端93が止着されている。
本実施の形態では、図9に示した実施の形態と同様にエアータンク保持用錘2に2つのエアータンク1が備えられており、前記2つのエアータンク1の間に配置された滑車43を介して各ワイヤー取付部41,41にそれぞれ固定されてエアータンク回転用ワイヤー4を取り付けているため、エアータンク回転用ワイヤー4を弛ませることなく引くことができる。
本実施の形態によれば、2つのエアータンク1をエアータンク保持用錘2に配置したことにより一か所で複数列の空気層を噴き上げることができるのみならず、滑車53および滑車43を用いたことによって作動の確実性をより高めることができる。
以上のように本発明は、海面付近にエアータンクを配置することなく、海底SBにエアータンク保持用錘2に保持されたエアータンク1を配置したことで船舶の航行に支障がないのみならず、エアータンク1、エアータンク保持用錘2、津波検知浮子3、エアータンク回転用ワイヤー4からなる電気を使用しない簡易な構成であって、海底の起伏に拘わらず安定した状態で海底に設置可能であるとともに作動が正確で確実に津波の質量輸送エネルギーを緩和しメンテナンス性にも富み、かつ自然環境への影響が少ない。
更に、本発明は、発生源から幾重にも押し寄せて来る津波の質量輸送エネルギー海水の山の上下動伝播を一つ一つ緩和するため二重三重に配備することが望ましく、特に、入り江、湾、リアス海岸、重要沿岸の沖合には地域、場所、環境、条件に応じて幾重にも配備設置することが大災害被災復興よりはるかに経済性に富んだ対策である。
1 エアータンク、2 エアータンク保持用錘、3 津波検知浮子、4 エアータンク回転用ワイヤー、7 回転制御浮子、8 空気圧入管、9 補助錘、11 周壁、12 開口部、13 側面、14 回転軸、15 中心軸、16 補強板、17 通孔、21 錘本体、22 支持部、23 軸孔、24 底面、25 くさび杭、31 海面用津波検知浮子、32 海中用津波検知浮子、41 ワイヤー取付部、42 ワイヤー取付部、43 滑車、51 真下滑車付き錘、52 途中滑車付き錘、53 滑車、61 吊下げ用ワイヤー、62 水平維持用ワイヤー、63 補助浮子、81 通路、91 補助ワイヤー、92 補助浮子、93 他端、A エアー、C 中心軸線、S 分子、T 津波、R 起伏障害物、W 津波の質量輸送エネルギー分子の力方向、SF 海面、SI 海中、SB 海底

Claims (9)

  1. 両側面を閉じた横長円筒形状で内部にエアーを充填可能であって海底側に開口部を形成したエアータンクと、前記エアータンクの中心軸線に沿って設けられた回転軸により回転可能に支持するとともに前記エアータンクを海底付近に保持するエアータンク保持用錘と、前記海底付近に保持されたエアータンクより水平方向に所定距離を隔てた位置の海面付近に配置された津波検知浮子と、前記津波検知浮子と前記エアータンクの周壁とを連結するエアータンク回転用ワイヤーとからなり、
    海面付近に浮遊する前記津波検知浮子に津波が到達した際、前記津波検知浮子が津波により押し上げられることで前記エアータンク回転用ワイヤーが引かれて前記エアータンクを前記回転軸において回転させることにより下方に向けてあった前記開口部を上方に回転させて内部に充填してあるエアーをその上方に到達した津波に吹き上げて津波の質量輸送エネルギーを緩和することを特徴とする津波の質量輸送エネルギー緩和装置において、前記エアータンクの頂部に、先端に回転制御浮子を取り付けたワイヤーが取り付けられていることにより、前記エアータンクの回転を制御して前記開口部を海底側に向けて維持することを特徴とする津波の質量輸送エネルギー緩和装置。
  2. 前記エアータンクの周壁における少なくとも軸線方向の両端部に前記津波検知浮子を連結したエアータンク回転用ワイヤーがそれぞれ連結されていることを特徴とする請求項1記載の津波の質量輸送エネルギー緩和装置。
  3. 前記エアータンク回転用ワイヤーが、海底に設置された前記エアータンク回転用ワイヤーを掛止する滑車付き錘を介して前記エアータンクと前記津波検知浮子との間を連結していることを特徴とする請求項1または2記載の津波の質量輸送エネルギー緩和装置。
  4. 前記エアータンク回転用ワイヤーの途中に、前記エアータンクより水平方向に所定の距離を隔てた位置の海底に設置された補助錘に一端を止着した補助ワイヤーの他端が止着されていることを特徴とする請求項1,2または3記載の津波の質量輸送エネルギー緩和装置。
  5. 前記エアータンクの周壁に、複数のワイヤー取付部が周方向に設けられていることにより、前記エアータンク回転用ワイヤーを前記エアータンクの周壁に連結する際に取り付け位置が選択可能であることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の津波の質量輸送エネルギー緩和装置。
  6. 前記津波検知浮子が海面に位置する円盤形の海面用津波検知浮子と海中に位置する円盤形の海中用津波検知浮子からなることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の津波の質量輸送エネルギー緩和装置。
  7. 前記エアータンクの開口部の下方に逆流防止弁付の空気圧入管の一端を配し他端を海面に保持することにより前記エアータンクを海底付近に設置した状態で前記エアータンク内にエアーを充填できることを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載の津波の質量輸送エネルギー緩和装置。
  8. 前記一つのエアータンク保持用錘に複数のエアータンクをそれらの中心軸線を同軸にして或いは中心軸線を平行にして並設することを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7記載の津波の質量輸送エネルギー緩和装置。
  9. 前記エアータンク回転用ワイヤーにより連結された津波検知用浮子とエアータンク保持用錘に支持したエアータンクを、沖から沿岸方向にわたって一定の間隔で幾重にも配備することにより、沖から到達する津波に反応して次々と噴き上がる空気層の真上を必ず津波が通過しそのエネルギーが一つ一つ緩和されることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の津波の質量輸送エネルギー緩和装置。
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