JP6554055B2 - プラズマ生成装置、プラズマ生成方法およびプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ生成装置、プラズマ生成方法およびプラズマ処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマ生成装置、プラズマ生成方法およびプラズマ処理方法に関する。
電極対に高電圧を印加して処理ガスをプラズマ化し、プラズマを被処理部材に接触させて、エッチング処理、プラズマCVD(chemical vapor deposition)処理、表面処理等の各種のプラズマ処理を行うことが知られている。
このようなプラズマ処理を被処理部材に対して行う場合、処理を均一化するために、生成されるプラズマの強度を均一化する必要がある。しかしながら、特に、大面積の被処理部材に対してプラズマ処理を行うために幅広の電極対を用いてプラズマを生成する場合に、電極対の幅方向においてプラズマ強度の分布が不均一になってしまうという問題があった。電極上を伝搬する進行波に対して逆方向に進行する後退波も存在しており、それらの波が合成されることにより、場所によって振幅の大小がある定在波が発生するからである。
これに対して、幅広の電極対を用いる場合に、電極への給電点を増やして電極の各位置における電圧分布を平均化することが行われている。
さらに、特許文献1では、高周波電源に対して、各々共通のRF電源に接続された複数個のRF供給端子を設け、各RF供給端子におけるバイアス電圧を検出して各RF供給端子の電圧が等しくなるように設定する設定装置を設けることで、プラズマ強度の分布を均一化することが記載されており、設定装置が中心電位となるRF供給端子以外の各RF供給端子と共通のRF電源との間に挿入された可変容量からなることが記載されている。
また、特許文献2には、基板中央部の隣接する放電電極部分では給電点同士の位相差が同位相となるようにケーブルの電気的特性を調整し、基板端部近傍の放電電極部分ではケーブルの電気的特性を調整して給電点の位相差を変化させ、高周波電力の給電点における位相を調整することで、複数の給電点に給電される高周波電力間の位相差の発生を抑えてプラズマ強度の分布を均一にすることが記載されている。
特開昭58−145100号公報 特開2007−67441号公報
しかしながら、RF供給端子と共通のRF電源との間に可変容量を挿入して各RF供給端子の電圧が等しくなるように設定する設定装置とする構成は、可変容量そのものでコストがかかる。また、可変容量を取り付けるスペース確保のために装置が大型化し、装置全体としてもコストが上がるという問題があった。
一方、ケーブルの電気的特性を調整して高周波電力の給電点における位相を調整する構成は、最適な給電構成とするためにプラズマを止めて装置を開けたあと、逐次ケーブルを取り替える必要があるので実用性が低いという問題があった。また、最適値を得られるまでに検討すべきケーブルの種類が多くなってしまうという問題があった。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、簡易的な機構で高周波電極の複数の給電点における波の位相を変化させることで定在波の腹の位置を調節できるので、電圧分布が最適になるような最適な給電状態を簡便に得ることができるプラズマ生成装置、プラズマ生成方法およびプラズマ処理方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、複数の給電点を有する電極、電極の主面に対面して配置される対向電極、電極に高周波電力を供給し電極と対向電極との間にプラズマを励起する高周波電源、高周波電源から電極の複数の給電点に接続されている複数の導線、導線を覆って配置される、接地された接地導体、および、少なくとも1つの導線と接地導体との間の少なくとも一部に配置される誘電体、を有し、誘電体が、導線と、導体に近接する接地導体と、の間の空間に占める誘電体の割合を変更可能に配置されていることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
[1] 複数の給電点を有する電極、
電極の主面に対面して配置される対向電極、
電極に高周波電力を供給し電極と対向電極との間にプラズマを励起する高周波電源、
高周波電源から電極の複数の給電点に接続されている複数の導線、
導線を覆って配置される、接地された接地導体、および、
少なくとも1つの導線と接地導体との間の少なくとも一部に配置される誘電体、を有し、
誘電体が、導線と、導線に近接する接地導体と、の間の空間に占める誘電体の割合を変更可能に配置されているプラズマ生成装置。
[2] 接地導体がシールド部材である[1]に記載のプラズマ生成装置。
[3] 誘電体が、導線および導線に近接する接地導体の配列方向と直交する方向に移動可能に配置されている[1]または[2]に記載のプラズマ生成装置。
[4] 誘電体が、導線の幅方向に移動可能に配置されている[3]に記載のプラズマ生成装置。
[5] 誘電体が、導線の長手方向に移動可能に配置されている[3]に記載のプラズマ生成装置。
[6] 接地導体が、導線および導線に近接する接地導体の配列方向に移動可能に配置されている[1]または[2]に記載のプラズマ生成装置。
[7] 複数の給電点を有する電極に複数の導線を介して高周波電力を供給し、電極と電極の主面に対面して配置される対向電極との間にプラズマを励起するプラズマ生成方法であって、
導線と少なくとも1つの導線を覆って配置される、接地された接地導体との間の少なくとも一部に配置されている誘電体の、導線と導線に近接する接地導体との間の空間に占める割合を変更することで、導線のキャパシタンスを変更するプラズマ生成方法。
[8] 接地導体がシールド部材である[7]に記載のプラズマ生成方法。
[9] 誘電体を、導線および導線に近接する接地導体の配列方向と直交する方向に移動することで、導線と接地導体との間の空間に占める誘電体の割合を変更する[7]または8に記載のプラズマ生成方法。
[10] 誘電体を、導線の幅方向に移動する[9]に記載のプラズマ生成方法。
[11] 誘電体を、導線の長手方向に移動する[9]に記載のプラズマ生成方法。
[12] 接地導体を、導線および導線に近接する接地導体の配列方向に移動することで、導線と接地導体との間の空間に占める誘電体の割合を変更する[7]または[8]に記載のプラズマ生成方法。
[13] 複数の給電点を有する電極に複数の導線を介して高周波電力を供給し、電極と電極の主面に対面して配置される対向電極との間にプラズマを励起して、電極と対向電極との間に配置された被処理部材にプラズマ処理を行うプラズマ処理方法であって、
導線と少なくとも1つの導線を覆って配置される、接地された接地導体との間の少なくとも一部に配置されている誘電体の、導線と導線に近接する接地導体との間の空間に占める割合を変更することで、導線のキャパシタンスを変更するプラズマ処理方法。
[14] 接地導体がシールド部材である[13]に記載のプラズマ処理方法。
[15] 誘電体を、導線および導線に近接する接地導体の配列方向と直交する方向に移動することで、導線と接地導体との間の空間に占める誘電体の割合を変更する[13]または[14]に記載のプラズマ処理方法。
[16] 誘電体を、導線の幅方向に移動する[15]に記載のプラズマ処理方法。
[17] 誘電体を、導線の長手方向に移動する[15]に記載のプラズマ処理方法。
[18] 接地導体を、導線および導線に近接する接地導体の配列方向に移動することで、導線と接地導体との間の空間に占める誘電体の割合を変更する[13]または[14]に記載のプラズマ処理方法。
本発明によれば、簡易的な機構で高周波電極内にて電極内の定在波の腹の位置を連続的に調整することができ、最適な電圧分布を簡便に得ることができるプラズマ生成装置、プラズマ生成方法およびプラズマ処理方法を提供することができる。
本発明のプラズマ生成装置の一例を模式的に示す正面図である。 図1Aをb方向から見た側面図である。 図1AのC−C線断面図である。 図1Aの電気配線図である。 本発明の作用を説明するための回路図である。 本発明のプラズマ生成装置の他の一例を模式的に示す正面図である。 本発明のプラズマ生成装置における誘電体の他の一例を示す概略断面図である。 本発明のプラズマ生成装置における誘電体の移動方法の他の一例を説明するための概略上面図である。 図6AのB−B線断面図である。 本発明のプラズマ生成装置における誘電体の移動方法の他の一例を説明するための概略断面図である。 本発明の作用を説明するための回路図である。
以下に、本発明に係るプラズマ生成装置、プラズマ生成方法およびプラズマ処理方法を添付の図面に示す好適実施形態を参照して詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、例えば、「45°」、「平行」、「垂直」あるいは「直交」等の角度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5度未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4度未満であることが好ましく、3度未満であることがより好ましい。
本明細書において、「同一」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
本発明のプラズマ生成装置は、
複数の給電点を有する電極、
電極の主面に対面して配置される対向電極、
電極に高周波電力を供給し電極と対向電極との間にプラズマを励起する高周波電源、
高周波電源から電極の複数の給電点に接続されている複数の導線、
導線を覆って配置される、接地された接地導体、および、
少なくとも1つの導線と接地導体との間の少なくとも一部に配置される誘電体、を有し、
誘電体が、導線と、導体に近接する接地導体と、の間の空間に占める誘電体の割合を変更可能に配置されているプラズマ生成装置である。
図1Aに、本発明のプラズマ生成装置の一例を模式的に表す正面図を示し、図1Bに、図1Aをb方向から見た側面図を示し、図1Cに、図1AのC−C線断面図を示す。また、図2には、図1Aの電気配線図を示す。
図1A〜図1Cに示すプラズマ生成装置10は、電極12と対向電極14とからなる電極対に高周波電圧を印加して電極対間にプラズマPを生成する装置であり、電極対間に被処理部材Zを配置して各種のプラズマ処理を行うことができる。プラズマ生成装置10は、電極12と、対向電極14と、電極格納ケース16と、接地導体18と、内部導体22と、誘電体24と、高周波電源30と、整合器32と、分配器34とを有する。
なお、本発明において、被処理部材Zには限定はなく、実施するプラズマ処理に応じて各種の部材が適宜利用可能である。
例えば、被処理部材Zに、プラズマCVD等の気相堆積法(真空成膜法)による成膜を行う場合には、被処理部材Zとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの樹脂フィルムが挙げられる。また、被処理部材Zは、樹脂フィルム等を基材として、平坦化層、保護層、密着層、反射層、反射防止層、バリア層等の各種の機能を発現するための層(膜)を成膜してなるフィルム状物であってもよい。
また、プラズマ生成装置10は、長尺な被処理部材Zを、電極対間を通過する所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつプラズマ処理を行う、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll 以下、「RtoR」ともいう)による処理を行うものであってもよいし、カットシート状の被処理部材Zを用いて、いわゆる枚葉式でプラズマ処理を行うものであってもよい。
また、例えば、プラズマ生成装置10が、プラズマCVD等の真空成膜法による成膜を行う装置である場合には、少なくとも、電極12および対向電極14は、真空チャンバ内に配置されて、プラズマ処理を行う際に、電極対の間の空間を所定の真空度にしてプラズマ処理を行うものであってもよい。
電極12は、プラズマ生成装置10において、対向電極14と共に電極対を構成するものである。電極12は、プラズマCVD等のプラズマ生成装置に用いられる公知の電極である。例えば、電極12として、いわゆる、シャワー電極が用いられる。シャワー電極は、中空の略直方体状であり、1つの最大面である放電面を対向電極14に対面して配置され、対向電極14との対向面である放電面には、多数の貫通穴が全面的に形成されるものである。
電極12は、その放電面と、電極対を構成する対向電極14との間で、プラズマPを生成する。
ここで、図1Aに示すように、電極12には、放電面とは反対側の面に、複数の給電点qを有し、後述する高周波電源30から供給される高周波電圧が、後述する内部導体22を介して各給電点qに印加される。
図に示す例では、電極12の幅方向の中央に接続される給電点qと、幅方向の両端部側に接続される2つの給電点qとの計3つの給電点qを有する。
なお、給電点qの数および配置位置には限定はなく、電極12の幅方向に均一に電圧を印加するために、給電点qの数および配置位置を適宜設定すればよい。
対向電極14は、電極12と共に電極対を構成するものであり、プラズマCVD等のプラズマ生成装置に用いられる公知の対向電極である。
電極12および対向電極14の形成材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、チタン、ステンレス等の金属を用いることができる。また、電極12の形成材料と対向電極14の形成材料とは同じであっても異なっていてもよい。また、電極12および対向電極14の表面には、誘電体の層を形成していてもよい。
また、プラズマ生成装置10は、RtoRにより長尺な被処理部材Zを長手方向に搬送しつつプラズマ処理を行うものである場合には、対向電極14は、中心軸周りに回転可能な円筒状の部材(ドラム)であってもよい。この場合には、円筒状の対向電極14の周面の所定領域に、所定の経路で案内された被処理部材Zを掛け回して、所定位置に保持しつつ長手方向に搬送する。
なお、図示例においては、対向電極14は、アースに接続されているが、これに限定はされず、必要に応じて、対向電極14にバイアスを印加するためのバイアス電源を接続してもよい。あるいは、アースとバイアス電源とを切り替え可能に接続してもよい。
バイアス電源は、各種のプラズマ生成装置で利用されている、バイアスを印加するための高周波電源やパルス電源等の公知の電源が、全て利用可能である。
また、対向電極14および電極12の向かい合う面にはそれぞれ、放電の安定性を高めるために誘電体が取り付けられていてもよい。
電極格納ケース16は、電極12の放電面以外の面を囲うように配置された、一面が開放された箱型形状の部材である。電極格納ケース16は、接地された導電性の材料からなり、電源に戻っていく電流路としての役目がある。また、電極12からの異常放電を抑制するアース板として機能させることも可能である。
電極格納ケース16の材料としては限定はなく、アルミニウム等の金属などの、従来のプラズマ生成装置で用いられる公知の材料を用いることができる。
また、電極格納ケース16の電極12と対面する面には、後述する内部導体22を電極12の各給電点qに接続される配線と電気的に接続するための高電圧用レセプタクル20が配置されている。これにより、内部導体22と電極格納ケース16とは絶縁されている。
内部導体22は、本発明における導線であり、後述する高周波電源30から印加される高周波電力を電極12に供給するための配線である。図示例においては、プラズマ生成装置10は、高周波電源30からの高周波電圧を分配する分配器34と3つの給電点qそれぞれとを接続する3つの内部導体22を有する。
図示例においては、内部導体22の断面形状は扁平形状である。
接地導体18は、3つの内部導体22の周囲を囲って、内側の空間に内部導体22を内包する箱型形状の部材である。図示例においては、一面が電極格納ケース16と一体化している。接地導体18は、電極格納ケース16と同様に接地された導電性の材料からなり、シールド部材として機能する。
また、接地導体18には、後述する誘電体24を移動するための位置調整用ハンドル26の案内となる長円形状の位置調整用孔28が、所定の位置に形成されている。図1Cに示す例では、位置調整用孔28は、その幅方向(長軸方向)を、対応する位置における内部導体22の幅方向と平行にして形成されている。
誘電体24は、内部導体22と接地導体18との間の少なくとも一部に、移動可能に配置されるものである。
図1Aに示す例では、3つの内部導体22それぞれに対応して、内部導体22と接地導体18との間の少なくとも一部に誘電体24が配置されている。
また、図1Cに示すように、誘電体24は板状の部材であり、接地導体18側の面に位置調整用ハンドル26が設けられている。この位置調整用ハンドル26は、接地導体18に形成された位置調整用孔28に挿通されて先端部が接地導体18の外側に突出している。また、位置調整用ハンドル26の軸部の直径は、位置調整用孔28の径(短軸の長さ)と略同じである。この位置調整用ハンドル26を操作することで、位置調整用ハンドル26および誘電体24を位置調整用孔28の形状に沿って移動することができる。
図示例においては、位置調整用孔28が、その幅方向(長軸方向)を対応する位置における内部導体22の幅方向と平行にして形成されているので、位置調整用ハンドル26を操作することで、誘電体24は、内部導体22と接地導体18との間で、内部導体22および接地導体18の配列方向と直交する方向あって、内部導体22の幅方向に移動される。
従って、図1Aにおいては、中央に配置される内部導体22に対応して配置される誘電体24は図中左右方向に移動可能であり、左右に配置される内部導体22の図中左右方向に延在する領域に対応して配置される誘電体24は図中上下方向に移動可能である。
なお、位置調整用ハンドル26は、操作者が手動で操作可能な構成であってもよいし、電動モータ等の駆動源により操作されるものであってもよい。
本発明のプラズマ生成装置10は、誘電体24を内部導体22の幅方向に移動することで、内部導体22と接地導体18の内部導体22に近接する部位との間の空間に占める誘電体24の割合を変更可能に構成されている。
このような構成とすることで、図2に示すように、内部導体22に可変容量を接続したものと等価な回路構成となる。
この内部導体22と接地導体18との間に生じる可変容量について、簡略化したモデルである図3を用いて説明する。
定在波の位相を制御するには、それぞれの給電点での電圧の位相を変化させることが必要なので、給電点にいたるまでの内部導体にて位相の遅れをつくる必要がある。v=1/√(LC)で与えられる電磁波の速度を遅らせることでその位相の遅れを形成できる。なお、Lは、自己インダクタンスである。しかし、内部導体と接地導体間の距離を単純に変えてCを変化させても、同時にLがキャンセルしてしまい、電磁波の速度を遅らせることはできない。よって、キャパシタンスに誘電体を挿入し、その誘電率によってCを変化させることで、Lによってキャンセルされることなく速度を遅らせることが可能となる。
具体的には、まず、誘電体24を有さない場合には、高周波電圧が印加される内部導体22と、接地されている接地導体18とが隣接して配置されることで、これらの間には、いわゆる寄生容量が生じる。内部導体22と接地導体18との対面する面の面積をSとし、内部導体22と接地導体18との距離をdとし、内部導体22と接地導体18との間の空間の誘電率をε0とすると、このコンデンサ容量はC=ε0×S/dで表される。
次に、内部導体22と接地導体18との間に、誘電体24を配置した場合には、内部導体22と誘電体24とが対面する面の面積をS1とし、誘電体24の誘電率をεとすると、内部導体22と接地導体18との間に生じるコンデンサ容量はC1=ε0×ε×S1/d+ε0×(S−S1)/dとなる。
ここで、前述のとおり、誘電体24は内部導体22の幅方向に移動可能な構成を有する。そのため、誘電体24を移動することで、誘電体の占める割合が変化(S1が変化)し、コンデンサ容量C1が変化する。
したがって、内部導体22とアース(接地導体18)とを可変容量で接続したのと等価な回路構成となる。
前述のとおり、各種のプラズマ処理を行う際に、プラズマの強度分布を均一にするために、電極への給電点を増やすことが行われている。
このように電極に複数の給電点を設ける構成において、さらに、プラズマの強度分布を均一化するために、給電点(RF供給端子)と高周波電源との間に可変容量を挿入し、各給電点における電圧を検出して各給電点における電圧が等しくなるように設定する設定装置を設ける構成は、可変容量そのものでコストがかかり、また、可変容量を取り付けるスペース確保のために装置が大型化したり、可変容量のつまみを回す機構が必要となり、装置全体としてもコストが上がるという問題があった。また、可変容量は長期間、高電圧下においた使用では可変容量にてスパークが発生しやすく、定期的に取り替える必要がでてくるなどの問題もある。
また、多点給電のためには、大気側から真空側の電流導入端子を増やさなければならず、大気側に可変容量を取り付ける必要があるため、整合器から電極への長さが冗長になりやすい。そのため、なんらかの原因で反射波が増えたとき、それが定常値に戻るまでの時間がかかってしまい、電源に対して負担が大きいという問題があった。
また、高周波電源と各給電点とを接続するケーブルの電気的特性を調整して、各給電点における位相を調整してプラズマ強度の分布を均一にする構成では、最適な給電構成とするためにプラズマを止めて装置を開けたあと、逐次ケーブルを取り替える必要があるので実用性が低いという問題があった。また、最適値を得られるまでに検討すべきケーブルの種類が多くなってしまうという問題があった。
これに対して、本発明のプラズマ生成装置10は、内部導体22と接地導体18との間に誘電体24を配置し、この誘電体24を内部導体22の幅方向に移動可能な構成とし、内部導体22と接地導体18の内部導体22に近接する部位との間の空間に占める誘電体24の割合を変更することで、内部導体22と接地導体18との間に生じる可変容量の容量を調整して、入射波の位相を連続的にずらし、電極12上の定在波による電圧の位置依存性を低減してプラズマの強度分布を均一にすることができ最適な給電状態を簡便に得ることが出来る。
また、装置に可変容量などのコストの掛かる機構を取り付ける必要がなく、スペースも大きくならないため装置を小型化することができる。
また、装置の設計段階で、各内部導体22が見える適切な位置を選んで位置調整用孔28を設けておき、必要になった段階で、内部導体22と接地導体18の間に誘電体24を移動可能に配置するだけで、プラズマの強度分布を調整可能な構成とすることができる。
また、すでに組み立てられている装置に対しても、位置調整機構のための孔すら設けられない状況であっても、位置をずらせるように誘電体24を取り付ければよい。
また、プラズマが点火している状態であっても、誘電体24を移動して誘電率を連続的に変化させて、各給電点における入射波の位相を連続的にずらすことができるので、プラズマの状態、もしくは成膜後の膜厚やエッチングレートをみながら、幅方向で均一にプラズマの強度が保たれるように調整して、容易に最適状態を得ることができる。
なお、誘電体24の形成材料としては限定はなく、PTFE等の高分子材料、Al23(アルミナ)、Si34(窒化ケイ素)等の絶縁物であればよい。幅広い位相の調節幅を確保するためには、高い比誘電率を持つものがよく、アルミナなどが好適に用いられるが、コストの関係でガラスなどを代替品として使用してもよい。
高周波電源30は、電極12に、プラズマ励起電力を供給する電源である。高周波電源30は、各種のプラズマ生成装置で利用されている、公知の電源が、全て利用可能である。特に、高周波電源(RF電源)を用いることが好ましく、その周波数は、10MHz〜300MHzであるのが好ましく、13MHz〜60MHzであるのがより好ましい。
整合器32は、高周波電源30と同軸ケーブル36で接続され、高周波電源30のインピーダンスと、高周波電源30の接続負荷のインピーダンスの整合をとるものである。整合器32は、各種のプラズマ生成装置で利用されている、公知の整合器が、全て利用可能である。
分配器34は、整合器32と同軸ケーブル36で接続され、整合器32を介して高周波電源30から供給される高周波電力を電極12の給電点qに対応して複数の内部導体22に分配するものである。分配器34は、各種のプラズマ生成装置で利用されている、公知の分配器が、全て利用可能である。なお、より単純な構成として、この分配器を用いずに、単に内部導体を分割する方法でもよい。
また、図示は省略するが、プラズマ生成装置10は、電極12と対向電極14との間にプラズマを生成するための処理ガスを供給するガス供給部を有していてもよい。
ガス供給部は、各種のプラズマ生成装置に用いられる、公知のガス供給手段が全て利用可能である。
また、処理ガスは、各種のプラズマ生成装置に用いられる、公知の処理ガスが全て利用可能である。例えば、プラズマ生成装置が、プラズマCVDにより、窒化シリコン膜を成膜するものである場合には、窒化シリコン膜の原料として、シランガス、アンモニアガスを含み、必要に応じて、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、ラドンガスなどの不活性ガス等の各種のガス、窒素ガス、水素ガス等を含むものを処理ガスとして用いることができる。
ここで、図1Aに示す例では、内部導体22を3つ有する構成としたが、これに限定はされず、内部導体22を2つ有する構成であっても良いし、4以上有する構成であってもよい。
また、3つの内部導体22それぞれに対応して各1つの誘電体24、計3つを有する構成としたが、これに限定はされず、少なくとも1つの内部導体22に対応する少なくとも1つの誘電体24を有する構成であればよい。あるいは、1つの内部導体22に対して2以上の誘電体24が配置される構成であってもよい。
例えば、図4に示すプラズマ生成装置のように、電極12背面の略中央に設けられる給電点qに接続される内部導体22と接地導体18との間に配置される1つの誘電体24を有する構成であってもよい。
また、誘電体24を1つ有する構成とする場合には、電極12の略中央の給電点qに接続される内部導体22に対応して配置されるのが好ましい。
なお、内部導体22の数および誘電体24の数には限定はなく、電極12の大きさ、プラズマ生成装置10に求められる性等に応じて適宜設定すればよい。
また、図1Cに示すように、接地導体18の、位置調整用孔28の近傍には、誘電体24の位置調整のための目盛りが設けられていてもよい。
また、図1Cに示す例では、内部導体22と、この内部導体22に近接する一方の接地導体18との間に誘電体24を配置する構成としたが、これに限定はされず、内部導体22と、この内部導体22の一方の側に近接する接地導体18との間、および、他方の側に近接する接地導体18との間それぞれに誘電体24を配置する構成としてもよい。すなわち、内部導体22と接地導体18との配列方向に見た際に、接地導体18、第1の誘電体24、内部導体22、第2の誘電体24および接地導体18の順に配列し、第1の誘電体24および第2の誘電体24をそれぞれ移動可能に支持する構成としてもよい。
また、図5に示すように、内部導体22の長手方向に垂直な断面において、誘電体44の断面形状を略C形状とし、誘電体44の略C形状の開口部が内部導体22を挟むように配置する構成としてもよい。
すなわち、誘電体44は、上述した内部導体22の一方の側と他方の側とのそれぞれに配置される誘電体を一体化したものであるということもできる。
このような場合には、誘電体44は、断面における略C形状の開口方向に移動可能に支持される。
また、図1Cに示す例では、誘電体24の位置調整を行う位置調整用ハンドル26を、誘電体24の、誘電体24の移動方向に平行な面に設けて、接地導体18に設けられた長円形状である位置調整用孔28の幅方向(長軸方向)に沿って、位置調整用ハンドル26を平行移動することで、誘電体24の位置調整を行う構成としたが、これに限定はされない。例えば、図5に示すように、誘電体44の位置調整を行う位置調整用ハンドル26を、誘電体44の、誘電体44の移動方向に垂直な面に設けて、接地導体18に設けられた貫通孔の軸方向に沿って、位置調整用ハンドル26を垂直移動することで誘電体44の位置調整を行う構成としてもよい。
また、図1Cに示す例では、誘電体24は、内部導体22と接地導体18との間で、内部導体22および接地導体18の内部導体22に近接する部分の配列方向と直交する方向であって、内部導体22の幅方向に移動される構成としたが、これに限定はされない。
図6Aおよび図6Bに、本発明のプラズマ生成装置における誘電体の移動方法の他の一例を説明するための概略図を示す。図6Aは、誘電体の移動方法の他の一例を説明する概略上面図であり、図6Bは、図6AのB−B線断面図である。なお、図6Aにおいては説明のため、接地導体18の図示を省略している。
図6Aに示すように、内部導体22は、所定の形状で配線されている。この内部導体22の一部である、図中上下方向に延在する部位に対応して、この部位を覆う大きさの誘電体46が配置されている。
接地導体18は、図中上下方向に幅方向(長軸方向)を有する長円形状の位置調整用孔(図示せず)が設けられている。すなわち、位置調整用孔は、内部導体22の長手方向に幅方向(長軸方向)を有する長円形状である。
また、誘電体46の紙面に垂直な方向の上面には、位置調整用ハンドル26が設けられており、位置調整用孔に挿通されている。
したがって、位置調整用ハンドル26を操作することで、誘電体46は、内部導体22と接地導体18との間で、内部導体22および接地導体18の内部導体22に近接する部分の配列方向と直交する方向であって、内部導体22の長手方向に移動される。
このように、誘電体46を内部導体22の長手方向に移動して、誘電体46が内部導体を覆う領域の大きさを変更することで、内部導体22と接地導体18との間に生じる容量を調整することができる。
なお、このように誘電体46を内部導体22の長手方向に移動する構成は、内部導体として、断面が円形の導体を用いる場合に好適である。
また、図1Cに示す例、および、図6Aでは、誘電体24は、内部導体22と接地導体18との間で、内部導体22および接地導体18の内部導体22に近接する部分の配列方向と直交する方向に移動される構成としたが、これに限定はされない。
図7に、本発明のプラズマ生成装置における誘電体の移動方法の他の一例を説明するための概略断面図を示す。
図7に示すプラズマ生成装置は、内部導体22と、内部導体22を内包する箱型の接地導体18と、内部導体22の近傍に配置される誘電体24と、誘電体24の内部導体22側とは反対側の面に配置される可動接地導体50と、可動接地導体50に設けられ、接地導体18に形成された位置調整用孔28に挿通される位置調整用ハンドル26と、位置調整用ハンドル26の移動を規制するストッパ52とを有する。
なお、図7に示すプラズマ生成装置は、可動接地導体50およびストッパ52を有し、誘電体24の移動方向が異なる以外は、図1Cに示すプラズマ生成装置10と同じ構成を有するので、同じ部位には同じ符号を付し、以下の説明は異なる部位を主に行う。
可動接地導体50は、誘電体24の、内部導体22側とは反対側の面に配置される、接地された導体であり、接地導体18と同様の導電性の材料からなるものである。
本実施形態は、この可動接地導体50と内部導体22との間に生じる寄生容量を利用するものである。
可動接地導体50の誘電体24とは反対側の面には、位置調整用ハンドル26が設けられている。位置調整用ハンドル26は、接地導体18に形成された、貫通孔である位置調整用孔28に挿通されて先端部が接地導体18の外側に突出している。
ストッパ52は、調整した位置調整用ハンドル26の位置、すなわち、調整した誘電体24および可動接地導体50の位置を固定するものである。
位置調整用ハンドル26の先端部は、位置調整用孔28の大きさよりも大きく形成されており、すなわち、位置調整用ハンドル26の先端部は、その軸部よりも大きく形成されており、位置調整用ハンドル26の先端部と接地導体18との間にストッパ52を設置することで、調整した位置調整用ハンドル26の位置、すなわち、調整した誘電体24および可動接地導体50の位置を固定する。
図7に示すプラズマ生成装置においては、位置調整用ハンドル26を操作することで、誘電体24および可動接地導体50とが、内部導体22および接地導体18の内部導体22に近接する部分の配列方向(以下、単に「配列方向」ともいう)と平行な方向に移動される。これにより、内部導体22と可動接地導体50との間の空間に占める誘電体24の割合を変更可能に構成されている。
この内部導体22と可動接地導体50との間に生じる可変容量について、簡略化したモデルである図8を用いて説明する。
内部導体22と誘電体24とが対面する面の面積をSとし、可動接地導体50と内部導体22との間の距離をd1とし、誘電体24の、可動接地導体50、誘電体24および内部導体22の配列方向の厚さをd2とし、空間の誘電率をε0とし、誘電体24の誘電率をεとすると、内部導体22と可動接地導体50との間に生じるコンデンサ容量はC2=ε0×ε×S/(ε×(d1−d2)+d2)となる。
ここで、前述のとおり、誘電体24および可動接地導体50は、内部導体22および可動接地導体50の配列方向に移動可能な構成を有する。そのため、
内部導体22と可動接地導体50との間の距離d1を小さくすることで、誘電体の比率が増したことによるコンデンサ容量C2を増加させることができる。これにより、内部導体22内の電磁波の速度v=1/√(LC)を小さくし、位相を遅らせることができる。なお、Lは、自己インダクタンスである。
次に、本発明のプラズマ生成方法およびプラズマ処理方法について説明する。
本発明のプラズマ生成方法は、
複数の給電点を有する電極に複数の導線を介して高周波電力を供給し、電極と電極の主面に対面して配置される対向電極との間にプラズマを励起するプラズマ生成方法であって、
導線と少なくとも1つの導線を覆って配置される、接地された接地導体との間の少なくとも一部に配置されている誘電体の、導線と導線に近接する接地導体との間の空間に占める割合を変更することで、導線のキャパシタンスを変更するプラズマ生成方法である。
また、本発明のプラズマ処理方法は、
複数の給電点を有する電極に複数の導線を介して高周波電力を供給し、電極と電極の主面に対面して配置される対向電極との間にプラズマを励起して、電極と対向電極との間に配置された被処理部材にプラズマ処理を行うプラズマ処理方法であって、
導線と少なくとも1つの導線を覆って配置される、接地された接地導体との間の少なくとも一部に配置されている誘電体の、導線と導線に近接する接地導体との間の空間に占める割合を変更することで、導線のキャパシタンスを変更するプラズマ処理方法である。
以下、図1Aに示すプラズマ生成装置10の作用を説明することで、本発明のプラズマ生成方法およびプラズマ処理方法を説明する。
前述のとおり、プラズマ生成装置10は、電極12の複数の給電点qに接続される内部導体22と、接地導体18との間に、移動可能な誘電体24を配置した構成を有する。
まず、電極12と対向電極14との間に、被処理部材Zを配置する。
なお、長尺な被処理部材Zを搬送しつつ、RtoRにより処理を行う装置の場合には、ロールから被処理部材Zが引き出され、電極12と対向電極14との間を通過して巻取り軸に至る所定の搬送経路を挿通される。
被処理部材Zが電極12と対向電極14との間に配置されたら、必要に応じて、電極12および対向電極14を内包する真空チャンバ内を真空排気手段で所定の真空度以下にする。
次いで、電極12と対向電極14との間に処理ガスを供給し、さらに、真空排気手段を駆動して所定圧力(真空度)に調節する。
次に、RtoRの場合には、被処理部材Zの搬送を開始し、さらに、高周波電源30を駆動して、整合器32および分配器34を介して、電極12の各給電点qに高周波電力を供給し、電極12と対向電極14との間にプラズマPを生成する。これにより、電極12と対向電極14との間に配置された被処理部材ZにプラズマPを接触させて、各種のプラズマ処理を実行する。
ここで、前述のとおり、本発明においては、電極12の複数の給電点qに接続される内部導体22と、接地導体18との間に、移動可能な誘電体24を配置した構成を有する。誘電体24の位置を調整して、内部導体22と接地導体18の内部導体22に近接する部位との間の空間に占める誘電体24の割合を変更することで、内部導体22と接地導体18との間に生じる可変容量の容量を調整して、入射波の位相を連続的にずらし、電極12上の定在波の発生を低減してプラズマの強度分布を均一にすることができ最適な給電状態を簡便に得ることが出来る。
以上、本発明のプラズマ生成装置、プラズマ生成方法およびプラズマ処理方法について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
図1Aに示すようなプラズマ生成装置を用いて、評価を行った。
電極12および対向電極14はそれぞれ、大きさ1100mm×30mm、材質:ステンレスの平板状の電極を用いた。電極12と対向電極14との間の距離は、1.5mmとした。また、対向電極14は接地した。
電極12の給電点qは3点とし、各給電点qと分配器34との間に接続される内部導体22として幅30mmの導線を用いた。
接地導体18としては、材質:ステンレスの箱型の部材を用い、内部導体22と接地導体18との間の距離は、20mmとした。また、接地導体18は接地した。また、接地導体18には、内部導体22に対応する位置に、内部導体22の幅方向に長軸を有する長円形状の位置調整用孔28を設けた。
内部導体22と接地導体18との間にはそれぞれ、厚さ19mm、大きさ200mm×40mm、材質:アルミナ(比誘電率9.5)の誘電体24を移動可能に配置した。誘電体24に設けられた位置調整用ハンドル26を、位置調整用孔28に挿通し、誘電体24を内部導体22の幅方向に移動可能な構成とした。
誘電体24の位置調整は、誘電体24の位置を適宜変更して、電極12の幅方向における電圧分布を測定し、電圧分布の変動が最も小さくなる誘電体24の位置を求めた。
具体的には、電圧分布は、プラズマを点火させている状態で高電圧プローブ(Tektronix社製 P6015A)とオシロスコープを用いて、電極12の各位置で電圧の振幅を計測し、電極の幅方向における電圧分布を得られる。
プラズマを励起する際に高周波電源30が印加する高周波電力は、周波数27.12MHz、電力1500Wとした。また、処理ガスは、アルゴンガスを用い、レート50L/minで電極12と対向電極14との間に導入した。また、大気圧下で行った。
誘電体24が内部導体22からもっとも離れた位置にて高周波電源30を入れ、プラズマが点火している状態にて電圧の振幅の違いの位置依存性を計測し、変動比を記録する。誘電体24と内部導体22の重なり量を、各内部導体22において増加/減少させながら最適点を探索する。これにより、電圧の幅方向分布が最小になる誘電体の位置を確認した。
測定した電圧分布の変動比(=(最大電圧−最小電圧)×100/最大電圧)を求めた。まず、誘電体24が内部導体から最も離れた位置にある状態での変動比は15%であった。また、電圧の幅方向分布が最小になるように誘電体の位置調整を行った状態での変動比は6%であった。
[比較例1]
誘電体を配置せず、分配器と給電点との間に可変容量を直列に配置する構成とした以外は実施例1と同様の構成のプラズマ生成装置として、電圧分布の変動比を測定した。
可変容量としては、50pF〜1000pFで調整できるものを用いた。
なお、実施例1と同じ接地導体18では、可変容量が入りきれないので、接地導体を拡張してより大きな空間をもつようにし、可変容量を調節できる回転式ハンドルを接地導体の外側に取り付けた。
測定の結果、可変容量を挿入する前の変動比は15%、可変容量を挿入し、調整した後の変動比は6%であった。
[実施例2]
接地導体18に形成される位置調整用孔を、内部導体22の長手方向に長軸を有する長円形状の孔とし、誘電体24を内部導体22の長手方向に移動可能な構成とした以外は実施例1と同様の構成のプラズマ生成装置として、電圧分布の変動比を測定した。
測定の結果、誘電体24の位置調整をする前の変動比は15%、誘電体24の位置調整をした後の変動比は6%であった。
[実施例3]
誘電体24の内部導体22とは反対側の面に可動接地導体50を配置し、誘電体24および可動接地導体50を配列方向に移動可能な構成とした以外は実施例1と同様の構成のプラズマ生成装置として、電圧分布の変動比を測定した。
測定の結果、誘電体24の位置調整をする前の変動比は15%、誘電体24の位置調整をした後の変動比は6%であった。
以上より本発明のいずれの実施例も比較例より簡易な機構で同等の効果を有していることは明らかである。
10 プラズマ生成装置
12 電極
14 対向電極
16 電極格納ケース
18、50 接地導体
20 高電圧用レセプタクル
22 内部導体
24、44、46 誘電体
26 位置調整用ハンドル
28 位置調整用孔
30 高周波電源
32 整合器
34 分配器
36 同軸ケーブル
40 目盛り
52 ストッパ

Claims (15)

  1. 複数の給電点を有する電極、
    前記電極の主面に対面して配置される対向電極、
    前記電極に高周波電力を供給し前記電極と前記対向電極との間にプラズマを励起する高周波電源、
    前記高周波電源から前記電極の複数の前記給電点に接続されている複数の導線、
    前記導線を覆って配置される、接地された接地導体、および、
    少なくとも1つの前記導線と前記接地導体との間の少なくとも一部に配置される誘電体、を有し、
    前記接地導体は、箱型形状を有し、内部に前記複数の導線を内包しており、
    前記誘電体を、前記導線と前記接地導体との間で、前記導線と前記導線に近接する前記接地導体との配列方向に直交する方向に、移動させることで、前記導線と、前記導線に近接する前記接地導体との間の空間に占める前記誘電体の割合を変更可能としていることを特徴とするプラズマ生成装置。
  2. 複数の給電点を有する電極、
    前記電極の主面に対面して配置される対向電極、
    前記電極に高周波電力を供給し前記電極と前記対向電極との間にプラズマを励起する高周波電源、
    前記高周波電源から前記電極の複数の前記給電点に接続されている複数の導線、
    前記導線を覆って配置される、接地された接地導体、および、
    少なくとも1つの前記導線と前記接地導体との間の少なくとも一部に配置される誘電体および可動接地導体、を有し、
    前記接地導体は、箱型形状を有し、内部に前記複数の導線を内包しており、
    前記誘電体および可動接地導体を、前記導線と前記接地導体との間で、前記導線と前記導線に近接する前記接地導体との配列方向に移動させることで、前記導線と、前記導線に近接する前記可動接地導体との間の空間に占める前記誘電体の割合を変更可能としていることを特徴とするプラズマ生成装置。
  3. 前記接地導体がシールド部材である請求項1または2に記載のプラズマ生成装置。
  4. 前記誘電体が、前記導線の幅方向に移動可能に配置されている請求項に記載のプラズマ生成装置。
  5. 前記誘電体が、前記導線の長手方向に移動可能に配置されている請求項に記載のプラズマ生成装置。
  6. 複数の給電点を有する電極に複数の導線を介して高周波電力を供給し、前記電極と前記電極の主面に対面して配置される対向電極との間にプラズマを励起するプラズマ生成方法であって、
    前記複数の導線は、接地された箱型形状の接地導体に内包されており、
    前記導線と少なくとも1つの前記導線を覆って配置される、接地された接地導体との間の少なくとも一部に配置されている誘電体を前記導線と前記接地導体の間で、前記導線と前記導線に近接する前記接地導体との配列方向に直交する方向に移動させて、前記誘電体の、前記導線と前記導線に近接する前記接地導体との間の空間に占める割合を変更することで、前記導線のキャパシタンスを変更可能としていることを特徴とするプラズマ生成方法。
  7. 複数の給電点を有する電極に複数の導線を介して高周波電力を供給し、前記電極と前記電極の主面に対面して配置される対向電極との間にプラズマを励起するプラズマ生成方法であって、
    前記複数の導線は、接地された箱型形状の接地導体に内包されており、
    前記導線と少なくとも1つの前記導線を覆って配置される、接地された接地導体との間の少なくとも一部に配置されている誘電体および可動接地導体を前記導線と前記接地導体の間で、前記導線と前記導線に近接する前記接地導体との配列方向に移動させて、前記誘電体の、前記導線と前記導線に近接する前記可動接地導体との間の空間に占める割合を変更することで、前記導線のキャパシタンスを変更可能としていることを特徴とするプラズマ生成方法。
  8. 前記接地導体がシールド部材である請求項6または7に記載のプラズマ生成方法。
  9. 前記誘電体を、前記導線の幅方向に移動する請求項に記載のプラズマ生成方法。
  10. 前記誘電体を、前記導線の長手方向に移動する請求項に記載のプラズマ生成方法。
  11. 複数の給電点を有する電極に複数の導線を介して高周波電力を供給し、前記電極と前記電極の主面に対面して配置される対向電極との間にプラズマを励起して、前記電極と前記対向電極との間に配置された被処理部材にプラズマ処理を行うプラズマ処理方法であって、
    前記複数の導線は、接地された箱型形状の接地導体に内包されており、
    前記導線と少なくとも1つの前記導線を覆って配置される、接地された接地導体との間の少なくとも一部に配置されている誘電体を前記導線と前記接地導体との間で、前記導線と前記導線に近接する前記接地導体との配列方向に直交する方向に移動させて、前記誘電体の、前記導線と前記導線に近接する前記接地導体との間の空間に占める割合を変更することで、前記導線のキャパシタンスを変更可能としていることを特徴とするプラズマ処理方法。
  12. 複数の給電点を有する電極に複数の導線を介して高周波電力を供給し、前記電極と前記電極の主面に対面して配置される対向電極との間にプラズマを励起して、前記電極と前記対向電極との間に配置された被処理部材にプラズマ処理を行うプラズマ処理方法であって、
    前記複数の導線は、接地された箱型形状の接地導体に内包されており、
    前記導線と少なくとも1つの前記導線を覆って配置される、接地された接地導体との間の少なくとも一部に配置されている誘電体および可動接地導体を前記導線と前記接地導体との間で、前記導線と前記導線に近接する前記接地導体との配列方向に移動させて、前記誘電体の、前記導線と前記導線に近接する前記可動接地導体との間の空間に占める割合を変更することで、前記導線のキャパシタンスを変更可能としていることを特徴とするプラズマ処理方法。
  13. 前記接地導体がシールド部材である請求項11または12に記載のプラズマ処理方法。
  14. 前記誘電体を、前記導線の幅方向に移動する請求項11に記載のプラズマ処理方法。
  15. 前記誘電体を、前記導線の長手方向に移動する請求項11に記載のプラズマ処理方法。
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