しかしながら、従来のガス分流制御システムには、以下の問題があった。
特許文献1記載のガス分流制御システムは、全てのフローラインに流量計(マスフローメータ又はマスフローコントローラ)を設置しており、設置コストが高かった。しかも、特許文献1記載のガス分流制御システムは、流量計(マスフローメータ又はマスフローコントローラ)とそれに接続する配管の設置スペースを必要とし、サイズが大きくなってしまっていた。
また、特許文献2記載のシステムは、複数のマスフローコントローラの読み取り値を合計した全体流量と、混合マニホールドから出力される流量とが異なる場合に、分流の精度が悪かった。例えば、3台のマスフローコントローラの読み取り値を合計した全体流量が3L/minであるのに対して、混合マニホールドから実際に出力される流量が2.7L/minであるときに、流量分割設定値が1:1に設定されている場合、コントローラは、第1及び第2ガスラインにガスを全体流量の2分の1の流量(1.5L/min)ずつ流そうとする。しかし、混合マニホールドはガスを2.7L/minしか出力していないため、コントローラが第2ガスラインにガスを1.5L/min流すようにコントロールバルブを制御すると、第1ガスラインにはガスを1.2L/minしか流せない。この場合、第1ガスラインと第2ガスラインにガスを流量分割設定値に従って等分に分流させることができない。
また、特許文献1及び特許文献2記載のガス分流制御システムは、入力するガスの流量精度のズレを検知する方法が何ら記載されていない。一般的には、流量精度の検定は、プロセスを開始する前に1回だけ行う。そのため、従来のガス分流制御システムは、例えばガスを5分に1回(1日に300回)分流させる場合に、途中で(例えば100回目の分流制御時に)、入力するガスの流量精度にズレが生じても、それを検知できない。この場合、ガスの流量精度にズレが生じた後もプロセスがパラメータ等を変更することなく継続され、チャンバ内で製造される製品の品質を低下させることがあった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、入力するガスの流量精度を毎回検定できると共に、ガスを精度良く分流させることができる小型且つ安価なガス分流制御システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、次のような構成を有している。
(1)入口ラインと、前記入口ラインから分岐するN本(N≧2)のガス供給ラインとを有し、前記入口ラインに入力した所定流量のガスを前記複数のガス供給ラインに等しい分流比で分流させるガス分流制御システムにおいて、前記N本のガス供給ラインのうちの1本のガス供給ラインに配設され、前記1本のガス供給ラインを遮断又は開放する開閉バルブと、前記N本のガス供給ラインのうち、前記1本のガス供給ライン以外の他のガス供給ラインにそれぞれ配設され、流量を測定するN−1個の質量流量計と、前記他のガス供給ラインの前記質量流量計の二次側にそれぞれ配設され、流量を制御するN−1個の制御バルブと、前記1本のガス供給ラインと前記他のガス供給ラインの一つである共用ラインとを連通させるものであって、一端が前記共用ラインに配設された質量流量計と制御バルブとの間に接続し、他端が前記開閉バルブの二次側に接続するバイパスラインと、前記バイパスラインに配設され、前記バイパスラインを開閉するバイパスバルブと、前記開閉バルブと前記N−1個の質量流量計と前記N−1個の制御バルブと前記バイパスバルブに接続するコントローラとを有すること、前記コントローラは、前記N−1個の制御バルブと前記バイパスバルブとを開き、前記開閉バルブを閉じた状態で前記入口ラインに前記所定流量のガスを供給された場合に、前記N−1個の質量流量計の出力に基づいて前記入口ラインに実際に入力したガスの全体実流量を測定する全体実流量測定手段と、前記共用ライン以外の他のガス供給ラインに配設される質量流量計が前記全体実流量に対してN分の1を測定し、前記共用ラインに配設される質量流量計が前記全体実流量に対してN分の2を測定するように、前記共用ライン以外の他のガス供給ラインに配設される制御バルブに流量を制御させる第1流量制御手段と、前記バイパスバルブを閉じ、前記開閉バルブを開いた場合に、前記共用ラインに配設される質量流量計が前記全体実流量に対してN分の1を測定するように、前記共用ラインに配設される制御バルブに流量を制御させる第2流量制御手段と、前記N−1個の質量流量計について、前記全体実流量のN分の1の流量にあたる出力をモニタリングし、前記入口ラインに入力する前記ガスの流量精度を検定する流量検定手段とを有すること、前記N−1個の制御バルブと前記開閉バルブとバイパスバルブは、前記1本のガス供給ラインと、前記1本のガス供給ライン以外の他のガス供給ラインと、前記バイパスラインとの流量損失が同程度になるように、CV値が設定されていること、を特徴とする。
上記構成では、複数のガス供給ラインのうちの1本が流量計を配設されないので、流量計の数がガス供給ラインの数より1個少ない。そのため、上記構成では、全てのガス供給ラインに流量計を配設する場合より、設置コストを安価にでき、また、流量計とそれに接続する配管の設置スペースを省いてシステムを小型化できる。
かかるガス分流制御システムは、流量計を配設されない1本のガス供給ラインについては、流量をフィードバック制御できない。そこで、上記構成では、1本のガス供給ラインに配設される開閉バルブの二次側と、他のガス供給ラインの一つである共用ラインに配設される流量計と制御バルブとの間とを、バイパスラインで接続している。バイパスラインには、バイパスバルブが配設されている。この流路構成により、入口ラインが共用ラインに配設される流量計とバイパスバルブを介して1本のガス供給ラインに導通する流路と、入口ラインが開閉バルブを介して1本のガス供給ラインに導通する流路とを切り換えることが可能になる。
このような流路構成を有するガス分流制御システムは、コントローラが制御バルブとバイパスバルブを開き、開閉バルブを閉じた状態で、所定流量のガスが入口ラインに供給されると、1本のガス供給ライン以外の他のガス供給ラインにそれぞれガスが流入する。他のガス供給ラインには、それぞれ流量計が配設されており、ガスの流量を測定される。そこで、コントローラは、これらN−1個の流量計の出力に基づいて、入口ラインに実際に入力したガスの全体実流量を測定する。
この時点では、バイパスバルブが開閉バルブに代替して開いているため、共用ラインの流量計は、共用ラインに流れるガスと1本のガス供給ラインに流れるガスの流量を測定する。そこで、コントローラは、共用ライン以外の他のガス供給ラインに配設される流量計が全体実流量のN分の1の流量を測定し、共用ラインに配設される流量計が全体実流量に対してN分の2の流量を測定するように、共用ライン以外の他のガス供給ラインに配設される制御バルブの流量を制御する。
その後、コントローラは、バイパスバルブを閉じ、開閉バルブを開く。これにより、ガスが、入口ラインから1本のガス供給ラインにも流入するようになる。そこで、コントローラは、共用ラインの流量計により測定される流量が全体実流量に対してN分の1になるように、共用ラインの制御バルブの流量を制御する。これにより、共用ラインに流れるガスの流量は、全体実流量に対してN分の2からN分の1に絞られる。そして、残った全体実流量に対してN分の1のガスが、1本のガス供給ラインを流れるようになる。
よって、上記構成のガス分流制御システムは、複数のガス供給ラインのうちの1本のガス供給ラインに流量計を配設していなくても、入口ラインに入力したガスを複数のガス供給ラインにN分の1ずつ等しく分流させることができる。この場合、ガス分流制御システムは、N−1個の流量計の出力に基づいて入口ラインに実際に入力するガスの全体実流量を測定し、それに基づいてガスを複数のガス供給ラインに等分に分流させるので、入口ラインに実際に入力するガスの流量が設定流量とずれていても、精度良くガスを等分に分流させることができる。
また、上記ガス分流制御システムは、例えば、半導体製造工程において分流制御を5分に1回行う場合、1日に300回、N分の1にあたる流量計の出力をモニタリングする。コントローラは、例えば1日に300回行う分流制御の途中で(例えば100回目の分流制御時に)、モニタリングした流量計の出力が直近の出力(前回の出力でも、直近数回分の出力の平均値でも良い。)に対して変動した場合には、入口ラインに入力されるガスの流量精度にズレが生じたことを検知する。よって、上記構成のガス分流制御システムによれば、N−1個の流量計の出力に基づいてガスの流量精度を分流制御時に毎回検定するので、プロセス開始前等に1日1回流量検定を行う場合に比べ、ガスの流量精度のズレを早期に検知できる。これにより、製品品質の低下を未然に防止することが可能になる。
(2)入口ラインと、前記入口ラインから分岐するN本(N≧2)のガス供給ラインとを有し、前記入口ラインに入力した所定流量のガスを前記複数のガス供給ラインに等しい分流比で分流させるガス分流制御システムにおいて、前記N本のガス供給ラインのうちの1本のガス供給ラインに配設され、前記1本のガス供給ラインを遮断又は開放する開閉バルブと、前記N本のガス供給ラインのうち、前記1本のガス供給ライン以外の他のガス供給ラインにそれぞれ配設され、流量を測定するN−1個の質量流量計と、前記他のガス供給ラインの前記質量流量計の二次側にそれぞれ配設され、流量を制御するN−1個の制御バルブと、前記開閉バルブと前記N−1個の質量流量計と前記N−1個の制御バルブに接続するコントローラとを有すること、前記コントローラは、前記N−1個の制御バルブを開き、前記開閉バルブを閉じた状態で前記入口ラインに前記所定流量のガスを供給された場合に、前記N−1個の質量流量計の出力に基づいて前記入口ラインに実際に入力したガスの全体実流量を測定する全体実流量測定手段と、前記全体実流量のN分の1のサンプル流量を算出するサンプル流量算出手段と、前記開閉バルブを開き、前記N−1個の質量流量計がそれぞれサンプル流量を測定するように前記N−1個の制御バルブに流量を制御させる流量制御手段と、前記N−1個の質量流量計について、前記全体実流量のN分の1の流量にあたる出力をモニタリングし、前記入口ラインに入力する前記ガスの流量精度を検定する流量検定手段とを有すること、前記N−1個の制御バルブと前記開閉バルブは、前記1本のガス供給ラインと、前記1本のガス供給ライン以外の他のガス供給ラインとの流量損失が同程度になるように、CV値が設定されていること、を特徴とする。
上記構成では、流量計の数がガス供給ラインの数より1個少ない上に、バイパスラインとバイパスバルブを必要としないので、上記(1)より更に設置コストを安価にしてシステムを小型化できる。
また、上記(2)のガス分流制御システムは、上記(1)と同様にして全体実流量を測定し、測定した全体実流量のN分の1のサンプル流量を算出する。その後、コントローラは、開閉バルブを開き、N−1個の流量計がそれぞれサンプル流量を測定するようにN−1個の制御バルブの流量を制御する。これにより、N−1本の他のガス供給ラインには、全体実流量に対してN分の1のガスがそれぞれ流れ、1本のガス供給ラインには、残りの全体実流量に対してN分の1のガスが流れるようになる。
よって、上記(2)のガス分流制御システムは、複数のガス供給ラインのうちの1本のガス供給ラインに流量計を配設していなくても、入口ラインに入力したガスを複数のガス供給ラインにN分の1ずつ等しく分流させることができる。この場合、ガス分流制御システムは、N−1個の流量計の出力に基づいて入口ラインに実際に入力するガスの全体実流量を測定し、全体実流量のN分の1のサンプル流量を算出し、サンプル流量に基づいてガスを複数のガス供給ラインに等分に分流させるので、入口ラインに実際に入力するガスの流量が設定流量とずれていても、精度良くガスを等分に分流させることができる。
また、上記(2)のガス分流制御システムは、(1)と同様、N−1個の流量計の出力に基づいてガスの流量精度を分流制御時に毎回検定するので、プロセス開始前等に1日1回流量検定を行う場合に比べ、ガスの流量精度のズレを早期に検知できる。これにより、製品品質の低下を未然に防止することが可能になる。
(3)入口ラインと、前記入口ラインから分岐するN本(N≧2)のガス供給ラインとを有し、前記入口ラインに入力した所定流量のガスを前記複数のガス供給ラインに等しい分流比で分流させるガス分流制御システムにおいて、前記N本のガス供給ラインのうちの1本のガス供給ラインに配設され、前記1本のガス供給ラインを遮断又は開放する開閉バルブと、前記N本のガス供給ラインのうち、前記1本のガス供給ライン以外の他のガス供給ラインにそれぞれ配設され、流量を測定するN−1個の質量流量計と、前記他のガス供給ラインの前記質量流量計の二次側にそれぞれ配設され、流量を制御するN−1個の制御バルブと、前記開閉バルブと前記N−1個の質量流量計と前記N−1個の制御バルブに接続すると共に、前記入口ラインに前記ガスを供給するガス供給システムを制御するホストコントローラに接続するコントローラとを有すること、前記コントローラは、N−1個の制御バルブの1個を開き、その開いた制御バルブ以外の制御バルブと前記開閉バルブを閉じるバルブ制御手段と、前記ホストコントローラが前記所定流量のN分の1のガスを前記入口ラインに供給するように前記ガス供給システムを制御した場合に、前記バルブ制御手段により開かれた制御バルブの一次側に配設される質量流量計の出力を読み取ってサンプル流量を記憶するサンプル流量記憶手段と、前記ホストコントローラが前記所定流量のガスを前記入口ラインに供給するように前記ガス供給システムを制御した場合に、前記開閉バルブを開き、前記N−1個の質量流量計が前記サンプル流量を測定するように前記N−1個の制御バルブに流量を制御させる流量制御手段と、前記N−1個の質量流量計について、前記流量制御手段において前記サンプル流量を測定するときの出力をモニタリングし、前記入口ラインに入力する前記ガスの流量精度を検定する流量検定手段とを有すること、前記N−1個の制御バルブと前記開閉バルブは、前記1本のガス供給ラインと、前記1本のガス供給ライン以外の他のガス供給ラインとの流量損失が同程度になるように、CV値が設定されていること、を特徴とする。
上記構成では、流量計の数がガス供給ラインの数より1個少ない上に、バイパスラインとバイパスバルブを必要としないので、上記(1)より更に設置コストを安価にしてシステムを小型化できる。
また、上記(3)のガス分流制御システムは、ホストコントローラとコントローラとが連携してガスを分流制御する。すなわち、コントローラが、N−1個の制御バルブの1個を開け、それ以外の制御バルブと開閉バルブを閉じることで、N本のガス供給ラインの一つのみにガスが流れるようにする。この状態で、ホストコントローラが入口ラインに入力させるガスの流量を所定流量のN分の1に制御すると、N−1個の流量計の1つにより、所定流量のN分の1のガスが流れるときの流量計の出力が検出されるので、コントローラがそれを読み取ってサンプル流量として記憶する。そして、ホストコントローラが入口ラインに入力させるガスを所定流量に制御すると、コントローラは、N−1個の流量計がサンプル流量を測定するようにN−1個の制御バルブの流量を制御する。これにより、N−1本の他のガス供給ラインには、全体実流量に対してN分の1のガスがそれぞれ流れ、1本のガス供給ラインには、残りの全体実流量に対してN分の1のガスが流れるようになる。
よって、上記(3)のガス分流制御システムは、複数のガス供給ラインのうちの1本のガス供給ラインに流量計を配設していなくても、コントローラがホストコントローラと連携して、入口ラインに入力したガスを複数のガス供給ラインにN分の1ずつ等しく分流させることができる。この場合、ガス分流制御システムは、ホストコントローラが設定流量のN分の1の流量を入口ラインに実際に入力させた状態で、N−1個の流量計のうちの1つの流量計でN分の1となるサンプル流量を実測し、その後、ホストコントローラが所定流量のガスを入口ラインに入力させたときに、実測したサンプル流量に基づいてN−1個の制御バルブを制御してガスを複数のガス供給ラインに等分に分流させるので、入口ラインに実際に入力するガスの流量が設定流量とずれていても、精度良くガスを等分に分流させることができる。
また、上記(3)のガス分流制御システムは、(1)と同様に、N−1個の流量計の出力に基づいてガスの流量精度を分流制御時に毎回検定するので、プロセス開始前等に1日1回流量検定を行う場合に比べ、ガスの流量精度のズレを早期に検知できる。これにより、製品品質の低下を未然に防止することが可能になる。
(4)(1)に記載の構成において、前記開閉バルブ及び前記バイパスバルブは前記制御バルブよりCV値が小さいことが好ましい。
上記構成では、開閉バルブとバイパスバルブがN−1個の制御バルブよりCV値が小さいので、バイパスバルブを開き、開閉バルブを閉じた状態で、ガスを共用ラインの流量計から制御バルブ側とバイパスバルブ側に流す場合と、バイパスバルブを閉じ、開閉バルブを開いた状態で、ガスを入口ラインから共用ラインと1本のガス供給ラインとに分流させる場合とで、流量損失を同程度にできる。よって、上記構成によれば、ガス供給ラインの数(N)より少ないN−1個の流量計の出力をモニタリングしながら、ガスを精度良く等分に分流させることができる。
(5)(2)又は(3)に記載の構成において、前記開閉バルブは前記制御バルブよりCV値が小さいことが好ましい。
上記構成では、開閉バルブが制御バルブよりCV値が小さいので、流量計を備えない1本のガス供給ラインと、流量計を備える他のガス供給ラインとで、流量損失を同程度にできる。よって、上記構成によれば、ガス供給ラインの数(N)より少ないN−1個の流量計の出力をモニタリングしながら、ガスを精度良く等分に分流させることができる。
よって、本発明によれば、入力するガスの流量精度を毎回検定できると共に、ガスを精度良く分流させることができる小型且つ安価なガス分流制御システムを提供することができる。
以下に、本発明に係るガス分流制御システムの実施形態について図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るガス分流制御システム10の概略構成図であって、特に3系統のものを示す。ガス分流制御システム10は、例えば、第1チャンバ6Aと第2チャンバ6Bと第3チャンバ6Cにウエハを1枚ずつ設置して同じプロセスを同時に行うガス供給システム1に組み込まれる。
ガス供給システム1は、第1〜第4ガス供給源2A〜2Dが第1〜第4ガスライン3A〜3Dを介して出口ライン5に接続されている。第1〜第4マスフローコントローラ4A〜4D(以下「第1〜第4MFC4A〜4D」ともいう。)は、第1〜第4ガスライン3A〜3Dにそれぞれ配設され、ホストコントローラ7に接続されている。第1〜第4MFC4A〜4Dは、ホストコントローラ7から入力した流量制御指令に基づいて第1〜第4ガス供給源2A〜2Dから供給される第1〜第4ガスの流量を制御する。流量を制御された第1〜第4ガスは、出口ライン5で混合され、ガス分流制御システム10に供給される。尚、第1〜第4ガスは、全て異なるガスであっても良いし、同じガスであっても良い。
ガス分流制御システム10は、出口ライン5と第1〜第3チャンバ6A〜6Cとの間に配設され、出口ライン5から供給されたガス(第1〜第4ガスのうちの一つでも、第1〜第4ガスのうちの2つ以上を混合した混合ガスでも良い。以下同じ。)を等分に分割して第1〜第3チャンバ6A〜6Cに供給する。
ガス分流制御システム10の構成を具体的に説明する。ガス分流制御システム10は、入口ライン11が出口ライン5に接続されている。ガス分流制御システム10は、第1〜第3チャンバ6A〜6Cと同数の3本のガス供給ライン12A,12B,12C(以下「第1ガス供給ライン12A、第2ガス供給ライン12B、第3ガス供給ライン12C」ともいう。)を備える。第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cは、入口ライン11から分岐し、第1〜第3チャンバ6A〜6Cにそれぞれ接続されている。第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cは、流量を等分にしやすいように同じ流路径を有する。
第1ガス供給ライン12Aは、上流側から順に、流量を測定する第1質量流量計13A(「流量計」の一例。以下「第1MFM13A」ともいう。)と、流量を制御する第1制御バルブ14A(「制御バルブの一例)が配設されている。第2ガス供給ライン12Bは、上流側から順に、流量を測定する第2質量流量計13B(「流量計」の一例。以下「第2MFM13B」ともいう。)と、流量を制御する第2制御バルブ14B(「制御バルブの一例)が配設されている。第3ガス供給ライン12Cには、流路を遮断又は開放する開閉バルブ15が配設されている。本実施形態では、第3ガス供給ライン12Cが「1本のガス供給ライン」の一例であり、第1及び第2ガス供給ライン12A,12Bが「他のガス供給ライン」の一例である。
第1及び第2制御バルブ14A,14Bと開閉バルブ15は、第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cの流量損失が同程度になるように、CV値が設定されている。具体的には、第1及び第2制御バルブ14A,14Bは、同じCV値を有する。一方、開閉バルブ15は、第3ガス供給ライン12Cが質量流量計を配設されていないので、第1及び第2制御バルブ14A,14BよりCV値が小さくされている。例えば、開閉バルブ15は、第1及び第2制御バルブ14A,14Bより弁座開口部(口径)が小さくされている。
バイパスライン16は、第3ガス供給ライン12Cと、その隣の第2ガス供給ライン12Bとを連通させている。バイパスライン16は、第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cと同じ流路径を有する。バイパスライン16は、第2ガス供給ライン12Bの第2MFM13Bと第2制御バルブ14Bとの間に一端が接続され、第3ガス供給ライン12Cの開閉バルブ15の二次側に他端が接続されている。よって、本実施形態では、第2ガス供給ライン12Bが「共用ライン」の一例である。
バイパスライン16には、バイパスバルブ17が配設されている。バイパスバルブ17は、開閉バルブ15と同じCV値を有する。これは、入口ライン11に入力したガスが、バイパスバルブ17を介して第3チャンバ6Cに流れる場合と、開閉バルブ15を介して第3チャンバ6Cに流れる場合とで、流量損失を同程度にするためである。
コントローラ18は、周知のマイクロコンピュータであり、CPU、入出力インターフェース、メモリなどを備える。コントローラ18は、第1及び第2MFM13A,13Bと、第1及び第2制御バルブ14A,14Bと、開閉バルブ15と、バイパスバルブ17に電気的に接続され、第1及び第2MFM13A,13Bが測定する流量(出力)をモニタリングしたり、第1及び第2制御バルブ14A,14Bや開閉バルブ15やバイパスバルブ17の動作を制御する制御信号を出力したりする。コントローラ18は、ホストコントローラ7にも電気的に接続されている。
次に、上記ガス分流制御システム10を用いたガス分流制御方法について図2を参照しながら説明する。図2は、ガス分流制御方法のフローである。
図2に示すように、コントローラ18は、等分制御の開始を指示する等分制御開始指令を入力すると、ガスを第1〜第3チャンバ6A〜6Cに等分に供給する動作を開始する。具体的には、ホストコントローラ7は、第1〜第4MFC4A〜4Dに第1〜第4ガスライン3A〜3Dを遮断させた状態で、ガスを3等分する等分制御開始指令をガス分流制御システム10のコントローラ18に出力する。コントローラ18は、等分制御開始指令を入力すると、ステップ1(以下「S1」と略記する。)において、第1及び第2制御バルブ14A,14B(全て(N−1個)の制御バルブ)とバイパスバルブ17を開き、開閉バルブ15を閉じる。
そして、S2において、コントローラ18は、全体実流量を測定する。ホストコントローラ7は、等分制御開始指令を出力してから所定時間(例えば数msec)が経過したら、第1〜第4MFC4A〜4Dに設定値に応じた流量制御指令を出力し、ガスを出口ライン5からガス分流制御システム10に供給する。例えば、ホストコントローラ7は、第1MFC4Aに第1ガスの流量を2L/minに制御する流量制御指令を出力し、第2MFC4Bに第2プロセスガスの流量を1L/minに制御する流量制御指令を出力し、第3及び第4MFC4C,4Dに第3及び第4ガスの流量を0に制御する流量制御指令を出力する。これにより、第1及び第2ガスは、第1及び第2MFC4A,4Bにより流量制御されて出口ライン5に供給され、出口ライン5を流れる間に混合される。この場合、ガス分流制御システム10には、混合ガスが3L/minずつ供給される。
ガス分流制御システム10は、S1において、第1及び第2制御バルブ14A,14Bとバイパスバルブ17が開き、開閉バルブ15が閉じているので、入口ライン11に入力した混合ガスが、第1MFM13Aと第2MFM13Bに分かれて流れる。
コントローラ18は、S2において、第1及び第2MFM13A,13Bの出力を読み取って、入口ライン11に実際に入力した混合ガスの全体実流量を測定する。例えば、コントローラ18は、第1MFM13Aの出力電圧と第2MFM13Bの出力電圧との合計値(例えば6V)を、全体実流量として測定する。
それから、コントローラ18は、S3において、第2MFM13B(第3ガス供給ライン12C(1本のガス供給ライン)にバイパスライン16を介して連通する第2ガス供給ライン12B(共用ライン)に配設された流量計)に全体実流量の3分の2(N分の2)が流れ、第1MFM13A(第1ガス供給ライン12A(共用ライン以外の他のガス供給ライン)に配設された流量計)に全体実流量の3分の1(N分の1)が流れるように、第1制御バルブ14A(共用ライン以外の他のガス供給ラインに配設された制御バルブ)を制御する。つまり、第2ガス供給ライン12Bは、第3ガス供給ライン12C(1本のガス供給ライン)と連通し、第1ガス供給ライン12Aよりガスが流れやすいため、先に、第1ガス供給ライン12Aの流量をホストコントローラ7から指示された分流比(3分の1)に制御する。例えば、コントローラ18は、第1及び第2MFM13A,13Bの出力電圧の合計値が6Vである場合、第1MFM13Aの出力電圧が2V、第2MFM13Bの出力電圧が4Vになるように、第1制御バルブ14Aに弁開度を制御する弁開度制御信号を出力する。これにより、入口ライン11に実際に入力した混合ガスのうちの3分の1が第1チャンバ6Aに供給され、残りの3分の2が第2MFM13Bから第2制御バルブ14B側とバイパスバルブ17側に分割され、第2及び第3チャンバ6B,6Cに供給される。
その後、S4において、コントローラ18は、バイパスバルブ17を閉じ、開閉バルブ15を開く。これにより、バイパスライン16が遮断され、入口ライン11が第3ガス供給ライン12Cを介して第3チャンバ6Cに連通する。
それから、S5において、コントローラ18は、第2MFM13B(第2ガス供給ライン12B(共用ライン)に配設された流量計)に全体実流量の3分の1(N分の1)が流れるように、第2制御バルブ14B(共用ラインに配設された制御バルブ)を制御する。例えば、コントローラ18は、第2MFM13Bの出力電圧が、S2で算出した第1及び第2MFM13A,13Bの出力電圧の合計値(6V)に対して3分の1の値(2V)になるように、第2制御バルブ14Bに弁開度を制御する弁開度制御信号を出力する。これにより、第1及び第2チャンバ6A,6Bには、入口ライン11に実際に入力したガスが3分の1ずつ供給され、第3チャンバ6Cには、残り3分の1のガスが供給される。よって、ガス分流制御システム10は、第3ガス供給ライン12Cに流量計を配設していなくても、入口ライン11に入力した混合ガスを第1〜第3チャンバ6A〜6Cに等分に分流させることができる。
そして、S6において、コントローラ18は、流量検定を行う。コントローラ18は、S5において、第1及び第2MFM13A,13B(全て(N−1個)の流量計)について、全体実流量のN分の1の流量にあたる出力をモニタリングしている。そこで、コントローラ18は、モニタリングした出力に基づいて、入口ライン11に実際に入力するガスの流量精度を検知する。例えば、コントローラ18は、モニタリングした第1及び第2MFM13A,13Bの出力電圧が2Vで安定していれば、入口ライン11に実際に入力するガスの流量精度が安定していることを検知する。一方、例えば、コントローラ18は、モニタリングした第1及び第2MFM13A,13Bの出力電圧が、前回は2Vであったのに対して、今回が1Vであった場合には、入口ライン11に入力するガスの流量精度が減少方向にずれていることを検知する。また例えば、コントローラ18は、モニタリングした第1及び第2MFM13A,13Bの出力電圧が、前回は2Vであったのに対して、今回は3Vであった場合には、入口ライン11に入力するガスの流量精度が増加方向にずれていることを検知する。
コントローラ18は、ガスの流量精度のズレを検知すると、ホストコントローラ7にズレ量を通知する。ホストコントローラ7は、ズレ量が許容範囲内であれば、第1〜第4MFC4A〜4Dに出力する流量制御指令を補正し、ズレ量が許容範囲外であれば、プロセスを停止する。これにより、第1〜第3チャンバ6A〜6Cで製造される製品の品質を安定させることができる。
S7において、コントローラ18は、等分制御を終了する等分制御終了指令を入力したか否かを判断する。等分制御終了指令を入力するまでは(S7:NO)、第1及び第2MFM13A,13Bが全体実流量の3分の1の流量を測定するように第1及び第2制御バルブ14A,14Bを制御する。一方、等分制御終了指令を入力すると(S7:YES)、コントローラ18は、S8において、第1及び第2制御バルブ14A,14B(全て(N−1個)の制御バルブ)と開閉バルブ15を閉じることにより待機状態に戻り、処理を終了する。
以上説明した第1実施形態のガス分流制御システム10によれば、第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cのうちの1本の第3ガス供給ライン12Cが流量計(MFM)を配設されないので、流量計(MFM)の数がガス供給ラインの本数(N)より1個少ない。そのため、第1実施形態のガス分流制御システム10では、全てのガス供給ラインに流量計を配設する場合より、設置コストを安価にでき、また、流量計とそれに接続する配管の設置スペースを省いてシステムを小型化できる。
また、上記第1実施形態のガス分流制御システム10は、第3ガス供給ライン12Cに流量計(MFM)を配設していなくても、第1及び第2MFM13A,13Bの出力をモニタリングしながら第1及び第2制御バルブ14A,14Bとバイパスバルブ17と開閉バルブ15を制御することにより、入口ライン11に入力したガスを第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cに3分の1ずつ等しく分流させることができる。この場合、ガス分流制御システム10は、入口ライン11に入力するガスの全体実流量を第1及び第2MFM13A,13Bの出力(出力電圧)に基づいて測定し、それに基づいてガスを第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cに等分に分流させるので、入口ラインに実際に入力するガスの流量が設定流量とずれていても、精度良くガスを等分に分流させることができる。例えばホストコントローラ7が第1〜第4MFC4A〜4Dに指示する流量を合計した設定流量が3L/minであるのに対して、入口ライン11に実際に入力するガスの全体実流量が2.7L/minであると仮定する。この場合でも、ガス分流制御システム10は、ホストコントローラ7から指示された分流比(入口ライン11に入力したガスを3等分する指令)に従って、第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cに0.9L/minずつガスを供給できる。
また、本実施形態のガス分流制御システム10は、例えば、半導体製造工程において分流制御を5分に1回行う場合、1日に300回、3分の1にあたる第1及び第2MFM13A,13Bの出力をモニタリングする。コントローラ18は、例えば1日に300回行う分流制御の途中で(例えば100回目の分流制御時に)、モニタリングした第1及び第2MFM13A,13Bの出力が直近の出力(前回の出力でも、直近数回分の出力の平均値でも良い。)に対して変動した場合には、入口ライン11に入力されるガスの流量精度にズレが生じたことを検知する。よって、第1実施形態のガス分流制御システム10によれば、第1及び第2MFM13A,13Bの出力に基づいてガスの流量精度を分流制御時に毎回検定するので、プロセス開始前等に1日1回流量検定を行う場合に比べ、ガスの流量精度のズレを早期に検知できる。これにより、製品品質の低下を未然に防止することが可能になる。
また、第1実施形態のガス分流制御システム10では、開閉バルブ15とバイパスバルブ17が第1及び第2制御バルブ14A,14BよりCV値が小さいので、バイパスバルブ17を開き、開閉バルブ15を閉じた状態で、ガスを第2ガス供給ライン12Bの第2MFM13Aから第2制御バルブ14B側とバイパスバルブ17側に流す場合と、バイパスバルブを閉じ、開閉バルブ15を開いた状態で、ガスを入口ライン11から第2ガス供給ライン12Bと第3ガス供給ライン12Cとに分流させる場合とで、流量損失を同程度にできる。よって、第1実施形態のガス分流制御システム10によれば、第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cの数(3本)より少ない2個の第1及び第2MFM13A,13Bの出力をモニタリングしながら、ガスを精度良く等分に分流させることができる。
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係るガス分流制御システム10Aの概略構成図であって、特に3系統のものを示す。図4は、ガス分流制御方法のフローである。
第2実施形態のガス分流制御システム10Aは、流路構成とガス分流制御方法の一部が第1実施形態のガス分流制御システム10と相違している。ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点は第1実施形態と同じ符号を使用し、適宜説明を省略する。
図3に示すように、ガス分流制御システム10Aは、バイパスライン16とバイパスバルブ17を備えない点を除き、第1実施形態(図1参照)と同様に構成されている。よって、第2実施形態のガス分流制御システム10Aは、第1及び第2MFM13A,13Bの数が第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cの数より1個少ない上に、バイパスライン16とバイパスバルブ17を必要としないので、第1実施形態のガス分流制御システム10より更に設置コストを安価にしてシステムを小型化できる。
ガス分流制御方法について図4を参照して説明する。図4のフローにおいて、第1実施形態と共通する処理には、図2に用いた符号と同一符号を使用している。
コントローラ18Aは、図4のS10において、第1及び第2制御バルブ14A,14B(全て(N−1個)の制御バルブ)を開き、開閉バルブ15を閉じる。そして、S2において、コントローラ18Aは、第1実施形態と同様にして、第1及び第2MFM13A,13Bの出力に基づいて全体実流量を測定する。その後、コントローラ18Aは、S11において、第1及び第2MFM13A,13B(N−1個の流量計)に流れる全体実流量に対して3分の1(N分の1)のサンプル流量を算出する。例えば、S2において、第1及び第2MFM13A,13Bの出力電圧の合計値が6Vである場合、6Vの3分の1である2Vがサンプル流量として算出される。
それから、S12において、コントローラ18Aは、開閉バルブ15を開く。これにより、第3ガス供給ライン12Cにも、ガスが流れるようになる。
その後、S13において、コントローラ18Aは、第1及び第2MFM13A,13B(全て(N−1個)の流量計)がサンプル流量を測定するように、第1及び第2制御バルブ14A,14B(全て(N−1個)の制御バルブ)を制御する。例えば、コントローラ18Aは、S11で算出したサンプル流量(2V)を第1及び第2MFM13A,13Bが出力するように、第1及び第2制御バルブ14A,14Bに弁開度を制御する弁開度制御信号を出力し、第1及び第2制御バルブ14A,14Bに流量を制御させる。これにより、第1及び第2ガス供給ライン12A,12Bには、全体実流量に対して3分の1のガスがそれぞれ流れ、第3ガス供給ライン12Cには、残り3分の1のガスが流れるようになる。
よって、第2実施形態のガス分流制御システム10Aは、第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cのうちの1本の第3ガス供給ライン12Cに流量計を配設していなくても、入口ライン11に入力したガスを第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cに3分の1ずつ等しく分流させることができる。この場合、ガス分流制御システム10Aは、第1及び第2MFM13A,13Bの出力に基づいて入口ライン11に実際に入力するガスの全体実流量を測定し、全体実流量の3分の1のサンプル流量を算出し、サンプル流量に基づいてガスを第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cに等分に分流させるので、入口ライン11に実際に入力するガスの流量が設定流量とずれていても、精度良くガスを等分に分流させることができる。
例えば、入口ライン11に入力するガスの設定流量が3L/minであるのに対して、入口ライン11に実際に入力するガスの全体実流量が2.7L/minであると仮定する。この場合、ガス分流制御システム10Aは、開閉バルブ15を閉じた状態でガスを第1及び第2MFM13A,13Bを流したときの第1及び第2MFM13A,13Bの出力に基づいて全体実流量を測定し、その全体実流量を3分の1にあたるサンプル流量(0.9L/min)を算出する。コントローラ18Aは、第1及び第2MFM13A,13Bが0.9L/minを測定するように第1及び第2制御バルブ14A,14Bを制御するので、第3ガス供給ライン12Cには残りの0.9L/minのガスが流れる。よって、第2実施形態のガス分流制御システム10Aは、入口ライン11に実際に入力するガスの流量が設定流量とずれていても、ホストコントローラ7から指示された分流比(N分の1にあたる流量)にガスを精度良く分流させることができる。
尚、S6において、ガス分流制御システム10Aは、第1実施形態と同様、全体流量のN分の1の流量にあたる第1及び第2MFM13A,13Bの出力電圧を入力してモニタリングし、流量検定を行う。よって、ガス分流制御システム10Aは、第1実施形態と同様、第1及び第2MFM13A,13Bの出力に基づいてガスの流量精度を分流制御時に毎回検定するので、プロセス開始前等に1日1回流量検定を行う場合に比べ、ガスの流量精度のズレを早期に検知できる。これにより、製品品質の低下を未然に防止することが可能になる。
ところで、ガス分流制御システム10Aは、開閉バルブ15が第1及び第2制御バルブ14A,14BよりCV値が小さいので、流量計(MFM)を備えない第3ガス供給ライン12Cと、第1及び第2MFM13A,13Bを備える第1及び第2ガス供給ライン12A,12Bとで、流量損失を同程度にできる。よって、第2実施形態のガス分流制御システム10Aによれば、第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cの数(N=3)より第1及び第2MFM13A,13Bの出力をモニタリングしながら、ガスを精度良く等分に分流させることができる。
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。図5は、本発明の第3実施形態に係るガス分流制御システム10Bの概略構成図である。図6は、ガス分流制御方法を説明する図である。尚、図5には、第1〜第4MFC4A〜4Dが記載されているが、分流制御する上で第1〜第4MFC4A〜4Dを特に区別する必要がないので、図6では、図面を見やすくするために、第1〜第4MFC4A〜4DをMFCと総称している。
第3実施形態のガス分流制御システム10Bは、流路構成とガス分流制御方法の一部のみが第1実施形態のガス分流制御システム10と相違している。ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点は図面に第1実施形態と共通する符号を使用し、適宜説明を省略する。
図5に示すように、第3実施形態のガス分流制御システム10Bは、バイパスライン16とバイパスバルブ17を備えない点を除き、第1実施形態(図1参照)と同様に構成されている。よって、第3実施形態のガス分流制御システム10Bは、第1及び第2MFM13A,13Bの数が第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cの数より1個少ない上に、バイパスライン16とバイパスバルブ17を必要としないので、第1実施形態のガス分流制御システム10より更に設置コストを安価にしてシステムを小型化できる。
次に、ガス分流制御方法について図6を参照して説明する。第3実施形態の分流制御方法は、コントローラ18Bがホストコントローラ7と連携してガスを等分に分流させる点が、第1実施形態と相違している。
具体的に説明すると、図6に示すように、ホストコントローラ7が等分制御開始指令をコントローラ18Bに出力すると、コントローラ18Bは、第1制御バルブ14Aに弁開制御信号を出力して第1制御バルブ14Aを開き、第2制御バルブ14Bと開閉バルブ15に弁閉制御信号を出力して第2制御バルブ14Bと開閉バルブ15を閉じる。これにより、ガスが入口ライン11から第1ガス供給ライン12Aだけに流れる状態になる。
ホストコントローラ7は、分流制御時に供給するガスの設定流量に対して3分の1(N分の1)の流量を出口ライン5から出力するように、N分の1流量制御指令をMFC(第1〜第4MFC4A〜4D)に出力する。例えば、ホストコントローラ7は、分流制御時に第1MFC4Aに2L/min、第2MFC4Bに1L/min、第3及び第4MFC4C,4Dに0L/minの設定流量制御指令を出力する場合、第1MFC4Aに3分の2L/min、第2MFC4Bに3分の1L/min、第3及び第4MFC4C,4Dに0L/minのN分の1流量制御指令を出力する。これにより、ガス分流制御システム10Bは、分割制御時の設定流量(3L/min)に対して3分の1(1L/min)のガスが、入口ライン11に供給され、第1MFM13Aに流れる。
そこで、コントローラ18Bは、第1MFM13Aの出力電圧を入力し、サンプル流量として記憶する。つまり、コントローラ18Bは、ホストコントローラ7から指示された分流比(設定流量に対して3分の1)にあたる第1MFM13Aの出力をメモリに記憶する。例えば、コントローラ18Bは、2Vを記憶する。
その後、ホストコントローラ7は、MFC(第1〜第4MFC4A〜4D)に、設定流量を流す設定流量制御指令を出力する。例えば、ホストコントローラ7は、第1MFC4Aに2L/min、第2MFC4Bに1L/min、第3及び第4MFC4C,4Dに0L/minの設定流量制御指令を出力し、出口ライン5からガス分流制御システム10Bの入口ライン11にガスを3L/min供給する。
すると、コントローラ18Bは、開閉バルブ15に弁開制御信号を出力し、開閉バルブ15を開く。そして、コントローラ18Bは、第1及び第2MFM13A,13Bがサンプル流量を測定するように、第1及び第2制御バルブ14A,14Bに弁開度を制御する弁開度制御信号を出力する。具体的には、コントローラ18Bは、第1及び第2MFM13A,13Bの出力電圧をメモリに記憶した電圧(2V)に一致させるように、第1及び第2制御バルブ14A,14Bの弁開度を調整する。これにより、入口ライン11に実際に入力したガスが、第1及び第2ガス供給ライン12A,12Bに3分の1ずつ流れ、第3ガス供給ライン12Cに残り3分の1が流れるようになる。
よって、第3実施形態のガス分流制御システム10Bは、第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cのうちの1本の第3ガス供給ライン12Cに流量計(MFM)を配設していなくても、コントローラ18Bがホストコントローラ7と連携して、入口ライン11に入力したガスを第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cに3分の1ずつ等しく分流させることができる。この場合、ガス分流制御システム10Bは、ホストコントローラ7が設定流量の3分の1の流量を入口ライン11に実際に入力させた状態で、第1及び第2MFM13A,13Bのうちの1つの第1MFM13Aで3分の1となるサンプル流量を実測し、その後、ホストコントローラ7が所定流量のガスを入口ライン11に入力させたときに、実測したサンプル流量に基づいて第1及び第2制御バルブ14A,14Bを制御してガスを第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cに等分に分流させるので、入口ライン11に実際に入力するガスの流量が設定流量とずれていても、精度良くガスを等分に分流させることができる。
例えば、分流制御時に入口ライン11に入力するガスの設定流量が3L/minであるのに対して、入口ライン11に実際に入力するガスの全体実流量が2.7L/minであると仮定する。この場合、ホストコントローラ7がN分の1流量制御指令を出力した場合、入口ライン11には、設定流量の3分の1にあたる1L/minではなく、全体実流量の3分の1にあたる0.9L/minで供給される。コントローラ18Bは、このときの第1MFM13Aの出力電圧を読み取ってメモリに記憶しておき、ホストコントローラ7が設定流量制御指令を出力するときに、第1及び第2MFM13A,13Bの出力電圧をメモリに記憶した出力電圧に一致させるように、第1及び第2制御バルブ14A,14Bを制御する。これにより、ガス分流制御システム10Bは、入口ライン11に実際に入力するガスを、第1及び第2ガス供給ライン12A,12Bに0.9L/minずつ流し、第3ガス供給ライン12Cに残りの0.9L/min流すようになる。そのため、ガス分流制御システム10Bは、全体実流量と設定流量との間に誤差があっても、ガスを精度良く第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cに等分に分流させることができる。
ガス分流制御システム10Bは、第1及び第2MFM13A,13Bについて、サンプル流量を測定するときの出力電圧をモニタリングし、入口ライン11に入力するガスの流量精度を検定する流量検定を行う。よって、ガス分流制御システム10Bは、第1実施形態と同様、第1及び第2MFM13A,13Bの出力に基づいてガスの流量精度を分流制御時に毎回検定するので、プロセス開始前等に1日1回流量検定を行う場合に比べ、ガスの流量精度のズレを早期に検知できる。これにより、製品品質の低下を未然に防止することが可能になる。
ここで、ガス分流制御システム10Bは、開閉バルブ15が第1及び第2制御バルブ14A,14BよりCV値が小さいので、流量計(MFM)を備えない第3ガス供給ライン12Cと、第1及び第2MFM13A,13Bを備える第1及び第2ガス供給ライン12A,12Bとで、流量損失を同程度にできる。よって、第3実施形態のガス分流制御システム10Bによれば、第1〜第3ガス供給ライン12A〜12Cの数(N=3)より第1及び第2MFM13A,13Bの出力をモニタリングしながら、ガスを精度良く等分に分流させることができる。
尚、コントローラ18Bは、ホストコントローラ7から等分制御終了指令を入力すると、第1及び第2制御バルブ14A,14Bと開閉バルブ15に弁閉制御信号を出力して待機状態になる。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
(1)例えば、チャンバと同数であれば、ガス供給ラインの数(N)は3本に限らない。例えば、図1、図3、図5のガス分流制御システム10,10A,10Bについて、図7及び図8に示すように、第1ガス供給ライン12Aを省いて第2及び第3ガス供給ライン12B,12Cの2ラインで構成しても良い。また例えば、図1、図3、図5のガス分流制御システム10,10A,10Bについて、それぞれ、第1ガス供給ライン12Aと同じ構成のガス供給ライン(他のガス供給ラインの一例)を追加して入口ライン11から分岐させ、ガス供給ラインを4本以上にしても良い。
(2)第3ガス供給ライン12Cと、それに隣設されていない第1ガス供給ライン12Aとを、バイパスライン16を介して連通させても良い。この場合、バイパスバルブ17は、第1ガス供給ライン12Aの第1MFM13Aと第1制御バルブ14Aとの間に一端が接続され、第3ガス供給ライン12Cの開閉バルブ15の二次側に他端が接続されるようにする。