JP6539541B2 - 太陽光発電モジュール - Google Patents

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    • Y02E10/547Monocrystalline silicon PV cells

Description

後述する実施形態は、概ね、太陽光発電モジュールに関する。
太陽光を利用した太陽電池はクリーンな電気エネルギーとして注目を集めている。太陽電池としては、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を使ったものが発電効率が優れていることから主に使われている。また、コストダウンのためにシリコン基板を薄膜化した薄膜状アモルファスシリコンを使うことも検討されている。また、これらシリコン系以外の太陽電池としては、ガリウム、砒素、リン、ゲルマニウム、インジウムなどを使った化合物半導体系の太陽電池も知られている。これまでの太陽電池は、太陽光を受けるシリコン基板の大型化や、化合物の合成プロセスの煩雑さから、コストが高く、思うように普及が進まないといった問題があった。
近年、金属シリサイドを半導体層とした太陽電池が研究されている。例えば、特開2011−198941号公報(特許文献1)には、β−FeSi層を半導体層とした太陽電池が開示されている。鉄シリサイドなどの金属シリサイドは、単結晶体や多結晶体のどちらも製造可能であり、シリコン系太陽電池よりも低コスト化の期待がある。また、金属シリサイド系太陽電池は、シリコン系太陽電池では使用されない赤外線を感受して発電することからシリコン系太陽電池よりも高効率化への期待もある。
しかしながら、金属シリサイド層を使った太陽電池に関して現状では商品化されておらず、研究段階である。これは安定した発電効率が得られないためである。また、金属シリサイド層を使った太陽電池は、受光した光の強度により出力変動するため、単独電源としての使用には不安があった。
これを改善するために国際公開第2014/171146号公報(特許文献2)では、金属シリサイド層の膜厚と平均結晶粒径の関係を制御することが提案されている。
特開2011−198941号公報 国際公開第2014/171146号公報
特許文献2に示したように、金属シリサイド層の膜厚よりも平均結晶粒径を大きくすることにより発電効率が改善される。一方で発電効率は2%前後である。そのため、更なる発電効率の改善が求められている。
本発明が解決しようとする課題は、発電効率のよい金属シリサイド層を使った太陽光発電モジュールを提供するものである。
実施形態にかかる太陽光発電モジュールは、発電層として多結晶金属シリサイド層を具備する太陽光発電モジュールにおいて、多結晶金属シリサイド層の平均結晶粒径A(μm)と膜厚B(μm)の関係がA≧Bを満たすと共に、多結晶金属シリサイド層に設けられた電極層との間の一部または全部に厚さ10nm以下の拡散防止層が設けられていることを特徴とするものである。
実施形態に係る太陽光発電モジュールを例示するための模式図である。 実施形態に係る太陽光発電モジュールの別の例を例示するための模式図である。 多結晶金属シリサイド層を例示するための模式図である。 pn接合型多結晶金属シリサイド層を例示するための模式図である。 ショットキー型多結晶金属シリサイド層を例示するための模式図である。
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る太陽光発電モジュールを例示するための模式図である。
図中、1は実施形態に係る太陽光発電モジュール、2は多結晶金属シリサイド層、3は電極層、4は表面電極部、5は基板、6は拡散防止層、である。
多結晶金属シリサイド層2の表面側(太陽光受光面側)に表面電極部4、裏面側(太陽光受光面とは反対側)に裏面電極層3が設けられている。多結晶金属シリサイド層は太陽光を受光して発電する機能を有し、表面電極部4および裏面電極層3を使って多結晶金属シリサイド層で発電した電気を外部に取り出すことができる。そのため、多結晶金属シリサイド層が発電層となっている。
図1では、多結晶シリサイド層2と表面電極部4の間に拡散防止層6が設けられている。拡散防止層6は表面電極部4または裏面電極層3と多結晶シリサイド層2が反応するのを防ぐ役割を持つものである。
多結晶シリサイド層は、酸化され易い。そのため、表面電極部4または裏面電極層3に構成元素として酸素を有する電極層を用いる場合に拡散防止層を設けることが有効である。図1では、多結晶シリサイド層2と表面電極部4の間のみに拡散防止層6を設けているが、これに限らず、多結晶シリサイド層2と裏面電極層3の間に拡散防止層6を設けても良い。
また、拡散防止層6は厚さ10nm以下であることが必要である。太陽光発電モジュール1は多結晶シリサイド層2が太陽光を受光して発電するものである。拡散防止層が、あまり厚くなると多結晶シリサイド層に光が届き難くなる。このため、拡散防止層の厚さは10nm以下、さらには5nm以下であることが好ましい。なお、拡散防止層の厚さの下限は特に限定されるものではないが、1nm以上が好ましい。拡散防止層の厚さが1nm以上であると、電極層と多結晶金属シリサイド層の反応を長期的にも防止できる。そのため、長期的に発電効率を維持することができる。
また、拡散防止層は、Pt(白金)、Au(金)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Ag(銀)およびこれらを主成分とする合金から選ばれる1種が好ましい。拡散防止層は、電極層と多結晶シリサイド層との反応を抑制できるものであれば、その材質は特に限定されるものではない。その一方で、構成元素として酸素を有する電極層としては、ITOなどの透明電極が挙げられる。透明電極は光を透過するため表面電極部4に適している。Pt(白金)、Au(金)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Ag(銀)およびこれらを主成分とする合金は厚さ10nm以下にすれば光が透過する成分である。また、多結晶金属シリサイド層との反応しない成分であるため好ましい。
また、拡散防止層の厚さや材質は、多結晶金属シリサイド層が最も吸収する波長の透過率が50%以上、さらには90%以上とすることが好ましい。例えば多結晶金属シリサイド層が、β−FeSiの場合は1500nmが最も吸収する波長となる。また、BaSiの場合は950nmが最も吸収する波長となる。
また、図1では多結晶金属シリサイド層の表面側の一部に表面電極部4を設けた構造となっているが、図2に示したように表面側全部に表面電極部4を設けても良い。
また、実施形態に係る太陽光発電モジュールは、多結晶金属シリサイド層の平均結晶粒径A(μm)と膜厚B(μm)の関係がA≧Bを満たすことが好ましい。つまり、多結晶金属シリサイド層の平均結晶粒径が膜厚以上に大きいことを特徴とするものである。多結晶金属シリサイドは、個々の結晶粒子が発電に寄与する。金属シリサイド結晶粒子で発電した電気は前述のように表面電極部4および裏面電極層3を伝って外部に取り出すことになる。つまり、金属シリサイド層の厚み方向に電気が流れていくことになる。金属シリサイド層2の中を電気が流れる際に、金属シリサイド結晶粒子同士の粒界がトラップサイトとなる。粒界トラップサイトはキャリアの伝導を阻害する内部抵抗となり、金属シリサイド層で発電した電気を効率よく取り出すことができなくなり、結果として発電効率が低下する。そのため、平均結晶粒径A(μm)≧膜厚B(μm)とすることにより、金属シリサイド層の厚み方向に対して粒界の個数を減らす(ゼロ含む)ことができる。このため、金属シリサイド層の厚み方向に対して金属シリサイド結晶粒子同士の粒界が存在しない状態が最も好ましい。なお、金属シリサイド層の平均結晶粒径A(μm)、膜厚B(μm)の測定方法は、まず、金属シリサイド層の厚み方向の任意の断面の拡大写真を測定する。そこに写る個々の結晶粒子の最大径を粒径とし、任意の30粒の平均値を平均結晶粒径A(μm)とする。また、膜厚に関しては、同様に断面の拡大写真を撮り、任意の10か所の厚さを測定し、その平均値を膜厚B(μm)とする。また、拡大写真は結晶粒子同士の粒界が分かる程度に拡大されているものとする。また、一枚の写真(一視野)に30粒すべてが入らない場合いは連続した複数の拡大写真を使うものとする。
図3に多結晶金属シリサイド層の模式図を示した。図中、2は多結晶金属シリサイド層である。また、Bは金属シリサイド層の膜厚である。図2では5粒の結晶粒子が並んだ状態を模式したものである。結晶粒子同士の粒界は、直線状、曲線状など特に限定されるものではない。また、図3に示したように金属シリサイド結晶粒子の個々の粒径は、そこに写る結晶粒子の最大径を粒径とするので、それぞれA1、A2、A3、A4、A5が粒径となる。この作業を30粒行い、その平均値を求めるものである。
また、多結晶金属シリサイド層の平均結晶粒径A(μm)が0.01μm以上(10nm以上)であることが好ましい。平均結晶粒径が10nm未満では結晶サイズが小さすぎてA≧Bに制御するのが困難となるおそれがある。また、平均結晶粒径の上限は特に限定されるものではないが、3μm以下が好ましい。平均結晶粒径が3μmを超えて大きいと均一な結晶を作製するのが困難となるおそれがある。なお、好ましくは平均結晶粒径0.05〜1.2μm(50〜1200nm)である。
また、多結晶金属シリサイド層の膜厚B(μm)が1μm以下であることが好ましい。また、膜厚が1μmを超えて厚いと均質な結晶を作製するのが困難となるおそれがある。また、1μmを超えて厚くても、それ以上の発電効率が得られないおそれがある。
また、金属シリサイドはβ−鉄シリサイド、バリウムシリサイド、マグネシウムシリサイド、クロムシリサイドまたはレニウムシリサイドの1種であることが好ましい。また、β−鉄シリサイド層はβ−FeSi層であることが好ましい。また、バリウムシリサイドがBaSi層であることが好ましい。
鉄シリサイドとしては、FeSi以外にもFeSi、FeSi、FeSiなどが挙げられるが、FeSiが最も発電効率がよい。なお、化学量論としてFeSiに近似していれば多少ずれていても使用できる(小数点一桁目を四捨五入してFeとSiの原子比が1:2になる範囲)。また、マグネシウムシリサイドはMgSi、クロムシリサイドはCrSi、レニウムシリサイドはReSiが好ましい。また、BaSi、MgSi、CrSi、ReSiについても小数点一桁目を四捨五入して原子比がこの範囲になるものであればよい。
また、p型β−鉄シリサイド層とn型β−鉄シリサイド層を接触構造としたpn接合型構造、またはショットキー型構造、MIS(metal−thin insulator−semiconductor)型構造、MOS(metal−oxide−semiconductor)型構造のいずれでもよい。また、必要に応じ、不純物などをドープしてもよい。
また、p型β−FeSiはキャリア密度が1×1014〜1×1021cm−3、n型β−FeSiはキャリア密度が1×1014〜1×1021cm−3、ショットキー型β−FeSiはキャリア密度が1×1014〜1×1018cm−3であることが好ましい。いずれのβ−FeSiであってもキャリア密度は1×1016cm−3以下であることが好ましい。キャリア密度を小さくすることにより発電効率が向上する。言い換えると、発電効率が向上しているということはキャリア密度が1×1016cm−3以下となっていることを示す。なお、キャリア密度1×1016cm−3以下とは、1×1014cm−3のように乗数が小さくなっている数値を示すものとする。
また、バリウムシリサイド層は、BaSi層であることが好ましい。バリウムシリサイドとしてはBaSi以外にも、BaSiなどが挙げられるが、BaSiが最も発電効率がよい。なお、化学量論としてBaSiに近似していれば多少ずれていても使用できる。また、p型バリウムシリサイド層とn型バリウムシリサイド層を接触構造としたpn接合型構造、またはショットキー型構造、MIS(metal−thin insulator−semiconductor)型構造、MOS(metal−oxide−semiconductor)型構造のいずれでもよい。また、必要に応じ、不純物などをドープしてもよい。
また、p型BaSiはキャリア密度が1×1014〜1×1021cm−3、n型BaSiはキャリア密度が1×1014〜1×1021cm−3、ショットキー型BaSiはキャリア密度が1×1014〜1×1018cm−3であることが好ましい。いずれのBaSiであってもキャリア密度は1×1017cm−3以下であることが好ましい。キャリア密度を小さくすることにより発電効率が向上する。言い換えると、発電効率が向上しているということはキャリア密度が1×1017cm−3以下となっていることを示す。これは、他の金属シリサイド(MgSi、CrSi、ReSi)であっても同様にキャリア密度が1×1017cm−3以下となっていることが好ましい。なお、キャリア密度1×1017cm−3以下とは、1×1015cm−3のように乗数が小さくなっている数値を示すものとする。
β−FeSiはバンドギャップEgが0.85eV程度であり、直接遷移型であることから波長1500nm以下に対し高い吸収効率を有している。また、BaSiはバンドギャップEgが1.4eV程度と高く、間接遷移型であることから波長950nm以下に対し高い吸収効率を有している。1500nm以下または950nm以下の赤外線を発電に利用できることから一日単位でみても長い時間発電することが可能である。また、β−FeSi、BaSiは吸収係数がSiの100〜1000倍と高いことから、同じ効率としたとき膜厚をSi太陽電池層の1/100〜1/1000程度に薄くすることも可能である。
なお、pn接合型とショットキー型ではショットキー型であることが好ましい。ショットキー型であれば、pn接合型のようにp型およびn型の2種類の金属シリサイドを調製する必要がないため、低コスト化が図れる。
図4にpn接合型多結晶金属シリサイド層、図5にショットキー型多結晶金属シリサイド層を有する太陽光発電モジュールの模式図を示した。図中、2は多結晶金属シリサイド層、2−1はp型多結晶金属シリサイド層、2−2はn型多結晶金属シリサイド層、2−3は空乏層、3は電極層、4は表面電極層、である。
図4はpn接合型多結晶金属シリサイド層を有する太陽光発電モジュールの模式図である。図4では表面電極層側にp型、電極層(裏面電極)側にn型を設けた構造を例示したが、p型とn型を逆にしてもよい。また、図4に示したように、pn接合型構造に電荷を印加するとp型層2−1とn型層2−2の間に空乏層2−3が形成される。空乏層の存在により電気二重層となり電気の取出しが可能となる。
図5はショットキー型多結晶金属シリサイド層を有する太陽光発電モジュールの模式図である。図5の多結晶金属シリサイド層2はp型層2−1またはn型層2−2のどちらでもよい。また、ショットキー型は、金属と半導体の間で整流作用を示す接合のことである。また、金属と半導体の接触で空乏層が形成される。今回の場合、金属は表面電極部4または裏面電極層3である。また、半導体は多結晶金属シリサイド層である。
また、pn接合型は主に少数キャリアを使って電流を流すのに対し、ショットキー型は主に多数キャリアを使って電流を流す構造である。そのため、ショットキー型の方が高速動作に優れた太陽光発電モジュールを作製することができる。なお、p型の作製は、周期律表3B族から選ばれる1種をドープする方法を例示することができる。また、周期律表3B族はB(ホウ素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Tl(タリウム)である。また、n型の作製は、周期律表5B族から選ばれる1種をドープする方法を例示することができる。また、周期律表5B族は、N(窒素)、P(リン)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)である。
また、表面電極部4は波長1500nm以下の光が透過する電極材料であることが好ましい。このような材料としては、ITO、ATO、AZO、GZOなどの透明電極材料が挙げられる。また、表面電極部4は多結晶金属シリサイド層2上に1か所以上形成されていればよい。さらにpn接合型では、表面電極部4として、多結晶金属シリサイド層の仕事関数のマッチングを行うことが好ましい。p型多結晶金属シリサイド層の電極層は、p型多結晶金属シリサイド層の仕事関数より高いものであることが好ましい。また、n型多結晶金属シリサイド層の電極層は、n型多結晶金属シリサイド層の仕事関数より低いものであることが好ましい。このようなマッチングを行うことにより、多結晶金属シリサイド層と電極層との間の整流性をなくすことができる。整流特性とは一定方向のみ電流が流れやすくなる特性である。pn接合型の場合、多結晶金属シリサイド層と電極部の整流特性をなくすことにより、発電効率が向上する。 例えば、p型BaSi層は仕事関数4.7、n型BaSi層は仕事関数3.3、p型β−FeSi層は仕事関数5.6、n型β−FeSi層は仕事関数4.8、をそれぞれ基準に電極材料を選定することが好ましい。
また、多結晶金属シリサイド層2上に窒化膜を設けた後、その上に透明電極材料を形成しても良い。窒化膜は多結晶金属シリサイド層2の酸化や吸湿を防止する保護膜の効果がある。窒化膜は拡散防止層を設けない箇所に形成することが好ましい。
また、窒化膜としては、シリコン窒化膜が好ましい。また、シリコン窒化膜としては、Si、Si、Siα、Siαから選ばれる1種が好ましい。なお、x、y、z、αは原子比であり、0<x≦3.0、0<y≦4.0、0≦z≦1.0、0≦α≦0.1であることが好ましい。また、窒化膜の膜厚は10nm以下、さらには5nm以下が好ましい。窒化膜は絶縁性の(導電性が低い)ものが多い。膜厚が10nmを超えると電気が流れなくなるおそれがある。10nm以下、さらには5nm以下の薄い膜にすることにより、トンネル効果が得られるので導通に影響はなくなる。なお、窒化膜の膜厚の最小値は保護膜として機能するのであれば特に限定されるものではないが、2nm以上が好ましい。
また、窒化膜は、スパッタ法、CVD法、直接窒化法(金属シリサイドを窒化する方法)などの成膜方法が挙げられる。また、各成膜方法を行う場合、成膜中の雰囲気に酸素や水素を含有させることにより、Si、Siα、Siαを形成することができる。
また、必要に応じ、表面電極部4および多結晶金属シリサイド層2の上に反射防止膜やガラス基板を設けてもよいものとする。
また、多結晶金属シリサイド層2の裏面側には裏面電極層3および基板5が形成されている。裏面電極層3は、導電性を有する材料であればよく、Pt、Ag、Al、Cuなどの金属材料(合金含む)、LaB、TiNなどの導電性窒化物やニッケルシリサイド(NiSi)やコバルトシリサイド(CoSi)などの金属シリサイドが挙げられる。β−FeSiを使用する場合はNiSiを用いることが好ましい。NiSiはβ−FeSiの結晶配向性を制御するテンプレートとしても機能する電極材料である。
また、裏面電極層3として合金を使用する場合、Al合金が挙げられる。また、Al合金としては、AlNd合金といったAl−希土類合金が挙げられる。また、Al−希土類合金中の希土類含有量は10at%以下が好ましい。
また、裏面電極層3は耐熱性のある材料であることが好ましい。後述するように多結晶金属シリサイド層2を作製する際に熱処理を施すことが好ましい。このため、裏面電極層3は耐熱性を有する材料であることが好ましい。耐熱性のある材料としては、NiSi、AlNd合金、LaB、TiNが挙げられる。耐熱性のある電極材料を使うことにより電極層の形成歩留りが向上する。
また、裏面電極層3としては、多結晶金属シリサイド層の仕事関数のマッチングを行うことが好ましい。具体的には、pn型と、ショットキー型によってマッチングの仕方が異なる。pn型の場合は前述の通り、多結晶金属シリサイド層と電極部の整流特性をなくすことにより、発電効率が向上するため、整流特性をなくすように仕事関数のマッチングを行う。またショットキー型では多結晶金属シリサイド層と表面電極部4の間における整流作用の有無によってマッチングの仕方が異なる。多結晶金属シリサイド層と表面電極部4の間に整流作用がある場合、多結晶金属シリサイド層と裏面電極部3の間における整流特性をなくすことが好ましい。すなわち、p型多結晶金属シリサイド層の電極層は、p型多結晶金属シリサイド層の仕事関数より高いものであることが好ましい。また、n型多結晶金属シリサイド層の電極層は、n型多結晶金属シリサイド層の仕事関数より低いものであることが好ましい。一方、ショットキー型において多結晶金属シリサイド層と表面電極部4の間に整流作用がない場合、多結晶金属シリサイド層と裏面電極部3の間における整流特性を付与することが好ましい。すなわち、p型多結晶金属シリサイド層の電極層は、p型多結晶金属シリサイド層の仕事関数より低いものであることが好ましい。また、n型多結晶金属シリサイド層の電極層は、n型多結晶金属シリサイド層の仕事関数より高いものであることが好ましい。
例えば、p型BaSi層は仕事関数4.7、n型BaSi層は仕事関数3.3、p型β−FeSi層は仕事関数5.6、n型β−FeSi層は仕事関数4.8、をそれぞれ基準に電極材料を選定することが好ましい。
また、金属シリサイド層2と裏面電極層3の間には、必要に応じ、部分的に絶縁層を設けてもよい。
また、基板5は、ガラス基板、絶縁性セラミックス基板や金属基板などが挙げられる。なお、金属基板の場合は絶縁層を設けて外部との絶縁性を確保するものとする。
以上のような太陽光発電モジュールであれば、発電効率のよい太陽光発電モジュールを提供することができる。
ここで、太陽光発電モジュールの製造方法について説明する。本実施形態に関しては上記構成を有していれば製造方法は特に限定されるものではないが、効率よく得るための方法として次の方法が挙げられる。
まず、基板5を用意する。必要に応じ、基板5の表面を洗浄する。洗浄した場合は、十分に乾燥工程を行うものとする。
次に、裏面電極層3を形成する。裏面電極層3は、電極層を構成する成分をスパッタリング法などの成膜法を使って形成する。裏面電極層3の厚さは、任意であるが、10nm以上であることが好ましい。また、NiSiなどの金属シリサイドを裏面電極層3として用いる場合は、NiSiターゲットを用いる方法、Niターゲット(金属ターゲット)およびSiターゲットの両方を用いる方法が挙げられる。NiターゲットおよびSiターゲットの両方を用いる方法の場合、NiターゲットとSiターゲットを同時スパッタまたは交互スパッタのどちらでもよい。また、スパッタ後、熱処理を行いNiSiに反応させることが好ましい。熱処理条件としては窒素などの不活性雰囲気中、300〜700℃、30秒〜5分が好ましい。700℃を超えた高温または5分を超えた長時間の熱処理を行うと基板5などの歪みを生じるおそれがある。なお、NiSiの純度は99.9wt%以上、さらには99.999wt%以上であることが好ましい。また、NiSiは多結晶膜または単結晶膜のどちらでもよい。なお、多結晶膜の場合は平均結晶粒径が大きいものがよい。NiSiなどの下地層の平均結晶粒径を大きくすることにより、その上に形成される多結晶金属シリサイド層2の平均結晶粒径を大きくすることができる。下地層を単結晶膜にしても同様の効果が得られる。
次に、裏面電極層3に対し、必要に応じ、パターニング処理を行う。パターニング処理は、パターン(配線)として残したい箇所にエッチングレジストを塗布またはマスク材を配置し、エッチング処理を行う方法が挙げられる。
次に、金属シリサイド層を設ける工程を行う。金属シリサイド層を設ける場合、スパッタリング法などの成膜法を使って形成する。また、金属シリサイド層の厚さは0.01μm(10nm)以上であることが好ましい。
また、β−FeSi層を形成する場合、FeSiターゲットをスパッタする方法、FeターゲットおよびSiターゲットの両方を用いる方法が挙げられる。FeターゲットおよびSiターゲットの両方を用いる方法の場合、FeターゲットとSiターゲットを同時スパッタまたは交互スパッタのどちらでもよい。また、スパッタ後、熱処理を行いFeSiに反応させることが好ましい。熱処理条件としては不活性雰囲気中または還元性雰囲気中、300〜900℃、30秒〜1時間が好ましい。不活性雰囲気としては窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられる。また、還元性雰囲気としては、水素を含有した窒素ガスなどが挙げられる。また、900℃を超えた高温または1時間を超えた長時間の熱処理を行うと基板5などの歪みを生じるおそれがある。なお、裏面電極層3として金属シリサイド(NiSiまたはCoSi)を使った場合、熱処理温度を500℃以下とすることができる。これは金属シリサイドがβ−FeSi層を形成するためのテンプレートの役割を果たすためである。また、β−FeSi層を形成するための熱処理温度が500℃以下にできれば、基板、特にガラス基板へのダメージを低減することができるため望ましい。また、スパッタ後の熱処理によって、β−FeSi層の平均結晶粒径の制御ができる。
また、均質なβ−FeSi層を得るには、FeターゲットとSiターゲットを交互にスパッタした後、熱処理を行う方法が好ましい。Fe膜を0.5〜5nm、Si膜を1〜10nmの範囲とし、Fe膜/Si膜を1セットとし、目的とする膜厚になるまで交互に積層膜を形成し、熱処理を施す。熱処理により、Fe膜とSi膜が反応し、多結晶のβ−FeSi層となる。また、Fe膜とSi膜を交互に積層する場合、SiとFeの原子比がFe:Si=1:1.5〜2.5、さらには原子比Fe:Si=1:2.0〜2.5であることが好ましい。FeとSiの原子比を1:2.0〜2.5とすることにより均質なβ−FeSi層を形成され易くなる。均質なβ−FeSi2層となると抵抗率が4×10Ωcm以上となる。特にFe:Si=1:2.1〜2.4の範囲とすることにより、抵抗率を1×10Ωcm以上とすることができる。シート抵抗値が高いということは、抵抗値の低い金属Feや金属Siとなっている部分が少なく、均質なβ−FeSi層が得られていることを示す。
また、FeSiターゲットをスパッタする方法、FeターゲットおよびSiターゲットの両方を用いる方法のいずれの方法であっても、使用するスパッタリングターゲットの純度は99.9wt%以上、さらには99.999wt%以上の高純度のものであることが好ましい。
また、スパッタリング工程では真空中または不活性雰囲気中で行うことが好ましい。真空中または不活性雰囲気中で行うことにより、スパッタ工程中の不純物の混入を防ぐことができる。また、真空中は1×10−3Pa以下、不活性雰囲気中はアルゴンガスが好ましい。また、スパッタ工程中に、加熱雰囲気としてもよい。
なお、シート抵抗値の測定は、β−FeSi層表面を4探針法により行うものとする。また、均質なβ−FeSi層の形成はXRD法でも確認することができる。出来上がったβ−FeSi層をXRD分析(2θ)したとき、β−FeSiに特有の(202)/(220)面のピークが28〜30°、(004)/(040)面のピーク、(422)面のピークおよび(133)面のピークが42〜58°の間に検出される。また、(202)/(220)面のピークが最強ピークになることが好ましい。また、均質なβ−FeSiとなっているとXRD分析を行ったとき金属Feや金属Siのピークは検出されないものとなる。
また、熱処理を施して、均質なβ−FeSi層を得ると赤外線吸収特性として6300〜6500cm−1に吸収端(absorption edge)を設けることができる。また、上記のようなFe膜とSi膜を交互にスパッタして熱処理によりβ−FeSi層を形成したものは、シート抵抗の温度依存性が良い。シート抵抗温度依存性をアレニウスプロット(Arrhenios plot)したとき、298K(25℃)で「抵抗率が8×10Ωcm、Ea=0.142eV」であるものが、200K(−73℃)で「抵抗率3.6×10Ωcm、Ea=0.123eV」、90K(−183℃)で「抵抗率3.6×10Ωcm、Ea=0.0926eV」、50K(−223℃)で「抵抗率2×10Ωcm、Ea=0.0395eV」となる。低温領域でも優れた抵抗率を示すということはキャリア密度が1×1018cm−3以下になっていることを示している。
このため、Fe膜とSi膜を交互に積層して熱処理によりβ−FeSiに反応させる方法は、均質なβ−FeSi層が得られる。また、熱処理条件を調製することにより、多結晶金属シリサイド層の平均結晶粒径A(μm)と膜厚B(μm)の関係がA≧Bを満たすこともできる。
また、BaSi層を形成する場合は、バリウムシリサイドターゲットをスパッタする方法が挙げられる。バリウムシリサイドターゲットとしては、BaSi,BaSiなどが挙げられる。なお、BaSi層形成後、窒化膜(保護膜)を連続成膜することで大気開放後の酸化や吸湿を防止することができる。また、スパッタリング工程を真空中または不活性雰囲気中で行うことにより酸化を抑制しながら成膜することができる。真空雰囲気としては、1×10−3Pa以下であることが好ましい。また、不活性雰囲気は、窒素、アルゴンなどが好ましい。また、スパッタ工程中に、加熱雰囲気としてもよい。窒化膜は後述する拡散防止層を設けない箇所に設けることが好ましい。
また、スパッタリング工程は、BaSiターゲットを用いて成膜した後、熱処理を行う方法を用いても良い。また、スパッタリング工程は、BaSi,BaSiなどのようにBaとSiの組成比を変えたスパッタリングターゲットを用意し、交互に積層スパッタして、スパッタ後、熱処理を行いBaSiに反応させる方法を用いても良い。熱処理条件としては真空下、不活性雰囲気中または還元性雰囲気中、300〜900℃、30秒〜1時間が好ましい。900℃を超えた高温または1時間を超えた長時間の熱処理を行うと基板5などの歪みを生じるおそれがある。また、真空中で熱処理する場合、真空雰囲気は1×10−3Pa以下であることが好ましい。また、不活性雰囲気は、窒素、アルゴンなどが好ましい。また、還元性雰囲気は、水素を含有した窒素雰囲気などが挙げられる。
なお、裏面電極層3として金属シリサイド(NiSiまたはCoSi)を使った場合、熱処理温度を500℃以下とすることができる。これは金属シリサイドがBaSi層を形成するためのテンプレートの役割を果たすためである。また、BaSi層を形成するための熱処理温度が500℃以下にできれば、基板、特にガラス基板へのダメージを低減することができるため望ましい。また、スパッタ後の熱処理によって、BaSi層の平均結晶粒径の制御ができる。
また、裏面電極層3として金属シリサイド(NiSiまたはCoSi)を使う場合、金属シリサイド電極層は多結晶体または単結晶体のどちらでもよい。また、多結晶体にする場合、その平均結晶粒径はできるだけ大きな方が望ましい。平均結晶粒径の大きな金属シリサイド裏面電極層3上に多結晶金属シリサイド層2を設けると、平均結晶粒径A(μm)と膜厚B(μm)の関係がA≧Bを満たし易くなる。また、金属シリサイドを裏面電極層3として使用する場合は、金属シリサイド裏面電極層3を下地層とし、その下に金属電極などを設けた多層電極構造にしてもよい。
また、前述のように裏面電極層3のパターニング処理を行った場合、裏面電極層3の設けられていない個所にレジストまたはマスク材を配置してから行うものとする。
また、pn接合型のように積層構造とする場合は、それぞれ不純物をドーピングする工程を行うものとする。
前述のようにスパッタリング法と熱処理を組合せることにより多結晶金属シリサイド層となる。多結晶金属シリサイド層の平均結晶粒径A(μm)と膜厚B(μm)の関係がA≧Bを満たすようにするには、多結晶金属シリサイド層に熱処理を加えて粒成長させることが有効である。この熱処理は300〜900℃、30秒〜1時間が好ましい。また、この熱処理はFeターゲットとSiターゲットを同時スパッタまたは交互スパッタした後の熱処理と併せて行ってもよい。
また、ショットキー型構造であれば、熱処理温度を500℃以下にできるので基板5へのダメージを低減できる。
次に多結晶金属シリサイド層上に拡散防止層を設ける。拡散防止層は、Pt、Au、Al、Cu、Agまたはこれらを主成分とする合金から選ばれる1種が挙げられる。拡散防止層の厚さは10nm以下とする。拡散防止層の形成方法は、スパッタリング法などの薄膜形成法を用いるものとする。
次に、表面電極部4を設ける工程を行う。表面電極部は、ITOやATOなどの透明電極を用いる場合にはITOターゲットまたはATOターゲットを用いたスパッタリング法により形成することが好ましい。また、図1に示したように、金属シリサイド層2上に部分的に表面電極部4を設ける場合は、レジストまたはマスク材を配置してスパッタリングを行うものとする。
また、表面電極部4を形成した後は、必要に応じ、反射防止膜を形成したり、ガラス基板などの透明基板と張り合わせてもよい。また、表面電極部4を予め設けた透明基板と張り合わせてもよい。
(実施例)
(実施例1〜2、比較例1)
ガラス基板上にNiSi層(厚さ20nm)を設けた。なお、NiSi2層の形成は、NiターゲットとSiターゲットを交互スパッタし、Ni/Siが交互に多数積層した積層膜を形成した。その後、窒素雰囲気中、500℃×1分間熱処理してNiSi層に反応させた。なお、NiターゲットまたはSiターゲットは純度99.9wt%のものを用いた。
次に、NiSi層上にβ−FeSi層(厚さ300nm)を形成した。β−FeSi層の形成は、FeターゲットとSiターゲットを交互にスパッタし、Fe膜/Si膜が交互に多数積層した積層膜を形成した。実施例1および実施例2はFe膜の膜厚を1〜3nm、Si膜の膜厚を5〜10nmの範囲で交互に積層した。また、実施例1は原子比をFe:Si=1:2.1、実施例2は原子比をFe:Si=1:2.3にしたものである。なお、FeターゲットとSiターゲットは純度99.9wt%のものを用いた。その後、表1に示した条件で熱処理することにより、平均結晶粒径と膜厚の関係を制御した。
また、β−FeSi層上に、Auからなる拡散防止層を設けた。Au膜はAuターゲットを用いてスパッタリングして形成した。また、拡散防止層の厚さ、波長1500nmの透過率は表1に示した通りである。
次に、拡散防止層上にITOからなる表面電極部を設けた。なお、ITO表面電極部はITOターゲットをスパッタリングして形成した。また、実施例1はβ−FeSi層上の半分(面積50%)に拡散防止層を設けた構造である。また、実施例2はβ−FeSi層上の全面に拡散防止層を設けた構造である。また、比較例1は拡散防止層を設けない以外は実施例1と同じ構造にしたものである。
このような方法により、ショットキー型構造を有する太陽光発電モジュールを作製した。得られた太陽光発電モジュールに対し、β−FeSi層の平均結晶粒径を求めた。平均結晶粒径の測定は、β−FeSi層を厚み方向に切断し、その断面の拡大写真を撮り、個々の結晶粒子の最大径の30粒の平均値から求めた。また、β−FeSi層をXRD分析した結果、β−FeSi結晶のピークのみ検出され、金属Feおよび金属Siのピークは検出されなかった。
Figure 0006539541
実施例1〜2および比較例1に係る太陽光発電モジュールに関し、発電効率を求めた。発電効率の測定方法は、発光強度30W/m、色温度5700Kの太陽光スペクトル(昼12時の発光スペクトルに近似)を具備するLED照明光を照射して発電効率を求めた。発電効率は、1日12時間照射して、1日(発電初期)、1ヶ月後、2ヶ月後の効率を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 0006539541
表から分かる通り、実施例に係る太陽光発電モジュールは効率が良かった。これは平均結晶粒径A≧膜厚Bとなっているため粒界トラップサイドが低減していること、拡散防止層を設けたためである。また、全面に拡散防止層を設けた実施例2の方が発電効率が高く、長期的な効率の低下が小さかった。
(実施例3〜4、比較例2)
SiO基板上にLaB電極層(厚さ50nm)を設けた。次にLaB電極層上にBaSi層(厚さ300nm)を形成した。BaSi層の形成は、BaSiターゲットをスパッタし、その後、Agからなる拡散防止層を連続成膜した。Ag膜は、Agターゲットを用いて成膜した。また、拡散防止層の厚さ、波長950nmの透過率は表3に示した通りである。なお、スパッタ工程は、1×10−3Pa以下の真空中、300℃の加熱雰囲気で行った。また、BaSiターゲットは純度99.99wt%のものを用いた。
その後、表3に示した条件で熱処理することにより、平均結晶粒径と膜厚の関係を制御した。
次に、拡散防止層上にAZOからなる表面電極部を設けた。なお、AZO表面電極部はAZOターゲットをスパッタリングして形成した。また、実施例3はBaSi層上の半分(面積50%)に拡散防止層を設けた構造である。また、実施例4はBaSi2層上の全面に拡散防止層を設けた構造である。また、比較例2は拡散防止層を設けない以外は実施例3と同じ構造にしたものである。
このような方法により、ショットキー型構造を有する太陽光発電モジュールを作製した。得られた太陽光発電モジュールに対し、BaSi層の平均結晶粒径を求めた。平均結晶粒径の測定は、BaSi層を厚み方向に切断し、その断面の拡大写真を撮り、個々の結晶粒子の最大径の30粒の平均値から求めた。
Figure 0006539541
実施例3〜4および比較例2に係る太陽光発電モジュールに関し、発電効率を求めた。発電効率の測定方法は、実施例1と同様の方法である。その結果を表4に示す。
Figure 0006539541
表から分かる通り、実施例に係る太陽光発電モジュールは効率が良かった。これは平均結晶粒径A≧膜厚Bとなっているため粒界トラップサイドが低減したこと、拡散防止層を設けたためである。また、全面に拡散防止層を設けた実施例2の方が発電効率が高く、長期的な効率の低下が小さかった。
(実施例5〜6、比較例3)
ガラス基板上にNiSi層(厚さ20nm)を設けた。なお、NiSi層の形成は、NiターゲットとSiターゲットを交互スパッタし、Ni/Siが交互に多数積層した積層膜を形成した。その後、窒素雰囲気中、500℃×1分間熱処理してNiSi層に反応させた。また、NiターゲットおよびSiターゲットは純度99.99wt%のものを用いた。
NiSi層上に、n型β−FeSi層、さらにその上にp型β−FeSi層を設けた。n型およびp型のβ−FeSi層の形成は、FeターゲットとSiターゲットを交互にスパッタし、Fe膜/Si膜が交互に多数積層した積層膜を形成した。実施例5〜6はFe膜の膜厚を1〜3nm、Si膜の膜厚を5〜10nmの範囲で交互に積層した。また、実施例5〜6は原子比をFe:Si=1:2.25にしたものである。なお、FeターゲットおよびSiターゲットは純度99.99wt%のものを用いた。また、スパッタ工程は1×10−3Pa以下の真空中で行った。その後、表5に示した条件で熱処理することにより、平均結晶粒径と膜厚の関係を制御した。なお、n型、p型の作製は不純物ドープにより行った。
また、β−FeSi層上に、Ptからなる拡散防止層を設けた。Pt膜は、Ptターゲットを用いて、スパッタリングにより設けた。また、拡散防止層の厚さ、波長1500nmの透過率は表5に示した通りである。
次に、拡散防止層上にITOからなる表面電極部を設けた。なお、ITO表面電極部はITOターゲットをスパッタリングして形成した。また、実施例5はβ−FeSi層上の半分(面積50%)に拡散防止層を設けた構造である。また、実施例6はβ−FeSi層上の全面に拡散防止層を設けた構造である。また、比較例3は拡散防止層を設けない以外は実施例5と同じ構造にしたものである。これにより、pn接合型多結晶β−FeSi太陽光発電モジュールを作製した。
Figure 0006539541
実施例5〜6、比較例3に係る太陽光発電モジュールに関し、発電効率を求めた。発電効率の測定方法は、実施例1と同様の方法である。その結果を表6に示す。
Figure 0006539541
表から分かる通り、実施例に係る太陽光発電モジュールは効率が良かった。これは平均結晶粒径A≧膜厚Bとなっているため粒界トラップサイドが低減したためである。また、拡散防止層を設けたことが機能していることが分かった。このようにpn接合型に関しても有効であることが判明した。
(実施例7〜8、比較例4)
実施例7〜8および比較例4は、SiO基板上に、LaB電極層(厚さ50nm)を設けた。

次に電極層上にn型BaSi層、その上にp型BaSi層を形成した。また、Ptからなる拡散防止層を連続成膜した。Pt膜は、Ptターゲットを用いて成膜した。また、拡散防止層の厚さ、波長950nmの透過率は表7に示した通りである。なお、スパッタ工程は、1×10−3Pa以下の真空中、300℃の加熱雰囲気で行った。また、BaSiターゲットは純度99.9wt%のものを用いた。
その後、表7に示した条件で熱処理することにより、平均結晶粒径と膜厚の関係を制御した。
次に、拡散防止層上にAZOからなる表面電極部を設けた。なお、AZO表面電極部はAZOターゲットをスパッタリングして形成した。
また、実施例7はBaSi層上の半分(面積50%)に拡散防止層を設けた構造である。また、実施例8はBaSi2層上の全面に拡散防止層を設けた構造である。また、比較例4は拡散防止層を設けない以外は実施例3と同じ構造にしたものである。このような方法により、pn接合型構造を有する太陽光発電モジュールを作製した。
Figure 0006539541
実施例7〜8、比較例4に係る太陽光発電モジュールに関し、発電効率を求めた。発電効率の測定方法は、実施例1と同様の方法である。その結果を表8に示す。
Figure 0006539541
表から分かる通り、実施例に係る太陽光発電モジュールは効率が良かった。これは平均結晶粒径A≧膜厚Bとなっているため粒界トラップサイドが低減したためである。また、拡散防止層を設けた効果も確認できた。このようにpn接合型に関しても有効であることが判明した。
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
1…第一の実施形態に係る太陽光発電モジュール
2…多結晶金属シリサイド層
2−1…p型多結晶金属シリサイド層
2−2…n型多結晶金属シリサイド層
2−3…空乏層
3…電極層
4…表面電極部
5…基板
6…拡散防止層

Claims (5)

  1. 発電層として多結晶金属シリサイド層を具備する太陽光発電モジュールにおいて、多結晶金属シリサイド層の平均結晶粒径A(μm)と膜厚B(μm)の関係がA≧Bを満たすと共に、
    多結晶金属シリサイド層に設けられた構成元素として酸素を有する透明電極層との間の一部または全部に厚さ10nm以下の拡散防止層が設けられており、拡散防止層が、Pt、Au、Al、Cu、Agおよびこれらを主成分とする合金から選ばれる1種からなることを特徴とする太陽光発電モジュール。
  2. 拡散防止層の厚さが5nm以下であることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電モジュール。
  3. 多結晶金属シリサイド層の平均結晶粒径A(μm)が0.01μm以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか記載の太陽光発電モジュール。
  4. 多結晶金属シリサイド層の膜厚B(μm)が1μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の太陽光発電モジュール。
  5. 金属シリサイドはβ−鉄シリサイドまたはバリウムシリサイドの1種であることを特徴とする請求項1ないし請求項の太陽光発電モジュール。
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