JP6532049B2 - 固体酸化物形燃料電池用燃料極とその製造方法および前記燃料極を含む固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用燃料極とその製造方法および前記燃料極を含む固体酸化物形燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用燃料極とその製造方法および前記燃料極を含む固体酸化物形燃料電池に関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、イオン伝導性の固体電解質を用いているため、高温で作動可能であり、クリーンなエネルギー源として期待されている。
固体酸化物形燃料電池1は、化学エネルギーを電気エネルギーへと変換できるエネルギーデバイスであり、図1に示すように、イオン導電体の電解質2の両側に、空気極3(カソード)および燃料極4(アノード)がそれぞれ配置されている。そして、空気極側に酸素または空気を導入し、燃料極側に燃料ガスを導入し、高温(約1000℃)の雰囲気中で固体酸化物形燃料電池を作動させると、図2に示すように、空気極3での酸素の還元反応によって酸化物イオン(O2-)が生じ、この酸化物イオンが電解質2を伝導して燃料極4に向かい、燃料極側で燃料と反応し、電子(e-)が放出されて水(H2O)が生じる。放出された電子(e-)は外部回路を通って空気極3に流れる。
固体酸化物形燃料電池の燃料ガスとしては、従来、水素ガスが用いられるのが一般的であったが、水素は液化が難しく貯蔵、運搬が困難であるという問題がある。これに対し、アンモニア燃料は液化が容易で、引火性が低いこと、さらに、理論起電力が高く、電極上への炭素析出も起こらないことから、エネルギーキャリアとして優れている。また、固体酸化物形燃料電池を低温で作動させることができれば、発電性能の長期安定性と電池構成材料の低コスト化が可能となるため、固体酸化物形燃料電池の実用化には、低温発電性能の向上が課題となる。
このような課題に対処するため、本発明者らは、アンモニア燃料を用いることができ、低い作動温度(900℃以下)で、固体酸化物形燃料電池を作動させるための燃料極として、鉄とニッケルを特定の割合で含む燃料極を発明し、出願している(特許文献1)。しかしながら、今なお、低い作動温度でアンモニア燃料を使用した場合でも優れた性能を発揮することができ、発電性能を安定に維持できる燃料極の開発が求められている。
特開2011−40362号公報
したがって、本発明は、低い作動温度でアンモニア燃料を使用した場合でも、高い発電性能を発揮し、発電性能を安定に維持できる燃料極およびその製造方法を提供すること、および、前記燃料極を使用した固体酸化物形燃料電池を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために検討を重ねた結果、アンモニア中で窒化物を形成しない(すなわち、反応生成物である窒素を容易に脱離する)ニッケルと、窒化物を形成する(すなわち、反応物であるアンモニアを吸着しやすい)遷移金属とを組み合わせることにより、反応物(アンモニア)の吸着と反応生成物(窒素)の脱離をバランスよく行うことができ、その結果、燃料極の過電圧を低減できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、固体酸化物形燃料電池を作動させるための燃料極であって、モリブデン、タングステンおよびタンタルからなる群より選択される遷移金属と、ニッケルと、イオン導電体とを含むことを特徴とする。
本発明に係る燃料極は、窒素と水素との化合物(アンモニア等)のガスを含む燃料を供給して固体酸化物形燃料電池を作動させるための燃料極として好適である。
本発明に係る燃料極中における前記遷移金属と前記ニッケルの総原子数に対する、前記遷移金属の原子数の割合は、1〜10%であることが好ましい。
また、前記遷移金属としては、特にモリブデンが好ましい。
また、前記イオン導電体の好ましい例として、下記の組成式(I)または(II)で表される金属酸化物が挙げられる。
RExCe1-x2-(x/2) (I)
yZr1-y2-(y/2) (II)
前記組成式(I)において、REは、Sm、Gd、Y、La、CaおよびNdから選ばれる少なくとも1種の金属であり、xは0≦x<0.5を満たす実数を示し、
前記組成式(II)において、Aは、Y、Sc、Ce、およびYbから選ばれる少なくとも1種の金属であり、yは0≦y<0.2を満たす実数を示す。
また、本発明は、上述した特徴を有する燃料極と、電解質と、空気極(酸素極)とを有する固体酸化物形燃料電池に関する。
また、本発明は、固体酸化物形燃料電池用燃料極を製造する方法であって、
工程A)イオン導電体の粉末とニッケル酸化物の粉末とを混合し、当該混合物を焼成して燃料極中間体を作製する工程、および
工程B)工程Aで作製した燃料極中間体に、モリブデン、タングステンおよびタンタルからなる群より選択される遷移金属を含む溶液を含浸する工程
を含むことを特徴とする。
本発明の燃料極によれば、低温雰囲気中(900℃以下)で、窒素と水素との化合物(特にアンモニア)ガスを燃料極に供給して、固体酸化物形燃料電池を作動させた場合でも、優れた発電効率を実現することができる。また、本発明に係る上記製造方法によれば、イオン導電体の粉末と前記遷移金属をあらかじめ混合して焼成することにより一段階で燃料極を製造する方法とは異なり、焼成時に、イオン導電体と前記遷移金属との反応および前記遷移金属の昇華が生じないという利点がある。
図1は、本発明に係る固体酸化物形燃料電池の一例の模式的な斜視図である。 図2は、本発明に係る固体酸化物形燃料電池の作動時における挙動を説明する図である。 図3は、燃料極の走査電子顕微鏡(SEM)写真であり、(a)はMoが0at.%(Ni単独)、(b)はMoが3.37at.%、(c)はMoが11.4at.%のSEM写真を示す。 図4は、NH3中での窒化物の生成を確認するためのX線回析パターンであり、(a)はNiO単独、(b)はNi:Mo=9:1のNiO−MoO3酸化物のX線回析パターンを示す。 図5は、電流−電圧(I−V)特性および電流−出力(I−P)特性を示すグラフであり、(a)はNi-SDC(Sm0.2Ce0.81.9)からなる燃料極、(b)はNi-Mo-SDCからなる燃料極の特性を示す。 図6は、過電圧−電流特性を示すグラフであり、(a)はNi-SDCからなる燃料極、(b)はNi-Mo-SDCからなる燃料極の特性を示す。 図7は、Ni-Fe-SDCからなる燃料極とNi-Mo-SDCからなる燃料極の特性を比較する図であり、(a)は電流−電圧(I−V)特性および電流−出力(I−P)特性の比較を示し、(b)は過電圧−電流特性の比較を示す。 図8は、Ta、WまたはNbを3at.%含むNi-SDC燃料極と、添加金属0at.%のNi-SDC燃料極の特性を比較する図であり、電流−電圧(I−V)特性および電流−出力(I−P)特性を示す。 図9は、NH3中での窒化物の生成を確認するためのX線回析パターンであり、(a)はTa25酸化物の、(b)はWO3酸化物のX線回析パターンを示す。 図10は、NH3中での窒化物の生成を確認するためのX線回析パターンであり、Nb25酸化物のX線回析パターンを示す。 図11は、水素ガス及びアンモニアガスを供給した場合の起電力の温度依存性を示すグラフである。
本発明に係る燃料極は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)およびタンタル(Ta)からなる群より選択される遷移金属と、ニッケルと、イオン導電体とを含む。
前記遷移金属の中でも、比較的低温で窒化物を形成できるモリブデンがより好ましい(モリブデンは、約700℃で窒化物(Mo2N)を形成する)。また、モリブデンは含浸法に適しているため、優れた性能を有する燃料極を製造しやすいという利点がある。
前記遷移金属とニッケルの総原子数に対する前記遷移金属の原子数の割合は、1〜10%であることが好ましく、1.5〜6%であることがより好ましく、2〜4%であることが特に好ましい。前記遷移金属が1%未満の場合は、前記遷移金属による、水素と窒素の化合物ガス(アンモニアガス等)の吸着効果が十分に発揮されにくく、他方、前記遷移金属が10%を超える場合は、遷移金属が燃料極表面を被覆するため、活性が低下する傾向が見られる。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池用燃料極は、燃料にアンモニアを用いた場合、水素と窒素への分解を経由せず、燃料極上でアンモニアが直接酸化される。既報文献(ECS Transactions 57(1) pp.1639-1645 (2013))に詳述されるように、燃料極に水素ガスを供給した場合、燃料電池の作動温度が上昇すると起電力は減少するが、燃料極にアンモニアガスを供給した場合は、燃料電池の作動温度の上昇とともに起電力が増加するため(図11参照)、アンモニアは水素ガスへの分解を経由せずに直接酸化していると考えられる。従って、本発明に係る燃料極に用いられる材料は、アンモニア分解触媒とは本質的に異なる。このことは、アンモニア分解触媒に最適なMo/(Mo+Ni)組成比が10at.%を超えるのに対し、本発明に係る燃料極の最適なMo/(Mo+Ni)組成比は10at.%以下であることからも、裏付けられる。
言い換えれば、本発明に係る固体酸化物形燃料電池用燃料極で支配的に進む反応(主反応)は、2NH3ad+3O2-→3H2O+N2+6e-であると考えられる。なお、添字のadは、電極表面への吸着状態であることを示す。前記主反応においては、アンモニア分子の吸着や残留窒素分子の脱離反応が律速段階である。本発明に係る燃料極に含まれるニッケルは、アンモニア中で窒化物を形成しないため、反応生成物である窒素を容易に脱離し、本発明に係る燃料極に含まれる遷移金属(Mo、WまたはTa)は、いずれもアンモニアを吸着しやすく、アンモニアガス中で窒化する。すなわち、燃料極中の前記遷移金属は、反応物であるアンモニアの吸着を促進し、燃料極中のニッケルは、アンモニアの酸化反応後に燃料極表面に残留した窒素を効率よく脱離させ、アンモニア吸着サイトを回復させるのに役立つ。このように、本発明に係る燃料極は、Niの窒素脱離能と、Mo、WまたはTaのアンモニア吸着能のバランスにより、優れた発電効率を発揮すると考えられる。
本発明に係る燃料極中に含まれる好ましいイオン導電体としては、
下記の組成式(I)で表されるドープセリアまたは組成式(II)で表される安定化ジルコニアが挙げられる。
RExCe1-x2-(x/2) (I)
yZr1-y2-(y/2) (II)
前記組成式(I)において、REは、Sm、Gd、Y、La、CaおよびNdから選ばれる少なくとも1種の金属であり、xは0≦x<0.5を満たす実数を示し、
前記組成式(II)において、Aは、Y、Sc、Ce、およびYbから選ばれる少なくとも1種の金属であり、yは0≦y<0.2を満たす実数を示す。
特に好ましい式(I)のイオン導電体として、REがSmであるイオン導電体が挙げられ、その一例としてSm0.2Ce0.81.9(SDC20)が挙げられる。また、特に好ましい式(II)のイオン導電体として、AがScであるイオン導電体が挙げられ、その一例として、Sc0.1Zr0.91.95(ScSZ)が挙げられる。
上述した式(I)に該当するSDC20の製造例は、実施例において説明される。上述した式(II)に該当するScSZの製造例としては、例えば以下の方法がある。まず、Sc(NO3)3・2H2O(硝酸スカンジウム二水和物)とZrO(NO3)2・2H2O(硝酸ジルコニル二水和物)とをそれぞれのモル比がSc:Zr=0.1:0.9となるように、濃度が0.2mol/dm3の硝酸水溶液中に溶解し、混合する。続いて、濃度が1mol/dm3のアンモニア水溶液を上記ScとZrを含む硝酸水溶液に加えることにより沈殿物を得る。さらに12時間撹拌した後、吸引ろ過により沈殿物を分離回収し、80℃で乾燥し、空気中で700℃で か焼することによって、ScSZ粉末が得られる。
本発明にかかる燃料極は、上述した遷移金属(Mo、W、Ta)、ニッケルおよびイオン導電体に加えて、他の金属元素を含んでもよい。たとえば、Fe、Coなどの遷移金属を入れることにより、燃料極の電子伝導性や焼結性、また電解質材料との反応性を制御することも可能である。他の金属元素を添加する場合、[他の金属元素の原子数/Niの原子数]が、0.1以下(より好ましくは0.05以下)となるように添加することが好ましい。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池に使用される電解質としては、ジルコニア系酸化物、セリア系酸化物、ランタンガレート系酸化物、バリウムセレート系酸化物、バリウムジルコネート系酸化物、ストロンチウムセレート系酸化物、ストロンチウムジルコネート系酸化物、ランタンシリケート系酸化物などの電解質を用いることができる。好ましい電解質の一例として、下記の組成式(III)で表わされる電解質が挙げられる。
La1-sSrsGa1-(u+v)CouMgvw (III)
上記組成式(III)において、sは0≦s≦0.25を満たす実数を示し、uは0≦u≦0.1を満たす実数を示し、vは0.05≦v≦0.25を満たす実数を示し、wは2.7≦w≦3.025を満たす実数を示すことが特に好ましく、その一例として、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23が挙げられる。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の空気極として用いることができる材料として、Pt(白金)、ペロブスカイト型酸化物等が挙げられる。好ましいペロブスカイト型酸化物として、SmxSr1-xCoO3、LaxSr1-xCoO3、LaxSr1-xCoyFe1-y3、LaxSr1-xFeO3などが挙げられる。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池1は、たとえば以下のようにして作動させることができる。
まず、図1に示す固体酸化物形燃料電池1を900℃以下の雰囲気中に設置し、図2に示すように、燃料極4に水素と窒素との化合物のガス(図2の例では、NH3ガス)を含む燃料を供給し、空気極3に酸素ガスを含む酸化剤を供給する。
これにより、空気極3においては、酸化剤中に含まれる酸素ガスにより、(1/2)O2+2e-→O2-の反応から酸化物イオン(O2-)が生じる。そして、酸化物イオン(O2-)は電解質2を燃料極4に向かって伝導する。
そして、燃料極4においては、電解質を伝導してきた酸化物イオン(O2-)と、アンモニアガスとにより、2NH3ad+3O2-→3H2O+N2+6e-の反応から水(H2O)と窒素(N2)と電子(e-)が生じる。そして、水(H2O)および窒素(N2)は外部に放出され、電子(e-)は外部回路を通って空気極3に流れ込む。
以上のようにして固体酸化物形燃料電池を作動させることによって、固体酸化物形燃料電池による発電が可能となる。
燃料極に供給する燃料ガスとしては、たとえば、アンモニア(NH3)ガスおよび/またはヒドラジン(N24)ガスなどの、水素と窒素との化合物からなるガスの少なくとも1種を用いることができる。特に好ましい燃料ガスとして、アンモニアガスが挙げられる。
なお、本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、水素と窒素との化合物からなるガスを含む燃料を使用する場合に特に好適であるが、水素(H2)ガスを含む燃料などの従来から公知の燃料を供給して作動させることも可能である。
空気極に供給される酸化剤としては、たとえば、空気および/または酸素(O2)ガスなど、酸素を含むガスを少なくとも1種含む酸化剤を用いることができる。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、低温(900℃以下)の雰囲気中において作動させた際にも高い発電効率を発揮できるが、900℃を超える温度で作動させることも可能である。
以下、本発明に係る固体酸化物形燃料電池を製造する方法の一例を概説する。
まず、燃料極に使用するイオン導電体として、上述した式(I)のドープセリアまたは式(II)の安定化ジルコニア粉末を準備する。
次に、上記イオン導電体の粉末と、酸化ニッケル(NiO)粉末とを、それらの全量に占めるイオン導電体の含有率が10〜50重量%(より好ましくは20〜40重量%)となる割合で混合し、バインダー(ポリエチレングリコール、エチルセルロース、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂等)を水や有機溶媒と適宜組み合わせて燃料極ペーストを調製する。なお、他の金属元素(すなわち、Mo,W,Ta,Ni以外の金属元素)の酸化物を添加する場合、イオン導電体、NiOおよび他の金属元素の酸化物(例えば、Fe23)の全量に占めるイオン導電体の含有率は、上記と同じ範囲であることが好ましい。
作製した燃料極ペーストを、図1に示すようなディスク状の固体電解質2の片面の一部に、スクリーン印刷した後、焼成し、燃料極中間体を作製する。
次に、電解質の他方の面に、前記燃料極中間体と重なるように、Pt(白金)またはペロブスカイト型酸化物を含むペーストをスクリーン印刷した後、焼成することによって空気極3を形成する。
続いて、モリブデン、タングステン、タンタルからなる群より選択される遷移金属を含む溶液を、前記燃料極中間体にマイクロピペット等で滴下し、吸収させることによって、前記燃料極中間体に前記溶液を含浸させた後、60〜120℃で乾燥を行い、燃料極4を作製する。
前記遷移金属を含む溶液としては、前記遷移金属の塩を含む水溶液(超純水を使用することが好ましい)、アルコール溶液(エタノール等)、あるいは水とアルコールの混合溶液等を使用することができる。
特にMoCl5を水のみに溶かした溶液が好ましいが、MoCl5が溶けきらない場合は、少量の有機溶媒(エタノールアミン等)を加えても良い。溶液中の遷移金属の塩の濃度は、0.05〜1.0mol/dm3程度が好ましく、0.1〜0.5mol/dm3程度がより好ましい。
上記遷移金属(Mo、W、Ta)を含む燃料極を製造する方法として、上記のような含浸法の他に、あらかじめイオン導電体と、NiOと、上記遷移金属の酸化物を含むペーストを作製するか、あるいはイオン導電体と、Niと上記遷移金属との複合酸化物とを含むペーストを作製し、前記ペーストを電解質の片面にスクリーン印刷した後、焼成することにより、一段階で作製する方法があるが、空気中にて高温で焼成する際に、Mo、W、Taが昇華、あるいはイオン導電体と反応し、充分な効果を発揮しない。従って、上述したように、まずNiOとイオン導電体の混合物を焼成することによって多孔性の燃料極中間体を作製し、含浸法によりMo、W、Taを添加する方法がより好ましい。
<実施例1> 固体酸化物形燃料電池の製造
以下の手順により、図1に模式的に示す構成の固体酸化物形燃料電池を作製した。
[電解質]
酸化ランタン、炭酸ストロンチウム、酸化ガリウムおよび酸化マグネシウムを所定の比率でエタノール中において湿式混合した後、1150℃で18時間の仮焼と上記の湿式混合とを交互に2回繰り返して作製したLSGM粉末を、294MPaの圧力でCIP成形し、その後1500℃で10時間焼成することによって、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23(LSGM)からなるディスク状(直径15mm、厚み0.5mm)の緻密な電解質を作製した。
[イオン導電体粉末]
Sm(No3)3・6H2O(硝酸サマリウム六水和物)粉末とCe(No3)3・6H2O(硝酸セリウム六水和物)粉末とをそれぞれSmとCeとのモル比がSm:Ce=2:8となるように、濃度が0.2mol/dm3の硝酸水溶液中に溶解し、混合した。次に、シュウ酸二水和物の水溶液とアンモニア水溶液とを混合して得たシュウ酸アンモニウム水溶液(シュウ酸濃度:0.2mol/dm3, pH:6.7)を調製し、これを上記SmとCeを含む硝酸水溶液に加えることにより、SmとCeの水酸化物沈殿を得た。さらに12時間撹拌した後、吸引ろ過により沈殿物を分離回収し、80℃で乾燥し、空気中で700℃で か焼することによって、SDC20(Sm0.2Ce0.81.9)粉末を得た。
[燃料極中間体]
上述のようにして製造したSDC20粉末と、NiO(酸化ニッケル)粉末とを、SDC20:NiO=3:7(重量比)となる割合で混合し、バインダーとしてポリエチレングリコールを適量添加して燃料極ペーストを調製した。その燃料極ペーストを、ディスク状の緻密な電解質の片面に、直径6mmの円形となるようにスクリーン印刷した後に、1250℃で3時間焼成し、燃料極中間体を形成した。
[空気極]
次に、電解質の他方の面に、燃料極中間体と重なるように、Sm0.5Sr0.5CoO3の組成をもつペロブスカイト型酸化物のペーストをスクリーン印刷した後に、1200℃で3時間焼成することによって、空気極(直径6mm、厚さ約10μm)を形成した。
[参照電極]
続いて、電解質の外縁に直径0.5mmのPt線を巻きつけ、Ptペーストで電解質の縁に接着させた状態で、930℃で0.5時間焼成することにより、参照電極を形成した。
[燃料極]
最後に、燃料極中間体に濃度が0.15mol/dm3または0.3mol/dm3のMoCl5(塩化モリブデン)水溶液を5〜20μl含浸した後(燃料極中間体に、MoCl5水溶液をマイクロピペットで滴下し、吸収させることによって含浸した)、80℃で乾燥することによって燃料極(Ni-Mo-SDC燃料極)を形成した。
<実施例2> 発電実験
実施例1で作製した固体酸化物形燃料電池を用い、発電試験を実施した。燃料極、空気極、参照極での集電にはPtメッシュを用い、Pt線を通して計測器(ポテンショスタット)に接続した。燃料ガスの密閉にはパイレックス(登録商標)ガラスを用いた。固体酸化物形燃料電池を設置した電気炉を900℃に昇温した後、燃料極に純水素を100ml/minで供給し、燃料極の還元処理を1時間行った。続いて、目的の温度(900℃)に設定し、燃料極側にNH3ガスを、空気極側に空気をそれぞれ100ml/minで供給し、電極性能の測定を行った。開回路電圧から0.4Vに至るまで0.7mV/sの定速で電位走査を行い、対応する電流密度を読み取り、電位と電流密度を掛け合わせた値を出力密度とした。表1に、様々なMo含有量の燃料極を用いたときの固体酸化物形燃料電池の出力密度を示す。
表1中のMoのat.%は、MoとNiの総原子数に対するMoの原子数の割合を示す。このMoのat.%は、蛍光X線分析装置を用いて、上記燃料極に含まれるMoとNiの含有量を測定することによって求めた。表1において、一部Mo含浸量とMoのat.%が相関していないのは、細孔径分布や乾燥斑に起因する燃料極内のMoの不均一な分布のためであると考えられる。
表1に示すように、Mo含有量が3at.% 付近で最も高い出力密度が得られた。
<実施例3> 燃料極表面の観察
表1の燃料極のうち、Moなし(Ni単独)、Moが3.37at.%および11.4at.%の燃料極のSEM写真を撮影し、表面状態を確認した。図3に結果を示す。図3から明らかなように、Moが11.4at.%の場合は、Moによる燃料極表面の被覆が観察された。Moが11.4at.%の場合、出力密度が低くなったが(表1参照)、この理由は、含浸法ではMoが多すぎるとMoが電極表面を被覆し、活性が低下するためと考えられる。したがって、含浸法によりMoを含む燃料極を作製する場合、Moは10at.%以下が好ましく、1.5〜6at.%がより好ましく、2〜4at.%が特に好ましいと考えられる。
<実施例4> X線回析パターン
NiOとMoO3の粉末をNiとMoの原子数比が9:1となるように乳鉢を用いて混合した。続いて、その粉末を水素気流中、またはアンモニアを25%含むアルゴン気流中で900℃にて1時間処理し、室温まで冷却した後、取り出した粉末のX線回析パターンを測定した。結果を図4(b)に示す。図4(a)は、NiO粉末単独のX線回析パターンである。
図4(b)から明らかなように、NiとMoを含む燃料極は、アンモニア燃料中で、Ni-Mo窒化物を生成することが明らかになった。窒化物を形成する金属は、アンモニア吸着のエンタルピーを小さくする効果があると考えられる。図4(a)に示すように、Ni単独の場合、窒化物を形成せず、アンモニア吸着が良好に進まないが、Moを少量添加することにより、アンモニア吸着が促進され、発電性能が向上すると考えられる。
<実施例5> 特性評価(Ni単独とNi-Moの比較)
表1に示すMoが0at.%の燃料極および2.56at.%の燃料極を用いて作製した固体酸化物形燃料電池を、700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気中に設置し、空気極に空気を供給し、燃料極にアンモニアガスを供給したときの、空気極と燃料極との間の電圧(V)と、燃料電池に流れる電流の電流密度(mA/cm2)との関係(電圧−電流特性)を調べた。また、電流密度(mA/cm2)と出力密度(W/cm2)との関係も調べた。結果を図5に示す。図5の各グラフにおいて、横軸が電流密度(mA/cm2)、左の縦軸が電圧(V)、右の縦軸が出力密度(W/cm2)を示す。
図5に示すように、Moを含む燃料極(Ni-Mo-SDC)を用いた場合は、Moを含まない燃料極(Ni-SDC)を用いた場合と比べ、700℃、800℃および900℃のいずれの雰囲気においても、I−V曲線(電圧-電流曲線:右下がりの曲線)の傾斜が緩やかであり、発電時の電流密度が高かった。また、Ni-Mo-SDC燃料極を用いた場合、Ni-SDC燃料極を用いた場合と比べ、700℃、800℃および900℃のいずれの雰囲気においても、I−P曲線(電流−出力曲線:右上がりの曲線)の立ち上がりが大きく、出力密度がより高かった。したがって、Ni-Mo-SDCを燃料極に用いた燃料電池は、Ni-SDCを燃料極に用いた燃料電池より優れた電圧−電流特性を有すること、優れた発電性能を示すことが確認された。
また、Moが0at.%の燃料極および2.56at.%の燃料極を用いて作製した実施例1の固体酸化物形燃料電池について、燃料極(アノード)における過電圧(V)と、燃料電池に流れる電流の電流密度(mA/cm2)との関係(過電圧−電流特性)調べた。結果を図6に示す。図6の各グラフにおいて、横軸は電流密度(mA/cm2)を示し、縦軸は燃料極における過電圧(V)を示す。
図6に示すように、Moを含む燃料極(Ni-Mo-SDC)を用いた場合は、Ni単独の燃料極(Ni-SDC)を用いた場合と比べ、700℃、800℃および900℃のいずれの雰囲気においても、過電圧の上昇が抑制された。したがって、Ni-Mo-SDCを燃料極に用いた燃料電池は、Ni-SDCを燃料極に用いた燃料電池より優れた過電圧−電流特性を有することが確認された。
<実施例6> 特性評価(Ni-FeとNi-Moの比較)
上述した特許文献1に開示されているNi-Fe-SDC燃料極と本発明に係るNi-Mo-SDC燃料極を比較するため、以下のようにして、Ni-Fe-SDC燃料極を含む燃料電池を作製した。なお、Ni-Fe-SDC燃料極における、NiとFeの総原子数に対するFeの原子数の割合は、最も高い活性を示すことが確認されている約60at.%とした。
[Ni-Fe-SDC燃料極を含む燃料電池の作製]
実施例1のようにして作製したSDC20と、Fe23(酸化鉄)粉末およびNiO粉末とを、SDC20:(Fe23+NiO)=3:7(重量比)、Ni:Fe=2:3(原子数比)となるように混合し、バインダーとしてポリエチレングリコールを適量添加して燃料ペーストを作製した。
実施例1で使用した燃料ペーストの代わりに、上記のFeを含む燃料ペーストを使用し、Moの含浸を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で固体酸化物形燃料電池を作製した。
上記のようにして作製したNi-Fe-SDC燃料極を含む燃料電池と、実施例1で製造したMo含有量が2.56at.%の燃料極を含む燃料電池について、燃料極にアンモニアガスを供給し、900℃の温度条件で、実施例5と同様の特性評価試験を行った。結果を図7に示す。
図7(a)に示すように、900℃の雰囲気中において、Ni-Mo-SDCからなる燃料極は、Ni-Fe-SDCからなる燃料極と比べ、高い電流密度および出力密度を示した。
また、図7(b)に示すように、Ni-Mo-SDCからなる燃料極は、Ni-Fe-SDCからなる燃料極と同程度に低い過電圧を示した。
このことから、900℃の雰囲気において、Ni-Mo-SDC燃料極が、Ni-Fe-SDC燃料極と比べて、より優れた特性を示すことが確認された。
なお、上記Ni-Fe-SDC燃料極中のFeのat.%(NiとFeの総原子数に対するFeの原子数の割合)は60%であるのに対し、Ni-Mo-SDC燃料極のMoのat.%(NiとMoの総原子数に対するMoの原子数の割合)はわずか2.5%程度である。
このように、本発明に係るNi-Mo-SDC燃料極は、ごくわずかなMoの添加量で発電性能が著しく向上する。この理由として、MoはFeよりもアンモニア吸着能力が高く、故に低い含有量でもNi-Fe-SDC燃料極を超える性能に繋がったものと考えられる。
また、Ni-Fe-SDC燃料極はその高いFe含有率の故に、燃料ガス中に含まれる水蒸気により酸化され易いが、本発明に係るNi-Mo-SDC燃料極におけるMoの含有率は低いため、電極の酸化も抑えられると考えられる。更に、MoはFeに比べて融点が高いため、本発明に係るNi-Mo-SDC燃料極は、高温還元雰囲気においても燃料極の微細構造が保たれやすい(粒子径が増大しにくい)という利点がある。
したがって、本発明に係るNi-Mo-SDC燃料極は、Ni-Fe-SDC燃料極と比べて、より長期間に渡り発電性能を安定に維持することができると考えられる。
<実施例7> Ta、WまたはNbを含むNi-SDC燃料極を有する燃料電池の作製および特性評価
燃料極中間体に添加する元素をMoからTa、W、Nbに変更した以外は実施例1と同じ方法で、燃料電池を製造した。
具体的には、実施例1と同じ方法で形成した燃料極中間体に、濃度が0.15 mol/dm3のTaCl5溶液(エタノール)、(NH3)W2241・5H2O溶液(水・エタノール=1:9)、あるいはNbCl5 溶液(エタノール)を含浸した後(燃料極中間体に、各溶液をマイクロピペットにて滴下し、吸収させることで含浸した)、80℃で乾燥することによって、添加金属の含有量が3at.%の燃料極(Ni-Ta-SDC、Ni-W-SDC、Ni-Nb-SDC)を有する固体酸化物形燃料電池を作製した。
上述のようにして作製したNi-Ta-SDC燃料極、Ni-W-SDC燃料極またはNi-Nb-SDC燃料極を含む固体酸化物形燃料電池、および、添加元素0at.%の燃料極(Ni-SDC)を含む固体酸化物形燃料電池それぞれについて、発電試験を実施した。発電試験は、いずれも実施例2と同様の方法で行った。
図8に、Ni-Ta-SDC、Ni-W-SDC、Ni-Nb-SDCまたはNi-SDC燃料極を用いた固体酸化物形燃料電池を、900℃の雰囲気中に設置し、空気極に空気を供給し、燃料極にアンモニアを供給したときの、空気極と燃料極との間の電圧(V)と燃料電池に流れる電流の電流密度(mA/cm2)の関係、および、電流密度(mA/cm2)と出力密度(W/cm)の関係を示す。図8において、横軸が電流密度(mA/cm2)、左縦軸が電圧(V)、右縦軸が出力密度(W/cm)を示す。また、表2に、各燃料極を用いた固体酸化物形燃料電池を900℃で作動した時の最大出力密度を示す。
図8に示すように、Ni-SDC燃料極を用いた場合に比べ、TaまたはWを含有する燃料極(Ni-Ta-SDC、Ni-W-SDC)を用いた場合、900℃の雰囲気においてI−V曲線(電圧−電流曲線:右下がり曲線)の傾斜が緩やかであり、発電時の電流密度が高かった。また、I−P曲線(電流−出力曲線)の立ち上がりが大きく、出力密度がより高かった。また、表2に示すように、TaまたはWを含有する燃料極を用いた固体酸化物形燃料電池は、いずれもNi-SDCより有意に高い最大出力密度を示した。したがって、Ni-Ta-SDCまたはNi-W-SDCを燃料極に用いた固体酸化物形燃料電池は、Ni-SDCを燃料極に用いた固体酸化物形燃料電池より優れた電圧-電流特性を有すること、優れた発電特性を示すことが確認された。
これに対し、Taと同じく第5族元素に属するNbを添加した燃料極(Ni-Nb-SDC)は、I−V曲線、I−P曲線、最大出力密度のいずれにおいても、Ni-SDC燃料極とほぼ同じ性能しかなく、Nb添加による特性の向上は確認されなかった。
<実施例8> X線回析パターン
Ta25またはWO3の粉末を、アンモニアを25%含むアルゴン気流中で900℃にて1時間還元処理し、室温まで冷却した後、取り出した粉末のX線回折パターンを測定した。結果を図9に示す。図9(a)はTa25、図9(b)はWO3のX線回折パターンである。また、Nb25粉末についても、同じ方法で処理し、X線回析パターンを測定した。結果を図10に示す。
Ta酸化物およびW酸化物はともに還元され窒化物であるTaONおよびW2Nを生成した。これに対し、Nbは多くが酸化物として残り、窒化物の形成は確認されなかった。窒化物を形成する金属は、アンモニア吸着のエンタルピーを小さくする効果があり、アンモニアの吸着能が強いと考えられる。したがって、実施例7で作製した3つの燃料極(Ni-Ta-SDC、Ni-W-SDC、Ni-Nb-SDC)における発電性能の違いは、添加した金属のアンモニア吸着能によるものと考えられる。
本発明に係る燃料極を利用すれば、アンモニアガスを燃料として用い、700℃〜900℃といった低温の雰囲気中で固体酸化物形燃料電池を作動させた場合でも、燃料極側の過電圧を抑制することができ、アンモニアをエネルギーキャリアとしたコンパクトで高効率な燃料電池システムを構築することができる。
1 固体酸化物形燃料電池
2 電解質
3 空気極
4 燃料極

Claims (7)

  1. 固体酸化物形燃料電池を作動させるための燃料極であって、
    ニッケルとイオン導電体とを含む焼成体、および前記焼成体に付着しているモリブデン
    を含むこと
    燃料極中におけるモリブデンとニッケルの総原子数に対するモリブデンの原子数の割合が1〜10%であること、
    を特徴とする固体酸化物形燃料電池用燃料極。
  2. 窒素と水素との化合物のガスを含む燃料を供給して固体酸化物形燃料電池を作動させるための燃料極であることを特徴とする、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用燃料極。
  3. 前記燃料極中におけるモリブデンとニッケルの総原子数に対するモリブデンの原子数の割合が1.5〜6%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池用燃料極。
  4. 前記イオン導電体が、下記の組成式(I)または(II)
    RE x Ce 1-x 2-(x/2) (I)
    y Zr 1-y 2-(y/2) (II)
    で表される金属酸化物であって、
    前記組成式(I)において、REは、Sm、Gd、Y、La、CaおよびNdから選ばれる少なくとも1種の金属であり、xは0≦x<0.5を満たす実数を示し、
    前記組成式(II)において、Aは、Y、Sc、Ce、およびYbから選ばれる少なくとも1種の金属であり、yは0≦y<0.2を満たす実数を示す
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池用燃料極。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料極と、電解質と、空気極とを含むことを特徴とする、固体酸化物形燃料電池。
  6. 固体酸化物形燃料電池用燃料極を製造する方法であって、
    工程A)イオン導電体の粉末とニッケル酸化物の粉末とを混合し、当該混合物を焼成して燃料極中間体を作製する工程、および
    工程B)工程Aで作製した燃料極中間体に、モリブデンを含む溶液を、モリブデンとニッケルの総原子数に対するモリブデンの原子数の割合が1〜10%となるように含浸する工程
    を含むことを特徴とする、固体酸化物形燃料電池用燃料極の製造方法。
  7. モリブデンとニッケルの総原子数に対するモリブデンの原子数の割合が1.5〜6%となるように含浸することを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
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