JP6529347B2

JP6529347B2 - 印刷機

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Publication number: JP6529347B2
Application number: JP2015114514A
Authority: JP
Inventors: 裕之須田; 浩隆清田
Original assignee: Komori Corp
Current assignee: Komori Corp
Priority date: 2015-06-05
Filing date: 2015-06-05
Publication date: 2019-06-12
Anticipated expiration: 2035-06-05
Also published as: US10252547B2; EP3100867B1; EP3100867A1; US20160355028A1; JP2017001198A; CN106240156B; CN106240156A

Description

本発明は、シートにインク液を噴射するインクジェットヘッドを備えた印刷機に関する。

インクジェットヘッドを備えたデジタル印刷装置としては、例えば特許文献１に記載されているものがある。
特許文献１に開示されたデジタル印刷装置は、インキ乾燥装置をシートの搬送状態に基づいて制御するものである。このデジタル印刷装置においては、シートに赤外線や紫外線などの光を照射し、その熱エネルギーによってインキを乾燥させている。
また、このデジタル印刷装置では、印刷対象であるシートの表面温度を所定の温度に上昇させて印刷が行われる。
ところで、従来のこの種のデジタル印刷装置においては、印刷胴を冷却するにあたって、水冷式あるいは油冷式の冷却装置を使用することがある。

特開２０１３−２４０９８９号公報

特許文献１に示すデジタル印刷装置では、インキを乾燥させるための赤外線や紫外線によって、シートを搬送する印刷胴の表面が加熱され、それが原因でシートの表面温度が過度に上昇してしまうという問題があった。シートの表面温度が上がり過ぎると、インクの粘度が変化し、印刷物の画質が劣化してしまうという問題があった。
このような問題は、印刷胴を水冷式や油冷式の冷却装置によって冷却することによって、ある程度は解消することができる。しかし、この種の冷却装置は、出力が非常に大きいために制御が難しく、しかも装置が大型である。また、立ち上がり時間が長く、しかも、冷却液が漏洩するおそれがあるから、取扱いが難しい。このため、この種の冷却装置を使用することなく簡易に印刷胴を冷却することが要請されている。

本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、簡易な方法で、印刷時に発生する熱量が印刷胴表面に伝わって印刷胴が過熱されることを防止するとともに、印刷胴の熱を効率よく放散させることを目的とする。

この目的を達成するために、本発明に係る印刷機は、外周面を形成する金属製シートを含み、シートを搬送する印刷胴と、前記印刷胴によって搬送されているシートにインク滴を吐出して印刷を施すインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドよりも前記シートの搬送方向の下流側に配置され、前記印刷胴に対向し、印刷後のインクを乾燥させる乾燥装置と、前記印刷胴の前記金属製シートに重ねて取付けられ、前記乾燥装置と対向するときに前記シートの熱を吸収し前記乾燥装置から離れたときに前記熱を放出する放熱部材とを備え、前記放熱部材は、非金属材料によってシート状に形成された本体と、前記本体の厚み方向に空気を通す多数の通気部とを含み、前記印刷胴は、前記放熱部材の一端および他端をそれぞれ着脱自在に保持する第１の保持部および第２の保持部と、前記金属製シートの一端および他端をそれぞれ保持する第３の保持部および第４の保持部とを含むものである。

本発明は、前記印刷機において、前記印刷胴が、シートを吸着して搬送する吸着装置を備え、前記本体が、合成樹脂からなるシートによって形成され、前記通気部が、前記本体を厚み方向に貫通する多数の貫通孔によって形成され、前記貫通孔の孔径が０．２ｍｍ以上１ｍｍ以下であってもよい。

本発明は、前記印刷機において、前記本体の厚みが０．０７ｍｍ以上０．５ｍｍ以下であってもよい。
本発明は、前記印刷機において、前記本体の総面積に対して前記複数の通気部の開口面積が占める割合は、５０％以上７０％以下であってもよい。
本発明は、前記印刷機において、前記第２の保持部は、前記放熱部材を引っ張る調整部材を含んでいてもよい。
本発明は、前記印刷機において、前記印刷胴は、前記シートのみを挟む爪部材および爪台を含むくわえ爪装置を含んでいてもよい。

本発明に係る放熱部材は、多数の通気部を有するシート状に形成されているから、熱容量が少ないものとなる。このような放熱部材は、乾燥装置と対向するときに熱を吸収し、乾燥装置から離れたときに熱を放出する。このため、乾燥装置による熱が放熱部材によって一時的に吸収された後に放出される。したがって、本発明によれば、簡易な方法で、印刷時に発生する熱量が印刷胴表面に伝わって過熱されることを防止するとともに、印刷胴の熱を効率よく放散させることが可能な印刷機を提供することができる。

本発明に係る印刷機の構成を示す側面図である。印刷胴の外周切欠き部分を拡大して示す断面図である。要部を拡大して示す断面図である。印刷胴の一部を示す平面図である。図４におけるV-V線断面図である。図４におけるVI-VI線断面図である。有孔樹脂シートの平面図である。有孔樹脂シートの一部を拡大して示す平面図である。印刷胴の軸線方向の端部の一部を示す側面図である。

以下、本発明に係る印刷機の一実施の形態を図１〜図９によって詳細に説明する。
図１に示す印刷機１は、図１において最も右に位置するフィーダー部２から印刷ユニット３にシート４を搬送し、この印刷ユニット３においてシート４の片面または両面に印刷を施すものである。印刷ユニット３において印刷が施されたシート４は、デリバリー部５に送られ、デリバリーパイル６に排出される。

フィーダー部２は、シート４をフィーダーパイル１１からサッカー１２によってフィーダーボード１３に移し替える構造のものである。サッカー１２は、間欠給紙バルブ１４に接続されており、シート４が連続的に送られる形態と、シート４が間欠的に送られる形態とのうちいずれか一方の形態で動作する。シート４の表面のみに印刷が施される場合は、サッカー１２がシート４を連続的にフィーダーボード１３に送る。一方、シート４の表面と裏面とに印刷が施される場合は、サッカー１２がシート４を間欠的にフィーダーボード１３に送る。

印刷ユニット３は、フィーダー部２から供給されたシート４がシート供給側スイング装置１５によって搬送される供給側渡胴１６と、この供給側渡胴１６からシート４が送られる印刷胴１７と、印刷後のシート４を送る複数の搬送胴１８〜２１とを備えている。
供給側渡胴１６は、シート４を所定の温度に過熱するヒータ（図示せず）を備えている。
印刷胴１７は、シート４を吸着して搬送するもので、後述する吸着装置２２（図２参照）を備えている。また、印刷ユニット３は、供給側渡胴１６よりシート搬送方向の下流側に位置する第１〜第４のインクジェットヘッド２３〜２６と、第４のインクジェットヘッド２６より搬送方向の下流側に位置するインキ乾燥ランプ２７とを備えている。

第１〜第４のインクジェットヘッド２３〜２６は、シート４にインク滴を吐出して印刷を施すものである。
インキ乾燥ランプ２７は、第１〜第４のインクジェットヘッド２３〜２６によってシート４に塗布されたインキを硬化させるためのものである。この実施の形態においては、このインキ乾燥ランプ２７によって、本発明でいう「乾燥装置」が構成されている。

上述した複数の搬送胴は、印刷胴１７からシート４を受け取る第１の排出側渡胴１８と、この第１の排出側渡胴１８からシート４を受け取る第２の排出側渡胴１９と、この第２の排出側渡胴１９からシート４を受け取る第３の排出側渡胴２０および反転前倍胴２１である。裏面に印刷が施されるシート４は、第２の排出側渡胴１９から反転前倍胴２１に搬送される。表面のみに印刷が施されるシート４や、表裏両面に印刷が施されたシート４は、第２の排出側渡胴１９から第３の渡胴２０に送られ、デリバリーベルト２８を介してデリバリーパイル６に送られる。

これらの供給側渡胴１６と、印刷胴１７と、第１の排出側渡胴１８と、第２の排出側渡胴１９と、第３の排出側渡胴２０と、反転前倍胴２１は、シート４の受け渡しを行うために、それぞれくわえ爪装置３１〜３６を備えている。これらのくわえ爪装置３１〜３６は、シート４の搬送方向の下流側端部をくわえて保持する従来周知の構造のものである。

反転前倍胴２１と給紙側渡胴１６との間には、シート４を反転前倍胴２１から印刷胴１７に送るための反転スイング装置３７が配置されている。この反転スイング装置３７は、反転前倍胴２１によって送られたシート４の搬送方向の上流側端部を把持し、このシート４を表面が印刷胴１７と対向する状態で印刷胴１７に送る。

印刷胴１７の外周部は、くわえ爪装置３２を収容する外周切欠き部４１と、シート４が吸着されて保持されるシート支持部４２とによって構成されている。この実施の形態による印刷胴１７は、外周面を３等分する位置にそれぞれ外周切欠き部４１が設けられている。シート支持部４２は、詳細は後述するが、これらの外周切欠き部４１どうしの間に設けられている。すなわち、この印刷胴１７は、外周切欠き部４１とシート支持部４２とを３組備えた３倍胴である。

印刷胴１７のくわえ爪装置３２は、図２に示すように、外周切欠き部４１の中に設けられた爪軸４３と、この爪軸４３に設けられた爪部材４４と、この爪部材４４と協働してシート４を挟む爪台４５などによって構成されている。
爪軸４３は、印刷胴１７の軸線と平行に印刷胴１７の軸線方向の一端部から他端部まで延びており、印刷胴１７の両端部に取付けられた支持用プレート４６（図９参照）の支持板４６ａに回転自在に支持されている。

支持板４６ａは、支持用プレート４６の外周部の一部が部分的に径方向の外側に突出する形状に形成されており、外周切欠き部４１と対応する周方向の３箇所に設けられている。この支持板４６ａは、外周切欠き部４１を印刷胴１７の軸線方向の外側から覆う形状に形成されている。爪軸４３は、従来からよく知られたカム機構（図示せず）によって駆動され、所定の時期に回動する。爪部材４４は、爪軸４３の軸線方向において複数の位置にそれぞれ設けられている。爪部材４４は、爪軸４３が回動することにより図２中に実線で示すくわえ位置と、図２中に二点鎖線で示す開放位置との間で移動する。
爪台４５は、外周切欠き部４１に取付けられた爪台軸４７の先端部に載せられた状態で固定用ボルト４８によって固定されている。

この実施の形態による爪台軸４７は、外周切欠き部４１の底から印刷胴１７の径方向の外側に向けて突出する支持部材５１と、この支持部材５１の突出端部５１ａに重ねられた状態で固定用ボルト５２によって固定された保持部材５３とによって構成されている。これらの支持部材５１と保持部材５３は、印刷胴１７の軸線と平行に印刷胴１７の軸線方向の一端部から他端部まで延びている。支持部材５１は、外周切欠き部４１の底に固定用ボルト５４によって固定されている。支持部材５１の突出端部５１ａと保持部材５３との合わせ面５５は、印刷胴１７の軸線方向と径方向とに延びている。

印刷胴１７の３箇所のシート支持部４２には、図２に示すように、吸着装置２２の一部となる吸引室５６が形成されている。吸着装置２２は、吸引室５６と、この吸引室５６に開閉弁５７を介して接続された空気吸引装置５８とによって構成されている。
吸引室５６は、印刷胴１７の外周部に設けられた箱状部材５９の中に形成されている。箱状部材５９は、印刷胴１７の径方向の外側に向けて開口している。この箱状部材５９の開口部は、金属製シート６１と、有孔樹脂シート６２とによって覆われている。

金属製シート６１は、ステンレス鋼などによって形成されたシートに多数の通気孔６３を穿設したものである。この金属製シート６１は、シート支持部４２の全域を覆う形状に形成されており、両端部が印刷胴１７に固定されている。ここでいう両端部とは、シート搬送方向の上流側端部および下流側端部である。
金属製シート６１におけるシート搬送方向の下流側端部は、図２に示すように、箱状部材５９の端部５９ａに沿って印刷胴１７の径方向の内側に折り曲げられており、上述した支持部材５１の突出端部５１ａと保持部材５３とによって挟持されている。これらの支持部材５１の突出端部５１ａと保持部材５３とが本発明でいう「第３の保持部」に相当する。
金属製シート６１の他端部は、外周切欠き部４１内に設けられたシート保持軸６４に固定されている。なお、図２に示すシート保持軸６４は、図２において右側に位置するシート支持部４２を覆う金属製シート６１を支持するものではない。図２に示すシート保持軸６４は、外周切欠き部４１を挟んで隣り合う他のシート支持部４２を覆う金属製シート６１の端部を支持するものである。シート保持軸６４が本発明でいう「第４の保持部」に相当する。

有孔樹脂シート６２は、本発明でいう「放熱部材」を構成するものである。この有孔樹脂シート６２は、図７および図８に示すように、合成樹脂によってシート状に形成された本体６５と、この本体の厚み方向に空気を通す多数の通気部６６とによって構成されている。本体６５は、耐熱性と、耐ＵＶ性および耐溶剤性に優れているとともに、熱によって伸びることがない強度を有するとともに適度の引張り強度を有する材料によって形成されている。この実施の形態による本体６５を形成する材料は、ＰＦＡ（テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体）である。この本体６５の厚みは、０．０７ｍｍ以上０．５ｍｍ以下が望ましく、詳細には０．１ｍｍ〜０．３ｍｍがよい。

本体６５の両端部には口金６７，６８が設けられている。ここでいう両端部とは、シート搬送方向の上流側端部および下流側端部（図７においては左右方向の両端部）である。以下においては、本体６５におけるシート搬送方向の下流側端部に位置する口金６７を第１の口金６７といい、他方の口金６８を第２の口金６８という。
第１の口金６７と第２の口金６８は、図３に示すように、有孔樹脂シート６２の本体６５より厚く形成されている。第１の口金６７には、図７に示すように、印刷胴１７の軸線方向の一方に突出する持ち手部６９が設けられている。

通気部６６は、本体６５を厚み方向に貫通する貫通孔によって形成されている。通気部６６の開口形状は、図８に示すように、円形である。隣接する通気部６６間は連絡していない。この通気部６６は、印刷胴１７の軸線方向とシート搬送方向とにそれぞれ所定の間隔をおいて並ぶ状態で本体６５に穿設されている。この実施の形態による通気部６６は、図７中に二点鎖線で示すように、本体６５の略全域に設けられている。通気部６６の孔径は、０．２ｍｍ以上１ｍｍ以下が望ましく、詳細には０．３ｍｍ〜０．９ｍｍがよい。また、通気部６６の形成ピッチは、１．３ｍｍ以下が望ましく、詳細には０．５ｍｍ〜１．１ｍｍがよい。さらに、開口率は５０％以上７０％以下がよい。この開口率とは、本体６５の総面積に対して全ての通気部６６の開口面積が占める割合である。

このように形成された有孔樹脂シート６２は、上述した金属製シート６１に重ねた状態で第１および第２の口金６７，６８を使用して印刷胴１７に取付けられている。第１の口金６７は、図３に示すように、箱状部材５９の端部５９ａと爪台４５および爪台軸４７の保持部材５３との間に設けられた第１の保持部７１に保持されている。箱状部材５９の端部５９ａは、図２に示すように、外周切欠き部４１におけるシート搬送方向の下流側で印刷胴１７の径方向に延びる側壁を構成している。

第１の保持部７１は、図３に示すように、有孔樹脂シート６２の一端部を印刷胴１７の外周面側から径方向の内側に向けて延びる状態で収容する空間Ｓを有している。また、第１の保持部７１には、この空間Ｓに挿入された第１の口金６７に印刷胴１７の径方向の外側（図３においては上側）から対向する突壁７２を有している。この突壁７２は、爪台軸４７の保持部材５３に形成されている。第１の保持部７１内に位置する第１の口金６７は、このように突壁７２が対向しているために、印刷胴１７の径方向外側へ移動することができない。言い換えれば、突壁７２は、印刷胴１７の径方向外側への第１の口金６７の移動を規制している。

空間Ｓは、図９に示すように、印刷胴１７の軸線方向の端部に形成された開放部７３に連通されている。開放部７３は、支持用プレート４６の支持板４６ａよりシート搬送方向の上流側（図９においては右側）に形成されており、印刷胴１７の軸線方向に開放されている。このため、空間Ｓは、印刷胴１７を軸線方向から見ることによって視認することができる。

有孔樹脂シート６２の他端部は、図２に示すように、外周切欠き部４１内に設けられた第２の保持部８１に保持されている。この第２の保持部８１は、外周切欠き部４１内で印刷胴１７の軸線方向に延びるガイド部材８２と、このガイド部材８２に移動自在に支持されたスライダ８３と、このスライダ８３と協働して第２の口金６８を挟持するカバープレート８４などを備えている。
ガイド部材８２は、印刷胴１７の軸線方向の一端部から他端部まで延びており、一対のリブ８２ａ，８２ｂを有する断面溝状に形成されている。また、このガイド部材８２は、印刷胴１７の軸線方向の両端部に設けられた支持用プレート４６に支持用ブラケット８５と固定用ボルト８６（図４参照）とによって固定されている。

スライダ８３は、ガイド部材８２に沿って印刷胴１７の軸線方向に延びる板状に形成されている。また、このスライダ８３は、ガイド部材８２に２種類のボルトによって取り付けられている。２種類のボルトとは、シート搬送方向に延びる調整用ボルト８７と、印刷胴１７の径方向に延びる固定用ボルト８８である。調整用ボルト８７は、ガイド部材８２のリブ８２ａを回転自在に貫通し、スライダ８３に螺着されている。この実施の形態においては、調整用ボルト８７の頭部８７ａと対向する位置にストッパー８９（図２参照）が設けられている。ストッパー８９は、ガイド部材８２に沿って印刷胴１７の軸線方向に延びており、上述した支持用ブラケット８５に固定用ボルト９０によって固定されている。このため、調整用ボルト８７は、頭部８７ａがストッパー８９に当たるまで緩むことができ、頭部８７ａがストッパー８９に当たった後はそれ以上緩むことができなくなる。

固定用ボルト８８は、図５に示すように、スライダ８３の長穴８３ａ内を貫通してガイド部材８２に螺着されている。この固定用ボルト８８は、スライダ８３の両端部と中央部とにそれぞれ配置されている。また、この固定用ボルト８８の先端部には、固定用ボルト８８と交差して延びる抜け止め用のピン９１が設けられている。
スライダ８３におけるシート搬送方向の下流側端部には、図６に示すように、第１の口金６７を収容するための凹溝９２が形成されている。
カバープレート８４は、図４に示すように、印刷胴１７の軸線方向に延びる帯板状に形成されている。このカバープレート８４には、第２の口金６８を押すための複数の押圧部８４ａが設けられている。この実施の形態においては、印刷胴１７の軸線方向に並ぶ複数のカバープレート８４が装備されている。

これらのカバープレート８４は、スライダ８３に重ねられた状態で長手方向の両端部において固定用ボルト９３によってスライダ８３に固定されている。この固定用ボルト９３は、図６に示すように、カバープレート８４の長穴８４ｂを貫通してスライダ８３に螺着されている。この固定用ボルト９３の先端部は、ガイド部材８２の長穴８２ｃに挿通されている。この固定用ボルト９３の先端部にも、固定用ボルト９３と交差して延びる抜け止め用のピン９１が設けられている。

ここで、有孔樹脂シート６２を印刷胴１７に取付ける手順を説明する。有孔樹脂シート６２を印刷胴１７に取付けるためには、先ず、印刷胴１７の軸線方向の一端部に形成されている開放部７３に、第１の口金６７の長手方向の一端部を印刷胴１７の軸線方向の外側から挿入する。この取付作業や、有孔樹脂シート６２を印刷胴１７から取外すときの作業は、持ち手部６９を把持することにより、容易に行うことができる。そして、第１の口金６７をさらに軸線方向に進め、第１の保持部７１の空間Ｓ内に挿入する。

この空間Ｓに有孔樹脂シート６２の一端部が挿入された状態で有孔樹脂シート６２が他端部側へ引かれると、第１の口金６７が突壁７２に当たり、それ以上移動することができなくなる。このため、有効樹脂シート６２の一端部が上述した空間Ｓに挿入されることによって、有効樹脂シート６２の一端部が抜け止めされた状態で第１の保持部７１（印刷胴１７）に保持される。
しかる後、有孔樹脂シート６２の本体６５を印刷胴１７のシート支持部４２に重ねる。そして、第２の口金６８を第２の保持部８１のスライダ８３とカバープレート８４とによって挟み、固定用ボルト９３によってカバープレート８４をスライダ８３に固定する。

次に、調整用ボルト８７を締め込み、スライダ８３とともに有孔樹脂シート６２を引く。このように有孔樹脂シート６２が引かれることによって、有孔樹脂シート６２が金属製シート６１（印刷胴１７の外周面）に密着する。その後、有孔樹脂シート６２に所定の張力が作用する状態で固定用ボルト８８によってスライダ８３をガイド部材８２に固定する。このようにスライダ８３がガイド部材８２に固定されることによって、有孔樹脂シート６２を印刷胴１７に取付ける作業が完了する。この実施の形態においては、調整用ボルト８７とスライダ８３が請求項５記載の発明でいう「調整部材」に相当する。

有孔樹脂シート６２が印刷胴１７に装着された状態で吸着装置２２が動作すると、空気が有孔樹脂シート６２の通気部６６と金属製シート６１の通気孔６３とを通って吸引室５６に吸引されるから、有孔樹脂シート６２にシート４が吸着可能になる。
この実施の形態による印刷機１は、このように吸着装置２２が動作した状態で印刷動作を行う。このため、シート４が印刷胴１７に吸着された状態で搬送され、第１〜第４のインクジェットヘッド２３〜２６によってインクが噴射されて印刷が施される。

シート４に付着したインクは、シート４がインキ乾燥ランプ２７と対向する位置に送られ、インキ乾燥ランプ２７によって紫外線あるいは赤外線が照射されることにより、乾燥する（硬化する）。このとき、シート４の表面が加熱され、熱がシート４から有孔樹脂シート６２に伝達される。
この実施の形態による有孔樹脂シート６２は、多数の通気部６６を有するシート状に形成されているから、熱容量が少ないものであるとともに、シート４との接触面積も少なくなっている。このような有孔樹脂シート６２は、インキ乾燥ランプ２７と対向するときにシート４の熱を吸収し、印刷胴１７の回転によりインキ乾燥ランプ２７から離れたときに熱を放出する。このため、インキ乾燥ランプ２７による熱が有孔樹脂シート６２によって一時的に吸収された後に放出される。このことは、有孔樹脂シート６２は、実質的に断熱材として機能し、印刷、インクの硬化時に発生する熱を印刷胴１７に伝達され難くする。また、有孔樹脂シート６２の通気部６６は、インクの硬化時にシート４から伝達された有孔樹脂シート６２の熱を印刷胴１７の回転中に放散し易くする。

したがって、この実施の形態によれば、簡易な方法で、印刷時に発生する熱量が印刷胴１７の表面に伝わって印刷胴１７が過熱されることを防止するとともに、印刷胴１７の熱を効率よく放散させることが可能な印刷機を提供することができる。
このように有孔樹脂シート６２を印刷胴１７に張り付けて印刷を行うことで、印刷胴１７の過熱が抑えられて印刷胴１７の熱放散が高まり、印刷胴１７の温度が使用限界に達するまでの印刷継続可能な枚数が増加した。この有孔樹脂シート６２を用いて構成された冷却構造は、水冷式の冷却装置（図示せず）や油冷式の冷却装置（図示せず）と較べて簡素であり、低コストで実現できる。

この実施の形態による印刷胴１７は、シート４を吸着して搬送する吸着装置２２を備えている。本体６５は、合成樹脂からなるシート４によって形成されている。通気部６６は、本体６５を厚み方向に貫通する多数の貫通孔によって形成されている。貫通孔の孔径は０．２ｍｍ以上１ｍｍ以下である。このため、この実施の形態によれば、シート４が吸着装置２２によって有孔樹脂シート６２に吸着される。通気部６６の孔径が０．２ｍｍ以上１ｍｍ以下であるから、有孔樹脂シート６２に吸着されるシート４に、通気部６６の開口縁との圧接による痕跡が形成されることがない。
したがって、この実施の形態によれば、印刷物の品質が高い印刷機を提供することができる。

この実施の形態による有孔樹脂シート６２の本体６５の厚みは０．０７ｍｍ以上０．５ｍｍ以下である。このため、有孔樹脂シート６２の熱容量を少なく抑えることができるから、熱を吸収し易くかつ放出し易い有孔樹脂シート６２が得られる。したがって、印刷胴１７の温度がより一層上昇し難い印刷機を提供することができる。

上述した実施の形態においては、有孔樹脂シート６２をＰＦＡによって形成する例を示したが、有孔樹脂シート６２を形成する材料は、ＰＦＡに限定されることはなく、他のフッ素樹脂や、ポリイミドなどの合成樹脂材料、さらにカーボンなどでもよい。
有孔樹脂シート６２に通気部６６を形成する方法は、パンチングや、エッチングや、レーザー穴空け加工法などを採用できる。

本発明でいう「放熱部材」を形成する材料は、シート状に成形された合成樹脂材料の他に、メッシュ素材やネット素材などの線材が編まれたものでもよい。この場合の通気部は、素材どうしの間に形成された隙間によって形成される。本体となるメッシュ素材やネット素材の材料は、ＰＦＡや他のフッ素樹脂材料、ポリイミド、グラスファイバーなどが使用可能である。また、この場合の素材の線径は０．０３ｍｍ〜０．５ｍｍ程度で、形成ピッチは０．１ｍｍ〜１．５ｍｍ程度とすることが望ましい。また、本発明でいう「放熱部材」を形成する材料は、発泡樹脂であってもよい。

１…印刷機、４…シート、１７…印刷胴、２２…吸着装置、２３〜２６…インクジェットヘッド、２７…インキ乾燥ランプ（乾燥装置）、６２…有孔樹脂シート（放熱部材）、６５…本体、６６…通気部。

Claims

外周面を形成する金属製シートを含み、シートを搬送する印刷胴と、
前記印刷胴によって搬送されているシートにインク滴を吐出して印刷を施すインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドよりもシートの搬送方向の下流側に配置され、前記印刷胴に対向し、印刷後のインクを乾燥させる乾燥装置と、
前記印刷胴の前記金属製シートに重ねて取付けられ、前記乾燥装置と対向するときに前記シートの熱を吸収し前記乾燥装置から離れたときに前記熱を放出する放熱部材とを備え、
前記放熱部材は、
非金属材料によってシート状に形成された本体と、
前記本体の厚み方向に空気を通す多数の通気部とを含み、
前記印刷胴は、
前記放熱部材の一端および他端をそれぞれ着脱自在に保持する第１の保持部および第２の保持部と、
前記金属製シートの一端および他端をそれぞれ保持する第３の保持部および第４の保持部とを含む印刷機。
請求項１記載の印刷機において、
前記印刷胴は、シートを吸着して搬送する吸着装置を備え、
前記本体は、合成樹脂からなるシートによって形成され、
前記通気部は、前記本体を厚み方向に貫通する多数の貫通孔によって形成され、
前記貫通孔の孔径は０．２ｍｍ以上１ｍｍ以下であることを特徴とする印刷機。
請求項１または請求項２記載の印刷機において、
前記本体の厚みは０．０７ｍｍ以上０．５ｍｍ以下であることを特徴とする印刷機。
前記本体の総面積に対して前記複数の通気部の開口面積が占める割合は、５０％以上７０％以下である請求項１記載の印刷機。
前記第２の保持部は、前記放熱部材を引っ張る調整部材を含む請求項１記載の印刷機。
前記印刷胴は、前記シートのみを挟む爪部材および爪台を含むくわえ爪装置を含む請求項１記載の印刷機。