JP6513658B2 - 差動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、入力板の回転力を、サイクロイド減速機構またはトロコイド減速機構を介して、同軸上に相対回転可能に並ぶ第1出力軸および第2出力軸に分配する新機構の差動装置に関し、特に自動車の左右又は前後駆動輪の回転差を許容する差動装置として好適に用いられるものに関する。
ベベルギヤを用いた従来の差動装置では、ベベルギヤ噛み合いの特性として歯打ち音の発生が避けられないばかりでなく、同時に噛み合う歯の数が全歯のうちの一部だけなので、一部の歯だけでトルクを負担することになって強度性能及び耐久性能面で改善の余地があった。
そこで、特許文献1のようにボール機構を用いた差動装置が知られているが、このものでは、センタープレートの放射状の複数の長孔で複数のボールを摺動可能に保持し、これらボールの、長孔から露出した両側部を左右のディスクプレートの伝動溝に転動可能に係合させ、左右のディスクプレートの差動時には、ボールが長孔と左右の伝動溝との三者上を同時に移動するようになっているので、そのときのボールの摩擦抵抗が大きな動力損失となり、エンジンの燃費性能に悪影響を及ぼす。
また、先行文献2のようなサイクロイド系変速機構も知られているが、このものは単なる変速機構であって、差動装置としては適用が困難である。
日本特開平8−170705号公報 日本特開2003−172419号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、左右の出力軸に対して互いに等しく分割したトルク配分を保つ等トルク配分と、車両の旋回時のように2つの出力軸間に差回転を与えるときに、入力部材の回転数を変えずに一方の出力軸の回転数の増加分を他方の出力軸の回転数の減少分と等しくする等差動回転とを可能とする差動装置を、二段式のサイクロイド減速機構またはトロコイド減速機構を用いることで、従来の差動装置のようなベベルギヤや放射状長孔付きセンタープレートを用いることなく提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、入力板の回転力を、サイクロイド減速機構またはトロコイド減速機構を介して、第1回転軸線上に相対回転可能に並ぶ第1出力軸および第2出力軸に分配する差動装置であって、前記減速機構は、前記第1回転軸線周りに回転する前記入力板の一側に隣接配置される第1差動板と、前記第1差動板の、前記入力板と反対側の一側に隣接配置される第2差動板と、前記第1差動板を前記第1回転軸線から偏心した第2回転軸線周りに回転可能に支承する偏心軸とを備え、前記偏心軸は前記第1出力軸に一体回転可能に接続され、前記第2差動板は前記第2出力軸に一体回転可能に接続され、前記入力板の、前記第1差動板と対向する一側面に、第1波数のハイポサイクロイド曲線またはハイポトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第1のハイポ条溝部が形成され、前記第1差動板の、前記入力板と対向する一側面に、第2波数のエピサイクロイド曲線またはエピトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第1のエピ条溝部が形成され、これら両条溝部が相互に重なる部分で両条溝部間に複数の第1転動体が挟持されるとともに、前記第1差動板の、前記第2差動板と対向する他側面に、第3波数のハイポサイクロイド曲線またはハイポトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第2のハイポ条溝部が形成され、前記第2差動板の、前記第1差動板と対向する一側面に、第4波数のエピサイクロイド曲線またはエピトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第2のエピ条溝部が形成され、これら両条溝部が相互に重なる部分で両条溝部間に複数の第2転動体が挟持され、前記第1波数が8であり、前記第2波数および前記第3波数が共に6であり、前記第4波数が4であるか、あるいは前記第1波数および前記第4波数が共に6であり、前記第2波数が4であり、前記第3波数が8であることを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴に加えて、自動車のミッションケースに前記第1回転軸線周りに回転自在に支持されるデフケースが、前記入力板と、該入力板に固定されて前記第1差動板、前記偏心軸および前記第2差動板を覆うカバーとで構成されることを第2の特徴とする。
また本発明は、第2の特徴に加えて、前記偏心軸が、前記第1回転軸線周りに回転する中心軸部と、この中心軸部から半径方向に突出して、前記第1差動板を前記第2回転軸線周りに回転可能に支承する偏心軸部とを有し、前記中心軸部は前記入力板の中央部を貫通して前記第1出力軸に接続され、前記第2差動板が、前記第1回転軸線周りに回転する中心軸を有し、該中心軸は前記カバーの中央部を貫通して前記第2出力軸に接続されることを第3の特徴とする。
また本発明は、第3の特徴に加えて、前記入力板と前記カバーとは、前記第1回転軸線上で前記ミッションケースに回転可能に支持される、中空円筒状の第1,第2軸部を有し、前記偏心軸の前記中心軸部が、前記第1軸部の内周に第1のベアリングを介して回転可能に支持され、前記第2差動板の前記中心軸が、前記第2軸部の内周に第2のベアリングを介して回転可能に支持され、前記第1軸部と反対側の前記偏心軸の中心軸部が、前記第2差動板の前記一側面に形成された円形の凹部内に第3のベアリングを介して嵌め込まれることを第4の特徴とする。
また本発明は、第1〜第4の特徴の何れかに加えて、前記入力板の前記一側面の中央部に肉抜き部が形成されることを第5の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記入力板の前記一側面の中央部に肉抜き部が形成され、該肉抜き部内に、前記第1回転軸線周りに回転する前記第1差動板の重心の位相と180度ずれた位相で前記第1回転軸線周りに回転するよう、前記偏心軸に連結したバランサが配置されることを第6の特徴とする。
また本発明は、第6の特徴に加えて、前記第1差動板の質量をM1、前記バランサの質量をM2、前記第1回転軸線と直交する投影面で見たときの前記第1回転軸線から前記第1差動板の重心までの距離をe1、前記第1回転軸線から前記バランサの重心までの距離をe2としたときに、|M1×e1−M2×e2|<M1×e1/100であることを第7の特徴とする。
また本発明は、第6または第7の特徴に加えて、前記偏心軸は、前記第1回転軸線周りに回転する中心軸部と、この中心軸部から半径方向に突出して、前記第1差動板を前記第2回転軸線周りに回転可能に支承する偏心軸部とを有し、前記バランサは、前記中心軸部の外周から半径方向外方に偏心軸部の突出方向と逆向きに延びる腕部と、該腕部の先端に連なるウエイト部とを有し、前記ウエイト部の外周は、前記肉抜き部の内周に沿った円弧状に形成されることを第8の特徴とする。
また本発明は、第8の特徴に加えて、前記バランサは前記中心軸部と一体に形成されることを第9の特徴とする。
また本発明は、第6ないし第9の特徴の何れかに加えて、自動車のミッションケースに前記第1回転軸線周りに回転自在に支持されるデフケースが、前記入力板と、該入力板に固定されて前記第1差動板、前記偏心軸、前記バランサおよび前記第2差動板を覆うカバーとで構成されることを第10の特徴とする。
また更に本発明は、第6ないし第10の特徴の何れかに加えて、前記第2差動板の前記一側面の中央部に、前記第1差動板を挟んで前記入力板の前記肉抜き部と対向する円筒状の副肉抜き部が形成され、該副肉抜き部内に、前記第1回転軸線周りに回転する前記第1差動板の重心の位相と180度ずれた位相で前記第1回転軸線周りに回転するよう、前記偏心軸に連結した副バランサが配置されることを第11の特徴とする。
また本発明は、第1ないし第11の特徴の何れかに加えて、前記第1差動板は、相互に連結されて一体回転可能な一対の回転板を含んで構成されることを第12の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば、差動装置を構成するサイクロイド減速機構またはトロコイド減速機構が、第1回転軸線周りに回転する入力板の一側に隣接配置される第1差動板と、第1差動板の、入力板と反対側の一側に隣接配置される第2差動板と、第1差動板を第1回転軸線から偏心した第2回転軸線周りに回転可能に支承する偏心軸とを備えていて、偏心軸が第1出力軸に一体回転可能に接続されるとともに、第2差動板が第2出力軸に一体回転可能に接続されており、入力板の、第1差動板と対向する一側面に、第1波数のハイポサイクロイド曲線またはハイポトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第1のハイポ条溝部が形成され、第1差動板の、入力板と対向する一側面に、第2波数のエピサイクロイド曲線またはエピトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第1のエピ条溝部が形成され、これら両条溝部が相互に重なる部分で両条溝部間に複数の第1転動体が挟持されるとともに、第1差動板の、第2差動板と対向する他側面に、第3波数のハイポサイクロイド曲線またはハイポトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第2のハイポ条溝部が形成され、第2差動板の、第1差動板と対向する一側面に、第4波数のエピサイクロイド曲線またはエピトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第2のエピ条溝部が形成され、これら両条溝部が相互に重なる部分で両条溝部間に複数の第2転動体が挟持されていて、前記第1〜第4波数が、第1波数が8であり、第2波数および第3波数が共に6であり、第4波数が4であるか、あるいは第1波数および第4波数が共に6であり、第2波数が4であり、第3波数が8とされるので、入力板を回転させるとき、第1,第2出力軸間に回転数差を与えない場合には第1,第2出力軸を入力板と一体回転させ得るとともに、第1,第2出力軸間に回転数差を与える場合には、一方の出力軸の回転数の増加分を他方の出力軸の回転数の減少分と等しくする等差動回転が、ベベルギヤや放射状長孔付きセンタープレートを用いることなく実現できる。
即ち、上記構成の差動装置において、今入力板を固定して第1出力軸を回転させると、第1出力軸に偏心軸を介して接続された第1差動板が第1出力軸の第1回転軸線周りに回転しようとするが、その際、入力板の一側面に形成された第1のハイポ条溝部と第1差動板の一側面に形成された第1のエピ条溝部との間に複数の第1転動体が挟持されているので、第1差動板は偏心軸の第2回転軸線を中心に自転しながら第1出力軸の第1回転軸線周りに公転する。このとき、第1差動板の他側面に形成された第2のハイポ条溝部と第2差動板の一側面に形成された第2のエピ条溝部との間にも複数の第2転動体が挟持されているので、第1出力軸の回転により第1差動板が公転および自転すると、それに連動して第2差動板が第2出力軸の第1回転軸線を中心として第1出力軸とは別の回転数で回転し、第1出力軸の回転が変速して第2出力軸に伝達される。そのため、このように第1,第2出力軸が回転している状態で入力板を回転させると、第1,第2出力軸には各々の出力軸の回転数に入力板の回転数が付加された回転が出力されることになる。
そして、このような減速機構を用いて第1出力軸の回転を第2出力軸に伝達するときの減速比は、第1波数をZ1,第2波数をZ2,第3波数をZ3,第4波数をZ4としたときに〔1−{(Z1×Z3)/(Z2×Z4)}〕で表されるところ、本願発明では、Z1=8,Z2=Z3=6,Z4=4、またはZ1=Z4=6,Z2=4,Z3=8としているので、何れの場合でも減速比を−1にできる。これは入力板を固定して一方の出力軸をn回転させると他方の出力軸が反対方向にn回転することを意味しているから、入力板に回転を与えている場合には、一方の出力軸の回転数を入力板の回転数よりもn回転分だけ増加させると他方の出力軸の回転数が入力板の回転数よりもn回転分だけ減少するような等差動回転が行われることになる。なお、一方の出力軸の回転数を入力板の回転数よりも増加させない場合、即ち、第1,第2出力軸に差回転がない場合には、これら第1,第2出力軸の回転数が入力板の回転数と等しくなるから、その場合に第1,第2出力軸が入力板と一体回転することは当然である。しかも後述するように、前記第1〜第4波数を前記数値に設定したことで、第1,第2出力軸の等トルク配分が可能となるので、等トルク配分、等差動回転の可能な差動機構が、ベベルギヤや放射状長孔付きセンタープレートを用いることなく実現できるのである。
このように、本発明の第1の特徴によれば、差動機構をサイクロイド減速機構またはトロコイド減速機構で構成できるので、差動機構の軸方向長さを抑えてそれをコンパクトに構成できる。しかもベベルギヤを用いる場合のような歯打ち音の発生がなく、また転動体の摺動を招く放射状長孔付きセンタープレートが不要となるので入力板からの動力を第1,第2出力軸に効率よく伝達できる。また更に、全ての第1,第2転動体が、第1のハイポ条溝部と第1のエピ条溝部との間、および第2のハイポ条溝部と第2のエピ条溝部との間でトルクを分散して伝達するので、各々の転動体が伝達するトルクを少なくできて各転動体の強度性能及び耐久性能が向上する。
また本発明の第2の特徴によれば、自動車のミッションケースに第1回転軸線周りに回転自在に支持されるデフケースが、前記入力板と、該入力板に固定されて第1差動板、偏心軸および第2差動板を覆うカバーとで構成されるので、サイクロイド減速機構またはトロコイド減速機構を用いた二段式の変速機構を、自動車の左右又は前後駆動輪の回転差を許容する差動装置として好適に用いることができる。しかも、入力板がデフケースの一部を構成するので部品点数の削減を図り得るとともに、第1,第2差動板および偏心軸がデフケース内に収容されるので、このような新機構の差動装置を、従来の差動装置の構成を大きく変更することなくコンパクトに形成できる。
また本発明の第3の特徴によれば、偏心軸が、第1回転軸線周りに回転する中心軸部と、この中心軸部から半径方向に突出して、第1差動板を第2回転軸線周りに回転可能に支承する偏心軸部とを有し、中心軸部は入力板の中央部を貫通して第1出力軸に接続され、第2差動板が、第1回転軸線周りに回転する中心軸を有し、該中心軸はカバーの中央部を貫通して第2出力軸に接続されるので、中心軸部を入力板の中央部に貫通させた偏心軸の偏心軸部に第1差動板を支承し、この第1差動板の外方に、中心軸をカバーの中央部に貫通させた第2差動板を配置するだけで、偏心軸と第1差動板と第2差動板とをデフケース内に簡単に組み付けることができる。
また本発明の第4の特徴によれば、入力板とカバーとは、第1回転軸線上でミッションケースに回転可能に支持される、中空円筒状の第1,第2軸部を有し、偏心軸の中心軸部が、第1軸部の内周に第1のベアリングを介して回転可能に支持され、第2差動板の中心軸が、第2軸部の内周に第2のベアリングを介して回転可能に支持され、第1軸部と反対側の偏心軸の中心軸部が、第2差動板の一側面に形成された円形の凹部内に第3のベアリングを介して嵌め込まれるので、デフケース内における偏心軸および第2差動板の円滑な相対回転を、第1〜第3のベアリングだけで確保できる。
また本発明の第5の特徴によれば、入力板の一側面の中央部に肉抜き部が形成されるので、入力板の不要な部分の材料を減らして差動装置のコストを低減するとともに差動装置を軽量化できる。
また本発明の第6の特徴によれば、入力板の一側面の中央部に肉抜き部が形成され、該肉抜き部内に、第1回転軸線周りに回転する第1差動板の重心の位相と180度ずれた位相で第1回転軸線周りに回転するよう、偏心軸に連結したバランサが配置されるので、第1差動板のアンバランス回転をバランサによって相殺できて、第1差動板のアンバランス量による遠心力に起因する振動、およびそれに伴う騒音の発生を効果的に抑制できる。しかも、バランサを入力板の肉抜き部内に配置することで、バランサを第1差動板と入力板との間にコンパクトに配置できるとともに、入力板の不要な部分の材料を肉抜き部により減らすことができるので、差動装置のコストを低減し且つ差動装置を軽量化できる。
また本発明の第7の特徴によれば、第1差動板のアンバランス量とバランサのアンバランス量との差を、第1差動板のアンバランス量の100分の1未満の小さい値とするので、第1差動板のアンバランス量とバランサのアンバランス量とを略同量にできて、第1差動板の質量および偏心量に対するバランサの質量および偏心量を最適化できる。
また本発明の第8の特徴によれば、偏心軸が、第1回転軸線周りに回転する中心軸部と、この中心軸部から半径方向に突出して、第1差動板を第2回転軸線周りに回転可能に支承する偏心軸部とを有し、バランサが、中心軸部の外周から半径方向外方に偏心軸部の突出方向と逆向きに延びる腕部と、該腕部の先端に連なるウエイト部とを有し、ウエイト部の外周は、肉抜き部の内周に沿った円弧状に形成されて該肉抜き部の内周に隣接するので、バランサのウエイト部を可及的に肉抜き部の内周面に近づけて、バランサの重心を該バランサの回転中心から離すことができ、バランサによる重量の増加を抑制できる。
また本発明の第9の特徴によれば、バランサが中心軸部と一体に形成されるので、如何なる場合にもバランサと偏心軸との位置関係が変化することがなく、バランサを常時第1差動板の重心の位相と180度ずれた位相で回転させることができる。
また本発明の第10の特徴によれば、自動車のミッションケースに第1回転軸線周りに回転自在に支持されるデフケースが、前記入力板と、該入力板に固定されて第1差動板、偏心軸、バランサおよび第2差動板を覆うカバーとで構成されるので、サイクロイド減速機構またはトロコイド減速機構を用いた二段式の変速機構を、自動車の左右又は前後駆動輪の回転差を許容する差動装置として好適に使用できるとともに、入力板がデフケースの一部を構成しているので部品点数の削減が図れる。また、バランサが入力板の肉抜き部に配置されることで、第1,第2差動板および偏心軸をデフケース内にコンパクトに収容できるから、このような新機構の自動車用差動装置を従来の差動装置の構成を大きく変更することなく形成できる。
また本発明の第11の特徴によれば、第2差動板の一側面の中央部に、第1差動板を挟んで入力板の肉抜き部と対向する円筒状の副肉抜き部が形成され、該副肉抜き部内に、第1回転軸線周りに回転する第1差動板の重心の位相と180度ずれた位相で第1回転軸線周りに回転するよう、偏心軸に連結した副バランサが配置されるので、第1差動板のアンバランス回転を、第1差動板の両側に配置されたバランサおよび副バランサによって左右からバランス良く相殺できて、第1差動板のアンバランス量による遠心力に起因する振動の発生を更に効果的に抑制できるとともに、バランサおよび副バランサのそれぞれの質量を小さくできてそれらをコンパクト化できる。
また本発明の第12の特徴によれば、第1差動板が、相互に連結されて一体回転可能な一対の回転板を含んで構成されるので、第1差動板を2つの回転板に分けて形成することができる。そのため、例えば各々が一側面に条溝部を持つ2つの回転板を鍛造等で成形した後にこれらを連結するような製造方法が採用できるので、強度的に優れた条溝部を迅速且つ容易に形成できて製造作業性が増す。また、第1差動板の、入力板と対向する面および第2差動板と対向する面の大きさを互いに独立して設定できるから、第2波数を4、第3波数を8とする場合においても設計の自由度が向上する。
なお、前記第1,第2転動体は、後述する本発明の実施形態中の第1,第2転動ボール18,19に対応するが、これらの転動体は特に転動ボールである必要はなく、例えばコロ状のものであってもよい。
図1はZ1=8,Z2=Z3=6,Z4=4としたときの本発明の第1実施形態に係る差動装置の縦断正面図である。(第1の実施の形態) 図2は図1の差動装置の模式図である。(第1の実施の形態) 図3は図1の3−3矢視断面図である。(第1の実施の形態) 図4は図1の4−4矢視断面図である。(第1の実施の形態) 図5は図1の5−5矢視断面図である。(第1の実施の形態) 図6は図1の差動装置のスケルトン図である。(第1の実施の形態) 図7はZ1=Z4=6,Z2=4,Z3=8としたときの本発明の第1実施形態に係る差動装置のスケルトン図である。(第1の実施の形態) 図8は本発明の第2実施形態に係る差動装置の縦断正面図である。(第2の実施の形態) 図9は本発明の第3実施形態に係る差動装置の縦断正面図である。(第3の実施の形態)
1・・・・ミッションケース
2・・・・デフケース
3・・・・第1差動板
3a・・・第1差動板の一側面
3b・・・第1差動板の他側面
3c・・・回転板(第1回転板)
3d・・・回転板(第2回転板)
4・・・・第2差動板
4a・・・第2差動板の一側面
4b・・・第2差動板の中心軸
4c・・・第2差動板の円形の凹部
5・・・・偏心軸
5a・・・中心軸部
5b・・・偏心軸部
6・・・・第1軸
7・・・・入力板
7a・・・入力板の一側面
7b・・・入力板の肉抜き部
8・・・・第2軸
9・・・・カバー
13・・・バランサ
13a・・腕部
13b・・ウエイト部
15・・・第1出力軸
16・・・第2出力軸
18・・・第1転動体(第1転動ボール)
19・・・第2転動体(第2転動ボール)
20・・・副バランサ
E1・・・第1のエピ条溝部
E2・・・第2のエピ条溝部
G1・・・第1差動板の重心
G2・・・バランサの重心
H1・・・第1のハイポ条溝部
H2・・・第2のハイポ条溝部
X1・・・第1回転軸線
X2・・・第2回転軸線
Z1・・・第1のハイポ条溝部の第1波数
Z2・・・第1のエピ条溝部の第2波数
Z3・・・第2のハイポ条溝部の第3波数
Z4・・・第2のエピ条溝部の第4波数
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて以下に説明する。
第1の実施の形態
先ず、図1〜図7に基づいて、本発明の差動装置を自動車の差動装置として用いた第1実施形態を説明する。
図1において、自動車のミッションケース1内に収容される差動装置Dは、デフケース2と、このデフケース2内に収容される第1,第2差動板3,4および偏心軸5とを備えている。デフケース2は、中空円筒状の第1軸6を有する円形の入力板7と、前記第1軸6と同一軸線上に並ぶ中空円筒状の第2軸8を有するとともに、第1,第2差動板3,4および偏心軸5を覆って外周を入力板7の外周部にボルトB1で固定されるカバー9とで構成され、これら第1,第2軸6,8が、軸受10,10′を介してミッションケース1に、第1回転軸線X1周りに回転自在に支承される。
第1差動板3はデフケース2内で入力板7の一側に隣接配置されており、第2差動板4は、デフケース2内で入力板7とは反対側の第1差動板3の一側に隣接配置されている。
また図2の模式図を併せて参照して、偏心軸5は、中心軸部5aと、この中心軸部5aから半径方向に突出する偏心軸部5bとを有しており、前記中心軸部5aが、第1のベアリング11を介して前記第1軸6の内周に、第1回転軸線X1周りに回転自在に支承されるとともに、該第1回転軸線X1からCだけ偏心した第2回転軸線X2を有する前記偏心軸部5bが、それの外周に第1差動板3をニードルベアリング12を介して回転可能に支承することで、第1差動板3を第1回転軸線X1周りに公転させるとともに第2回転軸線X2周りに自転させることができる。
また前記第2差動板4は、それの前記第2軸8側の側面に設けられた中心軸4bが、カバー9の中央部を貫通して該第2軸8の内周に第2のベアリング11′を介して回転自在に支承されることで、第2軸8に対し第1回転軸線X1周りに相対回転可能であり、しかも、この第2差動板4の第1差動板3側の側面に形成した円形の凹部4c内に、偏心軸5の、前記第1軸6と反対側の中心軸部5aが第3のベアリング11″を介して嵌め込まれることで、偏心軸5および第2差動板4を、デフケース2内においてこれら第1〜第3のベアリング11〜11″だけで円滑に相対回転させることができる。
図1の4−4矢視断面図である図4を併せて参照して、デフケース2内に臨む入力板7の一側面7aの中央部には円筒状の肉抜き部7bが形成されており、この肉抜き部7b内に、偏心軸5の中心軸部5aに連結したバランサ13が配置される。前記バランサ13は、第1回転軸線X1周りに公転する第1差動板3の重心G1の位相と180度ずれた位相で第1回転軸線X1周りに回転するよう、偏心軸5の中心軸部5aの外周から半径方向外方に偏心軸部5bの突出方向と逆向きに延びる腕部13aと、該腕部13aの先端に連なるウエイト部13bとを有しており、ウエイト部13bの外周は、前記肉抜き部7bの内周に沿った円弧状に形成されて該肉抜き部7bの内周に隣接する。これによりウエイト部13bを、肉抜き部7b内における前記中心軸部5aから最も離れた位置に、肉抜き部7bの内周に接触させることなく配置することができる。
前記バランサ13は偏心軸5の中心軸部5aと一体に形成されることが望ましいが別体に形成されていても良い。また、第1差動板3のアンバランス量とバランサ13のアンバランス量とは同量とすることが望ましいが、完全に同量とすることは難しいので、経験上の知識から、第1差動板3のアンバランス量とバランサ13のアンバランス量との差を第1差動板3のアンバランス量の100分の1未満とする。即ち、第1差動板3の質量をM1、バランサ13の質量をM2とし、また図4に示すように、第1回転軸線X1と直交する投影面で見たときの第1回転軸線X1から第1差動板3の重心G1までの距離(前記投影面上における該重心G1の位置と第2回転軸線X2の位置とは通常略一致している。)をe1、第1回転軸線X1からバランサ13の重心までの距離をe2としたときに、
|M1×e1−M2×e2|<M1×e1/100
とすることで、第1差動板3の質量M1および偏心量e1に対するバランサ13の質量M2および偏心量e2を最適化できる。
また、入力板7の外周にはカバー9側にオフセットするようにしてリングギヤ14がボルトB2で固定され、デフケース2は、リングギヤ14を図示せぬ変速装置の出力ギヤに噛合させることで、出力ギヤが回転するときにその回転を受けて第1回転軸線X1周りに回転する。
偏心軸5の中心軸部5aの前記第1軸6側の内周および第2差動板4の中心軸4bの前記第2軸8側の内周には、これら中心軸部5aおよび中心軸4bと共に第1回転軸線X1周りを回転すべく、第1出力軸15の外周および第2出力軸16の外周が各々スプライン嵌合する。またこれら第1,第2出力軸15,16は、デフケース2の左方および右方に各々延びて図示せぬ自動車の駆動輪に接続される。また第1,第2出力軸15,16とミッションケース1との間にはオイルシール17,17′がそれぞれ介装されて、ミッションケース1内のオイルが外部に流出するのを防止している。
図2と、図1の3−3矢視断面図である図3とで示すように、第1差動板3と対向する入力板7の一側面7aには、第1波数Z1のハイポサイクロイド曲線に沿って周方向に延びる第1のハイポ条溝部H1が形成され、また第1差動板3の、入力板7と対向する一側面3aには、第2波数Z2のエピサイクロイド曲線に沿って周方向に延びる第1のエピ条溝部E1が形成され、これら両条溝部H1,E1が相互に重なる部分で両条溝部間に複数の第1転動ボール18が挟持される。また、同じく図2の模式図と、図1の5−5矢視断面図である図5とで示すように、第1差動板3の、第2差動板4と対向する他側面3bには、第3波数Z3のハイポサイクロイド曲線に沿って周方向に延びる第2のハイポ条溝部H2が形成され、また第2差動板4の、第1差動板3と対向する一側面4aには、第4波数Z4のエピサイクロイド曲線に沿って周方向に延びる第2のエピ条溝部E2が形成され、これら両条溝部H2,E2が相互に重なる部分で両条溝部間に複数の第2転動ボール19が挟持される。
なお、第1,第2のハイポ条溝部H1,H2は、第1波数Z1,第3波数Z3のハイポトロコイド曲線に沿って周方向に延びるものであってもよく、第1,第2のエピ条溝部E1,E2は、第2波数Z2,第4波数Z4のエピトロコイド曲線に沿って周方向に延びるものであってもよい。そして、これらの条溝部H1,H2,E1,E2がトロコイド曲線に沿って周方向に延びる場合には、第1のハイポ条溝部H1および第1のエピ条溝部E1のトロコイド係数と、第2のハイポ条溝部H2および第2のエピ条溝部E2のトロコイド係数とを異ならせてもよい。
いまデフケース2を固定した状態で第1出力軸15を回転させると、偏心軸5の中心軸部5aの回転により偏心軸部5bが回転して、第1差動板3を第1回転軸線X1周りに回転させるが、その際、デフケース2の入力板7が固定状態であるとともに、入力板7の一側面7aに形成された第1のハイポ条溝部H1と、第1差動板3の一側面3aに形成された第1のエピ条溝部E1との間に複数の第1転動ボール18が挟持されているので、第1差動板3は、偏心軸部5bの第2回転軸線X2周りを自転しながら第1回転軸線X1周りを公転する。このとき、第1差動板3の他側面3bに形成された第2のハイポ条溝部H2と第2差動板4の一側面4aに形成された第2のエピ条溝部E2との間にも複数の第2転動ボール19が挟持されているので、第1差動板3の自転および公転に連動して第2差動板4が第1回転軸線X1周りに回転し、これにより第1,第2出力軸15,16が異なる回転数で回転することになるが、前記第1〜第4波数Z1〜Z4が、Z1=8,Z2=Z3=6,Z4=4、またはZ1=Z4=6,Z2=4,Z3=8とされているので、第1出力軸15の回転を第2出力軸16に伝達するときの減速比が、何れの場合も−1となる。そのため、第1出力軸15をn回転させると第2出力軸16が反対方向にn回転することになるから、この状態で変速装置から回転力を与えてデフケース2の入力板7を回転させると、第1出力軸15は入力板7の回転数よりもnだけ大きい回転数で回転することになり、第2出力軸16は入力板7の回転数よりもnだけ小さい回転数で回転することになって、一方の出力軸の回転数の増加分を他方の出力軸の回転数の減少分と等しくする等差動回転が実現できる。なお、第1,第2出力軸15,16の間に差回転がない場合には、これら第1,第2出力軸15,16の回転数が入力板7の回転数と等しくなり、第1,第2出力軸15,16が入力板7と一体に回転するから、第1,第2出力軸15,16間に回転数差を与えない場合には、第1,第2出力軸15,16を入力板と一体に回転させることができる。
次に、このような第1波数Z1ないし第4波数Z4の設定により等トルク配分が可能となる理由を、各条溝部H1,H2,E1,E2がサイクロイド曲線に沿って延びている場合について説明する。
図6は、Z1=8,Z2=Z3=6,Z4=4としたときの本発明の第1実施形態のスケルトン図を示すものであり、図7は、Z1=Z4=6,Z2=4,Z3=8としたときの本発明の第1実施形態のスケルトン図を示すものであるが、これらは説明の都合上、各条溝部をそれらと等価の基準ピッチ円で表している。
図6,図7におけるZ1〜Z4の数値が、未だ上記値に定まっていないとして、これらの数値をZ1=8,Z2=Z3=6,Z4=4に定めるか、またはZ1=Z4=6,Z2=4,Z3=8に定めることで等トルク配分が可能となる理由を以下に説明する。
今、図6または図7における入力板7の一側面7aのハイポサイクロイド曲線の基準ピッチ円P1の半径をR1、これに対向する第1差動板3の一側面3aのエピサイクロイド曲線の基準ピッチ円P2の半径をR2、第1差動板3の他側面3bのハイポサイクロイド曲線の基準ピッチ円P3の半径をR3、これに対向する第2差動板4の一側面4aのエピサイクロイド曲線の基準ピッチ円P4の半径をR4、第1差動板3の入力板7(または第1,第2出力軸15,16)に対する偏心量をCとする。
図6または図7において、入力板7に変速装置からトルクTinが加わったとして、該トルクTinにより基準ピッチ円P1と基準ピッチ円P2との接触部に力F1が作用するとともに基準ピッチ円P3と基準ピッチ円P4との接触部に力F2が作用し、これらの力F1,F2により第1出力軸15にトルクTLが加わるとともに第2出力軸16にトルクTRが加わったとすれば、
Tin=F1・R1・・・(1)
TR=F2・R4・・・(2)
が成り立ち、また、遊星機構のモーメントバランスから、
Tin=TL+TR・・・(3)
が成り立つ。
ここで、等トルク配分となるためにはTL=TR・・・(4)
でなければならないから、(3),(4)式より、
Tin=2TR・・・(5)
が成り立つ。
ここで更に、第1差動板におけるモーメントの釣り合いから、
F1・R2=F2・R3・・・(6)
が成り立ち、(6)式は、
F2=(F1・R2)/R3・・・(7)
と変形できるから、(2),(7)式より、
TR=(F1・R2・R4)/R3・・・(8)
と表せる。
(5)式の両辺に(1),(8)式を代入すれば、
F1・R1=2{(F1・R2・R4)/R3}・・・(9)
となるが、(9)式の両辺をF1で除した後、両辺にR3を乗算することで、(9)式は、
R1・R3=2(R2・R4)・・・(10)
と変形できる。ここで図6から明らかなように、
R1=R2+C・・・(11)
R3=R4+C・・・(12)
であるから、(11),(12)式を(10)式に代入することで、
(R2+C)(R4+C)=2(R2・R4)・・・(13)
が得られ、これを変形することで、
R2・R4−R2・C−R4・C=C・・・(14)
が得られる。
即ち、図6または図7において、等トルク配分となるためには(14)式が成り立たなければならない。サイクロイド曲線の場合、後述するトロコイド係数が1であるため、R1〜R4が整数でなければ歯数設定が不可能である。よって、C,R2,R4は(14)式を成り立たせる整数値でなければならない。
ここで、簡単のために偏心量CをC=1とすれば、(14)式は、
R2・R4−R2−R4=1・・・(15)
となるが、(15)式を満足するR2,R4の整数解は、
R2=3,R4=2・・・(パターン1)
R2=2,R4=3・・・(パターン2)
の2つのパターンしか存在しない。
ここでパターン1のようにR2=3,R4=2とすれば、(11),(12)式よりR1=4,R3=3となり、パターン2のようにR2=2,R4=3とすれば、同式よりR1=3,R3=4となるが、R1〜R4をこれらの値に設定してやれば(6)式よりF1=F2となり、これと(1),(2)式から(5)式を成り立たせることができるから、該(5)式と(3)式とから(4)式、即ちTL=TRを成立させることができる。
次にパターン1の如くR1=4,R2=R3=3,R4=2のときに、Z1=8,Z2=Z3=6,Z4=4となり、パターン2の如くR1=R4=3,R2=2,R3=4のときに、Z1=Z4=6,Z2=4,Z3=8となることを、各条溝部H1,H2,E1,E2がサイクロイド曲線に沿って延びている場合について説明する。
一般に、波数Z,基準ピッチ円直径d,モジュールmの間には、関係式m=d/Zが成り立ち、また、偏心量C,モジュールm,トロコイド係数αの間には、関係式C=α・mが成り立つところ、サイクロイド曲線においてはトロコイド係数αが1であるから、C=1・m=mとなる。
従ってこれらの関係より、サイクロイド曲線の場合、
C=d/Z・・・(16)
が得られるが、C=1としているので1=d/Z、即ち、
1=2R1/Z1=2R2/Z2=2R3/Z3=2R4/Z4
・・(17)
が成り立つ。
従って、(17)式にR1=4,R2=R3=3,R4=2を代入すればZ1=8,Z2=Z3=6,Z4=4が得られ、R1=R4=3,R2=2,R4=4を代入すればZ1=Z4=6,Z2=4,Z3=8が得られるから、Z1=8,Z2=Z3=6,Z4=4とするか、Z1=Z4=6,Z2=4,Z3=8としてやれば(15)式が成立して等トルク配分が可能となる。
なお、(14)式でCを2以上の整数kとした場合でも、R2・R4−R2・k−R4・k=kを成り立たせるR2,R4の整数解は、
R2=3k,R4=2k・・・(パターン1)
R2=2k,R4=3k・・・(パターン2)
の2つのパターンしか存在しないので、パターン1であればR1=4k,R2=R3=3k,R4=2kとなり、パターン2であればR1=R4=3k,R2=2k,R3=4kとなる。しかしながら、そのとき(16)式のCもkとなって、(17)式はk=2R1/Z1=2R2/Z2=2R3/Z3=2R4/Z4となるので、Cが2以上の整数であっても、パターン1であればZ1=8,Z2=Z3=6,Z4=4となり、パターン2であればZ1=Z4=6,Z2=4,Z3=8となることに変わりはない。
次に、各条溝部H1,H2,E1,E2がトロコイド曲線に沿って延びている場合について説明する。(17)式は以下のように変形される。
1=2R1・α1/Z1=2R2・α1/Z2=2R3・α2/Z3=
2R4・α2/Z4・・(18)
ここで、α1は基準ピッチ円P1とP2に対するトロコイド係数を表し、α2は基準ピッチ円P3とP4に対するトロコイド係数を表す。
よって、トロコイド係数α1,α2のそれぞれに0から1の範囲で任意の値を設定すれば、歯数Zを整数値とし、偏心量Cを共通としつつ、基準ピッチ円の半径R1,R2,R3,R4を、強度と寸法とを考慮した最適なサイズに設計できる。なお、歯数については、トロコイド曲線の場合もサイクロイド曲線と同様に、パターン1であればZ1=8,Z2=Z3=6,Z4=4とすることができ、パターン2であればZ1=Z4=6,Z2=4,Z3=8とすることができる。
次に、この第1実施形態の作用について説明する。
差動装置を構成するサイクロイド減速機構またはトロコイド減速機構が、第1回転軸線X1周りに回転する入力板7の一側に隣接配置される第1差動板3と、第1差動板3の、入力板7と反対側の一側に隣接配置される第2差動板4と、第1差動板3を第1回転軸線X1から偏心した第2回転軸線X2周りに回転可能に支承する偏心軸5とを備えていて、偏心軸5は第1出力軸15に一体回転可能に接続されるとともに、第2差動板4は第2出力軸16に一体回転可能に接続されており、入力板7の、第1差動板3と対向する一側面7aに、第1波数Z1のハイポサイクロイド曲線またはハイポトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第1のハイポ条溝部H1が形成され、第1差動板3の、入力板7と対向する一側面3aに、第2波数Z2のエピサイクロイド曲線またはエピトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第1のエピ条溝部E1が形成され、これら両条溝部H1,E1が相互に重なる部分で両条溝部H1,E1間に複数の第1転動ボール18が挟持されるとともに、第1差動板3の、第2差動板4と対向する他側面3bに、第3波数Z3のハイポサイクロイド曲線またはハイポトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第2のハイポ条溝部H2が形成され、第2差動板4の、第1差動板3と対向する一側面4aに、第4波数Z4のエピサイクロイド曲線またはエピトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第2のエピ条溝部E2が形成され、これら両条溝部H2,E2が相互に重なる部分で両条溝部H2,E2間に複数の第2転動ボール19が挟持されていて、前記第1〜第4波数が、第1波数Z1が8であり、第2波数Z2および3波数Z3が共に6であり、第4波数Z4が4であるか、あるいは第1波数Z1および第4波数Z4が共に6であり、第2波数Z2が4であり、第3波数Z3が8とされるので、入力板7を回転させるとき、第1,第2出力軸間15,16に回転数差を与えない場合には第1,第2出力軸15,16を入力板7と一体回転させ得るとともに、第1,第2出力軸15,16間に回転数差を与える場合には、一方の出力軸の回転数の増加分を他方の出力軸の回転数の減少分と等しくする等差動回転と、等トルク配分とが可能な差動機構を、ベベルギヤや放射状長孔付きセンタープレートを用いることなく実現できる。そのため、差動機構の軸方向長さを抑えてそれをコンパクトに構成できるとともに、ベベルギヤを用いる場合のような歯打ち音の発生がなく、また転動ボールの摺動を招く放射状長孔付きセンタープレートが不要となるので入力板7からの動力を第1,第2出力軸15,16に効率よく伝達できる。また更に、第1,第2転動ボール18,19が、第1のハイポ条溝部H1と第1のエピ条溝部E1との間、および第2のハイポ条溝部H2と第2のエピ条溝部E2との間でトルクを分散して伝達するので、各々の転動ボール18,19が伝達するトルクを少なくできて各転動ボール18,19の強度性能及び耐久性能が向上する。
また、第1,第2のハイポ条溝部H1,H2、第1,第2のエピ条溝部E1,E2がトロコイド曲線に沿って周方向に延びるものである場合には、第1ハイポ条溝部H1および第1エピ条溝部E1のトロコイド係数と、第2ハイポ条溝部H2および第2エピ条溝部E2のトロコイド係数とを異ならせてもよい。例えば、転動ボールの数が少ない第2転動ボール19側のトロコイド係数を小さくしてピッチ円半径とボール径とを大きくし、これによりボール1個当たりの荷重の分担を少なくできて、強度と軽量化とを考慮した最適設計が可能となる。
しかもその際、入力板7の一側面7aの中央部に円筒状の肉抜き部7bが形成され、該肉抜き部7b内に、第1回転軸線X1周りに回転する第1差動板3の重心の位相と180度ずれた位相で第1回転軸線X1周りに回転するバランサ13が配置されるので、第1出力軸15周りに回転する第1差動板3の重心のアンバランス回転をバランサ13によって相殺できて、第1差動板3のアンバランス量による遠心力に起因する振動、およびそれに伴う騒音の発生を効果的に抑制できる。さらに、バランサ13を入力板7の肉抜き部7b内に配置することで、バランサ13を第1差動板3と入力板7との間にコンパクトに配置できるとともに、入力板7の不要な部分の材料を肉抜き部7bにより減らすことができるので、差動装置Dのコストを低減し且つ差動装置Dを軽量化できる。
また、自動車のミッションケース1に第1回転軸線X1周りに回転自在に支持されるデフケース2が、前記入力板7と、該入力板7に固定されて第1差動板3、偏心軸5および第2差動板4を覆うカバー9とで構成されるので、サイクロイド減速機構またはトロコイド減速機構を用いた二段式の変速機構を、自動車の左右又は前後駆動輪の回転差を許容する差動装置として好適に用いることができる。しかも、入力板7がデフケース2の一部を構成しているので、部品点数の削減を図ることができ、また、第1,第2差動板3,4および偏心軸5がデフケース2内に収容されるので、このような新機構の自動車用差動装置を従来の差動装置の構成を大きく変更することなくコンパクトに形成できる。
しかも、偏心軸5が、第1回転軸線X1周りに回転する中心軸部5aと、この中心軸部5aから半径方向に突出して、第1差動板3を第2回転軸線X2周りに回転可能に支承する偏心軸部5bとを有していて、中心軸部5aが入力板7の中央部を貫通して第1出力軸15に接続され、また第2差動板4が、第1回転軸線X1周りに回転する中心軸4bを有していて、該中心軸4bがカバー9の中央部を貫通して第2出力軸16に接続されるので、中心軸部5aを入力板7の中央部に貫通させた偏心軸5の偏心軸部5bに第1差動板3を支承し、この第1差動板3の外方に、中心軸4bをカバー9の中央部に貫通させた第2差動板4を配置するだけで、偏心軸5と第1差動板3と第2差動板4とをデフケース2内に簡単に組み付けることができる。
また、入力板7とカバー9とは、第1回転軸線X1上でミッションケース1に回転可能に支持される、中空円筒状の第1,第2軸6,8を有し、偏心軸5の中心軸部5aが、第1軸6の内周に第1のベアリング11を介して回転可能に支持され、第2差動板4の中心軸4bが、第2軸8の内周に第2のベアリング11′を介して回転可能に支持され、第1軸6と反対側の偏心軸5の中心軸部5aが、第2差動板4の一側面4aに形成された円形の凹部4c内に第3のベアリング11″を介して嵌め込まれるので、デフケース2内における偏心軸5および第2差動板4の円滑な相対回転を、第1〜第3のベアリング11〜11″だけで確保できる。
しかも、入力板7の前記肉抜き部7bが円筒状に形成され、該肉抜き部7b内に、第1回転軸線X1周りに回転する第1差動板3の重心G1の位相と180度ずれた位相で第1回転軸線X1周りに回転するよう、偏心軸5に連結したバランサ13が配置されるので、第1回転軸線X1周りに回転する第1差動板3のアンバランス回転をバランサ13によって相殺できて、第1差動板3のアンバランス量による遠心力に起因する振動、およびそれに伴う騒音の発生を効果的に抑制できる。しかもこのバランサ13は、デフケース2の一部を構成する入力板7の肉抜き部7b内に収容されてデフケース2内に配置されるので、バランサ13を他の部材と干渉することのないデフケース2内の最適な位置にコンパクトに配置できてデフケース2が大型化することがない。
その上、第1差動板3の質量をM1、バランサ13の質量をM2、第1出力軸15の軸線と直交する投影面で見たときの第1回転軸線X1から第1差動板3の重心G1までの距離をe1、第1回転軸線X1からバランサ13の重心G2までの距離をe2としたときに、|M1×e1−M2×e2|<M1×e1/100としたので、第1差動板3のアンバランス量とバランサ13のアンバランス量とを略同量にできて、第1差動板3の質量および偏心量に対するバランサ13の質量および偏心量を最適化できる。
またさらに、偏心軸5が、第1回転軸線X1周りに回転する中心軸部5aと、この中心軸部5aから半径方向に突出して、第1差動板3を第2回転軸線X2周りに回転可能に支承する偏心軸部5bとを有し、バランサ13が、偏心軸5の中心軸部5aの外周から半径方向外方に偏心軸部5bの突出方向と逆向きに延びる腕部13aと、該腕部13aの先端に連なるウエイト部13bとを有し、ウエイト部13bの外周が、肉抜き部7bの内周に沿った円弧状に形成されて該肉抜き部7bの内周に隣接するので、バランサ13のウエイト部13bを可及的に肉抜き部7bの内周面に近づけて、バランサ13の重心を該バランサ13の回転中心から離すことができ、バランサ13による重量の増加を抑制できる。
その上、自動車のミッションケース1に第1回転軸線X1周りに回転自在に支持されるデフケース2が、前記入力板7と、該入力板7に固定されて第1差動板3、偏心軸5、バランサ13および第2差動板4を覆うカバー9とで構成されるので、サイクロイド減速機構を用いた二段式の変速機構を、自動車の左右又は前後駆動輪の回転差を許容する差動装置として好適に使用できるとともに、入力板7がデフケース2の一部を構成しているので部品点数の削減が図れる。また、バランサ13が入力板7の肉抜き部7bに配置されることで、第1,第2差動板3,4および偏心軸5をデフケース2内にコンパクトに収容できるから、このような新機構の自動車用差動装置を従来の差動装置の構成を大きく変更することなく形成できる。
また、入力板7とカバー9とは、第1回転軸線X1上でミッションケース1に回転可能に支持される、中空円筒状の第1,第2軸6,8を有し、偏心軸5の中心軸部5aが、前記第1軸6の内周に第1のベアリング11を介して回転可能に支持され、第2差動板4の中心軸4bが、前記第2軸8の内周に第2のベアリング11′を介して回転可能に支持され、第1軸6と反対側の偏心軸5の中心軸部5aが、第2差動板4の一側面に形成された円形の凹部4c内に第3のベアリング11″を介して嵌め込まれるので、デフケース2内における偏心軸5および第2差動板4の円滑な相対回転を、第1〜第3のベアリング11〜11″だけで確保でき、またサイクロイド減速機構をデフケース2内に組み付ける作業も容易となる。
また更に、バランサ13を偏心軸5の中心軸部5aと一体に形成する場合には、如何なる場合にもバランサ13と偏心軸5との位置関係が変化することがないので、バランサ13を常時第1差動板3の重心の位相と180度ずれた位相で回転させることができる。
第2の実施の形態
次に、図8に基づいて、本発明の差動装置を自動車の差動装置として用いた第2実施形態を説明する。
図8に記載された第2実施形態は、第1実施形態の差動装置に副バランサ20を追加したものであって、第2差動板4の一側面4aの中央部に、第1差動板3を挟んで入力板7の肉抜き部7bと対向する円筒状の副肉抜き部4dが形成され、該副肉抜き部4d内に、第1回転軸線X1周りに公転する第1差動板3の重心の位相と180度ずれた位相で第1回転軸線X1周りに回転するよう、偏心軸5に連結した副バランサ20が配置される点でのみ、第1実施形態の差動装置と異なるものであり、その余の点では第1実施形態の差動装置と異ならないので、図8において第1実施形態と異ならない部分については第1実施形態と同じ番号で表すとともに、それらの部分についての説明は省略する。
図8において、第2差動板4の前記一側面4aの中央部には前述した副肉抜き部4dが形成され、該副肉抜き部4d内に、第1差動板3の重心G1の位相と180度ずれた位相で第1回転軸線X1周りに回転するよう、偏心軸5の中心軸部5aに第2差動板4側で連結された副バランサ20が配置される。第1差動板3のアンバランス量とバランサ13および副バランサ20のアンバランス量の合計とは同量とすることが望ましいが、完全に同量とすることは難しいので、経験上の知識から、第1差動板3のアンバランス量とバランサ13および副バランサ20のアンバランス量の合計との差を第1差動板3のアンバランス量の100分の1未満とする。即ち、第1差動板3の質量をM1、バランサ13の質量をM2、副バランサ20の質量をM3、第1出力軸15の軸線と直交する投影面で見たときの第1回転軸線X1から第1差動板3の重心G1までの距離をe1、第1回転軸線X1からバランサ13の重心G2までの距離をe2、第1回転軸線X1から副バランサ20の重心G3(但しG3は図示されていない。)までの距離をe3としたときに、
|M1×e1−(M2×e2+M3×e3)|<M1×e1/100
とすることで、第1差動板3のアンバランス量とバランサ13および副バランサ20のアンバランス量の合計とを略同量にできて、第1差動板3の質量M1および偏心量e1に対するバランサ13および副バランサ20の質量M2,M3および偏心量e2,e3を最適化できる。
副バランサ20は、バランサ13と概略同じ形状をしており、偏心軸5の中心軸部5a外周から半径方向外方に偏心軸部5bの突出方向と逆向きに延びる腕部20aと、該腕部20aの先端に連なるウエイト部20bとを有し、ウエイト部20bの外周は、副肉抜き部4dの内周に沿った円弧状に形成されて該副肉抜き部4dの内周に隣接する。これによりウエイト部20bを、副肉抜き部4d内の第1出力軸15から最も離れた位置に、副肉抜き部4dの内周に接触させることなく配置することができる。
次に、この第2実施形態の作用について説明する。
第2差動板4の一側面4aの中央部に、第1差動板3を挟んで入力板7の肉抜き部7bと対向する円形の副肉抜き部4dが形成され、該副肉抜き部4d内に、第1回転軸線X1周りに回転する第1差動板3の重心の位相と180度ずれた位相で第1回転軸線X1周りに回転するよう、偏心軸5に連結した副バランサ20が配置されるので、第1差動板3のアンバランス回転を、第1差動板3の両側に配置されたバランサ13および副バランサ20によって左右からバランス良く相殺できて、第1差動板3のアンバランス量による遠心力に起因する振動の発生を更に効果的に抑制できるとともに、バランサ13および副バランサ20のそれぞれの質量を小さくできてそれらをコンパクト化できる。
また、第1差動板3のアンバランス量とバランサ13および副バランサ20のアンバランス量の合計との差を、第1差動板3のアンバランス量の100分の1未満の小さい値とするので、第1差動板3のアンバランス量とバランサ13および副バランサ20のアンバランス量の合計とを略同量にできて、第1差動板3の質量M1および偏心量e1に対するバランサ13および副バランサ20の質量M2,M3および偏心量e2,e3を最適化できる。
また、副バランサ20は、偏心軸5の中心軸部5a外周から半径方向外方に偏心軸部5bの突出方向と逆向きに延びる腕部20aと、該腕部20aの先端に連なるウエイト部20bとを有し、ウエイト部20bの外周は、副肉抜き部4dの内周に沿った円弧状に形成されて該副肉抜き部4dの内周に隣接するので、副バランサ20のウエイト部20bを可及的に副肉抜き部4dの内周面に近づけて、副バランサ20の重心を該副バランサ20の回転中心から離すことができ、副バランサ20による重量の増加を抑制できる。
また更に、副バランサ20を偏心軸5の中心軸部5aと一体に形成する場合には、副バランサ20と偏心軸5との周方向の位置関係がズレることがないので、副バランサ20を常時第1差動板3の重心の位相と180度ずれた位相で回転させることができる。
第3の実施の形態
次に、図9に基づいて、本発明の第3実施形態を説明する。
この第3実施形態では、図1における第1差動板3を、連結部材3eを介して一体回転可能に連結した一対の回転板3c,3dによって構成している。
即ち、第3実施形態においては、第1回転板3cの一側面が入力板7の一側面7aと対向するとともに第2回転板3dの一側面が第2差動板4の一側面4aと対向しており、第1回転板3cの他側面と第2回転板3dの他側面とが、それらの外周部に周方向に等間隔に配置された複数の棒状連結部材3eによって相互に間隔を空けて連結されている。また、第1回転板3cの前記一側面には入力板7の第1のハイポ条溝部H1と対向する第1のエピ条溝部E1が形成されるとともに、第2回転板3dの前記一側面には第2差動板4の第2のエピ条溝部E2と対向する第2のハイポ条溝部H2が形成されていて、両条溝部H1,E1が相互に重なる部分で両条溝部H1,E1間に複数の第1転動体18が挟持され、両条溝部H2,E2が相互に重なる部分で両条溝部H2,E2間に複数の第2転動体19が挟持される。その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、図9中、第1実施形態と対応する部分には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。なおこの第3実施形態は、第2実施形態の第1差動板3にも適用できる。
次に、この第3実施形態の作用について説明する。
第3実施形態では、第1差動板3が、棒状連結部材3eによって相互に間隔を空けて連結されて一体回転可能な一対の回転板3c,3dを含んで構成されるので、第1差動板3を2つの回転板3c,3dに分けて形成することができる。そのため、例えば各々が一側面に条溝部を持つ2つの回転板3c,3dを鍛造等で成形した後に棒状連結部材3eで連結するような製造方法が採用できるので、強度的に優れた条溝部E1,H2を迅速且つ容易に形成できて製造作業性が増す。また、第1差動板3の、入力板と対向する面および第2差動板と対向する面の大きさを互いに独立して設定できるから、第2波数を4、第3波数を8とする場合においても設計の自由度が向上する。
また更に、2つの回転板3c,3dの間に空隙が形成されるので、偏心軸5に連結したバランサ13を、入力板7の肉抜き部7b内に配置する代わりに該空隙内に配置することもできる。
以上、本発明の第1〜第3実施形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、第1〜第3実施形態ではバランサを用いているが、このバランサを省略しても良い。
また本発明では、差動装置をミッションケース1内に収容されて自動車の左右又は前後の駆動輪の回転差を許容する差動装置に適用しているが、本発明の差動装置は自動車の差動装置に限定されるものではない。
また、上記実施形態において、第1,第2のハイポ条溝部H1,H2、第1,第2のエピ条溝部E1,E2がサイクロイド曲線に沿って周方向に延びるものである場合には、ハイポサイクロイド曲線に沿って延びるハイポ条溝部はハイポサイクロイド曲線の一部を修正したものであってもよく、同様にエピサイクロイド曲線に沿って延びるエピ条溝部はエピサイクロイド曲線の一部を修正したものであってもよい。例えば、波と波とを連結する極POのみを修正し、その他の部分はサイクロイド曲線の幾何学的条件を満足するように構成してもよい。

Claims (12)

  1. 入力板(7)の回転力を、サイクロイド減速機構またはトロコイド減速機構を介して、第1回転軸線(X1)上に相対回転可能に並ぶ第1出力軸(15)および第2出力軸(16)に分配する差動装置であって、
    前記減速機構は、前記第1回転軸線(X1)周りに回転する前記入力板(7)の一側に隣接配置される第1差動板(3)と、前記第1差動板(3)の、前記入力板(7)と反対側の一側に隣接配置される第2差動板(4)と、前記第1差動板(3)を前記第1回転軸線(X1)から偏心した第2回転軸線(X2)周りに回転可能に支承する偏心軸(5)とを備え、前記偏心軸(5)は前記第1出力軸(15)に一体回転可能に接続され、前記第2差動板(4)は前記第2出力軸(16)に一体回転可能に接続され、
    前記入力板(7)の、前記第1差動板(3)と対向する一側面(7a)に、第1波数(Z1)のハイポサイクロイド曲線またはハイポトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第1のハイポ条溝部(H1)が形成され、前記第1差動板(3)の、前記入力板(7)と対向する一側面(3a)に、第2波数(Z2)のエピサイクロイド曲線またはエピトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第1のエピ条溝部(E1)が形成され、これら両条溝部(H1,E1)が相互に重なる部分で両条溝部(H1,E1)間に複数の第1転動体(18)が挟持されるとともに、前記第1差動板(3)の、前記第2差動板(4)と対向する他側面(3b)に、第3波数(Z3)のハイポサイクロイド曲線またはハイポトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第2のハイポ条溝部(H2)が形成され、前記第2差動板(4)の、前記第1差動板(3)と対向する一側面(4a)に、第4波数(Z4)のエピサイクロイド曲線またはエピトロコイド曲線に沿って周方向に延びる第2のエピ条溝部(E2)が形成され、これら両条溝部(H2,E2)が相互に重なる部分で両条溝部(H2,E2)間に複数の第2転動体(19)が挟持され、
    前記第1波数(Z1)が8であり、前記第2波数(Z2)および前記第3波数(Z3)が共に6であり、前記第4波数(Z4)が4であるか、あるいは前記第1波数(Z1)および前記第4波数(Z4)が共に6であり、前記第2波数(Z2)が4であり、前記第3波数(Z3)が8であることを特徴とする差動装置。
  2. 請求項1に記載の差動装置において、
    自動車のミッションケース(1)に前記第1回転軸線(X1)周りに回転自在に支持されるデフケース(2)が、前記入力板(7)と、該入力板(7)に固定されて前記第1差動板(3)、前記偏心軸(5)および前記第2差動板(4)を覆うカバー(9)とで構成されることを特徴とする差動装置。
  3. 請求項2に記載の差動装置において、
    前記偏心軸(5)が、前記第1回転軸線(X1)周りに回転する中心軸部(5a)と、この中心軸部(5a)から半径方向に突出して、前記第1差動板(3)を前記第2回転軸線(X2)周りに回転可能に支承する偏心軸部(5b)とを有し、前記中心軸部(5a)は前記入力板(7)の中央部を貫通して前記第1出力軸(15)に接続され、前記第2差動板(4)が、前記第1回転軸線(X1)周りに回転する中心軸(4b)を有し、該中心軸(4b)は前記カバー(9)の中央部を貫通して前記第2出力軸(16)に接続されることを特徴とする差動装置。
  4. 請求項3に記載の差動装置において、
    前記入力板(7)と前記カバー(9)とは、前記第1回転軸線(X1)上で前記ミッションケース(1)に回転可能に支持される、中空円筒状の第1,第2軸(6,8)を有し、前記偏心軸(5)の前記中心軸部(5a)が、前記第1軸(6)の内周に第1のベアリング(11)を介して回転可能に支持され、前記第2差動板(4)の前記中心軸(4b)が、前記第2軸(8)の内周に第2のベアリング(11′)を介して回転可能に支持され、前記第1軸(6)と反対側の前記偏心軸(5)の中心軸部(5a)が、前記第2差動板(4)の前記一側面(4a)に形成された円形の凹部(4c)内に第3のベアリング(11″)を介して嵌め込まれることを特徴とする差動装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れかに記載の差動装置において、
    前記入力板(7)の前記一側面(7a)の中央部に肉抜き部(7b)が形成されることを特徴とする差動装置。
  6. 請求項1に記載の差動装置において、
    前記入力板(7)の前記一側面(7a)の中央部に肉抜き部(7b)が形成され、該肉抜き部(7b)内に、前記第1回転軸線(X1)周りに回転する前記第1差動板(3)の重心(G1)の位相と180度ずれた位相で前記第1回転軸線(X1)周りに回転するよう、前記偏心軸(5)に連結したバランサ(13)が配置されることを特徴とする差動装置。
  7. 請求項6に記載の差動装置において、前記第1差動板(3)の質量をM1、前記バランサ(13)の質量をM2、前記第1回転軸線(X1)と直交する投影面で見たときの前記第1回転軸線(X1)から前記第1差動板(3)の重心(G1)までの距離をe1、前記第1回転軸線(X1)から前記バランサ(13)の重心(G2)までの距離をe2としたときに、
    |M1×e1−M2×e2|<M1×e1/100
    であることを特徴とする差動装置。
  8. 請求項6または請求項7に記載の差動装置において、前記偏心軸(5)は、前記第1回転軸線(X1)周りに回転する中心軸部(5a)と、この中心軸部(5a)から半径方向に突出して、前記第1差動板(3)を前記第2回転軸線(X2)周りに回転可能に支承する偏心軸部(5b)とを有し、前記バランサ(13)は、前記中心軸部(5a)の外周から半径方向外方に偏心軸部(5b)の突出方向と逆向きに延びる腕部(13a)と、該腕部(13a)の先端に連なるウエイト部(13b)とを有し、前記ウエイト部(13b)の外周は、前記肉抜き部(7b)の内周に沿った円弧状に形成されることを特徴とする差動装置。
  9. 請求項8に記載の差動装置において、前記バランサ(13)は前記中心軸部(5a)と一体に形成されることを特徴とする差動装置。
  10. 請求項6〜請求項9の何れかに記載の差動装置において、自動車のミッションケース(1)に前記第1回転軸線(X1)周りに回転自在に支持されるデフケース(2)が、前記入力板(7)と、該入力板(7)に固定されて前記第1差動板(3)、前記偏心軸(5)、前記バランサ(13)および前記第2差動板(4)を覆うカバー(9)とで構成されることを特徴とする差動装置。
  11. 請求項6〜請求項10の何れかに記載の差動装置において、前記第2差動板(4)の前記一側面(4a)の中央部に、前記第1差動板(3)を挟んで前記入力板(7)の前記肉抜き部(7b)と対向する円筒状の副肉抜き部(4d)が形成され、該副肉抜き部(4d)内に、前記第1回転軸線(X1)周りに回転する前記第1差動板(3)の重心の位相と180度ずれた位相で前記第1回転軸線(X1)周りに回転するよう、前記偏心軸(5)に連結した副バランサ(20)が配置されることを特徴とする差動装置。
  12. 請求項1〜請求項11の何れかに記載の差動装置において、
    前記第1差動板(3)は、相互に連結されて一体回転可能な一対の回転板(3c,3d)を含んで構成されることを特徴とする差動装置
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