JP6497881B2 - 圧延銅箔、それを用いた銅張積層板、プリント配線板、電子機器、回路接続部材の製造方法及び回路接続部材 - Google Patents

圧延銅箔、それを用いた銅張積層板、プリント配線板、電子機器、回路接続部材の製造方法及び回路接続部材 Download PDF

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Description

本発明は、FPC(フレキシブルプリント基板)等に好適に用いられる圧延銅箔に関する。
FPC(フレキシブルプリント基板)としては銅箔と樹脂層とを積層してなる銅箔複合体が用いられ、この銅箔には、回路を形成する際のエッチング性、及びFPCの使用を考慮した屈曲性が要求されている。
ところで、FPCは銅箔が再結晶した状態で使用されるのが一般的である。銅箔を圧延加工すると結晶が回転し、圧延集合組織が形成され、純銅の圧延集合組織はCopper方位と呼ばれる{112}〈111〉が主方位になるといわれている。そして、圧延銅箔を圧延後に焼鈍したり、最終製品に加工されるまでの工程、つまりFPCになるまでの工程で熱が加えられると再結晶する。この圧延銅箔となった後の再結晶組織を、以下では単に「再結晶組織」と称し、熱がかかる前の圧延組織を単に「圧延組織」と称する。なお、再結晶組織は圧延組織によって大きく左右され、圧延組織を制御することで再結晶組織も制御することができる。
このようなことから、圧延銅箔の再結晶後に{001}〈100〉のCube方位を発達させて屈曲性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
さらに、スマートフォンやタブレットPCといった小型電子機器の高機能化により信号伝送速度の高速化が進み、FPCにおいてもインピーダンス整合が重要な要素となっている。信号容量の増加に対するインピーダンス整合の方策として、FPCのベースとなる樹脂絶縁層(例えば、ポリイミド)の厚層化が進んでいる。また配線の高密度化要求によりFPCの多層化がより一層進んでいる。一方、FPCには液晶基材への接合やICチップの搭載などの加工が施されるが、この際の位置合わせは、FPC中の銅箔をエッチングした後に残る樹脂絶縁層を透過して視認される位置決めパターンを介して行われるため、樹脂絶縁層の視認性が重要となる。
樹脂絶縁層の視認性を改善する技術として、例えば、特許文献3には、銅箔粗度を低くし、銅箔エッチング後のポリイミドフィルムの波長600nmでの光透過率が40%以上、曇価(HAZE)が30%以下であって、接着強度が500N/m以上である銅張積層板が開示されている。
また、特許文献4には、電解銅箔をエッチング後の絶縁層の光透過性が50%以上であり、電解銅箔の絶縁層に接着される接着面に所定の粗度と光沢度を持つニッケル−亜鉛合金による防錆処理層を備えたチップオンフレキ(COF)用フレキシブルプリント配線板が開示されている。
また、特許文献5には、銅箔の表面に銅−コバルト−ニッケル合金めっきによる粗化処理後、コバルト−ニッケル合金めっき層を形成し、更に亜鉛−ニッケル合金めっき層を形成する印刷回路用銅箔が開示されている。
さらに、特許文献6には、樹脂層側の銅箔の表面に平坦化銅めっきを行い、その表面の粗さとしてスキューネスRskを0以下に規定したプリント配線板用銅箔が開示されている。
特許第3856616号公報 特許第4716520号公報 特開2004−98659号公報 WO2003/096776号 特許第2849059号公報 特許第5282675号公報
しかしながら、銅箔のCube方位が発達し過ぎるとエッチング性が低下するという問題がある。これは、Cube集合組織が発達したとしても単結晶ではなく、Cube方位の大きな結晶粒の中に他の方位の小さな結晶粒が存在する混粒状態となっており、各方位の粒でエッチング速度が変化するためと考えられる。特に、回路のL/S幅が狭くなる(ファインピッチ)ほど、エッチング性が問題となる。又、Cube方位が発達し過ぎると、銅箔が柔らかくなり過ぎ、ハンドリング性に劣ることがある。
なお、Cube方位の発達度を調整するため、最終圧延で再結晶後に圧延組織を制御する方法があるが、Cube方位が発達しなかったり、発達し過ぎたりしてCube方位の発達度を調整が十分に行えないという問題がある。
又、特許文献3に記載された低粗度銅箔は、黒化処理又はめっき処理後の有機処理剤により形成されるため、銅張積層板に屈曲性が要求される用途では、疲労によって断線することがあり、樹脂透視性に劣る場合がある。
また、特許文献4記載の銅箔は粗化処理がなされておらず、COF用フレキシブルプリント配線板以外の用途においては銅箔と樹脂との密着強度が低い。
さらに、特許文献5に記載の技術は、銅箔をエッチングで除去後の樹脂の透視性に劣る。
また、特許文献6記載の銅箔の場合、Rskを規定するだけではエッチング後の樹脂絶縁層の視認性が劣る場合があることが判明した。これは、Rskが表面の尖りの高さと数を反映するものの、尖りの間隔や平面方向への分布を反映していないためと考えられる。特に、近年、上述のように樹脂層が厚くなってきており、Rskを規定するだけでは樹脂の透明性を向上できなくなってくる。さらに、特許文献6記載の銅箔の場合、エッチング性、屈曲性が十分でない場合がある。
従って、本発明の目的は、エッチング性、屈曲性及び樹脂との密着性に優れ、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れた圧延銅箔、それを用いた銅張積層板、プリント配線板、電子機器、回路接続部材の製造方法及び回路接続部材を提供することにある。
本発明者らは、圧延組織における圧延面にて、{112}面が存在する割合よりも{110}面が存在する割合が多いほど、銅箔の圧延集合組織が発達しており、再結晶焼鈍時にCube方位が発達することを見出した。これにより、屈曲性を向上させるがエッチング性を低下させるCube方位の発達度を適切に調整するため、銅箔の圧延面に{112}面と{110}面の発達する割合を制御し、圧延銅箔のエッチング性と屈曲性を共に向上させることに成功した。
又、銅箔を樹脂と積層した銅張積層板から銅箔をエッチング除去した後の樹脂の透明性を向上させるには、従来から知られている表面のスキューネスRskの値だけでは足りず、表面の尖りの分布状態を制御する必要があることを見出した。
すなわち本発明の圧延銅箔は、質量率で99.9%以上の銅を含む圧延銅箔であって、該圧延銅箔の片面に金属又は合金のめっき層が形成されており、前記圧延銅箔の圧延面における{112}面からの算出X線回折強度をI{112}とし、{110}面からの算出X線回折強度をI{110}としたとき、2.5≦I{110}/I{112}≦6.0を満たし、前記圧延銅箔の圧延直角方向に沿い、前記めっき層表面のJIS B0601−2001に基づくスキューネスRskが−0.35〜0.53であり、厚み50μmのポリイミド樹脂フィルムの両面に、それぞれ前記圧延銅箔の前記めっき層側を貼り合わせた後、エッチングで前記圧延銅箔を除去し、ライン状のマークを印刷した印刷物を、露出した前記ポリイミド樹脂フィルムの下に敷いて、前記印刷物を前記ポリイミド樹脂フィルム越しにCCDカメラで撮影したとき、前記撮影によって得られた画像について、観察された前記ライン状のマークが伸びる方向と垂直な方向に沿って観察地点ごとの明度を測定して作製した、観察地点−明度グラフにおいて、前記マークの端部から前記マークが描かれていない部分にかけて生じる明度曲線のトップ平均値Btとボトム平均値Bbとの差をΔB(ΔB=Bt−Bb)とし、観察地点−明度グラフにおいて、明度曲線とBtとの交点の内、前記ライン状のマークに最も近い交点の位置を示す値をt1として、明度曲線とBtとの交点からBtを基準に0.1ΔBまでの深さ範囲において、明度曲線と0.1ΔBとの交点の内、前記ライン状のマークに最も近い交点の位置を示す値をt2としたときに、下記(1)式で定義されるSvが3.0以上、前記めっき層とは反対面の前記圧延銅箔の表面を、波長405nmのレーザー光を用いたレーザー顕微鏡で測定したとき、前記反対面の表面は以下の(1)〜(3)のいずれか一つ以上を満たす。(1)圧延直角方向(TD)の十点平均粗さRzが、0.35μm以上、(2)圧延直角方向(TD)の算術平均粗さRaが、0.05μm以上、(3)圧延直角方向(TD)の二乗平均平方根高さRqが、0.08μm以上、Sv=(ΔB×0.1)/(t1−t2) (1)


前記反対面には前記めっき層が形成されずに表面処理が施されていることが好ましい。
本発明の圧延銅箔は、Ag、Sn、Mg、In、B、Ti、Zr及びAuの群から選ばれる1種又は2種以上を合計で10〜300質量ppm含有し、残部Cuおよび不可避的不純物からなることが好ましい。
本発明の圧延銅箔は、酸素を2〜50質量ppm含有することが好ましい。
本発明の圧延銅箔は、200℃で30分の加熱後に、圧延面において、I{112}≦1.0を満たすことが好ましい。
本発明の圧延銅箔は、350℃で1秒加熱後において、前記圧延銅箔の圧延面の{200}面のX線回折強度をI{200}とし、純銅粉末試料の{200}面のX線回折強度をI0{200}としたとき、5.0≦I{200}/I0{200}≦27.0を満たすことが好ましく、13.0≦I{200}/I0{200}≦27.0を満たすことが好ましい。
本発明の圧延銅箔において、前記めっき層の表面、及び/又は、前記反対面の表面を、波長405nmのレーザー光を用いたレーザー顕微鏡で測定したとき、圧延直角方向の十点平均粗さRzが0.35μm以上であることが好ましい。
本発明の圧延銅箔において、前記めっき層の表面、及び/又は、前記反対面の表面を、波長405nmのレーザー光を用いたレーザー顕微鏡で測定したとき、圧延直角方向の算術平均粗さRaが0.05μm以上であることが好ましい。
本発明の圧延銅箔において、前記めっき層の表面、及び/又は、前記反対面の表面を、波長405nmのレーザー光を用いたレーザー顕微鏡で測定したとき、圧延直角方向の二乗平均平方根高さRqが0.08μm以上であることが好ましい。
本発明の銅張積層板は、前記圧延銅箔と、該圧延銅箔の前記めっき層側に積層される樹脂とを有する。
本発明のプリント配線板は、前記銅張積層板を用いてなる。
本発明の電子機器は、前記プリント配線板を用いてなる。
本発明の回路接続部材の製造方法は、前記プリント配線板の回路部分と、接続対象体の回路とを電気的に接続する回路接続部材の製造方法であって、前記プリント配線板に設けられた位置決めパターンの位置を、前記樹脂を透過して検出する工程と、前記検出した位置に基づき、前記接続対象体に対して前記プリント配線板を位置決めした後、前記回路部分と前記回路とを電気的に接続する工程と、を有する。
前記接続対象体が前記プリント配線板であることが好ましい。
本発明の回路接続部材は、前記回路接続部材の製造方法で作製されてなる。
本発明によれば、エッチング性、屈曲性及び樹脂との密着性に優れ、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性に優れた圧延銅箔、それを用いた銅張積層板、プリント配線板、及び回路接続部材を得ることができる。
銅箔の圧延面に{112}面を増やすための、最終再結晶焼鈍にて銅箔に掛かる張力と銅箔中のAg量との関係を模式的に示す図である。 それぞれ実施例5、比較例2のエッチング面の光学顕微鏡像を示す図である。 基準画像と、エッチング性の評価の対応を示す図である。 銅箔表面のスキューネスRskが正負の各場合における銅箔エッチング後の樹脂層(ポリイミド)の表面形態を示す模式図である。 明度を測定する方法を示す模式図であり、それぞれ、明度曲線がV型の場合(図5(a))、明度曲線に底部がある場合(図5(b))である。 Svの算出方法を示す模式図である。 Svを測定するための撮影装置の構成及び明度曲線の傾きの測定方法を表す模式図である。 夾雑物の印刷物を示す平面図であり、図8(a)は各ラインの面積が0.7mm2、図8(b)は各ラインの面積が0.5mm2、図8(c)は各ラインの面積が3.0mm2である。 本発明のプリント配線板を用いて回路接続部材を製造する方法の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る圧延銅箔について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。本発明の実施形態に係る圧延銅箔は、樹脂と積層されて銅張積層板とされた後にエッチングにより除去してFPCとする用途に有用である。
<組成>
圧延銅箔は質量率で99.9%以上の銅を含む。このような組成としては、JIS-H3510(C1011)またはJIS- H3100 (C1020)に規格される無酸素銅、又は、JIS-H3100(C1100)に規格されるタフピッチ銅が挙げられる。又、圧延銅箔の酸素含有量を2〜50質量ppmとすることが好ましい。圧延銅箔中の酸素含有量が2〜50質量ppmと少ない場合、圧延銅箔中に亜酸化銅がほとんど存在しない。そのため、圧延銅箔を屈曲した際、亜酸化銅が原因となるひずみの蓄積がほとんど無いため、クラックが入り難く、屈曲性が向上する。なお、銅に含まれる酸素含有量の上限は特に限定はされないが、一般的には500質量ppm以下、さらに一般的には320質量ppm以下である。
さらに、Ag、Sn、Mg、In、B、Ti、Zr及びAuの群から選ばれる1種又は2種以上を合計で10〜300質量ppm含有してもよい。これらの元素を添加すると、圧延面に{110}面が多くなる傾向にあるので、後述するI{110}/I{112}の値を調整し易くなる。上記元素の合計量が10質量ppm未満であると、圧延面に{110}面を発達させる効果が少なく、300質量ppmを超えると導電率が低下するとともに再結晶温度が上昇し、最終圧延後の焼鈍において銅箔の表面酸化を抑えつつ再結晶させることが困難になる場合がある。
<厚み>
銅箔の厚みは、4〜100μmであることが好ましく、5〜70μmであることがさらに好ましい。厚みが4μm未満であると銅箔のハンドリング性が劣る場合があり、厚みが100μmを超えると銅箔の屈曲性が劣る場合がある。
<銅箔圧延面の{112}面及び{110}面>
{200}、{220}、{111}面のX線回折強度から算出した圧延銅箔の圧延面における各面の存在強度を算出X線回折強度と定義する。そして、{112}面の算出X線回折強度をI{112}とし、{110}面からの算出X線回折強度をI{110}としたとき、2.5≦I{110}/I{112}≦6.0を満たす。より好ましい範囲は4.0≦I{110}/I{112}≦5.6である。
ここで、圧延面は、後述するめっき層が圧延銅箔の片面にのみ形成されている場合は、めっき層側の圧延面でもよく、めっき層と反対側の圧延面でもよい。めっき層側の圧延面についてX線回折を行う場合は、めっき前に測定を行うか、めっき層をエッチング除去して測定する。めっき層が圧延銅箔の両面に形成されている場合は、いずれかのめっき層側の圧延面につき、上記と同様に測定する。
なお、X線回折はその波長が長いため、銅箔の{200}、{220}、{111}面の回折強度は測定できるが、{422}面(つまり、{112}面)の回折ピークが得られない。そこで、正極点測定法による{200}、{220}、{111}のX線回折結果から、結晶方位の幾何学的関係を利用して{110}面及び{112}面の算出X線回折強度を求める。なお、{110}面の回折強度は{220}面の回折強度と等しいとして直接測定することもできるが、本発明では{200}、{220}、{111}面の回折強度から算出した算出X線回折強度を適用する。
具体的には、{110}面及び{112}面の算出X線回折強度の値を次のようにして得た。
まず、銅箔の{200}、{220}、{111}面の正極点図測定を行う。正極点図測定法は、試料をセットするゴニオメーターに2軸(α、β)の回転機構が付いており、これら角度を変えながらX線回折を測定する方法である。そして、X線回折正極点測定結果(銅箔の{200}、{220}、{111}面の正極点図)から、幾何学関係を利用し、{110}面及び{112}面の集合度を計算で求めることができる。この計算は、市販のソフトウェア(例えば、StandardODF(株式会社ノルム工学製)を用いて逆極点表現に変換して行うことができる。
なお、{110}面及び{112}面の集合度は、まず{200}、{220}、{111}面の正極点測定を行い、次に同様にして純銅粉末標準試料の{200}、{220}、{111}面の正極点測定を行う。そして、{200}、{220}、{111}面の集合度を、それぞれ純銅粉末標準試料の{200}、{220}、{111}面の集合度で規格化する。そして、このように規格化した{200}、{220}、{111}面の正極点図から、上記ソフトウェアにより逆極点に変換して{110}面及び{112}面の集合度(算出X線回折強度)を計算する。
本発明の圧延銅箔は、通常、熱間圧延及び面削後、冷間圧延と焼鈍を数回(通常、2回程度)繰り返し、次いで最終再結晶焼鈍した後、最終冷間圧延して製造することができる。
ここで、「最終再結晶焼鈍」とは、最終冷間圧延の前の焼鈍のうち、最後のものをいう。又、最終再結晶焼鈍後の再結晶組織を、上述の「再結晶組織」(圧延銅箔となった後の再結晶組織)と区別するために「中間再結晶組織」と称する。まず、中間再結晶組織を簡単に調整する方法としては焼鈍温度を変えることが挙げられる。しかしながら、単に最終再結晶焼鈍温度を高くした場合、ランダムな方位の再結晶粒が成長し、再結晶粒が混粒(結晶粒径の大きさの分布の幅が大きくなる)となると最終圧延後のスジなどの表面欠陥の原因となり好ましくないので、I{110}/I{112}の値を適切に制御することが難しい。
一方、最終再結晶焼鈍にて銅箔に掛かる張力を高くすると、この張力が駆動力となって中間再結晶組織における結晶粒径が大きくなり、圧延面に{112}面を多く存在させることができる。但し張力が高くなり過ぎると最終圧延後の圧延面に{110}面が減少するので、I{110}/I{112}の値が上記範囲内になるよう、張力の範囲を調整すればよい。又、張力の値は、最終再結晶焼鈍温度、及び上述の添加元素の量によっても変化するので、これらに応じて張力の値を調整すればよい。なお、張力とは、最終再結晶焼鈍を行う雰囲気中に銅ストリップを装入した際の、最終再結晶焼鈍雰囲気の入側と出側の各ロール間の張力である。張力の適切な値(絶対値)は焼鈍温度と銅ストリップの成分によって変化することから、張力を焼鈍温度における材料の耐力で除した無次元の値を管理することが好ましい。
なお、従来は、搬送ロールの劣化防止等の目的のため、連続焼鈍炉における張力の値は通常0.1〜0.15の範囲に設定される。
図1は、銅箔の圧延面に{112}面を増やすための、最終再結晶焼鈍にて銅箔に掛かる張力を調整する一例を示す。上述のように、張力を高くすると圧延面に{112}面が多くなるが、添加元素(上述のAg等)の量が増えると圧延面に{110}面が多くなるので、より高い張力を掛けないと圧延面に{112}面の割合が多くならない。従って、図1の2本の線で囲まれる領域が好ましい範囲となる。
圧延銅箔を200℃で30分の加熱後に、圧延面において、I{112≦1.0を満たすと好ましい。200℃で30分の加熱は、いわゆるキャスト法でFPCを製造する際の銅箔の加熱条件を模擬したものである。そして、この加熱で銅箔が完全に再結晶し未再結晶領域が残存しない状態であるとI{112}≦1.0となる。I{112>1.0である場合、未再結晶が残存し,FPCの屈曲性が劣ることがある。
圧延銅箔を350℃で1秒加熱後において、5.0≦I{200}/I0{200}≦27.0を満たすと好ましい。再結晶後に{001}〈100〉方位(Cube方位)が発達すると良い屈曲性が得られるので、I{200}/I0{200}が高いほどよい。5.0>I{200}/I0{200}であると、屈曲性が低下することがある。特に、13.0≦I{200}/I0{200}≦27.0であるとより好ましい。なお、他の特性とのバランスで、I{200}/I0{200}>27.0を実現するのは工業的には困難であるので、上限を27.0とした。
<銅箔表面のめっき層>
圧延銅箔のうち、樹脂と積層される表面(片面又は両面)に、金属又は合金のめっき層が形成されている。このめっき層は、めっき種や電解めっき条件を調整することにより、後述するスキューネスRsk及びSvの値を制御すると共に、圧延銅箔表面に耐食性、耐熱性、耐候性または防錆性を付与するためのものである。めっき層の種類は特に制限されないが、銅合金めっき;純Niめっき;Ni−Pめっき、Ni−Wめっき等のNi合金めっき、が例示される。特に、銅合金めっきとしては、銅と、コバルト、ニッケル、砒素、タングステン、クロム、亜鉛、リン、マンガン及びモリブデンの群から選択されたいずれか1種以上との合金めっきが好ましく、具体的には銅−コバルト−ニッケル合金めっき、銅−ニッケル−りん合金めっきが挙げられる。なお、上記めっき層の表面に、当該金属または合金の酸化物および/または水酸化物が形成されていてもよい。
ここで、Rsk及びSvの値を所定範囲に保ちつつ、比較的めっき層表面を粗くすると、密着性をより一層向上させることができる(これを「粗めっき」と称する)。一方、Rsk及びSvの値を所定範囲に保ちつつ、比較的めっき層表面を平滑にすると、樹脂の透明性をより一層向上させることができる(これを「平滑めっき」と称する)。
そして、より密着性を向上させたい用途の場合は、粗めっき(焼けめっき;限界電流密度を超えるめっき条件)を行い、より樹脂の透明性を向上させたい用途の場合は、平滑めっきを行うことで、用途に合った特性を圧延銅箔に付与できる。又、めっき前の圧延銅箔の表面形態に応じて、粗めっきと平滑めっき(正常めっき;限界電流密度よりも小さい電流密度のめっき条件)を使い分けることで、Rsk及びSvの値を所定範囲に管理しやすくなる。
粗めっきは、圧延銅箔の表面に、ふしこぶ状の金属又は合金の電着を行う従来の粗化処理に似ているが、従来の粗化処理よりも電流密度を高くし、粗化処理時間を短縮する。これにより、従来の粗化処理よりも電着粒が微細となり、凹凸の少なくRskが−0.35〜0.53の表面が得られる。粗めっきは合金めっきである必要があり、好ましくは銅合金めっきである。
平滑めっきは、粗めっき処理で無い通常のめっき(平滑めっき)条件よりも電流密度を高くし、めっき時間を短縮する。これにより、従来の通常めっきよりも電着粒が微細となり、凹凸の少なくRskが−0.35〜0.53の表面が得られる。
粗めっきを行う場合の銅−コバルト−ニッケル合金めっき層の付着量は、例えば、Cu:15〜40mg/dm2−Co:100〜3000μg/dm2−Ni:100〜1500μg/dm2である3元系合金層とすることができる。Coの付着量が100μg/dm2未満の場合は耐熱性及びエッチング性が劣化することがある。Co付着量が3000μg/dm2 を超えると、磁性が生じるので磁性の影響を考慮する用途には好ましくなく、又、エッチングシミが生じたり、耐酸性及び耐薬品性が低下することがある。Ni付着量が100μg/dm2未満であると耐熱性が劣り、Ni付着量が1500μg/dm2を超えるとエッチング残が生じることがある。より好ましいCo付着量は1000〜2500μg/dm2であり、より好ましいNi付着量は500〜1200μg/dm2である。ここで、エッチングシミとは、塩化銅でエッチングした場合、Coが溶解せずに残ってしまうことを意味し、エッチング残とは塩化アンモニウムでアルカリエッチングした場合、Niが溶解せずに残ってしまうことを意味する。
粗めっきを行う場合の銅−コバルト−ニッケル合金めっきのめっき浴及びめっき条件の一例は次の通りである。
めっき浴組成:Cu:10〜20g/L、Co:1〜10g/L、Ni:1〜10g/L
pH:1〜4
めっき温度:30〜50℃
電流密度Dk:30〜45A/dm2
電解時間:0.3〜1.5秒
平滑めっきを行う場合のコバルト−ニッケル合金めっき層の付着量は、例えば、Co:200〜3000μg/dm2−Ni:100〜700μg/dm2とすることができる。Coの付着量が200μg/dm2未満の場合、耐熱剥離強度(所定時間加熱した後の、銅箔と樹脂との剥離強度)、耐酸化性及び耐薬品性が劣ると共に、めっき層の色調が赤くなるので好ましくない。Coの付着量が3000μg/dm2を超えると、磁性が生じるので磁性の影響を考慮する用途には好ましくなく、さらにエッチングシミが生じ、耐酸性及び耐薬品性が低下することがある。好ましいCo付着量は500〜2500μg/dm2である。一方、Niの付着量が100μg/dm2未満の場合、耐熱剥離強度、耐酸化性及び耐薬品性が劣るでは耐熱剥離強度が低下することがある。Niの付着量が1300μg/dm2を超えると、アルカリエッチング性が劣ることがある。より好ましいNi付着量は200〜1200μg/dm2である。
平滑めっきを行う場合のコバルト−ニッケル合金めっきのめっき浴及びめっき条件の一例は次の通りである。
めっき浴組成:Co:1〜20g/L、Ni:1〜20g/L
pH:1.5〜3.5
温度:30〜80℃
電流密度Dk:5.0〜20.0A/dm2
電解時間:0.5〜1.2秒
スキューネスRskの値ならびに後述のSvの値を変化させない限り、上記しためっき層の表面に、厚みの薄い各種層(これを「他層」という)を形成してもよい。このような他層としては、付着量が30〜250μg/dm2の亜鉛めっき層等の防錆層が例示される。この層のZnの付着量が30μg/dm2未満の場合、耐熱性が十分に向上しなくなることがある。一方、Znの付着量が250μg/dm2を超えると、耐塩酸劣化率(樹脂と銅箔との銅張積層板を塩酸に浸漬しない場合を基準としたとき、塩酸に浸漬した場合の樹脂と銅箔との密着強度の劣化率)が極端に低下することがある。Zn付着量は、より好ましくは30〜240μg/dm2であり、最も好ましくは80〜220μg/dm2である。
なお、本発明において「めっき層の表面」とは、めっき層の上に上述の他層を形成した場合には、最表面である上記他層の表面を意味する。従って、最表面に上記他層が存在する場合、例えば「めっき層表面のスキューネスRsk」とは、上記他層表面のスキューネスRskになる。
亜鉛めっきのめっき浴及びめっき条件の一例は次の通りである。
めっき浴組成:Zn:100〜300g/L
pH:3〜4
温度:50〜60℃
電流密度Dk:0.1〜0.5A/dm2
電解時間:1〜3秒
なお、亜鉛めっき層の代わりに亜鉛−ニッケル合金めっき等の亜鉛合金めっき層を他層として形成してもよい。さらに、めっき層又は他層の表面に、クロメート処理やシランカップリング剤の塗布等によって防錆層を形成してもよい。
なお、圧延銅箔とめっき層との間に、中間層が形成されていてもよい。例えば、圧延銅箔がタフピッチ銅の場合、銅箔表面に亜酸化銅が残存し、めっき層をめっきした際にめっき不良の原因となって表面欠陥を引き起こし、Rskを制御できなくなることがある。そこで、圧延銅箔の表面に平滑な純Cuめっきをフラッシュめっきして中間層とし、この中間層の上にめっき層(例えば、銅合金の粗めっき)を形成すると、めっき不良を防止することができる。
<めっき層表面のスキューネスRsk>
スキューネスRskは、二乗平均平方根高さRqの三乗によって無次元化した基準長さにおけるZ(x)三乗平均を表したものである。
二乗平均平方根高さRqは、JIS B 0601(2001)に準拠した非接触式粗さ計による表面粗さ測定における、凹凸の程度を示す指標であり、下記(A)式で表され、表面粗さのZ軸方向の凹凸(山の)高さであって、基準長さlrにおける山の高さZ(x)の二乗平均平方根である。
基準長さlrにおける山の高さの二乗平均平方根高さRq:
スキューネスRskは、二乗平均平方根高さRqを用いて、以下の(B)式で示される。
めっき層表面のスキューネスRskは、めっき層表面の凹凸面の平均面を中心としたときの、銅箔表面の凹凸の対称性を示す指標である。図4に示すように、Rsk<0であれば高さ分布が平均面に対して上側に偏っており、Rsk>0であれば高さ分布が平均面に対して下側に偏っているといえる。上側への偏りが大きいとき、銅箔をポリイミド(PI)等の樹脂と積層した後に銅箔をエッチング除去した場合、樹脂層表面が凹形態となっており、光源から光を照射すると樹脂層内部での乱反射が大きくなる。一方、高さ分布が平均面に対して下側への偏りが大きいとき、銅箔を樹脂と積層した後にエッチング除去した場合、樹脂層表面が凸形態となっており、光源から光を照射すると樹脂層表面での乱反射が大きくなる。
このようなことから、めっき層表面のスキューネスRskを−0.35〜0.53とすることにより、ピール強度が高くなって樹脂との密着性が良好になり、且つ、銅箔をエッチングで除去した後の樹脂の透明性が高くなる。この結果、当該樹脂を透過して視認される位置決めパターンを介して行うICチップ搭載時の位置合わせ等が容易となる。
スキューネスRskが−0.35未満であると、銅箔表面の高さ分布が平均面に対して上側に偏りすぎとなり、銅箔をポリイミド(PI)等の樹脂と積層した後に銅箔をエッチング除去した場合、樹脂層表面の凹形態が強くなる。このため、光源から光を照射すると樹脂層内部での乱反射が大きくなり、樹脂の透明性が低下する。一方、スキューネスRskが0.53を超えると、高さ分布が平均面に対して下側への偏りすぎとなり、銅箔を樹脂と積層した後にエッチング除去した場合、樹脂層表面の凸形態が強くなる。このため、光源から光を照射すると樹脂層表面での乱反射が大きくなりすぎ、その結果、樹脂の透明性が低下する。
なお、めっき層中のめっき粒子の大きさのバラつきは、圧延銅箔の圧延平行方向(MD)よりも、MDと直交する圧延直角方向(TD)の方が大きく、TDのRskを制御することが重要である。このため、RskはTDに沿って測定する。
Rskは、−0.30以上が好ましく、−0.20以上が好ましく、−0.10以下が好ましい。また、Rskは、0.15以上が好ましく、0.20以上が好ましく、0.50以下が好ましく、0.45以下が好ましく、0.40以下が好ましく、0.39以下が更により好ましい。また、表面処理をされた銅箔表面のスキューネスRskは、−0.30以上が好ましく、0.50以下が好ましく、0.39以下がより好ましい。
また、表面処理をされた銅箔表面のスキューネスRskは−0.30〜0.50が好ましく、−0.30〜0.39がより好ましい。
表面処理をされた銅箔表面のスキューネスRskが負の値の場合には、Rskは−0.30〜−0.10がさらに好ましく、−0.20〜−0.10がさらにより好ましい。一方で、表面処理をされた銅箔表面のスキューネスRskが正の値の場合には、0.15〜0.50がさらに好ましく、0.20〜0.50がさらに好ましく、0.20〜0.45がさらに好ましく、0.20〜0.40がさらに好ましく、0.20〜0.35がさらに好ましい。
<Sv値>
上記したRskは、表面の尖りの高さと数を反映するものの、尖りの間隔や平面方向への分布を反映しない。このため、Rskの値だけでは視認性の指標として不十分である。
そこで、尖りの分布状態を反映した指標として、Sv値を3.0以上に規定する。
Sv値は、CCDカメラで樹脂直下のライン状のマークを撮影し、マークが付されていない部分では高い明度となるが、マーク端部に到達すると明度が低下する現象を利用している。樹脂の視認性が良好であれば明度の低下が急激になり、視認性が不良であれば明度が緩やかに低下するので、これを数値化してSv値を得ることができる。Sv値は、樹脂を透過したマークの画像により、マクロな樹脂の形態が光を透過する度合を反映し、めっき層表面の尖りの間隔や平面方向への分布を反映したことになる。従って、Sv値を規定することにより、銅箔をエッチングで除去後の樹脂の透明性の良否を的確に表すことができる。Sv値の測定方法は後述する。
Sv値を3.0以上に規定することで、マーク部分と非マーク部分との境界がより明確になり、位置決め精度が向上して、マーク画像認識による誤差が少なくなり、樹脂の透明性が高くなってより正確に位置合わせができるようになる。このため、本発明の実施の形態に係る銅箔を複数のプリント配線板に用いて、2つ以上のプリント配線板を互いに接続する際に、接続不良が低減し、歩留まりが向上する。
Sv値が3.0未満の場合、マークの明度が緩やかに低下し、樹脂の視認性が劣っている。Sv値は好ましくは3.5以上、より好ましくは4.0以上である。Svの上限は特に限定する必要はないが、例えば15以下、より好ましくは10以下である。
Sv値を3.0以上に制御する方法として、めっき層を形成する前の圧延銅箔の表面のTDのJIS B0601−1994で規定される粗さ(Rz)、及びJIS−Z8741の60度光沢度を調整することが挙げられる。具体的には、めっき層を形成する前の圧延銅箔のTD(圧延平行方向)の表面粗さ(Rz)を好ましくは0.20〜0.55μm、より好ましくは0.20〜0.42μmとし、60度光沢度を好ましくは300〜910、より好ましくは500〜810とする。Rz及び60度光沢度を調整する方法としては、再結晶焼鈍後であって最終冷間圧延時の圧延油の油膜当量を以下のように調整して圧延を行う(高光沢圧延)か、又は、ケミカルエッチングのような化学研磨やリン酸溶液中の電解研磨を最終冷間圧延後に行うことにより作製することができる。
なお、高光沢圧延は以下の式で規定される油膜当量を12000〜25000とすることで行うことが出来る。
油膜当量={(圧延油粘度[cSt])×(通板速度[mpm]+ロール周速度[mpm])}/{(ロールの噛み込み角[rad])×(材料の降伏応力[kg/mm2])}
圧延油粘度[cSt]は40℃での動粘度である。
油膜当量を12000〜25000とするためには、低粘度の圧延油を用いたり、通板速度を遅くしたりする等、公知の方法を用いればよい。
化学研磨は硫酸−過酸化水素−水系またはアンモニア−過酸化水素−水系等のエッチング液を用い、通常のエッチングを行う場合よりも液の濃度を低くして、長時間行う。具体的には、例えば、エッチング液にH2SO4が含まれている場合には、H2SO4濃度を1〜3質量%とし、H22が含まれている場合にはH22濃度を0.05〜0.15質量%とすることができる。又、研磨時間を1〜2時間とすることができる。
「電解研磨」は、例えばリン酸67%+硫酸10%+水23%の条件で、電圧10V/cm2、10秒〜120秒の時間(10秒間の電解研磨を行うと、研磨量は1〜2μmとなる。)で行うことができる。
<Sv値の測定方法>
Sv値は、厚み50μmのポリイミド樹脂の両面に、それぞれ圧延銅箔のめっき層側を貼り合わせた後、エッチングで両面の銅箔を除去し、ライン状のマークを印刷した印刷物を、露出したポリイミド樹脂の下に敷いて、印刷物をポリイミド樹脂越しにCCDカメラで撮影したとき、撮影によって得られた画像について、観察されたライン状のマークが伸びる方向と垂直な方向に沿って観察地点ごとの明度を測定して作製した、観察地点−明度グラフにおいて、マークの端部からマークが描かれていない部分にかけて生じる明度曲線のトップ平均値Btとボトム平均値Bbとの差をΔB(ΔB=Bt−Bb)とし、観察地点−明度グラフにおいて、明度曲線とBtとの交点の内、ライン状マークに最も近い交点の位置を示す値をt1として、明度曲線とBtとの交点からBtを基準に0.1ΔBまでの深さ範囲において、明度曲線と0.1ΔBとの交点の内、ライン状マークに最も近い交点の位置を示す値をt2としたときに、上記(1)式で定義される。
図7は、撮影装置の構成を示す。又、「明度曲線のトップ平均値Bt」、「明度曲線のボトム平均値Bb」、及び、後述の「t1」、「t2」、「Sv」について、図を用いて説明する。
図5(a)及び図5(b)は、マークの幅を約0.3mmとした場合の明度を測定する方法を示す模式図である。マークの幅を約0.3mmとした場合、図5(a)に示すようにV型の明度曲線となる場合と、図5(b)に示すように底部を有する明度曲線となる場合がある。いずれの場合も「明度曲線のトップ平均値Bt」は、マークの両側の端部位置から50μm離れた位置から30μm間隔で5箇所(両側で合計10箇所)測定したときの明度の平均値を示す。一方、「明度曲線のボトム平均値Bb」は、明度曲線が図5(a)に示すようにV型となる場合は、このV字の谷の先端部における明度の最低値を示し、図5(b)の底部を有する場合は、約0.3mmの中心部の値を示す。
なお、マークの幅は、1.3mm、0.2mm、0.16mm、0.1mm程度としてもよい。さらに、「明度曲線のトップ平均値Bt」は、マークの両側の端部位置から100μm、300μm又は、500μm離れた位置から上述のように測定したときの明度の平均値としてもよい。なお、図5において、マークの幅を約1.3mmとした場合には、マークの両側の端部位置から500μm離れた位置から、それぞれ30μm間隔で5箇所(両側で合計10箇所)測定し、「明度曲線のトップ平均値Bt」を求めればよい。
図6は、Svの算出方法を示す模式図である。「t1(ピクセル×0.1)」は、明度曲線とBtとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点を示す。「t2(ピクセル×0.1)」は、明度曲線とBtとの交点からBtを基準に0.1ΔBまでの深さ範囲において、明度曲線と0.1ΔBとの交点の内、前記ライン状マークに最も近い交点を示す。このとき、t1およびt2を結ぶ線で示される明度曲線の傾きについては、y軸方向に0.1ΔB、x軸方向に(t1−t2)で計算されるSv(階調/ピクセル×0.1)で定義される。
Sv=(ΔB×0.1)/(t1−t2) (1)
なお、横軸の1ピクセルは10μm長さに相当する。また、Svは、マークの両側を測定し、小さい値を採用する。さらに、明度曲線の形状が不安定で上記「明度曲線とBtとの交点」が複数存在する場合は、最もマークに近い交点を採用する。
CCDカメラで撮影した上記画像において、マークが付されていない部分では高い明度となるが、マーク端部に到達したとたんに明度が低下する。ポリイミド樹脂の視認性が良好であれば、このような明度の低下状態が明確に観察される。一方、ポリイミド樹脂の視認性が不良であれば、明度がマーク端部付近で一気に「高」から「低」へ急に下がるのではなく、低下の状態が緩やかとなり、明度の低下状態が不明確となってしまう。
そこで、明度曲線のトップ平均値Btとボトム平均値Bbとの差をΔB(ΔB=Bt−Bb)とし、上記(1)式でこのΔBの傾きをSv値として定義することで、樹脂の透明性を評価する。
ところで、圧延銅箔をロール(管に圧延銅箔が巻かれてロール状となっている)から連続的に繰り出し、ヒートロール(ラミネートロール)を介して樹脂層と積層して銅箔複合体を製造する際、圧延銅箔の表面が平滑過ぎるとヒートロールやその対向ロールに対して部分的に密着し、滑りにくくなることにより、樹脂層との積層時にシワが生じることがある。又、ヒートロールの表面を保護するため、圧延銅箔とヒートロールとの間に保護フィルムを介して圧延銅箔と樹脂層とを積層することがある。ところが、圧延銅箔の表面が平滑過ぎると、積層する際に、銅箔と保護フィルムとが密着し、滑りにくくなることにより、樹脂層との積層時にシワが生じることがある。
このようなことから、上記めっき層の表面、及び/又は、上記めっき層を非形成の圧延銅箔の表面を、波長405nmのレーザー光を用いたレーザー顕微鏡で測定したとき、圧延直角方向(TD)の表面性状(十点平均粗さRz、算術平均粗さRa、又は二乗平均平方根高さRq)を以下のように規定すると、圧延銅箔の表面が適度に粗くなって相手(ヒートロール、対向ロール又は保護フィルム)との間の接触面積が低下し、ヒートロールとの密着や保護フィルムへの貼付きといった上述の不具合を抑制できる。
具体的には、上記した十点平均粗さRzが、0.35μm以上であるのが好ましく、0.40μm以上であるのがより好ましく、0.50μm以上であるのが更に好ましく、0.60μm以上であるのが更に好ましく、0.80μm以上であるのが最も好ましい。なお、Rzの上限は特に限定する必要は無いが、典型的には4.0μm以下であり、より典型的には3.0μm以下であり、より典型的には2.5μm以下であり、最も典型的には2.0μm以下である。
従って、Rzは0.35〜4.0μmが好ましく、0.40〜3.0μmがより好ましく、0.50〜2.5μmがさらに好ましく、0.60〜2.0μmが最も好ましい。
又、Rzは、JIS-B0601(1994)に規定する方法に準拠して測定する。
又、上記した算術平均粗さRaが、0.05μm以上であるのが好ましく、0.08μm以上であるのがより好ましく、0.10μm以上であるのが更に好ましく、0.20μm以上であるのが更に好ましく、0.30μm以上であるのが最も好ましい。なお、Raの上限は特に限定する必要は無いが、典型的には0.80μm以下であり、より典型的0.65μm以下であり、より典型的には0.50μm以下であり、最も典型的には0.40μm以下である。
従って、Raは0.05〜0.80μmが好ましく、0.08〜0.65μmがより好ましく、0.10〜0.50μmがさらに好ましく、0.20〜0.40μmがさらに好ましく、0.30〜0.40μmが最も好ましい。
又、Raは、銅箔表面の凹凸プロファイルからJIS B0601-1994に準じて算出される算術平均粗さである。
又、上記した二乗平均平方根高さRqが、0.08μm以上であるのが好ましく、0.10μm以上であるのがより好ましく、0.15μm以上であるのが更に好ましく、0.20μm以上であるのが更に好ましく、0.30μm以上であるのが最もより好ましい。なお、Rqの上限は特に限定をする必要は無いが、典型的には0.80μm以下であり、より典型的には0.60μm以下であり、より典型的には0.50μm以下であり、最も典型的には0.40μm以下である。
従って、Rqは0.08〜0.80μmが好ましく、0.10〜0.60μmがより好ましく、0.15〜0.50μmがさらに好ましく、0.20〜0.40μmがさらに好ましく、0.30〜0.40μmが最も好ましい。
又、Rqは、上述のように規定される。
圧延銅箔の片面に上述のめっき層が形成され、圧延銅箔の反対面に上述のめっき層が形成されない場合、この反対面に表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、粗化処理、めっき(平滑めっき及び/または粗めっき)処理、電解研磨処理、機械研磨処理、酸等のエッチング液を用いたエッチング等の化学研磨処理が挙げられる。これら表面処理により、圧延銅箔の上記反対面に例えば耐熱層、防錆層等が形成される。
なお、表面処理がめっき処理である場合、「表面処理しためっき層」は、スキューネスRskが−0.35未満、Rskが0.53を超えるか、又はSvが3.0未満であり、この点で、Rskが−0.35〜0.53でかつSvが3.0以上となる上述の「めっき層」と異なる。
表面処理としては、例えば、硫酸銅と硫酸水溶液を含むめっき液を用いて粗めっき処理を行ってもよく、また硫酸銅と硫酸水溶液から成るめっき液を用いて粗めっき処理を行ってもよい。前述の粗めっき処理による粗めっきは銅−コバルト−ニッケル合金めっきや銅−ニッケル−りん合金めっき、ニッケル−亜鉛合金めっき等の合金めっきでもよい。また、前述の粗めっきは好ましくは銅合金めっきにより行うことができる。銅合金めっき浴としては例えば銅と銅以外の元素を一種以上含むめっき浴、より好ましくは銅とコバルト、ニッケル、砒素、タングステン、クロム、亜鉛、リン、マンガンおよびモリブデンからなる群から選択されたいずれか1種以上とを含むめっき浴を用いることが好ましい。
また、上記の粗めっき処理以外の粗めっき処理を用いてもよい。表面処理が粗めっき処理でない場合としては、上記の耐熱層、防錆層等の平滑めっき処理による表面処理や公知の平滑めっき処理を用いてもよい。
また、表面処理として、表面に凹凸を形成するための表面処理を施されてもよい。
表面に凹凸を形成するための表面処理としては、電解研磨による表面処理を行ってもよい。例えば、硫酸銅と硫酸水溶液から成る溶液中で、銅箔表面を電解研磨することにより表面に凹凸を形成させることができる。電解研磨により凹凸を形成する方法は公知の技術で行っても良い。凹凸を形成するための電解研磨の公知の技術の例としては特開2005−240132号、特開2010−059547号、特開2010−047842号に記載の方法が挙げられる。
電解研磨で凹凸を形成させる処理の具体的な条件としては、例えば、
・処理溶液:Cu:5〜40g/L、H2SO4:50〜150g/L、温度:30〜70℃
・電解研磨電流:10〜50A/dm2
・電解研磨時間:5〜20秒
などが挙げられ、より具体的には例えば、
・処理溶液:Cu:20g/L、H2SO4:100g/L、温度:50℃
・電解研磨電流:15A/dm2
・電解研磨時間:15秒
などが挙げられる。
凹凸を形成するための表面処理として、例えば、銅箔表面を機械研磨することで凹凸を形成しても良い。機械研磨は公知の技術で行ってもよい。
なお、銅箔表面の表面処理後に、耐熱層や防錆層や耐候性層を設けても良い。耐熱層や防錆層および耐候性層は、上記記載や実験例記載の方法でもよいし、公知の技術による方法でもよい。
本発明の銅張積層板は、上記した圧延銅箔と、圧延銅箔のめっき層側に積層される樹脂とを有する。樹脂はプリント配線板等に適用可能な特性を有するものであれば特に制限を受けないが、例えば、リジッドPWB用に紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂等を使用することができる。又、FPC用にポリエステルフィルムやポリイミドフィルム、液晶ポリマー(LCP)フィルム、テフロン(登録商標)フィルム等を使用する事ができる。
圧延銅箔と樹脂との積層方法は、リジッドPWB用の場合、ガラス布などの基材に樹脂を含浸させ、樹脂を半硬化状態まで硬化させたプリプレグを用意し、銅箔をめっき層側の面からプリプレグに重ねて加熱加圧させる方法が挙げられる。FPCの場合、ポリイミドフィルム等の樹脂層に接着剤を介して銅箔を接着し、又は、接着剤を使用せずに高温高圧下で銅箔を積層接着して銅張積層板を製造することができる。FPCの場合、又は、ポリイミド前駆体を圧延銅箔に塗布した後、乾燥及び硬化等を行うことで銅張積層板を製造することができる。
樹脂(層)の厚みは特に制限を受けるものではないが、一般的に10〜50μm程度のものが用いられる。又、樹脂の厚みが50μm以上の厚いものも使用される場合があるが、このように、樹脂の厚みが50μm以上の場合に本発明が特に有効である。樹脂の厚みの上限は特に制限されないが、例えば150μmである。
本発明の銅張積層板は各種のプリント配線板(PWB)に使用可能である。プリント配線板としては、特に制限されるものではないが、例えば、導体パターンの層数の観点からは片面PWB、両面PWB、多層PWB(3層以上)に適用可能であり;絶縁基板材料の種類の観点からはリジッドPWB、フレキシブルPWB(FPC)、リジッド・フレックスPWBに適用可能である。
なお、プリント配線板は、銅張積層板の銅箔の一部をエッチング除去して回路部分を形成したものである。
(回路接続部材の製造方法)
次に、図9を参照し、本発明のプリント配線板を用いて回路接続部材を製造する方法について説明する。まず、図9に示すように、プリント配線板10及びプリント配線板10が接続される接続対象体20を用意する。なお、本例では、プリント配線板10はアーム機構50に取り付けられて移動可能であり、接続対象体20はコンベア52上に載置されて移動可能である。
プリント配線板10は、樹脂4と、樹脂4の少なくとも片面(本例では両面)に配置される回路部分2及び位置決めパターン6とを有する。回路部分2及び位置決めパターン6は、樹脂4と積層された銅箔の一部をエッチングして形成されたものである。
接続対象体20は、基材24と、基材24に配置される回路22及び位置決めパターン26とを有する。接続対象体20としては、電子部品、回路基板、プリント基板、プリント配線板、プリント回路板、銅張積層板が例示され、これらに電子部品が実装されたものも含む。接続対象体20の具体例としては、回路基板を有する液晶ディスプレイが挙げられる。又、後述するように、接続対象体20もプリント配線板10であってもよい。
次に、接続対象体20の位置決めパターン26の位置を、例えばCCDカメラ等の撮像手段72で検出しておく。同様に、プリント配線板10の位置決めパターン6の樹脂4を透過した位置を、例えばCCDカメラ等の撮像手段72で撮影して検出しておく。
そして、これらの位置情報に基づき、適宜アーム機構50やコンベア52を移動させ、接続対象体20の所定の回路22にプリント配線板10の所定の回路部分2が重なるよう、接続対象体20に対してプリント配線板10を位置決めした後、回路部分2と回路22とを電気的に接続する。このように互いに電気的に接続された接続対象体20とプリント配線板10とが特許請求の範囲の「回路接続部材」を構成する。
ここで、上述のように、本発明のプリント配線板10は、銅箔表面のスキューネスRsk及びSvを規定しているために銅箔をエッチング除去した後の樹脂の透明性に優れている。このため、位置決めパターン6を樹脂4越しに検出しても、、位置決めパターン6を鮮明に認識することができ、位置決めパターン6の位置を精度良く検出することができる。その結果、検出された位置決めパターン6の位置に基づき、接続対象体20に対してプリント配線板10の位置決めを精度よく行うことができ、両者を確実に電気的に接続することができる。
なお、接続対象体20とプリント配線板10とを電気的に接続する方法としては、半田付け、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)を介した接続、異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste、ACP)を介した接続、又は導電性を有する接着剤を介した接続など、公知の電気的接続方法を用いることができる。
又、本製造方法において、「プリント配線板」には部品が実装されたプリント配線板も含まれることとする。
また、接続対象体20とプリント配線板10の個数は限定されず、例えば2つ以上のプリント配線板10を1つの接続対象体20に接続してもよく、1つのプリント配線板10に2つ以上の接続対象体20を接続してもよい。
さらに、接続対象体20としてプリント配線板10を用いる場合は、2つ以上のプリント配線板10が相互に接続されることとなる。
なお、接続対象体20やプリント配線板10を移動させる手段は上記に限定されず、例えば気体を用いた浮遊方式、略円筒形などの回転体を回転させて移動させるコロやベアリングなどの方式、油圧方式、空気圧、モーター、ガントリ移動型リニアガイドステージ、ガントリ移動型エアガイドステージ、スタック型リニアガイドステージ、リニアモーター駆動ステージなどのステージを有する移動装置等の、公知の方式を用いることができる。
又、例えば、コンベア52としては、ベルトコンベヤーやチェーンコンベヤーが挙げられる。
さらに、本発明の実施の形態に係る回路接続部材の製造方法を表面実装機やチップマウンターに用いてもよい。
又、位置決めパターン6または位置決めパターン26が、それぞれ回路部分2または回路22を構成してもよい。
<圧延銅箔の製造>
表1、表2に示す組成の元素を添加したタフピッチ銅又は無酸素銅を原料として厚さ100mmのインゴットを鋳造し、800℃以上で厚さ10mmまで熱間圧延を行い、表面の酸化スケールを面削した。その後、冷間圧延と焼鈍とを繰り返して0.5mmの厚みの圧延板コイルを得た。その最後の冷間圧延の後に、この銅ストリップを700℃でかつ表1、表2に示す張力下で連続焼鈍炉に通板して最終再結晶焼鈍を行った。なお、表1、表2の張力の値は、その試料の再結晶焼鈍温度下での耐力で除して規格化した({張力(N/mm2)/ 再結晶焼鈍温度下での耐力(N/mm2)})。また、再結晶焼鈍における銅ストリップの加熱時間は100〜200秒とした。最後に最終冷間圧延で表1、表2に記載の厚みに仕上げた。最終冷間圧延での圧延加工度を86〜99%とした。
なお、表1、表2の組成の欄の「Ag190ppm OFC」は、JIS-H3510(C1011)(実施例10)またはJIS- H3100 (C1020)(実施例10以外)の無酸素銅OFC)に190質量ppmのAgを添加したことを意味する。又、「Ag190ppm TPC」は、JIS-H3100(C1100)のタフピッチ銅(TPC)に190質量ppmのAgを添加したことを意味する。他の添加量の場合も同様である。
<めっき層の形成>
上記した圧延銅箔の片面に、表3、表4に示すめっき条件でめっき層を形成した。なお、表5のCu−Co−Ni合金めっきは、pH 2.5のめっき浴(Cu:15g/L、Co:8.5g/L、Ni:8.6g/L)を用いて浴温38℃でめっきした。Cu−Ni−P合金めっきは、pH 2.5のめっき浴(Cu:10g/L、Ni:20g/L、P:1g/L)を用いて浴温40℃でめっきした。Ni−W合金めっきは、pH 4.0のめっき浴(Ni:25g/L、W:20mg/L)を用いて浴温40℃でめっきした。Cuめっきは、まず、第1めっき浴(Cu 15g/L、 H2SO4 50g/L)を用い、浴温25℃で電流密度50A/dm2、電解時間1.5secでめっきした後、第2めっき浴(Cu 20g/L、H2SO4 100g/L)を用い、浴温50℃で電流密度2A/dm2、電解時間15secでめっきした。なお、Cu−Co−Ni合金めっき、Cu−Ni−P合金めっき及びCuめっきは粗めっき(焼けめっき)に相当する。また、Ni−W合金めっきは平滑めっきに相当する。
<圧延銅箔の反対面への表面処理>
実施例1、4〜6、10〜13、25及び26で得られた銅箔について、圧延銅箔の反対面(めっき層の非形成面)に対して表5に記載の表面処理を行った銅箔も製造した。ここで、表5の実施例の「−」の後の数字、は、表1の所定の実施例で得られた銅箔の反対面に表5に記載の表面処理を行ったことを意味する。例えば、表5において、「実施例1−1」は、実施例1の反対面に表5に記載の表面処理を行ったものであり、「実施例2−1」は、実施例2の反対面に表5に記載の表面処理を行ったものである。
<結晶方位>
最終冷間圧延後でめっき層形成前の銅箔の表面(圧延面)について、X線回折装置(RINT-2500:理学電機製)を用い、それぞれ{200}、{220}、{111}面の正極点測定(X線反射平均強度)を行った。得られた測定結果から、StandardODF(株式会社ノルム工学製)を用いて逆極点に変換し、{110}面及び{112}面の算出X線回折強度を計算した。
X線回折の測定条件は、入射X線源:Cu、加速電圧:30kV、管電流:100mA、発散スリット:0.5度、散乱スリット:4mm、受光スリット:4mm、発散縦制限スリット:1.2mmとした。又、同一条件で各面につきX線回折を行った純銅粉末の値(X線反射平均強度)を用いて{200}、{220}、{111}面の集合度を規格化した後、逆極点に変換した。純銅粉末は、微粉末銅(325mesh)を用いた。なお、上述の結晶方位は、圧延銅箔のめっき層と反対側の表面を測定しても同様な値となることを確認した。
<結晶粒径>
最終再結晶焼鈍の直後(最終冷間圧延前)の銅箔の結晶粒径をJIS-H0501の切断法に準じ、圧延面について測定した。
<I{200}/I0{200}>
最終冷間圧延後でめっき層形成前の銅箔を、それぞれ200℃で0.5時間焼鈍後、及び350℃で1秒焼鈍後に、その表面について{200}面のX線回折強度(積分強度)を測定した。そして、同一条件でX線回折を行った純銅粉末の値(I0{200}:X線反射平均強度)、すなわち純銅粉末の{200}面のX線回折強度(積分強度)を用いて規格化した。
X線回折の測定条件は、入射X線源:Cu、加速電圧:25kV、管電流:20mA、発散スリット:1度、散乱スリット:1度、受光スリット:0.3mm、発散縦制限スリット:10mm,モノクロ受光スリット0.8mmとした。純銅粉末は、微粉末銅(325mesh)を用いた。
なお、上述のI{200}/I0{200}は、圧延銅箔のめっき層と反対側の表面について{200}面のX線回折強度を測定しても同様な値となることを確認した。
<屈曲性>
まず、厚み12.5μmの熱硬化性ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミド接着剤を塗工し乾燥させた。次に、このフィルムの両面に最終冷間圧延後でめっき層形成後の銅箔のそれぞれめっき層側を積層した後、熱圧着して両面CCLを作製した。この両面CCLにつき、両面の銅箔にエッチングによりライン/スペースの幅がそれぞれ100μm/100μmの回路パターンを形成した後、厚み25μmのカバーレイフィルムを被覆してFPCに加工した。
このFPCにつき、スライド屈曲試験を行って屈曲性を評価した。具体的には、摺動試験機(応用技研産業株式会社製,TK-107型)を用い、スライド半径r(mm)は実施例9についてはr=4mm 、その他の実施例及び比較例についてはr=0.72mmとし、いずれの場合もスライド速度120回/分でFPCを屈曲させた。
試験前に比べて銅箔の回路の電気抵抗が10%増加したときの屈曲回数が、15万回未満を評価×とし、10万回〜15万回未満のものを評価△とし、15万回〜30万回のものを評価○とし、30万回を越えたものを評価◎とした。屈曲性が◎〜△であれば、屈曲性が良好といえる。
<エッチング性>
上記した両面CCLを、撹拌した液温30℃のエッチング液(ADEKA社製の製品名:テックCL−8の20質量%溶液)に1分間浸漬してエッチングし、エッチング面を光学顕微鏡で撮影した。
上記画像のうち、暗部はエッチングが均一にされている領域を示すので、エッチング性は撮影した画像と、基準画像とを比較して評価した。図3に、基準画像と、エッチング性の評価の対応を示す。暗部の面積率が高いほど、エッチング性が良好となり、◎が最もエッチング性が良好となる。エッチング性が◎〜△であれば、エッチング性が良好といえる。
<表面のスキューネスRskの測定>
まず、オリンパス社製の非接触式レーザー顕微鏡(LEXT OLS4000)にて、銅箔のめっき層表面の二乗平均平方根高さRq及びスキューネスRskを測定した。対物レンズの倍率を20倍に設定し、評価長さ647μm、カットオフ値ゼロの条件で、圧延直角方向(TD)に沿って測定した。なお、測定温度は23〜25℃とした。また、上記レーザー顕微鏡のレーザー光の波長は405nmとした。
<Sv値>
ポリイミドフィルム(カネカ製の商品名:PIXEO(ポリイミドタイプ:FRS)、銅張積層板用接着層付ポリイミドフィルム、厚み50μm、PMDA(ピロメリット酸無水物)−ODA(4、4'-ジアミノジフェニルエーテル)系のポリイミドフィルム)の両面に、それぞれ圧延銅箔のめっき層側を貼り合わせ、銅箔をエッチング(塩化第二鉄水溶液)で除去してサンプルフィルムを作製した。続いて、ライン状の黒色マークを印刷した印刷物を、サンプルフィルムの下に敷いて、印刷物をサンプルフィルム越しにCCDカメラで撮影し、撮影によって得られた画像について、観察されたライン状のマークが伸びる方向と垂直な方向に沿って観察地点ごとの明度を測定して作製した、観察地点−明度グラフにおいて、マークの端部からマークが描かれていない部分にかけて生じる明度曲線からΔB及びt1、t2、Svを測定した(図5〜図7参照)。
なお、横軸の1ピクセルは10μm長さに相当する。また、Svは、マークの両側を測定し、小さい値を採用する。
なお、明度曲線の測定に用いるポリイミドフィルムは、銅箔に貼り合わせ前のΔB(PI)の値が50以上65以下であればどのようなポリイミドフィルムを用いてもよいが、本実施例では上記ポリイミドフィルムを用いた。
上記「ライン状の黒色マークを印刷した印刷物」は、光沢度43.0±2の白色の光沢紙上に、図8(a)に示すように透明フィルムにライン状の黒色マークが印刷されたきょう雑物(夾雑物)(株式会社朝陽会製 品名:「きょう雑物測定図表-フルサイズ判」 品番:JQA160−20151−1(独立行政法人国立印刷局で製造された))を載せたものを使用した。図8(a)の夾雑物(印刷物)は、それぞれ単一のラインLx(図8(a)では、最右側のラインに符号Lxを付した)が左右方向に離間して複数並んで黒色マークを構成し、各ラインLxの面積がいずれも0.7mm2になっている。一方、各ラインLxの形状(上下方向の長さや幅)はそれぞれ異なっており、そのうち最右側のラインLxから左に4つ目の幅0.3mmのラインLx4を用いて明度曲線を測定した。なお、上記きょう雑物は、JIS P8208(1998)(図1 きょう雑物計測図表のコピー)及びJIS P8145(2011)(附属書JA(規定)目視法異物比較チャート 図JA.1−目視法異物比較チャートのコピー)のいずれにも採用されているものとした
上記光沢紙の光沢度は、JIS Z8741に準拠した日本電色工業株式会社製光沢度計ハンディーグロスメーターPG−1を使用し、入射角60度で測定した。
撮影装置は、CCDカメラ、上記光沢紙と、この光沢紙上の上記印刷物(透明フィルム)と、この印刷物上のポリイミド基板とを置くステージ(白色)、ポリイミド基板の撮影部に光を照射する照明用電源、撮影対象のマークが付された紙を下に置いた評価用ポリイミド基板をステージ上に搬送する搬送機(不図示)を備えている。当該撮影装置の主な仕様を以下に示す:
・撮影装置:株式会社ニレコ製シート検査装置Mujiken
・CCDカメラ:8192画素(160MHz)、1024階調ディジタル(10ビット)
・照明用電源:高周波点灯電源(電源ユニット×2)
・照明:蛍光灯(30W、形名:FPL27EX−D、ツイン蛍光灯)
また、CCDカメラは一次元のラインCCDであり、その視野Viは図8の点線の位置(各ラインLxを横断する位置)となるよう設定した。
ラインCCDカメラによる撮影では、フルスケール256階調にて信号を確認し、測定対象のポリイミドフィルム(ポリイミド基板)を置かない状態で、印刷物の黒色マークが存在しない箇所(上記光沢紙の上に上記透明フィルムを載せ、透明フィルム側から各ラインLxが印刷されていない箇所をCCDカメラで測定した場合)のピーク階調信号が230±5に収まるようにレンズ絞りを調整した。カメラスキャンタイム(カメラのシャッターが開いている時間、光を取り込む時間)は250μ秒固定とし、上記階調以内に収まるようにレンズ絞りを調整した。
なお、図7に示された明度について、0は「黒」を意味し、明度255は「白」を意味し、「黒」から「白」までの灰色の程度(白黒の濃淡、グレースケール)を256階調に分割して表示している。
<視認性(樹脂の透明性)>
Sv値の測定の場合と同様にして銅箔を上記ポリイミドフィルム(カネカ製、PIXEO(ポリイミドタイプ:FRS))の両面に貼り合わせ、銅箔をエッチング(塩化第二鉄水溶液)で除去してサンプルフィルムを作成した。得られたサンプルフィルムの一面に印刷物(直径6cmの黒色の円)を貼り付け、反対面からサンプルフィルム越しに印刷物の視認性を目視で判定した。印刷物の黒色の円の輪郭が円周の90%以上の長さにおいてはっきりしたものを「◎」、黒色の円の輪郭が円周の85%以上90%未満の長さにおいてはっきりしたものを「○」(以上合格)、黒色の円の輪郭が円周の80%以上85%未満の長さにおいてはっきりしたものを「△」(不合格)、黒色の円の輪郭が円周の80%未満の長さにおいてはっきりしたもの及び輪郭が崩れたものを「×」(不合格)と評価した。
<ピール強度(接着強度)>
上記ポリイミドフィルム(カネカ製、PIXEO(ポリイミドタイプ:FRS)厚み50μm)の片面に、圧延銅箔のめっき層側を貼り合わせ、IPC−TM−650に準拠し、引張り試験機オートグラフ100で常態ピール強度を測定した。常態ピール強度が0.7N/mm以上を積層基板用途に使用できるものとした。
なお、ピール強度の測定は銅箔厚みを18μmに合わせて測定を行った。従って、厚みが18μmに満たない銅箔については、めっき層側と反対面に銅めっきを行って銅箔厚みを18μmに調整した。また、銅箔厚みが18μmよりも大きい場合には、めっき層側と反対面をエッチングして銅箔厚みを18μmに調整した。なお、測定の際に、ポリイミドフィルムをステンレスの板に両面テープで貼り付けて固定し、圧延銅箔側を引きはがした。
<めっき前の圧延銅箔表面の特性>
めっき前の圧延銅箔の表面について、JIS B0601−1994に規定する粗さ曲線の十点平均粗さRzを測定した。小坂研究所社製SE500表面粗さ測定機を用い、走査距離4mm、カットオフ0.8mmとした。
又、めっき前の圧延銅箔の表面について、JIS Z8741に準拠した日本電色工業株式会社製光沢度計ハンディーグロスメーターPG−1を使用し、入射角60度での光沢度を測定した。
Rz及び光沢度は、圧延直角方向(TD)について測定した。
<歩留の評価>
Sv値の測定の場合と同様にして銅箔を上記ポリイミドフィルム(カネカ製、PIXEO(ポリイミドタイプ:FRS)厚み50μm)の両面に貼り合わせた。次に、銅箔をエッチング(塩化第二鉄水溶液)して、L/Sが30μm/30μmの回路幅の回路と、20μm×20μm角のマークとを有するFPCを作成した。その後、このマークをポリイミドフィルム越しにCCDカメラで検出した。10回中9回以上検出できた場合には「◎」、7〜8回検出できた場合には「○」、6回検出できた場合には「△」、5回以下検出できた場合には「×」とした。
評価が△又は×の場合、実際にCCDカメラでマークを検出することが難しく、電子基板製造工程等で、回路形成後のポリイミドフィルムに所定の処理を行う場合のマーキングによる位置決め精度が低下し、歩留が低下する。
<表面粗さ(Rz、Rq、Ra)の測定>
各実施例、比較例の圧延銅箔のうち、めっき層側の面の反対面に表5の表面処理を行ったサンプルの当該反対面について、オリンパス社製レーザー顕微鏡LEXT OLS4000にて、表面粗さ(十点平均粗さ)RzをJIS B0601 1994に準拠して測定した。対物レンズ50倍を使用して、評価長さ258μm、カットオフ値ゼロの条件で、圧延方向と垂直な方向(TD)で、それぞれ測定した。なお、測定環境温度は23〜25℃とした。Rzを任意に10箇所測定し、その10箇所の平均値を表面粗さ(十点平均粗さ)Rzの値とした。また、測定に用いたレーザー顕微鏡のレーザー光の波長は405nmとした。
上記レーザー顕微鏡により同一の測定条件下で、同様に反対面の二乗平均平方根高さRqをJIS B0601 2001に準拠して測定した。
上記レーザー顕微鏡により同一の測定条件下で、同様に反対面の算術平均粗さRaを、JIS B0601−1994に準拠して測定した。
また、上記と同様の方法で、圧延銅箔のめっき層側の表面の十点平均粗さRz、二乗平均平方根高さRq、算術平均粗さRaを測定した。
<ラミネート加工によるシワ等の評価>
厚さ25μmのポリイミド樹脂の両面に、それぞれ表5に示す実施例の圧延銅箔を、めっき層側から積層し、さらに、各圧延銅箔の表面処理された側の表面(上記反対面)に厚さ125μmの保護フィルム(ポリイミド製)を積層させた状態、すなわち、保護フィルム/圧延銅箔/ポリイミド樹脂/圧延銅箔/保護フィルムの5層とした状態で、両方の保護フィルムの外側からラミネートロールを用いて熱と圧力をかけながら貼り合わせ加工(ラミネート加工)を行い、ポリイミド樹脂の両面に圧延銅箔を貼り合わせた。続いて、両表面の保護フィルムを剥がした後、圧延銅箔の表面処理面のシワ又はスジの有無を目視で確認した。シワ又はスジが全く発生しないときを◎、銅箔長さ5mあたりにシワ又はスジが1箇所だけ観察されるときを○、銅箔5mあたりシワ又はスジが2箇所以上観察されるときを×として評価した。
得られた結果を表1〜表5に示す。
<I{110}/I{112}による効果>
表1〜表5から明らかなように、2.5≦I{110}/I{112}≦6.0を満たす各実施例の場合、圧延銅箔のエッチング性と屈曲性が共に優れたものとなった。
なお、厚み、及び最終再結晶焼鈍条件が同一の実施例1,2を比べると、Agの添加量が多い実施例1の方が(110)方位が多くなり、I{110}/I{112}の値も高くなることがわかる。又、13.0>I{200}/I0{200}である実施例20〜23の場合、他の実施例に比べると屈曲性が少し低下したが実用上は問題ない。
一方、銅箔の組成が同一である実施例6に比べ、最終再結晶焼鈍時の張力を低くした比較例1,4の場合、(112)方位が少なくなり、I{110}/I{112}の値が6.0を超え、エッチング性が劣化した。
銅箔の組成が同一である実施例5に比べて最終再結晶焼鈍時の張力を高くした比較例2の場合、及び銅箔の組成が同一である実施例7に比べて最終再結晶焼鈍時の張力を高くした比較例3の場合、いずれも(110)方位が減少し、I{110}/I{112}の値が2.5未満となり、屈曲性が劣化した。
製造方法が同一である実施例1、6の場合、銅箔の酸素濃度が低い実施例1の方が屈曲性が優れている。
なお、図2(a)、(b)は、それぞれ実施例5、比較例1のエッチング面の光学顕微鏡像である。エッチング性に優れる実施例5の場合、暗部の割合が多いことがわかる。
<スキューネスRsk及びSvによる効果>
Rskが−0.35〜0.53、かつSvが3.0以上である各実施例の場合、上述のようにエッチング性と屈曲性が共に優れたのに加え、密着性、樹脂の透明性、及び歩留が良好であった。
スキューネスRskが−0.35未満である比較例5の場合、樹脂の透明性、及び歩留が劣った。
スキューネスRskが0.53を超えた比較例6の場合も、樹脂の透明性、及び歩留が劣った。
Svが3.0未満である比較例7、8の場合、樹脂の透明性、及び歩留が劣った。
なお、比較例7と同一の圧延銅箔試料を、ポリイミドフィルム(カネカ製厚み12.5μm)の両面に貼り合わせて、同様に樹脂の透明性及び歩留を評価したところ、良好であった(参考例1)。参考例1は特許文献6に相当すると考えられ、このことより、樹脂の厚みが厚くなると、Rskだけでなく、Sv値を管理する必要があることがわかる。
また、上記実施例1〜26において、夾雑物の印刷物を図8(b)に示すもの(各ラインの面積が0.5mm2、)に変え、そのうち最右側のラインLxから左に3つ目の幅0.16mmのラインLx3を用いて同様にSvの測定を行ったが、いずれもSvは図8(a)の場合(ライン幅0.3mm)と同じ値となった。
さらに、上記実施例1〜26において、夾雑物の印刷物を図8(c)に示すもの(各ラインの面積が3.0mm2、)に変え、そのうち最右側のラインLxから左に6つ目の幅1.3mmのラインLx6を用いて同様にSvの測定を行ったが、いずれもSvは図8(a)の場合(ライン幅0.3mm)と同じ値となった。
さらに、上記実施例1〜26において、「明度曲線のトップ平均値Bt」について、マークの両側の端部位置からそれぞれ、100μm、300μm、500μm離れた位置から測定したが、いずれもSvは、マークの両側の端部位置から50μm離れた位置から測定したときと同じ値となった。
なお、各実施例と同じ銅箔を用いて同じ条件で、銅箔の両面にめっき層を形成して評価した結果、銅箔の片面にめっき層を形成した各実施例1〜26と同じ結果が得られた。
銅箔の両面にめっき層を形成する場合、両面に同時にめっき層を形成してもよく、一方の面と、他方の面とに、それぞれ別々にめっき層を形成してもよい。なお、両面に同時にめっき層を形成する場合には、銅箔の両面側にアノードを設けためっき装置を用いてめっき層を形成すると良い。なお、本実施例では、同時に両面にめっき層の形成を行った。
また、表5に示す各実施例のめっき層側及びその反対面の銅箔表面の十点平均粗さRzはいずれも0.35μm以上、算術平均粗さRaはいずれも0.05μm以上、二乗平均平方根高さRqはいずれも0.08μm以上であった。

Claims (16)

  1. 質量率で99.9%以上の銅を含む圧延銅箔であって、
    該圧延銅箔の片面に金属又は合金のめっき層が形成されており、
    前記圧延銅箔の圧延面における{112}面からの算出X線回折強度をI{112}とし、{110}面からの算出X線回折強度をI{110}としたとき、2.5≦I{110}/I{112}≦6.0を満たし、
    前記圧延銅箔の圧延直角方向に沿い前記めっき層表面のJIS B0601−2001に基づくスキューネスRskが−0.35〜0.53であり、
    厚み50μmのポリイミド樹脂フィルムの両面に、それぞれ前記圧延銅箔の前記めっき層を貼り合わせた後、エッチングで前記圧延銅箔を除去し、
    ライン状のマークを印刷した印刷物を、露出した前記ポリイミド樹脂フィルムの下に敷いて、前記印刷物を前記ポリイミド樹脂フィルム越しにCCDカメラで撮影したとき、
    前記撮影によって得られた画像について、観察された前記ライン状のマークが伸びる方向と垂直な方向に沿って観察地点ごとの明度を測定して作製した、観察地点−明度グラフにおいて、
    前記マークの端部から前記マークが描かれていない部分にかけて生じる明度曲線のトップ平均値Btとボトム平均値Bbとの差をΔB(ΔB=Bt−Bb)とし、観察地点−明度グラフにおいて、明度曲線とBtとの交点の内、前記ライン状のマークに最も近い交点の位置を示す値をt1として、明度曲線とBtとの交点からBtを基準に0.1ΔBまでの深さ範囲において、明度曲線と0.1ΔBとの交点の内、前記ライン状のマークに最も近い交点の位置を示す値をt2としたときに、下記(1)式で定義されるSvが3.0以上、
    前記めっき層とは反対面の前記圧延銅箔の表面を、波長405nmのレーザー光を用いたレーザー顕微鏡で測定したとき、前記反対面の表面は以下の(1)〜(3)のいずれか一つ以上を満たす圧延銅箔。
    (1)圧延直角方向(TD)の十点平均粗さRzが、0.35μm以上、
    (2)圧延直角方向(TD)の算術平均粗さRaが、0.05μm以上、
    (3)圧延直角方向(TD)の二乗平均平方根高さRqが、0.08μm以上、
    Sv=(ΔB×0.1)/(t1−t2) (1)
  2. 前記反対面には表面処理が施されている請求項1に記載の圧延銅箔。
  3. Ag、Sn、Mg、In、B、Ti、Zr及びAuの群から選ばれる1種又は2種以上を合計で10〜300質量ppm含有し、残部Cuおよび不可避的不純物からなる請求項1又は2に記載の圧延銅箔。
  4. 酸素を2〜50質量ppm含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧延銅箔。
  5. 200℃で30分の加熱後に、圧延面において、算出X線回折強度I{112}≦1.0を満たす請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧延銅箔。
    但し、前記算出X線回折強度I{112}は、{200}、{220}、{111}面及び純銅粉末標準試料の{200}、{220}、{111}面の正極点測定を行って得た、{200}、{220}、{111}面の集合度を、それぞれ前記純銅粉末標準試料の{200}、{220}、{111}面の集合度で規格化し、当該規格化した{200}、{220}、{111}面の正極点図から、逆極点に変換して求めた{112}面の集合度である。
  6. 350℃で1秒加熱後において、前記圧延銅箔の圧延面の{200}面のX線回折強度をI{200}とし、純銅粉末試料の{200}面のX線回折強度をI 0 {200}としたとき、
    5.0≦I{200}/I 0 {200}≦27.0を満たす請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧延銅箔。
  7. 厚みが4〜70μmである請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧延銅箔。
  8. 前記めっき層の表面、及び/又は、前記反対面の表面を、波長405nmのレーザー光を用いたレーザー顕微鏡で測定したとき、圧延直角方向の十点平均粗さRzが0.35μm以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧延銅箔。
  9. 前記めっき層の表面、及び/又は、前記反対面の表面を、波長405nmのレーザー光を用いたレーザー顕微鏡で測定したとき、圧延直角方向の算術平均粗さRaが0.05μm以上である請求項1〜8のいずれか一項に記載の圧延銅箔。
  10. 前記めっき層の表面、及び/又は、前記反対面の表面を、波長405nmのレーザー光を用いたレーザー顕微鏡で測定したとき、圧延直角方向の二乗平均平方根高さRqが0.08μm以上である請求項1〜9のいずれか一項に記載の圧延銅箔。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の圧延銅箔と、該圧延銅箔の前記めっき層側に積層される樹脂とを有する銅張積層板。
  12. 請求項11に記載の銅張積層板を用いたプリント配線板。
  13. 請求項12に記載のプリント配線板を用いた電子機器。
  14. 請求項12に記載のプリント配線板の回路部分と、接続対象体の回路とを電気的に接続する回路接続部材の製造方法であって、
    前記プリント配線板に設けられた位置決めパターンの位置を、前記樹脂を透過して検出する工程と、
    前記検出した位置に基づき、前記接続対象体に対して前記プリント配線板を位置決めした後、前記回路部分と前記回路とを電気的に接続する工程と、を有する回路接続部材の製造方法。
  15. 前記接続対象体が前記プリント配線板である請求項14に記載の回路接続部材の製造方法。
  16. 請求項14又は15に記載の回路接続部材の製造方法で作製された回路接続部材。
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