本出願人は、滅菌状態の管理を行うことができる蒸気滅菌手段を備えた湿式微粒化装置(特許文献1参照)を提案している。この蒸気滅菌手段を備えた湿式微粒化装置では、流路内部空間における蒸気の凝結および滞留を抑制することによって、滅菌を効果的に行うことができる。それに加えて、定期的に滅菌条件を測定することによって、滅菌状態の管理を効果的に行うことができるものであったが、手動で蒸気を投入し、回路を蒸気滅菌できることも開示されている。
一方、高圧噴射して微粒化する湿式微粒化装置には、微粒化の促進として、高圧噴射したオリフィスの直後に背圧をかけることが有効とされている。即ち、高圧噴射したオリフィス(チャンバーノズル)の直後に2段目、または3段目、更には、4段目の背圧をかけることで微粒化がより促進される。これは、微粒化要素の一つであるキャビテーション衝撃によって微粒化が促進されるためである。
加えて、圧力、流量から導かれる適切な背圧をかけることで、キャビテーション気泡の破裂・崩壊を促進し、衝撃力を上げることができる利点も奏する。また、背圧の程度によって、キャビテーションを抑制(気泡を発生させない)することもでき、微粒化に疎外となる気泡を混入させない効果を得ることもできる。
一般的に背圧をかける方式としては、バルブ方式の弁と弁シートからなる狭い隙間を作って圧力をかける方式がある。この方式だと、消耗の激しい弁と弁シートに対して、材料の選定が硬質体であってもセラミック、超硬合金しかなく、それらにおいても、硬質粒子(金属、セラミック粒子)の微粒化では弁と弁シートの摩耗が甚大となっていた。このため、背圧をかける対象は液滴状のエマルションに限られていた。即ち、背圧機構はエマルションの乳化促進(高圧ホモジナイザー)用途に限られていた。
また、粒子の微粒化および乳化を促進させる2段目、3段目の背圧であっても5〜100MPaの高圧回路となり、このため、高圧回路を維持しつつ、背圧をかける機器自体を自動で洗浄、滅菌する機構そのものがなかった。
本発明は、蒸気滅菌を行うことができ硬質粒子(金属、セラミック粒子)の微粒化に耐えうる定置洗浄・滅菌可能な背圧機能付き微粒化装置を得ることを目的とする。
請求項1に記載された発明に係る定置洗浄・滅菌可能な背圧機能付き微粒化装置は、原料を加圧する増圧機と、該増圧機で加圧された原料の高圧噴流を微粒化ノズルから100〜245MPaの噴射圧で噴射して微粒化する微粒化チャンバーと、該微粒化チャンバーの排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズルから内部に支承された硬質体に高圧噴射させて衝突させる少なくとも一つの背圧ユニットと、原料を投入するための原料供給口から前記増圧機の供給口へ原料を供給する増圧機供給流路と、前記増圧機のハウジング内部から前記微粒化ノズルまで加圧された原料を供給する微粒化ノズル供給流路と、前記微粒化チャンバーの噴射後の原料の背圧状態を維持させて前記背圧ノズルまで原料を供給する背圧ノズル供給流路と、前記背圧ユニットの硬質体に衝突された原料の背圧状態を維持させて下流に供給する背圧ユニット後続流路とを備えた微粒化装置であって、
前記原料供給口は、滅菌時には蒸気供給手段から蒸気が供給され、洗浄時には洗浄液供給手段から洗浄液が供給されるものであり、
前記微粒化チャンバー内の微粒化ノズル直前に設けられた、蒸気又は洗浄液の一部を微粒化ノズル供給流路外へ排出する微粒化チャンバー用一部抜出手段と、
前記微粒化チャンバー内の微粒化ノズル直後に設けられた、蒸気又は洗浄液を追加して背圧ノズル供給流路内に供給する微粒化チャンバー用副供給手段と、
前記背圧ユニット内の背圧ノズル直前に設けられた、蒸気又は洗浄液の一部を背圧ノズル供給流路外へ排出する背圧ユニット用一部抜出手段と、
前記背圧ユニット内の背圧ノズル直後に設けられた、蒸気又は洗浄液を追加して背圧ユニット後続流路内に供給する背圧ユニット用副供給手段とを備えたことを特徴とするものである。
請求項2に記載された発明に係る定置洗浄・滅菌可能な背圧機能付き微粒化装置は、請求項1に記載の背圧ユニット用一部抜出手段が、配管直径の6倍以内の長さの止り穴通路に接続され、蒸気又は洗浄液の流出をオンオフするものであることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明に係る定置洗浄・滅菌可能な背圧機能付き微粒化装置は、請求項1又は2に記載の背圧ユニットが、前記微粒化チャンバーの排出口に連通され尚且つ微粒化ノズルのノズル直径より大きいノズル直径を有する背圧ノズルからの高圧噴流を内部に支承された硬質体に衝突させるものであることを特徴とするものである。
請求項4に記載された発明に係る定置洗浄・滅菌可能な背圧機能付き微粒化装置は、請求項3に記載の背圧ノズル直径(d2)が、微粒化ノズル直径(d1)より大きく、背圧ノズル直径(d2)/微粒化ノズル直径(d1)=1.6〜2.4であることを特徴とするものである。
請求項5に記載された発明に係る定置洗浄・滅菌可能な背圧機能付き微粒化装置は、請求項1〜4の何れか1項に記載の背圧ユニット用副供給手段が、配管直径の6倍以内の長さの止り穴通路に接続され、蒸気又は洗浄液の流入をオンオフするものであることを特徴とするものである。
請求項6に記載された発明に係る定置洗浄・滅菌可能な背圧機能付き微粒化装置は、請求項5に記載の背圧ユニット用副供給手段の止り穴流路が、前記硬質体が支承されている衝突室に流通されていることを特徴とするものである。
請求項7に記載された発明に係る定置洗浄・滅菌可能な背圧機能付き微粒化装置は、請求項1〜6の何れか1項に記載の背圧ユニットが、1つ以上連設して設けられたことを特徴とするものである。
本発明は、蒸気滅菌を行うことができ硬質粒子(金属、セラミック粒子)の微粒化に耐えうる定置洗浄・滅菌可能な背圧機能付き微粒化装置を得ることができるという効果がある。より具体的には、微粒化装置自体を分解せずに、洗浄液による洗浄および蒸気による滅菌を行うことができ、作業時間を大幅に短縮することができる。
本発明においては、原料を加圧する増圧機と、この増圧機で加圧された原料の高圧噴流を微粒化ノズルから100〜245MPaの噴射圧で噴射して微粒化する微粒化チャンバーと、この微粒化チャンバーの排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズルから内部に支承された硬質体に高圧噴射させて衝突させる少なくとも一つの背圧ユニットと、原料を投入するための原料供給口から前記増圧機の供給口へ原料を供給する増圧機供給流路と、前記増圧機のハウジング内部から前記微粒化ノズルまで加圧された原料を供給する微粒化ノズル供給流路と、前記微粒化チャンバーの噴射後の原料の背圧状態を維持させて前記背圧ノズルまで原料を供給する背圧ノズル供給流路と、前記背圧ユニットの硬質体に衝突された原料の背圧状態を維持させて下流に供給する背圧ユニット後続流路とを備えた微粒化装置である。
即ち、原料供給口から増圧機供給流路を介して増圧機に原料が供給され、増圧機で加圧された原料が微粒化ノズル供給流路を介して微粒化チャンバーに供給されて原料の高圧噴流を微粒化ノズルから100〜245MPaの噴射圧で噴射することにより微粒化される。このような微粒化チャンバーでは、微粒化を効率的に行うために、内部に硬質体を支承し、この硬質体に衝突させて微粒化を促進してもよい。微粒化チャンバーの排出口から背圧ノズル供給流路及び背圧ユニット後続流路を介して排出される原料の背圧状態を維持しつつ1段以上の背圧ユニットで更に原料の微粒化を促進する。
本発明では、この微粒化装置において、原料供給口は、滅菌時には蒸気供給手段から蒸気が供給され、洗浄時には洗浄液供給手段から洗浄液が供給されるものであり、微粒化チャンバー内の微粒化ノズル直前に設けられた、蒸気又は洗浄液の一部を微粒化ノズル供給流路外へ排出する微粒化チャンバー用一部抜出手段と、微粒化チャンバー内の微粒化ノズル直後に設けられた、蒸気又は洗浄液を追加して背圧ノズル供給流路内に供給する微粒化チャンバー用副供給手段と、背圧ユニット内の背圧ノズル直前に設けられた、蒸気又は洗浄液の一部を背圧ノズル供給流路外へ排出する背圧ユニット用一部抜出手段と、背圧ユニット内の背圧ノズル直後に設けられた、蒸気又は洗浄液を追加して背圧ユニット後続流路内に供給する背圧ユニット用副供給手段とを備える。これにより、蒸気滅菌を行うことができ硬質粒子(金属、セラミック粒子)の微粒化に耐えうる定置洗浄・滅菌可能な背圧機能付き微粒化装置を得ることができるという効果を奏する。
即ち、本発明の微粒化装置では、増圧機で加圧された原料の高圧噴流を微粒化ノズルから100〜245MPaの噴射圧で内部に支承された微粒化硬質体に衝突させる微粒化チャンバーによって、原料の微粒化を行う。この際、微粒化チャンバーの排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズルから内部に支承された硬質体に高圧噴射させて衝突させる少なくとも一つの背圧ユニットを備えるため、原料の微粒化がより促進される。
本発明の微粒化装置では、原料供給口に蒸気を供給する蒸気供給手段及び原料供給口に洗浄液を供給する洗浄液供給手段によって、定置洗浄CIP(Cleaning-in-Place))及び蒸気滅菌し(定置滅菌SIP(Sterilization-in-Place)を行うものである。即ち、原料供給口から洗浄液を流路内に流して洗浄し、原料供給口から蒸気を流路内に流して滅菌する。
即ち、微粒化チャンバー用一部抜出手段で微粒化チャンバーの微粒化ノズルの直前で洗浄液の一部を微粒化ノズル供給流路の外部へ排出し、微粒化チャンバー用副供給手段で微粒化ノズル直後で洗浄液を追加して背圧ノズル供給流路内に供給することにより、微粒化チャンバー内の洗浄を確実にする。更に、背圧ユニット用一部抜出手段で背圧ユニットの背圧ノズルの直前で洗浄液の一部を背圧ノズル供給流路の外部へ排出し、背圧ユニット用副供給手段で背圧ノズル直後で洗浄液を追加して背圧ユニット後続流路内に供給することにより、背圧ユニット内の洗浄を確実にする。
また、微粒化チャンバー用一部抜出手段で微粒化チャンバーの微粒化ノズルの直前で蒸気の一部を微粒化ノズル供給流路の外部へ排出し、微粒化チャンバー用副供給手段で微粒化ノズル直後で蒸気を追加して背圧ノズル供給流路内に供給することにより、微粒化チャンバー内の滅菌を確実にする。更に、背圧ユニット用一部抜出手段で背圧ユニットの背圧ノズルの直前で蒸気の一部を背圧ノズル供給流路の外部へ排出し、背圧ユニット用副供給手段で背圧ノズル直後で蒸気を追加して背圧ユニット後続流路内に供給することにより、背圧ユニット内の滅菌を確実にする。
本発明の背圧ユニットは、微粒化チャンバーの排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズルから内部に支承された硬質体に高圧噴射させて衝突させるものであり、少なくとも一つ以上連設して設けられればよく、より好ましくは、微粒化チャンバーの排出口に連通され尚且つ微粒化ノズルのノズル直径より大きいノズル直径を有する背圧ノズルからの高圧噴流を内部に支承された硬質体に衝突させるものである。
本発明の背圧ユニット用一部抜出手段は、背圧ユニット内の背圧ノズル直前に設けられた、蒸気又は洗浄液の一部を背圧ノズル供給流路外へ排出するものであればよく、より好ましくは、配管直径の6倍以内の長さの止り穴通路に接続され、蒸気又は洗浄液の流出をオンオフするものである。これにより、滅菌、洗浄を行う医薬装置回路における液だまりを規制する止り穴の規定である所謂「6D法則(即ち、止り穴長さは配管直径の6倍以内)」を満たすことができる利点があり、医薬であっても同様に微粒化を行うことができる。
本発明の背圧ユニット用副供給手段は、背圧ユニット内の背圧ノズル直後に設けられた、蒸気又は洗浄液を追加して背圧ユニット後続流路内に供給するものであればよく、より好ましくは、配管直径の6倍以内の長さの止り穴通路に接続され、蒸気又は洗浄液の流入をオンオフするものである。これにより、背圧ユニット用一部抜出手段と同様に、滅菌、洗浄を行う医薬装置回路における液だまりを規制する止り穴の規定である所謂「6D法則(即ち、止り穴長さは配管直径の6倍以内)」を満たすことができる利点があり、医薬であっても同様に微粒化を行うことができる。
尚、微粒化チャンバー用一部抜出手段と背圧ユニット用一部抜出手段と、更には、微粒化チャンバー用副供給手段と背圧ユニット用副供給手段とは、蒸気又は洗浄液を経路外又は経路内に供給するため、同じ自動オンオフバルブを用いてもよい。即ち、各チャンバーの微粒化ノズル又は背圧ノズルは、流路直径に比べて小径となっているため、蒸気又は洗浄液が通り難い。そのため、各ノズル手前に蒸気/洗浄液ドレンのための自動オンオフ弁をつける、ノズル以降の滅菌/洗浄のために、別の自動オンオフ弁を介して、蒸気/洗浄液を流入させる。
それぞれの自動オンオフ弁は、高圧微粒化のときは両方とも閉じ、滅菌又は洗浄のときは両バルブとも開け蒸気又は洗浄液を流す。このため、ノズル内の極細通路への蒸気滅菌は、6Dの規定内とすることで、内部に蒸気/洗浄液が行き渡り、定置滅菌及び定置洗浄が可能となった。
この背圧ユニット用副供給手段の止り穴流路としては、好ましくは硬質体が支承されている衝突室に流通されている。これにより、洗浄液及び蒸気が硬質体に良好に触れることができ、洗浄及び滅菌が良好に行われる。
更に、背圧ユニットの硬質体としては、背圧ユニットの内部に支承され、背圧ノズルからの高圧噴流が衝突されるものであり、より好ましくは、背圧ユニット本体内で背圧ノズルの噴射流体の軸線から偏心し、前記衝突室内で回転可能に支承される球状硬質体である。これにより、高速噴流の衝突によって常に回転するため、集中的な損傷が軽減され、耐久性が向上する利点が得られる。
本発明の背圧ユニットは、微粒化ノズルに対して、更に背圧をかけることによって微粒化を促進する。このため、背圧ノズルの直径は微粒化ノズルの直径よりも大きくすることにより、背圧を有効に利用することができる。より具体的には、0.16〜1.2mmの背圧ノズル直径(d2)に対して、0.1〜0.5mmの微粒化ノズル直径(d1)よりも大きく、背圧ノズル直径(d2)/微粒化ノズル直径(d1)=1.6〜2.4である。これにより、100〜245MPaの噴射圧で内部に支承された微粒化硬質体に衝突させる微粒化ノズルに対して、背圧ノズルでは、8〜20MPaの噴射圧となる。
本発明の背圧ユニットは1つ以上接続して複数段としてもよい。即ち、本発明の背圧ユニットは1つ以上、2段、3段と連設されることにより、微粒化がより促進される。具体的には、後続の背圧ユニットにも、背圧ユニット内の背圧ノズル直前に設けられた、蒸気又は洗浄液の一部を背圧ノズル供給流路外へ排出する背圧ユニット用一部抜出手段と、背圧ユニット内の背圧ノズル直後に設けられた、蒸気又は洗浄液を追加して背圧ユニット後続流路内に供給する背圧ユニット用副供給手段とを備える。
本発明の微粒化チャンバーについても、背圧ユニットと同様に、オンオフ弁や副供給手段について、配管直径の6倍以内の長さの止り穴通路に接続され、蒸気又は洗浄液の流出をオンオフするものとしたり、高圧噴流を内部に支承された硬質体に衝突させるものであったり、止り穴流路は、前記硬質体が支承されている衝突室に流通されていたりしてもよい。
本発明の微粒化チャンバーと背圧ユニットとの違いとしては、(1) 背圧ノズルの直径が微粒化ノズルの直径よりも大きいことが挙げられる。微粒化ノズルの噴射圧P1、背圧ノズルの噴射圧P2、微粒化ノズル直径d1、背圧ノズル直径d2とすると、次式が成り立つ。
(d2/d1)4=P1/P2
P2の実情は、おおよそ、P2=8〜20MPa、P1はSBS(スターバースト)の場合、150〜245MPaなので、P1/P2=7〜30、現実的には10〜24となる。つまり、d2/d1=1.6〜2.4、現実的には1.7〜2.2となり、例えば、d1=0.17、d2=0.3より、d2/d1=1.76となる。
他の相違点としては、(2) ノズルと硬質体との距離の相違が挙げられる。微粒化チャンバーでは、微粒化衝撃力を期待してのボールヘの衝突を考える。つまり、距離が近ければ近いほど有効となる。一方、背圧ユニットでは、単なる噴流のキャッチャーなので、摩耗しない程度の距離を保つことが優先となる。
更に他の相違点としては、(3) オリフィスの形状の相違である。基本的に同じ形状のものを使用してもよいが、違いを出すとすれば、微粒化ノズルは、微粒化衝撃力が必要なため、なるべく噴流速度が落ちないように噴流をストレートに噴射する形状となる。一方、背圧ノズルは、噴流流れ形状は関係ないので、どのような形状でも可。むしろボールに衝撃を与えないよう、噴流が散るオリフィス形状が良い。
他の相違点としては、(4) 硬質体の選択がある。背圧ユニットの硬質体は、微粒化チャンバーよりも衝撃力が小さいので、小さくすることができ、材質も衝撃に弱い者を選択することもできるし、微粒化チャンバーと同じ材質としてもよい。また、(5) 背圧ユニットは、P1/P2=7〜30、現実に近くは10〜24と低いので、耐圧・摩耗対策構造を単純化することができる。
図1は本発明の微粒化装置の一実施例の回路図であり、微粒化状態の回路図を示す説明図である。図2は図1に示した微粒化状態の微粒化チャンバーと背圧ユニットの構成を示す説明図である。図3は図1に示した微粒化状態の増圧機の説明図である。図4は図1に示した背圧ユニットの構成を示す簡略説明図である。図5は図1に示した背圧ユニットの構成を示す説明図である。図6は別の背圧ユニットの構成を示す説明図である。図7は図1の洗浄状態の回路図を示す説明図である。図8は図7に示した洗浄状態の微粒化チャンバーと背圧ユニットの構成を示す説明図である。図9は図7に示した洗浄状態の増圧機の構成を示す説明図である。図10は図1の滅菌状態の回路図を示す説明図である。図11は図10に示した滅菌状態の増圧機の構成を示す説明図である。
図1に示す通り、本実施例の微粒化装置10は、主な機器として、原料を加圧する2基の増圧機20と、この増圧機20で加圧された原料の高圧噴流を100〜245MPaの噴射圧で噴射させて微粒化する微粒化チャンバー30と、この微粒化チャンバー30の排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズルから内部に支承された硬質体に高圧噴流を衝突させる少なくとも一つの背圧ユニット40と、背圧ユニット40を経た原料の熱を回収する熱交換器50とを備える。
個々の機器は、流路で連通されている。具体的には、原料を投入するための原料供給口11から増圧機20の供給口へ原料を供給する増圧機供給流路12と、増圧機20のハウジング内部から微粒化チャンバー30内部の微粒化ノズルまで加圧された原料を供給する微粒化ノズル供給流路13と、微粒化チャンバー30の微粒化ノズルから噴射された原料の背圧状態を維持させて前記背圧ユニット40の背圧ノズルまで原料を供給する背圧ノズル供給流路14と、背圧ユニット40内部の硬質体に衝突された原料の背圧状態を維持させて下流に供給する背圧ユニット後続流路15とを備える。
図2及び図8に示す通り、微粒化チャンバー30と背圧ユニット40とが配設されている。微粒化チャンバー30は、内部の衝突室31内に微粒化硬質体(図示せず)が支承され、この硬質体に図3に示された増圧機20で加圧された原料を微粒化ノズル32で高圧の噴射圧で噴射させて衝突させる。具体的には、微粒化ノズル32のノズル直径は0.1〜0.5mmであり、100〜245MPaの噴射圧で噴射させる。尚、増圧機20は2基の増圧機20のシリンダ21内を摺動するプランジャ24を半周期ずらして駆動することにより、2組のチェック弁22,23によって、常に微粒化ノズル供給流路13に高圧力で原料が加圧される。また、微粒化チャンバー30の直前の微粒化ノズル供給流路13には高圧用の圧力センサー38が装着され、背圧ユニット40の直前の背圧ノズル供給流路14には背圧用の圧力センサー48が装着されている。
この微粒化チャンバー30には、微粒化ノズル32の直前には微粒化装置10の洗浄中又は滅菌中に微粒化ノズル供給流路13内を流れる蒸気又は洗浄液の一部を微粒化ノズル供給流路13外へ排出する微粒化チャンバー用一部抜出手段としての抜出オンオフ弁33が設けられている。更に、微粒化ノズル32の直後には微粒化装置10の洗浄中又は滅菌中に抜出オンオフ弁33で排出された蒸気又は洗浄液を補うように追加して背圧ノズル供給流路14内に供給する微粒化チャンバー用副供給手段としての副供給オンオフ弁34が設けられている。
本実施例の微粒化装置10では、原料を微粒化する場合には、微粒化チャンバー30の抜出オンオフ弁33及び副供給オンオフ弁34と、背圧ユニット40の抜出オンオフ弁43及び副供給オンオフ弁34とを閉塞し、供給バルブ16も閉塞する。加えて、増圧機20のプランジャ24をシリンダ21内を摺動可能に設置する。増圧機20のシリンダ21内を摺動するプランジャ24を半周期ずらして駆動することにより、チェック弁22,23の開閉によって、原料が原料供給口11から供給され、増圧機にてMAX245MPaに加圧され、微粒化チャンバー30にて微粒化される。その後、背圧ユニット40にて微粒化が促進され、熱交換器50を通りより排出される。
具体的には、微粒化ノズル32の直前の微粒化ノズル供給流路13から止り穴通路35が分岐され、その通路の端部に抜出オンオフ弁33が設けられている。この止り穴通路35は、止り穴通路35の直径の6倍以内の分岐長さである。また、微粒化ノズル32の直後の背圧ノズル供給流路14から別の止り穴通路36が分岐され、その通路の端部に微粒化チャンバー用副供給手段の副供給オンオフ弁34が設けられている。この止り穴通路36も止り穴通路35の直径の6倍以内の分岐長さである。これにより、定置洗浄及び定置滅菌であっても、滅菌、洗浄を行う医薬装置回路における液だまりを規制する止り穴の規定である所謂「6D法則(即ち、止り穴長さは配管直径の6倍以内)」を満たすことができる利点があり、医薬であっても同様に微粒化を行うことができる。
図4及び図5に示す通り、背圧ユニット40は、微粒化チャンバー30と同様に、内部の衝突室41内にセラミックボール製の背圧硬質体47が支承され、この硬質体47に微粒化チャンバー30の排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズル42から噴射させて衝突させる。具体的には、背圧ノズル42のノズル直径は0.16〜1.2mmであり、おおよそ8〜20MPaの噴射圧で噴射させる。
この背圧ユニット40には、微粒化チャンバー30と同様に、背圧ノズル42の直前には微粒化装置10の洗浄中又は滅菌中に背圧ノズル供給流路14内を流れる蒸気又は洗浄液の一部を背圧ノズル供給流路14外へ排出する背圧ユニット用一部抜出手段としての抜出オンオフ弁43が設けられている。更に、背圧ノズル42の直後には微粒化装置10の洗浄中又は滅菌中に抜出オンオフ弁43で排出された蒸気又は洗浄液を補うように追加して背圧ノズル後続流路15内に供給する背圧ユニット用副供給手段としての副供給オンオフ弁44が設けられている。
具体的には、背圧ノズル42の直前の背圧ノズル供給流路14から止り穴通路45が分岐され、その通路の端部に抜出オンオフ弁43が設けられている。この止り穴通路45は、止り穴通路45の直径の6倍以内の分岐長さである。また、背圧ノズル42の直後の背圧ノズル後続流路15から止り穴通路46が分岐され、その通路の端部に背圧ユニット用副供給手段の副供給オンオフ弁44が設けられている。この止り穴通路46も止り穴通路45の直径の6倍以内の分岐長さである。これにより、定置洗浄及び定置滅菌であっても、滅菌、洗浄を行う医薬装置回路における液だまりを規制する止り穴の規定である所謂「6D法則(即ち、止り穴長さは配管直径の6倍以内)」を満たすことができる利点があり、医薬であっても同様に微粒化を行うことができる。
これらの抜出オンオフ弁43及び副供給オンオフ弁44は、MAX100MPaのシールが可能であり、Oリングシールを用いる必要がないため、医薬品対応装置に使用し易く、121℃の蒸気滅菌対応も可能となる。更に、背圧ノズルによるオリフィスの抵抗と衝突用セラミックボールの組み合わせを複数段(3段など)連設させることで、噴射圧から最終出口圧まで徐々に減圧し、気泡の発生の抑制と耐摩耗を得ることができる。背圧ユニットを2段、3段と複数組み合わせる場合は、背圧ユニットの下流に、同様の抜出オンオフ弁43及び副供給オンオフ弁44を備えた別の背圧ユニットを追加すればよい。
尚、背圧ユニット40の副供給オンオフ弁44が設けられる止り穴通路46については、背圧ノズル直後に設けられればよいが、好ましくは、図6に示す背圧ユニット60では、背圧硬質体67が支承されている衝突室61に流通されてもよい。即ち、背圧ノズル62の直前には蒸気又は洗浄液の一部を背圧ノズル供給流路14外へ排出する抜出オンオフ弁63が設けられ、背圧硬質体67が支承されている衝突室61に蒸気又は洗浄液を補うように追加して背圧ノズル後続流路15内に供給する副供給オンオフ弁64の供給口が設けられている。
本実施例の微粒化装置10においては、定置洗浄及び定置滅菌を行うことが可能となっている。図7及び図8に示す通り、定置洗浄時には、微粒化チャンバー30の抜出オンオフ弁33及び副供給オンオフ弁34と、背圧ユニット40の抜出オンオフ弁43及び副供給オンオフ弁44とを開放し、副供給オンオフ弁34,44とに洗浄液を供給する供給バルブ16を開放する。加えて、図9に示す通り、増圧機20のプランジャ24を超高圧シール部から外れるまで後退させ、プランジャ24が外れたシリンダサポート25に連通する排出路18へ至るスチームドレンE、Fを通過させる。
洗浄液は、原料供給口11より供給され、増圧機20へ流れる。洗浄液は、増圧機へ流れる途中、供給バルブ16より分岐され、副供給オンオフ弁34,44へ流れる。増圧機20へ流れた洗浄液は、増圧機20の供給口側チェック弁22を通り、プランジャ側へ分岐しつつ流れ、吐出口側チェック弁23から下流に流れる。プランジャ側へ流れた洗浄液は、シリンダサポート25を通過して個々の増圧機20のスチームドレンE又はスチームドレンFを通過しても排出される。この流れにより、増圧機20が洗浄される。
増圧機20を経て微粒化ノズル供給流路13を流れる洗浄液は、微粒化チャンバー30へ入り、一部は止り穴通路35を経て抜出オンオフ弁33を通り、スチームドレンDを通過し、排出路18で排出される。他の一部は微粒化ノズル32を介して、下流側の衝突室31に流れる。供給バルブ16より分岐され、副供給オンオフ弁34へ流れた洗浄液は止り穴通路36を経て、微粒化ノズル下流で下流側の衝突室31を通った洗浄液と合流して背圧ノズル供給流路14を経て下流側の背圧ユニット40ヘ流れる。
背圧ユニット40では洗浄液の一部が止り穴通路45を経て抜出オンオフ弁43を通り、スチームドレンCを通過し、排出路18で排出される。他の一部は背圧ノズル42を介して、下流側の衝突室41に流れる。供給バルブ16より分岐され、副供給オンオフ弁44へ流れた洗浄液は止り穴通路46を経て、微粒化ノズル下流で下流側の衝突室41を通った洗浄液と合流して背圧ユニット後続流路15を流れ、熱交換器50を通過して排出される。これらの洗浄液によって本実施例の微粒化装置10は良好に洗浄される。
図10に示す通り、定置滅菌時には定置洗浄と同じように、微粒化チャンバー30の抜出オンオフ弁33及び副供給オンオフ弁34と、背圧ユニット40の抜出オンオフ弁43及び副供給オンオフ弁44とを開放し、副供給オンオフ弁34,44とに蒸気を供給する供給バルブ16を開放する。加えて、図11に示す通り、増圧機20のプランジャ24を超高圧シール部から外れるまで後退させる。
蒸気は、原料供給口11より供給され、増圧機20へ流れる。蒸気は、増圧機20へ流れる途中、供給バルブ16より分岐され、副供給オンオフ弁34,44へ流れる。増圧機20へ流れた蒸気は、増圧機20の供給口側チェック弁22を通り、プランジャ側へ分岐しつつ流れ、吐出口側チェック弁23から下流に流れる。プランジャ側へ流れた蒸気は、シリンダサポートに到達する。シリンダサポートの下流には、高温(121℃以上)のスチームのみを通さず、低温の空気や低温の蒸気および蒸気が冷えることにより発生した凝縮水を通すスチームドレンE,Fが設置されていおり、低温の空気や低温の蒸気および蒸気が冷えることにより発生した凝縮水は、スチームドレンE,Fを通過し、排出路18から排出される。
増圧機20を経て微粒化ノズル供給流路13を流れる蒸気は、微粒化チャンバー30へ入り、一部は止り穴通路35を経て抜出オンオフ弁33を通り、スチームドレンDを通過し、排出路18で排出される。他の一部は微粒化ノズル32を介して、下流側の衝突室31に流れる。供給バルブ16より分岐され、副供給オンオフ弁34へ流れた蒸気は止り穴通路36を経て、微粒化ノズル下流で下流側の衝突室31を通った蒸気と合流して背圧ノズル供給流路14を経て下流側の背圧ユニット40ヘ流れる。
背圧ユニット40では蒸気の一部が止り穴通路45を経て抜出オンオフ弁43を通り、スチームドレンCを通過し、排出路18で排出される。他の一部は背圧ノズル42を介して、下流側の衝突室41に流れる。供給バルブ16より分岐され、副供給オンオフ弁44へ流れた蒸気は止り穴通路46を経て、微粒化ノズル下流で下流側の衝突室41を通った蒸気と合流して背圧ユニット後続流路15を流れ、熱交換器50を通過して排出される。これらの蒸気の流れによって本実施例の微粒化装置10は良好に滅菌される。