JP6494038B2 - 隣接建物保護構造および隣接建物保護方法 - Google Patents

隣接建物保護構造および隣接建物保護方法 Download PDF

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本発明は、隣接する建物の保護構造および保護方法に関する。より詳しくは、地盤の液状化等が起こった場合に隣接する建物それぞれが不同沈下することで生じる被害を回避または抑制することが可能な保護構造および保護方法に関する。
地震等の発生により地盤が液状化し、これによって建物が不同沈下することが知られる。特に近年の大震災の経験から、隣接する建物がそれぞれに不同沈下し、互いが近接して衝突し建物の破壊が生じうる危険性が重視されている。もちろん隣接する建物がそれぞれ不同沈下し、互いが離間する方向に傾斜する場合についても危険であることは言うまでもない。
隣接する建物がそれぞれ不同沈下した場合について、図8に示す模式図を用いて説明する。図8(a)は、地盤に建造された建物100および建物110が正常な姿勢で立設されていることを示す。
図8(b)は、建物100と建物110とが不同沈下し、建物の上部構造が互に近づく方向に傾斜(以下、近接傾斜ともいう)した状態を示す。近接傾斜の場合、建物100および建物110の上部構造それぞれが互いに近接する方向d1に回転移動するため、地下構造の下端は互いに離間する傾向にある。このように近接傾斜すると、建物100と建物110とが互いに衝突し、崩壊する虞がある。図8(c)は、建物100と建物110とが不同沈下し、建物の上部構造が互に離間する方向d2に傾斜(以下、離間傾斜ともいう)した状態を示す。離間傾斜の場合、建物100および建物110の上部構造それぞれが互いに離間する方向に回転移動するため、地下構造の下端は互いに近接する傾向にある。離間傾斜すると、建物100と建物110とは、それぞれ衝突しないももの、建物支持力が弱まるため、傾斜した状態のまま居住等を持続することは危険である。
建造物の不同沈下を減少させるための技術としては、例えば、特許文献1および特許文献2が提案されている。
具体的には、特許文献1には、緩い砂質地盤上に浮き基礎工法による建物を建築する場合において、この建物の端部と敷地境界との間に一端を建物に緊結した鉄筋コンクリート製の床スラブを設けてなる噴砂防止構造が提案されている。かかる構造によれば、鉄筋コンクリート製の床スラブが、噴砂を防ぐための強度、剛性を有する場合には、敷地内の噴砂現象を防止できるとされている。
また特許文献2には、対象地盤の支持層に支持された杭と、その杭の外周面に沿って、対象地盤の地下水位よりも深い位置にわたって形成された、砕石または砂からなるドレーン部と、を有する地盤改良構造が提案されている。かかる地盤改良構造によれば、杭により構造物が支持されるとともに、ドレーン部により排水距離が短くなることで圧密沈下が促進され、かつドレーン部により過剰間隙水圧が消散されることから不同沈下を防ぐことができるとされている。
特開平09−003923号公報 特開2012−188830号公報
しかしながら特許文献1および特許文献2において提案される技術は、いずれも独立した一つの建物についての不同沈下対策であって、上述する近接傾斜または離間傾斜の問題を回避するものではない。
また特許文献1に記載の噴砂防止構造は、地盤の形状化が広範囲に起こった場合には、鉄筋コンクリート製の床スラブと建物とが一体的に不同沈下する虞がある。
特許文献2に記載の地盤改良構造は、杭基礎を前提とする技術であるため、杭基礎を採用しない建物には利用できず、汎用性に欠ける。
以上のとおり特許文献1および特許文献2に提案される技術は、それぞれに建物の不同沈下防止対策として課題を有する。そのため隣接する2つの建物のいずれにも特許文献1または特許文献2の技術を採用したとしても、上述する近接傾斜または離間傾斜の問題を良好に防止するものではなかった。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、隣接する建物の少なくともいずれか一方が不同沈下し、近接傾斜して衝突し建物が破壊されること、または離間傾斜して建物の支持力が著しく低下することを防止可能な隣接建物保護構造および隣接建物保護方法を提供するものである。
本発明の隣接建物保護構造は、第一の建物に設けられた第一地中構造物と、前記第一の建物に隣接する第二の建物に設けられた第二地中構造物と、前記第一地中構造物および前記第二地中構造物を亘って配置された緩衝部材と、を備え、 前記第一の建物および前記第二の建物が一戸建て建物であり、前記第一地中構造物が、前記第一の建物の基礎であり、かつ前記第二地中構造物が、前記第二の建物の基礎であることを特徴とする。
また本発明の隣接建物保護方法は、第一の建物に設けられた第一地中構造物および前記第一の建物に隣接する第二の建物に設けられた第二地中構造物に亘り緩衝部材を配置する緩衝部材配置工程を有し、 前記第一の建物および前記第二の建物が一戸建て建物であり、前記第一地中構造物が、前記第一の建物の基礎であり、かつ 前記第二地中構造物が、前記第二の建物の基礎であり、前記第一の建物と前記第二の建物とが互いに近接する方向または互いに離間する方向に作用する建物荷重を前記緩衝部材によって緩和させることを特徴とする。
本発明の接建物保護構造および隣接建物保護方法によれば、隣接する建物の少なくともいずれか一方が不同沈下し、近接傾斜して衝突し建物が破壊されること、または離間傾斜して建物の支持力が著しく低下することを防止可能である。本発明の構成と、当該構成から生じる作用効果によって上記課題が解決されることについての詳細は、以下において具体的に述べる。
本発明の第一実施形態にかかる隣接建物保護構造の一例を示す断面模式図である。 (a)は図1に示す隣接建物保護構造の部分拡大断面図であり、(b)は(a)のII−II断面図である。 (a)から(c)は第一実施形態にかかる隣接建物保護構造の作用を説明する説明図であり、(a)は隣接する建物が正常な姿勢で立設されている状態を示す説明図であり、(b)は隣接する建物の近接傾斜が防止された状態を示す説明図であり、(c)は隣接する建物の離間傾斜が防止された状態を示す説明図である。 本発明の第二実施形態にかかる隣接建物保護構造の一例を示す断面模式図である。 (a)は図4に示す隣接建物保護構造の部分拡大断面図であり、(b)は(a)のV−V断面図である。 (a)から(c)は第二実施形態にかかる隣接建物保護構造の作用を説明する説明図であり、(a)は隣接建物保護構造に内向きの力がかかった状態を示す説明図であり、(b)は隣接建物保護構造に外向きの力がかかった状態を示す説明図であり、(c)は隣接建物保護構造が一方方向に傾斜した状態を示す説明図である。 (a)は本発明の第三実施形態にかかる隣接建物保護構造の一例を示す断面模式図であり、(b)は(a)に示す隣接建物保護構造における部分拡大断面図である。 (a)から(c)は従来の課題を説明するための説明図であり、(a)は隣接する建物が正常な姿勢で立設されている状態を示す説明図であり、(b)は隣接する建物が互いに近接傾斜した状態を説明する説明図であり、(c)は隣接する建物が互いに離間傾斜した状態を説明する説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、1つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。図示する本発明の実施態様は、理解容易のために、特定の部材を全体において比較的大きく図示する場合、または小さく図示する場合などがあるが、いずれも本発明の各構成の寸法比率を何ら限定するものではない。
本発明または本明細書の記載に関し、特段の断りなく上下という場合には、任意の地点から天方向を上方向とし、上記天方向に対し相対的に下向きの方向を下方という。一方、前後左右方向は、本発明の構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものであり、本発明の実施に用いる部材(構成)の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
本発明または本明細書の記載に関し、近接傾斜とは、第一の建物と第二の建物の上部構造が互に近づく方向に傾斜することをいい、離間傾斜とは、上部構造が互に離間する方向に傾斜することをいう。ここで上部構造とは、建物の一部であって地上に露出した部分を指す。上記近接傾斜は、隣接する建物のいずれか一方の建物だけが不同沈下し、他方の建物に近接する方向に傾斜することも含む。また上記離間傾斜は、隣接する建物のいずれか一方の建物だけが不同沈下し、他方の建物側と離間する方向に傾斜することも含む。
また本明細書において液状化とは、地震振動により地盤にせん断力がかかり、地盤中に保持されていた間隙水の圧力が増加して地盤を構成する土砂粒子同士のせん断応力が減少し、土砂粒子が液体状になる現象をいう。液状化が生じた場合、地盤は急激に耐力を失い、当該地盤上に建造された建造物の不同沈下が生じる虞がある。本明細書では地盤に建造された建物の傾斜を引き起こす要因として、主として地盤の液状化を例に説明するが、これは本発明の作用効果を限定するものではない。
<第一実施形態>
以下に、本発明の隣接建物保護構造の第一実施形態について図1から図3を用いて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態にかかる隣接建物保護構造10の一例を示す断面模式図である。図2(a)は、図1に示す隣接建物保護構造10の部分拡大断面図であり、図2(b)は、図2(a)のII−II断面図である。図3(a)から図3(c)は隣接建物保護構造10の作用を説明する説明図である。図3(a)は隣接する建物(第一の建物100、第二の建物110)が正常な姿勢で立設されている状態を示す説明図である。図3(b)は隣接する建物(第一の建物100、第二の建物110)の近接傾斜が防止された状態を示す説明図である。図3(c)は隣接する建物(第一の建物100、第二の建物110)の離間傾斜が防止された状態を示す説明図である。
はじめに、本実施形態の隣接建物保護構造10の概要について説明する。
図1に示す通り、隣接建物保護構造10は、第一の建物100に設けられた第一地中構造物12と、第一の建物100に隣接する第二の建物110に設けられた第二地中構造物14と、第一地中構造物12および第二地中構造物14を亘って配置された緩衝部材16と、を備える。
かかる構成を有する隣接建物保護構造10によれば、第一の建物100および第二の建物110の少なくともいずれか一方が近接傾斜または離間傾斜しようとするとき、その建物の建物荷重の一部が緩衝部材16に作用する。緩衝部材16は、当該建物荷重を吸収して緩和するため、第一の建物100および第二の建物110の近接傾斜または離間傾斜が良好に防止される。
また傾斜等していない正常な状態において、建物の荷重は、地盤に対し鉛直方向にのみ荷重分散するのではなく、その周囲にも広がる。したがって、第一の建物100と第二の建物110との間における地盤(以下、境界地盤ともいう)では、両方の建物の荷重分散により地中応力が重なる。そのため、境界地盤は、液状化が生じて地盤のせん断強度が低下した場合に周囲の地盤に比べて圧密沈下しやすく、結果として、近接傾斜が生じやすい。これに対し、緩衝部材16(特には発泡樹脂体などの土砂より軽量な緩衝部材16)が、第一地中構造物12および第二地中構造物14を亘って配置されることで、境界地盤の一部が緩衝部材16で置き換えられ境界地盤の軽量化がなされる。この結果、境界地盤における地中応力の重なりによる圧密沈下を抑制することができ、ひいては近接傾斜を抑制することができる。
隣接建物保護構造10の作用効果を、図3を用いてより具体的に説明する。図3(a)に示すとおり、第一の建物100および第二の建物110は、地盤に隣接して建造されている。第一の建物100は第一地中構造物12を有し、第二の建物110は第二地中構造物14を有する独立した建物である。
大地震などが起こって地盤の液状化が発生した場合に、地盤のせん断強度が低下し、図3(b)に示すとおり、第一の建物100の上部構造と、第二の建物110の上部構造とが仮想線102、112のように近接する方向d1に傾斜しようとする場合がある。かかる場合に、傾斜する建物の建物荷重が、緩衝部材16の上方における圧力吸収領域162(図3(b)において黒塗りの領域)に作用する。緩衝部材16は、圧力領吸収領域162において、当該建物荷重を緩和(吸収)して、第一の建物100と第二の建物110の傾斜を抑制し、これによって隣接する建物の近接傾斜が防止され、互いの衝突が回避される。
また大地震などが起こって地盤の液状化が発生した場合の異なるケースとして、図3(c)に示すとおり、第一の建物100の上部構造と、第二の建物110の上部構造とが、仮想線104、114のように離間する方向d2に傾斜しようとする場合がある。かかる場合に、傾斜する建物の建物荷重が、緩衝部材16の下方における圧力吸収領域162(図3(c)において黒塗りの領域)に作用する。緩衝部材16は、圧力領吸収領域162において、当該建物荷重を緩和(吸収)して、第一の建物100と第二の建物110の傾斜を抑制し、これによって隣接する建物の離間傾斜が防止され、建物の支持力の顕著な低下が回避される。
尚、圧力吸収領域162は、緩衝部材16の特定の固定された領域ではなく、傾斜する第一の建物100または第二の建物110の建物荷重が、第一地中構造物12または第二地中構造物14を介し作用する領域である。圧力吸収領域162に作用した建物荷重は、緩衝部材16によって緩和(吸収)される。
次に、本実施形態の隣接建物保護構造10の構成およびこれに関連する構成について詳細に説明する。
隣接建物保護構造10は、第一地中構造物12および第二地中構造物14を有する。隣接建物保護構造10は、地中に配置された第一地中構造物12および第二地中構造物14を緩衝部材16で直接または間接に連続させる。隣接建物保護構造10は、屋外ではなく地盤中において実施されることによって、建造物の外観を害することがなく、また万が一に破損等した場合にあっても、これよる人的被害などを回避することができる。
第一地中構造物12は、第一の建物100の一部をなす。また第二地中構造物14は第二の建物110の一部をなす。第一の建物100および第二の建物110は、それぞれ土地に定着した独立の建造物である。独立した建造物とは、それぞれに独立した基礎を有することを意味する。図1では、第一の建物100および第二の建物110は、それぞれ独立した二階建ての一戸建てを図示したが、本発明における第一の建物100および第二の建物110の種類は一戸建に限定されず、ビル、マンション、居住目的以外の建造物等を広く包含する。また第一の建物100および第二の建物110は、同種の建造物であってもよいし、異なる種類の建造物であってもよい。
本発明において地中構造物とは、建物の一部であって地盤中に位置する構造物を意味する。地中構造物の例としては、たとえば、建物の基礎、または地下室もしくは地下ピットなどの地下空間構造のいずれか、またはこれらの組み合わせを挙げることができるがこれに限定されない。
上記建物の基礎とは、建造物の荷重を支持するとともに当該荷重を地盤に伝達する構造物を意味し、たとえばべた基礎、布基礎、杭基礎などを挙げることができるが、これに限定されない。
上記地下空間構造とは、地盤面(GL)より下方に位置する空間を構成する構造物である。その一例である地下室とは、部屋として機能を有するものを意味する。また地下ピットとは、部屋として機能を有しないものを意味し、たとえば電気の配線、排水管、ガス管、給水管などの設置スペースなどが例示される。ただし、本発明において上記地下ピットは、用途の定まらない空間を構成するものも広く包含する。
たとえば本実施形態は、図1、図2(a)に示すとおり、第一地中構造物12が、第一の建物100の基礎であり、かつ第二地中構造物14が、第二の建物110の基礎である。
建物の基礎は、当該建物の荷重を支持する機能を有する。そのため、隣接する第一の建物100および第二の建物110それぞれの基礎間に緩衝部材16が配置されることで、第一の建物100および第二の建物110の基礎支持力の変化を緩衝部材16に伝達させ易く、当該基礎支持力の変化を緩衝部材16によって緩和させ易い。これにより、地盤の液状化が発生した場合であっても、良好に第一の建物100および第二の建物110の近接傾斜または離間傾斜を防止することができる。
図示省略するが、本実施形態の変形例として、第一地中構造物12または第二地中構造物14のいずれか一方だけが建物の基礎であって、他方は地下空間構造などであってもよい。
より具体的には、図1、図2(a)に示すとおり本実施形態において、第一地中構造物12は布基礎22であり、第二地中構造物14はべた基礎24である。図示省略するが、本実施形態は、変形例として、第一地中構造物12および第二地中構造物14が同種の基礎である態様、第一地中構造物12が基礎であって第二地中構造物14が地下空間構造である態様を包含する。
次に、緩衝部材16について説明する。緩衝部材16は、第一地中構造物12および第二地中構造物14を亘って配置され、第一の建物100および第二の建物110の少なくともいずれか一方が近接傾斜または離間傾斜する際に緩衝部材16に作用する建物荷重を緩和する部材である。ここで緩和とは、第一地下構造物12および第二地中構造物14の少なくともいずれかから伝達された建物荷重を緩衝部材16で受け止めて吸収することを意味する。
図1及び図2(a)に示すとおり、緩衝部材16は、第一地中構造物12および第二地中構造物14を亘って配置されている。換言すると、第一地中構造物12および第二地中構造物14から伝達される建物荷重が速やかに緩衝部材16に伝達される程度に、第一地中構造物12および第二地中構造物14と、緩衝部材16とが連係している。緩衝部材16は、第一地中構造物12および第二地中構造物14に対し、実質的に当接していてもよいし、第一地中構造物12および第二地中構造物14がわずかに傾斜または移動することで当接する程度に、離れていてもよい。ここで当接とは、一方と他方とが目視において接しているといえる状態を意味する。
緩衝部材16は、上述する緩和の作用を発揮する範囲において、適宜の材料および構成を採用しうる。たとえば、緩衝部材16は、発泡樹脂体またはゴムなどの弾性変形に優れる材料(以下、弾性材料ともいう)を備えるとよい。緩衝部材16に含まれる弾性材料が、近接傾斜または離間傾斜しようとする建物の傾斜方向に作用する建物荷重を吸収して緩和することで、第一の建物100および第二の建物110の近接傾斜または離間傾斜を効果的に防止することができるからである。
たとえば緩衝部材16は、発泡樹脂体であることが好ましい。発泡樹脂体は軽量かつ加工性が良好であって取り扱いに優れる上、地盤中に埋設した状態で経年劣化がし難い。
またゴムは、弾性変形に優れるため、大きい建物荷重が第一地中構造物12または第二地中構造物14から伝達された場合には、当該建物荷重を吸収し、ついで反発力により、相当の力で第一地中構造物12または第二地中構造物14を押し戻す可能性がある。これに対し、発泡樹脂体は、一般的にゴムより弾性変形し難く反発力が弱い。そのため、発泡樹脂体は、大きな建物荷重を受けたときにゴムに比べて押し戻しの作用が小さく、ゴムに比べて不用意に第一地中構造物12または第二地中構造物14を一方方向に押し戻すことがない。
緩衝部材16は、その一部に発泡樹脂体やゴムなどの弾性材料を含んでいてもよいが、たとえば緩衝部材16の全体が、実質的に弾性材料から構成されてもよい。たとえば、図1および図2に示す緩衝部材16は、任意のブロック形状の発泡樹脂体を用いて構成することができる。本実施形態の以下の説明では、ブロック形状の発泡樹脂体を用いて緩衝部材16が構成された例について説明する。
発泡樹脂体である緩衝部材16は、図2(a)に示すとおり、一の側面が第一地中構造物12に当接し、他の側面が第二地中構造物14に当接した状態で配置されている。図示省略するが、発泡樹脂体である緩衝部材16の一側面と第一地中構造物12との間に任意の部材が配置され、また他の側面と第二地中構造物14との間に任意の部材が配置され、間接的に発泡樹脂体が第一地中構造物12または第二地中構造物14と接していてもよい。任意の部材を介して、第一地中構造物12または第二地中構造物14から発泡樹脂体に対し、傾斜しようとする建物の建物荷重を伝達させることができるからである。上記任意の部材は特に限定されないが、たとえば砂、グラウト材、コンクリートなどであってもよいし、発泡樹脂体を配置するために掘り起こした土砂の一部を埋め戻したものでもよい。
緩衝部材16であるブロック形状の発泡樹脂体は、所定の形状に一体形成されていてもよいし、複数のブロック形状の発泡樹脂体が所定の位置に配置されることで緩衝部材16を構成してもよい。
本実施形態において、緩衝部材16の上下方向の厚みは、第一地中構造物12の上下方向の厚みおよび第二地中構造物12の上下方向の厚みのいずれか小さい方の厚みの25%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
より具体的には、図2(a)に示すとおり、本実施形態では、第一地中構造物12である布基礎22の上下方向の厚みt1または第二地中構造物14であるべた基礎24の上下方向の厚みt2のいずれか小さい方の厚みに対し、緩衝部材16(発泡樹脂体)の上下方向の厚みt3が50%以上となるよう構成されている。尚、以下の説明において特段の断りなく厚みという場合には、上下方向の厚みを意味する。厚みt1は、布基礎22を構成する部材であって、地盤中に埋設された部分における上下方向の厚みである。また厚みt2は、べた基礎24を構成する部材であって、地盤中に埋設された部分における上下方向の厚みである。本実施形態において、厚みt1は布基礎22の底面からGLまでの距離に相当し、厚みt2はべた基礎24の底面からGLまでの距離に相当する。
ここで第一地中構造物12(布基礎22)の厚みt1が均一でない場合には、厚みt1の最大値に対し、緩衝部材16の厚みt3が50%以上となるよう構成すればよい。第二地中構造物14(べた基礎24)の厚みt2についても同様である。
本実施形態では、厚みt1または厚みt2のいずれか小さい方と、厚みt3とが略同等の大きさに設計されている。一例として、図2(a)に示すとおり厚みt1、厚みt2、および厚みt3が略等しい大きさであってもよい。
このように厚みt1、t2に対し、厚みt3が25%以上に設計されることで、第一地中構造物12および第二地中構造物14と緩衝部材16とが直接または間接に接する面積が充分に確保される。そのため、第一地中構造物12および第二地中構造物14から緩衝部材16へ伝搬された建物荷重が緩衝部材16において分散されるとともに良好に吸収される。
本実施形態では、発泡樹脂体である緩衝部材16の底面は、布基礎22の底面またはべた基礎24の底面と略面一となるよう構成されている。また当該発泡樹脂体の上面はGLと略同様の高さに位置している。発泡樹脂体の上面には、発泡樹脂体が地盤から露出して外気に晒されることを防止するための保護層112が設けられている。保護層112は、例えばコンクリートなどで形成することができるが、これに限定されない。
図2(a)および図2(b)に示すとおり、本実施形態の隣接建物保護構造10は、さらに延在部120を有している。即ち、本実施形態にかかる緩衝部材16は発泡樹脂体を含み、当該発泡樹脂体が、第一の建物100の基礎(布基礎22、第一地中構造物12)または第二の建物110の基礎(べた基礎24、第二地中構造物14)のいずれかまたは両方の底面よりさらに下方まで延在する延在部120を有している。換言すると、本実施形態の隣接建物保護構造10は、緩衝部材16を構成する発泡樹脂体と、延在部120を構成する発泡樹脂体と、を備える。緩衝部材16を構成する発泡樹脂体、および延在部120を構成する発泡樹脂体は、一体形成されてもよいし、図2(a)(b)に示すとおり異なるブロックであってもよい。異なるブロックである場合には、緩衝部材16を構成する発泡樹脂体と延在部120を構成する発泡樹脂体とは、接着層114で接着されて互いが固定されているとよい。接着層114はたとえば、コンクリート層などで構成することができる。先に配置された延在部120の上面にコンクリートを塗り、当該コンクリートが乾く前に緩衝部材16を構成する発泡樹脂体のブロックを積層することで、コンクリート(接着層114)を介して、延在部120と緩衝部材16とが固定される。
隣接建物保護構造10は、延在部120を備えることによって、地盤中において伝達される振動を延在部120に吸収させることができ、第一の建物100および第二の建物110に対する地盤振動の伝達を低減させることが可能である。延在部120を設けることによって、隣接する第一の建物100および第二の建物110の耐震性を向上させることが可能である。
尚、図示省略するが、延在部120の横側面(上下方向に延びる側面)に沿って、周辺の地盤の排水を促すための排水板を配置してもよい。
排水板は、地盤に対向する側の側面において、内部方向に水分が侵入可能な有底の穴である入水穴、厚み方向に貫通する貫通孔、または上下方向に連通し側面表面に形成された溝状の排水路などを備える部材である。たとえば所定厚みの発泡樹脂板の一方側の表面に、入水穴、貫通孔および排水路の少なくともいずれかを形成することで、上記排水板とすることができる。排水板を備えることによって、延在部120の周囲の水分が、入水穴や貫通孔に一時的に貯留され、あるいは排水路によって下方へ排水が促される。そのため、液状化が生じた場合に、隣接建物保護構造10の周辺の水分量を速やかに減少させることができ、第一の建物100および第二の建物110の近接傾斜または離間傾斜を抑制する。排水板は、入水穴、貫通孔、または排水路の設けられた側面を、土砂粒の通過が規制される程度のメッシュである透水性シートで被覆されることが好ましい。透水性シートにより、入水穴、貫通孔、または排水路に土砂が入り込むことで排水板の排水機能が損なわれることを防止することができる。透水性シートとしては、たとえば適当なメッシュの不織布などを挙げることができる。排水板全体を透水性シートで覆ってもよい。
<第二実施形態>
以下に、本発明の隣接建物保護構造の第二実施形態について図4から図6を用いて説明する。
図4は、本発明の第二実施形態にかかる隣接建物保護構造50の一例を示す断面模式図である。図5(a)は図4に示す隣接建物保護構造50の部分断面図であり、図5(b)は図5(a)のV−V断面図である。図6(a)は隣接建物保護構造50に内向きの力がかかった状態を示す説明図であり、図6(b)は隣接建物保護構造50に外向きの力がかかった状態を示す説明図であり、図6(c)は隣接建物保護構造50が一方方向に傾斜した状態を示す説明図である。ここで内向きの力とは、隣接建物保護構造50が内部方向に圧縮される力を意味し、外向きの力とは、剛性連結部材30が延在方向に引っ張られる力を意味する。
隣接建物保護構造50は、剛性連結部材30を有している点が、第一実施形態にかかる隣接建物保護構造10とは異なっている。隣接建物保護構造50に関し、第一実施形態と同様の構成については第一実施形態における説明を参照することができるため、ここでは詳細の説明を適宜割愛する。尚、隣接建物保護構造50は延在部120を有していない点でも第一実施形態とは異なっているが、延在部120の有無は任意であり、適宜、第二実施形態に延在部120を設けることができる。
図4から図6に示すとおり、本実施形態にかかる隣接建物保護構造50は、一端が第一地中構造物12に固定され、他端が第二地中構造物14に固定された剛性連結部材30を備えている。剛性連結部材30は、緩衝部材16に沿って、または緩衝部材16を貫通して配置される。即ち、隣接建物保護構造50は、剛性連結部材30により第一地中構造物12と第二地中構造物14とが物理的に連結されるとともに、第一地中構造物12と第二地中構造物14との間に緩衝部材16が配置された構成を備える。かかる構成により、第一地中構造物12および第二地中構造物14は、連係されて一体化されている。尚、第二実施形態は第一実施形態と同様に、第一地中構造物12が第一の建物100の基礎(布基礎22)であり、第二地中構造物14が第二の建物110の基礎(べた基礎24)である。
ここで、剛性連結部材30が、緩衝部材16に沿って配置されるとは、剛性連結部材30が、緩衝部材16の外面に接した状態で配置される場合と、第一地中構造物12および第二地中構造物14を亘る緩衝部材16の延在方向と同方向であって、緩衝部材16から離れた位置に配置される場合のいずれも含む。
隣接建物保護構造50の作用効果を、図6を用いて説明する。
図6(a)は、地盤の液状化が生じ、第一の建物100の上部構造と第二の建物110の上部構造とが近接する方向d1に傾斜しうる状態を示している。かかる状態において、従来であれば、図8(b)に示すように近接傾斜が生じうる。ところが、隣接建物保護構造50では、緩衝部材16に作用した建物荷重が緩和される(図3(b)参照)とともに、剛性連結部材30が第一地中構造物12と第二地中構造物14とが離れることに対し物理的な抗力f1を発揮しうる。即ち、剛性連結部材30は、両端が第一地中構造物12および第二地中構造物14に固定されているため、第一地中構造物12および第二地中構造物14を離間させようとする作用に対し反作用を発揮しうる。そのため、近接傾斜が防止される。
図6(b)は、地盤の液状化が生じ、第一の建物100と第二の建物110とが離間する方向d2に傾斜しうる状態を示している。かかる状態において、従来であれば、図8(c)に示すように離間傾斜が生じうる。ところが、隣接建物保護構造50では、緩衝部材16に作用した建物荷重が緩和される(図3(c)参照)。これとともに、剛性連結部材30が第一地中構造物12と第二地中構造物14とが近づくことに対し、物理的な抗力f2を発揮しうる。即ち、剛性連結部材30が第一地中構造物12および第二地中構造物14の間隔を所定距離に維持するための物理的なスペーサになりうる。そのため、良好に離間傾斜が防止される。
図6(c)は、地盤の液状化が生じて地盤せん断強度が著しく低下し、隣接建物保護構造50が一方方向に傾斜した状態を示している。隣接する第一の建物100および第二の建物110はそれぞれ基礎が独立しているため、地盤支持力の顕著な低下が生じた場合には、従来であれば互いの建物はそれぞれ異なる方向に傾斜していた。ところが、隣接建物保護構造50の実施により、第一地中構造物12および第二地中構造物14が一体化されているため、互いに連動し同方向に不同沈下するとともに、地下構造の実質的な面積拡大による安定化から不同沈下の程度(建物の傾斜角度)を減少させることができる。
また図示省略するが、地盤のせん断強度が低下して地盤支持力が弱くなることで、隣接する第一の建物100または第二の建物110のいずれかが、略鉛直下方に沈下する場合もある。そのような場合に、第一地中構造物12および第二地中構造物14が剛性連結部材30によって連結されて一体化されている本実施形態によれば、略鉛直下方へ沈下しようとする一方の建物を、他方の建物の支持力によって支えることができる。
次に、本実施形態の隣接建物保護構造50の構成について詳細に説明する。
剛性連結部材30は、第一地中構造物12および第二地中構造物14を連結する部材であって、望ましい剛性を示す部材から構成される。剛性連結部材30の例としては、たとえば、第一地中構造物12および第二地中構造物14を亘る長さを有し、金属、鋼、鉄筋コンクリート、高強度繊維、または高強度繊維含有材料などの、一般的に剛性の高いと理解される材料から構成される部材を挙げることができる。
図4から図6に示すとおり、本実施形態における剛性連結部材30は、具体的には長尺の部材であり、長手方向の一端(紙面左側端部)が第一地中構造物12に固定され、長手方向の他端(紙面右側端部)が第二地中構造物14に固定されている。
ここで長尺部材とは、一方方向に長い部材を意味する。厳密に縦横比を特定するものではないが、上記長尺部材としては、棒状体、紐状体、一方方向に長いプレートなどが例示される。長尺部材は、第一地中構造物12および第二地中構造物14との間において強度を略均一にするという観点からは、横断面は略均一であることが好ましい。長尺の剛性連結部材30の具体的な例としては、たとえば、鉄または鋼などを用いて構成された棒状体またはワイヤロープなどを挙げることができる。
上記ワイヤロープは、剛性の高い材料からなる繊維、紐、または針金などを縒り合せてなる長尺体であり、所謂、鋼索および鉄索を含む。ワイヤロープは、引張強度に優れ、特に上述する近接する方向d1に力が働いた際(図6(a)参照)、抗力f1を発揮しやすい。加えて、ワイヤロープは、上述のとおり繊維等が撚り合わさった構造であることから、長尺方向に引っ張られたときに、ある程度の伸びが発揮されるため、引っ張り方向の力の一部を吸収できる点でも優れている。引っ張り方向の力の一部をワイヤロープが吸収することで、ワイヤロープと、第一地中構造物12または第二地中構造物14との固定箇所における応力集中を緩和し、当該固定箇所の破損を良好に防止することができる。一方、ワイヤロープは、上述する離間する方向d2に力が働いた際(図6(b)参照)、撓みやすく、同様の材料からなる棒状体などと比べると抗力f2を発揮しにくい。しかしながら第一実施形態において図3(b)を用いて説明するとおり、緩衝部材16に建物荷重が作用した場合に、当該建物荷重を緩和する作用を発揮する。そのため剛性連結部材30としてワイヤロープを用いた場合であっても、隣接建物保護構造50は充分に所期の課題を達成することができる。また撓んだワイヤロープは、第一の建物100および第二の建物110の起立姿勢が正常に戻ることによって、初期の状態に戻りやすく、隣接建物保護構造50の寿命を長くすることに貢献する。
上記棒状体は、上述する離間する方向d2に力が働いた際(図6(b)参照)、抗力f2を発揮しやすい。また棒状体は、強い内向きの力に対して、曲げ変形に対する靱性の不足が心配されるが、隣接建物保護構造50における剛性連結部材30は、緩衝部材16に沿って、または緩衝部材16に貫通して配置されている。そのため、棒状体である剛性連結部材30の曲げ変形を促す力の一部が、緩衝部材16によって緩和されるため、曲げ変形が抑制される。たとえば、緩衝部材16が発泡樹脂体である場合には、剛性連結部材30を曲げ変形させうる力の一部は、当該発泡樹脂体によって吸収される。
本実施形態では、剛性連結部材30は、第一地中構造物12および第二地中構造物14の間において略水平方向に延在している。
剛性連結部材30の数は特に限定されず、隣接建物保護構造50において1または2以上であってよい。たとえば、図4および図5に示すとおり剛性連結部材30は複数であってもよい。図5(b)に示すとおり、剛性連結部材30は、水平方向に並列して複数設けられてもよい。また剛性連結部材30は、上下方向に複数設けられてもよい。
ここで剛性連結部材30が上下方向に複数設けられるとは、一の剛性連結部材30の真上または真下に他の剛性連結部材30が設けられる場合だけでなく、側面視において、複数の剛性連結部材30が観察される態様を含む。剛性連結部材30が上下方向に複数設けられることによって、第一地中構造物12および第二地中構造物14の一体化がより充分に図られる。
たとえば本実施形態では、図5(b)に示すとおり、上下方向に第一連結部材30A(30)および第二連結部材30B(30)が配置されている。第一連結部材30A(30)は、布基礎22の立ち上がり部分に配置され、第二連結部材30B(30)は布基礎22のフーチング部分に配置されている。また紙面横方向に複数設けられた布基礎22のブロックには、それぞれ緩衝部材16および剛性連結部材30が設けられている。
剛性連結部材30が第一地中構造物12に固定される方法は特に限定されない。たとえば、図5(a)に示すとおり、第一地中構造物12には、上下方向に交差する方向(たとえば略水平方向)に貫通する貫通孔28が設けられており、貫通孔28に長尺の剛性連結部材30が貫通している。貫通孔28を貫通し、第二地中構造物14とは反対側に露出した剛性連結部材30の端部領域には、固定部40が設けられている。固定部40は、剛性連結部材30を第一地中構造物12に固定する。本実施形態における固定部40は、貫通孔28を貫通した剛性連結部材30の端部領域を支持する鋼板41と留め具42と有し、これらが第一地中構造物12に固定されることで構成されている。鋼板41は、厚み方向に剛性連結部材30を貫通させる貫通穴を有するとともに、貫通孔28の口径より大きい外径を有している。留め具42の外径は、鋼板41の貫通穴の径より大きい。
鋼板41を貫通した端部領域はリング状に折り返されて折り返し部分を留め具42によって止められている。これによって剛性連結部材30の端部領域は、規制部43をなす。規制部43は、貫通孔28の口径より大きい径を有しており、貫通孔28から当該端部領域が第二地中構造物14側に抜けることを規制する。規制部43を第二地中構造物14側に引っ張る力が働いたとき、鋼板41により当該力が分散されて第一地中構造物12に対する応力集中が回避される。尚、上述する端部領域とは、剛性連結部材30の端部または端部からの所定領域を意味する。固定部40は、貫通孔28を貫通した上記端部領域を第一地中構造物12に固定することができる構成であればよい。たとえば、他の例としては、端部領域をコンクリートなどで第一地中構造物12に接合してもよい。剛性連結部材30の端部領域が貫通した貫通孔28は、適宜、残余の空間をコンクリートなどの充填物で充填してふさいでもよい。
一方、剛性連結部材30A(30)の他端は、第二地中構造物14(べた基礎24)に埋め込まれている。埋め込まれた剛性連結部材30の他端が抜けないように、当該他端にも剛性連結部材の横断面径よりも大きい径の規制部43’が設けられている。
剛性連結部材30B(30)の紙面右側の端部領域は、べた基礎24の端部に設けられ所定厚みを有する凸構造部116に対し貫通している。剛性連結部材30B(30)は、紙面右側端部に設けられた規制部43’を備えることにより、凸構造部116からの抜けが規制されている。規制部43’の内側面(即ち、べた基礎24に対向する面)と、べた基礎24の外面とが接合されて固定されることによって固定部40が構成されている。
固定部40の構造は上述に限定されず、たとえば、剛性連結部材30が棒状体である場合には、貫通孔28を貫通する端部領域に雄ねじを切り、これに対応するナット装着するとともに、当該ナットを地中構造物の外面に接合するなどして固定してもよい。
図示省略するが、緩衝部材16にも、貫通孔28に連続する孔を形成し、当該孔に剛性連結部材30を貫通させることができる。あるいは、たとえば緩衝部材16が発泡樹脂体の複数のブロックから構成される場合、一の発泡樹脂体ブロックとこれに上下方向に積層される他の発泡樹脂体との間に剛性連結部材30を挟んでもよい。
<第三実施形態>
以下に、本発明の隣接建物保護構造の第三実施形態について図7を用いて説明する。
図7(a)は本発明の第三実施形態にかかる隣接建物保護構造60の一例を示す断面模式図であり、図7(b)は図7(a)に示す隣接建物保護構造60の部分拡大断面図である。
本実施形態の隣接建物保護構造60は、第一地中構造物12が、下方に第一の建物200の杭基礎230を備える第一地下空間構造(地下ピット26)であり、かつ第二地中構造物14が下方に第二の建物210の杭基礎240を備える第二地下空間構造(地下室27)である。本実施形態において、緩衝部材16は、第一地下空間構造(地下ピット26)と第二地下空間構造(地下室27)とに亘って配置されている。
このように、杭基礎を下方に備える地下空間構造同士を亘り緩衝部材16を配置する隣接建物保護構造60を実施することで、杭基礎が折れて建物支持力が損なわれた場合でも緩衝部材16の作用により第一の建物200と第二の建物210が近接傾斜または離間傾斜することを防止することが可能である。
隣接建物保護構造60は、中層ビルである第一の建物200の第一地中構造物12として、地下ピット26を有し、中層ビルである第二の建物210の第二地中構造物14として、地下室27を有している。地下ピット26および地下室27の下方にはそれぞれ、杭基礎220、240が設けられている。
隣接建物保護構造60では、緩衝部材16および剛性連結部材30は、地下ピット26の壁部および地下室27の壁部に亘って設けられている。地下ピット26の壁部と地下室27の壁部とは対向している。
その他の構成については、適宜、第一実施形態にかかる隣接建物保護構造10および第二実施形態にかかる隣接建物保護構造50と同様の構成を採用することができる。
隣接建物保護構造60における剛性連結部材30は、側面視において上下方向に複数(具体的には、第一連結部材30Aおよび第二連結部材30B)設けられている。図示省略するが、図7(a)の紙面奥行き方向にも複数の剛性連結部材30が設けられてもよい。
第一連結部材30Aおよび第二連結部材30Bは、略平行かつ、水平方向に延在している。本実施形態では、杭基礎220、240に対し剛性連結部材30を固定するのではなく、地下ピット26と地下室27とに剛性連結部材30を固定することによって隣接する建物の地下構造を一体化させている。そのため、大地震などで杭基礎が折れた場合であっても、第一の建物200および第二の建物210の支持力を維持することが可能である。
図7(b)に示すとおり、第一地中構造物12(地下ピット26)は、図7(a)に図示される第二地中構造物14(地下室27)に対向する面を有する対面部140と、対面しない非対面部142を有している。対面部140には、上下方向に交差する方向(たとえば略水平方向)に貫通する貫通孔28が設けられている。貫通孔28は、隣接建物保護構造60における剛性連結部材30の数と同等の数だけ設けられるとよい。
剛性連結部材30は、貫通孔28を貫通するとともに貫通した端部領域が対面部140裏面側に固定されている。これにより、地下ピット26に剛性連結部材30の端部領域が固定される。ここで裏面側とは、対面部140の第二地中構造物14に対向する面とは反対側の面を意味する。固定部40の具体的な態様については、第二実施形態における固定部40の説明を適宜参照することができる。
図示省略するが、地下ピット26の対面部140に対し対面する地下室27の壁にも同様に貫通孔28を設けることができる。地下ピット26に設けられた貫通孔28と、地下室27の壁に設けられた貫通孔の高さ(GLからの距離)は略同等とするとよい。
隣接建物保護構造60における緩衝部材16は、図7(b)に示すとおり、複数の発泡樹脂体のブロックから構成されている。具体的には、第一発泡樹脂体16A(16)、第二発泡樹脂体16B(16)、および第三発泡樹脂体16C(16)が、上下方向に積層されて構成されている。第一発泡樹脂体16Aと第二発泡樹脂体16Bとの界面に第一連結部材30A(30)が配置され、第二発泡樹脂体16Bと第三発泡樹脂体16Cとの界面に第二連結部材30B(30)が配置されている。
<第四実施形態>
次に、第四実施形態として、本発明の隣接建物保護方法の実施形態の一例を説明する。第四実施形態の説明には、適宜図1から図3を参照することができる。実施形態に用いられる用語や発明の構成は、適宜、第一実施形態から第三実施形態までの説明が参照される。
本実施形態にかかる隣接建物保護方法は、第一の建物10に設けられた第一地中構造物12および第一の建物100に隣接する第二の建物110に設けられた第二地中構造物14に亘り緩衝部材16を配置する緩衝部材配置工程を備える。
そして第一の建物100と第二の建物110とが互いに近接する方向または互いに離間する方向に作用する建物荷重を緩衝部材16によって緩和させる。
本実施形態の隣接建物保護方法によれば、液状化が生じた場合に隣接する建物が近接傾斜して互いにぶつかり合い破損し、または離間傾斜して建物の支持力が著しく低下することを、簡単な施工で防止することができる。隣接建物保護方法は、隣接して建造された既存の建物にも適用できる。緩衝部材16を備えることによる保護効果の詳細は、第一実施形態における作用効果の説明を参照することができるため、ここでは説明を割愛する。
緩衝部材配置工程は、隣接する建物のいずれかまたは両方が既存の建物であっても容易に実施することができる。たとえば、既存の第一の建物100と第二の建物110との間における地盤を掘り下げて、緩衝部材16を埋設する空間を確保する。そして、第一地中構造物12と第二地中構造物14とに直接または間接に接するように、緩衝部材16としてたとえばブロック状の発泡樹脂体等を配置する。ここで直接に緩衝部材16が第一地中構造物12に接するとは、第一地中構造物12の第二地中構造物14に対向する外面の一部と、緩衝部材16とが当接することを意味する。また間接に緩衝部材16が第一地中構造物12と接するとは、第一地中構造物12の第二地中構造物14に対向する外面の一部と、緩衝部材16とが任意の他の部材を介して連続することを意味する。上述のとおり地盤に緩衝部材16を配置した後、周囲の隙間を土砂で埋め戻す。
本実施形態の隣接建物保護方法を実施するにあたり、適宜、緩衝部材配置工程以外の固定を実施してもよい。たとえば、発泡樹脂体の上面が地盤レベル(GL)付近になるようであれば、外気への露出を避けるために、当該発泡樹脂体の上面にコンクリートを塗るなどして保護層112を形成する工程をさらに実施するとよい。
<第五実施形態>
次に、第五実施形態として、本発明の隣接建物保護方法の実施形態の一例を説明する。第五実施形態の説明には、適宜図4から図7を参照することができる。
実施形態に用いられる用語や発明の構成は、適宜、第一実施形態から第四実施形態までの説明が参照される。
本実施形態にかかる隣接建物保護方法は、上述する緩衝部材配置工程に加え、剛性連結部材固定工程を有する。
剛性連結部材固定工程は、緩衝部材16に沿った位置、または緩衝部材16を貫通する位置に、長尺の剛性連結部材30を配置する工程(以下、配置工程ともいう)、剛性連結部材30の一端を第一の建物100に設けられた第一地中構造物12に固定する工程(以下、第一固定工程ともいう)、剛性連結部材30の他端を第一の建物100に隣接する第二の建物110に設けられた第二地中構造物14に固定する工程(以下、第二固定工程ともいう)を含む。
剛性連結部材固定工程を実施し剛性連結部材30で第一地中構造物12および第二地中構造物14を連結することによって、さらに隣接する第一の建物100および第二の建物110の近接傾斜および離間傾斜を回避して保護する効果が増大する。緩衝部材16と剛性連結部材30を備えることによる保護効果の詳細は、第一実施形態から第四実施形態(特には第二実施形態)における作用効果の説明を参照することができるため、ここでは説明を割愛する。
剛性連結部材固定工程は、上述する緩衝部材配置工程より先に実施してもよいし、あとに実施してもよいし、同時に実施してもよい。また剛性連結部材固定工程において、配置工程、第一固定工程および第二固定工程の実施の順は特に限定がなく他の工程を鑑み任意に決定することができる。また、いずれかの工程を同時に実施してもよい。
図7(a)(b)を参照しながら、剛性連結部材固定工程について説明する。
まず既存の第一の建物100と第二の建物110との間における地盤を掘り下げて、緩衝部材16を埋設する空間を確保する。そして、第一地中構造物12と第二地中構造物14とに亘り、緩衝部材である第一発泡樹脂体16Cを配置した後、第一地中構造物12の対面部140に予め形成した貫通孔28に第二連結部材30B(30)を貫通させる。第二連結部材30B(30)の一端(紙面左側端部)に設けた固定部40によって、第二連結部材30B(30)は第一地中構造物12に固定される。その後に、第二地中構造物14に第二連結部材30B(30)の他端を固定し、これによって、第二連結部材30B(30)の固定が完了する。第二地中構造物14に対する第二連結部材30B(30)の他端の固定は、第一地中構造物12と同様に図示省略する貫通孔を第二地中構造物14に設けてもよいし、第二地中構造物14の第一地中構造物12側の面から厚み方向に穴を形成し、そこへ第二連結部材30B(30)の他端を挿入して、隙間をコンクリートなどで埋め込むことで実施してもよい。第二連結部材30B(30)の他端にも固定部40が設けられることによって、第二地中構造物14から第二連結部材30B(30)の他端が離脱することも防止することができる。
その後に、第一地中構造物12と第二地中構造物14とに亘るとともに、第二連結部材30B(30)を覆う第二発泡樹脂体16Bを配置することで、第二連結部材30B(30)に関し、配置工程、第一固定工程、第二固定工程が完了する。
第二連結部材30B(30)の上方に、さらに第一連結部材30A(30)を設ける場合には、上述する第二連結部材30B(30)と同様の方法で、第一連結部材30A(30)を設置することができる。
図示省略するが、あらかじめ発泡樹脂体などからなる緩衝部材16の所定の位置に剛性連結部材30を貫通させた後、緩衝部材16および連結部材30を同時に地盤を掘って形成された空間に配置してもよい。その後、上記第一固定工程および上記第二固定工程を行い隣接建物保護方法を実施してもよい。
以上に本発明の第一実施形態から第五実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
たとえば第二実施形態または第三実施形態において、第一実施形態と同様に延在部120を設けてもよい。
また、第一地中構造物が第一の建物の基礎であって、第二地中構造物が第二の建物に設けられた地下ピットまたは地下室であってもよい。
またいずれの第二、第三、第五実施形態において、剛性連結部材が緩衝部材を貫通する例を示したが、地盤に埋設された緩衝部材の上面または下面に沿って剛性連結部材が配置された実施態様を本発明は包含する。
以上における本発明の説明では、主として地盤の液状化による地盤せん断強度の低下により生じる近接傾斜または離間傾斜ついて言及したが、本発明は、これ以外の原因で生じる隣接建物の沈下防止に広く対応可能である。たとえば本発明によれば、地盤の液状化や地震などの振動の発生により建物の支持地盤を構成する土砂の摩擦力が低下した場合に、隣接する建物の不同沈下を効果的に防止することが可能である。また、本発明によれば、地震等による振動による建物の上部構造の揺れが伝搬して地中構造物が揺れた場合に、当該揺れを吸収する効果を発揮し得る。このときの揺れの吸収は、例えば上述する発泡樹脂体やゴムなどを備える緩衝部材、またはワイヤロープなどの長尺方向に伸びうる剛性連結部材といった振動吸収作用を有する部材に起因する。また、隣接する建物の付近に存在する比較的大きな構造物(たとえば擁壁など)の沈下により周囲の地盤が当該沈下の方向に引っ張られることで一方の建物の基礎が揺らいだ場合に、当該一方の建物を他方の建物の支持力によって支え得る。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)第一の建物に設けられた第一地中構造物と、
前記第一の建物に隣接する第二の建物に設けられた第二地中構造物と、
前記第一地中構造物および前記第二地中構造物を亘って配置された緩衝部材と、
を備えることを特徴とする隣接建物保護構造。
(2)前記緩衝部材が発泡樹脂体を備える上記(1)に記載の隣接建物保護構造。
(3)前記第一地中構造物が、前記第一の建物の基礎であり、かつ
前記第二地中構造物が、前記第二の建物の基礎である上記(1)または(2)に記載の隣接建物保護構造。
(4)前記第一地中構造物が下方に前記第一の建物の杭基礎を備える第一地下空間構造であり、かつ
前記第二地中構造物が下方に前記第二の建物の杭基礎を備える第二地下空間構造であり、
前記緩衝部材が、前記第一地下空間構造と前記第二地下空間構造とに亘って配置されている上記(1)または(2)に記載の隣接建物保護構造。
(5)前記緩衝部材の上下方向の厚みが、前記第一地中構造物の上下方向の厚みおよび前記第二地中構造物の上下方向の厚みのいずれか小さい方の厚みの25%以上である上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の隣接建物保護構造。
(6)前記緩衝部材が発泡樹脂体を含み、
前記発泡樹脂体が、前記第一地中構造物または前記第二地中構造物のいずれかの底面よりさらに下方まで延在する延在部を有する上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の隣接建物保護構造。
(7)一端が前記第一地中構造物に固定され、他端が前記第二地中構造物に固定されるとともに、前記緩衝部材に沿って、または前記緩衝部材を貫通して配置された剛性連結部材を備える上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の隣接建物保護構造。
(8)前記剛性連結部材が長尺の部材であり、長手方向の前記一端が前記第一地中構造物に固定され、前記長手方向の前記他端が前記第二地中構造物に固定されている上記(7)に記載の隣接建物保護構造。
(9)前記剛性連結部材が、上下方向に複数設けられている上記(7)または(8)に記載の隣接建物保護構造。
(10)前記第一地中構造物は、前記第二地中構造物に対向する面を有する所定厚みの対面部を有し、前記対面部は、上下方向に交差する方向に貫通する貫通孔を有しており、
前記剛性連結部材が、前記貫通孔を貫通するとともに貫通した端部領域が前記対面部の裏面側に固定されている上記(7)から(9)のいずれか一項に記載の隣接建物保護構造。
(11)第一の建物に設けられた第一地中構造物および前記第一の建物に隣接する第二の建物に設けられた第二地中構造物に亘り緩衝部材を配置する緩衝部材配置工程を有し、
前記第一の建物と前記第二の建物とが互いに近接する方向または互いに離間する方向に作用する建物荷重を前記緩衝部材によって緩和させることを特徴とする隣接建物保護方法。
(12)前記緩衝部材に沿った位置、または前記緩衝部材を貫通する位置に、長尺の剛性連結部材を配置する工程、前記剛性連結部材の一端を第一の建物に設けられた第一地中構造物に固定する工程、前記剛性連結部材の他端を前記第一の建物に隣接する第二の建物に設けられた第二地中構造物に固定する工程を含む剛性連結部材固定工程を有する上記(11)に記載の隣接建物保護方法。
10、50、60・・・隣接建物保護構造
12・・・第一地中構造物
14・・・第二地中構造物
16・・・緩衝部材
16A・・・第一発泡樹脂体
16B・・・第二発泡樹脂体
16C・・・第三発泡樹脂体
22・・・布基礎
24・・・べた基礎
26・・・地下ピット
27・・・地下室
28・・・貫通孔
30・・・剛性連結部材
30A・・・第一連結部材
30B・・・第二連結部材
40・・・固定部
41・・・鋼板
42・・・留め具
43・・・規制部
100、200・・・第一の建物
110、210・・・第二の建物
102、104、112、114・・・仮想線
112・・・保護層
114・・・接着層
116・・・凸構造部
120・・・延在部
140・・・対面部
142・・・非対面部
162・・・圧力吸収領域
220、240・・・杭基礎
d1・・・近接する方向
d2・・・離間する方向
t1、t2、t3・・・厚み
f1、f2・・・抗力

Claims (10)

  1. 第一の建物に設けられた第一地中構造物と、
    前記第一の建物に隣接する第二の建物に設けられた第二地中構造物と、
    前記第一地中構造物および前記第二地中構造物を亘って配置された緩衝部材と、
    を備え
    前記第一の建物および前記第二の建物が一戸建て建物であり、
    前記第一地中構造物が、前記第一の建物の基礎であり、かつ
    前記第二地中構造物が、前記第二の建物の基礎であることを特徴とする隣接建物保護構造。
  2. 前記緩衝部材が発泡樹脂体を備える請求項1に記載の隣接建物保護構造。
  3. 前記緩衝部材の上下方向の厚みが、前記第一地中構造物の上下方向の厚みおよび前記第二地中構造物の上下方向の厚みのいずれか小さい方の厚みの25%以上である請求項1または2に記載の隣接建物保護構造。
  4. 前記緩衝部材が発泡樹脂体を含み、
    前記発泡樹脂体が、前記第一地中構造物または前記第二地中構造物のいずれかの底面よりさらに下方まで延在する延在部を有する請求項1からのいずれか一項に記載の隣接建物保護構造。
  5. 一端が前記第一地中構造物に固定され、他端が前記第二地中構造物に固定されるとともに、前記緩衝部材に沿って、または前記緩衝部材を貫通して配置された剛性連結部材を備え
    前記剛性連結部材がワイヤロープである請求項1からのいずれか一項に記載の隣接建物保護構造。
  6. 前記剛性連結部材が長尺の部材であり、長手方向の前記一端が前記第一地中構造物に固定され、前記長手方向の前記他端が前記第二地中構造物に固定されている請求項1から5のいずれか一項に記載の隣接建物保護構造。
  7. 前記剛性連結部材が、上下方向に複数設けられている請求項1から6のいずれか一項に記載の隣接建物保護構造。
  8. 前記第一地中構造物は、前記第二地中構造物に対向する面を有する所定厚みの対面部を有し、前記対面部は、上下方向に交差する方向に貫通する貫通孔を有しており、
    前記剛性連結部材が、前記貫通孔を貫通するとともに貫通した端部領域が前記対面部の裏面側に固定されている請求項1から7のいずれか一項に記載の隣接建物保護構造。
  9. 第一の建物に設けられた第一地中構造物および前記第一の建物に隣接する第二の建物に設けられた第二地中構造物に亘り緩衝部材を配置する緩衝部材配置工程を有し、
    前記第一の建物および前記第二の建物が一戸建て建物であり、
    前記第一地中構造物が、前記第一の建物の基礎であり、かつ
    前記第二地中構造物が、前記第二の建物の基礎であり、
    前記第一の建物と前記第二の建物とが互いに近接する方向または互いに離間する方向に作用する建物荷重を前記緩衝部材によって緩和させることを特徴とする隣接建物保護方法。
  10. 前記緩衝部材に沿った位置、または前記緩衝部材を貫通する位置に、長尺の剛性連結部材であるワイヤロープを配置する工程、前記ワイヤロープの一端を第一の建物に設けられた第一地中構造物に固定する工程、前記ワイヤロープの他端を前記第一の建物に隣接する第二の建物に設けられた第二地中構造物に固定する工程を含む剛性連結部材固定工程を有する請求項に記載の隣接建物保護方法。
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