JP6488066B2 - 目地構造、及びタイル張り工法 - Google Patents
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Description
このような、従来の構造では、バックアップ材の設置作業を必要とし、更に下地モルタルの塗付け作業が、バックアップ材の位置で途切れてしまい、作業性が悪く施工に手間を要していた。しかし、バックアップ材が、躯体目地の位置において、変形追従性が低い下地モルタルを縁切りし、躯体目地の位置に躯体ひび割れを誘発させる機能を果たしていたため、バックアップ材を省略することはできなかった。
かかる背景から、作業性の向上を目的として、目地部材の簡素化及び小型化を図る技術が開示されている(例えば特許文献1)。
本発明は、上記事実に鑑み、不陸部分の調整において連続作業が可能な目地構造、及びタイル張り工法を提供することを目的とする。
この結果、バックアップ材を挟んだ施工をしない事から、作業工程が減縮され効率が向上する。シーリング材が切れた場合でも、シーリング目地部に塗り込まれた不陸調整層により、外部からの水浸入を抑止できる。
また、請求項1に記載の発明によれば、相互間の接着性が低い、シーリング材と不陸調整層の組み合わせを選択することで、絶縁テープを用いて物理的に縁切りをしなくても、重ね面で、シーリング材と不陸調整層の縁を切ることができる。
また、請求項1に記載の発明は、前記不陸調整層及び前記接着層は変成シリコーン系材料を用いて形成され、前記シーリング材がポリウレタン系材料である。
また、請求項1に記載の発明は、前記シーリング材は、表面が前記コンクリート壁面の表面より面落ちした状態とされている。
一態様の目地構造によれば、重ね面でシーリング材と不陸調整層の間の縁が切られているので、シーリング材の上に不陸調整層を直接塗布することができる。これにより、不陸調整層の施工性を向上させることができる。
一態様の目地構造によれば、シーリング材と不陸調整層の重ね面が、絶縁テープで物理的に縁が切られている。これにより、シーリング材と不陸調整層の組み合わせが、直接重ね合わされた場合に、相互間の接着性が高いものであっても、シーリング材及び不陸調整層として選択することができ、シーリング材と不陸調整層の選択の幅を広げることができる。
一態様の目地構造によれば、相互間の接着性が低い、シーリング材と不陸調整層の組み合わせを選択することで、絶縁テープを用いて物理的に縁切りをしなくても、重ね面で、シーリング材と不陸調整層の縁を切ることができる。
図1〜図4を用いて第1実施形態に係る目地構造及びタイル張工法について説明する。
図1(A)の斜視図、図1(B)の断面図に示すように、コンクリート壁面12の一部に、躯体目地10が形成されている。また、コンクリート壁面(躯体コンクリート)12の外周面には、タイル24が張り付けられている。
躯体目地10には、型枠の継ぎ目部分に発生する水平打継目地と、ひび割れを誘発するためのひび割れ誘発目地がある(図3参照)。いずれの目地も基本的な構成は同じであり、両者を区別せずに、以下、躯体目地10として説明する。躯体目地10には、コンクリート壁面12の屋外側から屋内側への水分の浸入を防止するために、躯体目地シーリング材14が充填されている。躯体目地シーリング材14としては、例えば、ポリウレタン系のシーリング材が用いられる。
また、躯体目地10の位置においては、躯体目地10に沿ってタイル伸縮調整目地27が設けられている。タイル伸縮調整目地27には、伸縮性を有するシーリング材28が充填されている。シーリング材28は、弾性下地調整材16の上面に達する深さまで充填され、タイル24同士を接続すると共に、タイル24間の相対変位を吸収する。
なお、本実施形態では、タイル目地モルタル30の充填は必ずしも必要ではなく、タイル目地29をタイル目地モルタル30で充填しなくても良い。
重ね面26の位置で、躯体目地シーリング材14と弾性下地調整材16の間の縁が切られているので、躯体目地シーリング材14の上に、弾性下地調整材16を直接塗布することができ、弾性下地調整材16の施工性を向上させることができる。
図2においては、躯体目地シーリング材14として、市販されているイ社(製造元:サンスター技研株式会社、商品名:ペンギンシールPU9000NB)、ロ社(製造元:セメダイン株式会社、商品名:S−750NB)、ハ社(製造元:横浜ゴム株式会社、商品名:UH−01NB)、ニ社(製造元:コニシ株式会社、商品名:ボンド ビューシール6909)の商品(いずれもポリウレタン系材料のもの)を採用し、弾性下地調整材16として、変成シリコーン系材料の商品(製造元:コニシ株式会社、商品名:ボンド レベルワン)を用いた場合の、各組み合わせ結果を示している。
結果から、いずれの欄も○印が付されており、イ社、ロ社、ハ社、ニ社の躯体目地シーリング材14を使用し、弾性下地調整材16を用いれば、相互間の接着性が低い材料同士が選択されており、絶縁性不良、躯体目地シーリング材14及び弾性下地調整材16の軟化、硬化不良、汚れ、色相変化等は生じないといえる。即ち、躯体目地シーリング材14の上に、弾性下地調整材16を直接塗布できることが確認された。
これにより、躯体目地10の位置において、弾性下地調整材16の塗布作業を一旦止める必要がなくなり、弾性下地調整材16の施工性を向上させることができる。
ここに、相互間の接着性が低いとは、躯体目地シーリング材14と弾性下地調整材16との間における相互間の接着性が、他の一般的な物質との間の接着性より低いことを意味している。即ち、例えば、躯体目地シーリング材14と、躯体目地10の周囲のコンクリート壁面12との間の接着性と、躯体目地シーリング材14と弾性下地調整材16との間の接着性を比較したとき、躯体目地シーリング材14と弾性下地調整材16との間の接着性の方が低いことを意味している。更に、接着性の低さは、接着界面に応力が加わった際、躯体目地シーリング材14と弾性下地調整材16とが、それぞれの接着界面で剥がれる(界面破壊)程度であることが望ましい。
図3(A)の断面図は、従来の水平打継目地構造を示しており、図3(B)の断面図は、従来のひび割れ誘発目地構造を示している。躯体目地10の位置及びその周囲において、コンクリート壁面12に不陸が発生する可能性があるため、従来構造は、下地モルタル(下塗り)40、及び下地モルタル(中塗り)41を用いて、不陸調整を行っていた。
バックアップ材32は、例えば、ポリスチレンフォームで断面形状が矩形に形成され、躯体目地10とほぼ同じ長さを有する帯状部材である。ここに、矩形部の幅寸法Wは、躯体目地10のほぼ全幅を覆い、躯体目地シーリング材14の表面とほぼ等しい寸法とされ、矩形部の奥行寸法Dは、一端が挿入された状態で躯体目地10から下地モルタルの厚さだけ突出す寸法とされている。
しかし、この構造では、バックアップ材32の施工を必要とし、バックアップ材32の施工に手間を要していた。また、下地モルタル40、41の塗布作業を、バックアップ材32の位置で一旦止める必要があり、塗布作業が中断され施工に時間を要してした。
この構成では、バックアップ材32を躯体目地シーリング材14の上に設けた状態で、下地モルタルに替えて、弾性下地調整材16を塗布することとなる。このため、本構成においても、バックアップ材32を設ける工程が必要となる。しかも、バックアップ材32の位置で、弾性下地調整材16を塗り分ける手間も発生することから作業効率が悪く、満足できるものではない。
また、重ね面26で縁を切ることでバックアップ材32をなくしているので、弾性下地調整材16の施工性を向上させることができる。更に、バックアップ材32の位置で弾性下地調整材16の塗布作業を、一旦止める必要がなくなるので、作業効率も向上する。
また、弾性下地調整材16とタイル張り用接着剤20が伸縮性を有しているので、躯体コンクリートの動きをタイル面に伝播させ、ひび割れが発生するのを防止できる。この結果として、タイル24のひび割れを抑制できる。
本実施形態のタイル張り工法においては、先ず、コンクリート壁面12に形成された躯体目地10に充填された躯体目地シーリング材14の上に、不陸を調整する弾性下地調整材16を塗布する。これにより、コンクリート壁面12及び躯体目地シーリング材14の上に、伸縮性を備えた不陸調整層が形成され、不陸が調整される。続いて、不陸調整層の上に伸縮性を備えたタイル張用接着剤20を塗布して、タイル24をコンクリート壁面12に張り付ける。
図6の断面図に示すように、本発明の第2実施形態に係る目地構造は、躯体目地シーリング材36と弾性下地調整材38との重ね面に、絶縁テープ34が設けられている点において、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。ここに、絶縁テープ34は、躯体目地シーリング材36と弾性下地調整材38との直接の接触を避けるための、ボンドブレーカーとして機能する。
絶縁テープ34で、物理的に、躯体目地シーリング材36と弾性下地調整材38の縁が切られるので、相互間の接着性が良い、躯体目地シーリング材36と弾性下地調整材38の組み合わせであっても、躯体目地シーリング材36及び弾性下地調整材38として選択することができる。この結果、躯体目地シーリング材と不陸調整層の選択の幅を広げることができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
12 コンクリート壁面
14 躯体目地シーリング材(シーリング材)
16 弾性下地調整材(不陸調整層)
20 タイル張り用接着剤(接着層)
24 タイル
26 重ね面
32 バックアップ材
34 絶縁テープ(ボンドブレーカー)
Claims (2)
- コンクリート壁面に形成された躯体目地と、
前記躯体目地に、表面が前記コンクリート壁面の表面より面落ちした状態で充填され、ポリウレタン系材料で形成されたシーリング材と、
前記コンクリート壁面及び前記シーリング材の上に変成シリコーン系材料を用いて形成され、前記コンクリート壁面の収縮に追随できる伸縮性を備え前記コンクリート壁面の不陸を調整する不陸調整層と、
前記不陸調整層の上に変成シリコーン系材料を用いて形成され、前記コンクリート壁面の収縮に追随できる伸縮性を備え前記コンクリート壁面にタイルを接着させる接着層と、
を有し、
前記シーリング材と前記不陸調整層の重ね面は、前記シーリング材と前記不陸調整層が直接接触する接触面とされ、前記シーリング材と前記不陸調整層との接着性が、前記シーリング材と前記躯体目地における前記コンクリート壁面との接着性より低い目地構造。 - コンクリート壁面に形成された躯体目地に、ポリウレタン系材料で形成されたシーリング材を表面が前記コンクリート壁面の表面より面落ちした状態で充填する工程と、
前記コンクリート壁面及び前記シーリング材の上に、前記コンクリート壁面の収縮に追随できる伸縮性を備え、前記シーリング材との相互間の接着性が前記シーリング材と前記躯体目地における前記コンクリート壁面との接着性より低い変成シリコーン系材料を用いて形成された弾性下地材を塗布することにより不陸調整層を形成する工程と、
前記不陸調整層の上に、前記コンクリート壁面の収縮に追随できる伸縮性を備え変成シリコーン系材料を用いて形成された接着剤を塗布してタイルを張る工程と、
を備えたタイル張り工法。
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