JP6487828B2 - 酸性分離液状調味料 - Google Patents
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このような食物繊維は、便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになってきており、厚生労働省「日本人の食品摂取基準(2010年版)」により、一日の目標摂取量も設定されている。
こういった課題に対し、食事の際に手軽に食物繊維を摂取することが求められており、様々な食品への食物繊維添加が検討されている(特許文献1)。
しかしながら、食用油脂を含有する分離液状調味料中に多量の食物繊維を配合した場合、野菜に調味料をかけてサラダを食した際に、野菜のフレッシュな風味がぼやけてしまう場合があった。
その結果、食用油脂、難消化性デキストリン、及び、その他特定の配合原料を用いた場合には、意外にも、食物繊維を多量に配合したにも拘らず、野菜にかけてサラダを食した場合に、サラダ全体として野菜のフレッシュな食味を十分に味わうことができる酸性分離液状調味料が得られることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
(1)難消化性デキストリンを6%以上配合する酸性分離液状調味料であって、
食用油脂を20%以下、ニンジン及びタマネギを配合し、
難消化性デキストリンの配合量1部に対するニンジン及びタマネギの合計固形分が0.01〜0.6部である、
酸性分離液状調味料、
(2)(1)記載の酸性分離液状調味料において、
難消化性デキストリンの配合量が6〜40%である、
酸性分離液状調味料、
(3)(1)又は(2)記載の酸性分離液状調味料において、
ニンジン及びタマネギの合計固形分が0.06〜8%である、
酸性分離液状調味料、
である。
本発明の酸性分離液状調味料は、難消化性デキストリンを6%以上配合する酸性分離液状調味料であって、食用油脂を20%以下、ニンジン及びタマネギを配合し、難消化性デキストリンの配合量1部に対するニンジン及びタマネギの合計固形分が0.01〜0.6部であることに特徴を有する。
このような構成により、食物繊維を多量に配合したにも拘らず、野菜にかけてサラダを食した場合に、サラダ全体として野菜のフレッシュな食味を十分に味わうことができる酸性分離液状調味料を、簡便に得ることができる。
本発明の酸性分離液状調味料は、食用油脂、醸造酢等の酸味料を配合し、pH4.6以下に調整された、油相及び水相を有する分離液状の調味料である。
本発明に用いる食用油脂は、例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油等の植物油の精製油、並びにMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド等の化学的若しくは酵素的処理を施したもの等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる食用油脂の配合量は、20%以下であり、15%以下であるとよい。食用油脂の配合量が上限を超える場合には、難消化性デキストリンの影響からか、野菜にかけてサラダを食した場合に、サラダ全体として野菜のフレッシュな食味を感じにくい。
なお、酸性分離液状調味料は、通常、食用油脂が0.5%以上配合されており、本発明においても同様とするとよい。
難消化性デキストリンとは、トウモロコシ、ジャガイモ等を原料とした澱粉を培焼し、次いでアミラーゼ等の澱粉消化酵素で加水分解し、その中の難消化性成分を取り出して調製した水溶性の食物繊維のことをいう。
本発明において、難消化性デキストリンは、通常市販されているものであればいずれのものでもよく、例えば、松谷化学工業社製「ファイバーソル2(登録商標)」等が挙げられる。
本発明の酸性分離液状調味料の難消化性デキストリンの配合量は、6%以上であり、調味料中に難消化性デキストリンを均一に分散させやすく、野菜にかけてサラダを食した場合に野菜のフレッシュな食味を感じやすいことから、6〜40%であるとよく、更に6〜35%、6〜20%、8〜15%であるとよい。
難消化性デキストリンの下限の配合量については、食物繊維を多量に配合している食品が通常、食物繊維を6%以上配合しており、本発明においても食物繊維である難消化性デキストリンを6%以上配合する必要があるためである。
本発明の酸性分離液状調味料のニンジン及びタマネギの合計配合量は、難消化性デキストリン1部に対するニンジン及びタマネギの合計固形分が0.01〜0.6部であり、更に0.02〜0.6部、0.05〜0.3部であるとよい。
難消化性デキストリン1部に対するニンジン及びタマネギの合計固形分が下限より少ない場合は、野菜にかけてサラダを食した場合に、野菜のフレッシュな食味が感じられない。
一方、難消化性デキストリン1部に対するニンジン及びタマネギの合計固形分が上限より多い場合は、調味料としてのバランスが悪くなり、その結果、好ましい食味を感じにくいものとなる。
本発明において「合計固形分」とは、ニンジン及びタマネギの固形分配合量の合計量をいう。
本発明の調味料に用いるニンジン及びタマネギの合計固形分は、野菜にかけてサラダを食した場合に、サラダ全体として野菜のフレッシュな食味を十分に味わうことができることから、合計固形分で0.06〜8%であるとよい。
なお、本発明において「合計固形分」とは、ニンジン及びタマネギの固形分配合量の合計量をいう。
また、サラダ全体として野菜のフレッシュな食味を十分に味わうことができることから、本発明の調味料に配合するニンジン及びタマネギの配合比率は、固形分配合量で、ニンジン1部に対してタマネギが0.1〜10部であるとよい。
本発明の酸性分離液状調味料に配合する野菜の形態は、特に限定されず、生の野菜をスライサー等でダイス状やミンチ状に処理したもの、ミキサー等で磨砕してペースト状に処理したもの、搾汁器等で搾汁して液状に処理したもの等を用いることができる。また、これらの処理物を濃縮、冷凍、乾燥させたもの等を用いてもよい。
本発明の酸性分離液状調味料には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の原料を配合することができる。
例えば、難消化性デキストリン以外の食物繊維や食塩、砂糖、醸造酢等の酸味料、増粘剤等を配合してもよい。
本発明の酸性分離液状調味料は、容器に充填することができる。充填方法としては、例えば、水相原料と油相原料とを混合し、一時的に乳化状態となった水相原料と油相原料との混合液を容器に充填する方法や、水相原料を容器に充填後、油相原料を水相部に積層して充填する方法などが挙げられる。
本発明の調味液を充填する容器は、特に制限は無く、一般的な酸性分離液状調味料に使用する種々の容器を用いればよい。このような容器としては、例えば、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン、ポリアミド等の自立性容器や樹脂性の小袋容器等が挙げられる。
次に、本発明の酸性分離液状調味料の代表的な製造方法について下記に記載するが、これらは本発明を特に限定するものではない。
まず、ニンジン及びタマネギ、難消化性デキストリン及び清水等をミキサーで均一に混合し水相原料混合液を調製する。次いで、当該水相原料混合液に対し、油相部である食用油脂を注加することにより、本発明の酸性分離液状調味料を得ることができる。
さらに、得られた酸性分離液状調味料は、例えば撹拌して一時的に乳化状態とした後、樹脂製の小袋容器に充填密封することにより、容器詰め酸性分離液状調味料とすることができる。
下記に示す配合割合で仕上がり100kgの酸性分離液状調味料を製した。
まず、ニンジンペースト、タマネギペースト、難消化性デキストリン(松谷化学工業社製:商品名「ファイバーソル2」(登録商標))、及びその他水相原料を撹拌タンクで均一に混合して水相原料混合液を調製した。
次に、この水相原料混合液が入った撹拌タンクに、更に、油相原料を投入して撹拌混合し一時的に乳化状態となった水相原料液と油相原料液との混合液を、10mL容量の樹脂製の小袋容器に充填して密封することにより、本発明の酸性分離液状調味料を製した。
得られた酸性分離液状調味料に配合したニンジン及びタマネギの配合比率は、固形分配合量で、ニンジン1部に対してタマネギ1部であった。
(油相原料)
食用油脂(サラダ油) 10%
(水相原料)
食酢(酸度5%) 10%
ニンジンペースト 5%
(固形分配合量:0.5%)
タマネギペースト 5%
(固形分配合量:0.5%)
難消化性デキストリン 10%
食塩 5%
キサンタンガム 0.1%
清水 残余
―――――――――――――――――――――――――
計 100%
実施例1において、ニンジンを使用せず、さらに、タマネギの配合量を10%(固形分配合量1%)に変更する以外は、実施例1と同様に酸性分離液状調味料を製した。
実施例1において、タマネギを使用せず、さらに、ニンジンの配合量を10%(固形分配合量1%)に変更する以外は、実施例1と同様に酸性分離液状調味料を製した。
実施例1において、ニンジン及びタマネギを使用せず、カボチャを固形分配合量で8%配合し、さらに、食用油脂の配合量を5%に変更する以外は、実施例1と同様に酸性分離液状調味料を製した。
実施例1において、食用油脂の配合量を30%に変更する以外は実施例1と同様に酸性分離液状調味料を製した。
実施例1において、ニンジン及びタマネギの固形分配合量を0.01%とすることで、難消化性デキストリン1部に対するニンジン及びタマネギの合計固形分を0.001部に変更する以外は、実施例1と同様に酸性分離液状調味料を製した。
実施例1において、難消化性デキストリンを8%、ニンジン及びタマネギの固形分配合量を6.4%とすることで、難消化性デキストリン1部に対するニンジン及びタマネギの合計固形分を0.8部に変更し、さらに、食用油脂の配合量を5%に変更する以外は、実施例1と同様に酸性分離液状調味料を製した。
調味料に配合する野菜の種類が、サラダ全体のフレッシュな食味に与える影響を検討するため、下記基準により評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1、比較例1〜3により得られた酸性分離液状調味料10gを、サラダ(レタス50g、約4cm角にカットしたもの)にかけて喫食し、下記の評価基準によりサラダ全体としての食味の評価を行った。
◎:野菜のフレッシュな食味を十分に味わうことができる。
○:野菜のフレッシュな食味を味わうことができる。
△:野菜のフレッシュな食味を感じにくい。
×:野菜のフレッシュな食味を感じられない。
<結果>
一方、比較例1〜3により得られた酸性分離液状調味料は、野菜のフレッシュな食味を感じにくいものであった。
食用油脂の配合量の違いが、本発明の調味料の食味に与える影響を検討するため、食用油脂を表2記載の配合量に変更した以外は実施例1と同様に、実施例2〜3の酸性分離液状調味料を製造した。
得られた酸性分離液状調味料は、試験例1と同様の基準により評価を行った。結果を下記に示す。
<結果>
一方、比較例4により製造した酸性分離液状調味料は、難消化性デキストリンの配合による影響からか、野菜のフレッシュな食味を感じにくいものであった。
難消化性デキストリンの配合量の違いが、本発明の調味料の食味に与える影響を検討するため、難消化性デキストリンを表3記載の配合量に変更した以外は実施例1と同様に、実施例4〜5の酸性分離液状調味料を製造した。
得られた酸性分離液状調味料は、試験例1と同様の基準により評価を行った。結果を下記に示す。
<結果>
難消化性デキストリン1部に対するニンジン及びタマネギの合計固形分の量の違いが、本発明の調味料の食味に与える影響を検討するため、ニンジン及びタマネギの合計固形分を表4記載の配合量に変更した以外は実施例1と同様に、実施例6〜9の酸性分離液状調味料を製造した。
得られた酸性分離液状調味料は、試験例1と同様の基準により評価を行った。結果を下記に示す。
<結果>
特に、実施例1、7又は8により製造した、難消化性デキストリン1部に対するニンジン及びタマネギの合計固形分が0.02〜0.3部である酸性分離液状調味料は、野菜にかけてサラダを食した場合に、サラダ全体として野菜のフレッシュな食味を十分に味わうことができるものであった。
一方、比較例5により製造した酸性分離液状調味料は、野菜のフレッシュな食味が感じられなかった。また、比較例6により製造した酸性分離液状調味料も、食味のバランスが好ましくなく、その影響からか、野菜のフレッシュな食味を感じにくいものであった。
ニンジン及びタマネギの配合比率の違いが、本発明の調味料の食味に与える影響を検討するため、ニンジン及びタマネギの配合比率を表5記載の配合量に変更した以外は実施例1と同様に、実施例10〜11の酸性分離液状調味料を製造した。
得られた酸性分離液状調味料は、試験例1と同様の基準により評価を行った。結果を下記に示す。
<結果>
下記に示す配合割合で実施例1と同様の方法で、難消化性デキストリンを33%、難消化性デキストリン1部に対するニンジン及びタマネギの合計固形分の量が0.033部である酸性分離液状調味料を製した。
(油相原料)
食用油脂(サラダ油) 10%
(水相原料)
食酢(酸度5%) 12%
ニンジンペースト 3%
(固形分配合量:0.2%)
タマネギジュース 12%
(固形分配合量:0.9%)
難消化性デキストリン 33%
食塩 5%
キサンタンガム 0.1%
清水 残余
―――――――――――――――――――――――――
計 100%
Claims (3)
- 難消化性デキストリンを6%以上配合する酸性分離液状調味料であって、
食用油脂を20%以下、ニンジン及びタマネギを配合し、
難消化性デキストリンの配合量1部に対するニンジン及びタマネギの合計固形分が0.01〜0.6部である、
酸性分離液状調味料。 - 請求項1記載の酸性分離液状調味料において、
難消化性デキストリンの配合量が6〜40%である、
酸性分離液状調味料。 - 請求項1又は2記載の酸性分離液状調味料において、
ニンジン及びタマネギの合計固形分が0.06〜8%である、
酸性分離液状調味料。
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